説明

地図情報更新システム、地図情報更新方法およびナビゲーション装置、並びに地図情報配信センタ

【課題】地図データを局所的に更新可能な地図情報更新システムにおいて、適切な更新対象を選択可能とする。
【解決手段】ナビゲーション装置1の鮮度確認対象選定部102が、アプリケーション処理部110の地図データ利用を監視し、利用した地図データの局所更新単位を地図鮮度確認対象とする。地図鮮度問合せ部103は、テレマティクス処理部116が地図情報配信センタ2と通信接続したタイミングで地図鮮度確認対象の鮮度値の問合せをし、地図情報配信センタ2の地図鮮度算出部701が算出した鮮度値を受信し、地図鮮度データベース(DB)62に蓄積する。ユーザは地図鮮度情報提示部106の処理により地図鮮度情報を閲覧することで、地図データのどの局所更新単位を更新すべきか判断でき、更新対象を適切に選択可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図情報更新システム、地図情報更新方法およびナビゲーション装置、並びに地図情報配信センタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、車両の現在位置を地図上に表示したり、目的地までの経路情報を探索して運転者に案内するナビゲーション装置が普及してきている。このような現在位置の表示や経路探索、経路案内を行うために、ナビゲーション装置は地図が示す領域の広さに応じて区分分けされた地図データを備えている。
【0003】
こうした地図データは、DVD(Digital Versatile Disc)やハードディスク(HDD:Hard Disk Drive)等の記録媒体、記録装置により入手されるほか、最近では通信回線を介してハードディスクにダウンロードする形でも入手される。しかし、実際の道路網は新たな道路の開通、閉鎖等により絶えず変化している。したがって、一旦入手した地図データもそのような最新の道路事情を反映させるために、更新対象をユーザが選択して必要な地図だけを局所的に更新することが可能となっている。一方、こうした局所区分毎の地図更新のサービスによると、ユーザが更新対象を選択するのに手間がかかる、あるいは通信コストがかかるといったことが新たに問題となる。
【0004】
この問題を解決するために、ナビゲーション装置の地図更新を行う際に、ユーザにとって利用価値の高い更新内容を選んでユーザへ通知する方式がある(例えば、特許文献1参照)。この技術においては、例えば、道路種別、所定地点からの距離、変更内容を用いて利用価値を定量化して算出する。これにより、ユーザに対して必要な地図データのみを通知することで、操作の手間を省き、通信コストを削減する。
また、地図更新した際、地図データの識別情報とナビゲーション装置の識別情報とを地図情報配信センタへ通知することを徹底し、地図情報配信センタにおいてナビゲーション装置の更新履歴を正確に管理する技術がある(例えば、特許文献2参照)。これにより、更新要求時のバージョン確認を不要とし通信コストを削減する。さらに、地図データの差分更新を可能とし、通信量の削減が可能となる。
【特許文献1】特開2008−20486号公報
【特許文献2】特開2008−20202号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前述の特許文献1および特許文献2に記載された技術では、地図更新前に予め更新するべきかどうかの判断をしたのちに更新操作を実施するものではない。
具体的には、特許文献1に記載の技術については、更新済みの内容について利用価値の高いものを通知する発明であり、事前に更新対象をユーザが選択するものではない。また、更新内容の中身を調べて価値判断する方法のため、検査量が多くなることから、更新対象の選択に用いるには不向きである。
【0006】
特許文献2に記載の技術については、地図情報配信センタにおいて、ナビゲーション装置の地図更新の達成度を把握できる発明であるが、ナビゲーション装置側での更新対象の選択を支援する技術ではない。また、地図情報配信センタにおいて、ナビゲーション装置の更新状態の全てを把握することは、膨大なデータ量を送信しなければならず、実際には困難である、という問題がある。
【0007】
このような背景に鑑みて本発明がなされたのであり、本発明は、地図データの局所更新単位毎に、実質的な地図データの更新度合いを鮮度情報として提示し、更新対象となる地図データの選択を支援することができる地図情報更新システム、地図情報更新方法およびナビゲーション装置、並びに地図情報配信センタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本発明の地図情報更新システム、地図情報更新方法およびナビゲーション装置、並びに地図情報配信センタは、ナビゲーション装置がアプリケーション処理部を監視することにより、地図鮮度確認対象を選択し、地図情報配信センタが、選択された地図鮮度確認対象について、最新バージョンの地図データと、ナビゲーション装置が備える地図データのバージョンとを比較することにより、地図データの削除、挿入および変更に伴う実質的な更新度合いを示す鮮度値を算出する。そして、ナビゲーション装置の表示部に、局所更新単位毎に、算出された鮮度値に基づき鮮度情報を提示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、地図データの局所更新単位毎に、実質的な地図データの更新度合いを鮮度情報として提示し、ユーザが更新対象となる地図データを、適確且つ迅速に選択することを可能にする地図情報更新システム、地図情報更新方法およびナビゲーション装置、並びに地図情報配信センタを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
次に、本発明を実施するための最良の形態(「実施形態」という)について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
【0011】
図1は、本実施形態に係る地図情報更新システムの構成例を示した機能ブロック図である。
図1に示すように、本実施形態に係る地図情報更新システム3は、ナビゲーション装置1と地図情報配信センタ2とを備えて構成される。また、ナビゲーション装置1と地図情報配信センタ2とは、通信回線4を介して無線で通信可能に接続されている。
【0012】
本実施形態においては、まず、ナビゲーション装置1の動作状況を後記する鮮度確認対象選定部102が監視し、これに応じて、地図データの更新対象として選択される局所更新の区分単位(局所更新単位)を選定する。次に、選定された地図データの局所更新単位とその地図データのバージョン情報とを、ナビゲーション装置1が地図情報配信センタ2に送信する。そして、地図情報配信センタ2では、最新バージョンの地図データと比較して鮮度値を算出する。
続いて、算出された鮮度値をナビゲーション装置1が受信し、実質的に更新箇所が多い局所更新単位の鮮度情報をユーザに提示し、ユーザが更新対象となる地図データを選択することを支援する。以下具体的に、本実施形態の構成について説明する。
【0013】
図1に示すように、ナビゲーション装置1は、表示部20、入出力部30、衛星電波受信部40、データ交換処理部50、記憶部60、および制御部10を備えて構成される。
【0014】
表示部20は、液晶ディスプレイ等で構成されており、制御部10の制御のもとに、ナビゲーション処理に応じて、道路状況あるいは誘導案内等を表示する。また、入出力部30を介して外部からの指示を受け付けるための画面を表示する。
【0015】
入出力部30は、例えば、リモコン、あるいはタッチパネル等を含んで構成され、外部からのナビゲーション装置1への指示を受け付ける。また、制御部10の制御のもと、ナビゲーション装置1の各種処理に応じて、音声案内等を図示されていないスピーカを通じて出力する。
【0016】
衛星電波受信部40は、ナビゲーション装置1の現在位置を算出するために必要となる衛星からの電波を受信する。
ちなみに、衛星から電波を受信することでその衛星の位置が求まるとともに、ナビゲーション装置1(衛星電波受信部40)から衛星までの距離(擬似距離)が求まる。そして、4つ以上の衛星から電波を受信することで、ナビゲーション装置1の正しい現在位置が求まる。
【0017】
データ交換処理部50は、地図情報配信センタ2等の外部機器とデータ交換をする機能を有し、通信処理部51と、ブリッジメディア処理部52とを含んで構成される。ここで、通信処理部51は、携帯電話やPHS(Personal Handyphone System)といった無線通信機器であり、通信回線4を介して、後記する地図鮮度問合せ情報等を地図情報配信センタ2へ送信する。また、ブリッジメディア処理部52は、CD(Compact Disc)、DVD、USB(Universal Serial Bus)フラッシュメモリといった外部記録メディアに記録された情報を読み書きする装置である。
【0018】
記憶部60は、ハードディスクやフラッシュメモリ等の補助記憶装置からなり、車載地図データベース(DB:Database)61と、地図鮮度データベース(DB)62とを備えて構成される。
【0019】
車載地図DB(地図データベース)61は、局所更新の区分単位(局所更新単位)にデータ化された地図データを記憶する。
図2は、車載地図DBに記憶された地図データの一例を示す図である。図2に示すように地図データ200は、道路データ201と、目的地検索用データ202と、背景描画用データ203と、経路誘導用データ204とを含んで構成される。
なお、ナビゲーション装置1の車載地図DB61に記憶された地図データ200を車載地図データとする。
【0020】
道路データ201は、道路を画面表示したり、目的地までの推奨ルートを、例えばダイクストラ法を用いた計算アルゴリズムによって計算するために、各道路のネットワークを道路リンクと呼ばれる小区間を接続した集合体で表現し、道路リンクの座標や、道路リンク間の接続情報や、道路リンクの通過所要時間や長さ等を示す道路リンクコスト情報、を保持する。
また、目的地検索用データ202は、目的地とする施設や地点を、施設名称や、施設カテゴリ、電話番号、県や市区町村等のエリア指定、といった各種条件で絞り込むことによって検索するための情報を保持する。
背景描画用データ203は、表示部20に地図背景を描画するために、地図背景の絵を構成する建物や緑地、河川や海といった水系等の座標、背景種別や描画色といった描画情報を保持する。
また、経路誘導用データ204は、推奨ルートに沿って誤りなくユーザが走行できるように、交差点の右左折案内や走行レーンの案内等を画像や音声を用いて報知する経路誘導を行うための情報を保持する。
【0021】
また、これらは地図データ種別が異なるデータであり、それぞれが関係データベース(RDB:Relational Database)として、データにカラム(列)とレコード(行)が与えられ、テーブル(表)の中に配置して記憶されている。そして、この車載地図DB61においては、地図データ種別毎に、異なるデータファイルに分割して記憶されたり、あるいは、データファイルを同一とする場合であっても地図データ種別を識別するためのIDが付与され、特定の地図データ種別の地図データ200を識別し、参照や更新ができるようになっている。
【0022】
また、地図データ200は地図データ種別以外にも、県毎・市区町村毎のエリアや、メッシュと呼ばれる数キロメートル四方の矩形領域のエリアによって分類され、特定エリアの地図データ200を識別し、参照や更新ができるようになっている。このエリアについても、例えば県毎等のエリア毎に異なるデータファイルに分割されたり、あるいはデータファイルを同一とする場合であってもエリアを識別するためのIDを付与し、特定エリアの地図データ200を選択して参照や更新ができるようになっている。
【0023】
なお、地図データ種別とエリアを組み合わせて、地図データ200中の局所更新単位を特定することができる。例えば、地図データ種別が目的地検索用データ202の和食屋カテゴリに該当するものであって、なお且つエリアが東京都に該当するもの、のようにして車載地図データの局所更新単位を特定することができる。
【0024】
このようにして、本実施形態における局所更新単位の地図更新では、全体としてデータサイズが数GBに及ぶ巨大な車載地図データの中から局所的な地図データ200の更新対象を選択し、その部分に絞って地図データ200を更新することにより、車載地図データの更新処理にかかる処理時間やデータ通信費を抑制し、ユーザに対し、高速且つ安価な車載地図データ更新サービスを提供することができる。
【0025】
次に、地図鮮度DB62は、ナビゲーション装置1の車載地図データが地図情報配信センタ2に記憶されている最新バージョンの地図データ200に対して、どの程度変更されているかを数値化したものである鮮度値を管理するための地図鮮度情報を記憶する。
【0026】
図3は、本実施形態に係る地図鮮度情報のデータ構造の一例を示す図である。図3に示すように、地図鮮度情報300は、局所更新単位の識別情報310と、車側バージョン情報320と、関心度330と、鮮度値340と、確認時刻350とを含んで構成される。
【0027】
局所更新単位の識別情報310は、局所更新単位の地図データ200を識別するための情報である。この局所更新単位の地図データ200は、地図データ種別やエリアの指定によって特定する。
具体的には図3に示すように、例えば(POI、和食、東京)(符号3001)や(道路、区画5335)(符号3002)のような情報を保持する。
ここで、POI(Point Of Interest)とは、目的地検索用データ202(図2参照)を意味する。すなわち(POI、和食、東京)(符号3001)は、地図データ種別が目的地検索用データ202であり、且つ施設カテゴリが和食であり、且つ所属エリアが東京都である、局所更新単位の識別情報310である。
また、(道路、区画5335)(符号3002)は、地図データ種別が道路データ201(図2参照)であって、且つ、区画のIDが5335番である、局所更新単位の識別情報310である。
【0028】
車側バージョン情報320は、局所更新単位の識別情報310で特定される車載地図データのバージョン情報を保持する。具体的には、例えばバージョン番号を表す数値が保持される。このバージョン番号は地図情報配信センタ2から所定のタイミングで地図データ200が配信される際に付与されるものである。
【0029】
なおここで、新旧の地図データ200におけるバージョン番号の差異が、地図データ200の内容の実質的な変化を直接示さないことに注意が必要である。
例えば、地図情報配信センタ2が所定のタイミングで全国地図データを配信する際、実際に新たな道路の開通や閉鎖、あるいはコンビニ等の施設の新たな設置等がなかったエリアについては地図データ200の内容も変化しない。しかし、このエリアについてもバージョン番号は1つ進む。すなわち、バージョン番号が1つ進んでいても実質的な変化がないことがある。
また例えば、あるエリアの地図データ200について3世代離れたバージョン1とバージョン4の地図データ200の実質的な差異が小さい一方、別のエリアの地図データ200について1世代のみ離れたバージョン1とバージョン2の地図データ200の実質的な差異が大きいことがあり得る。すなわち、新旧地図データ200のバージョン番号の離れ具合は地図データ200の実質的な差異を直接的には示さない。
この点が従来技術の課題であり、本発明では、実質的な地図データ200の変化度合いを鮮度値340として算出できることにより、ユーザが更新すべき対象を選択するための支援を行うことができるものである。
【0030】
図3に戻り、関心度330は、その局所更新単位に対するユーザの関心の高さを示す指標である。
本実施形態では、一例として、関心度330の既定値を0ポイントとし、ユーザの関心の高さに応じて関心度330のポイントを加算するようにする。具体的には、ユーザが予めナビゲーション装置1に自宅位置を登録していた場合、自宅近傍の所定エリア内の地図データ200に対して所定の関心度ポイントを加算する。また、ユーザが予めナビゲーション装置1にお気に入りの施設カテゴリを登録していた場合、その施設カテゴリの地図データ200に対して所定の関心度ポイントを加算する。この関心度ポイントは、地図鮮度情報300に登録されている複数の局所更新単位のうち、どの局所更新単位がユーザにとって重要な地図更新対象であるかを判定するために用いられる。
【0031】
鮮度値340は、バージョン番号の比較だけでは知りえない新旧地図データ200の実質的な差異を確認することにより、ナビゲーション装置1が保持するバージョンの車載地図データが、地図情報配信センタ2が保持する最新バージョンの地図データ200に対して、どの程度更新されているかを数値化した値である。
本実施形態においては、一例として、鮮度値340を確認する時点の最新バージョンである場合を0ポイントし、その時点の最新バージョンからの実質的な差異が大きい、すなわち鮮度が悪いほど、鮮度値340を減算するようにする。言い換えれば鮮度が悪いほど絶対値の大きなマイナスの値になるようにする。
【0032】
また、この鮮度値340の算出には新旧地図データ200自体の比較が必要である。従って鮮度値340の算出処理は、歴代バージョンの地図データ200を保持する地図情報配信センタ2上で行う。鮮度値算出の詳細については後記する地図鮮度確認処理(図5〜図7参照)の中で説明する。
地図鮮度情報300に記憶された鮮度値340は、ユーザが後記する地図鮮度提示画面を介して車載地図データのどの局所更新単位がどのくらいの鮮度であるかを表示部20において視覚的に確認する際、および、後記する重要更新自動通知によりナビゲーション装置1が自動的に重要な局所更新単位をユーザへ通知する際に利用する。
【0033】
確認時刻350は、ナビゲーション装置1が通信回線4を介して地図情報配信センタ2へ鮮度値340の問合せを行った時刻、例えば、「年月日時分秒」を保持する。
ある時点で鮮度確認をして地図鮮度情報300に鮮度値340を記憶した後、多くの時間が経過するほど、真の鮮度は地図鮮度情報300に記憶された鮮度値340よりも悪化している可能性が高くなる。そのため、鮮度値340を利用する際には、鮮度値340が算出された時刻を考慮する必要がある。
つまり、地図鮮度情報300に記憶された鮮度値340すなわち確認時刻350における鮮度値340と、真の鮮度値340すなわち現在時刻において地図情報配信センタ2に問合せした場合に得られるはずの鮮度値340との、乖離の可能性を大まかに知ることができる。また、地図情報配信センタ2への問合せの是非判断や、他の局所更新単位との間での地図情報配信センタ2への問合せの優先度判断の判断材料とすることができる。
【0034】
図1に戻り、制御部10は、ナビゲーション装置1全体を制御する機能を有し、地図鮮度管理部100と、アプリケーション処理部110と、地図更新部120と、走行状況監視部130と、データ交換処理監視部140とを備えて構成される。なお、この制御部10の機能は、例えばナビゲーション装置1の記憶部60に格納されたプログラムをCPU(Central Processing Unit)がRAM(Random Access Memory)に展開し実行することで実現される。
【0035】
地図鮮度管理部100は、地図情報配信センタ2内の後記するマスタ地図データベース(DB)91に記憶されている最新バージョンのマスタ地図データに対して、ナビゲーション装置1内の車載地図DB61に記憶されている車載地図データがどの程度新しいかを示す地図鮮度情報300を生成する。
また、地図鮮度管理部100は、地図鮮度確認部101、地図鮮度DB管理部104、重み更新情報収集部105、および地図鮮度情報提示部106を含んで構成される。
【0036】
地図鮮度確認部101は、車載地図データのバージョン情報を収集し、そのバージョン情報の通知に伴う地図情報配信センタ2への問合せにより、後記する地図センタ処理部700から車載地図データの局所更新単位の鮮度値340を得る。また、地図鮮度確認部101は、鮮度確認対象選定部102と、地図鮮度問合せ部103とを含んで構成される。
【0037】
鮮度確認対象選定部102は、車載地図データの利用状況を鑑みて車載地図データのどの局所更新単位ついて鮮度値340を確認するかを選定する。
【0038】
地図鮮度問合せ部103は、鮮度確認対象選定部102が選定した車載地図データの局所更新単位について、その局所更新単位を識別するための識別情報とその局所更新単位に該当する車載地図データのバージョン情報との2つの情報を示す地図鮮度問合せ情報を、通信処理部51を介して地図情報配信センタ2へ送信する。そしてこの地図鮮度問合せの結果として、地図鮮度問合せ部103は、地図情報配信センタ2の地図センタ処理部700から、その局所更新単位に該当する車載地図データの鮮度値340を得る。
【0039】
地図鮮度DB管理部104は、地図鮮度確認部101が収集した現状の車載地図データのバージョン情報や、地図鮮度確認部101が地図センタ処理部700より得た車載地図データの鮮度値340を、地図鮮度DB62の地図鮮度情報300(図3参照)に記憶する処理を行う。
【0040】
重み更新情報収集部105は、アプリケーション処理部110が、ルート探索を行う際にユーザにより設定された、距離優先のルート探索か、あるいは時間優先のルート探索かの探索件数をカウントし、車載機IDおよび送信日時とともに、重み更新情報として収集し、地図情報配信センタ2に送信する。
【0041】
地図鮮度情報提示部106は、地図鮮度DB62に記憶された地図鮮度情報300(図3参照)をユーザが閲覧できるように、検索や表示といった機能を提供する。
また、地図鮮度情報提示部106は、ナビゲーション装置1を搭載する車等が、地図鮮度情報300に記憶された局所更新単位の示す領域に進入すると、地図データ200の更新を促す重要更新自動通知を表示部20に表示させる(後記する図11参照)。
【0042】
次に、アプリケーション処理部110は、ルート探索部111と、目的地検索部112と、地図描画部113と、経路誘導部114と、位置推定部115と、テレマティクス処理部116とを含んで構成され、誘導案内(ナビゲーション処理)の操作全般を制御する。
【0043】
ルート探索部111は、車載地図DB61に記憶された道路データ201(図2参照)を用いて目的地までのルート計算を行う。
また、目的地検索部112は、車載地図DB61に記憶された目的地検索用データ202(図2参照)に含まれる施設情報や住所情報を用いて目的地とする施設や地点の検索を行う。
地図描画部113は、車載地図DB61に記憶された背景描画用データ203(図2参照)を用いて、表示部20への地図の描画やその地図のスクロール、拡大縮小、といった処理を行う。
また、経路誘導部114は、ルート探索部111が生成したルートに沿って目的地までナビゲーション装置1を誘導するための交差点右左折案内や交差点までの距離の提示といったサービスを行う。
位置推定部115は、衛星電波受信部40が衛星から受信した電波を用いて算出した位置情報と車載地図データに記憶された道路の位置情報とを統合して、衛星電波受信部40のみを用いた場合よりも高精度な自車位置の推定を行う。
【0044】
テレマティクス処理部116は、ナビゲーション装置1内の通信処理部51を介し、携帯電話やPHSといった無線通信で地図情報配信センタ2の後記するテレマティクスサーバ処理部710と接続し、テレマティクスDB93に記憶された天気予報やニュース、メール、交通情報、といった各種のテレマティクスサービスを享受する。
【0045】
次に、地図更新部120は、ナビゲーション装置1内のデータ交換処理部50の、通信処理部51やブリッジメディア処理部52を介して、携帯電話やPHSといった無線通信や、CD、DVD、USBフラッシュメモリといった外部記録メディアを適宜使い分けて、地図情報配信センタ2内の地図更新サーバ処理部703が生成および配信する地図更新データを取得し、この地図更新データを用いて、車載地図DB61内の車載地図データを更新する。
【0046】
ここで、地図更新部120は、地図データ200(図2参照)の更新方法として、全ての車載地図データを一括して更新する全地図データ更新や、車載地図データを局所的に更新する局所地図データ更新を適宜使い分けることができる。
なお、局所更新単位の地図データ200の更新は、道路データ201や目的地検索用データ202といった地図データ種別毎や、県毎・市区町村毎やメッシュと呼ばれる数キロメートル四方の矩形領域といったエリア毎や、コンビニやガソリンスタンドといった目的地検索用データ202の分類であるカテゴリ毎、さらには、これら地図データ種別、エリア、カテゴリ、の指定を組み合わせることで、車載地図データの局所更新単位を特定し、その部分に限定した局所的な地図データ200の更新を行う地図データ更新方法である。
【0047】
このような局所更新単位の地図データ200の更新によれば、全ての車載地図データを一括して更新する全地図データの更新に比べ、地図データ200の更新処理で扱うデータ量を抑制することができ、地図データ200の更新に要する処理時間の短縮や、更新地図データを地図情報配信センタ2から送信する際の費用の節約、といった利点を享受できる。
【0048】
図1に戻り、走行状況監視部130は、ナビゲーション装置1を搭載した車等が停止中かあるいは走行中か、といった走行状況を監視する。そして、地図鮮度管理部100内の地図鮮度情報提示部106は、走行状況監視部130から得た情報をもとに、走行中であれば停車中に比べて、安全を考慮し、鮮度情報を提示されにくくすることができる。
【0049】
データ交換処理監視部140は、データ交換処理部50内の通信処理部51およびブリッジメディア処理部52の利用状況を監視する。そして、地図鮮度情報提示部106は、通信処理部51か、あるいはブリッジメディア処理部52かの利用状況に応じて、データ交換処理監視部140から得た情報をもとに、表示部20に示す鮮度情報の表示の出易さを調整する。
具体的には、DVD等のブリッジメディア処理部52を用いた更新である場合には、高速に大容量のデータを入手できるため、鮮度情報を地図上に表示する際の表示を出易くするようにする。そして、ユーザに対し、ブリッジメディア処理部52の高速且つ大容量性を活かした、大量の地図更新を促すことができる。
一方、携帯電話等による通信処理部51を用いた更新である場合には、ブリッジメディアに比べ低速且つ小容量のデータ入手となるため、鮮度情報を地図上に表示する際の表示を抑えるようにする。そして、ユーザに対し、通信処理部51の低速且つ小容量な特性に合わせた、適量の地図更新を促すことができる。
【0050】
次に、地図情報配信センタ2について説明する。地図情報配信センタ2は、通信回線4を介してナビゲーション装置1と接続され、ナビゲーション装置1からの問合せにより、鮮度値340を算出し、最新バージョンの局所更新単位の地図データ200をナビゲーション装置1に配信する。
この地図情報配信センタ2は、制御部70と、データ交換処理部80と、記憶部90とを含んで構成される。
【0051】
データ交換処理部80は、外部装置とデータ交換する機能を有し、通信処理部81と、ブリッジメディア処理部82とを含んで構成される。この通信処理部81およびブリッジメディア処理部82は、通信やブリッジメディアを介してナビゲーション装置1のデータ交換処理部50と接続し、テレマティクスサービスや地図データ更新処理に関する各種データの交換を行う。
【0052】
記憶部90は、マスタ地図データベース(DB)91と、重み管理情報データベース(DB)92と、テレマティクスデータベース(DB)93とを含んで構成される記憶手段であり、ハードディスク等により構成される。
【0053】
マスタ地図DB91は、ナビゲーション装置1が記憶する車載地図データの基となるマスタ地図データを記憶する。ここでマスタ地図DB91には、局所更新単位毎に各バージョンの地図データ200(図2参照)が、マスタ地図データとして記憶されている。
また、重み管理情報DB92は、鮮度値340を算出する際に用いる重み管理テーブルを記憶する。この重み管理テーブルは、地図データ200を更新する際の操作である、削除、挿入および変更の各操作に対応して、削除重み管理テーブルと、挿入重み管理テーブルと、変更重み管理テーブルとを含んで構成される。なお、詳細は後記する(図6、図7参照)。
【0054】
テレマティクスDB93は、天気予報やニュース、メール、交通情報といった各種のテレマティクスサービスに関するコンテンツを記憶する。
【0055】
制御部70は、地図情報配信センタ2全体の制御を司り、地図センタ処理部700と、テレマティクスサーバ処理部710とを含んで構成される。なお、この制御部70の機能は、例えば地図情報配信センタ2の記憶部90に格納されたプログラムをCPUがRAMに展開し実行することで実現される。
【0056】
地図センタ処理部700は、記憶部90に記憶されたマスタ地図DB91を用いて、車載地図データを更新するための局所更新単位の地図データ200の生成処理や配信処理を行う。また、ナビゲーション装置1内の地図鮮度確認部101からの問合せに応じて、車載地図データの鮮度値340を算出する。この地図センタ処理部700は、地図鮮度算出部701と、重み管理情報更新部702と、地図更新サーバ処理部703とを含んで構成される。
【0057】
地図鮮度算出部701は、ナビゲーション装置1内の地図鮮度確認部101からの地図鮮度問合せ情報に応じて、地図鮮度問合せ情報で示されたバージョンの局所更新単位の地図データ200と最新バージョンのマスタ地図データとの比較を行い、車載地図データの鮮度値340を算出する。なお、詳細は後記する。
【0058】
重み管理情報更新部702は、ナビゲーション装置1から受信した重み更新情報に基づき、利用の頻度やユーザの嗜好に応じて、情報の重みづけを行うことで得られる重み管理テーブルの重み値を更新する。なお、詳細は後記する(図8参照)。
【0059】
地図更新サーバ処理部703は、ナビゲーション装置1が持つ車載地図データの基であるマスタ地図データを記憶するマスタ地図DB91を用いて、ナビゲーション装置1の車載地図データを更新するための地図更新データの生成処理や配信処理を行う。
【0060】
次に、テレマティクスサーバ処理部710は、天気予報やニュース、メール、交通情報、といった各種のテレマティクスサービスに関するコンテンツの配信処理を行う。
【0061】
次に、図1を参照しつつ、図4〜図12に沿って、本実施形態に係る地図情報更新システムの動作について説明する。
本実施形態に係るナビゲーション装置の全体の処理の流れとしては、ナビゲーション装置1が起動すると、まず地図鮮度管理部100(図1参照)は、地図鮮度確認準備処理を開始する。この地図鮮度確認準備処理は、地図鮮度管理部100内の鮮度確認対象選定部102が、地図鮮度確認対象とする車載地図データの局所更新単位を特定し、その局所更新単位に関する車載地図データのバージョン情報を取得し、地図鮮度DB62へ蓄積する処理である。詳細については、図4を用いて後記する。
【0062】
次に、地図鮮度管理部100は、地図鮮度確認処理を行う。この地図鮮度確認処理は、鮮度確認対象選定部102により地図鮮度確認対象として選ばれた車載地図データの局所更新単位に関して、地図鮮度問合せ部103が地図情報配信センタ2へ問合せを行うことにより鮮度値340を取得し、その鮮度値340を地図鮮度DB管理部104が地図鮮度DB62へ記憶する処理である。詳細については、図5〜図8を用いて後記する。
【0063】
続いて、地図鮮度管理部100は、地図鮮度提示処理を行う。この地図鮮度提示処理は、メニュー操作によるユーザからの要求に応じて、地図鮮度情報300(図3参照)に基づき表示部20上に鮮度情報を画面表示し、ユーザに更新データを選択させるための情報を提示する処理である。詳細については、図9を用いて後記する。
【0064】
(地図鮮度確認準備処理)
次に、地図鮮度確認準備処理について詳細に説明する。
図4は、本実施形態に係るナビゲーション装置の地図鮮度確認準備処理の流れを示すフローチャートである。この地図鮮度確認準備処理においては、地図鮮度確認対象とする車載地図データの局所更新単位を特定し、その局所更新単位に関するバージョン情報を取得し、地図鮮度DB62へ記憶する。以下、具体的に説明する。
【0065】
まず、地図鮮度確認部101(図1参照)内の鮮度確認対象選定部102が、アプリケーション処理部110内の各種アプリケーションによる車載地図データの利用があるか否かを判断する(ステップS401)。車載地図データの利用がないと判断した場合には(ステップS401→No)、アプリケーションの利用があるまで待つ。つまり、鮮度確認対象選定部102は、常時アプリケーションによる車載地図データの利用を監視する。一方、アプリケーションによる車載地図データの利用があると判断した場合には(ステップS401→Yes)、ステップS402へ進む。
【0066】
ステップS402において、鮮度確認対象選定部102は、アプリケーション処理部110が直接利用した車載地図データおよびその車載地図データに関連する車載地図データ、を含む局所更新単位を地図鮮度確認対象として選定する(ステップS402)。
【0067】
ここで、例えばアプリケーション処理部110内の目的地検索部112が車載地図データを利用する場合を例に説明する。まず、ユーザがナビゲーション装置1を操作して目的地検索部112を呼び出す。次にユーザが目的地検索部112に対してカテゴリ検索を指示する。次にユーザがカテゴリとして和食を指定する。次にユーザがエリアとして東京を指定する。この結果、和食カテゴリに属し且つ東京に属す和食屋の一覧が画面表示され、ユーザは和食屋の一覧を得ることができる。
【0068】
この一連の動作に対して、鮮度確認対象選定部102は、ステップS401において目的地検索部112による車載地図データ利用を検知する。次いでステップS402において、車載地図データの利用内容が、地図データ種別を目的地検索用データ202(図2参照)とし、且つ、カテゴリが和食であり、且つ、エリアが東京である局所更新単位の利用であることに基づき、車載地図データのその局所更新単位を地図鮮度確認対象として選定する。
【0069】
また、ルート探索部111が車載地図データを利用する場合を例に説明する。まず、ユーザがナビゲーション装置1を操作してルート探索部111を呼び出す。ここで、ルート探索部111はユーザが目的地検索部112を利用して目的地を決定したのを受け、呼び出される等する。
ルート探索部111は、位置推定部115により推定された自車位置を始点、目的地を終点、として推奨ルートの探索を行う。この際、ルート探索部111は、始点と終点を包含する所定エリアに該当する道路データ201(図2参照)を車載地図データから読み出し、この道路データ201に含まれる道路リンク間の接続情報や、道路リンクの通過所要時間や長さを示す道路リンクコスト情報を用い、道路リンクコストの総和が最小となるような、始点から終点へ繋がる道路リンクの集合を、推奨ルートとして導出する。
そして、ルート探索においては、コストの総和が最小の推奨ルートに加え、次点となるその他のルートも含めて、例えば5本程度のルートをユーザヘ提示し、最終的にはその中からユーザがルートを指定する。
【0070】
この一連の動作に対して、鮮度確認対象選定部102は、ステップS401においてルート探索部111による車載地図データ利用を検知し、次いでステップS402において、車載地図データの利用内容が、地図データ種別が道路データ201であり、且つ、エリアが例えば5本程度のルートを含む、局所更新単位の利用であることをもとに、車載地図データのその局所更新単位を地図鮮度確認対象として選定する。
【0071】
以上のように、鮮度確認対象選定部102が、ステップS401およびステップS402を行うことによって、車載地図データの利用実績や、それに関連すると推定される車載地図データの将来的な利用見込みの高い局所更新単位を、地図鮮度確認対象として選定することができる。
【0072】
続いて、ステップS403について説明する。ステップS403では、鮮度確認対象選定部102が、ステップS402で選定された地図鮮度確認対象である車載地図データの局所更新単位について、ステップS403の実行時点におけるバージョン番号である車側バージョン情報320を取得する(ステップS403)。車載地図データの中には、局所更新時の更新単位毎に、バージョン情報を保持するテーブルがあり、このテーブルを参照することにより、ステップS402で選定された局所更新単位の車側バージョン情報320を得ることができる。
【0073】
次に、地図鮮度DB管理部104が、ステップS402で選定された地図鮮度確認対象である局所更新単位の識別情報310と、ステップS403で取得されたその局所更新単位の車側バージョン情報320と、その局所更新単位に対する関心度330とを地図鮮度DB62内の地図鮮度情報300(図3参照)へ登録する(ステップS404)。
【0074】
本実施形態において関心度330は、その既定値を0ポイントとし、ユーザの関心の高さに応じて関心度330のポイントを加算するようにする。具体的には、ユーザが予めナビゲーション装置1に自宅位置を登録している場合、自宅近傍の所定エリア内の地図データ200に対して所定の関心度ポイントを加算する。また、ユーザが予めナビゲーション装置1にお気に入りの施設カテゴリを登録していた場合、該当カテゴリの地図データ200に対して所定の関心度ポイントを加算する。この関心度ポイントは、鮮度値340とともに、地図鮮度情報300に登録されている車載地図データの複数の局所更新単位のうち、どの局所更新単位がユーザにとって重要な地図更新に関するものであるかを判定するために用いる。
そして、ステップS404の完了後は、再度ステップS401に戻り、アプリケーション処理部110による車載地図データの利用の監視を行う。
【0075】
以上、ステップS401〜S404の処理によって、車載地図データの利用実績や、それに関連すると推定される車載地図データの将来的な利用見込みの高い局所更新単位を地図鮮度確認対象として選定し、その局所更新単位の識別情報310と、車側バージョン情報320と、関心度330とを地図鮮度DB62内の地図鮮度情報300(図3参照)に記憶できる。
【0076】
(地図鮮度確認処理)
次に、地図鮮度確認処理について詳細に説明する。
図5は、本実施形態に係るナビゲーションシステムの地図鮮度確認処理の流れを示すフローチャートである。この地図鮮度確認処理においては、ナビゲーション装置1が地図情報配信センタ2へ問合せして鮮度値340を取得し、取得した鮮度値340を地図鮮度DB62へ記憶する。
【0077】
まず、ナビゲーション装置1の地図鮮度問合せ部103(図1参照)が、地図情報配信センタ2への地図鮮度問合せを実行するか否かの判定を行う(ステップS501)。ここで、地図鮮度問合せを実行する場合には(ステップS501→Yes)、次のステップS502に進む。また、地図鮮度問合せを実行しない場合には(ステップS501→No)、地図鮮度問合せを実行するときまで待つ。この地図鮮度問合せとは、ナビゲーション装置1が地図情報配信センタ2に対して、地図鮮度確認対象とした車載地図データの局所更新単位の鮮度値340を問合せることをいう。
また、地図情報配信センタ2への地図鮮度問合せを実行する場合には、ユーザからの直接の指示があった場合、および、以下に説明する自動センタ問合せの条件を満たした場合、の2種類がある。
【0078】
ユーザからの直接の指示があった場合とは、ナビゲーション装置1の操作メニュー内に設けられた地図鮮度確認メニューをユーザが自ら操作して地図鮮度情報300(図3参照)の閲覧を求め、地図鮮度問合せの実行を指定した場合である。この場合、地図鮮度問合せ部103は、通信処理部51を介して地図情報配信センタ2との接続を確立する。そしてステップS502以降の処理へ進む。
【0079】
一方、自動センタ問合せの条件を満たした場合とは、テレマティクス処理部116等、アプリケーション処理部110内の何らかの機能ブロックが、通信処理部51を介して地図情報配信センタ2との接続を確立した場合である。この場合、地図鮮度問合せ部103は、既に確立済みの地図情報配信センタ2との接続を利用して地図情報配信センタ2への地図鮮度問合せを実行し、ステップS502以降の処理へ進む。
【0080】
なお、ユーザからの直接の指示があった場合では、ユーザのニーズに応じたタイミングで地図鮮度問合せができるメリットがあり、自動センタ問合せの条件を満たした場合では、ユーザが特に意識せずとも、自動的に鮮度値340を収集しておき地図鮮度DB62に記憶しておくことができるメリットがある。予め自動収集しておけば、地図鮮度情報提示部106が地図鮮度情報300の表示を行う際、既に鮮度値340が収集済みの地図鮮度情報300を参照するだけで済むため、迅速に表示処理を行うことができる。
なお、地図鮮度問合せに要する通信データ量は、地図更新データの通信データサイズに比べ遥かに小さいため、テレマティクス等の通信に付加し送信することは十分に可能である。
【0081】
続いてステップS502において、地図鮮度問合せ部103は、地図鮮度DB62に登録された地図鮮度情報300の登録内容を確認し、登録済みレコード(行)があるか否か判断する(ステップS502)。登録済みレコードがある場合には(ステップS502→Yes)、次のステップS503へ進む。一方、登録済みレコードがない場合には(ステップS502→No)、ステップS501へ戻る。
【0082】
次に、ステップS503において、地図鮮度問合せ部103は、地図鮮度DB62に登録された地図鮮度情報300(図3参照)の登録内容を確認し、地図鮮度確認対象とする登録済レコードに関する局所更新単位の識別情報310および車側バージョン情報320を読み出す(ステップS503)。
【0083】
そして、地図鮮度問合せ部103は、通信処理部51を介して、ステップS503で読み出した局所更新単位の識別情報310と車側バージョン情報320とを示す地図鮮度問合せ情報を地図情報配信センタ2へ送信する(ステップS504)。
【0084】
次に、地図情報配信センタ2において、地図鮮度算出部701が、ナビゲーション装置1からの地図鮮度問合せ情報を受信したか否かを判断する(ステップS505)。なお、ここで地図情報配信センタ2が、地図鮮度問合せ情報(一組の「局所更新単位の識別情報310および車側バージョン情報320」)を複数受信するのが通常と想定される。
そして、地図鮮度問合せ情報を受信した場合は(ステップS505→Yes)、次のステップS506へ進む。一方、地図鮮度問合せ情報を受信していない場合は(ステップS505→No)、受信するまで待つ。
【0085】
続いて、地図鮮度算出部701は、ナビゲーション装置1から受信した複数の地図鮮度問合せ情報の中の1つを抽出し、その地図鮮度問合せ情報に含まれる地図データ200(図2参照)の局所更新単位について、最新バージョンの地図データ200と、地図鮮度問合せ情報に含まれる車側バージョン情報320に基づくバージョンの地図データ200とをマスタ地図DB91から抽出し、両者の内容を比較して、鮮度値340を算出する処理を行う(ステップS506)。鮮度値340を算出する処理の詳細については、後記する図6および図7においてさらに詳しく説明する。
【0086】
そして、地図鮮度算出部701は、ナビゲーション装置1から取得した全ての地図鮮度問合せ情報について鮮度値340を算出したか否かを判断する(ステップS507)。ここで、全ての地図鮮度問合せ情報について鮮度値340を算出していれば(ステップS507→Yes)、次のステップS508へ進む。一方、まだ鮮度値340を算出していない地図鮮度問合せ情報があれば(ステップS507→No)、ステップS506に戻り処理を続ける。
【0087】
続いて、ステップS508において、地図鮮度算出部701は、地図鮮度確認対象について算出した全ての鮮度値340をナビゲーション装置1へ配信する(ステップS508)。
【0088】
次に、ナビゲーション装置1の地図鮮度問合せ部103は、地図情報配信センタ2から鮮度値340を受信したか否かを判断する(ステップS509)。ここで鮮度値340を受信した場合は(ステップS509→Yes)、次のステップS510へ進む。一方、鮮度値340を受信していない場合は(ステップS509→No)、地図情報配信センタ2から鮮度値340が配信されるまで待つ。
【0089】
そして、ステップS510において、地図鮮度DB管理部104は、受信した鮮度値340と受信した時刻である確認時刻350とを地図鮮度DB62の地図鮮度情報300へ記憶する。
このようにして、ナビゲーション装置1は、地図情報配信センタ2の地図鮮度算出部701により算出された鮮度値340を取得することができる。
【0090】
なお、図5に示す地図鮮度確認処理のステップS503においては、地図鮮度問合せ部103が、地図鮮度情報300に登録された局所更新単位のうち、関心度330の値が高いものを優先して、地図鮮度確認対象に選定することができる。また、過去に鮮度値340を取得している局所更新単位であれば、その鮮度値340や確認時刻350が古いものを優先して、地図鮮度確認対象に選定することができる。これにより、ナビゲーション装置1は、データサイズが数ギガバイトにおよぶ巨大な車載地図データの中から、利用実績が多く将来の利用見込みが高い局所更新単位、または、鮮度の古い局所更新単位について、最新の鮮度値340を優先的に収集し、地図鮮度DB62に記憶できる。
【0091】
(鮮度値算出処理)
次に、図5のステップS506における鮮度値算出処理について詳細に説明する。
図6および図7は、本実施形態に係る地図情報配信センタにおける鮮度値算出処理を説明するための図である。
ここで、個々の処理について説明する前に、図6および図7の鮮度値算出処理の全体の概要および考え方を説明する。
【0092】
図6および図7に示す動作フローが全体として行う処理は、地図鮮度問合せ情報(局所更新単位の識別情報310および車側バージョン情報320)の1つを抽出した際、この地図鮮度問合せ情報によって特定されるナビゲーション装置1上の車載地図データの局所更新単位の鮮度値340を算出する処理である。
この鮮度値340は、車載地図データの局所更新単位のバージョンと最新の地図データ200のバージョンとの間で、道路やPOIといった地図データ200の構成要素を更新する処理として、データの削除(Delete:以下「DEL」とする)、挿入(Insert:以下「INS」とする)、変更(Update:以下「UPD」とする)、といった操作がそれぞれ総和として何件行われたかの件数をカウントする。すなわち、例えば、3レコード削除する削除処理では3件、1レコード挿入する挿入処理では1件、1レコード変更する変更処理では1件となる。そして、具体的には関係データベースで格納された車載地図DB61における、該当する地図データテーブルの全部、または、その地図データテーブルのレコードやカラムの一部について行われる。
【0093】
ここで、更新レコード数の件数のカウント方法について、詳細に説明する。地図データ200の削除および挿入において1レコードに対する更新操作は、レコード1件の全カラムに影響する操作である。一方、地図データ200の変更では、1レコードに対する更新操作は、レコード1件の一部のカラムに影響する操作である。すなわち、同じ「1レコードに対する更新操作」であっても、削除および挿入操作の場合と、変更操作の場合では、1レコードにおいて影響するカラム個数の割合について、前者は常に100%であり、後者は100%以下で変動する、という特徴がある。
本発明ではこれを考慮し、削除および挿入操作と変更操作との件数カウントにおいて、1レコードにおいて影響するカラム個数の割合を「重み」付きで反映し、更新するレコード件数をカウントする「重み付き件数カウント」を行う。
【0094】
なお、地図鮮度確認対象の選び方に応じ、更新操作の対象となる地図データ200(図2参照)の、テーブル、カラム、レコードがその都度変更されて選定されるが、これらテーブル、カラム、レコードは、利用頻度やユーザの嗜好に応じ、鮮度に対する期待の高低に差異がある。従って、本発明では、テーブル毎、または、テーブルおよびカラムの組で特定される集合毎に、予め「重み」の初期設定値を調整しておくようにする。
【0095】
この重み値の調整においては、ユーザにとって顕現性の高いカラムの重み値を大きくし、ユーザにとって顕現性の低いカラムの重み値を小さくするポリシーをとる。さらに、あるテーブルにおいて重み値を設定するカラムは、そのテーブルにおける全カラムではなく、地図更新のそのテーブルに対する変更操作において「内容変更し得るカラム群」を対象とする。また、重み値の設定においては、各テーブルについて、テーブル内のこれらカラム群の重み値の合計が「1.0」となるように重み値を設定する。
【0096】
以上の重み値の設定方法によれば、1レコードの変更操作で、そのレコードにおいて内容を変更し得るカラム全ての値が変更されるとき、重み付き件数が1件分としてカウントされる。これは、1レコードの更新操作で、常にそのレコードの全カラムが内容変更する削除操作や挿入操作について、特に重みを意識せず件数をカウントした際(この場合常に重み値が「1.0」となる)、その件数が1件とカウントされることと整合する。これにより、削除、挿入、変更の全ての更新操作における件数カウントに基づく鮮度値340の算出において、鮮度値340を適切に算出できる。
【0097】
次に、重み値設定の具体例を、図6(b)、図6(c)および図7(d)を用いて説明する。図6(b)は、本実施形態に係る削除重み管理テーブルを示す。図6(c)は、本実施形態に係る挿入重み管理テーブルを示す。また、図7(d)は、本実施形態に係る変更重み管理テーブルを示している。
【0098】
図6(b)の削除重み管理テーブルや、図6(c)の挿入重み管理テーブルに例示するように、削除および挿入操作については、1レコードの操作で、常にそのレコードの全カラムの内容を変更するため、カラム毎の重み付けは行わず、テーブル毎に1レコード更新操作した際に考慮する「重み」の値を定義している。ここでは一例として、一律「1.0」と設定している。
これにより、例えば、「道路テーブル」に対して1レコードの削除(あるいは挿入)操作をする場合、この1レコードの削除(あるいは挿入)操作に関する重み付き件数を、1件として算出する。
なお、削除重み管理テーブル(図6(b))および挿入重み管理テーブル(図6(c))では行っていないが、テーブル毎に異なった重み付けをしてもよい。また、より木目細かく、1テーブル内の所定のレコード集合毎の単位で異なった重み付けをしてもよい。これにより、テーブル、カラム、レコードは、利用頻度やユーザの嗜好に応じ、鮮度に対する期待の高低に差異があるが、これを踏まえたより詳細な鮮度値を算出できる。
【0099】
図7(d)は、本実施形態に係る変更重み管理テーブルである。変更重み管理テーブルでは、例えば、テーブル名が「道路テーブル」である箇所に関し、画面表示される「道路名称」や、ルート探索結果としてユーザに表示する「所要時間」や「リンク長」のカラムには大きな重み値「0.3」を設定し、ナビゲーション装置1が内部処理に用いることが主でありユーザの目には触れない「リンクID」のカラムには、小さな重み値「0.1」を設定している。
また、この例では、「道路テーブル」において変更操作で内容変更し得るカラム群は、「道路名称」「所要時間」「リンク長」「リンクID」の4つのカラムであるとし、これら4カラムについて重みを設定する。また、4カラムの重み値の合計が「1.0」となるように重み値を設定する。
これにより、例えば、「道路テーブル」に対して1レコードの変更操作をする場合であって、実際に内容変更するカラムが「道路名称」カラム(重み値「0.3」)および「リンクID」カラム(重み値「0.1」)であった場合、この1レコードの変更操作に関する重み付き件数を、0.3+0.1=0.4件として算出する。
なお、「重み付き件数カウント」の処理を実行する時点で、「重み」の設定値をその時点でのその地図データ200の利用頻度やユーザの嗜好に応じて動的に調整できるようにしてもよい。
【0100】
以下、図6(a1)および図7(a2)を参照し、鮮度値算出処理を詳細に説明する。
図6(a1)および図7(a2)は、本実施形態に係る地図情報配信センタにおける鮮度値算出処理の流れを示すフローチャートである。
【0101】
まず、図6(a1)において、地図センタ処理部700(図1参照)内の地図鮮度算出部701は、DEL_W_SUMの値をゼロに初期化する(ステップS601)。ここで、DEL_W_SUMは、各削除操作においてテーブル名をもとに指定される重みの、全ての削除操作についての総和である。
【0102】
次に、地図鮮度算出部701は、ナビゲーション装置1から取得した地図鮮度問合せ情報(局所更新単位の識別情報310および車側バージョン情報320)をもとに、その地図鮮度確認対象から、削除操作を1つ抽出する(ステップS602)。
【0103】
続いて、地図鮮度算出部701は、ステップS602で抽出した削除操作の対象テーブルに設定された重みを、そのテーブル名をもとに、削除重み管理テーブル(図6(b))から取得して、DEL_W_SUMの現状値に加算する(ステップS603)。なお、地図鮮度算出部701は、このDEL_W_SUMの値を図示していない一時記憶部に記憶させる。
【0104】
そして、地図鮮度算出部701は、その地図鮮度確認対象の削除操作を全て抽出したか否かを判断する(ステップS604)。ここで、削除操作を全て抽出していれば(ステップS604→Yes)、ステップS605へ進む。一方、全ての削除操作を抽出済みでなければ(ステップS604→No)、ステップS602へ戻り、処理を続ける。
【0105】
次に、地図鮮度算出部701は、INS_W_SUMの値をゼロに初期化する(ステップS605)。ここで、INS_W_SUMは、各挿入操作においてテーブル名をもとに指定される重みの、全ての挿入操作についての総和である。
【0106】
そして、地図鮮度算出部701は、ナビゲーション装置1から取得した地図鮮度問合せ情報をもとに、その地図鮮度確認対象から、挿入操作を1つ抽出する(ステップS606)。
【0107】
続いて、地図鮮度算出部701は、ステップS606で抽出した挿入操作の対象テーブルに設定された重みを、そのテーブル名をもとに、挿入重み管理テーブル(図6(c))から取得して、INS_W_SUMの現状値に加算する(ステップS607)。なお、地図鮮度算出部701は、このINS_W_SUMの値を一時記憶部に記憶させる。
【0108】
そして、地図鮮度算出部701は、その地図鮮度確認対象の挿入操作を全て抽出したか否かを判断する(ステップS608)。ここで、挿入操作を全て抽出していれば(ステップS608→Yes)、図7(a2)のステップS609へ進む。一方、全ての挿入操作を抽出済みでなければ(ステップS608→No)、ステップS606へ戻り、処理を続ける。
【0109】
次に、地図鮮度算出部701は、UPD_W_SUMの値をゼロに初期化する(ステップS609)。ここで、UPD_W_SUMは、各変更操作において(テーブル名、カラム名)の組み合わせをもとに指定される重みの和の、全ての変更操作についての総和である。
【0110】
そして、地図鮮度算出部701は、ナビゲーション装置1から取得した地図鮮度問合せ情報をもとに、その地図鮮度確認対象から、変更操作を1つ抽出する(ステップS610)。
【0111】
続いて、地図鮮度算出部701は、ステップS610で抽出した変更操作の対象カラム毎に設定された重みを、その(テーブル名、カラム名)をもとに、変更重み管理テーブル(図7(d))から取得して、その抽出した変更操作の重みの和をUPD_W_SUMの現状値に加算する(ステップS611)。なお、地図鮮度算出部701は、このUPD_W_SUMの値を一時記憶部に記憶させる。
【0112】
そして、地図鮮度算出部701は、その地図鮮度確認対象の変更操作を全て抽出したか否かを判断する(ステップS612)。ここで、変更操作を全て抽出していれば(ステップS612→Yes)、ステップS613へ進む。一方、全ての変更操作を抽出済みでなければ(ステップS612→No)、ステップS610へ戻り、処理を続ける。
【0113】
続いて、ステップS613において、地図鮮度算出部701は、ステップS601〜S612で算出した値をもとに、以下の計算を行い、鮮度値340を算出する。
鮮度値 = −{ DEL_W_SUM + INS_W_SUM + UPD_W_SUM }
【0114】
以上のステップS601〜S613により、地図鮮度算出部701は、地図鮮度確認対象に関する鮮度値340を算出することができる。
【0115】
(重み管理テーブル更新処理)
次に、本実施形態に係る「重み管理テーブル」を更新する処理について説明する。これにより、「重み」の設定値を、車載地図データの利用頻度やユーザの嗜好に応じて動的に調整し、ユーザのニーズを加味した鮮度値340を算出することが可能となる。
図8は、本実施形態に係る地図情報更新システムにおいて、重み管理テーブルの重みの値を更新する処理の流れを示すフローチャートである。
【0116】
まず、ナビゲーション装置1側の処理について説明する。
ナビゲーション装置1の重み更新情報収集部105(図1参照)は、地図情報配信センタ2への問合せのタイミングか否かを判断する(ステップS801)。ここで、問合せのタイミングとは、図5のステップS501の地図鮮度問合せと同様に、ユーザからの直接の指示があった場合、および自動センタ問合せの条件を満たした場合がある。地図情報配信センタ2への問合せのタイミングでない場合は(ステップS801→No)、問合せのタイミングまで待つ。一方、地図情報配信センタ2への問合せのタイミングである場合は(ステップS801→Yes)、次のステップS802へ進む。
【0117】
そして、ステップS802において、重み更新情報収集部105は、ナビゲーション装置1の車載機IDを取得する(ステップS802)。車載機IDは、ナビゲーション装置1内の記憶部60内に記憶されている。
【0118】
続いて、重み更新情報収集部105は、ルート探索部111が実行した、距離優先探索の回数をカウントする(ステップS803)。この回数は、ルート探索部111がルート探索処理を実行する度に、その際の探索条件が距離優先であるか否か確認し、距離優先であった場合、ナビゲーション装置1内の記憶部60に、距離優先探索の積算回数を記憶しておき、その値を、重み更新情報収集部105が読み出すことでカウントする。
【0119】
次に、重み更新情報収集部105は、ルート探索部111が実行した、時間優先探索の回数をカウントする(ステップS804)。この回数は、ルート探索部111がルート探索処理を実行する度に、その際の探索条件が時間優先であるか否か確認し、時間優先であった場合、ナビゲーション装置1内の記憶部60に、時間優先探索の積算回数を記憶しておき、その値を、重み更新情報収集部105が読み出すことでカウントする。
【0120】
そして、重み更新情報収集部105は、地図情報配信センタ2へデータ送信する際の送信日時(現在時刻)を取得する(ステップS805)。現在時刻はナビゲーション装置1内の図示しない時計を参照して取得する。
【0121】
続いて、重み更新情報収集部105は、車載機IDと、距離優先探索回数と、時間優先探索回数と、送信日時とを示す重み更新情報を、通信処理部51を介して地図情報配信センタ2へ送信する(ステップS806)。
ここで、送信日時について、ナビゲーション装置1側で時間取得して地図情報配信センタ2側へ送信することは、ナビゲーション装置1がデータ送信した時刻を正確に送信日時として送付する効果を持つ。すなわち、地図情報配信センタ2において受信した時点でその時刻を取得しそれを近似的に送信日時と見なす方法に比べ、通信時間の影響を受けない点で、より正確な送信日時を取得できる。これにより、後記する距離優先重みあるいは時間優先重みを算出する処理において、時刻の古さに応じて探索回数の重みを減衰する場合に、時刻の感度を高く設定することも可能となる。
【0122】
次に、地図情報配信センタ2の地図センタ処理部700(図1参照)内の重み管理情報更新部702の処理について説明する。
先ず、重み管理情報更新部702は、ナビゲーション装置1から重み更新情報(車載機IDと、距離優先探索回数と、時間優先探索回数と、送信日時とを示す情報)を通信処理部81を介して受信したか否かを判断する(ステップS807)。ここで、重み更新情報を受信していなければ(ステップS807→No)、受信するまで待つ。一方、重み更新情報を受信していれば(ステップS807→Yes)、次のステップS808へ進む。
【0123】
そして、ステップS808において、重み管理情報更新部702は、受信した重み更新情報をもとに、車載機ID毎(すなわちナビゲーション装置1毎)に、距離優先探索回数「x」、時間優先探索回数「y」、および送信日時を地図情報配信センタ2が備える記憶部90に保持する(ステップS808)。
これにより、ナビゲーション装置1のユーザ毎の使用状況を、地図情報配信センタ2側の必要なタイミングに応じて取得しユーザの関心を考慮した分析が可能となる。
【0124】
次に、重み管理情報更新部702は、車載機ID毎の距離優先重みを、以下の数式(1)に基づき算出する(ステップS809)。ここで、n_last_車載機IDは、ユーザがナビゲーション装置1を購入後初めてユーザが車載機ID、距離優先探索回数、時間優先探索回数、および送信日時の情報を送信した日時と、距離優先重みを計算する日の引き算によって得られる正の整数である。
【0125】
【数1】

【0126】
続いて、重み管理情報更新部702は、車載機ID毎の時間優先重みを、以下の数式(2)に基づき算出する(ステップS810)。
【0127】
【数2】

【0128】
ここで、「r」および「s」は、減衰係数であり、過去の探索回数と現在の探索回数を加算する際に過去の探索回数を割り引くことによって過去の探索回数の効果を控えめにするためのパラメータである。
ここで「r」および「s」 の値は、例えば、r=s=0.5として地図情報配信センタ2の図示していない一時記憶部に保持しておいてもよい。さらには、r=s=0.9とすることで、過去の探索をより強めに評価するようにユーザがナビゲーション装置1の画面から通信手段を介して地図情報配信センタ2へ設定することも可能である。
【0129】
次に、ステップS811およびステップS812の処理では、ステップS809およびS810の処理の結果得られた距離優先重みの値と時間優先重みの値を用いて正規化し、距離優先率αおよび時間優先率βを算出し、ステップS813の処理へ進む。
【0130】
ここでは、距離優先率αは、距離優先率α=距離優先重み/(距離優先重み+時間優先重み)として求める(ステップS811)。
そして、時間優先率βは、時間優先率β=1−αとして求める(ステップS812)。
【0131】
本実施形態においては、2つの重みについての大小比較であるため正規化をしなくても距離優先重みの値と時間優先重みの値の大小比較をすれば十分ではあるが、ナビゲーション装置1の使用状況を示すその他のパラメータが存在する場合には、正規化処理が必要となる。
【0132】
続いて、ステップS813において、距離優先率αと時間優先率βの大小関係を比較する。ここで距離優先率αが時間優先率βより小さければ(α<β)(ステップS813→Yes)、時間優先であると判断し、ステップS814の処理へ進む。一方、距離優先率αが時間優先率βより小さくなければ(ステップS813→No)、距離優先であると判断し、ステップS815の処理へ進む。
【0133】
時間優先と判断されたステップS814の処理では、変更重さ管理テーブル(図7(d)参照)の、テーブル名「道路テーブル」カラム名「所要時間」の重みの値を、Δ分(例えば、Δ=0.05)増加する。そして、「道路テーブル」の全カラムの重み値が合計して「1.0」となるように、その他のカラムの重み値を、例えば設定されている重み値に比例して合計Δ分(Δ=0.05)減少させる。
【0134】
一方、距離優先と判断されたステップS815の処理では、変更重さ管理テーブル(図7(d))の、テーブル名「道路テーブル」カラム名「リンク長」の重み値を Δ分(例えば、Δ=0.05)増加する。そして、その他のカラムの重み値を設定されている重み値に比例して合計Δ分(Δ=0.05)減少させる。
なお、ここでΔの値は、地図情報配信センタ2の一時記憶部中に保持しておくが、ユーザの通信頻度等をもとに、重み管理情報更新部702が、Δの値を増減して設定することもできる。
【0135】
このような重み管理情報更新部702の処理によって、地図情報配信センタ2がナビゲーション装置1の使用状況を適宜考慮して重み値を更新することが可能となり、よりユーザの使用状況に適した鮮度値340の算出ができるようになる。
さらには、ナビゲーション装置1の使用状況を時系列情報として地図情報配信センタ2で処理することにより、ユーザの関心の時間的な変化を考慮しながら、鮮度計算をするための重みを更新することが可能となる。
【0136】
(地図鮮度提示処理)
次に、地図鮮度提示処理について詳細に説明する。
図9は、本実施形態に係るナビゲーション装置における地図鮮度提示処理の流れを示すフローチャートである。
【0137】
まず、ナビゲーション装置1の地図鮮度情報提示部106(図1参照)は、ユーザから地図鮮度情報300(図3参照)の提示要求があるか否かを判断する(ステップS901)。ここで、提示要求がなければ(ステップS901→No)、提示要求があるまで待つ。一方、提示要求があれば(ステップS901→Yes)、次のステップS902へ進む。
ユーザからの提示要求の受付は、ナビゲーション装置1における入出力部30を介しての地図鮮度閲覧を行うか否かの条件設定において、地図鮮度閲覧ONモードか地図鮮度閲覧OFFモードかの値をユーザが設定することで行われる。ここで、地図鮮度閲覧ONモードであれば、地図鮮度情報300の提示要求があるものとして(ステップS901→Yes)、ステップS902へ進む。一方、地図鮮度閲覧OFFモードであれば、提示要求がないものとして(ステップS901→No)、提示要求があるまで待つ。
【0138】
次に、ステップS902において、地図鮮度情報提示部106は、表示部20に地図鮮度提示画面を表示させる(ステップS902)。そして、ユーザにより、表示部20の地図鮮度提示画面上に表示された鮮度表示対象を指定する釦が押下される(ステップS903)。
図10は、本実施形態における地図鮮度提示画面の一例を示す図である。また、図10(a)に示すように、地図鮮度提示画面1000上に、鮮度表示対象を指定する釦が設けられている。ここで鮮度表示対象には、「道路」(符号1001)と「施設」(符号1002)が設定され、ユーザにより「道路」釦が指定された場合には、地図鮮度情報300(図3参照)のうち、地図データ種別が「道路データ」に対応した局所更新単位(例えば、符号3002)に関する情報が鮮度表示対象として指定される。一方、ユーザにより、「施設」釦が指定された場合には、地図鮮度情報300のうち、地図データ種別が「目的地検索用データ」に対応した局所更新単位(例えば、符号3001)に関する情報が鮮度表示対象として指定される。なお、図10(a)は、地図鮮度確認対象として、「道路」(符号1001)が選択された状態を示している。
【0139】
このことにより、ユーザが道路データ201(図2参照)の更新を希望する場合には、「道路」釦を押下することにより、道路データ201の地図鮮度情報300を表示させ、その鮮度を確認することができる。一方、ユーザがコンビニやガソリンスタンド、レストラン等の施設の更新を希望する場合には、「施設」釦を押下することにより、目的地検索用データ202の地図鮮度情報300を表示させ、その鮮度を確認することができる。
【0140】
図9に戻り、ユーザにより地図鮮度提示画面1000上の鮮度閾値調整によって「鮮度閾値」が指定される(ステップS904)。鮮度閾値の指定の仕方は、鮮度閾値調整つまみ(鮮度閾値設定手段)(図10の符号1003)を地図鮮度提示画面1000上のタッチパネルでユーザが指等で押下することにより選択され、押下しながら上下に指を移動させることにより、スケール(符号1004)上を鮮度閾値調整つまみ(符号1003)が移動する。
本実施形態においては、下に行くほど(すなわちLo方向)鮮度が新しい、つまりわずかな地図データ200の更新しかない場合でも鮮度情報が画面表示されやすく、逆に上に行くほど(すなわちHi方向)鮮度が古い、つまり多数の地図データ200の更新がある場合に鮮度情報が表示されることになる。
【0141】
ここで、鮮度閾値の上限値と下限値の決定方法について説明する。
鮮度閾値の上限値は、ナビゲーション装置1の地図鮮度DB62(図1参照)内に保持した地図鮮度情報300(図3参照)に記憶された鮮度値340のうち最大値を検索し、その値を鮮度閾値の上限値とする。一方鮮度閾値の下限値は、地図鮮度情報300に記憶された鮮度値340のうち最小値を検索し、その値を鮮度閾値の下限値とする。この鮮度閾値の上限値と鮮度閾値の下限値から、以下のような鮮度閾値一次方程式を生成する。
【0142】
鮮度閾値=(鮮度閾値の上限値 − 鮮度閾値の下限値)×v + 鮮度閾値の下限値
(ただしv:鮮度閾値調整つまみ1003のスケール1004に対する相対位置により定まる0〜1の値)
【0143】
鮮度閾値調整つまみ(符号1003)のスケール(符号1004)に対する相対位置の情報を用いて0〜1の値vを生成し、この鮮度閾値一次方程式を解くことによって鮮度閾値を算出する。
これにより、ユーザが鮮度閾値調整つまみ(符号1003)をHiとLoの間で調整することにより、任意の鮮度閾値を基準として、それより鮮度の古い車載地図データの局所更新単位を一見して確認することができる。
【0144】
図9に戻り、走行状況監視部130(図1参照)は、ナビゲーション装置1を搭載した車等が走行状態か否かの情報を取得する(ステップS905)。もしも走行中であれば鮮度閾値に例えば予め補正値「1.2」を掛け算することで鮮度情報を提示させにくくすることができる。つまり、走行中の場合は、停車中に比べて、鮮度がより古い(鮮度値の絶対値が大きい)局所更新単位しか、地図鮮度提示画面1000に鮮度情報を表示させないということができる。これにより、車の状態を考慮した鮮度表示を実現できるためユーザにとって不要な認知を削減し安全に寄与することができる。
【0145】
次に、データ交換処理監視部140(図1参照)は、データ交換処理部50におけるメディアの接続状態を示す情報を確認する(ステップS906)。このことにより、ナビゲーション装置1が、地図データ200の更新を通信回線4を用いて行うのか、あるいはDVD等のブリッジメディアを用いて行うのかの情報を得る。
【0146】
続いて、地図鮮度情報提示部106(図1参照)は、ステップS904で指定された鮮度閾値と、地図情報配信センタ2の地図鮮度算出部701が算出し、ナビゲーション装置1の地図鮮度情報300に記憶された鮮度値340とを比較し、地図鮮度提示画面1000上に、鮮度情報を表示する(ステップS907)。鮮度情報は、例えば、指定された鮮度閾値「−100」に対して、局所更新単位の鮮度値340が「−120」であった場合には、鮮度閾値を超えているので、例えば、地図鮮度提示画面1000上に示された局所更新単位であるエリアにセピア色のハッチングがされて表示される(図10(b)の符号1010)。一方で鮮度値340が「−30」であった場合には、鮮度閾値「−100」を超えていないので、セピア色のハッチングは表示されないことになる。
【0147】
図10(b)は、地図鮮度提示画面1000に鮮度情報を表示した例を示している。図10(b)に示すように、点線で区切られた局所更新単位毎に、地図鮮度情報300に記憶される鮮度値340が、ユーザが指定した鮮度閾値を超える場合に、セピア色等のハッチングで、その領域の鮮度が古いことが示される。この地図鮮度提示処理により、ユーザは地図のどの場所の鮮度が古いのかを直感的に把握できることになる。
【0148】
また、図10(c)は、鮮度閾値調節つまみ(符号1003)をLo側に下げて鮮度閾値を指定した例を示している。この場合、仮に鮮度閾値がユーザにより「−100」から「−20」に変更して指定されたとすると、それまで表示されていなかった鮮度値340が「−30」である局所更新単位の領域(符号1020)もセピア色のハッチングで追加して表示される。
このように、ユーザは、鮮度閾値調整つまみ(符号1003)を調整することで、鮮度が非常に古い局所更新単位と、鮮度が比較的鮮度が新しい局所更新単位を調整して表示させることができる。
【0149】
図9に戻り、ステップS907において鮮度情報が表示されると、地図更新部120(図1参照)は、ユーザによるエリア選択による地図データ200の更新要求があるか否かを判断する(ステップS908)。ユーザがセピア色のハッチング部分(局所更新単位)を指で選択する等して、ユーザからのエリア選択による更新要求があった場合(ステップS908→Yes)、ステップS906の処理で取得したメディアの状態を示す情報をもとに通信処理あるいはDVD等のブリッジメディアにより、地図情報配信センタ2とアクセスを行い、地図更新部120は、地図更新処理を開始する(ステップS909)。一方、ユーザからのエリア選択による更新要求がなかった場合は(ステップS908→No)、ステップS901の処理に戻る。
これによりユーザは地図のどのエリアの鮮度が古いのかを直感的に把握した上で、その局所更新単位の地図データ200を更新するか否かを判断することができる。
【0150】
(重要更新自動通知処理)
また、この地図鮮度提示処理において、地図鮮度情報提示部106(図1参照)は、地図鮮度DB62内の地図鮮度情報300をもとに、地図鮮度提示画面1000の表示をするようにユーザに促す「重要更新自動通知」画面を、表示部20上に自動的に表示させることができる。
例えば、地図鮮度情報300(図3参照)の鮮度値340が「−100」以上の局所更新単位のエリアに、ナビゲーション装置1を搭載した車等が進入すると、地図鮮度提示画面1000を表示するように勧める表示をする。また、地図鮮度情報300の確認時刻350から、例えば1年間、地図データ200の更新をしていない局所更新単位のエリアにナビゲーション装置1を搭載した車等が進入すると、地図鮮度提示画面1000を表示するように勧める表示をする。
【0151】
図11は、地図鮮度情報提示部(図1参照)が、地図鮮度提示画面を表示させて、地図データの更新をするように促す「重要更新自動通知」画面の一例を示したものである。図11に示すように、表示部20上に、例えば、「お勧めの更新が見つかりました。」等と表示し、地図鮮度情報300の提示させることをユーザに促す。
【0152】
また、図3の地図鮮度情報300に、地図配信情報センタ2からの情報として、鮮度値340とともに、更新された道路の本数に関する更新道路数情報と、更新された施設の数である更新施設数情報を、併せて備えさせて「重要更新自動通知」に関する情報として利用することもできる。
図12は、本実施形態に係る地図鮮度情報における変形例を示す図である。図3の地図鮮度情報300と比べて、更新道路数情報360と、更新施設数情報370のデータが追加されている。
地図情報配信センタ2の地図更新サーバ処理部703(図1参照)は、最新バージョンの地図データ200と、ナビゲーション装置1から取得した車載地図データのバージョンとを比較し、更新道路数と更新施設数に関する情報を得ることができる。そして、その情報を地図鮮度算出部701で算出した鮮度値340の情報とともに、ナビゲーション装置1へ送信する。
【0153】
この更新道路数情報360や更新施設数情報370を用いることで、地図鮮度情報提示部106は、その局所更新単位のエリアにナビゲーション装置1を搭載した車等が進入すると、例えば、「このエリアで、道路100本が更新されています。」「このエリアで、100の施設が更新されています。」等の表示をさせることができる。これにより、ユーザに対して、地図鮮度提示画面1000の表示を促すことができる。
【0154】
なお、地図鮮度情報提示部106は、更新道路数情報360を用いて、例えば、高速道路、国道、県道等毎に細かく何件更新されているか表示させることもできる。また、更新施設数情報370を用いて、コンビニ、ガソリンスタンド、レストラン等毎に細かく何件更新されているかを表示させることもできる。このように地図鮮度情報提示部106は、「重要更新自動通知」画面を表示させることにより、地図鮮度提示画面1000の表示を促すことができる。
【0155】
以上、本実施形態によれば、ナビゲーション装置1は、鮮度確認対象選定部102が、アプリケーション処理部110の地図データ200の利用を監視し、利用したデータ又はその関連データに該当する地図データ200の局所更新単位を地図鮮度確認対象とすることができる。これにより、車載地図データのうち、利用頻度が高いすなわち将来の利用見込みが高い局所更新単位を地図鮮度確認対象と定め、効果的に地図鮮度情報300を収集するための準備をすることができる。
【0156】
また、地図鮮度問合せ部103は、テレマティクス処理部116が地図情報配信センタ2と通信接続したタイミング等で自動的に鮮度値340を地図情報配信センタ2に問合せし、地図鮮度DB62に蓄積する。これにより、ユーザが特に意識せずとも、自動的に地図鮮度情報300を収集しておき地図鮮度DB62に蓄積しておくことができる。このように、予め自動収集しておけば、地図鮮度表示を行う際、既に収集済みの地図鮮度情報300を参照するだけで済むため、迅速な地図鮮度提示画面1000の表示が可能となる。
【0157】
さらに、地図鮮度情報提示部106が地図鮮度情報300を用いて地図鮮度提示画面1000を表示させることで、ユーザは、地図データ200のどの局所更新単位の鮮度が古く更新すべきかを視覚により直感的に判断でき、更新対象を適切に選択できる。
また、地図鮮度DB62内の地図鮮度情報300に基づいて、所定閾値より古い鮮度の局所更新単位のエリアに侵入したこと等を、地図鮮度情報提示部106が自動的にユーザへ通知し、地図更新処理を適切に促すことが可能となる。
【0158】
このようにすることで、本実施形態に係る地図情報更新システム、地図情報更新方法およびナビゲーション装置、並びに地図情報配信センタによれば、車載地図データの局所更新単位毎に、実質的な更新度合いを鮮度情報として提示し、ユーザが地図更新対象となる地図データを、適確且つ迅速に選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【0159】
【図1】本発明の実施形態に係る地図情報更新システムの構成例を示す機能ブロック図である。
【図2】本実施形態に係る地図データのデータ構成の一例を示す図である。
【図3】本実施形態に係る地図鮮度情報のデータ構成の一例を示す図である。
【図4】本実施形態に係るナビゲーション装置の地図鮮度確認準備処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】本実施形態に係る地図情報更新システムの地図鮮度確認処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】本実施形態に係る地図情報配信センタにおける鮮度値算出処理を説明するための図である。
【図7】本実施形態に係る地図情報配信センタにおける鮮度値算出処理を説明するための図である。
【図8】本実施形態に係る地図情報更新システムにおいて、重み管理テーブルの重み値を更新する処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】本実施形態に係るナビゲーション装置における地図鮮度提示処理の流れを示すフローチャートである。
【図10】本実施形態に係る地図鮮度提示画面の一例を示す図である。
【図11】本実施形態に係る重要更新自動通知画面の例を示す図である。
【図12】本実施形態に係る地図鮮度情報の変形例を示す図である。
【符号の説明】
【0160】
1 ナビゲーション装置
2 地図情報配信センタ
3 地図情報更新システム
4 通信回線
10,70 制御部
20 表示部
30 入出力部
40 衛星電波受信部
50,80 データ交換処理部
51,81 通信処理部
52,82 ブリッジメディア処理部
60,90 記憶部
61 車載地図データベース(地図データベース)
62 地図鮮度データベース
91 マスタ地図データベース
92 重み管理情報データベース
93 テレマティクスデータベース
100 地図鮮度管理部
101 地図鮮度確認部
102 鮮度確認対象選定部
103 地図鮮度問合せ部
104 地図鮮度DB管理部
105 重み更新情報収集部
106 地図鮮度情報提示部
110 アプリケーション処理部
111 ルート探索部
112 目的地検索部
113 地図描画部
114 経路誘導部
115 位置推定部
116 テレマティクス処理部
120 地図更新部
130 走行状況監視部
140 データ交換処理監視部
200 地図データ
300 地図鮮度情報
700 地図センタ処理部
701 地図鮮度算出部
702 重み管理情報更新部
703 地図更新サーバ処理部
710 テレマティクスサーバ処理部
1000 地図鮮度提示画面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナビゲーション装置に地図データを局所区分毎の更新単位である局所更新単位毎に配信する地図情報配信センタと、前記地図情報配信センタから取得した前記局所更新単位毎の前記地図データを更新する前記ナビゲーション装置と、を備えた地図情報更新システムにおいて、
前記ナビゲーション装置は、
目的地を設定するための入出力部と、
前記ナビゲーション装置の現在位置から目的地までの誘導経路を表示する表示部と、
衛星からの測位用の電波を受信する衛星電波受信部と、
前記地図情報配信センタとの間で、前記地図データに関する情報の送受信を行うデータ交換処理部と、
ルート探索、および目的地検索を行うアプリケーション処理部と、
前記地図情報配信センタから配信される前記局所更新単位毎の地図データを記憶する地図データベースと、
前記地図情報配信センタに記憶される最新バージョンの地図データと前記地図データベースに記憶される地図データとの差異の度合いである鮮度値を、前記局所更新単位毎の地図データとひも付けた地図鮮度情報を記憶する地図鮮度データベースと、
前記アプリケーション処理部により利用された前記地図データを地図鮮度確認対象として選定する鮮度確認対象選定部と、
前記鮮度確認対処選定部が選定した前記地図鮮度確認対象の前記鮮度値の問合せを行う地図鮮度問合せ情報を前記地図情報配信センタに送信する地図鮮度問合せ部と、
前記地図情報配信センタから受信した前記鮮度値を前記地図鮮度データベースに記憶する地図鮮度DB管理部と、
前記地図鮮度データベースに記憶された前記鮮度値のうち、所定の閾値以上の前記鮮度値を有する前記局所更新単位について、前記表示部に前記局所更新単位毎の前記地図鮮度情報を提示させる地図鮮度情報提示部と、
前記地図鮮度情報提示部により提示された前記地図鮮度情報に基づいて選択された前記局所更新単位の前記最新バージョンの地図データを、前記地図情報配信センタから受信し、前記地図データベースに記憶される地図データを更新する地図更新部と、を備え、
前記地図情報配信センタは、
各バージョンの前記地図データを記憶するマスタ地図データベースと、
前記ナビゲーション装置との間で、前記地図データに関する情報の送受信を行うデータ交換処理部と、
前記地図鮮度問合せ情報に基づき、前記マスタ地図データベースを用いて前記鮮度値を算出し、前記ナビゲーション装置に送信する地図鮮度算出部と、
前記局所更新単位の前記最新バーションの地図データを前記ナビゲーション装置に配信する地図更新サーバ処理部と、
を備えることを特徴とする地図情報更新システム。
【請求項2】
前記地図情報配信センタは、
前記地図データを更新するための操作命令である、削除命令、挿入命令および変更命令毎の更新前後の前記地図データの差異の大きさを示す重み値を記憶する重み管理情報データベースをさらに備え、
前記地図鮮度算出部は、前記重み管理情報データベースに記憶された前記操作命令毎の前記重み値を用いて前記鮮度値を算出すること
を特徴とする請求項1に記載の地図情報更新システム。
【請求項3】
前記ナビゲーション装置は、
前記アプリケーション処理部による前記地図データの使用状況に関する情報である重み更新情報を収集する重み更新情報収集部を備え、
前記地図情報配信センタは、
前記重み更新情報収集部から受信した前記重み更新情報に基づいて、前記重み値を更新する重み管理情報更新部を備えること
を特徴とする請求項2に記載の地図情報更新システム。
【請求項4】
前記重み管理情報更新部は、前記重み値を更新する際に、前記地図データの過去の使用状況を反映させる減衰係数を用いて前記重み値を計算すること
を特徴とする請求項3に記載の地図情報更新システム。
【請求項5】
前記地図鮮度情報提示部は、
前記地図鮮度情報を前記表示部に表示させるか否かを判断する前記所定の閾値を設定させるための鮮度閾値設定手段を備え、前記所定の閾値が可変されると、可変された閾値に応じて、前記局所更新単位の前記地図鮮度情報を表示させること
を特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の地図情報更新システム。
【請求項6】
前記地図鮮度情報提示部は、
前記衛星電波受信部で受信される電波により算出される前記現在位置の情報を取得し、自己のナビゲーション装置が前記地図鮮度データベースに記憶された前記局所更新単位に示される領域に入ったとき、前記地図鮮度情報を表示することを促す通知を前記表示部に表示させること
を特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の地図情報更新システム。
【請求項7】
前記ナビゲーション装置は、
自己のナビゲーション装置の走行状況を監視する走行状況監視部を備え、
前記地図鮮度情報提示部は、前記走行状況監視部が、前記ナビゲーション装置が移動中であるときに、前記所定の閾値を増加させ、前記地図鮮度情報の表示を減少させること
を特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の地図情報更新システム。
【請求項8】
前記ナビゲーション装置は、
前記データ交換処理部による前記局所更新単位の地図データの更新が、通信回線によるものか、あるいはブリッジメディアによるものかを監視するデータ交換処理監視部を備え、
前記地図鮮度情報提示部は、前記地図データの更新が、前記通信回線による場合は、前記所定の閾値を増加させ、前記地図鮮度情報の表示を減少させること
を特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の地図情報更新システム。
【請求項9】
ナビゲーション装置に地図データを局所区分毎の更新単位である局所更新単位毎に配信する地図情報配信センタと、前記地図情報配信センタから取得した前記局所更新単位毎の前記地図データを更新する前記ナビゲーション装置と、を備えた地図情報更新システムに用いられる地図情報更新方法であって、
前記ナビゲーション装置は、
目的地を設定するための入出力部と、前記ナビゲーション装置の現在位置から目的地までの誘導経路を表示する表示部と、衛星からの測位用の電波を受信する衛星電波受信部と、前記地図情報配信センタとの間で、前記地図データに関する情報の送受信を行うデータ交換処理部と、ルート探索、および目的地検索を行うアプリケーション処理部と、前記地図情報配信センタから配信される前記局所更新単位毎の地図データを記憶する地図データベースと、前記地図情報配信センタに記憶される最新バージョンの地図データと前記地図データベースに記憶される地図データとの差異の度合いである鮮度値を、前記局所更新単位毎の地図データとひも付けた地図鮮度情報を記憶する地図鮮度データベースと、を備え、
前記アプリケーション処理部により利用された前記地図データを地図鮮度確認対象として選定し、
前記選定した前記地図鮮度確認対象の前記鮮度値の問合せを行う地図鮮度問合せ情報を前記地図情報配信センタに送信し、
前記地図情報配信センタから受信した前記鮮度値を前記地図鮮度データベースに記憶し、
前記地図鮮度データベースに記憶された前記鮮度値のうち、所定の閾値以上の前記鮮度値を有する前記局所更新単位について、前記表示部に前記局所更新単位毎の前記地図鮮度情報を提示し、
前記提示された前記地図鮮度情報に基づいて選択された前記局所更新単位の前記最新バージョンの地図データを、前記地図情報配信センタから受信し、前記地図データベースに記憶される地図データを更新し、
前記地図情報配信センタは、
各バージョンの前記地図データを記憶するマスタ地図データベースと、前記ナビゲーション装置との間で、前記地図データに関する情報の送受信を行うデータ交換処理部と、を備え、
前記地図鮮度問合せ情報に基づき、前記マスタ地図データベースを用いて前記鮮度値を算出し、前記算出した鮮度値を前記ナビゲーション装置に送信し、
前記局所更新単位の前記最新バーションの地図データを前記ナビゲーション装置に配信すること、
を特徴とする地図情報更新方法。
【請求項10】
地図情報配信センタから局所区分毎の更新単位である局所更新単位毎の地図データを取得し、前記取得した地図データを用いて更新処理を行うナビゲーション装置であって、
目的地を設定するための入出力部と、
前記ナビゲーション装置の現在位置から目的地までの誘導経路を表示する表示部と、
衛星からの測位用の電波を受信する衛星電波受信部と、
前記地図情報配信センタとの間で、前記地図データに関する情報の送受信を行うデータ交換処理部と、
ルート探索、および目的地検索を行うアプリケーション処理部と、
前記地図情報配信センタから配信される前記局所更新単位毎の地図データを記憶する地図データベースと、
前記地図情報配信センタに記憶される最新バージョンの地図データと前記地図データベースに記憶される地図データとの差異の度合いである鮮度値を、前記局所更新単位毎の地図データとひも付けた地図鮮度情報を記憶する地図鮮度データベースと、
前記アプリケーション処理部により利用された前記地図データを地図鮮度確認対象として選定する鮮度確認対象選定部と、
前記鮮度確認対処選定部が選定した前記地図鮮度確認対象の前記鮮度値の問合せを行う地図鮮度問合せ情報を前記地図情報配信センタに送信する地図鮮度問合せ部と、
前記地図鮮度問合せ情報に基づき、前記地図情報配信センタに記憶される前記最新バージョンの地図データと前記地図データベースに記憶される地図データとの差異から前記地図情報配信センタが算出した前記鮮度値を前記地図鮮度データベースに記憶する地図鮮度DB管理部と、
前記地図鮮度データベースに記憶された前記鮮度値のうち、所定の閾値以上の前記鮮度値を有する前記局所更新単位について、前記表示部に前記局所更新単位毎の前記地図鮮度情報を提示させる地図鮮度情報提示部と、
前記地図鮮度情報提示部により提示された前記地図鮮度情報に基づいて選択された前記局所更新単位の前記最新バージョンの地図データを、前記地図情報配信センタから受信し、前記地図データベースに記憶される地図データを更新する地図更新部と
を備えることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項11】
ナビゲーション装置に地図データを局所区分毎の更新単位である局所更新単位毎に配信する地図情報配信センタであって、
各バージョンの前記地図データを記憶するマスタ地図データベースと、
前記ナビゲーション装置との間で、前記地図データに関する情報の送受信を行うデータ交換処理部と、
前記マスタ地図データベースを用いて、最新バージョンの地図データと前記ナビゲーション装置に記憶される地図データとの差異の度合いである鮮度値を算出し、前記ナビゲーション装置に送信する地図鮮度算出部と、
前記局所更新単位の前記最新バーションの地図データを前記ナビゲーション装置に配信する地図更新サーバ処理部と、
を備えることを特徴とする地図情報配信センタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−96557(P2010−96557A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−265907(P2008−265907)
【出願日】平成20年10月15日(2008.10.15)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】