説明

地図情報更新装置

【課題】 道路に沿って設置されたICチップから地図情報の更新に関する情報を受信し、この情報に基づいて最新の地図情報をホスト局から受信する地図情報更新装置を得る。
【解決手段】 道路に沿って設置されたICチップから更新する地図情報を示す地図更新予備情報を受信するICチップ情報受信手段9と、ホスト局から地図情報を受信する地図更新情報取得手段2と、地図更新情報取得手段2を制御して前記地図更新予備情報に対応する地図情報を受信させるCPU1と、地図情報記憶手段5に記憶されている地図情報を地図更新情報取得手段2の受信した地図情報に更新する地図情報更新手段4とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ホスト局から最新の地図情報を受信して自ら備える地図情報を更新する地図情報更新装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のナビゲーション装置はCD−ROMやDVD−ROM等の記憶媒体を用いた地図情報記憶手段を備え、これらの記憶媒体に記憶されている地図情報に基づいて現在位置等の表示や音声ガイドを行っている。地図情報を更新する場合は、ユーザに最新の地図情報が書き込まれたCD−ROMやDVD−ROM等を取得させ、当該装置に装備する記憶媒体を取り替えさせている。
また、このように記憶媒体を取り替えることによって地図情報を更新すると、地図情報の更新に相当なタイムラグが生じるため、通信機能を用いてホスト局から最新の地図情報を受信し、自ら備える地図情報記憶手段に記憶されている地図情報を更新するものがある。これは、ナビゲーション装置にホスト局とデータ通信を行う通信手段を備え、ナビゲーション装置がホスト局と定期的に通信を行って、ホスト局において最新の地図情報が用意されたとき、この地図情報をホスト局から送信させて自ら備える地図情報記憶手段に格納するものである。
【0003】
このナビゲーション装置は、通信手段として外部の携帯電話機と接続するモデムを備え、ナビゲーション装置のCPUがモデムを介して携帯電話機を制御し、ホスト局との回線接続及び切断、データの送受信等を行っている。また、CPUによって制御されるハードディスクを備え、このハードディスクに地図情報を格納している。ホスト局との接続は、例えば自動車のキーSWがOFF状態のときに1週間毎或いは1日毎に行い、更新された地図情報がホスト局にあるか否かを確認する。必要な地図情報が有ればその情報を転送させてハードディスクに記録している(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開平8−95488号公報(第3,4頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のナビゲーション装置は以上のように構成されているので、CD−ROMやDVDROMなどによらずホスト局から最新の地図情報を受信して更新する場合には、最新の地図情報が存在しないときでも定期的にホスト局と通信を行って何らかの処理動作を行うことから当該装置の処理負担が大きくなるという課題があった。
【0006】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、道路に沿って設置されたICチップから地図情報の更新に関する情報を受信し、この情報に基づいて最新の地図情報をホスト局から受信して、例えばナビゲーション装置に備えられている地図情報を更新する地図情報更新装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る地図情報更新装置は、道路に沿って設置されたICチップから更新する地図情報を示す地図更新予備情報を受信するICチップ情報受信手段と、ホスト局から地図情報を受信する地図更新情報取得手段と、地図更新情報取得手段を制御して地図更新予備情報に対応する地図情報を受信させる制御手段と、地図情報記憶手段に記憶されている地図情報を地図更新情報取得手段の受信した地図情報に更新する地図情報更新手段とを備えたものである。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、道路に沿って設置されたICチップから更新する地図情報を示す地図更新予備情報をICチップ情報受信手段が受信し、制御手段の制御により地図更新情報取得手段が地図更新予備情報に対応する地図情報をホスト局から受信し、地図情報記憶手段に記憶されている地図情報を更新するように構成したので、最新の地図情報を速やかに、また必要なときに取得して効率よく更新することができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、この発明の実施の一形態を説明する。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1による地図情報更新装置の構成を示すブロック図である。図示した装置は、例えばGPS信号等を用いて現在位置を検出する位置検出手段や地図画像の中に現在位置を表示する表示手段などを備えたナビゲーション装置として構成したものである。図2は、実施の形態1による地図情報更新装置を備えた車両が道路を走行する様子を表した説明図である。図1に示した地図情報更新装置は、図2の車両20に備えられる。この装置の動作を制御するCPU(制御手段)1は、地図更新情報取得手段2に接続される。地図更新情報取得手段2は、アンテナ3に接続され、例えば図2に示すようにホスト局21から無線通信データとして送信される地図情報を受信する。なお、この地図情報は地図の画像データ及び音声ガイドの音声データ等からなるものである。また、地図更新情報取得手段2は地図情報更新手段4にも接続され、受信した地図情報を地図情報更新手段4へ出力する。地図情報更新手段4は、地図情報記憶手段5に接続され、地図更新情報取得手段2から入力した地図情報を地図情報記憶手段5へ格納する。
【0010】
また、CPU1は、データ処理のワークエリアとして使用するRAM6、制御対象の地図情報出力手段7、ICチップ情報受信手段9、及び位置検出手段11に接続されている。地図情報出力手段7は、地図情報記憶手段5に接続され、地図情報記憶手段5に記憶されている地図情報を入力する。また地図情報出力手段7は、例えば液晶表示装置や音声再生装置等からなる表示手段8へ接続され、地図などの画像表示や音声ガイドなどの音声再生を行わせる。
ICチップ情報受信手段9は、アンテナ10に接続され、例えば図2に示すように道路22の路面の下方や縁石に埋設された、あるいは街路灯23に設置されたICチップ24から後述する地図更新予備情報を受信する。なお、ICチップ24は自ら記憶している地図更新予備情報を無線信号として送信する、例えばRFタグに備えられ、RFタグとして前述のように道路22の路面の下方の地中や縁石、また街路灯23などの道路周辺施設に設置される。
位置検出手段11は、現在位置を検出するもので、例えばGPSアンテナ12に接続され、複数のGPS衛星からそれぞれGPS信号を受信してこれらの信号から現在位置を示すデータを生成してCPU1へ出力するものである。
【0011】
次に動作について説明する。
図3は、実施の形態1による地図情報更新装置の動作を示すフローチャートである。
CPU1に制御された位置検出手段11は、GPSアンテナ12を用いて複数のGPS衛星からそれぞれGPS信号を受信し、各GPS信号の内容から現在位置を示すデータを演算によって求め、例えばナビゲーション装置を装備している車両20の現在位置を検出する(ステップST101)。
CPU1は、位置検出手段11に求めさせた現在位置を示すデータを地図情報出力手段7へ入力する。CPU1で制御された地図情報出力手段7は、現在位置を示すデータに対応する地域の地図情報を地図情報記憶手段5から読み出し、この読み出した地図情報と現在位置を示すデータとを用いて地図の画像の中に現在位置をポインタで指し示した画像データを生成し、画像データと、この画像データに対応する上記の地図情報に含まれている音声データとを表示手段8へ出力して画像表示や音声再生を行わせる。
【0012】
図4は、実施の形態1による地図情報更新装置の処理動作を示す説明図である。
CPU1は、例えば地図情報出力手段7によって生成されている画像データの各要素を監視し、図4に示したように地図に表されている道路から車両20の現在位置が外れているか否かを判断する(ステップST102)。この判断は、上記の現在位置を示すデータと地図情報に含まれている道路の位置を示すデータとを比較して行う。
地図に表されている道路から外れていないと判断した場合はステップST101の過程に戻り、CPU1は各手段の動作を制御して以降の過程を繰り返す。地図に表されている道路から外れていると判断した場合には、CPU1は、ICチップ情報受信手段9を制御して、例えば図2に示したように現在走行中の道路22に沿って設置されているICチップ24から地図更新予備情報を取得する(ステップST103)。このときCPU1に制御されたICチップ情報受信手段9は、アンテナ10を用いて、例えば所定の電波を走行中の道路22の縁石へ向けて放射し、縁石に埋設されているRFタグのICチップ24から地図更新予備情報を表す無線信号を読み出す。なお、ICチップ情報受信手段9は、ICチップ24を備えたRFタグが自ら電源等を備えて電波等の信号を送信するものである場合には、上記のように道路の縁石などへ所定の電波を放射せず、RFタグから送信されている無線信号を受信する。
【0013】
図5は、ICチップに記憶されている地図更新予備情報を示す説明図である。この図に例示した地図更新予備情報30は、ナビゲーション装置が使用する地図情報の更新に関する複数の情報からなるもので、ICチップ24の設置位置を例えば、緯度、経度等によって表した「位置」情報、ICチップ24を設置した地域を含んでいる地図情報の拠点を示す「ノード番号」情報、例えば他の地域の地図情報との関連を表した「リンク」情報、当該ICチップ24を設置した道路22を記載した地図情報を表す「バージョン」情報、この地図更新予備情報30をICチップ24に書き込んだ日時を示す「更新日付」情報などを含むものである。地図更新予備情報30は、地図情報記憶手段5に記憶されている地図情報を最新のものに更新する必要が生じた場合に、ホスト局21から送信させる最新の地図情報を指し示すものである。
CPU1は、ICチップ情報受信手段9から地図更新予備情報30を入力し、また位置検出手段11がGPS信号から求めた現在位置を示すデータを入力して、地図更新予備情報30と現在位置を示すデータとを比較照合し、その結果に応じて現在位置が新しい道路の位置か否かを判断する(ステップST104)。詳しくは、現在位置を示すデータと地図更新予備情報30に含まれている「位置」情報が整合するか否かを判断して、整合した場合は現在移動中の位置は新しい道路の位置であると断定し、整合しない場合には新しい道路の位置ではないと断定する。
【0014】
ステップST104において新しい道路の位置ではないと判断した場合、CPU1は自ら現在位置を示すデータを修正し、あるいは地図情報出力手段7を制御して現在位置を指すポインタの位置を道路へ重ねるように画像を修正させ(ステップST105)、ステップST101の過程へ戻って以降の過程を同様に処理する。
また、ステップST104において新しい道路の位置であると断定した場合、CPU1は地図更新情報取得手段2を制御してホスト局21と通信を開始させる(ステップST106)。地図更新情報取得手段2は、ホスト局21と例えば無線通信回線を介して通信経路を確立する。CPU1は、例えばICチップ情報受信手段9から入力した地図更新予備情報30に含まれている「ノード番号」情報や「バージョン」情報などを用いて更新を希望する地図情報を設定し、この地図情報を要求するコード等の信号を地図更新情報取得手段2を制御してホスト局21へ送信させ、ホスト局21から最新の地図情報を取得する(ステップST107)。なお、地図更新予備情報30に含まれている各情報に基づいてホスト局21へ要求する地図情報を設定する処理を、CPU1の制御に基づいて地図更新情報取得手段2において行い、所望の地図情報をホスト局21へ要求するように動作させてもよい。
【0015】
地図情報更新手段4は、地図更新情報取得手段2が受信した最新の地図情報を入力し、地図情報記憶手段5を制御して当該地図情報記憶手段5に格納されている地図情報を最新のものへ更新する(ステップST108)。
この後、地図情報出力手段7は、最新の地図情報を地図情報記憶手段5から読み出し、前述のようにCPU1の制御に基づいて、位置検出手段11から出力される現在位置を示すデータを用いて現在位置を示す画像を表示手段8に表示させ、また音声を出力させる。
【0016】
ここまで説明した地図情報更新装置の動作のうち、ステップST101,ST102,ST104,ST105の各過程を省略し、ステップST103の過程から動作して最新の地図情報を受信することもできる。この動作は、ICチップ情報受信手段9が常に道路に沿って設置されているICチップ24から地図更新予備情報30を受信する(ステップST103)。地図更新予備情報30を受信したとき、CPU1は、地図更新情報取得手段2を制御してホスト局21との通信を行い(ステップST106)、最新の地図情報を取得して(ステップST107)、地図情報記憶手段5へ記憶されている地図情報を最新のものへ更新する(ステップST108)。このように、地図情報に含まれている道路の位置と現在位置とを比較することなく、地図更新予備情報30を受信したとき最新の地図情報を取得するように動作してもよい。
【0017】
以上のように実施の形態1によれば、ICチップ情報受信手段9により道路に沿って設置されたICチップ24から位置情報、バージョン情報等からなる地図更新予備情報30を受信し、この地図更新予備情報30に基づいて地図更新情報取得手段2がホスト局21から最新の地図情報を受信するように構成したので、最新の地図情報を速やかに、また必要なときに取得して地図情報記憶手段5に記憶されている地図情報を効率よく更新することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】この発明の実施の形態1による地図情報更新装置の構成を示すブロック図である。
【図2】実施の形態1による地図情報更新装置を備えた車両が道路を走行する様子を表した説明図である。
【図3】実施の形態1による地図情報更新装置の動作を示すフローチャートである。
【図4】実施の形態1による地図情報更新装置の処理動作を示す説明図である。
【図5】ICチップに記憶されている地図更新予備情報を示す説明図である。
【符号の説明】
【0019】
1 CPU(制御手段)、2 地図更新情報取得手段、3 アンテナ、4 地図情報更新手段、5 地図情報記憶手段、6 RAM、7 地図情報出力手段、8 表示手段、9 ICチップ情報受信手段、10 アンテナ、11 位置検出手段、12 GPSアンテナ、20 車両、21 ホスト局、22 道路、23 街路灯、24 ICチップ、30 地図更新予備情報。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路に沿って設置されたICチップから更新する地図情報を示す地図更新予備情報を受信するICチップ情報受信手段と、
ホスト局から地図情報を受信する地図更新情報取得手段と、
前記地図更新情報取得手段を制御して前記地図更新予備情報に対応する地図情報を受信させる制御手段と、
地図情報記憶手段に記憶されている地図情報を前記地図更新情報取得手段の受信した地図情報に更新する地図情報更新手段とを備えた地図情報更新装置。
【請求項2】
制御手段は、位置検出手段により検出された現在位置が地図情報に含まれている道路の位置に存在しないときICチップ情報受信手段を制御して地図更新予備情報を受信させることを特徴とする請求項1記載の地図情報更新装置。
【請求項3】
制御手段は、位置検出手段により検出された現在位置と地図更新予備情報に含まれている位置情報とを比較して前記現在位置が新しい道路であると判断したとき、地図更新情報取得手段にホスト局から新しい道路の地図情報を受信させることを特徴とする請求項1または請求項2記載の地図情報更新装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−178358(P2006−178358A)
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−374129(P2004−374129)
【出願日】平成16年12月24日(2004.12.24)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】