説明

地図機能拡張システム

【課題】地図を読めない人にも地図を役立たせることができる地図機能拡張システムを提供する。
【解決手段】この地図情報表示処理(S4)を実行すると、地図3に表記された表記物について、携帯電話機5を用いてICタグ3aから表記物情報を受信すれば、その表記物を特定可能な情報が携帯電話機5で表示される(S4のa〜hの処理)。従って、地図情報表示処理(S4)を実行すれば、地図を読む事が苦手な人でも、携帯電話機5の表示を見れば、自分が現在位置する位置が、自分の意図する地図上の位置に一致するか否かが分かる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図の機能を拡充可能な地図機能拡張システムに関する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
地図は、読める人と読めない人がおり、読めない人にとっては、持っていても役に立たないことが多い。
そこで本発明では、地図を読めない人にも地図を役立たせることができる地図機能拡張システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0003】
ところで、地図を読めない人にとって困難なことの一つは、周囲の風景と地図を照らし合わせても、自分が現在位置する位置が、自分の意図する地図上の位置に一致するか確定できないことである。
【0004】
そこで、請求項1記載の地図機能拡張システムは、地図と、この地図上に取り付けられ、この地図上に表記された表記物を特定可能な表記物情報を記憶するICタグと、このICタグと無線で通信して前記表記物情報を取得し、この表記物情報に基づいて、前記表記物を特定する表示を行う携帯端末と、を備えることを特徴とする。
【0005】
この地図機能拡張システムによれば、地図に表記された表記物について、携帯端末を用いてICタグから表記物情報を受信すれば、その表記物を特定可能な表示が携帯端末で行われる。
【0006】
従って、この地図機能拡張システムを用いれば、地図を読む事が苦手な人でも、携帯端末の表示を見れば、自分が現在位置する位置が、自分の意図する地図上の位置に一致するか否かを確実に把握することができる。
【0007】
尚、表記物を特定可能な表示としては、表記物がビルや駅などの建物、交差点等の場合、請求項2に記載したように、それら表記物そのものの画像(写真やグラフィクスなど)や、表記物の周囲の風景画像でもよいし、ビルや駅、交差点や通りの名前等でもよい。また、表記物を特定可能な表示としては、表記物の電話番号、HPのアドレス、表記物が飲食店であれば、自慢のメニューや料理の名前や写真でもよい。さらに、地図の一部分を拡大した写真を表示するようにしてもよい。
【0008】
次に、地図を読むのが苦手な人は、自分が現在位置する場所を、地図上で特定できない場合がある。
そこで、請求項3に記載の地図機能拡張システムでは、携帯端末と通信可能に接続され、表記物を検索するための情報である表記物検索情報を携帯端末から受信すると、地図上のいずれの位置に位置するかを示す相対位置情報を検索して返信する表記物の位置情報検索手段を備え、携帯端末は、表記物検索情報を入力して位置情報検索手段に送信可能な入力手段と、位置情報検索手段から受信した相対位置情報を表示することが好ましい。
【0009】
この地図機能拡張システムでは、表記物検索情報(例えば、近くにあるビルや駅、通りの名前等)を携帯端末に入力すると、その入力した表示物が地図上のどこに位置するかを示す相対位置情報が携帯端末に返信され、その相対位置情報が携帯端末に表示される
従って、この地図機能拡張システムを用いれば、地図を読むのが苦手な人でも、自分が現在位置する場所を、地図上で簡単に特定することができる。
【0010】
尚、表記物検索情報は、無線等で外部から入力してもよいし、ユーザの操作で入力してもよいし、どのように入力してもよい。表記物検索情報としては、例えば、携帯端末が携帯電話機である場合、携帯電話機がいずれの中継局に位置するかを示す情報を取得することができるので、この情報でもよい。相対位置情報としては、表記物が表記された部分を拡大した地図に関するものでもよいし、地図を複数のブロックにわけ、表記物が含まれているブロックを示すものでもよい。
【0011】
次に、地図を読めない人にとって、何度も地図を見返すことは苦痛な作業である。
そこで、請求項4に記載したように、携帯端末は、スタート地点からゴール地点までの経路上にある表記物の表記物情報を、スタート地点側からゴール地点側に向かって順次記憶する記憶手段と、この記憶手段に記憶された表記物情報に基づいて、記憶手段に記憶された順に表記物を特定する表示を行う道案内手段とを備えることが好ましい。
【0012】
この地図機能拡張システムでは、地図上でスタート地点からゴール地点までをたどりながら携帯端末で表記物情報を読み込んでおけば、実際のスタート地点からゴール地点までを移動する際は、ユーザは、携帯端末に記憶された表示物情報を順次出力することで、現在位置を確認しながらたどり着くことができる。従って、この地図機能拡張システムを用いると、地図を読めない人にとっては、何度も地図を見返さなくてもスタート地点からゴール地点までたどり着くことができるので、たいへん便利である。
【0013】
尚、携帯端末は、携帯電話機やPDA、携帯型パソコンなど、携帯可能なものであればどのようなものでもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を用いて説明する。
図1は、本実施形態の地図機能拡張システムの全体構成を示すブロック図である。
本実施形態の地図機能拡張システム1は、図1に示すように、ICタグ3a(図3参照)が埋め込まれた地図3と、このICタグ3aと無線通信可能な携帯電話機5と、この地図機能拡張システム1用のサーバ12と、地図に記載された店舗等のホームページがアップロードされているサーバ14とを備え、携帯電話機5、サーバ12及びサーバ14は、インターネット、携帯電話回線網等で構成される一般公衆回線10を介して互いに通信可能に接続されている。このうち携帯電話機5と一般公衆回線10とは、一般公衆回線に接続された中継局10aを介して無線で接続されており、この中継局10aとサーバ12及びサーバ14とは有線で接続されている。
【0015】
次に、本実施形態の地図機能拡張システム1で用いられる地図3について説明する。
ここで図2は地図3で、図3は地図3の一部を拡大した拡大図である。
本実施形態の地図機能拡張システム1で用いられる地図3は、図2に示すように、駅、川、ビル、公園、地下道からの出口、交差点、道路など、様々な表記物が描かれており、地図としては一般的なものである。また、この地図3は、上辺に1〜5のブロック、左辺にA〜Fのブロックが記載されているように、特定の表記物がある位置を、これらのブロックの組み合わせで、指定することができる。例えば、地図3中の駅は、D−3にあると指定することができる。さらに、この地図3には、図3に示すように、駅やビルなどの表記物が描かれた部分の紙面の中にICタグ3aが埋め込まれており、例えばビルが記載された部分のICタグ3aには、そのビルの名前や地理上の位置(例えば、経度、緯度などであらわされる位置)など、表記物を特定可能な表記物情報や、その他の様々な関連情報が記憶されている。また、道路や川のようなものには、その長手方向に沿って、所定間隔毎にICタグ3aが埋め込まれていると共に、特に道路の場合は、他の道路と交差する交差点にICタグ3aが埋め込まれている。尚、図2中、ビルについては一部しか「ビル」「地下道の出口」等の文字表記はないが、見栄えの点から記載しなかっただけであり、類似する図形はビルや地下道の出口等を示している。
【0016】
次に、本実施形態の地図機能拡張システム1で用いられるICタグ3aについて説明する。
ここで図4は、ICタグ3aの説明図で、(a)は、ICタグ3aの内部構成を示したブロック図、(b)はICタグ3aを構成する記憶部30aに記憶される情報をリストアップした表である。
【0017】
本実施形態で用いられるICタグ3aは、図4(a)に示すように、ICチップ30と、ループアンテナ32とを備えている。このうちICチップ30は、外部で発生した磁束をループアンテナ32で捉えて電力を発生させ、その電力で動作する。またこのICチップ30は、ループアンテナ32を用い、外部から記憶部30aに記憶された情報を送信するよう指示する信号を受信すると、その指示された情報を外部に送信したり、外部から受信した情報を記憶部30aに記憶するよう指示する信号を受信したら、その情報を記憶部30aに記憶したり、外部から受信した情報を記憶部30aに記憶された情報に対し上書きするよう指示する信号を受信したら、記憶部30aに記憶された情報を受信した情報に上書きするなど、様々な処理を行う。
【0018】
次に、ICタグ3aの記憶部30aに記憶される情報について説明する。
記憶部30aには、ICタグ3a毎に個別に設定されたIPアドレス34a、ICタグ3aが取り付けられたビルや駅等の表記物の地理上の位置を示す固有位置情報34b、その表記物の外観や、その表記物からみた風景を写した写真やグラフィクスなどの画像の情報である画像情報34c、表記物の名称に関する名称情報34d、表記物の電話番号、HPのアドレス、表記物が飲食店であればメニューなどの付随情報34eが記憶されている。尚、固有位置情報34bや、画像情報34c、名称情報34d、付随情報34eは、表記物を特定可能な情報、表記物情報である。
【0019】
次に、本実施形態の地図機能拡張システム1で用いられる携帯電話機5について説明する。
ここで図5は、携帯電話機5の内部構成を示すブロック図である。
【0020】
本実施形態の携帯電話機5は、図5(a)に示すように、中央制御装置50と、モニタ52と、無線通信装置54と、IC通信装置56と、操作装置58と、スピーカ60、マイク62、その他の装置69とを備えている。このうち中央制御装置50は、この携帯電話機5で実行される各種制御を、各装置52〜69と連携して実行するコンピュータ装置である。この中央制御装置50は、各種情報を記憶する記憶部50aを備えている。モニタ52は、携帯電話機5の筐体の表面に画面が配置され、中央制御装置50で実行される各種処理に基づいて、各種の画像を表示する。無線通信装置54は、中央制御装置50が中継局10aと無線で通信するための装置である。IC通信装置56は、中央制御装置50で実行される各種処理に基づいて、ICタグ3aに電力発生用の磁束を発生させると共に、ICタグ3aと無線で通信するための装置である。操作装置58は、携帯電話機5の筐体に取り付けられた複数の操作ボタンを備え、この操作ボタンの操作の有無を中央制御装置50に伝える装置である。その他の装置69は、携帯電話機として必要な、あるいは機種に応じて取り付けられた各種装置である。
【0021】
次に、サーバ12について説明する。
ここで図6は、サーバ12に備えら得た記憶部120のブロック図である。
このサーバ12は、CPU、ROM、RAM、記憶部120を備えるコンピュータ装置である。
【0022】
記憶部120には、表記物−相対位置情報122が記憶されている。
表記物−相対位置情報122は、表記物情報と、その表記物が、図2のどの位置に位置するかをブロック番号1〜5及びA〜Fで示した情報(以下「相対位置情報」という)とを関連付けた情報である。
【0023】
次に、本実施形態の地図機能拡張システム1を構成する携帯電話機5で実行される各種処理について説明する。
まず、検索処理について説明する。
【0024】
ここで、図7は、携帯電話機5を所有するユーザが地図3上のどこにいるか、あるいは、探しているビル等の表記物が地図3上のどこにあるかを探すための処理で、検索処理という。
【0025】
この検索処理(S1)は、この処理をスタートさせる所定の操作を操作装置58に対して行うとS100以下の処理が開始される。
S100では、「入力してください」とスピーカ60から音声を出力すると共に、モニタ52に表示する処理を実行する。するとS102において、ユーザは、街中で地図上のどこにいるかを知りたい場合、周辺のビルや通りの名前を入力し、あるいは、ある建物が地図上のどこにあるかを知りたい場合、その建物の名称を入力する操作を操作装置58に対して行う。そして、S104では、その入力された情報(以下「表記物検索情報」)をサーバ12に送信する。するとサーバ12では、表記物―相対位置情報122を用いて、その表記物検索情報に一致する表記物情報(具体的には名称情報34d等)があるか検索し、一致する表記物情報があると、その表記物情報によって示される表器物が表記されている位置を示す相対位置情報を返信してくるので、S106では、その相対位置情報を受信したか否かを判定する。このS106の判定で、サーバ12から表記物検索情報に一致する表記物情報がヒットしなかった旨の情報を受信したり、所定時間以上サーバ12から相対位置情報を受信できなかった場合は(S106:NO)、S100の処理から再び実行する。一方、S106において、相対位置情報を受信した場合は(S106:YES)、その受信した相対位置情報をモニタ52に表示して(S108)、本処理(S1)を終了する。
【0026】
本処理(S1)を実行すると、表示物関連情報(例えば、近くにあるビルや駅、通りの名前)を携帯電話機5に入力すれば、その入力した表示物が地図上のどこに位置するかが相対位置情報が携帯電話機5に返信され、その相対位置情報がモニタ52に表示される。
【0027】
従って、本処理(S1)を実行すれば、地図を読むのが苦手な人でも、自分が現在位置する場所や、ユーザが探している場所を、地図上で簡単に特定することができる。
次に、案内準備処理について説明する。
【0028】
本実施形態では、地図に埋め込まれたICタグ3aに記憶された写真、その他の情報を用いて、道案内をする処理を実行することができる。
ここでは、道案内をする処理を実行するための準備処理である、案内準備処理(S2)について説明する。
【0029】
図8は、この案内準備処理のフローチャートである。
この案内準備処理(S2)は、ユーザに操作装置58が操作され、この処理(S8)を実行することが指示されたら開始される。
【0030】
この案内準備処理(S2)が開始されると、まず、「スタート地点を入力してください」という案内表示がモニタ52に表示される(S200)。すると、ユーザが、IC通信装置56をスタート地点の表記物のICタグ3aに近づけ、そのICタグ3aから画像情報34c及び名称情報34dを含む表記物情報の読み込みを指示する操作を操作装置58に対して行うので、この操作装置58の操作がなされたら、中央制御装置50は、IC通信装置56を用いて磁束を発生させると共に、表記物情報を返信するよう指示する信号をICタグ3aに向かって送信する起点読込処理を実行する(S202)。すると、スタート地点の表記物のICタグ3aから表記物情報が発信されるので、この表記物情報を受信できたか否かを判定する(S204)。この判定で(S204)、表記物情報を受信できたと判定すると、中央制御装置50は、カウンタ値1と共に、表記物情報を記憶部50aに記憶する(S206)。尚、スタート地点が地図3上で確認できない場合は、上述した検索処理(S1)を実行すればよい。また、スタート地点の案内が不要な場合は、S200〜S206を飛ばしてもよい。
【0031】
S208では、「ゴール地点を入力してください」という案内表示がモニタ52に表示される。すると、ユーザが、IC通信装置56をゴール地点の表記物のICタグ3aに近づけ、そのICタグ3aから表記物情報の読み込みを指示する操作を操作装置58に対して行うので、この操作装置58の操作がなされたら、中央制御装置50は、IC通信装置56を用いて磁束を発生させると共に、表記物情報を返信するよう指示する信号をICタグ3aに向かって送信する終点読込処理を実行する(S210)。すると、ゴール地点の表記物のICタグ3aから表記物情報が発信されるので、この表記物情報を受信できたか否かを判定する(S212)。この判定で(S212)、表記物情報を受信できたと判定すると、中央制御装置50は、その表記物情報を記憶部50aに記憶する(S214)。尚、ゴール地点が地図3上で確認できない場合は、上述した検索処理(S1)を実行すればよい。また、ゴール地点の案内が不要な場合は、S208〜S214を飛ばしてもよい。
【0032】
S216では、中央制御装置50は、「案内地点を入力してください」という案内表示をモニタ52に表示する。すると、ユーザが、IC通信装置56をスタート地点とゴール地点の間の案内地点の表記物のICタグ3aに近づけ、そのICタグ3aから表記物情報の読み込みを指示する操作を操作装置58に対して行うので、この操作装置58の操作がなされたら、中央制御装置50は、IC通信装置56を用いて磁束を発生させると共に、表記物情報を返信するよう指示する信号をICタグ3aに向かって送信する案内地点読込処理を実行する(S218)。すると、案内地点の表記物のICタグ3aから表記物情報が発信されるので、この表記物情報を受信できたか否かを判定する(S220)。この判定で、表記物情報を受信できなかったと判定すると(S220:NO)、中央制御装置50は、再びS216の処理を実行し、一方、表記物情報を受信できたと判定すると(S220:YES)、表記物情報と共に記憶部50aに記憶されているカウンタ値のうち最も小さいカウンタ値に「1」を足す処理を実行し(S222)、その「1」を足したカウンタ値とともに、表記物情報を記憶部50aに記憶する(S224)。そして、「入力終了しますか?」と新たな案内地点の表記物情報の入力をするか否かを問う表示、及び、音声出力を行い(S226)、操作装置58が操作され新たな案内地点の表記物情報を入力する操作がなされたか否かを判定する(S228)。この判定(S228)で、入力を終了する操作がなされたと判定すると(S228:終了)、S214で記憶したゴール地点の表記物情報を、記憶部50aに表記物情報と共に記憶されている最も大きいカウンタ値に「1」をプラスしたカウンタ値を関連付けて記憶部50aに記憶する処理を実行して(S230)本処理(S2)を実行する。一方、この判定(S228)において、入力を継続する操作がなされたと判定すると(S228:継続)、再びS216以下の処理を実行する。従って、S216〜S228の処理を繰り返し実行して、スタート地点からゴール地点までの間にある案内地点の各ICタグ3aのうち、スタート地点側のものからゴール地点側のものについて表記物情報を順に読み込めば、ゴール地点側の表記物情報ほど大きいカウンタ値と共に記憶部50aに記憶される。
【0033】
この案内準備処理(S2)を実行すると、スタート地点からゴール地点までの表記物情報が携帯電話機5に読み込んだ順に記憶される。
尚、スタート地点の表記物情報を読み込まない場合は、S218で最初に読み込んだ表記物情報についてカウンタ値1と共に記憶すればよい。
【0034】
次に、この案内準備処理(S3)で作成した道案内情報を利用して、道案内を行う処理、道案内処理について説明する。
ここで、図9は、道案内処理のフローチャートである。
【0035】
この道案内処理(S3)は、この道案内処理を実行することを指示する操作が操作装置58に対してなされると実行される。この道案内処理(S3)を開始すると、中央制御装置50は、カウンタ値「1」を設定する処理を実行し(S300)、S302の処理を実行する。
【0036】
S302では、中央制御装置50は、現在のカウンタ値に関連付けられた表記物情報を記憶部50aから呼び出し、この情報に基づいて、そのカウンタ値に関連付けられた表記物情報のうち、表記物の画像情報34c及び名称情報34dに基づいて、表記物の名称と画像をモニタ52に表示する処理を実行し、S304の処理を実行する。
【0037】
S304では、中央制御装置50は、次の表示を行う操作が操作装置58に対してなされたか否かを判定する(S304)。この判定で、次の表示を行う操作がなされていないと判定された場合は(S304:NO)、現在モニタ52に表示している表記物の名称と画像の表示を継続し、次の表示を行うとの操作がなされたと判定された場合は(S304:YES)、カウンタ値が最大か否かを判定する処理が実行される(S306)。
【0038】
S306の判定では、案内準備処理(S2)でゴール位置の表記物情報に関連付けられたカウンタ情報が最大値なので、カウンタ値が、このゴール位置の表記物情報に関連付けられたカウンタ値と等しくなったか否かを判定している。この判定(S306)で、カウンタ値がMAXでないと判定されたら(S306:NO)、カウンタ値に「1」を足す処理を実行して(S308)、再びS302の処理を実行する。従って、S300〜S308の処理を繰り返すと、カウンタ値の小さい表記物情報の表記物の名称及び画像から大きいものへ順に表示が行われる。一方、カウンタ値がMAXであると判定したら(S306:YES)、本処理(S3)を終了するか否かを判定し、終了する操作がなされるまで待機する(S310:NO)。そして、終了する操作がなされれば終了する(S310:YES)。
【0039】
実際のスタート地点からゴール地点までを移動する際に、上記案内処理(S3)を実行すると、携帯電話機5に記憶された表示物情報が順次モニタ52に出力されるので、ユーザは、現在位置を確認しながらスタートからゴールまでたどり着くことができる。従って、この地図機能拡張システム1を用いると、地図を読めない人にとっては、何度も地図を見返さなくてもスタート地点からゴール地点までたどり着くことができるので、たいへん便利である。また、現在位置を確実に確認しながら移動できるので、安心して移動することができる。
【0040】
尚、この案内処理では、表記物の名称と画像だけでなく、進行方向や、地図3上の位置をブロック番号(1〜5、A〜F)を表示してもよい。
次に、地図3に埋め込まれたICタグ3aに記憶された各種情報を表示する処理、地図情報表示処理(S4)について説明する。
【0041】
ここで、図10は地図情報表示処理のフローチャートである。
この地図情報表示処理では、ユーザが、IC通信装置56をスタート地点の表記物のICタグ3aに近づけ、そのICタグ3aから表記物情報の読み込みを指示する操作を操作装置58に対して行うと、中央制御装置50が、IC通信装置56を用いて磁束を発生させると共に、表記物情報を返信するよう指示する信号をICタグ3aに向かって送信するので、S400ではまず、ICタグ3aから表示物情報を読み取ったか否かを判定する。この判定(S400)で、中央制御装置50が、表示物情報を読み取っていないと判定したら(S400:NO)、S400の処理を繰り返し実行し、読み取ったと判定したら(S400:YES)、表示物情報のうちいずれの情報を表示するか選択するメニュー画像をモニタ52に表示する(S402)。
【0042】
そして、このメニュー画像を表示したら(S402)、中央制御装置50は、いずれの項目が選択されたか判定し(S410)、その選択された項目の表示物情報に基づく表示を行う。表示物情報のうち、固有位置情報34bに基づく表示を行う場合は、その位置に関する表示(緯度経度等)を行い(a)、画像情報34cに基づく表示を行う場合は、その画像の表示を行い(b)、名称情報34dに基づく表示を行う場合は、その名称の表示を行う(c)。付随情報34eに基づく表示を行う場合は、HPに関する表示であれば、そのHPのサーバ14にアクセルして、HPをダウンロードして表示してもよいし(d)、電話番号に関する表示であれば、電話番号の表示を行ってもよいし(e)、地図3上の表記物の位置をブロック(1〜5、A〜F)で示した情報があれば、この情報を表示してもよいし(f)、表示物が飲食店であるばあい、その飲食店のメニュー表示をしてもよいし(g)、その他、表示物を特定する情報や表示物に関連する情報など、どのようなものを表示してもよい。
【0043】
そして、これら表示物情報に基づく表示(a〜g)を行っているときに、差し替えを指示する操作が操作装置58に対してなされたか否かを判定する(S420)。
そしてこの判定で、差し替えを行う操作がなされたと判定されたら(S420:YES)、差し替える情報ための情報を作成する処理を実行する(S430)。S430の処理では、例えば、画像情報34cを差し替える場合は、携帯電話機5にカメラ機能が付属している場合、そのカメラ機能を用いて撮影した写真に差し替えたり、名称情報34dを差し替える場合は、操作装置58を操作して新しい名称を入力するなどすればよい。
【0044】
そして、S430で差し替える情報を作成したら、中央制御装置50は、IC通信装置56を用いて、その差し替えるべき情報をICタグ3aに送信する。すると、ICタグ3aでは、その受信した情報に基づいて、差し替えが行われる古い情報を新しい情報に差し替える処理が実行される。
【0045】
一方、S420の判定で、差し替えを行わずに終了する操作がなされていないと判定されたら(S420:NO)、本処理(S4)を終了する。
この地図情報表示処理(S4)を実行し、地図3に表記された表記物について、携帯電話機5を用いてICタグ3aから表記物情報を受信すれば、その表記物を特定可能な情報が携帯電話機5で表示される(S4のa〜hの処理)。従って、地図情報表示処理(S4)を実行すれば、地図を読む事が苦手な人でも、携帯電話機5の表示を見れば、自分が現在位置する位置が、自分の意図する地図上の位置に一致するか否かが分かる。
【0046】
尚、サーバ12は位置情報検索手段に相等する。
案内準備処理(S3)の結果を記憶する記憶部50aが本発明の記憶手段に相等し、案内処理(S4)を実行する携帯電話機5の中央制御装置50が道案内手段に相等する。
【0047】
以上本発明の一実施形態ついて説明したが、本発明はこの実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【0048】
例えば、検索処理(S1)のS102では、情報を文字入力して、S106で相対位置情報を得ているが、例えば、携帯電話機5では、いずれの中継局10aに位置するかを示す情報を常に取得しているので、文字入力した情報に変えて、この中継局情報を利用してもよい。この場合、サーバ12に中継局情報から相対位置情報を検索できるように、表記物−相対位置情報122を設定しておけばよい。
【0049】
地図3が複数ページにわたる場合は、相対位置情報を受信する処理を開始する前に、中継局情報から、携帯電話機5(すなわちユーザ)が地図の何ページに位置しているかを検索する処理を実行し、その検索の結果を出力するよう構成してもよい。この場合、サーバ12に中継局情報とページ情報とを関連付けた、中継局-ページ情報のデータベースを構築しておき、このデータベースを利用して携帯電話機5側でページ情報を得るように設定してもよい。
【0050】
また、携帯電話機5が、地図3に埋め込まれた複数のICタグ3aと一斉に通信可能である場合、複数のICタグ3aから一斉に表示物情報その他の情報を読み込み、これらの情報を他の地図3の各ICタグ3aに一斉に送信して書き込ませてもよい。このようにすれば、地図が破損したり、情報を交換する場合に、地図間で情報を簡単にやりとりすることができる。この場合、ICタグ3aは固有位置情報が一致する情報のみを、記憶するようにしてもよい。
【0051】
あるいは、その地図が示す地域に、各種情報を提供する装置を設置し、その装置から地図3の各ICタグ3aに一斉に各種の情報を送信して、ICタグ3aに書き込んでもよい。駅などの拠点となる建物にこのような書込みが可能な装置を置いておくと、日替わりで情報が変っても、それに対応して、ユーザに情報を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】地図機能拡張システム1の全体構成を示すブロック図である。
【図2】地図3である。
【図3】地図3の一部を拡大した拡大図である。
【図4】ICタグ3aの説明図で、(a)は、ICタグ3aのブロック図、(b)はICタグ3aを構成する記憶部30aに記憶される情報をリストアップした表である。
【図5】携帯電話機5の内部構成を示すブロック図である。
【図6】サーバ12に備えら得た記憶部120のブロック図である。
【図7】位置認識処理のフローチャートである。
【図8】案内準備処理のフローチャートである。
【図9】道案内処理のフローチャートである。
【図10】地図情報表示処理のフローチャートである。
【符号の説明】
【0053】
1…地図機能拡張システム、3…地図、3a…ICタグ、5…携帯電話機、10…一般公衆回線、10a…中継局、12…サーバ、14…サーバ、30…ICチップ、30a…記憶部、32…ループアンテナ、34a…IPアドレス、34b…固有位置情報、34c…画像情報、34d…名称情報、34e…付随情報、50…中央制御装置、50a…記憶部、52…モニタ、54…無線通信装置、56…IC通信装置、58…操作装置、60…スピーカ、62…マイク、120…記憶部、122…表記物−相対位置情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図と、
この地図上に取り付けられ、この地図上に表記された表記物を特定可能な表記物情報を記憶するICタグと、
このICタグと無線で通信して前記表記物情報を取得し、この表記物情報に基づいて、前記表記物を特定する表示を行う携帯端末と、
を備えることを特徴とする地図機能拡張システム。
【請求項2】
請求項1記載の地図機能拡張システムにおいて、
前記表記物を特定する表示として前記表記物あるいは前記表記物の周囲の風景画像の表示を行うことを特徴とする地図機能拡張システム。
【請求項3】
請求項1,2のいずれかに記載の地図機能拡張システムにおいて、
前記携帯端末と通信可能に接続され、前記表記物を検索するための情報である表記物検索情報を前記携帯端末から受信すると、前記地図上のいずれの位置に位置するかを示す相対位置情報を検索して返信する表記物の位置情報検索手段を備え、
前記携帯端末は、前記表記物検索情報を入力して前記位置情報検索手段に送信可能な入力手段と、前記位置情報検索手段から受信した前記相対位置情報を表示することを特徴とする地図機能拡張システム。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の地図機能拡張システムは、
前記携帯端末は、
スタート地点からゴール地点までの経路上にある表記物の前記表記物情報を、スタート地点側からゴール地点側に向かって順次記憶する記憶手段と、
この記憶手段に記憶された前記表記物情報に基づいて、前記記憶手段に記憶された順に前記表記物を特定する表示を行う道案内手段と
を備えることを特徴とする地図機能拡張システム。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図1】
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【公開番号】特開2007−147869(P2007−147869A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−340466(P2005−340466)
【出願日】平成17年11月25日(2005.11.25)
【出願人】(399031827)エイディシーテクノロジー株式会社 (163)
【Fターム(参考)】