地図表示方法及びそれを用いたナビゲーション装置
【課題】地図の一部に拡大地図を重畳表示している場合に、拡大地図の表示態様により方向も知らせることができる利便性の高い地図表示方法を提供することである。
【解決手段】表示装置に地図を表示する地図表示方法において、前記表示装置に第1の地図50を表示し、第1の地図50に、現在地53を含む第1の地図50より小さな枠51を重畳し、枠51内に、現在地53を含む拡大した第2の地図52を表示し、目的地が枠51外にある場合、枠51を目的地の方向を指す第1の矢印形状とする。
【解決手段】表示装置に地図を表示する地図表示方法において、前記表示装置に第1の地図50を表示し、第1の地図50に、現在地53を含む第1の地図50より小さな枠51を重畳し、枠51内に、現在地53を含む拡大した第2の地図52を表示し、目的地が枠51外にある場合、枠51を目的地の方向を指す第1の矢印形状とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示している地図上に該表示している地図より小さな枠を重畳し、該枠内の基準点を含む拡大した地図を該枠内に表示する地図表示方法及びそれを用いたナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、地図はナビゲーション装置、携帯情報端末、携帯電話機、パーソナルコンピュータ(以下、PCと記す)など様々な装置で表示されて利用されている。それぞれの装置の利用形態や地図データの内容により、地図の表示方法は多種多様であり、ユーザの利便性を向上させた表示方法が多く提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、広域地図に対応するある縮尺の地図画像をメイン画像として表示した上で、このメイン画像上の表示領域内に対して、これとは異なる縮尺による詳細地図エリアの重畳表示を行う地図情報表示装置が開示されている。つまり、表示中の地図の一部にそれよりも拡大した地図を重ねて表示することで、地図の一部を虫眼鏡で拡大したように表示するものである。
【特許文献1】特開2002−5672号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の技術を用いた場合、目的地や検索した場所など所望場所が中心に表示されている状態から、ユーザが詳細地図エリアを移動させて周辺の情報を見ているうちに、最初に表示されていた所望場所が画面の外に移動してしまい、見失うことがある。このとき、最初に表示されていた所望場所を表示する地図に戻したい場合は、ユーザは四方八方に地図表示を移動させて探さなければならず、利便性に欠ける。
【0005】
そこで本発明は、地図の一部に拡大地図を重畳表示している場合に、拡大地図の表示態様により方向も知らせることができる利便性の高い地図表示方法を提供することを目的とする。また、その地図表示方法を用いたナビゲーション装置を提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本発明は、表示装置に地図を表示する地図表示方法において、前記表示装置に第1の地図を表示し、前記第1の地図に、基準点を含む前記第1の地図より小さな枠を重畳し、前記枠内に、前記基準点を含む拡大した第2の地図を表示し、設定された所望場所が前記枠外にある場合、前記枠を前記所望場所の方向を指す第1の矢印形状とすることを特徴とする。
【0007】
この構成によると、設定された所望場所が枠外にあるか又は枠内にあるかで、枠の形状を変えて表示される。
【0008】
上記地図表示方法において、誘導案内時においては、前記基準点が現在地であり、前記所望場所が目的地であることとする。
【0009】
この構成によると、ナビゲーション装置や携帯電話機やPDA(Personal Digital Assistant)など現在地を検出できる装置に適用することができる。
【0010】
また上記地図表示方法において、前記枠内の誘導経路上の案内地点まで所定距離以内に現在地が近づいた場合、前記枠を案内方向を指す第2の矢印形状とするようにしてもよい。
【0011】
この構成によると、案内地点に近づいた場合に、枠の形状をさらに変えて表示される。
【0012】
また本発明のナビゲーション装置は、上記の何れかに記載の地図表示方法を用いることとする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、設定された所望場所が枠外にある場合、所望場所の方向を指す第1の矢印形状の枠とすることにより、枠内に拡大地図を表示することで近辺をわかりやすくするとともに、矢印の方向により設定された所望場所の方向も知らせることができる。
【0014】
また本発明によれば、誘導経路上の案内地点まで所定距離以内に現在地が近づいた場合、案内方向を指す第2の矢印形状の枠とすることにより、枠内に拡大地図と現在地とを表示することで誘導経路をわかりやすくするとともに、矢印の方向により案内方向も見やすく表示することができる。
【0015】
したがって、本発明によると、地図の一部に拡大地図を重畳表示するだけでなく、拡大地図の表示態様により方向も知らせることができる利便性の高い地図表示方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の地図表示方法を用いたナビゲーション装置とPCを例に説明する。図1は、本発明のナビゲーション装置の主要な構成を示すブロック図である。
【0017】
ナビゲーション装置10は、車両搭載用であって、GPS(Global Positioning System)衛星から受信した電波に基づいて車両位置を特定し、車両位置とともにその付近の地図が示された誘導画面を表示して、誘導経路に沿って車両を目的地まで誘導することを主たる機能としている。
【0018】
ナビゲーション装置10は、GPS部11と、ジャイロセンサ12と、車速センサ13と、インターフェース部14と、制御部15と、記録媒体19と、ドライブ部20と、描画部21と、表示制御部22と、表示部23と、音源回路部24と、スピーカ25と、ハードキー26と、タッチパネル27と、位置検出部28と、インターフェース部29とを備えている。
【0019】
GPS部11は、受信アンテナ及びチューナ等で構成されており、GPS衛星から受信した電波を処理して測位用データを取り出す。取り出された測位用データは、インターフェース部14を介して制御部15に送られる。制御部15は、GPS部11から送られた測位用データに基づいて車両の現在地を特定する。ナビゲーション装置10は、所謂ハイブリッド方式を採用しており、車両の向きを検知するためのジャイロセンサ12と、車両の速度を検知するための車速センサ13も併用する。ジャイロセンサ12や車速センサ13の検知信号はインターフェース部14を介して制御部15に送られ、制御部15はそれらの信号に基づいて車両の向きや速度を特定する。
【0020】
また、制御部15は、ナビゲーション装置10の制御を統括的に行うとともに、車両位置の特定や経路探索等の各種動作及び処理を実行する。制御部15は、例えばマイクロコンピュータで構成されており、制御や動作の手順が記述された各種プログラムを実行するCPU16と、CPU16で使用されるデータや、後述する記録媒体19から読み出されてCPU16で実行されるプログラムを一時的に記憶するRAM17と、立ち上げや入出力等に関する基本的な制御を記述したプログラムやフォントデータ等を記憶するROM18とを含んでいる。これらCPU16、RAM17、ROM18等は、バス(不図示)を介して接続されている。
【0021】
記録媒体19には、ハードディスク、メモリーカード、光ディスク等を採用できる。記録媒体19には、誘導画面の表示や経路探索などに必要となる地図データベースと、ナビゲーション装置10の各種動作を記述したプログラムとが格納されている。そして、制御部15は、記録媒体19からドライブ部20を介してこのプログラムを読み出して実行する。地図データベースには、道路、施設、背景等の情報を含む地図データ、地図データに基づいて地図や誘導画面を描画する際に参照される描画パラメータ、各種検索にて参照される索引データ、経路誘導用やその他の用途の音声の生成に使用される音声データ等が含まれている。そして、制御部15は、実行する動作に必要なデータを地図データベースから部分的に取り出して参照する。
【0022】
描画部21は、描画専用のCPU等を含むICチップであって、制御部15からの指示に基づいて、誘導画面の画像データや操作画面の画像データ等を作成する。描画部21で作成された画像データは、表示制御部22に送られ、表示制御部22が有するRAMに記憶される。表示制御部22は、記憶した画像データに基づいて表示部23に画像表示用の信号を送り、表示部23の表示領域に画像データに係る画面を表示させる。表示部23には、LCDや有機ELディスプレイなどが用いられる。
【0023】
音源回路部24は、制御部15から送られた音声データに基づいて、経路誘導用やその他の用途のアナログ音声信号を生成する。生成されたアナログ音声信号は、スピーカ25で再生される。
【0024】
ハードキー26は、電源のオン/オフをする電源キーや音量調整用のキー等を含んでいる。ハードキー26を構成するキーの1つが押下されると、そのキーの押下を通知する信号がインターフェース部29を介して制御部15に送られる。
【0025】
タッチパネル27は、例えば、格子状に配置された透明な電極を有する感圧式のパネルであって、表示部23の表示領域上に配設される。タッチパネル27が押下されると、位置検出部28は、タッチパネル27から送られた電圧信号に基づいて、押下された位置の座標情報を通知する信号を生成する。この信号は、インターフェース部29を介して制御部15に送られる。
【0026】
〈第1の実施形態〉
図2は、第1の実施形態のナビゲーション装置の動作を示すフローチャートである。本ナビゲーション装置10は、通常モードと拡大枠モードとを備えており、以下では、予めユーザの操作により拡大枠モードが選択されている場合について説明する。拡大枠モードとは、画面上の地図の一部に枠を重畳表示し、枠内に現在地を含む拡大地図を表示するモードである。一方、通常モードとは、画面上の地図に現在地を重畳表示するモードである。
【0027】
まず、電源オンなどの操作があると、ステップS10においてナビゲーション装置10は現在地を特定する。次に、ステップS11へ進んで現在地を含む第1の地図を表示する。第1の地図は、予め設定された縮尺の地図であり、現在地が第1の地図の中心や中心のやや下方になるように表示する。
【0028】
次に、ステップS12へ進んで目的地が設定されているか否かを判別する。目的地の設定は、ユーザが地図上から選んだり、住所から検索したり、電話番号から検索したりすることで設定される。
【0029】
ステップS12において目的地が設定されていない場合、例えば、電源オン操作してそのままの状態の場合などは、ステップS13へ進んで第1の地図に、現在地を含む第1の地図より小さな枠を重畳し、枠内に、現在地を含む第1の地図よりも拡大した第2の地図と現在地とを表示する。ステップS13からはステップS10に戻る。
【0030】
図3は、ステップS13の表示画面の一例である。第1の地図40の中心に第1の地図40より小さな円形の枠41が重畳され、枠41内に、現在地を含む第1の地図40よりも拡大した第2の地図42と現在地43とが表示されている。
【0031】
枠41の大きさは、ユーザが枠41の周囲をドラッグしながら移動させることで所望の大きさに変えられるようにしてもよい。また、枠41の形状も枠41の所定箇所をドラッグしながら引っ張ることで変えられるようにしてもよい。
【0032】
第2の地図42は、第1の地図40を現在地を中心に拡大し、枠41に収まるように切り取ればよい。現在地43は、図3では二等辺三角形で示しており、頂角が現在の進行方向を示しているが、少なくとも現在地を示すマークであればよく、例えば、点や矢印や車両の絵柄などであってもよい。
【0033】
上記の枠の大きさや形状の可変方法、第2の地図の拡大方法、現在地のマークについては、以下の図でも同様に適用できるものとする。
【0034】
このように、枠41を用いることにより、ユーザは現在地周辺の広域の様子と、現在地近辺の詳細な様子とを同時に把握することができる。換言すれば、両者の様子を把握するにあたり、視点を大きく変える必要がない。また従来のように、両者を別々に並べて表示させる必要がないため、同じ画面サイズでも見易さを損なわずに多くの情報を表示することができる。したがって、携帯端末などの小さな画面でも有効となる。
【0035】
図2に戻り、ステップS12において目的地が設定されている場合は、ステップS14へ進んで現在地から目的地までの経路探索を行い、誘導経路を他の道と区別できるように所定の色などで地図に重畳する。経路探索には従来の様々な手法を採用することができる。
【0036】
ステップS14からステップS15へ進んで、目的地が後で表示する枠外か枠内のどちらにあるか判別する。このときの枠は、例えば上述した現在地を含む枠41を想定すればよい。ステップS15において目的地が枠外にある場合は、ステップS16へ進んで、第1の地図に枠を重畳し、枠内に、現在地を含む第1の地図よりも拡大した第2の地図と現在地とを表示する。このときの枠は目的地の方向を指す第1の矢印形状とする。
【0037】
図4は、ステップS16の表示画面の一例である。第1の地図50の中心に第1の地図50より小さな第1の矢印形状の枠51が重畳され、枠51内に、現在地を含む第1の地図50よりも拡大した第2の地図52と現在地53とが表示されている。枠51は、三角形と円を組み合わせた形状をしており、枠51の三角形の矢印は目的地54の方向を指している。また、誘導経路55が破線で表示されている。
【0038】
このように、第1の矢印形状の枠51を用いることにより、枠内に拡大地図と現在地とを表示することで誘導経路をわかりやすくするとともに、矢印の方向により目的地の方向も知らせることができる。したがって、拡大地図だけではない、より利便性の高い地図表示方法を提供することができる。
【0039】
図2に戻り、ステップS15において目的地が枠内にある場合は、ステップS17へ進んで、第1の地図に、現在地を含む第1の地図より小さな枠を重畳し、枠内に、現在地を含む第1の地図よりも拡大した第2の地図と現在地とを表示する。このときの枠はステップS13と同じ矢印形状でない枠とする。
【0040】
図5は、ステップS17の表示画面の一例である。第1の地図60の中心に第1の地図60より小さな円形の枠61が重畳され、枠61内に、現在地を含む第1の地図60よりも拡大した第2の地図62と現在地63と目的地64とが表示されている。
【0041】
このように、枠61を用いることにより、上述した枠41を用いる場合と同様の効果を得ることができる。
【0042】
図2に戻り、ステップS16、ステップS17からは共にステップS18へ進み、現在地を特定する。次に、ステップS19へ進んで目的地に到着したか否かを判別する。これは、現在地と目的地とがほぼ同じ位置にあるか否かを判別すればよい。
【0043】
ステップS19において目的地に到着していないと判別した場合は、ステップS20へ進んで移動した現在地に合うように第1の地図を更新し、ステップS15に戻る。一方、ステップS19において目的地に到着したと判別した場合は、ステップS21へ進んで誘導案内を終了する。
【0044】
〈第2の実施形態〉
以下の第2の実施形態の説明では、第1の実施形態と重複する部分については詳細な説明を省略する。第2の実施形態も第1の実施形態と同様、拡大枠モードが選択されている場合について説明する。
【0045】
図6は、第2の実施形態のナビゲーション装置の動作を示すフローチャートである。ステップS10からステップS14までは第1の実施形態と同様であり、ステップS14からステップS30へ進んで、現在地が、後で表示する枠内の誘導経路上の案内地点まで所定距離以内に近づいたか否かを判別する。このときの枠は、例えば上述した現在地を含む枠41を想定すればよい。案内地点とは、分岐点や曲がり角など特に詳しく経路を案内する必要がある地点をいう。所定距離は、例えば、100mなどユーザが余裕を持って進路を変更できる距離とする。
【0046】
ステップS30において案内地点の所定距離以内に近づいていると判別した場合は、ステップS31へ進んで第1の地図に枠を重畳し、枠内に、現在地を含む第1の地図よりも拡大した第2の地図と現在地とを表示する。このときの枠は案内方向を指す第2の矢印形状とする。
【0047】
図7は、ステップS31の表示画面の一例である。第1の地図70の中心に第1の地図70より小さな第2の矢印形状の枠71が重畳され、枠71内に、現在地を含む第1の地図70よりも拡大した第2の地図72と現在地73とが表示されている。枠71は、三角形と四角形を組み合わせた形状をしており、枠71の三角形の矢印は案内方向を指している。また、誘導経路74が破線で表示されている。
【0048】
このように、第2の矢印形状の枠71を用いることにより、枠内に拡大地図と現在地とを表示することで誘導経路をわかりやすくするとともに、矢印の方向により案内方向も見やすく表示することができる。したがって、拡大地図だけではない、より利便性の高い地図表示方法を提供することができる。
【0049】
図6に戻り、ステップS31からはステップS18へ進む。一方、ステップS30において案内地点の所定距離以内に近づいていないと判別した場合は、ステップS15へ進む。ステップS15からステップS21は第1の実施形態と同様であり、ステップS20からはステップS30に戻る。
【0050】
上記第1及び第2の実施形態において、第1及び第2の矢印形状の枠の形状には特に限定はない。図8A〜図8Iに、枠形状の例を示す。図8Aの枠80は、長方形の一辺に二等辺三角形の底辺を合わせた矢印形状である。図8Bの枠81は、平行四辺形を線対称に合わせた矢印形状である。図8Cの枠82は、二等辺三角形の矢印形状である。図8Dの枠83は、合同な三角形を線対称に合わせた矢印形状である。図8Eの枠84は、二等辺三角形を積み重ねた矢印形状である。図8Fの枠85は、正方形にそれよりも小さな二等辺三角形を積み重ねた矢印形状である。図8Gの枠86は、円にそれよりも小さな二等辺三角形を積み重ねた矢印形状である。図8Hの枠87は、円に矢印を合わせた矢印形状である。図8Iの枠88は、長方形に直角三角形を積み重ねた矢印形状である。
【0051】
〈第3の実施形態〉
図9は、本発明のPCの主要な構成を示すブロック図である。PC90は、ノート型であって、ネットワークを介して受信した地図や記録媒体に格納された地図を表示することができる。
【0052】
PC90は、インターフェース部91と、制御部92と、記録媒体93と、ドライブ部94と、描画部95と、表示制御部96と、表示部97と、音源回路部98と、スピーカ99と、ハードキー100と、インターフェース部101とを備えている。そして、インターフェース部91はインターネットなどのネットワーク110に接続されている。
【0053】
制御部92は、PC90の制御を統括的に行う。制御部92は、例えばマイクロコンピュータで構成されており、制御や動作の手順が記述された各種プログラムを実行するCPU102と、CPU102で使用されるデータや、後述する記録媒体93から読み出されてCPU102で実行されるプログラムを一時的に記憶するRAM103と、立ち上げや入出力等に関する基本的な制御を記述したプログラムやフォントデータ等を記憶するROM104とを含んでいる。これらCPU102、RAM103、ROM104等は、バス(不図示)を介して接続されている。
【0054】
記録媒体93には、ハードディスク、メモリーカード、光ディスク等を採用できる。記録媒体93には、地図データベースと、PC90の各種動作を記述したプログラムとが格納されている。そして、制御部92は、記録媒体93からドライブ部94を介してこのプログラムを読み出して実行する。地図データベースには、道路、施設、背景等の情報を含む地図データ、地図データに基づいて地図や誘導画面を描画する際に参照される描画パラメータ、各種検索にて参照される索引データ、経路誘導用やその他の用途の音声の生成に使用される音声データ等が含まれている。そして、制御部92は、実行する動作に必要なデータを地図データベースから部分的に取り出して参照する。また、記録媒体93に格納されているデータはネットワーク110から受信するようにしてもよい。
【0055】
描画部95は、描画専用のCPU等を含むICチップであって、制御部92からの指示に基づいて、誘導画面の画像データや操作画面の画像データ等を作成する。描画部95で作成された画像データは、表示制御部96に送られ、表示制御部96が有するRAMに記憶される。表示制御部96は、記憶した画像データに基づいて表示部97に画像表示用の信号を送り、表示部97の表示領域に画像データに係る画面を表示させる。表示部97には、LCDや有機ELディスプレイなどが用いられる。
【0056】
音源回路部98は、制御部92から送られた音声データに基づいて、アナログ音声信号を生成する。生成されたアナログ音声信号は、スピーカ99で再生される。
【0057】
ハードキー100は、PC90のキーボードである。ハードキー100を構成するキーの1つが押下されると、そのキーの押下を通知する信号がインターフェース部101を介して制御部92に送られる。
【0058】
図10は、第3の実施形態のPC90の動作を示すフローチャートである。ここでは、PC90は、記録媒体93から地図を読み出すものとする。その際、予めユーザの操作により拡大枠モードが選択されている場合について説明する。拡大枠モードとは、画面上の地図の一部に枠を重畳表示し、枠内に基準点(ユーザが見たい場所に移動させることができる点であり後述する枠と一緒に移動する)を含む拡大地図を表示するモードである。
【0059】
まず、ステップS40においてPC90は所望場所が設定されたか否かを判別する。所望場所とは、ユーザが住所検索などで検索した場所をいう。ステップS40において所望場所が設定された場合、例えば、住所検索が行われた場合は、ステップS41へ進んでその住所を中心とする第1の地図を表示する。第1の地図は予め設定された縮尺の地図であるが、その縮尺はユーザが任意に変えることができる。
【0060】
次に、ステップS42へ進んで第1の地図に、所望場所を含む第1の地図より小さな枠を重畳し、枠内に、所望場所を含む第1の地図よりも拡大した第2の地図と基準点とを表示する。なお、基準点の表示は省略してもよい。
【0061】
図11は、ステップS42の表示画面の一例である。第1の地図120の中心に第1の地図120より小さな円形の枠121が重畳され、枠121内に、設定された所望場所122を中心とする第1の地図120よりも拡大した第2の地図122と所望場所122とが表示されている。基準点は枠121の中心である。
【0062】
枠121の大きさは、ユーザが枠121の周囲をドラッグしながら移動させることで所望の大きさに変えられるようにしてもよい。また、枠121の形状も枠121の所定箇所をドラッグしながら引っ張ることで変えられるようにしてもよい。
【0063】
第2の地図122は、第1の地図120を設定された所望場所を中心に拡大し、枠121に収まるように切り取ればよい。
【0064】
このように、枠121を用いることにより、ユーザは所望場所周辺の広域の様子と、所望場所近辺の詳細な様子とを同時に把握することができる。換言すれば、両者の様子を把握するにあたり、視点を大きく変える必要がない。
【0065】
図10に戻り、ステップS42からステップS43へ進んで基準点が移動させられたか否かを判別する。基準点はユーザの操作によりユーザが見たい点に任意に移動させることができ、基準点を中心とするように枠も同時に移動する。
【0066】
ステップS43において基準点が移動させられた場合、ステップS44へ進んで移動した基準点に合うように、例えば、基準点が画面外に移動させられた場合はそれに追従するように、第1の地図を更新する。
【0067】
次にステップS45へ進んで、設定された所望場所が後で表示する枠外か枠内のどちらにあるか判別する。このときの枠は例えば上述した円形の枠121を想定すればよい。ステップS45において設定された所望場所が枠内にある場合は、ステップS42に戻る。
【0068】
一方、ステップS45において設定された所望場所が枠外にある場合は、ステップS46へ進んで、第1の地図に枠を重畳し、枠内に、基準点を含む第1の地図よりも拡大した第2の地図と基準点とを表示する。このときの枠は設定された所望場所の方向を指す矢印形状(第1の矢印形状に相当)とする。なお、基準点の表示は省略してもよい。
【0069】
図12は、ステップS46の表示画面の一例である。第1の地図130の中心に第1の地図130より小さな第1の矢印形状の枠131が重畳され、枠131内に、基準点を含む第1の地図130よりも拡大した第2の地図132が表示されている。枠131は、三角形と円を組み合わせた形状をしており、枠131の三角形の矢印は設定された所望場所122の方向を指している。なお、基準点は枠131の円形部分の中心である。
【0070】
このように、矢印形状の枠131を用いることにより、枠内に拡大地図を表示することで詳細にわかりやすくするとともに、矢印の方向により設定された所望場所の方向も知らせることができる。したがって、拡大地図だけではない、より利便性の高い地図表示方法を提供することができる。例えば、枠131を移動させて周辺の情報を見ているうちに、所望場所が画面の外に出てしまった場合でも、矢印の方向を頼りに移動させれば容易に最初に設定した所望場所に戻ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明の地図表示方法は、ナビゲーション装置をはじめ、PC、PDA、携帯電話機など、地図を表示できる各種電子機器に搭載したり、ネットワークを通じてPCなどに提供したりすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明のナビゲーション装置の主要な構成を示すブロック図である。
【図2】第1の実施形態のナビゲーション装置の動作を示すフローチャートである。
【図3】図2のステップS13の表示画面の一例である。
【図4】図2のステップS16の表示画面の一例である。
【図5】図2のステップS17の表示画面の一例である。
【図6】第2の実施形態のナビゲーション装置の動作を示すフローチャートである。
【図7】図6のステップS31の表示画面の一例である。
【図8A】枠形状の一例である。
【図8B】枠形状の一例である。
【図8C】枠形状の一例である。
【図8D】枠形状の一例である。
【図8E】枠形状の一例である。
【図8F】枠形状の一例である。
【図8G】枠形状の一例である。
【図8H】枠形状の一例である。
【図8I】枠形状の一例である。
【図9】本発明のPCの主要な構成を示すブロック図である。
【図10】第3の実施形態のPCの動作を示すフローチャートである。
【図11】図10のステップS42の表示画面の一例である。
【図12】図10のステップS46の表示画面の一例である。
【符号の説明】
【0073】
10 ナビゲーション装置
40、50、60、70、120、130 第1の地図
41、51、61、71、80〜88、121、131 枠
42、52、62、72、122、132 第2の地図
43、53、63、73 現在地
54、64 目的地
122 所望場所
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示している地図上に該表示している地図より小さな枠を重畳し、該枠内の基準点を含む拡大した地図を該枠内に表示する地図表示方法及びそれを用いたナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、地図はナビゲーション装置、携帯情報端末、携帯電話機、パーソナルコンピュータ(以下、PCと記す)など様々な装置で表示されて利用されている。それぞれの装置の利用形態や地図データの内容により、地図の表示方法は多種多様であり、ユーザの利便性を向上させた表示方法が多く提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、広域地図に対応するある縮尺の地図画像をメイン画像として表示した上で、このメイン画像上の表示領域内に対して、これとは異なる縮尺による詳細地図エリアの重畳表示を行う地図情報表示装置が開示されている。つまり、表示中の地図の一部にそれよりも拡大した地図を重ねて表示することで、地図の一部を虫眼鏡で拡大したように表示するものである。
【特許文献1】特開2002−5672号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の技術を用いた場合、目的地や検索した場所など所望場所が中心に表示されている状態から、ユーザが詳細地図エリアを移動させて周辺の情報を見ているうちに、最初に表示されていた所望場所が画面の外に移動してしまい、見失うことがある。このとき、最初に表示されていた所望場所を表示する地図に戻したい場合は、ユーザは四方八方に地図表示を移動させて探さなければならず、利便性に欠ける。
【0005】
そこで本発明は、地図の一部に拡大地図を重畳表示している場合に、拡大地図の表示態様により方向も知らせることができる利便性の高い地図表示方法を提供することを目的とする。また、その地図表示方法を用いたナビゲーション装置を提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本発明は、表示装置に地図を表示する地図表示方法において、前記表示装置に第1の地図を表示し、前記第1の地図に、基準点を含む前記第1の地図より小さな枠を重畳し、前記枠内に、前記基準点を含む拡大した第2の地図を表示し、設定された所望場所が前記枠外にある場合、前記枠を前記所望場所の方向を指す第1の矢印形状とすることを特徴とする。
【0007】
この構成によると、設定された所望場所が枠外にあるか又は枠内にあるかで、枠の形状を変えて表示される。
【0008】
上記地図表示方法において、誘導案内時においては、前記基準点が現在地であり、前記所望場所が目的地であることとする。
【0009】
この構成によると、ナビゲーション装置や携帯電話機やPDA(Personal Digital Assistant)など現在地を検出できる装置に適用することができる。
【0010】
また上記地図表示方法において、前記枠内の誘導経路上の案内地点まで所定距離以内に現在地が近づいた場合、前記枠を案内方向を指す第2の矢印形状とするようにしてもよい。
【0011】
この構成によると、案内地点に近づいた場合に、枠の形状をさらに変えて表示される。
【0012】
また本発明のナビゲーション装置は、上記の何れかに記載の地図表示方法を用いることとする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、設定された所望場所が枠外にある場合、所望場所の方向を指す第1の矢印形状の枠とすることにより、枠内に拡大地図を表示することで近辺をわかりやすくするとともに、矢印の方向により設定された所望場所の方向も知らせることができる。
【0014】
また本発明によれば、誘導経路上の案内地点まで所定距離以内に現在地が近づいた場合、案内方向を指す第2の矢印形状の枠とすることにより、枠内に拡大地図と現在地とを表示することで誘導経路をわかりやすくするとともに、矢印の方向により案内方向も見やすく表示することができる。
【0015】
したがって、本発明によると、地図の一部に拡大地図を重畳表示するだけでなく、拡大地図の表示態様により方向も知らせることができる利便性の高い地図表示方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の地図表示方法を用いたナビゲーション装置とPCを例に説明する。図1は、本発明のナビゲーション装置の主要な構成を示すブロック図である。
【0017】
ナビゲーション装置10は、車両搭載用であって、GPS(Global Positioning System)衛星から受信した電波に基づいて車両位置を特定し、車両位置とともにその付近の地図が示された誘導画面を表示して、誘導経路に沿って車両を目的地まで誘導することを主たる機能としている。
【0018】
ナビゲーション装置10は、GPS部11と、ジャイロセンサ12と、車速センサ13と、インターフェース部14と、制御部15と、記録媒体19と、ドライブ部20と、描画部21と、表示制御部22と、表示部23と、音源回路部24と、スピーカ25と、ハードキー26と、タッチパネル27と、位置検出部28と、インターフェース部29とを備えている。
【0019】
GPS部11は、受信アンテナ及びチューナ等で構成されており、GPS衛星から受信した電波を処理して測位用データを取り出す。取り出された測位用データは、インターフェース部14を介して制御部15に送られる。制御部15は、GPS部11から送られた測位用データに基づいて車両の現在地を特定する。ナビゲーション装置10は、所謂ハイブリッド方式を採用しており、車両の向きを検知するためのジャイロセンサ12と、車両の速度を検知するための車速センサ13も併用する。ジャイロセンサ12や車速センサ13の検知信号はインターフェース部14を介して制御部15に送られ、制御部15はそれらの信号に基づいて車両の向きや速度を特定する。
【0020】
また、制御部15は、ナビゲーション装置10の制御を統括的に行うとともに、車両位置の特定や経路探索等の各種動作及び処理を実行する。制御部15は、例えばマイクロコンピュータで構成されており、制御や動作の手順が記述された各種プログラムを実行するCPU16と、CPU16で使用されるデータや、後述する記録媒体19から読み出されてCPU16で実行されるプログラムを一時的に記憶するRAM17と、立ち上げや入出力等に関する基本的な制御を記述したプログラムやフォントデータ等を記憶するROM18とを含んでいる。これらCPU16、RAM17、ROM18等は、バス(不図示)を介して接続されている。
【0021】
記録媒体19には、ハードディスク、メモリーカード、光ディスク等を採用できる。記録媒体19には、誘導画面の表示や経路探索などに必要となる地図データベースと、ナビゲーション装置10の各種動作を記述したプログラムとが格納されている。そして、制御部15は、記録媒体19からドライブ部20を介してこのプログラムを読み出して実行する。地図データベースには、道路、施設、背景等の情報を含む地図データ、地図データに基づいて地図や誘導画面を描画する際に参照される描画パラメータ、各種検索にて参照される索引データ、経路誘導用やその他の用途の音声の生成に使用される音声データ等が含まれている。そして、制御部15は、実行する動作に必要なデータを地図データベースから部分的に取り出して参照する。
【0022】
描画部21は、描画専用のCPU等を含むICチップであって、制御部15からの指示に基づいて、誘導画面の画像データや操作画面の画像データ等を作成する。描画部21で作成された画像データは、表示制御部22に送られ、表示制御部22が有するRAMに記憶される。表示制御部22は、記憶した画像データに基づいて表示部23に画像表示用の信号を送り、表示部23の表示領域に画像データに係る画面を表示させる。表示部23には、LCDや有機ELディスプレイなどが用いられる。
【0023】
音源回路部24は、制御部15から送られた音声データに基づいて、経路誘導用やその他の用途のアナログ音声信号を生成する。生成されたアナログ音声信号は、スピーカ25で再生される。
【0024】
ハードキー26は、電源のオン/オフをする電源キーや音量調整用のキー等を含んでいる。ハードキー26を構成するキーの1つが押下されると、そのキーの押下を通知する信号がインターフェース部29を介して制御部15に送られる。
【0025】
タッチパネル27は、例えば、格子状に配置された透明な電極を有する感圧式のパネルであって、表示部23の表示領域上に配設される。タッチパネル27が押下されると、位置検出部28は、タッチパネル27から送られた電圧信号に基づいて、押下された位置の座標情報を通知する信号を生成する。この信号は、インターフェース部29を介して制御部15に送られる。
【0026】
〈第1の実施形態〉
図2は、第1の実施形態のナビゲーション装置の動作を示すフローチャートである。本ナビゲーション装置10は、通常モードと拡大枠モードとを備えており、以下では、予めユーザの操作により拡大枠モードが選択されている場合について説明する。拡大枠モードとは、画面上の地図の一部に枠を重畳表示し、枠内に現在地を含む拡大地図を表示するモードである。一方、通常モードとは、画面上の地図に現在地を重畳表示するモードである。
【0027】
まず、電源オンなどの操作があると、ステップS10においてナビゲーション装置10は現在地を特定する。次に、ステップS11へ進んで現在地を含む第1の地図を表示する。第1の地図は、予め設定された縮尺の地図であり、現在地が第1の地図の中心や中心のやや下方になるように表示する。
【0028】
次に、ステップS12へ進んで目的地が設定されているか否かを判別する。目的地の設定は、ユーザが地図上から選んだり、住所から検索したり、電話番号から検索したりすることで設定される。
【0029】
ステップS12において目的地が設定されていない場合、例えば、電源オン操作してそのままの状態の場合などは、ステップS13へ進んで第1の地図に、現在地を含む第1の地図より小さな枠を重畳し、枠内に、現在地を含む第1の地図よりも拡大した第2の地図と現在地とを表示する。ステップS13からはステップS10に戻る。
【0030】
図3は、ステップS13の表示画面の一例である。第1の地図40の中心に第1の地図40より小さな円形の枠41が重畳され、枠41内に、現在地を含む第1の地図40よりも拡大した第2の地図42と現在地43とが表示されている。
【0031】
枠41の大きさは、ユーザが枠41の周囲をドラッグしながら移動させることで所望の大きさに変えられるようにしてもよい。また、枠41の形状も枠41の所定箇所をドラッグしながら引っ張ることで変えられるようにしてもよい。
【0032】
第2の地図42は、第1の地図40を現在地を中心に拡大し、枠41に収まるように切り取ればよい。現在地43は、図3では二等辺三角形で示しており、頂角が現在の進行方向を示しているが、少なくとも現在地を示すマークであればよく、例えば、点や矢印や車両の絵柄などであってもよい。
【0033】
上記の枠の大きさや形状の可変方法、第2の地図の拡大方法、現在地のマークについては、以下の図でも同様に適用できるものとする。
【0034】
このように、枠41を用いることにより、ユーザは現在地周辺の広域の様子と、現在地近辺の詳細な様子とを同時に把握することができる。換言すれば、両者の様子を把握するにあたり、視点を大きく変える必要がない。また従来のように、両者を別々に並べて表示させる必要がないため、同じ画面サイズでも見易さを損なわずに多くの情報を表示することができる。したがって、携帯端末などの小さな画面でも有効となる。
【0035】
図2に戻り、ステップS12において目的地が設定されている場合は、ステップS14へ進んで現在地から目的地までの経路探索を行い、誘導経路を他の道と区別できるように所定の色などで地図に重畳する。経路探索には従来の様々な手法を採用することができる。
【0036】
ステップS14からステップS15へ進んで、目的地が後で表示する枠外か枠内のどちらにあるか判別する。このときの枠は、例えば上述した現在地を含む枠41を想定すればよい。ステップS15において目的地が枠外にある場合は、ステップS16へ進んで、第1の地図に枠を重畳し、枠内に、現在地を含む第1の地図よりも拡大した第2の地図と現在地とを表示する。このときの枠は目的地の方向を指す第1の矢印形状とする。
【0037】
図4は、ステップS16の表示画面の一例である。第1の地図50の中心に第1の地図50より小さな第1の矢印形状の枠51が重畳され、枠51内に、現在地を含む第1の地図50よりも拡大した第2の地図52と現在地53とが表示されている。枠51は、三角形と円を組み合わせた形状をしており、枠51の三角形の矢印は目的地54の方向を指している。また、誘導経路55が破線で表示されている。
【0038】
このように、第1の矢印形状の枠51を用いることにより、枠内に拡大地図と現在地とを表示することで誘導経路をわかりやすくするとともに、矢印の方向により目的地の方向も知らせることができる。したがって、拡大地図だけではない、より利便性の高い地図表示方法を提供することができる。
【0039】
図2に戻り、ステップS15において目的地が枠内にある場合は、ステップS17へ進んで、第1の地図に、現在地を含む第1の地図より小さな枠を重畳し、枠内に、現在地を含む第1の地図よりも拡大した第2の地図と現在地とを表示する。このときの枠はステップS13と同じ矢印形状でない枠とする。
【0040】
図5は、ステップS17の表示画面の一例である。第1の地図60の中心に第1の地図60より小さな円形の枠61が重畳され、枠61内に、現在地を含む第1の地図60よりも拡大した第2の地図62と現在地63と目的地64とが表示されている。
【0041】
このように、枠61を用いることにより、上述した枠41を用いる場合と同様の効果を得ることができる。
【0042】
図2に戻り、ステップS16、ステップS17からは共にステップS18へ進み、現在地を特定する。次に、ステップS19へ進んで目的地に到着したか否かを判別する。これは、現在地と目的地とがほぼ同じ位置にあるか否かを判別すればよい。
【0043】
ステップS19において目的地に到着していないと判別した場合は、ステップS20へ進んで移動した現在地に合うように第1の地図を更新し、ステップS15に戻る。一方、ステップS19において目的地に到着したと判別した場合は、ステップS21へ進んで誘導案内を終了する。
【0044】
〈第2の実施形態〉
以下の第2の実施形態の説明では、第1の実施形態と重複する部分については詳細な説明を省略する。第2の実施形態も第1の実施形態と同様、拡大枠モードが選択されている場合について説明する。
【0045】
図6は、第2の実施形態のナビゲーション装置の動作を示すフローチャートである。ステップS10からステップS14までは第1の実施形態と同様であり、ステップS14からステップS30へ進んで、現在地が、後で表示する枠内の誘導経路上の案内地点まで所定距離以内に近づいたか否かを判別する。このときの枠は、例えば上述した現在地を含む枠41を想定すればよい。案内地点とは、分岐点や曲がり角など特に詳しく経路を案内する必要がある地点をいう。所定距離は、例えば、100mなどユーザが余裕を持って進路を変更できる距離とする。
【0046】
ステップS30において案内地点の所定距離以内に近づいていると判別した場合は、ステップS31へ進んで第1の地図に枠を重畳し、枠内に、現在地を含む第1の地図よりも拡大した第2の地図と現在地とを表示する。このときの枠は案内方向を指す第2の矢印形状とする。
【0047】
図7は、ステップS31の表示画面の一例である。第1の地図70の中心に第1の地図70より小さな第2の矢印形状の枠71が重畳され、枠71内に、現在地を含む第1の地図70よりも拡大した第2の地図72と現在地73とが表示されている。枠71は、三角形と四角形を組み合わせた形状をしており、枠71の三角形の矢印は案内方向を指している。また、誘導経路74が破線で表示されている。
【0048】
このように、第2の矢印形状の枠71を用いることにより、枠内に拡大地図と現在地とを表示することで誘導経路をわかりやすくするとともに、矢印の方向により案内方向も見やすく表示することができる。したがって、拡大地図だけではない、より利便性の高い地図表示方法を提供することができる。
【0049】
図6に戻り、ステップS31からはステップS18へ進む。一方、ステップS30において案内地点の所定距離以内に近づいていないと判別した場合は、ステップS15へ進む。ステップS15からステップS21は第1の実施形態と同様であり、ステップS20からはステップS30に戻る。
【0050】
上記第1及び第2の実施形態において、第1及び第2の矢印形状の枠の形状には特に限定はない。図8A〜図8Iに、枠形状の例を示す。図8Aの枠80は、長方形の一辺に二等辺三角形の底辺を合わせた矢印形状である。図8Bの枠81は、平行四辺形を線対称に合わせた矢印形状である。図8Cの枠82は、二等辺三角形の矢印形状である。図8Dの枠83は、合同な三角形を線対称に合わせた矢印形状である。図8Eの枠84は、二等辺三角形を積み重ねた矢印形状である。図8Fの枠85は、正方形にそれよりも小さな二等辺三角形を積み重ねた矢印形状である。図8Gの枠86は、円にそれよりも小さな二等辺三角形を積み重ねた矢印形状である。図8Hの枠87は、円に矢印を合わせた矢印形状である。図8Iの枠88は、長方形に直角三角形を積み重ねた矢印形状である。
【0051】
〈第3の実施形態〉
図9は、本発明のPCの主要な構成を示すブロック図である。PC90は、ノート型であって、ネットワークを介して受信した地図や記録媒体に格納された地図を表示することができる。
【0052】
PC90は、インターフェース部91と、制御部92と、記録媒体93と、ドライブ部94と、描画部95と、表示制御部96と、表示部97と、音源回路部98と、スピーカ99と、ハードキー100と、インターフェース部101とを備えている。そして、インターフェース部91はインターネットなどのネットワーク110に接続されている。
【0053】
制御部92は、PC90の制御を統括的に行う。制御部92は、例えばマイクロコンピュータで構成されており、制御や動作の手順が記述された各種プログラムを実行するCPU102と、CPU102で使用されるデータや、後述する記録媒体93から読み出されてCPU102で実行されるプログラムを一時的に記憶するRAM103と、立ち上げや入出力等に関する基本的な制御を記述したプログラムやフォントデータ等を記憶するROM104とを含んでいる。これらCPU102、RAM103、ROM104等は、バス(不図示)を介して接続されている。
【0054】
記録媒体93には、ハードディスク、メモリーカード、光ディスク等を採用できる。記録媒体93には、地図データベースと、PC90の各種動作を記述したプログラムとが格納されている。そして、制御部92は、記録媒体93からドライブ部94を介してこのプログラムを読み出して実行する。地図データベースには、道路、施設、背景等の情報を含む地図データ、地図データに基づいて地図や誘導画面を描画する際に参照される描画パラメータ、各種検索にて参照される索引データ、経路誘導用やその他の用途の音声の生成に使用される音声データ等が含まれている。そして、制御部92は、実行する動作に必要なデータを地図データベースから部分的に取り出して参照する。また、記録媒体93に格納されているデータはネットワーク110から受信するようにしてもよい。
【0055】
描画部95は、描画専用のCPU等を含むICチップであって、制御部92からの指示に基づいて、誘導画面の画像データや操作画面の画像データ等を作成する。描画部95で作成された画像データは、表示制御部96に送られ、表示制御部96が有するRAMに記憶される。表示制御部96は、記憶した画像データに基づいて表示部97に画像表示用の信号を送り、表示部97の表示領域に画像データに係る画面を表示させる。表示部97には、LCDや有機ELディスプレイなどが用いられる。
【0056】
音源回路部98は、制御部92から送られた音声データに基づいて、アナログ音声信号を生成する。生成されたアナログ音声信号は、スピーカ99で再生される。
【0057】
ハードキー100は、PC90のキーボードである。ハードキー100を構成するキーの1つが押下されると、そのキーの押下を通知する信号がインターフェース部101を介して制御部92に送られる。
【0058】
図10は、第3の実施形態のPC90の動作を示すフローチャートである。ここでは、PC90は、記録媒体93から地図を読み出すものとする。その際、予めユーザの操作により拡大枠モードが選択されている場合について説明する。拡大枠モードとは、画面上の地図の一部に枠を重畳表示し、枠内に基準点(ユーザが見たい場所に移動させることができる点であり後述する枠と一緒に移動する)を含む拡大地図を表示するモードである。
【0059】
まず、ステップS40においてPC90は所望場所が設定されたか否かを判別する。所望場所とは、ユーザが住所検索などで検索した場所をいう。ステップS40において所望場所が設定された場合、例えば、住所検索が行われた場合は、ステップS41へ進んでその住所を中心とする第1の地図を表示する。第1の地図は予め設定された縮尺の地図であるが、その縮尺はユーザが任意に変えることができる。
【0060】
次に、ステップS42へ進んで第1の地図に、所望場所を含む第1の地図より小さな枠を重畳し、枠内に、所望場所を含む第1の地図よりも拡大した第2の地図と基準点とを表示する。なお、基準点の表示は省略してもよい。
【0061】
図11は、ステップS42の表示画面の一例である。第1の地図120の中心に第1の地図120より小さな円形の枠121が重畳され、枠121内に、設定された所望場所122を中心とする第1の地図120よりも拡大した第2の地図122と所望場所122とが表示されている。基準点は枠121の中心である。
【0062】
枠121の大きさは、ユーザが枠121の周囲をドラッグしながら移動させることで所望の大きさに変えられるようにしてもよい。また、枠121の形状も枠121の所定箇所をドラッグしながら引っ張ることで変えられるようにしてもよい。
【0063】
第2の地図122は、第1の地図120を設定された所望場所を中心に拡大し、枠121に収まるように切り取ればよい。
【0064】
このように、枠121を用いることにより、ユーザは所望場所周辺の広域の様子と、所望場所近辺の詳細な様子とを同時に把握することができる。換言すれば、両者の様子を把握するにあたり、視点を大きく変える必要がない。
【0065】
図10に戻り、ステップS42からステップS43へ進んで基準点が移動させられたか否かを判別する。基準点はユーザの操作によりユーザが見たい点に任意に移動させることができ、基準点を中心とするように枠も同時に移動する。
【0066】
ステップS43において基準点が移動させられた場合、ステップS44へ進んで移動した基準点に合うように、例えば、基準点が画面外に移動させられた場合はそれに追従するように、第1の地図を更新する。
【0067】
次にステップS45へ進んで、設定された所望場所が後で表示する枠外か枠内のどちらにあるか判別する。このときの枠は例えば上述した円形の枠121を想定すればよい。ステップS45において設定された所望場所が枠内にある場合は、ステップS42に戻る。
【0068】
一方、ステップS45において設定された所望場所が枠外にある場合は、ステップS46へ進んで、第1の地図に枠を重畳し、枠内に、基準点を含む第1の地図よりも拡大した第2の地図と基準点とを表示する。このときの枠は設定された所望場所の方向を指す矢印形状(第1の矢印形状に相当)とする。なお、基準点の表示は省略してもよい。
【0069】
図12は、ステップS46の表示画面の一例である。第1の地図130の中心に第1の地図130より小さな第1の矢印形状の枠131が重畳され、枠131内に、基準点を含む第1の地図130よりも拡大した第2の地図132が表示されている。枠131は、三角形と円を組み合わせた形状をしており、枠131の三角形の矢印は設定された所望場所122の方向を指している。なお、基準点は枠131の円形部分の中心である。
【0070】
このように、矢印形状の枠131を用いることにより、枠内に拡大地図を表示することで詳細にわかりやすくするとともに、矢印の方向により設定された所望場所の方向も知らせることができる。したがって、拡大地図だけではない、より利便性の高い地図表示方法を提供することができる。例えば、枠131を移動させて周辺の情報を見ているうちに、所望場所が画面の外に出てしまった場合でも、矢印の方向を頼りに移動させれば容易に最初に設定した所望場所に戻ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明の地図表示方法は、ナビゲーション装置をはじめ、PC、PDA、携帯電話機など、地図を表示できる各種電子機器に搭載したり、ネットワークを通じてPCなどに提供したりすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明のナビゲーション装置の主要な構成を示すブロック図である。
【図2】第1の実施形態のナビゲーション装置の動作を示すフローチャートである。
【図3】図2のステップS13の表示画面の一例である。
【図4】図2のステップS16の表示画面の一例である。
【図5】図2のステップS17の表示画面の一例である。
【図6】第2の実施形態のナビゲーション装置の動作を示すフローチャートである。
【図7】図6のステップS31の表示画面の一例である。
【図8A】枠形状の一例である。
【図8B】枠形状の一例である。
【図8C】枠形状の一例である。
【図8D】枠形状の一例である。
【図8E】枠形状の一例である。
【図8F】枠形状の一例である。
【図8G】枠形状の一例である。
【図8H】枠形状の一例である。
【図8I】枠形状の一例である。
【図9】本発明のPCの主要な構成を示すブロック図である。
【図10】第3の実施形態のPCの動作を示すフローチャートである。
【図11】図10のステップS42の表示画面の一例である。
【図12】図10のステップS46の表示画面の一例である。
【符号の説明】
【0073】
10 ナビゲーション装置
40、50、60、70、120、130 第1の地図
41、51、61、71、80〜88、121、131 枠
42、52、62、72、122、132 第2の地図
43、53、63、73 現在地
54、64 目的地
122 所望場所
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置に地図を表示する地図表示方法において、
前記表示装置に第1の地図を表示し、
前記第1の地図に、基準点を含む前記第1の地図より小さな枠を重畳し、
前記枠内に、前記基準点を含む拡大した第2の地図を表示し、
設定された所望場所が前記枠外にある場合、前記枠を前記所望場所の方向を指す第1の矢印形状とすることを特徴とする地図表示方法。
【請求項2】
誘導案内時においては、前記基準点が現在地であり、前記所望場所が目的地であることを特徴とする請求項1記載の地図表示方法。
【請求項3】
前記枠内の誘導経路上の案内地点まで所定距離以内に現在地が近づいた場合、前記枠を案内方向を指す第2の矢印形状とすることを特徴とする請求項2記載の地図表示方法。
【請求項4】
請求項1〜3の何れかに記載の地図表示方法を用いたナビゲーション装置。
【請求項1】
表示装置に地図を表示する地図表示方法において、
前記表示装置に第1の地図を表示し、
前記第1の地図に、基準点を含む前記第1の地図より小さな枠を重畳し、
前記枠内に、前記基準点を含む拡大した第2の地図を表示し、
設定された所望場所が前記枠外にある場合、前記枠を前記所望場所の方向を指す第1の矢印形状とすることを特徴とする地図表示方法。
【請求項2】
誘導案内時においては、前記基準点が現在地であり、前記所望場所が目的地であることを特徴とする請求項1記載の地図表示方法。
【請求項3】
前記枠内の誘導経路上の案内地点まで所定距離以内に現在地が近づいた場合、前記枠を案内方向を指す第2の矢印形状とすることを特徴とする請求項2記載の地図表示方法。
【請求項4】
請求項1〜3の何れかに記載の地図表示方法を用いたナビゲーション装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図8E】
【図8F】
【図8G】
【図8H】
【図8I】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図8E】
【図8F】
【図8G】
【図8H】
【図8I】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−54196(P2010−54196A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−216057(P2008−216057)
【出願日】平成20年8月26日(2008.8.26)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年8月26日(2008.8.26)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】
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