説明

地図画面を提供するサーバ、方法、およびプログラム

【課題】携帯端末に対して、視認し易く、かつ、目的の地点まで容易に移動可能な地図画面を提供するサーバ、方法、およびプログラムを提供すること。
【解決手段】サーバ10は、地図画面を構成する地図データを記憶し、要求受信部11により、携帯端末20から、地図画面の表示地点および表示方向を示すデータを含んで、当該地図画面の表示要求を受信し、地図データ抽出部12により、記憶された地図データのうち、表示地点の周囲の、表示方向に基づく所定範囲の地図データを抽出し、地図データ回転部13により、抽出された地図データを、受信した表示方向に基づいて、所定の角度だけ回転させ、表示データ生成部14により、回転された地図データに基づいて、地図画面の表示データを生成し、表示データ送信部15により、生成された表示データを、携帯端末へ送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末に対して地図画面を提供するサーバ、方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話等の携帯端末において地図情報を閲覧できるサービスが提供されている。これらのサービスは、利用者が入力した住所やスポット名、あるいはGPSにより取得した位置情報に基づいて地図データを抽出して表示させている。
【0003】
ところで、携帯端末は、PCに比べて表示部のサイズが小さいため、広範囲の地図を視認可能に表示させることは難しい。また、携帯端末の表示部が縦長の場合には、横長である場合に比べて、一般的な横書き文字を利用した地図の視認性は低くなる。
【0004】
そこで、携帯端末に電子コンパスを備え、携帯端末の向いている方位に合った地図を表示する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。これによれば、携帯端末の向きを変えることにより、横長の地図表示にすることができる。
【0005】
また、携帯端末の表示部が小さいことにより、利用者は、目的の地点やルートの地図を見るために、地図画面の遷移を繰り返す必要がある。そこで、必要な区画を利用者に選択させることにより、選択された区画の地図データを予めダウンロードさせる方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2006−094368号公報
【特許文献2】特開2005−121812号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の方法は、携帯端末に電子コンパスの搭載が前提であるためコストがかかる。また、処理のために専用のアプリケーションを実行させる必要があるため、既存の携帯端末だけでは実現することができない。
【0007】
また、特許文献2の方法では、利用者が区画を選択する作業が必要になり手間がかかる上に、視認のし易さは考慮されていない。更に、携帯端末用のWebブラウザは、一方向(例えば、表示部の長手方向)のスクロールしかできないものが多いため、大きな地図を自由な方向にスクロールさせて閲覧することはできない。したがって、表示可能範囲外の地図データをダウンロードすることはできないので、予め広範囲の地図データをダウンロードするためには、専用のアプリケーションを実行させる必要がある。
【0008】
このように、既存の携帯端末に備わるWebブラウザでは、地図の表示方向を切り替えることはできない。また、目的地まで表示地点を移動させるためにダウンロードを繰り返す必要があるため、ダウンロードの度に、表示されるまでの待ち時間が発生し、更には、その都度、通信料金がかかってしまう場合もあった。
【0009】
そこで本発明は、携帯端末に対して、視認し易く、かつ、目的の地点まで容易に移動可能な地図画面を提供するサーバ、方法、およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明では、以下のような解決手段を提供する。
【0011】
(1) 携帯端末に対して地図画面を提供するサーバであって、
前記地図画面を構成する地図データを記憶する記憶手段と、
前記携帯端末から、前記地図画面の表示地点および表示方向を示すデータを含んで、当該地図画面の表示要求を受信する受信手段と、
前記受信手段により前記表示要求を受信したことに応じて、前記記憶手段により記憶された地図データのうち、前記表示地点の周囲の、前記表示方向に基づく所定範囲の地図データを抽出する抽出手段と、
前記抽出手段により抽出された地図データを、前記受信手段により受信した表示方向に基づいて、所定の角度だけ回転させる回転手段と、
前記回転手段により回転された地図データに基づいて、前記地図画面の表示データを生成する生成手段と、
前記生成手段により生成された表示データを、前記携帯端末へ送信する送信手段と、を備えるサーバ。
【0012】
このような構成によれば、当該サーバは、地図画面を構成する地図データを記憶し、携帯端末から、地図画面の表示地点および表示方向を示すデータを含んで、当該地図画面の表示要求を受信し、表示要求を受信したことに応じて、記憶された地図データのうち、表示地点の周囲の、表示方向に基づく所定範囲の地図データを抽出し、抽出された地図データを、受信した表示方向に基づいて、所定の角度だけ回転させ、回転された地図データに基づいて、地図画面の表示データを生成し、生成された表示データを、携帯端末へ送信する。
【0013】
このことにより、当該サーバは、携帯端末からの要求に応じて、指定された表示方向に基づいて回転させた地図の表示データを送信することができる。したがって、携帯端末は、当該サーバから受信した表示データをWebブラウザで表示することにより、新たに特別なアプリケーションを実行させることなく、地図の表示方向(縦または横)を切り替えて、視認し易くすることができる。
【0014】
また、縦長または横長の表示部である場合には、利用者は、表示方向を切り替えることにより、縦または横の任意の方向に広く地図を表示することができる。したがって、目的の地点に辿り着くまでの再受信の回数を減らし、容易に目的の地点を表示させることが可能になる。
【0015】
(2) 前記記憶手段は、前記地図データとして、前記地図画面を構成する平面データおよび、文字情報である注記データを記憶し、
前記回転手段は、前記受信手段により受信した表示要求に応じて、前記平面データおよび注記データのそれぞれを独立して回転させることを特徴とする(1)に記載のサーバ。
【0016】
このような構成によれば、当該サーバは、地図データとして、地図画面を構成する平面データおよび、文字情報である注記データを記憶し、表示要求に応じて、この平面データおよび注記データのそれぞれを独立して回転させる。
【0017】
このことにより、当該サーバは、平面データ(地図画像を生成する情報)と注記データ(地図上に表示される地名や建物名等の文字情報)とが分離された地図データの場合であっても、分離されていない画像データの場合と同様に、地図の表示方向を切り替えることができる。更に、平面データと注記データとが分離されていることにより、それぞれを独立して回転させることができるため、地図画面の表示スタイルの種類が増えるので、ユーザは、状況に応じて視認し易いスタイルを選択することができる。
【0018】
(3) 前記記憶手段は、前記平面データを、画像変換可能なテキスト形式で記憶し、
前記回転手段は、前記平面データが有する角度情報を回転させることを特徴とする(2)に記載のサーバ。
【0019】
このような構成によれば、当該サーバは、平面データを、画像変換可能なテキスト形式(ベクトルデータ)で記憶し、この平面データが有する角度情報を回転させる。
【0020】
このことにより、当該サーバは、画像への変換が不要なラスタデータのみならず、画像への変換が必要なベクトルデータに関しても取り扱い、指定された表示方向に地図画面を表示させることができる。
【0021】
(4) 前記表示データは、前記携帯端末におけるキー入力と前記表示地点の移動方向とを対応付けるキーアサインデータを含み、
前記生成手段は、前記受信手段により受信した表示方向に基づいて、前記キーアサインデータを設定した前記表示データを生成することを特徴とする(1)から(3)のいずれかに記載のサーバ。
【0022】
このような構成によれば、表示データは、携帯端末におけるキー入力と表示地点の移動方向とを対応付けるキーアサインデータを含み、当該サーバは、受信した表示方向に基づいて、このキーアサインデータを変更した表示データを生成する。
【0023】
このことにより、当該サーバは、地図の表示方向に応じて、携帯端末のキーアサインを変更することができるため、携帯端末の操作キーの配置と地図の表示方向とを対応付けることができる。その結果、地図の表示方向を切り替えた場合でも、操作性を変えることなく、地図の表示地点を移動させることができる。
【0024】
(5) 前記受信手段は、前記携帯端末における表示部と操作部との位置関係を示すデータを更に受信し、
前記生成手段は、前記受信手段により受信した表示方向および位置関係に基づいて、前記キーアサインデータを設定した前記表示データを生成することを特徴とする(4)に記載のサーバ。
【0025】
このような構成によれば、当該サーバは、携帯端末における表示部と操作部との位置関係を示すデータを更に受信し、受信した表示方向および位置関係に基づいて、キーアサインデータを変更した表示データを生成する。
【0026】
このことにより、当該サーバは、携帯端末における表示部と操作部との位置関係に基づいて、キーアサインを設定できるので、例えば、表示部を操作部とは独立に回転できる構造の場合には、地図の表示方向を切り替えてもキーアサインを変更することなく、操作性を維持することができる。
【0027】
(6) 前記抽出手段は、前記所定範囲として、前記地図画面のスクロール可能な方向に対して、前記携帯端末の表示エリアを超える範囲の地図データを抽出することを特徴とする(1)から(5)のいずれかに記載のサーバ。
【0028】
このような構成によれば、当該サーバは、携帯端末の表示エリアよりも広い範囲の地図データを一度に送信する。このことにより、携帯端末は、スクロール可能な方向の隣接する地図を、改めて受信することなく表示することができる。よって、利用者は、広域の地図を容易に、また、目的の地点を素早く表示できる可能性がある。
【0029】
更に、例えば、縦長の表示部を上下方向にスクロールできる携帯端末において、地図の表示方向を切り替えて横長の表示とした場合には、地図の左右方向に対してスクロール可能となる。よって、左右方向に広域の地図を表示させることができる。
【0030】
(7) 前記受信手段は、前記表示要求として、前記表示地点の移動方向を更に受信し、
前記抽出手段は、前記表示地点の移動方向に向かって前記地図画面のスクロールが可能な場合に、当該移動方向に対して、前記携帯端末の表示エリアを超える範囲の地図データを抽出することを特徴とする(4)または(5)に記載のサーバ。
【0031】
このような構成によれば、当該サーバは、表示要求として、表示地点の移動方向を更に受信し、表示地点の移動方向に向かって地図画面のスクロールが可能な場合に、この移動方向に対して、携帯端末の表示エリアを超える範囲の地図データを抽出する。
【0032】
このことにより、当該サーバは、携帯端末の利用者が地図の表示地点を移動させる場合に、この移動の方向に対して広範囲の地図データを抽出する。その結果、利用者が表示させたい地点に辿り着くまでの受信回数、すなわち当該サーバへの要求回数を低減できる可能性がある。
【0033】
(8) 前記抽出手段は、前記表示地点の移動方向が指定されなかった場合に、前記携帯端末の表示エリアに収まる範囲の地図データを抽出することを特徴とする(7)に記載のサーバ。
【0034】
このような構成によれば、当該サーバは、移動方向が判別できない場合、例えば、利用者が住所やスポット名等の表示地点を示すデータにより初めて地図画面を要求した場合には、携帯端末の表示エリアに収まる範囲の地図データを抽出する。
【0035】
このことにより、当該サーバは、携帯端末からの初回のアクセスに対して、表示データを素早く送信することができる。その後、利用者が地図の表示方向を決定し、他の地点を探す際には、移動方向が指定され、広範囲の地図が表示されることとなるため、目的の地点に辿り着き易くなる。
【0036】
(9) 携帯端末に対してサーバが地図画面を提供するシステムであって、
前記サーバは、
前記地図画面を構成する地図データを記憶する記憶手段と、
前記携帯端末から、前記地図画面の表示地点および表示方向を示すデータを含んで、当該地図画面の表示要求を受信する受信手段と、
前記受信手段により前記表示要求を受信したことに応じて、前記記憶手段により記憶された地図データのうち、前記表示地点の周囲の、前記表示方向に基づく所定範囲の地図データを抽出する抽出手段と、
前記抽出手段により抽出された地図データを、前記受信手段により受信した表示方向に基づいて、所定の角度だけ回転させる回転手段と、
前記回転手段により回転された地図データに基づいて、前記地図画面の表示データを生成する生成手段と、
前記生成手段により生成された表示データを、前記携帯端末へ送信する送信手段と、を備え、
前記携帯端末は、
ユーザからの指示入力を受け付け、前記表示方向を示すデータを生成する表示方向指示手段と、
前記表示方向指示手段により生成された表示方向を示すデータを含んで、前記表示要求を前記サーバに送信する表示要求手段と、
前記送信手段により送信された表示データを受信して表示部に表示する表示手段と、を備えるシステム。
【0037】
このような構成によれば、当該システムの携帯端末は、ユーザからの指示入力を受け付け、表示方向を示すデータを生成し、生成された表示方向を示すデータを含んで、表示要求をサーバに送信し、サーバより送信された表示データを受信して表示部に表示する。
【0038】
このことにより、地図画面の表示方向は、ユーザからの指示入力により決定され、当該携帯端末において表示される。したがって、状況に応じて、ユーザが地図画面の表示方向を決定できる。
【0039】
(10) 前記携帯端末は、重力の向きを検知する重力センサを更に備え、
前記表示方向指示手段は、前記重力センサにより検知された重力の向きに基づいて、前記表示方向を決定することを特徴とする請求項9に記載のシステム。
【0040】
このような構成によれば、当該システムの携帯端末は、重力の向きを検知する重力センサを更に備え、この重力センサにより検知された重力の向きに基づいて、表示方向を決定する。
【0041】
このことにより、地図画面の表示方向は、重力の向き、すなわち携帯端末の向きに基づいて決定される。したがって、当該システムは、ユーザが当該携帯端末を傾けることにより、地図画面の表示方向を切り替えることができる。その結果、ユーザが見ている向きに合わせて地図画面を表示することができる。
【0042】
(11) サーバが携帯端末に対して地図画面を提供する方法であって、
前記地図画面を構成する地図データを記憶する記憶ステップと、
前記携帯端末から、前記地図画面の表示地点および表示方向を示すデータを含んで、当該地図画面の表示要求を受信する受信ステップと、
前記受信ステップにより前記表示要求を受信したことに応じて、前記記憶ステップにより記憶された地図データのうち、前記表示地点の周囲の、前記表示方向に基づく所定範囲の地図データを抽出する抽出ステップと、
前記抽出ステップにより抽出された地図データを、前記受信ステップにより受信した表示方向に基づいて、所定の角度だけ回転させる回転ステップと、
前記回転ステップにより回転された地図データに基づいて、前記地図画面の表示データを生成する生成ステップと、
前記生成ステップにより生成された表示データを、前記携帯端末へ送信する送信ステップと、を含む方法。
【0043】
このような構成によれば、当該方法を実行することにより、(1)と同様の効果が期待できる。
【0044】
(12) 携帯端末に対して地図画面を提供させるプログラムであって、サーバに、
前記地図画面を構成する地図データを記憶する記憶ステップと、
前記携帯端末から、前記地図画面の表示地点および表示方向を示すデータを含んで、当該地図画面の表示要求を受信する受信ステップと、
前記受信ステップにより前記表示要求を受信したことに応じて、前記記憶ステップにより記憶された地図データのうち、前記表示地点の周囲の、前記表示方向に基づく所定範囲の地図データを抽出する抽出ステップと、
前記抽出ステップにより抽出された地図データを、前記受信ステップにより受信した表示方向に基づいて、所定の角度だけ回転させる回転ステップと、
前記回転ステップにより回転された地図データに基づいて、前記地図画面の表示データを生成する生成ステップと、
前記生成ステップにより生成された表示データを、前記携帯端末へ送信する送信ステップと、を実行させるプログラム。
【0045】
このような構成によれば、当該プログラムを実行することにより、(1)と同様の効果が期待できる。
【発明の効果】
【0046】
本発明によれば、携帯端末に対して、視認し易く、かつ、目的の地点まで容易に移動可能な地図画面を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0047】
以下、本発明の実施形態について図を参照しながら説明する。
【0048】
[システム概要]
図1は、本発明の実施形態に係るシステムの概要図である。携帯端末20は、基地局30を介して通信ネットワーク40と接続される。これにより、携帯端末20は、サーバ10と通信ネットワーク40により通信可能となり、地図データの配信要求をサーバ10に送信する。
【0049】
サーバ10は、携帯端末20からの要求を受信したことに応じて、要求された地点の地図データを抽出し、携帯端末20における表示データを生成して送信する。ここで、表示データは、携帯端末20のWebブラウザにて表示可能なものであって、地図の表示方向(縦向き、または横向き)の変更はサーバ10にて行われる。
【0050】
以下、携帯端末20は携帯電話機とする。また、地図表示が可能な表示エリアは、利用者から向かって縦長であり、上下方向にスクロール可能であるものとして説明する(図4参照)。
【0051】
[ハードウェア構成]
図2は、本実施形態に係るサーバ10のハードウェア構成の一例を示す図である。サーバ10は、制御装置101を構成するCPU(Central Processing Unit)1(1010)(マルチプロセッサ構成ではCPU2(1012)等複数のCPUが追加されてもよい)、バスライン1005、通信I/F1040、メインメモリ1050、BIOS(Basic Input Output System)1060、USBポート1090、I/Oコントローラ1070、ならびにキーボードおよびマウス等の入力装置1100や表示装置1022を備える。
【0052】
BIOS1060は、サーバ10の起動時に制御装置101が実行するブートプログラムや、サーバ10のハードウェアに依存するプログラム等を格納する。
【0053】
I/Oコントローラ1070には、テープドライブ1072、ハードディスク1074、光ディスクドライブ1076、半導体メモリ1078等の記憶装置107を接続することができる。
【0054】
記憶装置107を構成するハードディスク1074は、サーバ10がサーバとして機能するための各種プログラムおよび本発明の機能を実行するプログラムを記憶しており、更に必要に応じて各種データベースを構成可能である。
【0055】
光ディスクドライブ1076としては、例えば、DVD−ROMドライブ、CD−ROMドライブ、DVD−RAMドライブ、CD−RAMドライブ等を使用することができる。この場合は各ドライブに対応した光ディスク1077を使用する。光ディスク1077から光ディスクドライブ1076によりプログラムまたはデータを読み取り、I/Oコントローラ1070を介してメインメモリ1050またはハードディスク1074に提供することもできる。また、同様にテープドライブ1072に対応したテープメディア1071を主としてバックアップのために使用することもできる。
【0056】
サーバ10に提供されるプログラムは、ハードディスク1074、光ディスク1077、またはメモリーカード等の記録媒体に格納されて提供される。このプログラムは、I/Oコントローラ1070を介して、記録媒体から読み出され、または通信I/F1040を介してダウンロードされることによって、サーバ10にインストールされ実行されてもよい。
【0057】
前述のプログラムは、内部または外部の記憶媒体に格納されてもよい。ここで、記憶装置107を構成する記憶媒体としては、ハードディスク1074、光ディスク1077、またはメモリーカードの他に、MD等の光磁気記録媒体、テープ媒体を用いることができる。また、専用通信回線やインターネットに接続されたサーバシステムに設けたハードディスク1074または光ディスクライブラリー等の記憶装置を記録媒体として使用し、通信回線を介してプログラムをサーバ10に提供してもよい。
【0058】
ここで、表示装置1022は、ユーザにデータの入力を受け付ける画面を表示したり、サーバ10による演算処理結果の画面を表示したりするものであり、ブラウン管表示装置(CRT)、液晶表示装置(LCD)等のディスプレイ装置を含む。
【0059】
ここで、入力装置1100は、ユーザによる入力の受け付けを行うものであり、キーボードおよびマウス等により構成してよい。
【0060】
また、通信I/F1040は、サーバ10を専用ネットワークまたは公共ネットワークを介して端末と接続できるようにするためのネットワーク・アダプタである。通信I/F1040は、モデム、ケーブル・モデムおよびイーサネット(登録商標)・アダプタを含んでよい。
【0061】
以上の例は、サーバ10について主に説明したが、コンピュータに、プログラムをインストールして、そのコンピュータをサーバ装置として動作させることにより上記で説明した機能を実現することもできる。したがって、本発明において一実施形態として説明したサーバにより実現される機能は、上述の方法を当該コンピュータで実行することにより、あるいは、上述のプログラムを当該コンピュータに導入して実行することによっても実現可能である。
【0062】
[機能構成]
図3は、本実施形態に係るサーバ10の主な機能の構成を示す図である。なお、以下に説明する各機能は、サーバ10単体において実現されることとしたが、これには限られず、適宜、複数のサーバに機能を分散させてもよい。
【0063】
サーバ10の記憶装置107は、地図画面を構成する地図データを記憶する。地図データは、道路や建物等を表現する平面データと、地名や建物名を示す注記データと、を含む。そして、制御装置101からの指令に従い、指定された範囲の平面データおよび注記データが抽出される。なお、平面データは、画像へ変換可能なテキスト形式(ベクタデータ)とするが、これには限らず、画像データとして記憶してもよい。
【0064】
サーバ10の制御装置101は、要求受信部11と、地図データ抽出部12と、地図データ回転部13と、表示データ生成部14と、表示データ送信部15と、を備える。
【0065】
要求受信部11は、携帯端末20の操作キー21により受け付けられるユーザからの指示入力に基づいて、携帯端末20から地図画面の表示を要求するデータを受信する。受信するデータには、地図画面を表示する地点を示すデータと、地図画面の表示方向を示すデータと、が含まれる。なお、地図画面の表示方向は、携帯端末20における表示部22を利用者がどの方向から見るか、すなわち、地図の上下左右を表示部22のいずれの方向に合わせるかを示す。
【0066】
図4は、本実施形態に係る携帯端末20での地図画面の表示例を示す図である。表示方向が縦(a)の場合には、地図の上方向と表示部22の上方向が一致している。一方、表示方向が横(b)の場合には、地図画像(平面データに基づく画像表示)および注記(文字情報)の向きが変わり、地図の上方向は表示部22の右方向となる。
【0067】
ここで、表示方向の切り替えは、地図画面上に「切替」ボタンを配置することにより実現できる。すなわち、この「切替」ボタンの押下をユーザから受け付ける度に、サーバ10により、地図画面の表示方向を縦と横で切り替える。図4の例では、「切替」ボタンは地図画面の左下部に配置されている。なお、切り替えの方法はこれには限られず、例えば、携帯端末20が重力センサ(加速度センサ)を内蔵している場合には、この重力センサの検出結果により、携帯端末20の向きを判定し、この向きに応じた表示方向を決定してもよい。
【0068】
また、本実施形態では、地図画面の回転は、地図画像および注記の双方を同期させて行うが、これには限られない。すなわち、地図画像と注記のそれぞれを独立して回転させる指示入力を受け付けてもよい。このことによれば、注記の縦か横の切り替えに加えて、地図の方角(東西南北)を上下左右のいずれの向きに表示させるかを、ユーザの要求に応じて設定することができる。
【0069】
地図データ抽出部12は、要求受信部11により受信したデータに応じて、記憶装置107から地図データを抽出する。抽出する範囲は、表示地点の周囲の、表示方向により異なる所定の範囲とする。例えば、表示方向が縦(図4(a):表示部22の上方向が地図の上方向)の場合、左右方向には、表示部22の横方向のサイズで、上下方向には、少なくとも表示部22の縦方向のサイズで地図データを抽出する。また、表示方向が横(図4(b):表示部22の右方向が地図の上方向)の場合、左右方向には、少なくとも表示部22の縦方向のサイズで、上下方向には、表示部22の横方向のサイズで地図データを抽出する。
【0070】
地図データ回転部13は、地図データ抽出部12により抽出した地図データを、表示方向に基づいて、所定の角度だけ回転させる。すなわち、表示方向が横の場合(図4(b))、地図データを右に90度回転させる。
【0071】
このとき、地図データに含まれる平面データと共に、注記データも回転させる。表示方向が横であって、地図データ抽出部12により横長の地図データが抽出された場合には、このように回転させることにより、携帯端末20の表示部22に合った縦長の地図データに変換される。
【0072】
表示データ生成部14は、地図データ回転部13により回転された地図データに基づいて、地図画面の表示データを生成する。具体的には、携帯端末20のWebブラウザにて表示可能な形式とする。このことにより、携帯端末20では、更なる画像処理等を行う必要がなく、回転された地図画像を表示することができる。
【0073】
表示データ送信部15は、表示データ生成部14にて生成された表示データを、携帯端末20に送信する。携帯端末20では、受信した表示データを、Webブラウザにより表示部22に表示させる。
【0074】
ここで、表示データは、携帯端末20におけるキー入力と表示地点の移動方向とを対応付けるキーアサインデータを含む。すなわち、携帯端末20の操作キー21のいずれが押下されると、地図の表示地点がどの方向へ移動するかが対応付けられる。
【0075】
上述の表示データ生成部14は、要求受信部11により受信した表示方向に基づいて、キーアサインデータを設定して表示データを生成する。これにより、例えば、図4(a)のように、「2」、「4」、「6」、「8」のキーにより、地図をそれぞれ「上」、「左」、「右」、「下」に移動させる設定の場合、図4(b)のように地図画面を横向きに回転させると、「2」、「4」、「6」、「8」のキーにより、地図をそれぞれ「左」、「下」、「上」、「右」に移動させることになる。
【0076】
また、要求受信部11は、携帯端末20から、表示部22と操作キー21との位置関係を示すデータを受信することが好ましい。例えば、表示部22を操作キー21とは独立に回転できる構造(サイクロイドスタイル)の場合には、表示データ生成部14は、地図の表示方向を切り替えてもキーアサインデータを変更する必要はない。このように、表示データ生成部14は、携帯端末20の構造に基づいてキーアサインデータを設定し、地図画面の移動に関する操作性を維持することができる。
【0077】
なお、携帯端末20は、通信部23によりサーバ10とネットワーク接続され、表示要求データおよび表示データが通信される。そして、制御部(CPU)24により、操作キー21、表示部22、および通信部23を含む携帯端末20の全体の動作が制御される。
【0078】
[処理フロー]
図5は、本実施形態に係るサーバ10における制御装置101の処理の流れを示す図である。
【0079】
ステップS1では、制御装置101は、携帯端末20から地図データの表示要求を受信する。
【0080】
ステップS2では、制御装置101は、ステップS1にて受信した表示要求に基づいて、記憶装置107から対象範囲の地図データを抽出する。
【0081】
ステップS3では、制御装置101は、ステップS1にて受信した表示要求に含まれる表示方向を示すデータに基づいて、ステップS2にて抽出した地図データの回転が必要か否かを判定する。この判定がYESの場合はステップS4に移り、判定がNOの場合はステップS6に移る。
【0082】
ステップS4では、制御装置101は、ステップS2にて抽出した地図データを構成する平面データを回転させる。
【0083】
ステップS5では、制御装置101は、ステップS2にて抽出した地図データを構成する注記データを回転させる。
【0084】
ステップS6では、制御装置101は、ステップS1にて受信した表示要求に含まれる表示方向および携帯端末20の構造(操作キー21と表示部22との位置関係)を示すデータに基づいて、地図画像の移動に関するキーアサインデータを設定する。
【0085】
ステップS7では、制御装置101は、必要に応じて回転処理が施された地図データと、ステップS6にて設定してキーアサインデータと、に基づいて、携帯端末20に表示させる表示データを生成する。
【0086】
ステップS8では、制御装置101は、ステップS7にて生成した表示データを、携帯端末20に送信する。
【0087】
以上の処理では、地図データは、平面データと注記データとが区別されて記憶されているとしたが、これには限られない。平面データと注記データとが一体となった画像データとして記憶されてもよい。この場合には、上述のステップS5は省略され、ステップS4の平面データの回転により、地図データ全体が回転される。
【0088】
[表示データの生成例]
図6は、本実施形態に係る表示データの生成範囲を示す図である。地図画面として表示される範囲は、携帯端末20の表示部22のサイズであるが、表示データ61は、表示部22の上下方向(スクロール可能な方向)に広い範囲で生成される。
【0089】
このように、携帯端末20は、一度に広範囲の地図情報を受信するため、目的の地点が近隣である場合には、再度サーバ10から受信することなく、スクロール操作により表示地点を移動させることができる。また、利用者は、スクロール操作により広範囲を確認できるため、地図としての視認性が向上する。
【0090】
更に、本実施形態によれば、利用者は、地図の表示方向を変更できるため、広範囲に確認したい方角を表示部22のスクロール可能方向に合わせることにより、視認性を高めることができる。
【0091】
図7は、本実施形態に係る表示地点の移動方向に基づく表示データの生成範囲を示す図である。上述のキーアサインデータに基づいて、表示地点の移動方向が指定された場合、サーバ10により、この移動方向に対する地図データが抽出され、新たな表示データがダウンロードされる。
【0092】
ここで、移動方向が下方向の場合、サーバ10は、図7(a)に示すように、表示部22に表示される範囲に加えて、下方向に広い領域の表示データ62aを生成する。これにより、利用者が目的とする方向(下)に広い地図画面が生成されるので、素早く目的の地点に辿り着ける可能性がある。同様に、移動方向が上方向の場合、サーバ10は、図7(b)に示すように、表示部22に表示される範囲に加えて、上方向に広い領域の表示データ62bを生成する。
【0093】
なお、移動方向が指定されない場合、例えば、住所等を指定した最初の地図表示においては、表示部22に収まる範囲の表示データを生成してもよい。このことにより、初回のダウンロードに掛かる時間やコストを低減することができる。その後、利用者は、表示方向を決定し、キーアサインデータに基づく移動方向の指定により、広い範囲の表示データを取得することができる。
【0094】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限るものではない。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本発明の実施形態に係るシステムの概要図である。
【図2】本発明の実施形態に係るサーバ10のハードウェア構成の一例を示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係るサーバ10の主な機能の構成を示す図である。
【図4】本発明の実施形態に係る携帯端末20での地図画面の表示例を示す図である。
【図5】本発明の実施形態に係るサーバ10における制御装置101の処理の流れを示す図である。
【図6】本発明の実施形態に係る表示データの生成範囲を示す図である。
【図7】本発明の実施形態に係る表示地点の移動方向に基づく表示データの生成範囲を示す図である。
【符号の説明】
【0096】
10 サーバ
11 要求受信部
12 地図データ抽出部
13 地図データ回転部
14 表示データ生成部
15 表示データ送信部
20 携帯端末
21 操作キー
22 表示部
101 制御装置
107 記憶装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯端末に対して地図画面を提供するサーバであって、
前記地図画面を構成する地図データを記憶する記憶手段と、
前記携帯端末から、前記地図画面の表示地点および表示方向を示すデータを含んで、当該地図画面の表示要求を受信する受信手段と、
前記受信手段により前記表示要求を受信したことに応じて、前記記憶手段により記憶された地図データのうち、前記表示地点の周囲の、前記表示方向に基づく所定範囲の地図データを抽出する抽出手段と、
前記抽出手段により抽出された地図データを、前記受信手段により受信した表示方向に基づいて、所定の角度だけ回転させる回転手段と、
前記回転手段により回転された地図データに基づいて、前記地図画面の表示データを生成する生成手段と、
前記生成手段により生成された表示データを、前記携帯端末へ送信する送信手段と、を備えるサーバ。
【請求項2】
前記記憶手段は、前記地図データとして、前記地図画面を構成する平面データおよび、文字情報である注記データを記憶し、
前記回転手段は、前記受信手段により受信した表示要求に応じて、前記平面データおよび注記データのそれぞれを独立して回転させることを特徴とする請求項1に記載のサーバ。
【請求項3】
前記記憶手段は、前記平面データを、画像変換可能なテキスト形式で記憶し、
前記回転手段は、前記平面データが有する角度情報を回転させることを特徴とする請求項2に記載のサーバ。
【請求項4】
前記表示データは、前記携帯端末におけるキー入力と前記表示地点の移動方向とを対応付けるキーアサインデータを含み、
前記生成手段は、前記受信手段により受信した表示方向に基づいて、前記キーアサインデータを設定した前記表示データを生成することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のサーバ。
【請求項5】
前記受信手段は、前記携帯端末における表示部と操作部との位置関係を示すデータを更に受信し、
前記生成手段は、前記受信手段により受信した表示方向および位置関係に基づいて、前記キーアサインデータを設定した前記表示データを生成することを特徴とする請求項4に記載のサーバ。
【請求項6】
前記抽出手段は、前記所定範囲として、前記地図画面のスクロール可能な方向に対して、前記携帯端末の表示エリアを超える範囲の地図データを抽出することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載のサーバ。
【請求項7】
前記受信手段は、前記表示要求として、前記表示地点の移動方向を更に受信し、
前記抽出手段は、前記表示地点の移動方向に向かって前記地図画面のスクロールが可能な場合に、当該移動方向に対して、前記携帯端末の表示エリアを超える範囲の地図データを抽出することを特徴とする請求項4または請求項5に記載のサーバ。
【請求項8】
前記抽出手段は、前記表示地点の移動方向が指定されなかった場合に、前記携帯端末の表示エリアに収まる範囲の地図データを抽出することを特徴とする請求項7に記載のサーバ。
【請求項9】
携帯端末に対してサーバが地図画面を提供するシステムであって、
前記サーバは、
前記地図画面を構成する地図データを記憶する記憶手段と、
前記携帯端末から、前記地図画面の表示地点および表示方向を示すデータを含んで、当該地図画面の表示要求を受信する受信手段と、
前記受信手段により前記表示要求を受信したことに応じて、前記記憶手段により記憶された地図データのうち、前記表示地点の周囲の、前記表示方向に基づく所定範囲の地図データを抽出する抽出手段と、
前記抽出手段により抽出された地図データを、前記受信手段により受信した表示方向に基づいて、所定の角度だけ回転させる回転手段と、
前記回転手段により回転された地図データに基づいて、前記地図画面の表示データを生成する生成手段と、
前記生成手段により生成された表示データを、前記携帯端末へ送信する送信手段と、を備え、
前記携帯端末は、
ユーザからの指示入力を受け付け、前記表示方向を示すデータを生成する表示方向指示手段と、
前記表示方向指示手段により生成された表示方向を示すデータを含んで、前記表示要求を前記サーバに送信する表示要求手段と、
前記送信手段により送信された表示データを受信して表示部に表示する表示手段と、を備えるシステム。
【請求項10】
前記携帯端末は、重力の向きを検知する重力センサを更に備え、
前記表示方向指示手段は、前記重力センサにより検知された重力の向きに基づいて、前記表示方向を決定することを特徴とする請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
サーバが携帯端末に対して地図画面を提供する方法であって、
前記地図画面を構成する地図データを記憶する記憶ステップと、
前記携帯端末から、前記地図画面の表示地点および表示方向を示すデータを含んで、当該地図画面の表示要求を受信する受信ステップと、
前記受信ステップにより前記表示要求を受信したことに応じて、前記記憶ステップにより記憶された地図データのうち、前記表示地点の周囲の、前記表示方向に基づく所定範囲の地図データを抽出する抽出ステップと、
前記抽出ステップにより抽出された地図データを、前記受信ステップにより受信した表示方向に基づいて、所定の角度だけ回転させる回転ステップと、
前記回転ステップにより回転された地図データに基づいて、前記地図画面の表示データを生成する生成ステップと、
前記生成ステップにより生成された表示データを、前記携帯端末へ送信する送信ステップと、を含む方法。
【請求項12】
携帯端末に対して地図画面を提供させるプログラムであって、サーバに、
前記地図画面を構成する地図データを記憶する記憶ステップと、
前記携帯端末から、前記地図画面の表示地点および表示方向を示すデータを含んで、当該地図画面の表示要求を受信する受信ステップと、
前記受信ステップにより前記表示要求を受信したことに応じて、前記記憶ステップにより記憶された地図データのうち、前記表示地点の周囲の、前記表示方向に基づく所定範囲の地図データを抽出する抽出ステップと、
前記抽出ステップにより抽出された地図データを、前記受信ステップにより受信した表示方向に基づいて、所定の角度だけ回転させる回転ステップと、
前記回転ステップにより回転された地図データに基づいて、前記地図画面の表示データを生成する生成ステップと、
前記生成ステップにより生成された表示データを、前記携帯端末へ送信する送信ステップと、を実行させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−222992(P2009−222992A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−67357(P2008−67357)
【出願日】平成20年3月17日(2008.3.17)
【出願人】(500257300)ヤフー株式会社 (1,128)
【Fターム(参考)】