地図情報処理装置
【課題】供用の開始又は廃止が予定されている道路について供用の開始又は廃止を知らせる情報を、地図データの作成時期に依存せずに、共通に使用することができる地図情報処理装置を提供する。
【解決手段】メッシュごとに区画された地図を表す地図データにおける、供用の開始又は廃止が予定されている道路からなる更新道路群ごとに一定不変に付与された更新道路群識別子と、更新道路群識別子で特定される更新道路群の道路が供用開始又は供用廃止されたことを示す情報とを有する更新情報を利用して、更新道路群識別子と地図データが表す道路とを対応付ける対応情報に基づいて、地図データ取得部9に取得された地図データが表す道路から、更新道路群識別子に対応する更新道路群を特定し、この更新道路群の道路の供用情報を当該更新情報に基づいて更新する。
【解決手段】メッシュごとに区画された地図を表す地図データにおける、供用の開始又は廃止が予定されている道路からなる更新道路群ごとに一定不変に付与された更新道路群識別子と、更新道路群識別子で特定される更新道路群の道路が供用開始又は供用廃止されたことを示す情報とを有する更新情報を利用して、更新道路群識別子と地図データが表す道路とを対応付ける対応情報に基づいて、地図データ取得部9に取得された地図データが表す道路から、更新道路群識別子に対応する更新道路群を特定し、この更新道路群の道路の供用情報を当該更新情報に基づいて更新する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、カーナビゲーション装置、携帯電話、携帯情報端末等の移動体又は固定されたコンピュータで使用される地図情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、地図データにおいて、道路の形状を表す道路形状データにその道路の使用可否を示す使用可否フラグを設けた情報処理装置が開示されている。この装置では、供用中の道路の使用可否フラグを使用可に設定する一方、開通予定道路の使用可否フラグは使用不可に設定する。ここで、外部から当該開通予定道路が開通したことを示す開通フラグ情報を取得すると、当該開通予定道路の使用可否フラグを使用可に変更する。
また、開通フラグ情報では、地図情報における道路網データのアドレスを使用して開通する道路を特定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−8344号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に代表される従来の技術では、地図データにおける道路網データのアドレスを用いて開通する道路を特定している。
しかしながら、ある時期に発売された地図データとその1年後に発売された地図データとでは、これらを構成する地図データの作成時期が異なり、さらに道路網の状況も異なる。このため、同じ道路であっても、道路網データのアドレスが異なっている。
従って、同じ道路の開通を知らせる開通フラグ情報であっても、地図データの発売の度に異なる開通フラグ情報を提供する必要があり、開通フラグ情報を発売時期に依存せず、共通に使用できないという課題があった。
【0005】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、供用の開始又は廃止が予定されている道路について供用の開始又は廃止を知らせる情報を、地図データの作成時期に依存せずに、共通に使用することができる地図情報処理装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る地図情報処理装置は、メッシュごとに区画された地図を表す地図データにおける、供用の開始又は廃止が予定されている道路からなる更新道路群ごとに一定不変に付与された更新道路群識別子と、更新道路群識別子で特定される更新道路群の道路が供用開始又は供用廃止されたことを示す情報とを有する更新情報を管理する外部装置から、当該更新情報を取得する更新情報取得部と、道路が供用されているか否かを示す供用情報を有し、メッシュごとに区画された地図を表す地図データ、更新情報取得部に取得された更新情報、及び更新道路群識別子と地図データが表す道路とを対応付ける対応情報を記憶する情報記憶部と、情報記憶部から地図データを取得する地図データ取得部と、情報記憶部に記憶された対応情報に基づいて、地図データ取得部に取得された地図データが表す道路のうち、更新情報取得部に取得された更新情報の更新道路群識別子に対応する更新道路群を特定し、この更新道路群の道路の供用情報を、当該更新情報に基づいて更新する更新部とを備えるものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、メッシュごとに区画された地図を表す地図データにおける、供用の開始又は廃止が予定されている道路からなる更新道路群ごとに一定不変に付与された更新道路群識別子と、更新道路群識別子で特定される更新道路群の道路が供用開始又は供用廃止されたことを示す情報とを有する更新情報を利用して、更新道路群識別子と地図データが表す道路とを対応付ける対応情報に基づいて、地図データ取得部に取得された地図データが表す道路から、更新道路群識別子に対応する更新道路群を特定し、この更新道路群の道路の供用情報を当該更新情報に基づいて更新する。
このように、供用の開始又は廃止が予定されている道路からなる更新道路群を識別する更新道路群識別子が不変であるため、地図データの作成時期が異なっても供用の開始又は廃止が予定されている更新道路群を特定することができる。このため、当該道路群の道路での供用の開始又は廃止を知らせる更新情報を共通に使用することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】この発明の実施の形態1による地図情報処理装置を適用した地図情報処理システムの構成を示すブロック図である。
【図2】プロセッサの機能構成を示すブロック図である。
【図3】地図情報のデータ構造の一例を示す図である。
【図4】道路網データの一例を示す図である。
【図5】階層番号0の階層におけるメッシュM1,M2,M3,M4における道路網の一例(その1)を示す図である。
【図6】階層番号0の階層におけるメッシュM1,M2,M3,M4における道路網の一例(その2)を示す図である。
【図7】変換情報のデータ構造の一例を示す図である。
【図8】変換情報の一例(その1)を示す図である。
【図9】変換情報の一例(その2)を示す図である。
【図10】更新情報のデータ構造の一例を示す図である。
【図11】更新情報の一例を示す図である。
【図12】実施の形態1の地図情報処理装置による更新情報の取得処理の流れを示すフローチャートである。
【図13】実施の形態1の地図情報処理装置による更新処理の流れを示すフローチャートである。
【図14】図13のステップST220の処理の詳細を示すフローチャートである。
【図15】道路の描画例(その1)を示す図である。
【図16】道路の描画例(その2)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1による地図情報処理装置を適用した地図情報処理システムの構成を示すブロック図である。図1に示すように、地図情報処理システムは、地図情報処理装置1及び情報提供装置8から構成される。実施の形態1の地図情報処理装置1は、情報提供装置8から取得した各種の情報に基づいて地図情報処理を行う。その構成としては、入力部1a、位置検出部2、情報記憶部3、プロセッサ4、表示部5、音声出力部6及び情報取得部7を備える。
【0010】
入力部1aは、使用者の操作又は指示に従ってプロセッサ4に指示信号を与える操作スイッチ群であり、入力手段として機能する。入力手段として、操作スイッチ群以外に、表示部5の表示面に装着されたタッチパネル、リモートコントロールスイッチ等を使用してもよい。
【0011】
位置検出部2は、例えばGPS(Global Positioning System)受信機、車速センサ、加速度センサ、角速度センサ等を用いた位置検出手段であって、地図情報処理装置1が搭載された移動体(例えば自動車等の車両)の現在位置を検出し、検出した現在位置を示す位置情報をプロセッサ4に提供する。情報記憶部3は、例えば地図情報の記憶媒体としてハードディスクを用いたハードディスクドライブで構成された地図情報記憶手段であり、当該情報記憶部3に地図情報及び変換情報を予め記憶しておく。
【0012】
プロセッサ4は、入力部1aから与えられた指示信号、位置検出部2から得られた現在位置を示す位置情報、及び情報記憶部3から読み出した地図情報を用いて、各種の地図情報処理を行う地図情報処理手段として機能する。また、プロセッサ4は、図2を用いて後述する描画メモリ、描画処理部及び表示制御部を有し、所要の図形を描画処理部が描画メモリに描画し、表示制御部が描画メモリの内容を表示部5に表示する。さらに、情報取得部7が取得した情報と情報記憶部3の変換情報とに基づいて情報記憶部3から取得した地図情報を更新する。
【0013】
上述した各種の地図情報処理の内容としては、位置検出部2から取得された現在位置を示す位置情報と、情報記憶部3から読み出した地図情報とに基づいて、移動体の現在位置を推定するマップマッチング処理、出発地から目的地までの経路を算出する経路探索処理、経路探索処理により得られた経路に従って出発地から目的地までの案内を行う経路誘導処理、現在位置周辺の地図の表示処理、都市、道路、施設、住所、電話番号、交差点等の各種情報を検索する各種検索処理等が含まれる。
また、地図情報処理には、情報記憶部3から読み出した地図情報を基にマップマッチング処理で推定された現在位置を中心とした地図の描画処理、さらにその地図上に地図情報処理の結果として得られた移動体の現在位置、経路探索処理で得られた好適な経路、及びその経路に従って出発地から目的地まで案内を行うための案内情報の描画処理、各種入力情報の描画処理、検索によって得られた各種情報の描画処理等の描画処理部を用いた描画処理も含まれる。
【0014】
表示部5は、上述した各種の描画処理で描画メモリに描画された内容を、表示制御部の制御に従って表示する表示手段であり、例えば、液晶ディスプレイからなる。
音声出力部6は、プロセッサ4による各種の地図情報処理の結果として得られた情報を音声で使用者に提示する音声出力手段である。音声出力部6は、経路探索処理で得られた好適な経路に従って出発地から目的地まで案内を行うための案内情報や、検索により得られた各種の情報等を、音声で使用者に提示する。
【0015】
情報取得部7は、携帯電話のデータ通信や無線LAN(Local Area Network)等の通信手段を介して、情報提供装置8から所要の情報を取得する情報取得手段として機能する。
なお、情報取得部7として、メモリカード等の各種の記憶媒体の読み取り装置を設け、当該記憶媒体から所要の情報を取得するようにしてもよい。
【0016】
図2は、図1のプロセッサの機能構成を示すブロック図である。図2において、プロセッサ4は、更新情報取得部7a、地図データ取得部9、更新部10、描画処理部11、描画メモリ12、表示制御部13、経路探索部14及びマップマッチング処理部15を備える。情報記憶部3には、地図情報の他に、後述する更新情報及び変換情報が記憶される。
【0017】
更新情報取得部7aは、供用が開始された道路又は廃止された道路を示す更新情報を、情報取得部7を介して情報提供装置8から取得する構成部である。
【0018】
更新情報とは、道路の供用状況に従って、地図情報処理装置1が管理する道路網データを更新するための情報である。具体的には、地図データが表す道路で、供用の開始又は廃止が予定されている1つ以上の道路からなる更新道路群を識別するために当該更新道路群に対応付けて定めた更新道路群識別子と、更新道路群識別子で特定される更新道路群内の道路が供用の開始又は廃止されたことを示す情報を有する。なお、同じ更新道路群の更新道路群識別子は、地図データの作成時期に依らず一定不変である。
【0019】
変換情報とは、情報記憶部3に格納された地図情報の道路網データにおけるリンクと、更新道路群識別子に対応する更新道路群の各道路のリンクとを対応付ける情報である。
また、変換情報には、更新道路群識別子に対応するリンクの数が予め設定されている。従って、更新情報を取得した更新対象のリンクの数が、変換情報に設定した対応するリンク数と一致したときに、当該変換情報が示す更新道路群に含まれる全ての更新情報を取得できたことを認識できる。
【0020】
地図データ取得部9は、情報記憶部3の地図情報から地図データを取得する構成部であり、取得した地図データをメモリ9aに格納する。
更新部10は、地図データ取得部9に取得されてメモリ9aに格納された地図データの供用情報を、情報記憶部3から読み出した更新情報に基いて更新する構成部である。
また、更新部10は、同じ更新道路群が更新対象になる場合、当該道路群の道路網データを含む地図データのバージョンに関わらず、同じ更新道路群識別子で当該更新道路群を特定できる。従って、更新部10は、同じ更新道路群内の道路に変更が生じた場合、地図データのバージョンに関わらず、同じ更新情報を用いた更新処理が可能である。
【0021】
描画処理部11は、メモリ9aに格納された地図データ、経路探索部14の処理結果、又はマップマッチング処理部15の処理結果を用いて、地図表示する所要の図形データを生成して描画メモリ12に描画する。表示制御部13は、描画メモリ12の内容を表示部5に表示する。経路探索部14は、上述の地図情報処理のうち、出発地から目的地までの経路を算出する経路探索処理を実行する構成部であり、マップマッチング処理部15は、位置検出部2から取得された現在位置を示す位置情報と、メモリ9aから読み出した地図情報とに基づいて、移動体の現在位置を推定するマップマッチング処理を実行する構成部である。
【0022】
なお、更新情報取得部7a、地図データ取得部9、更新部10、描画処理部11、描画メモリ12、表示制御部13、経路探索部14及びマップマッチング処理部15は、プロセッサ4が、本発明の趣旨に従う地図情報処理用プログラムを実行することで、ハードウェアとソフトウェアが協働した具体的な手段として実現される。
【0023】
本発明では、地図情報の作成範囲を、所定間隔の緯線と経線によって囲まれた4辺形とする。また、地図情報は、情報の詳細さの度合いによって階層化されており、地図情報の作成範囲を各階層毎に所定間隔の緯線と経線によって囲まれた領域であるメッシュに区画して管理される。ここでは、階層を識別するため、最も詳しい階層(詳細表示)から粗くなる(広域表示)順に、各階層に0,1,2,・・・と番号を付与し、これを階層番号とする。
【0024】
さらに、1つの階層内で、メッシュを識別するために、各メッシュに固有の番号を付与し、これをメッシュ番号とする。例えば、ある階層の地図情報の作成範囲を、緯度方向に16分割、経度方向に16分割して得られる256個の領域に区画し、それぞれの領域をメッシュとした場合、各メッシュには、0〜255のメッシュ番号が付与される。
【0025】
図3は、図1の情報記憶部に格納された地図情報のデータ構造の一例を示す図である。地図情報として、地図管理情報、各階層のメッシュに対応して設けた地図データを有している。地図管理情報は、当該地図情報のバージョンを表すバージョン情報、及び階層毎に各地図データを管理する階層管理情報を有する。
階層管理情報は、各メッシュのメッシュ番号、地図データの当該地図情報における格納位置、及びデータサイズ等の情報を階層毎に有する。
また、地図情報のバージョンは、地図情報が作成された順に、1,2,3,・・・のように連続した番号とする。地図情報のバージョンは、地図情報に含まれる地図データのバージョンでもある。
【0026】
地図データは、地図データヘッダ、道路網データ、背景データ、名称データ、経路誘導データからなる情報である。地図データヘッダは、地図データ内の各データを管理する情報を有し、道路網データは、当該メッシュにおける道路網を表す情報を有している。
また、背景データは、河川、海等を表す面データ、線状の河川、鉄道等を表す線データ、施設シンボル等を表す点データを有し、経路誘導データは、交差点等での経路案内に要する情報を有する。検索データは、都市、道路、施設、住所、電話番号、交差点等の各種地点を検索するための情報で、各地点の名称、位置等の情報等を有する。
【0027】
図4は、図3の道路網データの一例を示す図である。図4に示すように、道路網データは、交差点又は道路上の地点を表すノードとノード間を結ぶ道路を表すリンクとを用いて表した道路網を表すもので、道路網ヘッダ、ノードリスト、リンクリスト及び形状リストからなる。
【0028】
道路網ヘッダは、当該道路網データの管理に必要な情報としてノード数、リンク数及びリスト管理情報を有する。
ノード数は、当該メッシュに存在するノードの数を表す情報である。リンク数は、当該メッシュに存在するリンクの数を表す情報である。また、リスト管理情報は、ノードリスト、リンクリスト及び形状リストの各格納位置とそのデータサイズを表す情報である。
【0029】
ノードリストは、当該メッシュに存在するノードに対応して設けたノードレコードからなる情報である。ノードリストにおけるノードレコードの並び順をノード番号とする。
ノードレコードは、図4に示すように、ノードレコードサイズ、ノード座標、接続リンク数、接続情報及びリンク間規制情報を有する。
ノードレコードサイズは、当該ノードレコードのデータサイズを表す情報である。ノード座標は、当該ノードの地理的位置を表す情報である。接続リンク数は、当該ノードに接続するリンクの数を表す情報である。接続情報は、当該ノードに接続するリンクを表す情報である。リンク間規制情報は、当該ノードに接続するリンク間の通行に関する規制を表す情報である。
【0030】
リンクリストは、当該メッシュに存在するリンクに対応して設けたリンクレコードからなる情報である。リンクリストにおけるリンクレコードの並び順をリンク番号とする。
リンクレコードは、供用情報、計画情報、リンク識別子、始点ノード番号、終点ノード番号、リンク属性情報及び形状レコード格納位置を有する。
供用情報は、当該リンクが供用されている“供用中”か、供用されていない“非供用”であるかを示す情報である。供用情報が値0であると、当該リンクが示す道路が供用中であることを示しており、値1である場合には、当該リンクが示す道路が非供用であることを示している。この供用情報を参照することにより、当該リンクが地図表示、マップマッチング、経路探索等の地図情報処理に使用可能か否かが分かる。
供用情報は、取得した更新情報が示すリンクの最新の状態を反映するように更新され、リンクの最新の状態を反映した地図情報処理が可能となる。
【0031】
計画情報は、当該地図情報が作成された時点において、当該リンクの道路が、既に供用されて廃止予定無し(計画無し)か、供用の開始又は廃止予定がある(計画有り)のいずれであるかを示す情報である。ここで、計画情報が値0の場合に計画無しを示し、値1であると計画有りとなる。
この計画情報を参照することで、供用情報の値に関わらず、供用開始、供用廃止が予定されている、又は予定されていた道路であることが分かる。このため、地図表示時に供用情報と合わせて計画情報を参照することで、供用開始予定の道路、供用廃止予定の道路、供用が開始された道路、供用が廃止された道路を区別して表示できる。
【0032】
リンク識別子は、地図情報の作成範囲内にあるリンクを識別するために、リンクに対応付けたリンクに固有な番号である。地図情報の作成範囲内にあるリンクは、全て異なるリンク識別子を持つ。階層番号が0の階層において、複数のリンクが、階層番号が1以上の階層の1つのリンクに含まれるときは、階層番号が0の階層の上記複数のリンクには連続した番号を対応付ける。
なお、階層番号が1以上の階層のリンクのリンク識別子は、そのリンクが階層番号が0の階層の1つのリンクと一致するときは、階層番号が0の階層のリンクのリンク識別子と同一とする。
また、階層番号が1以上の階層のリンクのリンク識別子は、そのリンクが階層番号が0の階層の複数のリンクを含むときは、当該複数のリンクのリンク識別子の最小番号と最大番号とするとき、最小番号と(最大番号−最小番号)との組とする。
【0033】
始点ノード番号は、当該リンクの始点側のノードのノード番号であり、終点ノード番号は、当該リンクの終点側のノードのノード番号を示している。
また、リンク属性情報は、当該リンクの道路種別、幅員、リンク長等の各種属性を表す情報である。さらに、形状レコード格納位置は、当該リンクに対応する形状レコードの形状リストにおける格納位置を示している。
【0034】
形状リストは、当該メッシュに存在するリンクに対応して設けた形状レコードからなる情報である。形状レコードは、形状点数及び形状点リストを有する。
形状点数は、当該リンクの道路形状の形状点の数を示している。形状点リストは、当該リンクの道路形状を折れ線で表し、その折れ線の頂点である形状点の地理的位置をそれぞれリストアップした情報である。
【0035】
図5は、階層番号0の階層におけるメッシュM1,M2,M3,M4における道路網の一例(その1)を示す図であり、あるX年4月に作成されたバージョン1の地図情報の階層番号0の階層における道路網を示している。図5において、メッシュM1の道路網は、ノードN1A0〜N1A4、リンクL1A0〜L1A3からなる。メッシュM2の道路網は、ノードN2A0〜N2A8、リンクL2A0〜L2A9からなる。メッシュM3の道路網は、ノードN3A0〜N3A4、リンクL3A0〜L3A3からなる。メッシュM4の道路網は、ノードN4A0〜N4A7、リンクL4A0〜L4A6からなる。
【0036】
また、リンクL1A0,L1A1,L2A0,L2A1,L2A2のそれぞれに1000,1001,1002,1003,1004を、リンク識別子として対応付ける。リンクL3A0,L3A1,L4A0,L4A1,L4A2のそれぞれに2000,2001,2002,2003,2004を、リンク識別子として対応付ける。リンクL3A2,L3A3,L1A2,L1A3のそれぞれに3000,3001,3002,3003を、リンク識別子として対応付ける。リンクL4A3,L4A4,L2A3,L2A4,L2A5のそれぞれに4000,4001,4002,4003,4004を、リンク識別子として対応付ける。リンクL4A5,L4A6,L2A7のそれぞれに5000,5001,5002を、リンク識別子として対応付ける。リンクL2A8,L2A9のそれぞれに6000,6001を、リンク識別子として対応付ける。リンクL2A6に7000をリンク識別子として対応付けるものとする。
【0037】
階層番号1の1つのリンクが、図5に示す階層番号0のリンクL4A5,L4A6,L2A7を1つに統合したものであるとき、すなわちリンクL4A5,L4A6,L2A7(リンク識別子は5000,5001,5002)を含む場合、当該階層番号1のリンクのリンク識別子は、5000と2(=5002−5000)の組となる。また、階層番号1の1つのリンクが、図5に示す階層番号0のリンクL1A0(リンク識別子は1000)と同じ場合、当該階層番号1のリンクのリンク識別子は、1000となる。なお、上位の階層のリンクを、供用の開始又は廃止が予定されている階層番号0のリンクと供用の開始又は廃止が予定されていない階層番号0のリンクとを混在して、1つのリンクに統合しないものとする。例えば、階層番号1で、図5に示すリンクL1A0とリンクL1A1とを統合して1つのリンクにしない。
【0038】
点線で示すリンクL1A0,L2A1,L2A2,L2A7,L4A5,L4A6は、供用開始が予定されているリンクであるが、当該地図情報が作成された時点では、供用されていないために使用不可となっているリンクである。上記以外のリンクは、当該地図情報が作成された時点で供用されており、使用可能なリンクである。なお、細い実線で示すメッシュM2のリンクL2A6は、供用廃止となることが予定されている道路である。
【0039】
メッシュM1,M2,M3,M4の道路網データのノードリストには、上記のノードに対応したノードレコードが格納され、リンクリスト、形状リストには、上記リンクに対応したリンクレコード、形状レコードが格納される。
ここで、ノードNmAnは、メッシュMmのノードリストのn番目(先頭は0番目とする)のノードレコードに対応する。リンクLmAnは、メッシュMmのリンクリストのn番目(先頭は0番目とする)のリンクレコードに対応する。リンクLmAnは、メッシュMmの形状リストのn番目(先頭は0番目とする)の形状レコードに対応する。
例えば、メッシュM1の道路網データにおいて、ノードリストには、5個のノードレコードがノードN1A0〜N1A4の順に格納される。また、リンクリストには、4個のリンクレコードがリンクL1A0〜L1A3の順に格納される。形状リストには、4個の形状レコードがリンクL1A0〜L1A3の順に格納される。
【0040】
当該地図情報が作成された時点で供用情報及び計画情報は、下記のように設定される。
メッシュM1の道路網データにおいては、点線のリンクL1A0に対応するリンクレコードでは、供用情報に値1(非供用)が設定され、計画情報に値1(計画有り)が設定される。リンクL1A0以外のリンクに対応するリンクレコードでは、供用情報に値0(供用中)が設定され、計画情報に値0(計画無し)が設定される。
また、メッシュM2の道路網データにおいては、点線のリンクL2A1,L2A2,L2A7に対応するリンクレコードでは、供用情報に値1(非供用)が設定され、計画情報に値1(計画有り)が設定される。
点線のリンクL2A6に対応するリンクレコードでは、供用情報に値0(供用中)が設定され、計画情報に値1(計画有り)が設定される。
リンクL2A1,L2A2,L2A7以外のリンクに対応するリンクレコードでは、供用情報に値0(供用中)が設定され、計画情報に値0(計画無し)が設定される。
さらに、メッシュM3の道路網データにおいては、全てのリンクのリンクレコードで、供用情報に値0(供用中)が設定され、計画情報に値0(計画無し)が設定される。
さらに、メッシュM4の道路網データにおいては、点線のリンクL4A5,L4A6に対応するリンクレコードでは、供用情報に値1(非供用)が設定され、計画情報に値1(計画有り)が設定される。リンクL4A5,L4A6以外のリンクに対応するリンクレコードでは、供用情報に値0(供用中)が設定され、計画情報に値0(計画無し)が設定される。
【0041】
図6は、階層番号0の階層におけるメッシュM1,M2,M3,M4における道路網の一例(その2)を示す図であり、あるX+1年4月に作成されたバージョン2の地図情報の階層番号0の階層における道路網を示している。図6では、図5における、リンクL1A0,L2A1,L2A2が供用中に変更され、リンクL2A6が削除され、さらに供用開始予定のリンクL1B6,L1B7,L4B7が追加されている。
メッシュM1の道路網は、ノードN1B0〜N1B7、リンクL1B0〜L1B7からなる。メッシュM2の道路網は、ノードN2B0〜N2B7、リンクL2B0〜L2B7からなる。メッシュM3の道路網は、ノードN3B0〜N3B4、リンクL3B0〜L3B3からなる。メッシュM4の道路網は、ノードN4B0〜N4B7、リンクL4B0〜L4B7からなる。
【0042】
また、リンクL1B0,L1B1,L1B2,L2B0,L2B1,L2B2のそれぞれに1000,1001,1002,1003,1004,1005を、リンク識別子として対応付ける。リンクL3B0,L3B1,L4B0,L4B1,L4B2のそれぞれに2000,2001,2002,2003,2004を、リンク識別子として対応付ける。リンクL3B2,L3B3,L1B3,L1B4,L1B5のそれぞれに3000,3001,3002,3003,3004を、リンク識別子として対応付ける。
リンクL1B6,L1B7のそれぞれに4000,4001を、リンクL4B3,L4B4,L2B3,L2B4のそれぞれに5000,5001,5002,5003を、リンク識別子として対応付ける。リンクL4B5,L4B6,L2B5のそれぞれに6000,6001,6002を、リンク識別子として対応付ける。リンクL2B6,L2B7のそれぞれに7000,7001を、リンク識別子として対応付ける。リンクL4B7に8000を、リンク識別子として対応付ける。
【0043】
点線で示すリンクL1B6,L1B7,L2B5,L4B5,L4B6、L4B7は、供用開始が予定されているリンクであるが、当該地図情報が作成された時点では、供用されいないために使用不可となっているリンクである。上記以外のリンクは、当該地図情報が作成された時点で供用されており、使用可能なリンクである。
【0044】
メッシュM1,M2,M3,M4の道路網データのノードリストには、上記のノードに対応したノードレコードが格納され、リンクリストと形状リストには、上記リンクに対応したリンクレコード及び形状レコードが格納される。
ノードNmBnは、メッシュMmのノードリストのn番目(先頭は0番目とする)のノードレコードに対応する。リンクLmBnは、メッシュMmのリンクリストのn番目(先頭は0番目とする)のリンクレコードに対応する。リンクLmBnは、メッシュMmの形状リストのn番目(先頭は0番目とする)の形状レコードに対応する。
例えば、メッシュM1の道路網データにおいて、ノードリストには、8個のノードレコードがノードN1B0〜N1B7の順に格納される。また、リンクリストには、8個のリンクレコードがリンクL1B0〜L1B7の順に格納される。形状リストには、8個の形状レコードがリンクL1B0〜L1B7の順に格納される。
【0045】
当該地図情報が作成された時点で供用情報及び計画情報は、下記のように設定される。
メッシュM1の道路網データにおいては、点線のリンクL1B6,L1B7に対応するリンクレコードでは、供用情報に値1(非供用)が設定され、計画情報に値1(計画有り)が設定される。リンクL1B6,L1B7以外のリンクに対応するリンクレコードでは、供用情報に値0(供用中)が設定され、計画情報に値0(計画無し)が設定される。
メッシュM2の道路網データにおいては、点線のリンクL2B5に対応するリンクレコードでは、供用情報に値1(非供用)が設定され、計画情報に値1(計画有り)が設定される。リンクL2B5以外のリンクに対応するリンクレコードでは、供用情報に値0(供用中)が設定され、計画情報に値0(計画無し)が設定される。
メッシュM3の道路網データにおいては、全てのリンクのリンクレコードで、供用情報に値0(供用中)が設定され、計画情報に値0(計画無し)が設定される。
メッシュM4の道路網データにおいては、点線のリンクL4B5,L4B6,L4B7に対応するリンクレコードでは、供用情報に値1(非供用)が設定され、計画情報に値1(計画有り)が設定される。
リンクL4B5,L4B6,L4B7以外のリンクに対応するリンクレコードでは、供用情報に値0(供用中)が設定され、計画情報に値0(計画無し)が設定される。
【0046】
地図情報の作成時に、供用の開始又は廃止が予定されている更新道路群を識別するために、各更新道路群に固有の番号を対応付けておく。この番号を更新道路群識別子とする。
地図情報を作成する度に、当該作成時までなかった更新道路群については、当該作成時までに更新道路群識別子として使用されていた番号の次から連続した番号を対応付ける。また、既存在の更新道路群では、この更新道路群の番号を更新道路群識別子とする。
上述のようにすることで、どの時期に作成した地図情報に対しても、異なる更新道路群には異なる更新道路群識別子が対応付けられ、同じ更新道路群に対しては同じ更新道路群識別子が対応する。また、更新道路群を表す地図データの最も古いバージョンを、その更新道路群のバージョンとする。
【0047】
図5に示すX年4月に作成されたバージョン1の地図情報において、下記のように更新道路群を設定する。図5において、リンクL1A0からなる更新道路群RG0、リンクL2A1,L2A2からなる更新道路群RG1、リンクL2A6からなる更新道路群RG2、リンクL4A5,L4A6、L2A7からなる更新道路群RG3とする。
ここで、更新道路群RG0,RG1,RG2,RG3に対し、更新道路群識別子としてそれぞれ番号0,1,2,3を対応付ける。
【0048】
また、図6に示したX+1年4月に作成されたバージョン2の地図情報において、下記のように更新道路群を設定する。図6において、リンクL1B6,L1B7からなる更新道路群RG4、リンクL4B7からなる更新道路群RG5、リンクL4B5,L4B6,L2B5からなる更新道路群RG3とする。
ここで、更新道路群RG4,RG5は、更新道路群RG0,RG1,RG2,RG3のいずれとも異なるため、更新道路群識別子としてそれぞれ4,5の番号を対応付ける。
図6の更新道路群RG3は、図5の更新道路群RG3と同じであるため、その更新道路群識別子として番号3を対応付ける。
更新道路群RG0,RG1,RG2のバージョンは、これらの更新道路群の地図データに付与された最も古いバージョン1となる。
更新道路群RG4,RG5のバージョンは、これら更新道路群の地図データに付与された最も古いバージョン2となる。
なお、更新道路群RG3は、バージョン1,2の双方の地図データで表されるが、この場合は、更新道路群RG3のバージョンを最も古い地図データのバージョン1とする。
このようにして、同じ更新道路群に対して、地図データのバージョンに関わらず、同じ更新道路群識別子を用いて更新道路群を特定できる。これにより、同じ更新道路群が変更された場合、地図データのバージョンに関わらず、同じ更新情報を用いた更新が可能である。
【0049】
図7は、情報記憶部3に記憶される変換情報のデータ構造の一例を示す図である。変換情報(対応情報)は、情報記憶部3に格納された地図情報の道路網データにおけるリンクと更新道路群識別子とを対応付ける情報であり、変換情報ヘッダと変換リストからなる。
変換情報ヘッダは、変換リストに含まれる変換レコードの数などを有する情報である。
変換リストは、地図情報の更新道路群に対応付けて設けた変換レコードからなる。
変換レコードは、対応更新道路群識別子、取得リンク数、対応リンク数及び対応リンク情報を有する。
【0050】
対応更新道路群識別子は、当該変換レコードが対応する更新道路群の更新道路群識別子である。取得リンク数は、当該更新道路群で既に供用の開始又は廃止の更新情報を取得したリンクの数である。変換リストが作成された時点では、取得リンク数の初期値として、値0が設定される。なお、当該更新道路群に関する更新情報を取得する度に、その更新情報が更新の対象とするリンクの数だけ取得リンク数を増加させる。これにより、当該取得リンク数が、対応リンク数に一致すると、当該更新道路群に関する全ての更新情報が取得できたと判断できる。
【0051】
対応リンク数は、当該更新道路群に対応するリンクの数である。対応リンク情報は、当該更新道路群に対応するリンクに対応して並べられ、対応メッシュ番号及び対応リンク識別子からなる。対応メッシュ番号は、対応するリンクが存在するメッシュのメッシュ番号である。対応リンク識別子は、対応するリンクのリンク識別子である。
【0052】
図8は、変換情報の一例(その1)を示す図であり、図5に示したX年4月に作成されたバージョン1の地図データの更新道路群に関する変換情報の変換レコードの設定値を示している。なお、図8で、m1,m2,m4は、それぞれメッシュM1,M2,M4のメッシュ番号である。例えば、変換レコード1は、対応更新道路群識別子が1であるので、更新道路群識別子が1の更新道路群RG1が、メッシュM2におけるリンク識別子が1003のリンクL2A1と、リンク識別子が1004のリンクL2A2とにそれぞれ対応していることを示している。
【0053】
図9は、変換情報の一例(その2)を示す図であり、図6に示したX+1年4月に作成されたバージョン2の地図データの更新道路群に関する変換情報の変換レコードの設定値を示している。なお、図9で、m1,m2,m4は、それぞれメッシュM1,M2,M4のメッシュ番号である。例えば、変換レコード1は、対応更新道路群識別子が4であることから、更新道路群識別子が4の更新道路群RG4が、メッシュM1におけるリンク識別子が4000のリンクL1B6と、リンク識別子が4001のリンクL1B7とにそれぞれ対応していることを示している。
【0054】
図8の変換レコード3と、図9の変換レコード0は、共に対応更新道路群識別子が3であることから、更新道路群識別子が3の同じ更新道路群を、それぞれのバージョンの地図データのリンクに対応付けている。
すなわち、図8の変換レコード3は、バージョン1の地図データにおける、リンク識別子が5000のリンクL4A5と、リンク識別子が5001のリンクL4A6と、リンク識別子が5002のリンクL2A7とに対応付けている。
また、図9の変換レコード0は、バージョン2の地図データにおける、リンク識別子が6000のリンクL4B5と、リンク識別子が6001のリンクL4B6と、リンク識別子が6002のリンクL2B5とに対応付けている。
【0055】
このように、変換情報を用いることで、地図データのバージョンに関わらず、更新道路群識別子が示す更新道路群を、地図情報処理装置1が保有する地図データのリンクに対応付けることができる。なお、変換情報は、階層毎に設け、変換レコードの対応リンク識別子の代わりに、当該更新道路群に対応するリンクのリンクレコードの格納位置を示すオフセット、又はリンク番号を用いてもよい。
【0056】
更新情報は、道路の供用状況に従って、地図情報処理装置1が扱う道路網データを更新するための情報であり、実際の道路の供用状況に従って、どのリンクレコードの供用情報をどのように変更するかを示している。
図10は、更新情報のデータ構造の一例を示す図である。図10に示すように、更新情報は、更新情報ヘッダと更新リストからなる。更新情報ヘッダは、更新バージョン情報、更新道路群バージョン範囲及び更新レコード数を有する。
更新バージョン情報は、当該更新のバージョンを表す情報である。
更新道路群バージョン範囲は、更新対象となる更新道路群の地図データのバージョンを表す情報であり、更新リストに現れる更新道路群の地図データのバージョンの最小値と最大値で表される。この更新道路群バージョン範囲が、地図データのバージョンよりも新しければ、当該更新情報で更新の対象とする道路群は、当該地図情報の作成時期よりも後で定められたもので、当該更新情報で上記地図データを更新できないことが分かる。
また、更新道路群バージョン範囲が地図データのバージョンを含むか、更新道路群バージョン範囲が地図データのバージョンよりも古ければ、当該更新情報で更新の対象とする道路群は、上記地図データの作成時期又は作成時期よりも前に定められたもので、当該更新情報で上記地図データを更新できる可能性があることが分かる。
更新レコード数は、当該更新リストの更新レコードの数である。
【0057】
更新リストは、更新する道路群に対応して設けた更新レコードからなり、更新道路群識別子、更新供用情報、部分フラグ及び更新範囲情報を有する。
更新道路群識別子は、更新する更新道路群の更新道路群識別子である。
部分フラグは、更新道路群識別子が示す更新道路群の一部のリンクを更新するか、全てのリンクを更新するかを示すフラグである。部分フラグの値が0であると、全てのリンクを更新することを示し、値1であると、一部のリンクを更新することを示している。
【0058】
更新範囲情報は、部分フラグの値が1のときに、更新道路群識別子が示す更新道路群のリンクの更新する範囲を示す情報である。また、更新範囲情報は、先頭番号、更新リンク数からなり、先頭番号は、更新道路群の先頭から何番目のリンクから更新するかを示し、更新リンク数は、そのリンクから何本のリンクを更新するかを示している。
【0059】
更新供用情報は、部分フラグの値が0のときは、更新道路群識別子が示す更新道路群の全てのリンクの供用が開始されたか又は廃止されたかを示し、部分フラグが1のときは、更新道路群識別子が示す更新道路群における上記更新範囲情報が示すリンクの供用が開始されたか又は廃止されたかを示す情報である。なお、更新供用情報の値が0であると、供用が開始されたことを示し、値が1であると供用が廃止されたことを示している。
【0060】
図11は、情報提供装置8が提供する更新情報の一例を示す図である。図11において、更新情報1は、X年7月(T1)に更新道路群RG0の全てのリンク(図5のリンクL1A0)の供用が開始されたことに対応して提供される更新情報である。
更新情報2は、X年9月(T2)に更新道路群RG1の一部のリンク(図5のリンクL2A1)の供用が開始され、更新道路群RG2の一部のリンク(図5のリンクL2A6)の供用が廃止されたことに対応して提供される更新情報である。
図5のリンクL2A1は、更新道路群RG1の先頭から0番目のリンクで供用が開始されるのは、図5のリンクL2A1の1つのみである。このため、更新情報2の更新レコード0の部分フラグの値が1、更新範囲情報の先頭番号が0、更新リンク数が1に設定されている。
更新情報3は、X年11月(T3)に更新道路群RG1の一部のリンク(図5のリンクL2A2)の供用が開始されたことに対応して提供される更新情報である。
図5のリンクL2A2は、更新道路群RG1の先頭から1番目のリンクで供用が開始されるのは、図5のリンクL2A2の1つのみである。このため、更新情報3の更新レコード0の部分フラグの値が1、更新範囲情報の先頭番号が1、更新リンク数が1に設定されている。
更新情報4は、X+1年6月(T4)に更新道路群RG4の全てのリンク(図6のリンクL1B6,L1B7)の供用が開始されたことに対応して提供される更新情報である。
更新情報5は、X+1年8月(T5)に更新道路群RG3の全てのリンク(図5のリンクL4A5,L4A6,L2A7、図6のリンクL4B5,L4B6,L2B5)の供用が開始され、更新道路群RG5の全てのリンク(図6のリンクL4B7)の供用が開始されたことに対応して提供される更新情報である。
更新情報のバージョンは連続した番号をとるものとし、更新情報1〜更新情報5のバージョンを1〜5とする。
【0061】
次に動作について説明する。
(1)更新情報の取得処理
地図情報処理装置1は、情報提供装置8から更新情報を取得する処理を、地図情報処理と並行して行う。このとき、後述する更新情報を取得する動作を所定期間毎に繰り返す。なお、更新情報の取得は、地図情報処理装置1の起動時や、ユーザから要求されたとき等に行ってもよい。
【0062】
図12は、実施の形態1の地図情報処理装置による更新情報の取得処理の流れを示すフローチャートである。
先ず、更新情報取得部7aが、プロセッサ4に内蔵されるカレンダー時計(図2において不図示)が計時した現時点の年月日及び時刻と、情報記憶部3に記憶された地図情報の作成日情報の年月日とを比較して、現時点の年月日が、作成日情報の年月日から所定期間経過しているか否かを判定する(ステップST100)。現時点の年月日が作成日情報の年月日から所定期間経過していれば(ステップST100;YES)、更新情報取得処理を終了する。一方、現時点の年月日が作成日情報の年月日から所定期間経過していなければ(ステップST100;NO)、ステップST110の処理へ遷移する。
【0063】
地図データの作成時から一定の期間が経過した以降の時点では、供用の開始又は廃止が予定されている道路に関して正確な情報が得られない。このため、例えば、地図データの作成時から2年以降では、供用の開始又は廃止が予定されている道路のデータを地図データに格納しない。
従って、地図データ作成時から2年以上経過すれば、時間の経過に伴って当該地図情報処理装置1に対する更新情報が得られる可能性が無くなっていく。
そこで、所定期間、例えば3年以降では更新情報を取得する処理を行わないことにより不要な処理の発生を防止できる。
なお、上記所定期間の経過後でも、未だ更新されていない更新道路群が残っているときは、使用者の指示により更新情報を取得するようにしてもよく、更新情報を取得する頻度をより低くしてもよい。
【0064】
更新情報取得部7aは、全ての更新道路群の更新情報を取得済みか否かを判定する(ステップST110)。すなわち、更新情報取得部7aが、情報記憶部3の変換情報を参照して、取得リンク数が対応リンク数よりも少ない変換レコードを探索する。ここで、全ての変換レコードで、取得リンク数が対応リンク数に一致すれば、全ての更新道路群の更新情報を取得済みであると判断して(ステップST110;YES)、更新情報の取得処理を終了する。また、取得リンク数が対応リンク数よりも少ない変換レコードが見つかれば(ステップST110;NO)、ステップST120の処理へ遷移する。
【0065】
変換レコードの取得リンク数には、後述するステップST170において、その更新道路群を構成するリンクについて、これまでに取得された更新情報で更新可能なリンク数が格納される。この取得リンク数が対応リンク数に一致すれば、その更新道路群に関する全ての更新情報が取得できたことが分かる。つまり、全ての変換レコードの取得リンク数が対応リンク数に一致していれば、全ての更新道路群について必要な更新情報が取得されている。例えば、図8に示す変換情報で、変換レコード0,1,2,3の取得リンク数が、それぞれ1,2,1,3となり、更新レコード0,1,2,3の対応リンク数に一致するとき、更新道路群識別子が0〜3の更新道路群について必要な更新情報が取得できたことが分かり、更新情報取得処理を終了する。
本ステップにより、全ての更新道路群の更新情報の取得が終了しているにも関わらず、更新情報を取得することを防止できる。
【0066】
次に、更新情報取得部7aは、情報取得部7を介して、自装置を識別するための端末識別情報とともに、更新情報ヘッダを要求する情報を情報提供装置8へ送信し、この要求の応答として、情報取得部7を介して更新情報ヘッダを情報提供装置8から取得する(ステップST120)。
【0067】
なお、情報提供装置8は、道路が更新される度に、その道路の更新情報を外部から取得して、装置内の更新情報記憶部(図1において不図示)に格納しておき、更新情報ヘッダが要求される度に、保有する更新情報の更新情報ヘッダを、要求元の地図情報処理装置1へ送信し、保有する全ての更新情報についてその更新情報ヘッダを送り終えている場合には、更新情報の提供終了を示す情報を、要求元の地図情報処理装置1に送信する。
また、情報提供装置8が、道路の供用の開始又は廃止を示す情報を外部から取得して、当該道路に関する更新情報を作成するようにしてもよい。
【0068】
例えば、期日T1に更新情報1が、情報提供装置8の更新情報記憶部に格納され、期日T2に更新情報2が、情報提供装置8の更新情報記憶部に格納される。また、期日T3に更新情報3が情報提供装置8の更新情報記憶部に格納され、期日T4に更新情報4が情報提供装置8の更新情報記憶部に格納され、期日T5に更新情報5が情報提供装置8に格納される。
また、期日T2から期日T3よりも前の期間では、情報提供装置8が、図9に示す更新情報1及び更新情報2を保有しており、地図情報処理装置1から最初の更新情報ヘッダの要求に対して、更新情報1の更新情報ヘッダを要求元の地図情報処理装置1へ送信する。これにより、地図情報処理装置1は、その更新情報ヘッダを取得する。
さらに、地図情報処理装置1から2回目の上記要求があると、情報提供装置8が、更新情報2の更新情報ヘッダを、要求元の地図情報処理装置1へ送信する。これにより、地図情報処理装置1は、その更新情報ヘッダを取得する。
さらに、情報提供装置8は、地図情報処理装置1から3回目の上記要求があると、情報提供装置8は、更新情報1、更新情報2の更新情報ヘッダの提供を終えているため、更新情報の提供終了を示す情報を、要求元の地図情報処理装置1へ送信し、当該地図情報処理装置1は、情報取得部7を介してその情報を取得する。
【0069】
ステップST130において、更新情報取得部7aは、更新情報の提供が終了したか否かを判定する。すなわち、上述した更新情報の提供終了を示す情報を情報提供装置8から取得したか否かで判定を行う。ここで、更新情報の提供終了を示す情報を取得していれば、更新情報の提供終了と判定して(ステップST130;YES)、更新情報の取得処理を終了する。また、更新情報ヘッダを取得して、更新情報の提供が継続していると判定した場合には(ステップST130;NO)、ステップST140の処理へ遷移する。
【0070】
更新情報取得部7aは、ステップST120で取得した更新情報ヘッダの更新情報バージョンと、情報記憶部3に格納されている更新情報の更新情報ヘッダの更新情報バージョンとを比較して、取得済みの更新情報バージョンであるか否かを判定する(ステップST140)。上述した双方の更新情報バージョンが一致する更新情報があれば、更新情報は取得済みであると判定して(ステップST140;YES)、ステップST120の処理へ戻る。一方、情報記憶部3に格納されている更新情報の更新情報ヘッダの更新情報バージョンと一致する更新情報がなければ、当該更新情報は未取得であると判定して(ステップST140;NO)、ステップST150の処理へ遷移する。
本ステップにより、既に情報記憶部3に格納されている更新情報が重複して取得されることを防止できる。
【0071】
次に、更新情報取得部7aは、情報記憶部3に格納されている地図データのバージョンと、ステップST120で取得した更新情報ヘッダの更新道路群バージョン範囲とを比較して、更新道路群バージョン範囲が地図データのバージョンよりも新しいか否かを判定する(ステップST150)。ここで、地図データのバージョンよりも新しければ(ステップST150;YES)、ステップST120へ戻る。また、更新道路群バージョン範囲が地図データのバージョンを含むか、古いときは(ステップST150;NO)、ステップST160へ遷移する。
【0072】
例えば、情報記憶部3に格納される地図データのバージョンが“1”である地図情報処理装置1において、図11に示す更新情報1,2,3,5の更新情報ヘッダは、更新道路群バージョン範囲が1(最小)〜1(最大)又は1(最小)〜2(最大)であり、地図データのバージョン“1”を含むため、ステップST160へ遷移する。
一方、更新情報4の更新情報ヘッダでは、更新道路群バージョン範囲が2(最小)〜2(最大)であり地図データのバージョン“1”よりも新しいため、ステップST120の処理へ戻ることになる。これにより、バージョン1の地図データを更新する新レコードを持たない更新情報4の更新リストの取得を防止することができる。
【0073】
また、情報記憶部3に格納されている地図データのバージョンが“2”である地図情報処理装置1においては、図11に示す更新情報1〜5の更新情報ヘッダは、更新道路群バージョン範囲が1(最小)〜1(最大)又は2(最小)〜2(最大)又は1(最小)〜2(最大)であり、地図データのバージョン“2”を全て含むため、ステップST160へ遷移することになる。
【0074】
ステップST160において、更新情報取得部7aは、情報取得部7を介して、端末識別情報とともに、更新情報の更新リストを要求する情報を情報提供装置8へ送信し、これに応じて情報提供装置8から送信された更新リストを、情報取得部7を介して取得する。
例えば、情報記憶部3に格納されている地図データのバージョンが“1”である地図情報処理装置1において、ステップST120で、図11に示す更新情報1の更新情報ヘッダを取得していた場合、更新情報1の更新リストを取得する。この取得時期をT1’とする。上記と同様にして、図11に示す更新情報2,3,5の更新リストが取得される。これらの取得時期をそれぞれT2’,T3’,T5’とする。
また、情報記憶部3に格納されている地図データのバージョンが“2”である地図情報処理装置1においても、上記と同様にして、図11に示す更新情報1〜5の更新リストが取得される。これらの取得時期をそれぞれT1’,T2’,T3’,T4’,T5’とする。
【0075】
上述したステップST150及びステップST160の処理によって、情報記憶部3に格納される地図データを更新できる可能性がある更新情報の更新リストのみを取得することができ、不要な更新情報の取得を防止できる。
【0076】
次に、更新情報取得部7aは、ステップST120で取得した更新情報ヘッダと、ステップST160で取得した更新リストとを、更新情報として情報記憶部3に格納する(ステップST170)。その後、ステップST120へ戻る。
なお、上述の更新リストの格納において、更新レコードの更新道路群識別子が、変換情報のいずれかの変換レコードの対応更新道路群識別子に一致する場合にのみ、当該更新レコードを格納する。
上記更新リストの全ての更新レコードが情報記憶部3に格納されない場合は、更新情報ヘッダも情報記憶部3に格納せず、従って更新情報を格納しない。
このような格納方法を採用することで、地図データにない更新道路群、又は地図データの作成時に既に供用が開始又は廃止されている更新道路群に関する更新レコードの格納を防止できる。
【0077】
また、更新情報取得部7aは、情報記憶部3に格納する更新レコードの更新道路群識別子に一致する対応更新道路群識別子を持つ変換情報の変換レコードの取得リンク数を更新する。例えば、更新レコードの部分フラグの値が0のときは、変換レコードの取得リンク数を当該変換レコードの対応リンク数と同じ値に書き換え、部分フラグの値が1のときには、上記変換レコードの取得リンク数を、上記更新レコードにおける更新範囲情報が示す更新リンク数だけ増加させる。
このようにすることで、更新道路群の全てのリンクの更新情報が得られたときに、変換レコードの取得リンク数が、当該変換レコードの対応レコード数に一致することになる。これにより、取得リンク数と対応レコード数とを比較することで、更新道路群の全てのリンクの更新情報が得られたか否かの判定が可能となる。
【0078】
例えば、情報記憶部3に格納されている地図データのバージョンが“1”である地図情報処理装置1では、下記のようにして、図11に示す更新情報を情報記憶部3に格納し、図8に示す変換情報の更新レコードを更新する。
(a)期日T1’で更新情報1を格納
変換レコード0の取得リンク数を、その対応リンク数(1)に書き換え、1とする。
これにより、変換レコード0の取得リンク数が対応リンク数に一致し、更新道路群識別子が0の更新道路群の全てのリンクに関する更新情報を取得したことが分かる。
(b)期日T2’で更新情報2を格納
変換レコード1の取得リンク数を、更新情報2における更新レコード0の更新範囲情報の更新リンク数(1)だけ増加し、1とする。
変換レコード2の取得リンク数を、その対応リンク数(1)に書き換え、1とする。
これにより、更新道路群識別子が2の更新道路群の全てのリンクに関する更新情報を取得したことが分かる。
(c)期日T3’で更新情報3を格納
変換レコード1の取得リンク数を、更新情報3における更新レコード0の更新範囲情報の更新リンク数(1)だけ増加し、2とする。
これにより、変換レコード1の取得リンク数が対応リンク数に一致し、更新道路群識別子が1の更新道路群の全てのリンクに関する更新情報を取得したことが分かる。
(d)期日T5’で更新情報5を格納
変換レコード3の取得リンク数を、その対応リンク数(3)に書き換え、3とする。
上記により更新道路群識別子が3の更新道路群の全てのリンクに関する更新情報を取得したことが分かる。
ただし、更新情報5において、更新レコード1の更新道路群識別子が5であり、図8に示す変換情報のいずれの変換レコードの対応更新道路群識別子とも一致しないために、更新レコード1は、情報記憶部3には格納されない。
【0079】
情報記憶部3に格納されている地図データのバージョンが“2”である地図情報処理装置1では、下記のようにして、図11に示す更新情報を情報記憶部3に格納し、図8に示す変換情報の更新レコードを更新する。
(A)期日T1’,T2’,T3’
図11の更新情報1,2,3の更新レコードの更新道路群識別子は0〜2であり、図8に示す変換情報のいずれの変換レコードの対応更新道路群識別子とも一致しないため、いずれの更新レコードも情報記憶部3には格納されない。従って、更新情報1,2,3は情報記憶部3に格納されない。
(B)期日T4’で更新情報4を格納
変換レコード1の取得リンク数を、その対応リンク数(2)に書き換え、2とする。
これにより、更新道路群識別子が4の更新道路群の全てのリンクに関する更新情報を取得したことが分かる。
(C)期日T5’で更新情報5を格納
変換レコード0の取得リンク数を、その対応リンク数(3)に書き換え、3とする。
変換レコード2の取得リンク数を、その対応リンク数(1)に書き換え、1とする。
これにより、更新道路群識別子が3,5の更新道路群の全てのリンクに関する更新情報を取得したことが分かる。
【0080】
(2)更新処理
地図表示処理、経路探索処理、及びマップマッチング処理等の地図情報処理において、プロセッサ4の地図データ取得部9が、先ず、所要のメッシュの地図データを情報記憶部3から読み出して、メモリ9aに格納する。更新部10は、メモリ9aに格納された地図データにおける道路網データを更新する。以下、プロセッサ4のメモリ9aに格納された道路網データの更新処理の詳細を説明する。
【0081】
図13は、実施の形態1の地図情報処理装置による更新処理の流れを示すフローチャートである。先ず、ステップST200において、更新部10が、本ステップに来る度に、メモリ9aに格納した道路網データのリンクリストの先頭から順にリンクレコードを1つずつ取得する。
【0082】
次に、更新部10は、ステップST200で取得したリンクレコードの計画情報を調べて、計画無しのリンクであるか否かを判定する(ステップST210)。ここで、計画情報が値0の場合(ステップST210;YES)、当該リンクが計画無しであると判断して、ステップST270へ遷移する。計画情報が値0でない場合は(ステップST210;NO)、当該リンクが計画有りであると判断して、ステップST220へ遷移する。
【0083】
例えば、情報記憶部3に格納されている地図データのバージョンが“1”である地図情報処理装置1では、図5のメッシュ2の道路網データにおいて、リンクL2A1,L2A2,L2A6,L2A7のリンクレコードの計画情報は、値1(計画有り)であるため、ステップST220へ遷移する。リンクL2A1,L2A2,L2A6,L2A7以外のリンクのリンクレコードは、計画情報の値が0(計画無し)であるので、ステップST270へ遷移する。
【0084】
続いて、更新部10は、情報記憶部3に格納される全ての更新情報の各更新レコードを調べて、ステップST200で取得したリンクレコードを更新するための更新レコードを検索し(ステップST220)、当該更新レコードがあるかどうかを調べる(ステップST230)。ここで、ステップST200で取得したリンクレコードを更新するための更新レコードが見つかると(ステップST230;YES)、更新部10は、更新レコード有りとして、ステップST240の処理へ遷移する。また、見つからなければ(ステップST230;NO)、更新レコード無しとして、ステップST270の処理へ遷移する。なお、ステップST220における動作の詳細は、図14を用いて後述する。
【0085】
例えば、情報記憶部3に格納される地図データのバージョンが“1”である地図情報処理装置1では、図5のメッシュ2の道路網データにおいて、図11に示す期日T3’から期日T5’よりも前の期間で、図11に示す更新情報1、更新情報2、更新情報3が情報記憶部3に格納されている。
従って、リンクL2A1のリンクレコードを更新するための更新レコードとして更新情報2の更新レコード0が見つかり、リンクL2A6のリンクレコードを更新するための更新レコードとして更新情報2の更新レコード1が見つかり、リンクL2A2のリンクレコードを更新するための更新レコードとして更新情報3の更新レコード0が見つかり、これらのリンクレコードに対して“更新レコード有り”とする。
一方、リンクL2A7のリンクレコードを更新するための更新レコードは見つからず、このリンクレコードに対して“更新レコード無し”とする。
図11に示す期日T5’以降で、図11に示す更新情報5がさらに情報記憶部3に格納されたとき、リンクL2A7のリンクレコードの更新するための更新レコードとして更新情報5の更新レコード0が見つかり、このリンクレコードに対して“更新レコード有り”となる。
【0086】
また、情報記憶部3に格納される地図データのバージョンが“2”である地図情報処理装置1では、図6のメッシュM2の道路網データにおいて、期日T5’以降で、図11に示す更新情報4、更新情報5が情報記憶部3に格納されている。このため、リンクL2B7のリンクレコードの更新するための更新レコードとして更新情報5の更新レコード0が見つかり、このリンクレコードに対して“更新レコード有り”とする。
【0087】
ステップST240において、更新部10は、ステップST200で見つけた更新レコードの更新供用情報を調べて、当該リンクが供用開始されたか否かを判定する。
ここで、更新供用情報が値0(供用開始)である場合(ステップST240;YES)、ステップST250の処理へ遷移し、更新供用情報が値1(廃止)である場合(ステップST240;NO)、ステップST260の処理へ遷移する。
【0088】
次いで、更新部10は、プロセッサ4のメモリ9aに格納した道路網データのうち、ステップST220で取得したリンクレコードと同じリンクレコードを特定して、当該リンクレコードの供用情報に値0(供用中)を設定する(ステップST250)。この後、ステップST270の処理へ遷移する。
また、ステップST260では、更新部10が、プロセッサ4のメモリ9aに格納した道路網データのうち、ステップST220で取得したリンクレコードと同じリンクレコードを特定して、当該リンクレコードの供用情報に値1(非供用)を設定する。
【0089】
例えば、情報記憶部3に格納される地図データのバージョンが“1”である地図情報処理装置1では、図5のメッシュM2の道路網データにおいて、期日T3’から期日T5’よりも前の期間では、図11に示す更新情報1、更新情報2、更新情報3が情報記憶部3に格納されている。この場合に、更新情報2の更新レコード0の更新供用情報が値0であるため、リンクL2A1のリンクレコードの供用情報を値0(供用中)に設定する。
また、更新情報2の更新レコード1の更新供用情報が値1であるため、リンクL2A6のリンクレコードの供用情報を値1(非供用)に設定する。
さらに、更新情報3の更新レコード0の更新供用情報が値0であるため、リンクL2A2のリンクレコードの供用情報を値0(供用中)に設定する。
期日T5’以降の期間では、図11に示す更新情報5が、さらに情報記憶部3に格納されている。従って、更新情報5の更新レコード0の更新供用情報の値が0であるために、リンクL2A7のリンクレコードの供用情報の値が0(供用中)に設定される。
【0090】
一方、情報記憶部3に格納される地図データのバージョンが“2”である地図情報処理装置1では、図6のメッシュM2の道路網データにおいて、期日T5’以降の期間で、図11に示す更新情報4、更新情報5が情報記憶部3に格納されている。従って、更新情報5の更新レコード0の更新供用情報が値0であるため、リンクL2B7のリンクレコードの供用情報を値0(供用中)に設定する。
【0091】
上述までの説明で分かるように、実施の形態1では、リンクL2A1、リンクL2A2のように更新道路群の一部のリンクについて更新することができる。また、図11に示す更新情報5の更新レコード0のように同じ更新レコードを異なるバージョンの地図データの更新においても適用することができる。
【0092】
ステップST270において、更新部10は、道路網データのリンクリストの全てのリンクレコードについて、ステップST200でのリンクレコードの取得が終了したか否かを判定する。ここで、全てのリンクレコードの取得が終了していなければ(ステップST270;NO)、ステップST200へ戻り、終了していれば(ステップST270;YES)、更新処理を終了する。
【0093】
図14は、図13のステップST220の処理の詳細を示すフローチャートである。
図14の処理では、更新部10が、情報記憶部3に格納されている各更新レコードについて、更新レコードの更新道路群識別子と同一の対応更新道路群識別子を持つ変換レコードを特定し、当該変換レコードが、ステップST200で取得したリンクレコードのリンク識別子に一致する対応リンク識別子を有するか否かを調べる。ここで、ステップST200で取得されたリンクレコードのリンク識別子に一致する対応リンク識別子を有する場合、当該変換レコードの対応更新道路群識別子と一致する更新道路群識別子を有する更新レコードを、上記リンクレコードの更新のための更新レコードとするものである。
【0094】
ステップST300において、先ず、更新部10が、本ステップに来る度に、情報記憶部3に格納されている全ての更新情報から更新レコードを1つずつ順次取得する。
例えば、情報記憶部3に格納される地図データのバージョンが“1”である地図情報処理装置1では、期日T3’から期日T5’の前の期間で、図11に示す更新情報1、更新情報2、更新情報3が情報記憶部3に格納されている。このため、本ステップに来る度に更新情報1の更新レコード0、更新情報2の更新レコード0、更新情報2の更新レコード1、更新情報3の更新レコード0の順に更新レコードが取得される。
【0095】
次のステップST310において、更新部10は、本ステップに来る度に、情報記憶部3に格納されている変換情報から変換レコードを1つずつ順次取得する。
例えば、図8に示す変換情報が情報記憶部3に格納されているとき、本ステップに来る度に、変換レコード0、変換レコード1、変換レコード2、変換レコード3の順に変換レコードが取得される。
【0096】
次いで、更新部10は、ステップST310で取得した変換レコードの対応更新道路群識別子と、ステップST300で取得した更新レコードの更新道路群識別子とを比較し、当該更新レコードに対応する変換レコードであるか否かを判定する(ステップST320)。ここで、対応更新道路群識別子と更新道路群識別子とが一致すれば(ステップST320;YES)、ステップST310で取得した変換レコードが、上記更新レコードに対応する変換レコードであると判断して、ステップST330へ遷移する。一方、一致しなければ(ステップST320;NO)、対応する変換レコードでないと判断して、ステップST390へ遷移する。
【0097】
例えば、図11に示す更新情報1の更新レコード0、更新情報2の更新レコード0、更新情報2の更新レコード1、更新情報3の更新レコード0に対応する変換レコードは、それぞれ図8に示す変換レコード0、変換レコード1、変換レコード2、変換レコード1である。従って、後述するステップST330からステップST370までの処理に使用する、ステップST300で取得した更新レコードとステップST310で取得した変換レコードとの組み合わせは、図11の更新情報1の更新レコード0と図8の変換レコード0、図11の更新情報2の更新レコード0と図8の変換レコード1、図11の更新情報2の更新レコード1と図8の変換レコード2、図11の更新情報3の更新レコード0と図8の変換レコード1、となる。
【0098】
続いて、更新部10は、ステップST300で取得した更新レコードが全てのリンクの更新を示しているか否かを判定する(ステップST330)。ここで、当該更新レコードの部分フラグの値が0であれば、全リンクの更新であると判断して(ステップST330;YES)、ステップST340へ遷移する。また、部分フラグの値が1であり、一部のリンクの更新であると判断される場合(ステップST330;NO)には、ステップST350の処理へ遷移する。
例えば、図11の更新情報1の更新レコード0及び更新情報2の更新レコード1の部分フラグの値が0(全リンクを更新)であるので、これらについては、ステップST340へ遷移する。また、図11の更新情報2の更新レコード0及び更新情報3の更新レコード0の部分フラグは、値が1(一部のリンクを更新)であるので、これらについては、ステップST350へ遷移する。
【0099】
ステップST340において、更新部10は、ステップST310で取得した変換レコードにおける対応リンク情報の検索開始位置を先頭すなわち“0”とし、検索数をステップST310で取得した変換レコードの対応リンク数に設定する。
例えば、ステップST300で、図11に示す更新情報1の更新レコード0を取得したとき、検索開始位置を“0”とし、検索数を、図8の変換レコード0の対応リンク数である“1”に設定する。また、ステップST300で、図11に示す更新情報2の更新レコード1を取得したとき、検索開始位置を“0”とし、検索数を、図8の変換レコード2の対応リンク数である“1”に設定する。
【0100】
また、ステップST350では、更新部10が、ステップST310で取得した変換レコードにおける対応リンク情報の検索開始位置を、ステップST300で取得した更新レコードの更新範囲情報の先頭番号とし、検索数を当該更新範囲情報の更新リンク数とする。この後、ステップST360へ遷移する。
例えば、ステップST300で、図11に示す更新情報2の更新レコード0を取得しているとき、検索開始位置を、更新レコード0の更新範囲情報の先頭番号である“0”とし、検索数を更新範囲情報の更新レコード数である“1”とする。
ステップST300で、図11に示す更新情報3の更新レコード0を取得している場合は、検索開始位置を、更新レコード0の更新範囲情報の先頭番号である“1”とし、検索数を更新範囲情報の更新レコード数である“1”に設定する。
【0101】
次に、更新部10は、ステップST310で取得した変換レコードにおける対応リンク情報を、ステップST340又はステップST350で設定した検索開始位置から検索数分だけ調べ(ステップST360)、該当する対応リンク情報がないかどうかを判定する(ステップST370)。これにより、ステップST200で取得したリンクレコードのリンク識別子に一致する対応リンク識別子を有する対応リンク情報があれば、“該当対応リンク情報有り”と判断して(ステップST370;NO)、ステップST380へ遷移する。一方、ステップST200で取得したリンクレコードのリンク識別子に一致する対応リンク識別子を有する対応リンク情報が無ければ、“該当対応リンク情報無し”と判断して(ステップST370;YES)、ステップST390へ遷移する。
【0102】
例えば、ステップST300で、図11に示す更新情報1の更新レコード0を取得しているとき、図8の変換レコード0の対応リンク情報を先頭(0番目)から1個を調べる。
このとき、ステップST200で取得したリンクレコードが、図5のメッシュM2のリンクであるとき、当該リンクレコードのリンク識別子は、図8の変換レコード0の対応リンク情報0の対応リンク識別子である1000とは異なるため、“該当対応リンク情報無し”となる。
【0103】
また、ステップST300で、図11に示す更新情報2の更新レコード1を取得しているとき、図8の変換レコード2の対応リンク情報を先頭(0番目)から1個を調べる。
ステップST200で取得したリンクレコードが、図5のメッシュM2のリンクL2A6であるとき、当該リンクレコードのリンク識別子は7000であり、図8の変換レコード2の対応リンク情報0の対応リンク識別子である7000と一致するため、“該当対応リンク情報有り”となる。
【0104】
さらに、ステップST300で、図11に示す更新情報2の更新レコード0を取得しているとき、図8の変換レコード1の対応リンク情報を0番目から1個を調べる。
ステップST200で取得したリンクレコードが、図5のメッシュM2のリンクL2A1であるとき、当該リンクレコードのリンク識別子は1003であり、図8の変換レコード1の対応リンク情報0の対応リンク識別子である1003と一致するため、“該当対応リンク情報有り”となる。
【0105】
さらに、ステップST300で、図11に示す更新情報3の更新レコード0を取得しているとき、図8の変換レコード1の対応リンク情報を1番目から1個を調べる。
ステップST200で取得したリンクレコードが、図5のメッシュM2のリンクL2A2であるとき、当該リンクレコードのリンク識別子は1004であり、図8の変換レコード1の対応リンク情報1の対応リンク識別子である1004と一致するため、“該当対応リンク情報有り”となる。
【0106】
ステップST380において、更新部10は、ステップST300で取得した更新レコードを、ステップST200で取得したリンクレコードを更新するための更新レコードとし、検索結果を“更新レコード有り”として、更新情報検索を終了する。
例えば、ステップST200で取得したリンクレコードが、図5のメッシュM2のリンクL2A6であるとき、ステップST300で、図11に示す更新情報2の更新レコード1を、当該リンクレコードを更新するための更新レコードとして、検索結果が“更新レコード有り”となる。
【0107】
また、ステップST200で取得したリンクレコードが、図5のメッシュM2のリンクL2A1であるときは、ステップST300で、図11に示す更新情報2の更新レコード0を、当該リンクレコードを更新するための更新レコードとして、検索結果が“更新レコード有り”となる。
【0108】
さらに、ステップST200で取得したリンクレコードが、図5のメッシュM2のリンクL2A2であるときは、ステップST300で、図11に示す更新情報3の更新レコード0を、当該リンクレコードを更新するための更新レコードとして、検索結果が“更新レコード有り”となる。
【0109】
ステップST390では、更新部10が、変換情報の全ての変換レコードについて、ステップST310での変換レコードの取得が終了したか否かを判定する。ここで、全ての変換レコードの取得が終了していなければ(ステップST390;NO)、ステップST310へ戻り、終了していれば(ステップST390;YES)、ステップST400へ遷移する。
【0110】
ステップST400では、更新部10が、全ての更新情報の全ての更新レコードについて、ステップST300での更新レコードの取得が終了したか否かを判定する。ここで、全ての更新レコードの取得が終了していなければ(ステップST400;NO)、ステップST300へ戻り、終了していれば(ステップST400;YES)、ステップST410へ遷移する。
【0111】
ステップST410では、更新部10が、検索結果を“更新レコード無し”として、更新情報検索を終了する。
【0112】
(3)地図表示処理
地図表示処理において、上述のように、地図データ取得部9が、所要のメッシュの地図データを情報記憶部3からメモリ9aに読み取り、更新部10が、それらの地図データにおける道路網データの更新を行う。また、地図表示処理では、更新後の地図データの背景データ、道路網データ、名称データを用いて、描画処理部11が、背景、道路、名称を描画メモリ12へ描画し、表示制御部13が、描画メモリ12に描画された地図を表示部5に表示する。
【0113】
道路の描画において、描画処理部11は、メモリ9aに格納した道路網データのリンクリストからリンクレコードを順次取り出し、リンクレコードの供用情報が値1(非供用)の場合は、そのリンクの道路形状を描画せず、リンクレコードの供用情報が値0(供用中)の場合にのみ、そのリンクのリンク形状リストから形状レコードを取り出し、取り出した形状レコードの形状リストに基いて、当該リンクの道路形状を表す折れ線を描画する。この描画処理において、道路形状の色、パターンは、上記リンクレコードのリンク属性情報に基いて描画される。
【0114】
図15は、道路の描画例(その1)を示す図であり、図11の更新情報1が取得されていない期日T1’以前の期間における、図5のメッシュM2の道路の描画例を示している。図15において、期日T1’では、リンクL2A1,L2A2,L2A7は供用が開始されていないため、それらのリンクレコードの供用情報が値1(非供用)であり、これらのリンクの道路形状は描画されない。
また、リンクL2A6の供用は廃止されていないので、リンクレコードの供用情報は、値0(供用中)であり、このリンクの道路形状は描画される。
図5のメッシュM2における上記以外のリンクL2A0,L2A3,L2A4,L2A5,L2A8,L2A9のリンクレコードの供用情報は値0(供用中)であるので、これらのリンクの道路形状は描画される。
【0115】
図16は、道路の描画例(その2)を示す図であり、図11の更新情報1を取得した期日T1’以降から期日T2までの期間における、図5のメッシュM2の道路の描画例を示している。図16において、上述の期間では、リンクL2A1の供用が開始されており、そのリンクレコードの供用情報が値0(供用中)となることから、このリンクの道路形状は描画される。
また、リンクL2A6の供用は廃止されているので、そのリンクレコードの供用情報には値1(非供用)が設定されており、このリンクの道路形状は描画されない。
他のリンクについては、図15の場合と同様である。
このように供用情報に応じて道路を表示するため、使用者は、表示された地図を見るだけで、各道路が使用可能か否かを直ちに認識することができる。
【0116】
(4)経路探索処理
経路探索処理においても、地図データ取得部9が、上述のように所要のメッシュの地図データを情報記憶部3からメモリ9aに読み取り、更新部10が、メモリ9aに格納した地図データにおける道路網データの更新を行い、経路探索部14が、更新された道路網データを用いて経路探索を行う。この経路探索処理において、経路探索部14は、リンクレコードの供用情報を参照して、その値が0(供用中)であるリンクのみを用いて経路探索を行う。
【0117】
経路探索部14が、図5のメッシュM1,M2,M3,M4の道路網データを用いて、出発点がノードN4A3であって、目的地がノードN2A8の経路探索を行う場合を例に挙げる。ここで、図11の更新情報1が取得されていない期日T1’よりも前の期間に、経路探索を実行した場合には、経路探索部14が、図5中で点線を用いて表したリンク以外のリンクを用いて経路探索を行う。この経路探索の結果、L4A2→L4A1→L4A4→L2A3→L2A6→L2A8、という経路が得られる。
【0118】
また、図11の更新情報1、更新情報2、更新情報3、更新情報5を取得したT5’以降の期間に経路探索を実行した場合は、経路探索部14が、図5のメッシュM2のリンクL2A6以外のリンクを用いて経路探索を行う。この経路探索の結果として、L4A2→L4A6→L2A7という経路が得られる。
このように、更新情報で道路網データを更新し、時点で供用されているリンクのみを用いて経路探索処理を行うので、実際の道路状況に即した好適な経路が得られる。
【0119】
(5)マップマッチング処理
マップマッチング処理において、地図データ取得部9が、上述のように所要のメッシュの地図データを情報記憶部3からメモリ9aに読み取り、更新部10が、メモリ9aに格納した地図データにおける道路網データの更新を行い、マップマッチング処理部15が、更新された道路網データと、位置検出部2で検出した地図情報装置1を搭載する移動体の現在位置とを用いて、移動体が走行しているリンク及びリンク上の現在位置を求める。
このマップマッチング処理において、マップマッチング処理部15は、リンクレコードの供用情報を参照し、その値が0(供用中)であるリンクのみを用いてマップマッチングを行う。
【0120】
上記移動体が、図5のノードN2A2からリンクL2A9を通ってノードN2A6へ走行する場合を例に挙げて説明する。この場合に、マップマッチング処理部15は、メモリ9aに格納した、図5のメッシュM2の道路網データからリンクリストのリンクレコードを検索し、その供用情報が値0(供用中)であるリンクについてのみ、その形状レコードを取得する。この後、マップマッチング処理部15は、その形状点リストが表す道路形状と位置検出部2で検出した現在位置とを比較し、上記現在位置の所定近傍に位置するリンクを見つける。
【0121】
図11の更新情報2が取得されていない期日T2’以前では、移動体がノードN2A2を通過して、まもなくの間は、上記現在位置の所定近傍に位置し、供用情報が値0(供用中)であるリンクL2A6,L2A9を見つけることができる。
また、リンクL2A1は、この期日では供用が開始されていないため、その供用情報が値1(非供用)であるので、所定近傍に位置するリンクの候補から除外される。
さらに、移動体がノードN2A6に向って走行を続けると、リンクL2A6の道路形状と現在位置との距離が大きくなり、所定近傍に位置するリンクの候補からリンクL2A6が除外される。これにより、当該移動体がリンクL2A9を走行していると判定される。
【0122】
一方、図11の更新情報2を取得した期日T2’以降の期間では、リンクL2A1の供用が開始され、その供用情報が値0(供用中)に更新されており、リンクL2A1の供用が廃止され、その供用情報が値1(非供用)に更新されている。このため、移動体がノードN2A2を通過して、まもなくの間は、現在位置の所定近傍に位置し、供用情報が値0(供用中)であるリンクL2A9,L2A1を見つけることができる。
さらに、ノードN2A6に向って移動体が走行を続けると、リンクL2A1の道路形状と現在位置との距離が大きくなり、所定近傍に位置するリンクの候補からリンクL2A1が除外される。これにより、当該移動体がリンクL2A9を走行していると判定される。
【0123】
このように、更新情報で道路網データを更新し、時点で供用されているリンクのみを用いてマップマッチング処理を行うので、実際の道路状況に即した好適なマップマッチングが可能である。
【0124】
以上のように、この実施の形態1によれば、メッシュごとに区画された地図を表す地図データにおける、供用の開始又は廃止が予定されている道路からなる更新道路群ごとに一定不変に付与された更新道路群識別子と、更新道路群識別子で特定される更新道路群の道路が供用開始又は供用廃止されたことを示す情報とを有する更新情報を利用して、更新道路群識別子と地図データが表す道路とを対応付ける対応情報に基づいて、地図データ取得部9に取得された地図データが表す道路から、更新道路群識別子に対応する更新道路群を特定し、この更新道路群の道路の供用情報を当該更新情報に基づいて更新する。
このように、供用の開始又は廃止が予定されている道路からなる更新道路群を識別する更新道路群識別子が不変であるため、地図データの作成時期が異なっても供用の開始又は廃止が予定されている更新道路群を特定することができる。このため、当該道路群の道路での供用の開始又は廃止を知らせる更新情報を共通に使用することができる。
また、対応情報を利用することで、更新情報の更新道路群識別子と地図データの道路の対応付けが容易となり、更新処理の短縮に寄与する。
【0125】
また、この実施の形態1によれば、更新情報に更新道路群識別子で特定される更新道路群の道路の一部を指定する部分指定情報が設けられ、更新部10が、情報記憶部3に記憶された変換情報に基づいて、地図データ取得部9に取得された地図データが表す道路のうち、更新情報取得部7aに取得された更新情報の更新道路群識別子に対応する更新道路群を特定し、当該特定した更新道路群のうち、更新情報の部分指定情報が指定する道路の供用情報を、当該更新情報に基づいて更新する。このようにすることで、更新道路群識別子が示す更新道路群の一部の更新が可能である。
【0126】
さらに、この実施の形態1によれば、変換情報が、地図データが表す道路を識別する道路番号と更新道路群識別子とを対応付ける情報であるので、更新情報の更新道路群識別子と地図データの道路との対応付けが容易となり、更新処理が容易になる。
【0127】
さらに、この実施の形態1によれば、更新情報が、更新の対象とする更新道路群の更新バージョン情報を有し、更新バージョン情報が、更新道路群を表す前記地図データの最も古いバージョンであるので、当該地図情報処理装置1に不要な更新情報の取得を防止することができる。
【0128】
さらに、この実施の形態1によれば、更新情報取得部7aが、情報記憶部3に記憶された地図データのバージョンより新しいバージョンを示す更新バージョン情報を有する更新情報を取得しない。情報記憶部3に記憶された地図データのバージョンより新しいバージョンを示す更新バージョン情報である場合、地図情報処理装置1の地図データよりも新しいバージョンの更新道路群は当該地図情報処理装置1の地図データには存在しないため、上述のようにすることで、地図情報処理装置1で不要な更新情報が取得されることを防止できる。
【0129】
さらに、この実施の形態1によれば、更新情報取得部7aが、情報記憶部3に記憶された地図データの全ての更新道路群の更新を完了すると、これ以降は更新情報を取得しないので、不要な更新情報が取得されることを防止できる。
【0130】
さらに、この実施の形態1によれば、更新情報取得部7aが、情報記憶部3に記憶された地図データの作成時期から所定の期間が経過すると更新情報を取得しないので、所定の期間が経過して、地図情報処理装置1に対する更新情報が提供されなくなったにも関わらず、更新情報の取得処理が実行されることを防止できる。
【符号の説明】
【0131】
1 地図情報処理装置、1a 入力部、2 位置検出部、3 情報記憶部、4 プロセッサ、5 表示部、6 音声出力部、7 情報取得部、7a 更新情報取得部、8 情報提供装置、9 地図データ取得部、9a メモリ、10 更新部、11 描画処理部、12 描画メモリ、13 表示制御部、14 経路探索部、15 マップマッチング処理部。
【技術分野】
【0001】
この発明は、カーナビゲーション装置、携帯電話、携帯情報端末等の移動体又は固定されたコンピュータで使用される地図情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、地図データにおいて、道路の形状を表す道路形状データにその道路の使用可否を示す使用可否フラグを設けた情報処理装置が開示されている。この装置では、供用中の道路の使用可否フラグを使用可に設定する一方、開通予定道路の使用可否フラグは使用不可に設定する。ここで、外部から当該開通予定道路が開通したことを示す開通フラグ情報を取得すると、当該開通予定道路の使用可否フラグを使用可に変更する。
また、開通フラグ情報では、地図情報における道路網データのアドレスを使用して開通する道路を特定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−8344号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に代表される従来の技術では、地図データにおける道路網データのアドレスを用いて開通する道路を特定している。
しかしながら、ある時期に発売された地図データとその1年後に発売された地図データとでは、これらを構成する地図データの作成時期が異なり、さらに道路網の状況も異なる。このため、同じ道路であっても、道路網データのアドレスが異なっている。
従って、同じ道路の開通を知らせる開通フラグ情報であっても、地図データの発売の度に異なる開通フラグ情報を提供する必要があり、開通フラグ情報を発売時期に依存せず、共通に使用できないという課題があった。
【0005】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、供用の開始又は廃止が予定されている道路について供用の開始又は廃止を知らせる情報を、地図データの作成時期に依存せずに、共通に使用することができる地図情報処理装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る地図情報処理装置は、メッシュごとに区画された地図を表す地図データにおける、供用の開始又は廃止が予定されている道路からなる更新道路群ごとに一定不変に付与された更新道路群識別子と、更新道路群識別子で特定される更新道路群の道路が供用開始又は供用廃止されたことを示す情報とを有する更新情報を管理する外部装置から、当該更新情報を取得する更新情報取得部と、道路が供用されているか否かを示す供用情報を有し、メッシュごとに区画された地図を表す地図データ、更新情報取得部に取得された更新情報、及び更新道路群識別子と地図データが表す道路とを対応付ける対応情報を記憶する情報記憶部と、情報記憶部から地図データを取得する地図データ取得部と、情報記憶部に記憶された対応情報に基づいて、地図データ取得部に取得された地図データが表す道路のうち、更新情報取得部に取得された更新情報の更新道路群識別子に対応する更新道路群を特定し、この更新道路群の道路の供用情報を、当該更新情報に基づいて更新する更新部とを備えるものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、メッシュごとに区画された地図を表す地図データにおける、供用の開始又は廃止が予定されている道路からなる更新道路群ごとに一定不変に付与された更新道路群識別子と、更新道路群識別子で特定される更新道路群の道路が供用開始又は供用廃止されたことを示す情報とを有する更新情報を利用して、更新道路群識別子と地図データが表す道路とを対応付ける対応情報に基づいて、地図データ取得部に取得された地図データが表す道路から、更新道路群識別子に対応する更新道路群を特定し、この更新道路群の道路の供用情報を当該更新情報に基づいて更新する。
このように、供用の開始又は廃止が予定されている道路からなる更新道路群を識別する更新道路群識別子が不変であるため、地図データの作成時期が異なっても供用の開始又は廃止が予定されている更新道路群を特定することができる。このため、当該道路群の道路での供用の開始又は廃止を知らせる更新情報を共通に使用することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】この発明の実施の形態1による地図情報処理装置を適用した地図情報処理システムの構成を示すブロック図である。
【図2】プロセッサの機能構成を示すブロック図である。
【図3】地図情報のデータ構造の一例を示す図である。
【図4】道路網データの一例を示す図である。
【図5】階層番号0の階層におけるメッシュM1,M2,M3,M4における道路網の一例(その1)を示す図である。
【図6】階層番号0の階層におけるメッシュM1,M2,M3,M4における道路網の一例(その2)を示す図である。
【図7】変換情報のデータ構造の一例を示す図である。
【図8】変換情報の一例(その1)を示す図である。
【図9】変換情報の一例(その2)を示す図である。
【図10】更新情報のデータ構造の一例を示す図である。
【図11】更新情報の一例を示す図である。
【図12】実施の形態1の地図情報処理装置による更新情報の取得処理の流れを示すフローチャートである。
【図13】実施の形態1の地図情報処理装置による更新処理の流れを示すフローチャートである。
【図14】図13のステップST220の処理の詳細を示すフローチャートである。
【図15】道路の描画例(その1)を示す図である。
【図16】道路の描画例(その2)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1による地図情報処理装置を適用した地図情報処理システムの構成を示すブロック図である。図1に示すように、地図情報処理システムは、地図情報処理装置1及び情報提供装置8から構成される。実施の形態1の地図情報処理装置1は、情報提供装置8から取得した各種の情報に基づいて地図情報処理を行う。その構成としては、入力部1a、位置検出部2、情報記憶部3、プロセッサ4、表示部5、音声出力部6及び情報取得部7を備える。
【0010】
入力部1aは、使用者の操作又は指示に従ってプロセッサ4に指示信号を与える操作スイッチ群であり、入力手段として機能する。入力手段として、操作スイッチ群以外に、表示部5の表示面に装着されたタッチパネル、リモートコントロールスイッチ等を使用してもよい。
【0011】
位置検出部2は、例えばGPS(Global Positioning System)受信機、車速センサ、加速度センサ、角速度センサ等を用いた位置検出手段であって、地図情報処理装置1が搭載された移動体(例えば自動車等の車両)の現在位置を検出し、検出した現在位置を示す位置情報をプロセッサ4に提供する。情報記憶部3は、例えば地図情報の記憶媒体としてハードディスクを用いたハードディスクドライブで構成された地図情報記憶手段であり、当該情報記憶部3に地図情報及び変換情報を予め記憶しておく。
【0012】
プロセッサ4は、入力部1aから与えられた指示信号、位置検出部2から得られた現在位置を示す位置情報、及び情報記憶部3から読み出した地図情報を用いて、各種の地図情報処理を行う地図情報処理手段として機能する。また、プロセッサ4は、図2を用いて後述する描画メモリ、描画処理部及び表示制御部を有し、所要の図形を描画処理部が描画メモリに描画し、表示制御部が描画メモリの内容を表示部5に表示する。さらに、情報取得部7が取得した情報と情報記憶部3の変換情報とに基づいて情報記憶部3から取得した地図情報を更新する。
【0013】
上述した各種の地図情報処理の内容としては、位置検出部2から取得された現在位置を示す位置情報と、情報記憶部3から読み出した地図情報とに基づいて、移動体の現在位置を推定するマップマッチング処理、出発地から目的地までの経路を算出する経路探索処理、経路探索処理により得られた経路に従って出発地から目的地までの案内を行う経路誘導処理、現在位置周辺の地図の表示処理、都市、道路、施設、住所、電話番号、交差点等の各種情報を検索する各種検索処理等が含まれる。
また、地図情報処理には、情報記憶部3から読み出した地図情報を基にマップマッチング処理で推定された現在位置を中心とした地図の描画処理、さらにその地図上に地図情報処理の結果として得られた移動体の現在位置、経路探索処理で得られた好適な経路、及びその経路に従って出発地から目的地まで案内を行うための案内情報の描画処理、各種入力情報の描画処理、検索によって得られた各種情報の描画処理等の描画処理部を用いた描画処理も含まれる。
【0014】
表示部5は、上述した各種の描画処理で描画メモリに描画された内容を、表示制御部の制御に従って表示する表示手段であり、例えば、液晶ディスプレイからなる。
音声出力部6は、プロセッサ4による各種の地図情報処理の結果として得られた情報を音声で使用者に提示する音声出力手段である。音声出力部6は、経路探索処理で得られた好適な経路に従って出発地から目的地まで案内を行うための案内情報や、検索により得られた各種の情報等を、音声で使用者に提示する。
【0015】
情報取得部7は、携帯電話のデータ通信や無線LAN(Local Area Network)等の通信手段を介して、情報提供装置8から所要の情報を取得する情報取得手段として機能する。
なお、情報取得部7として、メモリカード等の各種の記憶媒体の読み取り装置を設け、当該記憶媒体から所要の情報を取得するようにしてもよい。
【0016】
図2は、図1のプロセッサの機能構成を示すブロック図である。図2において、プロセッサ4は、更新情報取得部7a、地図データ取得部9、更新部10、描画処理部11、描画メモリ12、表示制御部13、経路探索部14及びマップマッチング処理部15を備える。情報記憶部3には、地図情報の他に、後述する更新情報及び変換情報が記憶される。
【0017】
更新情報取得部7aは、供用が開始された道路又は廃止された道路を示す更新情報を、情報取得部7を介して情報提供装置8から取得する構成部である。
【0018】
更新情報とは、道路の供用状況に従って、地図情報処理装置1が管理する道路網データを更新するための情報である。具体的には、地図データが表す道路で、供用の開始又は廃止が予定されている1つ以上の道路からなる更新道路群を識別するために当該更新道路群に対応付けて定めた更新道路群識別子と、更新道路群識別子で特定される更新道路群内の道路が供用の開始又は廃止されたことを示す情報を有する。なお、同じ更新道路群の更新道路群識別子は、地図データの作成時期に依らず一定不変である。
【0019】
変換情報とは、情報記憶部3に格納された地図情報の道路網データにおけるリンクと、更新道路群識別子に対応する更新道路群の各道路のリンクとを対応付ける情報である。
また、変換情報には、更新道路群識別子に対応するリンクの数が予め設定されている。従って、更新情報を取得した更新対象のリンクの数が、変換情報に設定した対応するリンク数と一致したときに、当該変換情報が示す更新道路群に含まれる全ての更新情報を取得できたことを認識できる。
【0020】
地図データ取得部9は、情報記憶部3の地図情報から地図データを取得する構成部であり、取得した地図データをメモリ9aに格納する。
更新部10は、地図データ取得部9に取得されてメモリ9aに格納された地図データの供用情報を、情報記憶部3から読み出した更新情報に基いて更新する構成部である。
また、更新部10は、同じ更新道路群が更新対象になる場合、当該道路群の道路網データを含む地図データのバージョンに関わらず、同じ更新道路群識別子で当該更新道路群を特定できる。従って、更新部10は、同じ更新道路群内の道路に変更が生じた場合、地図データのバージョンに関わらず、同じ更新情報を用いた更新処理が可能である。
【0021】
描画処理部11は、メモリ9aに格納された地図データ、経路探索部14の処理結果、又はマップマッチング処理部15の処理結果を用いて、地図表示する所要の図形データを生成して描画メモリ12に描画する。表示制御部13は、描画メモリ12の内容を表示部5に表示する。経路探索部14は、上述の地図情報処理のうち、出発地から目的地までの経路を算出する経路探索処理を実行する構成部であり、マップマッチング処理部15は、位置検出部2から取得された現在位置を示す位置情報と、メモリ9aから読み出した地図情報とに基づいて、移動体の現在位置を推定するマップマッチング処理を実行する構成部である。
【0022】
なお、更新情報取得部7a、地図データ取得部9、更新部10、描画処理部11、描画メモリ12、表示制御部13、経路探索部14及びマップマッチング処理部15は、プロセッサ4が、本発明の趣旨に従う地図情報処理用プログラムを実行することで、ハードウェアとソフトウェアが協働した具体的な手段として実現される。
【0023】
本発明では、地図情報の作成範囲を、所定間隔の緯線と経線によって囲まれた4辺形とする。また、地図情報は、情報の詳細さの度合いによって階層化されており、地図情報の作成範囲を各階層毎に所定間隔の緯線と経線によって囲まれた領域であるメッシュに区画して管理される。ここでは、階層を識別するため、最も詳しい階層(詳細表示)から粗くなる(広域表示)順に、各階層に0,1,2,・・・と番号を付与し、これを階層番号とする。
【0024】
さらに、1つの階層内で、メッシュを識別するために、各メッシュに固有の番号を付与し、これをメッシュ番号とする。例えば、ある階層の地図情報の作成範囲を、緯度方向に16分割、経度方向に16分割して得られる256個の領域に区画し、それぞれの領域をメッシュとした場合、各メッシュには、0〜255のメッシュ番号が付与される。
【0025】
図3は、図1の情報記憶部に格納された地図情報のデータ構造の一例を示す図である。地図情報として、地図管理情報、各階層のメッシュに対応して設けた地図データを有している。地図管理情報は、当該地図情報のバージョンを表すバージョン情報、及び階層毎に各地図データを管理する階層管理情報を有する。
階層管理情報は、各メッシュのメッシュ番号、地図データの当該地図情報における格納位置、及びデータサイズ等の情報を階層毎に有する。
また、地図情報のバージョンは、地図情報が作成された順に、1,2,3,・・・のように連続した番号とする。地図情報のバージョンは、地図情報に含まれる地図データのバージョンでもある。
【0026】
地図データは、地図データヘッダ、道路網データ、背景データ、名称データ、経路誘導データからなる情報である。地図データヘッダは、地図データ内の各データを管理する情報を有し、道路網データは、当該メッシュにおける道路網を表す情報を有している。
また、背景データは、河川、海等を表す面データ、線状の河川、鉄道等を表す線データ、施設シンボル等を表す点データを有し、経路誘導データは、交差点等での経路案内に要する情報を有する。検索データは、都市、道路、施設、住所、電話番号、交差点等の各種地点を検索するための情報で、各地点の名称、位置等の情報等を有する。
【0027】
図4は、図3の道路網データの一例を示す図である。図4に示すように、道路網データは、交差点又は道路上の地点を表すノードとノード間を結ぶ道路を表すリンクとを用いて表した道路網を表すもので、道路網ヘッダ、ノードリスト、リンクリスト及び形状リストからなる。
【0028】
道路網ヘッダは、当該道路網データの管理に必要な情報としてノード数、リンク数及びリスト管理情報を有する。
ノード数は、当該メッシュに存在するノードの数を表す情報である。リンク数は、当該メッシュに存在するリンクの数を表す情報である。また、リスト管理情報は、ノードリスト、リンクリスト及び形状リストの各格納位置とそのデータサイズを表す情報である。
【0029】
ノードリストは、当該メッシュに存在するノードに対応して設けたノードレコードからなる情報である。ノードリストにおけるノードレコードの並び順をノード番号とする。
ノードレコードは、図4に示すように、ノードレコードサイズ、ノード座標、接続リンク数、接続情報及びリンク間規制情報を有する。
ノードレコードサイズは、当該ノードレコードのデータサイズを表す情報である。ノード座標は、当該ノードの地理的位置を表す情報である。接続リンク数は、当該ノードに接続するリンクの数を表す情報である。接続情報は、当該ノードに接続するリンクを表す情報である。リンク間規制情報は、当該ノードに接続するリンク間の通行に関する規制を表す情報である。
【0030】
リンクリストは、当該メッシュに存在するリンクに対応して設けたリンクレコードからなる情報である。リンクリストにおけるリンクレコードの並び順をリンク番号とする。
リンクレコードは、供用情報、計画情報、リンク識別子、始点ノード番号、終点ノード番号、リンク属性情報及び形状レコード格納位置を有する。
供用情報は、当該リンクが供用されている“供用中”か、供用されていない“非供用”であるかを示す情報である。供用情報が値0であると、当該リンクが示す道路が供用中であることを示しており、値1である場合には、当該リンクが示す道路が非供用であることを示している。この供用情報を参照することにより、当該リンクが地図表示、マップマッチング、経路探索等の地図情報処理に使用可能か否かが分かる。
供用情報は、取得した更新情報が示すリンクの最新の状態を反映するように更新され、リンクの最新の状態を反映した地図情報処理が可能となる。
【0031】
計画情報は、当該地図情報が作成された時点において、当該リンクの道路が、既に供用されて廃止予定無し(計画無し)か、供用の開始又は廃止予定がある(計画有り)のいずれであるかを示す情報である。ここで、計画情報が値0の場合に計画無しを示し、値1であると計画有りとなる。
この計画情報を参照することで、供用情報の値に関わらず、供用開始、供用廃止が予定されている、又は予定されていた道路であることが分かる。このため、地図表示時に供用情報と合わせて計画情報を参照することで、供用開始予定の道路、供用廃止予定の道路、供用が開始された道路、供用が廃止された道路を区別して表示できる。
【0032】
リンク識別子は、地図情報の作成範囲内にあるリンクを識別するために、リンクに対応付けたリンクに固有な番号である。地図情報の作成範囲内にあるリンクは、全て異なるリンク識別子を持つ。階層番号が0の階層において、複数のリンクが、階層番号が1以上の階層の1つのリンクに含まれるときは、階層番号が0の階層の上記複数のリンクには連続した番号を対応付ける。
なお、階層番号が1以上の階層のリンクのリンク識別子は、そのリンクが階層番号が0の階層の1つのリンクと一致するときは、階層番号が0の階層のリンクのリンク識別子と同一とする。
また、階層番号が1以上の階層のリンクのリンク識別子は、そのリンクが階層番号が0の階層の複数のリンクを含むときは、当該複数のリンクのリンク識別子の最小番号と最大番号とするとき、最小番号と(最大番号−最小番号)との組とする。
【0033】
始点ノード番号は、当該リンクの始点側のノードのノード番号であり、終点ノード番号は、当該リンクの終点側のノードのノード番号を示している。
また、リンク属性情報は、当該リンクの道路種別、幅員、リンク長等の各種属性を表す情報である。さらに、形状レコード格納位置は、当該リンクに対応する形状レコードの形状リストにおける格納位置を示している。
【0034】
形状リストは、当該メッシュに存在するリンクに対応して設けた形状レコードからなる情報である。形状レコードは、形状点数及び形状点リストを有する。
形状点数は、当該リンクの道路形状の形状点の数を示している。形状点リストは、当該リンクの道路形状を折れ線で表し、その折れ線の頂点である形状点の地理的位置をそれぞれリストアップした情報である。
【0035】
図5は、階層番号0の階層におけるメッシュM1,M2,M3,M4における道路網の一例(その1)を示す図であり、あるX年4月に作成されたバージョン1の地図情報の階層番号0の階層における道路網を示している。図5において、メッシュM1の道路網は、ノードN1A0〜N1A4、リンクL1A0〜L1A3からなる。メッシュM2の道路網は、ノードN2A0〜N2A8、リンクL2A0〜L2A9からなる。メッシュM3の道路網は、ノードN3A0〜N3A4、リンクL3A0〜L3A3からなる。メッシュM4の道路網は、ノードN4A0〜N4A7、リンクL4A0〜L4A6からなる。
【0036】
また、リンクL1A0,L1A1,L2A0,L2A1,L2A2のそれぞれに1000,1001,1002,1003,1004を、リンク識別子として対応付ける。リンクL3A0,L3A1,L4A0,L4A1,L4A2のそれぞれに2000,2001,2002,2003,2004を、リンク識別子として対応付ける。リンクL3A2,L3A3,L1A2,L1A3のそれぞれに3000,3001,3002,3003を、リンク識別子として対応付ける。リンクL4A3,L4A4,L2A3,L2A4,L2A5のそれぞれに4000,4001,4002,4003,4004を、リンク識別子として対応付ける。リンクL4A5,L4A6,L2A7のそれぞれに5000,5001,5002を、リンク識別子として対応付ける。リンクL2A8,L2A9のそれぞれに6000,6001を、リンク識別子として対応付ける。リンクL2A6に7000をリンク識別子として対応付けるものとする。
【0037】
階層番号1の1つのリンクが、図5に示す階層番号0のリンクL4A5,L4A6,L2A7を1つに統合したものであるとき、すなわちリンクL4A5,L4A6,L2A7(リンク識別子は5000,5001,5002)を含む場合、当該階層番号1のリンクのリンク識別子は、5000と2(=5002−5000)の組となる。また、階層番号1の1つのリンクが、図5に示す階層番号0のリンクL1A0(リンク識別子は1000)と同じ場合、当該階層番号1のリンクのリンク識別子は、1000となる。なお、上位の階層のリンクを、供用の開始又は廃止が予定されている階層番号0のリンクと供用の開始又は廃止が予定されていない階層番号0のリンクとを混在して、1つのリンクに統合しないものとする。例えば、階層番号1で、図5に示すリンクL1A0とリンクL1A1とを統合して1つのリンクにしない。
【0038】
点線で示すリンクL1A0,L2A1,L2A2,L2A7,L4A5,L4A6は、供用開始が予定されているリンクであるが、当該地図情報が作成された時点では、供用されていないために使用不可となっているリンクである。上記以外のリンクは、当該地図情報が作成された時点で供用されており、使用可能なリンクである。なお、細い実線で示すメッシュM2のリンクL2A6は、供用廃止となることが予定されている道路である。
【0039】
メッシュM1,M2,M3,M4の道路網データのノードリストには、上記のノードに対応したノードレコードが格納され、リンクリスト、形状リストには、上記リンクに対応したリンクレコード、形状レコードが格納される。
ここで、ノードNmAnは、メッシュMmのノードリストのn番目(先頭は0番目とする)のノードレコードに対応する。リンクLmAnは、メッシュMmのリンクリストのn番目(先頭は0番目とする)のリンクレコードに対応する。リンクLmAnは、メッシュMmの形状リストのn番目(先頭は0番目とする)の形状レコードに対応する。
例えば、メッシュM1の道路網データにおいて、ノードリストには、5個のノードレコードがノードN1A0〜N1A4の順に格納される。また、リンクリストには、4個のリンクレコードがリンクL1A0〜L1A3の順に格納される。形状リストには、4個の形状レコードがリンクL1A0〜L1A3の順に格納される。
【0040】
当該地図情報が作成された時点で供用情報及び計画情報は、下記のように設定される。
メッシュM1の道路網データにおいては、点線のリンクL1A0に対応するリンクレコードでは、供用情報に値1(非供用)が設定され、計画情報に値1(計画有り)が設定される。リンクL1A0以外のリンクに対応するリンクレコードでは、供用情報に値0(供用中)が設定され、計画情報に値0(計画無し)が設定される。
また、メッシュM2の道路網データにおいては、点線のリンクL2A1,L2A2,L2A7に対応するリンクレコードでは、供用情報に値1(非供用)が設定され、計画情報に値1(計画有り)が設定される。
点線のリンクL2A6に対応するリンクレコードでは、供用情報に値0(供用中)が設定され、計画情報に値1(計画有り)が設定される。
リンクL2A1,L2A2,L2A7以外のリンクに対応するリンクレコードでは、供用情報に値0(供用中)が設定され、計画情報に値0(計画無し)が設定される。
さらに、メッシュM3の道路網データにおいては、全てのリンクのリンクレコードで、供用情報に値0(供用中)が設定され、計画情報に値0(計画無し)が設定される。
さらに、メッシュM4の道路網データにおいては、点線のリンクL4A5,L4A6に対応するリンクレコードでは、供用情報に値1(非供用)が設定され、計画情報に値1(計画有り)が設定される。リンクL4A5,L4A6以外のリンクに対応するリンクレコードでは、供用情報に値0(供用中)が設定され、計画情報に値0(計画無し)が設定される。
【0041】
図6は、階層番号0の階層におけるメッシュM1,M2,M3,M4における道路網の一例(その2)を示す図であり、あるX+1年4月に作成されたバージョン2の地図情報の階層番号0の階層における道路網を示している。図6では、図5における、リンクL1A0,L2A1,L2A2が供用中に変更され、リンクL2A6が削除され、さらに供用開始予定のリンクL1B6,L1B7,L4B7が追加されている。
メッシュM1の道路網は、ノードN1B0〜N1B7、リンクL1B0〜L1B7からなる。メッシュM2の道路網は、ノードN2B0〜N2B7、リンクL2B0〜L2B7からなる。メッシュM3の道路網は、ノードN3B0〜N3B4、リンクL3B0〜L3B3からなる。メッシュM4の道路網は、ノードN4B0〜N4B7、リンクL4B0〜L4B7からなる。
【0042】
また、リンクL1B0,L1B1,L1B2,L2B0,L2B1,L2B2のそれぞれに1000,1001,1002,1003,1004,1005を、リンク識別子として対応付ける。リンクL3B0,L3B1,L4B0,L4B1,L4B2のそれぞれに2000,2001,2002,2003,2004を、リンク識別子として対応付ける。リンクL3B2,L3B3,L1B3,L1B4,L1B5のそれぞれに3000,3001,3002,3003,3004を、リンク識別子として対応付ける。
リンクL1B6,L1B7のそれぞれに4000,4001を、リンクL4B3,L4B4,L2B3,L2B4のそれぞれに5000,5001,5002,5003を、リンク識別子として対応付ける。リンクL4B5,L4B6,L2B5のそれぞれに6000,6001,6002を、リンク識別子として対応付ける。リンクL2B6,L2B7のそれぞれに7000,7001を、リンク識別子として対応付ける。リンクL4B7に8000を、リンク識別子として対応付ける。
【0043】
点線で示すリンクL1B6,L1B7,L2B5,L4B5,L4B6、L4B7は、供用開始が予定されているリンクであるが、当該地図情報が作成された時点では、供用されいないために使用不可となっているリンクである。上記以外のリンクは、当該地図情報が作成された時点で供用されており、使用可能なリンクである。
【0044】
メッシュM1,M2,M3,M4の道路網データのノードリストには、上記のノードに対応したノードレコードが格納され、リンクリストと形状リストには、上記リンクに対応したリンクレコード及び形状レコードが格納される。
ノードNmBnは、メッシュMmのノードリストのn番目(先頭は0番目とする)のノードレコードに対応する。リンクLmBnは、メッシュMmのリンクリストのn番目(先頭は0番目とする)のリンクレコードに対応する。リンクLmBnは、メッシュMmの形状リストのn番目(先頭は0番目とする)の形状レコードに対応する。
例えば、メッシュM1の道路網データにおいて、ノードリストには、8個のノードレコードがノードN1B0〜N1B7の順に格納される。また、リンクリストには、8個のリンクレコードがリンクL1B0〜L1B7の順に格納される。形状リストには、8個の形状レコードがリンクL1B0〜L1B7の順に格納される。
【0045】
当該地図情報が作成された時点で供用情報及び計画情報は、下記のように設定される。
メッシュM1の道路網データにおいては、点線のリンクL1B6,L1B7に対応するリンクレコードでは、供用情報に値1(非供用)が設定され、計画情報に値1(計画有り)が設定される。リンクL1B6,L1B7以外のリンクに対応するリンクレコードでは、供用情報に値0(供用中)が設定され、計画情報に値0(計画無し)が設定される。
メッシュM2の道路網データにおいては、点線のリンクL2B5に対応するリンクレコードでは、供用情報に値1(非供用)が設定され、計画情報に値1(計画有り)が設定される。リンクL2B5以外のリンクに対応するリンクレコードでは、供用情報に値0(供用中)が設定され、計画情報に値0(計画無し)が設定される。
メッシュM3の道路網データにおいては、全てのリンクのリンクレコードで、供用情報に値0(供用中)が設定され、計画情報に値0(計画無し)が設定される。
メッシュM4の道路網データにおいては、点線のリンクL4B5,L4B6,L4B7に対応するリンクレコードでは、供用情報に値1(非供用)が設定され、計画情報に値1(計画有り)が設定される。
リンクL4B5,L4B6,L4B7以外のリンクに対応するリンクレコードでは、供用情報に値0(供用中)が設定され、計画情報に値0(計画無し)が設定される。
【0046】
地図情報の作成時に、供用の開始又は廃止が予定されている更新道路群を識別するために、各更新道路群に固有の番号を対応付けておく。この番号を更新道路群識別子とする。
地図情報を作成する度に、当該作成時までなかった更新道路群については、当該作成時までに更新道路群識別子として使用されていた番号の次から連続した番号を対応付ける。また、既存在の更新道路群では、この更新道路群の番号を更新道路群識別子とする。
上述のようにすることで、どの時期に作成した地図情報に対しても、異なる更新道路群には異なる更新道路群識別子が対応付けられ、同じ更新道路群に対しては同じ更新道路群識別子が対応する。また、更新道路群を表す地図データの最も古いバージョンを、その更新道路群のバージョンとする。
【0047】
図5に示すX年4月に作成されたバージョン1の地図情報において、下記のように更新道路群を設定する。図5において、リンクL1A0からなる更新道路群RG0、リンクL2A1,L2A2からなる更新道路群RG1、リンクL2A6からなる更新道路群RG2、リンクL4A5,L4A6、L2A7からなる更新道路群RG3とする。
ここで、更新道路群RG0,RG1,RG2,RG3に対し、更新道路群識別子としてそれぞれ番号0,1,2,3を対応付ける。
【0048】
また、図6に示したX+1年4月に作成されたバージョン2の地図情報において、下記のように更新道路群を設定する。図6において、リンクL1B6,L1B7からなる更新道路群RG4、リンクL4B7からなる更新道路群RG5、リンクL4B5,L4B6,L2B5からなる更新道路群RG3とする。
ここで、更新道路群RG4,RG5は、更新道路群RG0,RG1,RG2,RG3のいずれとも異なるため、更新道路群識別子としてそれぞれ4,5の番号を対応付ける。
図6の更新道路群RG3は、図5の更新道路群RG3と同じであるため、その更新道路群識別子として番号3を対応付ける。
更新道路群RG0,RG1,RG2のバージョンは、これらの更新道路群の地図データに付与された最も古いバージョン1となる。
更新道路群RG4,RG5のバージョンは、これら更新道路群の地図データに付与された最も古いバージョン2となる。
なお、更新道路群RG3は、バージョン1,2の双方の地図データで表されるが、この場合は、更新道路群RG3のバージョンを最も古い地図データのバージョン1とする。
このようにして、同じ更新道路群に対して、地図データのバージョンに関わらず、同じ更新道路群識別子を用いて更新道路群を特定できる。これにより、同じ更新道路群が変更された場合、地図データのバージョンに関わらず、同じ更新情報を用いた更新が可能である。
【0049】
図7は、情報記憶部3に記憶される変換情報のデータ構造の一例を示す図である。変換情報(対応情報)は、情報記憶部3に格納された地図情報の道路網データにおけるリンクと更新道路群識別子とを対応付ける情報であり、変換情報ヘッダと変換リストからなる。
変換情報ヘッダは、変換リストに含まれる変換レコードの数などを有する情報である。
変換リストは、地図情報の更新道路群に対応付けて設けた変換レコードからなる。
変換レコードは、対応更新道路群識別子、取得リンク数、対応リンク数及び対応リンク情報を有する。
【0050】
対応更新道路群識別子は、当該変換レコードが対応する更新道路群の更新道路群識別子である。取得リンク数は、当該更新道路群で既に供用の開始又は廃止の更新情報を取得したリンクの数である。変換リストが作成された時点では、取得リンク数の初期値として、値0が設定される。なお、当該更新道路群に関する更新情報を取得する度に、その更新情報が更新の対象とするリンクの数だけ取得リンク数を増加させる。これにより、当該取得リンク数が、対応リンク数に一致すると、当該更新道路群に関する全ての更新情報が取得できたと判断できる。
【0051】
対応リンク数は、当該更新道路群に対応するリンクの数である。対応リンク情報は、当該更新道路群に対応するリンクに対応して並べられ、対応メッシュ番号及び対応リンク識別子からなる。対応メッシュ番号は、対応するリンクが存在するメッシュのメッシュ番号である。対応リンク識別子は、対応するリンクのリンク識別子である。
【0052】
図8は、変換情報の一例(その1)を示す図であり、図5に示したX年4月に作成されたバージョン1の地図データの更新道路群に関する変換情報の変換レコードの設定値を示している。なお、図8で、m1,m2,m4は、それぞれメッシュM1,M2,M4のメッシュ番号である。例えば、変換レコード1は、対応更新道路群識別子が1であるので、更新道路群識別子が1の更新道路群RG1が、メッシュM2におけるリンク識別子が1003のリンクL2A1と、リンク識別子が1004のリンクL2A2とにそれぞれ対応していることを示している。
【0053】
図9は、変換情報の一例(その2)を示す図であり、図6に示したX+1年4月に作成されたバージョン2の地図データの更新道路群に関する変換情報の変換レコードの設定値を示している。なお、図9で、m1,m2,m4は、それぞれメッシュM1,M2,M4のメッシュ番号である。例えば、変換レコード1は、対応更新道路群識別子が4であることから、更新道路群識別子が4の更新道路群RG4が、メッシュM1におけるリンク識別子が4000のリンクL1B6と、リンク識別子が4001のリンクL1B7とにそれぞれ対応していることを示している。
【0054】
図8の変換レコード3と、図9の変換レコード0は、共に対応更新道路群識別子が3であることから、更新道路群識別子が3の同じ更新道路群を、それぞれのバージョンの地図データのリンクに対応付けている。
すなわち、図8の変換レコード3は、バージョン1の地図データにおける、リンク識別子が5000のリンクL4A5と、リンク識別子が5001のリンクL4A6と、リンク識別子が5002のリンクL2A7とに対応付けている。
また、図9の変換レコード0は、バージョン2の地図データにおける、リンク識別子が6000のリンクL4B5と、リンク識別子が6001のリンクL4B6と、リンク識別子が6002のリンクL2B5とに対応付けている。
【0055】
このように、変換情報を用いることで、地図データのバージョンに関わらず、更新道路群識別子が示す更新道路群を、地図情報処理装置1が保有する地図データのリンクに対応付けることができる。なお、変換情報は、階層毎に設け、変換レコードの対応リンク識別子の代わりに、当該更新道路群に対応するリンクのリンクレコードの格納位置を示すオフセット、又はリンク番号を用いてもよい。
【0056】
更新情報は、道路の供用状況に従って、地図情報処理装置1が扱う道路網データを更新するための情報であり、実際の道路の供用状況に従って、どのリンクレコードの供用情報をどのように変更するかを示している。
図10は、更新情報のデータ構造の一例を示す図である。図10に示すように、更新情報は、更新情報ヘッダと更新リストからなる。更新情報ヘッダは、更新バージョン情報、更新道路群バージョン範囲及び更新レコード数を有する。
更新バージョン情報は、当該更新のバージョンを表す情報である。
更新道路群バージョン範囲は、更新対象となる更新道路群の地図データのバージョンを表す情報であり、更新リストに現れる更新道路群の地図データのバージョンの最小値と最大値で表される。この更新道路群バージョン範囲が、地図データのバージョンよりも新しければ、当該更新情報で更新の対象とする道路群は、当該地図情報の作成時期よりも後で定められたもので、当該更新情報で上記地図データを更新できないことが分かる。
また、更新道路群バージョン範囲が地図データのバージョンを含むか、更新道路群バージョン範囲が地図データのバージョンよりも古ければ、当該更新情報で更新の対象とする道路群は、上記地図データの作成時期又は作成時期よりも前に定められたもので、当該更新情報で上記地図データを更新できる可能性があることが分かる。
更新レコード数は、当該更新リストの更新レコードの数である。
【0057】
更新リストは、更新する道路群に対応して設けた更新レコードからなり、更新道路群識別子、更新供用情報、部分フラグ及び更新範囲情報を有する。
更新道路群識別子は、更新する更新道路群の更新道路群識別子である。
部分フラグは、更新道路群識別子が示す更新道路群の一部のリンクを更新するか、全てのリンクを更新するかを示すフラグである。部分フラグの値が0であると、全てのリンクを更新することを示し、値1であると、一部のリンクを更新することを示している。
【0058】
更新範囲情報は、部分フラグの値が1のときに、更新道路群識別子が示す更新道路群のリンクの更新する範囲を示す情報である。また、更新範囲情報は、先頭番号、更新リンク数からなり、先頭番号は、更新道路群の先頭から何番目のリンクから更新するかを示し、更新リンク数は、そのリンクから何本のリンクを更新するかを示している。
【0059】
更新供用情報は、部分フラグの値が0のときは、更新道路群識別子が示す更新道路群の全てのリンクの供用が開始されたか又は廃止されたかを示し、部分フラグが1のときは、更新道路群識別子が示す更新道路群における上記更新範囲情報が示すリンクの供用が開始されたか又は廃止されたかを示す情報である。なお、更新供用情報の値が0であると、供用が開始されたことを示し、値が1であると供用が廃止されたことを示している。
【0060】
図11は、情報提供装置8が提供する更新情報の一例を示す図である。図11において、更新情報1は、X年7月(T1)に更新道路群RG0の全てのリンク(図5のリンクL1A0)の供用が開始されたことに対応して提供される更新情報である。
更新情報2は、X年9月(T2)に更新道路群RG1の一部のリンク(図5のリンクL2A1)の供用が開始され、更新道路群RG2の一部のリンク(図5のリンクL2A6)の供用が廃止されたことに対応して提供される更新情報である。
図5のリンクL2A1は、更新道路群RG1の先頭から0番目のリンクで供用が開始されるのは、図5のリンクL2A1の1つのみである。このため、更新情報2の更新レコード0の部分フラグの値が1、更新範囲情報の先頭番号が0、更新リンク数が1に設定されている。
更新情報3は、X年11月(T3)に更新道路群RG1の一部のリンク(図5のリンクL2A2)の供用が開始されたことに対応して提供される更新情報である。
図5のリンクL2A2は、更新道路群RG1の先頭から1番目のリンクで供用が開始されるのは、図5のリンクL2A2の1つのみである。このため、更新情報3の更新レコード0の部分フラグの値が1、更新範囲情報の先頭番号が1、更新リンク数が1に設定されている。
更新情報4は、X+1年6月(T4)に更新道路群RG4の全てのリンク(図6のリンクL1B6,L1B7)の供用が開始されたことに対応して提供される更新情報である。
更新情報5は、X+1年8月(T5)に更新道路群RG3の全てのリンク(図5のリンクL4A5,L4A6,L2A7、図6のリンクL4B5,L4B6,L2B5)の供用が開始され、更新道路群RG5の全てのリンク(図6のリンクL4B7)の供用が開始されたことに対応して提供される更新情報である。
更新情報のバージョンは連続した番号をとるものとし、更新情報1〜更新情報5のバージョンを1〜5とする。
【0061】
次に動作について説明する。
(1)更新情報の取得処理
地図情報処理装置1は、情報提供装置8から更新情報を取得する処理を、地図情報処理と並行して行う。このとき、後述する更新情報を取得する動作を所定期間毎に繰り返す。なお、更新情報の取得は、地図情報処理装置1の起動時や、ユーザから要求されたとき等に行ってもよい。
【0062】
図12は、実施の形態1の地図情報処理装置による更新情報の取得処理の流れを示すフローチャートである。
先ず、更新情報取得部7aが、プロセッサ4に内蔵されるカレンダー時計(図2において不図示)が計時した現時点の年月日及び時刻と、情報記憶部3に記憶された地図情報の作成日情報の年月日とを比較して、現時点の年月日が、作成日情報の年月日から所定期間経過しているか否かを判定する(ステップST100)。現時点の年月日が作成日情報の年月日から所定期間経過していれば(ステップST100;YES)、更新情報取得処理を終了する。一方、現時点の年月日が作成日情報の年月日から所定期間経過していなければ(ステップST100;NO)、ステップST110の処理へ遷移する。
【0063】
地図データの作成時から一定の期間が経過した以降の時点では、供用の開始又は廃止が予定されている道路に関して正確な情報が得られない。このため、例えば、地図データの作成時から2年以降では、供用の開始又は廃止が予定されている道路のデータを地図データに格納しない。
従って、地図データ作成時から2年以上経過すれば、時間の経過に伴って当該地図情報処理装置1に対する更新情報が得られる可能性が無くなっていく。
そこで、所定期間、例えば3年以降では更新情報を取得する処理を行わないことにより不要な処理の発生を防止できる。
なお、上記所定期間の経過後でも、未だ更新されていない更新道路群が残っているときは、使用者の指示により更新情報を取得するようにしてもよく、更新情報を取得する頻度をより低くしてもよい。
【0064】
更新情報取得部7aは、全ての更新道路群の更新情報を取得済みか否かを判定する(ステップST110)。すなわち、更新情報取得部7aが、情報記憶部3の変換情報を参照して、取得リンク数が対応リンク数よりも少ない変換レコードを探索する。ここで、全ての変換レコードで、取得リンク数が対応リンク数に一致すれば、全ての更新道路群の更新情報を取得済みであると判断して(ステップST110;YES)、更新情報の取得処理を終了する。また、取得リンク数が対応リンク数よりも少ない変換レコードが見つかれば(ステップST110;NO)、ステップST120の処理へ遷移する。
【0065】
変換レコードの取得リンク数には、後述するステップST170において、その更新道路群を構成するリンクについて、これまでに取得された更新情報で更新可能なリンク数が格納される。この取得リンク数が対応リンク数に一致すれば、その更新道路群に関する全ての更新情報が取得できたことが分かる。つまり、全ての変換レコードの取得リンク数が対応リンク数に一致していれば、全ての更新道路群について必要な更新情報が取得されている。例えば、図8に示す変換情報で、変換レコード0,1,2,3の取得リンク数が、それぞれ1,2,1,3となり、更新レコード0,1,2,3の対応リンク数に一致するとき、更新道路群識別子が0〜3の更新道路群について必要な更新情報が取得できたことが分かり、更新情報取得処理を終了する。
本ステップにより、全ての更新道路群の更新情報の取得が終了しているにも関わらず、更新情報を取得することを防止できる。
【0066】
次に、更新情報取得部7aは、情報取得部7を介して、自装置を識別するための端末識別情報とともに、更新情報ヘッダを要求する情報を情報提供装置8へ送信し、この要求の応答として、情報取得部7を介して更新情報ヘッダを情報提供装置8から取得する(ステップST120)。
【0067】
なお、情報提供装置8は、道路が更新される度に、その道路の更新情報を外部から取得して、装置内の更新情報記憶部(図1において不図示)に格納しておき、更新情報ヘッダが要求される度に、保有する更新情報の更新情報ヘッダを、要求元の地図情報処理装置1へ送信し、保有する全ての更新情報についてその更新情報ヘッダを送り終えている場合には、更新情報の提供終了を示す情報を、要求元の地図情報処理装置1に送信する。
また、情報提供装置8が、道路の供用の開始又は廃止を示す情報を外部から取得して、当該道路に関する更新情報を作成するようにしてもよい。
【0068】
例えば、期日T1に更新情報1が、情報提供装置8の更新情報記憶部に格納され、期日T2に更新情報2が、情報提供装置8の更新情報記憶部に格納される。また、期日T3に更新情報3が情報提供装置8の更新情報記憶部に格納され、期日T4に更新情報4が情報提供装置8の更新情報記憶部に格納され、期日T5に更新情報5が情報提供装置8に格納される。
また、期日T2から期日T3よりも前の期間では、情報提供装置8が、図9に示す更新情報1及び更新情報2を保有しており、地図情報処理装置1から最初の更新情報ヘッダの要求に対して、更新情報1の更新情報ヘッダを要求元の地図情報処理装置1へ送信する。これにより、地図情報処理装置1は、その更新情報ヘッダを取得する。
さらに、地図情報処理装置1から2回目の上記要求があると、情報提供装置8が、更新情報2の更新情報ヘッダを、要求元の地図情報処理装置1へ送信する。これにより、地図情報処理装置1は、その更新情報ヘッダを取得する。
さらに、情報提供装置8は、地図情報処理装置1から3回目の上記要求があると、情報提供装置8は、更新情報1、更新情報2の更新情報ヘッダの提供を終えているため、更新情報の提供終了を示す情報を、要求元の地図情報処理装置1へ送信し、当該地図情報処理装置1は、情報取得部7を介してその情報を取得する。
【0069】
ステップST130において、更新情報取得部7aは、更新情報の提供が終了したか否かを判定する。すなわち、上述した更新情報の提供終了を示す情報を情報提供装置8から取得したか否かで判定を行う。ここで、更新情報の提供終了を示す情報を取得していれば、更新情報の提供終了と判定して(ステップST130;YES)、更新情報の取得処理を終了する。また、更新情報ヘッダを取得して、更新情報の提供が継続していると判定した場合には(ステップST130;NO)、ステップST140の処理へ遷移する。
【0070】
更新情報取得部7aは、ステップST120で取得した更新情報ヘッダの更新情報バージョンと、情報記憶部3に格納されている更新情報の更新情報ヘッダの更新情報バージョンとを比較して、取得済みの更新情報バージョンであるか否かを判定する(ステップST140)。上述した双方の更新情報バージョンが一致する更新情報があれば、更新情報は取得済みであると判定して(ステップST140;YES)、ステップST120の処理へ戻る。一方、情報記憶部3に格納されている更新情報の更新情報ヘッダの更新情報バージョンと一致する更新情報がなければ、当該更新情報は未取得であると判定して(ステップST140;NO)、ステップST150の処理へ遷移する。
本ステップにより、既に情報記憶部3に格納されている更新情報が重複して取得されることを防止できる。
【0071】
次に、更新情報取得部7aは、情報記憶部3に格納されている地図データのバージョンと、ステップST120で取得した更新情報ヘッダの更新道路群バージョン範囲とを比較して、更新道路群バージョン範囲が地図データのバージョンよりも新しいか否かを判定する(ステップST150)。ここで、地図データのバージョンよりも新しければ(ステップST150;YES)、ステップST120へ戻る。また、更新道路群バージョン範囲が地図データのバージョンを含むか、古いときは(ステップST150;NO)、ステップST160へ遷移する。
【0072】
例えば、情報記憶部3に格納される地図データのバージョンが“1”である地図情報処理装置1において、図11に示す更新情報1,2,3,5の更新情報ヘッダは、更新道路群バージョン範囲が1(最小)〜1(最大)又は1(最小)〜2(最大)であり、地図データのバージョン“1”を含むため、ステップST160へ遷移する。
一方、更新情報4の更新情報ヘッダでは、更新道路群バージョン範囲が2(最小)〜2(最大)であり地図データのバージョン“1”よりも新しいため、ステップST120の処理へ戻ることになる。これにより、バージョン1の地図データを更新する新レコードを持たない更新情報4の更新リストの取得を防止することができる。
【0073】
また、情報記憶部3に格納されている地図データのバージョンが“2”である地図情報処理装置1においては、図11に示す更新情報1〜5の更新情報ヘッダは、更新道路群バージョン範囲が1(最小)〜1(最大)又は2(最小)〜2(最大)又は1(最小)〜2(最大)であり、地図データのバージョン“2”を全て含むため、ステップST160へ遷移することになる。
【0074】
ステップST160において、更新情報取得部7aは、情報取得部7を介して、端末識別情報とともに、更新情報の更新リストを要求する情報を情報提供装置8へ送信し、これに応じて情報提供装置8から送信された更新リストを、情報取得部7を介して取得する。
例えば、情報記憶部3に格納されている地図データのバージョンが“1”である地図情報処理装置1において、ステップST120で、図11に示す更新情報1の更新情報ヘッダを取得していた場合、更新情報1の更新リストを取得する。この取得時期をT1’とする。上記と同様にして、図11に示す更新情報2,3,5の更新リストが取得される。これらの取得時期をそれぞれT2’,T3’,T5’とする。
また、情報記憶部3に格納されている地図データのバージョンが“2”である地図情報処理装置1においても、上記と同様にして、図11に示す更新情報1〜5の更新リストが取得される。これらの取得時期をそれぞれT1’,T2’,T3’,T4’,T5’とする。
【0075】
上述したステップST150及びステップST160の処理によって、情報記憶部3に格納される地図データを更新できる可能性がある更新情報の更新リストのみを取得することができ、不要な更新情報の取得を防止できる。
【0076】
次に、更新情報取得部7aは、ステップST120で取得した更新情報ヘッダと、ステップST160で取得した更新リストとを、更新情報として情報記憶部3に格納する(ステップST170)。その後、ステップST120へ戻る。
なお、上述の更新リストの格納において、更新レコードの更新道路群識別子が、変換情報のいずれかの変換レコードの対応更新道路群識別子に一致する場合にのみ、当該更新レコードを格納する。
上記更新リストの全ての更新レコードが情報記憶部3に格納されない場合は、更新情報ヘッダも情報記憶部3に格納せず、従って更新情報を格納しない。
このような格納方法を採用することで、地図データにない更新道路群、又は地図データの作成時に既に供用が開始又は廃止されている更新道路群に関する更新レコードの格納を防止できる。
【0077】
また、更新情報取得部7aは、情報記憶部3に格納する更新レコードの更新道路群識別子に一致する対応更新道路群識別子を持つ変換情報の変換レコードの取得リンク数を更新する。例えば、更新レコードの部分フラグの値が0のときは、変換レコードの取得リンク数を当該変換レコードの対応リンク数と同じ値に書き換え、部分フラグの値が1のときには、上記変換レコードの取得リンク数を、上記更新レコードにおける更新範囲情報が示す更新リンク数だけ増加させる。
このようにすることで、更新道路群の全てのリンクの更新情報が得られたときに、変換レコードの取得リンク数が、当該変換レコードの対応レコード数に一致することになる。これにより、取得リンク数と対応レコード数とを比較することで、更新道路群の全てのリンクの更新情報が得られたか否かの判定が可能となる。
【0078】
例えば、情報記憶部3に格納されている地図データのバージョンが“1”である地図情報処理装置1では、下記のようにして、図11に示す更新情報を情報記憶部3に格納し、図8に示す変換情報の更新レコードを更新する。
(a)期日T1’で更新情報1を格納
変換レコード0の取得リンク数を、その対応リンク数(1)に書き換え、1とする。
これにより、変換レコード0の取得リンク数が対応リンク数に一致し、更新道路群識別子が0の更新道路群の全てのリンクに関する更新情報を取得したことが分かる。
(b)期日T2’で更新情報2を格納
変換レコード1の取得リンク数を、更新情報2における更新レコード0の更新範囲情報の更新リンク数(1)だけ増加し、1とする。
変換レコード2の取得リンク数を、その対応リンク数(1)に書き換え、1とする。
これにより、更新道路群識別子が2の更新道路群の全てのリンクに関する更新情報を取得したことが分かる。
(c)期日T3’で更新情報3を格納
変換レコード1の取得リンク数を、更新情報3における更新レコード0の更新範囲情報の更新リンク数(1)だけ増加し、2とする。
これにより、変換レコード1の取得リンク数が対応リンク数に一致し、更新道路群識別子が1の更新道路群の全てのリンクに関する更新情報を取得したことが分かる。
(d)期日T5’で更新情報5を格納
変換レコード3の取得リンク数を、その対応リンク数(3)に書き換え、3とする。
上記により更新道路群識別子が3の更新道路群の全てのリンクに関する更新情報を取得したことが分かる。
ただし、更新情報5において、更新レコード1の更新道路群識別子が5であり、図8に示す変換情報のいずれの変換レコードの対応更新道路群識別子とも一致しないために、更新レコード1は、情報記憶部3には格納されない。
【0079】
情報記憶部3に格納されている地図データのバージョンが“2”である地図情報処理装置1では、下記のようにして、図11に示す更新情報を情報記憶部3に格納し、図8に示す変換情報の更新レコードを更新する。
(A)期日T1’,T2’,T3’
図11の更新情報1,2,3の更新レコードの更新道路群識別子は0〜2であり、図8に示す変換情報のいずれの変換レコードの対応更新道路群識別子とも一致しないため、いずれの更新レコードも情報記憶部3には格納されない。従って、更新情報1,2,3は情報記憶部3に格納されない。
(B)期日T4’で更新情報4を格納
変換レコード1の取得リンク数を、その対応リンク数(2)に書き換え、2とする。
これにより、更新道路群識別子が4の更新道路群の全てのリンクに関する更新情報を取得したことが分かる。
(C)期日T5’で更新情報5を格納
変換レコード0の取得リンク数を、その対応リンク数(3)に書き換え、3とする。
変換レコード2の取得リンク数を、その対応リンク数(1)に書き換え、1とする。
これにより、更新道路群識別子が3,5の更新道路群の全てのリンクに関する更新情報を取得したことが分かる。
【0080】
(2)更新処理
地図表示処理、経路探索処理、及びマップマッチング処理等の地図情報処理において、プロセッサ4の地図データ取得部9が、先ず、所要のメッシュの地図データを情報記憶部3から読み出して、メモリ9aに格納する。更新部10は、メモリ9aに格納された地図データにおける道路網データを更新する。以下、プロセッサ4のメモリ9aに格納された道路網データの更新処理の詳細を説明する。
【0081】
図13は、実施の形態1の地図情報処理装置による更新処理の流れを示すフローチャートである。先ず、ステップST200において、更新部10が、本ステップに来る度に、メモリ9aに格納した道路網データのリンクリストの先頭から順にリンクレコードを1つずつ取得する。
【0082】
次に、更新部10は、ステップST200で取得したリンクレコードの計画情報を調べて、計画無しのリンクであるか否かを判定する(ステップST210)。ここで、計画情報が値0の場合(ステップST210;YES)、当該リンクが計画無しであると判断して、ステップST270へ遷移する。計画情報が値0でない場合は(ステップST210;NO)、当該リンクが計画有りであると判断して、ステップST220へ遷移する。
【0083】
例えば、情報記憶部3に格納されている地図データのバージョンが“1”である地図情報処理装置1では、図5のメッシュ2の道路網データにおいて、リンクL2A1,L2A2,L2A6,L2A7のリンクレコードの計画情報は、値1(計画有り)であるため、ステップST220へ遷移する。リンクL2A1,L2A2,L2A6,L2A7以外のリンクのリンクレコードは、計画情報の値が0(計画無し)であるので、ステップST270へ遷移する。
【0084】
続いて、更新部10は、情報記憶部3に格納される全ての更新情報の各更新レコードを調べて、ステップST200で取得したリンクレコードを更新するための更新レコードを検索し(ステップST220)、当該更新レコードがあるかどうかを調べる(ステップST230)。ここで、ステップST200で取得したリンクレコードを更新するための更新レコードが見つかると(ステップST230;YES)、更新部10は、更新レコード有りとして、ステップST240の処理へ遷移する。また、見つからなければ(ステップST230;NO)、更新レコード無しとして、ステップST270の処理へ遷移する。なお、ステップST220における動作の詳細は、図14を用いて後述する。
【0085】
例えば、情報記憶部3に格納される地図データのバージョンが“1”である地図情報処理装置1では、図5のメッシュ2の道路網データにおいて、図11に示す期日T3’から期日T5’よりも前の期間で、図11に示す更新情報1、更新情報2、更新情報3が情報記憶部3に格納されている。
従って、リンクL2A1のリンクレコードを更新するための更新レコードとして更新情報2の更新レコード0が見つかり、リンクL2A6のリンクレコードを更新するための更新レコードとして更新情報2の更新レコード1が見つかり、リンクL2A2のリンクレコードを更新するための更新レコードとして更新情報3の更新レコード0が見つかり、これらのリンクレコードに対して“更新レコード有り”とする。
一方、リンクL2A7のリンクレコードを更新するための更新レコードは見つからず、このリンクレコードに対して“更新レコード無し”とする。
図11に示す期日T5’以降で、図11に示す更新情報5がさらに情報記憶部3に格納されたとき、リンクL2A7のリンクレコードの更新するための更新レコードとして更新情報5の更新レコード0が見つかり、このリンクレコードに対して“更新レコード有り”となる。
【0086】
また、情報記憶部3に格納される地図データのバージョンが“2”である地図情報処理装置1では、図6のメッシュM2の道路網データにおいて、期日T5’以降で、図11に示す更新情報4、更新情報5が情報記憶部3に格納されている。このため、リンクL2B7のリンクレコードの更新するための更新レコードとして更新情報5の更新レコード0が見つかり、このリンクレコードに対して“更新レコード有り”とする。
【0087】
ステップST240において、更新部10は、ステップST200で見つけた更新レコードの更新供用情報を調べて、当該リンクが供用開始されたか否かを判定する。
ここで、更新供用情報が値0(供用開始)である場合(ステップST240;YES)、ステップST250の処理へ遷移し、更新供用情報が値1(廃止)である場合(ステップST240;NO)、ステップST260の処理へ遷移する。
【0088】
次いで、更新部10は、プロセッサ4のメモリ9aに格納した道路網データのうち、ステップST220で取得したリンクレコードと同じリンクレコードを特定して、当該リンクレコードの供用情報に値0(供用中)を設定する(ステップST250)。この後、ステップST270の処理へ遷移する。
また、ステップST260では、更新部10が、プロセッサ4のメモリ9aに格納した道路網データのうち、ステップST220で取得したリンクレコードと同じリンクレコードを特定して、当該リンクレコードの供用情報に値1(非供用)を設定する。
【0089】
例えば、情報記憶部3に格納される地図データのバージョンが“1”である地図情報処理装置1では、図5のメッシュM2の道路網データにおいて、期日T3’から期日T5’よりも前の期間では、図11に示す更新情報1、更新情報2、更新情報3が情報記憶部3に格納されている。この場合に、更新情報2の更新レコード0の更新供用情報が値0であるため、リンクL2A1のリンクレコードの供用情報を値0(供用中)に設定する。
また、更新情報2の更新レコード1の更新供用情報が値1であるため、リンクL2A6のリンクレコードの供用情報を値1(非供用)に設定する。
さらに、更新情報3の更新レコード0の更新供用情報が値0であるため、リンクL2A2のリンクレコードの供用情報を値0(供用中)に設定する。
期日T5’以降の期間では、図11に示す更新情報5が、さらに情報記憶部3に格納されている。従って、更新情報5の更新レコード0の更新供用情報の値が0であるために、リンクL2A7のリンクレコードの供用情報の値が0(供用中)に設定される。
【0090】
一方、情報記憶部3に格納される地図データのバージョンが“2”である地図情報処理装置1では、図6のメッシュM2の道路網データにおいて、期日T5’以降の期間で、図11に示す更新情報4、更新情報5が情報記憶部3に格納されている。従って、更新情報5の更新レコード0の更新供用情報が値0であるため、リンクL2B7のリンクレコードの供用情報を値0(供用中)に設定する。
【0091】
上述までの説明で分かるように、実施の形態1では、リンクL2A1、リンクL2A2のように更新道路群の一部のリンクについて更新することができる。また、図11に示す更新情報5の更新レコード0のように同じ更新レコードを異なるバージョンの地図データの更新においても適用することができる。
【0092】
ステップST270において、更新部10は、道路網データのリンクリストの全てのリンクレコードについて、ステップST200でのリンクレコードの取得が終了したか否かを判定する。ここで、全てのリンクレコードの取得が終了していなければ(ステップST270;NO)、ステップST200へ戻り、終了していれば(ステップST270;YES)、更新処理を終了する。
【0093】
図14は、図13のステップST220の処理の詳細を示すフローチャートである。
図14の処理では、更新部10が、情報記憶部3に格納されている各更新レコードについて、更新レコードの更新道路群識別子と同一の対応更新道路群識別子を持つ変換レコードを特定し、当該変換レコードが、ステップST200で取得したリンクレコードのリンク識別子に一致する対応リンク識別子を有するか否かを調べる。ここで、ステップST200で取得されたリンクレコードのリンク識別子に一致する対応リンク識別子を有する場合、当該変換レコードの対応更新道路群識別子と一致する更新道路群識別子を有する更新レコードを、上記リンクレコードの更新のための更新レコードとするものである。
【0094】
ステップST300において、先ず、更新部10が、本ステップに来る度に、情報記憶部3に格納されている全ての更新情報から更新レコードを1つずつ順次取得する。
例えば、情報記憶部3に格納される地図データのバージョンが“1”である地図情報処理装置1では、期日T3’から期日T5’の前の期間で、図11に示す更新情報1、更新情報2、更新情報3が情報記憶部3に格納されている。このため、本ステップに来る度に更新情報1の更新レコード0、更新情報2の更新レコード0、更新情報2の更新レコード1、更新情報3の更新レコード0の順に更新レコードが取得される。
【0095】
次のステップST310において、更新部10は、本ステップに来る度に、情報記憶部3に格納されている変換情報から変換レコードを1つずつ順次取得する。
例えば、図8に示す変換情報が情報記憶部3に格納されているとき、本ステップに来る度に、変換レコード0、変換レコード1、変換レコード2、変換レコード3の順に変換レコードが取得される。
【0096】
次いで、更新部10は、ステップST310で取得した変換レコードの対応更新道路群識別子と、ステップST300で取得した更新レコードの更新道路群識別子とを比較し、当該更新レコードに対応する変換レコードであるか否かを判定する(ステップST320)。ここで、対応更新道路群識別子と更新道路群識別子とが一致すれば(ステップST320;YES)、ステップST310で取得した変換レコードが、上記更新レコードに対応する変換レコードであると判断して、ステップST330へ遷移する。一方、一致しなければ(ステップST320;NO)、対応する変換レコードでないと判断して、ステップST390へ遷移する。
【0097】
例えば、図11に示す更新情報1の更新レコード0、更新情報2の更新レコード0、更新情報2の更新レコード1、更新情報3の更新レコード0に対応する変換レコードは、それぞれ図8に示す変換レコード0、変換レコード1、変換レコード2、変換レコード1である。従って、後述するステップST330からステップST370までの処理に使用する、ステップST300で取得した更新レコードとステップST310で取得した変換レコードとの組み合わせは、図11の更新情報1の更新レコード0と図8の変換レコード0、図11の更新情報2の更新レコード0と図8の変換レコード1、図11の更新情報2の更新レコード1と図8の変換レコード2、図11の更新情報3の更新レコード0と図8の変換レコード1、となる。
【0098】
続いて、更新部10は、ステップST300で取得した更新レコードが全てのリンクの更新を示しているか否かを判定する(ステップST330)。ここで、当該更新レコードの部分フラグの値が0であれば、全リンクの更新であると判断して(ステップST330;YES)、ステップST340へ遷移する。また、部分フラグの値が1であり、一部のリンクの更新であると判断される場合(ステップST330;NO)には、ステップST350の処理へ遷移する。
例えば、図11の更新情報1の更新レコード0及び更新情報2の更新レコード1の部分フラグの値が0(全リンクを更新)であるので、これらについては、ステップST340へ遷移する。また、図11の更新情報2の更新レコード0及び更新情報3の更新レコード0の部分フラグは、値が1(一部のリンクを更新)であるので、これらについては、ステップST350へ遷移する。
【0099】
ステップST340において、更新部10は、ステップST310で取得した変換レコードにおける対応リンク情報の検索開始位置を先頭すなわち“0”とし、検索数をステップST310で取得した変換レコードの対応リンク数に設定する。
例えば、ステップST300で、図11に示す更新情報1の更新レコード0を取得したとき、検索開始位置を“0”とし、検索数を、図8の変換レコード0の対応リンク数である“1”に設定する。また、ステップST300で、図11に示す更新情報2の更新レコード1を取得したとき、検索開始位置を“0”とし、検索数を、図8の変換レコード2の対応リンク数である“1”に設定する。
【0100】
また、ステップST350では、更新部10が、ステップST310で取得した変換レコードにおける対応リンク情報の検索開始位置を、ステップST300で取得した更新レコードの更新範囲情報の先頭番号とし、検索数を当該更新範囲情報の更新リンク数とする。この後、ステップST360へ遷移する。
例えば、ステップST300で、図11に示す更新情報2の更新レコード0を取得しているとき、検索開始位置を、更新レコード0の更新範囲情報の先頭番号である“0”とし、検索数を更新範囲情報の更新レコード数である“1”とする。
ステップST300で、図11に示す更新情報3の更新レコード0を取得している場合は、検索開始位置を、更新レコード0の更新範囲情報の先頭番号である“1”とし、検索数を更新範囲情報の更新レコード数である“1”に設定する。
【0101】
次に、更新部10は、ステップST310で取得した変換レコードにおける対応リンク情報を、ステップST340又はステップST350で設定した検索開始位置から検索数分だけ調べ(ステップST360)、該当する対応リンク情報がないかどうかを判定する(ステップST370)。これにより、ステップST200で取得したリンクレコードのリンク識別子に一致する対応リンク識別子を有する対応リンク情報があれば、“該当対応リンク情報有り”と判断して(ステップST370;NO)、ステップST380へ遷移する。一方、ステップST200で取得したリンクレコードのリンク識別子に一致する対応リンク識別子を有する対応リンク情報が無ければ、“該当対応リンク情報無し”と判断して(ステップST370;YES)、ステップST390へ遷移する。
【0102】
例えば、ステップST300で、図11に示す更新情報1の更新レコード0を取得しているとき、図8の変換レコード0の対応リンク情報を先頭(0番目)から1個を調べる。
このとき、ステップST200で取得したリンクレコードが、図5のメッシュM2のリンクであるとき、当該リンクレコードのリンク識別子は、図8の変換レコード0の対応リンク情報0の対応リンク識別子である1000とは異なるため、“該当対応リンク情報無し”となる。
【0103】
また、ステップST300で、図11に示す更新情報2の更新レコード1を取得しているとき、図8の変換レコード2の対応リンク情報を先頭(0番目)から1個を調べる。
ステップST200で取得したリンクレコードが、図5のメッシュM2のリンクL2A6であるとき、当該リンクレコードのリンク識別子は7000であり、図8の変換レコード2の対応リンク情報0の対応リンク識別子である7000と一致するため、“該当対応リンク情報有り”となる。
【0104】
さらに、ステップST300で、図11に示す更新情報2の更新レコード0を取得しているとき、図8の変換レコード1の対応リンク情報を0番目から1個を調べる。
ステップST200で取得したリンクレコードが、図5のメッシュM2のリンクL2A1であるとき、当該リンクレコードのリンク識別子は1003であり、図8の変換レコード1の対応リンク情報0の対応リンク識別子である1003と一致するため、“該当対応リンク情報有り”となる。
【0105】
さらに、ステップST300で、図11に示す更新情報3の更新レコード0を取得しているとき、図8の変換レコード1の対応リンク情報を1番目から1個を調べる。
ステップST200で取得したリンクレコードが、図5のメッシュM2のリンクL2A2であるとき、当該リンクレコードのリンク識別子は1004であり、図8の変換レコード1の対応リンク情報1の対応リンク識別子である1004と一致するため、“該当対応リンク情報有り”となる。
【0106】
ステップST380において、更新部10は、ステップST300で取得した更新レコードを、ステップST200で取得したリンクレコードを更新するための更新レコードとし、検索結果を“更新レコード有り”として、更新情報検索を終了する。
例えば、ステップST200で取得したリンクレコードが、図5のメッシュM2のリンクL2A6であるとき、ステップST300で、図11に示す更新情報2の更新レコード1を、当該リンクレコードを更新するための更新レコードとして、検索結果が“更新レコード有り”となる。
【0107】
また、ステップST200で取得したリンクレコードが、図5のメッシュM2のリンクL2A1であるときは、ステップST300で、図11に示す更新情報2の更新レコード0を、当該リンクレコードを更新するための更新レコードとして、検索結果が“更新レコード有り”となる。
【0108】
さらに、ステップST200で取得したリンクレコードが、図5のメッシュM2のリンクL2A2であるときは、ステップST300で、図11に示す更新情報3の更新レコード0を、当該リンクレコードを更新するための更新レコードとして、検索結果が“更新レコード有り”となる。
【0109】
ステップST390では、更新部10が、変換情報の全ての変換レコードについて、ステップST310での変換レコードの取得が終了したか否かを判定する。ここで、全ての変換レコードの取得が終了していなければ(ステップST390;NO)、ステップST310へ戻り、終了していれば(ステップST390;YES)、ステップST400へ遷移する。
【0110】
ステップST400では、更新部10が、全ての更新情報の全ての更新レコードについて、ステップST300での更新レコードの取得が終了したか否かを判定する。ここで、全ての更新レコードの取得が終了していなければ(ステップST400;NO)、ステップST300へ戻り、終了していれば(ステップST400;YES)、ステップST410へ遷移する。
【0111】
ステップST410では、更新部10が、検索結果を“更新レコード無し”として、更新情報検索を終了する。
【0112】
(3)地図表示処理
地図表示処理において、上述のように、地図データ取得部9が、所要のメッシュの地図データを情報記憶部3からメモリ9aに読み取り、更新部10が、それらの地図データにおける道路網データの更新を行う。また、地図表示処理では、更新後の地図データの背景データ、道路網データ、名称データを用いて、描画処理部11が、背景、道路、名称を描画メモリ12へ描画し、表示制御部13が、描画メモリ12に描画された地図を表示部5に表示する。
【0113】
道路の描画において、描画処理部11は、メモリ9aに格納した道路網データのリンクリストからリンクレコードを順次取り出し、リンクレコードの供用情報が値1(非供用)の場合は、そのリンクの道路形状を描画せず、リンクレコードの供用情報が値0(供用中)の場合にのみ、そのリンクのリンク形状リストから形状レコードを取り出し、取り出した形状レコードの形状リストに基いて、当該リンクの道路形状を表す折れ線を描画する。この描画処理において、道路形状の色、パターンは、上記リンクレコードのリンク属性情報に基いて描画される。
【0114】
図15は、道路の描画例(その1)を示す図であり、図11の更新情報1が取得されていない期日T1’以前の期間における、図5のメッシュM2の道路の描画例を示している。図15において、期日T1’では、リンクL2A1,L2A2,L2A7は供用が開始されていないため、それらのリンクレコードの供用情報が値1(非供用)であり、これらのリンクの道路形状は描画されない。
また、リンクL2A6の供用は廃止されていないので、リンクレコードの供用情報は、値0(供用中)であり、このリンクの道路形状は描画される。
図5のメッシュM2における上記以外のリンクL2A0,L2A3,L2A4,L2A5,L2A8,L2A9のリンクレコードの供用情報は値0(供用中)であるので、これらのリンクの道路形状は描画される。
【0115】
図16は、道路の描画例(その2)を示す図であり、図11の更新情報1を取得した期日T1’以降から期日T2までの期間における、図5のメッシュM2の道路の描画例を示している。図16において、上述の期間では、リンクL2A1の供用が開始されており、そのリンクレコードの供用情報が値0(供用中)となることから、このリンクの道路形状は描画される。
また、リンクL2A6の供用は廃止されているので、そのリンクレコードの供用情報には値1(非供用)が設定されており、このリンクの道路形状は描画されない。
他のリンクについては、図15の場合と同様である。
このように供用情報に応じて道路を表示するため、使用者は、表示された地図を見るだけで、各道路が使用可能か否かを直ちに認識することができる。
【0116】
(4)経路探索処理
経路探索処理においても、地図データ取得部9が、上述のように所要のメッシュの地図データを情報記憶部3からメモリ9aに読み取り、更新部10が、メモリ9aに格納した地図データにおける道路網データの更新を行い、経路探索部14が、更新された道路網データを用いて経路探索を行う。この経路探索処理において、経路探索部14は、リンクレコードの供用情報を参照して、その値が0(供用中)であるリンクのみを用いて経路探索を行う。
【0117】
経路探索部14が、図5のメッシュM1,M2,M3,M4の道路網データを用いて、出発点がノードN4A3であって、目的地がノードN2A8の経路探索を行う場合を例に挙げる。ここで、図11の更新情報1が取得されていない期日T1’よりも前の期間に、経路探索を実行した場合には、経路探索部14が、図5中で点線を用いて表したリンク以外のリンクを用いて経路探索を行う。この経路探索の結果、L4A2→L4A1→L4A4→L2A3→L2A6→L2A8、という経路が得られる。
【0118】
また、図11の更新情報1、更新情報2、更新情報3、更新情報5を取得したT5’以降の期間に経路探索を実行した場合は、経路探索部14が、図5のメッシュM2のリンクL2A6以外のリンクを用いて経路探索を行う。この経路探索の結果として、L4A2→L4A6→L2A7という経路が得られる。
このように、更新情報で道路網データを更新し、時点で供用されているリンクのみを用いて経路探索処理を行うので、実際の道路状況に即した好適な経路が得られる。
【0119】
(5)マップマッチング処理
マップマッチング処理において、地図データ取得部9が、上述のように所要のメッシュの地図データを情報記憶部3からメモリ9aに読み取り、更新部10が、メモリ9aに格納した地図データにおける道路網データの更新を行い、マップマッチング処理部15が、更新された道路網データと、位置検出部2で検出した地図情報装置1を搭載する移動体の現在位置とを用いて、移動体が走行しているリンク及びリンク上の現在位置を求める。
このマップマッチング処理において、マップマッチング処理部15は、リンクレコードの供用情報を参照し、その値が0(供用中)であるリンクのみを用いてマップマッチングを行う。
【0120】
上記移動体が、図5のノードN2A2からリンクL2A9を通ってノードN2A6へ走行する場合を例に挙げて説明する。この場合に、マップマッチング処理部15は、メモリ9aに格納した、図5のメッシュM2の道路網データからリンクリストのリンクレコードを検索し、その供用情報が値0(供用中)であるリンクについてのみ、その形状レコードを取得する。この後、マップマッチング処理部15は、その形状点リストが表す道路形状と位置検出部2で検出した現在位置とを比較し、上記現在位置の所定近傍に位置するリンクを見つける。
【0121】
図11の更新情報2が取得されていない期日T2’以前では、移動体がノードN2A2を通過して、まもなくの間は、上記現在位置の所定近傍に位置し、供用情報が値0(供用中)であるリンクL2A6,L2A9を見つけることができる。
また、リンクL2A1は、この期日では供用が開始されていないため、その供用情報が値1(非供用)であるので、所定近傍に位置するリンクの候補から除外される。
さらに、移動体がノードN2A6に向って走行を続けると、リンクL2A6の道路形状と現在位置との距離が大きくなり、所定近傍に位置するリンクの候補からリンクL2A6が除外される。これにより、当該移動体がリンクL2A9を走行していると判定される。
【0122】
一方、図11の更新情報2を取得した期日T2’以降の期間では、リンクL2A1の供用が開始され、その供用情報が値0(供用中)に更新されており、リンクL2A1の供用が廃止され、その供用情報が値1(非供用)に更新されている。このため、移動体がノードN2A2を通過して、まもなくの間は、現在位置の所定近傍に位置し、供用情報が値0(供用中)であるリンクL2A9,L2A1を見つけることができる。
さらに、ノードN2A6に向って移動体が走行を続けると、リンクL2A1の道路形状と現在位置との距離が大きくなり、所定近傍に位置するリンクの候補からリンクL2A1が除外される。これにより、当該移動体がリンクL2A9を走行していると判定される。
【0123】
このように、更新情報で道路網データを更新し、時点で供用されているリンクのみを用いてマップマッチング処理を行うので、実際の道路状況に即した好適なマップマッチングが可能である。
【0124】
以上のように、この実施の形態1によれば、メッシュごとに区画された地図を表す地図データにおける、供用の開始又は廃止が予定されている道路からなる更新道路群ごとに一定不変に付与された更新道路群識別子と、更新道路群識別子で特定される更新道路群の道路が供用開始又は供用廃止されたことを示す情報とを有する更新情報を利用して、更新道路群識別子と地図データが表す道路とを対応付ける対応情報に基づいて、地図データ取得部9に取得された地図データが表す道路から、更新道路群識別子に対応する更新道路群を特定し、この更新道路群の道路の供用情報を当該更新情報に基づいて更新する。
このように、供用の開始又は廃止が予定されている道路からなる更新道路群を識別する更新道路群識別子が不変であるため、地図データの作成時期が異なっても供用の開始又は廃止が予定されている更新道路群を特定することができる。このため、当該道路群の道路での供用の開始又は廃止を知らせる更新情報を共通に使用することができる。
また、対応情報を利用することで、更新情報の更新道路群識別子と地図データの道路の対応付けが容易となり、更新処理の短縮に寄与する。
【0125】
また、この実施の形態1によれば、更新情報に更新道路群識別子で特定される更新道路群の道路の一部を指定する部分指定情報が設けられ、更新部10が、情報記憶部3に記憶された変換情報に基づいて、地図データ取得部9に取得された地図データが表す道路のうち、更新情報取得部7aに取得された更新情報の更新道路群識別子に対応する更新道路群を特定し、当該特定した更新道路群のうち、更新情報の部分指定情報が指定する道路の供用情報を、当該更新情報に基づいて更新する。このようにすることで、更新道路群識別子が示す更新道路群の一部の更新が可能である。
【0126】
さらに、この実施の形態1によれば、変換情報が、地図データが表す道路を識別する道路番号と更新道路群識別子とを対応付ける情報であるので、更新情報の更新道路群識別子と地図データの道路との対応付けが容易となり、更新処理が容易になる。
【0127】
さらに、この実施の形態1によれば、更新情報が、更新の対象とする更新道路群の更新バージョン情報を有し、更新バージョン情報が、更新道路群を表す前記地図データの最も古いバージョンであるので、当該地図情報処理装置1に不要な更新情報の取得を防止することができる。
【0128】
さらに、この実施の形態1によれば、更新情報取得部7aが、情報記憶部3に記憶された地図データのバージョンより新しいバージョンを示す更新バージョン情報を有する更新情報を取得しない。情報記憶部3に記憶された地図データのバージョンより新しいバージョンを示す更新バージョン情報である場合、地図情報処理装置1の地図データよりも新しいバージョンの更新道路群は当該地図情報処理装置1の地図データには存在しないため、上述のようにすることで、地図情報処理装置1で不要な更新情報が取得されることを防止できる。
【0129】
さらに、この実施の形態1によれば、更新情報取得部7aが、情報記憶部3に記憶された地図データの全ての更新道路群の更新を完了すると、これ以降は更新情報を取得しないので、不要な更新情報が取得されることを防止できる。
【0130】
さらに、この実施の形態1によれば、更新情報取得部7aが、情報記憶部3に記憶された地図データの作成時期から所定の期間が経過すると更新情報を取得しないので、所定の期間が経過して、地図情報処理装置1に対する更新情報が提供されなくなったにも関わらず、更新情報の取得処理が実行されることを防止できる。
【符号の説明】
【0131】
1 地図情報処理装置、1a 入力部、2 位置検出部、3 情報記憶部、4 プロセッサ、5 表示部、6 音声出力部、7 情報取得部、7a 更新情報取得部、8 情報提供装置、9 地図データ取得部、9a メモリ、10 更新部、11 描画処理部、12 描画メモリ、13 表示制御部、14 経路探索部、15 マップマッチング処理部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メッシュごとに区画された地図を表す地図データにおける、供用の開始又は廃止が予定されている道路からなる更新道路群ごとに一定不変に付与された更新道路群識別子と、前記更新道路群識別子で特定される更新道路群の道路が供用開始又は供用廃止されたことを示す情報とを有する更新情報を管理する外部装置から、当該更新情報を取得する更新情報取得部と、
道路が供用されているか否かを示す供用情報を有し、前記メッシュごとに区画された地図を表す地図データ、前記更新情報取得部に取得された前記更新情報、及び前記更新道路群識別子と前記地図データが表す道路とを対応付ける対応情報を記憶する情報記憶部と、
前記情報記憶部から前記地図データを取得する地図データ取得部と、
前記情報記憶部に記憶された前記対応情報に基づいて、前記地図データ取得部に取得された前記地図データが表す道路のうち、前記更新情報取得部に取得された前記更新情報の更新道路群識別子に対応する更新道路群を特定し、この更新道路群の道路の前記供用情報を、当該更新情報に基づいて更新する更新部とを備えた地図情報処理装置。
【請求項2】
前記更新情報には、前記更新道路群識別子で特定される更新道路群の道路の一部を指定する部分指定情報が設けられ、
前記更新部は、
前記情報記憶部に記憶された前記対応情報に基づいて、前記地図データ取得部に取得された前記地図データが表す道路のうち、前記更新情報取得部に取得された前記更新情報の更新道路群識別子に対応する更新道路群を特定し、当該特定した更新道路群のうち、前記更新情報の部分指定情報が指定する道路の前記供用情報を、当該更新情報に基づいて更新することを特徴とする請求項1記載の地図情報処理装置。
【請求項3】
前記対応情報は、前記地図データが表す道路を識別する道路番号と前記更新道路群識別子とを対応付ける情報であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の地図情報処理装置。
【請求項4】
前記更新情報は、更新の対象とする更新道路群の更新バージョン情報を有し、
前記更新バージョン情報は、前記更新道路群を表す前記地図データの最も古いバージョンであることを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか1項記載の地図情報処理装置。
【請求項5】
前記更新情報取得部は、前記情報記憶部に記憶された前記地図データのバージョンより新しいバージョンを示す前記更新バージョン情報を有する更新情報を取得しないことを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか1項記載の地図情報処理装置。
【請求項6】
前記更新情報取得部は、前記情報記憶部に記憶された前記地図データの全ての更新道路群の更新を完了すると、これ以降は更新情報を取得しないことを特徴とする請求項1から請求項3、請求項5のうちのいずれか1項記載の地図情報処理装置。
【請求項7】
前記更新情報取得部は、前記情報記憶部に記憶された前記地図データの作成時期から所定の期間が経過すると、更新情報を取得しないことを特徴とする請求項1から請求項3、請求項5、請求項6のうちのいずれか1項記載の地図情報処理装置。
【請求項1】
メッシュごとに区画された地図を表す地図データにおける、供用の開始又は廃止が予定されている道路からなる更新道路群ごとに一定不変に付与された更新道路群識別子と、前記更新道路群識別子で特定される更新道路群の道路が供用開始又は供用廃止されたことを示す情報とを有する更新情報を管理する外部装置から、当該更新情報を取得する更新情報取得部と、
道路が供用されているか否かを示す供用情報を有し、前記メッシュごとに区画された地図を表す地図データ、前記更新情報取得部に取得された前記更新情報、及び前記更新道路群識別子と前記地図データが表す道路とを対応付ける対応情報を記憶する情報記憶部と、
前記情報記憶部から前記地図データを取得する地図データ取得部と、
前記情報記憶部に記憶された前記対応情報に基づいて、前記地図データ取得部に取得された前記地図データが表す道路のうち、前記更新情報取得部に取得された前記更新情報の更新道路群識別子に対応する更新道路群を特定し、この更新道路群の道路の前記供用情報を、当該更新情報に基づいて更新する更新部とを備えた地図情報処理装置。
【請求項2】
前記更新情報には、前記更新道路群識別子で特定される更新道路群の道路の一部を指定する部分指定情報が設けられ、
前記更新部は、
前記情報記憶部に記憶された前記対応情報に基づいて、前記地図データ取得部に取得された前記地図データが表す道路のうち、前記更新情報取得部に取得された前記更新情報の更新道路群識別子に対応する更新道路群を特定し、当該特定した更新道路群のうち、前記更新情報の部分指定情報が指定する道路の前記供用情報を、当該更新情報に基づいて更新することを特徴とする請求項1記載の地図情報処理装置。
【請求項3】
前記対応情報は、前記地図データが表す道路を識別する道路番号と前記更新道路群識別子とを対応付ける情報であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の地図情報処理装置。
【請求項4】
前記更新情報は、更新の対象とする更新道路群の更新バージョン情報を有し、
前記更新バージョン情報は、前記更新道路群を表す前記地図データの最も古いバージョンであることを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか1項記載の地図情報処理装置。
【請求項5】
前記更新情報取得部は、前記情報記憶部に記憶された前記地図データのバージョンより新しいバージョンを示す前記更新バージョン情報を有する更新情報を取得しないことを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか1項記載の地図情報処理装置。
【請求項6】
前記更新情報取得部は、前記情報記憶部に記憶された前記地図データの全ての更新道路群の更新を完了すると、これ以降は更新情報を取得しないことを特徴とする請求項1から請求項3、請求項5のうちのいずれか1項記載の地図情報処理装置。
【請求項7】
前記更新情報取得部は、前記情報記憶部に記憶された前記地図データの作成時期から所定の期間が経過すると、更新情報を取得しないことを特徴とする請求項1から請求項3、請求項5、請求項6のうちのいずれか1項記載の地図情報処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−37799(P2012−37799A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−179336(P2010−179336)
【出願日】平成22年8月10日(2010.8.10)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月10日(2010.8.10)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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