説明

地図データ接合装置およびナビゲーション装置

【課題】配信された地図データと予め記憶された地図データとを接合し、接合された地図データを利用して最適な案内経路の探索および誘導案内を行うことができるナビゲーション装置を提供すること。
【解決手段】案内情報を記憶する案内情報記憶手段103と、配信情報および探索用データを記憶する配信情報記憶手段108と、案内情報および配信情報の何れの情報に基づいて案内経路の探索および誘導案内を行うかを判定する情報判定手段109と、車両の誘導案内に係る情報を処理する演算処理手段110とを備える構成とすることにより、隣接した地図データを接合させるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図データ接合装置およびナビゲーション装置に関し、さらに詳しくは、例えば、情報センタから配信される地図データと予め記憶された地図データとを接合する地図データ接合装置を備え、車両を出発地から目的地まで誘導案内するナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のナビゲーション装置としては、図18に示すようなものが知られている。図18に示されたナビゲーション装置10は、ユーザが情報を入力する入力部1と、車両の現在地を検出する現在地検出部2と、地図データを記憶する記憶部3と、情報センタに情報を要求する情報要求部4と、情報センタから配信された情報を受信する情報受信部5と、受信された情報を解析する解析部6と、車両の誘導案内に必要な処理を行う演算処理部7と、演算処理部7の処理情報に基づいて提示情報を作成する提示情報作成部8と、提示情報を提示する情報提示部9とを備えている。
【0003】
従来のナビゲーション装置10は、まず、入力部1により車両の目的地が入力され、現在地検出部2により車両の出発地が決定される。次いで、演算処理部7により、予め地図データが記憶された記憶部3から地図データが読み出される。さらに、情報要求部4により、車両の出発地から目的地までの案内経路に係る情報が要求される。そして、情報受信部5により、情報センタから案内経路に係る情報、例えば、最新の地図データが受信され、解析部6により情報が解析された後、演算処理部7に入力される。引き続き、演算処理部7により、記憶部3から読み出された地図データおよび情報受信部5により受信された地図データに基づいて車両の出発地から目的地までの案内経路が探索される。そして、提示情報作成部8により、案内経路に係る情報が作成され、情報提示部9により、案内経路に係る情報が提示されるとともに、演算処理部7により、案内経路が誘導案内される。
【0004】
以上のように、従来のナビゲーション装置10は、情報センタから配信された最新の地図データおよび記録部3に予め記憶された地図データに基づいて案内経路を探索することにより、車両の出発地から目的地までの誘導案内ができるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−41759号公報(第6−7頁、第2図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような従来のナビゲーション装置では、情報センタ等から配信された地図データとナビゲーション装置に予め記憶された地図データとの接合ができず、最適な案内経路の探索および誘導案内ができない場合があった。例えば、あるエリアの地図データが更新されたとき、このエリアの境界上における道路の位置データが更新前の位置データと一致しなくなる場合がある。したがって、更新された地図データが配信されたとき、更新された地図データのエリアとこのエリアに隣接した更新前の地図データのエリアとの境界における道路データの接合ができないので、更新された地図データが利用できず、最適な案内経路の探索および誘導案内ができないという問題があった。
【0006】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、配信された地図データと予め記憶された地図データとを接合することができる地図データ接合装置を提供するとともに、接合された地図データを利用して最適な案内経路の探索および誘導案内を行うことができるナビゲーション装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の地図データ接合装置は、道路網のリンクおよびノードを含む地図データを受信する地図データ受信手段と、前記地図データを記憶する地図データ記憶手段と、前記地図データ受信手段により第1のエリアの前記地図データが受信されたとき、前記第1のエリアと前記地図データ記憶手段により記憶された前記地図データに係る前記第1のエリアに隣接した第2のエリアとの境界上において、前記第1のエリアの前記地図データに含まれる前記境界上の前記ノードに接続された前記リンクと前記第2のエリアの前記地図データに含まれる前記境界上の前記ノードに接続された前記リンクとが接続できるか否かを判定する境界通過リンク接続判定手段とを備え、前記境界通過リンク接続判定手段の判定結果に基づいて前記第1のエリアの前記地図データと前記第2のエリアの前記地図データとを接合することを特徴とする構成を有している。
【0008】
この構成により、境界通過リンク接続判定手段は、第1のエリアと第1のエリアに隣接した第2のエリアとの境界上において、リンク同士が接続できるか否かを判定するので、配信された地図データと予め記憶された地図データとを接合することができる。
【0009】
また、本発明の地図データ接合装置は、前記地図データ受信手段により受信された前記第1のエリアの地図データに基づいて前記地図データ記憶手段に記憶された前記地図データに含まれる前記第1のエリアと同じエリアの前記地図データを更新する地図データ更新手段とを備えたことを特徴とする構成を有している。
【0010】
この構成により、地図データ更新手段は、配信された地図データに基づいて予め記憶された地図データを更新するので、最新の地図データを備えることができる。
【0011】
また、本発明の地図データ接合装置は、前記境界通過リンク接続判定手段は、前記第1のエリアの地図データに含まれる前記境界上の全ノードにそれぞれ接続された前記リンクと前記第2のエリアの地図データに含まれる前記境界上の全ノードにそれぞれ接続された前記リンクとが接続できるか否かを前記リンク毎に判定することを特徴とする構成を有している。
【0012】
この構成により、境界通過リンク接続判定手段は、エリアの境界上の全ノードにそれぞれ接続されたリンク同士が接続できるか否かを判定するので、エリアの境界上を通過する全リンクを接続することができる。
【0013】
本発明のナビゲーション装置は、道路網のリンクおよびノードを含む地図データを受信する地図データ受信手段と、前記地図データを記憶する地図データ記憶手段と、前記地図データ受信手段により第1のエリアの前記地図データが受信されたとき、前記第1のエリアと前記地図データ記憶手段により記憶された前記地図データに係る前記第1のエリアに隣接した第2のエリアとの境界上において、前記第1のエリアの前記地図データに含まれる前記境界上の前記ノードに接続された前記リンクと前記第2のエリアの前記地図データに含まれる前記境界上の前記ノードに接続された前記リンクとが接続できるか否かを判定する境界通過リンク接続判定手段とを有する地図データ接合装置と、車両の出発地から前記車両の目的地までの案内経路を探索する案内経路探索手段とを備え、前記案内経路探索手段は、前記地図データ接合装置により接合された地図データに基づいて前記案内経路を探索することを特徴とする構成を有している。
【0014】
この構成により、案内経路探索手段は、地図データ接合装置により接合された地図データに基づいて案内経路を探索するので、接合された最新の地図データを利用して最適な案内経路の探索および誘導案内を行うことができる。
【0015】
また、本発明のナビゲーション装置は、道路網のリンクおよびノードを含む地図データを受信する地図データ受信手段と、前記地図データを記憶する地図データ記憶手段と、前記地図データ受信手段により第1のエリアの前記地図データが受信されたとき、前記第1のエリアと前記地図データ記憶手段により記憶された前記地図データに係る前記第1のエリアに隣接した第2のエリアとの境界上において、前記第1のエリアの前記地図データに含まれる前記境界上の前記ノードに接続された前記リンクと前記第2のエリアの前記地図データに含まれる前記境界上の前記ノードに接続された前記リンクとが接続できるか否かを判定する境界通過リンク接続判定手段とを有する地図データ接合装置と、車両の現在位置を検出する車両位置検出手段を備え、前記境界通過リンク接続判定手段は、前記車両位置検出手段により検出された前記車両の前記現在位置から前記境界上の前記ノードまでの距離が距離閾値以内になったとき、前記第1のエリアの地図データに含まれる前記境界上の前記ノードに接続された前記リンクと前記第2のエリアの地図データに含まれる前記境界上の前記ノードに接続された前記リンクとが接続できるか否かを判定することを特徴とする構成を有している。
【0016】
この構成により、境界通過リンク接続判定手段は、車両の現在位置から境界上のノードまでの距離が距離閾値以内になったとき、境界上のリンク同士が接続できるか否かを判定するので、隣接境界において、現在位置を見失うことなく、自車位置の検出および案内経路の誘導を連続的に行うことができる。
【0017】
また、本発明のナビゲーション装置は、前記境界通過リンク接続判定手段は、前記第1のエリアの前記境界上に存在し前記案内経路探索手段により探索された前記ノードに接続された前記リンクと前記第2のエリアの前記境界上に存在し前記ノードに接続された前記リンクとが接続できるか否かを判定することを特徴とする構成を有している。
【0018】
この構成により、境界通過リンク接続判定手段は、境界上のノードに接続されたリンク同士が接続できるか否かを判定するので、地図データに隣接接合関係が記録されていなくても、最適な案内経路の探索および誘導案内を行うことができる。
【0019】
また、本発明のナビゲーション装置は、前記地図データ受信手段が、前記エリアの前記地図データを受信したときに、受信した前記エリアの前記地図データにより前記エリアにおける前記案内経路の探索データを作成する探索用データ作成手段を備え、前記案内経路探索手段は、前記探索用データ作成手段により作成された前記探索データにより前記案内経路を探索することを特徴とする構成を有している。
【0020】
この構成により、探索用データ作成手段は、受信したエリアの地図データによりエリアにおける案内経路の探索データを作成するので、最適な案内経路の探索および誘導案内を短時間で行うことができる。
【0021】
本発明の地図データ接合方法は、第1のエリアの地図データを受信する工程と、前記第1のエリアの地図データを地図データ記憶手段に記憶する工程と、前記第1のエリアと前記地図データ記憶手段に記憶された前記第1のエリアに隣接した第2のエリアとの境界上において、前記第1のエリアの地図データに含まれる前記境界上の前記ノードに接続された前記リンクと前記第2のエリアの地図データに含まれる前記境界上の前記ノードに接続された前記リンクとが接続できるか否かを判定する境界通過リンク接続判定工程を含むことを特徴とする方法を有している。
【0022】
この方法により、境界通過リンク接続判定工程において、受信した第1のエリアと予め記憶された第2のエリアとの境界上を通過するリンクが接続できるか否かが判定されることとなる。
【0023】
また、本発明の地図データ接合方法は、前記境界通過リンク接続判定工程において、前記第1のエリアと前記第2のエリアとの境界上の全ノードにそれぞれ接続された前記リンク同士が接続できるか否かを前記リンク毎に判定することを特徴とする方法を有している。
【0024】
この方法により、境界通過リンク接続判定工程において、境界上の全ノードにそれぞれ接続されたリンク同士が接続できるか否かが判定されることとなる。
【0025】
本発明のナビゲーション方法は、第1のエリアと第2のエリアとの境界上において、前記第1のエリアの地図データに含まれる前記境界上の前記ノードに接続された前記リンクと前記第2のエリアの地図データに含まれる前記境界上の前記ノードに接続された前記リンクとが接続できるか否かを判定する境界通過リンク接続判定工程と、前記接合された地図データに基づいて車両の出発地から前記車両の目的地までの案内経路を探索する案内経路探索工程とを含むことを特徴とする方法を有している。
【0026】
この方法により、案内経路探索工程において、接合した地図であっても境界通過リンク接続判定工程における判定結果に基づいて案内経路が探索されることとなる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、配信された地図データと予め記憶された地図データとを接合することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0029】
(第1の実施の形態)
まず、本発明の第1の実施の形態の地図データ接合装置を備えたナビゲーション装置の構成について説明する。
【0030】
図1に示すように、本実施の形態のナビゲーション装置100は、ユーザが車両の出発地および目的地等の情報を入力する入力手段101と、車両の現在位置を検出する車両位置検出手段102と、車両の出発地から目的地までの地図データを含む案内経路に係る案内情報を記憶する案内情報記憶手段103と、図示していない情報センタが配信する配信情報を情報センタに要求する配信情報要求手段104と、情報センタが配信する配信情報を受信する配信情報受信手段105と、配信情報受信手段105により受信された配信情報を解析する配信情報解析手段106と、案内情報記憶手段103に記憶された案内情報および配信情報解析手段106により解析された配信情報に基づいて案内経路の探索用データを作成する探索用データ作成手段107と、配信情報の解析結果および探索用データを記憶する配信情報記憶手段108と、案内情報記憶手段103に記憶された案内情報および配信情報記憶手段108に記憶された配信情報の何れの情報に基づいて案内経路の探索および誘導案内を行うかを判定する情報判定手段109と、車両の誘導案内に係る情報を処理する演算処理手段110と、演算処理手段110により処理された情報に基づいて提示情報を作成する提示情報作成手段111と、提示情報を提示する情報提示手段112とを備えている。
【0031】
入力手段101は、例えば、リモートコントローラ、タッチセンサ、キーボード、マウス等を備え、本装置のユーザは、入力手段101を操作することにより、車両の出発地および目的地の入力、メニュ画面から所望の項目の選択等が行えるようになっている。車両位置検出手段102は、例えば、GPS信号受信部、車速センサ、角速度センサ、絶対方位センサ等を備え、車両の現在位置を検出するようになっている。
【0032】
案内情報記憶手段103は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、半導体メモリ等を備え、交差点および道路の接続状況、座標、形状、属性、規制情報等の道路網に関する地図情報、地点設定を行うための索引情報等、ナビゲーションに必要となる各種情報を記憶するようになっている。
【0033】
配信情報要求手段104は、例えば、通信モジュールを備え、演算処理手段110の要求に応じて情報センタに配信情報を要求するようになっている。なお、配信情報とは、例えば、地図情報、POI情報、検索情報等をいう。POI(Place of Interest)情報とは、ユーザが関心を持っている観光地、ホテル、レストラン等の地点情報をいう。また、検索情報とは、案内経路に係る情報をユーザが検索するための情報、ユーザが検索した結果得られた情報等をいう。
【0034】
配信情報受信手段105は、例えば、チューナー、専用通信モジュール等を備え、情報センタから配信される配信情報を受信するようになっている。なお、配信情報要求手段104および配信情報受信手段105を携帯電話、無線機等と接続し、情報センタと通信するように構成してもよい。
【0035】
配信情報解析手段106は、例えば、CPU、RAM、ROM等を備え、配信情報受信手段105により受信された配信情報を解析するようになっている。例えば、受信された配信情報は、配信情報解析手段106により解析され、地図データ、地点データ、検索データ、POI情報等に分類される。
【0036】
探索用データ作成手段107は、案内情報記憶手段103に記憶された案内情報および受信した配信情報に基づいて案内経路の探索用データを作成するようになっている。配信情報記憶手段108は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、半導体メモリ等を備え、配信情報の解析結果および探索用データを記憶するようになっている。
【0037】
情報判定手段109は、演算処理手段110からの要求に応じて、案内情報記憶手段103に記憶された案内情報および配信情報記憶手段108に記憶された配信情報の何れの情報を利用するかを判定するようになっている。例えば、情報判定手段109は、演算処理手段110から地図データの要求があったとき、案内情報記憶手段103により記憶された地図データおよび配信情報記憶手段108により記憶された配信情報に含まれる地図データの何れの地図データを利用するかを判定するようになっている。
【0038】
演算処理手段110は、CPU、RAM、ROM等により構成され、車両の誘導案内に係る情報を処理するようになっている。例えば、車両位置検出手段102により検出された車両の現在位置情報に基づき現在位置を特定する処理、車両の出発地から目的地まで車両を案内する案内経路の探索処理および誘導案内処理、ユーザにより入力手段101に入力された情報に基づく検索結果のデータ処理および所望のエリアの地図データ取得処理、配信情報要求手段104を介して最新の経路情報および地図データ等を取得する処理等を行うようになっている。
【0039】
提示情報作成手段111は、CPU、RAM、ROM等により構成され、演算処理手段110により処理された情報に基づいて情報提示手段112に提示する提示情報を作成するようになっている。情報提示手段112は、例えば、液晶ディスプレイ、スピーカ等を備え、車両の現在位置の提示、案内経路の提示および音声案内、検索情報の提示等を行うようになっている。
【0040】
次に、演算処理手段110の構成について、図2を参照して説明する。
【0041】
図2において、本実施の形態の演算処理手段110は、ユーザが入力した情報等に応じた処理を選択する処理選択部201と、POI情報および検索情報等を取得する情報取得部202と、地図情報を取得する地図情報取得部203と、車両の現在位置を計算する位置計算部204と、案内経路を選出する経路選出部205と、案内経路を誘導案内する経路誘導部206と、出力情報を生成する出力情報生成部207と、隣接したエリアの境界上の全ノードにそれぞれ接続されたリンクが接続できるか否かを全ノードについて判定する全ノード隣接接続判定部208とを備えている。
【0042】
処理選択部201は、入力手段101によりユーザが入力した情報等に応じて、例えば、車両の位置検出、案内経路の探索、案内経路の誘導案内、地図の表示、各種情報検索、情報要求等の処理の内、何れの処理を実行するかを選択するようになっている。情報取得部202は、案内情報記憶手段103または配信情報記憶手段108より得られる地図データ以外の各種情報、例えば、POI情報、検索情報等を取得するようになっている。地図情報取得部203は、案内情報記憶手段103または配信情報記憶手段108に記憶された地図情報のうち、情報判定手段109で決定した利用すべき地図情報を取得するようになっている。なお、地図情報取得部203は、情報判定手段109を介さず、案内情報記憶手段103または配信情報記憶手段108に記憶された地図情報を取得するようにしてもよい。
【0043】
位置計算部204は、車両位置検出手段102により検出された刻々と変化する車両位置に関する情報、例えば、車両の走行方向の変化角、車両の走行距離、絶対位置等の情報を入手し、地図情報取得部203により取得された地図情報に基づいて車両の現在位置を計算するようになっている。なお、絶対位置とは、例えば、GPS衛星の信号に基づいて算出された緯度、経度、高度等の位置データをいう。
【0044】
経路選出部205は、地図情報取得部203により取得された地図情報に基づき、A*(エー・スター)法、ダイクストラ法等の経路探索手法により、車両を出発地から目的地まで案内する経路の内、経路上のコストが最小になる案内経路を選出するようになっている。なお、車両の出発地は、位置計算部204により計算された現在位置としてもよい。また、車両の出発地および目的地をPOI情報等の検索結果に基づいた位置情報により決定するよう構成してもよい。さらに、複数の案内経路を求めるようにしてもよい。
【0045】
経路誘導部206は、経路選出部205により選出された案内経路、地図情報取得部203により取得された地図情報、および位置計算部204で計算された現在位置情報等により、車両の出発地から目的地までの案内経路を画像および音声等で案内するようになっている。
【0046】
出力情報生成部207は、ユーザにより選択された処理に従って最適な出力情報を生成するようになっている。例えば、ユーザが入力手段101により特定エリアの地図データの取得を要求したとき、出力情報生成部207は、該当エリアの地図情報の要求信号を生成し、この要求信号を配信情報要求手段104に送出するようになっている。また、ユーザが入力手段101により案内経路の誘導案内を要求したとき、出力情報生成部207は、案内経路の走行に係る誘導案内情報を経路誘導部206より取得し、提示情報作成手段111に提示するようになっている。
【0047】
全ノード隣接接続判定部208は、地図情報取得部203により第1のエリアの地図情報が取得されたとき、第1のエリアと案内情報記憶手段103により記憶された地図データに係る第1のエリアに隣接した第2のエリアとの境界上において、第1のエリアの地図データに含まれる境界上の全ノードにそれぞれ接続されたリンクと第2のエリアの地図データに含まれる境界上の全ノードにそれぞれ接続されたリンクとが接続できるか否かをリンク毎に判定するようになっている。
【0048】
ここで、図3を参照して、隣接した2つのエリアにおけるノードおよびリンクについて説明する。図3において、第1のエリア301と第1のエリア301に隣接した第2のエリア311とが示されている。第1のエリア301には、第1のエリア301と第2のエリア311との境界上にあるノードA302およびノードB303と、ノードA302に接続されたリンクA304と、ノードB303に接続されたリンクB305とが示されている。
【0049】
一方、第2のエリア311には、第2のエリア311と第1のエリア301との境界上にあるノードC312およびノードD313と、ノードC312に接続されたリンクC314と、ノードD313に接続されたリンクD315とが示されている。前述の全ノード隣接接続判定部208は、第1のエリア301と第2のエリア311との境界上にある全ノード、すなわち、ノードA302、ノードB303、ノードC312、およびノードD313にそれぞれ接続された、リンクA304とリンクC314、また、リンクB305とリンクD315とが接続できるか否かをリンク毎に判定することとなる。
【0050】
なお、エリアの境界上にあるノードは、以下、「隣接ノード」と呼ぶ。また、地図データに含まれる各ノードが隣接ノードであるか否かは、例えば、予めノード属性の一部として隣接ノードかどうかをフラグ情報で記録したリスト、または、予め隣接ノードをリストアップした一覧リスト等により判定することができる。
【0051】
また、配信情報受信手段105、経路選出部205、および全ノード隣接接続判定部208は、それぞれ、地図データ受信手段、案内経路探索手段、および境界通過リンク接続判定手段を構成している。また、案内情報記憶手段103および配信情報記憶手段108は、地図データ記憶手段を構成している。
【0052】
次に、本実施の形態のナビゲーション装置100の動作について説明する。
【0053】
図4において、まず、ユーザが入力手段101を操作することにより、車両の出発地および目的地が入力される(ステップS401)。次いで、演算処理手段110の情報取得部202および地図情報取得部203により、車両を出発地から目的地まで案内する地図情報が情報判定手段109から読み出され取得される(ステップS402)。ここで、地図情報取得部203は、案内情報記憶手段103および配信情報記憶手段108に記憶された案内情報の内、新しい案内情報を取得する。なお、情報センタから配信された配信情報が配信情報記憶手段108に記憶されるステップについては後述する。引き続き、演算処理手段110の経路選出部205により、案内経路が探索される(ステップS403)。そして、演算処理手段110の経路誘導部206により、車両の出発地から目的地までの案内経路の誘導案内が行われる(ステップS404)。
【0054】
次に、図5を参照して、本実施の形態のナビゲーション装置100が情報センタから配信される配信情報を要求してから配信情報記憶手段108に記憶するまでのステップを説明する。
【0055】
図5において、まず、配信情報要求手段104により、配信情報が要求される(ステップS501)。次いで、配信情報受信手段105により、情報センタから配信された配信情報が受信される(ステップS502)。引き続き、配信情報解析手段106により、配信情報受信手段105により受信された配信情報が解析される(ステップS503)。さらに、探索用データ作成手段107により、案内経路の探索時に参照される探索用データが作成される(ステップS504)。そして、配信情報記憶手段108により、解析された配信情報および探索用データが記憶される(ステップS505)。
【0056】
なお、前述の図4に示されたステップS402において、配信情報記憶手段108から配信情報に含まれる地図情報を取得するときに、上記のステップS501からステップS505までのステップを実行するよう構成してもよいし、情報センタから随時、または、定期的に配信情報を受信し、上記ステップS501からステップS505までのステップを実行するよう構成してもよい。また、案内情報記憶手段103に記憶されている案内情報を参照し、この案内情報よりも新しい案内情報を配信情報受信手段105により受信し、配信情報記憶手段108に記憶するように構成してもよい。
【0057】
次に、全ノード隣接接続判定部208によって実行される全ノード隣接接続判定処理について、図6を参照して説明する。
【0058】
図6において、まず、取得した地図データのエリア内に関して、ノード属性および座標情報からエリアの境界上にある全ての隣接ノードが検出され、対象候補ノードとされる(ステップS601)。次いで、対象候補ノードの内、未選択のものがひとつ選択される(ステップS602)。さらに、選択された隣接ノードに接続しているリンクが探索対象であるか否かが判定される(ステップS603)。ステップS603において、選択された隣接ノードに接続しているリンクが探索対象であると判定された場合は、後述の特定ノード隣接接続判定処理が実行され(ステップS604)、選択された隣接ノードに関しての隣接接続情報が求められる。
【0059】
一方、ステップS603において、選択された隣接ノードに接続しているリンクが探索対象であると判定されなかった場合は、選択されていない対象候補となる隣接ノードが存在する否かが判定される(ステップS605)。
【0060】
ステップS605において、選択されていない隣接ノードが存在すると判定された場合は、ステップS602に戻る。一方、ステップS605において、選択されていない隣接ノードが存在すると判定されなかった場合は、全ノード隣接接続判定処理を終了する。
【0061】
次に、前述のステップS604における特定ノード隣接接続判定処理について、図7を参照して説明する。
【0062】
図7において、まず、特定の隣接ノードから距離α(例えばα=50m)となる領域が決定され、この領域に含まれる範囲が特定される(ステップS701)。次いで、未選択の隣接範囲が選択される(ステップS702)。ここで、未選択の隣接範囲を含む地図データがメモリ上にないときは、該当する地図データが取得される。さらに、選択された隣接範囲内に特定の隣接ノードから距離α以下となる隣接ノードがあるか否かが判定される(ステップS703)。ステップS703において、該当する隣接ノードが存在すると判定された場合は、隣接候補ノードとされる(ステップS704)。
【0063】
一方、ステップS703において、該当する隣接ノードが存在すると判定されなかった場合は、未選択の隣接範囲が存在するか否かが判定される(ステップS705)。ステップS705において、未選択の隣接範囲が存在すると判定された場合は、ステップS702に戻り、未選択の隣接範囲が存在すると判定されなかった場合は、複数の隣接候補ノードから接続されている可能性が高いノードが選択される隣接接続判定処理を実行し(ステップS706)、特定ノード隣接接続判定処理を終了する。
【0064】
次に、前述のステップS706における隣接接続判定処理について、図8を参照して説明する。
【0065】
図8において、まず、隣接候補ノードが存在するか否かが判定され(ステップS801)、隣接候補ノードが存在すると判定されなかった場合は接続できないと判定され(ステップS810)、隣接接続判定処理を終了する。一方、隣接候補ノードが存在すると判定された場合は、境界前後で道路種別、例えば、高速道、国道、県道等の種別が一致するか否かが判断される(ステップS802)。
【0066】
ステップS802において、道路種別が一致すると判定されなかった場合は、前述のステップS810の処理後、隣接接続判定処理を終了する。一方、道路種別が一致すると判定された場合は、相手側の隣接ノードが一意に特定できるか否かが判定される(ステップS803)。
【0067】
ステップS803において、相手側の隣接ノードが一意に特定できると判定された場合は、該当の隣接ノードの接続されたリンク同士は接続できると判定されるとともに、この隣接接続関係が記録され(ステップS811)、隣接接続判定処理を終了する。一方、ステップS803において、相手側の隣接ノードが一意に特定できると判定されなかった場合は、境界前後でリンク種別、例えば、本線、側道、ジャンクション等の種別が一致するか否かが判定される(ステップS804)。
【0068】
ステップS804において、リンク種別が一致すると判定されなかった場合は、前述のステップS810の処理後、隣接接続判定処理を終了する。一方、ステップS804において、リンク種別が一致すると判定された場合は、相手側の隣接ノードが一意に特定できるか否かが判定される(ステップS805)。
【0069】
ステップS805において、相手側の隣接ノードが一意に特定できると判定された場合は、前述のステップS811の処理後、隣接接続判定処理を終了する。一方、ステップS805において、相手側の隣接ノードが一意に特定できると判定されなかった場合は、境界前後で一方通行情報が一致するか否かが判定される(ステップS806)。
【0070】
ステップS806において、一方通行情報が一致すると判定されなかった場合は、前述のステップS810の処理後、隣接接続判定処理を終了する。一方、ステップS806において、一方通行情報が一致すると判定された場合は、相手側の隣接ノードが一意に特定できるか否かが判定される(ステップS807)。
【0071】
ステップS807において、相手側の隣接ノードが一意に特定できると判定された場合は、前述のステップS811の処理後、隣接接続判定処理を終了する。一方、ステップS807において、相手側の隣接ノードが一意に特定できると判定されなかった場合は、境界前後でリンクの角度差がβ以下(例えばβ=10度)であるか否かが判定される(ステップS808)。
【0072】
ステップS808において、リンクの角度差がβ以下であると判定されなかった場合は、前述のステップS810の処理後、隣接接続判定処理を終了する。一方、ステップS808において、リンクの角度差がβ以下であると判定された場合は、相手側の隣接ノードが一意に特定できるか否かが判定される(ステップS809)。
【0073】
ステップS809において、相手側の隣接ノードが一意に特定できると判定された場合は、前述のステップS811の処理後、隣接接続判定処理を終了する。一方、ステップS809において、相手側の隣接ノードが一意に特定できると判定されなかった場合は、前述のステップS810の処理後、隣接接続判定処理を終了する。
【0074】
以上説明したように、全ノード隣接接続判定部208により、配信情報受信手段105を介して受信された地図データのエリアと案内情報記憶手段103に予め記憶された地図データのエリアとの境界上における隣接ノードに接続されたリンクがそれぞれ接続できるか否かが判定される。
【0075】
次に、探索用データ作成手段107について詳細に説明する。探索用データ作成手段107は、案内経路の探索の高速化を実現するため、配信された地図データに基づき、より巨視的に、より広い道路網のデータを作成する処理を行うようになっている。なお、以下の説明においては、理解の便宜上、1階層の地図データを対象とし、主要道路以上の道路のみ記録して探索用データを作成することを想定している。この地図データの階層は、複数の階層で作成する構成にしてもよい。
【0076】
図9は、探索用データ作成手段107により作成された探索用データの一例を示しており、図9(a)は探索用データの作成範囲の一例、図9(b)は探索用データの管理情報の一例、図9(c)は探索用データの構成データの一例を示している。
【0077】
図9(a)に示すように、本実施の形態においては、予め定められた範囲のエリアの地図ユニットを一定数、例えば、8×8ユニットにまとめた範囲を探索用データの作成範囲としており、図9(a)に示された探索用データ901は、行および列によって位置が示された地図ユニット(0,0)から地図ユニット(7,7)までの64個の地図ユニットにより構成されている。
【0078】
探索用データ901の情報は、図9(b)に示すような管理テーブルにより、地図ユニット毎に管理されている。各地図ユニットは、地図ユニット毎に予め定められた基準点の緯度、経度、先頭アドレス、ファイルサイズ等の情報が記録され管理されている。この情報を記録した一例を図9(c)に示す。図9(c)に示された探索用データは、少なくとも探索処理を実行するための最小限の道路網情報、例えば、ノード情報902、リンク情報903等の情報を含んでいる。図9(b)に示すように、各地図ユニットの情報が、探索用データ内の何処に記録されているか管理する管理情報を作成することにより、更新された地図ユニットが配信されたときに、配信された地図ユニット内のみ探索用データを作成し直し、元の探索用データの記録位置に埋め込むことができるので、探索用データを短時間で作成することができる。
【0079】
次に、探索用データ作成手段107の動作について、図10を参照して説明する。
【0080】
図10において、まず、更新された地図ユニットから未選択の地図ユニットが選択される(ステップS1001)。次いで、選択された地図ユニットを含む探索用データが読み込まれる(ステップS1002)。さらに、読み込まれた探索用データの内、該当地図ユニットに関する情報の記録領域がクリアされる(ステップS1003)。そして、該当地図ユニットに含まれる未選択のノードが選択され(ステップS1004)、記録対象ノードか否かを判定するため、後述の記録対象ノード判定処理を実行する(ステップS1005)。
【0081】
引き続き、選択されたノードが記録対象か否かが判定される(ステップS1006)。ステップS1006において、選択されたノードが記録対象と判定された場合は、選択されたノードが記録対象ノードとされて記録され(ステップS1007)、ノードが全て調査されたか否かが判定される(ステップS1008)。一方、ステップS1006において、選択されたノードが記録対象と判定されなかった場合は、前述のステップS1008に進む。
【0082】
ステップS1008において、ノードが全て調査されたと判定された場合は、未選択の記録対象ノードが選択される(ステップS1009)。ステップS1008において、ノードが全て調査されたと判定されなかった場合は、ステップS1004に戻る。
【0083】
続いて、後述のデータ生成処理が実行され(ステップS1010)、探索用データが作成される。そして、記録対象ノードが全て調査されたか否かが判定され(ステップS1011)、記録対象ノードが全て調査されたと判定された場合は、探索用データ作成処理を終了し、記録対象ノードが全て調査されたと判定されなかった場合は、ステップS1009に戻る。なお、更新された地図が複数の場合は、図10の処理を繰り返せばよい。また、地図のバージョンが同一の地図に対して実施してもよい。
【0084】
次に、前述のステップS1005における記録対象ノード判定処理について、図11を参照して説明する。
【0085】
図11において、まず、選択されたノードが隣接ノードか否かが判定される(ステップS1101)。ステップS1101において、選択されたノードが隣接ノードと判定された場合は、当該隣接ノードに接続されるリンクが選択され(ステップS1111)、選択された接続リンクが記録対象か否か判定される(ステップS1112)。なお、本実施例においては、前述のように道路種別が主要道以上の道路を記録対象としている。
【0086】
ステップS1112において、選択された接続リンクが記録対象と判定された場合は、記録対象と判定され、記録対象リンク数が記録され(ステップS1110)、記録対象ノード判定処理を終了する。一方、ステップS1112において、選択された接続リンクが記録対象と判定されなかった場合は、記録対象外と判定され(ステップS1113)、記録対象ノード判定処理を終了する。
【0087】
ステップS1101において、選択されたノードが隣接ノードと判定されなかった場合は、記録対象リンク数が初期化される(ステップS1102)。次いで、選択されたノードに接続しているリンクの内、未選択のものが選択される(ステップS1103)。さらに、選択された接続リンクが記録対象か否かが判定され(ステップS1104)、選択された接続リンクが記録対象と判定された場合は、記録対象リンク数がひとつインクリメントされ(ステップS1105)、選択されたノードに接続しているリンクが全て調査されたか否かが判定される(ステップS1106)。前述のステップS1104において、選択された接続リンクが記録対象と判定されなかった場合は、ステップS1106に進む。
【0088】
ステップS1106において、選択されたノードに接続しているリンクが全て調査されたと判定された場合は、記録対象リンク数が0本か否かが判定される(ステップS1107)。一方、ステップS1106において、選択されたノードに接続しているリンクが全て調査されたと判定されなかった場合は、ステップS1103に戻る。
【0089】
ステップS1107において、記録対象リンク数が0本と判定された場合は、前述のステップS1113の処理後、記録対象ノード判定処理を終了する。一方、ステップS1107において、記録対象リンク数が0本と判定されなかった場合は、記録対象リンク数が2本か否かが判定される(ステップS1108)。
【0090】
ステップS1108において、記録対象リンク数が2本と判定されなかった場合は、前述のステップS1110に進み、記録対象と判定して記録対象リンク数を記録した後、記録対象ノード判定処理を終了する。一方、ステップS1108において、記録対象リンク数が2本と判定された場合は、2本の記録対象リンクのリンク属性が同一か否かが判定される(ステップS1109)。
【0091】
ステップS1109において、2本の記録対象リンクのリンク属性が同一と判定された場合は、前述のステップS1113の処理後、記録対象ノード判定処理を終了する。一方、ステップS1109において、2本の記録対象リンクのリンク属性が同一と判定されなかった場合は、属性変化点と判定され、ステップS1110の処理後、記録対象ノード判定処理を終了する。なお、ステップS1109の処理により、単純な2差路ノードが削減できるので、探索対象となるリンク数自体も削減することができる。
【0092】
次に、図10に示されたステップS1010におけるデータ生成処理について、図12を参照して説明する。
【0093】
図12において、まず、選択されたノードが隣接ノードか否かが判定される(ステップS1201)。ステップS1201において、選択されたノードが隣接ノードと判定された場合は、後述の境界接続データ生成処理を実行し(ステップS1202)、選択ノードに接続された未選択の記録対象リンクが選択される(ステップS1203)。なお、境界接続データ生成処理とは、探索時に隣接ノードの接続判定を高速化するため、予め隣接接続関係を示すデータを作成する処理をいう。一方、ステップS1201において、選択されたノードが隣接ノードと判定されなかった場合は、ステップS1203に進む。
【0094】
引き続き、リンク属性が累積され、新たなリンク属性が生成される(ステップS1204)。例えば、今までのリンク属性の累積リンク長が90で、選択した記録対象リンクのリンク長が10であれば、新たなリンク属性の累積リンク長は100となる。次いで、記録対象リンクの相手側ノードが取得され(ステップS1205)、相手側ノードが記録対象ノードか否かが判定される(ステップS1206)。
【0095】
ステップS1206において、相手側ノードが記録対象ノードと判定されなかった場合は、ノード属性から新たなリンク属性が生成される(ステップS1207)。例えば、ノード通行規制、右左折コスト等のノードコストの内容がリンク属性に反映される。次いで、相手側ノードが基点とされ、もう一方の記録対象リンクが選択され(ステップS1208)、ステップS1204に戻る。
【0096】
一方、ステップS1206において、相手側ノードが記録対象ノードと判定された場合は、当該選択ノードと相手側ノード間とのリンク属性として、新たなリンク属性が記録される(ステップS1209)。そして、未選択の記録対象リンクがあるか否かが判定され(ステップS1210)、未選択の記録対象リンクがあると判断された場合は、ステップS1203に戻り、未選択の記録対象リンクがあると判断されなかった場合は、データ生成処理を終了する。
【0097】
以上説明したように、探索用データ作成手段107により、広範囲の探索用データを作成し、隣接地図データを取得する際に当該探索用データを参照することにより、探索する対象リンクを削減できるので、探索時間を短縮することができる。
【0098】
次に、前述のステップS1202における境界接続データ生成処理について詳述する。本処理により、探索時に隣接ノードの接続判定を高速化することができる隣接関係を表すデータが作成される。
【0099】
図13において、まず、探索用データ同士の境界か否かが判定される(ステップS1301)。ステップS1301において、探索用データ同士の境界と判定されなかった場合は、隣接範囲が同じ探索用データ内の隣接地図レコードとされ(ステップS1305)、前述の特定ノード隣接接続判定処理を実行し(ステップS1306)、境界接続データ生成処理を終了する。本処理により、探索用データ内部の隣接関係の対応関係を表すリストが作成されることとなり、図14を参照して説明する。
【0100】
図14(a)は、探索用データA1401と探索用データB1402との境界接続データの一例を示している。探索用データA1401および探索用データB1402は、行および列によって位置が示された地図ユニット(0,0)から地図ユニット(7,7)までの64個の地図ユニットにより構成されており、探索用データA1401の地図ユニット(7,4)の境界上にあるノードA1403と、探索用データB1402の地図ユニット(0,4)の境界上にあるノードB1404と、探索用データB1402の地図ユニット(5,2)の境界上にあるノードC1405と、探索用データB1402の地図ユニット(6,2)の境界上にあるノードD1406とが示されている。図14(b)は、探索用データA1401および探索用データB1402の環境接続データを示している。前述のステップS1305およびステップS1306において作成されデータは、図14(b)に示されたノードC1405とノードD1406との関係を表した情報のように、同一の探索用データ内部における接続関係を表したデータである。
【0101】
図13に示されたステップS1301において、探索用データ同士の境界と判定された場合は、隣接範囲が隣接地図データとされ(ステップS1302)、前述の特定ノード隣接接続判定処理が実行される(ステップS1303)。本処理により、地図データと探索用データとの隣接関係の対応関係を表すリストが作成されることとなり、図15を参照して説明する。
【0102】
図15(a)は、地図データ群C1501に含まれる地図データ(7,4)と探索用データD1502との境界接続データの一例を示している。地図データ群C1501は、行および列によって位置が示された地図データ(0,0)から地図データ(7,7)までの64個の地図データにより構成されている。また、探索用データD1502は、行および列によって位置が示された地図ユニット(0,0)から地図ユニット(7,7)までの64個の地図ユニットにより構成されている。ここで、探索用データDに記録される道路網は、地図データ群Cに記録された道路図のうち、主要なもののみで構成されている。
【0103】
図15(a)には、地図データ群C1501に含まれる地図データ(7,4)の境界上にあるノードE1503と、探索用データD1502の地図ユニット(0,4)の境界上にあるノードF1504とが示されている。図15(b)は、地図データ群C1501に含まれる地図データ(7,4)および探索用データD1502の環境接続データを示している。前述のステップS1302およびステップS1303において作成されデータは、図15(b)に示されたノードE1503とノードF1504との関係を表した情報のように、地図データと探索用データとの接続関係を表したデータである。
【0104】
引き続き、隣接範囲が隣接探索用データとされ(ステップS1304)、前述の特定ノード隣接接続判定処理が実行され(ステップS1306)、境界接続データ生成処理を終了する。本処理により、探索用データ同士の隣接関係の対応関係を記述するリストが作成されることとなる。上記のステップで作成されデータは、図14(b)に示されたノードA1403とノードB1404との関係を表した情報のように探索用データ同士の接続関係を表したデータである。
【0105】
なお、図14(b)および図15(b)に示された境界接続データは、一方からの接続関係、例えば、ノードA1403からノードB1404の方向だけでなく、逆方向の接続関係であるノードB1404からノードA1403の方向を記録するようにしてもよいし、双方からの接続関係を記録してもよい。また、記録する情報は、ノードが特定できればどのような内容でもよい。また、図14(b)の場合、同一探索用データ内の境界接続データと隣接する探索用データ間の境界接続データとを分けて記録してもよい。さらに、ノードが属する地図毎に分けて記録してもよい。
【0106】
以上のように、本実施の形態のナビゲーション装置によれば、全ノード隣接接続判定部208により、境界上に存在する全ノードにそれぞれ接続されたリンク同士が接続できるか否か判定する構成としたので、この判定結果に基づいて隣接した地図データを接続することができ、接続された地図データにより、最適な案内経路の探索および誘導案内を行うことができる。
【0107】
(第2の実施の形態)
まず、本発明の第2の実施の形態の地図データ接合装置を備えたナビゲーション装置の構成について説明する。図16に示すように、本実施の形態のナビゲーション装置1600は、ユーザが車両の出発地および目的地等の情報を入力する入力手段1601と、車両の現在位置を検出する車両位置検出手段1602と、図示していない情報センタが配信する配信情報を情報センタに要求する配信情報要求手段1603と、情報センタが配信する配信情報を受信する配信情報受信手段1604と、配信情報受信手段1604により受信された配信情報を解析する配信情報解析手段1605と、配信情報解析手段1605により解析された配信情報および後述の案内情報記憶手段1608に記憶された案内情報に基づいて案内経路の探索用データを作成する探索用データ作成手段1606と、配信情報解析手段1605により解析された配信情報に基づいて案内情報記憶手段1608に記憶された案内情報を更新する案内情報更新手段1607と、配信情報の解析結果および探索用データを記憶する案内情報記憶手段1608と、車両の誘導案内に係る情報を処理する演算処理手段1609と、演算処理手段1609により処理された情報に基づいて提示情報を作成する提示情報作成手段1610と、提示情報を提示する情報提示手段1611とを備えている。
【0108】
以下の構成の説明において、本発明の第1の実施の形態のナビゲーション装置100と同じ構成については、その説明を省略する。
【0109】
案内情報更新手段1607は、CPU、RAM、ROM等で構成され、案内情報記憶手段1608に記憶された案内情報を更新するようになっている。例えば、配信情報受信手段1604により、あるエリアの地図データが受信されたとき、この地図データが案内情報記憶手段1608に記憶された該当エリアの地図データよりも新しいときは、案内情報更新手段1607により、案内情報記憶手段1608に記憶された該当地図データが更新される。なお、案内情報更新手段1607は、地図データ更新手段を構成している。
【0110】
案内情報記憶手段1608は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、半導体メモリ等を備え、交差点および道路の接続状況、座標、形状、属性、規制情報等の道路網に関する地図情報、地点設定を行うための索引情報等、ナビゲーションに必要となる各種情報を記憶するようになっている。また、探索用データ作成手段1606により作成された探索用データが記憶されるようになっている。
【0111】
前述したように、本発明の第1の実施の形態のナビゲーション装置100においては、受信された配信情報は配信情報記憶手段108に記憶され、この情報と案内情報記憶手段103に記憶された情報との何れを利用するかを情報判定手段109により判定していたのに対し、本発明の第2の実施の形態のナビゲーション装置1600においては、受信された配信情報は、案内情報記憶手段1608に記憶される構成としている点が異なっている。すなわち、本発明の第2の実施の形態のナビゲーション装置1600においては、案内情報記憶手段1608により、最新の配信情報が案内情報として記憶されており、演算処理手段1609は、案内情報記憶手段1608により記憶された案内情報に基づいて案内経路の探索処理および誘導案内処理等を実行するようになっている。
【0112】
次に、演算処理手段1609の構成について、図17を参照して説明する。
【0113】
図17において、本実施の形態の演算処理手段1609は、本発明の第1の実施の形態のナビゲーション装置100が備えた演算処理手段110の全ノード隣接接続判定部208に代えて特定ノード隣接接続判定部1708を備えている。したがって、特定ノード隣接接続判定部1708の構成を説明し、その他の構成の説明は省略する。
【0114】
前述したように、本発明の第1の実施の形態のナビゲーション装置100が備えた全ノード隣接接続判定部208は、地図情報取得部203により地図情報が取得された場合、エリアの隣接境界部を通過するリンクに関して隣接地図と接続しているか否かを全ての境界通過リンクについて判定していたのに対し、本実施の形態では、特定ノード隣接接続判定部1708により、経路探索および車両の現在位置の計算時等に必要となった場合に、個別の特定ノードに関して、隣接地図データと接続しているか否かを判定するようにしている点が異なっている。例えば、予め距離閾値を設定しておき、車両の現在位置から走行中のエリアの境界上にあるノードまでの距離が距離閾値以内になったとき、特定ノード隣接接続判定部1708により、走行中のエリアと走行中のエリアに隣接したエリアとの接続関係を判定するようになっている。
【0115】
なお、本発明の第2の実施の形態のナビゲーション装置1600の動作は、本発明の第1の実施の形態のナビゲーション装置100の動作において説明した図4に示されたステップと同じである。また、情報センタから配信された配信情報を受信してから記憶するまでのステップは、図5に示されたステップS503に続いて、案内情報更新手段1607による配信情報の更新ステップが実行される点が異なる。この配信情報の更新ステップは、案内情報更新手段1607により、配信された配信情報が案内情報記憶手段1608に記憶された情報よりも新しいときに更新されるものである。また、特定ノード隣接接続判定部1708による処理は、前述の図7に示された特定ノード隣接接続判定処理を示すフローチャートと同一であるので、その説明は省略する。
【0116】
以上のように、本実施の形態のナビゲーション装置によれば、特定ノード隣接接続判定部1708により、境界上に存在する特定ノードにそれぞれ接続されたリンク同士が接続できるか否か判定する構成としたので、この判定結果に基づいて隣接した地図データを接続することができ、接続された地図データにより、最適な案内経路の探索および誘導案内を行うことができる。
【0117】
なお、上述した本発明の第1および第2の実施の形態のナビゲーション装置に備えられた各手段および各部は、ハードウェアによる構成でもよいし、マイクロコンピュータのマルチタスク等のプログラム処理の結果としての構成でもよい。
【0118】
また、前述の各ステップの処理をプログラミングし、このプログラムをフロッピー(登録商標)ディスク等の記憶媒体に記憶させて移送することにより、独立した他のコンピュータシステムで容易に実施することができる。この場合、記憶媒体は、フロッピー(登録商標)ディスクに限らず、光ディスク、ICカード、ROMカセット等、プログラムを記憶できるものであればよい。
【0119】
また、本発明の第1の実施の形態における演算処理手段110と本発明の第2の実施の形態における演算処理手段1609とを入れ替えた構成としてもよい。
【0120】
また、情報センタが配信情報を配信する形態には、ユーザの要求により配信情報が配信される通信型配信と、ユーザの要求の有無に関わらず常に配信している放送型配信があり、本発明のナビゲーション装置は、何れの配信形態にも対応するものである。
【図面の簡単な説明】
【0121】
【図1】本発明の第1の実施の形態の地図データ接合装置を備えたナビゲーション装置のブロック図
【図2】本発明の第1の実施の形態の演算処理手段のブロック図
【図3】隣接した2つのエリアにおけるノードおよびリンクの説明図
【図4】本発明の第1の実施の形態の地図データ接合装置を備えたナビゲーション装置の各ステップのフローチャート
【図5】本発明の第1の実施の形態の地図データ接合装置を備えたナビゲーション装置が配信情報を要求してから記憶するまでのステップのフローチャート
【図6】全ノード隣接接続判定処理のフローチャート
【図7】特定ノード隣接接続判定処理のフローチャート
【図8】隣接接続判定処理のフローチャート
【図9】(a)探索用データの作成範囲の一例を示す図 (b)探索用データの管理情報の一例を示す図 (c)探索用データの構成の一例を示す図
【図10】探索用データ作成処理のフローチャート
【図11】記録対象ノード判定処理のフローチャート
【図12】データ生成処理のフローチャート
【図13】境界接続データ生成処理のフローチャート
【図14】(a)探索用データAおよび探索用データBの接続関係の一例を示す図 (b)隣接元ノードおよび隣接先ノードとの関係情報の一例を示す図
【図15】(a)地図データCおよび探索用データDの接続関係の一例を示す図 (b)隣接元ノードおよび隣接先ノードとの関係情報の一例を示す図
【図16】本発明の第2の実施の形態の地図データ接合装置を備えたナビゲーション装置のブロック図
【図17】本発明の第2の実施の形態の演算処理手段のブロック図
【図18】従来のナビゲーション装置のブロック図
【符号の説明】
【0122】
100、1600 ナビゲーション装置
101、1601 入力手段
102、1602 車両位置検出手段
103、1608 案内情報記憶手段
104、1603 配信情報要求手段
105、1604 配信情報受信手段
106、1605 配信情報解析手段
107、1606 探索用データ作成手段
108 配信情報記憶手段
109 情報判定手段
110、1609 演算処理手段
111、1610 提示情報作成手段
112、1611 情報提示手段
1401 探索用データA
1402 探索用データB
1403 ノードA
1404 ノードB
1405 ノードC
1406 ノードD
1501 地図データ群C
1502 探索用データD
1503 ノードE
1504 ノードF
1607 案内情報更新手段
1708 特定ノード隣接接続判定部
201 処理選択部
202 情報取得部
203 地図情報取得部
204 位置計算部
205 経路選出部
206 経路誘導部
207 出力情報生成部
208 全ノード隣接接続判定部
301 第1のエリア
302 ノードA
303 ノードB
304 リンクA
305 リンクB
311 第2のエリア
312 ノードC
313 ノードD
314 リンクC
315 リンクD
901 探索用データ
902 ノード情報
903 リンク情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図更新機能を有するナビゲーション装置であって、
配信された地図を用いてこの地図が対象とするエリアよりも広いエリアを対象とする広域道路網を作成する演算処理手段を備えるナビゲーション装置。
【請求項2】
前記演算処理手段は、地図に含まれる主要道路以上の道路のみを用いて広域道路網を作成することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記演算処理手段は、広域道路網において地図が属する位置を管理する管理情報を作成することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記演算処理手段は、属性が一致する2差路を除外して広域道路網を作成することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記演算処理手段は、広域道路網が地図を管理するための単位であるユニットを複数まとめた範囲で管理される場合、複数のユニットの一部のみが配信されたとき、この一部ユニットに相当する範囲でのみ広域道路網を作成し直すことを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
前記演算処理手段は、広域道路網間の接続関係を作成することを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項7】
地図更新機能を有するナビゲーション装置であって、
配信された地図とこの地図が対象とするエリアよりも広いエリアを対象とする広域道路網との接続関係を作成する演算処理手段を備えるナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2007−121311(P2007−121311A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−333135(P2006−333135)
【出願日】平成18年12月11日(2006.12.11)
【分割の表示】特願2003−38430(P2003−38430)の分割
【原出願日】平成15年2月17日(2003.2.17)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】