説明

地図表示技術

【課題】本発明は、地図画像に示される地図の縮尺を縮小する際の利便性を向上させる地図表示技術を提供する
【解決手段】 端末装置20は、地物を示す地物データを地物データの属性別含む複数のレイヤデータ810を用いて地図画像MPを生成し、地図画像MPに示される地図の縮尺を縮小し、縮小後の地図画像MPに先立って表示されるプレ地図画像PSを生成し、プレ地図画像PSは、縮小前の地図画像MPに示される地図上の表示範囲に対応する対応領域DRの周囲に、縮小後の地図画像MPの生成に用いられる複数のレイヤデータ810のうち一部のレイヤデータ810に基づく地物が縮小後の縮尺で配置された地図画像である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図を示す地図画像を表示する地図表示技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、地図画像に示される地図の縮尺を縮小する際に、縮小前後で切り替わる地図上の表示範囲の大きさの対比を示す地図表示技術があった。下記特許文献1,2には、従来の地図表示技術が開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開平4−287084号公報
【特許文献2】特開平9−50233号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の従来技術では、縮小後の地図画像が実際に表示されるまでは、縮尺を縮小することによって表示されることとなる地図上の領域に何も表示されないため、ユーザは、縮小後の地図画像に所望の地物が示されるか否かを把握することができず、使い勝手が悪いという問題があった。例えば、所望の地物が縮小後の表示範囲外にある場合には、縮小後の地図画像を更に縮小する手間が必要であった。
【0005】
本発明は、上記した課題を踏まえ、地図画像に示される地図の縮尺を縮小する際の利便性を向上させる地図表示技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した課題を解決するため、本発明の地図表示装置は、地図を示す地図画像の表示を行う地図表示装置であって、地物を示す地物データを含む複数のレイヤデータを用いて地図画像を生成する地図生成部と、地図画像に示される地図の縮尺を縮小する縮尺縮小部と、縮小後の地図画像に先立って表示されるプレ地図画像を生成するプレ地図生成部とを備え、プレ地図画像は、縮小前の地図画像に示される地図上の表示範囲に対応する対応領域の周囲に、縮小後の地図画像の生成に用いられる複数のレイヤデータのうち一部のレイヤデータに基づく地物が縮小後の縮尺で配置された地図画像であることを特徴とする。これによって、縮小後の地図画像が表示される前に、縮小前の表示範囲と、縮小後の地図画像に示される一部の地物との間の対応関係が、プレ地図画像に示されるため、ユーザは、縮小後の地図画像に所望の地物が示されるか否かを認識し易くなり、所望の縮小レベルを適切に選択することができる。したがって、地図画像に示される地図の縮尺する際の利便性を向上させることができる。
【0007】
前述の地図情報装置は、以下の形態を採ることもできる。例えば、プレ地図生成部は、大きさを縮小した前記補正前の地図画像を、プレ地図画像上の前記対応領域に嵌め込む嵌込部を備えても良い。これによって、プレ地図画像の生成で取り扱われるデータ量の増加を抑制しつつ、縮小前後の対応関係をより詳細に示すことができる。
【0008】
また、プレ地図生成部は、プレ地図画像上の前記対応領域を塗り潰す塗潰部を備えても良い。これによって、プレ地図画像の生成に要するデータ処理量の低減を図り、プレ地図画像を表示して地図画像を縮小する際の処理速度を向上させることができる。
【0009】
また、プレ地図生成部は、プレ地図画像上の対応領域を枠で縁取る縁取部を備えても良い。これによって、プレ地図画像の生成に要するデータ処理量の低減を図り、プレ地図画像を表示して地図画像を縮小する際の処理速度を向上させることができる。
【0010】
また、地図情報装置は、更に、複数のレイヤデータを記憶する記憶装置から、地図画像の生成に用いられる複数のレイヤデータを取得するデータ取得部と、プレ地図画像から縮小後の地図画像への表示の移行を決定する縮小決定部とを備え、データ取得部は、プレ地図画像が生成される際に、一部のレイヤデータを記憶装置から取得するプレ取得部と、表示の移行が決定された後に、縮小後の地図画像の生成に用いられる残余のレイヤデータを記憶装置から取得する残余取得部とを備え、地図生成部は、プレ地図画像が生成される際に取得される一部のレイヤデータ、および、表示の移行が決定される後に取得される残余のレイヤデータを用いて、縮小後の地図画像を生成する縮小地図生成部を備えることとしても良い。これによって、プレ地図画像の表示に続いて縮小後の地図画像を表示する際に、縮小後の地図画像の生成するために地図表示装置と記憶装置との間でやり取りされるデータ量を抑制することができる。なお、データ取得部は、地図画像の生成に用いられる複数のレイヤデータを、記憶装置からネットワークを介して取得しても良い。
【0011】
また、地図表示装置は、更に、プレ地図画像の生成に用いられる一部のレイヤデータを、地図表示装置のユーザから入力される指示情報に基づいて選択するレイヤ選択部を備えても良い。これによって、ユーザが所望する地物を適切にプレ地図画像に示すことができる。例えば、ユーザが地図を用いて宿泊施設を検索する場合には、宿泊施設に関する地物データを含むレイヤデータを用いて生成されるプレ地図画像を提供することができ、また、ユーザが目的地までの経路を検索する場合には、道路に関する地物データを含むレイヤデータを用いて生成されるプレ地図画像を提供することができる。
【0012】
また、一部のレイヤデータは、地物を文字で示す地物データを含むレイヤデータ,地物を記号で示す地物データを含むレイヤデータ,地物を形状で示す地物データを含むレイヤデータの少なくとも一つのレイヤデータであっても良い。これによって、縮小前の表示範囲と、縮小後の地図画像に示される一部の地物との間の対応関係がユーザに一層認識され易いプレ地図画像を提供することができる。
【0013】
また、本発明の形態は、地図情報装置に限るものではなく、例えば、地図表示装置および記憶装置を備える地図表示システムや、地図画像をディスプレイに表示する地図表示方法、地図画像をディスプレイに表示する機能をコンピュータに実現させるためのプログラムなどに適用することもできる。また、本発明は、前述の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において様々な形態で実施し得ることは勿論である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以上説明した本発明の構成および作用を一層明らかにするために、以下本発明を適用した地図表示技術について説明する。
【0015】
A.地図表示システム10の構成:
図1は、地図表示システム10の概略構成を示す説明図である。地図表示システム10は、地図を示す地図画像MPを表示する地図表示装置としての機能を有する携帯電話システムの携帯電話機である端末装置20と、携帯電話網,固定電話網,インターネット,WAN(Wide Area Network),LAN(Local Area Network)などで構成されるネットワーク40と、端末装置20と無線通信を行うことによって端末装置20をネットワーク40に接続する携帯電話システムの基地局である基地局装置30と、地物を示す地物データを地物データの属性別に含む複数のレイヤデータ810を有する地図データ80を記憶する記憶装置60と、記憶装置60に記憶される地図データ80を端末装置20からの要求に基づいてネットワーク40を介して端末装置20に提供する地図サーバ50と、GPS(Global Positioning System)信号を送信する測地衛星910とを備える。
【0016】
図2は、端末装置20の内部構成を機能的に示すブロック図である。端末装置20は、端末装置20の各部を制御する制御部210と、画像を表示するディスプレイ部220と、端末装置20のユーザからの情報の入力を受け付ける複数のボタンを有する入力ボタン部230と、音声を出力するスピーカ260と、音声の入力を受け付けるマイク270と、測地衛星910から送信されるGPS信号を受信するGPS受信部250と、基地局装置30との間で無線通信によるデータの送受信を行う無線通信部240とを備える。端末装置20の制御部210は、端末装置20のユーザによる音声通話を実現する通話部212と、地図データ80およびGPS信号に基づいてディスプレイ部220に地図画像MPを表示して現在地の図示や経路の案内を行う地図提供部214とを備える。
【0017】
本実施例では、制御部210は、セントラルプロセッシングユニット(Central Processing Unit、以下、CPUという),リードオンリメモリ(Read Only Memory、以下、ROMという),ランダムアクセスメモリ(Random Access Memory、以下、RAMという)などのハードウェアの他、端末装置20の各部とのインタフェースや、通話部212および地図提供部214の各機能を実現させるハードウェアを備えるコンピュータである。本実施例では、制御部210には、オペレーティングシステムの他、通話部212および地図提供部214の各機能を実現させるプログラムなどのアプリケーションソフトウェアがインストールされている。制御部210の動作についての詳細は後述する。
【0018】
本実施例では、ディスプレイ部220は、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display, LCD)を採用するが、ELディスプレイ(Electro Luminescence Display)を採用しても良い。また、本実施例では、端末装置20のユーザからの情報の入力を受け付ける手段として、入力ボタン部230を採用するが、ディスプレイ部220にタッチパネルを採用し、入力ボタン部230によって行われる入力の受け付けの少なくとも一部をタッチパネルで行うこととしても良い。
【0019】
図3は、端末装置20のディスプレイ部220に表示されるナビゲーション画面700の一例を示す説明図である。図3のナビゲーション画面700は、制御部210の地図提供部214による動作に基づいてディスプレイ部220に表示される画面である。ナビゲーション画面700は、地図画像MPを表示する地図表示部710と、地図画像MPに示される地図の縮尺を拡大・縮小するGUI(Graphical User Interface)である縮尺レベル調整部720と、地図画像MPに示される地図の縮尺を表示する縮尺表示部730とを有する。地図表示部710に表示される地図画像MPは、記憶装置60に記憶されている地図データ80に基づいて、制御部210の地図提供部214によって生成される。
【0020】
本実施例では、地図表示部710には、端末装置20の現在地を示す現在地マーカPLが、地図画像MP上に重ね合わせて表示される。縮尺レベル調整部720は、縮尺レベルマーカ725を有し、本実施例では、端末装置20のユーザが入力ボタン部230を操作することによって、縮尺レベルマーカ725が上下に移動し、地図画像MPに示される地図の縮尺が変更される。本実施例では、縮尺レベルマーカ725が上方に移動するのに伴い地図画像MPに示される地図の縮尺は拡大され、縮尺レベルマーカ725が下方に移動するに伴い地図画像MPに示される地図の縮尺は縮小される。図3のナビゲーション画面700では、地図表示部710に、縮尺「1/1500」の地図画像MPが表示され、縮尺レベル調整部720に、縮尺レベルマーカ725が縮尺「1/1500」の位置に表示され、縮尺表示部730に、縮尺「1/1500」の文字情報が表示されている。
【0021】
図1の説明に戻り、本実施例では、地図サーバ50は、CPU,ROM,RAM,ハードディスクドライブ(Hard Disk Drive、以下、HDDという),各種インタフェースを備えるサーバコンピュータであり、地図サーバ50には、オペレーティングシステムの他、記憶装置60に記憶される地図データ80を端末装置20に提供する機能を実現させるプログラムなどのアプリケーションソフトウェアがインストールされている。本実施例では、記憶装置60は、地図サーバ50の外部記憶装置としてのHDDであるが、記憶装置60は、地図サーバ50に内蔵されても良いし、DVD(Digital Versatile Disk)やCD(Compact Disk),半導体メモリなどを用いる記憶装置であっても良い。
【0022】
図4は、地図データ80を構成する複数のレイヤデータ810のデータ構成の一例を示す説明図である。図4には、複数のレイヤデータ810の各々に割り当てられる識別子を示すレイヤデータID8120と、各レイヤデータ810にそれぞれ分類される地物データの属性を示す地物属性8140と、各レイヤデータ810に含まれる地物データによる地物の表現方式を示すデータ種類8160とが示されている。なお、本実施例では、地図データ80は、地図の縮尺レベルに対応する複数のレイヤデータ群を含み、縮尺レベルに応じて適切なレイヤデータ群が地図画像MPの生成に用いられることによって、視認性に優れた地図画像MPが生成される。
【0023】
本実施例では、データ種類8160が「線」であるレイヤデータ810は、地物データとして、地物を表現する線の軌跡を複数の点によって示す点列データと、各線の線種,幅,色などを示すデータとを含む。例えば、図4の例では、「A001」として識別されるレイヤデータ810は、都道府県の境界の形状を線図で示す地図データであり、「A005」として識別されるレイヤデータ810は、一般道の交通網の形状を線図で示す地図データであり、「A006」として識別されるレイヤデータ810は、鉄道の交通網の形状を線図で示す地図データである。
【0024】
また、本実施例では、データ種類8160が「ポリゴン」であるレイヤデータ810は、地物データとして、地物を表現する形状をポリゴンで示すポリゴンデータの他、各ポリゴンを塗り潰す色を示すデータや、各ポリゴンを囲む線の線種,幅,色などを示すデータを含む。例えば、図4の例では、「B001」として識別されるレイヤデータ810は、鉄道の駅舎の形状をポリゴンで示す地図データであり、「B002」として識別されるレイヤデータ810は、緑地や公園の敷地の形状をポリゴンで示す地図データであり、「B003」として識別されるレイヤデータ810は、河川や湖沼,海などの敷地の形状をポリゴンで示す地図データであり、「B004」として識別されるレイヤデータ810は、建物や施設などの建造物の敷地の形状をポリゴンで示す地図データである。
【0025】
また、本実施例では、データ種類8160が「記号」であるレイヤデータ810は、地物データとして、規格化されている一般地図記号で地物を表現する画像データと、各地図記号を配置する座標データとを含み、データ種類8160が「記号+文字」であるレイヤデータ810は、規格化されている地図記号で地物を表現する画像データと、各地図記号を配置する座標データと、各地図記号に付される文字データとを含む。例えば、図4の例では、「C001」として識別されるレイヤデータ810は、一般地図記号で地物を示す地図データであり、「C002」として識別されるレイヤデータ810は、国道番号が付された国道記号で国道を示す地図データであり、「C003」として識別されるレイヤデータ810は、県道番号が付された県道記号で県道を示す地図データである。
【0026】
また、本実施例では、データ種類8160が「文字」であるレイヤデータ810は、地物データとして、地物の名称を示す文字データと、各文字データを配置する座標データとを含む。例えば、図4の例では、「D001」として識別されるレイヤデータ810は、都道府県の名称で都道府県を示す地図データであり、「D006」として識別されるレイヤデータ810は、一般道の路線の名称で一般道を示す地図データであり、「D007」として識別されるレイヤデータ810は、交差点の名称で交差点を示す地図データであり、「D008」として識別されるレイヤデータ810は、鉄道の路線の名称で鉄道を示す地図データであり、「D009」として識別されるレイヤデータ810は、駅の名称で駅を示す地図データであり、「D012」として識別されるレイヤデータ810は、建物や施設などの名称で建造物を示す地図データである。
【0027】
また、本実施例では、データ種類8160が「特殊記号」であるレイヤデータ810は、地物データとして、規格化されていない特殊記号で地物を表現する画像データと、各特殊記号を配置する座標データとを含む。例えば、図4の例では、「E001」として識別されるレイヤデータ810は、旅館やホテルなどの宿泊施設を示す特殊記号で宿泊施設を示す地図データであり、「E002」として識別されるレイヤデータ810は、デパートやコンビニエンスストアなどの商業施設を示す特殊記号で商業施設を示す地図データであり、「E003」として識別されるレイヤデータ810は、遊園地やゴルフ場などのレジャー施設を示す特殊記号でレジャー施設を示す地図データである。
【0028】
B.地図表示システム10の動作:
図5は、地図表示システム10の端末装置20が実行する地図縮小処理を示すフローチャートである。図5の地図縮小処理は、端末装置20の制御部210によってソフトウェアに基づき実行される処理であり、ナビゲーション画面700が表示されている際に、地図画像MPに示される地図の縮尺を縮小する指示が、端末装置20のユーザから縮尺レベル調整部720を介して入力された場合に実行される処理である。
【0029】
端末装置20の制御部210は、図5の地図縮小処理を開始すると、端末装置20のユーザから縮尺レベル調整部720を介して入力された縮小レベルを受け付ける(ステップS110)。その後、制御部210は、受け付けられた縮小レベルで地図を示す地図画像MPの生成に用いられる複数のレイヤデータ810の中から一部のレイヤデータ810を選択する(ステップS120)。
【0030】
本実施例では、選択される一部のレイヤデータ810は、端末装置20のユーザから入力される指示情報に基づいて選択されるものであるが、デフォルトとして予め設定されていても良い。本実施例では、一部のレイヤデータ810を選択するための指示情報は、ナビゲーション画面700が表示される前に、端末装置20のユーザから受け付けられた情報であるが、縮小レベルと共に受け付けることとしても良い。例えば、端末装置20のユーザから地図画像MPを用いて宿泊施設を検索する指示情報に基づいてナビゲーション画面700が表示される場合には、宿泊施設に関するレイヤデータ810が、一部のレイヤデータ810として選択される。また、例えば、端末装置20のユーザから地図画像MPを用いて目的地までの経路を検索する指示情報に基づいてナビゲーション画面700が表示される場合には、道路に関するレイヤデータ810が、一部のレイヤデータ810として選択される。
【0031】
一部のレイヤデータ810が選択されると(ステップS120)、制御部210は、選択された一部のレイヤデータ810を地図サーバ50に要求して、記憶装置60に記憶されている一部のレイヤデータ810を取得する(ステップS130)。その後、制御部210は、取得された一部のレイヤデータ810を用いてプレ地図画像PSを生成する(ステップS140)。
【0032】
図6は、プレ地図画像PSが生成される様子の一例を示す説明図である。図6の例では、縮小後の地図画像MPに用いられる複数のレイヤデータ810は、「A005」として識別され「一般道形状」を示すレイヤデータ810と、「A006」として識別され「鉄道形状」を示すレイヤデータ810と、「B001」として識別され「駅舎形状」を示すレイヤデータ810と、「D009」として識別され「駅名」を示すレイヤデータ810と、「E001」として識別され「建物(宿泊施設)」を示すレイヤデータ810である。本実施例では、これらのレイヤデータ810のうち、「E001」として識別されるレイヤデータ810が、一部のレイヤデータ810として、プレ地図画像PSの生成に用いられる(ステップS140)。本実施例では、プレ地図画像PSには、縮小前の地図画像MPによって表示されていた地図上の表示範囲に対応する対応領域DRが縮小後の縮尺で示される。本実施例では、対応領域DRは、プレ地図画像PSにおける他の領域と識別可能な色で塗り潰されると共に枠で縁取りされる。
【0033】
図5の説明に戻り、プレ地図画像PSが生成された後(ステップS140)、制御部210は、生成されたプレ地図画像PSをディスプレイ部220に表示する(ステップS150)。
【0034】
図7は、プレ地図画像PSを表示するナビゲーション画面700の一例を示す説明図である。図7のナビゲーション画面700は、図3に示す状態で縮尺が「1/1500」から「1/3000」に縮小される際に、プレ地図画像PSが表示される状態を示す。図7のナビゲーション画面700では、地図表示部710に、縮尺「1/1500」の地図画像MPに代わって、縮尺「1/3000」のプレ地図画像PSが表示されている。プレ地図画像PSには、「H」の文字を円で囲んだ特殊記号で「建物(宿泊施設)」の場所が示され、プレ地図画像PSの中央には、縮尺「1/1500」の地図画像MPによって表示されていた地図上の対応領域DRが示される。図7のナビゲーション画面700では、縮尺レベル調整部720に、縮尺レベルマーカ725が、縮尺「1/1500」の位置から下方の縮尺「1/3000」の位置に表示され、縮尺表示部730に、縮尺「1/1500」に代わって縮尺「1/3000」の文字情報が表示されている。
【0035】
図5の説明に戻り、プレ地図画像PSが表示された後(ステップS150)、制御部210は、縮小レベルを確定するか否かを判断する(ステップS160)。本実施例では、端末装置20のユーザから入力ボタン部230を介して縮小レベルを確定する指示情報が入力された場合に縮小レベルが確定されるが、予め設定された時間が経過する場合に縮小レベルが確定されることとしても良い。縮小レベルが確定されない場合には(ステップS160)、制御部210は、縮小レベルの入力からプレ地図画像PSの表示までの処理を、縮小レベルが確定されるまで繰り返し実行する(ステップS110〜S160)。
【0036】
縮小レベルが確定される場合には(ステップS160)、制御部210は、受け付けられた縮小レベルの地図画像MPの生成に用いられる複数のレイヤデータ810のうち、選択された一部のレイヤデータ810以外の残余のレイヤデータ810を地図サーバ50に要求して、記憶装置60に記憶されている残余のレイヤデータ810を取得する(ステップS170)。その後、制御部210は、取得された残余のレイヤデータ810と、プレ地図画像PSの生成に用いた一部のレイヤデータ810とを用いて、受け付けられた縮小レベルの地図を示す地図画像MPを生成する(ステップS180)。
【0037】
図8は、縮小後の地図画像MPが生成される様子の一例を示す説明図である。図8の例では、縮小後の地図画像MPに用いられる複数のレイヤデータ810は、図6の例と同様である。本実施例では、プレ地図画像PSが生成される際に取得された「E001」として識別されるレイヤデータ810に加え、縮小レベルの確定後に取得された「A005」,「A006,」「B001」,「D009」として識別されるレイヤデータ810が重ね合わされて、縮小後の地図画像MPが生成される(ステップS180)。
【0038】
図5の説明に戻り、縮小後の地図画像MPが生成された後(ステップS180)、制御部210は、生成された縮小後の地図画像MPをディスプレイ部220に表示し(ステップS190)、図5の地図縮小処理を終了する。
【0039】
図9は、縮小後の地図画像MPを表示するナビゲーション画面700の一例を示す説明図である。図9のナビゲーション画面700は、図7に示す状態で縮尺が「1/3000」で確定された際に、縮小後の地図画像MPが表示される状態を示す。図9のナビゲーション画面700では、地図表示部710に、縮尺「1/3000」のプレ地図画像PSに代わって、縮尺「1/3000」の地図画像MPが表示され、縮尺レベル調整部720に、縮尺レベルマーカ725が縮尺「1/3000」の位置に表示され、縮尺表示部730に、縮尺「1/3000」の文字情報が表示される。
【0040】
以上説明した地図表示システム10によれば、縮小後の地図画像MPが表示される前に、縮小前の対応領域DRと、縮小後の地図画像MPに示される一部の地物との間の対応関係が、プレ地図画像PSに示されるため、ユーザは、縮小後の地図画像MPに所望の地物が示されるか否かを認識し易くなり、所望の縮小レベルを適切に選択することができる。したがって、地図画像MPに示される地図の縮尺する際の利便性を向上させることができる。
【0041】
また、プレ地図画像PSの生成に用いられた一部のレイヤデータ810が、縮小後の地図画像MPの生成に用いられるため(ステップS180)、プレ地図画像PSの表示に続いて縮小後の地図画像MPを表示する際に、縮小後の地図画像MPの生成するために端末装置20と記憶装置60との間でやり取りされるデータ量を抑制することができる。また、プレ地図画像PSの生成に用いられる一部のレイヤデータ810が、ユーザからの指示情報に基づいて選択されるため(ステップS120)、ユーザが所望する地物を適切にプレ地図画像PSに示すことができる。また、プレ地図画像PSには、地物を示す特殊記号が、縮小前の対応領域DRと共に表示されるため(図7)、縮小前の対応領域DRと、縮小後の地図画像MPに示される一部の地物との間の対応関係がユーザに一層認識され易いプレ地図画像PSを提供することができる。
【0042】
また、プレ地図画像PSにおける対応領域DRの部分は、プレ地図画像PSにおける他の領域と識別可能な色で塗り潰されるため、プレ地図画像PSの生成に要するデータ処理量の低減を図り、プレ地図画像PSを表示して地図画像MPを縮小する際の処理速度を向上させることができる。また、プレ地図画像PSにおける対応領域DRの部分は、枠で縁取りされるため、プレ地図画像PSの生成に要するデータ処理量の低減を図り、プレ地図画像PSを表示して地図画像MPを縮小する際の処理速度を向上させることができる。
【0043】
C.その他の実施形態:
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこうした実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において様々な形態で実施し得ることは勿論である。例えば、本実施例では、地図表示システム10の端末装置20は、携帯電話機であるが、無線ローカルエリアネットワーク(Local Area Network, LAN)の端末装置であっても良いし、地図表示専用の携帯端末であっても良いし、車載のカーナビゲーション装置であっても良い。また、本実施例では、地図データ80は、端末装置20にネットワーク40等を介して接続される記憶装置60に記憶されることとしたが、端末装置20に記憶装置60を内蔵または外付けすることとしても良い。
【0044】
また、本実施例では、プレ地図画像PSにおける対応領域DRを塗り潰すと共に枠で囲むことによって表示したが、プレ地図画像PSに対応領域DRを表示しなくても良い。また、プレ地図画像PSにおける対応領域DRの部分には、大きさが縮小された縮小前の地図画像MPが嵌め込まれても良い。図10は、他の実施形態におけるプレ地図画像PSを表示するナビゲーション画面700の一例を示す説明図である。図10のナビゲーション画面700は、プレ地図画像PSの対応領域DRに、大きさが縮小された縮小前の地図画像MPが嵌め込まれている点以外は、図7のナビゲーション画面700と同様である。図10の対応領域DRに嵌め込まれている地図画像MPは、図3のナビゲーション画面700に表示されていた地図画像MPの大きさを縮小した画像である。この実施形態の場合には、プレ地図画像PSの生成で取り扱われるデータ量の増加を抑制しつつ、縮小前後の対応関係をより詳細に示すことができる。
【0045】
また、プレ地図画像PSにおける対応領域DRを塗り潰すことなく枠Fで囲んでも良い。図11は、他の実施形態におけるプレ地図画像PSを表示するナビゲーション画面700の一例を示す説明図である。図11のナビゲーション画面700は、プレ地図画像PSの対応領域DRを塗り潰すことなく枠Fで囲む点以外は、図7のナビゲーション画面700と同様である。図11のナビゲーション画面700における枠Fの内部には、縮小後の地図画像MPに用いられる複数のレイヤデータ810のうち、プレ地図画像PSの生成で用いられるレイヤデータ810によって表現される地図情報が示される。これによって、プレ地図画像PSの生成で取り扱われるデータ量の増加を抑制することができる。
【0046】
また、プレ地図画像PSの生成に用いられる一部のレイヤデータ810は、一つに限るものではなく、二以上のレイヤデータ810を用いても良い。また、プレ地図画像PSの生成に用いられる一部のレイヤデータ810は、地物を示す特殊記号を配置するレイヤデータ810に限るものではなく、縮小後の地図画像MPの生成に用いられるレイヤデータ810であればいずれを用いても良い。
【0047】
また、本実施例では、地図画像MPの縮尺を縮小する際に、プレ地図画像PSが表示されることとしたが、本発明を地図画像MPの縮尺を拡大する際に適用しても良い。例えば、地図画像MPの縮尺を拡大する際に、拡大後の地図画像MPの生成に用いられる複数のレイヤデータの一部を用いてプレ拡大画像を生成し、拡大後の地図画像MPの表示に先立ってプレ拡大画像を表示しても良い。また、例えば、地図画像MPの縮尺を拡大する際に、拡大前の地図画像MPの生成に用いられる複数のレイヤデータの一部を用いてプレ地図画像PSを生成し、拡大後の地図画像MPの表示に先立ってプレ地図画像PSを表示しても良い。
【0048】
また、本実施例では、地図画像MPの縮尺を縮小する際に、プレ地図画像PSが表示されることとしたが、本発明を地図画像MPによって表示される表示位置を移動する際に適用して、プレ地図画像PS上で表示位置の移動が実行されることとしても良い。この場合には、記憶装置60から取得される一部のレイヤデータ810は、縮小される地図画像MPにおける表示範囲に相当するレイヤデータ810に加え、縮小される地図画像MPにおける表示範囲に隣接する領域に相当するレイヤデータ810を含むこととしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】地図表示システム10の概略構成を示す説明図である。
【図2】端末装置20の内部構成を機能的に示すブロック図である。
【図3】端末装置20のディスプレイ部220に表示されるナビゲーション画面700の一例を示す説明図である。
【図4】地図データ80を構成する複数のレイヤデータ810のデータ構成の一例を示す説明図である。
【図5】地図表示システム10の端末装置20が実行する地図縮小処理を示すフローチャートである。
【図6】プレ地図画像PSが生成される様子の一例を示す説明図である。
【図7】プレ地図画像PSを表示するナビゲーション画面700の一例を示す説明図である。
【図8】縮小後の地図画像MPが生成される様子の一例を示す説明図である。
【図9】縮小後の地図画像MPを表示するナビゲーション画面700の一例を示す説明図である。
【図10】他の実施形態におけるプレ地図画像PSを表示するナビゲーション画面700の一例を示す説明図である。
【図11】他の実施形態におけるプレ地図画像PSを表示するナビゲーション画面700の一例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0050】
10…地図表示システム
20…端末装置
30…基地局装置
40…ネットワーク
50…地図サーバ
60…記憶装置
80…地図データ
210…制御部
212…通話部
214…地図提供部
220…ディスプレイ部
230…入力ボタン部
240…無線通信部
250…GPS受信部
260…スピーカ
270…マイク
700…ナビゲーション画面
710…地図表示部
720…縮尺レベル調整部
725…縮尺レベルマーカ
730…縮尺表示部
810…レイヤデータ
8120…レイヤデータID
8140…地物属性
8160…データ種類
910…測地衛星
DR…対応領域
MP…地図画像
PL…現在地マーカ
PS…プレ地図画像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図を示す地図画像の表示を行う地図表示装置であって、
地物を示す地物データを含む複数のレイヤデータを用いて前記地図画像を生成する地図生成部と、
前記地図画像に示される地図の縮尺を縮小する縮尺縮小部と、
前記縮小後の地図画像に先立って表示されるプレ地図画像を生成するプレ地図生成部と
を備え、
前記プレ地図画像は、前記縮小前の地図画像に示される地図上の表示範囲に対応する対応領域の周囲に、前記縮小後の地図画像の生成に用いられる複数のレイヤデータのうち一部のレイヤデータに基づく地物が前記縮小後の縮尺で配置された地図画像である地図表示装置。
【請求項2】
前記プレ地図生成部は、大きさを縮小した前記補正前の地図画像を、前記プレ地図画像上の前記対応領域に嵌め込む嵌込部を備える請求項1記載の地図表示装置。
【請求項3】
前記プレ地図生成部は、前記プレ地図画像上の前記対応領域を塗り潰す塗潰部を備える請求項1記載の地図表示装置。
【請求項4】
前記プレ地図生成部は、前記プレ地図画像上の前記対応領域を枠で縁取る縁取部を備える請求項1記載の地図表示装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか記載の地図表示装置であって、更に、
前記複数のレイヤデータを記憶する記憶装置から、前記地図画像の生成に用いられる複数のレイヤデータを取得するデータ取得部と、
前記プレ地図画像から前記縮小後の地図画像への表示の移行を決定する縮小決定部と
を備え、
前記データ取得部は、
前記プレ地図画像が生成される際に、前記一部のレイヤデータを前記記憶装置から取得するプレ取得部と、
前記表示の移行が決定された後に、前記縮小後の地図画像の生成に用いられる残余のレイヤデータを前記記憶装置から取得する残余取得部と
を備え、
前記地図生成部は、前記プレ地図画像が生成される際に取得される一部のレイヤデータ、および、前記表示の移行が決定される後に取得される残余のレイヤデータを用いて、前記縮小後の地図画像を生成する縮小地図生成部を備える地図表示装置。
【請求項6】
前記データ取得部は、前記地図画像の生成に用いられる複数のレイヤデータを、前記記憶装置からネットワークを介して取得する請求項5記載の地図表示装置。
【請求項7】
更に、前記プレ地図画像の生成に用いられる一部のレイヤデータを、前記地図表示装置のユーザから入力される指示情報に基づいて選択するレイヤ選択部を備える請求項1ないし6のいずれか記載の地図表示装置。
【請求項8】
前記一部のレイヤデータは、前記地物を文字で示す地物データを含むレイヤデータ,前記地物を記号で示す地物データを含むレイヤデータ,前記地物を形状で示す地物データを含むレイヤデータの少なくとも一つのレイヤデータである請求項1ないし7のいずれか記載の地図表示装置。
【請求項9】
地図を示す地図画像をディスプレイに表示する地図表示方法であって、
地物を示す地物データを含む複数のレイヤデータを記憶装置に用意し、
前記記憶装置に記憶されている複数のレイヤデータを用いて前記地図画像を生成し、
前記地図画像に示される地図の縮尺を縮小し、
前記縮小後の地図画像に先立って表示されるプレ地図画像を生成し、
前記プレ地図画像は、前記縮小前の地図画像に示される地図上の表示範囲に対応する対応領域の周囲に、前記縮小後の地図画像の生成に用いられる複数のレイヤデータのうち一部のレイヤデータに基づく地物が前記縮小後の縮尺で配置された地図画像である地図表示方法。
【請求項10】
地図を示す地図画像をディスプレイに表示する機能をコンピュータに実現させるためのプログラムであって、
地物を示す地物データを含む複数のレイヤデータを用いて前記地図画像を生成する機能と、
前記地図画像に示される地図の縮尺を縮小する機能と、
前記縮小後の地図画像に先立って表示されるプレ地図画像を生成する機能であって、前記プレ地図画像は、前記縮小前の地図画像に示される地図上の表示範囲に対応する対応領域の周囲に、前記縮小後の地図画像の生成に用いられる複数のレイヤデータのうち一部のレイヤデータに基づく地物が前記縮小後の縮尺で配置された地図画像である機能と
を実現させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−114294(P2007−114294A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−303199(P2005−303199)
【出願日】平成17年10月18日(2005.10.18)
【出願人】(597151563)株式会社ゼンリン (155)
【Fターム(参考)】