説明

地図表示装置、地図表示方法、およびプログラム

【課題】 POIのデータが少ない場合であっても、適切に地域の特徴を概観できる地図を表示できる装置を提供する。
【解決手段】
地図表示装置は、地図DB11からPOIの位置データおよび属性データを読み出し、読み出した各POIについて、各POIと所定の位置関係にあるPOIをそのPOIの隣接POIとして選択する隣接POI選択部17と、各POIについて、POIの属性データとその隣接POIの属性のヒストグラムを生成するヒストグラム生成部と、ヒストグラムに基づいて、地図内にあるPOIのクラスタリングを行うクラスタリング部19と、クラスタリングの結果に基づいて、同じクラスタに分類されたPOIを包含するエリアを生成する共通エリア生成部20と、共通エリアを地図に重畳して表示する重畳表示部21とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、POI(Point of interest)データを含む地図を表示する地図表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、カーナビゲーション装置等において、所望の検索キーに基づいて場所を検索して、その場所を地図上に表示する検索システムが知られている。カーナビゲーション装置等においては、検索キーを入力する操作が煩雑であるので、検索キーの入力を容易に行えるシステムも提案されている。
【0003】
従来の地点情報の検索システムは、検索キーに対応する検索結果を得ることができるが、入力した検索キーに類似する情報を得ることができないので、検索された地点情報の他に、類似する情報がある場所を知ることができなかった。従って、類似する情報を得たい場合には、再度、検索キーを入力しなければならず、煩雑な作業を伴う。また、従来の地点情報の検索システムは、ユーザが検索キーを思いつかない場合には、検索をすることができなかった。
【0004】
このような背景に鑑み、本出願人は、表示された地図に存在する店舗や施設等の複数の地点の特色を一目で概観できる視認性の高い地図を表示する方法を提案した(特許文献1〜3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−293823号公報
【特許文献2】特開2008−224993号公報
【特許文献3】特開2008−090441号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本出願人が提案した方法は、人手によらずに自動で地域の特色を示すエリアを生成でき、作成者の主観に基づくバイアスがかからない。また、最新のデータに基づいて、適時にアップデートを行えるなどのメリットがある。
【0007】
本出願人が提案した方法は、地点(POI)が有する意味のデータと地点(POI)の位置のデータに基づいてクラスタリングを行う。このため、例えば、地点のデータとして、属性(レストラン、カフェ、コンビニ等)のデータしか持っていない等のように、地点に関するデータが少ない場合には、意味的な近接度を定義しにくく、地理的な要素を重視しないとエリアがまとまらず、適切な大きさの共通エリアを生成できないおそれがある。また、地理的な要素を重視し過ぎると、意味の異なる地点を多く含んでしまうおそれがある。
【0008】
そこで、上記背景に鑑み、POIのデータが少ない場合であっても、適切に地域の特徴を概観できる地図を表示できる装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の地図表示装置は、地点の位置データおよび地点の属性データを含む地図データを記憶した地図データ記憶部と、前記地図データ記憶部から地点の位置データおよび属性データを読み出し、読み出した各地点について、各地点と所定の位置関係にある地点をその地点の隣接地点として選択する隣接地点選択部と、前記各地点について、地点の属性データとその隣接地点の属性データとに基づいて、地点の特徴量を求める特徴量算出部と、前記特徴量に基づいて、地図内にある地点のクラスタリングを行うクラスタリング部と、クラスタリングの結果に基づいて、同じクラスタに分類された地点を包含するエリアを生成する共通エリア生成部と、前記共通エリアを地図に重畳して表示する重畳表示部とを備える。ここで、前記特徴量算出部は、前記各地点の特徴量として、地点およびその隣接地点の属性の分布を求めてもよい。
【0010】
このように各地点の属性のみならず、隣接する地点の属性をも、当該各地点の属性として用いることにより、各地点のデータが少なくても適切なクラスタリングを行うことができる。また、地理的に隣接する隣接地点の属性を用いるので、隣接する地点どうしでは特徴量が類似する。従って、この特徴量を用いたクラスタリングを行うだけで、地理的な近接度をも反映したクラスタリングが可能となる。
【0011】
本発明の地図表示装置において、前記隣接地点選択部は、前記各地点について、その地点から所定の距離内にある地点を隣接地点として選択してもよいし、その地点に近い方から所定個数の地点を隣接地点として選択してもよい。この構成により、隣接地点を適切に選択することができる。所定の距離内にある地点を隣接地点として用いることにより、隣接地点を容易に選択することができる。近い方から所定個数の隣接地点を選択することにより、各地点について選択される隣接地点の数を一定にすることができる。
【0012】
本発明の地図表示装置において、前記隣接地点選択部は、前記各地点について、その地点から所定の距離内にある地点を第1の隣接地点として選択し、その地点に近い方から所定個数の地点を第2の隣接地点として選択し、前記特徴量算出部は、前記各地点について、地点の属性データとその第1の隣接地点の属性データとに基づいて地点の第1の特徴量を求め、地点の属性データとその第2の隣接地点の属性データとに基づいて地点の第2の特徴量を求め、第1の特徴量と第2の特徴量を合成して、特徴量を求めてもよい。
【0013】
所定の距離内にある隣接地点を特徴量として用いたクラスタリングでは、隣接地点を選択する範囲が一定で、隣接する地点の特徴量が似通ったものとなり、適切な大きさの共通エリアができやすいというメリットがある。一方、近い方から所定個数の隣接地点の特徴量を用いて行われるクラスタリングでは、細かいエリアの特徴を反映できるというメリットがある。本発明によれば、両者のメリットを生かしながら、適切な大きさの共通エリアを生成することができる。
【0014】
本発明の地図表示装置において、前記特徴量算出部は、画面内に表示される共通エリアが所定数以下になるように、前記第1の特徴量と前記第2の特徴量との合成比を変えてもよい。この構成により、画面内に表示される共通エリアの数を抑え、視認性の高い地図を表示できる。
【0015】
本発明の地図表示装置において、前記隣接地点選択部は、地点間の距離として、道のり距離を用いてもよい。道のり距離を用いることにより、所要時間を考慮して共通エリアを生成できる。
【0016】
本発明の地図表示装置において、前記隣接地点選択部は、地点間に障害物が存在する場合には隣接しないと判断してもよい。障害物を考慮することにより隣接地点とはなり得ない地点を除外することができるので、地点間の道のり距離を都度求めることなく、簡易に、所要時間を考慮した共通エリアを生成できる。
【0017】
本発明の地図表示方法は、地図表示装置によって、共通の特徴を有する共通エリアの情報を地図に重畳して表示する方法であって、前記地図表示装置が、地図データ記憶部から地点の位置データおよび属性データを読み出し、読み出した各地点について、各地点と所定の位置関係にある地点をその地点の隣接地点として選択するステップと、前記地図表示装置が、前記各地点について、地点の属性データとその隣接地点の属性データとに基づいて、地点の特徴量を求めるステップと、前記地図表示装置が、前記特徴量に基づいて、地図内にある地点のクラスタリングを行うステップと、前記地図表示装置が、クラスタリングの結果に基づいて、同じクラスタに分類された地点を包含するエリアを生成するステップと、前記地図表示装置が、前記共通エリアを地図に重畳して表示するステップとを備える。
【0018】
本発明のプログラムは、共通の特徴を有する共通エリアの情報を地図に重畳して表示するために、コンピュータに、地図データ記憶部から地点の位置データおよび属性データを読み出し、読み出した各地点について、各地点と所定の位置関係にある地点をその地点の隣接地点として選択するステップと、前記各地点について、地点の属性データとその隣接地点の属性データとに基づいて、地点の特徴量を求めるステップと、前記特徴量に基づいて、地図内にある地点のクラスタリングを行うステップと、クラスタリングの結果に基づいて、同じクラスタに分類された地点を包含するエリアを生成するステップと、前記共通エリアを地図に重畳して表示するステップとを実行させる。
【0019】
この構成により、本発明の地図表示方法およびプログラムは、上記した地図表示装置と同様に、各地点のデータが少なくても適切なクラスタリングを行うことができる。また、上記した地図表示装置の各種の構成を、地図表示方法およびプログラムに適用することが可能である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、各地点のデータが少なくても適切なクラスタリングを行うことができるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】第1の実施の形態の地図表示装置の構成を示す図である。
【図2】隣接POIを求める例を示す図である。
【図3】(a)注目POIとその隣接POIの属性の分布を示したヒストグラムである。(b)注目POIとその隣接POIの属性の分布を示したヒストグラムである。
【図4】共通エリアを重畳した地図の表示例を示す図である。
【図5】地図表示装置のハードウエア構成を示す図である。
【図6】第1の実施の形態の地図表示装置の動作を示す図である。
【図7】隣接POIを求める例を示す図である。
【図8】(a)注目POIとその隣接POIの属性の分布を示したヒストグラムである。(b)注目POIとその隣接POIの属性の分布を示したヒストグラムである。
【図9】第2の実施の形態の地図表示装置の動作を示す図である。
【図10】第3の実施の形態の地図表示装置の動作を示す図である。
【図11】第4の実施の形態の地図表示装置の動作を示す図である。
【図12】隣接POIを求める例を示す図である。
【図13】POIを頂点とするドロネー図の例を示す図である。
【図14】地図表示装置の動作の別の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態に係る地図表示装置について図面を参照しながら説明する。(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態の地図表示装置10の構成を示す図である。第1の実施の形態の地図表示装置10は、地図データを記憶した地図データベース(以下、「地図DB」という)11と、表示すべき地域や縮尺などの情報を入力する入力部12と、入力された情報に基づいて地図を表示するディスプレイ13と、インターネット等のネットワークに接続する通信インターフェース14と、地図データから共通エリアを求めて地図に重畳する等の制御を行う制御部15とを有している。また、地図表示装置10は、共通エリアのデータを記憶しておく共通エリアデータベース(以下、「共通エリアDB」という)16を有している。
【0023】
地図DB11には、道路地図のデータと、POIの位置データと、POIの属性を示すデータが記憶されている。属性とは、POIの特徴や性質を表すデータであり、例えば、POIのカテゴリ(レストラン、カフェ、コンビニ等)である。通信インターフェース14を通じてインターネット等のネットワークに接続することにより、最新のPOIのデータや道路地図データを取得することができる。
【0024】
制御部15は、隣接POI選択部17と、ヒストグラム生成部18と、クラスタリング部19と、共通エリア生成部20と、重畳表示部21とを有している。隣接POI選択部17は、地図DB11から読み出したPOIの位置データに基づいて、各POIに隣接するPOI(これを「隣接POI」という)を選択する機能を有する。
【0025】
ここで、あるPOIに対する隣接POIを選択する方法について説明する。なお、隣接POIを求める対象となるPOIを「注目POI」と呼ぶ。第1の実施の形態では、注目POIから所定の距離(例えば500m以内)にあるPOIを隣接POIとして選択する。すなわち、注目POIを中心とする半径が所定の距離の円形の領域内にあるPOIを選択する。
【0026】
図2は、隣接POIを求める例を示す図である。図2に示す例では、POI「A」「B」を注目POIとして、半径500m以内の領域から隣接POIを求めている。注目POI「A」の隣接POIとしては、カフェ、コンビニ、レストラン等の6つのPOIが選択されている。注目POI「B」の隣接POIとしては、レストラン、駅、市役所等の4つのPOIが選択されている。
【0027】
ヒストグラム生成部18は、注目POIと隣接POIの属性に基づいて、注目POIの特徴量を求める。具体的には、注目POIと隣接POIの属性の分布をヒストグラムで表現する。図3(a)は、注目POI「A」とその隣接POIの属性の分布を示したヒストグラム、図3(b)は、注目POI「B」とその隣接POIの属性の分布を示したヒストグラムである。このようにして求められたヒストグラムを注目POIの特徴量として用いる。
【0028】
クラスタリング部19は、特徴量を用いてPOIのクラスタリングを行う。ここでのクラスタリングには、公知の手法を用いることができる。クラスタリングの一例としては、「K−means」法を用いることができる。各POIの特徴量を、各属性を軸とする多次元の座標にマッピングし、特徴量をベクトルとして表現する。そして、ベクトル間の距離(内積など)を用いてK−meansによりクラスタリングを行う。
【0029】
共通エリア生成部20は、クラスタリングによって同じクラスタに分類されたPOIを含む共通エリアを生成する。共通エリア生成部20は、同じクラスタに分類されたPOIであっても、POIどうしが所定の閾値以上離れている場合や、同じクラスタに分類されたPOIの間に別の共通エリアが間に介在している場合には、それらのPOIを含む一つの共通エリアを生成するのではなく、別個の共通エリアを生成する。共通エリア生成部20は、生成した共通エリアのデータを共通エリアDB16に記憶する。
【0030】
重畳表示部21は、共通エリアを地図に重畳して表示する機能を有する。共通エリアを地図に重畳する場合には、同じクラスタに分類された共通エリアには同じ色を付して表示する。図4は、共通エリアFを重畳した地図の表示例を示す図である。
【0031】
図5は、本実施の形態の地図表示装置10のハードウエア構成を示す図である。地図表示装置10は、CPU30と、メモリ31と、入力部32と、ハードディスク33と、ディスプレイ34と、通信インターフェース35とを有しており、これらの構成要素がバス36によって接続されている。メモリ31には、本実施の形態の地図表示装置10の機能を実現するプログラム37が記憶されている。CPU30がプログラム37を読み出して実行することにより、地図表示装置10が実現され、以下に説明する処理が行われる。ハードディスク33には、地図DB11および共通エリアDB16が記憶される。
【0032】
図6は、第1の実施の形態の地図表示装置10の動作を示す図である。地図表示装置10は、地図DB11からPOIの位置データおよび属性データを読み出すと、読み出した各POIについて、所定の距離内にある隣接POIを選択する(S10)。次に、地図表示装置10は、各POIについて、当該POIと隣接POIの属性のヒストグラムを生成する(S12)。ここで、生成した各POIについてのヒストグラムを、各POIの特徴量として扱う。
【0033】
地図表示装置10は、生成したヒストグラムを用いてPOIをクラスタリングする(S14)。続いて、地図表示装置10は、同じクラスタに分類されたPOIを包含する共通エリアを生成し(S16)、生成した共通エリアを共通エリアDB16に記憶する。地図表示装置10は、生成した共通エリアを地図に重畳して表示する(S18)。以上、第1の実施の形態の地図表示装置10の構成および動作について説明した。
【0034】
第1の実施の形態の地図表示装置10は、POIのクラスタリングを行う際に、各POIの属性のみならず、隣接するPOIの属性をも、当該POIの属性として用いることにより、POIのデータが少なくても適切なクラスタリングを行うことができる。また、第1の実施の形態では、地理的に隣接する隣接POIの属性を用いるので、隣接するPOIどうしで特徴量が類似する。従って、特徴量を用いたクラスタリングを行うだけで、地理的な近接度をも反映したクラスタリングが可能となる。
【0035】
(第2の実施の形態)
次に、本発明の第2の実施の形態の地図表示装置10について説明する。第2の実施の形態の地図表示装置10の基本的な構成は、第1の実施の形態の地図表示装置10と同じであるが(図1参照)、第2の実施の形態の地図表示装置10は、隣接POIの選択の仕方が第1の実施の形態と異なる。
【0036】
図7は、第2の実施の形態の地図表示装置10が隣接POIを選択する方法を示す図である。第2の実施の形態の地図表示装置10は、注目POIに近い方から所定個数のPOIを隣接POIとして選択する。図7に示す例では、注目POIに近い方から5個のPOIを隣接POIとして選択している。
【0037】
図8(a)は、注目POI「A」とその隣接POIの属性の分布を示したヒストグラム、図8(b)は、注目POI「B」とその隣接POIの属性の分布を示したヒストグラムである。このようにして求められたヒストグラムを注目POIの特徴量として用い、クラスタリングを行い、共通エリアを生成する構成は、第1の実施の形態と同じである。
【0038】
図9は、第2の実施の形態の地図表示装置10の構成を示す図である。地図表示装置10は、地図DB11からPOIの位置データおよび属性データを読み出すと、読み出した各POIについて、当該POIに近い方から所定個数の隣接POIを選択する(S20)。次に、地図表示装置10は、各POIについて、当該POIと隣接POIの属性のヒストグラムを生成する(S22)。ここで、生成した各POIについてのヒストグラムを、各POIの特徴量として扱う。
【0039】
地図表示装置10は、生成したヒストグラムを用いてPOIをクラスタリングする(S24)。続いて、地図表示装置10は、同じクラスタに分類されたPOIを包含する共通エリアを生成し(S26)、生成した共通エリアを共通エリアDB16に記憶する。地図表示装置10は、生成した共通エリアを地図に重畳して表示する(S28)。以上、第2の実施の形態の地図表示装置10の構成および動作について説明した。
【0040】
第2の実施の形態の地図表示装置10は、注目POIに近い方から所定個数の隣接POIを選択するので、POIの粗密によらず一定の個数の隣接POIを選択できる。一般には、所定の距離内にあるPOIを隣接POIとして選択すると、POIが密集している場合には、多くのPOIが隣接POIとして選択され、属性の分布に特徴が見られなくなる傾向がある。また、POIがまばらな場合には、隣接POIが存在しないか、あるいは隣接POIの数が少なくなってしまい、適切なクラスタリングを行えないおそれがある。本実施の形態のように一定の個数のPOIを選択する構成により、細かいエリアの特色を見つけ出すことが可能な適切なクラスタリングを行える。
【0041】
(第3の実施の形態)
次に、本発明の第3の実施の形態の地図表示装置10について説明する。第3の実施の形態の地図表示装置10の基本的な構成は、第1の実施の形態の地図表示装置10と同じであるが(図1参照)、第3の実施の形態の地図表示装置10は、各POIの特徴量を求める方法が第1の実施の形態と異なる。
【0042】
図10は、第3の実施の形態の地図表示装置10の動作を示す図である。地図表示装置10は、地図DB11からPOIの位置データおよび属性データを読み出すと、読み出した各POIについて、所定の距離内にあるPOIを第1の隣接POIとして選択する(S30)。次に、地図表示装置10は、各POIについて、当該POIと第1の隣接POIの属性のヒストグラムを生成する(S32)。
【0043】
次に、地図表示装置10は、各POIについて、当該POIに近い方から所定個数のPOIを第2の隣接POIとして選択する(S34)。次に、地図表示装置10は、各POIについて、当該POIと第2の隣接POIの属性のヒストグラムを生成する(S36)。
【0044】
第3の実施の形態の地図表示装置10は、第1のヒストグラムと第2のヒストグラムに所定の重み付けを行って合成する(S38)。本実施の形態では、重み付けの係数は定数(例えば、0.5ずつ)であるとする。続いて、地図表示装置10は、合成されたヒストグラムを特徴量としてクラスタリングを行い(S40)、同じクラスタに分類されたPOIを包含する共通エリアを生成し(S42)、生成した共通エリアを共通エリアDB16に記憶する。地図表示装置10は、生成した共通エリアを地図に重畳して表示する(S44)。以上、第3の実施の形態の地図表示装置10について説明した。
【0045】
第3の実施の形態の地図表示装置10は、所定の距離内にあるPOIを隣接POIとして求める方法と、近い方から所定個数のPOIを隣接POIとして求める方法の両方のメリットを生かしたクラスタリングを行うことができる。すなわち、所定の距離内にある隣接地点の特徴量を用いて行われるクラスタリングでは、隣接地点を選択する範囲が一定なので、適切な大きさの共通エリアができやすいというメリットがあり、近い方から所定個数の隣接地点の特徴量を用いて行われるクラスタリングでは、細かいエリアの特徴を反映できるというメリットがある。本実施の形態の地図表示装置10は、両者のメリットを生かしながら、適切な大きさの共通エリアを生成することができる。
【0046】
(第4の実施の形態)
次に、第4の実施の形態の地図表示装置10について説明する。第4の実施の形態の地図表示装置10の基本的な構成は、第3の実施の形態の地図表示装置10と同じであるが、第4の実施の形態の地図表示装置10は、第1の隣接POIを用いて生成したヒストグラムと第2の隣接POIを用いて生成したヒストグラムの合成比を、共通エリアの視認性に基づいて変更する点が異なる。具体的には、画面内に表示される共通エリアが所定数以下になるように、合成比を決定する。
【0047】
図11は、第4の実施の形態の地図表示装置10の動作を示す図である。地図表示装置10が、地図DB11からPOIの位置データおよび属性データを読み出してから、第1のヒストグラムと第2のヒストグラムを生成し、これらのヒストグラムを合成したヒストグラムを用いてクラスタリングを行い、共通エリアを生成するまでの動作は、第3の実施の形態と同じである(S30〜S42)。
【0048】
次に、地図表示装置10は、地図を表示する画面内に含まれる共通エリアの数が所定数以下であるかどうかを判定する(S43)。一般に、人間が認知しやすい要素数は、7±2個であることが知られているので、所定数としては、例えば「7」を設定する。地図表示装置10は、画面内の共通エリア数が所定数以下である場合には(S43でYES)、共通エリアを地図に重畳して表示する(S44)。画面内の共通エリア数が所定数より大きい場合には、地図表示装置10は、第1のヒストグラムと第2のヒストグラムを合成する際の重み付けを変更して(S45)、再度、第1のヒストグラムと第2のヒストグラムを合成する(S44)。通常は、第1のヒストグラムの重み付けを重くすることで、共通エリアを大きくでき、画面内に表示される共通エリアの数を減らすことができる。ただし、POIの配置によっては、第2のヒストグラムの重み付けを重くすることにより共通エリアを大きくできる場合もある。地図表示装置10は、画面内の共通エリア数が所定数以下になるまで重み付けを変更して、共通エリアを生成する処理を繰り返す。以上、第4の実施の形態の地図表示装置10について説明した。
【0049】
第4の実施の形態の地図表示装置10は、画面内に表示される共通エリアが所定数以下になるようにすることにより、共通エリアの視認性を高めることができる。
【0050】
以上、本発明の地図表示装置10について、実施の形態を挙げて詳細に説明したが、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではない。
【0051】
上記した実施の形態においては、POIの特徴量をヒストグラムによって表現したが、POIの属性の分布を反映した情報であれば、必ずしもヒストグラムを用いなくてもよい。
【0052】
上記した実施の形態においては、隣接POIを求める際に、注目POIから所定距離にあるPOIを選択する例、注目POIに近い方から所定個数のPOIを選択する例において、距離の計算には直線距離を用いた。しかし、本発明の地図表示装置10は、道のり距離を用いて、隣接POIを求めることとしてもよい。
【0053】
上記した実施の形態において隣接POIを求める際に、POI間に存在する障害物の存在を考慮してもよい。例えば、注目POIから所定距離内にあるPOIであっても、そのPOIとの間に障害物が存在する場合には、そのPOIを隣接POIとして選択しない構成としてもよい。
【0054】
図12は、障害物を考慮して隣接POIを求める例を示す図である。図12に示す例では、POI「C」から所定距離内にあるPOIを隣接POIとして選択する。川を隔てた場所にあるPOI「D」は、POI「C」から所定距離内に存在するが、障害物としての川が存在するので隣接POIとはしない。
【0055】
なお、地図上に存在する要素が障害物かどうかは、その要素を迂回したときの道のり距離によって判断することができる。例えば、ある要素が障害物かどうかを判断する際には、その要素を迂回する経路をいくつか設定し、最短の道のり距離が直線距離の2倍以上になるときに当該要素を障害物であると判断する。障害物を考慮した距離の計算にはMAKLINKなどを用いることができる(Maki K.HABIB, Hajime ASAMA「EFFICIENT METHOD TO GENERATE COLLOTION FREE PATHS FOR AUTONOMOUS MOBILE ROBOT BASED ON NEW FREE SPACE STRUCTURE APPROACH」IEEE/RSJ international Workshop in Intelligent Robot and Systems IROS '91. Nov. 3-5, 1991 Osaka, Japan.)。障害物を考慮して隣接POIを選択する方法は、直線距離を用いて隣接POIを求める方法に対し、道のり距離の要素を加えたことになる。注目POIに隣接するPOIとの間に障害物があるかどうかを判断すればよいので、道路ネットワークのデータを使って道のり距離を計算するより、計算量を低減することができる。
【0056】
上記した第2の実施の形態では、注目POIに近い方から所定個数のPOIを隣接POIとして求めたが、ドロネー三角形分割を利用して隣接POIを求めてもよい。図13は、POIを頂点とするドロネー図の例を示す図である。図14は、ドロネー図を用いて隣接POIを求め、共通エリアを生成する動作を示す図である。まず、地図表示装置10は、POIを頂点とするドロネー図を生成する(S50)。次に、地図表示装置10は、ドロネー図において、各POIに隣接するPOIを隣接POIとして選択する(S52)。以下、選択された隣接POIを用いてヒストグラムを生成し(S54)、クラスタリングを行い(S56)、共通エリアを生成して(S58)、地図に重畳表示する(S60)動作は、上記した実施の形態と同じである。なお、図14に示す例では、注目POIに隣接するPOIを隣接POIとして選択しているが、所定数先のリンク(例えば、2リンク先)までを隣接POIとするなどしてもよい。
【0057】
本発明は、あらかじめ共通エリアを生成して共通エリアDB16に記憶しておき、地図表示の要求があったときに、共通エリアDB16から共通エリアを読み出して、地図に重畳して表示することとしてもよい。第4の実施の形態において説明したとおり、視認性の観点からは、画面内に含まれる共通エリアは所定数以下であることが望ましいので、表示される地図の縮尺ごとに、共通エリアを記憶しておき、表示される縮尺にあった共通エリアを表示することとしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0058】
以上説明したように、本発明は、各地点のデータが少なくても適切なクラスタリングを行うことができるという効果を有し、POIデータを含む地図を表示する地図表示装置等として有用である。
【符号の説明】
【0059】
10 地図表示装置
11 地図DB
12 入力部
13 ディスプレイ
14 通信インターフェース
15 制御部
16 共通エリアDB
17 隣接POI選択部
18 ヒストグラム生成部
19 クラスタリング部
20 共通エリア生成部
21 重畳表示部
30 CPU
31 メモリ
32 入力部
33 ハードディスク
34 ディスプレイ
35 通信インターフェース
36 バス
37 プログラム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地点の位置データおよび地点の属性データを含む地図データを記憶した地図データ記憶部と、
前記地図データ記憶部から地点の位置データおよび属性データを読み出し、読み出した各地点について、各地点と所定の位置関係にある地点をその地点の隣接地点として選択する隣接地点選択部と、
前記各地点について、地点の属性データとその隣接地点の属性データとに基づいて、地点の特徴量を求める特徴量算出部と、
前記特徴量に基づいて、地図内にある地点のクラスタリングを行うクラスタリング部と、
クラスタリングの結果に基づいて、同じクラスタに分類された地点を包含するエリアを生成する共通エリア生成部と、
前記共通エリアを地図に重畳して表示する重畳表示部と、
を備える地図表示装置。
【請求項2】
前記特徴量算出部は、前記各地点の特徴量として、地点およびその隣接地点の属性の分布を求める請求項1に記載の地図表示装置。
【請求項3】
前記隣接地点選択部は、前記各地点について、その地点から所定の距離内にある地点を隣接地点として選択する請求項1または2に記載の地図表示装置。
【請求項4】
前記隣接地点選択部は、前記各地点について、その地点に近い方から所定個数の地点を隣接地点として選択する請求項1または2に記載の地図表示装置。
【請求項5】
前記隣接地点選択部は、前記各地点について、その地点から所定の距離内にある地点を第1の隣接地点として選択し、その地点に近い方から所定個数の地点を第2の隣接地点として選択し、
前記特徴量算出部は、前記各地点について、地点の属性データとその第1の隣接地点の属性データとに基づいて地点の第1の特徴量を求め、地点の属性データとその第2の隣接地点の属性データとに基づいて地点の第2の特徴量を求め、第1の特徴量と第2の特徴量を合成して、特徴量を求める請求項1または2に記載の地図表示装置。
【請求項6】
前記特徴量算出部は、画面内に表示される共通エリアが所定数以下になるように、前記第1の特徴量と前記第2の特徴量との合成比を変える請求項5に記載の地図表示装置。
【請求項7】
前記隣接地点選択部は、地点間の距離として、道のり距離を用いる請求項3〜6のいずれかに記載の地図表示装置。
【請求項8】
前記隣接地点選択部は、地点間に障害物が存在する場合には隣接しないと判断する請求項3〜6のいずれかに記載の地図表示装置。
【請求項9】
地図表示装置によって、共通の特徴を有する共通エリアの情報を地図に重畳して表示する方法であって、
前記地図表示装置が、地図データ記憶部から地点の位置データおよび属性データを読み出し、読み出した各地点について、各地点と所定の位置関係にある地点をその地点の隣接地点として選択するステップと、
前記地図表示装置が、前記各地点について、地点の属性データとその隣接地点の属性データとに基づいて、地点の特徴量を求めるステップと、
前記地図表示装置が、前記特徴量に基づいて、地図内にある地点のクラスタリングを行うステップと、
前記地図表示装置が、クラスタリングの結果に基づいて、同じクラスタに分類された地点を包含するエリアを生成するステップと、
前記地図表示装置が、前記共通エリアを地図に重畳して表示するステップと、
を備える地図表示方法。
【請求項10】
共通の特徴を有する共通エリアの情報を地図に重畳して表示するために、コンピュータに、
地図データ記憶部から地点の位置データおよび属性データを読み出し、読み出した各地点について、各地点と所定の位置関係にある地点をその地点の隣接地点として選択するステップと、
前記各地点について、地点の属性データとその隣接地点の属性データとに基づいて、地点の特徴量を求めるステップと、
前記特徴量に基づいて、地図内にある地点のクラスタリングを行うステップと、
クラスタリングの結果に基づいて、同じクラスタに分類された地点を包含するエリアを生成するステップと、
前記共通エリアを地図に重畳して表示するステップと、
を実行させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2011−209372(P2011−209372A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−74643(P2010−74643)
【出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【出願人】(502324066)株式会社デンソーアイティーラボラトリ (332)
【Fターム(参考)】