説明

地図生成装置、地図データおよび地図生成方法

【課題】地図情報の取得や地図を生成する処理の高速化を図ることが可能な地図生成装置等を提供する。
【解決手段】2個の基本長方形をそれぞれの長方形変形データに基づいて1辺と平行な方向および垂直な方向へそれぞれ伸縮させてなり、基準点座標a2を通りX軸に平行な基準線x1で仕切られる地図座標面上の2つの領域のうちの上方側に、それぞれの1辺a2−d2,e2−h2が基準線x1上に位置するとともに隣接して並ぶ2個の長方形ユニットA2,B2の各頂点の座標を生成し、さらに、各頂点の座標を地図座標面上で回転角度データに基づき基準点座標を中心にして回転させて家形図P2を生成する地図生成装置1である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図座標面上に家形図を生成する地図生成装置等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、パーソナルコンピュータやカーナビゲーションデバイスに、地図生成装置が利用されている。
従来の地図生成装置としては、例えば、インターネットの地図情報サイトから、行政界図、道路図および家形図等を生成するための座標データをダウンロードすることにより取得するものであって、家形図については複数の頂点を座標で指定して各頂点の座標を結ぶ線を引くことにより地図座標面上に家形図を生成し、この生成した家形図をLCD等の表示部に表示するものが知られている(例えば、特許文献1を参照。)。
上記従来の地図生成装置によれば、一般的に利用されている2次元的な地図表示であっても、詳細な家形図を表示することにより、ビルや個人住宅等の形状を把握することが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−120332号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の地図生成装置は、特に詳細な地図においては、行政界や道路と比較しても家形図を構成する線の量が多くなることがあり、しかも、家形図のデータは、家形図ごとに家形図の各頂点の座標データをもたせているので、データ量が膨大なものとなっている。従って、上記従来の地図生成装置によれば、地図生成装置として、ダウンロードによる地図情報の取得に要する時間や、地図を生成する処理にかかる時間が長くなってしまうという問題点がある。
本発明は、地図情報の取得や地図を生成する処理の高速化を図ることが可能な地図データ、地図生成装置および地図生成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の地図生成装置は、第1の座標軸および該第1の座標軸に垂直な第2の座標軸で示される地図座標面上に基本長方形を基にした家形図を生成する地図生成装置において、前記基本長方形のN数(Nは自然数)に関するデータ、前記家形図の基準点座標、前記基本長方形の1辺と平行な方向および垂直な方向へのそれぞれの伸縮率を示すN個の長方形変形データ、ならびに回転角度データをそれぞれ取得する地図情報取得部と、N個の前記基本長方形をそれぞれの長方形変形データに基づいて1辺と平行な方向および垂直な方向へそれぞれ伸縮させてなり、前記基準点座標を通り前記第1の座標軸に平行な基準線で仕切られる前記地図座標面上の2つの領域のうちの一方側に、それぞれの1辺が前記基準線上に位置するとともにそれぞれが隣接して並ぶN個の長方形ユニットの各頂点の座標を算出する図形生成部と、前記長方形ユニットの各頂点の座標を、前記地図座標面上で前記回転角度データに基づき前記基準点座標を中心にして回転させた回転図形ユニットの各頂点の座標を算出する図形回転部とを備えることを特徴とするものである。
なお、上述した特徴は、本発明の特徴のすべてを列挙したものではなく、これらを要部とする構成(または方法)もまた発明となり得る。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、基本長方形を一定の規定に従って変形させた複数個の長方形ユニットを回転した変成図としての家形図を生成することから、家形図の各頂点を座標データとしなくて済むようになり、家形図を生成するためのデータの量が低減されるので、地図情報の取得や、地図を生成する処理の高速化を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本実施例の地図生成装置の構成を示すブロック図である。
【図2】地図生成装置の処理の全体の流れを示すフローチャートである。
【図3】図形パターン番号が1の場合における家形図の各頂点の座標を算出するフローチャートである。
【図4】(a)〜(d)は、図形パターン番号が1の場合における家形図の生成を説明する図である。
【図5】図形パターン番号が2の場合における家形図の各頂点の座標を算出するフローチャートである。
【図6】(a)〜(e)は、図形パターン番号が2の場合における家形図の生成を説明する図である。
【図7】図形パターン番号が3の場合における家形図の各頂点の座標を算出するフローチャートである。
【図8】(a)〜(e)は、図形パターン番号が3の場合における家形図の生成を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を具体化した実施形態を説明する。
図1は、本実施例の地図生成装置の構成を示すブロック図である。本実施例における地図生成装置1は、一般家庭で用いられるパーソナルコンピュータ(以下、PCという)であり、表示部11、入力部12、計算機13および通信部14を備えている。
【0009】
表示部11は、LCD等の画像表示装置であり、入力部12は、キーボードやマウス等の入力デバイスである。
【0010】
計算機13は、コンピュータプログラムや処理条件等が予め記憶されているROMやRAM等の内部記憶装置、このコンピュータプログラムを実行するCPU、およびデータの読み書きが可能な小型のハードディスクやフラッシュメモリ等の外部記憶装置を備えた小型のコンピュータである。本実施例の地図生成装置1における計算機13は、コンピュータプログラムを実行することにより実現される所定の機能を有するユニットを複数備えている。具体的には、計算機13は、地図情報を取得する地図情報取得部131、地図情報に基づいて後述する長方形ユニットの頂点の座標を算出する図形生成部132、長方形ユニットの頂点の座標を回転する図形回転部133、および回転した頂点間を線引きし家形図を生成する線描部134を備えている。地図情報取得部131が取得する地図情報は、行政界図、道路図および家形図等を生成するためのデータであり、このうち家形図については、図形パターン番号、基準点座標、長方形変形データ、および回転角度データで構成されている。
【0011】
通信部14は、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)や光ファイバーによりインターネットWと接続する機能を備えており、インターネットWを介して地図情報を含む各種のデータをダウンロードする。
【0012】
次に、地図生成装置1が、地図座標面上に家形図を生成する処理について説明する。
図2は、地図生成装置1の処理の全体の流れを示すフローチャートである。
【0013】
<図形パターンの判定>
まず、地図生成装置1の計算機12が、生成しようとする家形図についての図形パターンを判定する処理を実行する(ステップS100)。具体的には、本実施例における計算機12は、地図情報取得部131が、地図情報を取得して生成しようとする家形図に関する図形パターン番号を読み出し、生成しようとする家形図が変成図であるか否かを判定する。
【0014】
本発明において変成図とは、基本長方形を変形させた1個以上の長方形ユニットを並べたり回転させたりすることにより生成した家形図について定義したものである。特に、本実施例における変成図は、正方形を変形させた1〜3個の長方形から構成されるものとしている。また、本実施例において、図形パターン番号は、1個の長方形ユニットから生成される家形図を1、2個の長方形ユニットから生成される家形図を2、3個の長方形ユニットから生成される家形図を3、これらの家形図以外の家形図を0としている。すなわち、図形パターン番号は、家形図が変成図である場合には、基本長方形のN数(Nは自然数)を示している。
【0015】
計算機12は、読み出した図形パターン番号が0であれば、家形図が変成図ではないと判定し(ステップS100:No)、家形図の各頂点の座標のデータを地図情報として取得する処理を実行する(ステップS200)。本実施例において、変成図でない家形図は、数個の長方形を組み合わせても生成することが出来ない図形や、組み合わせに用いる長方形の数が膨大となるような図形である。計算機12は、ステップS200が終了すると、各頂点の座標を結ぶ線を引くことにより家形図を生成する処理を実行し(ステップS400)、ステップS400が終了すると、生成した家形図を表示部11により表示する処理を実行する(ステップS500)。
【0016】
計算機12は、読み出した図形パターン番号が1〜3であれば、家形図が変成図であると判定し(ステップS100:Yes)、家形図の座標を変成図の座標として算出する処理を実行する(ステップS300)。本実施例においては、変成図の頂点の座標は、表示部11に表示するための座標であり、第1の座標軸(X軸)およびこの第1の座標軸に垂直な第2の座標軸(Y軸)で示される地図座標面上の座標として算出される。
【0017】
以下に、図形パターン番号が1〜3の場合における家形図の生成についてそれぞれ説明する。
【0018】
<1個の長方形ユニットからなる家形図を生成する例>
図3は、読み出した図形パターン番号が1の場合における家形図の各頂点の座標を算出するフローチャートであり、図4(a)〜図4(d)は、図形パターン1の場合における家形図の生成を説明する図である。
【0019】
図形生成処理:
まず、計算機12は、図形生成部132により、一辺がX軸に平行な基本長方形A1の頂点の座標を初期化する処理を実行する(ステップS311)。本実施例において、基本長方形A1は、図4(a)に示すような正方形a1−b1−c1−d1−a1であり、ステップS311の時点では、地図座標面上の基準頂点a1のX−Y座標を(0,0)に仮設定し、Y軸が正の領域に配置しておく。
【0020】
計算機12は、ステップS311が終了すると、地図情報取得部131により、基本長方形の1辺と平行な方向および垂直な方向へのそれぞれの伸縮率を示す長方形変形データを取得する処理を実行する(ステップS312)。計算機12は、ステップS312が終了すると、図形生成部132により、基本長方形A1を、長方形変形データに基づいて、X軸およびY軸のそれぞれの方向へ伸縮させ、図4(b)に示すような長方形ユニットA2の頂点の座標を生成する処理を実行する(ステップS313)。
【0021】
計算機12は、ステップS313が終了すると、地図情報取得部131により、生成しようとする家形図に関する基準点座標を取得する処理を実行し(ステップS314)、図形生成部132により、長方形ユニットA2について、基準頂点の位置を仮設定しておいた座標から基準点座標へ移動するとともに、他の頂点の位置を基準頂点の移動と同じ方向・同じ移動量で移動した座標を算出する処理を実行する(ステップS315)。
【0022】
図形回転処理:
計算機12は、ステップS315が終了すると、地図情報取得部131により、回転角度データを取得する処理を実行し(ステップS316)、図形回転部134により、長方形ユニットA2の各頂点の座標を、地図座標面上で回転角度データに基づき基準点座標a2を中心にして角度θ1回転させた長方形ユニットA3の各頂点の座標を算出する処理を実行する(ステップS317)。
【0023】
頂点間を線引き:
計算機12は、ステップS317が終了すると、ステップS300を終了し、線描部134により、長方形ユニットA3の外周に沿う閉じた線、すなわち、長方形ユニットA3の各頂点をa3−b3−c3−d3−a3の順に結ぶ閉じた線を引くことにより、閉図形の変成図としての家形図P1を生成する処理を実行する(ステップS400)。そして、計算機12は、ステップS400が終了すると、生成した家形図P1を表示部11により表示する処理を実行する(ステップS500)。
【0024】
本例において家形図P1の生成に関し取得したデータの大きさは、図形パターン番号が1バイト、基準点座標が4バイト、1番目の長方形変形データが4バイト、回転角度データが2バイトであり、合計すると11バイトである。従来の方法で家形図P1と同じ家形図を生成するのであれば、構成点数のデータが2バイト、頂点の座標が4バイト×4=16バイトであり、合計すると18バイトである。従って、本発明によれば、1つの家形図のデータについてデータ量を7バイト低減することができており、比率に換算すると39%低減することができている。
【0025】
<2個の長方形ユニットを組み合わせた家形図を生成する例>
図5は、読み出した図形パターン番号が2の場合における家形図の各頂点の座標を算出するフローチャートであり、図6(a)〜図6(e)は、図形パターン番号が2の場合における家形図の生成を説明する図である。
【0026】
図形生成処理:
本例については、前述した図形パターン番号1の例と異なる点についてのみ説明し、同様の構成要素については同一の参照符を用いて重複する説明を省略するものとする。図形パターン番号2の家形図も、図形パターン番号1と同様に、隣り合う2つの辺同士がすべて垂直に接続する多角形からなる家形図である。そして、図形パターン番号2の家形図の生成に関するデータは、図6(e)に示す家形図P2の頂点のうち内角が270°をなす凹部頂点f3に接続する2つの辺の一方からの延長線E1により家形図P2を2個の長方形ユニットA3,B3に分割することを示す長方形ユニットの数に関するデータである図形パターン番号2と、それぞれの長方形ユニットA3,B3に対する、予め設定した基本長方形からその1辺と平行な方向および垂直な方向へのそれぞれ伸縮率を示す1番目の長方形変形データおよび2番目の長方形変形データと、延長線E1と交差する家形図P2の基準辺a3−h3とX軸との角度を示す回転角度データと、基準辺a3−h3が接続する一方の頂点a3の座標を示す基準点座標とからなるものである。
【0027】
まず、計算機12は、図形パターン番号が2の場合においても、図形パターン番号1の場合の家形図を生成する処理と同様の手順で、1番目の長方形変形データを取得して1番目の長方形ユニットA2の各頂点の座標を生成する処理を実行する(ステップS310:ステップS311〜S315に相当)。なお、図6(a)に示す、基準頂点a2の座標は(0,0)であり、図形回転処理は実行されていない段階である。
【0028】
本例においては、計算機12は、ステップS310が終了すると、図形生成部132により、一辺がX軸に平行な2番目の基本長方形B1の各頂点の座標を初期化する処理を実行する(ステップS321)。本実施例において、2番目の基本長方形B1は、図6(b)に示すような正方形e1−f1−g1−h1−e1であり、ステップS321の時点では、地図座標面上の基準頂点のX−Y座標を1番目の長方形ユニットA2の頂点a2,b2,c2,d2のうち、基準頂点a2からX軸方向の最遠方にある頂点d2の位置になるように仮設定し、Y軸が正の領域に配置しておく。
【0029】
計算機12は、ステップS321が終了すると、地図情報取得部131により、基本長方形の1辺と平行な方向および垂直な方向へのそれぞれの伸縮率を示す2番目の長方形変形データを取得する処理を実行する(ステップS322)。計算機12は、ステップS322が終了すると、図形生成部132により、2番目の基本長方形B1を、2番目の長方形変形データに基づいて、1番目の長方形ユニットA2と接するX軸上の頂点d2を固定点としてX軸およびY軸のそれぞれの方向へ伸縮させ、図6(c)に示すような2番目の長方形ユニットB2の各頂点の座標を生成する処理を実行する(ステップS323)。
【0030】
計算機12は、ステップS323が終了すると、地図情報取得部131により、生成しようとする家形図に関する基準点座標を取得する処理を実行する(ステップS324)。次に、計算機12は、図形生成部132により、1番目の長方形ユニットA2の各頂点の座標および2番目の長方形ユニットB2の各頂点の座標を、1番目の長方形ユニットA2の基準頂点a2が基準点座標の位置になるように、仮設定しておいた座標から平行に移動した座標を算出する処理を実行する(ステップS325)。結果的に、計算機12は、図形生成部132により、図6(c)に示すように、地図座標面上における、基準点座標を通りX軸に平行な基準線x1で仕切られる2つの領域の上方側に、1番目の長方形ユニットA2の1辺a2−d2と、2番目の長方形ユニットB2の1辺e2−h2とが基準線x1上に位置するとともに隣接して並ぶ2個の長方形ユニットを生成する処理を実行したことになる。
【0031】
図形回転処理:
計算機12は、ステップS325が終了すると、地図情報取得部131により、回転角度データを取得する処理を実行し(ステップS326)、図形回転部134により、1番目の長方形ユニットA2および2番目の長方形ユニットB2の各頂点の座標を、地図座標面上で回転角度データに基づき基準点座標a2を中心にして角度θ2回転させた1番目の長方形ユニットA3および2番目の長方形ユニットB3から構成される回転図形ユニットの各頂点の座標を算出する処理を実行する(ステップS327)。
【0032】
計算機12は、ステップS327が終了するとステップS300を終了し、線描部134により、1番目の長方形ユニットA3および2番目の長方形ユニットB3から構成される回転図形ユニットの外周に沿う閉じた線、すなわち、1番目の長方形ユニットA3および2番目の長方形ユニットB3の各頂点をa3−b3−c3−f3−g3−h3−a3の順に結ぶ閉じた線を引くことにより閉図形の変成図としての家形図P2を生成する処理を実行する(ステップS400)。そして、計算機12は、ステップS400が終了すると、生成した家形図P2を表示部11により表示する処理を実行する(ステップS500)。
【0033】
本例において家形図P2の生成に関し取得したデータの大きさは、図形パターン番号が1バイト、基準点座標が4バイト、1番目の長方形変形データが4バイト、2番目の長方形変形データが4バイト、回転角度データが2バイトであり、合計すると15バイトである。図形パターン番号が0である場合の処理のような、各頂点の座標のデータを予め持っておく従来の方法で家形図P2と同じ家形図を生成するのであれば、構成点数のデータが2バイト、頂点の座標が4バイト×6=24バイトであり、合計すると26バイトである。従って、本発明によれば、1つの家形図のデータについてデータ量を11バイト低減することができており、比率に換算すると42%低減することができている。
【0034】
<3個の長方形ユニットを組み合わせた家形図を生成する例>
図7は、読み出した図形パターン番号が3の場合における家形図の各頂点の座標を算出するフローチャートであり、図8(a)〜図8(e)は、図形パターン3の場合における家形図の生成を説明する図である。
【0035】
図形生成処理:
本例については、前述した図形パターン番号2の例と異なる点についてのみ説明し、同様の構成要素については同一の参照符を用いて重複する説明を省略するものとする。図形パターン番号2の家形図の生成に関するデータは、図8(e)に示す家形図P3の頂点のうち内角が270°をなす凹部頂点f3,g3に接続する2つの辺の一方からの延長線E1,E2により家形図P3を3個の長方形ユニットA3,B3,C3に分割することを示す長方形ユニット数に関するデータである図形パターン番号3と、それぞれの長方形ユニットA3,B3,C3に対する、予め設定した基本長方形からその1辺と平行な方向および垂直な方向へのそれぞれ伸縮率を示す1番目の長方形変形データ、2番目の長方形変形データおよび3番目の長方形変形データと、延長線E1,E2と交差する家形図P3の基準辺a3−m3とX軸との角度を示す回転角度データと、基準辺a3−m3が接続する一方の頂点a3の座標を示す基準点座標とからなるものである。なお、本例においては、2つの凹部頂点f3,g3があるので、それぞれの凹部頂点f3,g3に接続するそれぞれの延長線E1,E2としては平行な関係になるものを選ぶことにより、それぞれの延長線E1,E2がともに同じ基準辺a3−m3と交差するようになり、家形図P3を基準辺a3−m3上に並ぶように分割することができる。
【0036】
まず、計算機12は、図形パターン番号が3の場合においても、図形パターン番号2と同様の手順で、1番目の長方形変形データを取得して、1番目の長方形ユニットA2の各頂点の座標を生成する処理を実行し(ステップS310)、次に、2番目の長方形変形データを取得して、2番目の長方形ユニットB2の各頂点の座標を生成する処理を実行する(ステップS320:ステップS321〜S325に相当)。なお、図8(a)に示す、基準頂点a2の座標は(0,0)であり、図形回転処理は実行されていない段階である。
【0037】
本例においては、計算機12は、ステップS320が終了すると、図形生成部132により、一辺がX軸に平行な3番目の基本長方形C1の各頂点の座標を初期化する処理を実行する(ステップS331)。本実施例において、3番目の基本長方形C1は、図8(b)に示すような正方形i1−j1−k1−m1−i1であり、ステップS331の時点では、地図座標面上の基準頂点のX−Y座標を2番目の長方形ユニットB2の頂点e2,f2,g2,h2のうち、基準頂点a2からX軸方向の最遠方にある頂点h2の位置になるように仮設定し、Y軸が正の領域に配置しておく。
【0038】
計算機12は、ステップS331が終了すると、地図情報取得部131により、基本長方形の1辺と平行な方向および垂直な方向へのそれぞれの伸縮率を示す3番目の長方形変形データを取得する処理を実行する(ステップS332)。計算機12は、ステップS332が終了すると、図形生成部132により、3番目の基本長方形C1を、3番目の長方形変形データに基づいて、2番目の長方形ユニットB2と接するX軸上の頂点i2を固定点としてX軸およびY軸のそれぞれの方向へ伸縮させ、図8(c)に示すような3番目の長方形ユニットC2の各頂点の座標を生成する処理を実行する(ステップS333)。
【0039】
計算機12は、ステップS333が終了すると、地図情報取得部131により、生成しようとする家形図に関する基準点座標を取得する処理を実行する(ステップS334)。次に、計算機12は、図形生成部132により、1番目の長方形ユニットA2の各頂点の座標、2番目の長方形ユニットB2および3番目の長方形ユニットC2の各頂点の座標を、1番目の長方形ユニットA2の基準頂点a2が基準点座標の位置になるように、仮設定しておいた座標から平行に移動した座標を算出する処理を実行する(ステップS335)。結果的に、計算機12は、図形生成部132により、図8(c)に示すように、地図座標面上における、基準点座標を通りX軸に平行な基準線x2で仕切られる2つの領域の上方側に、1番目の長方形ユニットA2の1辺a−dと、2番目の長方形ユニットB2の1辺e−hと、3番目の長方形ユニットC2の1辺i−mとが基準線x2上に位置するとともに隣接して並ぶ3個の長方形ユニットを生成する処理を実行したことになる。
【0040】
図形回転処理:
計算機12は、ステップS335が終了すると、地図情報取得部131により、回転角度データを取得する処理を実行し(ステップS336)、図形回転部134により、1番目の長方形ユニットA2、2番目の長方形ユニットB2および3番目の長方形ユニットC2の各頂点の座標を、地図座標面上で回転角度データに基づき基準点座標a2を中心にして角度θ3回転させた1番目の長方形ユニットA3、2番目の長方形ユニットB3および3番目の長方形ユニットC3から構成される回転図形ユニットの各頂点の座標を算出する処理を実行する(ステップS337)。
【0041】
計算機12は、ステップS337が終了すると、ステップS300を終了し、線描部134により、1番目の長方形ユニットA3、2番目の長方形ユニットB3および3番目の長方形ユニットC3から構成される回転図形ユニットの外周に沿う閉じた線、すなわち、1番目の長方形ユニットA3、2番目の長方形ユニットB3および3番目の長方形ユニットC3の各頂点をa3−b3−c3−f3−g3−j3−k3−m3−a3の順に結ぶ閉じた線を引くことにより閉図形の変成図としての家形図P3を生成する処理を実行する(ステップS400)。そして、計算機12は、ステップS400が終了すると、生成した家形図P3を表示部11により表示する処理を実行する(ステップS500)。
【0042】
本例において家形図P3の生成に関し取得したデータの大きさは、図形パターン番号が1バイト、基準点座標が4バイト、1番目の長方形変形データが4バイト、2番目の長方形変形データが4バイト、3番目の長方形変形データが4バイト、回転角度データが2バイトであり、合計すると19バイトである。図形パターン番号が0である場合の処理のような、各頂点の座標のデータを予め持っておく従来の方法で家形図P3と同じ家形図を生成するのであれば、構成点数のデータが2バイト、頂点の座標が4バイト×8=32バイトであり、合計すると34バイトである。従って、本発明によれば、1つの家形図のデータについてデータ量を15バイト低減することができており、比率に換算すると44%低減することができている。
【0043】
以上説明したように、本発明によれば、基本長方形を一定の規定に従って変形させた複数個の長方形ユニットを回転した変成図としての家形図を生成することから、家形図の各頂点を座標データとしなくて済むようになり、家形図を生成するためのデータの量が低減されるので、地図情報の取得や、地図を生成する処理の高速化を図ることが可能となる。
【0044】
<変形例>
なお、本発明は上述の実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更、改良が可能である。例えば、上述した実施例の図形パターン番号が2および3の場合、基本長方形を座標(0,0)で初期化して生成した長方形ユニットを基準点座標に移動しているが、基準点座標で初期化して長方形ユニットを生成することも可能である。
【0045】
また、本実施例の地図生成装置においては、それぞれの長方形ユニットについては実際に生成せずに各頂点の座標を算出した後に各頂点を結ぶ線を引くことにより生成するようにしているが、それぞれの長方形ユニットの線も含めて生成することも可能である。
【0046】
また、本実施例の地図生成装置においては、家形図の線を引く処理を、共通するプログラムに含めているが、変成図としての座標を算出する処理の中に含めたプログラムとすることも可能である。
【符号の説明】
【0047】
1…地図生成装置
11…表示部
12…入力部
13…通信部
14…計算機
131…地図情報取得部
132…図形生成部
133…図形回転部
134…線描部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の座標軸および該第1の座標軸に垂直な第2の座標軸で示される地図座標面上に基本長方形を基にした家形図を生成する地図生成装置において、
前記基本長方形のN数(Nは2以上の整数)に関するデータ、前記家形図の基準点座標、前記基本長方形の1辺と平行な方向および垂直な方向へのそれぞれの伸縮率を示すN個の長方形変形データ、ならびに回転角度データをそれぞれ取得する地図情報取得部と、
N個の前記基本長方形をそれぞれの長方形変形データに基づいて1辺と平行な方向および垂直な方向へそれぞれ伸縮させてなり、前記基準点座標を通り前記第1の座標軸に平行な基準線で仕切られる前記地図座標面上の2つの領域のうちの一方側に、それぞれの1辺が前記基準線上に位置するとともにそれぞれが隣接して並ぶN個の長方形ユニットの各頂点の座標を算出する図形生成部と、
前記長方形ユニットの各頂点の座標を、前記地図座標面上で前記回転角度データに基づき前記基準点座標を中心にして回転させた回転図形ユニットの各頂点の座標を算出する図形回転部と
を備える地図生成装置。
【請求項2】
前記図形回転部が算出した前記回転図形ユニットの外周に沿う閉じた線を引くことにより前記家形図を生成する線描部を備えることを特徴とする請求項1に記載の地図生成装置。
【請求項3】
第1の座標軸および該第1の座標軸に垂直な第2の座標軸で示される地図座標面上に、隣り合う2つの辺同士がすべて垂直に接続する多角形からなる家形図を生成する地図データであって、
前記家形図の頂点のうち内角が270°をなす凹部頂点に接続する2つの辺の一方からの延長線により前記家形図をN個(Nは2以上の整数)の長方形ユニットに分割することを示すN数に関するデータと、
それぞれの前記長方形ユニットに対する、予め設定した基本長方形からその1辺と平行な方向および垂直な方向へのそれぞれ伸縮率を示すN個の長方形変形データと、
前記延長線と交差する前記家形図の基準辺と前記第1の座標軸との角度を示す回転角度データと、
前記基準辺が接続する一方の頂点の座標を示す基準点座標と、
を備える地図データ。
【請求項4】
前記凹部頂点が複数あるとき、それぞれの前記凹部頂点に接続するそれぞれの前記延長線がすべて平行な関係になることを特徴とする請求項3に記載の地図データ。
【請求項5】
第1の座標軸および該第1の座標軸に垂直な第2の座標軸で示される地図座標面上に基本長方形を基にした家形図を生成する地図生成方法において、
コンピュータが、前記基本長方形のN数(Nは2以上の整数)に関するデータ、前記家形図の基準点座標、前記基本長方形の1辺と平行な方向および垂直な方向へのそれぞれの伸縮率を示すN個の長方形変形データ、ならびに回転角度データをそれぞれ取得する地図情報取得処理と、
コンピュータが、N個の前記基本長方形をそれぞれの長方形変形データに基づいて1辺と平行な方向および垂直な方向へそれぞれ伸縮させてなり、前記基準点座標を通り前記第1の座標軸に平行な基準線で仕切られる前記地図座標面上の2つの領域のうちの一方側に、それぞれの1辺が前記基準線上に位置するとともにそれぞれが隣接して並ぶN個の長方形ユニットの各頂点の座標を算出する図形生成処理と、
コンピュータが、前記長方形ユニットの各頂点の座標を、前記地図座標面上で前記回転角度データに基づき前記基準点座標を中心にして回転させた回転図形ユニットの各頂点の座標を算出する図形回転処理と
を備える地図生成方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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