説明

地図表示装置、地図表示方法、プログラム、及び記録媒体

【課題】 地図画像の上下左右移動操作において、画面に地図画像が表示されない状態が発生するのを緩和する。
【解決手段】 地図表示装置に、画面に表示中の地図画像に対する移動操作の開始を検知したときに、表示中の地図画像に対応する、当該表示中の地図画像の縮尺より縮尺の小さい地図画像を取得し、表示中の地図画像と切り替えて表示する手段と、移動操作に伴って、画面の端が前記縮尺の小さい地図画像の端に達したときに、当該縮尺の小さい地図画像の端に続く同じ縮尺の地図画像を取得して表示する手段と、移動操作の終了を検知したときに、表示中の地図画像に対応する、移動操作の開始時点に表示されていた地図画像の縮尺と同じ縮尺の地図画像を取得し、表示中の地図画像と切り替えて表示する手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータのディスプレイ上に表示された地図画像を上下左右に移動させる技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コンピュータのディスプレイ上に表示された地図画像上で上下左右移動を実現している従来技術として、例えばhttp://map.search.ch/のサイトで提供されている技術がある。
このサイトのシステムでは、縮尺毎に地図全体を格子状に分割した地図画像を用意し、それらの地図画像を切り替えて利用者端末に表示している。このシステムでは、利用者による移動操作に伴って、現在表示している地図画像を上下左右に移動させているときに、画面の端が格子状に分割された地図画像の端に達すると、次に表示すべき地図画像を取得して表示している。
【0003】
なお、地図画像のスクロールを連続的に行うことに関する従来技術の1つとして特許文献1に記載されたものがある。
【特許文献1】特開2002−055601号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
格子状に分割した地図画像はその画像数が多く、また、精度の高い地図の場合は地図画像の容量も大きい。そのため、複数の地図画像を連続表示することを可能とするには、地図画像を格納したサーバと、利用者端末となるクライアントとからなるサーバ・クライアント方式が必要となる。そして、クライアントが必要に応じてサーバ側から地図画像を取得して表示する。
しかし、サーバ・クライアント方式に用いた場合、上下左右の移動操作では、画面の端が地図画像の終端に達したタイミングで次の地図画像をサーバ側から取得することから、ネットワークの帯域幅が狭い場合や取得する地図画像の容量が大きい場合は、地図画像の取得に時間がかかってしまい、地図画像の移動中に画面上には何も表示されなくなるという問題がある。
【0005】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、地図画像の上下左右移動操作において、画面に地図画像が表示されない状態が発生するのを緩和する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題は、画面表示部を備え、当該画面表示部に表示される地図画像を移動操作によって上下左右に移動させることが可能な地図表示装置であって、前記画面表示部の画面に表示中の地図画像に対する移動操作の開始を検知したときに、表示中の地図画像に対応する、当該表示中の地図画像の縮尺より縮尺の小さい地図画像を取得し、表示中の地図画像と切り替えて表示する第1の切り替え表示手段と、前記移動操作に伴って、前記画面表示部の画面の端が前記縮尺の小さい地図画像の端に達したときに、当該縮尺の小さい地図画像の端に続く同じ縮尺の地図画像を取得して表示する取得表示手段と、前記移動操作の終了を検知したときに、表示中の地図画像に対応する、前記移動操作の開始時点に表示されていた地図画像の縮尺と同じ縮尺の地図画像を取得し、表示中の地図画像と切り替えて表示する第2の切り替え表示手段とを有することを特徴とする地図表示装置によって解決できる。
【0007】
前記地図表示装置が地図画像を取得して表示する際に、前記地図表示装置の記憶装置に当該地図画像が記憶されている場合には、その記憶装置から地図画像を取得して表示することが可能である。
【0008】
また、前記第2の切り替え表示手段は、前記移動操作の開始時点に表示されていた地図画像の縮尺と同じ縮尺の地図画像の取得が終了した後に、表示中の地図画像を非表示とし、取得した地図画像を表示する。
【0009】
前記地図表示装置が、表示中の地図画像の縮尺と異なる縮尺の地図画像を表示中の地図画像と切り替えて表示する際に、前記地図表示装置は、表示中の地図画像の縮尺と、当該異なる縮尺とを含む情報を用いて算出した率に基づき前記異なる縮尺の地図画像を拡大もしくは縮小して表示することができる。
【0010】
また、本発明は、上記地図表示装置が実行する地図表示方法として構成することもできる。また、本発明は、コンピュータに上記地図表示装置の機能を実現させるプログラム、及びそのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体として構成することもできる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、移動操作の開始を検知したときに、表示中の地図画像の縮尺より縮尺の小さい地図画像を取得し、表示中の地図画像と切り替えて表示し、移動操作に伴って、画面の端に到達した地図画像に続く地図画像を取得、表示しながら地図画像の移動を行い、移動操作の終了を検知したときに、移動操作の開始時点に表示されていた地図画像の縮尺と同じ縮尺の地図画像を取得し、表示中の地図画像と切り替えて表示することとしたので、従来技術に比べて地図画像の移動の際の地図画像の取得回数及び取得するデータ量が削減され、地図画像の移動の際に画面に何も表示されないといった事象の発生を緩和できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明の実施の形態におけるシステム構成図である。図1に示すように、本実施の形態のシステムは、地図表示装置1と地図提供装置2とがネットワーク3で接続された構成をとる。
【0013】
図2(a)に地図表示装置1の機能構成例を示す。図2(a)に示すように、地図表示装置1は、画面表示部11、移動操作情報取得部12、地図画像表示制御部13、地図画像表示部14、地図画像取得部15、地図画像表示情報格納部16、地図画像構成情報格納部17、地図画像キャッシュ格納部18を有している。
【0014】
図2(b)に地図提供装置2の機能構成例を示す。図2(b)に示すように、地図提供装置2は、地図画像配信部21及び地図画像格納部22を有している。
【0015】
地図表示装置1と地図提供装置2はそれぞれ、CPU、メモリ、ハードディクス(記憶装置)、ネットワーク通信装置、ディスプレイ、マウスやキーボード等の入力装置、等を備えたコンピュータに、上記の機能部の機能を実現させるためのプログラムを搭載することにより実現できる。当該プログラムは、CD−ROM、電子メモリ等の記録媒体に格納して提供することもできるし、ネットワークを介して配信することもできる。
【0016】
なお、本実施の形態では、地図表示装置1と地図提供装置2とが分離された形態について説明するが、地図表示装置1に地図画像格納部22を備えることにより、地図提供装置2を用いない構成とすることもできる。また、図2の構成において、地図画像構成情報格納部17を地図表示装置1の外部の装置に備えることもできる。
【0017】
(システム動作概要)
以下、本実施の形態のシステムにおける動作の概要を説明する。なお、本明細書及び特許請求の範囲において、地図の“縮尺”は一般的な意味で用いている。すなわち、“縮尺を大きくする”とは、縮尺を1/Xとした場合に分母のXを小さくすることであり、“縮尺を小さくする”とは、縮尺を1/Xとした場合に分母のXを大きくすることである。
図3に、本実施の形態のシステムにおける動作概要のフローチャートを示す。図3に示すように、地図表示装置1における上下左右の移動操作が開始したことを検知して、現在表示している地図画像より縮尺の小さい地図画像を取得して表示する(ステップ1)。そして、上下左右の移動操作において、画面の端が画面に表示している地図画像の終端に来た際に次に表示すべき地図画像を決定し、その地図画像を取得して表示する(ステップ2)。そして、上下左右の移動操作が終了した時点で、移動操作の開始前の地図画像と同じ縮尺の地図画像を取得して、現在表示している地図画像と切り替えて表示する(ステップ3)。
【0018】
上記のような処理により、移動操作において次に表示すべき地図画像を取得する回数を減少させることができ、画面に地図画像が表示されない状態が発生するのを緩和することができる。
【0019】
(システム動作詳細)
次に、本実施の形態のシステムの処理動作をより詳細に説明するが、動作について説明する前に、まず、本実施の形態で用いられる異なる縮尺の地図画像の階層構造について図4を参照して説明する。
【0020】
図4の例では、縮尺がAの地図画像として地図画像IDがA1−1の地図画像、縮尺がBの地図画像として地図画像IDがB1−1〜B2−2の地図画像、縮尺がCの地図画像として地図画像IDがC1−1〜C4−4の地図画像が示されている。ここで、縮尺Aから縮尺Cの関係は縮尺A<縮尺B<縮尺Cである。例えば、縮尺Aの地図画像A1−1の横の実際の地理上の長さを100Km、縮尺Bの地図画像B1−1の横の長さを50Km、縮尺Cの地図画像C1−1の横の長さを25Kmとし、地図画像としてはA1−1、B1−1、C1−1を同じ大きさとする。すなわち、地図画像A1−1と地図画像C1−1とを同じサイズの画面に表示した場合、地図画像A1−1のほうが地図画像C1−1より広範囲の領域をカバーするが、地図画像C1−1のほうが地図画像A1−1より地図を詳細に表示できる。
【0021】
本明細書及び特許請求の範囲において、ある縮尺の地図画像から見てそれより小さな縮尺の地図画像を上位縮尺と呼び、ある縮尺の地図画像から見てそれより大きな縮尺の地図画像を下位縮尺と呼ぶ。すなわち、図4において、着目する縮尺より上側にあるものが上位縮尺であり、下側にあるものが下位縮尺である。なお、図4において、縮尺Aの網掛けの領域は縮尺BのB2−2の地図画像を縮尺Aで表現した画像に相当する。また、縮尺BのB2−2の地図画像は縮尺Cの網掛けの部分のC3−3、C3−4、C4−3、C4−4の地図画像を縮尺Bで表現したものに相当する。他の地図画像も同様の関係にある。
次に、各格納部に格納され、以下で説明する処理動作の中で使用される情報について説明する。
【0022】
地図表示装置1の地図画像構成情報格納部17には、図5に示す地図画像構成情報が格納されている。図5に示すように、地図画像構成情報は、各地図画像ID毎に、地図画像の辺に接する地図画像IDと、その地図画像が属する上位縮尺の地図画像の情報を有している。なお、図5に示す地図画像構成情報における辺情報1、辺情報2、辺情報3、辺情報4については、図6に示すように、地図画像の左側を辺情報1、上側を辺情報2、右側を辺情報3、下側を辺情報4としたものである。
【0023】
地図画像表示情報格納部16には、現在、地図画像表示部14がメモリに配置している地図画像の地図画像IDが格納されている。また、地図画像キャッシュ格納部18には、これまで地図画像表示部14が配置したことのある地図画像の地図画像IDと地図画像データが格納されている。地図提供装置2の地図画像格納部22には、全ての地図画像がIDと対応付けて格納されている。なお、地図画像表示部14は、メモリ上に仮想的に画面を配置するものであり、メモリ上に配置された画面の一部が実際に画面表示部11に表示される。
【0024】
(上位縮尺の地図画像を表示する処理)
次に、図3に示したフローチャートにおける各処理について詳細に説明する。まず、上下左右の移動操作の開始を検知して上位縮尺の地図画像を表示する処理(図3のステップ1の処理に相当)について説明するが、処理の説明の前に、前提について説明する。
【0025】
以下の処理では、取得する上位縮尺の階層数Nが1であるものとして説明する。なお、この階層数Nは適宜設定可能である。また、処理の開始時点において、地図画像表示情報格納部16には、図7に示す地図画像IDが格納されており、地図画像表示部14はメモリ上に図8に示す地図画像を配置しているものとする。また、処理の開始時点において、地図画像キャッシュ格納部18には、地図画像表示情報格納部16内にある地図画像1Dの地図画像と、それら地図画像の上位縮尺の地図画像が格納されているものとする。
【0026】
画面表示部11には、図8の点線で示す領域が表示されているものとし、そのときの画面を図9に示す。
【0027】
図9に示すように、画面の左側に地図画像が表示されており、右側には地図画像を上下左右に移動させるための移動コントローラが表示されている。移動コントローラのAのボタンをクリックすると地図画像を画面上で左側に移動でき、Bのボタンをクリックすると上側に移動でき、Cのボタンをクリックすると右側に移動でき、Dのボタンをクリックすると下側に移動できる。ボタンを押し続けることにより、その方向への移動を継続して行うことができるものとする。
【0028】
なお、図9の例では、上下左右のボタンを有する例を示しているが、斜め方向の移動を可能とするボタンを有してもよい。斜め方向の移動であっても、上下左右方向の成分を持つので、上下左右の動作と全く同様に本発明を適用できる。
【0029】
また、移動コントローラのクリックを検出することにより、移動操作情報取得部12が移動ベクトルを取得し、それを地図画像表示制御部13に送信することにより、地図画像表示制御部13が移動の制御を行う。図10に、移動ベクトルの例を示す。図10に示すように、移動ベクトルは、X軸、Y軸の2次元べクトルである。また、例えば、移動ベクトルが(1,0)であった場合には、画面上で所定の単位の大きさ(例えば1ドット)で地図画像を所定の方向に移動させる。移動ボタンを押し続けた場合には、この移動ベクトルが連続的に地図画像表示制御部13に送信され、連続的に地図を移動させることができる。
【0030】
以下、図11のフローチャートを参照して、上下左右の移動操作の開始を検知して上位縮尺の地図画像を表示する処理について説明する。
ステップ11)ステップ11において、地図表示装置1の利用者が、図9の左側に表示されている移動コントローラのAをクリック開始した場合、移動操作情報取得部12が移動操作開始を検出し、移動操作開始の情報と移動べクトル(1,0)を地図画像表示制御部13に送信する。
【0031】
ステップ12)ステップ12において、地図画像表示制御部13は移動操作情報取得部12から上下左右の移動操作開始の情報と移動ベクトルとを受信すると、地図画像表示情報格納部16から地図画像表示部14に表示している地図画像IDを取得する。ここでは、図7に示したC2−1、C2−2、C3−1、C3−2の地図画像IDを取得する。
【0032】
ステップ13)ステップ13において、ステップ12で取得した地図画像IDが属する1階層上の上位縮尺の地図画像のIDを取得する処理を行う。ここでは、図5に一部示した地図画像構成情報格納部17内を検索し、地図画像IDがC2−1、C2−2、C3−1、C3−2の地図画像の1階層上の地図画像IDを検索し、地図画像IDとしてB1−1、B2−1を取得する。そして、これらの取得した地図画像IDであるB1−1、B2−1を地図画像表示部14に送信する。
【0033】
ステップ14)ステップ14において、地図画像表示部14は受信した地図画像ID(B1−1、B2−1)を基に地図画像キャッシュ格納部18を検索する。ここでは、地図画像キャッシュ格納部18には図12に示すようにB1−1、B1−2、B2−1の地図画像が格納さているものとし、地図画像表示部14は該当する地図画像B1−1、B2−1を地図画像キャッシュ格納部18から読み出す。そして、現在表示している地図画像の大きさ及び縮尺と、上位縮尺の地図画像の縮尺とを元に計算した大きさで、読み出した地図画像B1−1、B2−1を、現在表示されている地図画像と切り替えて配置する。
【0034】
例えば、地図画像1枚(1つの地図画像IDに対応する地図画像)の大きさ(横×縦のドット)が800×600、表示画面の大きさが800×600、現在表示されている地図画像の縮尺が1/25、上位縮尺が1/50、現在表示している地図画像1枚あたりの表示上の大きさも800×600であったとすると、上位縮尺の地図画像は以下の率で拡大して表示すればよい。
【0035】
率=現在表示している地図画像の縮尺/上位縮尺=2
また、例えば、現在地図画像を画面上で拡大もしくは縮小して表示している場合には、その倍率を上記の率に乗じて得た率とすればよい。
【0036】
図13にB1−1、B2−1の地図画像を地図画像表示部14が配置した様子を示す。また、図13には、直前まで配置されていたC2−1、C2−2、C3−1、C3−2の地図画像も示されている。この配置後に、地図画像表示制御部13が、地図画像表示情報格納部16内の情報を図14のようにB1−1、B2−1に書き換える。
【0037】
なお、地図画像キャッシュ格納部18に上記の地図画像が格納されていなければ、地図提供装置から取得する。
【0038】
(次に表示すべき上位縮尺の地図画像を取得、表示する処理)
次に、図3のステップ2における処理である、上下左右の移動操作において、画面の端が画面に表示している地図画像の終端に来た際に次に表示すべき上位縮尺の地図画像を決定し、上位縮尺の地図画像を取得して表示する処理について、図15のフローチャートを参照して詳細に説明する。
【0039】
ステップ21)移動操作においては、利用者の移動コントローラの操作に伴って、移動操作情報取得部12が移動べクトル(1,0)を取得する。次に、移動操作情報取得部12は、取得した移動べクトルを地図画像表示制御部13に送信する。
【0040】
ステップ22) ステップ22において、地図画像表示制御部13が移動べクトルを取得すると、地図画像表示部14に移動べクトルを送信し、移動べクトルを受信した地図画像表示部14は現在配置している上位縮尺のB1−1、B2−1の地図画像を移動べクトルとは逆の(−1,0)の方向に移動させる。画面の端が画面に表示されている地図画像の終端に達していない場合はステップ22を繰り返す。
【0041】
地図画像内で画面に表示している領域の変化を図16に示す。画面に表示していた領域が移動によって、AからB、更にCの場所に変化する。表示領域がCにある場合、表示領域は地図画像B1−1、B2−2の終端に達しているという。
【0042】
画面に表示している領域が地図画像の終端に達すると、地図画像表示部14が、終端に達している地図画像の地図画像IDとしてB1−1、B1−1の終端に達した辺情報として辺情報3、終端に達している地図画像の地図画像IDとしてB2−1、B2−1の終端に達した辺情報として辺情報3の2組を地図画像表示制御部13に送信してステップ23に進む。
【0043】
ステップ23)ステップ23において、地図画像表示制御部13が地図画像表示部14から地図画像IDであるB1−1と辺情報3、B2−1と辺情報3の2つの情報を受信すると、地図画像構成情報格納部17にアクセスし、受信した地図画像IDの辺情報に該当する情報を検索する。ここでは、B1−1の辺情報3に該当する地図画像IDとしてBI−2、B2−1の辺情報3に該当する地図画像IDとしてB2−2が検索によって抽出される。地図画像表示制御部13は、この抽出した地図画像IDを地図画像取得部15に送信する。
【0044】
ステップ24)ステップ24において、地図画像取得部15が地図画像ID(B2−1、B2−2)を取得すると、地図提供装置2の地図画像配信部21にその地図画像IDを送信する。地図画像配信部21は受信した地図画像IDを基に、地図画像格納部22にアクセスして該当する地図画像を取得し、その地図画像を地図表示装置1の地図画像取得部15に送信する。地図画像取得部15は、受信した地図画像を地図画像キャッシュ格納部18に格納し、地図画像表示制御部13に地図画像IDを送信する。
【0045】
地図画像表示制御部13は地図画像ID(B2−1、B2−2)を受信すると、地図画像表示部14に受信した地図画像IDを送信し、その地図画像IDを地図画像表示情報格納部16に図17に示すように追加する。そして、地図画像表示部14は、地図画像IDを受信すると、地図画像キャッシュ格納部18にアクセスして該当する地図画像を取得し表示する。その後、ステップ22へ戻る。B2−1、B2−2が配置された画面例を図18に示す。
(下位縮尺の地図画像を取得し表示する処理)
次に、図3のステップ3の処理である、上下左右の移動操作が終了した時点で画面に表示すべき下位縮尺の地図画像を取得し表示する処理について図19のフローチャートを参照して説明する。
【0046】
ステップ31)ステップ31において、図18のXに示す領域の場所で移動操作が終了したものとする。ここで、移動操作の終了の検知は、例えば、利用者が移動コントローラのボタンを離したことを検知することにより行うことができる。
【0047】
移動操作情報取得部12が上下左右の移動操作終了の情報を取得し、地図画像表示制御部13に上下左右の移動操作終了の情報を送信する。
【0048】
ステップ32)ステップ32において、地図画像表示制御部13は移動操作情報取得部12から上下左右の移動操作終了の情報を受信すると、地図画像表示情報格納部16から地図画像表示部14に表示している地図画像IDを取得する。この時、地図画像表示部14で表示している地図画像は図20のようにB1−2、B2−2となっており、地図画像表示制御部13はこれらの地図画像IDを取得する。また、地図画像表示制御部13は、ステップ32で取得した地図画像IDに関して、これらの地図画像IDに対応する下位縮尺の地図画像のIDを取得するため、地図画像構成情報格納部17内を検索する。
【0049】
ステップ33)ここでは、B1−2を上位縮尺地図画像としてもつ地図画像としてC1−3、C1−4、C2−3、C2−4を抽出し、B2−2を上位縮尺地図画像としてもつ地図画像としてC3−3、C3−4、C4−3、C4−4を抽出し、抽出した地図画像IDを地図画像取得部15に送信する。
【0050】
地図画像取得部15が地図画像IDを取得すると、地図提供装置2の地図画像配信部21に取得した地図画像IDであるC1−3、C1−4、C2−3、C2−4、C3−3、C3−4、C4−3、C4−4を送信する。地図画像配信部21は受信した地図画像IDを基に地図画像格納部22にアクセスして該当する地図画像を取得し、その地図画像を地図画像取得部15に送信する。地図画像取得部15は、受信した地図画像を地図画像キャッシュ格納部18に格納し、地図画像表示制御部13に地図画像IDを送信する。
【0051】
地図画像表示制御部13は地図画像IDを受信すると、地図画像表示部14に受信した地図画像IDを送信し、地図画像表示情報格納部16の地図画像IDを受信した地図画像IDに書き換える。書き換えた地図画像表示情報を図21に示す。
【0052】
ステップ34)ステップ34において、地図画像表示部14は受信した地図画像ID(C1−3、C1−4、C2−3、C2−4、C3−3、C3−4、C4−3、C4−4)を基に地図画像キャッシュ格納部18を検索し、該当する地図画像を地図画像キャッシュ格納部18から読み出し、これまで配置していた地図画像を非表示にし、読み出した地図画像を、現在表示している地図画像の大きさ及び縮尺と、上位縮尺の地図画像の縮尺を元に計算した大きさで配置する。図22に、C1−3、C1−4、C2−3、C2−4、C3−3、C3−4、C4−3、C4−4を配置した例を示す。
【0053】
(本システムの効果について)
本実施の形態のシステムでは、複数の地図画像を表示した画面上で上下左右移動をする際に、移動する前に表示していた地図画像の上位縮尺の地図画像に切り替えて表示する。この上位縮尺の地図画像を表示して上下左右移動させ、次に画面に表示すべき地図画像も上位縮尺の地図画像を取得して表示する。それにより、従来技術よりも次に必要な地図画像を取得する回数を軽減できる。図23を用いて説明すると、従来技術の場合、移動を開始して終了するまでC1−3〜C2−6地図画像が必要となり、4回で、合計8枚の地図画像の取得処理が必要である。それに対し、本システムでは、移動を開始してから終了するまで2回で、合計2枚の地図画像の取得処理となり、取得処理の回数及び取得するデータ量が軽減される。これにより、地図画像の移動の際に画面に何も表示されないといった事象の発生を軽減できる。
【0054】
なお、本発明は、上記の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲内において、種々変更・応用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の実施の形態におけるシステム構成図である。
【図2】地図表示装置1と地図提供装置2の機能構成図である。
【図3】本発明の実施の形態におけるシステムの動作概要を示すフローチャートである。
【図4】異なる縮尺の地図画像の階層構造について説明するための図である。
【図5】地図画像構成情報の例を示す図である。
【図6】地図画像構成情報における辺情報を説明するための図である。
【図7】地図画像表示情報格納部16における情報の例である。
【図8】地図画像表示部14が配置する地図画像の例である。
【図9】画面表示部11に表示される画面の例である。
【図10】移動ベクトルの例を示す図である。
【図11】上下左右の移動操作の開始を検知して上位縮尺の地図画像を表示する処理のフローチャートである。
【図12】地図画像キャッシュ格納部18に格納されている地図画像の例である。
【図13】B1−1、B2−1の地図画像を地図画像表示部14が配置した様子を示す図である。
【図14】地図画像表示情報格納部16内の情報の例である。
【図15】画面の端が画面に表示している地図画像の終端に来た際の処理のフローチャートである。
【図16】地図画像内で画面に表示している領域の変化を示す図である。
【図17】地図画像表示情報格納部16内の情報の例である。
【図18】B2−1、B2−2が配置された画面例を示す図である。
【図19】上下左右の移動操作が終了した時点で画面に表示すべき下位縮尺の地図画像を取得し表示する処理のフローチャートである。
【図20】地図画像表示情報格納部16内の情報の例である。
【図21】地図画像表示情報格納部16内の情報の例である。
【図22】C1−3、C1−4、C2−3、C2−4、C3−3、C3−4、C4−3、C4−4を配置した例を示す図である。
【図23】本発明の効果を説明するための図である。
【符号の説明】
【0056】
1 地図表示装置
2 地図提供装置
3 ネットワーク
11 画面表示部
12 移動操作情報取得部
13 地図画像表示制御部
14 地図画像表示部
15 地図画像取得部
16 地図画像表示情報格納部
17 地図画像構成情報格納部
18 地図画像キャッシュ格納部
21 地図画像配信部
22 地図画像格納部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画面表示部を備え、当該画面表示部に表示される地図画像を移動操作によって上下左右に移動させることが可能な地図表示装置であって、
前記画面表示部の画面に表示中の地図画像に対する移動操作の開始を検知したときに、表示中の地図画像に対応する、当該表示中の地図画像の縮尺より縮尺の小さい地図画像を取得し、表示中の地図画像と切り替えて表示する第1の切り替え表示手段と、
前記移動操作に伴って、前記画面表示部の画面の端が前記縮尺の小さい地図画像の端に達したときに、当該縮尺の小さい地図画像の端に続く同じ縮尺の地図画像を取得して表示する取得表示手段と、
前記移動操作の終了を検知したときに、表示中の地図画像に対応する、前記移動操作の開始時点に表示されていた地図画像の縮尺と同じ縮尺の地図画像を取得し、表示中の地図画像と切り替えて表示する第2の切り替え表示手段と
を有することを特徴とする地図表示装置。
【請求項2】
前記地図表示装置が地図画像を取得して表示する際に、前記地図表示装置の記憶装置に当該地図画像が記憶されている場合には、その記憶装置から地図画像を取得して表示する請求項1に記載の地図表示装置。
【請求項3】
前記第2の切り替え表示手段は、前記移動操作の開始時点に表示されていた地図画像の縮尺と同じ縮尺の地図画像の取得が終了した後に、表示中の地図画像を非表示とし、取得した地図画像を表示する請求項1に記載の地図表示装置。
【請求項4】
前記地図表示装置が、表示中の地図画像の縮尺と異なる縮尺の地図画像を表示中の地図画像と切り替えて表示する際に、前記地図表示装置は、表示中の地図画像の縮尺と、当該異なる縮尺とを含む情報を用いて算出した率に基づき前記異なる縮尺の地図画像を拡大もしくは縮小して表示する請求項1ないし3のうちいずれか1項に記載の地図表示装置。
【請求項5】
画面表示部を備え、当該画面表示部に表示される地図画像を移動操作によって上下左右に移動させることが可能な地図表示装置が実行する地図表示方法であって、
前記画面表示部の画面に表示中の地図画像に対する移動操作の開始を検知したときに、表示中の地図画像に対応する、当該表示中の地図画像の縮尺より縮尺の小さい地図画像を取得し、表示中の地図画像と切り替えて表示する第1の切り替え表示ステップと、
前記移動操作に伴って、前記画面表示部の画面の端が前記縮尺の小さい地図画像の端に達したときに、当該縮尺の小さい地図画像の端に続く同じ縮尺の地図画像を取得して表示する取得表示ステップと、
前記移動操作の終了を検知したときに、表示中の地図画像に対応する、前記移動操作の開始時点に表示されていた地図画像の縮尺と同じ縮尺の地図画像を取得し、表示中の地図画像と切り替えて表示する第2の切り替え表示ステップと
を有することを特徴とする地図表示方法。
【請求項6】
前記地図表示装置が地図画像を取得して表示する際に、前記地図表示装置の記憶装置に当該地図画像が記憶されている場合には、その記憶装置から地図画像を取得して表示する請求項5に記載の地図表示方法。
【請求項7】
前記第2の切り替え表示ステップにおいて、前記地図表示装置は、前記移動操作の開始時点に表示されていた地図画像の縮尺と同じ縮尺の地図画像の取得が終了した後に、表示中の地図画像を非表示とし、取得した地図画像を表示する請求項5に記載の地図表示方法。
【請求項8】
前記地図表示装置が、表示中の地図画像の縮尺と異なる縮尺の地図画像を表示中の地図画像と切り替えて表示する際に、前記地図表示装置は、表示中の地図画像の縮尺と、当該異なる縮尺とを含む情報を用いて算出した率に基づき前記異なる縮尺の地図画像を拡大もしくは縮小して表示する請求項5ないし7のうちいずれか1項に記載の地図表示方法。
【請求項9】
画面表示部を備え、当該画面表示部に表示される地図画像を移動操作によって上下左右に移動させることが可能な地図表示装置としての機能をコンピュータに実現させるプログラムであって、前記コンピュータを、
前記画面表示部の画面に表示中の地図画像に対する移動操作の開始を検知したときに、表示中の地図画像に対応する、当該表示中の地図画像の縮尺より縮尺の小さい地図画像を取得し、表示中の地図画像と切り替えて表示する第1の切り替え表示手段、
前記移動操作に伴って、前記画面表示部の画面の端が前記縮尺の小さい地図画像の端に達したときに、当該縮尺の小さい地図画像の端に続く同じ縮尺の地図画像を取得して表示する取得表示手段、
前記移動操作の終了を検知したときに、表示中の地図画像に対応する、前記移動操作の開始時点に表示されていた地図画像の縮尺と同じ縮尺の地図画像を取得し、表示中の地図画像と切り替えて表示する第2の切り替え表示手段、
として機能させるプログラム。
【請求項10】
請求項9に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2006−235114(P2006−235114A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−47866(P2005−47866)
【出願日】平成17年2月23日(2005.2.23)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】