説明

地図データ利用装置、地図データ利用装置用のプログラム、および外部記憶媒体用データ

【課題】取り替え可能な外部記憶媒体から地図データおよびアプリケーションを取得する装置において、使用するアプリケーションが使用する地図データと適合しなくなる可能性を低減する。
【解決手段】車両用ナビゲーション装置は、現在までに挿入されたことのある地図DVDに記録された地図アプリ対応テーブルのうち最も新しいバージョンのもの(105〜125)を参照し(145)、当該テーブルによれば、RAM16上に保持されているアプリケーションが現在挿入されている地図DVD中の地図データに適合しない場合(150)に、アプリケーションのバージョンの新旧に関わらず、当該地図DVDからアプリケーションをRAMに読み出す(150)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図データ利用装置、地図データ利用装置用のプログラム、および、外部記憶媒体用データに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、取り替え可能な外部記憶媒体(例えば地図DVDメディア、地図CDメディア等)に記録された地図データを利用して、地図表示、経路案内等の処理を行うナビゲーション装置が広く利用されている。このようなナビゲーション装置の中には、地図データを利用するためのプログラムを、接続された外部記憶媒体から取得するものがある。
【0003】
そのようなナビゲーション装置の作動の一例を、図5のフローチャートを用いて示す。この例においては、ナビゲーション装置は、自身のRAM上にアプリケーションがない場合(ステップ210)、現在挿入されている地図DVDからアプリケーションをRAM上に読み込む(ステップ230)。
【0004】
また、自身のRAM上にアプリケーションがある場合でも、現在挿入されている地図DVD中のアプリケーションのバージョンがRAM上のアプリケーションのバージョンよりも新しければ(ステップ220)、RAM中のアプリケーションを地図DVD中のアプリケーションで置き換える(ステップ230)。したがって、例えば最新版の地図DVDがこのナビゲーション装置に初めて挿入されたとき、最新のアプリケーションが当該地図DVDからRAMに読み込まれる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、このナビゲーション装置の作動によれば、自身のRAM上のアプリケーションのバージョンが、現在挿入されている地図DVD中のアプリケーションのバージョンと比べて同じであるかまたはより新しい場合は、地図DVDからアプリケーションを読み込むことをしない(ステップ220→NO)。
【0006】
したがって、最新版の地図DVDを取り出して旧版の地図DVDを挿入した場合、RAM中の最新版のアプリケーションは保持されたままとなる。そして、旧版の地図DVDが挿入されている状態で使用可能な地図データは、旧版の地図データとなる。
【0007】
このとき、最新版のアプリケーションが旧版の地図データに適合しない場合が考えられる。例えば、最新版のアプリケーションが、最新版の地図データにのみ含まれる新たな音声データを利用するようになっていると、ナビゲーション装置が旧版の地図データを対象としてそのような音声データを要求したときに、エラー等が発生してしまう恐れがある。
【0008】
上記のような問題は、ナビゲーション装置のみならず、取り替え可能な外部記憶媒体から地図データおよびアプリケーションを取得する装置(例えば地図表示装置)全般に共通する問題である。
【0009】
本発明は上記点に鑑み、取り替え可能な外部記憶媒体から地図データおよびアプリケーションを取得する装置において、使用するアプリケーションが使用する地図データと適合しなくなる可能性を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するための請求項1に記載の発明は、内部記憶媒体(16)と、内部記憶媒体中に記録されたアプリケーションを実行する処理回路(18)と、取り替え可能に接続された外部記憶媒体中のデータを読み出す読出装置(15)と、を備えた地図データ利用装置についてのものである。読出装置に取り替え可能に接続される外部記憶媒体としては、第1の地図データ、および前記第1の地図データを利用するための第1のアプリケーションが共に記録された第1の外部記憶媒体(20)と、第2の地図データおよび前記第2の地図データを利用するための第2のアプリケーションが共に記録された第2の外部記憶媒体(21)と、がある。
【0011】
ここで、「接続された外部記憶装置」とは、読出し装置によって読み出し可能な状態にセットされた外部記憶装置をいう。例えば、挿入されたディスク、接続されたUSBメモリ、無線接続された無線LAN記憶媒体が、「接続された外部記憶装置」の一例に該当する。
【0012】
このような地図データ利用装置において、処理回路は、読出装置に過去に接続された第1の外部記憶媒体から内部記憶媒体中に読み出され、内部記憶媒体中に現在保持されている第1のアプリケーションの、バージョンを確認する第1確認手段(135)と、読出装置に現在接続されている第2の外部記憶媒体に記録された第2の地図データのバージョンを確認する第2確認手段(140)と、第2の地図データのバージョンに適合するアプリケーションのバージョンを示す適合対応データに基づいて、第1のアプリケーションのバージョンが対応アプリバージョンに該当するか否かを判定する判定手段(145、150)と、判定手段の判定結果が否定的であることに基づいて、第1のアプリケーションに代えて使用するものとして、第2の外部記憶媒体に記録された第2のアプリケーションを内部記憶媒体に読み出す変更手段(155)と、を備えている。
【0013】
このように、地図データ利用装置は、適合対応データを参照することで、内部記憶媒体中のアプリケーションが現在接続されている外部記憶媒体中の地図データに対応しているか否かを判定し、適合していないときには、現在のアプリケーションに代えて使用するものとして、外部記憶媒体に記録されたアプリケーションを内部記憶媒体に読み出す。したがって、現在内部記憶媒体に保持されているアプリケーションのバージョンよりも古いバージョンのアプリケーションが外部記憶媒体に記録されていたとしても、内部記憶媒体中のアプリケーションが現在の地図データに不適合ならば、外部記憶媒体中のアプリケーションを読み出して使用する。したがって、使用するアプリケーションが使用する地図データと適合しなくなる可能性が低減する。
【0014】
また、請求項2に記載のように、変更手段は、判定手段の判定結果が肯定的であることに基づいて、第1のアプリケーションを、第2の地図データに対して用いるものとして、内部記憶媒体に保持し続けるようになっていてもよい。
【0015】
このようにすることで、現在内部記憶媒体に記録されているアプリケーションが現在外部記憶媒体に記録されているアプリケーションと異なっていたとしても、使用する地図データに内部記憶媒体中のアプリケーションが適合していれば、当該内部記憶媒体中のアプリケーションを継続して使用することができる。
【0016】
したがって、例えば、内部記憶媒体には最新版のアプリケーションが記録されており、現在接続されている外部記憶媒体には旧版のアプリケーションおよび地図データが記録されている場合においても、使用するアプリケーションが無条件に旧版のアプリケーションに変化してしまうのではなく、最新版のアプリケーションが旧版の地図データに適合しているなら、最新版のアプリケーションが継続使用される。したがって、不必要にアプリケーションがダウングレードされてしまう可能性が低減する。
【0017】
また、請求項3に記載のように、第1の外部記憶媒体は、第1の地図データおよび第1の地図データよりも古いバージョンの地図データのそれぞれについて、当該地図データに適合するアプリケーションのバージョンを示す第1の対応データを記録しており、第2の外部記憶媒体は、第2の地図データおよび第2の地図データよりも古いバージョンの地図データのそれぞれについて、当該地図データに適合するアプリケーションのバージョンを示す第2の対応データを記録していてもよい。この場合、地図データ利用装置は、第1の対応データおよび第2の対応データのうち、いずれがより新しいかを判定し、より新しいと判定した方のデータを適合対応データとして取得する取得手段(105〜125)を備えていてもよい。
【0018】
このようになっていることで、過去から現在までに読取装置に接続されたことのある外部記憶媒体に記録された対応データのうち新しいものを適合対応データとして使用することができる。そして、新しい対応データは、新しいアプリケーションの作成後に作成することができるので、過去のバージョンの地図データに新しいバージョンのアプリケーションが適合するか否かの情報を含めることができる。
【0019】
また、本発明の特徴は、地図データ利用装置に用いるプログラムとして捉えることもできる。また、本発明の地図データ利用装置に用いる外部記憶媒体用データに記録されるためのデータとして、地図データと、当該地図データのバージョンと、当該地図データを利用するためのアプリケーションと、当該アプリケーションのバージョンと、当該地図データおよび当該地図データよりも古いバージョンの地図データのそれぞれについての、当該データに適合するアプリケーションのバージョンを示す対応データとを含むような外部記憶媒体用データを用いることができる。
【0020】
なお、特許請求の範囲における括弧内の符号は、特許請求の範囲に記載された用語と後述の実施形態に記載される当該用語を例示する具体物等との対応関係を示すものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態について説明する。図1に、本実施形態に係る車両用ナビゲーション装置(地図データ利用装置の一例に相当する)1のハードウェア構成を示す。この車両用ナビゲーション装置1は、位置検出器11、画像表示装置12、操作部13、スピーカ14、地図メディア読取装置15、RAM16、ROM17、およびCPU18を有している。
【0022】
位置検出器11は、いずれも周知の図示しない地磁気センサ、ジャイロスコープ、車速センサ、およびGPS受信機等のセンサを有しており、これらセンサの各々の性質に基づいた、車両の現在位置、向き、および速度を特定するための情報をCPU18に出力する。画像表示装置12は、CPU18から出力された映像信号に基づいた映像をユーザに表示する。操作部13は、ユーザの操作を直接受け付け、受け付けた操作に応じた信号をCPU18に出力する。
【0023】
地図メディア読取装置15には、DVDメディアが着脱可能に挿入することができるようになっている。地図メディア読取装置15は、CPU18の制御に従って、挿入されたDVDメディアに記録されたデータを読み出し、読み出したデータをCPU18およびRAM16に出力することができるようになっている。本実施形態においては、地図メディア読取装置15に挿入するDVDメディアとして、地図DVD20、21等が、適宜取り替えて使用される。
【0024】
地図DVD20、21のそれぞれには、地図データ、アプリケーション、および付加情報データが記録されている。地図データは、地図上の道路および施設の配置、構造、接続関係等の情報を含むデータである。アプリケーションは、地図データの利用時にCPU18が実行するためのプログラムである。
【0025】
図2および図3に、付加情報データを例示する。各図中の第1行目を除く各行が、1つの地図DVDに含まれる付加情報データに相当する。これらの図に示すように、1つの付加情報データは、地図バージョン、アプリバージョン、地図アプリ対応テーブル、および、対応テーブルバージョンを含んでいる。
【0026】
地図バージョンは、当該地図DVDに記録されている地図データのバージョンを示す情報である。この地図バージョンによって、当該地図データの新旧の度合いを特定できる。本例においては、バージョン番号が大きいほど、当該地図データが新しくなるようになっている。具体的には、06、07、08年度版の地図DVDに記録されている地図データのバージョンは、それぞれM6、M7、M8である。
【0027】
アプリバージョンは、当該地図DVDに記録されているアプリケーションのバージョンを示す情報である。このアプリバージョンによって、当該アプリケーションの新旧の度合いを特定できる。本例においては、バージョン番号が大きいほど、当該アプリケーションが新しくなるようになっている。具体的には、06、07、08年度版の地図DVDに記録されているアプリケーションのバージョンは、それぞれA6、A7、A8である。
【0028】
地図アプリ対応テーブルは、当該地図DVDに記録されている地図データ、および当該地図データよりも古いバージョンの地図データのそれぞれについて、どのバージョンのアプリケーションが適合するかを示す情報である。
【0029】
あるアプリケーションがある地図データに適合するとは、当該アプリケーションの実行において当該地図データが使用されたときに、当該アプリケーションの当該地図データに対する要求と当該地図データのデータ構成との間に齟齬がないことをいう。あるアプリケーションがある地図データに適合しない場合の例としては、当該アプリケーションが地図データ中の特定の位置から音声データを取得する要求を行うようになっているにもかかわらず、当該地図データが音声データを含んでいない場合がある。
【0030】
図2の例においては、06年度版の地図DVDに含まれる地図アプリ対応テーブルは、M6のバージョンの地図データにはA6のバージョンのアプリケーションが適合する旨の情報を含んでいる。また、07年度版の地図DVDに含まれる地図アプリ対応テーブルは、M6、M7の両バージョンの地図データにA7のバージョンのアプリケーションが適合する旨の情報を含んでいる。また、08年度版の地図DVDに含まれる地図アプリ対応テーブルは、M6、M7、M8のバージョンの地図データのすべてにA8のバージョンのアプリケーションが適合する旨の情報を含んでいる。したがって、図2のようなバージョン構成の06〜08年度版の地図DVDにおいては、各アプリケーションは、当該アプリケーションと同じ地図DVDに記録された地図データおよびそれ以前の地図データのいずれにも適合するようになっている。
【0031】
図3の例においては、06年度版の地図DVDに含まれる地図アプリ対応テーブルは、M6のバージョンの地図データにはA6のバージョンのアプリケーションが適合する旨の情報を含んでいる。また、07年度版の地図DVDに含まれる地図アプリ対応テーブルは、M6のバージョンの地図データにA6のバージョンのアプリケーションが適合し、M7のバージョンの地図データにA7のバージョンのアプリケーションが適合する旨の情報を含んでいる。すなわち、A7のバージョンのアプリケーションは、M6のバージョンの地図には適合しない。また、08年度版の地図DVDに含まれる地図アプリ対応テーブルは、M6のバージョンの地図データにA6のバージョンのアプリケーションが適合し、M7、M8の両バージョンの地図データにA8のバージョンのアプリケーションが適合する旨の情報を含んでいる。したがって、図3のようなバージョン構成の06〜08年度版の地図DVDにおいては、06年度版の地図DVDの地図データを利用するためには、06年度版の地図DVDのアプリケーションよりも新しいアプリケーションは使用できないようになっている。
【0032】
なお、地図アプリ対応テーブルにその旨の情報が含まれていなくとも、各アプリケーションは、同じ地図DVDに記録されている地図データとは適合するようになっている。
【0033】
RAM16は、CPU18の作業用の記憶媒体である。このRAM16は、バックアップRAMである。すなわち、RAM16は、車両のエンジン停止状態でも、その記憶内容を保持できるよう、バッテリから常に電力供給を受けるようになっている。CPU18による具体的なRAM16の利用方法については後述する。
【0034】
ROM17は、CPU18が利用するプログラム、データ等が含まれる不揮発性記憶媒体である。ROM17に含まれるプログラムとしては、起動処理用のブートプログラムがある。
【0035】
CPU(コンピュータに相当する)18は、RAM16およびROM17上のプログラムを実行し、その実行の際にはRAM、ROM、および挿入されている地図DVDから情報を読み出し、RAMに対して情報の書き込みを行い、位置検出器11、画像表示装置12、操作部13、およびスピーカ14と信号の授受を行う。
【0036】
具体的には、CPU18は、車両のエンジンスイッチがオンまたはACCがオンとなったとき(すなわち、車両用ナビゲーション装置1の主電源が投入されたとき)に、ROM17中のブートプログラムを実行し、その後、RAM16に保持されているアプリケーションを実行する。
【0037】
RAM16上のアプリケーションを実行することで、CPU18は、地図表示処理、ナビゲーション処理等を行う。
【0038】
地図表示処理は、位置検出器11からの信号に基づいて特定した現在位置の周辺の地図、または操作部13を介してユーザによって指定された位置の周辺の地図を、現在挿入されている地図DVD中の地図データに基づいて構成し、構成した地図を画像表示装置12に表示させる処理である。
【0039】
ナビゲーション処理は、操作部13を介してユーザによる目的地の入力を受け付け、現在位置から当該目的地までの最適な誘導経路を算出し、音声、画像等でその誘導経路に沿った車両の進行を案内する処理である。音声、画像による案内としては、例えば、誘導経路に沿った右左折交差点の手前に自車両が到達したとき等の必要時に、右折、左折等を指示する案内音声信号を現在の地図DVD中の地図データから読み出してスピーカ14に出力させる方法、および、当該交差点の拡大図を現在の地図DVD中の地図データから読み出して画像表示装置12に表示させる方法等がある。
【0040】
なお、上記のブートプログラムには、挿入されている地図DVDからアプリケーションをRAM16に読み出すか否かを判定し、読み出すと判定した場合には当該アプリケーションをRAM16に読み出す処理のためのサブプログラムが含まれている。図4に、このサブプログラム100のフローチャートを示す。CPU18は、このサブプログラム100を、車両用ナビゲーション装置1の主電源投入時、および、地図メディア読取装置15に地図DVDが挿入された時のそれぞれにおいて、実行するようになっている。
【0041】
このサブプログラム100の実行においてCPU18は、まずステップ105で、RAM16上に地図アプリ対応テーブルが保持されているか否かを判定し、保持されていれば続いてステップ110を実行し、保持されていなければ続いてステップ125を実行する。
【0042】
ステップ110では、現在地図メディア読取装置15に挿入されている地図DVD中の地図アプリ対応テーブルのバージョンRV1を確認する。具体的には、当該地図DVD中の対応テーブルバージョンの内容を、当該地図アプリ対応テーブルのバージョンに同定する。
【0043】
続いてステップ115では、RAM16中の地図アプリ対応テーブルのバージョンRV2を確認する。具体的には、RAM16中の対応テーブルバージョンの内容を、当該地図アプリ対応テーブルのバージョンに同定する。なお、後述するように、地図アプリ対応テーブルとそれに付随する対応テーブルバージョンとは、共にRAM16に読み出されるようになっている。
【0044】
続いてステップ120では、ステップ110で特定したバージョンRV1が、ステップ115で特定したバージョンRV2より新しいか否かを判定し、新しければ続いてステップ125を実行し、新しくなければ続いてステップ130を実行する。
【0045】
ステップ125では、当該地図DVDから地図アプリ対応テーブルをRAM16に読み出すことで、それまでのRAM16中の地図アプリ対応テーブルを当該地図DVDの地図アプリ対応テーブルで置き換える。さらにステップ125では、当該地図DVDから対応テーブルバージョンをRAM16に読み出すことで、それまでのRAM16中の対応テーブルバージョンを当該地図DVDの対応テーブルバージョンで置き換える。ステップ125に続いては、ステップ130を実行する。
【0046】
ステップ130では、RAM16上にアプリケーションが保持されているか否かを判定し、保持されていれば続いてステップ135を実行し、保持されていなければ続いてステップ155を実行する。
【0047】
ステップ135では、RAM16上のアプリケーションのバージョンAVを確認する。具体的には、RAM16中のアプリバージョンの内容を、当該アプリケーションのバージョンに同定する。なお、後述するように、アプリケーションとそれに付随するアプリバージョンとは、共にRAM16に読み出されるようになっている。
【0048】
続いてステップ140では、現在地図メディア読取装置15に挿入されている地図DVD中の地図データのバージョンMVを確認する。具体的には、当該地図DVD中の地図バージョンの内容を、当該地図データのバージョンに同定する。
【0049】
続いてステップ145では、ステップ140で特定した地図バージョンMVに適合するアプリケーションのバージョンを、RAM16上の地図アプリ対応テーブルに基づいて特定する。
【0050】
続いてステップ150では、ステップ135で特定したアプリバージョンが、ステップ140で特定した地図バージョンMVに適合するか否かを判定する。具体的には、ステップ145で特定したアプリケーションのバージョンに、ステップ135で特定したアプリバージョンが該当すれば適合すると判定し、そうでなければ適合しないと判定する。適合しないと判定した場合続いてステップ155を実行し、適合すると判定した場合サブプログラム100の今回の実行を終了する。
【0051】
ステップ155では、当該地図DVDからアプリケーションをRAM16に読み出すことで、それまでのRAM16中のアプリケーションを当該地図DVDのアプリケーションで置き換える。さらにステップ155では、当該地図DVDからアプリバージョンをRAM16に読み出すことで、それまでのRAM16中のアプリバージョンを当該地図DVDのアプリバージョンで置き換える。ステップ155の後、サブプログラム100の今回の実行を終了する。
【0052】
以上のようなサブプログラム100を実行することで、CPU18は、RAM16上に地図アプリ対応テーブルがない場合(ステップ105→NO参照)、および、RAM16上の地図アプリ対応テーブルのバージョンが、現在挿入されている地図DVD中の地図アプリ対応テーブルのバージョンよりも古い場合(ステップ120→YES参照)に、当該地図DVD中の地図アプリ対応テーブルおよび対応テーブルバージョンをRAM16上に読み出す(ステップ125参照)。これによって、RAM16中の地図アプリ対応テーブル、現在までに地図メディア読取装置15に挿入されたことのある地図DVDに記録されたすべての地図アプリ対応テーブルのうち最も新しいバージョンの地図アプリ対応テーブルとなる。
【0053】
またCPU18は、RAM16上にアプリケーションがない場合(ステップ130→NO参照)、および、RAM16上に保持されているアプリケーションが現在挿入されている地図DVD中の地図データに適合しない場合(ステップ150→NO参照)に、アプリケーションのバージョンの新旧に関わらず、当該地図DVDからアプリケーションをRAM16に読み出す(ステップ155参照)。そしてその後、読み出したアプリケーションを実行することで、当該地図データを利用した各種処理(地図表示処理、ナビゲーション処理等)を実現する。
【0054】
以上のような作動の車両用ナビゲーション装置1において、RAM16上にアプリケーションも地図アプリ対応テーブルも保持されていない状態で、まず地図DVD20が挿入され、その後に地図DVD21が挿入された場合の例について説明する。
【0055】
(1)地図DVD20、21が、それぞれ図3に示したようなバージョン構成における08年度版地図DVDおよび06年度版地図DVDであるときの例:
この例においては、まず地図DVD20が地図メディア読取装置15に挿入された時点で、CPU18がサブプログラム100を実行し、当該地図DVD20中の地図アプリ対応テーブルおよび対応テーブルバージョン(R8)がRAM16に読み出され(ステップ105→125参照)、さらに、当該地図DVD20中のアプリケーションおよびアプリバージョン(A8)がRAM16に読み出される(ステップ130→155参照)。
【0056】
続いて地図DVD20と入れ替わりに地図DVD21が地図メディア読取装置15に挿入された時点で、CPU18が再度サブプログラム100を実行する。このとき、地図DVD21の対応テーブルバージョン(R6)は、RAM中の対応テーブルバージョン(R8)より古いので、現在の地図アプリ対応テーブルおよび対応テーブルバージョンがRAM16中で保持される(ステップ120→NO参照)。
【0057】
さらに、RAM16中の地図アプリ対応テーブルによれば、現在挿入されている地図DVD21の地図データ(バージョンM6)に、RAM16中のアプリバージョン(A8)が適合していない。したがって、地図DVD21中の旧バージョンのアプリケーションが、現在のRAM16上のアプリケーションに代えて、RAM16に読み出される(ステップ150→155参照)。
【0058】
このように、地図データ利用装置は、最新の地図アプリ対応テーブル(適合対応データの一例に相当する)を参照することで(ステップ145参照)、RAM16上のアプリケーションが現在接続されている地図DVD21中の地図データに対応しているか否かを判定し(ステップ150参照)、適合していないときには、現在のアプリケーションに代えて使用するものとして、当該地図DVD21に記録されたアプリケーションをRAM16に読み出す(ステップ155参照)。
【0059】
したがって、現在RAM16に保持されているアプリケーションのバージョンよりも古いバージョンのアプリケーションが地図DVD21に記録されていたとしても、RAM16中のアプリケーションが現在の地図データに不適合ならば、地図DVD21中のアプリケーションを読み出して使用する。したがって、使用するアプリケーションが使用する地図データと適合しなくなる可能性が低減する。
【0060】
(2)地図DVD20、21が、それぞれ図2に示したようなバージョン構成における08年度版地図DVDおよび06年度版地図DVDであるときの例:
この例においては、地図DVD20が地図メディア読取装置15に挿入された時点で、当該地図DVD20中の地図アプリ対応テーブル、対応テーブルバージョン、アプリケーション、および、アプリバージョンがRAM16に読み出されるのは、(1)の例と同じである。
【0061】
続いて地図DVD20と入れ替わりに地図DVD21が地図メディア読取装置15に挿入された時点で、CPU18が再度サブプログラム100を実行する。このとき、現在の地図アプリ対応テーブルおよび対応テーブルバージョンがRAM16中で保持されるのも、(1)の例と同じである。
【0062】
さらに、RAM16中の地図アプリ対応テーブルによれば、現在挿入されている地図DVD21の地図データ(バージョンM6)に、RAM16中のアプリバージョン(A8)が適合している。したがって、地図DVD21中の旧バージョンのアプリケーションは、RAM16に読み出されず、現在のRAM16上のアプリケーションがそのまま保持される(ステップ150→YES参照)。
【0063】
このように、車両用ナビゲーション装置1は、RAM16上のアプリケーションが現在接続されている地図DVD21中の地図データに対応しているときには、現在のRAM16中のアプリケーションを、地図DVD21中の地図データに対して用いるものとして、RAM16に保持し続ける(ステップ150→YES参照)。
【0064】
このようにすることで、RAM16に現在記録されているアプリケーションが現在地図DVD21に記録されているアプリケーションと異なっていたとしても、使用する地図データにRAM16中のアプリケーションが適合していれば、当該RAM16中のアプリケーションを継続して使用することができる。
【0065】
したがって、RAM16には最新版のアプリケーションが記録されており、現在接続されている地図DVD21には旧版のアプリケーションおよび地図データが記録されている場合においても、使用するアプリケーションが無条件に旧版のアプリケーションに変化してしまうのではなく、最新版のアプリケーションが旧版の地図データに適合しているなら、最新版のアプリケーションが継続使用される。したがって、不必要にアプリケーションがダウングレードされてしまう可能性が低減する。
【0066】
なお、上記の例(1)において、06年度版の地図DVD21が挿入された後に、地図DVD21に代えて07年度版の地図DVDが挿入された場合、地図アプリ対応テーブルはRAM16中でそのまま保持される。そして、当該地図アプリ対応テーブルによれば、挿入された地図DVDの地図データのバージョン(M7)に対応するアプリケーションのバージョンはA8である。そして、現在のRAM16中のアプリケーションのバージョンはA6である。したがって、ステップ150の判定結果は否定的なものとなり、続いてステップ155で、地図DVDからバージョンA7のアプリケーションがRAM16に読み出される。同じ地図DVDに記録されたアプリケーションと地図データとは互いに適合するので、このような作動によっても、使用するアプリケーションが使用する地図データと適合しなくなる可能性が増加することはない。
【0067】
また、地図DVD20、21のそれぞれは、地図データおよび当該地図データよりも古いバージョンの地図データのそれぞれについての、当該地図データに適合するアプリケーションのバージョンを示す地図アプリ対応テーブル(第1の対応データ、第2の対応データの一例に相当する)を記録している。そして、車両用ナビゲーション装置1は、は、地図DVD20、21中の地図アプリ対応テーブルのうち、新しい方のテーブルを、使用する適合対応データとしてRAM16に読み出す。
【0068】
このようになっていることで、過去から現在までに地図メディア読取装置15に接続されたことのある地図DVDに記録された対応データのうち新しいものを適合対応データとして使用することができる。そして、新しい対応データは、新しいアプリケーションの作成後に作成することができるので、過去のバージョンの地図データに新しいバージョンのアプリケーションが適合するか否かの情報を含めることができる。
【0069】
(他の実施形態)
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の範囲は、上記実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の各発明特定事項の機能を実現し得る種々の形態を包含するものである。
【0070】
例えば、上記実施形態においては、取り替え可能な外部記憶媒体として、DVDメディアが例示されているが、外部記憶媒体は、CDメディア、USBメモリ等、他の種類の記憶媒体であってもよい。
【0071】
また、上記実施形態においては、内部記憶媒体としてRAM16が例示されているが、内部記憶媒体として、RAM16に代えてフラッシュROMを用いてもよい。内部記憶媒体としては、書き込みおよび読み出しの両方が可能で、かつ、エンジンスイッチがオフとなっており地図データ利用装置の主電源がオフとなっていても、その記憶内容を保持し続けるような記憶媒体であれば、どのようなものを用いてもよい。
【0072】
また、上記の実施形態において、ROM17がサブプログラム100を実行することで実現している各機能は、それらの機能を有するハードウェア(例えば回路構成をプログラムすることが可能なFPGA)を用いて実現するようになっていてもよい。
【0073】
また、上記実施形態においては、ナビゲーション装置は車載タイプのものであるが、ナビゲーション装置は、船舶や飛行機に搭載されるものであってもよいし、人が持ち運びできるタイプのものであってもよい。例えば、ナビゲーション装置の機能を有する携帯電話機も、本発明の地図データ利用装置に該当する。
【0074】
また、本発明の地図データ利用装置は、ナビゲーション装置に限らず、地図を利用するものであればどのようなものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の実施形態に係る車両用ナビゲーション装置1の構成を示す図である。
【図2】地図DVD中の付加情報データを例示する図表である。
【図3】地図DVD中の付加情報データを例示する図表である。
【図4】CPU18がブートプログラムを実行することで行うアプリケーションの読み出し処理のフローチャートである。
【図5】従来のナビゲーション装置の作動の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0076】
1…車両用ナビゲーション装置、2…車載カメラシステム、11…位置検出器、
12…画像表示装置、13…操作部、14…スピーカ、15…地図メディア読取装置、
16…RAM、17…ROM、18…CPU、20、21…地図DVD。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部記憶媒体(16)と、
前記内部記憶媒体中に記録されたアプリケーションを実行する処理回路(18)と、
第1の地図データ、および前記第1の地図データを利用するための第1のアプリケーションが共に記録された第1の外部記憶媒体(20)と、第2の地図データおよび前記第2の地図データを利用するための第2のアプリケーションが共に記録された第2の外部記憶媒体(21)と、が取り替え可能に接続され、接続された外部記憶媒体中のデータを読み出す読出装置(15)と、を備え、
前記処理回路は、
前記読出装置に過去に接続された前記第1の外部記憶媒体から前記内部記憶媒体中に読み出され、前記内部記憶媒体中に現在保持されている前記第1のアプリケーションの、バージョンを確認する第1確認手段(135)と、
前記読出装置に現在接続されている前記第2の外部記憶媒体に記録された前記第2の地図データのバージョンを確認する第2確認手段(140)と、
前記第2の地図データのバージョンに適合するアプリケーションのバージョンを示す適合対応データに基づいて、前記第1のアプリケーションのバージョンが前記対応アプリバージョンに該当するか否かを判定する判定手段(145、150)と、
前記判定手段の判定結果が否定的であることに基づいて、前記第1のアプリケーションに代えて使用するものとして、前記第2の外部記憶媒体に記録された第2のアプリケーションを前記内部記憶媒体に読み出す変更手段(155)と、を備えた地図データ利用装置。
【請求項2】
前記変更手段は、前記判定手段の判定結果が肯定的であることに基づいて、前記第1のアプリケーションを、前記第2の地図データに対して用いるものとして、前記内部記憶媒体に保持し続けることを特徴とする請求項1に記載の地図データ利用装置。
【請求項3】
前記第1の外部記憶媒体は、前記第1の地図データおよび前記第1の地図データよりも古いバージョンの地図データのそれぞれについて、当該地図データに適合するアプリケーションのバージョンを示す第1の対応データを記録しており、
前記第2の外部記憶媒体は、前記第2の地図データおよび前記第2の地図データよりも古いバージョンの地図データのそれぞれについて、当該地図データに適合するアプリケーションのバージョンを示す第2の対応データを記録しており、
当該地図データ利用装置は、前記第1の対応データおよび第2の対応データのうち、いずれがより新しいかを判定し、より新しいと判定した方のデータを前記適合対応データとして取得する取得手段(105〜125)を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の地図データ利用装置。
【請求項4】
内部記憶媒体(16)と、
前記内部記憶媒体中に記録されたアプリケーションを実行する処理回路(18)と、
第1の地図データ、および前記第1の地図データを利用するための第1のアプリケーションが共に記録された第1の外部記憶媒体(20)と、第2の地図データおよび前記第2の地図データを利用するための第2のアプリケーションが共に記録された第2の外部記憶媒体(21)と、が取り替え可能に接続され、接続された外部記憶媒体中のデータを読み出す読出装置(15)と、を備えた地図データ利用装置に用いるプログラムであって、
前記処理回路を、
前記読出装置に過去に接続された前記第1の外部記憶媒体から前記内部記憶媒体中に読み出され、前記内部記憶媒体中に現在保持されている前記第1のアプリケーションの、バージョンを確認する第1確認手段(135)、
前記読出装置に現在接続されている前記第2の外部記憶媒体に記録された前記第2の地図データのバージョンを確認する第2確認手段(140)、
前記第2の地図データのバージョンに適合するアプリケーションのバージョンを示す適合対応データに基づいて、前記第1のアプリケーションのバージョンが前記対応アプリバージョンに該当するか否かを判定する判定手段(145、150)、および
前記判定手段の判定結果が否定的であることに基づいて、前記第1のアプリケーションに代えて使用するものとして、前記第2の外部記憶媒体に記録された第2のアプリケーションを前記内部記憶媒体に読み出す変更手段(155)として機能させるプログラム。
【請求項5】
請求項3に記載の地図データ利用装置の前記読み取り装置に取り替え可能に接続可能な取替可能外部記憶媒体(20、21)に記録されるための外部記憶媒体用データであって、
地図データと、
前記地図データのバージョンと、
前記地図データを利用するためのアプリケーションと、
前記アプリケーションのバージョンと、
前記地図データおよび前記地図データよりも古いバージョンの地図データのそれぞれについての、当該データに適合するアプリケーションのバージョンを示す対応データと、を含み、
前記取替可能外部記憶媒体が前記第1の外部記憶媒体として前記地図データ利用装置の前記読取装置に読み取られる場合、前記アプリケーションのバージョンは、前記第1確認手段において前記第1のアプリケーションのバージョンとして用いられ、
前記取替可能外部記憶媒体が前記第2の外部記憶媒体として前記地図データ利用装置の前記読取装置に読み取られる場合、前記地図データのバージョンは、前記地図データ利用装置の前記第2確認手段において前記第2の地図データのバージョンとして用いられ、
前記取替可能外部記憶媒体が前記第1の外部記憶媒体として前記地図データ利用装置の前記読取装置に読み取られる場合、前記対応データは、前記第1の対応データとして用いられ、
前記取替可能外部記憶媒体が前記第2の外部記憶媒体として前記地図データ利用装置の前記読取装置に読み取られる場合、前記対応データは、前記第2の対応データとして用いられることを特徴とする外部記憶媒体用データ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−140395(P2009−140395A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−318304(P2007−318304)
【出願日】平成19年12月10日(2007.12.10)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】