説明

地図情報配信方法および地図情報配信装置

【課題】一部区画を選択して地図データを更新する際、地図フォーマット上の整合性を保つと共に、地図情報の意味上の整合性を考慮して地図更新する。
【解決手段】ナビゲーション装置が地図センタに対して更新要求エリアを指定し、地図センタでは基点更新原子収集部により更新要求エリアに紐付けられた、地図のフォーマット上の整合性を保つ更新データを特定し、関連更新原子収集部により、特定された更新データと地図データフォーマット上の参照関係は無いが意味的に関連する更新データを特定し、これらの更新データを車載機へ配信する。更新データに意味的な関連があるか否かの判定は、異なる更新データが、名称に関する同一のテキスト情報を共通して含むか、予め関連が定義された道路リンクを共通して含むか、予め関連が定義された施設カテゴリを共通して含むかを確認することにより判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図更新データの配信技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両の現在位置を地図上に表示したり、目的地までの経路情報を探索して運転者に案内するナビゲーション装置が普及してきている。このような現在位置の表示や経路探索,経路案内を行うために、ナビゲーション装置は地図が示す領域の広さに応じて区画分けされた地図データを備えている。
【0003】
こうした地図データは、DVD(Digital Versatile Disc)やハードディスク(HDD:Hard Disk Drive)等の記録媒体,記録装置により入手されるほか、最近では通信回線を介してハードディスクにダウンロードする形でも入手される。しかし、実際の道路網は新たな道路の開通,閉鎖等により絶えず変化し、POI情報(施設情報:Point of Interest)もまた変化している。したがって、一旦入手した地図データもそのような最新の道路事情を反映させるために、更新対象とする区画をユーザが選択して必要な地図要素のデータだけを差分更新することが可能となっている。
【0004】
ところで地図を差分更新する際、ユーザが選択した区画の地図要素のみを更新すると地図の不整合が発生する可能性がある。例えば、変更があった道路が選択した区画の外まで続いている場合、選択した区画のみを更新すると、選択されなかった区画との境界で道路が途切れてしまう。この問題を解決する方法として、特開2008−89852号公報には、隣接する地図区画を関連付けておき、一方を更新して整合性が崩れるならば他方も更新して整合性を保つ様にする技術が開示されている。
【0005】
また、特開2006−317643号公報には、差分更新で地図データが矛盾しないように、参照関係があるデータについて、一部を更新して整合性が崩れるならば他も更新して整合性を保つ様にしている。即ち整合性を保つための一連の更新操作をトランザクションとして纏める技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−89852号公報
【特許文献2】特開2006−317643号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1および特許文献2に記載された技術は、互いの地図データ同士が関連付けられているような参照関係がある地図データに注目し、その整合性を保つことで、地図データのフォーマット上の整合性を保つ事ができる。しかしながら、実際の地図データでは、データ間に直接的な参照関係が無い場合でもそれらデータが意味的な関連性を持つ事があり、従来技術は、この様な参照関係は無いが意味的に関連するデータ間の整合性を考慮していない。
【0008】
一例として、高速道路出入口の道路リンクデータと、この高速道路出入口と離れた地点の一般道交差点における、ナビが経路誘導時の画面表示に用いる各方向の道路が通じている地名その他が書かれた案内看板の情報を含む誘導情報データに現れる意味的な整合性の例を説明する。
【0009】
高速道路出入口が新しく完成した場合、実世界では周辺地域の主要な道路の交差点、その高速道路出入口を記載した案内看板が追加されるか、もしくは既存の看板が更新され情報が追加されることになる。そこで地図データには新しい高速道路出入口に対応する道路リンクが追加され、実世界の案内看板に対応する誘導情報が地図データに追加されるか、もしくは既存の誘導情報が更新されることになる。しかし、地図データのフォーマット上は、高速道路出入口を表す道路リンクデータと、この高速道路出入口を案内する案内看板のデータとの間に参照関係は定義されていない。即ち、案内看板のデータという誘導情報は、一般道路の交差点を構成する道路リンクデータには紐付いている(参照関係がある)ものの、高速道路出入口を構成する道路リンクデータとは紐付いていない(参照関係が無い)。
【0010】
従って、前述の特許文献1および特許文献2のような、直接の参照関係がある地図データにのみ注目して、同時に更新する地図データを把握するといった技術では、このような高速道路出入口を表す道路リンクデータと高速道路出入口を案内する看板の誘導情報データは、同時更新の対象として扱われない場合がある。
【0011】
前述の従来技術によっても、高速道路出入口を表す道路リンクデータとこの高速道路出入口を案内する看板の誘導情報データが両方とも、たまたまユーザの選択した更新対象区画の領域内に含まれる場合には、両者とも更新対象データに該当することになる。しかし、実世界においては高速道路出入口を案内する看板が高速道路出入口から数km以上離れた地点にある事は珍しくなく、ユーザの選択した更新対象区画の領域内には、新設された高速道路出入口を表す道路リンクデータとその高速道路出入口を案内する看板全ての誘導情報データの両者が含まれないケースが多々ある。このような場合前述の従来技術では、両者のデータが同時更新されず、地図データフォーマット上のデータの不整合は起こらないにしても地図を用いた誘導の内容がちぐはぐになる問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前述の問題を解決するために、本願発明では、ナビゲーション装置が地図センタに対して更新確認対象とする地図区画を更新要求エリアとして指定した際、地図センタでは第1のステップとして、基点更新原子収集部112により更新要求エリアに紐付けられた更新原子を全て特定し、その集合を基点更新原子とする。さらに地図情報センタは第2のステップとして、関連更新原子収集部116により、基点更新原子に対し、地図データフォーマット上の参照関係は無いが意味的に関連する更新原子を全て特定して、その集合を関連更新原子とする。なお、ここで更新原子に意味的な関連があるか否かの判定は、異なる更新原子が、名称に関する同一のテキスト情報を共通して含むか、通常利用する道路リンクとその迂回路として利用する道路リンクの組の様な予め関連が定義された道路リンクを共通して含むか、ユーザの一般的な行動パターンから代替的または連続的に利用する事が想定されるPOI施設カテゴリの組の様な、予め関連が定義された施設カテゴリを共通して含むかを確認することにより判定する。そして、関連更新原子の特定後、地図センタは基点更新原子および関連更新原子を車載機へ配信し、これを受信した車載機が基点更新原子および関連更新原子を車載地図データへ反映する。
【発明の効果】
【0013】
これにより本発明は、直接の参照関係は定義されていないが意味的に関連するデータ間の整合性を考慮した地図データの差分更新を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態に係る地図情報更新システムの構成図である。
【図2】車載機の構成を示す図である。
【図3】地図センタの構成を示す図である。
【図4】更新概要表示・更新対象選択画面を示す図である。
【図5】差分更新データの例を説明した図である。
【図6】更新原子関連テーブルの構成を示す図である。
【図7】道路リンク関連テーブルの構成を示す図である。
【図8】カテゴリ関連テーブルの構成を示す図である。
【図9】更新原子管理テーブルの構成を示す図である。
【図10】差分オブジェクト管理テーブルの構成を示す図である。
【図11】道路差分オブジェクトテーブルの構成を示す図である。
【図12】誘導情報差分オブジェクトテーブルの構成を示す図である。
【図13】POI差分オブジェクトテーブルの構成を示す図である。
【図14】POI施設カテゴリテーブルの構成を示す図である。
【図15】車載機における処理のフローチャートである。
【図16】地図センタにおける処理のフローチャートである。
【図17】関連種類が名称関連であるレコードを更新原子関連テーブルに生成する処理のフローチャートである。
【図18】原子内名称データのデータを更新原子管理テーブルに生成する処理のフローチャートである。
【図19】関連種類が道路リンク関連であるレコードを更新原子関連テーブルに生成する処理のフローチャートである。
【図20】原子内リンクIDのデータを更新原子管理テーブルに生成する処理のフローチャートである。
【図21】関連種類がカテゴリ関連であるレコードを更新原子関連テーブルに生成する処理のフローチャートである。
【図22】原子内カテゴリIDのデータを更新原子管理テーブルに生成する処理のフローチャートである。
【図23】差分更新メニュー画面の表示例を示す図である。
【図24】現在地周辺を更新要求エリアに選ぶ画面の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明を実施するための実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
<地図更新システム全体構成の概要>
図1は、本実施形態に係る地図情報更新システムの構成例を示した機能ブロック図である。図1に示す様に、本実施形態に掛かる地図情報更新システムは、車載機101と地図センタ102とを備えて構成される。車載機101と地図センタ102は、通信回線120を介して接続される。そして、地図センタ102から車載機101に、車載機101の地図データを更新するための更新用地図データが送られ、車載機101ではこの更新用地図データを用いて地図データを更新する。
【0017】
本実施形態に係る地図情報更新システムにおける地図データは区画に分けて管理されており、ユーザが更新したい区画を指示することで、指示区画内の地図データを最新の状態に更新することができる。以下、本発明の前提となる差分更新について説明する。
【0018】
地図データは例えば2km四方、などの矩形のエリアに分けて管理され、各々のエリアについて、エリアを識別するためのIDであるエリアIDとエリアの地図バージョンの情報を管理している。このエリアは区画と同義である。差分更新では、ユーザが車載機101にて更新したい区画を更新要求エリアとして指示すると、最新のマスタ地図データを管理する地図センタ102から車載機101へ通信回線120を通じて、更新要求エリアについて新しい地図バージョンの地図データと車載機101の地図データとで一致しない地図要素に関する更新用データを配信し、車載機101では、この更新用データを車載地図データベース106へ適用する事により、車載地図データベース106の更新要求エリア内の地図データを最新の状態に更新する。
【0019】
更新対象となる個々の道路リンクや個々の誘導情報などの地図要素を地図オブジェクトと呼ぶ。地図オブジェクトは、1つ以上の所定の属性を持つ1件の地図情報である。例えば、道路リンクの地図オブジェクトである道路リンクオブジェクトは、属性情報として、道路リンクのID,道路リンクが所属するエリアのエリアID,道路リンクが所属する路線の路線名称などの複数の情報を持つ、1つの道路リンクの地図情報である。また例えば、誘導情報の地図オブジェクトである誘導情報オブジェクトは、属性情報として、誘導情報のID,誘導情報が所属するエリアのエリアID,誘導地点に設置された案内看板に書かれたテキスト情報などの複数の情報を持つ、1つの誘導情報の地図情報である。
【0020】
地図データの差分更新を行うための更新用データを差分更新データと呼び、1つの差分更新データには、差分オブジェクトと呼ぶより細かい更新操作が1つ以上含まれる。差分オブジェクトは、更新操作の対象となる1つの地図オブジェクトの指定と、これに対する、追加(INS:INSERT),変更(UPD:UPDATE)または削除(DEL:DELETE)の操作に関する情報が組み合わされたものである。図5に示す差分更新データ504の例では、差分更新データ504は、まず道路リンクL2を削除する更新操作505、次に道路リンクL6を追加する更新操作506、次に道路リンクL1を変更する更新操作507、次に道路リンクL7を追加する更新操作508、次に道路リンクL3を変更する更新操作509、次に道路リンクL8を追加する更新操作510、次に道路リンクL4を変更する更新操作511、次に道路リンクL5を変更する更新操作512、最後に誘導情報G1を追加する更新操作513、といった一連の更新操作の集合として構成されている。
【0021】
地図オブジェクトは、他の地図オブジェクトと参照関係を持つことがあり、この場合互いのデータが矛盾しないことで、地図データのフォーマット上の整合性が保たれる。例えば、隣接する2つの道路リンクオブジェクトは属性情報「隣接リンクID」として、互いのIDを持ち合うことで地図データのフォーマット上の整合性が保たれる。これが地図更新によって、一方が他方のIDを持たない様な事になれば、地図データのフォーマット上の整合性は保たれない。従って、地図データをフォーマット上の整合性を保って差分更新するためには、この様な地図オブジェクトの参照関係を破壊しない様に、参照関係を持つ地図オブジェクトを共に更新する必要がある。
【0022】
差分更新データは、地図データを正しく更新するために一連の差分オブジェクトを所定の順序で漏れなく適用するよう定義したものであり、この様な差分更新データを本発明では更新原子と呼ぶ。そしてこの更新原子を差分更新の基本単位として構成することで、地図データを矛盾なく更新できる。従って、更新原子内の差分オブジェクトの適用の順序を不当に変更したり、適用漏れがあると、地図データを正しく更新することができない。
【0023】
1つのエリアの地図データを更新するために複数の更新原子の適用が必要な場合もある。また、エリアを跨ぐ道路を矛盾なく更新するためにエリアを跨ぐ更新原子が定義される等すると、1つの更新原子が複数エリアの地図オブジェクトを更新対象とする場合がある。そこで、更新原子の管理用データには、更新原子が更新操作対象とするエリアに関する情報を持たせている。
【0024】
このため、ユーザが更新したい区画を指示すると、指示区画内の地図データを最新の状態に差分更新するとともに、地図オブジェクトの参照関係を破壊しないよう差分更新する更新原子の性質により、その他の区画も併せて更新される場合がある。これは区画境界での地図データの不整合を防ぐため、ユーザが指示した区画(エリア)内の最新の状態になっていない地図オブジェクトを全て最新の状態へ更新するための更新原子が全て特定され、ここで特定される更新原子が、指示されたエリア以外のエリアに属す地図オブジェクトも更新対象とする事があるためである。
【0025】
以上のように、更新原子を用いることで参照関係を持つ地図オブジェクトについては、地図データのフォーマット上矛盾なく差分更新を行うことができる。
【0026】
しかし、単に更新原子を用いて地図データの更新を行っただけでは、直接的な参照関係は無いが意味的に関連するデータの整合性を保つことはできない。そこで本発明では、まずユーザが指定した更新対象とするエリアに紐付く更新原子を特定する。これを基点更新原子と呼ぶことにする。そして、特定した基点更新原子と意味的な関連を持つ新たな更新原子を特定する。これを関連更新原子と呼ぶことにする。そして、基点更新原子に関連更新原子を加えたものを更新データとする。これにより、直接的な参照関係は無いが意味的に関連するデータの整合性を考慮した地図更新を実現する。
【0027】
<車載機の構成>
まず、車載機101の構成について説明する。図1に示すように、車載機101は、地図の更新要求を、通信回線120を通じて地図センタ102へ送信する。その応答として、車載機101は、地図センタ102から地図の更新データを受信して、これを車載地図データベース106に反映する。車載機101は、入力部103,入力受付部104,地図更新処理部105,車載地図データベース106,表示部107,表示処理部108,地図データ取得部109,ナビ処理部110、を含んで構成される。
【0028】
車載機101は、図2に示すように、CPU204,メモリ205,入力装置202,出力装置203,外部記憶装置206を備えた一般的なコンピュータのハードウェア構成に、カーナビゲーション特有のGPS受信機,車速パルス受信機,ジャイロセンサ、などのセンサ類を加えたシステム構成となっている。このCPU204が、メモリ205にロードされた所定のプログラムを実行する事で各処理部の機能を実現する。車載地図データベース106は、外部記憶装置206に格納される。
【0029】
入力部103は、車載機の匡体に据え付きのハードウェアボタンや、車載機本体とは別体のリモコン、或いは表示部107も兼ねたタッチパネルモニタ,音声コマンド入力のためのマイクなどにより実現され、ユーザが車載機の、地図更新機能,ナビゲーション機能などを操作する際の指示入力を行うためのハードウェアであり、入力装置202に対応する。入力受付部104は、コンピュータプログラムとこれが動作するハードウェアにより実現され、入力部103経由で得たユーザからの命令を解釈し、それぞれ専用の処理部へ振り分ける処理を担う。必要に応じ、専用の処理部へ振り分ける前に、所定の前処理を行っても良い。
【0030】
表示部107は、表示専用の液晶モニタや、入力部103も兼ねたタッチパネルモニタなどの出力装置203により実現され、地図,文字,図形,画像,動画など視覚情報をユーザに提供するためのハードウェアである。視覚情報と共に音声情報を出力するためのスピーカを内蔵していても良い。表示処理部108は、コンピュータプログラムとこれが動作するハードウェアにより実現され、表示部107経由で出力する情報を生成する処理など担う。ナビ処理部110は、経路探索,経路誘導,施設検索などのナビゲーション機能を実現するコンピュータプログラムとこれが動作するハードウェアにより実現され、ハードウェアとしては、GPS受信機,車速パルス受信機,ジャイロセンサ、などのセンサ類も含む。
【0031】
車載地図データベース106は、ナビ処理部110などが利用するデジタル地図データを保持するデータベース(以下DB)であり、DB管理用のプログラムおよび地図データ構造がハードディスク等の記憶装置に記憶されて実現される。DB管理用のプログラムはいわゆるDBMS(Database Management System)である。地図データ構造は、経路探索,地図表示,経路誘導,目的地検索、など各種のナビゲーション機能が利用する地図データを収録した道路リンクテーブル,誘導情報テーブル,POI施設テーブルなどを含む。これらのテーブルについては、後述する各差分更新オブジェクトテーブルが同じカラム構成を内包しているため、各テーブルの構成の説明は各差分更新オブジェクトテーブルの説明と同様である。
【0032】
地図データ取得部109は、入力部103,入力受付部104経由でユーザから与えられる地図更新の指示に従い、通信回線120を通じて地図センタ102へ後述する更新データ確認要求や更新データ配信要求を送信し、その応答として、通信回線120を通じて地図センタ102から後述する更新データ概要や更新データ本体を受信する。更に、地図センタから取得したデータを、表示処理部108や地図更新処理部105へ受け渡す。なお、センタから受信する更新データには更新データ概要と更新データ本体があり、更新データ概要は車載機101からの更新データ確認要求に該当する基点更新原子と関連更新原子の概要情報である。そして、更新データ本体は差分更新に使用される更新データの実体であり、車載機101からの更新データ配信要求に対応した1つ以上の基点更新原子あるいは基点更新原子と関連更新原子の集合である。この詳細は後述する。
【0033】
地図更新処理部105は、地図データ取得部109経由で地図センタ102から配信された更新データを車載地図データベース106へ反映し、車載地図データベース106を最新版に書き換える。
【0034】
<地図センタの構成>
次に、地図センタ102の構成について説明する。地図センタ102は、通信回線120を通じ車載機101から受信した更新データ確認要求や更新データ配信要求に従い、通信回線120を通じ地図の更新データを車載機101へ送信する。
【0035】
地図センタ102は、地図データ配信部111,基点更新原子収集部112,更新原子生成部113,更新原子データベース114,関連定義データベース115,関連更新原子収集部116に加え、Ver1マスタ地図データベース117,Ver2マスタ地図データベース118,Ver3マスタ地図データベース119、などのバージョン毎の地図データベースから構成される。
【0036】
地図センタ102は、図3に示すように、CPU304,メモリ305,入力装置302,出力装置303,外部記憶装置306を備えた一般的なコンピュータのハードウェア構成のコンピュータシステムにおいて、CPU304がメモリ305にロードされた所定のプログラムを実行する事で上記の各処理部の機能を実現している。更新原子データベース114,関連定義データベース115,Ver1マスタ地図データベース117,Ver2マスタ地図データベース118,Ver3マスタ地図データベース119は外部記憶装置306に格納される。
【0037】
地図センタ102は、初版から最新版まで歴代バージョンのマスタ地図データの全コンテンツを有する地図DBを全て保持する構成となるが、本実施例では、最新版のマスタ地図データがバージョン3である場合を例とし、地図センタの構成として、Ver1マスタ地図データベース117,Ver2マスタ地図データベース118,Ver3マスタ地図データベース119、を含むものとして説明を行う。
【0038】
Ver1マスタ地図データベース117は、バージョン1のマスタ地図データの全コンテンツを有する地図DBである。Ver2マスタ地図データベース118,Ver3マスタ地図データベース119は、同様にして其々、バージョン2,バージョン3の地図データのマスタ地図データの全コンテンツを有する地図DBである。マスタ地図データベースは、前述の車載地図データベース106の元となるものであり、車載地図データベースのコンテンツは、基本的にはいずれかのマスタ地図データのコンテンツと同様である。
【0039】
マスタ地図データベースは、経路探索,地図表示,経路誘導,目的地検索など各種のカーナビ機能が利用する地図データを格納した、道路リンクテーブル,誘導情報テーブル,POI施設テーブルなどを含む。前述の通り各差分更新オブジェクトテーブルがこれらのテーブルと同じカラム構成を内包しているため、各テーブルの構成の説明は各差分更新オブジェクトテーブルの説明と同様である。
【0040】
なお、地図データはPOI施設カテゴリテーブル1401も含む。POI施設カテゴリテーブル1401の登録内容を模式的に示した例を図14に示す。POI施設カテゴリテーブル1401には、POI施設カテゴリの一覧が登録されている。POI施設カテゴリのレコード1405は、POI(施設)のカテゴリを一意に識別できる施設カテゴリIDを登録する「施設カテゴリID」カラム1402と、POIのカテゴリ名称を登録する「施設カテゴリ名称」カラム1403を有する。
【0041】
更新原子データベース114には、更新原子管理テーブル901,差分オブジェクト管理テーブル1001,道路差分オブジェクトテーブル1101,誘導情報差分オブジェクトテーブル1201,POI差分オブジェクトテーブル1301が格納される。
【0042】
更新原子管理テーブル901には、更新原子の管理情報が登録されている。図9は、更新原子管理テーブル901の構成を示した図である。更新原子の管理情報のレコード912は、更新原子を一意に識別する更新原子IDを登録する「更新原子ID」カラム902と、更新原子の地図バージョンである更新原子Ver(バージョン)を登録する「更新原子Ver」カラム903と、更新原子が更新対象とする地図オブジェクトが所属するエリアのエリアIDである更新原子所属エリアIDを登録する「更新原子所属エリアID」カラム904と、更新原子の代表位置を示す座標である更新原子座標を登録する「更新原子座標」カラム905と、ユーザへ提示する更新内容のサマリや更新原子のデータサイズなどをテキスト形式で表した情報である更新原子テキスト情報を登録する「更新原子テキスト情報」カラム906と、更新原子が含む差分オブジェクトの識別情報である子差分オブジェクトIDを適用順通りに列挙して登録する「子差分オブジェクトID」カラム907と、更新原子が含む、地図オブジェクトの名称に関する全てのデータである原子内名称データを登録する「原子内名称データ」カラム908と、更新原子に含まれる全ての道路リンクオブジェクトのリンクIDである原子内リンクIDを登録する「原子内リンクID」カラム909と、更新原子に含まれる全てのPOI施設オブジェクトの所属カテゴリの施設カテゴリIDである原子内カテゴリIDを登録する「原子内カテゴリID」カラム910を有する。
【0043】
ここで、「原子内名称データ」カラム908,「原子内リンクID」カラム909,「原子内カテゴリID」カラム910は、関連更新原子の特定に利用されるカラムである。
【0044】
「原子内名称データ」カラム908は、他の更新原子におけるこの「原子内名称データ」カラム908内のテキストデータと比較することで、同一の名称テキストを持つ更新原子を特定し、これを関連更新原子として特定するために用いる。このカラムのデータ比較により得られる更新原子の関連を“名称関連”と呼ぶ。
【0045】
「原子内リンクID」カラム909は、他の更新原子とこのカラム内のリンクIDを比較して、後述する道路リンク関連テーブル701により予め別途定義された道路リンクの関連定義に従い、関連するリンクIDを持つ他の更新原子を特定し、関連更新原子として特定するために用いる。このカラムの比較により得られる更新原子の関連を“道路リンク関連”と呼ぶ。
【0046】
「原子内カテゴリID」カラム910は、他の更新原子とこのカラム内の施設カテゴリIDを比較し、後述するカテゴリ関連テーブル801により予め別途定義された施設カテゴリIDの関連定義に従い、関連する施設カテゴリIDを持つ他の更新原子を特定し、関連更新原子として特定するために用いる。このカラムの比較により得られる更新原子の関連を“カテゴリ関連”と呼ぶ。
【0047】
差分オブジェクト管理テーブル1001には、差分オブジェクトの管理情報が登録されている。図10は、差分オブジェクト管理テーブル1001の構成を示した図である。差分オブジェクトの管理情報のレコード1013は、差分オブジェクトを一意に識別する差分オブジェクトIDを登録する「差分オブジェクトID」カラム1002と、差分オブジェクトが所属する更新原子の更新原子IDである所属先更新原子IDを登録する「所属先更新原子ID」カラム1003と、差分オブジェクトの元になったマスタ地図データのバージョンである差分オブジェクトVerを登録する「差分オブジェクトVer」カラム1004と、差分オブジェクトが更新操作対象とする地図オブジェクト(以下、これを対象地図オブジェクトと呼ぶ)を識別する地図オブジェクトIDである対象地図オブジェクトIDを登録する「対象地図オブジェクトID」カラム1005と、対象地図オブジェクトの更新操作種別が追加(INS),変更(UPD)または削除(DEL)などのいずれであるかを示す地図オブジェクト操作種別を登録する「地図オブジェクト操作種別」カラム1006と、対象地図オブジェクトのレコードが登録されているテーブルを識別する情報である地図オブジェクト所属テーブルを登録する「地図オブジェクト所属テーブル」カラム1007と、対象地図オブジェクトが所属する地図エリアを識別するエリアIDである地図オブジェクト所属エリアIDを登録する「地図オブジェクト所属エリアID」カラム1008と、差分オブジェクトに含まれる地図オブジェクトの名称に関するデータである差分オブジェクト内名称データを登録する「差分オブジェクト内名称データ」カラム1009と、差分オブジェクトに含まれる全ての道路リンクオブジェクトのリンクIDである差分オブジェクト内リンクIDを登録する「差分オブジェクト内リンクID」カラム1010と、差分オブジェクトに含まれる全てのPOI施設オブジェクトが所属する施設カテゴリIDである、差分オブジェクト内カテゴリIDを登録する「差分オブジェクト内カテゴリID」カラム1011とを有する。
【0048】
道路差分オブジェクトテーブル1101には、道路リンクオブジェクトを更新するための差分オブジェクトの詳細コンテンツが登録されている。図11は、道路差分オブジェクトテーブル1101の構成を示した図である。道路リンクオブジェクトを更新するための差分オブジェクトの詳細コンテンツのレコード1115は、差分オブジェクトIDを登録する「差分オブジェクトID」カラム1102と、差分オブジェクトの元になったマスタ地図データのバージョンである差分オブジェクトVerを登録する「差分オブジェクトVer」カラム1103と、差分オブジェクトによる道路リンクオブジェクトへの更新操作種別を表す地図オブジェクト操作種別を登録する「地図オブジェクト操作種別」カラム1104と、操作対象の道路リンクオブジェクトを識別する道路リンクIDを登録する「道路リンクID」カラム1105と、操作対象の道路リンクオブジェクトが所属するエリアを識別するためのエリアIDである道路リンク所属エリアIDを登録する「道路リンク所属エリアID」カラム1106と、操作対象の道路リンクオブジェクトの道路種別を登録する「道路種別」カラム1107と、操作対象の道路リンクオブジェクトの路線名称を登録する「路線名称」カラム1108と、操作対象の道路リンクオブジェクトの始点ノードを識別するノードIDである始点ノードIDを登録する「始点ノードID」カラム1109と、操作対象の道路リンクオブジェクトの始点ノード側で隣接する他の道路リンクオブジェクトを識別するリンクIDである始点ノード側隣接リンクIDを登録する「始点ノード側隣接リンクID」カラム1110と、操作対象の道路リンクオブジェクトの終点ノードを識別するノードIDである終点ノードIDを登録する「終点ノードID」カラム1111と、操作対象の道路リンクオブジェクトの終点ノード側で隣接する他の道路リンクオブジェクトを識別するリンクIDである終点ノード側隣接リンクIDを登録する「終点ノード側隣接リンクID」カラム1112と、操作対象の道路リンクオブジェクトのリンク長を登録する「リンク長」カラム1113とを有する。
【0049】
なお、車載地図データベース106および各マスタ地図データベース(117〜119)における道路リンクオブジェクトのレコードを格納する道路リンクテーブル(図示せず)のカラム構成は、道路差分オブジェクトテーブル1101中の太線で囲んだカラム範囲とカラム構成が一致する。
【0050】
この太線で囲んだ道路差分オブジェクトテーブル1101中のカラムについては、「地図オブジェクト操作種別」カラム1104に格納された値が「INS」のレコードでは、全カラムに値が設定される。また、「地図オブジェクト操作種別」カラム1104に格納された値が「UPD」のレコードでは、「道路リンクID」カラム1105と「道路リンク所属エリアID」カラム1106とその他差分更新の前後で値の変化があるカラムのみ値が設定され、残りのカラムには意味のあるデータを含まない事を意味する予め定義されたデータ(図中では「−」で表現)を設定する。そして、「地図オブジェクト操作種別」カラム1104の値が「DEL」であるレコードでは、「道路リンクID」カラム1105と「道路リンク所属エリアID」カラム1106のみ値が設定され、残りのカラムには予め定義された意味のあるデータを含まない事を意味するデータ(図中では「−」で表現)が設定される。
【0051】
誘導情報差分オブジェクトテーブル1201には、誘導情報オブジェクトを更新するための差分オブジェクトの詳細コンテンツが登録されている。図12は、誘導情報差分オブジェクトテーブル1201の構成を示した図である。誘導情報オブジェクトを更新するための差分オブジェクトの詳細コンテンツのレコード1215は、差分オブジェクトIDを登録する「差分オブジェクトID」カラム1202と、差分オブジェクトの元となったマスタ地図データのバージョンである差分オブジェクトVerを登録する「差分オブジェクトVer」カラム1203と、差分オブジェクトによる更新操作種別を表す地図オブジェクト操作種別を登録する「地図オブジェクト操作種別」カラム1204と、操作対象の誘導情報オブジェクトをそれのみで識別できる誘導情報IDを登録する「誘導情報ID」カラム1205と、操作対象の誘導情報オブジェクトが所属するエリアを識別するためのエリアIDである誘導情報所属エリアIDを登録する「誘導情報所属エリアID」カラム1206と、操作対象の誘導情報オブジェクトに関する進入リンクIDを登録する「進入リンクID」カラム1207と、操作対象の誘導情報オブジェクトに関する誘導ポイントのノードIDである誘導ポイントノードIDを登録する「誘導ポイントノードID」カラム1208と、操作対象の誘導情報オブジェクトに関する退出リンクのリンクIDである退出リンクIDを登録する「退出リンクID」カラム1209と、操作対象の誘導情報オブジェクトに関する看板画像ファイル名を登録する「看板画像ファイル名」カラム1210と、操作対象の誘導情報オブジェクトに関する看板テキストを登録する「看板テキスト」カラム1211と、操作対象の誘導情報オブジェクトに関する誘導音声ファイル名を登録する「誘導音声ファイル名」カラム1212と、操作対象の誘導情報オブジェクトに関する誘導音声キーワードを登録する「誘導音声キーワード」カラム1213を有する。
【0052】
なお、誘導情報差分オブジェクトテーブル1201中の太線で囲んだカラム範囲は、車載地図データベース106および各マスタ地図データベース(117〜119)における誘導情報オブジェクトのレコードを格納する誘導情報テーブル(図示せず)のカラム構成と一致する。
【0053】
また、誘導情報差分オブジェクトテーブル1201中の太線で囲んだカラム箇所について、「地図オブジェクト操作種別」カラム1204に格納された値が「INS」であるレコードでは、全カラムに値が設定される。また、「地図オブジェクト操作種別」カラム1204の値が「UPD」であるレコードでは、「誘導情報ID」カラム1205と「誘導情報所属エリアID」カラム1206と、差分更新の前後で値の変化があるそのカラムのみ所定の値が設定され、残りのカラムには意味のあるデータを含まない事を意味する予め定義されたデータ(図中では「−」で表現)が設定される。そして、「地図オブジェクト操作種別」カラム1204の値が「DEL」であるレコードでは、「誘導情報ID」カラム1205と、「誘導情報所属エリアID」カラム1206のみ値が設定され、他のカラムには意味のあるデータを含まない事を意味する予め定義されたデータ(図中では「−」で表現)が設定される。
【0054】
POI差分オブジェクトテーブル1301には、POI施設オブジェクトを更新するための差分オブジェクトの詳細コンテンツが登録されている。図13は、POI差分オブジェクトテーブル1301の構成を示した図である。POI施設オブジェクトを更新するための差分オブジェクトの詳細コンテンツのレコード1311は、差分オブジェクトIDを登録する「差分オブジェクトID」カラム1302と、差分オブジェクトの元となったマスタ地図データのバージョンである差分オブジェクトVerを登録する「差分オブジェクトVer」カラム1303と、差分オブジェクトによる更新操作種別を表す地図オブジェクト操作種別を登録する「地図オブジェクト操作種別」カラム1304と、操作対象のPOI施設オブジェクトを識別するPOI施設IDを登録する「POI施設ID」カラム1305と、操作対象のPOI施設オブジェクトの施設名称を登録する「施設名称」カラム1306と、操作対象のPOI施設オブジェクトの所属する施設カテゴリを識別する施設カテゴリIDであるPOI施設カテゴリIDを登録する「POI施設カテゴリID」カラム1307と、操作対象のPOI施設オブジェクトが所属するエリアを識別するエリアIDであるPOI施設所属エリアIDを登録する「POI施設所属エリアID」カラム1308と、操作対象のPOI施設オブジェクトの代表位置を示す座標情報である施設座標を登録する「施設座標」カラム1309などを有する。
【0055】
なお、POI差分オブジェクトテーブル1301中の太線で囲んだカラム範囲は、車載地図データベース106および各マスタ地図データベース(117〜119)におけるPOI施設オブジェクトのレコードを格納するPOI施設テーブル(図示せず)とカラム構成が一致する。
【0056】
また、POI差分オブジェクトテーブル1301中の太線で囲んだ箇所について、「地図オブジェクト操作種別」カラム1304の値が「INS」であるレコードでは、全カラムに値が設定される。また、「地図オブジェクト操作種別」カラム1304の値が「UPD」であるレコードでは、「POI施設ID」カラム1305と、「POI施設所属エリアID」カラム1308と、差分更新の前後で値の変化があるカラムにのみ値が設定され、残りのカラムには意味のあるデータを含まない事を意味する予め定義されたデータ(図中では「−」で表現)が設定される。そして、「地図オブジェクト操作種別」カラム1304の値が「DEL」であるレコードでは、「POI施設ID」カラム1305と「POI施設所属エリアID」カラム1308のみ所定の値が入り、残りのカラムには意味のあるデータを含まない事を意味する予め定義されたデータ(図中では「−」で表現)が設定される。
【0057】
図1の説明に戻り、地図センタ102の説明を続ける。更新原子生成部113は、CPU304で動作するコンピュータプログラムにより実現され、更新原子を生成する処理を行う。更新原子は、直接的な参照関係を持つ地図オブジェクトを整合性を保ったまま更新する差分更新データであることから、更新原子の生成処理では、地図オブジェクトの参照関係を調べて、各々の地図オブジェクトに関する更新操作を参照関係で繋がったグループ毎に集める処理が行われる。
【0058】
地図データ配信部111は、CPU304で動作するコンピュータプログラムと通信装置301により実現される。地図データ配信部111は、通信回線120を通じて、車載機101から更新データ確認要求や更新データ配信要求を受信し、車載機101の要求に応じた更新データ概要や更新データ本体の配信準備が整うと、通信回線120を通じて車載機101へその更新データ概要や更新データ本体を配信する。
【0059】
基点更新原子収集部112は、CPU304で動作するコンピュータプログラムにより実現され、地図データ配信部111で受信した車載機101からの要求に応じ、車載機101側からの要求で通知されるユーザにより地図更新の対象として選択された地図区画を更新するために必要な更新原子を、基点更新原子として更新原子データベース114から検索し抽出する。
【0060】
関連更新原子収集部116は、コンピュータプログラムおよびそれが動作するためのハードウェアにより実現され、地図データ配信部111からの呼出しに応じ、基点更新原子収集部112が収集した基点更新原子に関連する他の更新原子を、関連更新原子として更新原子データベース114から検索したり抽出したりする。ここで、関連更新原子を特定するための関連情報は、関連定義データベース115に予め持っておく。
【0061】
なお、基点更新原子および関連更新原子の抽出において、どちらの更新原子についても更新原子の一部情報を抽出すれば、地図データ配信部111へ渡すための更新データ概要を生成する事ができ、更新原子の完全な情報を抽出すれば、地図データ配信部111へ渡すための更新データ本体を生成する事ができる。更新データ概要および更新データ本体の詳細については別途説明する。
【0062】
関連定義データベース115は、基点更新原子IDから、これに対応する関連更新原子IDを得るための索引テーブルである更新原子関連テーブル601や、そのコンテンツ生成する際に必要となる定義情報が登録されたテーブルである道路リンク関連テーブル701およびカテゴリ関連テーブル801を含む。
【0063】
図6は、更新原子関連テーブル601の構成を示した図である。更新原子関連テーブル601には、基点更新原子IDから関連更新原子IDとその関連種類を特定するための情報が登録されている。更新原子関連のレコード606は、基点更新原子IDを登録する「基点更新原子ID」カラム602と、関連更新原子IDを登録する「関連更新原子ID」カラム603と、更新原子がどの様な観点で意味的に関連するのかを示す関連種類を登録する「関連種類」カラム604を備えている。本実施例では例として3つの関連種類を考慮している。第1の関連種類は“名称関連”であり、2つの更新原子が、同一の名称テキストを共通して持つ時、互いに名称関連があると判定する。第2の関連種類は“道路リンク関連”であり、2つの更新原子が道路リンク関連テーブル701により予め関連する道路として定義された道路リンクを相互に持つ時、互いに道路リンク関連があると判定する。第3の関連種類は“カテゴリ関連”であり、2つの更新原子がカテゴリ関連テーブル801により予め関連する施設カテゴリとして定義された施設カテゴリを相互に持つ時、互いにカテゴリ関連があると判定する。
【0064】
道路リンク関連テーブル701には、関連元のリンク(基点リンク)を表すリンクIDである基点リンクIDから、関連先のリンク(関連リンク)を表すリンクIDである関連リンクIDを特定するための情報が登録されている。図7は、道路リンク関連テーブル701の構成を示す。道路リンク関連テーブル内のレコード705は、「基点リンクID」カラム702と、「関連リンクID」カラム703を有する。
【0065】
本発明では、基点リンクと関連リンクの関係は、例えば通常利用される道路リンクとその迂回路として利用される道路リンクの様な関係を想定している。従って、基点リンクを更新する際、関連リンクについても更新情報があるか否か、そして関連リンクに更新情報があるならば、その関連リンクも同時に更新するべきか否か、といった判断ができることが望ましい。そこで、基点リンクIDを元に関連リンクIDを特定するための情報を道路リンク関連テーブル701に登録する。この登録は、人間が手作業で行っても良いし、車両の走行履歴を収集して、同じ2箇所の地点を結ぶ異なる走行経路について道路リンクの通過履歴を収集して統計処理を行い、通常利用する道路リンクとその迂回路として利用する道路リンクの関係を抽出し、その結果を登録するようにしても良い。
【0066】
カテゴリ関連テーブル801には、関連元のPOIの施設カテゴリ(基点施設カテゴリ)から関連先のPOIの施設カテゴリ(関連施設カテゴリ)を特定するための情報が登録されている。図8に、カテゴリ関連テーブル801の構成を示す。カテゴリ関連テーブル内のレコード804は、基点施設カテゴリの施設カテゴリIDを登録する「基点施設カテゴリ」カラム802と、関連施設カテゴリの施設カテゴリIDを登録する「関連施設カテゴリ」カラム803を有する。
【0067】
本発明では、基点施設カテゴリと関連施設カテゴリの関係は、例えばユーザの一般的な行動パターンから代替的または連続的に利用する事が想定されるPOI施設カテゴリの様な関係を想定している。従って、基点施設カテゴリに属すPOIを更新する際、関連施設カテゴリに属すPOIについても更新情報があるか否か、そして関連施設カテゴリに属すPOIについて更新情報があるならば、その関連施設カテゴリに属すPOIも同時に更新するべきか否か、といった判断ができることが望ましい。そこで、基点施設カテゴリIDを元に関連施設カテゴリIDを特定するための情報をカテゴリ関連テーブル801に登録する。例えば、旅行に出かけるユーザは、「宿泊施設」カテゴリに属するPOIを利用して、更に「レジャー施設」カテゴリに属すPOIを利用する可能性が高いという行動傾向から、「レジャー施設」カテゴリを「宿泊施設」カテゴリに関連付ける。この登録は、人間が手作業で行っても良いし、POIの検索履歴や目的地などとしての選択履歴を収集して、各施設カテゴリ間の指定順序について統計処理を行い、代替的や連続的に利用する施設カテゴリの関係を抽出し、その結果を登録する様にしても良い。
【0068】
車載機101と地図センタ102は、通信回線120を介して繋がっている。通信回線120は、インターネットや電話回線などを含む、デジタルデータの通信媒体で実現される。なお、車載機101と通信回線120の間には、図示しない無線通信回線を含み、自動車に搭載される車載機101は、無線通信圏内にあれば地図センタ102と通信することができる。
【0069】
<車載機の処理フロー>
図15は、本発明を適用した地図更新データ配信システムの車載機101における地図データ取得部109の処理フロー図である。地図データ取得部109では、ユーザから与えられる地図更新の指示に従い、通信回線120を通じて地図センタ102へ更新データ確認要求や更新データ配信要求を送信し、その応答として地図センタ102から更新データ概要や更新データ(更新データ本体)を受信する。また、地図センタから取得したデータを表示処理部108や地図更新処理部105へ渡す。
【0070】
以下、この処理フローの詳細について説明する。まず、地図データ取得部109は、ユーザからの更新対象とするエリア(更新要求エリア)指定を入力部103,入力受付部104を介して受け付ける(S1501)。そして、車載地図データベース106から更新要求エリアのエリアIDと、その時点での車載地図データベース106における該当エリアの地図データのバージョンを取得する(S1502)。地図は区画毎に更新可能なため、地図のバージョンは区画ごとに異なっていることがある。そして、更新要求エリアの車載地図データに対して適用可能な更新データが地図センタ側にあるか否かを確認するために、更新要求エリアのエリアIDとバージョンを格納した更新データ確認要求を、通信回線120を介して地図センタ102へ送信する(S1503)。
【0071】
次に、地図データ取得部109は、通信回線120を介し、地図センタ102から1次配信として、適用可能な更新データの概要、または、更新要求エリアの車載地図データがその時点の最新状態であり適用可能な更新データが無いならばその旨の通知を受信する(S1504)。
【0072】
このとき、地図センタ102側にて更新データ確認要求の応答として特定される更新データは、更新要求エリア内の車載地図データを漏れなく更新するための基点更新原子に加え、この基点更新原子が更新対象とする地図データに対し、その地図データと直接的な参照関係は無いが意味的に関連する地図データを更新対象として抽出される関連更新原子が含まれる。もちろん、関連更新原子が抽出されなければ、更新データの更新原子は基点更新原子のみとなる。
【0073】
地図データ取得部109は、表示処理部108,表示部107を介して、ユーザへ受信した更新データ概要を表示する(S1505)。
【0074】
次に、入力部103,入力受付部104を介して、表示した更新データ概要の中からユーザによる車載地図データベース106へ適用する更新データ(更新原子)の選択を受け付け、このユーザが選択した更新データ(更新原子)のIDを含む更新データ配信要求を、通信回線120を介して地図センタ102へ送信する(S1507)。
【0075】
そして、地図センタ102からの2次配信として、更新データ本体を受信する(S1508)。受信した更新データ本体は地図更新処理部105へ渡し、車載地図データベース106への更新適用を依頼する(S1509)。
【0076】
<地図センタの処理フロー>
図16は、本発明を適用した地図更新データ配信システムにおける地図センタ102の地図データ配信部111における処理フロー図である。地図データ配信部111では、通信回線120を通じて車載機101から更新データ確認要求および更新データ配信要求を受信する。そして、車載機101の要求に応じた更新データ概要および更新データ本体の配信準備が整うと、通信回線120を通じて車載機101へ更新データ概要および更新データ本体を配信する。
【0077】
以下、この処理フローの詳細について説明する。まず、地図データ配信部111は、車載機101からの更新データ確認要求を受信する(S1601)。
【0078】
次に、車載機101から受信した更新データ確認要求の中から、更新要求エリアのエリアIDと車載地図データベースにおけるそのエリアの地図データバージョンとを取り出し、これらを基点更新原子収集部112に渡して、基点更新原子収集部112により基点更新原子の抽出を依頼する。基点更新原子収集部112では、更新原子データベース114の更新原子管理テーブル901を検索して、「更新原子所属エリアID」カラム904に車載機から指定されたエリアIDを持ち、且つ、「更新原子Ver」カラム903に車載機から指定された地図データバージョンより大きい値を持つ更新原子を全て抽出する。ここで抽出された更新原子が基点更新原子となる(S1602)。
【0079】
次に、基点更新原子収集部112に対して、抽出された基点更新原子についての概要情報の収集を依頼する。基点更新原子収集部112では、抽出した全ての基点更新原子について、更新原子管理テーブル901から「更新原子ID」,「更新原子所属エリアID」,「更新原子座標」,「更新原子テキスト情報」の各カラムの値を取得する。これら取得した値が基点更新原子の概要情報となる(S1603)。
【0080】
次に、地図データ配信部111は、関連更新原子収集部116に関連更新原子の識別を依頼する。関連更新原子収集部116は、S1602で識別した全ての基点更新原子のIDを検索キーとして、更新原子関連テーブル601から関連更新原子IDと関連種類を取得する。ここで得た関連更新原子IDに対応する更新原子が関連更新原子となる(S1604)。
【0081】
次に、地図データ配信部111は、関連更新原子収集部116に、関連更新原子の概要情報の収集を依頼する。関連更新原子収集部116は、S1604で識別した全ての関連更新原子について、更新原子管理テーブル901から「更新原子ID」,「更新原子所属エリアID」,「更新原子座標」,「更新原子テキスト情報」の各カラムの値を取得する。これが関連更新原子の概要情報となる(S1605)。
【0082】
次に、地図データ配信部111は、S1603とS1605で取得した基点更新原子の概要情報と関連更新原子の概要情報を合わせて、更新データ概要として、車載機101へ配信する。この時、配信する概要情報の各々には、それが基点更新原子の概要情報か、関連更新原子の概要情報かを示す情報を付加する。例えば、基点・関連識別フラグとして、基点更新原子の概要情報であれば値‘0’、関連更新原子の概要情報であれば値‘1’の1ビットの情報を付加して配信する(1次配信)(S1606)。
【0083】
次に、地図データ配信部111は、車載機101から、ユーザが更新データ本体の配信を要求する対象として選んだ更新原子のID一覧を含む更新データ配信要求がくるのを待つ。この時、所定時間の間に車載機101から更新データ配信要求が来ないならばこの処理フローを終了し、要求があるなら次のステップS1608へ進む(S1607)。
【0084】
次に、地図データ配信部111は、S1607で車載機101から受信した更新データ配信要求から、ユーザが更新データ本体の配信を要求する対象として選んだ更新原子のID一覧を取り出し、これを基点更新原子収集部112と関連更新原子収集部116に渡して、ユーザが所望する基点更新原子および関連更新原子を、更新原子データベース114から取得する。ここで取得した更新原子が更新データの実体である更新データ本体となる(S1608)。前述のように、関連更新原子が抽出されなければ、更新データの更新原子は基点更新原子のみとなる。
【0085】
次に、地図データ配信部111は、S1608で収集した更新データ本体を、通信回線120を通じ、車載機101へ配信する(2次配信)。なおこの時、概要情報を配信する場合と同様に、配信する更新データ本体の各々の更新原子には、それが基点更新原子として識別されたものか、関連更新原子として識別されたものかを示す基点・関連識別フラグとして1ビットの情報を付加する(S1609)。基点・関連識別フラグは、例えば、基点更新原子であれば値‘0’、関連更新原子であれば値‘1’とする。
【0086】
そして、地図データ配信部111は、車載機101からの更新データ確認要求受信を待機する状態となる。
【0087】
<更新原子関連テーブルの「名称関連」レコード生成フロー>
図17は、本発明の一実施形態が適用された地図更新データ配信システムの内、地図センタ102の更新原子生成部113において、更新原子関連テーブル601の「関連種類」カラム604の値が“名称関連”となるデータレコードを新規に生成して追加登録する処理フローを説明するための図である。この処理は、新しいバージョンのマスタ地図データがリリースされ、新しい更新原子が一通り生成された時に実行される。
【0088】
まず、更新原子生成部113は、更新原子管理テーブル901のレコードから、「原子内名称データ」カラム908に同じ単語を含み、且つ、「更新原子座標」カラム905の値から求める2つの更新原子間の距離が20km以下となるレコードの組(α,β)を全て検索する。これは、異なる更新原子が「原子内名称データ」カラム908に同じ単語を含む場合、それらの更新原子は同一あるいは同種の地物に関与する可能性が高く、意味的に関連する可能性が高い、という一般的傾向に、地理的にある程度近い方が意味的に関連する可能性が高いという一般的傾向も考慮し、2つの更新原子間の距離が所定以下であるような更新原子を抽出している。またここでは更新原子間の距離として20km以下の更新原子を対象としたが、この値は適切にチューニングされるのが望ましい(S1701)。
【0089】
次に、更新原子生成部113は、S1701で抽出されたレコードの組(α,β)全てについて、更新原子関連テーブル601に対し、「基点更新原子ID」,「関連更新原子ID」,「関連種類」の各カラムの値が[αの更新原子ID,βの更新原子ID,“名称関連”]であるレコードが、まだ更新原子関連テーブル601に登録されていないことを確認の上、このレコードを新規登録する。(S1702)。
【0090】
<原子内名称データ生成フロー>
図18は、本発明の一実施形態が適用された地図更新データ配信システムの内、地図センタ102の更新原子生成部113において、差分オブジェクト管理テーブル1001内の「差分オブジェクト内名称データ」カラム1008、及び更新原子管理テーブル901内の「原子内名称データ」カラム908に格納するデータを生成し、これらのカラムの内容を更新する処理フローを説明するための図である。この処理は、新しいバージョンのマスタ地図データがリリースされ、新しいバージョンの更新原子が一通り生成された時に実行される。
【0091】
まず、更新原子生成部113は、更新原子管理テーブル901を参照し、「原子内名称データ」カラム908の値が未生成の更新原子を全て識別する(S1801)。
【0092】
次に、更新原子生成部113は、S1801で識別した更新原子について未処理の更新原子がなくなるまで更新原子処理のループを実行する(S1802)。更新原子処理のループでは、まず未注目の更新原子の一つに注目し(S1803)、注目している更新原子が含む差分オブジェクトを全て識別する(S1804)。
【0093】
次に、更新原子生成部113は、識別した差分オブジェクトについて未処理の差分オブジェクトがなくなるまで差分オブジェクト処理のループを実行する(S1805)。差分オブジェクト処理のループでは、まず未処理の差分オブジェクトの1つに注目する(S1806)。そして、道路差分オブジェクトテーブル1101,誘導情報差分オブジェクトテーブル1201,POI差分オブジェクトテーブル1301の3つの差分オブジェクトテーブルのうち、注目している差分オブジェクトに対応する差分オブジェクトテーブルに注目する(S1807)。この注目している差分オブジェクトテーブルにおいて、文字データを格納するカラムを全て識別する(S1808)。
【0094】
次に、更新原子生成部113は、識別したカラムについて、未処理のカラムがなくなるまでカラム処理のループを実行する(S1809)。カラム処理のループでは、まず未注目のカラムの1つに注目する(S18010)。次に、注目する差分オブジェクトの注目しているカラムに収録された文字データから名称データを全て取得する。これは例えば、公知技術の形態素解析アルゴリズムを用いて、取得した文字データを解析し、名詞を抽出すれば良い(S1811)。
【0095】
注目している差分オブジェクトについて、対応する差分オブジェクトテーブルの全ての文字列を格納するカラムに格納されている名称データを全て取得するカラム処理のループが終了すると、次に、更新原子生成部113は、現在注目している差分オブジェクトに関して取得した全ての名称データについて、重複する物が無いように1つにまとめ、その結果得られた名称データの集合を、差分オブジェクト管理テーブル1001の現在注目している差分オブジェクトに対応するレコードの「差分オブジェクト内名称データ」カラム1009に格納する(S1812)。
【0096】
注目する更新原子に含まれる全ての差分オブジェクトについて名称データを取得する差分オブジェクト処理のループが終わると、次に、更新原子生成部113は、現在注目している更新原子に関して取得した全ての名称データについて、重複する物が無いように1つにまとめ、その結果得られた名称データの集合を、更新原子管理テーブル901の現在注目している更新原子に対応するレコードの「原子内名称データ」カラム908に格納する(S1813)。
【0097】
そして全ての識別した更新原子について処理を行う更新原子処理のループが終わると、処理フローを完了する。
【0098】
<更新原子関連テーブルの「道路リンク関連」レコード生成フロー>
図19は、本発明の一実施形態が適用された地図更新データ配信システムの内、地図センタ102の更新原子生成部113において、更新原子関連テーブル601に追加登録するデータレコードであって、「関連種類」カラム604の値が“道路リンク関連”となるデータレコードを新規に生成する処理フローを説明するための図である。この処理は、新しいバージョンのマスタ地図データがリリースされ、新しいバージョンのマスタ地図データに差分更新するための更新原子が一通り生成された時に実行される。
【0099】
まず、更新原子生成部113は、更新原子管理テーブル901において、「原子内リンクID」カラム909に、‘NULL’でないデータを持つ更新原子のレコードを全て識別する(S1901)。
【0100】
次に、更新原子生成部113は、S1901で識別した更新原子について、未処理の更新原子がなくなるまで更新原子処理のループを実行する(S1902)。更新原子処理のループではまず、S1901で識別した更新原子の内、1つの未注目の更新原子に注目する(S1903)。そして、注目した更新原子が「原子内リンクID」カラムに含むリンクIDを全て識別する(S1904)。次に、道路リンク関連テーブル701において、「基点リンクID」カラム702にS1904で識別したリンクIDのいずれかを持つレコードを全て識別し、それらの関連リンクIDを全て取得する。この際、関連リンクIDに重複が無いように1つにまとめる(S1905)。
【0101】
次に、更新原子生成部113は、更新原子管理テーブル901において、「原子内リンクID」カラム909に、S1905で取得した関連リンクIDのいずれかを持ち、且つ、更新原子間の距離が現在注目している更新原子に対し20km以内であるような更新原子を全て識別し、その更新原子IDを取得する。この際、更新原子IDが重複しないように1つにまとめる。これにより、現在注目している更新原子を基点更新原子として“道路リンク関連”のある関連更新原子が全て識別される(S1906)。
【0102】
次に、更新原子生成部113は、S1906で取得した関連更新原子の内、未処理の関連更新原子がなくなるまで更新原子関連テーブル登録処理のループを実行する(S1907)。更新原子関連テーブル登録処理のループでは、まずS1906で取得した関連更新原子の内、未処理の関連更新原子の1つに注目する(S1908)。そして、更新原子関連テーブル601に対して、「基点更新原子ID」カラムにS1903で注目した基点更新原子のIDを、「関連更新原子ID」カラムにはS1908で注目した関連更新原子のIDを、そして「関連種類」カラムには“道路リンク関連”の値を設定したレコードが、未登録であれば新規に追加を登録する(S1909)。
【0103】
<原子内リンクID生成フロー>
図20は、本発明の一実施形態が適用された地図更新データ配信システムの内、地図センタ102の更新原子生成部113において、差分オブジェクト管理テーブル1001内の「差分オブジェクト内リンクID」カラム1010、及び、更新原子管理テーブル901内の「原子内リンクID」カラム909に格納するデータを生成し、これらのカラムの内容を更新する処理フローを説明するための図である。この処理は、新しいバージョンのマスタ地図データがリリースされ、新しいバージョンのマスタ地図データに差分更新するための更新原子が一通り生成された時に実行される。
【0104】
まず、更新原子生成部113は、更新原子管理テーブル901を参照し、「原子内リンクID」カラム909の値が未生成の更新原子を全て識別する(S2001)。
【0105】
次に、更新原子生成部113は、S2001で識別した更新原子について未処理の更新原子がなくなるまで更新原子処理のループを実行する(S2002)。更新原子処理のループでは、まず未注目の更新原子の一つに注目し(S2003)、注目している更新原子が含む差分オブジェクトを全て識別する(S2004)。
【0106】
次に、更新原子生成部113は、識別した差分オブジェクトについて未処理の差分オブジェクトがなくなるまで差分オブジェクト処理のループを実行する(S2005)。差分オブジェクト処理のループでは、まず未処理の差分オブジェクトの1つに注目する(S2006)。そして、道路差分オブジェクトテーブル1101,誘導情報差分オブジェクトテーブル1201,POI差分オブジェクトテーブル1301の3つの差分オブジェクトテーブルのうち、注目している差分オブジェクトに対応する差分オブジェクトテーブルに注目する(S2007)。この注目している差分オブジェクトテーブルにおいて、リンクIDを格納するカラムを全て識別する(S2008)。
【0107】
次に、更新原子生成部113は、識別したカラムについて、未処理のカラムがなくなるまでカラム処理のループを実行する(S2009)。カラム処理のループでは、まず未注目のカラムの1つに注目する(S2010)。次に、注目しているカラムに収録されたリンクIDを取得する(S2011)。
【0108】
注目している差分オブジェクトについて、対応する差分オブジェクトテーブルの全てのリンクIDを格納するカラムから、格納されているリンクIDを取得するカラム処理のループが終了すると、次に、更新原子生成部113は、現在注目している差分オブジェクトに関して取得した全てのリンクIDについて、重複する物が無いように1つにまとめ、その結果得られたリンクIDの集合を、差分オブジェクト管理テーブル1001の現在注目している差分オブジェクトに対応するレコードの「差分オブジェクト内リンクID」カラム1010に格納する(S2012)。
【0109】
注目する更新原子に含まれる全ての差分オブジェクトについて含まれる全てのリンクIDを取得する差分オブジェクト処理のループが終わると、次に、更新原子生成部113は、現在注目している更新原子に関して取得した全てのリンクIDについて、重複する物が無いように1つにまとめ、その結果得られたリンクIDの集合を、更新原子管理テーブル901の現在注目している更新原子に対応するレコードの「原子内リンクID」カラム909に格納する(S2013)。
【0110】
そして全ての識別した更新原子について処理を行う更新原子処理のループが終わると、処理フローを完了する。
【0111】
<更新原子関連テーブルの「カテゴリ関連」レコード生成フロー>
図21は、本発明の一実施形態が適用された地図更新データ配信システムの内、地図センタ102の更新原子生成部113において、更新原子関連テーブル601に追加登録するデータレコードであって、「関連種類」カラム604の値が“カテゴリ関連”となるデータレコードを新規に生成する処理フローを説明するための図である。この処理は、新しいバージョンのマスタ地図データがリリースされ、新しいバージョンのマスタ地図データに差分更新するための更新原子が一通り生成された時に実行される。
【0112】
まず、更新原子生成部113は、更新原子管理テーブル901において、「原子内カテゴリID」カラム910に、‘NULL’でないデータを持つ更新原子のレコードを全て識別する(S2101)。
【0113】
次に、更新原子生成部113は、S2101で識別した更新原子について、未処理の更新原子がなくなるまで更新原子処理のループを実行する(S2102)。更新原子処理のループではまず、S2101で識別した更新原子の内、1つの未注目の更新原子に注目する(S2103)。そして、注目した更新原子が「原子内カテゴリID」カラム910に含む施設カテゴリIDを全て識別する(S2104)。次に、カテゴリ関連テーブル801において、「基点施設カテゴリ」カラム802にS2104で識別した施設カテゴリIDのいずれかを持つレコードを全て識別し、それらの「関連施設カテゴリ」カラム803の施設カテゴリIDを全て取得する。この際、施設カテゴリIDに重複が無いように1つにまとめ、これを関連施設カテゴリIDとする(S2105)。
【0114】
次に、更新原子生成部113は、更新原子管理テーブル901において、「原子内カテゴリID」カラム910に、S2105で取得した関連施設カテゴリIDのいずれかを持ち、且つ、更新原子間の距離が現在注目している更新原子に対し20km以内であるような更新原子を全て識別し、その更新原子IDを取得する。この際、更新原子IDが重複しないように1つにまとめる。これにより、現在注目している更新原子を基点更新原子として“カテゴリ関連”のある関連更新原子が全て識別される(S2106)。
【0115】
次に、更新原子生成部113は、S2106で取得した関連更新原子の内、未処理の関連更新原子がなくなるまで更新原子関連テーブル登録処理のループを実行する(S2107)。更新原子関連テーブル登録処理のループでは、まずS2106で取得した関連更新原子の内、未処理の関連更新原子の1つに注目する(S2108)。そして、更新原子関連テーブル601に対して、「基点更新原子ID」カラムにS2103で注目した基点更新原子のIDを、「関連更新原子ID」カラムにはS2108で注目した関連更新原子のIDを、そして「関連種類」カラムには“カテゴリ関連”の値を設定したレコードが、未登録であれば新規に追加を登録する(S2109)。
【0116】
<原子内カテゴリID生成フロー>
図22は、本発明の一実施形態が適用された地図更新データ配信システムの内、地図センタ102の更新原子生成部113において、差分オブジェクト管理テーブル1001内の「差分オブジェクト内カテゴリID」カラム1011、及び、更新原子管理テーブル901内の「原子内カテゴリID」カラム910に格納するデータを生成し、これらのカラムの内容を更新する処理フローを説明するための図である。この処理は、新しいバージョンのマスタ地図データがリリースされ、新しいバージョンのマスタ地図データに差分更新するための更新原子が一通り生成された時に実行される。
【0117】
まず、更新原子生成部113は、更新原子管理テーブル901を参照し、「原子内カテゴリID」カラム910の値が未生成の更新原子を全て識別する(S2201)。
【0118】
次に、更新原子生成部113は、S2201で識別した更新原子について未処理の更新原子がなくなるまで更新原子処理のループを実行する(S2202)。更新原子処理のループでは、まず未注目の更新原子の一つに注目し(S2203)、注目している更新原子が含む差分オブジェクトを全て識別する(S2204)。
【0119】
次に、更新原子生成部113は、識別した差分オブジェクトについて未処理の差分オブジェクトがなくなるまで差分オブジェクト処理のループを実行する(S2205)。差分オブジェクト処理のループでは、まず未処理の差分オブジェクトの1つに注目する(S2206)。そして、道路差分オブジェクトテーブル1101,誘導情報差分オブジェクトテーブル1201,POI差分オブジェクトテーブル1301の3つの差分オブジェクトテーブルのうち、注目している差分オブジェクトに対応する差分オブジェクトテーブルに注目する(S2207)。この注目している差分オブジェクトテーブルにおいて、施設カテゴリIDを格納するカラムを全て識別する(S2208)。
【0120】
次に、更新原子生成部113は、識別したカラムについて、未処理のカラムがなくなるまでカラム処理のループを実行する(S2209)。カラム処理のループでは、まず未注目のカラムの1つに注目する(S2210)。次に、注目しているカラムに収録された施設カテゴリIDを取得する(S2211)。
【0121】
注目している差分オブジェクトについて、対応する差分オブジェクトテーブルの全ての施設カテゴリIDを格納するカラムから、格納されている施設カテゴリIDを取得するカラム処理のループが終了すると、次に、更新原子生成部113は、現在注目している差分オブジェクトに関して取得した全ての施設カテゴリIDについて、重複する物が無いように1つにまとめ、その結果得られた施設カテゴリIDの集合を、差分オブジェクト管理テーブル1001の現在注目している差分オブジェクトに対応するレコードの「差分オブジェクト内カテゴリID」カラム1011に格納する(S2212)。
【0122】
注目する更新原子に含まれる全ての差分オブジェクトについて含まれる全ての施設カテゴリIDを取得する差分オブジェクト処理のループが終わると、次に、更新原子生成部113は、現在注目している更新原子に関して取得した全ての施設カテゴリIDについて、重複する物が無いように1つにまとめ、その結果得られた施設カテゴリIDの集合を、更新原子管理テーブル901の現在注目している更新原子に対応するレコードの「原子内カテゴリID」カラム910に格納する(S2213)。
【0123】
そして全ての識別した更新原子について処理を行う更新原子処理のループが終わると、処理フローを完了する。
【0124】
<画面表示>
図15の処理フロー内のS1501において、ユーザから更新要求エリアの入力を受け付ける車載機101の操作画面について、以下で図23,図24を用いて説明する。
【0125】
図23は、カーナビメニュー画面のうち、例えば2km四方の様な狭域の地図区画を対象として差分更新を行うための差分更新メニュー画面の一例を示したものであり、車載機101の入力部103と表示部107を、タッチパネルモニタ2301で実現した例である。タッチパネルモニタ2301は、タッチモニタ部2305,メニューボタン2302,現在地ボタン2303,戻るボタン2304で構成される。メニューボタン2302は、カーナビメニュー画面をタッチモニタ部2305に表示するためのハードウェアスイッチであり、現在地ボタン2303は、自車位置を重畳した地図画面をタッチモニタ部2305に表示するためのハードウェアスイッチであり、戻るボタン2304は、1つ前に表示されていた画面をタッチモニタ部2305に表示するためのハードウェアスイッチである。
【0126】
タッチモニタ部2305の画面表示内容は、画面タイトルを示す“差分更新メニュー”の文字列2306と、「現在地周辺」ボタン2307,「住所で選ぶ」ボタン2308,「その他」ボタン2309を含む。「現在地周辺」ボタン2307をタッチすると、図24に示す現在地周辺の地図表示を伴う「更新要求エリア」設定画面が表示され、現在地周辺の車載地図データを差分更新する処理に進む。また、「住所で選ぶ」ボタン2308をタッチすると、図示しないメニュー画面が表示され、更新対象とするエリアを住所で選ぶ処理に進む。また、「その他」ボタン2309をタッチすると、図示しないメニュー画面が表示され、更新対象とするエリアをその他の方法で選ぶ処理に進む。
【0127】
図24は、「現在地周辺」ボタン2307の選択により表示される、現在地周辺の地図表示を伴う「更新要求エリア」設定画面の一例を示した図である。タッチモニタ部2405の画面表示内容は、画面タイトルを示す“更新要求エリア設定”の文字列2406と、自車の現在地と向きを示す「自車マーク」2407,更新要求エリアの候補エリアをユーザが目視確認できるよう地図に重畳表示される破線矩形2408,「更新データ確認要求」ボタン2409を含む。
【0128】
タッチモニタ部2405に表示される地図表示上の破線矩形2408の領域が更新要求エリアとして適切だとユーザが判断したならば、更新データ確認要求ボタン2409をタッチすることで、通信回線120を通じ地図センタ102へ、破線矩形2408に該当するエリアを更新要求エリアとする更新データ確認要求のメッセージが送信される。破線矩形2408の領域とは別の領域を更新要求エリアとして設定したいならば、地図をスクロールして破線矩形の領域を変更し、更新データ確認要求ボタン2409をタッチする。地図スクロールは、地図上の中心としたい位置をタッチする等の操作方法で操作する。
【0129】
<更新概要表示・更新対象選択画面>
続いて、図15に示す車載機101の処理フローのS1505において表示される、更新要求エリアに関する更新データ概要の表示画面と、地図センタに対し更新データ本体の配信を要求する更新原子の選択指示を入力する際の操作画面について、以下で図4を用いて説明する。図4に示したタッチパネルモニタのタッチモニタ部に表示される画面404は、地図表示による「更新概要表示・更新対象選択」画面であり、画面424はリスト表示による「更新概要表示・更新対象選択」画面である。
【0130】
画面404には、画面タイトルを示す“更新概要表示・更新対象選択”の文字列401と、リスト表示画面に切替えるための「リスト表示」ボタン408と、地図表示領域403と、「更新対象の選択状態」表示領域405が表示される。そして「リスト表示」ボタン408をタッチすると、「更新概要表示・更新対象選択」画面は、リスト表示による「更新概要表示・更新対象選択」画面424に切り替わる。この画面404を用いることで、ユーザは、図16のS1606の処理で地図センタ102から配信された、更新データ概要に含まれる基点更新原子の概要情報と関連更新原子の概要情報を地図上の対応する位置に表示させて確認しつつ、図15のS1507の処理で地図センタ102に対し更新データ本体の配信を要求する更新原子を選択する。
【0131】
地図表示領域403は、例えば縮尺表示412と共に自車位置を中心とする所定の縮尺の地図を表示し、そこに、地図センタ102から配信された、更新データ概要に含まれる基点更新原子の概要情報と関連更新原子の概要情報を重畳表示する。この地図表示領域403は、地図スクロールや縮尺変更の機能を備えているのが望ましい。重畳表示は例えば、前述の概要情報に含まれる更新原子座標の情報を元に個々の更新原子の位置を地図上に示す破線円(409,411)を表示したり、この破線円に添えて、前述の概要情報に含まれる更新原子テキスト情報のテキスト(406,407)を表示する。さらに、個々の更新原子について基点・関連識別フラグを元に更新原子が基点更新原子であるか関連更新原子であるか識別し、基点更新原子と関連更新原子の区別を表示する様にする。この画面では、<基点>や<関連>の様にテキスト表示する例を示す。そして、表示された個々の更新原子について、地図センタ102に対し更新データ本体の配信を要求するか否かの選択をできる様にする。ここでは一例として各更新原子に対してチェックボックスを設ける例を示しており、チェックの有/無で対応する更新原子の選択/非選択を指定できる様にしている。
【0132】
なお、基点更新原子は、最初にユーザが指定した更新要求エリアの地図要素を漏れなく矛盾なく差分更新するために必須の更新原子であるため、更新その物をキャンセルするのでなければ選択必須である。デフォルトではチェックボックスをチェック有とし、選択状態とする様にしても良い。また、関連更新原子はユーザが指定した更新要求エリアを漏れなく矛盾なく差分更新する上では必須でないため、関連更新原子についてはユーザにより適宜選択可能とすることで、ユーザにとって利便性の高い更新できるようにしてもよい。
【0133】
「更新対象の選択状態」表示領域405には、基点更新原子および関連更新原子の各々について、地図センタに対し更新データ本体の配信を要求するか否かを選択可能な更新原子の総数と、その内、現在選択されている更新原子の数とを基点更新原子と関連更新原子別に表示する。また、「更新対象の選択状態」表示領域405には、「決定」ボタン410が表示され、この「決定」ボタン410をタッチすることで、その時点で選択状態にある基点更新原子および関連更新原子が、図15のS1507の処理において地図センタ102に対し更新データ本体の配信を要求する更新原子として確定し、図15のS1507の処理が実行される。
【0134】
以上、地図表示による「更新概要表示・更新対象選択」画面404を用いることで、ユーザが、指定したエリアに対する更新処理が作用する地点がどこであるかの地図上での目視確認、及び、文字情報による更新内容の説明を確認しながら、基点更新原子適用の必要性判断、すなわち最初に指定した「更新要求エリア」を更新すること自体が本当に必要か否かの判断する事ができる効果がある。また、同時にユーザは、関連更新原子適用の必要性も、地図上での作用地点の目視確認、及び、文字情報による更新内容の説明を確認しながら、必要性を判断できる。
【0135】
画面424は、リスト表示による「更新概要表示・更新対象選択」画面である。この画面は、前述の画面404と相互補完的に利用される。前述の画面404が、個々の更新原子が地図上のどの位置に作用するかを一見して把握できる様にした画面であるのに対し、画面424は、選択可能な更新原子の全一覧を容易に把握できる様にした画面である。画面424には、画面タイトルを示す“更新概要表示・更新対象選択”の文字列401と、地図表示画面に切替えるための「地図表示」ボタン426と、リスト表示領域423と、「更新対象の選択状態」表示領域405が表示される。画面424内の、文字列401,領域405は、既に述べた画面404と同様である。「地図表示」ボタン426をタッチすると、画面404に表示形態が切り替わる。
【0136】
リスト表示領域423は、地図センタ102から受信した更新データ概要に含まれる基点更新原子の概要情報と関連更新原子の概要情報を、1行に更新原子1つの情報を表示した全一覧をリスト表示する。各更新原子について表示する情報としては、前述の地図表示領域403にてそれぞれの更新原子に対応させて表示したものと同様、更新原子の選択/非選択の状態,基点更新原子と関連更新原子の区別,更新原子に関する更新原子テキスト情報の文字列が表示される。このリスト表示による「更新概要表示・更新対象選択」画面424を設けることにより、選択可能な更新原子の全一覧をユーザが容易に把握できる。
【符号の説明】
【0137】
101 車載機
102 地図センタ
103 入力部
104 入力受付部
105 地図更新処理部
106 車載地図データベース
107 表示部
108 表示処理部
109 地図データ取得部
110 ナビ処理部
111 地図データ配信部
112 基点更新原子収集部
113 更新原子生成部
114 更新原子データベース
115 関連定義データベース
116 関連更新原子収集部
117 Ver1マスタ地図データベース
118 Ver2マスタ地図データベース
119 Ver3マスタ地図データベース
120 通信回線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワーク接続された端末の地図データを更新する地図更新システムにおける、前記端末からの要求に応じて前記地図データの更新データを送信する地図更新データ配信方法であって、
所定バージョンの地図データを他のバージョンの地図データへ地図要素毎に更新するための更新データ毎に、該地図要素の変更と整合をとる必要のある他の地図要素の更新データをまとめた更新単位データを記憶する更新データ単位記憶手段を備え、
前記端末から地図データの更新対象として指定された地図のエリアについて、更新対象となる地図要素を更新するための更新データ単位を前記更新データ単位記憶手段から検索して基点更新データとする処理と、
検索された各基点更新データについて、基点更新データに含まれる更新データの内容に関連性を有する他の更新データ単位を前記更新データ単位記憶手段から関連更新データとして検索する処理と、
前記基点更新データと前記関連更新データを前記端末へ配信する処理
を行うことを特徴とする地図更新システムにおける地図更新データ配信方法。
【請求項2】
請求項1に記載の地図更新データ配信方法であって、
前記関連更新データを検索する処理では、前記基点更新データに含まれる更新データが含む文字列データと同一の文字列データを含み、且つ、前記基点更新データの地図要素と所定距離以下の範囲に存在する他の地図要素の更新データ単位を、当該基点更新データに対する関連更新データとする
ことを特徴とする地図更新データ配信方法。
【請求項3】
請求項1に記載の地図更新データ配信方法であって、
前記地図更新システムは、地図要素のデータの関連性を定義した関連性情報として一の道路リンクデータと別の道路リンクデータとの関連性を定義した道路リンク関連情報記憶手段を更に備え、
前記関連更新データを検索する処理では、前記基点更新データに含まれる道路リンクデータについて、前記道路リンク関連情報記憶手段に関連性が定義されている道路リンクデータを含み、且つ、前記基点更新データの地図要素と所定距離以下の範囲に存在する他の地図要素の更新データ単位を、当該基点更新データに対する関連更新データとする
ことを特徴とする地図更新データ配信方法。
【請求項4】
請求項1に記載の地図更新データ配信方法であって、
前記地図更新システムは、地図要素のデータの関連性を定義した関連性情報として一の施設データが属す施設カテゴリと別の施設カテゴリとの関連性を定義した施設カテゴリ関連情報記憶手段を更に備え、
前記関連更新データを検索する処理では、前記基点更新データに含まれる施設データについて、前記施設カテゴリ関連情報記憶手段に関連性が定義されている施設カテゴリに属する施設データを含み、且つ、前記基点更新データの地図要素と所定距離以下の範囲に存在する他の地図要素の更新データ単位を、当該基点更新データに対する関連更新データとする
ことを特徴とする地図更新データ配信方法。
【請求項5】
ネットワーク接続された端末の地図データを更新する地図更新システムにおける、前記端末からの要求に応じて前記地図データの更新データを送信する地図更新データ配信装置であって、
所定バージョンの地図データを他のバージョンの地図データへ地図要素毎に更新するための更新データ毎に、該地図要素の変更と整合をとる必要のある他の地図要素の更新データをまとめた更新単位データを記憶する更新データ単位記憶手段を備え、
前記端末から地図データの更新対象として指定された地図のエリアについて、更新対象となる地図要素を更新するための更新データ単位を基点更新データとして前記更新データ単位記憶手段から検索する基点更新データ検索手段と、
検索された各基点更新データについて、基点更新データに含まれる更新データの内容に関連性を有する他の更新データ単位を関連更新データとして前記更新データ単位記憶手段から検索する関連更新データ検索手段と、
前記基点更新データと前記関連更新データを前記端末へ配信する地図データ配信手段
を備えることを特徴とする地図更新システムにおける地図更新データ配信装置。
【請求項6】
請求項5に記載の地図更新データ配信装置であって、
前記関連更新データ検索手段は、前記基点更新データに含まれる更新データが含む文字列データと同一の文字列データを含み、且つ、前記基点更新データの地図要素と所定距離以下の範囲に存在する他の地図要素の更新データ単位を検索する
ことを特徴とする地図更新データ配信装置。
【請求項7】
請求項5に記載の地図更新データ配信装置であって、
地図要素のデータの関連性を定義した関連性情報として一の道路リンクデータと別の道路リンクデータとの関連性を定義した道路リンク関連情報記憶手段を更に備え、
前記関連更新データ検索手段は、前記基点更新データに含まれる道路リンクデータについて、前記道路リンク関連情報記憶手段に関連性が定義されている道路リンクデータを含み、且つ、前記基点更新データの地図要素と所定距離以下の範囲に存在する他の地図要素の更新データ単位を検索する
ことを特徴とする地図更新データ配信装置。
【請求項8】
請求項5に記載の地図更新データ配信装置であって、
地図要素のデータの関連性を定義した関連性情報として一の施設データが属す施設カテゴリと別の施設カテゴリとの関連性を定義した施設カテゴリ関連情報記憶手段を更に備え、
前記関連更新データ検索手段は、前記基点更新データに含まれる施設データについて、前記施設カテゴリ関連情報記憶手段に関連性が定義されている施設カテゴリに属する施設データを含み、且つ、前記基点更新データの地図要素と所定距離以下の範囲に存在する他の地図要素の更新データ単位を検索する
ことを特徴とする地図更新データ配信装置。
【請求項9】
地図データベースに格納された所定バージョンの地図データを地図データ取得部により取得した地図要素毎に他のバージョンの地図データへ更新する地図更新処理部を備えた端末装置であって、
前記地図更新処理部は、前記地図データ取得部で地図要素毎に地図データを更新する為の更新データ毎に、該地図要素の変更と整合をとる必要のある他の地図要素の更新データをまとめた更新単位データを取得して、当該更新単位データを用いて地図データの更新を行い、
前記地図データ取得部は、
入力手段を介してユーザから地図データの更新対象として指定された地図のエリアについて、地図センタに対して指定されたエリアの識別情報と前記地図データベースに格納された地図データのバージョンを含む更新データ確認要求を送って、更新対象となる地図要素を更新するための更新データ単位である基点更新データと、前記各基点更新データに含まれる更新データの内容に関連性を有する他の更新データ単位である関連更新データとの概要情報を更新データ概要として受信し、
前記更新データ概要を表示部に表示して、更新対象とする更新データ単位の指定をユーザから受け付け、
指定された更新データ単位の識別情報を含む更新データ配信要求を地図センタへ送信して、前記地図更新処理部により地図データの更新を行うための更新単位データを取得する
ことを特徴とする地図更新システムにおける端末装置。
【請求項10】
請求項9に記載の端末装置であって、
前記更新データ概要を前記表示部に表示した、更新対象とする更新データ単位の指定を受け付ける際には、概要が表示されている前記基点更新データと前記関連更新データについて、それぞれの選択状態が前記表示部に表示される
ことを特徴とする端末装置。
【請求項11】
請求項9に記載の端末装置であって、
前記関連更新データは、前記基点更新データに含まれる更新データが含む文字列データと同一の文字列データを含み、且つ、前記基点更新データの地図要素と所定距離以下の範囲に存在する他の地図要素の更新データ単位である
ことを特徴とする端末装置。
【請求項12】
請求項9に記載の端末装置であって、
前記更新データ確認要求に応じた受信する更新データ概要の対象に含まれる関連更新データは、
当該更新データ確認要求で指定されたエリアに属する基点更新データに含まれる道路リンクデータについて、関連性が定義されている他の道路リンクデータを含み、且つ、当該基点更新データの地図要素と所定距離以下の範囲に存在する他の地図要素の更新データ単位である
ことを特徴とする端末装置。
【請求項13】
請求項9に記載の端末装置であって、
前記更新データ確認要求に応じた受信する更新データ概要の対象に含まれる関連更新データは、
当該更新データ確認要求で指定されたエリアに属する基点更新データに含まれる施設データについて、当該各施設データが属する施設カテゴリとの関連性が定義された別の施設カテゴリに属する施設データを含み、且つ、当該基点更新データの地図要素と所定距離以下の範囲に存在する他の地図要素の更新データ単位である
ことを特徴とする端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2011−149748(P2011−149748A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−9617(P2010−9617)
【出願日】平成22年1月20日(2010.1.20)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】