説明

地図情報配信システム

【課題】ナビゲーション装置は、地図情報配信センタから配信された差分データに基づいて、地図更新を正確に行うことが可能な地図情報配信システムを提供する。
【解決手段】地図情報配信センタ3のCPU11は、各区画毎の各更新バージョンに対応する差分データを更新用地図情報17から読み出し、差分データとこの差分データに対応する一世代前のバージョンとからなる更新用差分データテーブル72を作成して、ナビゲーション装置2へ配信する(S111〜S114)。また、ナビゲーション装置2のCPU41は、バージョンとびがあると判定した場合には、この「一世代前のバージョン」を未更新バージョンとして、「区画ID」に対応させて不一致区画リストテーブル81に格納後、この不一致区画リストテーブル81にナビ識別IDを付して、地図情報配信センタ3へ送信し、未更新バージョンの差分データを要求する(S211〜S222)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図情報を更新するための更新情報を地図情報配信センタからナビゲーション装置に配信する地図情報配信システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、地図データを更新するための更新情報が、地図情報配信センタからナビゲーション装置に対して、DVD−ROMやHDDなどの記録媒体、又は携帯電話網等のネットワーク等を通じて配信される地図情報配信システムが種々提案されている。
例えば、ナビゲーション装置から地図情報配信センタへ地図情報を更新するための差分データを要求する場合に、当該ナビゲーション装置を識別するナビ識別IDと地図情報を更新するメッシュ番号とを送信する。また、当該地図情報配信センタは、ナビ識別IDに対応させてナビゲーション装置のメッシュ番号毎のバージョンを格納しており、受信したナビ識別IDとメッシュ番号から、そのメッシュについてナビゲーション装置が記憶している地図情報のバージョンと最新のバージョンとを比較して差分データがある場合には、この差分データをナビゲーション装置に送信するように構成した地図情報配信システムがある(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2004−125510号公報(段落(0032)〜(0040)、(0046)〜(0063)、図15〜図18、図20〜図29)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記した特許文献1に記載された地図情報配信システムでは、地図情報配信センタが記憶しているナビ識別IDに対応する地図情報のバージョンとナビゲーション装置が記憶している地図情報のバージョンとが一致しない場合には、ナビゲーション装置は、受信した差分データに基づいて地図更新を正確に行うことができないという問題がある。
【0004】
そこで、本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、ナビゲーション装置は、地図情報配信センタから配信された差分データに基づいて、地図更新を正確に行うことが可能な地図情報配信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するため請求項1に係る地図情報配信システムは、バージョン毎に地図情報を記憶するセンタ側地図情報記憶手段(14)と、ナビゲーション装置が記憶している地図情報の最終更新バージョンを記憶する更新履歴記憶手段(15)と、前記最終更新バージョンに基づいて、前記ナビゲーション装置が記憶している地図情報を更新するための差分データを前記センタ側地図情報記憶手段に記憶されるバージョン毎の地図情報から抽出する差分データ抽出手段(10)と、前記差分データと前記最終更新バージョンとを更新情報として前記ナビゲーション装置へ送信するセンタ側通信手段(16)と、を有する地図情報配信センタ(3)と、地図情報と該地図情報の現在バージョンを記憶するナビ側地図情報記憶手段(37)と、前記更新情報を受信するナビ側通信手段(27)と、前記ナビ側地図情報記憶手段に記憶される地図情報を前記更新情報に基づいて更新する地図情報更新手段(23)と、を有するナビゲーション装置(2)と、を備えた地図情報配信システム(1)において、前記ナビゲーション装置(2)は、前記最終更新バージョンと前記現在バージョンとが一致するか否かを判定するバージョン判定手段(23)と、前記最終更新バージョンと前記現在バージョンとが一致しないと判定された場合には、前記ナビ側通信手段を介して該現在バージョンを前記地図情報配信センタへ送信するように制御する送信制御手段(23)と、を有し、前記地図情報配信センタ(3)は、前記センタ側通信手段を介して受信した前記現在バージョンに基づいて前記更新履歴記憶手段に記憶される前記最終更新バージョンを更新するバージョン更新手段(10)を有することを特徴とする。
【0006】
また、請求項2に係る地図情報配信システムは、請求項1に記載の地図情報配信システム(1)において、前記送信制御手段(23)は、前記バージョン判定手段(23)を介して前記最終更新バージョンと前記現在バージョンとが所定回数以上一致しないと判定された場合に、前記現在バージョンを前記地図情報配信センタへ送信するように制御することを特徴とする。
【0007】
また、請求項3に係る地図情報配信システムは、請求項1又は請求項2に記載の地図情報配信システム(1)において、前記差分データ抽出手段(10)は、前記バージョン更新手段(10)を介して更新された前記最終更新バージョンに基づいて前記差分データを再抽出することを特徴とする。
【0008】
また、請求項4に係る地図情報配信システムは、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の地図情報配信システム(1)において、前記送信制御手段(23)は、前記現在バージョンを含む未更新バージョンのリストデータを前記地図情報配信センタへ送信するように制御することを特徴とする。
【0009】
更に、請求項5に係る地図情報配信システムは、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の地図情報配信システム(1)において、前記地図情報は、所定範囲のメッシュ単位で区画され、前記更新履歴記憶手段(15)は、前記メッシュ単位で前記最終更新バージョンを記憶し、前記差分データ抽出手段(10)は、前記メッシュ単位で差分データを抽出し、前記地図情報更新手段(23)は、前記メッシュ単位で前記地図情報を更新することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
前記構成を有する請求項1に係る地図情報配信システムでは、地図情報配信センタは、地図情報をバージョン毎に記憶し、また、ナビゲーション装置が記憶している地図情報の最終更新バージョンを記憶している。また、地図情報配信センタは、この記憶している最終更新バージョンに基づいて、ナビゲーション装置が記憶している地図情報を更新するための差分データをバージョン毎の地図情報から抽出する。そして、地図情報配信センタは、この抽出した差分データと最終更新バージョンとを更新情報としてナビゲーション装置へ送信する。
また、ナビゲーション装置は、地図情報と該地図情報の現在バージョンを記憶しており、差分データと最終更新バージョンとを更新情報として受信した場合には、この更新情報に基づいて地図情報を更新する。また、ナビゲーション装置は、更新情報として受信した最終更新バージョンと地図情報の現在バージョンとが一致しないと判定した場合には、該現在バージョンを地図情報配信センタへ送信する。
そして、地図情報配信センタは、現在バージョンを受信した場合には、この現在バージョンに基づいて、ナビゲーション装置が記憶している地図情報の最終更新バージョンを更新する。
【0011】
これにより、地図情報配信センタは、ナビゲーション装置が記憶している地図情報を最終更新バージョンから最新のバージョンの地図情報に更新するための差分データとともに該最終更新バージョンを更新情報としてナビゲーション装置へ配信することによって、地図情報配信センタが記憶する該ナビゲーション装置に記憶されている地図情報の最終更新バージョンを、差分データの配信と共にナビゲーション装置へ通知することが可能となる。
また、ナビゲーション装置は、地図情報配信センタから配信された更新情報に含まれる最終更新バージョンに基づいて、地図情報配信センタが記憶する該ナビゲーション装置に記憶されている地図情報の最終更新バージョンを特定することが可能となる。また、この特定した最終更新バージョンと該ナビゲーション装置が記憶する地図情報の現在バージョンとが一致しない場合には、ナビゲーション装置は、地図情報配信センタに現在バージョンを送信することによって、当該ナビゲーション装置が記憶している地図情報の現在バージョンを通知することが可能となる。
そして、地図情報配信センタは、現在バージョンを受信した場合には、この現在バージョンに基づいて、ナビゲーション装置が記憶している地図情報の最終更新バージョンを更新することによって、地図情報を正確に更新できる差分データを抽出して、ナビゲーション装置へ配信することが可能となる。
【0012】
また、請求項2に係る地図情報配信システムでは、ナビゲーション装置は、受信した差分データに付された最終更新バージョンと該ナビゲーション装置が記憶する地図情報の現在バージョンとが所定回数以上一致しないと判定した場合に、該現在バージョンを地図情報配信センタへ送信する。
これにより、最終更新バージョンと該ナビゲーション装置が記憶する地図情報の現在バージョンとが一致しない回数が所定回数に達するまでは、ナビゲーション装置は、現在バージョンを地図情報配信センタへ送信する必要がないため、通信コストの削減化を図ることが可能となる。
【0013】
また、請求項3に係る地図情報配信システムでは、地図情報配信センタは、更新された最終更新バージョンに基づいて差分データを再抽出して、該差分データと最終更新バージョンとを更新情報としてナビゲーション装置へ、再度配信することが可能となる。また、ナビゲーション装置は、この更新情報に基づいて、地図情報を最新バージョンの地図情報に正確に更新することが可能となる。
【0014】
また、請求項4に係る地図情報配信システムでは、ナビゲーション装置は、最終更新バージョンと現在バージョンとが一致しないと判定した場合には、現在バージョンを含む未更新バージョンのリストデータを地図情報配信センタへ送信する。これにより、地図情報配信センタは、この未更新バージョンに基づいて、ナビゲーション装置へ配信するバージョン毎の差分データを容易に再抽出することが可能となる。
【0015】
更に、請求項5に係る地図情報配信システムでは、地図情報配信センタは、地図情報を所定範囲のメッシュ単位で区画し、ナビゲーション装置に記憶される地図情報を該メッシュ単位で更新履歴記憶手段に最終更新バージョンを格納し、この最終更新バージョンと最新のバージョンの地図情報とのバージョン毎の差分データをメッシュ単位で抽出する。このため、地図情報配信センタは、ナビゲーション装置に記憶される地図情報の更新履歴をメッシュ単位で正確に管理することができる。
また、ナビゲーション装置は、このメッシュ単位で抽出された差分データに基づいて、この所定領域の地図情報をメッシュ単位で更新する。このため、ナビゲーション装置は、現在記憶している地図情報の現在バージョンをメッシュ単位で正確に管理することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明に係る地図情報配信システムについて具体化した実施例1及び実施例2に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。
【実施例1】
【0017】
先ず、実施例1に係る地図情報配信システム1の概略構成について図1乃至図6を用いて説明する。
図1は実施例1に係る地図情報配信システム1を示したブロック図である。図2は地図情報配信センタ3における道路種別の差分データを抽出するメッシュ単位の一例を示す図である。図3は地図情報配信センタ3における差分データ管理データベース18に格納されるバージョン管理テーブルの一例を示す図である。図4は地図情報配信センタ3におけるナビ更新履歴情報データベース15に格納される最終更新バージョン管理テーブルの一例を示す図である。図5は地図情報配信システム1のナビゲーション装置2を示したブロック図である。図6はナビゲーション装置2における更新情報記憶部39に格納される現在バージョン管理テーブルの一例を示す図である。
【0018】
図1に示すように実施例1に係る地図情報配信システム1は、ナビゲーション装置2と、ナビゲーション装置2に対して地図情報を更新する為の更新情報を配信する地図情報配信センタ3と、ネットワーク4とから基本的に構成されている。そして、ナビゲーション装置2と地図情報配信センタ3は、ネットワーク4を介して各種の情報の送受信が可能となるように構成されている。尚、ナビゲーション装置2の構成に関しては後に図5及び図6を用いて詳細に説明する。
【0019】
また、図1に示すように、地図情報配信センタ3は、サーバ10と、サーバ10に接続されたセンタ側地図情報データベース(センタ側地図情報DB)14と、ナビ更新履歴情報データベース(ナビ更新履歴情報DB)15と、センタ側通信装置16と、差分データ管理データベース(差分データ管理DB)18とを備えている。
また、サーバ10は、サーバ10の全体の制御を行う演算装置及び制御装置としてのCPU11、並びにCPU11が各種の演算処理を行うに当たってワーキングメモリとして使用されるRAM12、後述のようにナビゲーション装置2からの要求に基づいてナビゲーション装置2に記憶された地図情報の内、配信対象エリアの地図情報を新たなバージョンの地図情報に更新する為の更新情報をセンタ側地図情報DB14から抽出して、ナビゲーション装置2に対して配信するナビ地図情報更新処理等を行うための各種の制御プログラムが記録されたROM13等の内部記憶装置を備えている。尚、CPU11に代えてMPU等を使用することができる。
【0020】
また、センタ側地図情報DB14には、地図情報配信センタ3で作成され、ナビゲーション装置2に記憶された地図情報を更新する際の基本となる地図情報である更新用地図情報17がバージョン毎に区分されて記憶されている。更に、現在のナビゲーション装置2に記憶される地図情報の一部分(例えば、自車の現在位置又は予め登録されている自宅地点を中心とする80km四方の領域である。)又は全部を更新用地図情報17に記憶される最新のバージョンに更新する為の更新情報(以下、「差分データ」という。)についてもバージョン毎に区分されて記憶されている。
ここで、バージョンとは地図情報が作成された時期を特定する為の作成時期情報であり、バージョンを参照することによって地図情報が作成された時期を特定することが可能となっている。
【0021】
また、センタ側地図情報DB14に記憶された更新用地図情報17には、ナビゲーション装置2で経路案内及び地図表示を行うのに必要な各種情報が記録されており、例えば、地図を表示するための地図表示データ、各交差点に関する交差点データ、ノード点に関するノードデータ、施設の一種である道路(リンク)に関するリンクデータ、経路を探索するための探索データ、施設の一種である店舗等のPOI(Point of Interest)に関する店舗データ、地点を検索するための検索データ等から構成されている。
【0022】
ここで、特に地図表示データとしては、約10km×10kmで区画された2次メッシュをベースに4分割(長さ1/2)、16分割(1/4)、64分割(1/8)されたユニットで構成されており、各ユニットのデータ量が略同レベルになるように、各地のユニットが設定されている。最も小さい64分割サイズのユニットは、約1.25km四方の大きさである。
【0023】
また、図2に示すように、各道路種別の差分データは、上記約10km×10kmで区画された2次メッシュを16分割(1/4)する約2.5km四方のメッシュに区画された区画単位毎に、各区画を識別する区画番号(区画ID)(図2では16のエリアに対してA、B、C、D、E、F、G、H、・・・・)が設定され、高速自動車国道、都市高速道路、自動車専用道路、一般有料道路、1桁又は2桁の国道から構成される高規格道路区分と、3桁以上の国道、主要地方道、県道、市町村道から構成される一般道路区分と、細街路から構成される細街路区分の3つの配信道路区分に区分されて、それぞれバージョン毎に更新用地図情報17に格納されて管理されている。
尚、以下、高速自動車国道、都市高速道路、自動車専用道路、一般有料道路、1桁又は2桁の国道を高規格道路という。また、3桁以上の国道、主要地方道、県道、市町村道を一般道路という。また、一般道路よりも狭い街中等の街路を細街路という。
【0024】
また、差分データ管理DB18には、2次メッシュを16分割(1/4)する約2.5km四方の各区画単位毎に、第1世代のバージョン1から最新のバージョンに順次更新された各差分データのバージョンを管理するためのバージョン管理テーブル51が格納されている。
ここで、図3に示すように、バージョン管理テーブル51は、2次メッシュを16分割(1/4)する約2.5km四方の各区画を識別する「区画ID」毎に、この「区画ID」に対する差分データの第1世代の「バージョン1」から最新のバージョンに順次更新されたバージョンを表す「バージョン」と、各バージョンの一世代前のバージョンを表す「一世代前のバージョン」とから構成されている。
【0025】
例えば、「区画ID」が「1」の区画の順次更新された各差分データのバージョン履歴は、最初の差分データのバージョンは「バージョン1」で、「一世代前のバージョン」は無しを表す「−」である。また、次に更新された差分データのバージョンは「バージョン2」で、「一世代前のバージョン」は「バージョン1」である。また、この次に更新された差分データのバージョンは「バージョン4」で、「一世代前のバージョン」は「バージョン2」である。更に、最新の差分データのバージョンは「バージョン5」で、「一世代前のバージョン」は「バージョン4」である。
【0026】
一方、ナビ更新履歴情報DB15には、各ナビゲーション装置2に記憶されている地図情報について現在までに更新を行った更新履歴を管理するための最終更新バージョン管理テーブル52が格納されている。
ここで、図4に示すように、最終更新バージョン管理テーブル52は、ナビゲーション装置2を特定する「ナビ識別ID」毎に、約2.5km四方の各区画毎に付された「区画ID」に対して現在、ナビゲーション装置2に記憶されている地図情報のバージョン、即ち、最終更新バージョンを表す「現区画バージョン」が記憶されている。
【0027】
例えば、「ナビ識別ID」が「1001」のナビゲーション装置2が現在記憶している地図情報の「バージョン」は、「区画ID」が「1」のエリアに対して、地図データの最終更新バージョンを表す「現区画バージョン」は「バージョン4」であり、「区画ID」が「2」のエリアに対して、地図データの最終更新バージョンを表す「現区画バージョン」は「バージョン4」であり、「区画ID」が「3」のエリアに対して、地図データの最終更新バージョンを表す「現区画バージョン」は「バージョン1」となっている。
そして、後述のようにナビゲーション装置2の地図情報の更新を行う毎に、最終更新バージョン管理テーブル52には、更新した各「区画ID」毎に対応する最新の「現区画バージョン」が記憶されて、新たな更新履歴に書き換えられる(図11参照)。
【0028】
そして、地図情報配信センタ3は、ナビゲーション装置2からの要求があったタイミングで、センタ側地図情報DB14に格納された更新用地図情報17の内、最もバージョンの新しい更新用地図情報17によってナビゲーション装置2に記憶された地図情報の更新を行う。
具体的には、実施例1に係る地図情報配信システム1では、ナビゲーション装置2から所定領域内の更新用地図情報17の配信要求があった場合には、後述のように、最終更新バージョン管理テーブル52に格納される配信エリアの各区画毎の「現区画バージョン」から最もバージョンの新しい更新用地図情報17に更新するために、更新されたバージョン毎の差分データを抽出して、ナビゲーション装置2に対して配信することにより更新が行われる(図7参照)。ここで、ナビゲーション装置2に対して送信される差分データとしては、現在のナビゲーション装置2に記憶される地図情報から最もバージョンの新しい更新用地図情報17に更新する為の必要最小限の「道路区分」毎の差分データを送信する。
【0029】
尚、地図情報配信センタ3は、個人、企業、団体、地方自治体、政府関係機関等のいずれが運営していてもよく、VICS(登録商標)センタが運営していてもよい。
また、ネットワーク4としては、例えばLAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、イントラネット、携帯電話回線網、電話回線網、公衆通信回線網、専用通信回線網、インターネット等の通信回線網等の通信系を使用することができる。そして、放送衛星によるCS放送、BS放送、地上波ディジタルテレビ放送、FM多重放送等を利用する通信系を使用することもできる。更に、高度道路交通システム(ITS)において利用されるノンストップ自動料金支払いシステム(ETC)、狭域通信システム(DSRC)等の通信系を使用することもできる。
【0030】
次に、実施例1に係る地図情報配信システム1を構成するナビゲーション装置2の概略構成について図5及び図6を用いて説明する。
【0031】
図5に示すように、実施例1に係るナビゲーション装置2は、自車の現在位置を検出する現在地検出処理部21と、予め登録された自宅地点の座標位置(例えば、緯度と経度である。)や各種のデータが記録されたデータ記録部22と、入力された情報に基づいて、各種の演算処理を行うナビゲーション制御部23と、操作者からの操作を受け付ける操作部24と、操作者に対して地図等の情報を表示する液晶ディスプレイ25と、経路案内に関する音声ガイダンスを出力するスピーカ26と、道路交通情報センタ(VICS(登録商標))や地図情報配信センタ3等との間で携帯電話網等を介して通信を行う通信装置27とから構成されている。また、ナビゲーション制御部23には自車の走行速度を検出する車速センサ29が接続される。
【0032】
以下に、ナビゲーション装置2を構成する各構成要素について説明すると、現在地検出処理部21は、GPS31、方位センサ32、距離センサ33、高度計(図示せず)等からなり、現在の自車の位置、方位、目標物(例えば、交差点)までの距離等を検出することが可能となっている。
【0033】
具体的には、GPS31は、人工衛星によって発生させられた電波を受信することにより、地球上における自車の現在地及び現在時刻を検出する。また、方位センサ32は、地磁気センサやジャイロセンサ、或いは、ステアリングホイール(図示せず)の回転部に取り付けられた光学的な回転センサ、回転抵抗センサ、車輪に取り付けられた角度センサ等により構成され、自車方位を検出する。また、距離センサ33は、例えば、自車の車輪(図示せず)の回転速度を測定し、測定した回転速度に基づいて距離を検出するセンサ、加速度を測定し、測定した加速度を2回積分して距離を検出するセンサ等から構成され、自車の移動距離を検出する。
【0034】
また、データ記録部22は、外部記憶装置及び記憶媒体としてのハードディスク(図示せず)と、ハードディスクに記憶されたナビ側地図情報データベース(ナビ側地図情報DB)37及び所定のプログラム等を読み出すとともにハードディスクに所定のデータを書き込む為のドライバである記録ヘッド(図示せず)とを備えている。尚、実施例1においては、データ記録部22の外部記憶装置及び記憶媒体としてハードディスクが使用されるが、ハードディスクのほかに、フレキシブルディスク等の磁気ディスクを外部記憶装置として使用することができる。また、メモリーカード、磁気テープ、磁気ドラム、CD、MD、DVD、光ディスク、MO、ICカード、光カード等を外部記憶装置として使用することもできる。
【0035】
ここで、ナビ側地図情報DB37にはナビゲーション装置2の走行案内や経路探索に使用されるとともに地図情報配信センタ3による更新対象となるナビ地図情報38と、現在の地図情報のバージョンを管理するための更新情報記憶部39とが格納されている。
ここで、ナビ地図情報38は、更新用地図情報17と同様に経路案内及び地図表示に必要な各種情報から構成されている。例えば、各新設道路を特定するための新設道路情報、地図を表示するための地図表示データ、各交差点に関する交差点データ、ノード点に関するノードデータ、施設の一種である道路(リンク)に関するリンクデータ、経路を探索するための探索データ、施設の一種である店舗等のPOIに関する店舗データ、地点を検索するための検索データ等から構成されている。
そして、ナビ地図情報38の内容は、地図情報配信センタ3から通信装置27を介して配信された差分データやCD−ROM等の記録媒体に記録された更新用地図情報等の更新情報をダウンロードすることによって更新される。
【0036】
また、更新情報記憶部39には、上記約10km×10kmで区画された2次メッシュを16分割(1/4)する約2.5km四方のメッシュに区画された区画単位毎に、現在の地図情報のバージョンを管理するための現在バージョン管理テーブル61(図6参照)が格納されている。
ここで、図6に示すように、現在バージョン管理テーブル61は、2次メッシュを16分割(1/4)する約2.5km四方の各区画を識別する「区画ID」毎に、この「区画ID」に対する配信された差分データの各道路区分を表す「配信道路区分」と、各「配信道路区分」の現在のバージョンを表す「現在のバージョン」とから構成されている。
例えば、「区画ID」が「1」の区画に対して、「配信道路区分」が「高規格」、「一般」、「細街路」の各地図データの「現在のバージョン」は「バージョン1」である。
【0037】
また、図5に示すように、ナビゲーション装置2を構成するナビゲーション制御部23は、ナビゲーション装置2の全体の制御を行う演算装置及び制御装置としてのCPU41、並びにCPU41が各種の演算処理を行うに当たってワーキングメモリとして使用されるとともに、経路が探索されたときの経路データ等が記憶されるRAM42、制御用のプログラムのほか、後述のようにナビ地図情報38を更新する地図情報更新処理プログラム(図7、図9参照等)が記憶されたROM43、ROM43から読み出したプログラムを記憶するフラッシュメモリ44等の内部記憶装置を備えている。尚、前記RAM42、ROM43、フラッシュメモリ44等としては半導体メモリ、磁気コア等が使用される。そして、演算装置及び制御装置としては、CPU41に代えてMPU等を使用することも可能である。
【0038】
また、実施例1においては、前記ROM43に各種のプログラムが記憶され、前記データ記録部22に各種のデータが記憶されるようになっているが、プログラム、データ等を同じ外部記憶装置、メモリーカード等からプログラム、データ等を読み出して前記フラッシュメモリ44に書き込むこともできる。更に、メモリーカード等を交換することによって前記プログラム、データ等を更新することができる。
【0039】
次に、前記構成を有する地図情報配信システム1において、ナビゲーション装置2のCPU41及び地図情報配信センタ3のCPU11が実行する、ナビ側地図情報DB37のナビ地図情報38を更新するために実行するナビ地図情報更新処理について図7乃至図15に基づいて説明する。
図7は実施例1に係る地図情報配信システム1において、ナビゲーション装置2のCPU41及び地図情報配信センタ3のCPU11が実行する、ナビ側地図情報DB37のナビ地図情報38を更新するために実行するナビ地図情報更新処理を示すフローチャートである。尚、図7にフローチャートで示される各プログラムは、ナビゲーション装置2のROM43、地図情報配信センタ3のROM13に記憶されており、各CPU41、11により実行される。
【0040】
図7に示すように、先ず、ナビゲーション装置2のCPU41は、ステップ(以下、Sと略記する)11において、操作部24を介して地図情報の更新指示が入力された場合には、目的地が設定されていないときは、データ記録部22に予め登録されている自宅地点の座標データ(例えば、自宅地点の緯度と経度等である。以下、「登録自宅位置」という。)を読み出し、この登録自宅位置の座標データを地図情報配信センタ3に送信する座標データとしてRAM42に記憶する。そして、CPU41は、この登録自宅位置を表す座標データをRAM42から読み出し、当該ナビゲーション装置2を特定する「ナビ識別ID」(例えば、ナビ識別ID「1001」である。)とともに該座標データを地図情報配信センタ3に送信して、ナビ地図情報38を更新するための差分データの要求をする。
また、S11において、操作部24を介して目的地が設定されているときは、ナビゲーション装置2のCPU41は、当該目的地の座標データをRAM42に記憶する。そして、CPU41は、この目的地の座標データをRAM42から読み出し、当該ナビゲーション装置2を特定するナビ識別IDとともに該座標データを地図情報配信センタ3に送信して、ナビ地図情報38を更新するための差分データの要求をする。
【0041】
一方、図7に示すように、地図情報配信センタ3のCPU11は、S111において、センタ側通信装置16を介して、ナビゲーション装置2から送信されたナビ地図情報38を更新するための差分データの要求と共に、当該ナビゲーション装置2を特定するナビ識別IDとともに座標データを受信した場合には、該ナビ識別ID及び座標データをRAM12に記憶する。
そして、CPU11は、当該座標データを再度、RAM12から読み出し、座標データを中心とする所定領域(例えば、座標データを中心とする約80km四方の領域である。)を差分データを抽出する配信対象エリアとして設定する。例えば、登録自宅位置を中心とする所定領域が、差分データを抽出する配信対象エリアとして設定される。
【0042】
また、CPU11は、この配信対象エリア内の約2.5km四方のメッシュに区画された各区画の区画IDを更新用地図情報17に基づいて特定し、受信したナビ識別IDに対応するナビゲーション装置2に記憶されている地図情報の各区画の現在のバージョンをナビ更新履歴情報DB15に格納されている最終更新バージョン管理テーブル52から読み出し、RAM12に記憶する。
例えば、図4に示すように、ナビ識別IDが「1001」で各区画IDが「1、2、3、・・・」の場合には、CPU11は、ナビゲーション装置2に記憶されている地図情報の各区画の現在のバージョンを表す「現区画バージョン」の「4、4、1、・・・」を最終更新バージョン管理テーブル52から読み出し、RAM12に記憶する。
【0043】
続いて、S112において、CPU11は、上記S111で特定した配信対象エリア内の各区画毎に、ナビゲーション装置2に記憶されている地図情報の現在のバージョンと、差分データ管理DB18に格納されているバージョン管理テーブル51とから最新バージョンの地図情報に更新するための更新バージョンを抽出して更新バージョンデータテーブル71(図8参照)を作成して、RAM12に記憶する。
ここで、更新バージョンデータテーブル71について図8に基づいて説明する。図8は図3及び図4に対応して作成された更新バージョンデータテーブル71の一例を示す図である。
【0044】
図8に示すように、更新用バージョンデータテーブル71は、2次メッシュを16分割(1/4)する約2.5km四方の各区画を識別する「区画ID」毎に、この「区画ID」に対する「配信道路区分」毎の更新バージョンを表す「バージョン」と、各更新バージョンの一世代前のバージョンを表す「一世代前のバージョン」とから構成されている。
例えば、ナビ識別IDが「1001」で、上記S111で特定した各区画IDが「1、2、3、・・・」で、また、各区画の「現区画バージョン」が「4、4、1、・・・」の場合には、区画IDが「1」に対応する「配信道路区分」の「高規格」、「一般」、「細街路」の更新バージョンは、「バージョン5」で、一世代前のバージョンは「バージョン4」である。また、区画IDが「3」に対応する「配信道路区分」の「高規格」、「一般」、「細街路」の更新バージョンは、「バージョン3」と「バージョン5」で、それぞれの一世代前のバージョンは「バージョン1」と「バージョン3」である。
【0045】
そして、S113において、CPU11は、上記S112で特定した各区画毎の各更新バージョンに対応する各配信道路区分の差分データを更新用地図情報17から読み出し、更新用差分データテーブル72(図9参照)を作成してRAM12に記憶する。
ここで、更新用差分データテーブル72について図9に基づいて説明する。図9は図8に対応して作成された更新用差分データテーブル72の一例を示す図である。
【0046】
図9に示すように、更新用差分データテーブル72は、上記S112で特定した更新バージョンを表す「バージョン」毎に、各区画を識別する「区画ID」と、この「区画ID」に対する「配信道路区分」毎の一世代前のバージョンを表す「一世代前のバージョン」と、各更新バージョンに対応する配信道路区分毎の「差分データ」とから構成されている。
【0047】
例えば、更新バージョンが「バージョン3」の場合には、「区画ID」が「3」に対応する「配信道路区分」の「高規格」、「一般」、「細街路」の一世代前のバージョンは「バージョン1」であり、更新バージョンの高規格道路の差分データは「3C1」、一般道路の差分データは「3C2」、細街路の差分データは「3C3」である。また、更新バージョンが「バージョン5」の場合には、「区画ID」が「1」に対応する「配信道路区分」の「高規格」、「一般」、「細街路」の一世代前のバージョンは「バージョン4」であり、更新バージョンの高規格道路の差分データは「5A1」、一般道路の差分データは「5A2」、細街路の差分データは「5A3」である。
【0048】
続いて、S114において、CPU11は、S113で作成した更新用差分データテーブル72をRAM12から読み出し、ナビゲーション装置2へ送信する。
【0049】
また一方、図7に示すように、ナビゲーション装置2のCPU41は、S12において、通信装置27を介して、地図情報配信センタ3から更新用差分データテーブル72を受信した場合には、この更新用差分データテーブル72をRAM42に記憶する。
そして、S13において、CPU41は、受信した差分データに基づいてナビ地図情報38を更新する「地図更新処理」のサブ処理を実行する。
【0050】
ここで、CPU41が実行する「地図更新処理」のサブ処理について図10及び図11に基づいて説明する。
図10は図7の「地図更新処理」のサブ処理を示すサブフローチャートである。図11は図6及び図9に対応して作成された不一致区画リストテーブル81の一例を示す図である。尚、図10にフローチャートで示される各プログラムは、ナビゲーション装置2のROM43に記憶されており、CPU41により実行される。
【0051】
図10に示すように、先ず、S211において、CPU41は、RAM42から不一致区画リストが格納される不一致区画リストテーブル81(図11参照)を読み出し、この不一致区画リストテーブル81を初期化する。
ここで、図11に示すように、不一致区画リストテーブル81は、地図情報配信センタ3から受信した更新用差分データテーブル72の「区画ID」毎に、「一世代前のバージョン」とナビ地図情報38の現在のバージョンとが一致するために必要な未更新バージョンを表す「不一致バージョン」が格納されている。そして、CPU41は、この不一致区画リストテーブル81の「区画ID」と「不一致バージョン」とに格納されている各データを消去して、初期化する。
【0052】
続いて、S212において、CPU41は、先ず、更新用差分データテーブル72の最も古いバージョンを選択する。
また、S213において、CPU41は、上記S212で選択したバージョンの最も若い「区画ID」を特定する。
そして、S214において、CPU41は、当該「区画ID」に対応する区画の各「配信道路区分」毎の「一世代前のバージョン」と「差分データ」とを更新用差分データテーブル72から読み出し、RAM42に記憶する。
【0053】
続いて、S215において、CPU41は、更新情報記憶部39に格納される現在バージョンテーブル61から当該「区画ID」に対応する区画の各「配信道路区分」毎の「現在バージョン」のバージョンデータを読み出し、上記S214で更新用差分データテーブル72から読み出した当該「区画ID」に対応する区画の「一世代前のバージョン」と一致するか否かを判定する判定処理を実行する。
そして、現在バージョンテーブル61から読み出した当該「区画ID」に対応する区画の「現在バージョン」と、更新用差分データテーブル72から読み出した当該「区画ID」に対応する区画の「一世代前のバージョン」とが一致した場合には、CPU41は、S216の処理に移行する。S216において、CPU41は、ナビ地図情報38に格納される当該「区画ID」に対応する区画の地図情報を読み出し、更新用差分データテーブル72から読み出した当該「区画ID」に対応する区画の「差分データ」に基づいて更新し、再度、ナビ地図情報38に格納後、S219の処理に移行する。
【0054】
一方、現在バージョンテーブル61から読み出した当該「区画ID」に対応する区画の「現在バージョン」と、更新用差分データテーブル72から読み出した当該「区画ID」に対応する区画の「一世代前のバージョン」とが一致せず、且つ、この「一世代前のバージョン」が「現在バージョン」よりも古いバージョンの場合、即ち、既に更新済みのバージョンの場合には、CPU41は、S217の処理に移行する。S217において、CPU41は、ナビ地図情報38に格納される当該「区画ID」に対応する区画の地図情報を更新することなく、S219の処理に移行する。
【0055】
他方、現在バージョンテーブル61から読み出した当該「区画ID」に対応する区画の「現在バージョン」と、更新用差分データテーブル72から読み出した当該「区画ID」に対応する区画の「一世代前のバージョン」とが一致せず、且つ、この「一世代前のバージョン」が「現在バージョン」よりも新しいバージョンの場合、即ち、バージョンとびが発生した場合には、CPU41は、S218の処理に移行する。S218において、CPU41は、この「現在のバージョンから一世代前のバージョンまで」を未更新バージョンとして、当該「区画ID」に対応させて不一致区画リストテーブル81に格納後、S219の処理に移行する。
【0056】
続いて、S219において、CPU41は、更新用差分データテーブル72の当該「バージョン」に次の「区画ID」があるか否かを判定し、次の「区画ID」がある場合には、この次の「区画ID」について上記S214以降の処理を実行する。
一方、当該「バージョン」に次の「区画ID」がない場合には、CPU41は、このループを抜けて、S220の処理に移行する。
S220において、CPU41は、更新用差分データテーブル72に次の更新バージョンの「バージョン」があるか否かを判定し、次の「バージョン」がある場合には、この「バージョン」について上記S213以降の処理を実行する。
また一方、次の「バージョン」が無い場合、即ち、最新の更新バージョンの「バージョン」まで行った場合には、CPU41は、このループを抜けて、S221の処理に移行する。
【0057】
ここで、上記S218で不一致区画リストテーブル81に格納された未更新バージョンの一例を図11に基づいて説明する。
例えば、図6に示すように、現在バージョン管理テーブル61の「区画ID」が「1」及び「2」に対応する「現在バージョン」は「バージョン1」であり、図9に示すように、受信した更新用差分データテーブル72に格納されている当該区画ID「1」及び「2」に対応する更新バージョンが「バージョン5」で、その「一世代前のバージョン」が「バージョン4」の場合には、図11に示すように、CPU41は、不一致区画リストテーブル81の「区画ID」に当該区画ID「1」、「2」を格納し、それぞれの「不一致バージョン」に「バージョン1からバージョン4まで」を未更新バージョンとして格納後、RAM42に記憶する。
【0058】
続いて、図10に示すように、S221において、CPU41は、受信した更新用差分データテーブル72に対して未更新バージョンがあるか否か、即ち、不一致区画リストテーブル81の「区画ID」及び「不一致バージョン」にデータが格納されているか否かを判定する判定処理を実行する。そして、不一致区画リストテーブル81の「区画ID」及び「不一致バージョン」にデータが格納されていない場合には(S221:NO)、CPU41は、更新完了フラグをONに設定してRAM42に記憶後、当該サブ処理を終了して、メインフローチャートに戻り、S14の処理に移行する。
【0059】
一方、不一致区画リストテーブル81の「区画ID」及び「不一致バージョン」にデータが格納されている場合には(S221:YES)、CPU41は、S222の処理に移行する。S222において、CPU41は、この不一致区画リストテーブル81にナビ識別IDを付して、地図情報配信センタ3へ送信し、地図情報配信センタ3に対して未更新バージョンの差分データを要求する。そして、CPU41は、更新完了フラグをOFFに設定してRAM42に記憶後、当該サブ処理を終了して、メインフローチャートに戻り、S14の処理に移行する。
【0060】
続いて、図7に示すように、S14において、CPU41は、ナビ地図情報38の更新が完了したか否か、即ち、更新完了フラグをRAM42から再度、読み出し、この更新完了フラグがONか否かを判定する判定処理を実行する。そして、ナビ地図情報38の更新が完了していない場合、即ち、更新完了フラグがOFFの場合には(S14:NO)、CPU41は、再度、S12の処理に移行し、地図情報配信センタ3から配信される未更新バージョンの差分データテーブル91(図14参照)を受信後、S13の処理に移行する。そして、S13において、CPU41は、前回受信した更新用差分データテーブル72と今回受信した未更新バージョンの差分データテーブル91とに基づいて再度、S211〜S222の処理を実行する。
【0061】
一方、ナビ地図情報38の更新が完了した場合、即ち、更新完了フラグがONの場合には(S14:YES)、CPU41は、S15の処理に移行する。S15において、CPU41は、ナビ地図情報38の更新が完了した旨を表す更新完了通知とナビ識別IDとを地図情報配信センタ3へ送信する。また、CPU41は、更新情報記憶部39に格納される現在バージョン管理テーブル61の今回更新を完了した「区画ID」に対応する「現在バージョン」を最新のバージョンに変更して、再度、更新情報記憶部39に格納後、当該処理を終了する。
【0062】
ここで、現在バージョン管理テーブル61の今回更新を完了した「区画ID」に対応する「現在バージョン」を最新のバージョンに変更した一例を図12に基づいて説明する。図12は更新された現バージョン管理テーブル61の一例を示す図である。
図12に示すように、CPU41は、現バージョン管理テーブル61の「区画ID」が「1」、「2」、「3」の各区画に対して、「配信道路区分」が「高規格」、「一般」、「細街路」の各地図データの「現在のバージョン」を「バージョン5」に更新後、再度、更新情報記憶部39に格納する。
【0063】
他方、図7に示すように、地図情報配信センタ3のCPU11は、S115において、ナビゲーション装置2から送信された当該ナビゲーション装置2を特定するナビ識別IDと共に不一致区画リストテーブル81を受信したか否かを判定する判定処理を実行する。そして、ナビゲーション装置2を特定するナビ識別IDと共に不一致区画リストテーブル81を受信していない場合には(S115:NO)、CPU11は、S117の処理に移行する。
【0064】
一方、ナビゲーション装置2を特定するナビ識別IDと共に不一致区画リストテーブル81を受信した場合には(S115:YES)、CPU11は、S116の処理に移行する。S116において、CPU41は、このナビ識別IDで特定されるナビゲーション装置2へ未更新バージョンの差分データを配信する「不一致区画の差分データ配信処理」のサブ処理を実行する。
【0065】
ここで、CPU11が実行する「不一致区画の差分データ配信処理」のサブ処理について図13及び図14に基づいて説明する。
図13は図7の「不一致区画の差分データ配信処理」のサブ処理を示すサブフローチャートである。図14は図11に対応して作成された未更新バージョンの差分データテーブル91の一例を示す図である。尚、図13にフローチャートで示される各プログラムは、地図情報配信センタ3のROM13に記憶されており、CPU11により実行される。
【0066】
図13に示すように、先ず、S311において、CPU11は、受信したナビ識別IDと不一致区画リストテーブル81をRAM12に記憶する。
続いて、S312において、CPU11は、不一致区画リストテーブル81の最も若い「区画ID」を特定する。
そして、S313において、CPU11は、不一致区画リストテーブル81の当該「区画ID」に対応する「不一致バージョン」を読み込む。
【0067】
その後、S314において、CPU11は、この読み込んだ「不一致バージョン」のデータからナビゲーション装置2の更新情報記憶部39に格納されている現在バージョン管理テーブル61の当該「区画ID」に対応する「現在のバージョン」を抽出する。そして、CPU11は、受信したナビ識別IDをRAM12から読み出し、ナビ更新履歴情報DB15に格納されている最終更新バージョン管理テーブル52の当該ナビ識別ID及び「区画ID」に対応する「現区画バージョン」に、この抽出した「現在のバージョン」を格納して、「現区画バージョン」を修正して更新後、S315の処理に移行する。
【0068】
ここで、図4に示される最終更新バージョン管理テーブル52の「現区画バージョン」の修正例として、CPU11が、ナビ識別ID「1001」と図11に示す不一致区画リストテーブル81を受信した場合について説明する。
先ず、CPU11は、図11に示すように、不一致区画リストテーブル81の「区画ID」が「1」の「不一致バージョン」が「バージョン1の次からバージョン4まで」の場合には、ナビゲーション装置2の更新情報記憶部39に格納されている現在バージョン管理テーブル61の当該「区画ID」「1」に対応する「現在のバージョン」として「バージョン1」を抽出する。そして、CPU11は、図4に示されるナビ更新履歴情報DB15に格納されている最終更新バージョン管理テーブル52の当該「区画ID」に対応する「現区画バージョン」に「バージョン1」を格納し、「現区画バージョン」を「バージョン4」から「バージョン1」に修正して更新後、S315の処理に移行する。
【0069】
続いて、S315において、CPU11は、受信した不一致区画リストテーブル81に次の「区画ID」が格納されているか否かを判定し、次の「区画ID」がある場合には、この次の「区画ID」についてS313以降の処理を実行する。
一方、次の「区画ID」が無い場合には、CPU11は、このループを抜けて、S316の処理に移行する。
【0070】
S316において、CPU11は、不一致区画リストテーブル81の全「区画ID」に対し、各「不一致バージョン」に対応する未更新バージョンと、この各未更新バージョンに対する「一世代前のバージョン」とを、差分データ管理DB18に格納されるバージョン管理テーブル51から抽出し、RAM12に記憶する。そして、CPU11は、各区画毎の各更新バージョンに対応する各配信道路区分の差分データを更新用地図情報17から読み出し、この抽出した各未更新バージョン毎に、各区画を識別する「区画ID」と、この「区画ID」に対する「配信道路区分」毎の一世代前のバージョンを表す「一世代前のバージョン」と、各更新バージョンに対応する配信道路区分毎の「差分データ」とから構成される未更新バージョンの差分データテーブル91(図14参照)を作成してRAM12に記憶する。
【0071】
ここで、図11に示す不一致区画リストテーブル81とナビ識別ID「1001」を受信した場合に作成される未更新バージョンの差分データテーブル91の一例について図14に基づいて説明する。
先ず、不一致区画リストテーブル81「区画ID」が「1」で、「不一致バージョン」が「バージョン1の次からバージョン4まで」の場合には、CPU11は、図3に示すバージョン管理テーブル51から未更新バージョンとして「バージョン2」と「バージョン4」、「バージョン2」の一世代前のバージョンとして「バージョン1」、「バージョン4」の一世代前のバージョンとして「バージョン2」を抽出して、それぞれ当該「区画ID」が「1」の未更新バージョンとしてRAM12に記憶する。また、「区画ID」が「2」で、「不一致バージョン」が「バージョン1の次からバージョン4まで」の場合には、CPU11は、図3に示すバージョン管理テーブル51から未更新バージョンとして「バージョン3」と「バージョン4」、「バージョン3」の一世代前のバージョンとして「バージョン1」、「バージョン4」の一世代前のバージョンとして「バージョン3」を抽出して、それぞれ当該「区画ID」が「2」の未更新バージョンとしてRAM12に記憶する。
【0072】
そして、CPU11は、各区画ID「1」、「2」に対応する各未更新バージョンに対応する各配信道路区分の差分データを更新用地図情報17から読み出し、未更新バージョンの差分データテーブル91を作成してRAM12に記憶する。
図14に示すように、未更新バージョンの差分データテーブル91は、未更新バージョンの「バージョン2」、「バージョン3」、「バージョン4」毎に、各区画を識別する「区画ID」と、この「区画ID」に対する「配信道路区分」毎の一世代前のバージョンを表す「一世代前のバージョン」と、各更新バージョンに対応する配信道路区分毎の「差分データ」とから構成されている。
【0073】
例えば、未更新バージョンが「バージョン2」の場合には、「区画ID」が「1」に対応する「配信道路区分」の「高規格」、「一般」、「細街路」の一世代前のバージョンは「バージョン1」であり、更新バージョンが「バージョン2」の高規格道路の差分データは「2A1」、一般道路の差分データは「2A2」、細街路の差分データは「2A3」である。
【0074】
そして、S317において、CPU11は、S316で作成した未更新バージョンの差分データテーブル91をRAM12から読み出し、ナビゲーション装置2へ配信後、当該サブ処理を終了して、メインフローチャートに戻り、S117の処理に移行する。
【0075】
続いて、図7に示すように、S117において、CPU11は、ナビ識別IDと更新完了通知とを受信したか否か、即ち、上記S114で差分データを送信したナビゲーション装置2のナビ地図情報38の更新が完了したか否かを判定する判定処理を実行する。そして、ナビ識別IDと更新完了通知とを受信していない場合には(S117:NO)、CPU11は、再度S115以降の処理を実行する。
【0076】
一方、ナビ識別IDと更新完了通知とを受信した場合には(S117:YES)、CPU11は、S118の処理に移行する。S118において、CPU11は、ナビ更新履歴情報DB15に格納される最終更新バージョン管理テーブル52と、上記S112で作成した更新バージョンデータテーブル71とを読み出し、この最終更新バージョン管理テーブル52の受信したナビ識別IDに対応する各「区画ID」のうち、更新バージョンデータテーブル71の各「区画ID」に対応する「現区画バージョン」に当該更新バージョンデータテーブル71の各「区画ID」に対応する「バージョン」のうち最新のバージョンを格納して、当該最終更新バージョン管理テーブル52を更新後、当該処理を終了する。
【0077】
ここで、最終更新バージョン管理テーブル52の「現在区画バージョン」を最新のバージョンに更新した一例を図15に基づいて説明する。図15は更新された最終更新バージョン管理テーブル52の一例を示す図である。
例えば、CPU11は、ナビ更新履歴情報DB15から図4に示される最終更新バージョン管理テーブル52を読み出す。また、CPU11は、RAM12から図8に示される更新バージョンデータテーブル71を読み出す。そして、受信したナビ識別IDが「1001」の場合には、CPU11は、この更新バージョンデータテーブル71から各区画ID「1」、「2」、「3」等に対するそれぞれの「バージョン」から最新の「バージョン5」を読み出す。
そして、図15に示すように、最終更新バージョン管理テーブル52のナビ識別ID「1001」に対応する各区画ID「1」、「2」、「3」等に対応する「現区画バージョン」にこの最新の「バージョン5」を格納して、当該最終更新バージョン管理テーブル52を再度、ナビ更新履歴情報DB15に格納して、更新する。
【0078】
以上詳細に説明した通り、実施例1に係る地図情報配信システム1では、地図情報配信センタ3のCPU11は、ナビゲーション装置2からナビ地図情報38を更新するための差分データの要求を受信した場合には、最終更新バージョン管理テーブル52に格納されている当該ナビゲーション装置2の配信対象エリアの各区画に対応する現区画バージョン(最終更新バージョン)を読み出す。そして、CPU11は、該現区画バージョンに基づいてバージョン管理テーブル51から最新バージョンの地図情報に更新するための更新バージョンを抽出して更新バージョンデータテーブル71(図8参照)を作成して、RAM12に記憶する。続いて、CPU11は、各区画毎の各更新バージョンに対応する各配信道路区分の差分データを更新用地図情報17から読み出し、差分データとこの差分データに対応する一世代前のバージョン(最終更新バージョン)とからなる更新用差分データテーブル72(図9参照)を作成して、ナビゲーション装置2へ配信する(S111〜S114)。
【0079】
また、ナビゲーション装置2のCPU41は、更新用差分データテーブル72を受信した場合には、この更新用差分データテーブル72に基づいてナビ地図情報38を更新する。また、CPU41は、この受信した更新用差分データテーブル72の各区画ID毎の一世代前のバージョンと更新情報記憶部39に格納されている現在バージョン管理テーブル61(図6参照)の各区画ID毎の現在のバージョンとが一致せず、且つ、この「一世代前のバージョン」が「現在バージョン」よりも新しいバージョンであると判定した場合、即ち、バージョンとびがあると判定した場合には、この「一世代前のバージョン」を未更新バージョンとして、当該「区画ID」に対応させて不一致区画リストテーブル81に格納後、この不一致区画リストテーブル81にナビ識別IDを付して、地図情報配信センタ3へ送信し、地図情報配信センタ3に対して未更新バージョンの差分データを要求する(S211〜S222)。
【0080】
そして、地図情報配信センタ3のCPU11は、この不一致区画リストテーブル81とナビ識別IDを受信した場合には、不一致区画リストテーブル81から各区画ID「区画ID」に対応する現在のバージョンを抽出して、この現在バージョンに基づいてナビ更新履歴情報DB15に格納されている最終更新バージョン管理テーブル52を修正して更新する。続いて、CPU11は、この更新された最終更新バージョン管理テーブル52に基づいて未更新バージョンの差分データテーブル91(図14参照)を作成してナビゲーション装置2へ送信する。
また、ナビゲーション装置2のCPU41は、前回受信した更新用差分データテーブル72と今回受信した未更新バージョンの差分データテーブル91とに基づいて再度、S211〜S222の処理を実行してナビ地図情報38を更新する(S12〜S15)。
【0081】
これにより、地図情報配信センタ3のCPU11は、ナビゲーション装置2が記憶しているナビ地図情報38を最終更新バージョン管理テーブル52に格納される現区画バージョン(最終更新バージョン)から最新のバージョンの地図情報に更新するための差分データとともに該現区画バージョン(最終更新バージョン)を一世代前のバージョンとしてナビゲーション装置2へ配信することによって、ナビ更新履歴情報DB15に格納される最終更新バージョン管理テーブル52に記憶されている該ナビゲーション装置2のナビ地図情報38の最終更新バージョンを、差分データの配信と共にナビゲーション装置2へ通知することが可能となる。
【0082】
また、ナビゲーション装置2のCPU41は、地図情報配信センタ3から配信された更新用差分データテーブル72に含まれる一世代前のバージョン(最終更新バージョン)に基づいて、地図情報配信センタ3のナビ更新履歴情報DB15に格納される最終更新バージョン管理テーブル52に記憶されている該ナビゲーション装置2のナビ地図情報38の最終更新バージョンを特定することが可能となる。また、この特定した最終更新バージョンと現在バージョン管理テーブル61に格納される該ナビ地図情報38の各区画ID毎の現在のバージョンとが一致しない場合には、ナビゲーション装置2のCPU41は、地図情報配信センタ3へ不一致区画リストテーブル81を送信することによって、当該ナビゲーション装置2が記憶しているナビ地図情報38の各区画ID毎の現在のバージョンを通知することが可能となる。
【0083】
そして、地図情報配信センタ3のCPU11は、ナビゲーション装置2から現在のバージョンを含む未更新バージョンの不一致区画リストテーブル81を受信した場合には、この不一致区画リストテーブル81に基づいて、ナビ更新履歴情報DB15に格納される最終更新バージョン管理テーブル52の現区画バージョン(最終更新バージョン)を更新した後、この更新された最終更新バージョン管理テーブル52に基づいて未更新バージョンの正確な差分データを抽出して、ナビゲーション装置2へ再度配信することが可能となる。また、ナビゲーション装置2のCPU41は、この未更新バージョンの差分データに基づいて、ナビ地図情報38を最新バージョンの地図情報に正確に更新することが可能となる。
【0084】
また、地図情報配信センタ3のCPU11は、ナビゲーション装置2を特定する「ナビ識別ID」毎に、約2.5km四方の各区画毎に付された「区画ID」に対して現在、ナビゲーション装置2に記憶されている地図情報のバージョンを表す「現区画バージョン」(最終更新バージョン)が格納される最終更新バージョン管理テーブル52をナビ更新履歴情報DB15に格納する。このため、地図情報配信センタ3のCPU11は、ナビゲーション装置2のナビ地図情報38の更新履歴を約2.5km四方のメッシュに区画された各区画単位で正確に管理することができる。
【0085】
また、ナビゲーション装置2のCPU41は、この約2.5km四方のメッシュに区画された各区画単位で抽出された差分データに基づいて、この配信エリア内の地図情報を各区画単位で更新する。このため、ナビゲーション装置2のCPU41は、現在記憶しているナビ地図情報38の現在のバージョンを約2.5km四方のメッシュに区画された各区画単位で現在バージョン管理テーブル61に格納して、正確に管理することが可能となる。
【実施例2】
【0086】
次に、実施例2に係る地図情報配信システム100において、ナビゲーション装置2のCPU41が実行する「地図更新処理」のサブ処理について図16に基づいて説明する。図16は実施例2に係る地図情報配信システム100のナビゲーション装置2のCPU41が実行する「地図更新処理」のサブ処理を示すサブフローチャートである。
尚、以下の説明において上記図1乃至図15の実施例1に係る地図情報配信システム1の構成と同一符号は、前記実施例1に係る地図情報配信システム1の構成と同一あるいは相当部分を示すものである。
【0087】
この実施例2に係る地図情報配信システム100の概略構成は、実施例1に係る地図情報配信システム1とほぼ同じ構成である。また、各種制御処理も実施例1に係る地図情報配信システム1とほぼ同じ制御処理である。
但し、図16に示すように、実施例2に係る地図情報配信システム100では、ナビゲーション装置2のCPU41は、現在バージョンテーブル61から読み出した当該「区画ID」に対応する区画の「現在バージョン」と、更新用差分データテーブル72から読み出した当該「区画ID」に対応する区画の「一世代前のバージョン」とが一致せず、且つ、この「一世代前のバージョン」が「現在バージョン」よりも新しいバージョンの場合、即ち、バージョンとびが発生した場合に実行する処理が、前記実施例1に係る地図情報配信システム1を構成するナビゲーション装置2と異なっている。
【0088】
図16に示すように、S411乃至S415において、ナビゲーション装置2のCPU41は、上記S211乃至S215の処理を実行する。
そして、現在バージョンテーブル61から読み出した当該「区画ID」に対応する区画の「現在バージョン」と、更新用差分データテーブル72から読み出した当該「区画ID」に対応する区画の「一世代前のバージョン」とが一致した場合には、CPU41は、S416の処理に移行して、上記S216の処理を実行する。
一方、現在バージョンテーブル61から読み出した当該「区画ID」に対応する区画の「現在バージョン」と、更新用差分データテーブル72から読み出した当該「区画ID」に対応する区画の「一世代前のバージョン」とが一致せず、且つ、この「一世代前のバージョン」が「現在バージョン」よりも古いバージョンの場合、即ち、既に更新済みのバージョンの場合には、CPU41は、S417の処理に移行して、上記S217の処理を実行する。
【0089】
他方、現在バージョンテーブル61から読み出した当該「区画ID」に対応する区画の「現在バージョン」と、更新用差分データテーブル72から読み出した当該「区画ID」に対応する区画の「一世代前のバージョン」とが一致せず、且つ、この「一世代前のバージョン」が「現在バージョン」よりも新しいバージョンの場合、即ち、バージョンとびが発生した場合には、CPU41は、S418の処理に移行する。
S418において、CPU41は、RAM42からバージョンとびが発生した回数をカウントするカウント代数Nを読み出し、このカウント代数Nに「1」加算して、再度RAM42に記憶する。
尚、このカウント代数Nは、S411において、初期化され、即ち「0」が代入されて、RAM42に記憶される。
【0090】
続いて、S419において、CPU41は、RAM42からカウント代数Nを再度、読み出し、このカウント代数Nが所定回数A(例えば、5回〜10回である。)より大きいか否か、即ち、バージョンとびが発生した区画の個数が所定回数A(所定個数A)を超えたか否かを判定する判定処理を実行する。そして、このカウント代数Nが所定回数A以下の場合には(S419:NO)、CPU41は、S421の処理に移行する。
一方、このカウント代数Nが所定回数Aより大きい場合には(S419:YES)、CPU41は、S420の処理に移行して、上記S218の処理を実行後、S421の処理に移行する。
そして、S421乃至S424において、CPU41は、上記S219乃至S222の処理を実行後、当該サブ処理を終了して、メインフローチャートに戻り、S14の処理に移行する。
【0091】
以上詳細に説明した通り、実施例2に係る地図情報配信システム100では、ナビゲーション装置2のCPU41は、現在バージョンテーブル61から読み出した当該「区画ID」に対応する区画の「現在バージョン」と、更新用差分データテーブル72から読み出した当該「区画ID」に対応する区画の「一世代前のバージョン」とが一致せず、バージョンとびが発生した回数をカウントし、この回数が所定回数Aを超えた場合に(S419YES)、S418において、不一致区画リストテーブル81(図11参照)を作成する。そして、S424において、CPU41は、この不一致区画リストテーブル81にナビ識別IDを付して、地図情報配信センタ3へ送信し、地図情報配信センタ3に対して未更新バージョンの差分データを要求する。
【0092】
これにより、現在バージョンテーブル61から読み出した当該「区画ID」に対応する区画の「現在バージョン」と、更新用差分データテーブル72から読み出した当該「区画ID」に対応する区画の「一世代前のバージョン」とが一致しない回数、即ち、カウント代数Nが所定回数Aを超えるまでは、ナビゲーション装置2のCPU41は、不一致区画リストテーブル81を作成して地図情報配信センタ3へ送信する必要がないため、通信コストの削減化を図ることが可能となる。
【0093】
尚、本発明は前記実施例1及び実施例2に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。例えば、以下のようにしてもよい。
【0094】
前記実施例1及び実施例2では、不一致区画リストテーブル81の「不一致バージョン」に各区画IDに対応する「「現在のバージョン」から「一世代前のバージョン」まで」」というデータ(例えば、「バージョン1からバージョン4まで」というデータである。)を格納したが、以下のようにしてもよい。この「不一致バージョン」に各区画IDに対応する「現在のバージョン」というデータのみ(例えば、現在のバージョンが「バージョン1」の場合には、「バージョン1」というデータである。)を格納するようにしてもよい。
これにより、地図情報配信センタ3のCPU11は、各区画IDに対応する未更新バージョンを差分データ管理DB18に格納されるバージョン管理テーブル51に基づいて、「現在のバージョン」から「一世代前のバージョン」まで(例えば、「バージョン1からバージョン4まで」である。)の間にあると容易に判断して、当該各区画IDに対応する未更新バージョンを容易に特定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】実施例1に係る地図情報配信システムを示したブロック図である。
【図2】地図情報配信センタにおける道路種別の差分データを抽出するメッシュ単位の一例を示す図である。
【図3】地図情報配信センタにおける差分データ管理DBに格納されるバージョン管理テーブルの一例を示す図である。
【図4】地図情報配信センタにおけるナビ更新履歴情報DBに格納される最終更新バージョン管理テーブルの一例を示す図である。
【図5】地図情報配信システムのナビゲーション装置を示したブロック図である。
【図6】ナビゲーション装置における更新情報記憶部に格納される現在バージョン管理テーブルの一例を示す図である。
【図7】地図情報配信システムにおいて、ナビ側地図情報DBのナビ地図情報を更新するために実行するナビ地図情報更新処理を示すフローチャートである。
【図8】図3及び図4に対応して作成された更新バージョンデータテーブルの一例を示す図である。
【図9】図8に対応して作成された更新用差分データテーブルの一例を示す図である。
【図10】図7の「地図更新処理」のサブ処理を示すサブフローチャートである。
【図11】図6及び図9に対応して作成された不一致区画リストテーブルの一例を示す図である。
【図12】更新された現バージョン管理テーブルの一例を示す図である。
【図13】図7の「不一致区画の差分データ配信処理」のサブ処理を示すサブフローチャートである。
【図14】図11に対応して作成された未更新バージョンの差分データテーブルの一例を示す図である。
【図15】更新された最終更新バージョン管理テーブルの一例を示す図である。
【図16】実施例2に係る地図情報配信システムのナビゲーション装置のCPUが実行する「地図更新処理」のサブ処理を示すサブフローチャートである。
【符号の説明】
【0096】
1 地図情報配信システム
2 ナビゲーション装置
3 地図情報配信センタ
4 ネットワーク
10 サーバ
11、41 CPU
12、42 RAM
13、43 ROM
14 センタ側地図情報DB
15 ナビ更新履歴情報DB
16 センタ側通信装置
17 更新用地図情報
18 差分データ管理DB
22 データ記録部
23 ナビゲーション制御部
27 通信装置
37 ナビ側地図情報DB
38 ナビ地図情報
39 更新情報記憶部
51 バージョン管理テーブル
52 最終更新バージョン管理テーブル
61 現在バージョン管理テーブル
71 更新バージョンデータテーブル
72 更新用差分データテーブル
81 不一致区画リストテーブル
91 未更新バージョンの差分データテーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バージョン毎に地図情報を記憶するセンタ側地図情報記憶手段と、
ナビゲーション装置が記憶している地図情報の最終更新バージョンを記憶する更新履歴記憶手段と、
前記最終更新バージョンに基づいて、前記ナビゲーション装置が記憶している地図情報を更新するための差分データを前記センタ側地図情報記憶手段に記憶されるバージョン毎の地図情報から抽出する差分データ抽出手段と、
前記差分データと前記最終更新バージョンとを更新情報として前記ナビゲーション装置へ送信するセンタ側通信手段と、
を有する地図情報配信センタと、
地図情報と該地図情報の現在バージョンを記憶するナビ側地図情報記憶手段と、
前記更新情報を受信するナビ側通信手段と、
前記ナビ側地図情報記憶手段に記憶される地図情報を前記更新情報に基づいて更新する地図情報更新手段と、
を有するナビゲーション装置と、
を備えた地図情報配信システムにおいて、
前記ナビゲーション装置は、前記最終更新バージョンと前記現在バージョンとが一致するか否かを判定するバージョン判定手段と、
前記最終更新バージョンと前記現在バージョンとが一致しないと判定された場合には、前記ナビ側通信手段を介して該現在バージョンを前記地図情報配信センタへ送信するように制御する送信制御手段と、
を有し、
前記地図情報配信センタは、前記センタ側通信手段を介して受信した前記現在バージョンに基づいて前記更新履歴記憶手段に記憶される前記最終更新バージョンを更新するバージョン更新手段を有することを特徴とする地図情報配信システム。
【請求項2】
前記送信制御手段は、前記バージョン判定手段を介して前記最終更新バージョンと前記現在バージョンとが所定回数以上一致しないと判定された場合に、前記現在バージョンを前記地図情報配信センタへ送信するように制御することを特徴とする請求項1に記載の地図情報配信システム。
【請求項3】
前記差分データ抽出手段は、前記バージョン更新手段を介して更新された前記最終更新バージョンに基づいて前記差分データを再抽出することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の地図情報配信システム。
【請求項4】
前記送信制御手段は、前記現在バージョンを含む未更新バージョンのリストデータを前記地図情報配信センタへ送信するように制御することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の地図情報配信システム。
【請求項5】
前記地図情報は、所定範囲のメッシュ単位で区画され、
前記更新履歴記憶手段は、前記メッシュ単位で前記最終更新バージョンを記憶し、
前記差分データ抽出手段は、前記メッシュ単位で差分データを抽出し、
前記地図情報更新手段は、前記メッシュ単位で前記地図情報を更新することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の地図情報配信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2008−185416(P2008−185416A)
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−18267(P2007−18267)
【出願日】平成19年1月29日(2007.1.29)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】