説明

地図表示システム、地図表示装置および地図表示方法

【課題】地図スクロール時にスクロール速度が高速であっても描画などの処理負荷を増大することなく、容易に必要な地図画像を表示できるようにする。
【解決手段】地図表示システム10は、操作入力手段28によるスクロール操作を検出するスクロール検出手段282と、スクロール検出手段282がスクロール操作を検出すると地図データからスクロール用地図データを抽出するスクロール用地図データ抽出手段23と、スクロール制御手段29と、を備え、スクロール用地図データ抽出手段23は、案内経路を構成する各ノードに接続され、該ノードから所定の範囲内のリンクと、各ノードおよび前記所定の範囲内のリンクから所定の範囲内のPOIデータと、を含むスクロール用地図データを地図データから抽出し、スクロール制御手段29はスクロール用地図データを用いて表示手段27に地図画像を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経路探索システムなどにおいて地図画像を表示する地図表示システム、地図表示装置および地図表示方法に関するものであり、特に、表示画面に表示された地図画像をスクロールする操作がなされた場合に、案内経路を構成する各ノードのうち、分岐ノードにおいて、該分岐ノードに接続される所定範囲のリンク、および、案内経路から所定の距離範囲内のPOI(Point of Interest:興味対象場所)の所在位置を示すPOIマークを表示するように地図データを省略処理して表示手段に表示し、スクロール制御するようにした地図表示システム、地図表示装置および地図表示方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、地図データ、道路データを用いて、所望の出発地から目的地までの経路を探索して利用者を案内するナビゲーション装置、ナビゲーションシステムが知られており、このようなナビゲーション装置、ナビゲーションシステムとしては、自動車に搭載して運転者に経路を案内するカーナビゲーション装置、携帯電話をナビゲーション端末として利用して経路探索サーバに経路探索要求を送り、その結果を受信して経路案内を受ける通信型のナビゲーションシステムなどが実用化されている。
【0003】
特に、通信型のナビゲーションシステムは、携帯電話などの携帯端末をナビゲーション端末として利用したシステムであって、歩行者用のナビゲーションシステムとしても用いられるものである。歩行者用のナビゲーションシステムとしては、交通機関を含めた経路案内機能を付加することが好ましく、徒歩経路の探索と案内に加えて、経路探索サーバに交通機関の路線や運行時刻データを蓄積し、所望の出発駅から所望の目的駅までの経路(乗車候補列車)を、徒歩経路の探索と案内に加えて案内する機能を有するナビゲーションシステムも存在する。また、徒歩経路の経路探索を伴わずに情報配信サーバから交通機関の路線や時刻表、乗車可能な列車などの情報の配信を受けて表示する交通案内システムも存在する。
【0004】
一般的なナビゲーション装置、通信ナビゲーションシステムに使用される経路探索装置、経路探索方法は、例えば、下記の特許文献1(特開2001−165681号公報)に開示されている。このナビゲーションシステムは、携帯ナビゲーション端末から出発地と目的地の情報を情報配信サーバに送り、情報配信サーバで道路網や交通網のデータから探索条件に合致した経路を探索して案内するように構成されている。探索条件としては、出発地から目的地までの移動手段、例えば、徒歩、自動車、鉄道と徒歩の併用などがあり、これを探索条件の1つとして経路探索する。
【0005】
情報配信サーバは、地図データの道路(経路)をその結節点、屈曲点の位置をノードとし、各ノードを結ぶ経路をリンクとし、全てのリンクのコスト情報(距離や所要時間)をデータベースとして備えている。そして、情報配信サーバは、データベースを参照して、出発地のノードから目的地のノードに至るリンクを順次探索し、リンクのコスト情報が最小となるノード、リンクをたどって案内経路とすることによって最短の経路を携帯ナビゲーション端末に案内することができる。このような経路探索の手法としてはラベル確定法あるいはダイクストラ法と言われる手法が用いられる。上記特許文献1には、このダイクストラ法を用いた経路探索方法も開示されている。
【0006】
店舗やイベントの情報提供にあっては、ユーザが携帯端末を操作して店舗やイベントのカテゴリ、検索したい地域を入力して検索要求する。サーバは指定されたカテゴリに該当し、かつ当該地域に存在する店舗やイベントを検索し、その情報が地図表示端末に配信される。時刻表の提供においては、ユーザが携帯端末を操作して、路線を指定すると、当該路線の時刻表が携帯端末の表示装置の画面上に提示される。また、乗り換え案内においては、ユーザが、出発地や目的地を指定することにより、推奨する経路が提示される。
【0007】
更に、パーソナルコンピュータや携帯電話などの端末装置からインターネット上の地図サーバに接続し、所望の地点や、施設、店舗の住所、名称、電話番号などを入力して当該地点や施設、店舗の位置を含む所定範囲の地図データをダウンロードして表示装置に地図画像を表示することもできる。
【0008】
通信型のナビゲーションシステムにおいて地図画像表示用の地図データは、通信の際のデータ量を抑制するためビットマップデータ(ラスター地図データ)ではなく、ベクトル地図データで構成されるのが一般的である。ベクトル地図データは、メッシュ単位の地図に含まれる道路を自然地形に近い状態で表示するためのポリゴンデータと、各道路リンクをベクトルで表現した道路データとからなる。ベクトルで表現された道路データは地図画像上に案内経路や経路履歴を描画する際に用いられる。地図表示装置の現在位置は経路案内の際には探索された経路や道路データ上に描画される。現在位置は地図表示装置に設けられたGPS受信機を用いて衛星航法により算出する。
【0009】
携帯電話を端末装置とする通信型のナビゲーションシステムは、主として徒歩や交通機関を利用して移動する歩行者用の経路案内に使用されるが、歩行者は必ずしも徒歩で移動するとは限らず、タクシーを用いて移動することもあり、自動車用の道路ネットワークデータを用いて自動車移動する区間を含めて総合的な経路探索ができることが好ましい。また、助手席に乗車した同乗者が携帯電話を用い、サーバから受信した案内経路を運転者に伝える利用形態が可能であると、より好ましい。
【0010】
一般に、表示装置に表示される地図画像は端末装置の現在位置を中心とした所定の大きさのエリアの地図画像である。地図の縮尺は広域図から市街地図まで種々用意されており、利用者が選択した縮尺の地図画像が表示される。利用者が表示された地図画像に入っていない部分を含む地図画像を表示させたい場合は、操作入力手段に設けられたスクロールキーなどのスクロール操作部を用いて画像をスクロールさせることができる。
【0011】
地図画像をスクロールする操作を行うと、表示制御手段は、スクロールの方向を判別し、地図データに基づいてVRAMなどの描画メモリに展開されているビットマップデータを再描画する。表示手段に表示された地図画像が不自然でなく連続的にスクロールされるためには、表示制御部を構成するCPU(演算処理ユニット)に一定以上の処理能力が要求される。
【0012】
携帯端末装置を用いる通信型の地図表示システムでは、携帯端末装置の表示画面が小さく、また演算処理ユニットの処理能力も大きくないのが一般的であり、地図スクロールにあたって、演算処理ユニットの負荷が大きくならないように種々の工夫が行われている。例えば、下記の特許文献2(特開2000−148126号公報)には、地図スクロール時に、地図データを間引くことにより、スクロール処理の負荷を小さくする画像表示装置の発明が開示されている。
【0013】
この画像表示装置は、表示範囲算出部が、表示範囲を算出し、それを画像データ取得部及び表示制御部に通知し、画像データ取得部は、通知された表示範囲の地図画像データを外部記憶装置から読み込み、表示制御部は、表示変化速度を把握し、その程度に応じて「間引き度合い」を決定するように構成したものである。表示制御部は、画像データ取得部が取得した画像データを読み込み、決定した「間引き度合い」に応じて簡略化した画像を描画してディスプレイに表示する。このような構成を採ることによりスクロール処理を簡略することができ、比較的処理能力が小さい演算処理ユニットでスクロール制御が可能になる。
【0014】
より詳細には、この画像表示装置において、表示制御部は、算出された変化速度の程度に応じて間引き度合いを変化させ、その間引き度合いに応じて部分的な情報を間引くようにされ、また、画像データは、ライン又はポリゴンの頂点の座標データを含み、表示制御部は、間引きを行なうとき、間引き座標間距離を設定し、ライン又はポリゴンの任意の頂点から間引き座標間距離以下にある頂点のデータを間引いて、ライン又はポリゴンを表示するようにされている。
【0015】
そして、表示制御部は、変化速度に応じて設定される間引き度合いをパラメータとして与えられ、画像データから間引き度合いに応じた情報を間引いて画像を描画し、また、表示制御部は、間引き度合いの異なる複数の描画コンポーネントを有し、変化速度に応じて描画コンポーネントを選択し、選択した描画コンポーネントを用いて画像データから部分的な情報を間引くように構成されている。
【0016】
【特許文献1】特開2001−165681号公報(図1、図2)
【特許文献2】特開2000−148126号公報(図1、[要約])
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかしながら、上記特許文献2に開示された画像表示装置は、前述したように、スクロールの速度に応じて地図データの間引き度合いを決定し、異なるデータ量の間引き処理をするものであるから、処理が複雑になるという問題点を生じる。また、間引き度合いに応じて異なる複数の描画コンポーネントを有し、スクロール速度に応じて描画コンポーネントを選択し、選択した描画コンポーネントを用いて画像データから部分的な情報を間引くように構成されているため、構成が複雑になるという問題点を生ずる。
【0018】
本願の発明者は上記の問題点を解消すべく種々検討を重ねた結果、ナビゲーションシステムなどに用いられる地図表示システムにおいては、端末装置が進行すべき案内経路とその周辺のデータのみが必要な情報であり、それ以外の地図画像はスクロールが停止された状態で表示すればよい点に着目し、スクロールする操作がなされた場合に、案内経路を構成する各ノードのうち、分岐ノードにおいて、該分岐ノードに接続される所定範囲のリンク、および、案内経路から所定の距離範囲内のPOIの所在位置を示すPOIマークを表示するように地図データを省略処理するようになせば、上記の問題点を解消し得ることに想到して本発明を完成するに至ったものである。
【0019】
すなわち、本発明は、地図スクロール時にスクロール速度が高速であっても描画などの処理負荷を増大することなく、容易に必要な地図画像を表示できる地図表示システム、地図表示装置および地図表示方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
前記課題を解決するために、本願の請求項1にかかる発明は、
所望の出発地から目的地までの案内経路を探索する経路探索手段と、地図データを蓄積した地図データベースと、を備え、前記地図データベースから読み出した地図データに基づいて所定の範囲の地図画像を前記案内経路とともに表示手段に表示し、スクロール操作手段により前記表示された地図画像をスクロールする地図スクロール機能を有する地図表示システムにおいて、
前記地図表示システムは、操作入力手段によるスクロール操作を検出するスクロール検出手段と、スクロール検出手段がスクロール操作を検出すると前記地図データからスクロール用地図データを抽出するスクロール用地図データ抽出手段と、スクロール制御手段と、を備え、
前記スクロール用地図データ抽出手段は、前記案内経路を構成する各ノードに接続され、該ノードから所定の範囲内のリンクと、前記各ノードおよび前記所定の範囲内のリンクから所定の範囲内のPOIデータと、を含むスクロール用地図データを前記地図データから抽出し、前記スクロール制御手段は前記スクロール用地図データを用いて前記表示手段に地図画像を表示することを特徴とする。
【0021】
本願の請求項2にかかる発明は、請求項1にかかる地図表示システムにおいて、前記ノードに接続され、該ノードから所定の範囲内のリンクは、該ノードに接続される1本目のリンクを少なくとも含む所定本数のリンクであることを特徴とする。
【0022】
本願の請求項3にかかる発明は、請求項1にかかる地図表示システムにおいて、前記所定の範囲内のPOIデータは、前記ノードおよび前記所定の範囲内のリンクからの直線距離が所定の距離範囲内のPOIデータであることを特徴とする。
【0023】
本願の請求項4にかかる発明は、請求項1にかかる地図表示システムにおいて、
前記スクロール用地図データ抽出手段は、河川や海岸線などの自然地物の形状データをスクロール用自然地物データとして抽出し、前記スクロール制御手段は、前記表示画面から前記案内経路の画像が外れる方向にスクロール操作が行われた場合、案内経路が表示画面に表示される範囲において前記スクロール用地図データを用いて地図画像を表示し、前記案内経路が表示画面に表示される範囲を超えるスクロール操作があった場合には、前記スクロール用自然地物データを用いて地図画像を表示することを特徴とする。
【0024】
本願の請求項5にかかる発明は、請求項4にかかる地図表示システムにおいて、前記案内経路が表示画面に表示される範囲を超えるスクロール操作を検出すると、警告のための報知を行い、警告報知後も前記スクロール操作に変更がなかった場合、前記スクロール制御手段は、前記スクロール用自然地物データを用いて地図画像を表示することを特徴とする。
【0025】
本願の請求項6にかかる発明は、請求項1にかかる地図表示システムにおいて、前記スクロール制御手段は、前記表示画面から前記案内経路の画像が外れる方向にスクロール操作が行われた場合、案内経路が表示画面に表示される範囲において前記スクロール用地図データを用いて地図画像を表示し、前記案内経路が表示画面に表示される範囲を超えるスクロール操作があった場合には、当該スクロール操作を無効にすることを特徴とする。
【0026】
また、本願の請求項7にかかる発明は、
所望の出発地から目的地までの案内経路を探索する経路探索手段と、地図データを蓄積した地図データベースと、を備え、前記案内経路および地図データベースから読み出した地図データを地図表示装置に送信する経路探索サーバにネットワークを介して接続され、前記地図データに基づいて所定の範囲の地図画像を前記案内経路とともに表示手段に表示し、スクロール操作手段により前記表示された地図画像をスクロールする地図スクロール機能を有する地図表示装置において、
前記地図表示装置は、操作入力手段によるスクロール操作を検出するスクロール検出手段と、スクロール検出手段がスクロール操作を検出すると前記地図データからスクロール用地図データを抽出するスクロール用地図データ抽出手段と、スクロール制御手段と、を備え、
前記スクロール用地図データ抽出手段は、前記案内経路を構成する各ノードに接続され、該ノードから所定の範囲内のリンクと、前記各ノードおよび前記所定の範囲内のリンクから所定の範囲内のPOIデータと、を含むスクロール用地図データを前記地図データから抽出し、前記スクロール制御手段は前記スクロール用地図データを用いて前記表示手段に地図画像を表示することを特徴とする。
【0027】
本願の請求項8にかかる発明は、請求項7にかかる地図表示装置において、前記ノードに接続され、該ノードから所定の範囲内のリンクは、該ノードに接続される1本目のリンクを少なくとも含む所定本数のリンクであることを特徴とする。
【0028】
本願の請求項9にかかる発明は、請求項7にかかる地図表示装置において、前記所定の範囲内のPOIデータは、前記ノードおよび前記所定の範囲内のリンクからの直線距離が所定の距離範囲内のPOIデータであることを特徴とする。
【0029】
本願の請求項10にかかる発明は、請求項7にかかる地図表示装置において、
前記スクロール用地図データ抽出手段は、河川や海岸線などの自然地物の形状データをスクロール用自然地物データとして抽出し、前記スクロール制御手段は、前記表示画面から前記案内経路の画像が外れる方向にスクロール操作が行われた場合、案内経路が表示画面に表示される範囲において前記スクロール用地図データを用いて地図画像を表示し、前記案内経路が表示画面に表示される範囲を超えるスクロール操作があった場合には、前記スクロール用自然地物データを用いて地図画像を表示することを特徴とする。
【0030】
本願の請求項11にかかる発明は、請求項10にかかる地図表示装置において、前記案内経路が表示画面に表示される範囲を超えるスクロール操作を検出すると、警告のための報知を行い、警告報知後も前記スクロール操作に変更がなかった場合、前記スクロール制御手段は、前記スクロール用自然地物データを用いて地図画像を表示することを特徴とする。
【0031】
本願の請求項12にかかる発明は、請求項7にかかる地図表示装置において、前記スクロール制御手段は、前記表示画面から前記案内経路の画像が外れる方向にスクロール操作が行われた場合、案内経路が表示画面に表示される範囲において前記スクロール用地図データを用いて地図画像を表示し、前記案内経路が表示画面に表示される範囲を超えるスクロール操作があった場合には、当該スクロール操作を無効にすることを特徴とする。
【0032】
また、本願の請求項13にかかる発明は、
所望の出発地から目的地までの案内経路を探索する経路探索手段と、地図データを蓄積した地図データベースと、を備え、前記地図データベースから読み出した地図データに基づいて所定の範囲の地図画像を前記案内経路とともに表示手段に表示し、スクロール操作手段により前記表示された地図画像をスクロールする地図スクロール機能を有する地図表示システムにおける地図表示方法において、
前記地図表示システムは、操作入力手段によるスクロール操作を検出するスクロール検出手段と、スクロール検出手段がスクロール操作を検出すると前記地図データからスクロール用地図データを抽出するスクロール用地図データ抽出手段と、スクロール制御手段と、を備え、
前記スクロール用地図データ抽出手段が、前記案内経路を構成する各ノードに接続され、該ノードから所定の範囲内のリンクと、前記各ノードおよび前記所定の範囲内のリンクから所定の範囲内のPOIデータと、を含むスクロール用地図データを前記地図データから抽出するスクロール用地図データ抽出ステップと、前記スクロール制御手段が前記スクロール用地図データを用いて前記表示手段に地図画像を表示する表示ステップと、を有することを特徴とする。
【0033】
本願の請求項14にかかる発明は、請求項13にかかる地図表示方法において、前記スクロール用地図データ抽出ステップは、前記案内経路を構成する各ノードに接続される1本目のリンクを少なくとも含む所定本数のリンクを抽出する処理を含むことを特徴とする。
【0034】
本願の請求項15にかかる発明は、請求項13にかかる地図表示方法において、前記スクロール用地図データ抽出ステップは、前記案内経路を構成する各ノードおよび前記所定の範囲内のリンクからの直線距離が所定の距離範囲内のPOIデータを抽出する処理を含むことを特徴とする。
【0035】
本願の請求項16にかかる発明は、請求項13にかかる地図表示方法において、
前記スクロール用地図データ抽出手段が、河川や海岸線などの自然地物の形状データをスクロール用自然地物データとして抽出するスクロール用自然地物データ抽出ステップを有し、前記表示ステップは、前記表示画面から前記案内経路の画像が外れる方向にスクロール操作が行われた場合、案内経路が表示画面に表示される範囲において前記スクロール用地図データを用いて地図画像を表示し、前記案内経路が表示画面に表示される範囲を超えるスクロール操作があった場合には、前記スクロール用自然地物データを用いて地図画像を表示する処理を含むことを特徴とする。
【0036】
本願の請求項17にかかる発明は、請求項16にかかる地図表示方法において、前記案内経路が表示画面に表示される範囲を超えるスクロール操作を検出すると、警告のための報知を行う警告報知ステップを有し、警告報知後も前記スクロール操作に変更がなかった場合、前記表示ステップは、前記スクロール用自然地物データを用いて地図画像を表示する処理を含むことを特徴とする。
【0037】
本願の請求項18にかかる発明は、請求項13にかかる地図表示方法において、前記表示ステップは、前記表示画面から前記案内経路の画像が外れる方向にスクロール操作が行われた場合、案内経路が表示画面に表示される範囲において前記スクロール用地図データを用いて地図画像を表示し、前記案内経路が表示画面に表示される範囲を超えるスクロール操作があった場合には、当該スクロール操作を無効にする処理を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0038】
請求項1にかかる発明においては、スクロール検出手段がスクロール操作を検出すると、スクロール用地図データ抽出手段が、案内経路を構成する各ノードに接続され、該ノードから所定の範囲内のリンクと、前記各ノードおよび前記所定の範囲内のリンクから所定の範囲内のPOIデータと、を含むスクロール用地図データを地図データから抽出し、スクロール制御手段はスクロール用地図データを用いて前記表示手段に地図画像を表示する。
【0039】
このような構成によれば、表示手段に表示された地図画像をスクロールする際には、スクロール処理すべき地図データは、経路探索手段が探索した案内経路と、当該案内経路を構成する各ノードに接続される、一定の範囲内のリンクと、POIデータのみになるため、スクロール処理の負荷を小さくすることができるようになる。この場合、案内経路は表示されるため、利用者は進行に必要な情報を視認することができ、かつ、案内経路の先の状況を確認することができる。
【0040】
請求項2にかかる発明においては、請求項1にかかる地図表示システムにおいて、ノードに接続され、該ノードから所定の範囲内のリンクは、該ノードに接続される1本目のリンクを少なくとも含む所定本数のリンクである。
【0041】
このような構成によれば、地図スクロールした状態であっても、利用者は、スクロールされた地図画像を観察して案内経路上の交差点ノードや分岐ノードの道路構造を視認することができるようになる。
【0042】
請求項3にかかる発明においては、請求項1にかかる地図表示システムにおいて、所定の範囲内のPOIデータは、前記ノードおよび前記所定の範囲内のリンクからの直線距離が所定の距離範囲内のPOIデータである。
【0043】
このような構成によれば、地図スクロールした状態であっても、利用者は、スクロールされた地図画像を観察して案内経路から一定の距離範囲内に所在するPOIを視認することができるようになる。
【0044】
請求項4にかかる発明においては、請求項1にかかる地図表示システムにおいて、スクロール用地図データ抽出手段は、河川や海岸線などの自然地物の形状データをスクロール用自然地物データとして抽出し、スクロール制御手段は、表示画面から案内経路の画像が外れる方向にスクロール操作が行われた場合、案内経路が表示画面に表示される範囲においてスクロール用地図データを用いて地図画像を表示し、前記案内経路が表示画面に表示される範囲を超えるスクロール操作があった場合には、前記スクロール用自然地物データを用いて地図画像を表示する。
【0045】
このような構成によれば、表示画面には少なくとも自然地物の画像が表示されるので、利用者に表示手段の故障などの誤解を与えることがなくなる。
【0046】
また、請求項5にかかる発明においては、請求項4にかかる地図表示システムにおいて、案内経路が表示画面に表示される範囲を超えるスクロール操作を検出すると、警告のための報知を行い、警告報知後も前記スクロール操作に変更がなかった場合、前記スクロール制御手段は、前記スクロール用自然地物データを用いて地図画像を表示する。
【0047】
このような構成によれば、警告報知の後、スクロール操作に変更がなければ、表示画面には少なくとも自然地物の画像が表示されるので、利用者に表示手段の故障などの誤解を与えることがなくなる。
【0048】
請求項6にかかる発明においては、請求項1にかかる地図表示システムにおいて、スクロール制御手段は、前記表示画面から前記案内経路の画像が外れる方向にスクロール操作が行われた場合、案内経路が表示画面に表示される範囲において前記スクロール用地図データを用いて地図画像を表示し、前記案内経路が表示画面に表示される範囲を超えるスクロール操作があった場合には、当該スクロール操作を無効にする。
【0049】
このような構成によれば、スクロール操作により表示画面に画像が表示されなくなることを防止することができるようになり、利用者に無用の混乱を与えることがなくなる。
【0050】
また、請求項7ないし請求項12にかかる発明においては、それぞれ請求項1ないし請求項6にかかる地図表示システムを構成する地図表示装置を提供することができ、また、請求項13ないし請求項18にかかる発明においては、それぞれ請求項1ないし請求項6にかかる地図表示システムにおける地図表示方法を提供することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0051】
以下、本発明の具体例を実施例及び図面を用いて詳細に説明する。但し、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための地図表示システムを例示するものであって、本発明をこの地図表示システムに特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態の地図表示システムにも等しく適用し得るものである。
【実施例】
【0052】
図1は、本発明の実施例にかかる地図表示システム10の構成を示すシステム構成図である。図1に示すように地図表示システム10は、ネットワーク12を介して接続される地図表示装置20と経路探索サーバ30を備えて構成されている。この地図表示システム10は、各種カテゴリに属するPOI(Point of Interest:興味対象場所)の所在地やサービス内容、広告などの詳細情報を提供するPOI情報配信サーバ50、地図データ、交通路線データや運行時刻表データ、音楽や各種画像などのコンテンツ、その他の情報を提供する各種の情報配信サーバ51などを備えて構成されている。
【0053】
経路探索サーバ30はPOI情報配信サーバ50や他の情報配信サーバ51からネットワーク12を経由して必要なデータを取得して自身のデータベースに追加することができる。また、同様にしてPOI情報配信サーバ50や他の情報配信サーバ51に検索要求を送信して所望の検索結果を取得することもできる。
【0054】
本発明にかかる地図表示システム10は、上記の構成に限られるものではなく、経路探索サーバ30はナビゲーションサービス機能とともにPOI所在場所の地図を配信する地図配信サーバの機能を有していてもよい。また、地図表示装置20も携帯電話を用いることができ、またPDAや音楽プレイヤーや携帯ゲーム機などの携帯機器、あるいは、パーソナルコンピュータ(PC)であってもよい。また、スタンドアロンタイプのナビゲーション装置であってもよい。
【0055】
図1に示す経路探索サーバ30は、地図データベース34、経路探索用ネットワークデータベース35を備え、地図表示装置20から経路探索要求があると、経路探索用ネットワークデータベース35を参照して経路探索する。そして経路探索の結果により得た案内経路(推奨経路)を地図表示装置20に送信する一般的なナビゲーション機能を有している。また、経路探索サーバ30は、POIの所在地や電話番号、住所、営業時間などのPOI情報を蓄積したPOI情報データベース36を備えている。
【0056】
経路探索サーバ30は、地図表示装置20から所望の地点やPOIを指定して地図データの取得要求があると、地図データベース34を参照して該当する地図データを読み出して地図表示装置20に配信する。地図表示装置20が経路探索サーバ30に経路探索を要求し、経路案内のサービスを受ける場合には、前述のように地図表示装置20において所望の出発地や目的地を設定し、経路探索サーバ30に経路探索要求を送信する。出発地と目的地との間に立ち寄りたい経由地がある場合は当該経由地も設定する。
【0057】
これらの地点を設定する方法としては、前述したように経路探索条件入力画面を表示し、地点の名称や住所(所在場所)、電話番号を入力する方法、表示画面に地図を表示して地図上の所望地点をカーソル選択して設定する方法などが採られる。出発地、経由地、目的地は、一般的には特定の施設の場所や興味対象場所(POI:Point of Interest)の場所を設定するが、施設やPOIに最も近い道路上のリンクやノードの位置が経路探索上の当該施設やPOIの場所として用いられることもある。
【0058】
本実施例の地図表示システム10においては、経路探索条件入力画面を表示して地点を入力する方法の他に、所望エリアを指定したり、POI検索して注目POIを選択しそのPOIが所在するエリアの地図を表示したりし、表示された地図上で所望の地点を指定して出発地や目的地、経由地を指定することができる。
【0059】
経路探索サーバ30は地図表示装置20から経路探索要求があると、経路探索用ネットワークデータベース35を参照して指定された出発地から目的地に至る最適経路(案内経路)を探索し、地図データベース34から読み出した地図データとともに案内経路のデータを地図表示装置20に送信する。経路探索においては累計の距離、所要時間、乗換え回数、運賃などの条件に従って複数の候補経路を探索して提示し、その中から利用者が選択した経路を案内経路として地図表示装置20に経路案内する態様もある。
【0060】
地図表示装置20は経路探索サーバ30から地図データ、案内経路のデータを受信すると、地図表示装置20の現在位置を中心とした地図画像を表示画面に表示する。地図画像には地図表示装置20の現在位置を示す現在位置マーク、案内経路を示す案内経路画像が重ね合わされて表示される。
【0061】
利用者が表示画面から外れている案内経路や目的地近傍の地図画像を確認したい場合には、画面(地図)のスクロール操作を行い、所望のエリアの地図画像を表示させる。本実施例の地図表示システム10においては、スクロール操作を検出すると、地図データからスクロール用地図データを抽出する。抽出するスクロール用の地図データは、案内経路を基準に一定の範囲のリンク(道路)およびPOIのデータである。抽出の詳細については後述する。
【0062】
このように、地図データから一定の範囲のデータをスクロール用のデータとして抽出し、地図のスクロール表示をすることにより、スクロール処理の負荷を小さくすることができるようになる。利用者は案内経路に沿って移動しており、スクロールの間も少なくとも案内経路を含む最小限の地図が表示されていれば足り、移動に支障を来すことがない。地図のスクロール操作が終了したら、再度、元の地図データに基づいて地図全体を表示する。これにより地図表示装置20の利用者は任意の地点まで地図を高速にスクロールし、スクロールを停止した時点で、省略のない地図画像が表示され、これを観察することができるようになる。
【0063】
以下、具体例に基づいて本発明の実施例にかかる地図表示システム10を説明するが、その前に本発明にかかる地図表示システム10の詳細な構成を説明する。図2は、図1の地図表示システム10の詳細な構成を示すブロック図である。
【0064】
経路探索サーバ30は、制御手段301、通信手段31、経路探索手段32、地図データベース34、経路探索用ネットワークデータベース35、POI情報データベース36、配信要求記憶手段37、配信データ編集手段38を備えて構成されている。
【0065】
一方、地図表示装置20は、ナビゲーションサービスを受けることができる端末であり、制御手段201、通信手段21、GPS受信手段22、スクロール用地図データ抽出手段23、地図データ要求手段24、地図データ記憶手段25、案内データ記憶手段26、表示手段27、スクロールキー281、スクロール検出手段282を有する操作入力手段28、スクロール制御手段29を備えて構成されている。
【0066】
経路探索サーバ30は地図表示装置20から経路探索やPOI検索あるいは地図配信の要求があると、配信要求記憶手段37に一次記憶する。要求が経路探索要求である場合、経路探索手段32は経路探索用ネットワークデータベース35を参照して最適経路あるいは推奨経路(案内経路)を探索する。探索された案内経路のデータは配信データ編集手段38で編集され、地図表示装置20に配信される。また、地図データベース34から案内経路を含む地図データが読み出され、地図表示装置20に配信される。
【0067】
地図表示装置20からの要求がPOI検索である場合、経路探索サーバ30は指定された条件に基づいてPOI情報データベース36を参照して該当するPOIを検索し、地図表示装置20に配信する。また、特定のPOIを指定して地図データの要求があると、経路探索サーバ30は地図データベース34から該当するPOIの所在位置を含む地図データを読み出して地図表示装置20に配信する。
【0068】
一方、地図表示装置20において、制御手段201は、図示してはいないがRAM、ROM、プロセッサを有するマイクロプロセッサであり、ROMに格納された制御プログラムにより各部の動作を制御する。通信手段21はネットワーク12を介して経路探索サーバ30などと通信データを送受信するための通信インターフェースである。
【0069】
GPS受信手段22はGPS衛星からの信号を受信して現在位置を緯度・経度で算出する。操作入力手段28は、キー、ダイヤル等からなり、地図表示装置20を操作するための入力を行い、また、出発地、目的地などの経路探索条件の入力機能としても用いられる。表示手段27は液晶表示パネル等からなり、経路探索サーバ30から配信(送信)された案内経路や地図の表示に使用されるものである。また、表示手段27はメニュー画面を表示し、操作入力手段28を用いてメニュー画面から所望の項目を選択することにより地図表示装置20を操作するための入力手段としても機能する。
【0070】
地図表示装置20が経路探索サーバ30に経路探索を要求する場合、操作入力手段28を操作し、または、表示手段27に表示されるメニュー画面を操作して所望の出発地、目的地、経由地などを指定し、その他の経路探索条件(時刻条件、探索経路数など)を設定し、経路探索を要求する。また、所望のPOIを検索したり、特定の地点やPOIを指定したりして地図を要求する場合は、当該特定地点やPOIのデータ(位置情報、住所など)に基づいて、地図データ要求手段24から経路探索サーバ30に地図要求を送信する。
【0071】
経路探索サーバ30から、地図表示装置20に配信された地図データは地図データ記憶手段25に一次記憶され、案内経路のデータは案内データ記憶手段26に一次記憶される。地図データ記憶手段25、案内データ記憶手段26に記憶された地図データ、案内経路データは必要に応じて読み出され、表示手段27に地図画像、案内経路が表示される。その際、地図表示装置20の現在位置を中心に、所定の範囲の地図画像が表示され、現在位置マーク、案内経路の画像が重ね合わされて表示される。
【0072】
また、操作入力手段28はスクロールキー281を備えており、スクロールキー281を操作してスクロールカーソルを任意の向きに移動させることにより、表示手段27の表示画面に表示された地図画像をスクロールすることができる。スクロールキー281の操作があると、スクロール検出手段282はこれを検出しスクロール操作があったことを判別する。
【0073】
スクロールキー281が操作され、スクロール検出手段282がこれを検出すると、スクロール用地図データ抽出手段23は地図データ記憶手段25に記憶された地図データから、次のようにしてスクロール用の地図データを抽出する。すなわち、スクロール用地図データ抽出手段23は、案内経路を構成する各ノードに接続され、該ノードから所定の範囲内のリンクと、各ノードおよび所定の範囲内のリンクから所定の範囲内のPOIデータと、を含むスクロール用地図データを地図データから抽出する。
【0074】
案内経路から所定の範囲内のデータを抽出する方法は、例えば、以下のようにすることができる。すなわち、案内経路上の各ノードに接続されるリンクのうち、該ノードに接続される1本目のリンクを少なくとも含む所定本数のリンクとすることができる。また、所定の範囲内のPOIデータは、前の各ノードおよび前記の所定の範囲内のリンクからの直線距離が所定の距離範囲内にあるPOIデータとすることができる。
【0075】
スクロール制御手段29は、スクロール用地図データ抽出手段23が抽出したスクロール用地図データを表示手段27に表示し、スクロールキーの操作に応じて地図画像をスクロール表示する。また、スクロール制御手段29は、案内経路が表示画面に表示される範囲において前記スクロール用地図データを用いて地図画像を表示し、案内経路が表示画面に表示される範囲を超えるスクロール操作があった場合には、当該スクロール操作を無効にする。
【0076】
図3は、地図表示装置20として用いられる携帯電話の外観を示す図である。図3に示すように、地図表示装置20の表示手段27には地図画像が表示され、現在位置マーク42が地図画像上に表示される。操作入力手段28にはスクロールキー281が設けられている。この地図表示装置20における地図のスクロールモードは、例えば、デフォルトでは手動スクロールである。
【0077】
手動スクロールモードの場合、利用者はスクロールキー281を上下、左右に操作して地図画像を所望の方向にスクロールする。スクロールキー281を操作するとカーソル41がスクロールキー281の操作量に応じて移動し地図画像がスクロールする。カーソル41と現在位置マーク42とは直線で結んで表示される。
【0078】
スクロールキー281が操作されると、スクロール検出手段282がこれを検出し、スクロール用地図データ抽出手段23に地図データからスクロール用の地図データを抽出させる。抽出される地図データは先に説明したように、案内経路を構成するノード、リンクと、ノードに接続されるリンク(道路)のうち、所定の範囲内にあるリンクと、案内経路上のPOIデータ、案内経路から所定の距離範囲内にあるPOIデータである。
【0079】
スクロール制御手段29はスクロール用地図データ抽出手段23が抽出したスクロール用地図データを用いて表示手段27に地図画像をスクロールさせながら表示する。地図データの描画は、地図データをVRAMにビットマップ展開する一般的な描画方法を用いることができ、スクロールはスクロールキー281の操作量に応じて描画するスクロール用地図データをずらし、VRAMに再描画する。このとき、スクロール用地図データは案内経路とその周辺のリンク、POIデータのみであるから、地図データ全体を処理する場合に比べてスクロール処理の負荷を小さくすることができる。
【0080】
図4は、スクロール操作がない場合に表示手段27の表示画面に表示される地図画像の一例を示す図である。スクロール操作がない場合は、図4に示すように表示領域(表示画面)全体に地図画像401が表示される。地図画像には案内経路402が他の道路と異なる表示態様(図4の場合、太線)で表示され、また、各地点に所在するレストラン、コーヒーショップなどのPOIを示すアイコン403が表示される。このような地図画像を表示することにより、利用者に案内経路および周辺全体の道路やPOIの所在位置を知らせることができる。
【0081】
図5は、スクロール操作があった場合に表示手段27の表示画面に表示される地図画像の一例を示す図である。スクロール操作があった場合には、前述したようにスクロール用地図データ抽出手段23が案内経路のその周辺の地図データのみを抽出し、このスクロール用地図データを用いスクロール制御手段29が地図画像405を描画する。
【0082】
従って、表示画面に表示される地図画像405は、案内経路402と、案内経路上のノードに接続される1本目のリンク406(所定の範囲のリンクを1本目とした場合)と、案内経路上または案内経路および前記1本目のリンク406から所定の距離範囲内に所在するPOIを示すアイコン403のみがスクロール表示される。
【0083】
このように、地図データから一定の範囲のデータをスクロール用のデータとして抽出し、地図のスクロール表示をすることにより、スクロール処理の負荷を小さくすることができるようになる。利用者は案内経路に沿って移動しており、スクロールの間も少なくとも案内経路を含む最小限の地図が表示されていれば足り、移動に支障を来すことがない。
【0084】
地図のスクロール操作が終了したら、再度、図4に示すように元の地図データに基づいて地図全体を表示する。これにより地図表示装置20の利用者は任意の地点まで地図を高速にスクロールし、スクロールを停止した時点で、省略のない地図画像401が表示され、これを観察することができるようになる。
【0085】
なお、スクロール操作中に、案内経路402が表示画面に表示されなくなる方向にスクロールされると、表示画面に何も表示されない状態が生じる。このような表示を行うと、表示手段27が故障したという誤解を与え利用者を混乱させる。また、スクロール操作を開始した元の位置まで地図画像を戻す操作も困難になる。
【0086】
そこで、スクロール用地図データ抽出手段23が前述のスクロール用地図データ(案内経路および所定本数の接続リンク、所定範囲のPOIデータ)とは別に、河川や山、海岸線、公園などの自然地物のポリゴンデータをスクロール用自然地物データとして抽出しておき、案内経路が表示画面に表示できなくなる方向、移動量のスクロール操作が行われた場合、スクロール制御手段29はスクロール用地図データからスクロール用自然地物データに切り換えて表示手段27に自然地物の画像をスクロール表示するように構成してもよい。
【0087】
このような構成によれば、表示画面には少なくとも自然地物の画像が表示されるので、利用者に表示手段27の故障などの誤解を与えることがないが、案内経路が表示されなくなるので混乱を与える可能性がある。
【0088】
そこで、スクロール制御手段29は、表示画面から案内経路402の画像が外れる方向にスクロール操作が行われた場合、案内経路402が表示画面に表示される範囲において前述したスクロール用地図データを用いて地図画像405(図5参照)を表示し、案内経路402が表示画面に表示される範囲を超えるスクロール操作、すなわち、案内経路402が表示画面から消えるスクロール方向と移動量のスクロール操作があった場合には、当該スクロール操作を無効にする。
【0089】
なお、スクロール操作を無効にする方法によらず、案内経路402が表示画面に表示される範囲を超えるスクロール操作、すなわち、案内経路402が表示画面から消えるスクロール方向と移動量のスクロール操作があった場合に、警告の報知(表示、振動、音声など)を行い、スクール操作の中止や変更がなかったら、前記スクロール用自然地物データに切り換えてスクロール表示を継続するようにしてもよい。
【0090】
次に地図データについて説明する。図6は、地図データベース34に蓄積される地図データを示す図である。通信型のナビゲーションシステムにおいて、案内経路やガイダンスポイントおよびガイダンスデータ(音声データ等)の配信方法は種々の形態をとり得るが、例えば、経路探索サーバ30が地図表示装置20から送信された経路探索条件に従って案内経路を探索し、前述したようなガイダンスポイントなどを設定した案内経路データを作成し、出発地から目的地までの案内経路を一括して地図表示装置20に送信し、地図データは地図表示装置20からの地図要求に基づいて地図表示装置20に送信するように構成している。
【0091】
すなわち、経路探索サーバ30から地図表示装置20に経路データと地図データを別々に配信し、地図表示装置20は地図表示に必要な地図データに不足が生じた場合に、経路データから当該経路を含む単位地図の配信を経路探索サーバ30に要求することができる。通常、地図データは現在位置を含むメッシュ状の単位地図データを中心とする上下左右、斜め方向に隣接する9つのメッシュ状単位の地図データを地図表示装置20に配信する。
【0092】
地図データベース34に蓄積される地図データは図6に示すように所定の緯度・経度範囲で区分された単位地図データから構成されている。すなわち、地図データは図6に示すように所定の緯度、経度単位で地図エリアが分けられ、メッシュ状の単位地図データM11〜M33のように構成されている。地図表示装置20に配信される場合は、地図表示装置20の現在位置PPを含む単位地図データM22を中心にして、その上下方向、左右方向、斜め方向に隣接する単位地図データM21、M23、M12、M32、M11、M13、M31、M33の合計9つの単位地図が配信される。
【0093】
地図表示装置20が移動して地図データが不足する場合は、地図表示装置20の移動方向を判別して経路探索サーバ30は不足分の単位地図データを配信する。地図表示装置20が特定の地点やPOIの位置を指定して地図データの配信要求をした場合も同様である。案内経路のデータはこのベクトル地図データとともに地図表示装置20に配信される。地図表示装置20は、経路探索サーバ30からこのようにして地図データおよび案内経路のデータを受信して、地図画像、案内経路の画像を表示手段27に表示する。
【0094】
次に、経路探索サーバ30における経路探索の概念について説明する。
上記経路探索用ネットワークデータベース35には、車や歩行者用の経路探索のための道路ネットワークデータと交通機関の経路探索のための交通ネットワークデータとが格納されている。
【0095】
図7は、道路ネットワークデータの概念を示す模式図である。また、道路ネットワークデータは、道路(経路)をその結節点、屈曲点の位置をノードとし、各ノードを結ぶ経路をリンクとし、ノードデータ、リンクデータ、全てのリンクのコスト情報(距離や所要時間)であるリンクコストデータから構成され、データベース化されたものである。
【0096】
例えば、道路が図7に示すように道路A、B、Cからなる場合、道路A、B、Cの端点、交差点、屈曲点などをノードとし、各ノード間を結ぶ道路を有向性のリンクで表し、ノードデータ(ノードの緯度・経度)、リンクデータ(リンク番号)と各リンクのリンクコスト(リンクの距離またはリンクを走行するのに必要な所要時間)をデータとしたリンクコストデータとで構成される。
【0097】
すなわち、図7において、Nn(○印)、Nm(◎印)がノードを示し、Nm(◎印)は道路の交差点を示している。各ノード間を結ぶ有向性のリンクを矢印線(実線、点線、2点鎖線)で示している。リンクは、道路の上り、下りそれぞれの方向を向いたリンクが存在するが、図7では図示を簡略化するため矢印の向きのリンクのみを図示している。
【0098】
このような道路ネットワークデータを経路探索用のデータとして経路探索を行う場合、出発地のノードから目的地のノードまで連結されたリンクをたどりそのリンクコストを累積し、累積リンクコストの最少になる経路を探索して案内する。すなわち、図7において出発地をノードAX、目的地をノードCYとして経路探索を行う場合、ノードAXから道路Aを走行して2つ目の交差点で右折して道路Cに入りノードCYにいたるリンクを順次たどりリンクコストを累積し、リンクコストの累積値が最少になる経路を探索して案内する。
【0099】
図7ではノードAXからノードCYに至る他の経路は図示されていないが、実際にはそのような経路が他にも存在するため、ノードAXからノードCYに至ることが可能な複数の経路を同様にして探索し、それらの経路のうちリンクコストが最少になる経路を最適経路として決定するものである。この手法は、例えば、ダイクストラ法と呼ばれる周知の手法によって行われる。
【0100】
それに対して、交通機関の経路探索のための交通ネットワークデータは以下のように構成されている。例えば、図8に示すように交通路線A、B、Cからなる場合、各交通路線A、B、Cに設けられた各駅(航空機の路線においては各空港)をノードとし、各ノード間を結ぶ区間を有向性のリンクで表し、ノードデータ(緯度・経度)、リンクデータ(リンク番号)をネットワークデータとしている。図8において、Nn(○印)、Nm(◎印)がノードを示し、Nm(◎印)は交通路線の乗り継ぎ点(乗換え駅など)を示し、各ノード間を結ぶ有向性のリンクを矢印線(実線、点線、2点鎖線)で示している。リンクは、交通路線の上り、下りそれぞれの方向を向いたリンクが存在するが、図8では図示を簡略化するため矢印の向きのリンクのみを図示している。
【0101】
しかしながら、交通ネットワークは道路ネットワークと比べリンクコストが基本的に異なる。すなわち、道路ネットワークではリンクコストは固定的、静的なものであったが、交通ネットワークでは、図8に示すように交通路線を運行する列車や航空機(以下個々の列車や航空機などの各経路を交通手段と称する)が複数ある。各交通手段毎にあるノードを出発する時刻と次のノードに到着する時刻とが定まっており(時刻表データ、運行データで規定される)、かつ、個々の経路が必ずしも隣接するノードにリンクしない場合がある。例えば、急行と各駅停車の列車のような場合である。このような場合には同じ交通路線上に異なる複数のリンクが存在することになり、またノード間の所要時間が交通手段により異なる場合もある。
【0102】
図8に例示する交通ネットワークにおいては、交通路線Aの同じリンクに複数の交通手段(経路)Aa〜Ac・・・、交通路線Cに複数の交通手段(経路)Ca〜Cc・・・が存在することになる。従って、交通機関の運行ネットワークは、単純な道路ネットワークと異なり、ノード、リンク、リンクコストの各データは交通手段(個々の航空機や列車などの経路)の総数に比例したデータ量になる。このため交通ネットワークのデータは道路ネットワークのデータ量に比べて膨大なデータ量になる。従って、それに応じて、経路探索に要する時間も多くの時間が必要になる。
【0103】
このような交通ネットワークデータを用いて、ある出発地からある目的地までの経路を探索するためには、出発地から目的地まで到達する際に使用(乗車)できる全ての交通手段を探索して探索条件に合致する交通手段を特定する必要がある。
【0104】
例えば、図8において、出発地を交通路線AのノードAXとしてある特定の出発時刻を指定して、交通路線CのノードCYを目的地とする経路探索を行う場合、交通路線A上を運行する交通手段Aa〜Ac・・・のうち出発時刻以降の全ての交通手段を順次出発時の経路として選択する。そして交通路線Cへの乗り継ぎノードへの到着時刻に基づいて、交通路線C上を運行する各交通手段Ca〜Cc・・・のうち、乗り継ぎノードにおいて乗車可能な時刻以降の交通手段の全ての組み合わせを探索して各経路の所要時間や乗り換え回数などを累計して案内することになる。
【0105】
経路探索サーバ30は、地図表示装置20からの経路探索要求があった場合、徒歩と交通機関を利用した経路探索においては道路ネットワークデータと交通ネットワークデータとを総合して経路探索を行なう。その際、目的地への到着時刻が指定されると、その時刻までに目的地に到着するような最適経路あるいは複数の候補経路を探索する。
【0106】
次に、図9に示すフローチャートを参照し、本実施例にかかる地図表示システムの地図表示手順を詳細に説明する。ステップS101の処理において経路探索要求がなされ、経路探索サーバ30は、ステップS102の処理で案内経路を探索し、地図表示装置20に案内経路のデータや地図データを配信する。地図表示装置20はこれらのデータを受信し、ステップS103の処理において表示手段27に地図、案内経路、現在位置マークなどを表示して経路案内が開始される。
【0107】
地図表示装置20が経路案内を開始すると、GPS受信手段22はステップS104の処理において現在位置を測位する。この現在位置測位は一般には一定の時間間隔で周期的に行われ、案内経路上の車両の進行状況が表示される。現在位置が測位されると、ステップS105の処理において表示手段27に地図画像を表示するとともに案内経路、地図表示装置20の現在位置を示す現在マークを表示(描画)する。ここで表示される地図画像は図4を参照して説明したように、現在位置を中心とした所定の範囲の地図画像全体である。
【0108】
ステップS106の処理においてスクロール検出手段282は、スクロール操作があったか否かを判別する。スクロール操作が検出されなかったらステップS112の処理で目的地に到着したか否かを判別し、目的地に到達していれば経路案内処理を終了する。目的地に到着していなければステップS104の現在位置の測位処理に戻る。
【0109】
ステップS106のスクロール検出処理でスクロール操作が検出されると、スクロール用地図データ抽出手段23は、ステップS107の処理において、地図データから前述した方法によりスクロール用地図データを抽出し、ステップS108の処理においてスクロール制御手段29は、スクロール用地図データを用いて表示手段27に地図画像を表示する。ここで表示される地図画像は図5を参照して説明したように、案内経路を含む所定の範囲のリンク、案内経路を含む所定の距離範囲内に所在するPOIを示すアイコンである。
【0110】
ステップS109において、スクロール制御手段29は、スクロール操作により案内経路が表示画面から外側になるようなスクロール方向、スクロール量であるか否か、すなわち案内経路が表示画面内にあるか否かを判別する。案内経路が表示画面から消えてしまうスクロール方向、スクロール量であると判別すると、スクロール制御手段29はステップS110の処理においてスクロールを無効としてステップS108の処理に戻り、スクロール用地図データを用いた地図画像表示を継続する。この場合、スクロールは無効であるので、地図画像を変化(スクロール)しない。
【0111】
案内経路が表示画面内にあると判別されると、ステップS111の処理に進み、スクロールが終了したか否かを判別する。スクロールが終了していなければステップS108の処理に戻り、スクロール用地図データを用いた地図画像表示を継続する。
【0112】
ステップS111の判別処理においてスクロールが終了していると判別すると、ステップS112の処理に進み、地図表示装置20が目的地に到着したかが判別される。目的地に到着した場合には経路案内を終了し、目的地に到着していない場合にはステップS104の現在位置の測位処理に戻る。
【0113】
以上、詳細に説明したように、本発明の実施例にかかる地図表示システムによれば、地図データから一定の範囲のデータをスクロール用のデータとして抽出し、地図のスクロール表示をすることにより、スクロール処理の負荷を小さくすることができるようになる。利用者は案内経路に沿って移動しており、スクロールの間も少なくとも案内経路を含む最小限の地図が表示されていれば足り、移動に支障を来すことがない。
【0114】
なお、地図データには、広域図から中域図、詳細図(市街地図)まで縮尺の異なる単位地図があり、ナビゲーションシステムでは経路に応じて適した縮尺の地図データを用いて地図画像を表示するのが一般的である。広域図を表示しており案内経路全体が表示画面に表示されている場合は、地図画像をスクロールすること自体の意味がなく、本発明のスクロール時の地図画像表示方式は、市街地図など、案内経路の一部しか表示画面に表示されていないような場合に好適である。
【産業上の利用可能性】
【0115】
本発明は、表示画面の大きさや演算ユニットの処理能力に制約のある携帯機器を地図表示端末として用いる地図表示システムに好適に適用することができる。もちろんスタンドアロンタイプのナビゲーション装置、あるいは、地図配信サーバにネットワーク接続されるパーソナルコンピュータ(PC)を地図表示装置とする地図表示システムなどに適用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】本発明の実施例にかかる地図表示システムの構成を示すシステム構成図である。
【図2】本発明の実施例にかかる地図表示システムの詳細な構成を示すブロック図である。
【図3】地図表示装置として用いられる携帯電話の外観を示す図である。
【図4】スクロール操作がない場合に表示画面に表示される地図画像の一例を示す図である。
【図5】スクロール操作があった場合に表示画面に表示される地図画像の一例を示す図である。
【図6】地図データベースに蓄積される地図データを示す図である。
【図7】道路ネットワークデータの概念を示す模式図である。
【図8】交通ネットワークデータの概念を示す模式図である。
【図9】本発明の実施例にかかる地図表示システムにおける地図表示の手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0117】
10・・・・地図表示システム
12・・・・ネットワーク
20・・・・地図表示装置
201・・・制御手段
21・・・・通信手段
22・・・・GPS受信手段
23・・・・スクロール用地図データ抽出手段
24・・・・地図データ要求手段
25・・・・地図データ記憶手段
26・・・・案内データ記憶手段
27・・・・表示手段
28・・・・操作入力手段
281・・・スクロールキー
282・・・スクロール検出手段
29・・・・スクロール制御手段
30・・・・経路探索サーバ
301・・・制御手段
31・・・・通信手段
32・・・・経路探索手段
34・・・・地図データベース
35・・・・経路探索用ネットワークデータベース
36・・・・POI情報データベース
37・・・・配信要求記憶手段
38・・・・配信データ編集手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所望の出発地から目的地までの案内経路を探索する経路探索手段と、地図データを蓄積した地図データベースと、を備え、前記地図データベースから読み出した地図データに基づいて所定の範囲の地図画像を前記案内経路とともに表示手段に表示し、スクロール操作手段により前記表示された地図画像をスクロールする地図スクロール機能を有する地図表示システムにおいて、
前記地図表示システムは、操作入力手段によるスクロール操作を検出するスクロール検出手段と、スクロール検出手段がスクロール操作を検出すると前記地図データからスクロール用地図データを抽出するスクロール用地図データ抽出手段と、スクロール制御手段と、を備え、
前記スクロール用地図データ抽出手段は、前記案内経路を構成する各ノードに接続され、該ノードから所定の範囲内のリンクと、前記各ノードおよび前記所定の範囲内のリンクから所定の範囲内のPOIデータと、を含むスクロール用地図データを前記地図データから抽出し、前記スクロール制御手段は前記スクロール用地図データを用いて前記表示手段に地図画像を表示することを特徴とする地図表示システム。
【請求項2】
前記ノードに接続され、該ノードから所定の範囲内のリンクは、該ノードに接続される1本目のリンクを少なくとも含む所定本数のリンクであることを特徴とする請求項1に記載の地図表示システム。
【請求項3】
前記所定の範囲内のPOIデータは、前記ノードおよび前記所定の範囲内のリンクからの直線距離が所定の距離範囲内のPOIデータであることを特徴とする請求項1に記載の地図表示システム。
【請求項4】
前記スクロール用地図データ抽出手段は、河川や海岸線などの自然地物の形状データをスクロール用自然地物データとして抽出し、前記スクロール制御手段は、前記表示画面から前記案内経路の画像が外れる方向にスクロール操作が行われた場合、案内経路が表示画面に表示される範囲において前記スクロール用地図データを用いて地図画像を表示し、前記案内経路が表示画面に表示される範囲を超えるスクロール操作があった場合には、前記スクロール用自然地物データを用いて地図画像を表示することを特徴とする請求項1に記載の地図表示システム。
【請求項5】
前記案内経路が表示画面に表示される範囲を超えるスクロール操作を検出すると、警告のための報知を行い、警告報知後も前記スクロール操作に変更がなかった場合、前記スクロール制御手段は、前記スクロール用自然地物データを用いて地図画像を表示することを特徴とする請求項4に記載の地図表示システム。
【請求項6】
前記スクロール制御手段は、前記表示画面から前記案内経路の画像が外れる方向にスクロール操作が行われた場合、案内経路が表示画面に表示される範囲において前記スクロール用地図データを用いて地図画像を表示し、前記案内経路が表示画面に表示される範囲を超えるスクロール操作があった場合には、当該スクロール操作を無効にすることを特徴とする請求項1に記載の地図表示システム。
【請求項7】
所望の出発地から目的地までの案内経路を探索する経路探索手段と、地図データを蓄積した地図データベースと、を備え、前記案内経路および地図データベースから読み出した地図データを地図表示装置に送信する経路探索サーバにネットワークを介して接続され、前記地図データに基づいて所定の範囲の地図画像を前記案内経路とともに表示手段に表示し、スクロール操作手段により前記表示された地図画像をスクロールする地図スクロール機能を有する地図表示装置において、
前記地図表示装置は、操作入力手段によるスクロール操作を検出するスクロール検出手段と、スクロール検出手段がスクロール操作を検出すると前記地図データからスクロール用地図データを抽出するスクロール用地図データ抽出手段と、スクロール制御手段と、を備え、
前記スクロール用地図データ抽出手段は、前記案内経路を構成する各ノードに接続され、該ノードから所定の範囲内のリンクと、前記各ノードおよび前記所定の範囲内のリンクから所定の範囲内のPOIデータと、を含むスクロール用地図データを前記地図データから抽出し、前記スクロール制御手段は前記スクロール用地図データを用いて前記表示手段に地図画像を表示することを特徴とする地図表示装置。
【請求項8】
前記ノードに接続され、該ノードから所定の範囲内のリンクは、該ノードに接続される1本目のリンクを少なくとも含む所定本数のリンクであることを特徴とする請求項7に記載の地図表示装置。
【請求項9】
前記所定の範囲内のPOIデータは、前記ノードおよび前記所定の範囲内のリンクからの直線距離が所定の距離範囲内のPOIデータであることを特徴とする請求項7に記載の地図表示装置。
【請求項10】
前記スクロール用地図データ抽出手段は、河川や海岸線などの自然地物の形状データをスクロール用自然地物データとして抽出し、前記スクロール制御手段は、前記表示画面から前記案内経路の画像が外れる方向にスクロール操作が行われた場合、案内経路が表示画面に表示される範囲において前記スクロール用地図データを用いて地図画像を表示し、前記案内経路が表示画面に表示される範囲を超えるスクロール操作があった場合には、前記スクロール用自然地物データを用いて地図画像を表示することを特徴とする請求項7に記載の地図表示装置。
【請求項11】
前記案内経路が表示画面に表示される範囲を超えるスクロール操作を検出すると、警告のための報知を行い、警告報知後も前記スクロール操作に変更がなかった場合、前記スクロール制御手段は、前記スクロール用自然地物データを用いて地図画像を表示することを特徴とする請求項10に記載の地図表示装置。
【請求項12】
前記スクロール制御手段は、前記表示画面から前記案内経路の画像が外れる方向にスクロール操作が行われた場合、案内経路が表示画面に表示される範囲において前記スクロール用地図データを用いて地図画像を表示し、前記案内経路が表示画面に表示される範囲を超えるスクロール操作があった場合には、当該スクロール操作を無効にすることを特徴とする請求項7に記載の地図表示装置。
【請求項13】
所望の出発地から目的地までの案内経路を探索する経路探索手段と、地図データを蓄積した地図データベースと、を備え、前記地図データベースから読み出した地図データに基づいて所定の範囲の地図画像を前記案内経路とともに表示手段に表示し、スクロール操作手段により前記表示された地図画像をスクロールする地図スクロール機能を有する地図表示システムにおける地図表示方法において、
前記地図表示システムは、操作入力手段によるスクロール操作を検出するスクロール検出手段と、スクロール検出手段がスクロール操作を検出すると前記地図データからスクロール用地図データを抽出するスクロール用地図データ抽出手段と、スクロール制御手段と、を備え、
前記スクロール用地図データ抽出手段が、前記案内経路を構成する各ノードに接続され、該ノードから所定の範囲内のリンクと、前記各ノードおよび前記所定の範囲内のリンクから所定の範囲内のPOIデータと、を含むスクロール用地図データを前記地図データから抽出するスクロール用地図データ抽出ステップと、前記スクロール制御手段が前記スクロール用地図データを用いて前記表示手段に地図画像を表示する表示ステップと、を有することを特徴とする地図表示方法。
【請求項14】
前記スクロール用地図データ抽出ステップは、前記案内経路を構成する各ノードに接続される1本目のリンクを少なくとも含む所定本数のリンクを抽出する処理を含むことを特徴とする請求項13に記載の地図表示方法。
【請求項15】
前記スクロール用地図データ抽出ステップは、前記案内経路を構成する各ノードおよび前記所定の範囲内のリンクからの直線距離が所定の距離範囲内のPOIデータを抽出する処理を含むことを特徴とする請求項13に記載の地図表示方法。
【請求項16】
前記スクロール用地図データ抽出手段が、河川や海岸線などの自然地物の形状データをスクロール用自然地物データとして抽出するスクロール用自然地物データ抽出ステップを有し、前記表示ステップは、前記表示画面から前記案内経路の画像が外れる方向にスクロール操作が行われた場合、案内経路が表示画面に表示される範囲において前記スクロール用地図データを用いて地図画像を表示し、前記案内経路が表示画面に表示される範囲を超えるスクロール操作があった場合には、前記スクロール用自然地物データを用いて地図画像を表示する処理を含むことを特徴とする請求項13に記載の地図表示方法。
【請求項17】
前記案内経路が表示画面に表示される範囲を超えるスクロール操作を検出すると、警告のための報知を行う警告報知ステップを有し、警告報知後も前記スクロール操作に変更がなかった場合、前記表示ステップは、前記スクロール用自然地物データを用いて地図画像を表示する処理を含むことを特徴とする請求項16に記載の地図表示方法。
【請求項18】
前記表示ステップは、前記表示画面から前記案内経路の画像が外れる方向にスクロール操作が行われた場合、案内経路が表示画面に表示される範囲において前記スクロール用地図データを用いて地図画像を表示し、前記案内経路が表示画面に表示される範囲を超えるスクロール操作があった場合には、当該スクロール操作を無効にする処理を含むことを特徴とする請求項13に記載の地図表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−47468(P2009−47468A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−211697(P2007−211697)
【出願日】平成19年8月15日(2007.8.15)
【出願人】(500168811)株式会社ナビタイムジャパン (410)
【Fターム(参考)】