説明

地図更新データ供給装置及び地図更新データ供給プログラム

【課題】道路ネットワークの保障を行うと共に最新の地図更新データをデータ量を低減して供給する地図更新データ供給装置を提供する。
【解決手段】更新要求に基づき、要求更新区画及び最新バージョンの上書更新用の上書更新データファイルMcを抽出する要求更新データ抽出手段10と、隣接する区画のネットワーク保証を行う保障更新区画及び更新保障バージョンまでの差分更新データファイルMaを抽出する保障更新データ抽出手段11と、を備え、抽出したデータファイルをナビゲーション装置に供給する地図更新データ供給装置1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図データを備えるナビゲーション装置に対して、地図データの更新用のデータを供給する地図更新データ供給装置及び地図更新データ供給プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
これまでにも、ナビゲーション装置に使用される道路地図等の地図データの内容を部分的に更新する技術が知られている。例えば、下記の特許文献1に記載の装置では、新たに造られた道路について、当該新設道路が既存の幹線道路と繋がる部分までを1つのデータ群として保持するために、当該新設道路を構成する一連のリンク番号を格納したデータ群テーブルを備えている。そして、ナビゲーション装置から、複数の区画に分割された地図データの一部の区画の更新要求があった場合に、前記データ群テーブルに格納された新設道路が当該更新要求のあった区画以外にも延びている場合には、前記データ群テーブルを参照して当該新設道路の全体の更新情報をナビゲーション装置に提供する構成となっている。
【0003】
これにより、ナビゲーション装置から指定された地図データの一部の区画について更新情報を提供した場合であっても、隣接する区画との間で道路が途切れることを防止できる。したがって、一部の区画についての更新後にも、適切な経路探索が可能となり、更には地図表示の見栄えも良くすることが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−178248号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記の特許文献1に記載の装置では、データ群テーブルは、新設道路を構成する一連のリンク番号を格納する構成となっているために、多数の新設道路がある場合や新設道路の長さが長い場合等には、データ群テーブルに登録されるリンク番号等の情報数が多くなり、データ群テーブルのデータ量も多くなるという問題がある。
【0006】
また、データ群テーブルは、新設道路を構成する一連のリンク番号を格納する構成となっているために、更新要求があった区画以外の区画において、当該新設道路に関連して以前から存在する道路が変更されている場合に、その変更箇所までを適切に更新することができないという問題がある。したがって、新設道路と以前から存在する道路との接続関係等が適正とならず、経路探索等が適切に行えない場合が生じ得るという問題がある。
【0007】
ところで、ナビゲーション装置へ供給する更新データのデータ量を低減するために、ナビゲーション装置が有する地図データに対する変更箇所のみの差分更新データを供給する構成とする場合がある。この場合において、更新要求のあった区画以外にも延びている道路についての更新データが複数バージョンの差分更新データにわたっている場合は、上記のようなデータ群テーブルを生成することが困難になるという問題がある。
また、差分更新データを供給する場合において、同じ区画を対象として複数バージョンの差分更新データを送信することも考えられる。このような場合において、複数バージョンの差分更新データをそのまま送信すると、異なるバージョン間で重複するデータが供給されることになり、供給データ量が多くなるとともに重複する更新処理が行われる分だけナビゲーション装置における処理負荷が大きくなるという問題がある。
【0008】
そこで、ナビゲーション装置の地図データの差分更新を行う場合に、更新対象の区画とそれ以外の区画との間の道路ネットワークの繋がりを保障できると共に、地図データの更新のために要する時間や処理負荷を低減することができる地図更新データ供給装置及び地図更新データ供給プログラムの実現が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための本発明に係る、少なくとも道路ネットワークの情報を含むと共に複数の区画に分割された地図データベースを有するナビゲーション装置に対して、前記地図データベースの更新用のデータを供給する地図更新データ供給装置の特徴構成は、前記地図データベースの更新データファイルを区画毎にバージョン管理すると共に、最新バージョンの上書更新用の更新データファイルである上書更新データファイルと、各バージョンの差分更新用の更新データファイルである差分更新データファイルとを区画毎に格納する更新用地図データベースと、前記ナビゲーション装置からの更新要求に基づき、上書更新を行う区画である要求更新区画を抽出し、当該要求更新区画のそれぞれについて前記上書更新データファイルを前記ナビゲーション装置に供給するデータファイルである第一供給データファイルとして抽出する要求更新データ抽出手段と、全ての前記要求更新区画を前記上書更新データファイルにより更新した場合に、隣接する区画間の道路ネットワークの繋がりを保障するために差分更新する必要がある区画である保障更新区画を抽出すると共に、当該保障更新区画のそれぞれについて、前記道路ネットワークの繋がりを保障するために差分更新する必要があるバージョンである更新保障バージョンまでの前記差分更新データファイルを前記ナビゲーション装置に供給するデータファイルである第二供給データファイルとして抽出する保障更新データ抽出手段と、前記要求更新データ抽出手段によって抽出された前記要求更新区画のそれぞれについての前記第一供給データファイル及び前記保障更新データ抽出手段によって抽出された前記保障更新区画のそれぞれについての前記第二供給データファイルを前記ナビゲーション装置に供給するデータ供給手段と、を備える点にある。
【0010】
この特徴構成によれば、ナビゲーション装置に対して、各要求更新区画について最新バージョンの上書更新データファイルを供給すると共に、要求更新区画範囲に隣接する区画間の道路ネットワークの繋がりを保障するために更新する必要がある保障更新区画及び更新保障バージョンを抽出して供給することができる。
これにより、要求更新区画の地図データベースを更新することにより生じる、要求更新区画の周辺における隣接する区画間の道路ネットワークの繋がりの不連続を解消することができ、道路ネットワークの繋がりを保障することができる。この際、保障更新区画の更新については、最新バージョンまでの更新データファイルでなく、道路ネットワークを保障するために更新する必要がある更新保障バージョンまでの更新データファイルを抽出して供給するため、要求更新区画範囲からより離れた区画になるに従って、更新保障バージョンが最新バージョンに比べてより古いバージョンとなっていき、保障更新区画が連鎖的に広がる区画範囲を狭くできる。このため、保障更新区画範囲及び保障更新区画の更新に係るバージョン数を必要最低限に抑制することができ、ネットワーク保障のための更新データ量を抑制でき、更新時間も低減できる。
また、要求更新区画について最新バージョンの上書更新データファイルを供給することにより、各要求更新区画の更新に係るバージョン数が多くなったとしても、供給するデータ量は大きく変動せず、データの配信時間を安定化できる。これは、上書更新データファイルは、各区画の地図データを構成する全てのデータを備えており、差分データに比べデータ量の変動が少ないためである。また、ナビゲーション装置における地図データの更新は、供給した各区画の上書更新データファイルを、対応する区画の地図データと入れ替える処理(上書更新)を行うだけなので、差分更新に際してデータユニット毎に逐次更新内容を判断して地図データを書き換える処理に比べ、ナビゲーション内での更新処理時間を大幅に短くできる。特に、供給するデータのバージョン数が多くなった場合は、差分更新の処理時間が大幅に増加するのに対し、上書更新の処理時間は短く、安定化できる。
従って、各要求更新区画に上書更新データファイルを供給する場合における、ナビゲーション装置の地図データの更新にかかる更新時間は、差分更新用のデータを供給する場合に比べ、大幅に増加することもなく、常に安定化できる。よって、ナビゲーション装置の地図更新の快適性を向上できると共に、地図データ供給システムのシステム設計を容易化できる。
【0011】
ここで、前記要求更新データ抽出手段は、前記要求更新区画のそれぞれについて、前記最新バージョンまでの前記差分更新データファイルを抽出し、
前記要求更新区画のそれぞれについて、前記上書更新データファイルと前記最新バージョンまでの前記差分更新データファイルとを、更新時間に関連する所定の指標に基づき比較し、いずれによる更新時間が短いかを判定する更新時間判定手段を更に備え、
前記要求更新データ抽出手段は、前記更新時間判定手段が、前記最新バージョンまでの前記差分更新データファイルによる更新時間が前記上書更新データファイルによる更新時間より短いと判定した場合には、当該要求更新区画について、前記上書更新データファイルに代えて前記最新バージョンまでの前記差分更新データファイルを前記第一供給データファイルとして抽出する構成とすると好適である。
【0012】
この特徴構成によれば、各要求更新区画のそれぞれについて、ナビゲーション装置の地図データの更新にかかる時間が短くなるように、上書更新データファイルと差分更新データファイルとを更新時間に関連する所定の指標に基づき比較し、上書又は差分更新データファイルのいずれかを抽出して供給できるので、各区画の更新時間を短縮でき、全体として更新時間をより短縮できる。
例えば、更新に係るバージョン数が少ない各要求更新区画を差分更新として抽出し、ナビゲーション装置における更新処理時間の増加を抑制する共に、配信時間を低減し、全体としての更新時間を短縮できる。また、前回更新データ供給時と今回供給時との間隔が短い場合など、要求更新区画の全体にわたって更新に係るバージョン数が少ない場合は、差分更新として抽出できるため、更新時間を短縮できる。
なお、厳密に時間について判定するだけでなく、更新時間に関連する経済性、利便性などの指標も加味した指標により判定することにより、更新データ供給装置の経済性、利便性なども向上することができ、ユーザの満足度をより向上できる。
【0013】
ここで、前記データ供給手段は、データ量に応じた通信コストが異なる少なくとも2つのデータ供給方法を選択可能に備え、
前記要求更新データ抽出手段は、通信コストが高い方のデータ供給方法が選択された場合には、前記上書更新データファイルに代えて前記最新バージョンまでの前記差分更新データファイルを前記第一供給データファイルとして抽出する構成とすると好適である。
【0014】
この特徴構成によれば、データ量に応じた通信コストが高いデータ供給方法が選択された場合は、ナビゲーション装置に供給するデータ量が比較的小さくなる差分更新データファイルを供給するようにすることができ、経済性を優先的に向上することができる。
【0015】
ここで、前記要求更新データ抽出手段が抽出した前記要求更新区画のそれぞれについての前記最新バージョンまでの全ての前記差分更新データファイルを、前記要求更新区画毎に1つに統合して1回の差分更新用のデータファイルとした要求更新用統合データファイルを生成する統合データ生成手段を更に備え、
前記更新時間判定手段は、前記最新バージョンまでの前記差分更新データファイルに代えて、前記要求更新用統合データファイルを前記更新時間の比較対象として処理し、
前記要求更新データ抽出手段は、前記最新バージョンまでの前記差分更新データファイルに代えて、前記要求更新用統合データファイルを前記第一供給データファイルの抽出対象として処理する構成とすると好適である。
【0016】
この特徴構成によれば、要求更新区画のそれぞれについての最新バージョンまでの複数バージョンの差分更新用の更新データファイルを、要求更新区画毎に1つに統合して1回の差分更新用のデータファイルを生成し、最新バージョンまでの差分更新データファイルに代えて、更新時間の比較対象とするともに供給対象としているので、複数バージョンの差分更新データファイルをそのまま供給する場合に比べて、供給する差分更新データファイル数及びデータ量を低減することができ、配信時間及びナビゲーション装置内での更新処理時間を短縮することができる。
【0017】
ここで、前記保障更新データ抽出手段が抽出した前記保障更新区画のそれぞれについての前記更新保障バージョンまでの全ての前記差分更新データファイルを、前記保障更新区画毎に1つに統合して1回の差分更新用のデータファイルとした保障更新用統合データファイルを生成する統合データ生成手段を備え、
前記保障更新データ抽出手段は、前記更新保障バージョンまでの全ての前記差分更新データファイルに代えて、当該保障更新用統合データファイルを前記第二供給データファイルとして抽出する構成とすると好適である。
【0018】
この特徴構成によれば、保障更新区画のそれぞれについての更新保障バージョンまでの複数バージョンの差分更新用の更新データファイルを、保障更新区画毎に1つに統合して1回の差分更新用のデータファイルを生成し、更新保障バージョンまでの差分更新データファイルに代えて、ナビゲーション装置に供給するので、複数バージョンの差分更新データファイルをそのまま供給する場合に比べて、供給する差分更新データファイル数及びデータ量を低減することができ、配信時間及びナビゲーション装置内での更新処理時間を短縮することができる。
【0019】
ここで、前記更新用地図データベースの各区画とそれに隣接する区画との組み合わせである区画組に関連付けて、各区画組を構成する区画間の道路ネットワークの繋がりの保障が必要となった時の各区画の差分更新データファイルのバージョンを保障バージョンとして格納したバージョンテーブルを更に備え、
前記保障更新データ抽出手段は、前記バージョンテーブルと、前記要求更新区画と、各要求更新区画の最新バージョンとに基づいて、前記保障更新区画を抽出すると共に、当該保障更新区画のそれぞれについて前記更新保障バージョンの情報を取得し、当該更新保障バージョンまでの前記差分更新データファイルを抽出する構成とすると好適である。
【0020】
この特徴構成によれば、区画組に関連付けて保障バージョンの情報が格納された保障バージョンテーブルを用いているので、保障バージョンテーブルを検索する単純な処理で、保障更新区画と更新保障バージョンを抽出することができる。これにより、更新データ供給装置の演算負荷を低減することができ、更新データの供給時間の短縮、もしくは更新データ供給装置の低コスト化を図ることができる。
【0021】
また、本発明に係る、少なくとも道路ネットワークの情報を含むと共に複数の区画に分割された地図データベースを有するナビゲーション装置に対して、前記地図データベースの更新用のデータを供給するための地図更新データ供給プログラムの特徴構成は、前記地図データベースの更新データファイルを区画毎にバージョン管理すると共に、最新バージョンの上書更新用の更新データファイルである上書更新データファイルと、各バージョンの差分更新用の更新データファイルである差分更新データファイルとを区画毎に格納する更新用地図データベースを用い、
前記ナビゲーション装置からの更新要求に基づき、上書更新を行う区画である要求更新区画を抽出し、当該要求更新区画のそれぞれについて前記上書更新データファイルを前記ナビゲーション装置に供給するデータファイルである第一供給データファイルとして抽出する要求更新データ抽出ステップと、
全ての前記要求更新区画を前記上書更新データファイルにより更新した場合に、隣接する区画間の道路ネットワークの繋がりを保障するために差分更新する必要がある区画である保障更新区画を抽出すると共に、当該保障更新区画のそれぞれについて、前記道路ネットワークの繋がりを保障するために差分更新する必要があるバージョンである更新保障バージョンまでの前記差分更新データファイルを前記ナビゲーション装置に供給するデータファイルである第二供給データファイルとして抽出する保障更新データ抽出ステップと、
前記要求更新データ抽出ステップによって抽出された前記要求更新区画のそれぞれについての前記第一供給データファイル及び前記保障更新データ抽出ステップによって抽出された前記保障更新区画のそれぞれについての前記第二供給データファイルを前記ナビゲーション装置に供給するデータ供給ステップと、
をコンピュータに実行させる点にある。
【0022】
この特徴構成によれば、ナビゲーション装置に対して、各要求更新区画について最新バージョンの上書更新データファイルを供給すると共に、要求更新区画範囲に隣接する区画間の道路ネットワークの繋がりを保障するために更新する必要がある保障更新区画及び更新保障バージョンを抽出して供給することができる。
これにより、要求更新区画に隣接する区画間の道路ネットワークの繋がりの不連続を解消することができ、道路ネットワークの繋がりを保障することができる。また、保障更新区画の更新については、少なくとも最新バージョン以下のバージョンとなる更新保障バージョンを抽出して供給しているため、保障更新区画が連鎖的に広がる区画範囲を狭くでき、保障更新区画範囲及び更新に係るバージョン数を必要最低限に抑制することができ、ネットワーク保障のための更新データ量を抑制でき、更新時間も低減できる。
また、要求更新区画について最新バージョンの上書更新データファイルを供給することにより、各要求更新区画の更新に係るバージョン数が増減しても、配信時間及びナビゲーション装置内での更新処理時間など更新にかかる更新時間を安定化できる。また、ナビゲーション装置における地図データの更新は、供給した各区画の上書更新データファイルを、対応する区画の地図データと入れ替える処理(上書更新)を行うだけなので、差分更新処理に比べ、ナビゲーション内での更新処理時間を大幅に短くできる。
従って、ナビゲーション装置の地図更新の快適性を向上できると共に、地図データ供給システムのシステム設計を容易化できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施形態に係る地図更新データ供給装置のブロック図である。
【図2】本発明の実施形態に係るナビゲーション装置のブロック図である。
【図3】更新用地図データの構成を説明するための説明図である。
【図4】バージョンテーブルの一例を示す図である。
【図5】ナビゲーション装置が備える地図データを説明するための図である。
【図6】更新データのデータフォーマットの一例を示す図である。
【図7】管理データテーブルの一例を示す図である。
【図8】保障バージョンの決定方法を説明するための説明図である。
【図9】保障更新区画及び更新保障バージョンの抽出方法を説明するための説明図である。
【図10】保障更新区画及び更新保障バージョンの抽出方法を説明するための説明図である。
【図11】統合データファイルの生成方法を説明するための説明図である。
【図12】統合データファイルの生成方法を説明するための説明図である。
【図13】本発明の実施形態の作用効果を説明するための説明図である。
【図14】ナビゲーション装置が備える地図データを説明するための図である。
【図15】地図更新データ供給装置による各供給データファイルの生成・送信処理を示すフローチャートである。
【図16】要求更新データ抽出手段により行われる処理を示すフローチャートである。
【図17】保障更新データ抽出手段により行われる処理を示すフローチャートである。
【図18】統合データ生成手段により行われる処理を示すフローチャートである。
【図19】統合データ生成手段により行われる処理を示すフローチャートである。
【図20】データベース更新手段により行われる処理を示すフローチャートである。
【図21】バージョンテーブル更新手段により行われる処理を示すフローチャートである。
【図22】管理データベース更新手段により行われる処理を示すフローチャートである。
【図23】ナビゲーション装置における地図更新のための動作処理を示すフローチャートである。
【図24】本発明の実施形態の作用効果を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
〔第一の実施形態〕
本発明の第一の実施形態について図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態に係る地図更新データ供給装置1の構成を模式的に示すブロック図である。また、図2は、本実施形態に係るナビゲーション装置2の構成を模式的に示すブロック図である。本実施形態では、地図更新データ供給装置1とナビゲーション装置2とは、それぞれに通信装置6、46を備え、各種の通信ネットワークを介してデータの送受信が可能に接続されており、全体として地図データ更新システムを構成している。そして、地図更新データ供給装置1は、ナビゲーション装置2に対して、地図データベースDB3の上書又は差分更新用の供給データファイルfaを供給する。供給データファイルfaの供給を受けたナビゲーション装置2は、この供給データファイルfaに基づいて地図データベースDB3の更新を行う。以下、本実施形態に係る地図更新データ供給装置1及びナビゲーション装置2の構成について詳細に説明する。
【0025】
1.ナビゲーション装置2
図2に示すように、ナビゲーション装置2は、地図データベースDB3、制御装置41、自位置検出装置42、表示装置43、音声出力装置44、入力装置45、及び通信装置46を備えている。また、制御装置41は、ナビゲーション用演算手段47、更新要求生成手段48、地図データ更新手段49、及び通信制御手段50を備えている。ここで、ナビゲーション用演算手段47は、ナビゲーション装置2としての基本的な案内機能を実現するための演算手段である。このナビゲーション装置2の基本的な案内機能としては、例えば、自位置や指定した位置の周辺の地図表示、出発地から目的地までの経路計算、目的地までの経路誘導、自位置を道路上に補正するマップマッチング、目的地の検索等の機能がある。このナビゲーション装置2の制御装置41は、CPU等の演算処理装置、及びソフトウエア(プログラム)やデータ等を格納するためのRAMやROM等の記憶媒体等を備えて構成されている。そして、制御装置41が備える各手段47〜50は、この制御装置41の演算処理装置を中核部材として、入力されたデータに対して種々の処理を行うための機能部がハードウエア又はソフトウエア或いはその両方により実装されて構成されている。また、地図データベースDB3は、例えば、ハードディスクドライブやフラッシュメモリ等の書き換え可能な記憶媒体に格納されている。
【0026】
そして、ナビゲーション装置2は地図データ更新用のプログラムである地図データ更新プログラムを備えている。地図データ更新プログラムは、ナビゲーション装置2が備える各手段等により行われる各処理に対応するステップを備えており、地図データ更新プログラムが、各ステップをナビゲーション装置2が備える各演算処理装置(コンピュータ)に実行させることにより、各処理が実行される。以下の説明で特に断らない場合であっても、地図データ更新プログラムは、ナビゲーション装置2が行う各処理に対応するステップを備える。以下、ナビゲーション装置2の各部の構成について順に説明する。
【0027】
1−1.地図データベースDB3
地図データベースDB3には、ナビゲーション装置2の案内機能を実現するために、ナビゲーション用演算手段27により参照されるナビゲーション用の地図データである地図データMbが格納されている。
【0028】
地図データベースDB3内の地図データMbは、ナビゲーションを行う対象領域の全体(例えば日本全土)を地図データの対象範囲として有し、それをm×n(m、nは自然数)分割して各区画pを構成する。本実施形態では、図3に示すように、各区画pは、同じ大きさの矩形となるように設定されている。ナビゲーション装置2の地図データベースDB3は、各種の地物、例えば、道路、交差点、道路に沿って設けられるペイント標示や信号機等、建築物(家屋やビル等)や橋梁やトンネル等の建造物、河川や海岸線等の自然物、及び行政区域の配置及び形状等の情報を有している。後述する差分更新データファイルMaは、これら地図データベースDB3内の情報の差分更新用のデータファイルである。また、後述する上書更新データファイルMcは、上書更新用のデータファイルであり、地図データMbと同じフォーマットの地図データを備え、地図データMbと同じく区画内の地図を構成する全てのデータを備える。図5は、地図データベースDB3が有する情報の内容を説明するための説明図である。なお、図5では、道路及び交差点以外の地物は省略している。この図に示すように、地図データベースDB3内の地図データMbは、各区画p内及び複数の区画p間にわたって存在する多数の道路等の地物の情報を有している。なお、図示していないが、地図データMbは、道路以外の前記各種の地物の情報も有しており、これらの地物についても隣接する区画p間にわたって存在する場合がある。但し、以下では説明の簡略化のため、前記各種地物の中で、ナビゲーション装置2に供給する地図データの内容として特に重要な「道路」の情報を例として説明する。
【0029】
ナビゲーション装置2の各区画pの地図データベースDB3の地図データMbは、それぞれ識別符号に関連付けられた複数のデータユニットDUの集合により構成されている。また、地図データMbには、道路データ、交差点データ、規制データ、案内用データ、接続データ、及び分岐案内用データ等の各種データが含まれており、このデータ種毎に、識別符号に関連付けられた複数のデータユニットDUが構成されている。
【0030】
図14は、地図データベースDB3に格納された地図データMbの構成を説明するための説明図である。この図に示すように、地図データMbは、主要地図データMb1、経路計算データMb2、及び経路誘導データMb3を備えている。ここで、主要地図データMb1は、格納される道路等の地物の情報の詳細度に応じて複数のレイヤ(階層)に分けられている。本例では、主要地図データMb1は、下位から上位に向かって順に、レイヤ1、レイヤ2、レイヤ3の3つのレイヤを有している。ここで、下位のレイヤほど詳細な道路等の地物の情報を含んでいる。また、主要地図データMb1の各レイヤは、複数の区画pに分割されている。この際、上位のレイヤほど、広い領域に対応した区画pが設定されている。したがって、上位のレイヤの一つの区画pには、それより下位のレイヤの複数の区画pに対応する領域が含まれる。主要地図データMb1の各レイヤには、複数のリンク(道路)及び複数のノード(交差点)により構成される道路ネットワークの情報が含まれる。この主要地図データMb1は、自位置や指定した位置の周辺の地図表示や、自位置を道路上に補正するマップマッチング等に際して、ナビゲーション用演算手段27により参照される。
【0031】
経路計算データMb2は、主要地図データMb1に関連付けられており、前記道路ネットワークを構成する各リンクのコスト、通行条件、上位レイヤとの間でのノードの対応関係等の情報を有して構成されている。この経路計算データMb2は、出発地から目的地までの経路計算に際して、ナビゲーション用演算手段27により参照される。経路誘導データMb3は、主要地図データMb1に関連付けられており、目的地までの経路誘導に際して必要となる画像や音声等の情報を有して構成されている。したがって、この経路誘導データMb3は、目的地までの経路誘導に際して、ナビゲーション用演算手段27により参照される。
【0032】
以上のように、地図データMbの主要地図データMb1では、各レイヤより一つの区画pに対応する現実世界の領域の大きさが異なっている。本例では、主要地図データMb1のレイヤ1の各区画pに含まれる領域の大きさが、差分更新データファイルMa及び上書更新データファイルMcの各区画pの領域の大きさに対応している。したがって、地図更新データ供給装置1から供給される第一供給データファイルfa1及び第二供給データファイルfa2は、主要地図データMb1のレイヤ1の区画pに対応する区画単位のデータファイルとなる。そして、主要地図データMb1のレイヤ2及びレイヤ3、並びに経路計算データMb2及び経路誘導データMb3は、この第一供給データファイルfa1及び第二供給データファイルfa2による上書又は差分更新後の主要地図データMb1のレイヤ1のデータに基づいて、地図データ更新手段49により生成されて更新される。
【0033】
1−2.自位置検出装置42
自位置検出装置42は、ナビゲーション装置2の現在位置を検出するための装置である。そのため、自位置検出装置42は、図示は省略するが、例えば、GPS受信機、方位センサ、及び距離センサ等を有して構成されている。そして、これらにより取得された情報に基づいて現在の位置を示す座標や進行方位等の情報を取得して、制御装置41に出力する。制御装置41では、ナビゲーション用演算手段47が、この自位置検出装置42により検出された自位置情報と地図データMbとに基づいて、自位置表示やマップマッチング等の処理を行う。
【0034】
1−3.表示装置43、音声出力装置44、入力装置45、及び通信装置46
表示装置43は、液晶ディスプレイ等を有して構成されている。音声出力装置44は、スピーカ及びアンプ等を備えて構成される。これらの表示装置43及び音声出力装置44は、ナビゲーション用演算手段47により制御されて動作し、自位置表示、2地点間の経路計算、進路案内、目的地検索等のための表示や音声出力等を行う。入力装置45は、表示装置43と一体的に配置されたタッチパネル、操作スイッチ、リモートコントローラ等を備えて構成されている。この入力装置45は、ユーザによる操作入力を受け付け、その内容を制御装置41へ出力する。通信装置46は、有線又は無線の公知の各種の通信ネットワークを介して、地図更新データ供給装置1の通信装置46との間で通信してデータの送受信を行うことができる構成となっている。
【0035】
1−4.制御装置41
上記のとおり、制御装置41は、ナビゲーション用演算手段47、更新要求生成手段48、地図データ更新手段49、及び通信制御手段50を備えている。ナビゲーション用演算手段47は、上記のとおり、例えば、自位置や指定した位置の周辺の地図表示、出発地から目的地までの経路計算、目的地までの経路誘導、自位置を道路上に補正するマップマッチング、目的地の検索等のナビゲーション装置2としての基本的な案内機能を実現するための演算手段である。本例では、ナビゲーション用演算手段47は、図示は省略するが、ナビゲーション用の動作プログラムとして、表示プログラム、マップマッチングプログラム、経路計算プログラム、案内プログラム、及び検索プログラムの5つのアプリケーションプログラムを有している。これらの各アプリケーションプログラムによるナビゲーション装置2の動作処理は公知であるので詳細な説明は省略する。そして、これらの各アプリケーションプログラムにおいて、地図データMbが参照されて用いられる。
【0036】
更新要求生成手段48は、地図更新データ供給装置1に送信する更新要求地図範囲51及び識別情報からなる更新要求fbを生成する手段である。更新要求生成手段48は、更新要求地図範囲51を決定し、更新要求地図範囲51についての第一供給データファイルfa1及び第二供給データファイルfa2を地図更新データ供給装置1に要求するための更新要求fbを生成する。本例では、更新要求地図範囲51は、現に必要な地図範囲及び将来必要となる可能性が高い地図範囲が含まれる。なお、地図範囲は区画範囲であっても良い。更新要求地図範囲51としては、例えば、自宅として登録している位置の所定半径距離内の地図範囲、自位置検出装置42により検出される現在の自位置周辺、目的地周辺、設定された目的地までの経路周辺等を含む地図範囲等が該当する。また、このような更新要求地図範囲51を決定するに際して、例えば、自宅位置周辺については更新する地図範囲を広くし、目的地までの経路周辺については更新する地図範囲を狭くして必要最小限にする構成としても好適である。
【0037】
また、ナビゲーション装置2のユーザによる地域を指定した地図更新処理の要求を受け付ける場合には、その際に指定された地図範囲を更新要求地図範囲51とする。この更新要求地図範囲51として、ユーザが指定した一又は二以上の都道府県などの行政区画範囲などが該当する。そして、更新要求fbは、更新要求地図範囲51を特定するための情報、例えば、地図の座標情報、中心座標情報と半径距離情報、指定した都道府県情報、もしくは地図範囲を区画範囲とする場合は、地図更新データ供給装置1の差分更新データファイルMa及び上書更新データファイルMcと共通で使用する区画ID情報等を含んだデータファイルとして生成される。
【0038】
識別情報には、地図更新データ供給装置1がナビゲーション装置2及び過去に供給した更新データの内容を特定するために必要となる情報が含まれる。本例では、ナビゲーション装置2の製造番号などの識別符号及び更新データの最新の供給日時などの情報が含まれる。また、ナビゲーション装置2は、更新データを供給された各区画pの最新のバージョン情報を識別情報に含ませるようにしても良い。
【0039】
地図データ更新手段49は、地図更新データ供給装置1から供給された第一供給データファイルfa1及び第二供給データファイルfa2に基づいて、地図データMbの上書又は差分更新を行う手段である。後述するとおり、本例では、第一供給データファイルfa1及び第二供給データファイルfa2は、更新要求地図範囲51に基づき決定された要求更新区画23及びその周辺の区画範囲となる保障更新区画24についての上書又は差分更新用の地図データを含むファイルとなっている。したがって、地図データ更新手段49は、地図データMbの主要地図データMb1のレイヤ1における、要求更新区画23及び保障更新区画24に対応する区画pの地図データを、第一供給データファイルfa1及び第二供給データファイルfa2に含まれる要求更新区画23及び保障更新区画24の地図データに基づき上書又は差分更新することにより、地図データMbの更新を行う。
【0040】
通信制御手段50は、通信装置46の動作制御を行う手段である。具体的には、通信制御手段50は、通信装置46による地図更新データ供給装置1とナビゲーション装置2との通信を制御し、地図更新データ供給装置1への更新要求fbの送信、及び地図更新データ供給装置1から送信される第一供給データファイルfa1及び第二供給データファイルfa2の受信等のための動作を通信装置46に行わせる。
【0041】
2.地図更新データ供給装置1
図1に示すように、地図更新データ供給装置1は、更新用地図データベースDB1、管理データベースDB2、保障バージョンテーブルSVT、制御装置3、入力装置4、表示装置5、及び通信装置6を備えている。また、制御装置3は、データベース更新手段7、バージョンテーブル更新手段8、管理データベース更新手段9、要求更新データ抽出手段10、保障更新データ抽出手段11、統合データ生成手段12、統合データ供給手段13、及び通信制御手段14を備えている。ここで、制御装置3は、CPU等の演算処理装置、及びソフトウエア(プログラム)やデータ等を格納するためのRAMやROM等の記憶媒体等を備えて構成されている。そして、制御装置3が備える各手段7〜14は、この制御装置3の演算処理装置を中核部材として、入力されたデータに対して種々の処理を行うための機能部がハードウエア又はソフトウエア或いはその両方により実装されて構成されている。また、更新用地図データベースDB1、管理データベースDB2、及び保障バージョンテーブルSVTは、例えば、ハードディスクドライブやフラッシュメモリ等の書き換え可能な記憶媒体に格納されている。
【0042】
そして、地図更新データ供給装置1は地図更新データ供給用のプログラムである地図更新データ供給プログラムを備えている。地図更新データ供給プログラムは、地図更新データ供給装置1が備える各手段等により行われる各処理に対応するステップを備えており、地図更新データ供給プログラムが、各ステップを地図更新データ供給装置1が備える各演算処理装置(コンピュータ)に実行させることにより、各処理が実行される。以下の説明で特に断らない場合であっても、地図更新データ供給プログラムは、地図更新データ供給装置1が行う各処理に対応するステップを備える。以下、地図更新データ供給装置1の各部の構成について順に説明する。
【0043】
2−1.更新用地図データベースDB1
更新用地図データベースDB1は、地図データベースDB3の更新データファイルを区画p毎にバージョン管理すると共に、最新バージョンの上書更新用の更新データファイルである上書更新データファイルMcと、各バージョンの差分更新用の更新データファイルである差分更新データファイルMaとを区画p毎に格納する。
上記のように、各区画pの上書更新データファイルMcは、当該区画の地図データを構成する全てのデータを備えているため、データ量が大きく、過去の全てのバージョンを格納すると、バージョンの増加と共に、データ量が膨大となる。従って、各区画pの最新バージョンのみの上書更新データファイルMcを格納するようにすることで、更新用地図データベースDB1に格納されるデータ量を低減することができる。一方、各区画pの差分更新用の更新データファイルMaは、バージョン毎の更新に係るデータのみを有しているため、比較的データ量が小さく、また全てのバージョンを格納しても比較的データ量は大きくならない。
【0044】
本実施形態では、図3に示すように、各区画pに区画ID(A1、A2、・・・)を設定し、区画ID毎にバージョン管理を行っている。各区画pのバージョンは、入力装置4により新たな情報が入力され、データベース更新手段7により各区画pの既に格納されている上書更新用の上書更新データファイルMcが更新されると共に、新たな差分更新用の差分更新データファイルMaが生成される毎に、区画p毎にバージョンアップされる。各上書更新データファイルMc及び各差分更新データファイルMaは、区画IDとバージョン情報と共に、更新用地図データベースDB1に格納され、管理されている。本例では、初期の地図データベースDB3に対して最初に作成された最も古い上書更新データファイルMc及び差分更新データファイルMaをバージョン1(Ver.1)としている。そして、新たな情報に基づいて、各区画IDにおいて上書更新データファイルMc及び差分更新データファイルMaを生成する毎に、バージョン2(Ver.2)、バージョン3(Ver.3)、・・・とバージョンアップする。本実施形態では、各区画pの最新バージョンは、更新用地図データベースDB1に格納されたバージョンテーブルVTに記録されており、検索が容易になっている。バージョンテーブルVTは、各区画pの新たなバージョンの上書更新データファイルMc及び差分更新データファイルMaが生成される際に更新される。本例では、バージョンテーブルVTは、図4に示すように、各区画ID毎に最新バージョンが記録されているデータテーブルとなっている。図4に示す例では、区画A1、A2の現時点での最新バージョンは6であり、区画A3の最新バージョンは4、区画A4の最新バージョンは3である。なお、本実施形態では、バージョンテーブルVTを設けているが、バージョンテーブルVTを設けずに、更新用地図データベースDB1に格納されている上書更新データファイルMc又は差分更新データファイルMaを検索して、各区画pの最新バージョンを検索するようにしても良い。また、バージョン情報は、各バージョンの上書更新データファイルMc及び差分更新データファイルMaの生成日時に関する情報と共に管理するようにしても良い。
各区画pの地図データMbの上書更新用のデータファイルである各区画pの上書更新データファイルMcは、各区画pの地図データMbと同じフォーマットで、当該区画pの地図データを構成する全てのデータを備えている。そして、ナビゲーション装置2の地図データMbの更新は、供給した各区画pの上書更新データファイルMcを、対応する区画pの地図データMbと入れ替える(上書更新する)ことで実行される。
【0045】
また、各区画pの地図データベースDB3の差分更新用のデータファイルである各区画pの差分更新データファイルMaは、データユニットDU毎に追加、変更、削除を行う差分更新用の更新データの集合により構成されている。図6は、削除用、追加用、及び変更用の更新データのデータフォーマット例を示している。ここでは、地図データベースDB3に含まれる各種データの内、特に重要な道路データのものを示しており、以下で、詳細を説明する。
【0046】
削除用の更新データは、削除するデータユニットDUの識別符号を特定するために必要となる識別符号のデータを有している。道路データでは、識別符号は道路IDとなる。本例では、識別符号のデータサイズは4byteである。特定の識別符号のデータを有する削除用の更新データをナビゲーション装置2に供給することにより、ナビゲーション装置2は、地図データベースDB3からこの特定の識別符号のデータユニットDUを削除する。
【0047】
追加用の更新データは、地図データベースDB3における1つのデータユニットDUを構成するために必要な、全てのデータを有している。本例では、追加用の更新データは、識別符号と、属性データから構成される。ここで、属性データとは、識別符号が示す対象事物に関連するデータである。追加用の更新データにおける属性データは、識別符号が示す対象事物に関する全てのデータにより構成されている。図6に示す道路データの例では、追加用の更新データは、データユニットDUの識別符号としての道路IDに加え、属性データの各データ項目としての道路種別、始点交差点ID、終点交差点ID、各種フラグ、拡張フラグ有無フラグ、道路長さ、種別・幅員など、及び一方通行フラグを有している。属性データの各データ項目のデータサイズは、本例では、図6に示すように、それぞれ、1、4、4、2、2、2、4、1byteであり、追加用の更新データ全体では、識別符号の4byteと属性データの20byteとの合計である24byteのデータサイズとなる。
【0048】
ここで、道路データにおける属性データの各データ項目を説明する。道路種別は、高速道路、一般道路などの道路種類を示すデータであり、本例では、2bitで表せるデータとなっている。始点交差点ID及び終点交差点IDは、道路データが交差点間を繋ぐ道路としてのデータであるため、当該道路の始点及び終点のそれぞれの交差点を特定するためのデータである。ここで、交差点は、広義には、道路の区切りとなる、ある特定の座標の地点として用いられ、必ずしも二つ以上の道路が交わる地点である必要はない。なお、各交差点IDの属性データは、道路データとは別の交差点データに格納されており、交差点データは、識別符号である交差点IDに関連付けられたデータユニットDUにより構成されている。道路データの追加用の更新データに合わせて、交差点の追加が必要になる場合は、交差点データの追加用の更新データが生成される。次に、各種フラグは、各種フラグのデータのbit毎に割当てられて、自動車専用道の当否、有料道路の当否、橋の当否、トンネルの当否などの各種道路に当てはまるか否かを表すフラグデータである。拡張データ有無フラグは、拡張データ有無フラグのデータのbit毎に割当てられて、VICSデータの有無、踏み切りの有無、季節規制データの有無、道路番号の有無などの各種拡張データの有無を表すフラグデータである。各種拡張データは、規制データ、案内用データなどで、道路データとは別に格納されている。道路長さは、始点交差点から終点交差点までの道路の長さのデータである。種別・幅員などは、道路の詳細な種別・幅員などを表すデータである。一方通行フラグは、一方通行の有無及び種類などを表すフラグデータである。なお、フラグは、0又は1などのデータで表せる2値データであり、本例では、フラグは、データを2進数で表した場合の各桁のbitにおける0又は1で表せる2値データであり、1byteのフラグデータは8つのbitを有し、最大8つのフラグを表せる。また、属性データの各データ項目は、道路データ、交差点データ、規制データ、及び案内用データ等のデータ種に応じて設定され、公知の各種データ項目に設定可能である。
【0049】
変更用の更新データは、変更する識別符号のデータユニットDUを特定するために必要となる識別符号のデータと、データユニットDU内の各種データの変更に用いる属性データを有している。本例では、属性データとして、変更に係わる属性データのデータ項目毎に更新有無を表すフラグである更新有無のフラグと、変更に係わる属性データの各データ項目についての変更後のデータとを有している。図6に示す道路データの例では、変更用の更新データは、データユニットDUの識別符号としての道路IDに加え、更新有無のフラグと、変更に係わる属性データの各データ項目のデータとしての各種フラグ、拡張フラグ有無フラグ、道路長さ、種別・幅員など、及び一方通行フラグとを有している。本例では、更新有無のフラグは、bit毎に各データ項目の更新有無を表すフラグデータであり、1byteのデータサイズである。bit毎のデータ項目の割当ては、それぞれ、bit2が各種フラグ、bit3が拡張フラグ有無フラグ、bit4が道路長さ、bit5が種別・幅員など、bit6が一方通行フラグである。なお、本例では、更新有無のフラグに用いた1byteのフラグデータにおいて割り当てられずに余ったbitであるbit0、1を有効利用して、道路種別のデータが割り当てられている。
【0050】
道路データの変更を行う更新データは、その道路データに対応する識別符号である道路IDに関連付けて始点交差点ID及び終点交差点IDのデータ項目を含まない更新後の属性データの各データ項目を備えている。よって、変更用の更新データは、属性データから始点交差点ID及び終点交差点IDのデータ項目を除いているので、追加用の更新データに比べ、データ量を低減することができる。なお、道路データは、上記のように、2つの特定IDの交差点間を繋ぐ道路のデータであるため、道路データの変更を行う更新には、始点交差点ID及び終点交差点IDの変更を含まないようにしている。道路データの始点交差点ID及び終点交差点IDを変更したい場合は、一旦、道路データを削除する更新を行い、変更後の始点交差点ID及び終点交差点IDと共に道路データを追加する更新を行うこととなる。また、始点交差点ID又は終点交差点IDを変更する道路データの追加の更新を行う場合は、識別符号である道路IDが変わる。
【0051】
本例では、道路データの変更用の更新データは、属性データの各データ項目の更新有無に関わらず、更新される可能性のある全てのデータ項目である始点交差点ID及び終点交差点IDを除く全てのデータ項目のデータを有する。よって、図6に示すように、変更用の更新データ全体では、識別符号の4byteと、属性データである更新有無のフラグと各データ項目の12byteとの合計である16byteのデータサイズとなり、追加用の更新データのデータサイズである24byteよりデータ量が少なくなる。
【0052】
また、ナビゲーション装置2は、供給された更新有無のフラグのデータに基づいて、更新有りの各データ項目についてのみ、地図データベースDB3を更新するように構成できる。これにより、ナビゲーション装置における地図データベースの更新時間を低減することができる。
【0053】
本実施形態では、属性データの各データ項目の更新有無に関わらず、始点交差点ID及び終点交差点IDを除く全てのデータ項目のデータを有するように構成したが、更新有無のフラグが更新有となっているデータ項目のみの更新後のデータを持たせるようにしても良い。このように構成すると、更に、変更用の更新データのデータサイズを低減することができる。またこの場合、変更用の更新データに更新有無のフラグを有さないように構成しても良い。
【0054】
2−2.管理データベースDB2
管理データベースDB2は、複数のナビゲーション装置2のそれぞれについて、地図データベースDB3の各区画pにおける現在のバージョンを管理するデータベースである。管理データベースDB2は、各ナビゲーション装置2に差分更新データファイルMa又は上書更新データファイルMcが供給される際に、供給される各区画pのバージョンを用いて、管理データベース更新手段9により更新される。本実施形態では、管理データベースDB2は、ナビゲーション装置2毎に生成される管理データテーブルDTを格納している。各管理データテーブルDTは、図7に示すような、区画ID毎に現在のバージョンを記録したデータテーブルであり、ナビゲーション装置2の製造番号などの識別符号及び最新の供給日時などの識別情報と合わせて記録される。なお、現在のバージョンとは、過去に供給した各区画pの更新データファイルのバージョンの内、最も新しいバージョンである。
【0055】
このように、地図更新データ供給装置1は、管理データベースDB2により、各ナビゲーション装置2に供給した差分更新データファイルMa及び上書更新データファイルMcのバージョンを自己管理しているので、地図更新データ供給装置1は、各ナビゲーション装置2から各区画pの地図データベースDB3の現在のバージョン情報を通信により取得する通信時間を削減することができ、各ナビゲーション装置2のデータ更新時間を低減することができる。
【0056】
2−3.保障バージョンテーブルSVT
保障バージョンテーブルSVTは、更新用地図データベースDB1の各区画pとそれに隣接する区画pとの組み合わせである区画組gに関連付けて、各区画組gを構成する区画p間の道路ネットワークの繋がりの保障が必要となった時の各区画pの差分更新データファイルMaのバージョンを保障バージョンvaとして格納している。
【0057】
すなわち、隣接する区画p間の道路ネットワークの繋がりに係る道路の差分更新データファイルMaが生成されたとき、そのときの各区画pの差分更新データファイルMaのバージョンを、隣接する2つの区画gからなる区画組gの各区画pの保障バージョンvaとして、保障バージョンテーブルSVTに蓄積的に記録する。
【0058】
このように、各区画組gに関連付けて保障バージョンvaが格納された保障バージョンテーブルSVTを備えるので、保障バージョンテーブルSVTを検索する単純な処理で、各区画組gのネットワーク保障の必要性の有無及び更新保障バージョンuvaを抽出することができる。そして、更新データ供給装置1の演算負荷を低減することができる。また、保障バージョンテーブルSVTは、各区画組gについて、現在までの保障バージョンvaを蓄積的に記録しているので、後述するように、保障バージョンテーブルSVTを用いて、過去の保障バージョンvaに遡って保障更新区画24を抽出できる。よって、保障更新区画24が連鎖的に広がる区画範囲を狭くできると共に、抽出を単純な処理で実行できる。
【0059】
図8を用いて、保障バージョンテーブルSVTの更新について具体例を用いて説明する。なお、図8に関連する一連の処理は、バージョンテーブル更新手段8及びデータベース更新手段7により実行される。図8に示す区画A1と区画A2の区画組gの例では、初期の地図データベースDB3において、道路r1が隣接する2つの区画p間にわたって存在している。そして、更新データファイルの生成日時’00/6/12に、区画A1において、2つの区画p間にわたらない道路r2が新たに追加され、道路r2の道路データを追加する差分更新用のバージョン1の差分更新データファイルMが生成される。一方、同じ生成日時’00/6/12に、区画A2において、2つの区画p間にわたらない道路r3が新たに追加され、道路r3の道路データの追加に係わるバージョン1の差分更新データファイルMaが生成される。ここで、図8では、理解を容易にするため、同じ生成日時に係る区画A1もしくは区画A2の地図データを、横に並べて示している。次に、生成日時’00/6/30に、区画A2において、2つの区画p間にわたらない道路r4が新たに追加され、道路r4の道路データの追加に係わるバージョン2にバージョンアップした差分更新データファイルMaが生成される。
【0060】
なお、この生成日時’00/6/12及び’00/6/30で追加された道路r2、r3、r4は何れも、隣接する区画p間にわたらない道路であるため、ネットワーク保障は必要にならない。よって、隣接する区画p間にわたる道路の道路データが追加されずに生成された各区画pの差分更新データファイルMaは、ネットワーク保障が必要ない差分更新データファイルMaとなり、そのバージョンは保障バージョンvaとされない。
【0061】
次に、生成日時’00/7/15に、区画A1と区画A2の隣接する区画p間にわたる道路r5が新に追加され、区画A1及び区画A2のそれぞれにおいて、道路r5の道路データの追加に係わるバージョン2にバージョンアップした差分更新データファイルMaと、道路r5の道路データの追加に係わるバージョン3にバージョンアップした差分更新データファイルMaとが生成される。この追加された道路r5は区画p間にわたる道路であるため、隣接する区画p間の道路ネットワークの繋がりに係る道路であり、ネットワーク保障が必要になる。このように、隣接する区画p間にわたる道路が追加され、この道路に係り生成された隣接する各区画pの差分更新データファイルMaが、ネットワーク保障が必要になる差分更新データファイルMaとなり、その各バージョンが保障バージョンvaとなる。この隣接する各区画gの保障バージョンvaが、隣接する各区画gからなる区画組gの保障バージョンvaとして、保障バージョンテーブルSVTに追加的に記録される。図8の例では区画A1とA2の区画組gについて、区画A1の保障バージョンvaを2、区画A2の保障バージョンvaを3とする保障バージョン組(A1:2、A2:3)を、保障バージョンテーブルSVTに追加的に記録する。
【0062】
次に、区画A1において、生成日時’00/08/15に、2つの区画p間にわたらない道路r6が新たに追加され、道路r6の道路データの追加に係わるバージョン3にバージョンアップした差分更新データファイルMaが生成される。次に、生成日時’00/10/21に、区画A1と区画A2の隣接する区画p間にわたる道路r7が新たに追加され、また、区画A2において2つの区画p間にわたらない道路r8が新たに追加される。区画A1において、道路r7の道路データを追加するバージョン4にバージョンアップした差分更新データファイルMaが生成され、区画A2において、道路r7及び道路r8の道路データの追加に係わるバージョン4にバージョンアップした差分更新データファイルMaが生成される。上記のように、隣接する区画p間にわたる道路に係る更新データファイルが生成されたため、ネットワーク保障が必要になり、各区画pの差分更新データファイルMaのバージョンを保障バージョンとして、保障バージョン組(A1:4、A2:4)を保障バージョンテーブルSVTに追加的に記録する。
なお、以上に説明したような差分更新データファイルMaの生成時は、同時に同じバージョンまでバージョンアップした上書更新データファイルMcが生成される。そして、各区画の最新の上書更新データファイルMcが更新用データベースDB1に格納される。上書更新データファイルMcは最新バージョンのみ更新用データベースDB1に格納されているので、保障バージョンテーブルSVTには、差分更新データファイルMaに関する保障バージョンが格納される。
【0063】
2−4.入力装置4、表示装置5、及び通信装置6
次に、図1に戻り、地図更新データ供給装置1の入力装置4、表示装置5、及び通信装置6について説明する。入力装置4は、キーボード、マウス、タッチパネル、スキャナ等の各種の入力用機器を有して構成されている。そして、作業者が、この入力装置4を用いて、差分更新データファイルMa及び上書更新データファイルMcのバージョンアップのための地図情報の追加、変更、削除といった更新入力等を行うことができるようになっている。表示装置5は、液晶ディスプレイやCRTディスプレイ等を有して構成されている。そして、作業者が、入力装置4を用いた作業を行う場合等に、差分更新データファイルMa及び上書更新データファイルMcの状態やその更新作業の内容等の表示を行うことができるようになっている。通信装置6は、有線又は無線の公知の各種の通信ネットワークを介して、ナビゲーション装置2の通信装置46との間で通信してデータの送受信を行うことができる構成となっている。このような通信ネットワークとしては、例えば、インターネット、有線又は無線の公衆電話網、有線又は無線LAN(Local Area Network)、専用回線等を用いることができる。本実施形態では、通信装置6は、データ量に応じた通信コストが異なる少なくとも2つのデータ供給方法を選択可能に備えており、各データ供給方法に対応する複数種類の通信装置を備えている。上記の各種通信ネットワークは、このようなデータ供給方法の一例であり、通信装置6は、各通信ネットワークに対応する複数種類の通信装置を備えている。なお、本願において、通信コストには、通信費用及び通信時間の一方又は双方が含まれる。
また、地図更新データ供給装置1とナビゲーション装置2との間のデータ送受信を、パーソナルコンピュータ、各種メモリーやディスク等の記録媒体などの別の通信装置を介して行うようにして、これらの通信装置を介したデータ供給方法を、通信装置6が選択可能に備えるようにしても好適である。
【0064】
2−5.制御装置3
上記のとおり、制御装置3は、データベース更新手段7、バージョンテーブル更新手段8、管理データベース更新手段9、要求更新データ抽出手段10、更新時間判定手段15、保障更新データ抽出手段11、統合データ生成手段12、及び通信制御手段14を備えている。
【0065】
2−5−1.データベース更新手段7
データベース更新手段7は、入力装置4を用いた地図情報の追加、変更、削除といった更新入力の処理、及び当該更新入力に基づいた新しいバージョンの差分更新用の差分更新データファイルMaの生成及び既に格納されている上書更新用の上書更新データファイルMcの更新、及びその差分更新データファイルMa及び上書更新データファイルMcをバージョン情報と共に更新用地図データベースDB1へ格納する処理を行う手段である。
この際、生成された差分更新データファイルMa及び更新された上書更新データファイルMcの新しいバージョンを、生成された区画pについての最新バージョンとして、バージョンテーブルVTに記憶されている当該区画pに対応する最新バージョンを更新する。
【0066】
2−5−2.バージョンテーブル更新手段8
バージョンテーブル更新手段8は、上記のように、データベース更新手段7により、隣接する2つの区画pについて、ネットワーク保障が必要になる新しいバージョンの差分更新データファイルMaが生成された際に、この新しい各バージョンを隣接する各区画pの保障バージョンvaとして、当該隣接する2つの区画pからなる区画組gと関連付けて、保障バージョンテーブルSVTに蓄積的に記録する処理を行う手段である。
【0067】
2−5−3.管理データベース更新手段9
管理データベース更新手段9は、各ナビゲーション装置2に差分更新データファイルMa又は上書更新データファイルMcの情報を供給する際に、供給する各区画pのバージョン情報により管理データベースDB2を更新する処理を行う手段である。本例では、管理データベース更新手段9は、ナビゲーション装置2毎に設けた管理データテーブルDTを、供給する差分更新データファイルMa又は上書更新データファイルMcの区画IDとそのバージョンを用いて更新する。更新する区画IDが既に管理データテーブルDTにある場合は、バージョンのみを更新し、一方、更新する区画IDが管理データテーブルDTにない場合は、区画IDとバージョンを追加する。また、管理データベース更新手段9は、管理データテーブルDTを更新するに際し、ナビゲーション装置2の更新要求fbに含まれるナビゲーション装置2の識別符号及び更新データの供給日時などの識別情報を更新する。
【0068】
2−5−4.要求更新データ抽出手段10、更新時間判定手段15
要求更新データ抽出手段10は、ナビゲーション装置2からの更新要求fbに基づき、上書更新を行う区画である要求更新区画23を抽出し、要求更新区画23のそれぞれについて上書更新データファイルMcをナビゲーション装置2に供給するデータファイルである第一供給データファイルfa1として抽出する処理を行う手段である。
【0069】
本実施形態では、要求更新データ抽出手段10は、要求更新区画23のそれぞれについて、上書更新データファイルMcと最新バージョンまでの差分更新データファイルMaとを抽出する。そして、更新時間判定手段15は、要求更新区画23のそれぞれについて、上書更新データファイルMcと最新バージョンまでの差分更新データファイルMaとを、更新時間に関連する所定の指標に基づき比較し、いずれによる更新時間が短いかを判定する。そして、要求更新データ抽出手段10は、更新時間判定手段15が、要求更新区画23のそれぞれについて、更新時間が短いと判定した上書更新データファイルMcと最新バージョンまでの差分更新データファイルMaとのいずれかのデータファイルを、ナビゲーション装置2に供給するデータファイルである第一供給データファイルfa1として抽出する。
【0070】
まず、要求更新データ抽出手段10は、ナビゲーション装置2からの更新要求fbに基づき、上書又は差分更新を行う区画である要求更新区画23を抽出する処理を行う。本実施形態では、更新要求fbには、ナビゲーション装置2が更新データファイルの供給を要求している地図範囲である更新要求地図範囲51が含まれる。更新要求地図範囲51には、例えば、ナビゲーション装置2のユーザが自宅として登録している位置の所定半径距離内の地図範囲、ユーザが指定した一又は二以上の都道府県などの行政区画範囲、自位置検出装置42により検出されるナビゲーション装置2の現在の自位置周辺、目的地周辺、及び設定された目的地までの経路周辺等を含む地図範囲など、予め定められた或いはナビゲーション装置2のユーザが指定した地図範囲が含まれる。ここで、地図範囲は区画範囲であっても良い。本例では、要求更新データ抽出手段10は、ナビゲーション装置2からの更新要求fbに含まれる更新要求地図範囲51から、上書又は差分更新を行う対象である道路データなどの地図データが存在する区画pである要求更新区画23を抽出する。
【0071】
そして、要求更新データ抽出手段10は、要求更新区画23のそれぞれについて前記ナビゲーション装置へ供給する上書更新データファイルMcと最新バージョンまでの差分更新データファイルMaを抽出する処理を行う。本実施形態では、要求更新データ抽出手段10は、要求更新区画23のそれぞれについて、管理データベースDB2に管理されている現在のバージョンより新しいバージョンであって、更新用地図データベースDB1に格納されている最新バージョンまでの全てのバージョンの差分更新データファイルMaを抽出する。
このため、地図更新データ供給装置1が、各ナビゲーション装置2に供給したバージョンを重複して抽出することを防止できるため、各ナビゲーション装置2に応じて供給する差分更新データファイルMaの数及びデータ量を最小化することができる。
【0072】
より具体的には、要求更新データ抽出手段10は、ナビゲーション装置2からの更新要求fbに含まれる製造番号などのナビゲーション装置2の識別符号及び最新の供給日時などの識別情報に基づき、管理データベースDB2に管理されている複数のナビゲーション装置2の管理データテーブルDTから、更新要求fbのあったナビゲーション装置2に一致する管理データテーブルDTを特定し、特定した管理データテーブルDTから要求更新区画23のそれぞれについて、ナビゲーション装置2に供給した差分更新データファイルMaの現在のバージョンを抽出する。そして、要求更新データ抽出手段10は、管理データベースDB1のバージョンテーブルVTから要求更新区画23のそれぞれについて最新バージョンを抽出する。そして、要求更新データ抽出手段10は、ナビゲーション装置2の現在のバージョンより新しいバージョンであって、更新用地図データベースDB1に格納されている最新バージョンまでの全てのバージョンを抽出する。この抽出された各バージョンが、更新データの供給される更新バージョンとなる。
【0073】
一方、上書更新データファイルMcを抽出するのに際し、上書更新データファイルMcは、初期の地図データに対して最新バージョンまでの全てのバージョンの差分更新をした後の地図データを備えているため、ナビゲーション装置2に既に供給した現在のバージョン及び更新用データベースDB1の最新バージョンの情報を取得する必要はない。しかし、全ての要求更新区画23について、上書更新データファイルMcのみを抽出する場合であっても、後述する要求更新区画範囲の周辺の保障更新区画24において、差分更新データファイルMaを抽出するので、現在のバージョン及び最新バージョンの情報を取得する必要がある。従って、更新要求fbのあったナビゲーション装置2に一致する管理データテーブルDTを特定し、各区画pの現在のバージョンを取得できるようにする。ただし、この場合、現在のバージョン及び最新バージョンの情報を取得する処理を、保障更新データ抽出手段11に備えても良い。
【0074】
ナビゲーション装置2の更新要求fbに含まれる識別情報と、管理データベースDB2に格納されている識別情報が一致せず、更新要求fbのあったナビゲーション装置2のデータが管理データベースDB2に格納されていない場合は、地図更新データ供給装置1は、ナビゲーション装置2に対して、ナビゲーション装置2に供給された差分更新データファイルMa又は上書更新データファイルMcの各区画pの現在のバージョンを、地図更新データ供給装置1に送信するように要求する。そして、要求更新データ抽出手段10は、ナビゲーション装置2から受信したデータに基づき、更新用地図データベースDB1から、要求更新区画23のそれぞれについて、ナビゲーション装置2の現在のバージョンを抽出する。なお、このデータの送受信は、通信制御手段14及び通信装置6により行われる。
本例では、ナビゲーション装置2から、管理データベースDB2に格納されている管理データテーブルDTと同じフォーマットのデータが送信され、管理データベース更新手段9が、受信したナビゲーション装置2の管理データテーブルDTを管理データベースDB2に追加する処理を行う。その後、要求更新データ抽出手段10は、上記のように、要求更新区画23のそれぞれについて、管理データベースDB2に管理されている現在のバージョンを抽出する。
【0075】
ナビゲーション装置2の初回の更新時、もしくはナビゲーション装置2のデータ初期化後の初回の更新時の場合は、ナビゲーション装置2は更新要求fbに初回更新であることを示す情報を含ませ、要求更新データ抽出手段10は、管理データベースDB2の情報を用いずに、要求更新区画23のそれぞれについて更新用地図データベースDB1に格納されている初期バージョン(バージョン0)を現在のバージョンとする。なお、更新データを供給後、管理データベース更新手段9が、当該ナビゲーション装置2の管理データテーブルDTを管理データベースDB2に追加する処理を行う。
【0076】
そして、要求更新データ抽出手段10は、更新用地図データベースDB1から、要求更新区画23のそれぞれについて、抽出した現在のバージョンより新しいバージョンであって、更新用地図データベースDB1に格納されている最新バージョンまでの全てのバージョンの差分更新データファイルMaを抽出する。
【0077】
そして、更新時間判定手段15は、上記のように、要求更新区画23のそれぞれについて、上書更新データファイルMcと最新バージョンまでの差分更新データファイルMaとを、更新時間に関連する所定の指標に基づき比較し、いずれによる更新時間が短いかを判定する。
更新時間に関連する所定の指標とは、一連の地図データ更新にかかる更新時間、例えば、ナビゲーション装置2内での地図データ更新処理時間、地図更新データ供給装置1からナビゲーション装置2へのデータ配信時間、及び地図更新データ供給装置1内での供給データの生成時間、更に通信コスト、利便性などの更新時間に関連する複数の指標を総合的に評価する指標である。本実施形態では、所定の指標を、更新時間に関連する各指標を表すパラメータを用いた演算式による演算結果により表す。
【0078】
次に、上書更新データファイルMc及び差分更新データファイルMaのそれぞれに係わる更新時間に関連する所定の指標について説明する。
上書更新データファイルMcは、更新に係わるデータ以外の地図データMbを構成する全ての情報を有しているため、差分更新データファイルMaに比べ、1つのデータファイルのデータ量が大きく、配信時間は長くなる。しかし、ナビゲーション装置2内での更新処理時間は、上記のように区画p毎に上書更新データファイルMcを地図データMbと入れ替える処理(上書処理)を行うだけなので、差分更新データファイルMaの差分更新に比べ、更新処理時間が短くなる。また、各区画pの上書更新データファイルMcのデータ量に比例して、配信時間が増加する。また、各区間pの上書更新データファイルMcのデータ量は、各区画pの更新するバージョン数に関わらず大きく増減しない。
【0079】
一方、差分更新データファイルMaは、更新に係わるデータの情報のみを有しているため、上書更新データファイルMcに比べ、1つのデータファイルのデータ量は小さく、配信時間は短くなる。しかし、ナビゲーション装置2内での更新処に際しては、上記のように、各識別符号のデータユニットDU毎に、逐次、更新内容を判断しデータ処理を行いながら、データを書き換えていく必要があり、上書更新データファイルMcの上書更新に比べ、単位データ量あたりの更新処理時間が長くなる。また、各区画pの差分更新データファイルMaのデータ量に比例して、特に、ナビゲーション装置2内での更新処理時間が大きく増加する。この各区画pの差分更新データファイルMaのデータ量は、更新するバージョン数及び各識別符号に関連付けられた更新データの数に比例して増加する。
【0080】
従って、上書更新データファイルMcは、1つのデータファイルのデータ量が大きいため、配信時間は比較的長くなるが、上書更新するため、更新処理時間は比較的短くなり、また、各区画pのデータ量に比例して、配信時間は増加するが、更新処理時間は大きく変化しない。また、各区画pのデータファイル数は更新するバージョン数に関わらず1つであるため、各区画pのデータ量は、更新するバージョン数に比例して変化しない。
一方、差分更新データファイルMaは、1つのデータファイルのデータ量が小さいため配信時間は比較的短くなるが、差分更新するため、更新処理時間は比較的長くなり、また、各区画pのデータ量に比例して、特に更新処理時間が増加し、各区画pのデータ量は、更新するバージョン数及び各更新内容の更新データ数に比例する。
よって、本実施形態では、上書更新データファイルMcの更新時間に関連する指標は、主に、配信時間に関連して設定し、その指標を各区画pの上書更新データファイルMcのデータサイズをパラメータとした演算式の演算結果とする。一方、差分更新データファイルMaの更新時間に関連する指標は、主に、ナビゲーション装置2内での更新処理時間に関連して設定し、その指標を各区画pの差分更新データファイルMaのデータサイズ、もしくは更新する差分更新データファイルMaのバージョン数、もしくは各識別符号に関連付けられた更新データの数をパラメータとした演算式の演算結果とする。
【0081】
本例では、更新時間判定手段15は、各要求更新区画23の上書更新データファイルMcについての更新時間に関連する所定の指標を表す上書更新時間Tmcpを、各要求更新区画23の上書更新データファイルMcのデータサイズDmcpと、データサイズDmcpを更新時間相当に換算する係数a1との乗算により演算する。すなわち演算式は、次式の式(1)となる。
Tmcp=a1×Dmcp ・・・(1)
本例では、係数a1を、主に単位データサイズあたりの配信時間に関連して設定し、上書更新時間Tmcpを主に上書更新データファイルMcの配信時間相当にする。
一方、各要求更新区画23の差分更新データファイルMaについての更新時間に関連する所定の指標を表す差分更新時間Tmapを、各要求更新区画23について抽出した最新バージョンまでの全バージョンの差分更新データファイルMaを合わせたデータのデータサイズDmapと、データサイズDmapを更新時間相当に換算する係数a2との乗算により演算する。すなわち演算式は、次式(2)となる。
Tmap=a2×Dmap ・・・(2)
本例では、係数a2を、主に単位データサイズあたりの差分更新処理時間に関連して設定し、差分更新時間Tmapを主に差分更新データファイルMaの差分更新処理時間相当にする。
ここで、後述する統合データ生成手段12により、最新バージョンまでの差分更新データファイルMaを、1つの差分更新用のデータファイルに統合して生成した要求更新用統合データファイル33を、ナビゲーション装置2に供給する場合は、各要求更新区画23の要求更新用統合データファイル33のデータサイズをDmapとする。このため、統合データ生成手段12による要求更新用統合データファイル33の生成処理を、この更新時間判定手段15の処理の前に行う。
【0082】
更新時間は、同じデータ量でも、地図更新データ供給装置1及びナビゲーション装置2の演算処理速度及び通信速度、通信ネットワークの通信速度などに応じて変化する。本例では、更新時間判定手段15は、設定された或いは検出された通信ネットワークの通信速度、もしくはナビゲーション装置2の機種により変わる演算処理速度及び通信速度などの各速度パラメータに応じて、係数a1、a2を適応的に設定する。この係数a1、a2の設定は、各速度パラメータに応じて予め設定されたデータテーブルを用いても良いし、各速度パラメータを用いた演算式により設定しても良い。このようにすることで、各速度パラメータの変化に適応でき、判定精度を向上することができる。
【0083】
或いは、係数a1、a2を、厳密に時間換算する係数に設定するのではなく、通信コスト、データ供給方法、ナビゲーション装置2のユーザが感じる快適性等の時間以外の要因も考慮して総合的に調整し設定しても良い。この場合、上記の速度パラメータに応じた設定に加えて、もしくは単独で、設定された或いは検出された通信ネットワークの通信コスト、データ供給方法に応じて、係数a1、a2を適応的に設定してもよい。このようにすることで、複合的な要因に対応することができ、より経済性、利便性を向上することができる。
【0084】
本例では、更新時間判定手段15は、各要求更新区画23毎に、上書更新データファイルMcの更新時間に関連する所定の指標である上書更新時間Tmcpと、差分更新データファイルMaの更新時間に関連する所定の指標である差分更新時間Tmapとをそれぞれ算出する。そして、上書更新時間Tmcpと差分更新時間Tmapの値を比較し、値が小さくなった方のデータファイルを、更新時間が短いと判定する。
そして、要求更新データ抽出手段10は、更新時間判定手段15が、要求更新区画23のそれぞれについて、更新時間が短いと判定した上書更新データファイルMcと最新バージョンまでの差分更新データファイルMaとのいずれかのデータファイルを、ナビゲーション装置2に供給するデータファイルである第一供給データファイルfa1として抽出する。
ここで、上記のように、統合データ生成手段12により生成した要求更新用統合データファイル33を、ナビゲーション装置2に供給する場合は、最新バージョンまでの差分更新データファイルMaに代えて、要求更新用統合データファイル33を第一供給データファイルfa1として抽出とする。
【0085】
ここで、上書更新データファイルMcについての更新時間に関連する所定の指標を算出せずに、各要求更新区画23の差分更新データファイルMaについての更新時間に関連する所定の指標のみを算出し、当該算出した差分更新データファイルMaについての指標を所定の閾値と比較することにより、上書更新データファイルMcと最新バージョンまでの差分更新データファイルMaとのいずれによる更新時間が短いかを判定するようにしても良い。この場合、算出した差分更新データファイルMaについての指標が、所定の閾値を上回ったか、下回ったかで、更新時間の長短を判定する。上記の差分更新時間Tmapの例では、各要求更新区画23の差分更新時間Tmapが所定の閾値X1を下回った場合は、差分更新データファイルMaの更新時間の方が、短くなったと判定する。
これは、各要求更新区画23の上書更新データファイルMcのデータ量はバージョンにより大きく変動しないために実現できる。また、上書更新データファイルMcのデータ量が区画p間で増減したとしても、差分更新用データファイルMaのデータ量も、その増減に比例して、概ね増減する。これは、上書更新データファイルMcの地図データ量に概ね比例して、その地図データの差分更新データ量も増減するためである。従って、このようにすることにより、より処理負荷を低減できると共に、判定精度を維持できる。
さらに、各要求更新区画23の差分更新時間Tmapを、各要求更新区画23の更新する差分更新データファイルMaのバージョン数として、各要求更新区画23の差分更新時間Tmapが所定の閾値X2を下回った場合は、差分更新データファイルMaの更新時間の方が、短くなったと判定するようにしても良い。バージョン数とその合計のデータ量は概ね比例するため、より処理負荷を低減できると共に、判定精度を維持できる。
この場合、所定の閾値X1、X2を、上記の係数a1、a2と同様に演算処理速度、通信速度、通信コスト等に応じて適応的に設定するようにしてもよい。このようにすることで、より判定精度、経済性、利便性を向上できる。
【0086】
上記のように、データ供給手段13は、データ量に応じた通信コストが異なる少なくとも2つのデータ供給方法を選択可能に備えている。ここで、通信コストが異なるとは、単位データ量を送受信するのにかかる通信費用及び通信時間の一方又は双方を考慮した総コストが異なることを指す。
そこで、要求更新データ抽出手段10は、選択された又は検出されたデータ供給方法の通信コストに応じて、上書更新データファイルMcと差分更新データファイルMaとのいずれかを第一供給データファイルfa1として抽出するようにしてもよい。この場合、通信コストが高い場合は、差分更新データファイルMaの方を抽出されやすくなるように設定し、通信コストが低い場合は、上書更新データファイルMcの方を抽出されやすくなるように設定する。
本例では、上記のように、係数a1、係数a2を通信コストに応じて変化させても良い。この場合、通信コストが高い場合は、係数a1を大きくし、又は係数a2を小さくし、差分更新データファイルMaが第一供給データファイルfa1として選択されやすくする。一方、データ量が小さく通信コストが通信コストが低い場合は、係数a1を小さくし、又は係数a2を大きくし、上書更新データファイルMcが第一供給データファイルfa1として選択されやすくする。
もしくは、更新時間判定手段15による比較処理を行わず、データ供給方法の通信コストに応じて、直接、差分更新データファイルMa又は上書更新データファイルMcを選択するようにしても良い。この場合、データ供給方法の通信コストが所定の閾値以上となった場合は、全ての要求更新区画23について、差分更新データファイルMaを第一供給データファイルfa1として抽出し、所定の閾値より小さくなった場合は、全ての要求更新区画23について、上書更新データファイルMcを第一供給データファイルfa1として抽出してもよい。
【0087】
次に、図13及び図24に示す例で、本実施形態における作用効果の概要を説明する。
図13(a)には、全ての要求更新区画23について、最新バージョンまでの全バージョンの差分更新データファイルMaを第一供給データファイルfa1として抽出した場合(差分更新データファイルの場合)を示している。一方、図13(b)は、全ての要求更新区画23について、上書更新データファイルMcを第一供給データファイルfa1として抽出した場合(上書更新データファイルの場合)を示している。
図13(a)の例では、更新要求fbに基づき抽出した要求更新区画範囲22の各要求更新区画23において、既に供給した更新データファイルより新しいバージョンであって、最新バージョンまでの全てのバージョンの更新データファイルMaが、供給する更新データファイルとして抽出されている。しかし、各要求更新区画23の供給する差分更新データファイルMaのバージョン数は多くなっている。上記のように、ナビゲーション装置2内での差分更新を行う処理は、データユニット毎に逐次更新内容を判断して地図データを書き換える処理であるため、更新処理時間が長くなる。従って、図13(a)の例のように、供給するバージョン数が多くなってくると、ナビゲーション装置2の地図データの更新にかかる更新時間が大幅に増加する問題が生じる。
一方、その周辺の、ネットワーク保障のために更新する保障更新区画範囲の各保障更新区画24において、後述する保障更新データ抽出手段11により、差分更新ファイルMaを用いて、保障更新区画範囲及び保障更新区画の更新に係るバージョン数を必要最低限に抑制することができている。これは、最新バージョンまでの差分更新データファイルMaでなく、道路ネットワークを保障するために更新する必要がある更新保障バージョンまでの差分更新データファイルMaを抽出して供給するため、要求更新区画範囲からより離れた区画になるに従って、更新保障バージョンuvaが最新バージョンに比べてより古いバージョンとなっていき、保障更新区画が連鎖的に広がる区画範囲を狭くできるためである。
【0088】
一方、図13(b)の例では、要求更新区画範囲22の各要求更新区画23において、最新バージョンの上書更新データファイルMcを抽出して供給している。
これにより、図13(a)のように、各要求更新区画23の更新に係るバージョン数が多くなったとしても、供給するデータ量は大きく変動せず、データの配信時間を安定化できる。これは、上記のように、上書更新データファイルMcは、各区画pの地図データMbを構成する全てのデータを備えており、差分データに比べデータ量の変動が少ないためである。また、ナビゲーション装置2における地図データMbの更新は、供給した各区画の上書更新データファイルMcを、対応する区画pの地図データMbと入れ替える処理(上書更新)を行うだけなので、図13(a)の差分更新の処理に比べ、ナビゲーション内での更新処理時間を大幅に短くできる。特に、供給するデータのバージョン数が多くなった場合は、差分更新の処理時間が大幅に増加するのに対し、上書更新の処理時間は短く、安定化できる。
従って、各要求更新区画23に上書更新データファイルMcを供給する場合における、ナビゲーション装置2の地図データMbの更新にかかる更新時間は、差分更新用のデータを供給する場合に比べ、大幅に増加することもなく、常に安定化できる。よって、ナビゲーション装置2の地図更新の快適性を向上できると共に、地図データ供給システムのシステム設計を容易化できる。
また、図13(a)の例で説明したように、保障更新区画24については、後述する保障更新データ抽出手段により、差分更新ファイルMaを用いて、保障更新区画範囲及び保障更新区画の更新に係るバージョン数を必要最低限に抑制することができ、ネットワーク保障のための更新データ量を抑制でき、更新時間も低減できる。そして、道路ネットワークの繋がりも保障することができる。
従って、各要求更新区画24に上書更新データファイルMcを供給する場合における、ナビゲーション装置2の地図データの更新にかかる更新時間は、差分更新用のデータを供給する場合に比べ、大幅に増加することもなく、常に安定化できる。よって、ナビゲーション装置の地図更新の快適性を向上できると共に、地図データ供給システムのシステム設計を容易化できる。
【0089】
次に図24(a)には、図13(a)と同じ図であり、全ての要求更新区画23について、最新バージョンまでの全バージョンの差分更新データファイルMaを第一供給データファイルfa1として抽出した場合(差分更新データファイルの場合)を示している。一方、図24(b)は、各要求更新区画23について、更新時間に関連する所定の指標の比較結果に応じて、上書更新データファイルMcと、最新バージョンまでの全バージョンの差分更新データファイルMaとのいずれかを第一供給データファイルfa1として抽出した場合(上書又は差分更新データファイルの場合)を示している。
図24(b)は、各要求更新区画24のそれぞれについて、ナビゲーション装置2の地図データMbの更新にかかる時間が短くなるように、上書更新データファイルMcと差分更新データファイルMaとを更新時間に関連する所定の指標に基づき比較し、上書更新データファイルMc又は差分更新データファイルMaのいずれかを抽出して供給している場合である。
図24(b)の例では、更新に係るバージョン数が少ない各要求更新区画23を差分更新として抽出し、ナビゲーション装置2における更新処理時間の増加を抑制する共に、配信時間を低減できる。従って、図13(b)の場合に比べ、さらに各要求更新区画23の更新時間を短縮でき、全体として更新時間をより短縮できている。
なお、厳密に時間について判定するだけでなく、更新時間に関連する経済性、利便性などの指標も加味した指標により判定することにより、更新データ供給装置1の経済性、利便性なども向上することができ、ユーザの満足度をより向上できる。
【0090】
2−5−5.保障更新データ抽出手段11
保障更新データ抽出手段11は、全ての要求更新区画23を上書更新データファイルMcにより更新した場合、つまり最新バージョンまで更新した場合に、隣接する区画p間の道路ネットワークの繋がりを保障するために更新する必要がある区画pである保障更新区画24を抽出すると共に、保障更新区画24のそれぞれについて、道路ネットワークの繋がりを保障するために更新する必要があるバージョンである更新保障バージョンuvaまでの差分更新データファイルMaをナビゲーション装置2に供給するデータファイルである第二供給データファイルfa2として抽出する処理を行う手段である。
【0091】
ある保障更新区画24を更新することにより、その保障更新区画24に隣接する区画pも、ネットワーク保障のために更新する必要が生じ、保障更新区画24が連鎖的に広がる。しかし、本実施形態では、保障更新区画24の更新については、最新バージョンとなる上書更新データファイルMc及び最新バージョンまでの差分更新データファイルMaでなく、道路ネットワークを保障するために更新する必要があるバージョンである更新保障バージョンuvaまでの差分更新データファイルMaを抽出しているため、要求更新区画範囲22からより離れた区画pになるに従って、各区画pの更新保障バージョンuvaが最新バージョンに比べてより古いバージョンとなっていき、保障更新区画24が連鎖的に広がる区画範囲を狭くできる。
【0092】
本実施形態では、保障更新データ抽出手段11は、抽出された更新区画である抽出更新区画31と、当該抽出更新区画31に隣接する隣接区画26との区画組である隣接区画組について、最も新しい更新バージョンに基づき、保障バージョンテーブルSVTを検索して、隣接区画26から保障更新区画24を抽出すると共に、保障更新区画24のそれぞれについて更新保障バージョンuvaを抽出し、更新保障バージョンuvaまでの差分更新データファイルMaを抽出する。
【0093】
より具体的には、本実施形態では、要求更新データ抽出手段10又は保障更新データ抽出手段11により抽出された更新区画である抽出更新区画31と、当該抽出更新区画31に隣接する区画pである隣接区画26との区画組gを隣接区画組とする。そして、各隣接区画組について、保障バージョンテーブルSVTを検索して、隣接区画組の各抽出更新区画31について、現在のバージョンより新しいバージョンであって、更新後のバージョン(要求更新区画23では最新バージョン、保障更新区画24では最も新しい更新保障バージョンuva)までの全バージョンのそれぞれと一致する保障バージョンvaが存在する各隣接区画組を抽出する。そして、当該抽出した隣接区画組の隣接区画26を保障更新区画24として抽出し、一致する保障バージョンvaの内、最新の保障バージョンvaに保障バージョン組として対応する隣接区画26の保障バージョンvaを、抽出した各保障更新区画24の更新保障バージョンuvaとして抽出する。
ここで、各区画pの現在のバージョンは、各ナビゲーション装置2の管理データテーブルDTから抽出され、各区画pの最新バージョンは、バージョンテーブルVTから抽出される。
なお、更新後のバージョンとは、供給する各区画pの更新データファイルのバージョンの内、最も新しいバージョンである。
【0094】
そして、新たに抽出された保障更新区画24と、既に抽出された保障更新区画24からより新しい更新保障バージョンuvaが抽出された保障更新区画24と、を抽出された更新区画である抽出更新区画31として設定し、各抽出更新区画31の最も新しい更新保障バージョンuvaを更新後のバージョンと設定し、再び上記したように、隣接区画組を抽出し、保障更新区画24及び更新保障バージョンuvaを抽出する処理を行う。この再帰的な抽出処理を、新たな保障更新区画24及び、既に抽出された保障更新区画24からより新しい更新保障バージョンuvaが抽出されなくなるまで繰り返し実行し、連鎖的に広がる保障更新区画24及びその更新保障バージョンuvaを抽出する。この後、複数の更新保障バージョンuvaが抽出されている保障更新区画24は、最も新しい更新保障バージョンuvaを、その保障更新区画24の最終的な更新保障バージョンuvaと設定して、更新データファイルを抽出する処理を行う。
なお、この保障更新区画24及びその更新保障バージョンuvaを抽出する処理は、要求更新区画23を抽出更新区画31に設定した場合の処理に限定されず、所定のバージョンまで更新する所定の区画pを抽出更新区画31に設定した場合における、その周辺のネットワーク保障を行う保障更新区画24及び更新保障バージョンuvaを抽出する、より一般的な処理にも用いることができる。
【0095】
この処理によると、現在のバージョン以下の保障バージョンvaは、既に供給されてネットワーク保障されており、ネットワーク保障のために更新する必要はないので、更新保障バージョンuvaは、現在のバージョンより新しいバージョンから抽出される。また、更新保障バージョンuvaは、供給するバージョンの中で最も新しいバージョン(更新後のバージョン)までの全バージョンのそれぞれと一致する保障バージョンvaの内、最新の保障バージョンvaに基づき抽出される。よって、更新保障バージョンuvaは、要求更新区画23を最新バージョンまで更新した場合に、隣接する区画間の道路ネットワークの繋がりを保障するために更新する必要があるバージョンに設定される。また、このような更新保障バージョンuvaが存在する隣接区画26を保障更新区画24として抽出するので、保障更新区画24は、要求更新区画23を最新バージョンまで更新した場合に、隣接する区画間の道路ネットワークの繋がりを保障するために更新する必要がある区画となる。
【0096】
本実施形態では、まず、要求更新データ抽出手段10により抽出された更新区画である要求更新区画23を抽出更新区画31と設定し、この抽出更新区画31と、別の要求更新区画23でない区画pであって抽出更新区画31と隣接する区画pである隣接区画26との区画組gである隣接区画組を抽出する。よって、要求更新区画範囲22の端に位置する一又は二以上の要求更新区画23である端要求更新区画25を抽出更新区画31として設定し、要求更新区画23でない区画pであって端要求更新区画25のそれぞれに隣接する区画pを隣接区画26として、抽出更新区画31と隣接区画26との区画組gを隣接区画組として抽出する。各隣接区画組について、保障バージョンテーブルSVTを検索して、隣接区画組の各抽出更新区画31について、現在のバージョンより新しいバージョンであって、最新バージョンまでの全バージョンのそれぞれと一致する保障バージョンvaが存在する各隣接区画組の隣接区画26を保障更新区画24として抽出する。そして、一致する保障バージョンvaの内、最新の保障バージョンvaに保障バージョン組として対応する隣接区画26の保障バージョンvaを、抽出した各保障更新区画24の更新保障バージョンuvaとして抽出する。
【0097】
図9(a)に示す例では、区画A1が要求更新区画23の端要求更新区画25及び抽出更新区画31として設定され、区画A2が隣接区画26として抽出され、区画A1と区画A2の区画組gが隣接区画組として抽出される。ここで、図9(b)に示すように、区画A1、A2、A3、A4の現在のバージョンは、それぞれ1、1、2、2であり、最新バージョンは、それぞれ8、6、6、5である。区画A1と区画A2の隣接区画組について、図9(c)に示す保障バージョンテーブルSVTを検索して、隣接区画組の各抽出更新区画31である区画A1について、現在のバージョンである1より新しいバージョンであって、最新バージョンである8までの全バージョンである2〜8のそれぞれと一致する保障バージョンvaが存在するか判定する。図9(c)に示すように、区画A1の保障バージョンは、1、3、5、7であり、バージョン3、5、7が一致するため、隣接区画組の隣接区画26である区画A2を保障更新区画24として抽出する。また、一致する保障バージョンva3、5、7の内、最新の保障バージョンvaである7に保障バージョン組として対応する隣接区画26の保障バージョンva5を保障更新区画24の更新保障バージョンuvaとして抽出する。すなわち、区画A2が保障更新区画24として抽出され、区画A2の更新保障バージョンuvaは5とされる。
【0098】
隣接区画26から抽出された保障更新区画24を更新保障バージョンuvaまで更新することにより、この保障更新区画24に隣接する区画pもネットワーク保障のために更新を行う必要が生じ、保障更新区画24が連鎖的に広がる。保障更新データ抽出手段11は、この連鎖的に広がる保障更新区画24についても抽出すると共に、各保障更新区画24の更新保障バージョンuvaを抽出する。
【0099】
そこで、次に、抽出された保障更新区画24を抽出された更新区画である抽出更新区画31として設定し、当該抽出更新区画31に隣接する区画pを隣接区画26として抽出し、当該抽出更新区画31と隣接区画26との区画組gを隣接区画組として抽出する。各隣接区画組について、保障バージョンテーブルSVTを検索して、当該抽出更新区画31について、現在のバージョンより新しいバージョンであって、更新保障バージョンuvaまでの全バージョンのそれぞれと一致する保障バージョンvaが存在する各隣接区画組の隣接区画26を保障更新区画24として抽出し、一致する保障バージョンvaの内、最新の保障バージョンvaに保障バージョン組として対応する隣接区画26の保障バージョンvaを、抽出した各保障更新区画24の更新保障バージョンuvaとして抽出する。
そして、新たに抽出された保障更新区画24と、既に抽出された保障更新区画24からより新しい更新保障バージョンuvaが抽出された保障更新区画24と、を抽出された更新区画である抽出更新区画31として設定し、その隣接区画組を抽出し、同様に、保障更新区画24と更新保障バージョンuvaを抽出する処理を、新たな保障更新区画24及び、既に抽出された保障更新区画24からより新しい更新保障バージョンuvaが抽出されなくなるまで繰り返し、連鎖的に広がる保障更新区画24及び更新保障バージョンuvaを抽出する。
【0100】
このように、抽出された保障更新区画24である抽出保障更新区画の更新保障バージョンuvaまでのバージョンと一致する保障バージョンvaを基準にして、抽出保障更新区画に隣接して連鎖的に抽出される保障更新区画24の更新保障バージョンuvaを抽出しているため、基準となる保障バージョンvaは、少なくとも抽出保障更新区画の更新保障バージョンuva以下となり、連鎖的に抽出される更新保障バージョンuvaは、要求更新区画範囲22からより離れた区画pになるに従って、最新バージョンに比べてより古いバージョンとなっていき、保障更新区画24が連鎖的に広がる区画範囲を狭くできる。
【0101】
また、現在のバージョンより新しいバージョンと一致する保障バージョンvaを基準にして、抽出保障更新区画に隣接して連鎖的に抽出される保障更新区画24の更新保障バージョンuvaを抽出しているため、基準となる保障バージョンvaは、少なくとも抽出保障更新区画の現在のバージョンより新しくなり、連鎖的に抽出される更新保障バージョンuvaは、現在のバージョンより新しいバージョンまでで制限されるため、保障更新区画24が連鎖的に広がる区画範囲を狭くできる。
【0102】
図9(a)に示す例では、抽出された保障更新区画24である区画A2が抽出更新区画31として設定され、区画A3が隣接区画26として抽出され、区画A2と区画A3の区画組gが隣接区画組として抽出される。区画A2と区画A3の隣接区画組について、図9(c)に示す保障バージョンテーブルSVTを検索して、隣接区画組の抽出更新区画31である区画A2について、現在のバージョンである1より新しいバージョンであって、区画A2の更新保障バージョンuvaである5までの全バージョンである2〜5のそれぞれと一致する保障バージョンvaがあるか判定する。図9(c)に示すように、区画A2の保障バージョンは1、4、6であり、バージョン4が一致するため、隣接区画組の隣接区画26である区画A3を保障更新区画24として抽出する。また、一致する保障バージョンva4の内、最新の保障バージョンvaである4に保障バージョン組として対応する隣接区画26の保障バージョンva3を保障更新区画24の更新保障バージョンuvaとして抽出する。すなわち、区画A3が保障更新区画24として抽出され、区画A3の更新保障バージョンuvaは3に抽出される。
【0103】
次に、抽出された保障更新区画24である区画A3を抽出更新区画31として設定し、区画A4を隣接区画26として抽出し、区画A3と区画A4の区画組gを隣接区画組として抽出し、同様に、保障更新区画24と更新保障バージョンuvaを抽出する。すなわち、区画A3と区画A4の隣接区画組について、図9(c)に示す保障バージョンテーブルSVTを検索して、隣接区画組の抽出更新区画31である区画A3について、現在のバージョンである2より新しいバージョンであって、区画A3の更新保障バージョンuvaである3までの全バージョンである3と一致する保障バージョンvaがあるか判定する。図9(c)に示すように、区画A3の保障バージョンは2、4、5であり、一致するバージョンがないため、保障更新区画24は抽出されない。図9(a)に示す例では、他に隣接区画組は存在しないため、保障更新区画24及び更新保障バージョンuvaの抽出処理を終了する。
【0104】
よって、図9に示す例では、保障更新区画24として区画A2、A3が抽出され、それぞれの更新保障バージョンuvaとして5、3が抽出される。そして、図9及び図10に示すように、要求更新区画範囲22からより離れた区画pになるに従って、各区画pの更新保障バージョンuvaが最新バージョンに比べてより古いバージョンとなっていき、また、各区画pの更新保障バージョンuvaは現在のバージョンより新しいバージョンまでで制限されるため、保障更新区画24が連鎖的に広がる区画範囲を狭くできている。
一方、本実施形態ように更新後のバージョンまでではなく、最新バージョンまでの全バージョンまでと一致する保障バージョンvaが存在する隣接区画組の隣接区画26を保障更新区画24として抽出する場合は、図9及び図10に示す例では、区画A4も保障更新区画24となり、保障更新区画24が連鎖的に広がる区画範囲が本実施形態よりも広くなる。
【0105】
また、本実施形態では、保障更新データ抽出手段11は、保障更新区画24のそれぞれについて、現在のバージョンより新しいバージョンであって、更新保障バージョンuvaまでの全てのバージョンの差分更新データファイルMaを抽出する。
このため、地図更新データ供給装置1が、各ナビゲーション装置2に供給したバージョンを重複して抽出することを防止できるため、各ナビゲーション装置2に応じて供給する差分更新データファイルMaの数及びデータ量を最小化することができる。
【0106】
2−5−6.統合データ生成手段12
統合データ生成手段12は、要求更新データ抽出手段10により抽出された要求更新区画23のそれぞれについての最新バージョンまでの全ての差分更新データファイルMaを、要求更新区画23毎に1つに統合して1回の差分更新用のデータファイルとした要求更新用統合データファイル33を生成すると共に、保障更新データ抽出手段11により抽出された保障更新区画24のそれぞれについての更新保障バージョンuvaまでの差分更新データファイルMaを、保障更新区画24毎に1つに統合して1回の差分更新用のデータファイルとした保障更新用統合データファイル34を生成する処理を行う手段である。
【0107】
すなわち、要求更新区画23及び保障更新区画24のそれぞれについて、最新バージョンもしくは更新保障バージョンuvaまでの複数バージョンの差分更新用の差分更新データファイルMaを、各区画p毎に1つに統合して1回の差分更新用のデータファイルを生成し、ナビゲーション装置2に供給する。従って、複数バージョンの差分更新データファイルMaをそのまま供給する場合に比べて、供給するデータファイル数及びデータ量を低減することができる。
【0108】
より具体的には、本実施形態では、統合データ生成手段12は、各区画pについて抽出された全てのバージョンの差分更新データファイルMaを対象として、例えば、更新前に存在しなかったデータユニットDUを追加した後最終的に削除する複数バージョンの更新データは、そのデータユニットDUの更新を行わないとして統合する(統合データなしの統合パターン)。また、更新前に存在していたデータユニットDUの内容を変更した後最終的に削除する複数バージョンの更新データは、そのデータユニットDUを削除する更新を行う1つのデータとして統合する(削除の統合パターン)。更新前に存在しなかったデータユニットDUを追加した後その内容を変更する複数バージョンの更新データは、そのデータユニットDUを追加する更新を行う1つのデータとして統合する(追加の統合パターン)。更新前に存在していたデータユニットDUを最終的に変更する複数バージョンの更新データは、1つの変更用の更新データとして統合する(変更の統合パターン)。
【0109】
以下でより具体的な更新データの統合処理について説明する。
本実施形態では、統合データ生成手段12は、更新区画である要求更新区画23及び保障更新区画24の全ての更新区画を抽出して、抽出した更新区画毎に、供給する全てのバージョンの差分更新データファイルMaを統合した1つの差分更新用のデータファイルである要求更新用統合データファイル33及び保障更新用統合データファイル34を生成する処理を行う。この統合処理は、更新区画毎に、供給する全ての更新バージョンの差分更新データファイルMaに存在する全ての識別符号を抽出し、抽出した識別符号毎に、存在する全ての更新バージョンの更新データを抽出する。そして、各識別符号における全ての更新データについて、全ての更新バージョンに亘る、追加、変更、削除の更新内容の履歴である更新履歴の意味を考慮して各統合パターンを判定して、各識別符号における全ての更新データを追加、変更、削除の何れか1つの更新データ、もしくは更新データなし、として統合する処理を行う。各更新区画において、全ての識別符号のそれぞれについて生成された統合後の更新データを1つにまとめた差分更新用のデータファイルを生成する。
【0110】
次に、識別符号毎の追加、変更、削除の更新履歴に応じた、統合パターンの判定処理、及び統合データの生成処理について、より具体的な処理について説明する。
図11及び図12のケース1〜3に示すように、各識別符号について存在する全ての更新データの内、最も古いバージョンの更新データの更新内容である最初の更新内容が追加であり、最も新しいバージョンの更新データの更新内容である最終の更新内容が削除である場合は、上記した、更新前に存在しなかったデータユニットDUを追加した後最終的に削除する複数バージョンの更新データであり、その識別符号のデータユニットDUの更新を行わないとして統合する処理を行う(統合データなしの統合パターン)。すなわち、当該識別符号について、複数バージョンの更新データの何れも、統合データファイルに追加しない。
【0111】
一方、図12のケース4、5に示すように、各識別符号について、最初の更新内容が変更であり、最終の更新内容が削除である場合は、上記した、更新前に存在していたデータユニットDUの内容を変更した後最終的に削除する複数バージョンの更新データであり、上記したように、そのデータユニットDUを削除する更新を行う1つの削除用の更新データとして統合する処理を行う(削除の統合パターン)。本実施形態では、当該識別符号のみからなる削除用の更新データを生成する処理を行う。
【0112】
また、図12のケース9、10に示すように、各識別符号について、最初の更新内容が追加であり、最終の更新内容が変更である場合は、上記した、更新前に存在しなかったデータユニットDUを追加した後、その内容を変更する複数バージョンの更新データであり、そのデータユニットDUを追加する更新を行う1つの追加用の更新データとして統合する処理を行う(追加の統合パターン)。本実施形態では、1つのデータユニットDUを構成するために必要な全てのデータ項目の属性データを有している最初の追加用の更新データに対して、各識別符号について存在する全ての更新データの内で2番目に古いバージョンの更新データから最も新しいバージョンの更新データまで、バージョンの古い順に、各バージョンの更新データを用いて差分更新を行い、差分更新後の更新データを統合後の更新データである追加用の更新データとして生成する処理を行う。この差分更新は、更新データの変更に係わる各データ項目の更新前のデータを、変更後のデータに更新することより実行される。本例では、各変更用の更新データに含まれる更新有無のフラグのデータを用いて更新有のデータ項目のみを差分更新する。更新有無のフラグを用いることで、統合後の更新データの生成時間を短縮することができる。
【0113】
本実施形態の道路データの例では、変更用の更新データは、各データ項目の変更の有無に関わらず、更新される可能性のある全てのデータ項目始点交差点ID及び終点交差点IDのデータ項目を除いた全てのデータ項目のデータを備えている。このため、上記差分更新を行わず、最終の更新データにおける各交差点IDを除いた全てのデータ項目のデータを用いて統合後の追加用の更新データを生成する。すなわち、識別符号と、追加用の更新データである最初の更新データに含まれる始点交差点ID及び終点交差点IDと、変更用の更新データである最終の更新データの各交差点IDを除いた全データ項目と、からなる追加用の更新データを生成する処理を行う。各データ項目について差分更新をする必要がないので統合後の更新データの生成時間を短縮することができる。また、本例では、始点交差点ID又は終点交差点IDが変わる道路データの変更は、識別符号が変わる道路データの削除及び追加となるため、各識別符号の全ての更新データの各交差点IDは変更されず同一となる。よって、各識別符号の全ての更新データを検索して、交差点IDを抽出する必要はなく、最初の更新データである追加用の更新データに含まれる始点交差点ID及び終点交差点IDを統合後の更新データに用いるので、統合後の更新データの生成時間を短縮することができる。
【0114】
また、図12のケース8に示すように、各識別符号について、最初の更新内容が変更であり、最終の更新内容が変更である場合は、上記した、更新前に存在していたデータユニットDUを最終的に変更する複数バージョンの更新データであり、そのデータユニットDUを変更する更新を行う1つの変更用の更新データとして統合する処理を行う(変更の統合パターン)。
本実施形態では、最初の変更用の更新データに対して、各識別符号について存在する全ての更新データの内で2番目に古いバージョンの更新データから最も新しいバージョンの更新データまで、バージョンの古い順に、各バージョンの更新データを用いて差分更新を行い、差分更新後の更新データを統合後の更新データである変更用の更新データとして生成する処理を行う。この差分更新は、更新データの変更に係わる各データ項目の更新前のデータを、変更後のデータに更新することより実行される。変更に係わるデータ項目の更新前のデータが存在しない場合は、変更後のデータ項目のデータを追加して更新する。
本例では、各変更用の更新データに含まれる更新有無のフラグのデータを用いて更新有のデータ項目のみを差分更新する。更新有無のフラグを用いることで、統合後の更新データの生成時間を短縮することができる。
【0115】
本実施形態の道路データの例では、変更用の更新データは、上記のように、各データ項目の変更の有無に関わらず、更新される可能性のある全てのデータ項目である、始点交差点ID及び終点交差点IDのデータ項目を除いた全てのデータ項目のデータを備えているため、上記差分更新を行わず、最終の更新データにおける各交差点IDを除いた全てのデータ項目のデータを用いて統合後の変更用の更新データを生成する。更新有無のフラグについては、各識別符号の全ての更新データの更新有無のフラグを各データ項目毎に検索して1回以上更新がある各データ項目については更新有りと設定した(各データ項目の全てのフラグを更新有りについてOR取りした(マージした))更新有無のフラグを統合後の変更用の更新フラグに用いる。なお、最初と最終の更新データ間のバージョンにおいて、削除、追加があった場合は(更新有無のフラグがない更新データがあった場合は)、全てのデータ項目を更新有りと設定した更新有無のフラグを統合後の更新データに用いる。この追加、削除があった場合も、上記のように、始点交差点ID及び終点交差点IDは変更されないため、統合後の更新データから各交差点IDを除くことができ、変更用の更新データを用いることができる。
すなわち、各識別符号と、変更用の更新データである最終の更新データの各交差点IDを除いた全データ項目と、マージ後の更新有無のフラグからなる変更用の更新データを生成する処理を行う。各データ項目について差分更新をする必要がないので統合後の更新データの生成時間を短縮することができる。また、フラグのマージ処理の処理負荷は、各データ項目のデータの差分更新に比べて大幅に小さい。
【0116】
このように、各識別符号の全更新データの最初の更新内容と、最終の更新内容を判定するだけで、統合パターンを判定することができ、統合処理の演算負荷を低減することができる。また、本実施形態の道路データのように、変更用の更新データに、更新される可能性のある全てのデータ項目のデータを備えているため、全てのバージョンの更新データを差分更新して統合後の更新データを生成する必要はない。よって最終の更新データをそのまま統合後の更新データのデータ項目とすることができ、統合処理の演算負荷を低減し、更新データの供給時間を短縮することができる。
【0117】
また、統合前の更新データである更新用データベースDB1に格納されている更新データには、更新される可能性のある全てのデータ項目のデータを備えるように構成し、統合後の更新データには、全てのデータ項目から、更新されるデータ項目にのみデータを備えるようにフォーマットを変換する処理を行うようにする。そして、変換処理後の更新データにより統合データファイルを構成し、ナビゲーション装置2に供給するようにしても良い。この変換処理の際、更新有無のフラグを用いて、更新されるデータ項目を抽出できるため、変換処理の演算負荷を低く抑えることができる。このように構成することで、地図更新データ供給装置1内での統合処理には、上記のように差分更新が必要ないため、統合処理の演算負荷を低減し、更新データの供給時間を短縮することができる。一方、供給用の更新データのデータ量を低減することができ、配信時間及び通信コストを低減することができる。
【0118】
次に、図11、図12に示す例で、各識別符号の複数バージョンの更新データを統合することによる供給データサイズの低減効果を説明する。本例では、特に重要となる道路データを例にとって説明する。
まず、図11は、例えば、上記した、更新前に存在しなかったある識別符号のデータユニットDUを追加した後最終的に削除する複数バージョンの更新データについて、そのデータユニットDUの更新を行わないとして統合する統合パターン(統合データなしの統合パターン)における、統合処理による供給データサイズの低減について説明する図である。この図の例では、更新前のナビゲーション装置2の地図データMbは初期データであり、識別符号10(ID:10)の道路データのデータユニットDUは存在していない。そして、地図データ供給装置1がナビゲーション装置2からの更新要求fbを受信した後、識別符号10についてのバージョン1から3の追加、変更、削除用の更新データを抽出し、抽出した全ての更新データの情報をナビゲーション装置1に供給する場合である。
各更新バージョンの更新データである追加、変更、削除用の更新データのデータサイズは、上記したように、それぞれ24、16、4byteとなる。本実施形態における統合処理を行わない場合は、各更新バージョンの更新データを全て送信する必要があり、送信データは、合計44byteのデータサイズとなる3回分の差分更新用の更新データとなる。一方、本実施形態における統合処理を行う場合は、識別符号10の更新データは、追加後最終的に削除するので、更新を行わない、つまり更新データなしとして統合され、送信する更新データはなく、0byteのデータサイズとなる。従って、統合処理により、大幅に送信データ量、及びナビゲーション装置2における差分更新の処理回数を低減することができる。
【0119】
次に、図12に示す例で、各統合パターンにおける供給データサイズの低減効果を説明する。
この図は、バージョン1から4が更新バージョンとして抽出された場合における、ある識別符号についてのバージョン1から4の更新データの更新内容の履歴について、各統合パターンに対応する更新履歴の例をケース1から10に示している。また、組み合わせを示す例として、各バージョン毎に特定の更新内容を設定し、その更新内容の更新を行う場合は、「○」、その更新内容を含めて全ての更新内容の更新を行わない場合は「−」と表示している。ここでは、バージョン1に追加、バージョン2に変更、バージョン3に変更、バージョン4に削除の更新内容を設定している。
【0120】
ケース1から3が、図11で示した、更新前に存在しなかったある識別符号のデータユニットDUを追加した後最終的に削除する複数バージョンの更新データについて、更新データなしとして統合する統合パターン(統合データなしの統合パターン)を示している。ケース4、5が、更新前に存在していたある識別符号のデータユニットDUを変更した後最終的に削除する複数バージョンの更新データについて、1つの削除用の更新データとして統合する統合パターン(削除の統合パターン)を示している。ケース8が、更新前に存在していたある識別符号のデータユニットDUを最終的に変更する複数バージョンの更新データについて、1つの変更用の更新データとして統合する統合パターン(変更の統合パターン)を示している。ケース9から10が、図11で示した、更新前に存在しなかったある識別符号のデータユニットDUを追加した後最終的に変更する複数バージョンの更新データについて、1つの追加用の更新データとして統合する統合パターン(追加の統合パターン)を示している。なお、比較のために、ケース6、7、11に、それぞれ、削除、変更、追加の1つのバージョンの更新データのみがあり、統合が必要ない場合を示している。この場合は、当然ながら、供給データサイズの低減効果はない。
【0121】
図12の表の右半分に、各ケースに対応して、統合処理の有無による効果を示している。統合処理なしの場合において、ナビゲーション装置2で必要な差分更新の処理回数である更新回数(供給する更新データ数)と、供給する全更新データのデータサイズを示している。一方、統合処理ありの場合の、生成する1つの更新データの更新内容と、更新回数と、全データサイズを示している。
この図に示すように、統合処理を行うことにより、全ての統合パターンにわたって、更新回数(更新データ数)、及び全データサイズ数が大幅に低減できている。また、ケース2、5、10のように、統合するバージョン数が多くなるほど、低減効果が大きくなる。従って、統合処理により、大幅に送信データ量、及びナビゲーション装置2における差分更新の処理回数を低減することができる。
【0122】
2−5−7.通信制御手段14
通信制御手段14は、通信装置6の動作制御を行う手段である。具体的には、通信制御手段14は、通信装置6による地図更新データ供給装置1とナビゲーション装置2との通信を制御し、ナビゲーション装置2から送信される更新要求fbのデータの受信、及びナビゲーション装置2への第一供給データファイルfa1及び第二供給データファイルfa2の送信等のための動作を通信装置6に行わせる。よって、本実施形態においては、この通信制御手段14及び通信装置6が、ナビゲーション装置2に第一供給データファイルfa1及び第二供給データファイルfa2を供給する「統合データ供給手段13」を構成する。
【0123】
3.地図更新データ供給装置1の動作処理
次に、地図更新データ供給プログラムに従って動作する地図更新データ供給装置1の処理についてフローチャートに基づいて説明する。ここでは、地図更新データ供給装置1が備える各手段7〜15により行われる処理である、ナビゲーション装置2からの地図データベースDB3の更新要求に応じて第一供給データファイルfa1及び第二供給データファイルfa2を生成し供給する処理、及びその処理に際して、要求更新データを抽出する処理、上書及び差分更新データの更新時間を比較する処理、保障更新データを抽出する処理、それらの統合データを生成する処理、並びに各種データベースを更新する処理について説明する。
【0124】
3−1.第一及び第二供給データファイルの生成・送信処理
図15は、地図更新データ供給装置1による第一供給データファイルfa1及び第二供給データファイルfa2を生成し供給する処理を示すフローチャートである。この図に示すように、地図更新データ供給装置1は、ナビゲーション装置2からの更新要求があった場合、すなわち更新要求fbを受信した場合に(ステップ#11:Yes)、上記した要求更新データ抽出手段10により、更新要求fbに基づき要求更新区画23及び各要求更新区画23の上書更新データファイルMc又は最新バージョンまでの差分更新データファイルMaを抽出する処理を行う(ステップ#12)。
このステップ#12の処理は、ナビゲーション装置2からの更新要求fbに基づき、要求更新区画23を抽出し、要求更新区画23のそれぞれについて抽出した上書更新データファイルMcと最新バージョンまでの差分更新データファイルMaの更新時間を比較し、更新時間が短くなるいずれかのデータファイルを、ナビゲーション装置2に供給するデータファイルである第一供給データファイルfa1として抽出する処理である。この処理については、後に図16に示すフローチャートに基づいてより詳細に説明する。
ここで、最新バージョンまでの差分更新データファイルMaを統合した要求更新用統合データファイル33を最新バージョンまでの差分更新データファイルMaとして更新時間の比較を行う場合は、後述するステップ♯14における統合データ生成手段12による要求更新用統合データファイル33の生成処理を更新時間の比較処理の前に行う。
【0125】
その後、地図更新データ供給装置1は、上記した保障更新データ抽出手段11により、保障更新区画24及び各保障更新区画24の更新保障バージョンuvaを抽出し、各保障更新区画24について更新保証バージョンuvaまでの差分更新データファイルMaをナビゲーション装置2に供給するデータファイルである第二供給データファイルfa2として抽出する処理を行う(ステップ#13)。
このステップ#13の処理は、全ての要求更新区画23を最新バージョンまで更新した場合に、隣接する区画p間の道路ネットワークの繋がりを保障するために更新する必要がある区画pである保障更新区画24を抽出すると共に、保障更新区画24のそれぞれについて、道路ネットワークの繋がりを保障するために更新する必要があるバージョンである更新保障バージョンuvaまでの差分更新データファイルMaを抽出する処理である。この処理については、後に図17に示すフローチャートに基づいてより詳細に説明する。
【0126】
その後、地図更新データ供給装置1は、上記した統合データ生成手段12により、要求更新用統合データファイル33及び保障更新用統合データファイル34を生成する処理を行う(ステップ#14)。
このステップ#14の処理は、要求更新データ抽出手段10により抽出された要求更新区画23のそれぞれについての最新バージョンまでの全ての差分更新データファイルMaを、要求更新区画23毎に1つに統合して1回の差分更新用のデータファイルとした要求更新用統合データファイル33を生成すると共に、保障更新データ抽出手段11により抽出された保障更新区画24のそれぞれについての更新保障バージョンuvaまでの差分更新データファイルMaを、保障更新区画24毎に1つに統合して1回の差分更新用のデータファイルとした保障更新用統合データファイル34を生成する処理である。この処理については、後に図18及び図19に示すフローチャートに基づいてより詳細に説明する。
【0127】
そして、地図更新データ供給装置1は、上記した統合データ供給手段13を構成する通信制御手段14及び通信装置6により、第一供給データファイルfa1及び第二供給データファイルfa2をナビゲーション装置に供給する処理を行う(ステップ#15)。第一供給データファイルfa1は、各要求更新区画23についての上書更新データファイルMc又は要求更新用統合データファイル33により構成される。第二供給データファイルfa2は、各保障更新区画24についての保障更新用統合データファイル34により構成される。以上により、第一供給データファイルfa1及び第二供給データファイルfa2がナビゲーション装置2に供給される。
【0128】
3−2.要求更新データ抽出手段10、更新時間判定手段15により行われる処理
次に、図16は、上記ステップ#12の要求更新データ抽出手段10及び更新時間判定手段15により行われる処理である、更新要求fbに基づき要求更新区画23及び各要求更新区画23の最新バージョンまでの差分更新データファイルMaを抽出する処理を示すフローチャートである。
まず、要求更新データ抽出手段10は、上記したように、ナビゲーション装置2の更新要求fbに基づきから初回更新であるか判定する処理を行う(ステップ#21)。初回更新でない場合は(ステップ#21:No)、上記したように、管理データベースDB1から、更新要求fbのあったナビゲーション装置2に一致する管理データテーブルDTを検索する(ステップ♯22)。一致する管理データテーブルDTがある場合(ステップ#23:Yes)は、検索により特定した管理データテーブルDTから、各要求更新区画23について、現在のバージョンを抽出する。
そして、要求更新データ抽出手段10は、現在のバージョンより新しいバージョンであって、更新用地図データベースDB1に格納されている最新バージョンまでの全てのバージョンの差分更新データファイルMaを抽出する処理を行う(ステップ♯24)。
【0129】
一方、初回更新である場合は(ステップ#21:Yes)は、ステップ♯24で現在のバージョンを初期バージョン(バージョン0)に設定し、上記ステップ♯24の処理を行い差分更新データファイルMaを抽出する。
また、一致する管理データテーブルDTがない場合(ステップ#23:No)は、上記したように、地図更新データ供給装置1は、更新要求のfbあったナビゲーション装置2に、ナビゲーション装置2に供給されている現在のバージョンを送信するように要求する処理を行う(ステップ♯25)。そして、ナビゲーション装置2から現在のバージョンのデータを受信した場合は(ステップ#26:Yes)は、受信した現在のバージョンに基づき、上記ステップ♯24の処理を行い差分更新データファイルMaを抽出する。
【0130】
そして、更新時間判定手段15は、上記したように、要求更新区画23のそれぞれについて、上書更新データファイルMcと最新バージョンまでの差分更新データファイルMaとを、更新時間に関連する所定の指標に基づき比較し、いずれによる更新時間が短いかを判定する(ステップ♯27)。そして、要求更新データ抽出手段10は、更新時間判定手段15が、要求更新区画23のそれぞれについて、更新時間が短いと判定した上書更新データファイルMcと最新バージョンまでの差分更新データファイルMaとのいずれかのデータファイルを、ナビゲーション装置2に供給するデータファイルである第一供給データファイルfa1として抽出する(ステップ♯27)。
ここで、最新バージョンまでの差分更新データファイルMaに代えて、それを統合した要求更新用統合データファイル33を用いて更新時間の比較を行う場合は、統合データ生成手段12による要求更新用統合データファイル33の生成処理を、更新時間の比較処理(ステップ♯27)の前であって、差分更新データファイルMaの抽出処理(ステップ♯24)の後に行う。
【0131】
3−3.保障更新データ抽出手段11により行われる処理
次に、図17は、上記ステップ#14の保障更新データ抽出手段11により行われる処理である保障更新区画24及び各保障更新区画24の更新保障バージョンuvaを抽出し、各保障更新区画24について更新保証バージョンuvaまでの差分更新データファイルMaを抽出する処理を示すフローチャートである。
まず、保障更新データ抽出手段11は、上記したように、要求更新区画23の区画範囲である要求更新区画範囲22に隣接する隣接区画26と、その隣接区画組27とを抽出する処理を行う(ステップ♯31)。
その後、保障更新データ抽出手段11は、上記したように、抽出した隣接区画組27について、最も新しい更新バージョンに基づき、保障バージョンテーブルSVTを検索して、隣接区画26から保障更新区画24を抽出すると共に、保障更新区画24のそれぞれについて更新保障バージョンuvaを抽出する処理を行う(ステップ♯32)。
【0132】
そして、ステップ♯32で新たに保障更新区画24が抽出された場合は(ステップ#33:Yes)、上記したように、新たに抽出された保障更新区画24に隣接する隣接区画26と、その隣接区画組27とを抽出する処理を行い(ステップ♯35)、ステップ♯32で再び、その隣接区画組27について、最も新しい更新バージョンに基づき、保障バージョンテーブルSVTを検索して、隣接区画26から保障更新区画24を抽出すると共に、保障更新区画24のそれぞれについて更新保障バージョンuvaを抽出する処理を行う。この再帰的な処理を、新たな保障更新区画24及び更新保障バージョンuvaが抽出されなくなるまで繰り返し実行し、連鎖的に広がる保障更新区画24及びその更新保障バージョンuvaを抽出する。
そして、上記したように、新たな保障更新区画24及び更新保障バージョンuvaが抽出されなくなった場合は(ステップ♯33:No)、各保障更新区画24について更新保障バージョンuvaまでの差分更新データファイルMaを抽出する処理を行う(ステップ♯34)。
【0133】
3−4.統合データ生成手段12により行われる処理
次に、図18及び図19は、上記ステップ#15の統合データ生成手段12により行われる処理である要求更新用統合データファイル33及び保障更新用統合データファイル34を生成する処理を示すフローチャートである。ただし、ステップ♯12で、最新バージョンまでの差分更新データファイルMaに代えて要求更新用統合データファイル33を用いて更新時間を比較する場合は、要求更新用統合データファイル33の生成処理はステップ♯12で行われる。
このフローチャートでは、上記した本実施形態における、識別符号に関連付けられた各データユニットDUについて、追加、変更、削除を行う更新データの複数バージョンに亘る更新履歴の意味を考慮して、追加、変更、削除の何れか1つの更新データ、もしくは更新なしとして統合する処理についてフローチャートに基づき説明する。
【0134】
まず、統合データ生成手段12は、上記したように、更新区画である要求更新区画23及び保障更新区画24の全ての更新区画から、1つの更新区画を処理区画に設定する処理を行う(ステップ♯41)。
そして、設定した処理区画に複数の更新バージョンの差分更新データファイルMaがある場合は(ステップ♯42:Yes)、全ての更新バージョンの差分更新データファイルMaに存在する全ての識別符号を抽出する処理を行う(ステップ♯43)。
【0135】
そして、抽出した全ての識別符号から、1つの識別符号を処理識別符号に設定する処理を行う(ステップ♯45)。そして、設定した処理識別符号の更新データが、全ての更新バージョンの差分更新データファイルMaにわたって複数存在する場合は(ステップ♯46:Yes)、以下で説明する更新データを統合する処理を行う(ステップ♯47から♯52)。
【0136】
処理識別符号について存在する全ての更新データの内、最も古いバージョンの更新データの更新内容である最初の更新内容が追加であり(ステップ♯47:Yes)、最も新しいバージョンの更新データの更新内容である最終の更新内容が削除である(ステップ♯48:Yes)場合は、上記した、更新前に存在しなかったデータユニットDUを追加した後最終的に削除する複数バージョンの更新データであり、上記したように、その識別符号のデータユニットDUの更新を行わないとして統合する。すなわち、処理識別符号について、複数バージョンの更新データの何れも、最終的に各処理区画の統合データファイルとなる仮統合データファイルに追加せずに統合処理を終了する。
【0137】
一方、処理識別符号について、最初の更新内容が変更であり(ステップ♯47:No)、最終の更新内容が削除である(ステップ♯51:No)場合は、上記した、更新前に存在していたデータユニットDUの内容を変更した後最終的に削除する複数バージョンの更新データであり、上記したように、そのデータユニットDUを削除する更新を行う1つの削除用の更新データとして統合する処理を行う(ステップ♯51)。本実施形態では、処理識別符号のみからなる削除用の更新データを生成する処理を行う。
【0138】
また、処理識別符号について、最初の更新内容が追加であり(ステップ♯47:Yes)、最終の更新内容が変更である(ステップ♯48:No)場合は、上記した、更新前に存在しなかったデータユニットDUを追加した後その内容を変更する複数バージョンの更新データであり、上記したように、そのデータユニットDUを追加する更新を行う1つの追加用の更新データとして統合する処理を行う(ステップ♯50)。本実施形態の道路データの例では、上記したように、処理識別符号と、追加用の更新データである最初の更新データに含まれる始点交差点ID及び終点交差点IDと、変更用の更新データである最終の更新データの各交差点IDを除いた全データ項目と、からなる追加用の更新データを生成する処理を行う(ステップ♯50)。
【0139】
また、処理識別符号について、最初の更新内容が変更であり(ステップ♯47:No)、最終の更新内容が変更である(ステップ♯49:No)場合は、上記したように、そのデータユニットDUを変更する更新を行う1つの変更用の更新データとして統合する処理を行う(ステップ♯52)。本実施形態の道路データの例では、上記したように、処理識別符号と、変更用の更新データである最終の更新データの各交差点IDを除いた全データ項目と、マージ後の更新有無のフラグからなる変更用の更新データを生成する処理を行う(ステップ♯52)。
【0140】
以上の統合処理後の各更新データを、最終的に各処理区画の統合データファイルとなる仮統合データファイルに追加する処理を行う(ステップ♯53)。
【0141】
一方、処理識別符号の更新データが、複数バージョン存在せず1つのバージョンしか存在しない場合は(ステップ♯46:No)、上記の統合処理を行わずに、その1つのバージョンの更新データを、仮統合データファイルに追加する処理を行う(ステップ♯53)。
【0142】
そして、設定した処理識別符号の統合処理が終了した後、未処理の識別符号がある場合は(ステップ♯54:Yes)、再びステップ♯45に戻り、1つの未処理の識別符号を処理識別符号に設定し、設定した処理識別符号について上記の統合処理を行い、統合後の更新データを生成し、仮統合データファイルに追加する。この再帰的な統合処理を、設定した処理区画について、未処理の識別符号がなくなるまで繰り返し行い、仮統合データファイルに、設定した処理区画について供給が必要な全ての識別符号の統合後の更新データを格納する。そして、格納が終了した仮統合データファイルを、設定した処理区画についての統合データファイルに格納する処理を行う(ステップ♯55)。この際、処理した更新データファイルが要求更新データ抽出手段10により抽出されたものである場合は、仮統合データファイルを要求更新用統合データファイル33に格納する。一方、保障更新データ抽出手段11により抽出されたものである場合は、保障更新用統合データファイル34に格納する。その後、仮統合データファイルを次に設定される処理区画のデータ格納のためにリセットする(ステップ♯56)。
【0143】
そして、設定した処理区画の統合処理が終了した後、未処理の更新区画がある場合は(ステップ♯57:Yes)、再びステップ♯41に戻り、1つの未処理の更新区画を処理区画に設定し、設定した処理区画について、上記の統合処理を行い、統合後の仮統合データファイルを生成し、設定した処理区画についての統合データファイルに格納する。この再帰的な統合処理を、全ての更新区画について、未処理の更新区画がなくなるまで繰り返し行い、供給が必要な全ての更新区画についての要求更新用統合データファイル33もしくは保障更新用統合データファイル34を生成する。
【0144】
3−5.データベース更新手段7により行われる処理
図20は、データベース更新手段7により行われる処理である更新用データベースDB1に格納される上書更新データファイルMc、差分更新データファイルMa、及びバージョンテーブルVTの更新処理を示すフローチャートである。この図に示すように、データベース更新手段7は、入力装置4を介して上書更新データファイルMc及び差分更新データファイルMaのバージョンアップのための地図情報の追加、変更、削除といった更新入力が有ったか否かを判定する(ステップ#61)。そして、更新入力があった場合には(ステップ#61:Yes)、地図更新データ供給装置1は、データベース更新手段7により、当該更新入力の内容に基づいて、各区画p毎に更新用地図データベースDB1に既に格納されている上書更新データファイルMcを新しいバージョンに更新すると共に、各区画p毎に新しいバージョンの差分更新用の差分更新データファイルMaを生成し更新用地図データベースDB1に追加的に格納する(ステップ#62)。
そして、データベース更新手段7は、更新された上書更新データファイルMc及び生成された差分更新データファイルMaの新しいバージョンにより、生成された区画pについて、バージョンテーブルVTに記憶された最新バージョンを更新する処理を行う(ステップ#63)。
【0145】
3−6.バージョンテーブル更新手段8により行われる処理
図21は、バージョンテーブル更新手段8により行われる処理である保障バージョンテーブルSVTの更新処理を示すフローチャートである。
この図に示すように、バージョンテーブル更新手段8は、上記のように、データベース更新手段7により、隣接する2つの区画pについて、ネットワーク保障が必要になる新しいバージョンの上書更新データファイルMc及び差分更新データファイルMaが生成された場合には(ステップ#71:Yes)、バージョンテーブル更新手段8は、この新しい各バージョンを隣接する各区画pの保障バージョンvaとして、当該隣接する2つの区画pからなる区画組gと関連付けて、保障バージョンテーブルSVTに蓄積的に記録する処理を行う(ステップ#72)。
【0146】
3−7.管理データベース更新手段9により行われる処理
図22は、管理データベース更新手段9により行われる処理である管理データベースDB2に格納される各ナビゲーション装置2に対応した複数の管理データテーブルDTの更新処理を示すフローチャートである。
この図に示すように、管理データベース更新手段9は、上記のように、各ナビゲーション装置2に第一供給データファイルfa1及び第二供給データファイルfa2を供給完了した場合には(ステップ#81:Yes)、管理データベース更新手段9は、ナビゲーション装置2毎に設ける管理データテーブルDTを、供給した第一供給データファイルfa1及び第二供給データファイルfa2の各区画pの更新バージョンを用いて、各区画pの最新の更新バージョンである現在のバージョンを更新する処理である(ステップ#82)。
【0147】
4.ナビゲーション装置2における地図更新のための動作処理
次に、地図データ更新プログラムに従って動作するナビゲーション装置2の処理についてフローチャートに基づいて説明する。ここでは、ナビゲーション装置2は、地図データベースDB3に格納された地図データMbの更新に際して、更新要求生成手段48により更新要求fbを生成して地図更新データ供給装置1へ送信し、当該更新要求fbを受信した地図更新データ供給装置1により生成された第一供給データファイルfa1及び第二供給データファイルfa2を取得し、当該第一供給データファイルfa1及び第二供給データファイルfa2に基づいて、地図データMbの更新を行う。
【0148】
具体的には、図23に示すように、ナビゲーション装置2は、まず、地図更新処理が開始されたか否かを判定する(ステップ#91)。この地図更新処理の開始は、例えば、ナビゲーション装置2が予め定められた期間で定期的に地図更新処理を行う場合、ナビゲーション用演算手段27により所定の条件を満たす形態での地図データMbの参照があった場合、或いは、ナビゲーション装置2のユーザによる地図更新処理の開始要求操作があった場合等に開始される。
【0149】
そして、地図更新処理が開始された場合には(ステップ#91:Yes)、ナビゲーション装置2は、更新要求生成手段48により、上記したように、地図更新データ供給装置1に送信する更新要求地図範囲51を決定し(ステップ#92)、更新要求地図範囲51及び識別情報からなる更新要求fbを生成する処理を行う(ステップ#93)。そして、ナビゲーション装置2は、通信制御手段50により通信装置46を制御して、ステップ#93で生成された更新要求fbを地図更新データ供給装置1に送信する(ステップ#94)。この更新要求fbを受信した地図更新データ供給装置1では、上記のとおり、第一供給データファイルfa1及び第二供給データファイルfa2を生成してナビゲーション装置2に送信する処理が行われる。ナビゲーション装置2は、所定の時間を経過しても地図更新データ供給装置1からの第一供給データファイルfa1及び第二供給データファイルfa2を受信できない場合には(ステップ#95:No)、通信異常と判断して更新要求fbの送信(ステップ#34)を再度行う。
【0150】
そして、ナビゲーション装置2は、地図更新データ供給装置1からの第一供給データファイルfa1及び第二供給データファイルfa2を受信した場合には(ステップ#95:Yes)、第一供給データファイルfa1及び第二供給データファイルfa2を取得し(ステップ#96)、地図データ更新手段49により、当該第一供給データファイルfa1及び第二供給データファイルfa2に基づいて、地図データMbの上書又は差分更新を行う(ステップ#97)。本例では、上記のとおり、第一供給データファイルfa1及び第二供給データファイルfa2は、更新要求地図範囲51に基づき設定された要求更新区画23及びネットワーク保障のための保障更新区画24からなる各更新区画についての上書又は差分更新用の更新データファイルとなっている。したがって、地図データ更新手段49は、地図データMbの主要地図データMb1のレイヤ1における、各更新区画に対応する各区画pの地図データを、第一供給データファイルfa1及び第二供給データファイルfa2が差分更新用の更新データファイルの区画pについては、差分更新用の更新データに基づき差分更新し、第一供給データファイルfa1が上書更新用の更新データファイルの区画pについては、上書更新用の更新データファイルにより上書更新することにより、ステップ#97の地図データMbの更新を行う。以上により、ナビゲーション装置2における地図更新のための動作処理が終了する。
【産業上の利用可能性】
【0151】
本発明は、地図データを備えるナビゲーション装置に対して、地図データの更新用のデータを供給する地図更新データ供給装置及び地図更新データ供給プログラムに利用することが可能である。
【符号の説明】
【0152】
1:地図更新データ供給装置
2:ナビゲーション装置
10:要求更新データ抽出手段
11:保障更新データ抽出手段
12:統合データ生成手段
13:データ供給手段
23:要求更新区画
24:保障更新区画
33:要求更新用統合データファイル
34:保障更新用統合データファイル
DB1:更新用地図データベース
DB3:地図データベース
Ma:差分更新データファイル
Mc:上書更新データファイル
fa1:第一供給データファイル
fa2:第二供給データファイル
fb:更新要求
uva:更新保障バージョン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも道路ネットワークの情報を含むと共に複数の区画に分割された地図データベースを有するナビゲーション装置に対して、前記地図データベースの更新用のデータを供給する地図更新データ供給装置であって、
前記地図データベースの更新データファイルを区画毎にバージョン管理すると共に、最新バージョンの上書更新用の更新データファイルである上書更新データファイルと、各バージョンの差分更新用の更新データファイルである差分更新データファイルとを区画毎に格納する更新用地図データベースと、
前記ナビゲーション装置からの更新要求に基づき、上書更新を行う区画である要求更新区画を抽出し、当該要求更新区画のそれぞれについて前記上書更新データファイルを前記ナビゲーション装置に供給するデータファイルである第一供給データファイルとして抽出する要求更新データ抽出手段と、
全ての前記要求更新区画を前記上書更新データファイルにより更新した場合に、隣接する区画間の道路ネットワークの繋がりを保障するために差分更新する必要がある区画である保障更新区画を抽出すると共に、当該保障更新区画のそれぞれについて、前記道路ネットワークの繋がりを保障するために差分更新する必要があるバージョンである更新保障バージョンまでの前記差分更新データファイルを前記ナビゲーション装置に供給するデータファイルである第二供給データファイルとして抽出する保障更新データ抽出手段と、
前記要求更新データ抽出手段によって抽出された前記要求更新区画のそれぞれについての前記第一供給データファイル及び前記保障更新データ抽出手段によって抽出された前記保障更新区画のそれぞれについての前記第二供給データファイルを前記ナビゲーション装置に供給するデータ供給手段と、
を備える地図更新データ供給装置。
【請求項2】
前記要求更新データ抽出手段は、前記要求更新区画のそれぞれについて、前記最新バージョンまでの前記差分更新データファイルを抽出し、
前記要求更新区画のそれぞれについて、前記上書更新データファイルと前記最新バージョンまでの前記差分更新データファイルとを、更新時間に関連する所定の指標に基づき比較し、いずれによる更新時間が短いかを判定する更新時間判定手段を更に備え、
前記要求更新データ抽出手段は、前記更新時間判定手段が、前記最新バージョンまでの前記差分更新データファイルによる更新時間が前記上書更新データファイルによる更新時間より短いと判定した場合には、当該要求更新区画について、前記上書更新データファイルに代えて前記最新バージョンまでの前記差分更新データファイルを前記第一供給データファイルとして抽出する請求項1に記載の地図更新データ供給装置。
【請求項3】
前記データ供給手段は、データ量に応じた通信コストが異なる少なくとも2つのデータ供給方法を選択可能に備え、
前記要求更新データ抽出手段は、通信コストが高い方のデータ供給方法が選択された場合には、前記上書更新データファイルに代えて前記最新バージョンまでの前記差分更新データファイルを前記第一供給データファイルとして抽出する請求項1に記載の地図更新データ供給装置。
【請求項4】
前記要求更新データ抽出手段が抽出した前記要求更新区画のそれぞれについての前記最新バージョンまでの全ての前記差分更新データファイルを、前記要求更新区画毎に1つに統合して1回の差分更新用のデータファイルとした要求更新用統合データファイルを生成する統合データ生成手段を更に備え、
前記更新時間判定手段は、前記最新バージョンまでの前記差分更新データファイルに代えて、前記要求更新用統合データファイルを前記更新時間の比較対象として処理し、
前記要求更新データ抽出手段は、前記最新バージョンまでの前記差分更新データファイルに代えて、前記要求更新用統合データファイルを前記第一供給データファイルの抽出対象として処理する請求項2に記載の地図更新データ供給装置。
【請求項5】
前記保障更新データ抽出手段が抽出した前記保障更新区画のそれぞれについての前記更新保障バージョンまでの全ての前記差分更新データファイルを、前記保障更新区画毎に1つに統合して1回の差分更新用のデータファイルとした保障更新用統合データファイルを生成する統合データ生成手段を備え、
前記保障更新データ抽出手段は、前記更新保障バージョンまでの全ての前記差分更新データファイルに代えて、当該保障更新用統合データファイルを前記第二供給データファイルとして抽出する請求項1〜4の何れか一項に記載の地図更新データ供給装置。
【請求項6】
前記更新用地図データベースの各区画とそれに隣接する区画との組み合わせである区画組に関連付けて、各区画組を構成する区画間の道路ネットワークの繋がりの保障が必要となった時の各区画の差分更新データファイルのバージョンを保障バージョンとして格納したバージョンテーブルを更に備え、
前記保障更新データ抽出手段は、前記バージョンテーブルと、前記要求更新区画と、各要求更新区画の最新バージョンとに基づいて、前記保障更新区画を抽出すると共に、当該保障更新区画のそれぞれについて前記更新保障バージョンの情報を取得し、当該更新保障バージョンまでの前記差分更新データファイルを抽出する請求項1〜5の何れか一項に記載の地図更新データ供給装置。
【請求項7】
少なくとも道路ネットワークの情報を含むと共に複数の区画に分割された地図データベースを有するナビゲーション装置に対して、前記地図データベースの更新用のデータを供給するための地図更新データ供給プログラムであって、
前記地図データベースの更新データファイルを区画毎にバージョン管理すると共に、最新バージョンの上書更新用の更新データファイルである上書更新データファイルと、各バージョンの差分更新用の更新データファイルである差分更新データファイルとを区画毎に格納する更新用地図データベースを用い、
前記ナビゲーション装置からの更新要求に基づき、上書更新を行う区画である要求更新区画を抽出し、当該要求更新区画のそれぞれについて前記上書更新データファイルを前記ナビゲーション装置に供給するデータファイルである第一供給データファイルとして抽出する要求更新データ抽出ステップと、
全ての前記要求更新区画を前記上書更新データファイルにより更新した場合に、隣接する区画間の道路ネットワークの繋がりを保障するために差分更新する必要がある区画である保障更新区画を抽出すると共に、当該保障更新区画のそれぞれについて、前記道路ネットワークの繋がりを保障するために差分更新する必要があるバージョンである更新保障バージョンまでの前記差分更新データファイルを前記ナビゲーション装置に供給するデータファイルである第二供給データファイルとして抽出する保障更新データ抽出ステップと、
前記要求更新データ抽出ステップによって抽出された前記要求更新区画のそれぞれについての前記第一供給データファイル及び前記保障更新データ抽出ステップによって抽出された前記保障更新区画のそれぞれについての前記第二供給データファイルを前記ナビゲーション装置に供給するデータ供給ステップと、
をコンピュータに実行させる地図更新データ供給プログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2011−197560(P2011−197560A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−66735(P2010−66735)
【出願日】平成22年3月23日(2010.3.23)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】