説明

地図表示システム、情報配信サーバ、地図表示装置および地図表示方法

【課題】複数の表示領域に地図を表示する際、一方の地図の縮尺を変更すると連動して他の地図も同一縮尺にして表示する。
【解決手段】地図表示システムは、所定の緯度、経度範囲のエリアごとの地図データを蓄積した地図データ記憶手段33と、複数の地図表示領域にそれぞれ異なるエリアの地図を表示する地図表示装置を備える。この地図表示システムは、地図縮尺変更検知手段36と、地図縮尺連動手段37と、表示制御手段35と、を備え、表示制御手段35は一方の表示領域に表示された地図を指定された縮尺に従って変更して表示し、地図縮尺変更検知手段36が前記一方の表示領域に表示された地図の縮尺が変更されたことを検出した場合、地図縮尺連動手段37は前記変更された地図の縮尺に基づいて他の表示領域に表示された地図の縮尺を変更し、表示制御手段35は前記他の表示領域に変更された縮尺の地図を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経路探索システムなどにおいて地図を表示する地図表示装置および地図表示方法に関するものであり、特に、複数の地図表示手段や地図表示画面を備えた地図表示装置と情報配信サーバからなる地図表示システムにおいて、同一縮尺の地図を各表示手段や地図表示画面に表示するようにした地図表示システム、情報配信サーバ、地図表示装置および地図表示方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、地図データ、道路データを用いて、所望の出発地から目的地までの経路を探索して利用者を案内するナビゲーション装置、ナビゲーションシステムが知られている。
このようなナビゲーション装置、ナビゲーションシステムとしては自動車に搭載して運転者に経路を案内するカーナビゲーション装置、携帯電話をナビゲーション端末として利用して経路探索サーバに経路探索要求を送り、その結果を受信して経路案内を受ける通信型のナビゲーションシステムなどが実用化されている。
【0003】
上記カーナビゲーション装置は、GPS(Global Positioning System:全地球測位システム)を利用したものであり、地球上を周回している複数のGPS衛星から送信されるGPS信号をGPSアンテナで受信し、該GPS信号に含まれる衛星位置や時計情報等を解析して位置の特定化を行うものである。該複数のGPS衛星の個数は少なくとも4個以上必要である。
【0004】
GPSの単独測位精度は一般的に10m強であるが、DGPS(Differential GPS:ディファレンシャルGPS)を採用することにより5m以下に向上する。特に、現在は一部の携帯電話にしか搭載されていない測位ユニット、例えば、GPS(Global Positioning System)衛星からの信号を受信して測位するGPS受信機などの搭載が、第三世代と称される携帯電話では全ての機種に適用される趨勢にある。
【0005】
また、近年、携帯電話、PHS等の携帯通信端末機器の性能は飛躍的に向上し、また、多機能化が進んでいる。特に通話機能の他にデータ通信機能が強化され、利用者に対してインターネットを介した種々のデータ通信サービスが提供されている。測位機能を有する携帯電話も実現されており、その利用技術として車載用のナビゲーション装置(カーナビ)を発展させ、携帯電話を端末として地図・経路情報を経路探索サーバから配信する歩行者用の通信型ナビゲーションシステムも実用化されている。
【0006】
歩行者用ナビゲーションシステムは、携帯電話、ヘッドフォンステレオ等の音楽プレーヤー、携帯可能な小型ゲーム機、PDA等の携帯端末をナビゲーション端末として利用したシステムであって、交通機関を含めた経路案内機能を付加することが好ましく、経路探索サーバは徒歩経路探索のための道路ネットワークデータに加えて、交通機関の路線や運行時刻データを交通ネットワークデータとして蓄積している。
【0007】
このような歩行者用ナビゲーションシステムは、一般的には、ユーザが指定する出発日時、出発地、目的地、到着時刻等の経路探索条件に基づいて、航空機、列車、電車、バスなどの交通手段を用いて出発地から目的地までの経路を探索して案内する。
【0008】
一般的なナビゲーション装置、通信ナビゲーションシステムに使用される経路探索装置、経路探索方法は、例えば、下記の特許文献1(特開2001−165681号公報)に開示されている。このナビゲーションシステムは、携帯ナビゲーション端末から出発地と目的地の情報を情報配信サーバに送り、情報配信サーバで道路網や交通網のデータから探索条件に合致した経路を探索して案内するように構成されている。探索条件としては、出発地から目的地までの移動手段、例えば、徒歩、自動車、鉄道と徒歩の併用などがあり、これを探索条件の1つとして経路探索する。
【0009】
情報配信サーバは、地図データの道路(経路)をその結節点、屈曲点の位置をノードとし、各ノードを結ぶ経路をリンクとし、全てのリンクのコスト情報(距離や所要時間)をデータベースとして備えている。そして、情報配信サーバは、データベースを参照して、出発地のノードから目的地のノードに至るリンクを順次探索し、リンクのコスト情報が最小となるノード、リンクをたどって案内経路とすることによって最短の経路を携帯ナビゲーション端末に案内することができる。このような経路探索の手法としてはラベル確定法あるいはダイクストラ法と言われる手法が用いられる。上記特許文献1には、このダイクストラ法を用いた経路探索方法も開示されている。
【0010】
経路探索して得た出発地から目的地までの経路のうち、経路の累計コスト(距離または時間)が最小となる経路が最適な案内経路として決定され、案内経路データが作成される。案内経路データには、最適経路のデータの他に地図データ、ガイダンスデータが含まれ、案内経路データは必要に応じて案内データ記憶手段から読み出され表示手段に表示される。一般的には、ナビゲーション装置が有するGPS受信機を用いて測位したナビゲーション装置の現在位置を含む一定の縮尺、一定の範囲の地図に、案内経路と、ナビゲーション装置の現在位置を示すマークを重ね合わせ、該現在位置マークが表示画面の中心になるように表示する。
【0011】
このように一般的なナビゲーションシステムにおいては、各交通機関の路線データや運行時刻データをデータベース化した交通ネットワークデータを参照して、乗り継ぎを含めて出発地と目的地を結ぶ、利用可能な各交通手段を経路として順次たどり、経路探索条件に合致する案内経路(列車などの交通手段)の候補を1つまたは複数提示する。経路探索条件としては更に、所要時間、乗り継ぎ回数、運賃などの条件を指定できるようにされているのが一般的である。
【0012】
特に、近年のナビゲーションシステムにおいては端末としての携帯電話も含めてモニタ画面が大型化およびワイド化しているため、1つのモニタ画面を2画面以上に分割し、片側の第1画面には出発地または現在地周辺の詳細地図を表示し、他側の第2の画面には目的地周辺の広域地図を表示するなどの、種々の態様で各種情報を複数画面に表示することができるようになっている。
【0013】
このような技術背景から、2画面表示を行う地図表示に際して自動的に適切な地図画面表示を行う技術が、例えば、下記の特許文献2(特開2005−321268号公報)に「ナビゲーション装置」として開示されている。
上記特許文献2には、車両などが目的地に近づくと2画面表示していた地図を現在地と目的地が入る1画面の地図で表示する技術が記載されている。これにより意味のない2画面表示を行うことなく、適切な地図表示を行うことができる。
【0014】
【特許文献1】特開2001−165681号公報
【特許文献2】特開2005−321268号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
ところで、探索条件を設定して経路探索をすると徒歩ルートを含んだ出発地と目的地が表示された周辺地図がそれぞれの画面に出力され、乗り換えの案内ガイダンスなど経路探索結果が出力される際に、通常探索結果として出力される出発地と目的地の周辺地図は、徒歩ルートの距離に応じて縮尺を異ならせて別々に表示されることがある。
【0016】
同一サイズの表示画面に表示されると見た目には同じように見える地図でも縮尺が違えば歩行に要する距離が違うため、実際の距離感を失ってしまい実際に歩いてみると、案内ガイダンスとして徒歩時間が表示されていたとしても地図で見た距離感と異なる印象を受ける場合があるという問題がある。
【0017】
また、上記特許文献2に開示された従来技術では、2画面に表示された地図の縮尺を連動して変えることはできず、地図を2以上の複数画面に表示して経路を比較するといったことができず、上記のような課題を解決することができないという問題点が生じていた。
【0018】
本願の発明者は、上記の問題点を解消すべく種々検討を重ねた結果、出発地と目的地が表示されている周辺地図の片方の画面の縮尺を変えるともう片方の画面も連動して同じように縮尺を変えることにより、上記問題点を解消し得ることを想到して本発明を完成するに至ったものである。
【0019】
すなわち、本発明は上記の問題点を解消することを課題とし、2以上の複数画面に地図を表示する地図表示システムにおいて、それらの地図の縮尺を連動させて変更して表示するようにした地図表示システム、情報配信サーバ、地図表示装置および地図表示方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
前記課題を解決するために、本願の請求項1にかかる地図表示システムの発明は、
所定の緯度、経度範囲のエリアごとの地図データを蓄積した地図データ記憶手段と、複数の地図表示領域にそれぞれ異なるエリアの地図を表示する地図表示装置を備えた地図表示システムにおいて、
前記地図表示システムは、地図縮尺変更検知手段と、地図縮尺連動手段と、表示制御手段と、を備え、前記表示制御手段は一方の表示領域に表示された地図を指定された縮尺に従って変更して表示し、前記地図縮尺変更検知手段が前記一方の表示領域に表示された地図の縮尺が変更されたことを検出した場合、前記地図縮尺連動手段は前記変更された地図の縮尺に基づいて他の表示領域に表示された地図の縮尺を変更し、前記表示制御手段は前記他の表示領域に変更された縮尺の地図を表示することを特徴とする。
【0021】
本願の請求項2にかかる発明は、請求項1にかかる地図表示システムにおいて、
前記地図表示システムは、更に、地図表示装置の現在位置を測位する測位手段と、経路探索条件に基づいて出発地から目的地までの経路を探索する経路探索手段と、を備え、
前記表示制御手段は、前記経路探索手段により探索された案内経路を含む地図を表示するとともに、前記測位手段により測位した現在位置を示す現在位置マークを地図上に表示する制御を行うように構成したことを特徴とする。
【0022】
本願の請求項3にかかる発明は、請求項1にかかる地図表示システムにおいて、
前記表示制御手段は、何れかの表示領域に表示された地図の縮尺を変更する指定があった場合、当該表示領域に表示されている地図の地図データに基づいて、地図を拡大または縮小して表示することを特徴とする。
【0023】
本願の請求項4にかかる発明は、請求項1にかかる地図表示システムにおいて、
前記地図データ記憶手段には、緯度、経度範囲のエリアごとに異なる縮尺の地図データを蓄積し、前記表示制御手段は、何れかの表示領域に表示された地図の縮尺を変更する指定があった場合、前記地図データ記憶手段に蓄積された異なる縮尺の地図データから該当する縮尺の地図データを読み出して表示することを特徴とする。
【0024】
また、本願の請求項5にかかる情報配信サーバの発明は、
所定の緯度、経度範囲のエリアごとの地図データを蓄積した地図データ記憶手段を備え、複数の地図表示領域にそれぞれ異なるエリアの地図を表示する地図表示装置に、該地図表示装置から要求された地図データを提供する情報配信サーバにおいて、
前記情報配信サーバは、地図縮尺変更検知手段と、地図縮尺連動手段と、表示制御手段と、を備え、前記表示制御手段は一方の表示領域に表示された地図を指定された縮尺に従って変更して表示し、前記地図縮尺変更検知手段が前記一方の表示領域に表示された地図の縮尺が変更されたことを検出した場合、前記地図縮尺連動手段は前記変更された地図の縮尺に基づいて他の表示領域に表示された地図の縮尺を変更し、前記表示制御手段は前記他の表示領域に変更された縮尺の地図を表示することを特徴とする。
【0025】
本願の請求項6にかかる発明は、請求項5にかかる情報配信サーバにおいて、
前記情報配信サーバは更に、経路探索条件に基づいて出発地から目的地までの経路を探索する経路探索手段と、を備え、
前記表示制御手段は、前記経路探索手段により探索された案内経路を含む地図を表示するとともに、地図表示装置の現在位置を示す現在位置マークを地図上に表示する制御を行うように構成したことを特徴とする。
【0026】
本願の請求項7にかかる発明は、請求項5にかかる情報配信サーバにおいて、
前記表示制御手段は、何れかの表示領域に表示された地図の縮尺を変更する指定があった場合、当該表示領域に表示されている地図の地図データに基づいて、地図を拡大または縮小して表示することを特徴とする。
【0027】
本願の請求項8にかかる発明は、請求項5にかかる情報配信サーバにおいて、
前記地図データ記憶手段には、緯度、経度範囲のエリアごとに異なる縮尺の地図データを蓄積し、前記表示制御手段は、何れかの表示領域に表示された地図の縮尺を変更する指定があった場合、前記地図データ記憶手段に蓄積された異なる縮尺の地図データから該当する縮尺の地図データを読み出して表示することを特徴とする。
【0028】
また、本願の請求項9にかかる地図表示装置の発明は、
所定の緯度、経度範囲のエリアごとの地図データを蓄積した地図データ記憶手段を備え、地図表示装置に該地図表示装置から要求された地図データを提供する情報配信サーバにネットワークを介して接続され、複数の地図表示領域にそれぞれ異なるエリアの地図を表示する地図表示装置において、
前記地図表示装置は、地図縮尺変更検知手段と、地図縮尺連動手段と、表示制御手段と、を備え、前記表示制御手段は一方の表示領域に表示された地図を指定された縮尺に従って変更して表示し、前記地図縮尺変更検知手段が前記一方の表示領域に表示された地図の縮尺が変更されたことを検出した場合、前記地図縮尺連動手段は前記変更された地図の縮尺に基づいて他の表示領域に表示された地図の縮尺を変更し、前記表示制御手段は前記他の表示領域に変更された縮尺の地図を表示することを特徴とする。
【0029】
本願の請求項10にかかる発明は、請求項9にかかる地図表示装置において、
前記情報配信サーバは更に、経路探索条件に基づいて出発地から目的地までの経路を探索する経路探索手段と、を備え、
前記表示制御手段は、前記経路探索手段により探索された案内経路を含む地図を表示するとともに、地図表示装置の現在位置を示す現在位置マークを地図上に表示する制御を行うように構成したことを特徴とする。
【0030】
本願の請求項11にかかる発明は、請求項9にかかる地図表示装置において、
前記表示制御手段は、何れかの表示領域に表示された地図の縮尺を変更する指定があった場合、当該表示領域に表示されている地図の地図データに基づいて、地図を拡大または縮小して表示することを特徴とする。
【0031】
本願の請求項12にかかる発明は、請求項9にかかる地図表示装置において、
前記地図データ記憶手段には、緯度、経度範囲のエリアごとに異なる縮尺の地図データを蓄積し、前記表示制御手段は、何れかの表示領域に表示された地図の縮尺を変更する指定があった場合、前記地図データ記憶手段に蓄積された異なる縮尺の地図データから該当する縮尺の地図データを読み出して表示することを特徴とする。
【0032】
また、本願の請求項13にかかる地図表示方法の発明は、
所定の緯度、経度範囲のエリアごとの地図データを蓄積した地図データ記憶手段と、複数の地図表示領域にそれぞれ異なるエリアの地図を表示する地図表示装置を備えた地図表示システムにおける地図表示方法において、
前記地図表示システムは、地図縮尺変更検知手段と、地図縮尺連動手段と、表示制御手段と、を備え、
前記表示制御手段が一方の表示領域に表示された地図を指定された縮尺に従って変更して表示するステップと、前記地図縮尺変更検知手段が前記一方の表示領域に表示された地図の縮尺が変更されたことを検出するステップと、前記一方の表示領域に表示された地図の縮尺が変更されたことを検出された場合、前記地図縮尺連動手段が前記変更された地図の縮尺に基づいて他の表示領域に表示された地図の縮尺を変更するステップと、前記表示制御手段が前記他の表示領域に変更された縮尺の地図を表示するステップとを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0033】
請求項1にかかる発明においては、所定の緯度、経度範囲のエリアごとの地図データを蓄積した地図データ記憶手段と、複数の地図表示領域にそれぞれ異なるエリアの地図を表示する地図表示装置を備えた地図表示システムにおいて、
前記地図表示システムは、地図縮尺変更検知手段と、地図縮尺連動手段と、表示制御手段と、を備え、前記表示制御手段は一方の表示領域に表示された地図を指定された縮尺に従って変更して表示し、前記地図縮尺変更検知手段が前記一方の表示領域に表示された地図の縮尺が変更されたことを検出した場合、前記地図縮尺連動手段は前記変更された地図の縮尺に基づいて他の表示領域に表示された地図の縮尺を変更し、前記表示制御手段は前記他の表示領域に変更された縮尺の地図を表示する。
【0034】
このような構成によれば、複数の地図表示領域にそれぞれ異なるエリアの地図を表示する際に、一方に表示された地図の縮尺を変更すると、他方に表示された地図の縮尺も連動して同じ縮尺に変更して表示することができるようになる。このため、同一縮尺の地図上で徒歩経路の比較等を行うことができるようになる。
【0035】
請求項2にかかる発明においては、請求項1にかかる地図表示システムにおいて、地図表示システムは、更に、地図表示装置の現在位置を測位する測位手段と、経路探索条件に基づいて出発地から目的地までの経路を探索する経路探索手段と、を備え、前記表示制御手段は、前記経路探索手段により探索された案内経路を含む地図を表示するとともに前記測位手段により測位した現在位置を示す現在位置マークを地図上に表示する。
【0036】
このような構成によれば、複数の地図表示領域にそれぞれ異なるエリアの地図を表示する際に、経路探索により探索された案内経路を含む地図を現在位置マークとともに表示することができ、一方に表示された地図の縮尺を変更すると、他方に表示された地図の縮尺も連動して同じ縮尺に変更して表示することができるようになる。このため、同一縮尺の地図上で徒歩経路の比較等を行うことができるようになる。
【0037】
請求項3にかかる発明においては、請求項1にかかる地図表示システムにおいて、前記表示制御手段は、何れかの表示領域に表示された地図の縮尺を変更する指定があった場合、当該表示領域に表示されている地図の地図データに基づいて、地図を拡大または縮小して表示する。
【0038】
このような構成によれば、変更を指定された縮尺に基づいて、地図データ記憶手段に蓄積された地図データを拡大または縮小して表示するから地図データの記憶量を抑制することができる。
【0039】
請求項4にかかる発明においては、請求項1にかかる地図表示システムにおいて、前記地図データ記憶手段には、緯度、経度範囲のエリアごとに異なる縮尺の地図データを蓄積し、前記表示制御手段は、何れかの表示領域に表示された地図の縮尺を変更する指定があった場合、前記地図データ記憶手段に蓄積された異なる縮尺の地図データから該当する縮尺の地図データを読み出して表示する。
【0040】
このような構成によれば、縮尺の異なる地図データを用いるため、縮尺に応じた適切な情報量をもった地図を表示することができるようになる。
【0041】
また、請求項5〜請求項8にかかる発明においては、それぞれ請求項1〜請求項4にかかる地図表示システムを構成する情報配信サーバを提供することができ、請求項9〜請求項12にかかる発明においては、それぞれ請求項1〜請求項4にかかる地図表示システムを構成する地図表示装置を提供することができるようになる。また、請求項13にかかる発明においては、請求項1にかかる地図表示システムを実現する地図表示方法を提供することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
以下、本発明の具体例を実施例及び図面を用いて詳細に説明する。但し、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための地図表示システムを例示するものであって、本発明をこの地図表示システムに特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態の地図表示システムにも等しく適用し得るものである。
【実施例1】
【0043】
図1は、本発明の実施例にかかる地図表示システムを構成する経路探索システム10を示すシステム構成図である。本発明の実施例にかかる経路探索システム10は、インターネットなどの通信回線12を介して接続されるユーザ端末装置20と各種情報を提供する経路探索サーバ30とから構成されている。ユーザ端末装置20は、例えば、パーソナルコンピュータ(PC)20−1、ノートPC20−2、PDA(Personal Digital Assistant)端末20−3、携帯電話端末20−4のほかに、携帯ゲーム端末や携帯音楽端末などの移動端末を用いることができる。
【0044】
図1に示すように、経路探索システム10は、ユーザ端末装置20と、経路探索サーバ30とが通信回線12を介して接続され、通信型の経路探索システムとして構成されている。本実施例においては経路探索サーバ30がナビゲーション機能を有するサーバである場合を説明するが、サーバは、一般的な地図検索、公共交通機関の路線検索、興味対象場所(POI)検索などのサービスを提供するとともに検索結果と地図データを端末装置に提供する情報配信サーバであってもよい。
【0045】
図2は、本実施例における地図表示装置であるユーザ端末装置20および経路探索サーバ30の構成を示すブロック図である。ユーザ端末装置20は、例えばナビゲーション端末としての機能を有する携帯電話を用いることができる。また、ユーザ端末装置20は携帯電話に限らず、音楽プレーヤー、ゲーム機器、PDAなどの携帯機器、パーソナルコンピュータ(PC)などを用いることもできる。
【0046】
ユーザ端末装置20は、歩行者が携帯し、無線により基地局と通信し、基地局を介してインターネットなどの通信回線12を経由して経路探索サーバ30と接続関係が確立され、移動手段(徒歩あるいは自動車など)や現在位置または所望の出発地と目的地を経路探索条件として設定して経路探索サーバ30に経路探索要求を送信する。経路探索サーバ30は、経路探索条件に従って、道路ネットワークデータを参照し最適経路を探索し、その最適経路を案内経路データ(地図情報、経路探索の結果など)に編集してユーザ端末装置20に配信する。
【0047】
ユーザ端末装置20は、図2に示すように制御手段21、通信手段22、測位手段23、インターネットブラウザ手段24、データ記憶手段25、入力手段26、表示手段27などを備えて構成されている。ユーザは、ユーザ端末装置20において経路探索サーバ30に経路探索を依頼しようとする場合、入力手段26を操作してインターネットブラウザ手段24を起動させ、サービスメニュー画面や所定の入力画面を表示手段27に表示する。
【0048】
ユーザは、サービスメニュー画面を用いて、出発地や目的地、移動手段(徒歩や徒歩と交通機関併用、自動車など)、出発予定時刻や到着希望時刻などの経路探索条件の入力を行う出発地として現在位置を選択すると測位手段23が取得している現在位置が出発地として使用される。また、経路探索サーバ30から受信した案内経路や地図のデータはユーザ端末装置20内に一時記憶され、表示手段27に案内経路データや地図データを表示する。
【0049】
制御手段21は、マイクロプロセッサを中心に構成され、一般的なコンピュータ装置と同様にRAM、ROMを備えており、ROMに格納された制御プログラムによって各部の動作を制御する。
通信手段22は、通信回線12を介してインターネットに接続し、経路探索サーバ30と通信するためのインターフェースであり、無線通信ユニットを含み、インターネット網を介したパケット通信の他、携帯電話基地局との無線通信も行うように構成されている。
【0050】
測位手段23は、GPS受信機を備え、GPS衛星信号を受信、処理してユーザ端末装置20の現在位置(緯度・経度)を測位する。測位手段23で測位されたユーザ端末装置20の現在位置情報は通信手段22を介して経路探索サーバ30に送られる。測位手段23を構成するGPS受信機は、Autonomous(オートノーマス)、MS−Based、A−GPSいずれの方式でも良い。A−GPSの場合は、立ち止まると測位を停止することもできるので、経路探索サーバ30との間の通信トラフィックを軽減する効果も得られる。
【0051】
インターネットブラウザ手段24は、インターネットサイトを閲覧するためのソフトウェアであり、地図案内サイト画面、経路探索条件入力画面、経路探索結果画面などの複数のインターフェース画面画像から構成されている。例えば、経路探索条件入力画面から入力手段26を使用して入力された出発地、目的地、移動手段などの経路探索条件を経路探索サーバ30に送り、経路探索の要求を行う。
【0052】
出発地、目的地は緯度、経度によって指示するのが一般的であるが、住所や電話番号を入力し、経路探索サーバ30のデータベースで緯度、経度の情報に変換する方法や、ユーザ端末装置20に表示されている地図上でポイントを指定し緯度、経度の情報に変換する方法を用いてもよい。出発地の情報としては、測位手段23で測位したユーザ端末装置20の現在位置を出発地として、測位地点の緯度、経度の情報を使用することもできる。移動手段は、例えば、徒歩、自動車、徒歩と交通機関の併用などである。
【0053】
データ記憶手段25は、経路探索サーバ30から配信された経路探索結果である案内経路データ、地図データ、ガイダンスデータなどの配信データを記憶するものであり、これらのデータは必要に応じてデータ記憶手段25から読み出され、表示手段27に表示される。一般的には、測位手段23で測位したユーザ端末装置20の現在位置を含む一定の縮尺、一定の範囲の地図に、案内経路と、ユーザ端末装置20の現在位置を示すマークを重ね合わせて該現在位置マークが表示画面の中心になるように表示する。
【0054】
測位した位置情報には誤差が含まれるため、現在位置が案内経路からずれている場合には現在位置を案内経路上に補正するルートマッチング処理が行われる。また、経路探索サーバ30から配信される案内経路データに音声ガイドのデータが付加されている場合は、例えば、交差点や分岐点(案内ポイント)にユーザ端末装置20が近づいた際に、「この先、300m交差点です。左折して下さい」などの音声メッセージを、スピーカを介して再生出力してユーザをガイドする。
【0055】
入力手段26は、数字キーやアルファベットキーやその他の機能キー、選択キー、スクロールキーなどからなり、表示手段27に表示されるメニュー画面から所望のメニューを選択し、あるいは、数字やアルファベットキーを操作して出発地、目的地の情報などの種々の経路探索の条件を入力するものである。
【0056】
表示手段27は、ディスプレイや液晶表示装置などからなり、2以上の複数画面を表示可能であり、経路探索サーバ30から配信を受けた案内経路データに従って、地図データや該案内経路データに設定された案内(ガイド)を表示したり、音声ガイドしたり、案内ポイントのノードにアイコンを表示するものである。
【0057】
経路探索サーバ30は、図2に示すように、制御手段31、経路探索手段32、地図データ記憶手段33、通信手段34、表示制御手段35、地図縮尺変更検知手段36、地図縮尺連動手段37を備えて構成されている。
制御手段31は、マイクロプロセッサを中心に構成され、一般的なコンピュータ装置と同様にRAM、ROMを備えており、ROMに格納された制御プログラムによって各部の動作を制御する。
【0058】
経路探索手段32は、ユーザ端末装置20から送信される出発地、目的地などの経路探索条件や現在位置の情報に基づいて、地図データ記憶手段33を参照して、出発地から目的地までの経路探索を行う。このような経路探索の手法としてはラベル確定法あるいはダイクストラ法と言われる手法が用いられる。このような構成は一般のナビゲーションシステムと同様のものである。
【0059】
地図データ記憶手段33は、地図画像データを蓄積している。地図データ記憶手段33に記憶される地図画像データはベクター形式で作成された地図データであり、A?Dの4階層(レイヤ)、すなわち、密度の低い種類の地図である広域図から密度の高い種類の地図である市街地図までのそれぞれ異なる情報から構成される地図データである。
【0060】
通信手段34は、通信回線12を介してユーザ端末装置20と通信するためのインターフェースであり、ユーザ端末装置20から経路探索条件を受信し、また、経路探索手段32で探索した最適な経路探索の結果である案内経路のデータ、地図データ、案内データ等のユーザ端末装置20に要求されたデータやサービスに必要な案内経路データをユーザ端末装置20に配信するためのものである。
【0061】
案内経路データは、ベクターデータとして作成された案内経路に地図データが付加されて配信され、経路探索手段32で探索された案内経路上の出発地、経路の屈曲点、交差点、目的地などのガイドポイントが設定され、それらのガイドポイントの位置座標(緯度・経度)、各ガイダンスポイントに関連する案内情報(直進や右左折のガイダンス情報)が含まれる。ユーザ端末装置20は、配信された地図データと案内経路データを受信し、地図および案内経路を表示し、ガイダンスポイントに到着した時点で所定のガイドを表示または音声で出力する。
【0062】
表示制御手段35は、経路探索手段32により探索した案内経路データを地図データ記憶手段33から読み出された現在位置を含む地図データに埋め込み、通信手段34を介してユーザ端末装置20に配信し、表示手段27に複数の地図画面を表示する制御を行う。
地図縮尺変更検知手段36は、ユーザ端末装置20からの入力操作によって所望の縮尺の地図が選択されたことに応じて出力された制御信号を検出することによって地図の縮尺が変更されたことを検知する。
【0063】
地図縮尺連動手段37は、地図データ拡縮処理機能を備え、地図縮尺変更検知手段36の検出結果に基づき、各表示画面に表示される地図データとして同一階層の地図データを地図データ記憶手段33から読み出し、同一倍率の拡縮処理を行うことで地図の縮尺を連動して変更する。
【0064】
地図データ記憶手段33に記憶される地図データは、ベクター形式で作成されている。一般に地図データは、ビットマップ形式で作成される場合とベクター形式で作成される場合がある。地図データの内容が同一であり、単に当該地図を縮小、拡大する場合、ビットマップ形式で作成された地図データは、所望の縮小率、拡大率で縮小、拡大したビットマップデータを予め作成しておく必要がある。
【0065】
このため、各階層の地図データの他に、縮小、拡大した地図データを予め作成しておくことになる。これに対して、ベクター形式で作成された地図データは、地図を構成する各要素ベクターの大きさを所望の長さを縮小率、拡大率で演算することによって容易に拡縮処理することができ、ある階層の地図データに基づいて異なる縮小率、拡大率に拡縮した地図データを得ることができる。
【0066】
図3は、地図の種別と地図データの蓄積範囲の対応関係を記憶した地図データ管理テーブルの構成を示す図であり、この地図データ管理テーブルは、密度の低い種類の地図である広域図1?密度の高い種類の地図である市街地図1の4階層の地図データについて、地図データ記憶手段33が蓄積している地図データがどの種別の地図データとなるか、地図縮尺連動手段37が拡縮処理を行う地図データがどの種別の地図データとなるかを記憶したものである。
【0067】
図3の地図データ管理テーブルに示すように、地図データ記憶手段33には広域図1、中域図1、詳細図1、市街地図1のように地図データが持つ情報量が異なる。このように種類の異なる4階層(A?D)の地図データを保存しておき、地図縮尺連動手段37において地図データ記憶手段33から読み出された地図データから所定の比率で縮小、拡大演算を行うことによって容易に拡大、縮小した地図データを生成することができる。
【0068】
すなわち、ある階層の地図データから所定の比率で拡大、縮小した地図データを容易に作成できる。例えば、階層Aの広域図1の地図データから所定の比率で拡大した広域図2、広域図3という地図データを作成することができる。他の階層の地図データについても同様である。
【0069】
次に本発明の実施例にかかるユーザ端末装置20の地図表示方法の動作手順について図4のフローチャートを参照して説明する。図4は、本発明の実施例にかかるユーザ端末装置の動作手順を示すフローチャートである。
【0070】
図4に示す動作手順は、ユーザ端末装置20の制御手段21がROMに記憶された制御プログラムを実行することで実現される。
先ず、ステップS41の処理において、インターネットに接続して経路探索・地図案内サイトにアクセスすると、図5に示すように、地図案内サイト画面が表示手段27に表示される。
【0071】
図5は、ステップ41のルート検索サイト選択処理の際に表示手段27に表示される地図案内サイト画面の一例を示す図である。表示画面50の中央には、スクロール移動可能な態様で地図データを表示することができる地図表示領域51が設けられており、その右上隅に設けられた縮尺変更ツールアイコン52の操作により所望の縮尺の地図を選択することができる。
【0072】
縮尺変更ツールアイコン52には、表示画面50に表示されている地図を、マニュアルでズームイン(拡大)、ズームアウト(縮小)するためのズームインボタン「+」、ズームアウトボタン「?」と、広域図1?市街地図3までの所望の縮尺の地図を選択できる選択肢ボタンが表示され、ズームインボタン、ズームアウトボタン、選択肢ボタンの操作により所望の縮尺の地図を選択することができる。
【0073】
また表示画面50の左側には、地図表示領域51に表示される地図を検索するために住所等の検索条件を入力するための検索条件入力欄53、経路探索サーバ30へ検索条件の送信を実行するための検索条件送信アイコン54、経路探索・地図案内サイトのメニュー画面へ移行するためのメニューアイコン55、経路探索を行うための経路探索条件入力画面へ移行するためのルート検索アイコン56、および地図表示領域51に表示される地図中に存在する店舗などの興味対象場所(POI)情報を表示するための周辺情報アイコン57が表示されている。
【0074】
図4に示すように、ステップS41の処理においてルート検索アイコン56の選択入力があると、ステップS42の処理において、図6に示すように、選択された経路探索条件入力画面が表示手段27に表示される。
【0075】
図6は、ステップS42の経路探索条件入力処理の際に表示手段27に表示される経路探索条件入力画面の一例を示す図である。表示画面60には、出発地を入力するための出発地入力欄61、目的地を入力するための目的地入力欄62、経由地を入力するための経由地入力欄63、経路案内の出発日時や到着日時などを入力するための日時指定欄64、経路案内時に利用する交通手段を入力するための交通手段入力欄65、経路案内時に経路探索結果の表示順序を指定するための表示順序入力欄66、経路案内時に利用する路線を入力するための使用路線入力欄67、および経路探索サーバ30へ検索条件の送信を実行するための探索開始アイコン68が表示されている。
【0076】
ステップS42の処理において、出発地と目的地を必須事項として入力し、経由地がある場合には経由地を入力し、日時や交通手段、経路探索結果の表示順序や使用路線などを含む経路探索条件を選択入力して探索開始アイコン68を選択することにより経路探索を要求すると、ステップS43の処理において、通信手段22を介して経路探索サーバ30から案内経路データなどを受信し、図7に示すように、案内経路データに従って探索結果を表示手段27に表示する。
【0077】
図7は、ステップS43の経路探索結果表示処理の際に表示手段27に表示される経路探索結果画面の一例を示す図である。表示画面70には、スクロール移動可能な態様で地図データを表示することができる第1の地図表示領域71と第2の地図表示領域72とが設けられている。第1の地図表示領域71には出発地周辺の地図が表示され、出発地から最寄り駅までのルート線が視認可能な態様で引かれている。
【0078】
また第2の地図表示領域72には目的地周辺の地図が表示され、最寄り駅から目的地までのルート線が視認可能な態様で引かれている。そして表示画面の下側には、探索結果として経路候補の一覧75が第3候補まで表示されている。
【0079】
また、それぞれの地図表示領域の右上隅に設けられている縮尺変更ツールアイコン73、74の操作により所望の縮尺の地図を選択することができる。
ステップS44の処理において、地図縮尺変更検知手段36によって縮尺変更ツールアイコン73または74の操作が検知されたかを判定する。
【0080】
ステップS44の判定処理において、縮尺変更ツールアイコン73または74の操作が検知されていなければステップS43の処理に戻り、一方、地図縮尺変更検知手段36により、第1または第2のどちらか片方の地図表示領域に表示されている地図の縮尺を変更するための縮尺変更ツールアイコン73または74の操作を検知すると、ステップS45の処理において、地図縮尺連動手段37によってもう片方の表示領域に表示されている地図の縮尺も連動して変更して処理を終了する。これにより第1および第2の地図表示領域に表示されている地図は必ず同一の縮尺となる。
【0081】
ステップS43からステップS45への処理ステップの間に第1および第2の地図表示領域に表示される画面の遷移が図8および図9に示されている。
図8は第1の地図表示領域に表示される画面の遷移の1例を示す図であり、図9は第2の地図表示領域に表示される画面の遷移の1例を示す図である。
【0082】
ステップS43の処理において、第1の地図表示領域71は図8の画面1に示す詳細図2の表示状態に、また第2の地図表示領域72は図9の画面1に示す詳細図2の表示状態になっているものとする。この状態でステップS44の処理において縮尺変更ツールアイコン73が操作されると、ステップS45の処理において、第1の地図表示領域71は図8の画面2に示す市街地図2の表示状態に変更されるとともに、第2の地図表示領域72は図9の画面2に示す市街地図2の表示状態に変更される。
【0083】
なお、図6の経路探索条件入力画面において、経由地を入力して設定した場合、図7の経路探索結果画面において経由地の地図を第3の地図表示領域として表示するようにしてもよい。この場合は、経由地を複数設定すれば設定した数だけ地図表示領域が表示される。
経由地を設定しなかった場合でも途中の乗り換え駅を表示するようにしてもよい。乗り換え駅が1つだけでなく複数ある場合も同様に複数の地図表示領域を表示する。
第3以降の複数の地図表示領域に表示されている地図の縮尺も第1および第2の地図表示領域に表示されている地図と同じように連動して縮尺が変更される。
【0084】
図10は、ステップ43の経路探索結果表示処理の際に表示手段27に表示される経路探索結果画面のその他の一例を示す図である。表示画面100には、出発地周辺の地図データを表示することができる第1の地図表示領域101、目的地周辺の地図データを表示することができる第2の地図表示領域102の他に、経由地周辺の地図データを表示することができる第3の地図表示領域103と、乗り換え駅周辺の地図データを表示することができる第4の地図表示領域104が形成されている。
【0085】
これらの表示領域に表示された地図データはスクロール移動可能な態様で表示でき、それぞれの表示領域の右上隅に設けられた縮尺変更ツールアイコン105、106,107、108の操作により所望の縮尺の地図を選択することができる。
【0086】
これらのどれか1つの地図表示領域の縮尺を変更すると他の全ての地図表示領域について連動して同じ縮尺に変更される。
さらに、地図の縮尺の連動以外にも、例えば地図が回転できる場合は、複数の地図の回転を連動してもよい。
【0087】
また、上記の実施例では、経路探索サーバ30の地図データ記憶手段33に広域図1、中域図1、詳細図1、市街地図1のように種類の異なる4階層(A?D)の地図データを保存しておき、地図縮尺連動手段37において、地図データ記憶手段33から読み出された地図データから所定の比率で縮小、拡大演算を行う構成を説明した。
【0088】
しかしながら、本発明はこのような構成によらず、地図データ記憶手段33には種類の異なる4階層(A?D)の地図データを保存しておき、階層が異なる地図データが必要になった時点で経路探索サーバ30からユーザ携帯端末装置20に地図データを配信する構成にしてもよい。そして、ユーザ端末装置20側で、配信された地図データから所定の比率で縮小、拡大演算を行うことによって容易に拡大、縮小した地図データを生成する構成にしてもよい。
【0089】
このような構成にすれば、経路探索サーバ30と携帯端末装置20との間の地図データの通信は、階層の異なる地図が必要になった時だけに行えばよくなり、地図データの通信負荷を軽減することができるようになる。
【0090】
以上、詳細に説明したように、本発明にかかる経路探索システムによれば、出発地が表示された第1の表示画面と、目的地が表示された第2の表示画面と、経由地または乗り換え地点が表示された第3以上の表示画面とを備え、1つの表示画面に表示された地図の縮尺を変更するとそれに連動して他の表示画面に表示された地図の縮尺も同一に変更することを特徴としているため、複数の表示画面に表示された地図の縮尺を連動させることにより、同一縮尺で実施の徒歩ルートを視認することができるようにした経路探索システムを提供することができる。
【0091】
地図が別々の縮尺で表示された場合、必ず地図上に徒歩ルート線が収まるように表示(描画)されるため距離感が掴めないことがあったが、本発明のように同一縮尺で地図表示されれば、どのくらい歩けばよいのか事前に判断することが容易になるため、本発明にかかる経路探索システムの利便性を向上することができるようになる。
【0092】
本実施例においては、ユーザ端末装置と経路探索サーバとからなる通信型の経路探索システムとして説明したが、本発明は通信型の経路探索システムに限られることはなく、地図データの更新が管理可能であれば、ユーザ端末装置と経路探索サーバが一体となったスタンドアロンで動作する携帯情報装置にデータをダウンロードして、携帯情報端末単独で経路案内を行う際に本発明を適用してもよい。
【0093】
また、本発明にかかる経路探索システムは上記の構成に限られるものではなく、ユーザ端末装置として携帯電話やPDAなどの携帯電子装置であってもよく、また、経路探索サーバは、歩行者に対するナビゲーション機能の他に自動車用のナビゲーション機能をあわせ持つサーバであってもよい。さらに、ナビゲーション機能を持たないシステムであってもよく、また、ナビゲーションサービス対応でない携帯電話やGPS測位手段を持たない携帯電話であってもよい。GPS測位手段を持たない携帯電話の場合、基地局に対する位置登録により通信エリアの位置情報を取得し、経路探索サーバはこの位置情報を携帯電話から受信して位置を判別すればよい。
【産業上の利用可能性】
【0094】
本発明にかかる地図表示システムは、携帯電話に搭載した地図表示アプリケーションにより実施しても良く、また、パーソナルコンピュータ(PC)に地図表示サービスを提供する地図サイトとして実施することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本発明の実施例にかかる経路探索システムの構成を示すシステム構成図である。
【図2】本発明の実施例におけるユーザ端末装置20および経路探索サーバ30の構成を示すブロック図である。
【図3】地図の種別と地図データの蓄積範囲の対応関係を記憶した地図データ管理テーブルの構成を示す図である。
【図4】本発明の実施例にかかるユーザ端末装置の動作手順を示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施例にかかる地図案内サイト画面の一例を示す図である。
【図6】本発明の実施例にかかる経路探索条件入力画面の一例を示す図である。
【図7】本発明の実施例にかかる経路探索結果画面の一例を示す図である。
【図8】本発明の実施例にかかる第1の地図表示領域に表示される画面の遷移の1例を示す図である。
【図9】本発明の実施例にかかる第2の地図表示領域に表示される画面の遷移の1例を示す図である。
【図10】本発明の実施例にかかる経路探索結果画面のその他の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0096】
10・・・・経路探索システム
12・・・・通信回線
20・・・・ユーザ端末装置
21・・・・制御手段
22・・・・通信手段
23・・・・測位手段
24・・・・インターネットブラウザ手段
25・・・・データ記憶手段
26・・・・入力手段
27・・・・表示手段
30・・・・経路探索サーバ
31・・・・制御手段
32・・・・経路探索手段
33・・・・地図データ手段
34・・・・通信手段
35・・・・表示制御手段
36・・・・地図縮尺変更検知手段
37・・・・地図縮尺連動手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の緯度、経度範囲のエリアごとの地図データを蓄積した地図データ記憶手段と、複数の地図表示領域にそれぞれ異なるエリアの地図を表示する地図表示装置を備えた地図表示システムにおいて、
前記地図表示システムは、地図縮尺変更検知手段と、地図縮尺連動手段と、表示制御手段と、を備え、前記表示制御手段は一方の表示領域に表示された地図を指定された縮尺に従って変更して表示し、前記地図縮尺変更検知手段が前記一方の表示領域に表示された地図の縮尺が変更されたことを検出した場合、前記地図縮尺連動手段は前記変更された地図の縮尺に基づいて他の表示領域に表示された地図の縮尺を変更し、前記表示制御手段は前記他の表示領域に変更された縮尺の地図を表示することを特徴とする地図表示システム。
【請求項2】
前記地図表示システムは、更に、地図表示装置の現在位置を測位する測位手段と、経路探索条件に基づいて出発地から目的地までの経路を探索する経路探索手段と、を備え、
前記表示制御手段は、前記経路探索手段により探索された案内経路を含む地図を表示するとともに、前記測位手段により測位した現在位置を示す現在位置マークを地図上に表示する制御を行うように構成したことを特徴とする請求項1に記載の地図表示システム。
【請求項3】
前記表示制御手段は、何れかの表示領域に表示された地図の縮尺を変更する指定があった場合、当該表示領域に表示されている地図の地図データに基づいて、地図を拡大または縮小して表示することを特徴とする請求項1に記載の地図表示システム。
【請求項4】
前記地図データ記憶手段には、緯度、経度範囲のエリアごとに異なる縮尺の地図データを蓄積し、前記表示制御手段は、何れかの表示領域に表示された地図の縮尺を変更する指定があった場合、前記地図データ記憶手段に蓄積された異なる縮尺の地図データから該当する縮尺の地図データを読み出して表示することを特徴とする請求項1に記載の地図表示システム。
【請求項5】
所定の緯度、経度範囲のエリアごとの地図データを蓄積した地図データ記憶手段を備え、複数の地図表示領域にそれぞれ異なるエリアの地図を表示する地図表示装置に、該地図表示装置から要求された地図データを提供する情報配信サーバにおいて、
前記情報配信サーバは、地図縮尺変更検知手段と、地図縮尺連動手段と、表示制御手段と、を備え、前記表示制御手段は一方の表示領域に表示された地図を指定された縮尺に従って変更して表示し、前記地図縮尺変更検知手段が前記一方の表示領域に表示された地図の縮尺が変更されたことを検出した場合、前記地図縮尺連動手段は前記変更された地図の縮尺に基づいて他の表示領域に表示された地図の縮尺を変更し、前記表示制御手段は前記他の表示領域に変更された縮尺の地図を表示することを特徴とする情報配信サーバ。
【請求項6】
前記情報配信サーバは更に、経路探索条件に基づいて出発地から目的地までの経路を探索する経路探索手段と、を備え、
前記表示制御手段は、前記経路探索手段により探索された案内経路を含む地図を表示するとともに、地図表示装置の現在位置を示す現在位置マークを地図上に表示する制御を行うように構成したことを特徴とする請求項5に記載の情報配信サーバ。
【請求項7】
前記表示制御手段は、何れかの表示領域に表示された地図の縮尺を変更する指定があった場合、当該表示領域に表示されている地図の地図データに基づいて、地図を拡大または縮小して表示することを特徴とする請求項5に記載の情報配信サーバ。
【請求項8】
前記地図データ記憶手段には、緯度、経度範囲のエリアごとに異なる縮尺の地図データを蓄積し、前記表示制御手段は、何れかの表示領域に表示された地図の縮尺を変更する指定があった場合、前記地図データ記憶手段に蓄積された異なる縮尺の地図データから該当する縮尺の地図データを読み出して表示することを特徴とする請求項5に記載の情報配信サーバ。
【請求項9】
所定の緯度、経度範囲のエリアごとの地図データを蓄積した地図データ記憶手段を備え、地図表示装置に該地図表示装置から要求された地図データを提供する情報配信サーバにネットワークを介して接続され、複数の地図表示領域にそれぞれ異なるエリアの地図を表示する地図表示装置において、
前記地図表示装置は、地図縮尺変更検知手段と、地図縮尺連動手段と、表示制御手段と、を備え、前記表示制御手段は一方の表示領域に表示された地図を指定された縮尺に従って変更して表示し、前記地図縮尺変更検知手段が前記一方の表示領域に表示された地図の縮尺が変更されたことを検出した場合、前記地図縮尺連動手段は前記変更された地図の縮尺に基づいて他の表示領域に表示された地図の縮尺を変更し、前記表示制御手段は前記他の表示領域に変更された縮尺の地図を表示することを特徴とする地図表示装置。
【請求項10】
前記情報配信サーバは更に、経路探索条件に基づいて出発地から目的地までの経路を探索する経路探索手段と、を備え、
前記表示制御手段は、前記経路探索手段により探索された案内経路を含む地図を表示するとともに、地図表示装置の現在位置を示す現在位置マークを地図上に表示する制御を行うように構成したことを特徴とする請求項9に記載の地図表示装置。
【請求項11】
前記表示制御手段は、何れかの表示領域に表示された地図の縮尺を変更する指定があった場合、当該表示領域に表示されている地図の地図データに基づいて、地図を拡大または縮小して表示することを特徴とする請求項9に記載の地図表示装置。
【請求項12】
前記地図データ記憶手段には、緯度、経度範囲のエリアごとに異なる縮尺の地図データを蓄積し、前記表示制御手段は、何れかの表示領域に表示された地図の縮尺を変更する指定があった場合、前記地図データ記憶手段に蓄積された異なる縮尺の地図データから該当する縮尺の地図データを読み出して表示することを特徴とする請求項9に記載の地図表示装置。
【請求項13】
所定の緯度、経度範囲のエリアごとの地図データを蓄積した地図データ記憶手段と、複数の地図表示領域にそれぞれ異なるエリアの地図を表示する地図表示装置を備えた地図表示システムにおける地図表示方法において、
前記地図表示システムは、地図縮尺変更検知手段と、地図縮尺連動手段と、表示制御手段と、を備え、
前記表示制御手段が一方の表示領域に表示された地図を指定された縮尺に従って変更して表示するステップと、前記地図縮尺変更検知手段が前記一方の表示領域に表示された地図の縮尺が変更されたことを検出するステップと、前記一方の表示領域に表示された地図の縮尺が変更されたことを検出された場合、前記地図縮尺連動手段が前記変更された地図の縮尺に基づいて他の表示領域に表示された地図の縮尺を変更するステップと、前記表示制御手段が前記他の表示領域に変更された縮尺の地図を表示するステップとを有することを特徴とする地図表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−241800(P2008−241800A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−78378(P2007−78378)
【出願日】平成19年3月26日(2007.3.26)
【出願人】(500168811)株式会社ナビタイムジャパン (410)
【Fターム(参考)】