説明

地図画像提供システム、地図画像提供装置、地図画像更新判別方法およびプログラム

【課題】地図画像提供装置が提供する地図画像について更新が必要か否かの判別が容易にできる。
【解決手段】操作入力部を通じて受け付けた提供用地図画像の作成条件と、地図データ提供部から受け取った地図画像データとに基づいて提供地図画像の作成データを作成する。閲覧要求に応じて作成した提供地図画像を提供する。作成条件と、作成した提供用地図画像の作成データとを、関連付けて格納する。格納された作成条件と、地図データ提供部から新たに受け取った地図データとに基づいて、提供用地図画像の更新地図画像の作成データを作成する。格納されている提供用地図画像の作成データと、新たに作成した提供用地図画像の更新地図画像の作成データとを比較し、その比較結果を出力する。この比較結果から、操作者は、提供用地図画像のデータの更新が必要か否かを適切に判断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、地図画像提供システム、地図画像提供装置、地図画像更新判別方法およびプログラムに関し、より具体的には、新旧の地図画像の更新判別に関する。
【背景技術】
【0002】
地図データ提供サーバから提供される地図データに基づいて、所望のエリアの地図を切り出し、所望の編集加工を加えた後、パンフレットの案内図、チラシの物件案内図、業務資料などの印刷用途などに用いることができる地図画像提供システムが知られている。
【0003】
この地図画像提供システムは、地図情報についての著作権を備える地図会社が運営する地図データ提供サーバと、この地図データ提供サーバからの地図データの提供を受けて所望の地図画像を作成する地図画像提供装置とがインターネットやイントラネットなどのネットワークを通じて接続されて構成される。地図画像提供装置は、通常は、地図画像を上記のような用途に用いようとする業者等が備える。
【0004】
地図画像提供装置では、操作者が、地図データ提供サーバから取得可能な全ての地図情報の中から、必要とする所望のエリアの地図情報を切り出し、編集機能により加工して所望の地図画像を作成する。そして、例えば、課金を条件として、ラスタ地図画像データなど、印刷用途などに適切な形式の地図画像の画像データとして保存する。
【0005】
地図画像提供装置では、保存した地図画像を印刷したり、保存した地図画像の画像データをネットワークを通じて顧客に提供したりすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−70174号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、地図会社は、常に最新の地図データを提供できるように、地図データのデータベースを更新している。したがって、上述のようにして地図画像提供装置で作成して保存した地図画像の元となる地図データが、更新されて変更された場合には、保存している地図画像を、最新の地図データに基づき再作成した方が良い。
【0008】
しかしながら、従来の地図画像提供装置では、保存している地図画像の元となる地図データが更新されて変更されているかどうかを知る手立てがなかった。このため、地図画像提供装置側では、地図データ提供サーバからの地図データの更新のお知らせなどに基づいて、保存している地図画像と同じものを、新たな地図データから再作成して保存し直すなどの方策を採るようにしていた。
【0009】
しかし、地図データ提供サーバにおけるデータベースとしての地図データ全体についての更新があったとしても、地図画像提供装置で保存している地図画像は、その一部を切り出して作成したものであるので、必ずしも、その地図画像の内容が変更されているとは限らない。このため、地図データ提供サーバにおけるデータベースとしての地図データの更新の都度、地図画像提供装置で保存している地図画像を再作成して更新する必要があるとは限らない。
【0010】
さらには、地図データが更新されて変更されたとしても、その変更が微細なものであり、表示したり印刷したりする地図画像として、殆ど目立たず、再作成をする必要が無い場合もある。そして、地図画像を再作成して保存した場合には、課金が発生するものであり、再作成が不要である地図画像の更新をした場合には、経済的に無駄な出費が発生してしまうことにもなる。
【0011】
新旧の地図画像を人の目で見比べて、更新の必要があるかどうかの判別を行うことも可能である。しかし、保存している地図画像が数百枚単位などの多量である場合、この人の目での見比べ方法のみでは、非効率であると共に、判断ミスも発生しやすく、現実的でない。
【0012】
この発明は、以上の点にかんがみ、地図画像提供装置側で、保存している地図画像について、更新が必要か否かの判別を容易に行えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決するために、この発明は、
地図データを保持する地図データ提供部から受け取った前記地図データに基づいて、所望の地図画像を提供用地図画像として作成して、閲覧要求に応じて提供する地図画像提供装置を備える地図画像提供システムにおいて、
前記地図画像提供装置は、
操作者からの操作入力を受け付けるための操作入力部と、
少なくとも、前記操作入力部を通じて受け付けた前記提供用地図画像の作成条件と、前記地図データ提供部から受け取った前記地図データとに基づいて前記提供用地図画像の作成データを作成する第1の作成手段と、
前記操作入力部を通じて受け付けた前記提供用地図画像の作成条件と、前記第1の作成手段で作成した前記提供用地図画像の作成データとを、関連付けて格納する格納手段と、
前記格納手段に格納された前記作成条件と、前記地図データ提供部から新たに受け取った前記地図データとに基づいて、前記提供用地図画像の更新地図画像の作成データを作成する第2の作成手段と、
前記格納手段に格納された前記第1の作成手段で作成した前記提供用地図画像の作成データと、前記第2の作成手段で作成した前記提供用地図画像の更新地図画像の作成データとを比較する比較手段と、
前記比較手段での比較結果を出力する比較結果出力手段と、
を備えることを特徴とする地図画像提供システムを提供する。
【0014】
上述の構成のこの発明においては、地図画像提供装置は、第1の作成手段により、操作入力部を通じて受け付けた提供用地図画像の作成条件と、地図データ提供部から受信した地図データとに基づいて提供用地図画像の作成データを作成する。
【0015】
そして、操作入力部を通じて受け付けた所望の地図画像の作成条件と、第1の作成手段で作成した所望の地図画像のデータとを格納手段により格納しておく。
【0016】
そして、地図画像提供装置は、第2の作成手段により、格納手段で格納された作成条件と、地図データ提供部から新たに受け取った地図データとに基づいて、提供用地図画像の更新地図画像の作成データを作成する。そして、比較手段により、格納手段に保持されている第1の作成手段で作成した提供用地図情報の作成データと、第2の作成手段で作成した所望の地図画像の更新地図画像の作成データとを比較し、その比較結果を比較結果出力手段により出力する。
【0017】
地図画像提供装置の操作者は、この比較結果の出力から、提供する地図画像のデータを更新すべきか否かを判別することができる。
【発明の効果】
【0018】
この発明によれば、新旧の地図画像を、提供用地図画像の作成データについて比較し、その比較結果を出力するので、新旧の地図画像に差異が生じているか否かを、確実かつ容易に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】この発明による地図画像提供システムの実施形態の構成例を示す図である。
【図2】この発明による地図画像提供システムの実施形態における要部の説明のための図である。
【図3】この発明による地図画像提供システムの実施形態における要部の説明のための図である。
【図4】この発明による地図画像提供システムの実施形態における要部の説明のための図である。
【図5】この発明による地図画像提供装置の実施形態の構成例のブロック図である。
【図6】この発明による地図画像提供装置の実施形態の処理動作を説明するためのフローチャートの一部を示す図である。
【図7】この発明による地図画像提供装置の実施形態の処理動作を説明するためのフローチャートの一部を示す図である。
【図8】この発明による地図画像提供装置の実施形態の処理動作を説明するためのフローチャートの一部を示す図である。
【図9】この発明による地図画像提供装置の実施形態の処理動作を説明するためのフローチャートの一部を示す図である。
【図10】この発明による地図画像提供装置の実施形態の処理動作を説明するためのフローチャートの一部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[地図画像提供システムの概要]
図1は、地図画像提供システムの実施形態の構成の概要を説明するための図である。この例の地図画像提供システムは、地図データ提供サーバ1と地図画像提供装置2とが、ネットワーク3を通じて接続されることにより構成されている。図1の例のネットワーク3は、インターネットやイントラネットなどを含むものとしている。つまり、地図データ提供サーバ1と地図画像提供装置2との接続は、インターネットを介してでもよいし、イントラネットを介してでもよい。
【0021】
地図データ提供サーバ1と地図画像提供装置2とは、それぞれコンピュータにより構成することができる。
【0022】
地図データ提供サーバ1は、提供される地図データについての著作権を備える地図会社が運営するものである。当該地図会社は、地図データ提供サーバ1から提供する地図データに基づき所望の地図画像を作成するためのアプリケーションプログラム(以下、地図画像作成ソフトと称する)が記録された記録媒体(パッケージソフト)4を、地図画像提供装置2を運営する事業者に、無償あるいは有償で供与する。
【0023】
地図画像提供装置2を運営する事業者(操作者)は、パッケージソフト4の地図画像作成ソフトを、地図画像提供装置2を構成するコンピュータにインストールする。地図画像提供装置2は、このインストールされた地図画像作成ソフトを用いて、後述する地図画像の作成および保存処理、並びに更新判別処理をする。なお、この地図画像作成ソフトには、地図画像上に予め用意したアイコンを重畳する、経路線を追加する、噴出し文字を挿入する、などの編集加工機能が含まれている。
【0024】
また、地図画像提供装置2は、保存した地図画像を印刷物5として出力してユーザに提供することができる。さらに、地図画像提供装置2は、保存した地図画像の画像データを、ネットワーク3を通じて、地図利用ユーザのパーソナルコンピュータ6a、6bに提供したり、ネットワーク3および携帯電話基地局7を通じて地図利用ユーザの携帯電話端末8に提供したりすることができる。
【0025】
地図データ提供サーバ1は、ベクトル地図データおよびそれに関連付けられた属性データを、地図データとして、地図画像提供装置2にネットワーク3を通じて提供する。地図データを、このようにベクトル地図データおよびそれに関連付けられた属性データとするのは、地図画像提供装置2において、地図画像についての編集加工を容易にするためである。
【0026】
そのため、この実施形態では、地図データ提供サーバ1は、地図データベース11と、レイヤデータベース12とを備えている。ベクトル地図データは、点、線、面の、ある基準点からの座標値と、長さや方向を持つデータであり、点、線、面に属性データを付加することもできる。レイヤデータベース12には、道路、鉄道、河川、建物の情報、文字や色、線の太さ、などの属性データを、複数階層のデータとして保持する。地図画像は、地図データベース11から取得されるベクトル地図データにより描かれる都道府県などの区画を表わした地図上に、レイヤデータベース12から取得される属性情報を階層的に重ね合わせることにより、作成される。
【0027】
[地図画像提供装置2の動作の概要]
地図画像提供装置2は、前記地図画像作成ソフトのプログラムを起動して、以下のような動作を実行する。
【0028】
地図画像の作成が操作者により選択されると、地図画像提供装置2は、ネットワーク3を通じて地図データ提供サーバ1にアクセスする。そして、地図画像提供装置2は、操作者による目的とする地域の検索指定および地図作成のための指定条件情報(作成条件)を受け付けて、その指定条件情報をネットワーク3を通じて地図データ提供サーバ1に送る。この指定条件情報には、地図縮尺、地域範囲、地図種(市外図、道路地図など)、レイヤ(標準、モノクロ、夜景など)、などの情報が含まれる。また、この例では、指定条件情報には、後述する保存形式も含まれる。
【0029】
この指定条件情報を受けて、地図データ提供サーバ1は、地図データベース11およびレイヤデータベースから、指定された地域のベクトル地図データおよび関連する属性データを読み出して、ネットワークを通じて地図画像提供装置2に送信する。
【0030】
地図画像提供装置2は、このベクトル地図データおよび関連する属性データを受信し、当該受信したデータを用いて、ベクトル地図データによる地図画像(ベクトル地図画像)のデータを生成する。この実施形態では、このベクトル地図画像のデータは、提供用地図画像の作成データであり、提供用地図画像の保存前データとなる。
【0031】
そして、地図画像提供装置2は、生成したベクトル地図画像のデータを、表示用のラスタ地図画像の画像データに変換して、そのラスタ地図画像をディスプレイの表示画面に表示する。図2(A)に、このときに地図画像提供装置2のディスプレイに表示されるウィンドウ画面の一例を示す。地図画像提供装置2の操作者は、この表示画面に表示されるラスタ地図画像20により、自分が所望する地域の地図画像であることを確認することができる。
【0032】
そして、地図画像提供装置2の操作者は、例えば、図2(A)のウィンドウ画面におけるツールバー21の「描く」アイコンを選択することにより、地図画像作成ソフトが有する前述した編集加工機能を起動する。すると、例えば図2(B)に示すように、地図画像提供装置2のディスプレイには、ラスタ地図画像20の表示部の左横に、編集加工機能のアイコン一覧22が表示されるウィンドウ画面が表示される。
【0033】
地図画像提供装置2の操作者は、この編集加工機能のアイコン一覧22から所定の編集加工機能のアイコンを選択し、その編集加工を実行する。図2(B)の例では、フラグマークの付加機能のアイコンが選択され、表示されているラスタ地図画像において、当該フラグマーク23が位置指定された箇所に表示された様子を示している。
【0034】
編集加工が終了すると、地図画像提供装置2の操作者は、例えば印刷して提供したい地図画像部分のエリアを、図3(B)に示す矩形枠線24により指定した後、その保存を指示する。すると、地図画像提供装置2は、保存形式の指定入力を受け付けると共に、保存する地図画像のファイル名(提供用地図画像の識別子となる)の入力を受け付けるウィンドウ画面を表示する。保存形式としては、例えばBMP、GIF、JPG、PNG、PDF等を選択指定することができる。この実施形態では、この指定された保存形式のデータが提供用地図画像の保存用データとなる。
【0035】
地図画像提供装置2の操作者は、このウィンドウ画面を通じて保存形式の選択を行うと共に、保存する地図画像のファイル名の入力をした後、保存実行指示をする。この保存実行指示に対しては、地図画像の保存には課金が発生するので、それでも保存を実行するか否かの注意表示がなされ、「はい」を操作者が選択した場合のみ、地図画像提供装置2は、保存処理を実行する。すなわち、地図画像提供装置2は、表示中のラスタ地図画像への変換前のベクトル地図画像のデータを、指定された保存形式のデータに変換し、指定されたファイル名などを識別子として記憶部に格納する。なお、この明細書の以下の説明においては、ユーザに提供するための地図画像を、提供用地図画像と称することとする。
【0036】
そして、この実施形態では、この提供用地図画像の保存に際しては、地図画像提供装置2は、当該提供用地図画像に対応付けて、その指定条件情報と、編集加工情報と、保存の際に表示中であった提供地図画像の、ラスタ地図画像への変換直前のベクトル地図画像のデータとを、提供用地図画像に関連する情報としての履歴情報として併せて記憶するようにする。提供用地図画像と履歴情報の対応付けは、例えば、提供用地図画像の識別子により行う。
【0037】
次に、この実施形態では、地図画像提供装置2の操作者は、保存された提供用地図画像について更新判別処理を指示することができる。この更新判別処理指示は、この例では、保存されている全ての提供用地図画像についての指示とされる。しかし、操作者が、保存された提供用地図画像の一覧から、更新判別処理を行いたい1または複数の提供用地図画像の指定をして、更新判別処理指示をするように構成しても良い。
【0038】
更新判別処理指示があると、地図画像提供装置2は、この例では、保存されている提供用地図画像のそれぞれについて次のような処理を実行する。
【0039】
すなわち、保存されている提供用地図画像に関連付けられて保存されている履歴情報のうちの指定条件情報を読み出し、それに基づいて、地図データ提供サーバ1から新たな地図データを受信して、新たな地図データから、保存されている提供用地図画像についての新たなベクトル地図画像(更新地図画像)のデータを作成する。
【0040】
そして、保存されている提供用地図画像に関連付けられて保存されている履歴情報のうちの、保存されている提供用地図画像の、ラスタ地図画像への変換直前のベクトル地図画像のデータを読み出し、作成された更新地図画像のベクトル地図画像のデータと比較し、両データの違いを検出する。
【0041】
そして、両データ間の違いの有無を、この例においては、提供用地図画像の一覧リストにおいて表示するようにする。
【0042】
図3に、この更新判別処理の際のウィンドウ画面の一例を示す。この図3の保管場所表示欄31には、履歴情報の保管場所が表示されており、「読み込み」アイコン32を操作者がクリックすると、履歴情報ファイル一覧表示欄33に、提供用地図画像の履歴情報ファイル名を1行として、全ての提供用地図画像の履歴情報の一覧が表示される。
【0043】
そして、「比較」アイコン34を操作者がクリックすると、保存されている提供用地図画像のベクトル地図画像のデータと、更新地図画像のベクトル地図画像のデータとの比較処理が実行される。そして、図3の例では、その比較の結果、両データ間に違いが無い場合には、提供用地図画像の履歴情報ファイル名の右横に「0」が、両データ間に違いがある場合には、提供用地図画像の履歴情報ファイル名の右横に「3」が、それぞれ表示される。
【0044】
この両データの違いの有無に関する出力表示は、図3の例のような数値によるものに限られるものではなく、「○」「×」などの記号表示であっても良いし、履歴情報ファイル名の表示色を変えるなど、種々の違い表示を行うことができる。
【0045】
地図画像提供装置の操作者は、このファイル一覧表示欄33の比較結果出力を参照することにより、各提供用地図画像の新旧地図データについての違いの有無を把握することができる。
【0046】
新旧地図データについて違いが検出された提供用地図画像の全てを、更新保存するようにしても良いが、両データの違いが微差であり、当該地図画像を表示したときに目立たない等の理由により、更新の必要が無い場合もある。また、ベクトル地図データに関連する属性情報のみが変更され、ベクトル座標データについては変更が無い場合には、地図画像としての見た目が変わっていない場合もある。例えば店舗情報が更新されただけでは地図画像の見た目は変化が無い。さらに、また、提供用地図画像の用途によっては、当該地図画像を印刷したときに無視できる違いであるため、更新の必要が無い場合もある。
【0047】
そこで、この実施形態では、新旧両地図データの違いを、より詳細に操作者が知ることができるように構成して、利用者が、無駄な地図画像の更新を排除することができるようにしている。
【0048】
例えば、図3の例における「地図表示」アイコン35を操作者がクリックすると、地図画像提供装置2は、ファイル一覧表示欄33で選択されている履歴情報ファイル名の提供用地図画像の新旧の地図画像を、ディスプレイ画面において比較表示するようにする。すなわち、地図画像提供装置2は、「地図表示」アイコン35のクリックを検出すると、履歴情報ファイル一覧表示欄33で選択されている履歴情報ファイル名に対応する提供用地図画像の、保存されているベクトル地図画像データをラスタ地図画像の画像データに変換して、例えば図4のウィンドウ画面の左側に表示すると共に、更新地図画像のベクトル地図画像データをラスタ地図画像の画像データに変換して、図4のウィンドウ画面の右側に表示する。
【0049】
地図画像提供装置2の操作者は、この図4のウィンドウ画面の左右の地図画像を比較して、更新の必要があるか否かを目視で確認するようにする。そして、操作者は、更新の必要があると判断したときに、「保存」アイコン37をクリックする。すると、地図画像提供装置2は、保存する提供用地図画像を更新地図画像の内容のデータに更新すると共に、それに関連する履歴情報のベクトル地図画像のデータを、更新地図画像のベクトル地図画像のデータに書き換える。
【0050】
また、更新の必要がないと判断したときに、操作者は、「キャンセル」アイコン38をクリックする。すると、地図画像提供装置2は、提供用地図画像についての上記の更新処理は行わずに、更新地図画像のデータは廃棄する。
【0051】
また、この実施形態では、図3の例における「ログ表示」アイコン36を操作者がクリックすると、地図画像提供装置2は、ファイル一覧表示欄33で選択されている履歴情報ファイル名の提供用地図画像の新旧のベクトル地図画像のデータの違いを、ログ表示するようにする。ここで、ログ表示としては、図4と同様に新旧のデータの表示欄を設け、それぞれの表示欄に、それぞれのベクトル地図画像のデータを、例えば文字やキャラクタなどにより表示すると共に、違いがあるデータ部分は、異なる色で表示するようにすることができる。また、ログ表示として、新旧のベクトル地図画像のデータで、何行異なるか、あるいは何%異なるかを表示するようにしても良い。
【0052】
地図画像提供装置2の操作者は、履歴情報ファイル一覧31で新旧の提供地図画像に違いあることを認識することができ、「ログ表示」により、新旧の違いがどの程度であるかを把握することができる。そして、「地図表示」による新旧の提供地図画像の目視による確認により、更新が必要か否かを確実に把握することができる。
【0053】
なお、新旧地図画像を表示する場合に、目視による比較が容易になるように、新旧の地図画像データ間で違いが生じている画像部分をマーク表示するようにしたり、違いが有る画像部分のみを他とは色を変えて表示したりするようにすることもできる。また、新旧地図画像を重ね合わせることができるようにして、両地図画像の違いを容易に検出することができるようにすることもできる。
【0054】
[地図画像提供装置のハードウエア構成例]
図5に、この実施形態の地図画像提供装置2のハードウエア構成例のブロック図を示す。この例では、地図画像提供装置2は、パソコンにより構成されており、システムバス200に対してCPU(Central Processing Unit)201と、プログラム等を格納するROM(Read Only Memory)202と、ワークエリアとして働くRAM(Random Access Memory)203と、メインメモリ204とが接続されている。
【0055】
また、この例では、システムバス200には、さらに、マルチメディアドライブ205、通信インターフェース206、操作部インターフェース207、ディスプレイインターフェース208、ベクトル地図画像データ作成部209、ラスタ地図画像変換部210、提供用地図画像データ格納部211、履歴情報ファイル格納部212、提供用地図画像更新判別部213、が接続されている。
【0056】
CPU201は、この地図画像提供装置2の全体の動作を制御するものである。ROM202には、この地図画像提供装置2における各種制御処理を実行するためのプログラムが記憶されている。CPU201は、RAM203をワークエリア用のメモリとして用いて、このROM202のプログラムにしたがった制御処理を実行する。
【0057】
マルチメディアドライブ205は、種々の記録媒体の読み書きができるドライブである。この例では、地図画像作成ソフトが記録された記録媒体4が、このマルチメディアドライブ205に装填されると、前記地図画像作成ソフトのアプリケーションプログラムが記録媒体4から読み出されて、この地図画像提供装置2にインストールされる。前記アプリケーションプログラムは、この例では、メインメモリ204に書き込まれる。
【0058】
地図画像作成ソフトが起動されると、CPU201は、メインメモリ204に格納されているプログラムにしたがった制御処理を、RAM203をワークエリア用のメモリとして用いて実行する。
【0059】
通信インターフェース206は、通信ネットワーク3と接続して、地図画像提供装置2と地図データ提供サーバ1との間で通信を行うためのものである。
【0060】
操作部インターフェース207には、操作部221が接続され、地図画像提供装置2の操作者による操作入力情報が、この操作部インターフェース207を通じてシステムバス200に送出される。CPU201は、操作部インターフェース207を通じて入力される操作入力情報を監視して、どの様な操作がなされたかを判別し、その判別結果に応じた制御処理を実行する。
【0061】
ディスプレイインターフェース208には、例えばLCD(Liquid Crystal Display)からなるディスプレイ222が接続され、ウィンドウ画面等の種々の表示情報が、その表示画面に表示される。
【0062】
ベクトル地図画像データ作成部209は、地図データ提供サーバ1から受信するベクトル地図データおよびその属性情報から、ベクトル地図画像データを作成する機能処理部である。前述したように、ベクトル地図画像データ作成部209は、操作者による操作部221を通じた編集加工操作に基づく編集加工機能を備えている。なお、このベクトル地図画像データ作成部209は、実際上は、地図画像作成ソフトの一部の機能であるが、図5では、説明の便宜上、機能ブロックとして記載したものである。
【0063】
ラスタ地図画像変換部210は、ベクトル地図画像データ作成部209で作成されたベクトル地図画像のデータを、ディスプレイ222の表示画面に表示するためのラスタ地図画像に変換する機能処理部である。このラスタ地図画像変換部210も、実際上は、地図画像作成ソフトの一部の機能であるが、図5では、説明の便宜上、機能ブロックとして記載したものである。
【0064】
提供用地図画像データ格納部211は、地図画像提供装置2の操作者により地図画像の保存指示がなされた提供用地図画像を、指定された保存形式のデータ形式で格納保存するデータ格納部である。
【0065】
履歴情報ファイル格納部212は、提供用地図画像に関連する情報を格納する関連情報格納部である。この実施形態では、この履歴情報ファイル格納部212は、前述したように、地図画像提供装置2の操作者により地図画像の保存指示がなされたとき、保存された提供用地図画像について操作者により指示入力された指示条件情報と、当該提供地図画像のラスタ地図画像への変換直前のベクトル地図画像のデータとを、履歴情報として、保存された提供用地図画像に対応付けて格納保存する。このため、履歴情報ファイル格納部212は、保存された提供用地図画像について操作者により指示入力された指示条件情報を格納する作成履歴情報格納部212aと、保存された提供用地図画像の前記ベクトル地図画像のデータを格納するベクトル地図画像情報格納部212bを備える。
【0066】
提供用地図画像更新判別部213は、操作者から更新判別処理指示があったときの前述した処理、すなわち、新旧地図画像のデータの比較処理、新旧地図画像の比較対照表示処理、新旧地図画像のデータの比較結果のログ表示処理、などを実行する機能処理部である。この提供用地図画像更新判別部213も、実際上は、地図画像作成ソフトの一部の機能であるが、図5では、説明の便宜上、機能ブロックとして記載したものである。
【0067】
[地図画像提供装置2の具体的処理動作例]
次に、図6〜図10のフローチャートを参照しながら、地図画像提供装置2の処理動作の流れを説明する。以下に説明する図6〜図10のフローチャートは、インストールされた地図画像作成ソフトが起動されたときの処理動作であり、各ステップの処理は、地図画像作成ソフトに基づき、CPU201が、RAM203をワークエリアとして用いて実行するものである。
【0068】
CPU201は、先ず、操作部221を通じて新規地図画像の作成要求の指示操作がなされたか否か判別する(ステップS101)。このステップS101で、新規地図画像の作成要求の指示操作がなされたと判別したときには、CPU201は、通信インターフェース206を通じ、ネットワーク3を通じた地図データ提供サーバ1にアクセスし、地図データ提供サーバ1との間に通信路を確立する(ステップS102)。
【0069】
そして、CPU201は、操作者からの、操作部221を通じた、作成する地図情報の目的地域やその他の指示条件情報(地図作成条件)の入力を待って、それを受け付ける(ステップS103)。そして、CPU201は、受け付けた指示条件情報を地図データ提供サーバ1に送り、当該地図データ提供サーバ1の地図データベース11およびレイヤデータベース12から、指示条件情報に応じたベクトル地図データおよびそれに関連する属性データを受信する。そして、ベクトル地図画像データ作成部209によりベクトル地図画像のデータを作成する(ステップS104)。このステップS104は第1の作成手段を構成する。したがって、新規地図画像の作成処理においては、ベクトル地図画像データ作成部209は、第1の作成手段の役割を果たす。
【0070】
次に、CPU201は、ラスタ地図画像変換部210により、ベクトル地図画像をラスタ地図画像に変換して、目的地域の地図画像をディスプレイ222の画面に表示する(ステップS105)(図2(A)参照)。
【0071】
次に、CPU201は、操作部221を通じて、操作者から、地図画像の目的地域やその他の指定条件情報の変更入力があったか否か判別し(ステップS106)、当該変更入力があったと判別したときには、ステップS104に戻り、ステップS104以降の処理を繰り返す。すなわち、指定条件情報の変更入力を受け付けて、その変更後の指示条件情報に応じたベクトル地図画像のデータを作成して、その変更後の地図画像をディスプレイ222の画面に表示する。
【0072】
ステップS106で、地図画像の目的地域やその他の指定条件情報の変更入力を受け付けていないと判別したときには、CPU201は、操作部221を通じて、操作者から、編集加工機能の選択および編集加工情報の入力を受け付けたか否か判別する(ステップS107)。
【0073】
ステップS107で編集加工情報の入力を受け付けたと判別したときには、CPU201は、入力された編集加工情報を反映させたベクトル地図画像のデータを、ベクトル地図画像データ作成部209により作成し、それをラスタ地図画像変換部210でラスタ地図画像に変換してディスプレイ222の画面に表示する(ステップS108)。
【0074】
ステップS107で編集加工情報の入力を受け付けていないと判別したとき、また、ステップS108の次には、CPU201は、操作部221を通じて、保存する地図画像の範囲の指定を受け付けたか否か判別する(図7のステップS111)。
【0075】
このステップS111で、保存する地図画像の範囲指定を受け付けたと判別したときには、CPU201は、ディスプレイ上に表示されている地図画像上に、指定された地図範囲を表わす枠線(図2(B)の矩形枠線24参照)を表示する(ステップS112)。そして、CPU201は、操作部221を通じて保存要求指示を受け付けたか否か判別する(ステップS113)。
【0076】
このステップS113で、保存要求指示を受け付けたと判別したときには、CPU201は、「保存を実行する場合には、課金が発生するが実行するか?」という内容の課金注意メッセージをディスプレイ222の画面に表示する(ステップS114)。この課金注意メッセージには、「はい(実行する)」または「いいえ(実行しない)」のいずれかを操作者に選択させる選択アイコンが付加表示される。
【0077】
次に、CPU201は、「はい」または「いいえ」のいずれが操作者により選択されたかを判別し(ステップS115)、「はい(実行する)」が選択されたと判別したときには、作成中の地図画像を、提供地図画像として、操作者により指定された保存形式で、提供用地図画像データ格納部211に保存する(ステップS116)。
【0078】
さらに、CPU201は、作成した地図画像の指定条件情報と、編集加工履歴情報を、履歴情報ファイル格納部212の作成履歴情報格納部212aに格納保存すると共に、提供地図画像のベクトル地図画像のデータを、ベクトル地図画像情報格納部212bに格納保存する(ステップS117)。
【0079】
次に、CPU201は、新規地図画像作成の処理を終了する指示入力を受け付けたか否か判別し(ステップS118)、受け付けていないと判別したときには、ステップS103に戻り、このステップS103以降の処理により、次の提供地図画像についての作成処理を実行する。
【0080】
そして、ステップS118で、新規地図画像作成の処理を終了する指示入力を受け付けたと判別したときには、CPU201は、地図画像提供装置2と地図データ提供サーバ1とのネットワーク3を通じた通信路を切断し(ステップS119)、その後、ステップS101に戻る。
【0081】
また、ステップS115で、「いいえ(実行しない)」が選択されたときには、CPU201は、提供地図画像の保存処理のステップS116,117を行わずに、ステップS118に飛んで、上述したこのステップS118以降の処理を実行する。
【0082】
また、ステップS111で、保存する地図画像の範囲指定を受け付けていないと判別したときには、CPU201は、新規地図画像の作成の終了指示を受け付けたか否か判別する(ステップS120)。また、ステップS113で、操作者から保存要求指示を受け付けていないと判別したときにも、CPU201は、ステップS120に進み、新規地図画像の作成の終了指示を受け付けたか否か判別する。
【0083】
そして、ステップS120で、新規地図画像作成の処理を終了する指示入力を受け付けていないと判別したときには、ステップS106に戻り、このステップS106以降の処理を繰り返す。また、ステップS120で、新規地図画像作成の処理を終了する指示入力を受け付けたと判別したときには、CPU201は、ステップS119に進んで、地図画像提供装置2と地図データ提供サーバ1とのネットワーク3を通じた通信路を切断した後、ステップS101に戻る。
【0084】
次に、ステップS101で、新規地図画像の作成要求の指示操作がなされていないと判別したときには、CPU201は、提供地図画像の更新判別要求の指示操作がなされたか否か判別する(図8のステップS131)。このステップS131で、提供地図画像の更新判別要求の指示操作がなされていないと判別したときには、CPU201は、地図画像作成ソフトの終了指示が操作者によりなされたか否か判別し(ステップS132)、なされたと判別したときには、この地図画像作成ソフトを終了する。また、ステップS132で、地図画像作成ソフトの終了指示が操作者によりなされてはいないと判別したときには、CPU201は、ステップS101に戻り、このステップS101以降の処理を繰り返す。
【0085】
ステップS131で、提供地図画像の更新判別要求の指示操作がなされたと判別したときには、CPU201は、通信インターフェース206を通じ、ネットワーク3を通じた地図データ提供サーバ1にアクセスし、地図データ提供サーバ1との間に通信路を確立する(ステップS133)。
【0086】
そして、CPU201は、履歴情報ファイル格納部212に格納されている履歴情報ファイル一覧をウィンドウ画面(図3参照)として表示し、一覧の最初の履歴情報ファイルに対応する提供用地図画像を新旧比較する提供用地図画像として指定する(ステップS134)。
【0087】
次に、CPU201は、履歴情報ファイル格納部212の作成履歴情報格納部212aに格納されている、指定された提供用地図画像の作成履歴情報を用いて、地図データ提供サーバ1から対応する地図データ(ベクトル地図データおよびその属性情報)を取得する。そして、取得した地図データを用いて、指定された提供用地図画像の更新地図画像のデータ(ベクトル地図画像データ)を、ベクトル地図画像データ作成部209により作成する(ステップS135)。このステップS135は第2の作成手段を構成する。したがって、更新判別処理においては、ベクトル地図画像データ作成部209は、第2の作成手段の役割を果たす。
【0088】
次に、CPU201は、履歴情報ファイル格納部212のベクトル地図画像情報格納部212bに格納されている、指定された提供用地図画像の旧ベクトル地図画像のデータと、ステップS135で作成された指定された提供用地図画像の更新地図画像の新ベクトル地図画像のデータとを比較する(ステップS136)。
【0089】
そして、CPU201は、ステップS136での比較の結果、新旧のベクトル地図画像のデータに差異があるか否か判別する(ステップS137)。このステップS137で、新旧のベクトル地図画像のデータに差異がないと判別したときには、CPU201は、履歴情報ファイル一覧表示欄33の、指定されている提供用地図画像の履歴情報ファイル名の横に、新旧のデータ間に違いが無いことを示す表示の例として「0」(図3参照)を表示する(ステップS138)。
【0090】
また、ステップS137で、新旧のベクトル地図画像のデータに差異が有ると判別したときには、CPU201は、その差異データを、指定された提供用地図画像の履歴ファイルに対応付けたログファイルに書き出す(ステップS139)。そして、CPU201は、さらに、履歴情報ファイル一覧表示欄33の、指定されている提供用地図画像の履歴情報ファイル名の横に、新旧のデータ間に違いが有ることを示す表示の例として「3」(図3参照)を表示する(ステップS140)。
【0091】
そして、CPU201は、ステップS138またはステップS140で、新旧のベクトル地図画像のデータの比較結果の出力表示を終了したら、履歴情報ファイル一覧にある全ての履歴情報ファイルに対応する提供用地図画像についての更新判別処理が終了したか否か判別する(ステップS141)。
【0092】
ステップS141で、更新判別処理が、未だ、全ての提供用地図画像については終了していないと判別したときには、CPU201は、履歴情報ファイル一覧にある次の履歴情報ファイルに対応する提供用地図画像を、更新判別処理の対象として指定し(ステップS142)、その後、ステップS135に戻り、このステップS135以降の処理を繰り返す。
【0093】
また、ステップS141で、更新判別処理が全ての提供用地図画像について終了したと判別したときには、CPU201は、履歴情報ファイル一覧表示欄33に表示されている履歴情報ファイルの中の一つの選択指定を受け付ける状態とする(図9のステップS151)。
【0094】
そして、CPU201は、操作部221を通じて操作者により地図の比較表示要求入力があったか否か判別する(ステップS152)。このステップS152での判別処理は、この例では、図3における「地図表示」アイコン35が、操作者によりクリックされたか否かを判別することにより行う。
【0095】
ステップS152で、操作者により地図の比較表示要求入力があったと判別したときには、CPU201は、選択中の履歴情報ファイルに対応する提供用地図画像の新旧のラスタ地図画像をディスプレイ222の画面に比較対照表示(図4参照)する(ステップS153)。
【0096】
すなわち、ステップS153では、CPU201は、先ず、履歴情報ファイル一覧表示欄33で選択されている履歴情報ファイル名に対応する提供用地図画像の、保存されているベクトル地図画像データを、ラスタ地図画像変換部210によりラスタ地図画像の画像データに変換して、例えば図4のウィンドウ画面の左側に表示する。次に、CPU201は、ベクトル地図画像データ作成部209で新たに作成した更新地図画像のベクトル地図画像データを、ラスタ地図画像変換部210によりラスタ地図画像の画像データに変換して、図4のウィンドウ画面の右側に表示する。以上により、ディスプレイ222の画面には、提供用地図画像の新旧のラスタ地図画像が、比較対照可能に表示される。操作者は、新旧のラスタ地図画像を比較対照して、違いがあるか否かを目視で判断できる。
【0097】
ステップS152で、地図の比較表示要求入力は無かったと判別したときには、CPU201は、比較ログ結果の表示要求が操作部221を通じて入力された否か判別する(ステップS154)。この例では、このステップS154では、前述したように、図3の例における「ログ表示」アイコン36を操作者がクリックしたか否かを判別する。
【0098】
ステップS154で、比較ログ結果の表示要求が操作部221を通じて入力されたと判別したときには、CPU201は、ステップS139で書き出したログファイルのうちの、指定された提供用地図画像についてのログファイルの比較ログ結果を、ディスプレイ222の画面に表示する(ステップS155)。前述したように、この比較ログ結果は、この例では、新旧のデータで異なる部分を明確に表示したり、どの程度、異なる部分が存在するかを表示したりするものである。
【0099】
ステップS154で、比較ログ結果の表示要求が操作部221を通じて入力されてはいないと判別したときには、CPU201は、操作者から提供用地図画像の更新判別処理の終了指示がなされたか否か判別する(ステップS156)。そして、このステップS156で、提供用地図画像の更新判別処理の終了指示がなされていないと判別したときには、CPU201は、ステップS151に戻り、このステップS151以降の処理を繰り返す。
【0100】
また、ステップS156で、提供用地図画像の更新判別処理の終了指示がなされたと判別したときには、CPU201は、地図画像提供装置2と地図データ提供サーバ1とのネットワーク3を通じた通信路を切断し(ステップS157)、その後、ステップS101に戻る。
【0101】
ステップS153およびステップS155での表示処理が終了した後には、CPU201は、図4のウィンドウ画面例に示した「保存」アイコン37または「キャンセル」アイコン38のいずれが操作者によりクリックされたかを判別する(図10のステップS161)。
【0102】
そして、ステップS161で、「保存」アイコン37がクリックされたと判別したときには、CPU201は、「保存を実行する場合には、課金が発生するが実行するか?」という内容の課金注意メッセージをディスプレイ222の画面に表示する(ステップS162)。この課金注意メッセージには、「はい(実行する)」または「いいえ(キャンセル)」のいずれかを操作者に選択させる選択アイコンが付加表示される。
【0103】
次に、CPU201は、「はい」または「いいえ」のいずれが操作者により選択されたかを判別し(ステップS163)、「はい(実行する)」が選択されたと判別したときには、新たに作成した提供用地図画像の更新地図画像のデータを、履歴情報ファイルに含まれる保存形式で、提供地図画像として、提供用地図画像データ格納部211に保存する(ステップS164)。なお、この例では、直前まで記憶されていた旧提供用地図画像のデータは、1つ前の提供用地図画像のデータとして、提供用地図画像データ格納部211に保存される。
【0104】
次に、CPU201は、履歴情報ファイル格納部212の作成履歴情報格納部212aのデータは変更しないが、ベクトル地図画像情報格納部212bの、対応する提供用地図画像のベクトル地図画像のデータを、更新地図画像のベクトル地図画像のデータに書き換える(ステップS165)。
【0105】
次に、CPU201は、操作者から提供用地図画像の更新判別処理の終了指示がなされたか否か判別する(ステップS166)。そして、このステップS166で、提供用地図画像の更新判別処理の終了指示がなされていないと判別したときには、CPU201は、ステップS151に戻り、このステップS151以降の処理を繰り返す。
【0106】
また、ステップS166で、提供用地図画像の更新判別処理の終了指示がなされたと判別したときには、CPU201は、地図画像提供装置2と地図データ提供サーバ1とのネットワーク3を通じた通信路を切断し(ステップS167)、その後、ステップS101に戻る。
【0107】
また、ステップS161で、「キャンセル」アイコン38がクリックされたと判別したとき、また、ステップS163で、「いいえ(実行しない)」が選択されたと判別したときには、CPU201は、ステップS166に飛んで、このステップS166以降の処理を繰り返す。
【0108】
なお、ステップS135からステップS142、また、ステップS151からステップS156およびステップS161からステップS166までの処理は、提供用地図画像更新判別部213における処理であり、前述したように、実際上は、上述のようなCPU201によるソフトウエア処理である。
【0109】
[実施形態の効果]
以上のようにして、上述の実施形態によれば、地図画像提供装置2の操作者は、提供用地図画像の更新判別処理を指示すれば、保存されている提供用地図画像のすべてについての地図データの更新状況を、新旧のデータの違いとして把握することができる。そして、さらに、その違いを比較ログ情報として取得することができるので、新旧の地図データの違いの程度を、その比較ログ情報から把握することができる。
【0110】
さらに、上述の実施形態によれば、提供用地図画像の新旧のデータに違いがあるとき、操作者は、新旧の提供用地図画像を比較表示して、目視で確認することができる。これにより、操作者は、提供用地図画像を更新保存する必要があるかないかを確実に判断することができる。
【0111】
なお、この例では、履歴情報として保存された指定条件情報(作成条件)には、ベクトル地図データのみではなく、その属性データや、操作者が編集加工を行ったデータも含まれているので、更新地図画像のデータは、それらのデータが反映されたものとなっている。
【0112】
地図データ提供サーバ1の地図データベース11からのベクトル地図データのみを用いて、保存されている提供用地図画像と更新地図画像との違いの有無を検出することもできる勿論できる。
【0113】
しかし、その場合には、地図を構成する位置や形の比較をすることはできるが、色、文字など、地図データに含まれていない属性の比較はできないし、編集機能で編集加工した地図情報の比較もできない。
【0114】
地図サーバ1におけるデータ更新には、地図データベース11における位置座標、形などの大本の地図データのみではなく、レイヤデータベース12のデータの更新も、地図データベース11とは独立して行われるものである。したがって、地図データベース11からのデータのみを用いた比較では、正確な新旧の地図画像の比較はできない。これに対して、この実施形態においては、新旧の地図画像の正確な比較ができるという効果がある。
【0115】
また、実際に地図画像の更新の必要があるかどうかは、編集加工も行われた最終的な地図画像の状態で判断することができるので、的確な更新判断をすることができる。
【0116】
[その他の実施形態または変形例]
なお、履歴情報ファイル格納部に格納するベクトル地図画像のデータは、編集加工情報を除いたものであっても良い。ただし、その場合にも、作成履歴情報格納部には、編集加工履歴を保存するようにする。そして、旧のベクトル地図画像のデータと更新ベクトル地図画像のデータとは、編集加工情報を除いたものとして作成して、両データの比較を行い、その違いを判別するようにする。そして、この場合には、更新地図画像を、旧地図画像に代えて保存する場合には、保存する更新地図画像は、履歴情報として保存されている編集加工履歴を用いて編集加工情報を付加したものとする。
【0117】
なお、上述の実施形態では、新旧の提供用地図画像の比較対照表示の際には、ベクトル地図画像のデータをラスタ地図画像のデータに変換して新旧の提供用地図画像を表示するようにした。しかし、旧の提供用地図画像の表示画像は、提供用地図画像データ格納部211に保存されているデータを用いて作成するようにしても良い。その場合には、更新地図画像の表示画像も、一旦、保存形式のデータに変換して、その変換後のデータを用いて作成するようにする方がよい。
【0118】
また、上述の実施形態では、提供用地図画像の更新判別は、操作者の指示に基づき実行するようにしたが、提供用地図画像の更新判別開始は、これに限られるものではない。例えば、提供用地図画像のデータの保存日時を記憶すると共に、この保存日時から所定時間経過した提供用地図画像のデータについては、自動的に更新判別を行って、その判別結果を上述の例のようにして操作者に報知するようにしてもよい。
【0119】
また、一定周期で、全ての提供用地図画像の更新判別を自動的に行うようにしても、勿論よい。この場合に、この更新判別周期を操作者が設定することができるようにすることもできる。
【0120】
なお、以上の実施形態では、地図画像提供装置はネットワークを通じて地図データ提供部としての地図データ提供サーバからの地図データの提供を受ける構成とした。しかし、地図画像提供装置が地図データ提供部を備えているようにしても良い。
【0121】
また、サーバが提供用地図画像データを作成し、作成した提供用地図画像データを、サーバとネットワークを通じて接続されるクライアント装置からの要求に応じて提供するシステムにも、この発明は適用可能である。その場合には、提供用地図画像データ格納部211以外の提供用地図画像データの新旧の比較処理手段の構成部分をサーバ側に設け、比較出力をクライアント装置に送るようにしても良い。
【0122】
そして、その場合には、サーバは、クライアント装置からの比較表示要求に応じて新旧の提供用地図画像の表示画像データをクライアント装置に送って、クライアント装置の表示画面に並べて比較表示させるように構成することもできる。さらに、クライアント装置からの更新要求があれば、サーバは、クライアント装置に、提供用地図画像の更新地図画像の保存用データを送るように構成すればよい。
【符号の説明】
【0123】
1…地図データ提供サーバ、2…地図画像提供装置、3…ネットワーク、209…ベクトル地図画像データ作成部、210…ラスタ地図画像変換部、211…提供用地図画像データ格納部、212…地歴情報ファイル格納部、213…提供用地図画像更新判別部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図データを提供する地図データ提供部から受け取った前記地図データに基づいて、所望の地図画像を前記提供用地図画像として作成して、閲覧要求に応じて提供する地図画像提供装置を備える地図画像提供システムにおいて、
前記地図画像提供装置は、
操作者からの操作入力を受け付けるための操作入力部と、
少なくとも、前記操作入力部を通じて受け付けた前記提供用地図画像の作成条件と、前記地図データ提供部から受け取った前記地図データとに基づいて前記提供用地図画像の作成データを作成する第1の作成手段と、
前記操作入力部を通じて受け付けた前記提供用地図画像の作成条件と、前記第1の作成手段で作成した前記提供用地図画像の作成データとを、関連付けて格納する格納手段と、
前記格納手段に格納された前記作成条件と、前記地図データ提供部から新たに受け取った前記地図データとに基づいて、前記提供用地図画像の更新地図画像の作成データを作成する第2の作成手段と、
前記格納手段に格納された前記第1の作成手段で作成した前記提供用地図画像の作成データと、前記第2の作成手段で作成した前記提供用地図画像の更新地図画像の作成データとを比較する比較手段と、
前記比較手段での比較結果を出力する比較結果出力手段と、
を備えることを特徴とする地図画像提供システム。
【請求項2】
前記比較結果出力手段は、前記比較手段で比較した前記提供用地図画像の作成データに基づく表示画像を、表示画面に並べて表示する
ことを特徴とする請求項1に記載の地図画像提供システム。
【請求項3】
前記格納手段は、前記提供用地図画像の作成データを識別子により識別可能の状態で複数個格納するものであり、
前記比較結果出力手段は、前記比較手段の比較結果を前記識別子に対応付けて一覧出力する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の地図画像提供システム。
【請求項4】
前記比較結果出力手段は、前記複数個の前記提供用地図画像の一覧出力から一つの前記識別子が選択されて比較表示要求がされたときに、前記比較手段で比較した前記提供用地図画像の作成データに基づく表示画像を表示画面に並べて表示する
ことを特徴とする請求項3に記載の地図画像提供システム。
【請求項5】
前記地図画像提供装置は、
前記データ作成手段により作成された前記提供用地図画像の作成データを保存用データに変換して格納する提供用地図画像データ格納手段を備え、
操作者による、前記提供用地図画像の保存用データを更新するとの指示入力を受けたときに、提供用地図画像データ格納手段は、前記第2の作成手段で作成した前記提供用地図画像の更新地図画像の作成データを、前記保存用データに変換して格納し、前記格納手段は、格納する前記提供用地図画像の作成データを、前記第2の作成手段で作成した前記所望の地図画像の更新地図画像の作成データに書き換える
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の地図画像提供システム。
【請求項6】
前記提供用地図画像の作成データは、ベクトル地図データおよび前記ベクトル地図データに関連付けられた属性データとからなる
請求項1〜請求項5のいずれかに記載の地図画像提供システム。
【請求項7】
地図データを提供する地図データ提供サーバとネットワークを通じて接続され、前記地図データ提供サーバから受信した前記地図データに基づいて、所望の地図画像を前記提供用地図画像として作成し、閲覧要求に応じて提供する地図画像提供装置において、
操作者からの操作入力を受け付けるための操作入力部と、
少なくとも、前記操作入力部を通じて受け付けた前記提供用地図画像の作成条件と、前記ネットワークを通じて前記地図データ提供サーバから受信した前記地図データとに基づいて前記提供用地図画像の作成データを作成する第1の作成手段と、
前記操作入力部を通じて受け付けた前記提供用地図画像の作成条件と、前記第1の作成手段で作成した前記提供用地図画像の作成データとを、関連付けて格納する格納手段と、
前記格納手段に格納された前記作成条件と、前記地図データ提供部から新たに受信した前記地図データとに基づいて、前記提供用地図画像の更新地図画像の作成データを作成する第2の作成手段と、
前記格納手段に格納された前記第1の作成手段で作成した前記提供用地図画像の作成データと、前記第2の作成手段で作成した前記提供用地図画像の更新地図画像の作成データとを比較する比較手段と、
前記比較手段での比較結果を出力する比較結果出力手段と、
を備えることを特徴とする地図画像提供装置。
【請求項8】
地図データを提供する地図データ提供部から受け取った前記地図データに基づいて、所望の地図画像を前記提供用地図画像として作成し、閲覧要求に応じて提供する地図画像提供システムにおける地図画像更新判別方法であって、
少なくとも、操作者からの操作入力を受け付けるための操作入力部を通じて受け付けた前記提供用地図画像の作成条件と、前記地図データ提供部から受け取った前記地図データとに基づいて前記提供用地図画像の作成データを作成する第1の作成工程と、
前記操作入力部を通じて受け付けた前記提供用地図画像の作成条件と、前記第1の作成手段で作成した前記提供用地図画像の作成データとを、関連付けて格納する格納工程と、
前記格納工程で格納された前記作成条件と、前記地図データ提供部から新たに受け取った前記地図データとに基づいて、前記提供用地図画像の更新地図画像の作成データを作成する第2の作成工程と、
前記格納工程で格納された前記第1の作成工程で作成した前記提供用地図画像の作成データと、前記第2の作成工程で作成した前記提供用地図画像の更新地図画像の作成データとを比較する比較工程と、
前記比較工程での比較結果を出力する比較結果出力工程と、
を備えることを特徴とする地図画像更新判別方法。
【請求項9】
地図データを保持する地図データ提供部から受け取った前記地図データに基づいて、所望の地図画像を提供用地図画像として作成して、閲覧要求に応じて提供する地図画像提供システムが備えるコンピュータを、
操作者からの操作入力を受け付けるための操作入力部、
少なくとも、前記操作入力部を通じて受け付けた前記提供用地図画像の作成条件と、前記地図データ提供部から受け取った前記地図データとに基づいて前記提供用地図画像の作成データを作成する第1の作成手段、
前記操作入力部を通じて受け付けた前記提供用地図画像の作成条件と、前記第1の作成手段で作成した前記提供用地図画像の作成データとを、関連付けて格納する格納手段、
前記格納手段に格納された前記作成条件と、前記地図データ提供部から新たに受け取った前記地図データとに基づいて、前記提供用地図画像の更新地図画像の作成データを作成する第2の作成手段、
前記格納手段に格納された前記第1の作成手段で作成した前記提供用地図画像の作成データと、前記第2の作成手段で作成した前記提供用地図画像の更新地図画像の作成データとを比較する比較手段、
前記比較手段での比較結果を出力する比較結果出力手段、
として機能させるためのプログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−248808(P2011−248808A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−123932(P2010−123932)
【出願日】平成22年5月31日(2010.5.31)
【出願人】(500578216)株式会社ゼンリンデータコム (231)
【Fターム(参考)】