説明

地図表示装置、および、地図表示方法

【課題】ユーザにとって分かり易い詳細地図を迅速に表示する技術を提供する。
【解決手段】本発明の地図表示装置は、登録処理部104が、表示地図の中心位置となる候補の地点を、地図上の領域に対応付けて候補位置情報400に記憶する。入力受付部102が地図上の領域の指定を受け付けた場合に、候補地点検索部105は、受け付けた領域に対応付けされている候補の地点を、候補位置情報400から検索する。そして、表示処理部103は、検索された候補の地点のなかから1つの地点を選択し、選択した地点を中心位置とした詳細地図を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図表示装置、および、地図表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ナビゲーション装置などの地図表示装置に使用されるディスプレイは、近年、大型化してきている。これに伴って、1つのディスプレイに表示する画面を2画面に分割し、一方の画面に広域地図を表示し、他方の画面に自車位置周辺の詳細地図を表示する、といったことができるようになってきている。例えば、特許文献1には、2画面にそれぞれ地図を表示するナビゲーション装置について記載されている。このようなナビゲーション装置では、ユーザにより、広域地図上の地点が指定されると、その地点を中心位置とする詳細地図を表示する。
【特許文献1】特開2005−308661号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来の技術では、ユーザにとって分かり易い詳細地図を表示できるとは限らない。具体的には、広域地図は縮尺が小さいため、ユーザは必ずしも目的の地点を正確に指定できない。したがって、ユーザは、広域地図上でおよその地点を指定することとなり、その結果、ユーザにとって不案内な地域の詳細地図が表示される。このような場合、ユーザは、詳細地図をスクロールさせるなどして、表示させたい地点周辺の詳細地図を表示させなければならず、操作が煩雑になる。
【0004】
本発明は、ユーザにとって分かり易い詳細地図を迅速に表示する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための本願発明の地図表示装置は、地点に対応した地図データを記憶する地図データ記憶手段と、前記地図データを表示する表示手段と、所定の地点と、所定の領域と、を対応付けて記憶する地点記憶手段と、領域を指定する領域指定手段と、前記領域指定手段で領域が指定されると、指定された領域に対応した地点を前記地点記憶手段から検索する地点検索手段と、前記地点検索手段で検索された地点を、所定の優先順位に従って選択する選択手段と、前記選択手段で選択された地点に対応する地図データを表示する表示制御手段と、を備える。
【発明の効果】
【0006】
本発明の地図表示装置によれば、ユーザにとって分かり易い詳細地図を迅速に表示することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の実施形態の一例を図面を参照して説明する。
【0008】
図1は、本発明の一実施形態が適用された車載用ナビゲーション装置100の概略構成図である。図示するように、車載用ナビゲーション装置100は、演算処理部1と、ディスプレイ2と、記憶装置3と、音声入出力装置4と、入力装置5と、車速センサ6と、ジャイロセンサ7と、GPS受信装置8と、を備えている。なお、本発明の車載用ナビゲーション装置100は、ナビゲーション装置に限定されず、例えば、携帯電話やPDA等の可搬型の地図表示装置などでもよい。
【0009】
演算処理部1は、様々な処理を行う中心的ユニットである。例えば、各種センサ(6、7)やGPS受信装置8から出力される情報を基にして現在地を検出する。また、得られた現在地情報に基づいて、表示に必要な地図データを記憶装置3から読み出す。また、読み出した地図データをグラフィック展開し、そこに現在地を示すマークを重ねてディスプレイ2に表示する。また、記憶装置3に記憶されている地図データを用いて、ユーザから指示された出発地(現在地)と目的地とを結ぶ最適な経路(推奨経路)を探索する。また、音声入出力装置4やディスプレイ2を用いてユーザを誘導する。
【0010】
ディスプレイ2は、演算処理部1で生成されたグラフィックス情報を表示するユニットである。ディスプレイ2は、CRTや液晶ディスプレイなどで構成される。
【0011】
記憶装置3は、CD−ROMやDVD−ROMやHDDやICカードといった記憶媒体で構成されている。この記憶媒体には、例えば、地図データ310等が記憶されている。
【0012】
地図データ310の概略データ構造を図2に示す。地図データ310は、地図上の区画された領域であるメッシュの識別コード(メッシュID)311ごとに、そのメッシュ領域に含まれている道路を構成する各リンクのリンクデータ320を含んでいる。
【0013】
リンクデータ320は、リンクの識別コード(リンクID)321ごとに、リンクを構成する2つのノード(開始ノード、終了ノード)の座標情報322、リンクを含む道路の種別情報323、リンクの長さを示すリンク長情報324、リンク旅行時間325、2つのノードにそれぞれ接続するリンクの識別コード(接続リンクID)326、リンク周辺に位置する施設の識別コード(周辺施設ID)327、などを含んでいる。なお、ここでは、リンクを構成する2つのノードについて開始ノードと終了ノードとを区別することで、同じ道路の上り方向と下り方向とを、それぞれ別のリンクとして管理することができる。また、リンク旅行時間325は、日時、天気などの条件ごとに対応付けられたリンク旅行時間であってもよい。さらに、地図データ310には、交差点の位置情報、名称等が含まれており、交差点に対応するノードの識別コード(ノードID)も含まれている。
【0014】
また、地図データ310には、所定の縮尺で表示するための画像データが格納されている。例えば、50万分の1、20万分の1、1万分の1、5000分の1、といった縮尺の地図の描画用のデータが格納されている。
【0015】
図1に戻り、音声入出力装置4は、音声入力装置としてマイクロフォン(図示せず)と、音声出力装置としてスピーカ(図示せず)と、を備える。マイクロフォンは、ユーザやその他の搭乗者から発された音声などの、車載器の外部の音声を取得する。スピーカは、演算処理部1で生成された音声信号を出力する。これらのマイクロフォンとスピーカは、
車両の所定の部位に、別個に配されている。
【0016】
入力装置5は、ユーザからの指示を受け付けるユニットである。入力装置5は、電源ボタン、スクロールキー、縮尺変更キーなどのハードスイッチ、ジョイスティック、ディスプレイ上に貼られたタッチパネルなどで構成される。以下では、タッチパネルで構成された場合について説明する。
【0017】
車速センサ6,ジャイロセンサ7、及び、GPS受信装置8は、車載用ナビゲーション装置100で現在地(自車位置)を検出するために使用される。車速センサ6は、移動体(車両)の進行速度を検出する。ジャイロセンサ7は、例えば、光ファイバジャイロや振動ジャイロ等で構成され、移動体(車両)が回転した角度を検出するものである。GPS受信装置8は、GPS衛星からの信号を受信し、移動体(車両)の現在位置、進行速度を測定する。
【0018】
図3は、演算処理部1の機能ブロック図である。図示するように、演算処理部1は、主制御部101と、入力受付部102と、表示処理部103と、登録処理部104と、候補地点検索部105と、中心地点決定部106と、候補位置情報400と、を有する。
【0019】
主制御部101は、演算処理部1の各部を統括して制御する処理を行う。また、主制御部101は、ダイクストラ法等を用いて、指定された2地点(現在地、目的地)間を結ぶ経路のコスト(例えば、距離や旅行時間)が最小となる経路を探索し、探索した経路(推奨経路)を用いて経路誘導を行う。また、車載用ナビゲーション装置100の現在位置を算出する処理を行う。
【0020】
入力受付部102は、入力装置5に入力されたユーザからの要求を受け付け、その要求内容を解析する。入力受付部102は、解析結果に応じたデータを主制御部101に通知する。例えば、入力受付部102は、車載用ナビゲーション装置100に電源を供給する要求、電源を切断する要求、ディスプレイ2に表示させる地図を2画面表示に切り替える要求、等の要求を受け付け、主制御部101に通知する。
【0021】
表示処理部103は、ディスプレイ2に、地図等を表示させる。具体的には、表示処理部103は、ディスプレイ2に表示させるための描画コマンドを生成して通知する。なお、表示処理部103は、地図をディスプレイ2に表示させる際には、表示が要求された領域(例えば、広域地図上で指定された地点付近の領域)にある地図データを記憶装置3から抽出し、指定された縮尺、描画方式で、道路、その他の地図構成物、現在位置、目的地、推奨経路のための矢印といったマークを描画するように地図描画コマンドを生成する。
【0022】
また、表示処理部103は、ディスプレイ2に表示させる画面を2画面に分割し、一方の画面(以下では、「広域画面500」とよぶ)に広域地図を表示させ、他方の画面(以下では、「詳細画面550」とよぶ)に詳細地図を表示(以下では、「2画面表示」という)させる。ここで、広域地図は、詳細地図と比較して相対的に縮尺の小さい地図のことであり、例えば、縮尺が50万分の1や20万分の1程度の地図である。また、詳細地図は、広域地図と比較して相対的に縮尺の大きい地図のことであり、例えば、縮尺が5000分の1や1000分の1程度の地図である。
【0023】
また、表示処理部103は、広域画面500上の1点を指定する指示がされたとき(例えば、広域画面500上の1点がユーザにタッチされたとき)には、その指示に対応する地点を中心地点(中心位置)とする詳細地図を、詳細画面550上に表示させる。このとき、詳細地図の中心地点について複数個の候補がある場合には、ユーザに1つの候補を選択させるための候補リスト(以下では、「候補地点リスト525」とよぶ)を表示させる。
【0024】
候補位置情報400は、広域画面500上の1点を指定する指示がされたときに、詳細画面550上に表示させる詳細地図の中心地点の候補となる地点(以下では、「候補地点」とよぶ)の位置情報を記憶している。
ここで、候補位置情報400には、過去に推奨経路を探索する際に、目的地や経由地に設定された地点が、候補地点として登録される。また、候補位置情報400に、「県庁所在地」、「区役所」、「市役所」といった主要な地点を、予め、候補地点として登録しておくこともできる。さらに、候補位置情報400には、ユーザの指示に従って、任意の地点を候補地点として登録できるようになっている。
【0025】
候補位置情報400の概略データ構造を図4に示す。候補位置情報400は、識別コード(候補地点ID)420ごとのレコード460からなる。各レコード460には、選択領域の識別コード(選択領域ID)410と、候補地点ID420と、位置430と、名称440と、優先度450と、が対応付けて格納されている。
選択領域ID410は、広域画面500上で指定された1点(詳細地図上では領域)を特定するコードであり、例えば、地図データ310のメッシュID311に相当する。
候補地点ID420は、広域画面500上の1点を指定する指示がされたときの候補地点を特定するコードである。
位置430は、候補地点の位置を特定するデータであり、例えば、(**,**)といった地図データ310上における位置を示す座標データである。
名称440は、候補地点の名称を示すデータであり、例えば、「X交差点付近」、「Yデパート」、「区役所Z」といった、道路名、交差点名、施設名、等を表す文字列である。
優先度450は、広域画面500上の1点を指定する指示がされたときに、複数の候補地点が存在する場合において、選択する候補地点の優先度を示すデータである。例えば、「1」、「2」といった数字でよい。
【0026】
図3に戻り、登録処理部104は、候補地点の登録処理を行う。具体的には、登録処理部104は、推奨経路を探索するときに、目的地や経由地に設定された地点を、候補地点として候補位置情報400に登録する。また、候補地点の登録処理を開始する指示がされたときに、ユーザに指定された任意の地点を候補地点として、候補位置情報400に登録することもできる。
【0027】
候補地点検索部105は、広域画面500上の1点を指定する指示がされたときに、候補地点を検索する。具体的には、候補地点検索部105は、候補位置情報400を参照して、広域画面500上で指定された地点(領域)に対応する選択領域ID410を有するレコード460を検索する。その結果、該当するレコード460があった場合には、そのレコード460に含まれる候補地点ID420を主制御部101に通知する。
【0028】
中心地点決定部106は、詳細地図の中心地点を決定する処理を行う。具体的には、中心地点決定部106は、候補地点検索部105が検索した候補地点から、1つの地点を選択する処理を行う。候補地点が1つだけの場合には、候補地点検索部105が検索した候補地点を、詳細地図の中心地点として決定する。また、候補地点が複数個ある場合には、候補地点検索部105が検索した候補地点の中から、候補位置情報400の優先度450が最も高く設定されている候補地点を、詳細地図の中心地点として選択する。また、優先度450が設定されていない場合には、ユーザに選択された候補地点を、詳細地図の中心地点として決定する。
【0029】
以上のような機能を有する演算処理部1は、例えば、図5に示すようなハードウェア構成で実現される。
【0030】
図示するように、演算処理部1は、各デバイス間をバス712で接続した構成としてある。演算処理部1は、数値演算及び各デバイスを制御するといった様々な処理を実行するCPU(Central Processing Unit)701と、記憶装置3から読み出した地図データ、演算データなどを一時的に格納するRAM(Random Access Memory)702と、プログラムやデータを格納するROM(Read Only Memory)703と、メモリ間及びメモリと各デバイスとの間のデータ転送を実行するDMA(Direct Memory Access)704と、グラフィックス描画を実行し且つ表示制御を行う描画コントローラ705と、グラフィックイメージデータを蓄積するVRAM(Video Random Access Memory)706と、イメージデータをRGB信号に変換するカラーパレット707と、アナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換器708と、シリアル信号をバス712に同期したパラレル信号に変換するSCI(Serial Communication Interface)709と、パラレル信号をバスに同期させてバス712にのせるPIO(Parallel Input/Output)710と、パルス信号を積分するカウンタ711と、を有する。
【0031】
次に、上記構成からなる車載用ナビゲーション装置100の特徴的な動作について説明する。図6は、ユーザの指示に従って、任意の地点を候補地点として登録する場合における、車載用ナビゲーション装置100の演算処理部1が行う登録処理を示すフローチャートである。
【0032】
演算処理部1の主制御部101は、入力受付部102を介して、候補地点の登録処理を開始する指示を受け付けたときに、候補地点の登録処理を開始する。具体的には、表示処理部103が、図7に示すようなメニュー画面を表示している場合において、候補地点の登録処理を開始する指示を入力するための登録ボタン210にタッチ(選択)する操作がなされたとき、主制御部101は、候補地点の登録処理を開始する。ここで、登録ボタン210は、メニューボタン群200の所定の位置(例えば、「登録する」という項目)をタッチする操作がなされたときに、表示される。
【0033】
候補地点の登録処理を開始後、表示処理部103は、候補地点の登録を行うための登録画面を、ディスプレイ2に表示させる(ステップS101)。具体的には、表示処理部103は、図8に示すような登録画面を、ディスプレイ2に表示させる。ここで、登録画面には、登録済みの候補地点を表示する候補地点アイコン(230a〜c)と、新たな候補地点の登録指示を行うための登録指示アイコン230dと、候補地点の優先度を変更するための優先度アップボタン240a、優先度ダウンボタン240bと、候補地点の登録処理を終了させるための終了アイコン250と、が設けられる。さらに、登録画面には、同一画面上に表示できない登録済みの候補地点を表示させるためのスクロールボタン(220a、220b)が、設けられる。
【0034】
続いて、登録処理部104は、新たな候補地点の登録が指示されたか否かを判別する(ステップS102)。具体的には、登録処理部104は、入力受付部102を介して、登録画面上の登録指示アイコン230dがタッチされたか否かを判別する。登録処理部104は、登録指示アイコン230dがタッチされたときに、登録の指示がされたと判定し、他の操作がされたとき(或いは、所定期間タッチされなかったとき)には、登録の指示がされなかったと判定する。
【0035】
登録処理部104は、新たな候補地点の登録が指示されたと判定したとき(ステップS102;Yes)、処理をステップS103に移行して、新たな候補地点を登録する処理を行う(ステップS103)。具体的には、登録処理部104は、ユーザに指定された候補地点を、候補位置情報400に記憶する。
ここで、候補位置情報400に候補地点を記憶する手順の一例を示す。例えば、登録処理部104は、まず、指定された候補地点が含まれる領域に割り当てられているメッシュID311を、地図データ310から取得し、候補位置情報400に新たに生成したレコード460の選択領域ID410に記憶する。続いて、候補地点ID420を生成して、先に記憶した選択領域ID410に対応付けて記憶する。さらに、指定された候補地点の位置430、名称440を、それぞれ、先に記憶した選択領域ID410及び候補地点ID420に対応付けて記憶する。
なお、候補地点の指定方法は、任意の方法でよいが、例えば、表示している地図上でタッチされた1つの地点を候補地点としてもよいし、地名のリストから選択された1つの地点を候補地点としてもよい。
【0036】
ステップS103において候補地点を登録した後、登録処理部104は、処理をステップS104に移行する。
【0037】
一方、ステップS102において、登録処理部104が、新たな候補地点の登録が指示されなかったと判定したときは(ステップS102;No)、ステップS103の処理を実行せずに、処理をステップS104に移行する。
【0038】
続いて、登録処理部104は、詳細地図の中心地点として選択される優先度を変更する指示がされたか否かを判別する(ステップS104)。具体的には、登録処理部104は、入力受付部102を介して、登録画面上の優先度アップボタン240a、又は、優先度ダウンボタン240bがタッチされたか否かを判別する。登録処理部104は、1つの候補地点アイコン230aが選択されてる状態で、優先度アップボタン240a又は優先度ダウンボタン240bがタッチされたときに、優先度の変更の指示がされたと判定し、他の操作がされたとき(或いは、所定期間タッチされなかったとき)には、優先度の変更の指示がされなかったと判定する。
【0039】
登録処理部104は、優先度の変更の指示がされたと判定したとき(ステップS104;Yes)、処理をステップS105に移行して、変更された優先度を記憶する処理を行う(ステップS105)。具体的には、登録処理部104は、優先度アップボタン240a、又は、優先度ダウンボタン240bがタッチされた回数に応じて優先度を変更し、変更した優先度450を、候補位置情報400に記憶する。
ここで、候補位置情報400に優先度450を記憶する手順の一例を示す。例えば、登録処理部104は、まず、選択されている候補地点アイコン(230a〜c)に対応する候補地点ID420を、候補位置情報400から検索する。続いて、検索された候補地点ID420に対応付けられている優先度450を、優先度アップボタン240a、又は、優先度ダウンボタン204bがタッチされた回数に応じて変更する。なお、優先度450にデータがない場合には、優先度アップボタン240aがタッチされた回数(数値)を、優先度450に記憶する。
【0040】
ステップS105において優先度を記憶した後、登録処理部104は、処理をステップS106に移行する。
【0041】
一方、ステップS104において、登録処理部104が、優先度の変更の指示がされなかったと判定したときは(ステップS104;No)、ステップS105の処理を実行せずに、処理をステップS106に移行する。
【0042】
続いて、登録処理部104は、候補地点の登録処理を終了する指示がされたか否かを判別する(ステップS106)。具体的には、登録処理部104は、入力受付部102を介して、登録画面上の終了アイコン250がタッチされたか否かを判別する。登録処理部104は、終了アイコン250がタッチされたときに、登録処理を終了する指示がされたと判定し、他の操作がされたとき(或いは、所定期間タッチされたかったとき)には、登録処理を終了する指示がされなかったと判定する。
【0043】
登録処理部104は、候補地点の登録処理を終了する指示がされたと判定したとき(ステップS106;Yes)、候補地点の登録処理を終了する。一方、候補地点の登録処理を終了する指示がされなかったと判定したとき(ステップS106;No)、処理をステップS102に戻す。
【0044】
以上の候補地点の登録処理を、演算処理部1が行うことにより、ユーザに指定された任意の地点を候補地点として、候補位置情報400に登録することができる。
【0045】
続いて、図9は、車載用ナビゲーション装置100の演算処理部1が行う詳細地図の表示処理を示すフローチャートである。
【0046】
演算処理部1の主制御部101は、入力受付部102を介して、ディスプレイ2に表示させる地図を2画面表示に切り替える要求を受け付けたときに、詳細地図の表示処理を開始する。
【0047】
詳細地図の表示処理を開始後、表示処理部103は、ディスプレイ2に表示させる地図を2画面表示に切り替える(ステップS201)。例えば、表示処理部103は、図10に示すような広域画面500と、詳細画面550とをディスプレイ2に表示させる。このとき、広域画面500に表示させる広域地図と、詳細画面500に表示させる詳細地図の中心地点は一致させる。この中心地点は、例えば、自車位置でよく、車両の現在地を示す自車位置マーク20を表示させる。
【0048】
2画面表示に切り替え後、候補地点検索部105は、広域画面500上の1点を指定する指示がされるまで待機する(ステップS202;No)。そして、指示がされたときに(ステップS202;Yes)、処理をステップS203に移行する。
【0049】
続いて、候補地点検索部105は、候補地点を検索する処理を行う(ステップS203)。具体的には、候補地点検索部105は、ステップS202で指定された広域画面500上の地点(領域)に対応する選択領域ID410を、候補位置情報400から検索する。そして、検索された選択領域ID410を有するレコード460に格納されている候補地点ID420を、主制御部101を介して、中心地点決定部106に通知する。
【0050】
このとき、中心地点決定部106は、ステップS203において検索された候補地点が、複数個あるか否かを判別する(ステップS204)。具体的には、候補地点検索部105から通知された候補地点ID420が、複数個あるか否かにより判定する。
【0051】
ここで、候補地点が1個であった場合(ステップS204;No)、その候補地点を詳細地図の中心地点に決定して、処理をステップS208に移行する。一方、候補地点が複数個あった場合(ステップS204;Yes)、処理をステップS205に移行する。
【0052】
続いて、中心地点決定部106は、ステップS203で検索した複数の候補地点について、それぞれ、優先度450が設定されているか否かを判別する(ステップS205)。具体的には、候補位置情報400を参照して、ステップS203で通知された各候補地点ID420に対応付けされている優先度450に、データが存在するか否かにより判定する。
【0053】
ここで、各候補地点について優先度450が設定されていた場合(ステップS205;Yes)、中心地点決定部106は、優先度450が最も高く設定されている候補地点を、詳細地図の中心地点に決定し、処理をステップS208に移行する。一方、各候補地点について優先度450が設定されていなかった場合(ステップS205;No)、処理をステップS206に移行する。
【0054】
続いて、表示処理部103は、広域画面500の位置に、候補地点リスト525を表示させる(ステップS206)。具体的には、表示処理部103は、図11に示すような候補地点リスト525を、ディスプレイ2に表示させる。ここで、候補地点リスト525には、各候補地点に対応付けされている名称440を示した候補地点ボタン(501、502、503)を、地図上に表示させる。ここで、候補地点リスト525に表示する地図の縮尺は、広域画面500に表示させていた広域地図の縮尺よりも大きく、詳細画面550に表示させている詳細地図の縮尺よりも小さい縮尺であることが望ましい。また、各候補地点ボタン(501、502、503)が同一画面(候補地点リスト525)上に表示可能な縮尺であってもよい。
【0055】
候補地点リスト525を表示後、中心地点決定部106は、候補地点リスト525から、いずれかの候補地点を選択する指示がされるまで待機する(ステップS207;No)。そして、いずれかの候補地点を選択する指示がされたときに(ステップS207;Yes)、選択された候補地点を、詳細地図の中心地点に決定し、処理をステップS208に移行する。ここで、候補地点を選択する指示は、候補地点ボタン(501、502、503)のいずれかをタッチして行われる。
【0056】
ステップS208では、表示処理部103は、ステップS204〜ステップS207の処理時に、中心地点決定部106が決定した候補地点を中心とする詳細地図を、詳細画面550上に表示させる(ステップS208)。具体的には、表示処理部103は、まず、中心地点決定部106が決定した候補地点に対応する候補地点ID420を、候補位置情報400を参照して特定する。続いて、表示処理部103は、特定した候補地点ID420に対応付けされている位置430を中心とする詳細地図を、地図データ310から取得し、詳細画面550上に表示させる。
【0057】
ここで、例えば、図11に示す候補地点リスト525上で、候補地点ボタン(X交差点)501が選択された場合、表示処理部103は、図12に示すように、X交差点を中心とした詳細地図を、詳細画面550上に表示させる。
【0058】
詳細地図を表示後、表示処理部103は、図12に示すように、広域画面500上に、再度、広域地図を表示させる。また、表示処理部103は、詳細画面550上に表示している詳細地図の中心地点付近の位置を明示するためのマーク504を、広域画面500上に表示させる。
【0059】
その後、主制御部101は、処理をステップS202に戻す。
【0060】
以上の詳細地図の表示処理を、演算処理部1が行うことにより、ユーザにとって理解容易な地点付近の詳細地図を、迅速に表示することができる。
【0061】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されず、種々の変形、応用が可能である。
【0062】
例えば、上記実施形態では、候補地点リスト525を、図11に示すような地図に重ね合わせて表示させている。しかし、これに限定されず、例えば、候補地点リスト525を、図13の表示画面例に示すようなテーブル形式で表示させるようにしてもよい。
【0063】
また、上記実施形態では、優先度450が設定されている場合には、最も優先度450が高く設定されている候補地点を、詳細地図の中心地点に決定する。しかし、これに限定されず、例えば、優先度450が設定されている場合においても、詳細地図の中心地点とする候補地点を、ユーザに選択させるようにしてもよい。この場合、図13に示すように、候補地点リスト525上には、優先度と、候補地点の名称とを含む候補地点ボタン(501〜503)が設けられる。
【0064】
さらに、ステップS208で詳細地図を表示させる詳細画面550上に、図14の表示画面例に示すような「次の候補ボタン」505を設けるようにしてもよい。この場合、表示処理部103は、「次の候補ボタン」505の上をタッチされるたびに、詳細画面550上に表示する詳細地図を切り替えるようにしてもよい。このとき、表示処理部103は、例えば、「次の候補ボタン」505の上をタッチされるたびに、設定されている優先度450の順に、候補位置情報400から候補地点を選択していき、選択された候補地点を中心とする詳細地図を、詳細画面550上に表示させる。
【0065】
また、上記実施形態では、広域地図と詳細地図との2画面表示を行う場合について説明している。しかし、これに限定されず、例えば、1画面表示でもよい。この場合、表示処理部103は、広域画面500、詳細画面550、候補地点リスト525、のそれぞれの画面を、適宜、切り替えればよい。例えば、ディスプレイ2に1画面で候補地点リスト525を表示させている場合、1つの候補地点ボタン501が選択されたときに、選択された候補地点を中心とする詳細地図を1画面で表示するように切り替える。
【0066】
さらに、1画面表示を行う場合でも、ステップS208で詳細地図を表示させる詳細画面550上に、上述したような次の候補ボタン505を設けるようにしてもよい。これにより、候補地点リスト525と、詳細画面550との表示の切り替えをしなくとも、次の候補ボタン505の上をタッチされるたびに、優先度450の順に選択される候補地点付近の詳細地図を表示させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の一実施形態が適用された車載用ナビゲーション装置の概略構成図である。
【図2】地図データの構成例を示す図である。
【図3】演算処理部の機能構成を示す図である。
【図4】候補位置情報の構成例を示す図である。
【図5】演算処理部のハードウェア構成を示す図である。
【図6】候補地点の登録処理のフロー図である。
【図7】候補地点の登録処理を開始する指示を受け付けるための画面の表示例である。
【図8】候補地点の登録を行うための登録画面の表示例である。
【図9】詳細地図の表示処理のフロー図である。
【図10】2画面表示の表示例である。
【図11】候補地点リストを表示させた画面の表示例である。
【図12】候補地点を中心位置とした詳細画面の表示例である。
【図13】候補地点リストを表示させた画面の第2の表示例である。
【図14】次の候補ボタンを表示させた画面の表示例である。
【符号の説明】
【0068】
1・・・演算処理部、2・・・ディスプレイ、3・・・記憶装置、4・・・音声入出力装置、5・・・入力装置、6・・・車速センサ、7・・・ジャイロセンサ、8・・・GPS受信装置、20・・・自車位置マーク、100・・・車載用ナビゲーション装置、101・・・主制御部、102・・・入力受付部、103・・・表示処理部、104・・・登録処理部、105・・・候補地点検索部、106・・・中心地点決定部、200・・・メニューボタン群、210・・・登録ボタン、230(a〜d)・・・候補地点アイコン、220・・・ルートスクロール機能ボタン、230・・・メニューボタン群、310・・・地図データ、400・・・候補位置情報、410・・・選択領域ID、420・・・候補地点ID、430・・・位置、440・・・名称、450・・・優先度、500・・・広域画面、501・・・候補地点ボタン、505・・・次の候補ボタン、525・・・候補地点リスト、550・・・詳細画面、701・・・CPU、702・・・RAM。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地点に対応した地図データを記憶する地図データ記憶手段と、
前記地図データを表示する表示手段と、
所定の地点と、所定の領域と、を対応付けて記憶する地点記憶手段と、
領域を指定する領域指定手段と、
前記領域指定手段で領域が指定されると、指定された領域に対応した地点を前記地点記憶手段から検索する地点検索手段と、
前記地点検索手段で検索された地点を、所定の優先順位に従って選択する選択手段と、
前記選択手段で選択された地点に対応する地図データを表示する表示制御手段と、
を備えることを特徴とする地図表示装置。
【請求項2】
目的地設定手段と、
前記目的地設定手段で設定された地点に到達したことがあるかどうかを判断する目的地到達判断手段と、
前記目的地到達判断手段が到達したと判断すると、前記目的地に対応する地点を記録する目的地履歴記憶手段と、
を備え、
前記地点記憶手段は、
前記目的地履歴記憶手段に記憶されている目的地に対応する地点と、当該地点を含む所定の領域と、を対応付けて記録する、
ことを特徴とする請求項1に記載の地図表示装置。
【請求項3】
前記表示制御手段は、
前記表示手段に地図が表示されている場合には、表示されている地図よりも詳細な地図を表示手段の一部に表示する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の地図表示装置。
【請求項4】
入力を受け付ける入力受付手段、
を備え、
前記選択手段は、
前記地点検索手段で検索された地点をリスト表示し、
前記入力受付手段で入力された地点を選択すること、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の地図表示装置。
【請求項5】
地図表示装置における地図表示方法であって、
前記地図表示装置は、
地点に対応した地図データを記憶する地図データ記憶部と、
所定の地点と、所定の領域と、を対応付けて記憶する地点記憶部と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記地図データを表示する表示ステップと、
領域を指定する領域指定ステップと、
前記領域指定ステップで領域が指定されると、指定された領域に対応した地点を前記地点記憶部から検索する地点検索ステップと、
前記地点検索ステップで検索された地点を、所定の優先順位に従って選択する選択ステップと、
前記選択ステップで選択された地点に対応する地図データを表示する表示制御ステップと、
を行うことを特徴とする地図表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−122065(P2010−122065A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−295997(P2008−295997)
【出願日】平成20年11月19日(2008.11.19)
【出願人】(591132335)株式会社ザナヴィ・インフォマティクス (745)
【Fターム(参考)】