説明

地図入力装置

【目的】 カラー地図の色質を落すことなくカラー地図とその他の地図とのオーバーレイ表示や動画映像等のマルチメディア属性情報との合成表示を行うことができるとともに、更新処理を容易に行える地図入力装置を得ることを目的とする。
【構成】 第1の入力手段3により裁断原稿2を読み取らせ、RGB各8ビットの入力イメージデータ5に変換し、各入力イメージデータ5を色変換手段6によりカラーパレット3aに基づいて色変換イメージデータ7に変換する。次に、接合手段8により、色変換イメージデータ7を接合イメージデータ9とする。そして、ファイル12にカラーパレット3aと接合イメージデータ9とを記録する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、カラー地図原稿を実用上画質を損ねない範囲で色圧縮してデータ量を削減することができるとともに、カラー地図原稿の一部の更新に対して効率よく地図データを更新できる地図入力装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、複数地点の最適経路の探索や、立体地図・写真地図(メッシュ形式地図)、等高線地図(ベクトル形式地図)等の複数の地図をオーバレイ表示させることによる空間解析や、マルチメディア属性情報であるビデオ映像等の動画映像、写真・音声等との合成表示ができる地図入力装置がある。図14は例えば特開平5−303621号公報に示された従来の地図入力装置を示す構成図であり、図において、51はカラー地図原稿、52はカラー地図原稿51のイメージ情報53を読み込むイメージスキャナ、54はイメージスキャナ52で読み込んだイメージ情報53を整数分の1に分割した分割イメージ情報、55は分割イメージ情報54を記録するメモリ、56はメモリ55に記録されている分割イメージ情報54を表示するディスプレイ装置であり、例えば256色のカラー表示を行うことができる。
【0003】次に、動作について説明する。まず、カラー地図原稿51のイメージ情報53をイメージスキャナ52で読み取り、この読み込まれたイメージ情報53をそのままの状態でメモリ55の作業領域に一旦格納した後に、整数分の1に分割した分割イメージ情報54をディスク(図示なし)に蓄える。そして、表示する際には、分割イメージ情報54の1つまたは複数をメモリ55に読み出し、ディスプレイ装置56に表示する。このイメージ情報53を分割イメージ情報54に分割し利用する理由は、例えば、カラー地図原稿51の一部の箇所に修正が生じたときに、1つのイメージ情報53のままでは、常にカラー地図原稿51の全てのイメージ情報を読み出す必要があり、表示速度が遅くなるためである。
【0004】ところで、従来の地図入力装置にあってはベクトル形式やメッシュ形式の地図データをディスプレイ装置56に表示する場合、約16色の色データを割り当てる必要があり、また、動画映像等のマルチメディア属性情報との合成表示を行う場合、約128色の色データを割り当てる必要がある。しかし、従来の地図入力装置のイメージスキャナ52でカラー地図を読み込んだ場合、カラー地図で使用されている色は、通常8色〜数十色であるが、カラー地図の色むら、光源の色むら、センサのノイズなどにより約128色から約256色でディスプレイ装置56に表示されていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来の地図入力装置は以上のように構成されているので、256色表示のディスプレイ装置56にカラー地図を表示させた場合、そのままでは、ベクトル形式やメッシュ形式の地図とのオーバーレイ表示、及びカラー地図とマルチメディア属性情報との合成表示ができない。従って、カラー地図とベクトル形式やメッシュ形式の地図とのオーバーレイ表示、及びカラー地図とマルチメディア属性情報との合成表示を行うために、カラー地図における色数を制限する必要がある。しかし、単にイメージスキャナ52で読みとれる色データを代表色の数十色に固定すると、種々のカラー地図原稿に応じて代表色を変更することができない。従って、元の色調とは異なる色調のカラー地図がイメージ情報53として入力される場合があり、そのような場合には、ディスプレイ装置56に表示されるカラー地図が元のカラー地図の色調と異なったものになってしまうという問題点があった。
【0006】また、カラー地図原稿51を整数倍に分割した分割イメージ情報54の画素サイズとディスプレイ装置56の表示及びスクロール速度に最適(最高速)な画素サイズ57とが一致しなかった場合、すなわち、図1515に示すようにディスプレイ装置56の最適な画素サイズ57が512×512画素(点線)であり、分割イメージ情報54の画素サイズが700×700画素(実線)であった場合、初めに表示される分割イメージ情報54には、ディスプレイ装置56の画素(A),画素(B)の一部,画素(C)の一部,画素(D)の一部が含まれる。したがって、分割イメージ情報54の一部の範囲(斜線領域m)を更新した場合、画素(A),画素(B),及び画素(C)の履歴は画素(D)の履歴と異なるため、変移履歴管理(バージョン管理)が複雑になり、更新処理が困難であるなどの問題点があった。
【0007】請求項1から請求項3の発明は上記のような問題点を解消するためになされたもので、カラー地図の色質を落すことなくカラー地図とベクトル形式やメッシュ形式の地図とのオーバーレイ表示やカラー地図と動画映像等のマルチメディア属性情報との合成表示を行うことができる地図入力装置を得ることを目的とする。
【0008】請求項4から請求項6の発明は、変移履歴管理を容易にし、更新処理を容易に行える地図入力装置を得ることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明に係る地図入力装置は、カラーパレット作成手段がカラー地図原稿の中から使用されている複数の色を代表色として選択し、これらの代表色をRGB値として表した色値と、この各色値に対して設定されたエントリアドレスとを有するカラーパレットを作成し、第1の入力手段がカラー地図原稿を裁断して得られた複数の裁断原稿をRGBイメージデータとして裁断原稿毎に入力するとともに、色変換手段がRGBイメージデータの全画素について、カラーパレットの中から最も近似の色値を求め、この色値のエントリアドレスに変換することにより色変換イメージデータとし、接合手段が色変換イメージデータ同士をカラー地図原稿の位置関係と一致するようにつなぎ合わせ、接合イメージデータとするようにしたものである。
【0010】請求項2の発明に係る地図入力装置は、カラーパレット作成手段が裁断原稿から選択されたカラーパレット作成用裁断原稿をRGBイメージデータとして入力し、このRGBイメージデータの中から使用されている複数の色を代表色として選択し、カラーパレットを作成するようにしたものである。
【0011】請求項3の発明に係る地図入力装置は、カラーパレット作成手段がRGBイメージデータでの任意の領域を選択し、このRGBイメージデータの中から使用されている複数の色を代表色として選択し、カラーパレットを作成するようにしたものである。
【0012】請求項4の発明に係る地図入力装置は、ブロック化手段が接合手段で接合された接合イメージデータを計算機で管理するために一定サイズのブロックイメージデータを複数に分割し、これらのブロックイメージデータのカラー地図原稿での位置関係を記録したブロック管理データを作成するとともに、更新手段がカラー地図原稿に修正を加える場合、修正箇所を有する裁断原稿のブロックイメージデータのみをファイルから読み出し、修正を加えた後に再度、一定サイズのブロックイメージデータに分割し、これらのブロックイメージデータの上記ブロック管理データを作成するようにしたものである。
【0013】請求項5の発明に係る地図入力装置は、更新手段が既存のブロックイメージデータと更新されたブロックイメージデータとを対応付けるデータも含めてブロック管理データを更新するとともに、記録手段は更新されたブロックイメージデータを別の新たなファイルに記録するようにしたものである。
【0014】請求項6の発明に係る地図入力装置は、再編成手段がファイルに記録されているバージョン番号以前のブロックイメージデータを破棄し、残されたブロックイメージデータに対応するブロック管理データを再編するようにしたものである。
【0015】
【作用】請求項1の発明における地図入力装置は、カラーパレット作成手段によりカラー地図原稿の中から使用されている複数の色を代表色として選択し、これらの代表色をRGB値として表した色値と、この各色値に対して設定されたエントリアドレスとを有するカラーパレットを作成し、第1の入力手段によりカラー地図原稿を裁断して得られた複数の裁断原稿をRGBイメージデータとして裁断原稿毎に入力するとともに、色変換手段によりRGBイメージデータの全画素について、カラーパレットの中から最も近似の色値を求め、この色値のエントリアドレスに変換することにより色変換イメージデータとし、接合手段により色変換イメージデータ同士をカラー地図原稿の位置関係と一致するようにつなぎ合わせ、接合イメージデータとすることにより、カラー地図の色質を落すことなくカラー地図原稿とベクトル形式やメッシュ形式の地図とのオーバーレイ表示やカラー地図原稿と動画映像等のマルチメディア属性情報との合成表示を行うことができるようになる。
【0016】請求項2の発明における地図入力装置は、カラーパレット作成手段により裁断原稿から選択されたカラーパレット作成用裁断原稿をRGBイメージデータとして入力し、このRGBイメージデータの中から使用されている複数の色を代表色として選択し、カラーパレットを作成することにより、カラー地図の画質を落すことなくカラー地図原稿とベクトル形式やメッシュ形式の地図とのオーバーレイ表示やカラー地図原稿と動画映像等のマルチメディア属性情報との合成表示を行うことができるようになる。
【0017】請求項3の発明における地図入力装置は、カラーパレット作成手段によりRGBイメージデータでの任意の領域を選択し、このRGBイメージデータの中から使用されている複数の色を代表色として選択し、カラーパレットを作成することにより、カラー地図の画質を落すことなくカラー地図原稿とベクトル形式やメッシュ形式の地図とのオーバーレイ表示やカラー地図原稿と動画映像等のマルチメディア属性情報との合成表示を行うことができるようになる。
【0018】請求項4の発明における地図入力装置は、ブロック化手段が接合手段により接合された接合イメージデータを計算機で管理するために一定サイズのブロックイメージデータを複数に分割し、これらのブロックイメージデータのカラー地図原稿での位置関係を記録したブロック管理データを作成するとともに、更新手段によりカラー地図原稿に修正を加える場合、修正箇所を有する裁断原稿のブロックイメージデータのみをファイルから読み出し、修正を加えた後に再度、一定サイズのブロックイメージデータにし、これらのブロックイメージデータの上記ブロック管理データを作成することにより、変移履歴管理が容易になり、更新処理も容易に行えるようになる。
【0019】請求項5の発明における地図入力装置は、更新手段により既存のブロックイメージデータと更新されたブロックイメージデータとを対応付けるデータも含めてブロック管理データを更新するとともに、記録手段は更新されたブロックイメージデータを別の新たなファイルに記録することにより、変移履歴管理が容易になり、更新処理も容易に行えるようになる。
【0020】請求項6の発明における地図入力装置は、再編成手段によりファイルに記録されているバージョン番号以前のブロックイメージデータを破棄し、残されたブロックイメージデータに対応するブロック管理データを再編することにより、変移履歴管理が容易になり、更新処理も容易に行えるようになる。
【0021】
【実施例】
実施例1.以下、この発明の一実施例を図について説明する。図1は、この発明の一実施例による地図入力装置を示す構成図であり、図2はこの発明の一実施例による地図入力装置の色変換手段6の変換方法を示す構成図である。1はカラー地図原稿、2はカラー地図原稿1を所定の大きさ(例えば、A3サイズ)に裁断した裁断原稿、3はカラーパレット作成手段、3aはカラーパレット作成手段3により作成された16色のカラーパレットであり、エントリアドレス3b及びRGBの色値3cから構成される。また、使用されている色を示した凡例があるようなカラー地図原稿1では、予め目視で代表色を選ぶことができ、その代表色を含むカラーパレット3aをエディタ等で作成できる。例えば、図2に示すようにディスプレイ12上の赤色を代表色とする場合、RGBの各値を255,0,0とし、エントリアドレス3bを0とする。
【0022】4はフルカラーイメージスキャナなどの第1の入力手段であり、A3の裁断原稿2の色データをRGB各8ビットの入力イメージデータ(RGBイメージデータ)5に変換する。6は第1の入力手段4をカラーパレット3aを用いてエントリアドレス3bで表現された色変換イメージデータ7に変換する色変換手段、8は入力された色変換イメージデータ7を空間的につなぎ合わせ、接合イメージデータ9とする接合手段である。10はカラーパレット3aと接合イメージデータ9とをファイル11に記録する第1の記録手段である。
【0023】次に、動作について説明する。図3はこの発明の一実施例による地図入力装置の接合手段8の画面接合方法を示す画面構成図である。最初に、カラー地図原稿1の全体を見ながら使用されている色、すなわち、代表色を16色抽出し、カラーパレット3aを設定する。そして、第1の入力手段4により裁断原稿2を順次読み取らせ、RGB各8ビットの入力イメージデータ5に変換する。その後、色変換手段6はカラーパレット3aに基づいて各入力イメージデータ5を色変換イメージデータ7に順次変換するが、入力イメージデータ5と同一の色変換イメージデータ7が存在しない場合は、カラーパレット3aの16色の中から、近い色値を持つ色変換イメージデータ7に変換する。詳しくは、入力イメージデータ5の各画素について、下記に示すように、画素のRGB値と全てのカラーパレット3aのRGB値のRGB空間のユークリッド距離を計算し、画素値を距離が最小のエントリアドレス3bに変換する。
【0024】16のカラーパレットのRGB(cr1,cg1,cb1)(cr2,cg2,cb2)・(cri,cgi,cbi)・(cr16,cg16,cb16),入力された画素のRGB(pr,pg,pb)の場合、全てのi(1〜16)に対して、{(pr−cri)2 +(pg−cgi)2 +(pb−cbi)2 }を計算し、その中で、最小となるiをエントリアドレス3bとする。
【0025】次に、接合手段8により、分割して入力された色変換イメージデータ7を空間的につなぎ合わせ、接合イメージデータ9とする。すなわち、図3に示すように既入力色変換イメージデータ9aの一部である接合イメージを表示させ、表示領域内13で入力色変換イメージデータ9bの接合位置を指定し、切断前のイメージデータとする。そして、第1の記録手段10によりカラーパレット3aと接合イメージデータ9とをハードディスクのファイル11として記録する。
【0026】本実施例の色変換手段6では、RGB空間のユークリッド距離でエントリアドレス3bを決定したが、YUV空間等他の空間に変換して距離計算を行っても良い。また、各画素についてRGB空間で距離計算をしたが、RGB空間のある色がどのエントリアドレス3bに対応するかを予め計算したテーブルを用意しておき、そのテーブルを参照する色変換手段6を用いても良い。例えば、入力イメージデータ5のRGBを各4ビットとし、その4096色(16×16×16)がどのエントリアドレス3bに対応するかを予め計算したテーブルを用意しておき、そのテーブルを参照する。各画素について距離計算を行うより、色変換の高速化が行える。
【0027】以上により、この実施例1によれば、入力イメージデータ5を例えば、16色の代表色からなるカラーパレット3aで色変換イメージデータ7に変換すると、256色のカラーパレット方式の標準ワークステーション上では、残りの240色は自由に使えるので、他の地図データ(ベクトルやメッシュ)とのオーバーレイ表示や動画映像などのマルチメディア属性情報との合成表示が可能となる。また、1画素当たりRGB各8ビット=24ビットのデータを4ビット(16色)に1/6にデータ圧縮を行ったことになるので、データ読み出し速度が早く、JPEG圧縮のような復号処理が不要なため、高速に表示できる。
【0028】実施例2.実施例1にあっては、予めカラー地図原稿1の全体を見ながら代表色を抽出し、カラーパレット3aを設定したが、実施例2ではカラー地図原稿1の一部に着目し、RGB空間での色出現頻度を計算することにより、代表色を自動抽出し、カラーパレット3aを設定するものである。
【0029】図4はこの発明のその他の実施例による地図入力装置のカラーパレット作成方法を示す構成図であり、図において、上記実施例と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。15は地図原稿1から裁断された裁断原稿2のうち、ほぼ全ての色が表れているカラーパレット作成用裁断原稿、16はカラーパレット作成用裁断原稿15の入力イメージデータ17を作成する第2の入力手段、18は入力イメージデータ17のRGB空間での色出現頻度を計算し、出現頻度の高い色から順にエントリアドレス3bを付けていき、カラーパレット3aを形成するカラーパレット自動作成手段である。
【0030】次に、動作について説明する。まず、代表色として抽出したい色が全て含まれており、色の出現頻度に大きな差がないカラーパレット作成用裁断原稿15の原稿を選択する。もし、山間部であれば、海の色が出てこないので、1枚以上の裁断原稿2をカラーパレット作成用裁断原稿15を選択する。次に、カラーパレット自動作成手段18において、入力イメージデータ17のRGB空間での色出現頻度を計算し、出現頻度の高い色から順にエントリアドレス3bを付けていき、カラーパレット3aを作成する。
【0031】上記のカラーパレット自動作成手段18では、代表色抽出を自動的に行ったが、図5のように対話的に抽出しても良い。図5はカラーパレット作成画面を示す画面構成図である。まず、第2の入力手段16により入力イメージデータ17を一時的にディスプレイ12に表示するが、この時点では代表色は決まっていないので、例えば、ディザ等の処理を行いディスプレイ12に表示させる。次に、ディスプレイ12に表示された入力イメージデータ17上で、代表色としたい色の部分をマウス等の操作によるカーソル14で指示し、指示された座標に相当する入力イメージデータ17のRGB値を得る。
【0032】得られた代表色は、確認のために代表色ウィンドウ19に表示され、その代表色のRGB値は、0から順にエントリアドレス3bを付けていき、カラーパレット3aを作成する。また、全ての代表色を0から決めるのではなく、地図で共通に使用される色、例えば、白色,黒色,赤色等の標準色を予め決めておき、残りの代表色を自動的に、または、対話的にカラーパレット3aに加えても良い。
【0033】以上により、この実施例2によれば、実施例1の地図入力装置にカラーパレット自動作成手段18を付け加えることにより地図全体ではなく一部の裁断原稿に対して代表色抽出を行えるので、実施例1の効果の他に、その処理速度を向上させる効果もある。
【0034】実施例3.実施例2でのカラーパレット自動作成手段18は、カラーパレット作成用裁断原稿15の入力イメージデータ17からカラーパレット3aを直接作成したが、本実施例ではカラーパレット作成用裁断原稿15の入力イメージデータ17に前処理を行い、カラーパレット3aを作成したものである。
【0035】図6はこの発明のその他の実施例による地図入力装置のカラーパレット作成方法を示す構成図であり、図において、上記実施例と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。20は入力イメージデータ17の中でオペレータが指定した領域を切り出し、切り出しイメージデータ21とする領域切り出し手段である。領域切り出し手段20は、カラーパレット自動作成手段18での代表色抽出時と同じように、入力イメージデータ17をディスプレイ12にディザ表示し、切り出し領域をカーソル14で指定し、指定された領域に相当する入力イメージデータ17の領域を切り出しイメージデータ21とする。次に、この切り出しイメージデータ21に対して、カラーパレット自動作成手段18により、カラーパレット3aを作成する。
【0036】カラー地図原稿1では、主要道などの赤色のように色の出現頻度が低いが、重要な色もある。しかし、実施例2で述べたように、カラーパレット自動作成手段18により、色の頻度の高い順に代表色を決定し自動代表色抽出を用いた場合、主要道の赤色が代表色として選択されなくなる。そこで、領域切り出し手段20を用いて、代表色としたい色が適当な頻度で含まれる地図の領域、例えば、凡例部分を指定し、代表色抽出を行うことにより、適切な色を代表色として抽出できる。
【0037】以上により、この実施例3によれば、実施例2の地図入力装置のカラーパレット自動作成手段18の前に領域切り出し手段20を付け加えることにより、実施例1の効果の他に、適切な色を代表色として抽出できる効果もある。
【0038】実施例4.図7はこの発明のその他の実施例による地図入力装置を示す構成図であり、図8はブロックイメージデータと裁断原稿との大きさの関係を示す構成図である。図において、上記実施例と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。22はブロック化手段であり、接合イメージデータ9を計算機で管理するために、一定サイズのブロックイメージデータ23に分割し、各ブロックイメージデータ23の地図上での位置関係等を記述したブロック管理データ24を作成する。25はファイル11から既存のブロックイメージデータ23を読み出す読み出し手段(更新手段)であり、更新された裁断原稿2と空間的につなぎ合わせ、再度ブロック分割し、ブロックイメージデータとする。28は接合手段8によりつなぎ合わされたRGBイメージデータ5とブロック化手段22で作成されたブロックイメージデータ23及びブロック管理データ24とを記録する第2の記録手段である。
【0039】次に、ブロックイメージデータ23に分割する理由を説明する。第1の入力手段4により、例えば、A3(297mm×420mm)の裁断原稿2を600DPIで入力した場合、7016画素×9921画素=209MB(RGB各8ビット)となる。これをそのまま、ファイル11に記録し、裁断原稿2の境界付近でスクロールさせるために読み出すと、209MBのアクセス時間の長い読み出しが頻繁に起こり実用的でない。また、周辺の原稿のデータをメモリに持っておくのも膨大なメモリが必要となり実用的でない。よって、適当なサイズのブロックに分割して第2の記録手段28によりファイル11に記録する必要がある。
【0040】そこで、ブロックイメージデータ23のサイズは、管理の容易さ、表示及びスクロール速度の最適化のために固定にする必要がある。しかし、裁断原稿2のサイズは、スキャナの読み取り解像度により、必ずしもブロックイメージデータ23のサイズの整数倍とはならない。そこで、図8に示すように複数の裁断原稿2にまたがるブロックイメージデータ23が当然発生する。
【0041】次に、ブロック管理データ24の構造を説明する。図9はブロック管理データのファイル構造を示す構造図である。ブロック管理データ24のファイルは、大きく分けて、ヘッダ26とブロックイメージデータへのポインタ27がある。ヘッダ26は、地図名称31、バージョン番号32、縮尺33、原点となる経度・緯度34、構成ブロック数35、ブロックのサイズ36などの地図原稿全体に関する情報からなる。また、ブロックイメージデータへのポインタ27は、各ブロックイメージデータ23のデータがどこにあるかを示すブロックイメージデータのファイル37とそのブロックイメージデータのファイル37の何番目にあるかを示すファイル内番号38とからなる。さらに、ブロックイメージデータのファイル37は、そのファイルに含まれるブロック数39とブロックのサイズ40と実際のデータ40aとからなる。
【0042】次に、動作について説明する。図8の裁断原稿2の左上に更新があったとすると、すなわち、B00,B01,B02,B10,B11,B12,B20,B21,B22のブロックイメージデータ23に更新があったとすると、これらのブロックイメージデータ23が含まれているブロックイメージデータのファイル37を検索する。そして、ブロックイメージデータのファイル37がmap100であるので、このmap100が記録されているブロック管理データ24のファイルのバージョン番号32をVer.1からVer.2へ変更し、ブロックイメージデータ23のファイルmap100内の全てのデータ40aを更新する。
【0043】また、B02,B12,B22,B21,B20のブロックイメージデータ23は、更新された裁断原稿2以外の裁断原稿2の情報も含んでいるので、該当する既存のブロックイメージデータ23を読み出し手段25により読み出し、更新された裁断原稿2と空間的につなぎ合わせた、再度ブロックイメージデータ23に分割した後に、ファイル11に記録する。
【0044】以上により、この実施例4によれば、更新された地図原稿2の部分に対してのみ、再入力とブロックイメージデータ23及びブロック管理データ24の更新を行うことができるので、更新時間が早くオペレータの作業も少なくなる効果がある。
【0045】実施例5.実施例4にあっては、あるブロックイメージデータ23に更新が発生したときには、更新前のブロックイメージデータ23に更新されたブロックイメージデータ23をオーバーライトしていたが、実施例5では変移履歴を把握するために、ブロックイメージデータ23単位に更新されたデータを更新以前のデータと関連付けて追加するようにした。
【0046】図10はブロック管理データのファイル構造を示す構造図である。図において、上記実施例と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。41は各ブロックイメージデータ23へのポインタを示すインデックスポインタであり、ブロック管理データ24内に記述された各ブロックイメージデータ23へのポインタの位置を示す先頭アドレス43とデータ長44からなる。42はブロックイメージデータへのポインタであり、実施例4と同じブロックイメージデータのファイル37とファイル内番号38との他に各ブロックイメージデータ23のバージョン番号45からなる。
【0047】次に、動作について説明する。まず、ブロックイメージデータ23を更新した場合には、該当するブロックのインデックスポインタ41内のデータ長44をブロックイメージデータ23のファイル37、ファイル内番号38、バージョン番号45の大きさだけ大きくした後、ブロックイメージデータ23のファイル37、ファイル内番号38、バージョン番号45を設定する。次に、更新される原稿のインデックスポインタ41のうち、ブロック管理データ24のファイル内の後ろのインデックスポインタ41の先頭アドレス43は変更される。例えば、B01の先頭アドレスは、その前のB00のデータ長が長くなったので変更される。更新されなかったブロックのバージョン番号45は、ヘッダのバージョン番号32と同じにする。
【0048】以上により、この実施例5によれば、ブロック単位に更新されたデータを更新以前のデータと関連付けて追加していくことにより、実施例4の効果の他に、少ないデータ量で複数世代に渡る変移履歴を把握することができる効果もある。
【0049】実施例6.実施例5にあっては、ブロックイメージデータ23の単位に更新されたデータを更新以前のデータと関連付けて追加するようにし、更新前のデータを残していたが、実施例6では指定したバージョン以降のデータのみを残すようにした。
【0050】図11はこの発明のその他の実施例による地図入力装置を示す構成図、図12は裁断原稿を2回更新したときのブロック管理データのファイル構造を示す構造図、図13はバージョン2以前のブロックイメージデータ23を破棄したときのブロック管理データのファイル構造を示す構造図であり、図において、上記実施例と同一符号は同一または相当部分を示すので説明を省略する。46はブロックイメージデータへのポインタ42から指定されたバージョン番号に対応する情報を取り除く再編成手段である。
【0051】次に、動作について説明する。図12は裁断原稿2を2回更新したときのブロック管理データ24を示すものであり、元のブロックイメージデータ23map100に対して、map200、map300と更新されている。ここで、バージョン2以降のブロックイメージデータ23を残し、それより以前のブロックイメージデータを破棄したい場合、再編成手段46において、ブロックイメージデータへのポインタ42からバージョン1に対応する情報を取り除き、インデックスポインタ41の先頭アドレス43(図10参照)、データ長44(図10参照)を変更する。その結果、図13に示すようにmap100に対応するポインタがなくなる。
【0052】以上により、この実施例6によれば、指定された旧いバージョンのブロックイメージデータ23のみを破棄することができるため、ブロック管理データの再編成を短時間にすることができる。
【0053】
【発明の効果】以上のように、請求項1の発明によれば、カラーパレット作成手段がカラー地図原稿の中から使用されている複数の色を代表色として選択し、これらの代表色をRGB値として表した色値と、この各色値に対して設定されたエントリアドレスとを有するカラーパレットを作成し、第1の入力手段がカラー地図原稿を裁断して得られた複数の裁断原稿をRGBイメージデータとして裁断原稿毎に入力するとともに、色変換手段がRGBイメージデータの全画素について、カラーパレットの中から最も近似の色値を求め、この色値のエントリアドレスに変換することにより色変換イメージデータとし、接合手段が色変換イメージデータ同士をカラー地図原稿の位置関係と一致するようにつなぎ合わせ、接合イメージデータとするように構成したので、カラー地図の色質を落すことなくカラー地図原稿とベクトル形式やメッシュ形式の地図とのオーバーレイ表示やカラー地図原稿と動画映像等のマルチメディア属性情報との合成表示を行うことができる効果がある。
【0054】請求項2の発明によれば、カラーパレット作成手段が裁断原稿から選択されたカラーパレット作成用裁断原稿をRGBイメージデータとして入力し、このRGBイメージデータの中から使用されている複数の色を代表色として選択し、カラーパレットを作成するように構成したので、カラー地図の色質を落すことなくカラー地図原稿とベクトル形式やメッシュ形式の地図とのオーバーレイ表示やカラー地図原稿と動画映像等のマルチメディア属性情報との合成表示を行うことができる効果がある。また、カラー地図原稿の全体ではなく一部の裁断原稿に対して代表色の抽出を行えるので、その処理速度を向上させることができる効果もある。
【0055】請求項3の発明によれば、カラーパレット作成手段がRGBイメージデータでの任意の領域を選択し、このRGBイメージデータの中から使用されている複数の色を代表色として選択し、カラーパレットを作成するように構成したので、カラー地図の色質を落すことなくカラー地図原稿とベクトル形式やメッシュ形式の地図とのオーバーレイ表示やカラー地図原稿と動画映像等のマルチメディア属性情報との合成表示を行うことができる効果がある。また、より適切な色を代表色として抽出できる効果もある。
【0056】請求項4の発明によれば、ブロック化手段が接合手段で接合された接合イメージデータを計算機で管理するために一定サイズのブロックイメージデータを複数に分割し、これらのブロックイメージデータのカラー地図原稿での位置関係を記録したブロック管理データを作成するとともに、更新手段がカラー地図原稿に修正を加える場合、修正箇所を有する裁断原稿のブロックイメージデータのみをファイルから読み出し、修正を加えた後に再度、一定サイズのブロックイメージデータに分割し、これらのブロックイメージデータの上記ブロック管理データを作成するように構成したので、変移履歴管理を容易にし、更新処理を容易に行うことができる効果がある。
【0057】請求項5の発明によれば、更新手段が既存のブロックイメージデータと更新されたブロックイメージデータとを対応付けるデータも含めてブロック管理データを更新するとともに、記録手段は更新されたブロックイメージデータを別の新たなファイルに記録するように構成したので、変移履歴管理を容易にし、更新処理を容易に行うことができる効果がある。また、少ないデータ量で複数世代に渡る変移履歴を把握することができる効果もある。
【0058】請求項6の発明によれば、再編成手段がファイルに記録されているバージョン番号以前のブロックイメージデータを破棄し、残されたブロックイメージデータに対応するブロック管理データを再編するように構成したので、変移履歴管理を容易にし、更新処理を容易に行うことができる効果がある。また、指定された旧いバージョンのブロックイメージのみを破棄することができるため、ブロック管理データの再編成処理を短時間に行うことができる効果もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の一実施例による地図入力装置を示す構成図である。
【図2】 この発明の一実施例による地図入力装置の色変換手段の変換方法を示す構成図である。
【図3】 この発明の一実施例による地図入力装置の接合手段の画面接合方法を示す画面構成図である。
【図4】 この発明のその他の実施例による地図入力装置のカラーパレット作成方法を示す構成図である。
【図5】 カラーパレット作成画面を示す画面構成図である。
【図6】 この発明のその他の実施例による地図入力装置のカラーパレット作成方法を示す構成図である。
【図7】 この発明のその他の実施例による地図入力装置を示す構成図である。
【図8】 ブロックイメージと裁断原稿との大きさの関係を示す構成図である。
【図9】 ブロック管理データのファイル構造を示す構造図である。
【図10】 ブロック管理データのファイル構造を示す構造図である。
【図11】 この発明のその他の実施例による地図入力装置を示す構成図である。
【図12】 裁断原稿を2回更新したときのブロック管理データのファイル構造を示す構造図である。
【図13】 バージョン2以前のブロックイメージ23を破棄したときのブロック管理データのファイル構造を示す構造図である。
【図14】 従来の地図入力装置を示す構成図である。
【図15】 分割イメージ情報の画素サイズとディスプレイ装置の表示及びスクロール速度に最適な画素サイズとを示す構成図である。
【符号の説明】
1 カラー地図原稿、2 裁断原稿、3 カラーパレット作成手段、3aカラーパレット、3b エントリアドレス、4 第1の入力手段、5 入力イメージデータ(RGBイメージデータ)、6 色変換手段、7 色変換イメージデータ、8 接合手段、9 接合イメージデータ、10 第1の記録手段、11ファイル、15 カラーパレット作成用裁断原稿、16 第2の入力手段、18カラーパレット自動作成手段、20 領域切り出し手段、21 切り出しイメージデータ、22 ブロック化手段、23 ブロックイメージデータ、24 ブロック管理データ、25 読み出し手段(更新手段)、28 第2の記録手段、46 再編成手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 カラー地図原稿の中から使用されている複数の色を代表色として選択し、これらの代表色をRGB値として表した色値とこの各色値に対して設定されたエントリアドレスとを有するカラーパレットを作成するカラーパレット作成手段と、上記カラー地図原稿を裁断して得られた複数の裁断原稿をRGBイメージデータとして上記裁断原稿毎に入力する第1の入力手段と、上記第1の入力手段により入力された上記RGBイメージデータの全画素について、上記カラーパレットの中から最も近似の色値を求め、この色値の上記エントリアドレスに変換し色変換イメージデータとする色変換手段と、上記色変換手段により変換された上記色変換イメージデータ同士を上記カラー地図原稿の位置関係と一致するようにつなぎ合わせ、接合イメージデータとする接合手段と、上記カラーパレットと上記接合イメージデータとをファイルに記録する第1の記録手段とを備えた地図入力装置。
【請求項2】 上記カラーパレット作成手段は、上記裁断原稿から選択されたカラーパレット作成用裁断原稿をRGBイメージデータとして入力する第2の入力手段と、上記第2の入力手段で入力されたRGBイメージデータの中から使用されている複数の色を代表色として選択し、上記カラーパレットを作成するカラーパレット自動作成手段とを備えたことを特徴とする請求項1記載の地図入力装置。
【請求項3】 上記カラーパレット作成手段は、上記第2の入力手段で入力されたRGBイメージデータの任意の領域を選択でき、この選択した領域を切り出しイメージデータとする領域切り出し手段を備えたことを特徴とする請求項2記載の地図入力装置。
【請求項4】 カラー地図原稿を裁断して得られた複数の裁断原稿をRGBイメージデータとして上記裁断原稿毎に入力する第1の入力手段と、上記第1の入力手段により変換された上記RGBイメージデータ同士を上記カラー地図原稿の位置関係と一致するようにつなぎ合わせ、接合イメージデータとする接合手段と、上記接合手段で接合された上記接合イメージデータを計算機で管理するために一定サイズのブロックイメージデータを複数に分割し、これらのブロックイメージデータの上記カラー地図原稿での位置関係を記録したブロック管理データを作成するブロック化手段と、上記接合イメージデータと上記ブロック管理データとを上記ファイルに記録する第2の記録手段と、上記カラー地図原稿に修正を加える場合、修正箇所を有する上記裁断原稿の上記ブロックイメージデータのみを上記ファイルから読み出し、修正を加えた後に再度、一定サイズの上記ブロックイメージデータに分割するとともに、これらの上記ブロックイメージデータの上記ブロック管理データを作成する更新手段とを備えた地図入力装置。
【請求項5】 上記更新手段は、既存の上記ブロックイメージデータと更新された上記ブロックイメージデータとを対応付けるデータも含めて上記ブロック管理データを更新するとともに、上記記録手段は更新された上記ブロックイメージデータを別の新たなファイルに記録することを特徴とする請求項4記載の地図入力装置。
【請求項6】 上記ブロックイメージデータの更新履歴を示し、上記ブロックイメージデータが更新される毎に加算されるバージョン番号を指定することにより、上記ファイルに記録されているバージョン番号以前の上記ブロックイメージデータを破棄し、残された上記ブロックイメージデータに対応する上記ブロック管理データを再編する再編成手段を備えたことを特徴とする請求項4記載の地図入力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図14】
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【図13】
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【図15】
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【公開番号】特開平8−69516
【公開日】平成8年(1996)3月12日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平6−205566
【出願日】平成6年(1994)8月30日
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)