説明

地図表示装置、その制御方法及び制御プログラム

【課題】従来よりも視認性や操作性を改善した地図表示の技術を提供する。
【解決手段】地図データ表示部31は、記憶装置11に記憶されている地図データを表示部7に地図として表示するとともに、入力部12からの操作に応じ前記地図をスクロールする。スクロール判断部32は、地図データ表示部31により表示されている前記地図がスクロールされているか判断する。拡大表示部33は、スクロール判断部32により前記地図がスクロールされていると判断されたときに、記憶装置11に記憶されている地点情報を拡大表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、従来よりも視認性や操作性を改善した地図表示の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ナビゲーションシステムの急速な普及に伴い、液晶表示パネルなどの画面に地図を表示したりスクロールさせる地図表示の技術が一般化した。このように表示する地図は、ネットワーク状の道路の他、地名や施設などの各種名称や、施設の種類などを表す各種のアイコン、といった地点情報を該当地点ごとに表示するものである。
【特許文献1】特開2002−286470
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、地図上の名称やアイコンなどの地点情報をスクロールによって探したり確認する場合、スクロールのスピードが速いと行き過ぎたり見落とす場合があり、また、地図表示を見やすくするため名称やアイコンなどの地点情報を一部間引いて非表示としている場合、視認が不可能や困難になるという問題もあった。
【0004】
スクロール時に全ての文字を一律に拡大表示する提案もあるが(特許文献1参照)、全てを拡大するのでは画面全体が混雑し、視認性や操作性をかえって損なう問題もあった。
【0005】
本発明は、上記のような従来技術の課題を解決するもので、その目的は、従来よりも視認性や操作性を改善した地図表示の技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明の一態様は(請求項1、6、11)、情報の入力部及び表示部と、前記各部の制御を含む情報処理を行う制御部と、を備える地図表示装置(その制御方法、制御プログラム)であって、地点ごとに対応付けられている施設情報を含む地点情報と、道路情報と、を含む地図データを記憶する地図データ記憶手段と、拡大表示する地点情報を記憶する拡大表示記憶手段と、を用いて、前記地図データ記憶手段に記憶されている前記地図データを前記表示部に地図として表示するとともに、前記入力部からの操作に応じ前記地図をスクロールする地図データ表示手段(処理)と、前記地図データ表示手段(処理)により表示されている前記地図がスクロールされているか判断するスクロール判断手段(処理)と、前記スクロール判断手段(処理)により前記地図がスクロールされていると判断されたときに、前記拡大表示記憶手段に記憶されている地点情報を拡大表示する拡大表示手段(処理)と、を前記制御部が実現することを特徴とする。
【0007】
このように、名称やアイコンなど地図中の地点情報について、事前の指定登録に該当するものについて、スクロール時や、地点情報が一部非表示の場合でも拡大表示することにより、視認性や操作性を向上可能となる。拡大表示は、例えば名称の太文字や下線などとの併用が望ましい。
【0008】
本発明の他の態様は(請求項2、7、12)、上記各態様において、前記拡大表示する地点情報について、前記入力部から指定操作を入力受付するとともに、前記拡大表示記憶手段に登録する拡大表示登録手段(処理)を前記制御部が実現することを特徴とする。
【0009】
このように、拡大表示させたい地点情報をタッチキー等の入力部からいつでも自由に指定可能とすることにより、個々のユーザーが個別具体的な事情に応じて最適な使い勝手を実現できる。
【0010】
本発明の他の態様は(請求項3、8、13)、上記各態様において、前記拡大表示手段(処理)は、スクロールの速度が所定速度以上になったときに前記拡大表示をすることを特徴とする。
【0011】
このように、スクロールがある程度以上高速になった場合に限って拡大表示をすることにより、低速なスクロールでは無駄な拡大表示を回避でき表示の安定が図られる。
【0012】
本発明の他の態様は(請求項4、9、14)、上記各態様において、前記拡大表示手段(処理)は、所定条件下で非表示となるよう設定されている地点情報についても、前記拡大表示記憶手段に記憶されているときは、拡大表示することを特徴とする。
【0013】
このように、スクロール中などを条件に非表示となる地点情報についても、指定登録されていれば拡大表示することにより、ユーザの意向に忠実な優れた使い勝手を実現できる。
【0014】
本発明の他の態様は(請求項5、10、15)、上記各態様において、前記非表示となる前記所定条件は、スクロール中であることを特徴とする。
【0015】
このように、地図スクロール時に見やすさ等のため、一部の名称やアイコン等を非表示とするタイプでも、指定登録の対象だけは非表示にはせず拡大表示することにより、上記のような見やすさ等とユーザの意向を両立する優れた使い勝手を実現できる。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、本発明によれば、従来よりも視認性や操作性を改善した地図表示の技術を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
次に、本発明を実施するための最良の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、背景技術や課題での説明と共通の前提事項は繰り返さない。
【0018】
〔1.構成〕
本実施形態は、ナビゲーションシステムと一体に構成した地図表示装置(以下「本装置」と呼ぶ)に関するもので、本装置の制御方法、制御プログラムとしても把握可能であり、本装置の構成を図1に示す。
【0019】
すなわち、1は、VICS情報を取得する為のFM多重受信及び処理部、2は、VICS情報を取得する為のビーコン受信及び処理部である。3は、システム全体の制御を司るメインCPU及びその周辺回路であり、本装置各部の制御を含む情報処理を行う制御部である。4は、メインプログラムをロードする為のダイナミックRAM(DRAM)、5は、メイン電源オフの間も設定などメモリ内容を保持するためのバッテリーバックアップ付スタティックRAM(SRAM)、6は、起動時等に制御部3よりアクセスされるROMである。
【0020】
7は、情報の表示部で、描画を行うとともにそのデータを表示するものであり、液晶表示パネルなどを用いる。8は、表示部7用に設けられたビデオRAM(VRAM)である。9は、TVを受信する為のTV受信及び処理部、10は、イルミ・車速パルス・パーキング等を検出する車両情報取得部である。
記憶装置11は、HDD、DVD−ROM、CD−ROMなどのドライブを用いて、地図データ・検索データ及び地図関連データを記録する地図データ記憶手段であり、地図データは、地点ごとに対応付けられている施設情報を含む地点情報と、道路情報と、を含む。また、記憶装置11は、拡大表示する地点情報を記憶する拡大表示記憶手段でもある。
【0021】
12は、情報の入力部で、タッチキーなどからの入力を検出する制御装置であるが、入力部の構成や種類は自由で、表示部7周囲の操作スイッチ類のほか、リモコンユニット、表示パネルと一体のタッチセンサなどを単独、又は自由に組み合わせて用いればよい。また、制御部3は、所定の制御プログラムにより、図1に示す以下のような機能・作用に対応する処理手段を実現・実行する。
【0022】
〔2.作用〕
すなわち、地図データ表示部31(地図データ表示手段)は、記憶装置11に記憶されている前記地図データを表示部7に地図として表示するとともに、入力部12からの操作に応じ前記地図をスクロールする(地図データ表示処理)。また、スクロール判断部32(スクロール判断手段)は、地図データ表示部31により表示されている前記地図がスクロールされているか判断する(スクロール判断処理)。
【0023】
そして、拡大表示部33(拡大表示手段)は、スクロール判断部32により前記地図がスクロールされていると判断されたときに、記憶装置11に記憶されている地点情報を拡大表示する(拡大表示処理)。
【0024】
また、上記のように拡大表示する地点情報については、拡大表示登録部34(拡大表示登録手段)が、入力部12から指定登録操作を入力受付するとともに、その指定登録内容を拡大表示記憶手段でもある記憶装置11に登録する(拡大表示登録処理)。
【0025】
また、拡大表示部33による拡大表示は、スクロールの速度が所定速度以上になったときに行うことが望ましい。また、地図スクロール時などに見やすさ等のため、一部の名称やアイコン等を非表示とするタイプのシステムも考えられる。そこで、拡大表示部33は、所定条件下(例えば、スクロール中)で非表示となるよう設定されている地点情報についても、拡大表示記憶手段である記憶装置11に記憶されているときは、拡大表示することが望ましい。
【0026】
なお、経路計算、現在位置計算、誘導案内出力といった従来と共通のナビゲーション処理については、経路計算部36、航法部35、案内部37などが適宜行うが、本発明の特徴点ではないので詳説しない。
【0027】
〔3.処理手順の例〕
以上のような作用に対応する処理手順の一例を図2のフローチャートに示す。すなわち、スクロール中も拡大表示する対象の指定登録として、予め、名称・アイコンマーク(例えば、マークの種類や個々を表すIDで指定)・キーワード(カテゴリー・○○病院 等)を登録する(ステップ1)。そして、スクロールを開始した場合(ステップ2)、まず、名称・アイコン以外の地図描画を行う(ステップ3)。
【0028】
そして、スクロールのスピードが高速状態になると(ステップ4)、まず、描画対象の名称データより、拡大表示の対象として予め登録した名称について、名称データ(座標・表示色・名称)を探し、適当な記憶域に格納し(ステップ5)、この名称データは太文字や下線追加などとともに拡大し、拡大表示用のビットパターンなどとして保存しておく(ステップ6)。
【0029】
また、描画対象のアイコンデータより、拡大表示の対象として予め登録したアイコンについてアイコンデータ(座標・アイコンの画像データ)を探し、適当な記憶域に格納し(ステップ7)、このアイコンデータを拡大し、拡大表示用のビットパターンなどとして保存しておく(ステップ8)。
【0030】
そのうえで、これら拡大表示用のビットパターンを用いて、名称・アイコンの描画を行う(ステップ9)が、高速状態以外では名称やアイコンは拡大せずにそのままの表示となる。このような処理は、スクロールを終了するまで繰り返す(ステップ10)。
【0031】
〔4.効果〕
以上説明したように、本実施形態では、名称やアイコンなど地図中の地点情報について、事前の指定登録に該当するものについて、スクロール時や、地点情報が一部非表示の場合でも拡大表示することにより、視認性や操作性を向上可能となる。
【0032】
特に、説明したように、拡大表示させたい地点情報をタッチキー等の入力部からいつでも自由に指定可能とすることは(拡大表示登録部34)、必須ではないが、これにより、個々のユーザーが個別具体的な事情に応じて最適な使い勝手を実現できる。
【0033】
また、説明したように、スクロールがある程度以上高速になった場合に限って拡大表示をすることは(ステップ4)、必須ではないが、これにより、低速なスクロールでは無駄な拡大表示を回避でき表示の安定が図られる。
【0034】
さらに、説明したように、スクロール中などを条件に非表示となる地点情報についても、指定登録されていれば拡大表示することは、必須ではないが、これにより、ユーザの意向に忠実な優れた使い勝手を実現できる。
【0035】
また、説明したように、地図スクロール時に見やすさ等のため、一部の名称やアイコン等を非表示とする場合においても、指定登録の対象だけは非表示にはせず拡大表示することは、必須ではないが、これにより、上記のような見やすさ等とユーザの意向を両立する優れた使い勝手を実現できる。
【0036】
〔5.他の実施形態〕
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、以下に例示するもの及びそれ以外の他の実施形態も含むものである。例えば、ナビゲーションシステムと組み合わせて本発明を実施することは必須ではない。また、各図に示した構成、処理手順などは一例に過ぎず、適宜変更実施可能であって、例えば、名称やアイコンについて拡大表示用のビットマップデータを、予め作成しておいてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の実施形態の構成を示す機能ブロック図。
【図2】本発明の実施形態における処理手順を例示するフローチャート。
【符号の説明】
【0038】
1…FM多重受信及び処理部
2…ビーコン受信及び処理部
3…制御部(メインCPU及びその周辺回路)
4…ダイナミックRAM(DRAM)
5…スタティックRAM(SRAM)
6…ROM
7…表示部
8…ビデオRAM(VRAM)
9…TV受信及び処理部
10…車両情報取得部
11…地図データ・検索データ及び地図関連データの記憶装置
12…入力部(タッチキー制御装置)
31…地図データ表示部
32…スクロール判断部
33…拡大表示部
34…拡大表示登録部
S〜…手順の各ステップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報の入力部及び表示部と、前記各部の制御を含む情報処理を行う制御部と、を備える地図表示装置であって、
地点ごとに対応付けられている施設情報を含む地点情報と、道路情報と、を含む地図データを記憶する地図データ記憶手段と、
前記地図データ記憶手段に記憶されている前記地図データを前記表示部に地図として表示するとともに、前記入力部からの操作に応じ前記地図をスクロールする地図データ表示手段と、
拡大表示する地点情報を記憶する拡大表示記憶手段と、
前記地図データ表示手段により表示されている前記地図がスクロールされているか判断するスクロール判断手段と、
前記スクロール判断手段により前記地図がスクロールされていると判断されたときに、前記拡大表示記憶手段に記憶されている地点情報を拡大表示する拡大表示手段と、
を前記制御部が実現することを特徴とする地図表示装置。
【請求項2】
前記拡大表示する地点情報について、前記入力部から指定操作を入力受付するとともに、前記拡大表示記憶手段に登録する拡大表示登録手段を前記制御部が実現することを特徴とする請求項1記載の地図表示装置。
【請求項3】
前記拡大表示手段は、スクロールの速度が所定速度以上になったときに前記拡大表示をすることを特徴とする請求項1又は2記載の地図表示装置。
【請求項4】
前記拡大表示手段は、所定条件下で非表示となるよう設定されている地点情報についても、前記拡大表示記憶手段に記憶されているときは、拡大表示することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の地図表示装置。
【請求項5】
前記非表示となる前記所定条件は、スクロール中であることを特徴とする請求項4に記載の地図表示装置。
【請求項6】
情報の入力部及び表示部と、前記各部の制御を含む情報処理を行う制御部と、を備える地図表示装置の制御方法であって、
地点ごとに対応付けられている施設情報を含む地点情報と、道路情報と、を含む地図データを記憶する地図データ記憶手段と、
拡大表示する地点情報を記憶する拡大表示記憶手段と、
を用いて、
前記地図データ記憶手段に記憶されている前記地図データを前記表示部に地図として表示するとともに、前記入力部からの操作に応じ前記地図をスクロールする地図データ表示処理と、
前記地図データ表示処理により表示されている前記地図がスクロールされているか判断するスクロール判断処理と、
前記スクロール判断処理により前記地図がスクロールされていると判断されたときに、前記拡大表示記憶手段に記憶されている地点情報を拡大表示する拡大表示処理と、
を前記制御部が実行することを特徴とする地図表示装置の制御方法。
【請求項7】
前記拡大表示する地点情報について、前記入力部から指定操作を入力受付するとともに、前記拡大表示記憶手段に登録する拡大表示登録処理を前記制御部が実行することを特徴とする請求項6記載の地図表示装置の制御方法。
【請求項8】
前記拡大表示処理は、スクロールの速度が所定速度以上になったときに前記拡大表示をすることを特徴とする請求項6又は7記載の地図表示装置の制御方法。
【請求項9】
前記拡大表示処理は、所定条件下で非表示となるよう設定されている地点情報についても、前記拡大表示記憶手段に記憶されているときは、拡大表示することを特徴とする請求項6から8のいずれか一項に記載の地図表示装置の制御方法。
【請求項10】
前記非表示となる前記所定条件は、スクロール中であることを特徴とする請求項9に記載の地図表示装置の制御方法。
【請求項11】
情報の入力部及び表示部と、前記各部の制御を含む情報処理を行う制御部と、を備える地図表示装置の制御プログラムであって、
地点ごとに対応付けられている施設情報を含む地点情報と、道路情報と、を含む地図データを記憶する地図データ記憶手段と、
拡大表示する地点情報を記憶する拡大表示記憶手段と、
を用いて、
前記地図データ記憶手段に記憶されている前記地図データを前記表示部に地図として表示するとともに、前記入力部からの操作に応じ前記地図をスクロールする地図データ表示処理と、
前記地図データ表示処理により表示されている前記地図がスクロールされているか判断するスクロール判断処理と、
前記スクロール判断処理により前記地図がスクロールされていると判断されたときに、前記拡大表示記憶手段に記憶されている地点情報を拡大表示する拡大表示処理と、
を前記制御部に実行させることを特徴とする地図表示装置の制御プログラム。
【請求項12】
前記拡大表示する地点情報について、前記入力部から指定操作を入力受付するとともに、前記拡大表示記憶手段に登録する拡大表示登録処理を前記制御部が実行することを特徴とする請求項11記載の地図表示装置の制御プログラム。
【請求項13】
前記拡大表示処理は、スクロールの速度が所定速度以上になったときに前記拡大表示をすることを特徴とする請求項11又は12記載の地図表示装置の制御プログラム。
【請求項14】
前記拡大表示処理は、所定条件下で非表示となるよう設定されている地点情報についても、前記拡大表示記憶手段に記憶されているときは、拡大表示することを特徴とする請求項11から13のいずれか一項に記載の地図表示装置の制御プログラム。
【請求項15】
前記非表示となる前記所定条件は、スクロール中であることを特徴とする請求項14に記載の地図表示装置の制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−24692(P2007−24692A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−207644(P2005−207644)
【出願日】平成17年7月15日(2005.7.15)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】