説明

地図画像表示システム、地図画像表示装置、地図画像表示方法及びコンピュータプログラム

【課題】ユーザに違和感を与えない地図画像を表示することを可能にした地図画像表示システム、地図画像表示装置、地図画像表示方法及びコンピュータプログラムを提供する。
【解決手段】車両の現在位置等の基準位置に基づいて地図画像の表示対象領域を特定し、表示対象領域を近傍エリア56と遠方エリア58に分割し、分割したエリア毎に道路網の情報量の異なるレイヤの地図データを読み出し、読み出した地図データに基づいて生成された複数の地図画像を組み合わせて液晶ディスプレイ15に地図画像を表示するように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図画像を表示する地図画像表示システム、地図画像表示装置、地図画像表示方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両の走行案内を行い、運転者が所望の目的地に容易に到着できるようにしたナビゲーション装置が車両に搭載されていることが多い。ここで、ナビゲーション装置とは、GPS受信機などにより自車の現在位置を検出し、その現在位置に対応する地図データをDVD−ROMやHDDなどの記録媒体またはネットワークを通じて取得し、現在位置周辺の地図画像等を液晶モニタに表示することが可能な装置である。また、かかるナビゲーション装置では、現在位置周辺の地図画像として具体的には、背景(海、川、平地、森、山等)や道路形状等を描画する。更に、地図画像には、渋滞情報、案内経路、施設を示すPOIマーク等を描画することも行われている。また、近年は携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistant)、パーソナルコンピュータ等においても上記ナビゲーション装置と同様の機能を有するものがある。
【0003】
更に、近年のナビゲーション装置等では、特開2002−72869号公報のようにユーザの地図画像の視認性を向上させる為に、ディスプレイに表示する地図画像を3D表示で行うことも行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−72869号公報(第5−7頁、図4)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、地図画像を3D表示で行う場合には、同じ縮尺でも2D表示で行う場合と比較してディスプレイへの表示対象となる表示対象エリアが広くなる。その結果、読み出す地図データの容量が大きくなり、読み出した地図データを補完する為のメモリの容量が不足する問題があった。また、読み出した地図データに基づいて地図画像を描画する際のCPUの処理負担や処理時間が大きくなる問題があった。そこで、上記特許文献1では、視点から所定距離以上遠方のエリアについては、施設や道路を表示しないように構成することが記載されている。
【0006】
しかしながら、上記特許文献1の技術では、所定距離以上のエリアと所定距離以内のエリアとで表示対象となる道路や施設が異なるので、所定距離の境界付近において道路や施設が途切れる等の違和感のある地図画像が表示される虞があった。
【0007】
本発明は前記従来における問題点を解消するためになされたものであり、読み出す地図データのデータ量を削減することが可能となるとともに、読み出した地図データに基づいて地図画像を描画する際のCPUの処理負担や処理時間を削減でき、更に、ユーザに違和感を与えない地図画像を表示することを可能にした地図画像表示システム、地図画像表示装置、地図画像表示方法及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するため本願の請求項1に係る地図画像表示システム(1)は、複数の領域に区分されるとともに道路網の情報量に基づいて複数のレイヤに階層化された地図データ(32)を取得する地図データ取得手段(13)と、前記地図データ取得手段により取得された前記地図データに基づいて、表示対象領域の地図画像(57、59)を表示装置(15)に表示する画像表示手段(13)と、を有し、前記画像表示手段は、前記表示対象領域を、隣接する領域同士の一部が互いに重複する複数の分割領域(56、58)に分割する領域分割手段(13)と、前記領域分割手段により分割された前記分割領域毎に、異なるレイヤに基づいて地図画像を生成する画像生成手段(13)と、前記画像生成手段により生成された複数の前記地図画像が重複するエリアにおいて、重複する前記地図画像の内、一方の前記地図画像の透過率を前記分割領域の内側よりも外側の方が透過率が高くなるように段階的に変更する透過率変更手段(13)と、重複する前記地図画像の内、他方の前記地図画像を前記表示装置に描画した後に、前記透過率変更手段によって透過率の変更された一方の前記地図画像を重複して前記表示装置に描画する地図画像描画手段(13)と、を備えることを特徴とする。
尚、「システム」は、単一の装置により構成されても良いし、複数の装置による情報の送受信によって実現されても良い。
【0009】
また、請求項2に係る地図画像表示システム(1)は、請求項1に記載の地図画像表示システムにおいて、前記画像表示手段(13)は、地図の上方に位置する仮想視点から斜め下方に前記地図を視認した場合に視認される前記地図の領域を前記表示対象領域(65)に設定し、前記領域分割手段(13)は、前記仮想視点からの距離に応じて前記表示対象領域を複数の分割領域に分割し、前記画像生成手段は、前記仮想視点からの距離が近い分割領域程、道路網の情報量の多いレイヤに基づいて前記地図画像を生成することを特徴とする。
【0010】
また、請求項3に係る地図画像表示システム(1)は、請求項1又は請求項2に記載の地図画像表示システムにおいて、透過率変更手段(13)は、重複する前記地図画像(75、77)の内、道路網の情報量が多い方のレイヤに基づいて生成された前記地図画像の透過率を段階的に変更する。
【0011】
また、請求項4に係る地図画像表示システム(1)は、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の地図画像表示システムにおいて、前記画像生成手段(13)により生成される前記地図画像(75、77)は、背景及び道路形状を示す画像を含むことを特徴とする。
【0012】
また、請求項5に係る地図画像表示システム(1)は、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の地図画像表示システムにおいて、目的地までの案内経路の形状を示す画像である経路画像(53)を、前記画像生成手段により生成された前記地図画像(75、77)に重畳して描画する経路画像描画手段(13)を有し、前記透過率変更手段(13)は、前記地図画像とともに前記経路画像描画手段により描画された前記経路画像の透過率を変更することを特徴とする。
【0013】
また、請求項6に係る地図画像表示システム(1)は、請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の地図画像表示システムにおいて、道路の渋滞度を示す画像である渋滞画像(55)を、前記画像生成手段により生成された前記地図画像(75、77)に重畳して描画する渋滞画像描画手段(13)を有し、前記透過率変更手段(13)は、前記地図画像とともに前記渋滞画像描画手段により描画された前記渋滞画像の透過率を変更することを特徴とする。
【0014】
また、請求項7に係る地図画像表示装置(1)は、複数の領域に区分されるとともに道路網の情報量に基づいて複数のレイヤに階層化された地図データ(32)を取得する地図データ取得手段(13)と、前記地図データ取得手段により取得された前記地図データに基づいて、表示対象領域の地図画像(57、59)を表示装置(15)に表示する画像表示手段(13)と、を有し、前記画像表示手段は、前記表示対象領域を、隣接する領域同士の一部が互いに重複する複数の分割領域(56、58)に分割する領域分割手段(13)と、前記領域分割手段により分割された前記分割領域毎に、異なるレイヤに基づいて地図画像を生成する画像生成手段(13)と、前記画像生成手段により生成された複数の前記地図画像が重複するエリアにおいて、重複する前記地図画像の内、一方の前記地図画像の透過率を前記分割領域の内側よりも外側の方が透過率が高くなるように段階的に変更する透過率変更手段(13)と、重複する前記地図画像の内、他方の前記地図画像を前記表示装置に描画した後に、前記透過率変更手段によって透過率の変更された一方の前記地図画像を重複して前記表示装置に描画する地図画像描画手段(13)と、を備えることを特徴とする。
【0015】
また、請求項8に係る地図画像表示方法は、複数の領域に区分されるとともに道路網の情報量に基づいて複数のレイヤに階層化された地図データ(32)を取得する地図データ取得ステップと、前記地図データ取得ステップにより取得された前記地図データに基づいて、表示対象領域の地図画像(57、59)を表示装置(15)に表示する画像表示ステップと、を有し、前記画像表示ステップは、前記表示対象領域を、隣接する領域同士の一部が互いに重複する複数の分割領域(56、58)に分割する領域分割ステップと、前記領域分割ステップにより分割された前記分割領域毎に、異なるレイヤに基づいて地図画像を生成する画像生成ステップと、前記画像生成ステップにより生成された複数の前記地図画像が重複するエリアにおいて、重複する前記地図画像の内、一方の前記地図画像の透過率を前記分割領域の内側よりも外側の方が透過率が高くなるように段階的に変更する透過率変更ステップと、重複する前記地図画像の内、他方の前記地図画像を前記表示装置に描画した後に、前記透過率変更ステップによって透過率の変更された一方の前記地図画像を重複して前記表示装置に描画する地図画像描画ステップと、を備えることを特徴とする地図画像表示方法。
【0016】
また、請求項9に係るコンピュータプログラムは、コンピュータに、複数の領域に区分されるとともに道路網の情報量に基づいて複数のレイヤに階層化された地図データ(32)を取得する地図データ取得機能と、前記地図データ取得機能により取得された前記地図データに基づいて、表示対象領域の地図画像(57、59)を表示装置(15)に表示する画像表示機能と、を実行させるコンピュータプログラムであって、前記画像表示機能は、前記表示対象領域を、隣接する領域同士の一部が互いに重複する複数の分割領域(56、58)に分割する領域分割機能と、前記領域分割機能により分割された前記分割領域毎に、異なるレイヤに基づいて地図画像を生成する画像生成機能と、前記画像生成機能により生成された複数の前記地図画像が重複するエリアにおいて、重複する前記地図画像の内、一方の前記地図画像の透過率を前記分割領域の内側よりも外側の方が透過率が高くなるように段階的に変更する透過率変更機能と、重複する前記地図画像の内、他方の前記地図画像を前記表示装置に描画した後に、前記透過率変更機能によって透過率の変更された一方の前記地図画像を重複して前記表示装置に描画する地図画像描画機能と、を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
前記構成を有する請求項1に記載の地図画像表示システムによれば、道路網の情報量の異なるレイヤに基づく複数の地図画像を組み合わせて地図画像を表示することにより、読み出す地図データのデータ量を削減することが可能となるとともに、読み出した地図データに基づいて地図画像を描画する際のCPUの処理負担や処理時間を削減できる。また、複数の地図画像が重複するエリアにおいて一方の地図画像の透過率を変更することにより、地図画像に含まれる背景や道路等が地図画像同士の境界において途切れて表示されることなく、ユーザに違和感を与えない地図画像を表示することが可能となる。
【0018】
また、請求項2に記載の地図画像表示システムによれば、特に鳥瞰図形式で地図画像を表示する場合において、情報量が多く必要とされる近傍の領域は道路網の情報量の多いレイヤに基づいて地図画像を表示し、情報量が多く必要とされない遠方の領域は道路網の情報量の少ないレイヤに基づいて地図画像を表示するので、読み出す地図データのデータ量を削減することが可能となるとともに、読み出した地図データに基づいて地図画像を描画する際のCPUの処理負担や処理時間を削減できる。また、地図画像をユーザに見易く表示することも可能となる。
【0019】
また、請求項3に記載の地図画像表示システムによれば、複数の地図画像が重複するエリアにおいて、道路網の情報量が多いレイヤに基づいて生成された地図画像の透過率を変更することにより、地図画像に含まれる背景や道路等が地図画像同士の境界において途切れて表示されることなく、ユーザに違和感を与えない地図画像を表示することが可能となる。
【0020】
また、請求項4に記載の地図画像表示システムによれば、複数の地図画像が重複するエリアにおいて、背景や道路形状を含む地図画像の透過率を変更することにより、地図画像に含まれる背景や道路が地図画像同士の境界において途切れて表示されることなく、ユーザに違和感を与えない地図画像を表示することが可能となる。
【0021】
また、請求項5に記載の地図画像表示システムによれば、地図画像とともに地図画像上に描画された経路画像についても透過率を変更するので、案内経路を構成する道路が一方の地図画像で表示対象であるが、他方の地図画像では表示対象でない場合に、経路画像が地図画像同士の境界において途切れて表示されることなく、ユーザに違和感を与えることが無い。
【0022】
また、請求項6に記載の地図画像表示システムによれば、地図画像とともに地図画像上に描画された渋滞画像についても透過率を変更するので、渋滞度を示す対象の道路が一方の地図画像で表示対象であるが、他方の地図画像では表示対象でない場合に、渋滞画像が地図画像同士の境界において途切れて表示されることなく、ユーザに違和感を与えることが無い。
【0023】
また、請求項7に記載の地図画像表示装置によれば、道路網の情報量の異なるレイヤに基づく複数の地図画像を組み合わせて地図画像を表示することにより、読み出す地図データのデータ量を削減することが可能となるとともに、読み出した地図データに基づいて地図画像を描画する際のCPUの処理負担や処理時間を削減できる。また、複数の地図画像が重複するエリアにおいて一方の地図画像の透過率を変更することにより、地図画像に含まれる背景や道路等が地図画像同士の境界において途切れて表示されることなく、ユーザに違和感を与えない地図画像を表示することが可能となる。
【0024】
また、請求項8に記載の地図画像表示方法によれば、道路網の情報量の異なるレイヤに基づく複数の地図画像を組み合わせて地図画像を表示することにより、読み出す地図データのデータ量を削減することが可能となるとともに、読み出した地図データに基づいて地図画像を描画する際のCPUの処理負担や処理時間を削減できる。また、複数の地図画像が重複するエリアにおいて一方の地図画像の透過率を変更することにより、地図画像に含まれる背景や道路等が地図画像同士の境界において途切れて表示されることなく、ユーザに違和感を与えない地図画像を表示することが可能となる。
【0025】
更に、請求項9に記載のコンピュータプログラムによれば、道路網の情報量の異なるレイヤに基づく複数の地図画像を組み合わせて地図画像を表示させることにより、読み出す地図データのデータ量を削減することが可能となるとともに、読み出した地図データに基づいて地図画像を描画する際のCPUの処理負担や処理時間を削減できる。また、複数の地図画像が重複するエリアにおいて一方の地図画像の透過率を変更させることにより、地図画像に含まれる背景や道路等が地図画像同士の境界において途切れて表示されることなく、ユーザに違和感を与えない地図画像を表示することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本実施形態に係るナビゲーション装置を示したブロック図である。
【図2】地図情報DBに記憶される3層のレイヤに階層化された地図データを示した模式図である。
【図3】車両の走行中において液晶ディスプレイに表示される走行案内画面の一例を示した図である。
【図4】本実施形態に係る地図画像表示処理プログラムのフローチャートである。
【図5】地図画像の表示対象領域の一例を示した図である。
【図6】表示対象領域を分割した分割領域について示した図である。
【図7】ステップ3で読み出される地図データの一例を示した図である。
【図8】第1バッファに描画された遠方エリアの地図画像を示した図である。
【図9】第1バッファに描画された遠方エリアの地図画像を液晶ディスプレイに描画した例を示した図である。
【図10】第1バッファに描画された近傍エリアの地図画像を示した図である。
【図11】第1バッファに描画された近傍エリアの地図画像の透過率の変更態様を示した図である。
【図12】第1バッファに描画された近傍エリアの地図画像を液晶ディスプレイに描画した例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明に係る地図画像表示システム及び地図画像表示装置をナビゲーション装置に具体化した一実施形態に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。先ず、本実施形態に係るナビゲーション装置1の概略構成について図1を用いて説明する。図1は本実施形態に係るナビゲーション装置1を示したブロック図である。
【0028】
図1に示すように本実施形態に係るナビゲーション装置1は、ナビゲーション装置1が搭載された車両の現在位置を検出する現在位置検出部11と、各種のデータが記録されたデータ記録部12と、入力された情報に基づいて、各種の演算処理を行うナビゲーションECU13と、ユーザからの操作を受け付ける操作部14と、ユーザに対して車両周辺の地図画像等を表示する液晶ディスプレイ15と、経路案内に関する音声ガイダンスを出力するスピーカ16と、記憶媒体であるDVDを読み取るDVDドライブ17と、プローブセンタやVICS(登録商標:Vehicle Information and Communication System)センタ等の情報センタとの間で通信を行う通信モジュール18と、から構成されている。
【0029】
以下に、ナビゲーション装置1を構成する各構成要素について順に説明する。
現在位置検出部11は、GPS21、車速センサ22、ステアリングセンサ23、ジャイロセンサ24等からなり、現在の車両の位置、方位、車両の走行速度、現在時刻等を検出することが可能となっている。ここで、特に車速センサ22は、車両の移動距離や車速を検出する為のセンサであり、車両の駆動輪の回転に応じてパルスを発生させ、パルス信号をナビゲーションECU13に出力する。そして、ナビゲーションECU13は発生するパルスを計数することにより駆動輪の回転速度や移動距離を算出する。尚、上記5種類のセンサをナビゲーション装置1が全て備える必要はなく、これらの内の1又は複数種類のセンサのみをナビゲーション装置1が備える構成としても良い。
【0030】
また、データ記録部12は、外部記憶装置及び記録媒体としてのハードディスク(図示せず)と、ハードディスクに記録された地図情報DB31や所定のプログラム等を読み出すとともにハードディスクに所定のデータを書き込む為のドライバである記録ヘッド(図示せず)とを備えている。尚、データ記録部12をハードディスクの代わりにメモリーカードやCDやDVD等の光ディスクにより構成しても良い。
【0031】
ここで、地図情報DB31は、経路案内及び地図表示に必要な地図データ32が記憶された記憶媒体である。また、地図データ32は、例えば、地図を表示するための地図表示データ、道路(リンク)に関するリンクデータ、ノード点に関するノードデータ、レイヤ間におけるリージョンの親子関係を特定する従属関係データ、施設等の地点に関する地点データ、各交差点に関する交差点データ、経路を探索するための探索データ、地点を検索するための検索データ等から構成されている。また、地図情報DB31に記憶される地図データ32は、後述のように道路網の情報量の差異に基づいて複数レイヤに階層化された構造をしている。更に、各レイヤは複数の領域(リージョン)に分割されて記憶されている。尚、地図データ32の詳細については後述する。
【0032】
一方、ナビゲーションECU(エレクトロニック・コントロール・ユニット)13は、ナビゲーション装置1の全体の制御を行う電子制御ユニットであり、演算装置及び制御装置としてのCPU41、並びにCPU41が各種の演算処理を行うにあたってワーキングメモリとして使用されるとともに、経路が探索されたときの経路データ等が記憶されるRAM42、制御用のプログラムのほか、後述の地図画像表示処理プログラム(図4参照)等が記録されたROM43、ROM43から読み出したプログラムを記憶するフラッシュメモリ44等の内部記憶装置を備えている。尚、ナビゲーションECU13は、処理アルゴリズムとしての各種手段を構成する。例えば、案内経路設定手段は、出発地(例えば車両の現在位置)から目的地へと至る案内経路を設定する。地図データ取得手段は、複数の領域に区分されるとともに道路網の情報量に基づいて複数のレイヤに階層化された地図データ32を取得する。画像表示手段は、取得された地図データ32に基づいて、表示対象領域の地図画像を液晶ディスプレイ15に表示する。領域分割手段は、表示対象領域を、隣接する領域同士の一部が互いに重複する複数の分割領域に分割し、画像生成手段は、分割された分割領域毎に、異なるレイヤに基づいて地図画像を生成する。透過率変更手段は、生成された複数の地図画像が重複するエリアにおいて、重複する地図画像の内、一方の地図画像の透過率を分割領域の内側よりも外側の方が透過率が高くなるように段階的に変更する。地図画像描画手段は、重複する地図画像の内、他方の地図画像を液晶ディスプレイ15に描画した後に、透過率変更手段によって透過率の変更された一方の地図画像を重複して液晶ディスプレイ15に描画する。経路画像描画手段は、目的地までの案内経路の形状を示す画像である経路画像を、画像生成手段により生成された地図画像に重畳して描画する。渋滞画像描画手段は、道路の渋滞度を示す画像である渋滞画像を、画像生成手段により生成された地図画像に重畳して描画する。
【0033】
操作部14は、走行開始地点としての出発地及び走行終了地点としての目的地を入力する際等に操作され、各種のキー、ボタン等の複数の操作スイッチ(図示せず)から構成される。そして、ナビゲーションECU13は、各スイッチの押下等により出力されるスイッチ信号に基づき、対応する各種の動作を実行すべく制御を行う。尚、操作部14は液晶ディスプレイ15の前面に設けたタッチパネルによって構成することもできる。また、マイクと音声認識装置によって構成することもできる。
【0034】
また、液晶ディスプレイ15には、道路網を含む地図画像、POIアイコン、交通情報、操作案内、操作メニュー、キーの案内、現在位置から目的地までの案内経路、案内経路に沿った案内情報、ニュース、天気予報、時刻、メール、テレビ番組等が表示される。
【0035】
また、スピーカ16は、ナビゲーションECU13からの指示に基づいて案内経路に沿った走行を案内する音声ガイダンスや、交通情報の案内を出力する。また、施設検索を行った場合に検索された施設に関する情報を出力する際にも用いられる。
【0036】
また、DVDドライブ17は、DVDやCD等の記録媒体に記録されたデータを読み取り可能なドライブである。そして、読み取ったデータに基づいて音楽や映像の再生、地図情報DB31の更新等が行われる。尚、DVDドライブ17の代わりにHDDやメモリーカードリーダを備える構成としても良い。
【0037】
また、通信モジュール18は、交通情報センタ、例えば、VICSセンタやプローブセンタ等から送信された渋滞情報、規制情報、交通事故情報等の各情報から成る交通情報を受信する為の通信装置であり、例えば携帯電話機やDCMが該当する。
【0038】
次に、地図情報DB31に記憶された地図データ32について説明する。
本実施形態において地図データ32は、図2に示されるように道路網の情報量に応じて3層のレイヤに階層化されている。図2は地図情報DB31に記憶される3層のレイヤに階層化された地図データ32を示した模式図である。この場合、例えば、レベル1の階層(以下、レイヤ1という)は5km四方のリージョンによって複数に区分された地図データであり、レベル2の階層(以下、レイヤ2という)は20km四方のリージョンによって複数に区分された地図データであり、レベル3の階層(以下、レイヤ3という)は80km四方のリージョンによって複数に区分された地図データである。
そして、下位レベルのレイヤは上位レベルのレイヤより道路網の情報量がより多く含まれており、例えばレイヤ3は高速自動車国道、自動車専用道路、都市高速道路、有料道路に関する情報が格納されている。また、レイヤ2はレイヤ3に含まれる道路網に加えて国道や県道等の主要な一般道路に関する情報が格納されている。また、レイヤ1はレイヤ2に含まれる道路網に加えて細街路等のその他全ての一般道に関する詳細な道路網に関する情報が格納されている。
【0039】
更に、下位レベルのレイヤでは詳細なデータを有する代わりにカバーする範囲が狭く、上位レベルのレイヤでは粗いデータしか有していない代わりにカバーする範囲が広くなっている。例えば、最下位レベルのレイヤ1では細街路を含む全ての道路の道路データを有するが市町村範囲しかカバーしておらず、最上位レベルのレイヤ3では高速道路や有料道路等の道路の道路データしか有していないが日本全国をカバーする。
【0040】
尚、各レベルのレイヤにおけるリーションの形状、即ち、各リージョンのカバーする範囲の広さは、適宜決定することができる。また、地図データを構成するレベルの数、即ち、レイヤの階層の数も、必ずしも3層である必要はなく、例えば2層や4層以上であっても良い。
【0041】
次に、地図データ32を構成するデータの詳細について説明する。
地図データ32は、レイヤ毎に構成され、各レイヤの地図データ32は、上述したように地図表示データ、リンクデータ、ノードデータ、従属関係データ、地点データ、交差点データ、探索データ、検索データ等によってそれぞれ構成されている。
【0042】
ここで、地図表示データとしては、各レイヤの地図データ32に応じた地図画像を描画する為の地図描画情報が記憶される。
【0043】
また、リンクデータとしては、それぞれのレイヤの地図データ32において道路を構成する各リンクに関してリンクの属する道路の幅員、勾(こう)配、カント、バンク、路面の状態、道路の車線数、車線数の減少する箇所、幅員の狭くなる箇所、踏切り等を表すデータが、コーナに関して、曲率半径、交差点、T字路、コーナの入口及び出口等を表すデータが、道路属性に関して、降坂路、登坂路等を表すデータが、道路種別に関して、国道、県道、細街路等の一般道のほか、高速自動車国道、自動車専用道路、都市高速道路、一般有料道路、有料橋等の有料道路を表すデータがそれぞれ記録される。更に、有料道路に関して、有料道路の入口及び出口の取付道(ランプウェイ)、料金所(インターチェンジ)等に関するデータが記録される。また、各レイヤにリンクデータとして記憶される対象のリンクは、前述したようにレイヤ毎に異なっており、下位レベルのレイヤほどより多くのリンクのリンクデータが記憶されている。
【0044】
また、ノードデータとしては、それぞれのレイヤの地図データ32において道路の分岐点(交差点、T字路等も含む)、各道路に曲率半径等に応じて所定の距離ごとに設定されたノード点の座標(位置)、ノードが交差点に対応するノードであるか等を表すノード属性、ノードに接続するリンクのリンク番号のリストである接続リンク番号リスト、ノードにリンクを介して隣接する他のノードのノード番号のリストである隣接ノード番号リスト、各ノード点の高さ(高度)等に関するデータ等が記録される。また、ノードデータとしては、階層の異なるレイヤ同士のノード(例えば、レイヤ1のノードとレイヤ2のノード、レイヤ2のノードとレイヤ3のノード)の接続関係を特定する上位接続データについても記憶される。
【0045】
また、従属関係データとしては、各レイヤを構成する各リージョンについて、レイヤ間のリージョンの親子関係を特定するデータが記憶される。具体的には、レイヤ3のリージョンと、該リージョン内に含まれるレイヤ2のリージョンとを対応づけたデータと、レイヤ2のリージョンと、該リージョン内に含まれるレイヤ1のリージョンとを対応づけたデータとが記憶される。
【0046】
次に、図3を用いて液晶ディスプレイ15に表示される走行案内画面について説明する。図3は車両の走行中において液晶ディスプレイ15に表示される走行案内画面の一例を示した図である。尚、図3に示す走行案内画面の地図画像では、説明の為にレイヤのリージョンを区分する区分線についても表示する(尚、区分線は実際に液晶ディスプレイ15に表示される走行案内画面では非表示となる)。また、図3に示す走行案内画面の地図画像では、地図画像中に多数表示される道路や背景の内、4本の道路のみを特に表示することとし、他の道路や背景については省略する。
【0047】
図3に示すように、液晶ディスプレイ15に表示される走行案内画面50には、車両の現在位置周辺の地図画像51と、地図上にマッチングされた車両の現在位置を示す自車位置マーク52と、ナビゲーション装置1に設定されている案内経路(案内経路が設定されている場合にのみ表示される)の形状を示す経路画像53と、施設(駐車場、ガソリンスタンド、レストラン、コンビニエンスストア等)の位置やジャンルを示すPOIアイコン54と、道路の渋滞度を示す画像(矢印等)である渋滞画像55とが鳥瞰図の形式で表示される。尚、地図画像51には、背景(海、川、平地、森、山等)や道路形状が描画される。また、走行案内画面50が表示されている場合に、車両の現在位置が変位すると、それに伴って地図画像51の表示対象領域が変化し、走行案内画面50に表示された地図画像51がスクロール表示する。そして、ユーザは走行案内画面50を参照することによって、車両の現在位置や現在の車両周辺の施設情報や道路形状(案内経路が設定されている場合には案内経路を含む)等を把握することが可能となる。
【0048】
ここで、本実施形態において走行案内画面50で表示される地図画像51は、レベルの異なる2種類のレイヤに基づいて描画される2つの地図画像を組合せることによって構成される。具体的には、地図の上方に位置する仮想視点からの距離が近い分割領域である近傍エリア56(例えば、画面下縁から中央付近までのエリア)は、地図の縮尺に基づく基準レベル(例えばレベル1)のレイヤに基づいて描画された基準地図画像57によって構成される。一方、仮想視点からの距離が遠い分割領域である遠方エリア58(例えば、画面の中央付近から地平線までのエリア)は、基準レベルよりも上位レベル(例えばレベル2)のレイヤに基づいて描画された上位地図画像59によって構成される。また、近傍エリア56と遠方エリア58が重複する重複エリア60については、描画された上位地図画像59の上から、基準地図画像57が重畳して描画される。また、重複エリア60の基準地図画像57は、地図画像の透過率を近傍エリア56の内側よりも外側の方が透過率が高くなるように段階的に変更する。従って、基準レベルのレイヤと上位レベルのレイヤの両方に含まれるリンクから構成される道路(例えば、国道や県道などの主要道路である道路61)は、近傍エリア56から遠方エリア58に亘って表示される。一方、基準レベルのレイヤのみに含まれるリンクから構成される道路(例えば、主要道路以外の一般道である道路62)は、近傍エリア56のみに表示され、更に重複エリア60については遠方エリア58側(即ち、図3の上方側)へ移行する程、透過率が段階的に高く表示され、重複エリア60を越えて遠方エリア58へ移行すると非表示となる。尚、基準地図画像57や上位地図画像59の描画処理の詳細については後述する。
【0049】
続いて、前記構成を有するナビゲーション装置1においてCPU41が実行する地図画像表示処理プログラムについて図4に基づき説明する。図4は本実施形態に係る地図画像表示処理プログラムのフローチャートである。ここで、地図画像表示処理プログラムは車両のACCがオンされた後に実行され、車両周辺の地図画像を含む走行案内画面50(図3)を液晶ディスプレイ15に表示するプログラムである。尚、以下の図4にフローチャートで示されるプログラムは、ナビゲーション装置1が備えているRAM42やROM43に記憶されており、CPU41により実行される。
【0050】
先ず、地図画像表示処理プログラムではステップ(以下、Sと略記する)1において、CPU41は、周辺の地図情報を案内する基準位置として車両の現在位置を取得する。具体的には、現在位置検出部11の各センサの検出結果を用いて車両の現在位置を検出する。また、地図データ32を用いて車両の現在位置を地図上で特定するマップマッチング処理についても行う。尚、上記S1では基準位置として、車両の現在位置を取得しているが、車両の現在位置以外の地図上の任意の地点を基準位置としても良い。例えば、地図画面上でユーザが地図のスクロール操作等をした場合には、基準位置としてユーザの操作に基づく任意の地点が取得される。
【0051】
次に、S2においてCPU41は、前記S1で取得した車両の現在位置を基準として、地図画像の表示対象領域を特定する。ここで、図5は前記S2で特定される地図画像の表示対象領域65の一例を示した図である。尚、本実施形態に係るナビゲーション装置1では、地図の上方に位置する仮想視点から斜め下方に地図を視認した場合に視認される地図の領域を表示対象領域に設定し、図3に示す鳥瞰図形式の走行案内画面50を表示する。従って、図5に示すように、地図画像の表示対象領域65は、車両の現在位置66の周辺の略台形形状のエリアとなる。
【0052】
続いて、S3においてCPU41は、前記S2で特定された表示対象領域65に該当する地図データ32を地図情報DB31から読み出す。ここで、本実施形態に係るナビゲーション装置1では、前記したように表示対象領域65を仮想視点からの距離に応じて複数の分割領域に分割する。具体的には、表示対象領域65は、仮想視点からの距離が近い近傍エリア56と、仮想視点からの距離が遠い遠方エリア58とで分割される。そして、各エリアは、それぞれ異なるレイヤに基づいて地図画像が描画される。具体的には、仮想視点からの距離が近い分割領域程、道路網の情報量の多いレイヤに基づいて地図画像が描画され、例えば、CPU41は近傍エリア56(例えば、画面下縁から中央付近までのエリア)は地図の縮尺に基づく基準レベル(例えばレベル1)のレイヤに基づいて地図画像を描画し、遠方エリア58(例えば、画面の中央付近から地平線までのエリア)は基準レベルよりも上位レベル(例えばレベル2)のレイヤに基づいて地図画像を描画する。従って、前記S3においてCPU41は、図6に示すように表示対象領域65の内、近傍エリア56については基準レベル(例えばレベル1)のレイヤの地図データ32を読み出し、遠方エリア58については基準レベルより上位レベル(例えばレベル2)のレイヤの地図データ32を読み出す。また、地図データ32の読み出しはリージョン単位で行う。
【0053】
ここで、図7は前記S3で読み出される地図データ32の一例を示した図である。図7に示す例では、近傍エリア56は、レベル1のレイヤの地図データを構成する複数のリージョン72の内、近傍エリア56を含む斜線領域のリージョン72の地図データが読み出される。一方、遠方エリア58は、レベル2のレイヤの地図データを構成する複数のリージョン73の内、近傍エリア56を含む斜線領域のリージョン73の地図データが読み出される。尚、遠方エリア58を含む地図データとしては、レベル3のレイヤの地図データを読み出しても良い。また、近傍エリア56を含む地図データとしてレベル2のレイヤの地図データを読み出し、遠方エリア58を含む地図データとしてレベル3のレイヤの地図データを読み出しても良い。
【0054】
次に、S4においてCPU41は、前記S3で読み出した地図データ32の内、遠方エリア58を含む地図データ(即ち、基準レベルより上位レベル(例えばレベル2)のレイヤの地図データ)に基づく地図画像(上位地図画像59)を、メモリ上の1次バッファに描画する。その結果、図8に示すように1次バッファ74に対して、遠方エリア58を含む上位地図画像59が描画される。
【0055】
続いて、S5においてCPU41は、前記S4で1次バッファ上に描画された地図画像を液晶ディスプレイ15に透視投影描画する。その結果、図9に示すように液晶ディスプレイ15に対して、遠方エリア58を含む上位地図画像59が鳥瞰図形式に変換されて描画される。
【0056】
その後、S6においてCPU41は、前記S3で読み出した地図データ32の内、近傍エリア56を含む地図データ(即ち、基準レベル(例えばレベル1)のレイヤの地図データ)に基づく地図画像(基準地図画像57)を、メモリ上の1次バッファに描画する。その結果、図10に示すように1次バッファ74に対して、近傍エリア56を含む基準地図画像57が描画される。
【0057】
次に、S7においてCPU41は、前記S6で1次バッファ上に描画された基準地図画像57の内、重複エリア60の透過率を、近傍エリア56の内側より外側の方が透過率が高くなるように(即ち、遠方エリア58側へ移行する程、透過率が高くなるように)段階的に変更する。その結果、図11に示すように、1次バッファ74に描画された基準地図画像57の内、遠方エリア58と重複しない近傍エリア56の範囲については透過率が0%に設定され、遠方エリア58と重複する重複エリア60の範囲については透過率が0%から100%まで段階的に変更され、遠方エリア側の端部では透過率が100%となる。
【0058】
続いて、S8においてCPU41は、前記S7で透過率が変更された基準地図画像57を液晶ディスプレイ15に透視投影描画する。それにより、図12に示すように液晶ディスプレイ15に対して、前記S5で描画された遠方エリア58を含む上位地図画像59の上から、近傍エリア56を含む基準地図画像57が鳥瞰図形式に変換されて描画される。その結果、基準レベルのレイヤと上位レベルのレイヤの両方に含まれるリンクから構成される道路(例えば、国道や県道などの主要道路等)は、近傍エリア56から遠方エリア58に亘って表示される。一方、基準レベルのレイヤのみに含まれるリンクから構成される道路(例えば、主要道路以外の一般道等)は、近傍エリア56のみに表示され、更に重複エリア60については遠方エリア58側(即ち、液晶ディスプレイ15の上方側(視点から遠方側))へ移行する程、透過率が段階的に高く表示され、重複エリア60を越えて遠方エリア58へ移行すると非表示となる。従って、近傍エリア56と遠方エリア58とで表示対象となる道路が異なっていたとしても、道路が途切れて表示されることなく、ユーザに違和感を与えることが無い。
【0059】
また、ナビゲーション装置1に案内経路が設定されている場合には、CPU41は、前記S4やS6において地図画像を描画する際に、目的地までの案内経路の形状を示す画像である経路画像53(図3参照)を地図画像に重畳して1次バッファに描画する。従って、前記S7では、地図画像とともに経路画像53についても透過率が変更される。その結果、案内経路を構成する道路が近傍エリア56で表示対象であるが、遠方エリア58では表示対象でない場合に、経路画像53が急に途切れて表示されることなく、ユーザに違和感を与えることが無い。
【0060】
更に、ナビゲーション装置1において道路の渋滞度を示す渋滞画像55(図3参照)を表示する場合には、CPU41は、前記S4やS6において地図画像を描画する際に、地図画像に含まれる道路の渋滞度を示す渋滞画像55を地図画像に重畳して1次バッファに描画する。従って、前記S7では、地図画像とともに渋滞画像55についても透過率が変更される。その結果、渋滞度を示す対象の道路が近傍エリア56で表示対象であるが、遠方エリア58では表示対象でない場合に、渋滞画像55が急に途切れて表示されることなく、ユーザに違和感を与えることが無い。
【0061】
その後、S9においてCPU41は、自車の現在位置を示す自車位置マーク52、POIアイコン54、地点名称、操作ボタン等を液晶ディスプレイ15に描画する。その結果、図3に示す走行案内画面50が液晶ディスプレイ15に表示される。
【0062】
以上詳細に説明した通り、本実施形態に係るナビゲーション装置1、ナビゲーション装置1による地点画像表示方法及びナビゲーション装置1で実行されるコンピュータプログラムでは、車両の現在位置等の基準位置に基づいて地図画像の表示対象領域を特定し(S2)、表示対象領域を近傍エリア56と遠方エリア58に分割し、分割したエリア毎に道路網の情報量の異なるレイヤの地図データを読み出し(S3)、読み出した地図データに基づいて生成された複数の地図画像57、59を組み合わせて液晶ディスプレイ15に地図画像51を表示する(S4〜S9)ので、読み出す地図データのデータ量を削減することが可能となるとともに、読み出した地図データに基づいて地図画像を描画する際のCPUの処理負担や処理時間を削減できる。また、複数の地図画像57、59が重複するエリアにおいて一方の地図画像の透過率を変更することにより、地図画像に含まれる背景や道路等が地図画像同士の境界において途切れて表示されることなく、ユーザに違和感を与えない地図画像を表示することが可能となる。
また、特に鳥瞰図形式で地図画像51を表示する場合において、情報量が多く必要とされる近傍エリア56は道路網の情報量の多いレイヤに基づいて地図画像(基準地図画像57)を表示し、情報量が多く必要とされない遠方エリア58は道路網の情報量の少ないレイヤに基づいて地図画像(上位地図画像59)を表示するので、読み出す地図データのデータ量を削減することが可能となるとともに、読み出した地図データに基づいて地図画像を描画する際のCPUの処理負担や処理時間を削減できる。また、地図画像51をユーザに見易く表示することも可能となる。
また、複数の地図画像57、59が重複するエリアにおいて、道路網の情報量が多いレイヤに基づいて生成された地図画像(基準地図画像57)の透過率を変更することにより、地図画像に含まれる背景や道路等が地図画像同士の境界において途切れて表示されることなく、ユーザに違和感を与えない地図画像を表示することが可能となる。
また、複数の地図画像57、59が重複するエリアにおいて、背景や道路形状を含む地図画像の透過率を変更することにより、地図画像に含まれる背景や道路が地図画像同士の境界において途切れて表示されることなく、ユーザに違和感を与えない地図画像を表示することが可能となる。
また、地図画像とともに地図画像上に描画された経路画像53についても透過率を変更するので、案内経路を構成する道路が近傍エリア56で表示対象であるが、遠方エリア58では表示対象でない場合に、経路画像53が地図画像同士の境界において途切れて表示されることなく、ユーザに違和感を与えることが無い。
また、地図画像とともに地図画像上に描画された渋滞画像55についても透過率を変更するので、渋滞度を示す対象の道路が近傍エリア56で表示対象であるが、遠方エリア58では表示対象でない場合に、渋滞画像55が地図画像同士の境界において途切れて表示されることなく、ユーザに違和感を与えることが無い。
【0063】
尚、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。
例えば、本実施形態では近傍エリア56と遠方エリア58が重複する重複エリア60において、近傍エリア56に基づく地図画像(即ち、道路網の情報量が多いレイヤに基づいて生成された地図画像である基準地図画像57)の透過率を変更する構成としているが、遠方エリア58に基づく地図画像(即ち、道路網の情報量が少ないレイヤに基づいて生成された地図画像である上位地図画像59)の透過率を変更する構成としても良い。その場合には、先ず基準地図画像57を液晶ディスプレイ15に描画し、その後に上位地図画像59を描画する必要がある。
【0064】
また、本実施形態では地図画像の表示対象領域を近傍エリア56と遠方エリア58の2つのエリアに分割しているが、3以上のエリアに分割する構成としても良い。また、地図上方の仮想視点から斜め下方に地図を視認した鳥瞰図形式により地図画像を表示しているが、地図上方の仮想視点から鉛直下方に地図を視認した2D形式の地図画像を表示する構成としても良い。
【0065】
また、本実施形態では経路画像53や渋滞画像55についても地図画像と同様に透過率を変更する構成としているが、経路画像53や渋滞画像55については透過率を変更しない構成としても良い。即ち、S9で自車位置マーク52とともに経路画像53や渋滞画像55を描画する構成としても良い。
【0066】
また、本発明はナビゲーション装置以外に、地図画像を表示する機能を有する装置に対して適用することが可能である。例えば、携帯電話機やPDA等の携帯端末、パーソナルコンピュータ、携帯型音楽プレイヤ等(以下、携帯端末等という)に適用することも可能である。また、サーバと携帯端末等から構成されるシステムに対しても適用することが可能となる。その場合には、上述した地図画像表示処理プログラム(図4)の各ステップは、サーバと携帯端末等のいずれが実施する構成としても良い。また、本発明を携帯端末等に適用する場合には、車両以外の移動体、例えば、携帯端末等のユーザや2輪車等の現在位置を基準位置とした地図画像を表示する場合もある。
【符号の説明】
【0067】
1 ナビゲーション装置
13 ナビゲーションECU
15 液晶ディスプレイ
31 地図情報DB
32 地図データ
41 CPU
42 RAM
43 ROM
50 走行案内画面
53 経路画像
55 渋滞画像
56 近傍エリア
57 基準地図画像
58 遠方エリア
59 上位地図画像
60 重複エリア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の領域に区分されるとともに道路網の情報量に基づいて複数のレイヤに階層化された地図データを取得する地図データ取得手段と、
前記地図データ取得手段により取得された前記地図データに基づいて、表示対象領域の地図画像を表示装置に表示する画像表示手段と、を有し、
前記画像表示手段は、
前記表示対象領域を、隣接する領域同士の一部が互いに重複する複数の分割領域に分割する領域分割手段と、
前記領域分割手段により分割された前記分割領域毎に、異なるレイヤに基づいて地図画像を生成する画像生成手段と、
前記画像生成手段により生成された複数の前記地図画像が重複するエリアにおいて、重複する前記地図画像の内、一方の前記地図画像の透過率を前記分割領域の内側よりも外側の方が透過率が高くなるように段階的に変更する透過率変更手段と、
重複する前記地図画像の内、他方の前記地図画像を前記表示装置に描画した後に、前記透過率変更手段によって透過率の変更された一方の前記地図画像を重複して前記表示装置に描画する地図画像描画手段と、
を備えることを特徴とする地図画像表示システム。
【請求項2】
前記画像表示手段は、地図の上方に位置する仮想視点から前記地図を斜め下方に視認した場合に視認される前記地図の領域を前記表示対象領域に設定し、
前記領域分割手段は、前記仮想視点からの距離に応じて前記表示対象領域を複数の分割領域に分割し、
前記画像生成手段は、前記仮想視点からの距離が近い分割領域程、道路網の情報量の多いレイヤに基づいて前記地図画像を生成することを特徴とする請求項1に記載の地図画像表示システム。
【請求項3】
前記透過率変更手段は、重複する前記地図画像の内、道路網の情報量が多い方のレイヤに基づいて生成された前記地図画像の透過率を段階的に変更することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の地図画像表示システム。
【請求項4】
前記画像生成手段により生成される前記地図画像は、背景及び道路形状を示す画像を含むことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の地図画像表示システム。
【請求項5】
目的地までの案内経路の形状を示す画像である経路画像を、前記画像生成手段により生成された前記地図画像に重畳して描画する経路画像描画手段を有し、
前記透過率変更手段は、前記地図画像とともに前記経路画像描画手段により描画された前記経路画像の透過率を変更することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の地図画像表示システム。
【請求項6】
道路の渋滞度を示す画像である渋滞画像を、前記画像生成手段により生成された前記地図画像に重畳して描画する渋滞画像描画手段を有し、
前記透過率変更手段は、前記地図画像とともに前記渋滞画像描画手段により描画された前記渋滞画像の透過率を変更することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の地図画像表示システム。
【請求項7】
複数の領域に区分されるとともに道路網の情報量に基づいて複数のレイヤに階層化された地図データを取得する地図データ取得手段と、
前記地図データ取得手段により取得された前記地図データに基づいて、表示対象領域の地図画像を表示装置に表示する画像表示手段と、を有し、
前記画像表示手段は、
前記表示対象領域を、隣接する領域同士の一部が互いに重複する複数の分割領域に分割する領域分割手段と、
前記領域分割手段により分割された前記分割領域毎に、異なるレイヤに基づいて地図画像を生成する画像生成手段と、
前記画像生成手段により生成された複数の前記地図画像が重複するエリアにおいて、重複する前記地図画像の内、一方の前記地図画像の透過率を前記分割領域の内側よりも外側の方が透過率が高くなるように段階的に変更する透過率変更手段と、
重複する前記地図画像の内、他方の前記地図画像を前記表示装置に描画した後に、前記透過率変更手段によって透過率の変更された一方の前記地図画像を重複して前記表示装置に描画する地図画像描画手段と、
を備えることを特徴とする地図画像表示装置。
【請求項8】
複数の領域に区分されるとともに道路網の情報量に基づいて複数のレイヤに階層化された地図データを取得する地図データ取得ステップと、
前記地図データ取得ステップにより取得された前記地図データに基づいて、表示対象領域の地図画像を表示装置に表示する画像表示ステップと、を有し、
前記画像表示ステップは、
前記表示対象領域を、隣接する領域同士の一部が互いに重複する複数の分割領域に分割する領域分割ステップと、
前記領域分割ステップにより分割された前記分割領域毎に、異なるレイヤに基づいて地図画像を生成する画像生成ステップと、
前記画像生成ステップにより生成された複数の前記地図画像が重複するエリアにおいて、重複する前記地図画像の内、一方の前記地図画像の透過率を前記分割領域の内側よりも外側の方が透過率が高くなるように段階的に変更する透過率変更ステップと、
重複する前記地図画像の内、他方の前記地図画像を前記表示装置に描画した後に、前記透過率変更ステップによって透過率の変更された一方の前記地図画像を重複して前記表示装置に描画する地図画像描画ステップと、
を備えることを特徴とする地図画像表示方法。
【請求項9】
コンピュータに、
複数の領域に区分されるとともに道路網の情報量に基づいて複数のレイヤに階層化された地図データを取得する地図データ取得機能と、
前記地図データ取得機能により取得された前記地図データに基づいて、表示対象領域の地図画像を表示装置に表示する画像表示機能と、を実行させるコンピュータプログラムであって、
前記画像表示機能は、
前記表示対象領域を、隣接する領域同士の一部が互いに重複する複数の分割領域に分割する領域分割機能と、
前記領域分割機能により分割された前記分割領域毎に、異なるレイヤに基づいて地図画像を生成する画像生成機能と、
前記画像生成機能により生成された複数の前記地図画像が重複するエリアにおいて、重複する前記地図画像の内、一方の前記地図画像の透過率を前記分割領域の内側よりも外側の方が透過率が高くなるように段階的に変更する透過率変更機能と、
重複する前記地図画像の内、他方の前記地図画像を前記表示装置に描画した後に、前記透過率変更機能によって透過率の変更された一方の前記地図画像を重複して前記表示装置に描画する地図画像描画機能と、
を実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−221459(P2012−221459A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−90037(P2011−90037)
【出願日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】