地図表示制御装置、地図表示制御方法およびプログラム
【課題】 絞り込み検索を効率よく行い所望の目標物を速やかに地図上に表示する。
【解決手段】 地図表示制御装置(1)は、検索文字を入力する入力手段(3)と、入力された検索文字に一致または部分一致する名称が付けられた地図上の目標物を検索する検索手段(4)と、前記検索手段によって検索された目標物を含むように地図表示の位置を調整する位置調整手段(4)と、入力中の検索文字に新たな文字が追加される毎に新たな検索を行って目標物の絞り込みを行う絞り込み手段(4)と、前記絞り込みによって変化した目標物の数または位置に応じて地図表示の位置を移動させる位置移動手段(4)とを備える。
【解決手段】 地図表示制御装置(1)は、検索文字を入力する入力手段(3)と、入力された検索文字に一致または部分一致する名称が付けられた地図上の目標物を検索する検索手段(4)と、前記検索手段によって検索された目標物を含むように地図表示の位置を調整する位置調整手段(4)と、入力中の検索文字に新たな文字が追加される毎に新たな検索を行って目標物の絞り込みを行う絞り込み手段(4)と、前記絞り込みによって変化した目標物の数または位置に応じて地図表示の位置を移動させる位置移動手段(4)とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図表示制御装置、地図表示制御方法およびプログラムに関し、詳しくは、所望の目標物を効率よく検索して地図上に表示できる地図表示制御装置、地図表示制御方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電子機器の高機能化が著しく、たとえば、GPS(Global Positioning System:全地球測位システム)機能を利用して現在地付近の地図を表示できる携帯電話機などが普及している。このような携帯電子機器を用いると、見知らぬ土地で自分の現在地を確認できるという利便性が得られるが、現在地付近の地図表示だけでなく、たとえば、任意の目標物を検索してその結果を地図上に表示できればより便利である。
【0003】
<第1の従来技術>
この点において、下記の特許文献1には、任意に入力された文字列に対応して検索された目標物の地図上の位置を識別表示するという技術が記載されている。しかし、この技術では、多くの目標物が検索された場合の対策について特に触れられていないため、多くの目標物の中から所望の目標物の位置を見つけ出しにくいという不都合がある。
【0004】
<第2の従来技術>
一方、下記の特許文献2には、多くの目標物の中から所望の目標物を見つけ出す、いわゆる「絞り込み検索」の技術が記載されており、その要旨は、あらかじめ設定された階層構造の検索条件、たとえば、「国」、「県」、「市」、「町」、「番地」のようにあらかじめ設定された階層データを順次に指定していくことにより、絞り込み検索を行うというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−326280号公報
【特許文献2】特開2006−72802号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、第2の従来技術は、多くの目標物の中から所望の目標物を見つけ出すことができる点で前記の第1の従来技術よりも優れているが、一方で、絞り込み検索の自由度がないという問題点がある。その理由は、「国」、「県」、「市」、「町」、「番地」などのようにあらかじめ設定されている階層データを順次に指定するという絞り込みしか行うことができないからであり、設定されていない検索条件については、たとえば、前記の第1の従来技術のように検索キーワードをいちいち手入力しなければならないからである。
【0007】
そこで、本発明の目的は、絞り込み検索を効率よく行うことができ、所望の目標物を速やかに地図上に表示できる地図表示制御装置、地図表示制御方法およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の発明は、検索文字を入力する入力手段と、入力された検索文字に一致または部分一致する名称が付けられた地図上の目標物を検索する検索手段と、前記検索手段によって検索された目標物を含むように地図表示の位置を調整する位置調整手段と、入力中の検索文字に新たな文字が追加される毎に新たな検索を行って目標物の絞り込みを行う絞り込み手段と、前記絞り込みによって変化した目標物の数または位置に応じて地図表示の位置を移動させる位置移動手段とを備えたことを特徴とする地図表示制御装置である。
請求項2記載の発明は、前記位置移動手段は、前記検索手段によって新たに検索された目標物または前記絞り込み手段によって新たに絞り込まれた目標物の位置を含むように前記地図表示の位置を移動させることを特徴とする請求項1に記載の地図表示制御装置である。
請求項3記載の発明は、前記位置移動手段は、前記検索手段によって新たに検索された目標物または前記絞り込み手段によって新たに絞り込まれた目標物の中で現在の地図表示の中心から最も近い位置にある目標物の位置に前記地図表示の中心を移動することを特徴とする請求項2に記載の地図表示制御装置である。
請求項4記載の発明は、前記検索手段によって新たに検索された目標物または前記絞り込み手段によって新たに絞り込まれた目標物が複数であった場合に、更に文字入力以外の方法で当該複数の目標物を絞り込む第2の絞り込み手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の地図表示制御装置である。
請求項5記載の発明は、前記検索手段によって新たに検索されたすべての目標物または前記絞り込み手段によって新たに絞り込まれたすべての目標物を地図上に表示できない場合に、当該地図上の位置に関するユーザの指示操作に応答して、それらの新たに検索されたすべての目標物または新たに絞り込まれたすべての目標物を絞り込む第3の絞り込み手段を備えたことを特徴とする請求項4に記載の地図表示制御装置である。
請求項6記載の発明は、入力中の文字列に対応して検索された目標物が複数であった場合に、更に文字を追加することによって目標物を絞り込むか、あるいは、文字入力以外の方法で目標物を絞り込むかを選択できるようにしたことを特徴とする請求項4に記載の地図表示制御装置である。
請求項7記載の発明は、入力中の文字列に対応して検索された目標物が複数であった場合に、現在の地図表示の中心位置から各目標物までの距離または方向によって目標物を絞り込むことを特徴とする請求項4に記載の地図表示制御装置である。
請求項8記載の発明は、現在の地図表示の中心位置からより近い目標物に絞り込むことを特徴とする請求項7に記載の地図表示制御装置である。
請求項9記載の発明は、現在の地図表示の中心位置に対して指定した方向にある目標物に絞り込むことを特徴とする請求項7に記載の地図表示制御装置である。
請求項10記載の発明は、現在の地図表示の中心位置からの方向を複数の方向範囲に分割するとともに、いずれかの方向範囲を指定し、指定された方向範囲に位置する目標物に絞り込むことを特徴とする請求項9に記載の地図表示制御装置である。
請求項11記載の発明は、現在の地図表示の中心位置からの方向を4つの方向範囲に分割するとともに、カーソルキーにより4つの方向範囲のいずれかを指定し、指定された方向範囲に位置する目標物に絞り込むことを特徴とする請求項10に記載の地図表示制御装置である。
請求項12記載の発明は、検索された複数の目標物をグループ化し、各グループを複数の操作手段の各々に対応付けるとともに、いずれかの操作手段の操作に応答して、その操作された操作手段に対応するグループ内の目標物に絞り込むことを特徴とする請求項11に記載の地図表示制御装置である。
請求項13記載の発明は、前記地図表示の位置を移動しまたは範囲を変化させる場合に、それらの移動または変化を連続的に行うことを特徴とする請求項1乃至請求項12いずれかに記載の地図表示制御装置である。
請求項14記載の発明は、検索文字を入力する入力工程と、入力された検索文字に一致または部分一致する名称が付けられた地図上の目標物を検索する検索工程と、前記検索工程によって検索された目標物を含むように地図表示の位置を調整する位置調整工程と、入力中の検索文字に新たな文字が追加される毎に新たな検索を行って目標物の絞り込みを行う絞り込み工程と、前記絞り込みによって変化した目標物の数または位置に応じて地図表示の位置を移動させる位置移動工程とを含むことを特徴とする地図表示制御方法である。
請求項15記載の発明は、地図表示制御装置のコンピュータに、検索文字を入力する入力手段と、入力された検索文字に一致または部分一致する名称が付けられた地図上の目標物を検索する検索手段と、前記検索手段によって検索された目標物を含むように地図表示の位置を調整する位置調整手段と、入力中の検索文字に新たな文字が追加される毎に新たな検索を行って目標物の絞り込みを行う絞り込み手段と、前記絞り込みによって変化した目標物の数または位置に応じて地図表示の位置を移動させる位置移動手段としての機能を実現させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、絞り込み検索を効率よく行うことができ、所望の目標物を速やかに地図上に表示できる地図表示制御装置、地図表示制御方法およびプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施形態に係る地図表示制御装置の構成図である。
【図2】地図表示制御装置1の一例外観図である。
【図3】補助データ6bの構造図である。
【図4】検索処理の動作フロー図(1/2)である。
【図5】検索処理の動作フロー図(2/2)である。
【図6】グループ化の概念図である。
【図7】地図検索の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。
まず、構成を説明する。
図1は、実施形態に係る地図表示制御装置の構成図である。地図表示制御装置1は、GPS衛星からの電波をとらえて現在位置(緯度経度等の座標)を検出する位置検出部2と、文字キーやカーソルキーなどの各種操作キーを有する操作部3と、ROM(Read Only Member)4aにあらかじめ格納されているプログラムをRAM(Random Access Memory)4bに読み出してCPU(Central Processing Unit)4cで実行することによって当該地図表示制御装置1の動作に必要な制御を行う制御部4と、液晶ディスプレイ等からなる表示部5と、内部に地図情報6を格納した記憶部7と、バッテリを含む電源部8とを備える。
【0012】
なお、地図表示制御装置1は、上記の構成以外にも、たとえば、最寄りの携帯電話等の基地局や無線LAN(Local Area Network)アクセスポイントなどを介してインターネット等のネットワーク(このネットワークは電話回線等の公衆回線網を含んでいてもよい)にアクセスできる通信部を備えていてもよく、この場合、この通信部を経由してネットワーク上の地図情報サーバにアクセスできるようになっていてもよい。ネットワーク上の地図情報サーバを利用する場合、記憶部7の地図情報6の全部またはその一部を地図情報サーバが提供する地図情報と読み替えてもよい。
【0013】
図2は、地図表示制御装置1の一例外観図である。地図表示制御装置1は、筐体9の表面に表示部5を配置するとともに、表示部5の下側に操作部3を配置しており、さらに、操作部3はす文字キー3aと、文字削除キー3bと、検索実行キー3cと、カーソルキー3dとを含んでいる。
【0014】
文字キー3aは数字やアルファベットおよび平仮名や仮名文字などの任意文字を入力するためのキーであり、たとえば、パソコンのキーボードや携帯電話機のテンキーのようなものであってもよいが、ここでは、説明の便宜上、「ア」〜「ン」までの仮名文字を入力できるものとする。この場合、仮名文字50音(ア〜ン)の全キーを設けるのではなく、「ア行」〜「ワ・ン行」の10個のキーを設け、キーの操作回数によって各行の文字を選択することにする。
【0015】
なお、図示の外観構成はあくまでも一例を示すものである。たとえば、操作部3に他のキーを加えてもよいし、または、上記のキーのいずれかと入れ替えてもよい。あるいは、タッチパネル付の表示部5とするとともに、その表示部5にグラフィックキーボードを表示して上記操作部3の代わりに用いてもよい。
【0016】
さて、この地図表示制御装置1を動作させると、表示部5にハッチングで示す地図表示領域10が表示されるようになっており、且つ、その一部(図では左上隅)に文字入力部11が重畳表示されるようになっている。地図表示制御装置1の起動直後は、地図表示領域10にユーザ(この地図表示制御装置1の携帯者)の現在地付近の地図(地図情報6から読み出されたもの)を表示する。ユーザは、その地図を見て自分の位置を把握するとともに、意図した目標物が地図上に表示されているか確認し、表示されている場合は、その目標物の方向や目標物までの距離および道順を調べる一方、表示されていない場合は、文字入力部11に適当な文字を入力して検索を実行する。
【0017】
地図情報6は、地図データ6aと補助データ6bとからなるいわゆる電子地図である。地図データ6aは地図を構成する線画データや航空写真等のイメージデータで構成され、補助データ6bは地図上の様々な目標物に関する文字データで構成されている。一般的にこのような電子地図を使用する場合は、まず、文字データ(補助データ6b)を検索して所望の目標物の位置情報を見つけ出し、次いで、地図データ6aから、その位置情報を中心とした所定範囲の地図領域を読み出して表示するという手順を踏む。
【0018】
図3は、補助データ6bの構造図である。補助データ6bは、地名(目標物の名称)を格納した地名フィールド12と、その場所の位置情報を格納した位置フィールド13とからなり、位置フィールド13は、さらに、緯度フィールド14と経度フィールド15で構成されている。なお、この補助データ6bにはフランス・パリ市の市街図データが納められているが、これは説明のための便宜である。また、地名も適当な一例を示しているに過ぎない。
【0019】
次に、作用を説明する。
図4および図5は、制御部4で実行されるプログラムのうち「検索処理」の動作フロー図である。
この検索処理を開始すると、まず、表示部5の表示を初期化する。すなわち、ステップS1で、地図表示の中心位置を現在位置(位置検出部2で検出した位置)に合わせるとともに、その地図の縮尺を所定の縮尺に設定し、さらに、ステップS2で、文字入力部11の内容を初期化(クリア)する。
なお、旅行先などの実際に訪れている場所の周辺で目標物を検索して表示させる場合には、位置検出部2で検出した位置を利用することで地図表示の中心位置を自動的に初期化することが可能であるが、実際に訪れてはいない場所の目標物を検索して表示する場合には、ユーザーが地図上の任意の位置を指定することで地図表示の中心位置を初期化するようにしてもよい。
【0020】
初期化を完了すると、次に、ステップS3で、検索実行キー3cの操作を判定し、検索実行キー3cの操作が判定された場合は、ステップS10に進み、検索実行キー3cの操作が判定されなかった場合は、ステップS4で、文字入力または文字削除ありか否かを判定する。ここで“文字入力”とは表示部5の文字入力部11に、操作部3の文字キー3aを用いて任意の文字を入力する操作行為のことをいう。また、“文字削除”とは、文字入力部11に入力済みの文字列の末尾文字を文字削除キー3bを用いて削除する操作行為のことをいう。
【0021】
このステップS4において、文字入力または文字削除が判定されなかった場合は、ステップS12に進み、文字入力または文字削除が判定された場合は、次に、ステップS5で、「文字入力」と「文字削除」のいずれであるかを判定する。
【0022】
そして、「文字入力」の場合は、ステップS6で、検索文字列の末尾に入力文字列を追加し、「文字削除」の場合は、ステップS7で、検索文字列の末尾から1文字削除するとともに、ステップS8で、現在の絞り込みを解除する。
【0023】
次に、ステップS9で、即時検索モードであるか否かを判定する。“即時検索モード”とは、表示部5の文字入力部11に1文字入力するたびに検索を即時実行するモードのことをいう。このモードでは、たとえば、文字入力部11に最終的に“○×△□”という文字列を入力する場合、最初の1文字目(“○”)の入力時点で即座に頭に“○”がついた目標物を検索し、2文字目(“×”)の入力時点で即座に頭に“○×”がついた目標物を検索し、3文字目(“△”)の入力時点で即座に頭に“○×△”がついた目標物を検索し、4文字目(“□”)の入力時点で即座に頭に“○×△”がついた目標物を検索する。最後まで文字を入力しなくても、しばしば所望の検索結果を得ることができる便利なモードである。
【0024】
ステップS9で即時検索モードが判定された場合は、ステップS10で、現在の検索文字列を含む名称の目標物を検索し(検索中の目標物がある場合は絞り込む)、または、ステップS9で即時検索モードが判定されなかった場合は、ステップS13で、カーソルキー3dが操作されたか否かを判定する。
【0025】
上記ステップS10の処理、すなわち、現在の検索文字列を含む名称の目標物を検索する(検索中の目標物がある場合は絞り込む)処理が行われると、次に、ステップS11で、検索または絞り込みによるヒットがあったか否か、つまり、1件以上の検索結果が得られたか否かを判定する。
【0026】
そして、ヒットしなかった場合(検索結果0件の場合)は、再びステップS3に戻り、ヒットがあった場合(検索結果1件以上の場合)は、次に、ステップS12で、カーソルキー3dが操作されたか否かを判定し、カーソルキー3dが操作されなかった場合は、ステップS15に進み、カーソルキー3dが操作された場合は、ステップS13で、検索結果として得られた目標物がグループ化されているか否かを判定する。
【0027】
ここで、“グループ化”とは、現在位置を中心にして複数に分割された各方向(たとえば、東西南北)の各々に、検索結果として得られた各目標物の位置を区分けすることをいう。
【0028】
図6は、グループ化の概念図である。この図において、P0はユーザの現在位置を示しており、この現在位置P0を中心にして東西南北の各方向に4つの領域16〜19が設定されている。ここで、領域16は北方向のもの、領域17は東方向のもの、領域18は南方向のもの、領域19は西方向のものである。
【0029】
今、ステップS10における検索の結果、次の5つの目標物がヒットしたと仮定する。
第1目標物:アール・エメティエ駅(緯度48.865570/経度2.355745)
第2目標物:アベス駅(緯度48.884397/経度2.338450)
第3目標物:アルマントルソー病院(緯度48.842161/経度2.406256)
第4目標物:アンスティテュバストゥール病院(緯度48.840749/経度2.309697)
第5目標物:アンヴァリット廃兵院(緯度48.854305/経度2.309697)
【0030】
そして、それらの第1〜第5の目標物を、各々の位置情報(緯度と経度)に従って各領域16〜19に区分けすると、図6のとおりになる。すなわち、この検索例では、第1目標物の位置P1と第2目標物の位置P2が領域16に区分けされ、第3目標物の位置P3が領域17に区分けされ、第4目標物の位置P4と第5目標物の位置P5が領域19に区分けされる。
【0031】
このように、検索結果として得られた目標物をその位置に従って各領域16〜19の各々に区分けすることを「グループ化」するという。なお、各領域16〜19の方向(東西南北)は一例である。
【0032】
ステップS13の判定結果がNOの場合、すなわち、目標物がグループ化されていない場合は、そのままステップS15に進むが、ステップS13の判定結果がYESの場合、すなわち、目標物がグループ化されている場合は、次に、ステップS14で、カーソルキー3dの操作方向を判定する。
【0033】
このカーソルキー3dは、上下左右の操作を行うことができる汎用キーであるが、この実施形態では、図6の各領域16〜19を選択的に指定するためのキーとして使用する。すなわち、カーソルキー3dの「上」、「下」、「左」、「右」の各方向を「北」、「南」、「西」、「東」の各方向とみなすとともに、上方向の操作が行われたときには北方向の領域16を選択し、下方向の操作が行われたときには南方向の領域18を選択し、左方向の操作が行われたときには西方向の領域19を選択し、右方向の操作が行われたときには東方向の領域17を選択するものとする。そして、検索の対象となる目標物を東方向の領域17に位置する目標物に絞り込む。
【0034】
次に、ステップS15で、地図表示の中心位置を移動する。このときの移動の目標位置は、上記のステップS14において、カーソルキー3dにより選択された領域に位置する目標物であり、検索の対象として現在絞り込まれている目標物のうちで現在位置P0に最も近い目標物の位置である。図6の例で説明すると、たとえば、カーソルキー3dによって北方向の領域16が選択された場合、この領域16に位置する二つの目標(第1目標物と第2目標物)のうち、現在位置P0に最も近いのは第1目標物の位置P1なので、この場合は、第1目標物の位置P1に地図表示の中心位置を移動する。なお、このときの地図の移動は瞬時に行ってもよいが、画像が一瞬ブレたような違和感を与える恐れがあるため、たとえば、スクロールを行うなどの方法で地図を滑らかに移動することが望ましい。
このとき、地図上における各目標物の位置に所定のシンボルを表示する。
【0035】
地図表示の移動を完了すると、次に、ステップS16で、現在絞り込まれているすべての目標物(ステップS10の検索によって得られたすべての目標物またはステップS14によって絞り込まれたすべての目標物)を現在の地図の縮尺で表示可能か否かを判定し、表示可能であれば、それらすべての目標物を表示部5の地図表示領域10に表示した後、ステップS19に進み、一方、ステップS16の判定結果がNOの場合、すなわち、少なくとも一つの目標物を現在の縮尺で表示できないと判定された場合は、ステップS17に進む。
【0036】
そして、現在絞り込まれているすべての目標物のうちで1つでも現在の地図の縮尺で表示できない目標物があると判断された場合には、ステップS17で、絞り込まれた目標物を表示中心からの方向によって4つのグループに分類する。ここで、“表示中心からの方向”とは、図6の例における東西南北の4つの方向の領域16〜19のことをいう。また、“4つのグループに分類する”とは、たとえば、図6の例のように、第1〜第5目標物の各々を、それらの位置P1〜P5に応じて各領域16〜19に区分けすることをいう。
【0037】
目標物のグループ分類を完了すると、次に、ステップS18で、各グループ内(すなわち各領域16〜19内)の目標物の名称(図6の例では、“アール・エメティエ駅”、“アベス駅”、“アルマントルソー病院”、“アンスティテュバストゥール病院”、“アンヴァリット廃兵院”)をリスト化し、表示部5の地図表示領域10の所定位置に表示する。ここで、“地図表示領域10の所定位置”とは、地図表示領域10の上端部付近、下端部付近、左端部付近、右端部付近のことをいう。
【0038】
これらの所定位置(上端部付近は、下端部付近、左端部付近、右端部付近)は、図6の各領域16〜19と一対一に対応している。すなわち、上端部付近は北方向の領域16に対応し、下端部付近は南方向の領域18に対応し、左端部付近は西方向の領域19に対応し、右端部付近は東方向の領域17に対応している。
【0039】
したがって、ステップS18の処理を実行すると、地図表示領域10の上端部付近に“アール・エメティエ駅”と“アベス駅”という名称が表示され、また、地図表示領域10の左端部付近に“アンスティテュバストゥール病院”と“アンヴァリット廃兵院”という名称が表示され、さらに、地図表示領域10の右端部付近に“アルマントルソー病院”という名称が表示される。
【0040】
なお、ここでは、地図表示領域10の下端部付近に名称は表示されない。図6に示すように、この下端部付近に対応する南方向の領域18に目標物が区分けされていないからである。
なお、ステップS18では、現在の地図の縮尺で表示できない目標物が1つでもある場合には、現在の地図の縮尺で表示可能な目標物を含めて、現在絞り込まれている全ての目標物をリスト化して表示したが、現在の地図の縮尺で表示できない目標物(地図上に所定のシンボル表示がされていない目標物)のみをリスト化して表示するようにしてもよい。
【0041】
以上のように、検索実行とその検索結果の表示を行うと、次に、ステップS19で、検索終了か否かを判定する。この検索終了判定は、操作部3の不図示の検索終了キーの操作を検出して行ってもよく、または、他の操作イベントの検出に応答して行ってもよい。検索終了を判定すると、プログラムを終了し、検索終了を判定しなかった場合は、再びステップS3に戻って検索実行キー3cの操作を判定する。
【0042】
図7は、地図検索の一例を示す図である。検索前における表示部5の表示状態は、同図の上の絵のようになっている。すなわち、表示部5の地図表示領域10の中心に、現在位置P0を示すマークが表示されているとともに、その付近の地図が所定の縮尺で表示されている。このとき、まだ文字入力部11は表示されていない。図4のステップS2で検索文字列の初期化が行われると、地図表示領域10の左上隅付近に文字入力部11が現れ、検索文字の入力が可能になる。
【0043】
たとえば、文字入力部11に“ア“と入力した場合を考える。即時検索モードの場合、この“ア“の入力に応答して、図4のステップS10が実行される。または、即時検索モードでない場合は、検索実行キー3cの操作に応答して、図4のステップS10が実行される。
【0044】
このステップS10の処理は、前記のとおり、「現在の検索文字列を含む名称の目標物を検索する(検索中の目標物がある場合の絞り込む)」というものであるので、このステップS10において、文字入力部11に入力された文字“ア“をキーワードにした地図情報6の検索が行われる。
【0045】
この検索は、図3の補助データ6bを参照することによって行われる。すなわち、この補助データ6bにおいて、頭に“ア”がつく地名は、“アール・エメティエ駅”、“アベス駅”、“アルマントルソー病院”、“アンスティテュバストゥール病院”、“アンヴァリット廃兵院”の5つであるので、それらの5つの地名(第1〜第5目標物)が検索結果として得られることになる。
【0046】
そして、それら5つの目標物の位置情報(緯度と経度)を補助データ6bから取り出し、それらの位置情報に基づいて、ステップS16で、現在の地図縮尺ですべての目標物(第1〜第5目標物)を地図上に表示可能か否かを判定したところ、すべての目標物を表示できない縮尺であると判定されたため(この場合、5つの目標物のいずれも地図上に表示可能ではない)、ステップS17とステップS18で、地図表示領域10の上端部付近に“アール・エメティエ駅”と“アベス駅”という名称を表示し、また、地図表示領域10の左端部付近に“アンスティテュバストゥール病院”と“アンヴァリット廃兵院”という名称を表示し、さらに、地図表示領域10の右端部付近に“アルマントルソー病院”という名称を表示したものである。
【0047】
名称の表示結果は、同図の下の絵のように示される。すなわち、表示部5の地図表示領域10の上端部付近や左端部付近および右端部付近の各々にメッセージエリア20〜22が表示されており、各々のメッセージエリア20〜22の内部に第1〜第5目標物の名称(“アール・エメティエ駅”、“アベス駅”、“アルマントルソー病院”、“アンスティテュバストゥール病院”、“アンヴァリット廃兵院”)が表示されている。
【0048】
ユーザは、この表示結果から、以下のことを直感的に読み取ることができる。
(a)頭に“ア”がつく名称の目標物は現在位置P0の付近に見当たらない。
(b)ただし、現在の地図の表示範囲外に該当する目標物が5つ存在する。
(c)それらの目標物の名称は“アール・エメティエ駅”、“アベス駅”、“アルマントルソー病院”、“アンスティテュバストゥール病院”、“アンヴァリット廃兵院”である。
【0049】
これらの(a)〜(c)から、ユーザは、自分の意図した目標物が上記の名称の中にあるか否かを判断し、ない場合は、検索キーワードの入力をやり直して検索を再行する一方、自分の意図した目標物が上記の名称の中に存在した場合は、その名称を選択し、意図した目標物を地図上に表示する。
この例では、5つの目標物のいずれも地図上に表示可能ではない場合を説明したが、例えば、5つの目標物のうち“アール・エメティエ駅”、“アベス駅”の2つが地図上に表示可能である場合には、この2つの目標物は地図上で所定のシンボルで表示される。しかし、その他の3つの目標物が地図上に表示可能ではないため、ステップS16ですべての目標物を表示できない縮尺であると判定され、“アンヴァリット廃兵院”、“アンスティテュバストゥール病院”、“アルマントルソー病院”の3つは、所定のシンボルで表示する代わりに、矩形枠内にリスト表示される。このリスト表示は所定のシンボル表示と表示形態が異なるので、ユーザは、どの目標物が地図表示内に位置し、どの目標物が地図表示外に位置しているのかを容易に識別することが可能となる。
【0050】
上記の「意図した目標物を地図上に表示する」ための方法は様々考えられるが、たとえば、メッセージエリア20〜22に表示されている任意の名称をユーザが選択したことを検出する検出手段を設け、その検出手段の検出結果に応答して、意図した目標物の位置(たとえば、“アール・エメティエ駅”が選択された場合はその緯度経度)に地図の中心をジャンプまたは自動スクロールするような仕組みが考えられる。このようにすると、所望の名称を選択するだけで、直ちにユーザが意図した目標(この場合は“アール・エメティエ駅”)を地図上に表示することができる。
【0051】
上記の「検出手段」としては、たとえば、メッセージエリア20〜22のオンフォーカスイベントを利用することができる。オンフォーカスイベントは対象となるコントロール(ここではメッセージエリア20〜22)の選択(オンフォーカス)に応答して発生するイベントであり、このイベントのプロシージャー(手順書)に、選択された名称の位置(たとえば、“アール・エメティエ駅”が選択された場合はその緯度経度)を補助データ6bから取得するコードと、その位置に地図の中心をジャンプまたは自動スクロールさせるコードとをプログラミングしておけばよい。
【0052】
以上説明したとおり、この実施形態では、入力された検索文字列に一致または部分一致する名称が付けられた地図上の目標物を検索し、その検索された目標物を含むように地図表示の位置を調整できることに加え、さらに、入力中の検索文字列に新たな文字が追加されるたびに、新たな検索を行って目標物を絞り込むことができ、且つ、この絞り込みによって変化した目標物の数または位置に応じて地図表示の位置を変化させることができる。
これにより、任意の名称がつけられた目標物の検索を自由に行うことができるばかりか、検索結果が複数であった場合でも、その検索結果を階層的に徐々に絞り込んでいくことができるから、より柔軟かつ容易に地図上の目標物を検索することができるという効果が得られる。
【0053】
また、検索文字の追加によって新たに検索された目標物または新たに絞り込まれた目標物の位置を含むように地図表示の位置を移動させることができるので、最新の目標物を地図上で確認して、意図した目標物であるかどうかをすぐに判断することができる。
【0054】
また、地図表示の中心位置を、新たに検索された目標物または新たに絞り込まれた目標物のうち現在の地図表示の中心から最も近い位置にある目標物の位置に移動したり、または絞り込んだりすることができるので、ユーザの現在位置に最も近い目標物を地図の中心にとらえることができる。このことは、たとえば、ガソリンスタンドを検索する場合などに好都合である。車の燃料が少なくなったときには、できるだけ近くのスタンドに立ち寄りたいからである。ただし、“最も近い目標物”を地図の中心にしたり、“最も近い目標物”に絞り込んだりするという態様は、上記の好都合を重視した際のベストモードに過ぎない。技術的な思想上は、目標物までの「距離」に着目する点にあり、その距離の遠近は原理上、必須でない。
【0055】
また、新たに検索された目標物または新たに絞り込まれた目標物が複数であった場合に、文字入力以外の方法、たとえば、カーソルキー3aを操作して方向(東西南北)を指定するといった方法で、その方向にある目標物に絞り込むことができるため、文字による絞り込み検索の欠点(手間が掛かる)を解消し、操作の簡素化を図ることができる。
【0056】
なお、上記の「カーソルキー3aを操作して方向(東西南北)を指定する」という方法は「文字入力以外の方法」を示す一例であり、これに限定されない。たとえば、カーソルキー3a以外のキーを用いてもよいし、あるいは、キー操作によらない方法であってもよい。このような「キー操作によらない方法」としては、たとえば、地図表示制御装置1の内部に三軸加速度センサ等を設けておき、地図表示制御装置1の本体を動かしたときの方向をセンサで検出し、その検出方向にある目標物に絞り込む、といった方法が考えられる。または、タッチパネル付の表示部5の場合は、そのタッチパネルのタッチ操作に応答して絞り込みを行ってもよい。この場合のタッチ操作は、地図上の位置に関するユーザの指示操作に相当する。
【0057】
また、実施形態では、方向を指定して絞り込みを行う際に、絞り込み対象の目標物を「東西南北」の4つの領域16〜19に区分け(グループ化)しているが、これに限定されない。要は、現在の地図表示の中心位置からの方向を複数の方向範囲に分割するとともに、いずれかの方向範囲を指定し、指定された方向範囲に位置する目標物に絞り込むことができればよい。
【符号の説明】
【0058】
1 地図表示制御装置
3 操作部(入力手段)
4 制御部(検索手段、位置調整手段、絞り込み手段、位置移動手段、第3の絞り込み手段)
3d カーソルキー(第2の絞り込み手段、操作手段)
16〜19 領域(方向範囲)
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図表示制御装置、地図表示制御方法およびプログラムに関し、詳しくは、所望の目標物を効率よく検索して地図上に表示できる地図表示制御装置、地図表示制御方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電子機器の高機能化が著しく、たとえば、GPS(Global Positioning System:全地球測位システム)機能を利用して現在地付近の地図を表示できる携帯電話機などが普及している。このような携帯電子機器を用いると、見知らぬ土地で自分の現在地を確認できるという利便性が得られるが、現在地付近の地図表示だけでなく、たとえば、任意の目標物を検索してその結果を地図上に表示できればより便利である。
【0003】
<第1の従来技術>
この点において、下記の特許文献1には、任意に入力された文字列に対応して検索された目標物の地図上の位置を識別表示するという技術が記載されている。しかし、この技術では、多くの目標物が検索された場合の対策について特に触れられていないため、多くの目標物の中から所望の目標物の位置を見つけ出しにくいという不都合がある。
【0004】
<第2の従来技術>
一方、下記の特許文献2には、多くの目標物の中から所望の目標物を見つけ出す、いわゆる「絞り込み検索」の技術が記載されており、その要旨は、あらかじめ設定された階層構造の検索条件、たとえば、「国」、「県」、「市」、「町」、「番地」のようにあらかじめ設定された階層データを順次に指定していくことにより、絞り込み検索を行うというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−326280号公報
【特許文献2】特開2006−72802号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、第2の従来技術は、多くの目標物の中から所望の目標物を見つけ出すことができる点で前記の第1の従来技術よりも優れているが、一方で、絞り込み検索の自由度がないという問題点がある。その理由は、「国」、「県」、「市」、「町」、「番地」などのようにあらかじめ設定されている階層データを順次に指定するという絞り込みしか行うことができないからであり、設定されていない検索条件については、たとえば、前記の第1の従来技術のように検索キーワードをいちいち手入力しなければならないからである。
【0007】
そこで、本発明の目的は、絞り込み検索を効率よく行うことができ、所望の目標物を速やかに地図上に表示できる地図表示制御装置、地図表示制御方法およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の発明は、検索文字を入力する入力手段と、入力された検索文字に一致または部分一致する名称が付けられた地図上の目標物を検索する検索手段と、前記検索手段によって検索された目標物を含むように地図表示の位置を調整する位置調整手段と、入力中の検索文字に新たな文字が追加される毎に新たな検索を行って目標物の絞り込みを行う絞り込み手段と、前記絞り込みによって変化した目標物の数または位置に応じて地図表示の位置を移動させる位置移動手段とを備えたことを特徴とする地図表示制御装置である。
請求項2記載の発明は、前記位置移動手段は、前記検索手段によって新たに検索された目標物または前記絞り込み手段によって新たに絞り込まれた目標物の位置を含むように前記地図表示の位置を移動させることを特徴とする請求項1に記載の地図表示制御装置である。
請求項3記載の発明は、前記位置移動手段は、前記検索手段によって新たに検索された目標物または前記絞り込み手段によって新たに絞り込まれた目標物の中で現在の地図表示の中心から最も近い位置にある目標物の位置に前記地図表示の中心を移動することを特徴とする請求項2に記載の地図表示制御装置である。
請求項4記載の発明は、前記検索手段によって新たに検索された目標物または前記絞り込み手段によって新たに絞り込まれた目標物が複数であった場合に、更に文字入力以外の方法で当該複数の目標物を絞り込む第2の絞り込み手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の地図表示制御装置である。
請求項5記載の発明は、前記検索手段によって新たに検索されたすべての目標物または前記絞り込み手段によって新たに絞り込まれたすべての目標物を地図上に表示できない場合に、当該地図上の位置に関するユーザの指示操作に応答して、それらの新たに検索されたすべての目標物または新たに絞り込まれたすべての目標物を絞り込む第3の絞り込み手段を備えたことを特徴とする請求項4に記載の地図表示制御装置である。
請求項6記載の発明は、入力中の文字列に対応して検索された目標物が複数であった場合に、更に文字を追加することによって目標物を絞り込むか、あるいは、文字入力以外の方法で目標物を絞り込むかを選択できるようにしたことを特徴とする請求項4に記載の地図表示制御装置である。
請求項7記載の発明は、入力中の文字列に対応して検索された目標物が複数であった場合に、現在の地図表示の中心位置から各目標物までの距離または方向によって目標物を絞り込むことを特徴とする請求項4に記載の地図表示制御装置である。
請求項8記載の発明は、現在の地図表示の中心位置からより近い目標物に絞り込むことを特徴とする請求項7に記載の地図表示制御装置である。
請求項9記載の発明は、現在の地図表示の中心位置に対して指定した方向にある目標物に絞り込むことを特徴とする請求項7に記載の地図表示制御装置である。
請求項10記載の発明は、現在の地図表示の中心位置からの方向を複数の方向範囲に分割するとともに、いずれかの方向範囲を指定し、指定された方向範囲に位置する目標物に絞り込むことを特徴とする請求項9に記載の地図表示制御装置である。
請求項11記載の発明は、現在の地図表示の中心位置からの方向を4つの方向範囲に分割するとともに、カーソルキーにより4つの方向範囲のいずれかを指定し、指定された方向範囲に位置する目標物に絞り込むことを特徴とする請求項10に記載の地図表示制御装置である。
請求項12記載の発明は、検索された複数の目標物をグループ化し、各グループを複数の操作手段の各々に対応付けるとともに、いずれかの操作手段の操作に応答して、その操作された操作手段に対応するグループ内の目標物に絞り込むことを特徴とする請求項11に記載の地図表示制御装置である。
請求項13記載の発明は、前記地図表示の位置を移動しまたは範囲を変化させる場合に、それらの移動または変化を連続的に行うことを特徴とする請求項1乃至請求項12いずれかに記載の地図表示制御装置である。
請求項14記載の発明は、検索文字を入力する入力工程と、入力された検索文字に一致または部分一致する名称が付けられた地図上の目標物を検索する検索工程と、前記検索工程によって検索された目標物を含むように地図表示の位置を調整する位置調整工程と、入力中の検索文字に新たな文字が追加される毎に新たな検索を行って目標物の絞り込みを行う絞り込み工程と、前記絞り込みによって変化した目標物の数または位置に応じて地図表示の位置を移動させる位置移動工程とを含むことを特徴とする地図表示制御方法である。
請求項15記載の発明は、地図表示制御装置のコンピュータに、検索文字を入力する入力手段と、入力された検索文字に一致または部分一致する名称が付けられた地図上の目標物を検索する検索手段と、前記検索手段によって検索された目標物を含むように地図表示の位置を調整する位置調整手段と、入力中の検索文字に新たな文字が追加される毎に新たな検索を行って目標物の絞り込みを行う絞り込み手段と、前記絞り込みによって変化した目標物の数または位置に応じて地図表示の位置を移動させる位置移動手段としての機能を実現させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、絞り込み検索を効率よく行うことができ、所望の目標物を速やかに地図上に表示できる地図表示制御装置、地図表示制御方法およびプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施形態に係る地図表示制御装置の構成図である。
【図2】地図表示制御装置1の一例外観図である。
【図3】補助データ6bの構造図である。
【図4】検索処理の動作フロー図(1/2)である。
【図5】検索処理の動作フロー図(2/2)である。
【図6】グループ化の概念図である。
【図7】地図検索の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図面を参照しながら説明する。
まず、構成を説明する。
図1は、実施形態に係る地図表示制御装置の構成図である。地図表示制御装置1は、GPS衛星からの電波をとらえて現在位置(緯度経度等の座標)を検出する位置検出部2と、文字キーやカーソルキーなどの各種操作キーを有する操作部3と、ROM(Read Only Member)4aにあらかじめ格納されているプログラムをRAM(Random Access Memory)4bに読み出してCPU(Central Processing Unit)4cで実行することによって当該地図表示制御装置1の動作に必要な制御を行う制御部4と、液晶ディスプレイ等からなる表示部5と、内部に地図情報6を格納した記憶部7と、バッテリを含む電源部8とを備える。
【0012】
なお、地図表示制御装置1は、上記の構成以外にも、たとえば、最寄りの携帯電話等の基地局や無線LAN(Local Area Network)アクセスポイントなどを介してインターネット等のネットワーク(このネットワークは電話回線等の公衆回線網を含んでいてもよい)にアクセスできる通信部を備えていてもよく、この場合、この通信部を経由してネットワーク上の地図情報サーバにアクセスできるようになっていてもよい。ネットワーク上の地図情報サーバを利用する場合、記憶部7の地図情報6の全部またはその一部を地図情報サーバが提供する地図情報と読み替えてもよい。
【0013】
図2は、地図表示制御装置1の一例外観図である。地図表示制御装置1は、筐体9の表面に表示部5を配置するとともに、表示部5の下側に操作部3を配置しており、さらに、操作部3はす文字キー3aと、文字削除キー3bと、検索実行キー3cと、カーソルキー3dとを含んでいる。
【0014】
文字キー3aは数字やアルファベットおよび平仮名や仮名文字などの任意文字を入力するためのキーであり、たとえば、パソコンのキーボードや携帯電話機のテンキーのようなものであってもよいが、ここでは、説明の便宜上、「ア」〜「ン」までの仮名文字を入力できるものとする。この場合、仮名文字50音(ア〜ン)の全キーを設けるのではなく、「ア行」〜「ワ・ン行」の10個のキーを設け、キーの操作回数によって各行の文字を選択することにする。
【0015】
なお、図示の外観構成はあくまでも一例を示すものである。たとえば、操作部3に他のキーを加えてもよいし、または、上記のキーのいずれかと入れ替えてもよい。あるいは、タッチパネル付の表示部5とするとともに、その表示部5にグラフィックキーボードを表示して上記操作部3の代わりに用いてもよい。
【0016】
さて、この地図表示制御装置1を動作させると、表示部5にハッチングで示す地図表示領域10が表示されるようになっており、且つ、その一部(図では左上隅)に文字入力部11が重畳表示されるようになっている。地図表示制御装置1の起動直後は、地図表示領域10にユーザ(この地図表示制御装置1の携帯者)の現在地付近の地図(地図情報6から読み出されたもの)を表示する。ユーザは、その地図を見て自分の位置を把握するとともに、意図した目標物が地図上に表示されているか確認し、表示されている場合は、その目標物の方向や目標物までの距離および道順を調べる一方、表示されていない場合は、文字入力部11に適当な文字を入力して検索を実行する。
【0017】
地図情報6は、地図データ6aと補助データ6bとからなるいわゆる電子地図である。地図データ6aは地図を構成する線画データや航空写真等のイメージデータで構成され、補助データ6bは地図上の様々な目標物に関する文字データで構成されている。一般的にこのような電子地図を使用する場合は、まず、文字データ(補助データ6b)を検索して所望の目標物の位置情報を見つけ出し、次いで、地図データ6aから、その位置情報を中心とした所定範囲の地図領域を読み出して表示するという手順を踏む。
【0018】
図3は、補助データ6bの構造図である。補助データ6bは、地名(目標物の名称)を格納した地名フィールド12と、その場所の位置情報を格納した位置フィールド13とからなり、位置フィールド13は、さらに、緯度フィールド14と経度フィールド15で構成されている。なお、この補助データ6bにはフランス・パリ市の市街図データが納められているが、これは説明のための便宜である。また、地名も適当な一例を示しているに過ぎない。
【0019】
次に、作用を説明する。
図4および図5は、制御部4で実行されるプログラムのうち「検索処理」の動作フロー図である。
この検索処理を開始すると、まず、表示部5の表示を初期化する。すなわち、ステップS1で、地図表示の中心位置を現在位置(位置検出部2で検出した位置)に合わせるとともに、その地図の縮尺を所定の縮尺に設定し、さらに、ステップS2で、文字入力部11の内容を初期化(クリア)する。
なお、旅行先などの実際に訪れている場所の周辺で目標物を検索して表示させる場合には、位置検出部2で検出した位置を利用することで地図表示の中心位置を自動的に初期化することが可能であるが、実際に訪れてはいない場所の目標物を検索して表示する場合には、ユーザーが地図上の任意の位置を指定することで地図表示の中心位置を初期化するようにしてもよい。
【0020】
初期化を完了すると、次に、ステップS3で、検索実行キー3cの操作を判定し、検索実行キー3cの操作が判定された場合は、ステップS10に進み、検索実行キー3cの操作が判定されなかった場合は、ステップS4で、文字入力または文字削除ありか否かを判定する。ここで“文字入力”とは表示部5の文字入力部11に、操作部3の文字キー3aを用いて任意の文字を入力する操作行為のことをいう。また、“文字削除”とは、文字入力部11に入力済みの文字列の末尾文字を文字削除キー3bを用いて削除する操作行為のことをいう。
【0021】
このステップS4において、文字入力または文字削除が判定されなかった場合は、ステップS12に進み、文字入力または文字削除が判定された場合は、次に、ステップS5で、「文字入力」と「文字削除」のいずれであるかを判定する。
【0022】
そして、「文字入力」の場合は、ステップS6で、検索文字列の末尾に入力文字列を追加し、「文字削除」の場合は、ステップS7で、検索文字列の末尾から1文字削除するとともに、ステップS8で、現在の絞り込みを解除する。
【0023】
次に、ステップS9で、即時検索モードであるか否かを判定する。“即時検索モード”とは、表示部5の文字入力部11に1文字入力するたびに検索を即時実行するモードのことをいう。このモードでは、たとえば、文字入力部11に最終的に“○×△□”という文字列を入力する場合、最初の1文字目(“○”)の入力時点で即座に頭に“○”がついた目標物を検索し、2文字目(“×”)の入力時点で即座に頭に“○×”がついた目標物を検索し、3文字目(“△”)の入力時点で即座に頭に“○×△”がついた目標物を検索し、4文字目(“□”)の入力時点で即座に頭に“○×△”がついた目標物を検索する。最後まで文字を入力しなくても、しばしば所望の検索結果を得ることができる便利なモードである。
【0024】
ステップS9で即時検索モードが判定された場合は、ステップS10で、現在の検索文字列を含む名称の目標物を検索し(検索中の目標物がある場合は絞り込む)、または、ステップS9で即時検索モードが判定されなかった場合は、ステップS13で、カーソルキー3dが操作されたか否かを判定する。
【0025】
上記ステップS10の処理、すなわち、現在の検索文字列を含む名称の目標物を検索する(検索中の目標物がある場合は絞り込む)処理が行われると、次に、ステップS11で、検索または絞り込みによるヒットがあったか否か、つまり、1件以上の検索結果が得られたか否かを判定する。
【0026】
そして、ヒットしなかった場合(検索結果0件の場合)は、再びステップS3に戻り、ヒットがあった場合(検索結果1件以上の場合)は、次に、ステップS12で、カーソルキー3dが操作されたか否かを判定し、カーソルキー3dが操作されなかった場合は、ステップS15に進み、カーソルキー3dが操作された場合は、ステップS13で、検索結果として得られた目標物がグループ化されているか否かを判定する。
【0027】
ここで、“グループ化”とは、現在位置を中心にして複数に分割された各方向(たとえば、東西南北)の各々に、検索結果として得られた各目標物の位置を区分けすることをいう。
【0028】
図6は、グループ化の概念図である。この図において、P0はユーザの現在位置を示しており、この現在位置P0を中心にして東西南北の各方向に4つの領域16〜19が設定されている。ここで、領域16は北方向のもの、領域17は東方向のもの、領域18は南方向のもの、領域19は西方向のものである。
【0029】
今、ステップS10における検索の結果、次の5つの目標物がヒットしたと仮定する。
第1目標物:アール・エメティエ駅(緯度48.865570/経度2.355745)
第2目標物:アベス駅(緯度48.884397/経度2.338450)
第3目標物:アルマントルソー病院(緯度48.842161/経度2.406256)
第4目標物:アンスティテュバストゥール病院(緯度48.840749/経度2.309697)
第5目標物:アンヴァリット廃兵院(緯度48.854305/経度2.309697)
【0030】
そして、それらの第1〜第5の目標物を、各々の位置情報(緯度と経度)に従って各領域16〜19に区分けすると、図6のとおりになる。すなわち、この検索例では、第1目標物の位置P1と第2目標物の位置P2が領域16に区分けされ、第3目標物の位置P3が領域17に区分けされ、第4目標物の位置P4と第5目標物の位置P5が領域19に区分けされる。
【0031】
このように、検索結果として得られた目標物をその位置に従って各領域16〜19の各々に区分けすることを「グループ化」するという。なお、各領域16〜19の方向(東西南北)は一例である。
【0032】
ステップS13の判定結果がNOの場合、すなわち、目標物がグループ化されていない場合は、そのままステップS15に進むが、ステップS13の判定結果がYESの場合、すなわち、目標物がグループ化されている場合は、次に、ステップS14で、カーソルキー3dの操作方向を判定する。
【0033】
このカーソルキー3dは、上下左右の操作を行うことができる汎用キーであるが、この実施形態では、図6の各領域16〜19を選択的に指定するためのキーとして使用する。すなわち、カーソルキー3dの「上」、「下」、「左」、「右」の各方向を「北」、「南」、「西」、「東」の各方向とみなすとともに、上方向の操作が行われたときには北方向の領域16を選択し、下方向の操作が行われたときには南方向の領域18を選択し、左方向の操作が行われたときには西方向の領域19を選択し、右方向の操作が行われたときには東方向の領域17を選択するものとする。そして、検索の対象となる目標物を東方向の領域17に位置する目標物に絞り込む。
【0034】
次に、ステップS15で、地図表示の中心位置を移動する。このときの移動の目標位置は、上記のステップS14において、カーソルキー3dにより選択された領域に位置する目標物であり、検索の対象として現在絞り込まれている目標物のうちで現在位置P0に最も近い目標物の位置である。図6の例で説明すると、たとえば、カーソルキー3dによって北方向の領域16が選択された場合、この領域16に位置する二つの目標(第1目標物と第2目標物)のうち、現在位置P0に最も近いのは第1目標物の位置P1なので、この場合は、第1目標物の位置P1に地図表示の中心位置を移動する。なお、このときの地図の移動は瞬時に行ってもよいが、画像が一瞬ブレたような違和感を与える恐れがあるため、たとえば、スクロールを行うなどの方法で地図を滑らかに移動することが望ましい。
このとき、地図上における各目標物の位置に所定のシンボルを表示する。
【0035】
地図表示の移動を完了すると、次に、ステップS16で、現在絞り込まれているすべての目標物(ステップS10の検索によって得られたすべての目標物またはステップS14によって絞り込まれたすべての目標物)を現在の地図の縮尺で表示可能か否かを判定し、表示可能であれば、それらすべての目標物を表示部5の地図表示領域10に表示した後、ステップS19に進み、一方、ステップS16の判定結果がNOの場合、すなわち、少なくとも一つの目標物を現在の縮尺で表示できないと判定された場合は、ステップS17に進む。
【0036】
そして、現在絞り込まれているすべての目標物のうちで1つでも現在の地図の縮尺で表示できない目標物があると判断された場合には、ステップS17で、絞り込まれた目標物を表示中心からの方向によって4つのグループに分類する。ここで、“表示中心からの方向”とは、図6の例における東西南北の4つの方向の領域16〜19のことをいう。また、“4つのグループに分類する”とは、たとえば、図6の例のように、第1〜第5目標物の各々を、それらの位置P1〜P5に応じて各領域16〜19に区分けすることをいう。
【0037】
目標物のグループ分類を完了すると、次に、ステップS18で、各グループ内(すなわち各領域16〜19内)の目標物の名称(図6の例では、“アール・エメティエ駅”、“アベス駅”、“アルマントルソー病院”、“アンスティテュバストゥール病院”、“アンヴァリット廃兵院”)をリスト化し、表示部5の地図表示領域10の所定位置に表示する。ここで、“地図表示領域10の所定位置”とは、地図表示領域10の上端部付近、下端部付近、左端部付近、右端部付近のことをいう。
【0038】
これらの所定位置(上端部付近は、下端部付近、左端部付近、右端部付近)は、図6の各領域16〜19と一対一に対応している。すなわち、上端部付近は北方向の領域16に対応し、下端部付近は南方向の領域18に対応し、左端部付近は西方向の領域19に対応し、右端部付近は東方向の領域17に対応している。
【0039】
したがって、ステップS18の処理を実行すると、地図表示領域10の上端部付近に“アール・エメティエ駅”と“アベス駅”という名称が表示され、また、地図表示領域10の左端部付近に“アンスティテュバストゥール病院”と“アンヴァリット廃兵院”という名称が表示され、さらに、地図表示領域10の右端部付近に“アルマントルソー病院”という名称が表示される。
【0040】
なお、ここでは、地図表示領域10の下端部付近に名称は表示されない。図6に示すように、この下端部付近に対応する南方向の領域18に目標物が区分けされていないからである。
なお、ステップS18では、現在の地図の縮尺で表示できない目標物が1つでもある場合には、現在の地図の縮尺で表示可能な目標物を含めて、現在絞り込まれている全ての目標物をリスト化して表示したが、現在の地図の縮尺で表示できない目標物(地図上に所定のシンボル表示がされていない目標物)のみをリスト化して表示するようにしてもよい。
【0041】
以上のように、検索実行とその検索結果の表示を行うと、次に、ステップS19で、検索終了か否かを判定する。この検索終了判定は、操作部3の不図示の検索終了キーの操作を検出して行ってもよく、または、他の操作イベントの検出に応答して行ってもよい。検索終了を判定すると、プログラムを終了し、検索終了を判定しなかった場合は、再びステップS3に戻って検索実行キー3cの操作を判定する。
【0042】
図7は、地図検索の一例を示す図である。検索前における表示部5の表示状態は、同図の上の絵のようになっている。すなわち、表示部5の地図表示領域10の中心に、現在位置P0を示すマークが表示されているとともに、その付近の地図が所定の縮尺で表示されている。このとき、まだ文字入力部11は表示されていない。図4のステップS2で検索文字列の初期化が行われると、地図表示領域10の左上隅付近に文字入力部11が現れ、検索文字の入力が可能になる。
【0043】
たとえば、文字入力部11に“ア“と入力した場合を考える。即時検索モードの場合、この“ア“の入力に応答して、図4のステップS10が実行される。または、即時検索モードでない場合は、検索実行キー3cの操作に応答して、図4のステップS10が実行される。
【0044】
このステップS10の処理は、前記のとおり、「現在の検索文字列を含む名称の目標物を検索する(検索中の目標物がある場合の絞り込む)」というものであるので、このステップS10において、文字入力部11に入力された文字“ア“をキーワードにした地図情報6の検索が行われる。
【0045】
この検索は、図3の補助データ6bを参照することによって行われる。すなわち、この補助データ6bにおいて、頭に“ア”がつく地名は、“アール・エメティエ駅”、“アベス駅”、“アルマントルソー病院”、“アンスティテュバストゥール病院”、“アンヴァリット廃兵院”の5つであるので、それらの5つの地名(第1〜第5目標物)が検索結果として得られることになる。
【0046】
そして、それら5つの目標物の位置情報(緯度と経度)を補助データ6bから取り出し、それらの位置情報に基づいて、ステップS16で、現在の地図縮尺ですべての目標物(第1〜第5目標物)を地図上に表示可能か否かを判定したところ、すべての目標物を表示できない縮尺であると判定されたため(この場合、5つの目標物のいずれも地図上に表示可能ではない)、ステップS17とステップS18で、地図表示領域10の上端部付近に“アール・エメティエ駅”と“アベス駅”という名称を表示し、また、地図表示領域10の左端部付近に“アンスティテュバストゥール病院”と“アンヴァリット廃兵院”という名称を表示し、さらに、地図表示領域10の右端部付近に“アルマントルソー病院”という名称を表示したものである。
【0047】
名称の表示結果は、同図の下の絵のように示される。すなわち、表示部5の地図表示領域10の上端部付近や左端部付近および右端部付近の各々にメッセージエリア20〜22が表示されており、各々のメッセージエリア20〜22の内部に第1〜第5目標物の名称(“アール・エメティエ駅”、“アベス駅”、“アルマントルソー病院”、“アンスティテュバストゥール病院”、“アンヴァリット廃兵院”)が表示されている。
【0048】
ユーザは、この表示結果から、以下のことを直感的に読み取ることができる。
(a)頭に“ア”がつく名称の目標物は現在位置P0の付近に見当たらない。
(b)ただし、現在の地図の表示範囲外に該当する目標物が5つ存在する。
(c)それらの目標物の名称は“アール・エメティエ駅”、“アベス駅”、“アルマントルソー病院”、“アンスティテュバストゥール病院”、“アンヴァリット廃兵院”である。
【0049】
これらの(a)〜(c)から、ユーザは、自分の意図した目標物が上記の名称の中にあるか否かを判断し、ない場合は、検索キーワードの入力をやり直して検索を再行する一方、自分の意図した目標物が上記の名称の中に存在した場合は、その名称を選択し、意図した目標物を地図上に表示する。
この例では、5つの目標物のいずれも地図上に表示可能ではない場合を説明したが、例えば、5つの目標物のうち“アール・エメティエ駅”、“アベス駅”の2つが地図上に表示可能である場合には、この2つの目標物は地図上で所定のシンボルで表示される。しかし、その他の3つの目標物が地図上に表示可能ではないため、ステップS16ですべての目標物を表示できない縮尺であると判定され、“アンヴァリット廃兵院”、“アンスティテュバストゥール病院”、“アルマントルソー病院”の3つは、所定のシンボルで表示する代わりに、矩形枠内にリスト表示される。このリスト表示は所定のシンボル表示と表示形態が異なるので、ユーザは、どの目標物が地図表示内に位置し、どの目標物が地図表示外に位置しているのかを容易に識別することが可能となる。
【0050】
上記の「意図した目標物を地図上に表示する」ための方法は様々考えられるが、たとえば、メッセージエリア20〜22に表示されている任意の名称をユーザが選択したことを検出する検出手段を設け、その検出手段の検出結果に応答して、意図した目標物の位置(たとえば、“アール・エメティエ駅”が選択された場合はその緯度経度)に地図の中心をジャンプまたは自動スクロールするような仕組みが考えられる。このようにすると、所望の名称を選択するだけで、直ちにユーザが意図した目標(この場合は“アール・エメティエ駅”)を地図上に表示することができる。
【0051】
上記の「検出手段」としては、たとえば、メッセージエリア20〜22のオンフォーカスイベントを利用することができる。オンフォーカスイベントは対象となるコントロール(ここではメッセージエリア20〜22)の選択(オンフォーカス)に応答して発生するイベントであり、このイベントのプロシージャー(手順書)に、選択された名称の位置(たとえば、“アール・エメティエ駅”が選択された場合はその緯度経度)を補助データ6bから取得するコードと、その位置に地図の中心をジャンプまたは自動スクロールさせるコードとをプログラミングしておけばよい。
【0052】
以上説明したとおり、この実施形態では、入力された検索文字列に一致または部分一致する名称が付けられた地図上の目標物を検索し、その検索された目標物を含むように地図表示の位置を調整できることに加え、さらに、入力中の検索文字列に新たな文字が追加されるたびに、新たな検索を行って目標物を絞り込むことができ、且つ、この絞り込みによって変化した目標物の数または位置に応じて地図表示の位置を変化させることができる。
これにより、任意の名称がつけられた目標物の検索を自由に行うことができるばかりか、検索結果が複数であった場合でも、その検索結果を階層的に徐々に絞り込んでいくことができるから、より柔軟かつ容易に地図上の目標物を検索することができるという効果が得られる。
【0053】
また、検索文字の追加によって新たに検索された目標物または新たに絞り込まれた目標物の位置を含むように地図表示の位置を移動させることができるので、最新の目標物を地図上で確認して、意図した目標物であるかどうかをすぐに判断することができる。
【0054】
また、地図表示の中心位置を、新たに検索された目標物または新たに絞り込まれた目標物のうち現在の地図表示の中心から最も近い位置にある目標物の位置に移動したり、または絞り込んだりすることができるので、ユーザの現在位置に最も近い目標物を地図の中心にとらえることができる。このことは、たとえば、ガソリンスタンドを検索する場合などに好都合である。車の燃料が少なくなったときには、できるだけ近くのスタンドに立ち寄りたいからである。ただし、“最も近い目標物”を地図の中心にしたり、“最も近い目標物”に絞り込んだりするという態様は、上記の好都合を重視した際のベストモードに過ぎない。技術的な思想上は、目標物までの「距離」に着目する点にあり、その距離の遠近は原理上、必須でない。
【0055】
また、新たに検索された目標物または新たに絞り込まれた目標物が複数であった場合に、文字入力以外の方法、たとえば、カーソルキー3aを操作して方向(東西南北)を指定するといった方法で、その方向にある目標物に絞り込むことができるため、文字による絞り込み検索の欠点(手間が掛かる)を解消し、操作の簡素化を図ることができる。
【0056】
なお、上記の「カーソルキー3aを操作して方向(東西南北)を指定する」という方法は「文字入力以外の方法」を示す一例であり、これに限定されない。たとえば、カーソルキー3a以外のキーを用いてもよいし、あるいは、キー操作によらない方法であってもよい。このような「キー操作によらない方法」としては、たとえば、地図表示制御装置1の内部に三軸加速度センサ等を設けておき、地図表示制御装置1の本体を動かしたときの方向をセンサで検出し、その検出方向にある目標物に絞り込む、といった方法が考えられる。または、タッチパネル付の表示部5の場合は、そのタッチパネルのタッチ操作に応答して絞り込みを行ってもよい。この場合のタッチ操作は、地図上の位置に関するユーザの指示操作に相当する。
【0057】
また、実施形態では、方向を指定して絞り込みを行う際に、絞り込み対象の目標物を「東西南北」の4つの領域16〜19に区分け(グループ化)しているが、これに限定されない。要は、現在の地図表示の中心位置からの方向を複数の方向範囲に分割するとともに、いずれかの方向範囲を指定し、指定された方向範囲に位置する目標物に絞り込むことができればよい。
【符号の説明】
【0058】
1 地図表示制御装置
3 操作部(入力手段)
4 制御部(検索手段、位置調整手段、絞り込み手段、位置移動手段、第3の絞り込み手段)
3d カーソルキー(第2の絞り込み手段、操作手段)
16〜19 領域(方向範囲)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検索文字を入力する入力手段と、
入力された検索文字に一致または部分一致する名称が付けられた地図上の目標物を検索する検索手段と、
前記検索手段によって検索された目標物を含むように地図表示の位置を調整する位置調整手段と、
入力中の検索文字に新たな文字が追加される毎に新たな検索を行って目標物の絞り込みを行う絞り込み手段と、
前記絞り込みによって変化した目標物の数または位置に応じて地図表示の位置を移動させる位置移動手段と
を備えたことを特徴とする地図表示制御装置。
【請求項2】
前記位置移動手段は、前記検索手段によって新たに検索された目標物または前記絞り込み手段によって新たに絞り込まれた目標物の位置を含むように前記地図表示の位置を移動させることを特徴とする請求項1に記載の地図表示制御装置。
【請求項3】
前記位置移動手段は、前記検索手段によって新たに検索された目標物または前記絞り込み手段によって新たに絞り込まれた目標物の中で現在の地図表示の中心から最も近い位置にある目標物の位置に前記地図表示の中心を移動することを特徴とする請求項2に記載の地図表示制御装置。
【請求項4】
前記検索手段によって新たに検索された目標物または前記絞り込み手段によって新たに絞り込まれた目標物が複数であった場合に、更に文字入力以外の方法で当該複数の目標物を絞り込む第2の絞り込み手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の地図表示制御装置。
【請求項5】
前記検索手段によって新たに検索されたすべての目標物または前記絞り込み手段によって新たに絞り込まれたすべての目標物を地図上に表示できない場合に、当該地図上の位置に関するユーザの指示操作に応答して、それらの新たに検索されたすべての目標物または新たに絞り込まれたすべての目標物を絞り込む第3の絞り込み手段を備えたことを特徴とする請求項4に記載の地図表示制御装置。
【請求項6】
入力中の文字列に対応して検索された目標物が複数であった場合に、更に文字を追加することによって目標物を絞り込むか、あるいは、文字入力以外の方法で目標物を絞り込むかを選択できるようにしたことを特徴とする請求項4に記載の地図表示制御装置。
【請求項7】
入力中の文字列に対応して検索された目標物が複数であった場合に、現在の地図表示の中心位置から各目標物までの距離または方向によって目標物を絞り込むことを特徴とする請求項4に記載の地図表示制御装置。
【請求項8】
現在の地図表示の中心位置からより近い目標物に絞り込むことを特徴とする請求項7に記載の地図表示制御装置。
【請求項9】
現在の地図表示の中心位置に対して指定した方向にある目標物に絞り込むことを特徴とする請求項7に記載の地図表示制御装置。
【請求項10】
現在の地図表示の中心位置からの方向を複数の方向範囲に分割するとともに、いずれかの方向範囲を指定し、指定された方向範囲に位置する目標物に絞り込むことを特徴とする請求項9に記載の地図表示制御装置。
【請求項11】
現在の地図表示の中心位置からの方向を4つの方向範囲に分割するとともに、カーソルキーにより4つの方向範囲のいずれかを指定し、指定された方向範囲に位置する目標物に絞り込むことを特徴とする請求項10に記載の地図表示制御装置。
【請求項12】
検索された複数の目標物をグループ化し、各グループを複数の操作手段の各々に対応付けるとともに、いずれかの操作手段の操作に応答して、その操作された操作手段に対応するグループ内の目標物に絞り込むことを特徴とする請求項11に記載の地図表示制御装置。
【請求項13】
前記地図表示の位置を移動しまたは範囲を変化させる場合に、それらの移動または変化を連続的に行うことを特徴とする請求項1乃至請求項12いずれかに記載の地図表示制御装置。
【請求項14】
検索文字を入力する入力工程と、
入力された検索文字に一致または部分一致する名称が付けられた地図上の目標物を検索する検索工程と、
前記検索工程によって検索された目標物を含むように地図表示の位置を調整する位置調整工程と、
入力中の検索文字に新たな文字が追加される毎に新たな検索を行って目標物の絞り込みを行う絞り込み工程と、
前記絞り込みによって変化した目標物の数または位置に応じて地図表示の位置を移動させる位置移動工程と
を含むことを特徴とする地図表示制御方法。
【請求項15】
地図表示制御装置のコンピュータに、
検索文字を入力する入力手段と、
入力された検索文字に一致または部分一致する名称が付けられた地図上の目標物を検索する検索手段と、
前記検索手段によって検索された目標物を含むように地図表示の位置を調整する位置調整手段と、
入力中の検索文字に新たな文字が追加される毎に新たな検索を行って目標物の絞り込みを行う絞り込み手段と、
前記絞り込みによって変化した目標物の数または位置に応じて地図表示の位置を移動させる位置移動手段と
しての機能を実現させるためのプログラム。
【請求項1】
検索文字を入力する入力手段と、
入力された検索文字に一致または部分一致する名称が付けられた地図上の目標物を検索する検索手段と、
前記検索手段によって検索された目標物を含むように地図表示の位置を調整する位置調整手段と、
入力中の検索文字に新たな文字が追加される毎に新たな検索を行って目標物の絞り込みを行う絞り込み手段と、
前記絞り込みによって変化した目標物の数または位置に応じて地図表示の位置を移動させる位置移動手段と
を備えたことを特徴とする地図表示制御装置。
【請求項2】
前記位置移動手段は、前記検索手段によって新たに検索された目標物または前記絞り込み手段によって新たに絞り込まれた目標物の位置を含むように前記地図表示の位置を移動させることを特徴とする請求項1に記載の地図表示制御装置。
【請求項3】
前記位置移動手段は、前記検索手段によって新たに検索された目標物または前記絞り込み手段によって新たに絞り込まれた目標物の中で現在の地図表示の中心から最も近い位置にある目標物の位置に前記地図表示の中心を移動することを特徴とする請求項2に記載の地図表示制御装置。
【請求項4】
前記検索手段によって新たに検索された目標物または前記絞り込み手段によって新たに絞り込まれた目標物が複数であった場合に、更に文字入力以外の方法で当該複数の目標物を絞り込む第2の絞り込み手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の地図表示制御装置。
【請求項5】
前記検索手段によって新たに検索されたすべての目標物または前記絞り込み手段によって新たに絞り込まれたすべての目標物を地図上に表示できない場合に、当該地図上の位置に関するユーザの指示操作に応答して、それらの新たに検索されたすべての目標物または新たに絞り込まれたすべての目標物を絞り込む第3の絞り込み手段を備えたことを特徴とする請求項4に記載の地図表示制御装置。
【請求項6】
入力中の文字列に対応して検索された目標物が複数であった場合に、更に文字を追加することによって目標物を絞り込むか、あるいは、文字入力以外の方法で目標物を絞り込むかを選択できるようにしたことを特徴とする請求項4に記載の地図表示制御装置。
【請求項7】
入力中の文字列に対応して検索された目標物が複数であった場合に、現在の地図表示の中心位置から各目標物までの距離または方向によって目標物を絞り込むことを特徴とする請求項4に記載の地図表示制御装置。
【請求項8】
現在の地図表示の中心位置からより近い目標物に絞り込むことを特徴とする請求項7に記載の地図表示制御装置。
【請求項9】
現在の地図表示の中心位置に対して指定した方向にある目標物に絞り込むことを特徴とする請求項7に記載の地図表示制御装置。
【請求項10】
現在の地図表示の中心位置からの方向を複数の方向範囲に分割するとともに、いずれかの方向範囲を指定し、指定された方向範囲に位置する目標物に絞り込むことを特徴とする請求項9に記載の地図表示制御装置。
【請求項11】
現在の地図表示の中心位置からの方向を4つの方向範囲に分割するとともに、カーソルキーにより4つの方向範囲のいずれかを指定し、指定された方向範囲に位置する目標物に絞り込むことを特徴とする請求項10に記載の地図表示制御装置。
【請求項12】
検索された複数の目標物をグループ化し、各グループを複数の操作手段の各々に対応付けるとともに、いずれかの操作手段の操作に応答して、その操作された操作手段に対応するグループ内の目標物に絞り込むことを特徴とする請求項11に記載の地図表示制御装置。
【請求項13】
前記地図表示の位置を移動しまたは範囲を変化させる場合に、それらの移動または変化を連続的に行うことを特徴とする請求項1乃至請求項12いずれかに記載の地図表示制御装置。
【請求項14】
検索文字を入力する入力工程と、
入力された検索文字に一致または部分一致する名称が付けられた地図上の目標物を検索する検索工程と、
前記検索工程によって検索された目標物を含むように地図表示の位置を調整する位置調整工程と、
入力中の検索文字に新たな文字が追加される毎に新たな検索を行って目標物の絞り込みを行う絞り込み工程と、
前記絞り込みによって変化した目標物の数または位置に応じて地図表示の位置を移動させる位置移動工程と
を含むことを特徴とする地図表示制御方法。
【請求項15】
地図表示制御装置のコンピュータに、
検索文字を入力する入力手段と、
入力された検索文字に一致または部分一致する名称が付けられた地図上の目標物を検索する検索手段と、
前記検索手段によって検索された目標物を含むように地図表示の位置を調整する位置調整手段と、
入力中の検索文字に新たな文字が追加される毎に新たな検索を行って目標物の絞り込みを行う絞り込み手段と、
前記絞り込みによって変化した目標物の数または位置に応じて地図表示の位置を移動させる位置移動手段と
しての機能を実現させるためのプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【公開番号】特開2011−198318(P2011−198318A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−67238(P2010−67238)
【出願日】平成22年3月24日(2010.3.24)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月24日(2010.3.24)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】
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