説明

地図データ表示装置、地図データ表示方法及びナビゲーション装置並びに地図データ表示プログラム

【課題】 地図の表示更新速度を向上でき、現実に近い地図表示を実現することができる地図データ表示装置を提供する。
【解決手段】 道幅、道路種別、道路ノード及び道路リンクで道路を表現する道路リンク情報を取得するデータ取得部4と、各道幅付き道路について隣り合う道幅付き道路との道路リンクに平行な線分間の交点を前記交差点ノードを含まぬように結んだ交点ポリゴン、及び、交差点ノードを交差する各道幅付き道路について隣り合う道幅付き道路との道路リンクに平行な線分間の交点を基点として交差点内の道路範囲を含まぬように端辺を設けた交差点外ポリゴンを生成するポリゴン生成部5と、ポリゴン生成部5が生成したポリゴンを用いて道路リンク情報により規定される道路の道路表示データを生成するポリゴン加工部6とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両等の道案内や渋滞予測等を地図と共に表示するカーナビゲーション装置などに適用される地図データ表示装置に係り、特に道路及びこれに付属する表示物を表示する地図データ表示装置、地図データ表示方法及びこの方法により地図表示を行うナビゲーション装置並びにこの地図データ表示装置としてコンピュータを機能させる地図データ表示プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のカーナビゲーション装置等の地図表示に用いられる地図データは、一般的に地図データ収集の困難さやメモリ容量の制限により、可能な限りデータ量が削減されていた。例えば、道路データを地図データとする場合、交差点や道路上の特に指定された点であるノード、ノード間の道路を指すリンク、道路の幅や種別が同一のリンクを集めたリンク列、道路の幅や種別等を識別するデータが設定され、道路を線で表示する情報のみが保持される。
【0003】
一方、近年のカーナビゲーション装置では、より現実に近い地図表示を実現するため、地図データとして、現実の写真を用いたり、道路に幅を持たせて表示するポリゴンデータを用いるものがある。しかしながら、地図データ収集の困難さやメモリ容量の制限により、現実の写真やポリゴンデータを用いるとしても地図中の限られた部分のみであり、他の大部分は道路を線で表示するデータのみとなっている。
【0004】
このような背景から、取得した地図データをより現実に近い地図表示に加工する地図データ処理装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に開示される地図データ処理装置では、道路リンクを取得した場合、リンクで表される線分に道幅をつけたポリゴンデータを生成して表示すべき地図データとする。生成したポリゴンデータを道路データとしてメモリ上に保持することで、表示処理の高速化を図ることができる。
【0005】
また、近年のナビゲーション装置では、提供するコンテンツの増加に伴って、案内表示を行う画面に地図データに含まれるものだけでなく、様々な表示物を表示する要求が高まっている。例えば、道路に付属する表示物に関して、生成したポリゴンにテクスチャをマッピングする要求や、高速道路に側壁を表示する要求、地図データに含まれない表示物として道路監視装置やインターネット網から取得可能な渋滞情報を表示する要求がある。このように道路に付属する標示物は非常に多くなっているといえる。
【0006】
このような要求を満たすべく提案された従来の技術として、例えば特許文献2に開示される地図表示装置がある。この地図表示装置では、特に交差点に接続するリンクの道幅付き道路の形状から交差点の形状を算出し、この交差点形状に基づいて横断歩道や停止線、車線、中央線、側壁などの交差点に付属する表示物の形状及び位置を決定して表示する。これにより、交差点をより自然な形状で表示することができる。
【0007】
【特許文献1】特開2004−271814号
【特許文献2】特許第3471003号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1のような従来の地図データ表示装置では、道幅を持った道路ポリゴン情報を保持しているが、交差点において表示される道路付属の表示物が考慮されていない。このため、交差点部分で道路のポリゴンが重なってしまい、これら道路ポリゴンに対して道路に付属した表示物を表示するためのテクスチャをマッピングすると、その重なり具合によって実際と異なった表示がなされる可能性がある。例えば、車線の付いたテクスチャであると、道路ポリゴンの重なり具合によって、車線が重なったり、現実にはあり得ない位置に車線が表示されるような不具合が考えられる。
【0009】
また、上記従来の技術では、交差点部分の形状を表現するために、本来の道路形状である矩形状にならない道路ポリゴンが生成される場合がある。この場合、道路に付属した表示物を表示するためのテクスチャが、本来の道路形状である矩形状のポリゴンをマッピング対象としていることから、矩形状でないポリゴンにマッピングされると正確に表示物を表示することができない。
【0010】
例えば、車線の付いたテクスチャの場合、本来の矩形状でない台形状に生成された道路のポリゴンにマッピングされると、テクスチャがひずんでしまい、現実と異なって車線が斜めに表示されたりする場合がある。
【0011】
このように、従来の地図データ表示装置では、交差点部分の正しい車線表示が困難であったり、テクスチャがひずんでしまうような道路ポリゴンが生成される可能性があるという課題があった。
【0012】
一方、特許文献2のように、交差点に接続するリンクの道幅付き道路の形状から交差点部分での交差点形状に合ったポリゴンデータを新たに生成する技術も提案されている。これによれば、新たに生成した交差点形状に合わせて道路付属の表示物の形状やこれを表示すべき位置を算出することで、交差点手前に停止線を表示するといったことや、車線の表現が可能になる。
【0013】
しかしながら、特許文献2では、高速道路に側壁を表示したり、トンネルの壁や天井を表示したりする場合に、新たに生成した交差点ポリゴンのどこにそれらを表示するのかを判定する新たな演算が必要となるという課題がある。つまり、交差点形状に合った1つの交差点ポリゴンを生成する場合、交差点における道路に付属する表示物についてもそれに合わせて形状や位置を再計算しなければならない。
【0014】
地図データ表示装置の主な適用対象であるカーナビゲーション装置では、実際の車両の走行に合わせて迅速に地図が表示されなければならず、地図の表示更新速度の向上が求められている。このため、上述のように交差点毎に再計算が必要な装置では、表示更新速度の向上が制限されてしまう。
【0015】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、地図の表示更新速度を向上でき、現実に近い地図表示を実現することができる地図データ表示装置、地図データ表示方法及びこの方法により地図表示を行うナビゲーション装置並びにこの地図データ表示装置としてコンピュータを機能させる地図データ表示プログラムを得ることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
この発明に係る地図データ表示装置は、道幅、道路種別、道路ノード及び道路リンクで道路を表現する道路リンク情報を取得するデータ取得部と、道路リンク情報を用いて道路リンク及びこれに平行な線分で道幅付き道路を表現し、交差点ノードを交差する各道幅付き道路について隣り合う道幅付き道路との道路リンクに平行な線分間の交点を交差点ノードを含まぬように結んだ交点ポリゴン、交差点ノードを交差する各道幅付き道路について隣り合う道幅付き道路との道路リンクに平行な線分間の交点を基点として交差点内の道路範囲を含まぬように端辺を設けた交差点外ポリゴン、交差点ノードを交差する各道幅付き道路について道路リンクに平行な線分間の交点を結んで交差点内の道路範囲を規定した交差点内ポリゴン、のうちの少なくともいずれかを生成するポリゴン生成部と、ポリゴン生成部で生成されたポリゴンを用いて道路リンク情報により規定される交差点を通る道路に関する道路表示データを生成するポリゴン加工部とを備えるものである。
【発明の効果】
【0017】
この発明によれば、道幅、道路種別、道路ノード及び道路リンクで道路を表現する道路リンク情報を取得するデータ取得部と、道路リンク情報を用いて道路リンク及びこれに平行な線分で道幅付き道路を表現し、交差点ノードを交差する各道幅付き道路について隣り合う道幅付き道路との道路リンクに平行な線分間の交点を交差点ノードを含まぬように結んだ交点ポリゴン、交差点ノードを交差する各道幅付き道路について隣り合う道幅付き道路との道路リンクに平行な線分間の交点を基点として交差点内の道路範囲を含まぬように端辺を設けた交差点外ポリゴン、交差点ノードを交差する各道幅付き道路について道路リンクに平行な線分間の交点を結んで交差点内の道路範囲を規定した交差点内ポリゴン、のうちの少なくともいずれかを生成するポリゴン生成部と、ポリゴン生成部で生成されたポリゴンを用いて道路リンク情報により規定される交差点を通る道路に関する道路表示データを生成するポリゴン加工部とを備えるので、地図の表示更新速度を向上でき、現実に近い地図表示を実現することができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1による地図データ表示装置を適用したナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。図において、実施の形態1によるナビゲーション装置は、地図データ記憶部1、渋滞情報取得部2、マッチングリンク探索部3、データ取得部4、ポリゴン生成部5、ポリゴン加工部6及び表示部7を備えている。
【0019】
地図データ記憶部1は、例えばCD、DVD、ハードディスク、メモリなどの記憶媒体からなり、地図データに含まれる道路データとして、交差点や道路上の特に指定された点を表すノード、ノード間の道路を表すリンク、同種別の1本の道路をまとめたリンク列、国道であるか一般道であるかといった道路の種別、道路の幅、道路の向き、トンネルを表すフラグ等の道路リンク情報を記憶している。
【0020】
渋滞情報取得部2は、道路に設置された電波ビーコンや、電話、FM放送からの道路交通情報を受信するVICS(Vehicle Information and Communication System)や、インターネットを経由して情報センタに接続して様々な情報を取得するシステムで具現化される。例えば、道路交通情報があるインターナビシステム(本田技研工業株式会社の登録商標)等から渋滞情報を取得する。
【0021】
データ取得部4は、地図データ記憶部1に格納されている道路リンク情報の道路データを取得して内部メモリに保持する。内部メモリは、マッチングリンク探索部3やポリゴン生成部5による処理で適宜内容が読み出される。道路データは、リンク列ごとに分けて保持されており、1つのリンク列データには、種別、幅、向き、トンネルフラグ、ノード数、各ノード座標値などがある。
【0022】
マッチングリンク探索部3は、データ取得部4が取得して内部メモリに保持した道路データを参照して渋滞情報がどの道路の情報かを探索し、当該道路の道路データに探索結果を設定する。例えば、渋滞となっている区間の座標が取得可能な場合、渋滞区間に最も近い道路ノードを探索し、その道路ノードに渋滞を表すフラグや、渋滞区間の長さを設定する。道路を表示する際に、フラグや渋滞区間の長さが設定されていれば、その情報が後述する方法で表示部に表示されることになる。
【0023】
ポリゴン生成部5は、マッチングリンク探索部3が設定した値が反映されたデータ取得部4のデータから、表示用のポリゴンを生成する。例えば、道路の場合、後述する演算処理によって設定された幅に基づくポリゴン(基本道路ポリゴン)を生成する。また、現実に近い形で道路を表示するために、生成したポリゴンを加工したり、新たなポリゴンを生成する。例えば、異なる道路リンク列の道路ノードが一致している部分を交差点とし、交差点部分で基本道路ポリゴン同士の交点を算出し、その点と基本道路ポリゴンの点からなる交点ポリゴンを生成したり、交差点部分を除くように生成したポリゴンである交差点外ポリゴンを生成する。
【0024】
ポリゴン加工部6は、ポリゴン生成部5で生成されたポリゴンを用いて道路リンク情報により規定される道路表示データを生成する。道路表示データとは、道路及び道路に付属する表示物の表示データをいう。また、道路に付属する表示物には、道路の側壁やトンネルの壁や天井、車線、信号などがある。本発明では、特に交差点を通る道路に関する道路表示データを生成することにより、交差点を通る道路に付属する側壁や車線、信号、合流部を有するトンネルの天井や壁などを従来より認識しやすい形で表示することができる。表示部7は、ポリゴン加工部6により加工された地図データを表示する液晶ディスプレイ等の表示装置である。
【0025】
上述した、渋滞情報取得部2、マッチングリンク探索部3、データ取得部4、ポリゴン生成部5及びポリゴン加工部6は、例えば渋滞情報などを取得するために外部装置と通信する機能を搭載したコンピュータに、本発明に従う地図データ表示プログラムを実行させることで具現化することができる。
【0026】
つまり、本発明に従う地図データ表示プログラムを上記コンピュータに読み込ませて、その動作を制御することにより、当該コンピュータ上に図1に示す渋滞情報取得部2、マッチングリンク探索部3、データ取得部4、ポリゴン生成部5及びポリゴン加工部6としての機能を持たせることができる。また、地図データ記憶部1についても、上記コンピュータに装備されたハードディスクなどの記憶装置上に構成することができる。
【0027】
なお、以下の説明において、本発明の地図データ表示装置を具現化するコンピュータ自体の構成及びその基本的な機能については、当業者が当該技術分野の技術常識に基づいて容易に認識できるものであり、本発明の本質に直接関わるものでないので詳細な記載を省略する。
【0028】
次に動作について説明する。
図2は、実施の形態1によるナビゲーション装置の動作を示すフローチャートであり、道路データ取得処理から道路上に渋滞情報を表示するまでの処理を示している。
先ず、渋滞情報取得部2が、道路に設置された電波ビーコンや、電話、FM放送を介するVICS(Vehicle Information and Communication System)や、インターネットを経由して情報センタに接続して渋滞情報を受信する。この渋滞情報は、渋滞情報取得部2により内部メモリに保持される。ここまでの処理がステップST1に相当する。
【0029】
次に、データ取得部4は、地図データ記憶部1に格納された道路リンク情報の道路データを取得する(ステップST2)。ここで、データ取得部4は、取得した道路データを、例えば図3に示す構造で内部メモリに格納する。具体的に説明すると、本実施の形態による道路データ構造では、図3(a)に示すように、リンク列の識別子(リンク番号)に関連付けて、リンク列ごとに道路の種別及び幅、リンク列の方向、リンク列に含まれる道路ノードの数及び各ノードの座標値に関するデータが格納される。これにより、図3(b)に示すように、道路が、道路ノードと道路ノード間を接続するリンクで表現され、道路の種別や幅が同じ部分が1まとまりのリンク列として管理される。
【0030】
ステップST3において、マッチングリンク探索部3は、渋滞情報取得部2が取得した渋滞情報とデータ取得部4が取得した道路データを内部メモリから読み出して、当該渋滞情報がどの道路におけるものかを抽出し、その道路に渋滞を示すフラグや、渋滞区間の長さを設定する。例えば、渋滞情報として、渋滞となっている道路のリンク番号と、渋滞開始点を示すためのリンク列の始点からの距離と、渋滞終了点を示すためのリンク列の始点からの距離とを有する場合を考える。
【0031】
この場合、マッチングリンク探索部3は、渋滞情報に設定されているリンク番号に合致する道路データを、ステップST2で取得した道路データから抽出する。そして、合致する道路を発見すると、先ず、道路リンク自体に渋滞道路を含むことを示す渋滞フラグを設定する。
【0032】
次に、マッチングリンク探索部3は、渋滞開始点となる道路ノードに渋滞開始を示す渋滞区間フラグを設定する。ここで、道路ノード間のリンク上に渋滞開始点が存在する場合、開始点の一つ手前の道路ノードに渋滞区間フラグの値を設定し、さらにそのノードからリンク上の渋滞開始点までの長さを設定する。
【0033】
この長さは、渋滞開始点、渋滞終了点が道路ノードに一致している場合、及び、開始点から終了点までの間の点である場合、それを示す値に設定する。例えば、渋滞開始点が道路ノードに一致していれば、このノードから渋滞開始点までの長さ0が設定される。
【0034】
続いて、マッチングリンク探索部3は、渋滞フラグを設定した道路における渋滞終了点までの各ノードに上述した渋滞区間フラグを設定する。ここで、道路ノード間のリンク上に渋滞終了点が存在する場合、渋滞終了点の一つ手前の道路ノードに渋滞区間フラグ値を設定し、さらにそのノードから渋滞終了点までの長さを設定する。
【0035】
このあと、ポリゴン生成部5は、データ取得部4が取得した道路データを内部メモリから読み出して、道路データを現実に近い形で表示するための道路データ加工処理を実行する(ステップST4)。図4は、図2中の道路データ加工処理を示すフローチャートであり、この図に沿って詳細に説明する。なお、道路データ加工処理では、道路データを用いてリンクを現実の道路に近い形で表示するための道路ポリゴンを生成する。この道路ポリゴンには、後述する基本道路ポリゴン、交点ポリゴン及び交差点外ポリゴンがある。
【0036】
先ず、ポリゴン生成部5は、ステップST2で取得された道路データから道幅を持った道路ポリゴンを生成する(ステップST4−1)。ここで生成するポリゴンは、道路表示を行うための基本的なポリゴンとなるため、基本道路ポリゴンと呼ぶ。以下、この基本道路ポリゴンの生成処理を詳細に説明する。
【0037】
図5は、基本道路ポリゴンの生成処理を説明する図であり、(a)から(d)へ処理が進行する。なお、基本道路ポリゴンの生成は、道路の幅、種別、方向がリンク列ごとに異なるため、リンク列ごとに行う。以降の説明では、図5(a)に示すように、道路ノード9,10及びこれらの間を接続するリンク11のような道路部分が3つ連結された道路データからなるリンク列8を例に挙げる。
【0038】
ポリゴン生成部5は、リンク列8に関する道路データを抽出すると、道路ノード27からリンク11に対して垂直に道路幅の1/2の距離だけ離れた頂点12,13の座標を算出する。さらに、道路ノード10についても同様の演算によりリンク11に対して垂直に道路幅の1/2の距離だけ離れた座標を求める。そして、道路ノード9,10で求めた座標間を線分でそれぞれ結ぶことで、図5(b)に示すような矩形14を生成する。
【0039】
続いて、ポリゴン生成部5は、図5(c)に示すように、上記矩形をリンクごとに生成する。ここで、隣り合う矩形同士が重なる部分を有する場合、図5(c)に示すように、これら矩形におけるリンクに平行な前記線分同士が交わっている。この場合、これら線分の交点15を算出する。
【0040】
また、上述のように隣り合う矩形同士が重なる部分を有する場合、前記線分が重なる側とリンクを介した反対側の線分では、図5(c)に示すように矩形間で交わらずに離れている。そこで、この部分については、隣り合う矩形間で離れている線分の延長線(図中、破線で示す)を求めて延長線上の交点16を算出する。
【0041】
この後、ポリゴン生成部5は、隣り合う矩形において前述の演算で求めた各座標と交点15,16とを線分で結ぶことで基本道路ポリゴン17を生成する。ポリゴン生成部5は、隣り合う矩形ごとに同様な演算を実行することで、図5(d)に示すような基本道路ポリゴン17を生成する。さらに、ポリゴン生成部5は、上述の演算をリンク列ごとに実行して基本道路ポリゴンデータを求めてリンク列の持つ道路データに付加する。
【0042】
次に、ポリゴン生成部5は、ステップST2で取得された道路データのうち、道路リンク同士が繋がる部分を交差点とし、交差点部分で隣り合うリンクの基本道路ポリゴン間の交点を結んだポリゴンを生成する(ステップST4−2)。ここで生成するポリゴンは、交差点に接続するまでの道路範囲を規定するポリゴンであって、基本道路ポリゴンと同じデータを保持し、交差点部分においてのみ頂点を交点に移動させたポリゴンであるため、交点ポリゴンと呼ぶ。以下、この交点ポリゴンの生成処理を詳細に説明する。
【0043】
図6は、交点ポリゴンの生成処理を説明する図であり、(a)から(b)へ処理が進行する。図6では、3つのリンク18,19,20が道路ノード(交差点ノード)21で接続した3差路になっている状態を表している。このとき、道路ノード21を交差点ノードと呼ぶ。先ず、ポリゴン生成部5は、基準としたリンク18から道路ノード21を中心として例えば右回りに最も近いリンクを探索し、条件に該当するリンク19を特定する。
【0044】
このあと、ポリゴン生成部5は、リンク18,19に設定された基本道路ポリゴン間の交点であってリンク18から右回りに最も近い交点、即ち各基本道路ポリゴンにおけるリンク18,19に平行な線分同士の交点であって、リンク18から右回りに最も近い交点22の座標値を算出する。
【0045】
続いて、ポリゴン生成部5は、リンク18から道路ノード21を中心として左回りに最も近いリンクを探索し、条件に該当するリンク20を特定する。このあと、ポリゴン生成部5は、リンク18,20に設定された基本道路ポリゴン間の交点であってリンク18から左回りに最も近い交点、即ち各基本道路ポリゴンにおけるリンク18,20に平行な線分同士の交点であって、リンク18から右回りに最も近い交点23の座標値を算出する。
【0046】
そして、ポリゴン生成部5は、交差点部分のデータとしては交点22,23の座標値を保持し、交差点以外の部分は基本道路ポリゴンと同じ頂点24,25を保持する交点ポリゴン26を生成する。交点ポリゴン26は、図6(b)に示すように、交点22,23及び頂点25,24を結んだポリゴン(図中、実線で示す)である。このあと、ポリゴン生成部5は、前述の演算をリンク列ごとに行い、交差点部分について交点ポリゴンのデータをリンク列の持つ道路データとして付加する。
【0047】
次に、ポリゴン生成部5は、交差点内の道路範囲を除いた交差点に接続するまでの道路範囲を規定するポリゴンである交差点外ポリゴンを生成する(ステップST4−3)。以下、この交差点外ポリゴンの生成処理を詳細に説明する。
【0048】
図7は、交差点外ポリゴンの生成処理を説明する図であり、(a)から(b)へ処理が進行する。図7は、図6と同様に3つのリンクが接続した3差路を表している。なお、図6と同一の点には同一符号を付している。
先ず、ポリゴン生成部5は、交点ポリゴンの生成にあたり求めた交点22と交差点ノード21との距離と、交点23と交差点ノード21との距離とを比較して、交差点ノード21との距離が離れている交点を判別する。図7(a)の例では、交点23が交点22より交差点ノード21から離れていると判別される。
【0049】
続いて、ポリゴン生成部5は、交点23を通る線分29の長さに対して、基本道路ポリゴンの生成時に求められた線分29の端点28(基本道路ポリゴンの頂点)と交点23とを結ぶ線分の長さの比を算出する。さらに、この線分29に関して求めた長さの比を用いて、リンク18を介して対面に位置する線分30についても、基本道路ポリゴンの生成時に求められた線分30の端点22から同じ比になる点を頂点27として算出する。
【0050】
このあと、ポリゴン生成部5は、算出した点23,25,24,27を結んで、図7(b)に実線で示すような交差点外ポリゴン31を生成する。この演算をリンク列ごとに行い、リンク列の持つ道路データに付加する。前述の演算をリンク列ごとに行い、交差点部分について交点ポリゴンに加え、交差点外ポリゴンのデータをリンク列の持つ道路データとして付加する。
【0051】
なお、上述した交差点外ポリゴンの生成処理において交点27を算出するにあたり、線分29に対して交点23を通る垂線を引いて、線分30との交点を交点27として算出することもできる。しかしながら、図8(a)に示すような交差点である場合、交点23を通る線分29に対する垂線の線分30との交点として交点27を算出することができない場合がある。
【0052】
図8(a)は、図6と同様の3差路を示している。図において、リンク32,33に設定された基本道路ポリゴンがL字形であり、交差点ノード21に対してリンク33が斜めに接続し、リンク32がすぐに逆方向に曲がっている道路を示している。
【0053】
この場合、前述した演算と同様に交点22,23に相当する点を算出すると交点34,35が求められ、交差点ノードから遠い方の交点は交点34となる。しかしながら、図8(b)のように、リンク33の接続する角度によっては、リンク33に平行な線分から垂線を引いても、線分36との交点、つまり交点27が存在しない。
【0054】
そこで、図7を用いて説明したように線分の長さの比を用いることで、必ず交点27の存在が保証される。この場合、交点34を通る線分の長さと当該線分の端点と交点34までの長さの比を用いて、交点35を通るリンク33に平行な線分における、当該長さの比に対応する交点を算出する。これにより、図7における交点27に相当する点を、交点35を通るリンク33に平行な線分上に決定することができ、この点を含む線分でポリゴンを規定することで、交差点外ポリゴンを算出することができる。
【0055】
また、上述したポリゴン生成方法は、高さデータを持った道路に対しても、一旦平面として扱うことで適用可能である。図9は、高さデータを持った道路についてのポリゴン生成を説明する図である。図9(a)は、高さのない道路に高さのある道路が交差している箇所を示し、上段が両道路のリンクの接続を運転手の視点で示す図であり、下段が運転手の視点に沿ったリンク39での断面図である。図9(a)において、ノード40,41からなるリンク39は高さ0mの高さデータを持ち、同じく高さ0mの高さデータを持つノード41,42からなるリンク38、高さ0mの高さデータを持つノード41と高さ10mの高さデータを持つノード43とからなるリンク37が交わる交差点を示している。
【0056】
図9(b)は、図9(a)で示した道路のポリゴンを生成するにあたり、高さのある道路を一旦高さのない平面のデータとして扱う処理の概念を示す図であり、上段が両道路のリンクの接続を運転手の視点で示す図であり、下段が運転手の視点に沿ったリンク39での断面図である。図9(c)は、図9(b)で平面データとして求めた道路のポリゴンを示す図であり、上段が交差点外ポリゴンを求めた際の両道路のリンクの接続を運転手の視点で示す図であり、下段が運転手の視点に沿ったリンク39での断面図である。
【0057】
この交差点において、ポリゴン生成部5は、基準となるリンクをリンク39とし、半時計回り方向に存在するリンク37との交点を算出する。この場合、リンク37が高さを持つため、リンク39の線分45と、リンク43の線分44との交点が存在しない。そこで、図9(b)に示すように、全ての道路を平面として扱うことにより、交点46,47を算出することが可能となる。そして、平面としたリンク37については、求めた交点46,47に基づいてポリゴン生成処理を実行する。
【0058】
この後、道路ポリゴンを設定したリンク37について高さデータを再び適用することで、図9(c)において太線で示すようなポリゴンを生成することが可能となる。図9(c)の例では、交差点外ポリゴンを生成した場合を示している。
さらに、上述したポリゴン生成方法を高さデータを持った道路に対して適用した場合、図9(d)のような表示も可能である。図9(d)は、図9(b)で平面データとして求めた道路ポリゴンを示す図であり、上段は交差点外ポリゴンを求めた際の両道路のリンクの接続を運転手の視点で示す図であり、下段が運転手の視点に沿ったリンク39の断面図である。この交差点において、基本道路ポリゴンの頂点202,201、交点ポリゴンの頂点46,47を結んだポリゴン部分は高さを0mとして平面上に表示し、交点ポリゴンの頂点47,46,205,206を結んだポリゴンにおける、頂点46,47間の線分を高さ0mとし、頂点205,206間の線分の方を高さ10mとして表示することで、図9(d)に示すような表示が可能となる。
【0059】
このように、ポリゴン生成部5は、図4に示す道路データ加工処理にて生成した道路ポリゴンデータを各リンク列で保持する道路データとして付加設定する。次に、この道路データを用いることにより、道路及び道路に付属する表示物が、高速かつ正確に表示可能となる。以下、この道路表示処理について説明する。
【0060】
ポリゴン加工部6は、ステップST4で道路ポリゴンが設定された道路データを用いて現実の道路に近い表示データの生成して表示部7に表示する処理を実行する(ステップST5)。例えば、図10(a)に示すような交差点の基本道路ポリゴン48については、基本道路ポリゴン48の枠内に当てはまる、図10(b)に示すような道路のテクスチャ49をマッピングする。この表示データにより、本実施の形態によるナビゲーション装置に搭載されたディスプレイなどの表示部7では、道幅を持った道路表示を実現することができる。
【0061】
次に、ポリゴン加工部6は、ステップST5で表示した道路に対して、渋滞情報取得部2が取得した渋滞情報を表示するための表示データを生成して表示部7に表示させる処理を実行する(ステップST6)。先ず、ポリゴン加工部6は、道路データにおけるリンク列を一つずつ取得し、ステップST3で設定する渋滞フラグがリンク列に付与されているか否かを確認する。
【0062】
このとき、渋滞フラグが設定されていれば、ポリゴン加工部6は、各ノードにステップST3で設定した区間フラグが設定されているかをさらに確認し、区間フラグが設定されていれば、その長さを参照し、長さに応じた渋滞情報の表示データを生成する。表示部7は、この渋滞情報に関する表示データを用いて、対応する道路に渋滞情報を表示する。
【0063】
また、運転者の視点で表示する場合、道路沿いに側壁や、トンネルの壁を表示することがあり、渋滞情報を道路上に表示する必要がある。しかし、複雑な交差点、例えば図11(a)に示すような五差路では、渋滞情報が複雑に入り組んでいる場合、どの道路の渋滞情報であるかを認識するのが困難となる。
【0064】
そこで、渋滞情報の表示処理において、図4の処理で設定した道路ポリゴンを用いることで、認識しやすい表示が可能となる。例えば、図11(a)に示す交差点外ポリゴン50を用いて、図11(b)のテクスチャ51のように渋滞情報のある道路の上に色を付けて表示する。この場合、図11(a)の交差点外ポリゴン50に道路のテクスチャをマッピングした表示データに対して、さらに渋滞情報を示す色を施したテクスチャ51を重ねてマッピングする。これにより、渋滞情報が交差点内には表示されず、複数の渋滞情報が入り組んでいる場合でも、渋滞している道路の認識が容易になる。また、渋滞情報表示は、テクスチャを用いず、ポリゴンにより規定された範囲における渋滞情報に該当する領域の色を変更することでも表現可能である。
【0065】
また、単に色を施したテクスチャ51の代わりに、図11(c)に示すように、渋滞を示す矢印を施したテクスチャ52をマッピングすれば、より認識しやすい形で交差点手前までの渋滞を表示することができる。
【0066】
さらに、図4の処理で設定した道路ポリゴンを用いることで、図12(a)に示すような単純な交差点において交差点内部にも渋滞情報を容易に表示可能である。例えば、図12(a)の交差点における道路ポリゴンに道路のテクスチャをマッピングした表示データに対して、図12(b)に示すように、さらに交点ポリゴン53の頂点55,56と道路ノード57,58,54とから道路ポリゴンを規定し、この道路ポリゴン53に渋滞を表す色を施したテクスチャ59を重ねてマッピングする。これにより、交差点内部にも渋滞情報を表示することが可能となる。
【0067】
また、単に色を施したテクスチャ59の代わりに、渋滞を示す矢印を施したテクスチャ60をマッピングすることで、交差点付近における渋滞情報を図12(c)に示すように表示することも可能である。
【0068】
さらに、図13(a)に示すような高さデータを持った道路との交差部分に対しても、前述したような処理で道路データとして設定された基本道路ポリゴン61などの道路ポリゴンデータを用いることで、渋滞情報を容易に表示可能である。例えば、高さを持たない道路が渋滞している場合、先ず、当該道路の基本道路ポリゴン61に対して、図13(b)に示すように渋滞を表す色を施したテクスチャ62をマッピングし、続いて高さのある道路についての基本道路ポリゴンに対して道路のテクスチャをマッピングする。これにより、高さを持つ道路と交差した道路についても渋滞情報を表示することが可能となる。
【0069】
なお、高さを持つ道路側が渋滞していれば、先ず、高さを持たない道路の基本道路ポリゴンに対して道路のテクスチャをマッピングし、続いて高さのある道路についての基本道路ポリゴンに対して渋滞を表すテクスチャをマッピングする。これによって、同様に高さのある道路についても渋滞を表示する表示データを生成することができる。
【0070】
また、単に色を施したテクスチャ62の代わりに、図13(c)に示すように、渋滞を示す矢印を施したテクスチャ63をマッピングすれば、より認識しやすい形で交差点内部における渋滞を表示することができる。
【0071】
以上のように、この実施の形態1によれば、道幅、道路種別、道路ノード及び道路リンクで道路を表現する道路リンク情報を取得するデータ取得部4と、道路リンク情報を用いて、道路リンク及びこれに平行な線分で道幅付き道路を表現し、交差点ノードを交差する各道幅付き道路について隣り合う道幅付き道路との道路リンクに平行な線分間の交点を交差点ノードを含まぬように結んだ交点ポリゴン、及び、交差点ノードを交差する各道幅付き道路について隣り合う道幅付き道路との道路リンクに平行な線分間の交点を基点として交差点内の道路範囲を含まぬように端辺を設けた交差点外ポリゴンを生成するポリゴン生成部5と、ポリゴン生成部5が生成したポリゴンを用いて道路リンク情報により規定される道路の道路表示データを生成するポリゴン加工部6とを備えるので、道路のリンク列の持つデータに設定した道路リンクに平行な線分で道幅付き道路を表現した基本道路ポリゴンに加え、交点ポリゴン及び交差点外ポリゴンを使い分けて、渋滞情報を表示することにより、交差点付近の情報も認識しやすい形で表示することができる。加えて、渋滞情報表示用に新たなポリゴンを生成する演算が不要なため、表示更新速度を向上させることができる。また、道幅を持った道路を現実の道路状態に近い形で表示することができる。
【0072】
実施の形態2.
本実施の形態2では、道路に付属する表示物として側壁を有する道路を表示する場合について説明する。なお、本実施の形態2によるナビゲーション装置の基本的な構成は、図1で示した上記実施の形態1の構成と同一である。ここでは、ポリゴン加工部6が、上記実施の形態1で説明した道路表示に加え、道路ポリゴンを用いて道路に側壁を表示するための表示データを生成する。
【0073】
次に動作について説明する。
図14は、この発明の実施の形態2によるナビゲーション装置の動作を示すフローチャートであり、道路データ取得処理から道路に側壁を表示するまでの処理を示している。
先ず、データ取得部4が、地図データ記憶部1に格納された道路リンク情報の道路データを取得し、上記実施の形態1における図3で示したような構造で内部メモリに格納する(ステップST1a)。
【0074】
次に、ポリゴン生成部5は、データ取得部4が取得した道路データを内部メモリから読み出して、道路データを現実に近い形で表示するための道路データ加工処理を実行する(ステップST2a)。具体的には、上記実施の形態1における図4に示すフローチャートに従って、道路データを用いてリンクを現実の道路に近い形で表示するための道路ポリゴンを生成する。
【0075】
続いて、ポリゴン加工部6が、ステップST2aで道路ポリゴンが設定された道路データを用いて現実の道路に近い表示データの生成して表示部7に表示させる処理を実行する(ステップST3a)。具体的には、上記実施の形態1で図10を用いて説明したように道路ポリゴンに道路テクスチャをマッピングした道路表示データを生成する。
【0076】
ポリゴン加工部6は、ステップST3aで表示した道路に対して側壁を表示するための表示データを生成して表示部7に表示させる処理を実行する(ステップST4a)。
図15は、実施の形態2のナビゲーション装置による側壁表示処理を説明するための図であり、図15(a)に示すような三差路を構成する道路に側壁を表示する例について説明する。なお、図15(a)の交差点では、交差する全ての道路に高速道路の種別が設定されているものとする。
【0077】
先ず、ポリゴン加工部6は、ステップST3aで表示した道路のリンク列を読み出してリンク列に側壁を表示すべき道路種別が設定されているか否かを判定する。ここで、側壁を表示すべき道路種別が設定されていると、ポリゴン加工部6は、このリンク列に設定されている交点ポリゴンの道路沿いの線分上に側壁を表示する表示データを生成する。なお、交点ポリゴンの道路沿いの線分とは、例えば図15(a)に示す交点ポリゴンにおける道路リンク64に平行な線分65,66が該当する。
【0078】
ステップST2aにおいて、ポリゴン生成部5は、交差する道路の道路データを入力すると、基本道路ポリゴンや交差点外ポリゴンに加え、交点ポリゴンデータを予め算出して各道路データに設定している。つまり、図15(a)の交差点では、交差する3つの道路に関する各リンク列の道路データに交点ポリゴンがそれぞれ設定されている。
【0079】
そこで、ポリゴン加工部6は、図15(a)に示す交差点を構成する道路のリンク列を1つずつ取り出してリンク列に設定されている道路種別を判定し、側壁を表示すべき種別が設定されていると、このリンク列に設定されている交点ポリゴンデータを抽出し、この交点ポリゴンにおいてリンクに平行な線分を特定して、この線分上に側壁の表示データを重ね合わせた表示データを生成する。
【0080】
このようにして、ポリゴン加工部6が生成した表示データを、表示部7に表示することによって、図15(b)に示すような道路沿いに側壁67が設けられた道路表示を実現することができる。
【0081】
次に、本発明の特徴について説明する。
従来の地図データ表示処理では、交差点を複数の道路に関する道路ポリゴンの重ね合わせで表現するものがあった。このような処理では、側壁などの道路付属の表示物を道路に表示する場合、道路ポリゴン間の重ね合わせを考慮して表示位置を新たに計算しなければならなかった。
【0082】
例えば、図15に示すような三差路である場合、複数の道路に関する道路ポリゴンの重ね合わせで表現するものでは、三差路を構成する道路のポリゴンは交差点で異なる層に位置する道路ポリゴンとなる。このため、いずれの道路に付属する表示物であり、最上層の道路ポリゴンとの兼ね合いでどの位置まで表示して良いのかなどを新たに計算する必要がある。
【0083】
これに対して、本実施の形態2の装置では、交差点における道路ポリゴンの重なり部分を含まない交点ポリゴンを用いて側壁を表示する。これにより、交点ポリゴンのリンクに平行な線分のデータを抽出し、この線分上に側壁を重ねるだけで側壁表示データを生成することができ、上述したような側壁の表示位置を求めるための新たな演算や位置判定を実行する必要がない。
【0084】
また、従来では、交差点内の道路ポリゴンについて側壁の表示位置が算出された結果、交差点内に突出するように側壁を表示させてしまうような不具合が生じる場合があったが、本実施の形態2では、交差点における道路ポリゴンの重なり部分を含まない交点ポリゴンを用いることから、このような不要な側壁をカットすることが可能となる。
【0085】
以上のように、この実施の形態2によれば、ポリゴン加工部6が、交点ポリゴンの道路リンクに平行な線分上に側壁を位置づけて道路に付属する側壁を表示するので、側壁表示のために新たな演算や表示位置判定を行う必要がなく、側壁表示の表示更新速度を向上させることができる。また、道路が接続する部分に不要な壁が表示されることがなく、現実に近いを道路表示を実現できる。
【0086】
実施の形態3.
本実施の形態3では、道路に付属する表示物として側壁と天井を有するトンネル、特にトンネル内合流部を表示する場合について説明する。なお、本実施の形態3によるナビゲーション装置の基本的な構成は、図1で示した上記実施の形態1の構成と同一である。ここでは、ポリゴン加工部6が、上記実施の形態1、2で説明した道路表示に加え、道路ポリゴンを用いてトンネル内合流部を表示するための表示データを生成する。
【0087】
次に動作について説明する。
図16は、この発明の実施の形態3によるナビゲーション装置の動作を示すフローチャートであり、道路データ取得処理からトンネル内合流部における天井を表示するまでの処理を示している。先ず、データ取得部4が、地図データ記憶部1に格納された道路リンク情報の道路データを取得し、上記実施の形態1における図3で示したような構造で内部メモリに格納する(ステップST1b)。
【0088】
次に、ポリゴン生成部5は、データ取得部4が取得した道路データを内部メモリから読み出して、道路データを現実に近い形で表示するための道路データ加工処理を実行する(ステップST2b)。具体的には、上記実施の形態1における図4に示すフローチャートに従って、道路データを用いてリンクを現実の道路に近い形で表示するための道路ポリゴンを生成する。
【0089】
続いて、ポリゴン加工部6が、ステップST2bで道路ポリゴンが設定された道路データを用いて現実の道路に近い表示データの生成して表示部7に表示させる処理を実行する(ステップST3b)。具体的には、上記実施の形態1で図10を用いて説明したように道路ポリゴンに道路テクスチャをマッピングした道路表示データを生成する。
【0090】
ポリゴン加工部6は、ステップST3bで表示した道路に対してトンネルを表示するための表示データを生成して表示部7に表示させる処理を実行する(ステップST4b)。
図17は、実施の形態3のナビゲーション装置によるトンネル表示処理を説明するための図であり、図17(a)に示すような3つの道路によるトンネル内合流部を表示する例について説明する。
【0091】
先ず、ポリゴン加工部6は、ステップST3bで表示した道路のリンク列を読み出してリンク列にトンネルの区間フラグが設定されているか否かを判定する。ここで、トンネル区間フラグが設定されていると、ポリゴン加工部6は、このリンク列に設定されている交点ポリゴン68の道路沿いの線分上に側壁69を表示する表示データを生成する。なお、交点ポリゴンの道路沿いの線分とは、上記実施の形態2で説明したような、例えば図15(a)に示す交点ポリゴンにおける道路リンク64に平行な線分65,66が該当する。
【0092】
ステップST2bにおいて、ポリゴン生成部5は、交差する道路の道路データを入力すると、基本道路ポリゴンや交差点外ポリゴンに加え、交点ポリゴンデータを予め算出してリンク列の道路データに設定している。つまり、図17(a)に示すトンネル内合流部では、交差する3つの道路に関する各リンク列の道路データに交点ポリゴンがそれぞれ設定されている。
【0093】
ポリゴン加工部6は、図17(a)に示す交差点を構成する道路のリンク列を1つずつ取り出してトンネル区間フラグが設定されているか否かを判定し、トンネル区間フラグが設定されていると、このリンク列に設定されている交点ポリゴン68のデータを抽出し、この交点ポリゴン68においてリンクに平行な線分を特定して、この線分上にトンネルの壁69の表示データを重ね合わせた表示データを生成する。これにより、図17(b)に示すようなトンネルの壁69を設けた道路の表示データが生成される。
【0094】
続いて、ポリゴン加工部6は、トンネル内合流部を構成する道路のリンク列を1つずつ取り出して、リンク列に設定されている交点ポリゴン68の頂点で規定される天井70をトンネル壁69上に重ね合わせた表示データを生成する。なお、この表示データを、表示部7に表示させた場合、図17(c)に示すような交差部分の天井が表示されていない状態で表示される。
【0095】
そこで、ポリゴン加工部6は、図17(a)に示すようなトンネル内合流部を構成する道路のリンク列から、図17(d)に示すような各交点ポリゴン間の交点である交点71,72,73を抽出し、これら交点で形状を規定した天井74を交差部分に重ね合わせた表示データを生成する。これにより、図17(e)に示すような道路沿いに設けたトンネル壁69と天井70,74が設けられたトンネル内合流部を表示することができる。
【0096】
なお、従来の地図データ表示処理のように交差点を複数の道路に関する道路ポリゴンの重ね合わせで表現する手法を使って、上述したトンネル内合流部を表示する場合、道路ポリゴン間の重ね合わせを考慮してトンネル壁や天井などの表示位置を新たに計算しなければならない。
【0097】
これに対して、本実施の形態3の装置では、交差点における道路ポリゴンの重なり部分を含まない交点ポリゴンのリンクに平行な線分上にトンネル壁を表示し、トンネルの天井については交点ポリゴン及びその交点で規定される交差部分の位置に天井を重ね合わせるだけでよい。これにより、上述したようなトンネル内合流部の表示に新たな演算や位置判定を実行する必要がない。
【0098】
また、従来では、交差点内で重ね合わさった道路ポリゴンについてトンネル壁の表示位置を算出した結果、トンネル内合流部に突出するようにトンネル壁を表示させてしまうような不具合が生じる場合があったが、本実施の形態3では、交差点における道路ポリゴンの重なり部分を含まない交点ポリゴンを用いることから、このような不要なトンネルの壁をカットすることが可能となる。
【0099】
以上のように、この実施の形態3によれば、交点ポリゴン68を用いてトンネルの壁69と天井70,74を表示し、各リンク列の交点ポリゴン間の交点71,72,73を用いて交差点部分の天井74を表示している。これにより、トンネル壁や天井などの表示位置を新たに計算する必要がなく、表示更新速度を向上させることができる。また、道路が接続する部分に不要な壁が表示されることがなく、トンネル内合流部について現実のトンネルに近い正確な表示を実現することができる。
【0100】
実施の形態4.
本実施の形態4では、道路に付属する表示物として車線を有する道路を表示する場合について説明する。なお、本実施の形態4によるナビゲーション装置の基本的な構成は、図1で示した上記実施の形態1の構成と同一である。ここでは、ポリゴン生成部5が、新たに交差点内ポリゴンを生成し、ポリゴン加工部6が、上記実施の形態1〜3で説明した道路表示に加え、交差点内ポリゴンを用いて道路に車線を表示するための表示データを生成する。
【0101】
次に動作について説明する。
図18は、この発明の実施の形態4によるナビゲーション装置の動作を示すフローチャートであり、道路データ取得処理から車線を施した道路表示データを生成して道路表示するまでの処理を示している。先ず、データ取得部4が、地図データ記憶部1に格納された道路リンク情報の道路データを取得し、上記実施の形態1における図3で示したような構造で内部メモリに格納する(ステップST1c)。
【0102】
次に、ポリゴン生成部5は、データ取得部4が取得した道路データを内部メモリから読み出して、道路データを現実に近い形で表示するための道路データ加工処理を実行する(ステップST2c)。具体的には、上記実施の形態1における図4に示すフローチャートに従って、道路データを用いてリンクを現実の道路に近い形で表示するための道路ポリゴンを生成する。
【0103】
続いて、ポリゴン生成部5は、ステップST2cで生成した基本道路ポリゴン、交点ポリゴン及び交差点外ポリゴンに加え、交差点内の道路範囲を規定するポリゴンである交差点内ポリゴンを生成する(ステップST3c)。この交差点内ポリゴンの生成処理を図19を用いて説明する。図19(a)に示す三差路において、ポリゴン生成部5は、例えばリンク列の道路データから、リンク77を含む基本道路ポリゴン75の交差点側の頂点79,80と図19(a)中に一点破線で示した交差点外ポリゴン76の交差点側の頂点78,81とを抽出し、これら頂点により図19(b)に示すような交差点内ポリゴン82を生成する。
【0104】
ポリゴン生成部5は、同様にして交差点を構成する道路の他のリンク列に設定された基本道路ポリゴン75及び交差点外ポリゴン76のそれぞれ交差点側の頂点を抽出し、これら頂点を用いて交差点内ポリゴンを生成することにより、図19(c)に示すような3つのリンク列にそれぞれ対応する交差点内ポリゴン82,83,84を生成する。これら交差点内ポリゴン82,83,84は、交差点ノードを交差する基本道路ポリゴンについてリンクに平行な線分間の交点を結ぶことで交差点内の道路範囲を規定することになる。また、これら交差点内ポリゴンに関するデータは、他の道路ポリゴンと同様にポリゴン生成部5によりリンク列の道路データとして設定される。
【0105】
次に、ポリゴン加工部6は、道路に車線を表示する場合、上記実施の形態1と同様にして基本道路ポリゴンに車線付きのテクスチャをマッピングすることで車線を有する道路の表示データを生成することができる。しかしながら、交差点の道路に車線を表示する場合に不具合が生じる。
【0106】
例えば、図20(a)に示すような交差点の各道路のリンク列に設定された基本道路ポリゴン75に車線付きテクスチャ85をマッピングすると、その表示順序によって、図20(b)に示すように車線が途切れたり、交差点内に車線が突出するような表示がなされてしまう。
【0107】
この不具合に対して、本実施の形態4によるポリゴン加工部6では、基本道路ポリゴン75と交差点内ポリゴン82,83,84を用いることにより正しい車線表示を実現できる。以下、図21及び図22を用いて具体的な処理を説明する。
【0108】
交差点内に車線を表示せず、無地の道路にする場合、例えば図21(a)中に破線で示した基本道路ポリゴン若しくは交差点外ポリゴンに対して車線付きのテクスチャ85をマッピングし、前述のようにして求めた交差点内ポリゴン82,83,84に無地のテクスチャ86をマッピングする方法が考えられる。
【0109】
このようにして生成した表示データでは、図21(b)に示すように、交差点内部が無地であるため、交差点内であっても途切れるべきでない車線(例えば、歩道の線)も不可避的に途切れてしまう。また、車線を正しく再現するために、両側1車線テクスチャ87を各リンク列の交差点内ポリゴン82,83,84にマッピングすると、図21(c)に示すように交差点内部にも車線が表示されてしまう。
【0110】
そこで、本実施の形態4によるポリゴン加工部6では、先ず、図22(a)に示すように、交差点内ポリゴン82,83,84に対して両側1車線テクスチャ87をマッピングする(ステップST4c)。図示の例では、交差点内ポリゴン82,83の枠内に一致するようにテクスチャ87のサイズを変更してマッピングし、これに重なるように交差点内ポリゴン84にテクスチャ87をマッピングする。これにより、図21(c)で説明した場合と同様に、図22(b)に示すような車線が交差点内に表示された状態となる。
【0111】
次に、ポリゴン加工部6は、交差点内ポリゴン82,83,84の枠内に無地テクスチャ88を縮めたテクスチャ88をマッピングする(ステップST5c)。具体的には、両側1車線テクスチャ87の両端に付された歩道線間が無地となるように、当該歩道線間の幅に無地テクスチャを縮小したテクスチャ88を生成する。
【0112】
例えば、交差点内ポリゴン84の枠内に一致するようにテクスチャ88のサイズを変更してマッピングする。同様に、交差点内ポリゴン82,83にもテクスチャ88をマッピングし、図22(b)に示すテクスチャに上書きする形で表示する。さらに、交差点外ポリゴンを用いて交差点外の道路を上書きする形で表示する(ステップST6c)ことで、図22(c)に示すような、若干車線が途切れるもののほぼ正しい表示が可能な道路表示データを生成することができる。
【0113】
なお、上述したように無地テクスチャのサイズを適宜変更して交差点内ポリゴンにマッピングすることにより、例えば1つの道路が鋭角に接続する交差点においても現実に近い正しい車線表示を実現することができる。図23(a)は、1つの道路が鋭角に接続する交差点を各道路の道路データにより表現した図であり、交差点で直列に接続する道路の交差点内ポリゴン89a,89bと、交差点で鋭角に接続する道路の交差点内ポリゴン89cとを示している。
【0114】
ステップST4cの処理として、交差点内ポリゴン89cの枠内に一致するように両側1車線テクスチャ87のサイズを変更してマッピングし、これに重なるように交差点内ポリゴン89a,89bにテクスチャ87をマッピングする。接続する道路の角度によって、交差点内ポリゴン89cが交差点外ポリゴンと重なってしまい、図23(b)中に拡大して示すようになることがある。このような場合も、上述した方法により図23(c)に示す表示が可能である。
【0115】
以上のように、この実施の形態4によれば、車線付きテクスチャを交差点ポリゴンにマッピングし、交差点部分で新たな交差点内ポリゴンを生成して不要な車線を除くように車線付きテクスチャを重ねてマッピングする。これにより、車線表示を実現し、交差点内の車線も正確に表示可能となる。従って、現実に近い道路表示が可能である。
【0116】
実施の形態5.
本実施の形態5では、道路の合流部を表示する場合について説明する。なお、本実施の形態5によるナビゲーション装置の基本的な構成は、図1で示した上記実施の形態1の構成と同一である。ここでは、ポリゴン加工部6が、上記実施の形態1〜4で説明した道路表示に加えて、道路ポリゴンを用いて道路の合流部を表示するための表示データを生成する。なお、道路の合流部とは、主に高速道路において、ランプリンクと本線リンクとが合流する部分を指し、合流する点を合流点と呼ぶ。
【0117】
次に動作について説明する。
図24は、この発明の実施の形態5によるナビゲーション装置の動作を示すフローチャートであり、道路データ取得処理からトンネル内合流部における天井を表示するまでの処理を示している。先ず、データ取得部4が、地図データ記憶部1に格納された道路リンク情報の道路データを取得し、上記実施の形態1における図3で示したような構造で内部メモリに格納する(ステップST1d)。
【0118】
次に、ポリゴン生成部5は、データ取得部4が取得した道路データを内部メモリから読み出して、道路データを現実に近い形で表示するための道路データ加工処理を実行する(ステップST2d)。具体的には、上記実施の形態1における図4に示すフローチャートに従って、道路データを用いてリンクを現実の道路に近い形で表示するための道路ポリゴンを生成する。
【0119】
続いて、ポリゴン加工部6は、ステップST2dで道路ポリゴンが設定されたリンク列のうち、合流部におけるランプリンクに帰属される道路種別が設定されているリンク列を抽出し、ランプ線を施した道路表示データの生成して表示部7に表示させる(ステップST3d)。以下、ランプ線を施した道路表示データの生成処理を図25を用いて具体的に説明する。
【0120】
図25は、ランプリンクと本線リンクとが合流する合流部を示している。図25(a)では、本線リンク90,91とランプリンク92が合流点で合流している。先ず、ポリゴン加工部6は、図25(b)に示すように、ランプリンク92についてステップST2dで生成された基本道路ポリゴン93に両側1車線テクスチャ87をマッピングする。
【0121】
次に、ポリゴン加工部6は、本線の合流部において、本線リンク90に設定された交差点外ポリゴンの合流点側の頂点94a,94bと基本道路ポリゴンの合流点側の頂点95a,95bを結んでなる交差点内ポリゴンに対して点線付きテクスチャ96をマッピングする(図25(c)参照)。この表示データに対して、ポリゴン加工部6は、図25(d)に示すように、本線リンク90,91の交差点外ポリゴンに車線付きテクスチャ85をマッピングする。
【0122】
ステップST5dにおいて、上述のようにして生成した表示データを表示部7に表示することで、図25(e)に示すように、ランプリンクが点線を介して本線リンクに合流する現実の合流部に近い表示が可能となる。
【0123】
以上のように、この実施の形態5によれば、合流部分において交差点外ポリゴンの頂点と基本道路ポリゴンの頂点を結んでなる交差点内ポリゴンに合流用点線付きテクスチャをマッピングするので、高速道路などの合流部における点線表示を現実の状態に近い形を実行することができる。
【0124】
実施の形態6.
本実施の形態6では、道路に付属する表示物として停止線を有する道路を表示する場合について説明する。なお、本実施の形態6によるナビゲーション装置の基本的な構成は、図1で示した上記実施の形態1の構成と同一である。ここでは、ポリゴン加工部6が、上記実施の形態1〜5で説明した道路表示に加え、道路ポリゴンを用いて道路に停止線を表示するための表示データを生成する。
【0125】
次に動作について説明する。
本実施の形態6においても、上記実施の形態で示した道路の車線表示を行う処理と同様に、リンクに設定された道路ポリゴンに停止線付きのテクスチャをマッピングすることにより停止線表示を行う。ここで、該当リンクが交差点に接続している場合、同様の車線数で停止線を付けたテクスチャをマッピングする。
【0126】
道路ポリゴンにテクスチャをマッピングする場合、従来のように矩形状でない道路ポリゴンが生成されていると、テクスチャの画像にひずみが生じ、車線や停止線を正確に表示することが困難となる。
【0127】
具体例を挙げて説明すると、図26(a)に示すように、基本道路ポリゴン、交点ポリゴン、交差点外ポリゴンなどの道路ポリゴン97が矩形状であるならば、これに停止線付きテクスチャ98をマッピングすることで、図26(b)に示すような現実に近い正常な停止線の道路99を表示することが可能である。これに対して、図26(c)に示すように矩形状でない台形状の道路ポリゴン100であると、これに停止線付きテクスチャ98をマッピングすると、図26(d)に示すように停止線が斜めになった道路101が表示される。
【0128】
これに対して、本発明による交差点外ポリゴンは、リンクに平行な線分に対して交差点ノードから同じ比になる点をそれぞれ算出して生成するため、交差点外ポリゴンが確実に矩形状に近い形となる。これにより、停止線が斜めに表示されるといった問題を解決することができる。例えば、図27(a)に示すような交差点においても、交差点外ポリゴン102a,102b,102cが矩形状に近い形状になる。これら交差点外ポリゴン102a,102b,102cに対して停止線付きテクスチャ98をマッピングすることで、図27(b)に示すように、各車線の停止線を現実に近い正しい形で表示できる。
【0129】
以上のように、この実施の形態6によれば、交差点外ポリゴンで規定される範囲内に停止線付きテクスチャをマッピングすることにより、交差点に接続する道路に停止線を表示する。この交差点外ポリゴンは、隣り合う基本道路ポリゴンとの道路リンクに平行な線分間の交点を基点として交差点内の道路範囲を含まぬように端辺を設けてなり必ず矩形状になることから、停止線のように道路に対して垂直に引いた線がテクスチャのマッピング対象図形の形状による影響を受けてひずんでしまう現象を抑制することができる。これにより、現実に近い状態での道路表示が可能である。
【0130】
実施の形態7.
本実施の形態7では、道路に付属する表示物として信号を表示する場合について説明する。なお、本実施の形態7によるナビゲーション装置の基本的な構成は、図1で示した上記実施の形態1の構成と同一である。ここでは、ポリゴン生成部5が、上記実施の形態4と同様に交差点内ポリゴンを生成し、ポリゴン加工部6が、上記実施の形態1〜6で説明した道路表示に加え、交差点内ポリゴンを用いて信号を表示するための表示データを生成する。
【0131】
本発明による交差点外ポリゴンは、交差点を構成する道路リンクの基本道路ポリゴンにおける交差点側の頂点を除いた矩形状の道路ポリゴンであって、道路リンクに直交する交差点側の端辺を与える。つまり、この端辺上に表示物を表示することで、自車からの視野で交差点を見ると、この表示物を正面に見ることができる。
【0132】
また、本発明による交差点内ポリゴンは、交差点を構成する道路リンクの基本道路ポリゴンの交差点側の頂点と交差点外ポリゴンの交差点側の頂点とにより規定される。つまり、交差点内ポリゴンは、交差点ノードを交差する基本道路ポリゴンについてリンクに平行な線分間の交点を結ぶことで交差点内の道路範囲を規定する。
【0133】
本実施の形態7によるナビゲーション装置では、交差点の道路データに対して、上記実施の形態と同様に交差点外ポリゴンと交差点内ポリゴンを生成し、これを用いて道路に付属する表示物を表示する。特に、ポリゴン加工部6は、地図データに含まれる道路に付属する表示物として例えば信号モデル105,106を取得して、交差点外ポリゴン若しくは交差点内ポリゴンで規定される表示点に表示する。
【0134】
例えば、交差点内ポリゴンを用いる場合について説明する。
先ず、ポリゴン生成部5が、図28(a)に示すような道路リンク300に対して交差点内ポリゴン302を生成する処理を、各リンクについて行う。そして、ポリゴン加工部6が、交差点内ポリゴンの頂点及び交差点ノード301を、交差点内における信号の表示候補点とする。
【0135】
これにより、ポリゴン加工部6が、図28(b)に示すように、交差点内の各道路の進行方向に対して左奥に位置する候補点(交差点における進行方向を横切る道路を跨いだ道路左奥)に信号モデル105を表示することができる。なお、この場合、実施の形態7によるナビゲーション装置に対して自車の位置と進行方向を指定することで、ポリゴン加工部6が、当該指定情報を基に各表示候補点から上記左奥の表示点を特定する。
【0136】
また、自車の位置と進行方向を指定することで、図28(c)に示すように、進行方向に対して右手前に位置する表示候補点に信号モデル105を表示でき、交差点における全ての候補点に表示点として自由に選択することもできる。このように、本実施の形態7では、交差点内における現実の表示位置に合わせて信号を表示することができることから、交差点における現実に即した表示を実現できる。
【0137】
さらに、図28(c)に示すように、両車線に対して信号表示ができる信号モデル106を地図データから取得すれば、リンクが交差する交差点ノード301を表示位置として選択して交差点の中央に信号モデル106を表示することも可能である。また、交差点内ポリゴンと道路リンクとの交点を算出し、候補点として選択すれば、道路の左右によらず、その中央に信号モデル106を表示することもできる。
【0138】
例えば、五差路や六差路のように交差点内で各道路に対して信号などの表示物を表示すると、表示物間の重なりなどにより表示物が見難くなるおそれがある。そこで、自車の位置と進行方向に関する指定情報に応じて信号の表示が切り替わる信号モデルなどを用いれば、五差路や六差路のような複雑な交差点であっても、交差点の中央に信号を表示したり、交差点内の道路リンク上の表示候補点を選択して道路の中央に信号を表示することで、信号の視認性を損なうことがない。
【0139】
以上のように、この実施の形態7によれば、交差点に接続する各道路の交差点内ポリゴン間の交点で規定される表示点に信号モデルを位置づけることにより交差点の信号を表示するので、信号を任意の位置に表示することが可能となる。
【0140】
これにより、現実の世界における多くの交差点で見受けられる、車両の進行方向を横切る道路を跨いだ道路左奥に信号を表示することが可能である。この信号表示は、従来のナビゲーション装置における地図データ表示ではその表示候補点を簡易に求める技術がなく実現されていなかった。
【0141】
なお、特に交差点外ポリゴン若しくは交差点内ポリゴンを規定することなく、交差点を構成する道路リンク及びこれに平行な線分の交点から交差点内で道路リンクに直交する端辺を与える点を算出して信号の表示候補点としてもよい。この場合、上述したように自車の位置と方向を指定することで信号モデルの表示候補点を特定することができる。
【0142】
また、上記実施の形態1から7までのナビゲーション装置には、当該装置が搭載された自車の位置とその進行方向に関する情報を指定することで、運転者からの視野(ドライバーズビュー)で道路及びこれに付属する表示物を表示する構成も含むものとする。この場合、例えば自車の位置とその進行方向に関する情報に基づく道路ポリゴンをポリゴン生成部5が生成し、これに基づきポリゴン加工部6がドライバーズビューでの道路表示データを生成する。
【0143】
さらに、上記実施の形態1から7までの地図表示を行う地図データ表示装置には、外部から視野に関する情報を受け付ける構成も含むものとし、この構成を介して指定された視野での地図データ表示を実行する。例えば、データ取得部4が外部から視野に関する情報を受け付け、この情報に基づいてポリゴン生成部5が指定された視野での道路ポリゴンを生成し、この道路ポリゴンを含む道路データに基づきポリゴン加工部6が指定された視野での道路表示データを生成する。
【図面の簡単な説明】
【0144】
【図1】この発明の実施の形態1によるナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図2】実施の形態1によるナビゲーション装置の動作を示すフローチャートである。
【図3】道路データの格納態様を示す図である。
【図4】図2中の道路データ加工処理の詳細を示すフローチャートである。
【図5】基本道路ポリゴンの生成処理を説明する図である。
【図6】交点ポリゴンの生成処理を説明する図である。
【図7】交差点外ポリゴンの生成処理を説明する図である。
【図8】交差点外ポリゴンの生成処理を説明する図である。
【図9】高さデータを持った道路についてのポリゴン生成を説明する図である。
【図10】道路ポリゴンに道路テクスチャをマッピングする処理を説明する図である。
【図11】渋滞情報の表示処理を説明する図である。
【図12】渋滞情報の表示処理を説明する図である。
【図13】高さを持った道路における渋滞情報の表示処理を説明する図である。
【図14】この発明の実施の形態2によるナビゲーション装置の動作を示すフローチャートである。
【図15】実施の形態2のナビゲーション装置による側壁表示処理を説明するための図である。
【図16】この発明の実施の形態3によるナビゲーション装置の動作を示すフローチャートである。
【図17】実施の形態3のナビゲーション装置によるトンネル表示処理を説明するための図である。
【図18】この発明の実施の形態4によるナビゲーション装置の動作を示すフローチャートである。
【図19】実施の形態4のナビゲーション装置による車線表示処理を説明するための図である。
【図20】実施の形態4による車線表示処理を説明する図である。
【図21】実施の形態4による車線表示処理を説明する図である。
【図22】実施の形態4による車線表示処理を説明する図である。
【図23】実施の形態4による車線表示処理を説明する図である。
【図24】この発明の実施の形態5によるナビゲーション装置の動作を示すフローチャートである。
【図25】実施の形態5による合流部の表示処理を説明する図である。
【図26】この発明の実施の形態6によるナビゲーション装置の停止線表示処理を説明する図である。
【図27】実施の形態6による停止線の表示処理を説明する図である。
【図28】この発明の実施の形態7によるナビゲーション装置の信号表示処理を説明する図である。
【符号の説明】
【0145】
1 地図データ記憶部、2 渋滞情報取得部、3 マッチングリンク探索部、4 データ取得部、5 ポリゴン生成部、6 ポリゴン加工部、7 表示部、8 リンク列、9,10,21,40〜43,54,57,58 道路ノード、11,18〜20,32,33,37〜39,64,77,300 道路リンク、12,13,24,25,27,28,55,56,78〜81,94a,94b,95a,95b 頂点、14,29,30,36,44,45,65,66 線分、15,16,22,23,34,35,46,47,71〜73 交点、17,48,61,75,93 基本道路ポリゴン、26,53,68 交点ポリゴン、31,50,76,102a,102b,102c 交差点外ポリゴン、49 道路テクスチャ、51,52,59,60,62,63 渋滞情報テクスチャ、67 側壁、69 トンネル壁、70,74 天井、82〜84,89a,89b,89c,302 交差点内ポリゴン、85 車線付きテクスチャ、86 無地テクスチャ、87 両側1車線テクスチャ、88 縮小した無地テクスチャ、90,91 本線リンク、92 ランプリンク、96 点線付きテクスチャ、97 道路ポリゴン、98 停止線付きテクスチャ、99 正常な停止線の道路、100 台形状の道路ポリゴン、101 停止線が斜めになった道路、105,106 信号モデル、301 交差点ノード。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
道幅、道路種別、道路ノード及び道路リンクで道路を表現する道路リンク情報を取得するデータ取得部と、
前記道路リンク情報を用いて、道路リンク及びこれに平行な線分で道幅付き道路を表現し、交差点ノードを交差する各道幅付き道路ごとに、交差点に接続するまでの道路範囲を規定するポリゴン及び/又は前記交差点内の道路範囲を規定するポリゴンを生成するポリゴン生成部と、
前記ポリゴン生成部で生成されたポリゴンを用いて前記道路リンク情報により規定される交差点を通る道路に関する道路表示データを生成するポリゴン加工部と
を備えた地図データ表示装置。
【請求項2】
ポリゴン生成部は、交差点に接続するまでの道路範囲を規定するポリゴンとして、交差点ノードを交差する各道幅付き道路について隣り合う道幅付き道路との道路リンクに平行な線分間の交点を前記交差点ノードを含まぬように結んだ交点ポリゴン、及び/又は、前記交差点ノードを交差する各道幅付き道路について隣り合う道幅付き道路との道路リンクに平行な線分間の交点を基点として前記交差点内の道路範囲を含まぬように端辺を設けた交差点外ポリゴンを生成することを特徴とする請求項1記載の地図データ表示装置。
【請求項3】
ポリゴン生成部は、交差点内の道路範囲を規定するポリゴンとして、交差点ノードを交差する各道幅付き道路について道路リンクに平行な線分間の交点を結んで前記交差点内の道路範囲を規定した交差点内ポリゴンを生成することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の地図データ表示装置。
【請求項4】
ポリゴン加工部は、交点ポリゴンの道路リンクに平行な線分上に側壁画像を位置づけて交差点での道路に側壁を設けた道路表示データを生成することを特徴とする請求項2記載の地図データ表示装置。
【請求項5】
ポリゴン加工部は、トンネル内合流部の道路表示データを生成するにあたり、交点ポリゴンの道路リンクに平行な線分上にトンネル壁画像を位置づけ、前記合流部に接続する道路のうちの合流点を含まない道路範囲には前記各交点ポリゴンで規定される道路範囲に対応してトンネル天井画像を位置づけ、前記合流部内の合流点を含む道路範囲には前記合流部に接続する交点ポリゴン間の関係で特定した形状のトンネル天井画像を位置づけて前記トンネル内合流部の道路表示データを生成することを特徴とする請求項2記載の地図データ表示装置。
【請求項6】
ポリゴン加工部は、交差点外ポリゴンで規定される範囲内に停止線付きテクスチャをマッピングすることにより、交差点に接続する道路に停止線を表示する道路表示データを生成することを特徴とする請求項3記載の地図データ表示装置。
【請求項7】
ポリゴン加工部は、交差点内ポリゴンで規定される範囲内に車線付きテクスチャをマッピングし、不要な車線に無地テクスチャを重ねてマッピングすることにより、交差点内の車線付き道路を表示する道路表示データを生成することを特徴とする請求項3記載の地図データ表示装置。
【請求項8】
ポリゴン加工部は、点線付きテクスチャを本線リンクの交差点内ポリゴンで規定される範囲内にマッピングすることにより、前記本線リンクに対して前記ランプリンクが合流する合流部に点線を表示する道路表示データを生成することを特徴とする請求項3記載の地図データ表示装置。
【請求項9】
ポリゴン加工部は、交差点ノード、交差点に接続する各道路の交差点内ポリゴンの頂点、及び前記交差点内ポリゴンと道路リンクとの交点のうちのいずれかで規定される表示点に信号モデルを位置づけることにより、前記交差点の信号を表示する道路表示データを生成することを特徴とする請求項3記載の地図データ表示装置。
【請求項10】
ポリゴン加工部は、交差点に接続する道路に関してポリゴン生成部が生成したポリゴンで規定される範囲内に道路渋滞情報を表示することにより、前記交差点内及び/又はこれに接続するまでの道路範囲における渋滞情報を表示する道路表示データを生成することを特徴とする請求項1から請求項9のうちのいずれか1項記載の地図データ表示装置。
【請求項11】
道幅、道路種別、道路ノード及び道路リンクで道路を表現する道路リンク情報を取得するデータ取得ステップと、
前記道路リンク情報を用いて、道路リンク及びこれに平行な線分で道幅付き道路を表現し、交差点ノードを交差する各道幅付き道路について隣り合う道幅付き道路との道路リンクに平行な線分間の交点を前記交差点ノードを含まぬように結んだ交点ポリゴン、前記交差点ノードを交差する各道幅付き道路について隣り合う道幅付き道路との道路リンクに平行な線分間の交点を基点として前記交差点内の道路範囲を含まぬように端辺を設けた交差点外ポリゴン、前記交差点ノードを交差する各道幅付き道路について道路リンクに平行な線分間の交点を結んで前記交差点内の道路範囲を規定した交差点内ポリゴン、のうちの少なくともいずれかを生成するポリゴン生成ステップと、
前記ステップで生成されたポリゴンを用いて前記道路リンク情報により規定される交差点を通る道路に関する道路表示データを生成するポリゴン加工ステップと、
前記ステップで生成された道路表示データを表示部に表示するデータ表示ステップと
を備えた地図データ表示方法。
【請求項12】
請求項1から請求項10のうちのいずれか1項記載の地図データ表示装置と、
自装置が搭載された移動体の位置及びその進行方向に基づく視野で前記地図データ表示装置が生成した道路表示データを表示する表示部と
を備えたナビゲーション装置。
【請求項13】
交差点に接続する各道路の道路リンク及びこれに平行な線分の前記交差点内における交点で規定した表示点のうち、自装置が搭載された移動体の位置及びその進行方向に基づいて特定される、前記交差点で進行方向を横切る道路を跨いだ道路左奥の表示点に信号を表示するナビゲーション装置。
【請求項14】
道幅、道路種別、道路ノード及び道路リンクで道路を表現する道路リンク情報を取得するデータ取得部、
前記道路リンク情報を用いて、道路リンク及びこれに平行な線分で道幅付き道路を表現し、交差点ノードを交差する各道幅付き道路について隣り合う道幅付き道路との道路リンクに平行な線分間の交点を前記交差点ノードを含まぬように結んだ交点ポリゴン、前記交差点ノードを交差する各道幅付き道路について隣り合う道幅付き道路との道路リンクに平行な線分間の交点を基点として前記交差点内の道路範囲を含まぬように端辺を設けた交差点外ポリゴン、前記交差点ノードを交差する各道幅付き道路について道路リンクに平行な線分間の交点を結んで前記交差点内の道路範囲を規定した交差点内ポリゴン、のうちの少なくともいずれかを生成するポリゴン生成部、
前記ポリゴン生成部で生成されたポリゴンを用いて前記道路リンク情報により規定される交差点を通る道路に関する道路表示データを生成するポリゴン加工部
としてコンピュータを機能させる地図データ表示プログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate


【公開番号】特開2006−215378(P2006−215378A)
【公開日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−29324(P2005−29324)
【出願日】平成17年2月4日(2005.2.4)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】