説明

地図表示装置、地図表示方法、地図表示プログラム、及びそのプログラムを記録した記録媒体

【課題】 表示範囲を広範囲に変更しつつ、自車両近傍の表示内容の視認性を良好に保つこと。
【解決手段】 標準の視野角度(45°)から広角の視野角度(90°)の三次元道路地図となるように、画面の横方向の視野角度の大きさを変更する際、自車両の現在位置PPを通る基準線を中心として視野角度の大きさを変更する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図表示装置、地図表示方法、地図表示プログラム、及びそのプログラムを記録した記録媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、三次元の地図画像を表示する地図表示装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。この特許文献1に開示されている地図表示装置は、自動設定された初期値若しくはユーザの設定した値に対して、現在の高度と前回算出した高度との差を示す付加高度を加算した高度を示す最新の視点高度を算出し、この最新の視点高度に対し上記付加高度を加算した値を三次元の地図画像を描画するときの視点高度として決定する。そして、この決定された視点高度の三次元の地図画像を描画する。
【特許文献1】特許第3250554号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来技術において、三次元の地図画像の表示範囲を広範囲となるように変更するためには、例えば、地図画像の縮尺を変更したり、視点高度を高くしたりすることで可能となる。しかしながら、この場合、自車両近傍の表示内容についても小さく表示されることになるため、表示範囲を広範囲に変更しつつ、自車両近傍の表示内容が小さく表示されないようにすることができない。
【0004】
本発明は、上記の問題を鑑みてなされたもので、表示範囲を広範囲に変更しつつ、自車両近傍の表示内容の視認性を良好に保つことができる地図表示装置、地図表示方法、地図表示プログラム、及びそのプログラムを記録した記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するためになされた請求項1記載の地図表示装置は、
道路地図上に設定された基準点に基づいて道路地図の表示対象範囲を決定する表示対象範囲決定手段と、
表示対象範囲に含まれる道路地図について座標変換処理を施すことで生成される三次元道路地図を画面に表示する表示制御手段と、を備えるものにおいて、
基準点を基準として、画面に表示される三次元道路地図の視野角度の大きさを変更する視野角度変更手段を備えることを特徴とする。
【0006】
これにより、道路地図上に設定された基準点を基準として、三次元道路地図の視野角度を変更することができるようになるため、基準点付近の表示内容の表示サイズが変更されることを抑えつつ、三次元道路地図の表示範囲を変更することが可能となる。
【0007】
請求項2に記載の地図表示装置によれば、基準点は、移動体の位置する道路、及び目的地へ向かう経路に含まれる道路の少なくとも一方の道路上若しくは道路近傍に設定されることを特徴とする。これにより、自車両の位置する道路や目的地へ向かう経路に含まれる道路の道路上や道路近傍に視野角度の大きさを変更する際の基準点が設定されるようになる。
【0008】
請求項3に記載の地図表示装置は、視野角度を入力するための入力手段を備え、視野角度変更手段は、入力手段によって入力された視野角度の大きさに変更することを特徴とする。これにより、ユーザの所望する任意の視野角度を入力することが可能となる。
【0009】
請求項4に記載の地図表示装置によれば、視野角度変更手段は、基準点の設定された道路の道路種別、道路幅の広さ、車線数、及び移動体の外部との通信を行う通信手段を介して取得する外部情報の少なくとも1つに応じて変更することを特徴とする。
【0010】
これにより、道路の属性に応じて三次元道路地図の視野角度を変更することができるようになる。また、道路に敷設されたビーコンや各地のFM放送局を介してVICS(Vehicle Information and Communication System)センタから配信されるVICS情報(渋滞情報、事故・工事情報)を受信するVICS受信機や、携帯電話、無線LAN(Local Area Network)、各種放送電波を受信する受信機など、移動体の外部との通信を行う通信手段を備える場合には、その通信手段を介して取得した外部情報に応じて三次元道路地図の視野角度を変更することができるようになる。
【0011】
請求項5に記載の地図表示装置によれば、視野角度変更手段は、
道路種別が一般道路に該当する場合、道路種別が高速道路に該当する場合の視野角度よりも大きくなるように変更し、
道路種別が高速道路に該当する場合、道路種別が一般道路に該当する場合の視野角度よりも小さくなるように変更することを特徴とする。
【0012】
このように、道路種別が一般道路に該当する場合、道路種別が高速道路に該当する場合の視野角度よりも大きくなるように変更することで、一般道路近傍を広範囲に表示することができる。一方、道路種別が高速道路に該当する場合、道路種別が一般道路に該当する場合の視野角度よりも小さくなるように変更することで、高速道路を走行する際の余分な情報を非表示とすることができるようになる。
【0013】
請求項6に記載の地図表示装置によれば、視野角度変更手段は、
道路幅が広い程視野角度が大きくなるように変更し、
道路幅が狭い程視野角度が小さくなるように変更することを特徴とする。
【0014】
このように、道路幅が広い程視野角度が大きくなるように変更することで、道路のみ表示され、道路近傍が非表示とならないようにすることができる。一方、道路幅が狭い程視野角度が小さくなるように変更することで、道路近傍が余分に表示されないようにすることができる。
【0015】
請求項7に記載の地図表示装置によれば、視野角度変更手段は、
車線数が多い程視野角度が大きくなるように変更し、
車線数が少ない程視野角度が小さくなるように変更することを特徴とする。
【0016】
このように、車線数が多い程視野角度が大きくなるように変更することで、道路のみ表示され、道路近傍が非表示とならないようにすることができる。一方、車線数が少ない程視野角度が小さくなるように変更することで、道路近傍が余分に表示されないようにすることができる。
【0017】
請求項8に記載の地図表示装置によれば、表示制御手段は、道路地図上に表示すべき文字表示情報、及び道路地図上の施設の位置を示す目印表示情報の少なくとも1つの表示情報を画面に表示する場合、座標変換処理によって生成された三次元道路地図に重畳して表示することを特徴とする。
【0018】
これにより、上記文字表示情報や目印表示情報は、座標変換処理の対象外となるため、三次元道路地図において、ユーザが視認し易いように表示することが可能となる。
【0019】
請求項9に記載の地図表示装置によれば、視野角度変更手段は、画面の縦方向又は/及び横方向の視野角度の大きさを変更することを特徴とする。これにより、基準点を中心として、画面の縦方向や横方向に三次元道路地図の視野角度の大きさを変更することができる。
【0020】
請求項10に記載の地図表示装置によれば、視野角度変更手段は、画面の縦方向に延びる基準点を通る基準線を中心として、基準線の左側又は/及び右側に位置する三次元道路地図の視野角度の大きさを変更することを特徴とする。
【0021】
これにより、図2に示すように、基準線(0°)の左側や右側に位置する三次元道路地図の視野角度の大きさを変更したり、図6(a)、(b)に示すように、基準線(0°)の左側、又は右側に位置する三次元道路地図の視野角度の大きさのみを変更したりすることができる。
【0022】
請求項11に記載の地図表示装置によれば、視野角度変更手段は、画面の縦方向又は/及び横方向に基準点の設定位置を変更する基準点位置変更手段を備えることを特徴とする。これにより、例えば、図6(c)に示すように、画面の縦方向に延びる基準点を通る基準線の位置を画面の横方向に変更することができるようになる。
【0023】
請求項12に記載の地図表示装置によれば、表示対象範囲決定手段は、視野角度変更手段によって変更された視野角度に相当する三次元道路地図が画面に表示されるように、表示対象範囲を決定することを特徴とする。これにより、表示対象範囲を決定する際、変更すべき視野角度に基づいて決定することができる。
【0024】
請求項13に記載の地図表示方法、請求項14に記載のプログラム、及び請求項15に記載の記憶媒体は、請求項1に記載の地図表示装置の作用効果と同様であるので、その説明を省略する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本実施形態では、本発明の地図表示装置をカーナビゲーション装置の一機能として実現した場合の例について説明するものである。
【0026】
なお、本発明は、カーナビゲーション装置の一機能として適用されるほか、例えば、その他の車載端末、携帯電話、PDA(Personal Digital Assistant)、PC(Personal Computer)等に本発明の機能のプログラムをインストールして実行することによっても実現できるものである。
【0027】
図1は、カーナビゲーション装置の全体構成を概略的に示している。図1において、位置検出部1は、GPS(Global Positioning System )受信機、方位センサ、ジャイロセンサ、車速センサなど(何れも図示せず)から構成され、車両の現在位置情報を算出する部分である。この位置検出部1は、各センサが性質の異なる誤差を有しているため、各々補間しながら使用するように構成されているが、現在位置が算出できれば、これらのセンサを全部備える必要はなく、何れか一つ以上を備えていればよい。
【0028】
地図データ格納部2は、位置検出の精度向上のための所謂マップマッチング用データ、地図データ及び目的データを含む各種データを入力するための装置であり、DVDプレーヤやCDプレーヤ、或いはハードディスク装置などから構成されている。
【0029】
スイッチ情報入力部3は、例えばディスプレイ装置の左右や上下に取り付けられたスイッチ類であり、三次元で表示される三次元道路地図の視野角度を変更するための視野角変更スイッチ(図示せず)を含んだ構成となっている。スイッチ情報入力部3は、この視野角変更スイッチが操作されることで、その操作に応じた視野角情報を制御部7へ出力する。これにより、ユーザの所望する任意の視野角度を入力することが可能となる。
【0030】
メモリ部4は、ROM及びRAM(何れも図示せず)を含んで構成されたもので、ナビゲーションのプログラムやプログラムのワークメモリや地図データ格納部2から取得した地図データなどを一時格納する部分である。
【0031】
表示部5は、ナビゲーションとして地図や目的地選択画面などを表示するためのもので、その画面には、位置検出部1から入力された車両の現在位置マーク、地図データ格納部2からの地図データに基づいて作成された道路地図が表示される。さらに、その道路地図上には、目的地へ向かう経路を示す案内経路、文字、道路地図上の施設の位置を支援す目印などの表示情報を重ねて表示するようになっている。音声出力部6は、案内のための音声や画面操作の説明音声を出力する。
【0032】
制御部7は、スイッチ情報入力部3に対する操作に応じて、現在位置から目的地までの最適な経路を自動的に選択して案内経路を形成して表示する経路案内機能を実行する他、マップマッチング処理、案内音声の算出、地図の描画などを行うようになっている。このように自動的に最適な経路を設定する手法は、ダイクストラ法が知られている。
【0033】
この制御部7は、実際にはマイクロコンピュータにより構成されるものであるが、機能的には、地図データ取得部8、マップマッチング部9、経路計算部10、経路案内部11、描画部12、画面制御管理部13から構成されている。
【0034】
マップマッチング部9は、位置検出部1で検出した現在位置情報と地図データ格納部2から読み込んだ地図データの道路形状データなどを使って、現在位置がどの道路上に存在するかを特定する。また、使用者は、スイッチ情報入力部3を使って所望の地図を表示させる操作などを行い、目的地をセットする。経路計算部10では、マップマッチング部9で算出された現在位置の情報や、利用者が指定した出発地と上記目的地までの経路を計算する。
【0035】
経路案内部11では、上記経路計算の結果と地図データ内に格納されている道路の形状データや、交差点の位置情報や踏み切りの位置情報などから案内に必要なポイントを算出したり、どのような案内(右に曲がるのか左に曲がるのかなど)が必要なのかを算出したりする。
【0036】
描画部12は、現在位置に対応した地図や高速道路の略図、また、交差点付近では交差点付近の拡大図などを画面制御管理部13の指示に従い描画して、表示部5の表示画像を記憶するためのフレームメモリ(例えばVRAM)に記憶させる。
【0037】
この場合、描画部12にあっては、位置検出部1からの現在位置情報に基づいて、地図データ上(道路地図上)に基準点を設定し、この設定した基準点からの視線方位、予め設定される視点高度及び視野角度の初期値に基づいて地図データの表示対象範囲を決定する。
【0038】
図2は、仮想三次元空間(XYZ座標系)内における基準点、視点、及び視野角度の設定例を示す斜視図である。図2に示すように、基準点は、二次元平面(XY座標系)の道路地図上に設定され、予め設定された視点と基準点との位置関係から視線方位を示す基準線が決定される。
【0039】
視野角度は、視点から基準点をみたときの視野範囲(すなわち、表示対象範囲)の縦方向や横方向の広さを規定する。例えば、図2に示すように、表示対象範囲の横方向の視野角度の大きさを(W)とした場合、そのときの表示対象範囲の横方向の境界位置bpは、基準線と直交する線上の視野角度の大きさ(W)に相当する位置に設定される。なお、視野角度の大きさ(W)が変更されると、表示対象範囲の横方向の境界位置bpは、基準線と直交する線上で移動することになる。
【0040】
なお、この基準点は、表示対象範囲の略中心位置に設定されるものであり、地図データ上(道路地図上)の自車両の位置する道路や、目的地へ向かう経路に含まれる道路の道路上若しくは道路近傍に設定される。これにより、自車両の位置する道路や目的地へ向かう経路に含まれる道路の道路上や道路近傍に、視野角度の大きさを変更する際の基準点が設定されるようになる。
【0041】
描画部12は、この表示対象範囲の決定とともに、三次元道路地図の表示に必要な座標変換パラメータを算出する動作を行い、さらに、決定した表示対象範囲を含む所定範囲の地図データを地図データ格納部2から読み込む動作を行う(既表示画面の地図データと重複する部分は改めて読み込む必要はなく、新たに必要な地図データのみを読み込む)。
【0042】
次いで、描画部12は、上記のように得た地図データを上記座標変換パラメータにより三次元画像のデータに座標変換し、その座標変換後の地図データを、表示部5に対し、図4(a)に一例を示すような鳥瞰図状態で表示する構成となっている。尚、図4(a)は、初期値として設定された標準の視野角度(W=45度)の三次元道路地図を示しており、図4(a)中において、符号PPを付した図形が自車両の現在位置を示している。
【0043】
地図データ取得部8は、上記各処理部で必要となる地図データを地図データ格納部2より取得し、各処理部に提供する。また、上述した各処理は、メモリ部4のROMに記憶されたプログラムに基づいて、RAMとのデータ転送を行いながら実行される。
【0044】
そして、制御部7においては、経路案内部11で算出された情報に基づき、車両が進行し案内すべき位置に到達すると描画部12に所望の画像を描画したり、音声出力部6から所定の音声を出力させて、使用者を目的地へ案内したりする。
【0045】
このように構成される本実施形態のカーナビゲーション装置は、図4(a)に示した三次元道路地図の視野角度の大きさを上記基準点を基準として変更可能であることを特徴としている。従来、三次元道路地図の表示範囲を広範囲となるように変更する場合、例えば、道路地図の縮尺を変更したり、視点高度を高くしたりすることで可能ではあるが、この場合、自車両近傍の表示内容についても小さく表示されることになってしまう。そのため、表示範囲を広範囲に変更しつつ、自車両近傍の表示内容が小さく表示されないようにすることが望まれていた。
【0046】
そこで、本実施形態のカーナビゲーション装置では、図4(a)、(b)に示すように、自車両の現在位置PPの道路や、目的地へ向かう経路に含まれる道路の道路上若しくは道路近傍に設定される基準点を基準として、画面の横方向の三次元道路地図の視野角度の大きさを変更可能とする構成を採用した。
【0047】
すなわち、図3(a)に示すように、画面の縦方向に延びる基準点を通る基準線(0°)を中心として、三次元道路地図における画面の左右方向の視野角度の大きさ(W)を変更する。この視野角度の変更に伴う処理は、制御部7の描画部12において実行され、スイッチ情報入力部3から出力される視野角情報に応じて、ユーザの所望する視野角度に相当する三次元道路地図が画面に表示されるように、上述した表示対象範囲を決定する。
【0048】
図3(b)に、画面の左右方向の視野角度の大きさ(W)が(W+α)に変更された場合の表示対象範囲の変化を示す。上述したように、表示対象範囲の横方向の境界位置bpは、視野角度の大きさ(W)が変更されると、基準点を中心に、基準線と直交する線上で移動するようになる。従って、画面の左右方向の視野角度の大きさ(W)が(W+α)に変更されると、その視野角度の大きさの変化に伴って、表示対象範囲が横方向に広がるように変更される。
【0049】
また、描画部12は、基準点の設定された道路の属性(道路種別、道路幅の広さ、車線数など)に応じた視野角度の三次元道路地図が画面に表示されるように、上述した表示対象範囲を決定する。
【0050】
例えば、道路種別については、道路種別が一般道路に該当する場合には、道路種別が高速道路に該当する場合の視野角度よりも大きくなるように変更し、道路種別が高速道路に該当する場合には、道路種別が一般道路に該当する場合の視野角度よりも小さくなるように変更する。
【0051】
このように、道路種別が一般道路に該当する場合、道路種別が高速道路に該当する場合の視野角度よりも大きくなるように変更することで、一般道路近傍を広範囲に表示することができる。一方、道路種別が高速道路に該当する場合、道路種別が一般道路に該当する場合の視野角度よりも小さくなるように変更することで、高速道路を走行する際の余分な情報を非表示とすることができるようになる。
【0052】
また、道路幅については、道路幅が広い程視野角度が大きくなるように変更し、道路幅が狭い程視野角度が小さくなるように変更する。このように、道路幅が広い程視野角度が大きくなるように変更することで、道路のみ表示され、道路近傍が非表示とならないようにすることができる。一方、道路幅が狭い程視野角度が小さくなるように変更することで、道路近傍が余分に表示されないようにすることができる。
【0053】
また、車線数については、車線数が多い程視野角度が大きくなるように変更し、車線数が少ない程視野角度が小さくなるように変更する。このように、車線数が多い程視野角度が大きくなるように変更することで、道路のみ表示され、道路近傍が非表示とならないようにすることができる。一方、車線数が少ない程視野角度が小さくなるように変更することで、道路近傍が余分に表示されないようにすることができる。
【0054】
次に、カーナビゲーション装置において実行される三次元道路地図の視野角度変更処理について、図5に示すフローチャートを用いて説明する。先ず、ステップS10では、基準点の設定された道路の属性(道路種別、道路幅の広さ、車線数)を地図データ格納部2から取得する。
【0055】
ステップS20では、スイッチ情報入力部3から出力される視野角情報を取得する。ステップS30では、変更すべき視野角度に相当する道路地図の表示対象範囲を決定する。この変更すべき視野角度は、本実施形態では、ステップS10において取得した道路の属性よりも、ステップS20において取得したユーザ操作による視野角情報を優先して決定する。しかしながら、この優先度の設定は、これに限られるものではない。また、ステップS10において取得した道路属性のうち、何れを優先して変更すべき視野角度を決定するかについても、予め優先度を設定してもよいし、さらい、その設定をユーザが任意に変更できるようにしてもよい。
【0056】
ステップS40では、ステップS30にて決定した表示対象範囲を含む地図データを地図データ格納部2から読み込み、この読み込んだ地図データを三次元画像のデータに座標変換する。
【0057】
ステップS50では、座標変換によって得られた三次元道路地図に対して、この道路地図上に表示すべき文字表示情報、道路地図上の施設の位置を示す目印表示情報、及び、案内経路が設定されている場合には案内経路を示す案内経路表示情報を重畳する。これにより、上記文字表示情報や目印表示情報等は、座標変換処理の対象外となるため、三次元道路地図において、ユーザが視認し易いように表示することが可能となる。ステップS60では、各種表示情報の重畳された三次元道路地図を画面に表示する。
【0058】
これにより、三次元道路地図における基準点を基準として三次元道路地図の視野角度を変更することができるようになるため、基準点付近の表示内容の表示サイズが変更されることを抑えつつ、三次元道路地図の表示範囲を変更することが可能となる。
【0059】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々変形して実施することができる。
【0060】
例えば、本実施形態では、図3(a)に示したように、画面の縦方向に延びる基準点を通る基準線(0°)を中心として、三次元道路地図における画面の左右方向の視野角度の大きさ(W)を変更するものであるが、図6(a)、(b)に示すように、基準線(0°)の左側、又は右側に位置する三次元道路地図の視野角度の大きさのみを変更するようにしてもよい。
【0061】
また、画面の縦方向や横方向に基準点の設定位置を変更することができるようにしてもよい。これにより、例えば、図6(c)に示すように、画面の縦方向に延びる基準点を通る基準線の位置を画面の横方向に変更することができるようになり、画面の右側を中心として、三次元道路地図の視野角度を変更することが可能となる。
【0062】
また、本実施形態では、画面の横方向の視野角度の大きさを変更するものであるが、画面の横方向とともに画面の縦方向の視野角度の大きさを変更することができるものであってもよい。これにより、図7に示すように、基準点を中心として、画面の縦方向や横方向に三次元道路地図の視野角度の大きさを変更することができる。
【0063】
このほか、本実施形態では、基準点の設定された道路の属性に応じて視野角度の大きさ(W)を変更するものであるが、道路に敷設されたビーコンや各地のFM放送局を介してVICSセンタから配信されるVICS情報(渋滞情報、事故・工事情報)を受信するVICS受信機や、携帯電話、無線LAN(Local Area Network)、各種放送電波を受信する受信機など、移動体の外部との通信を行う通信手段を備える場合には、その通信手段を介して取得した外部情報に応じて三次元道路地図の視野角度を変更するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】カーナビゲーション装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】仮想三次元空間(XYZ座標系)内における基準点、視点、及び視野角度の大きさ(W)を示す斜視図である。
【図3】(a)は、基準線(0°)を中心として、三次元道路地図における画面の左右方向の視野角度の大きさ(W)を変更する際のイメージ図であり、(b)は、画面の左右方向の視野角度の大きさ(W)が(W+α)に変更された場合の表示対象範囲の変化を示した図である。
【図4】(a)は、標準の視野角度(W=45°)の三次元道路地図を示した図であり、(b)は、広角の視野角度(W=90°)の三次元道路地図を示した図である。
【図5】視野角度変更処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】(a)、(b)は、基準線(0°)の左側、又は右側に位置する三次元道路地図の視野角度の大きさのみを変更する際のイメージ図であり、(c)は、基準線(0°)の設定位置を変更した場合のイメージ図である。
【図7】基準点を中心として、画面の縦方向や横方向に三次元道路地図の視野角度の大きさを変更する際のイメージ図である。
【符号の説明】
【0065】
1 位置検出部
2 地図データ格納部
3 スイッチ情報入力部
4 メモリ部
5 表示部
6 音声出力部
7 制御部
8 地図データ取得部
9 マップマッチング部
10 経路計算部
11 経路案内部
12 描画部
13 画面制御管理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路地図上に設定された基準点に基づいて前記道路地図の表示対象範囲を決定する表示対象範囲決定手段と、
前記表示対象範囲に含まれる道路地図について座標変換処理を施すことで生成される三次元道路地図を画面に表示する表示制御手段と、を備える地図表示装置において、
前記基準点を基準として、前記画面に表示される三次元道路地図の視野角度の大きさを変更する視野角度変更手段を備えることを特徴とする地図表示装置。
【請求項2】
前記基準点は、移動体の位置する道路、及び目的地へ向かう経路に含まれる道路の少なくとも一方の道路上若しくは道路近傍に設定されることを特徴とする請求項1記載の地図表示装置。
【請求項3】
前記視野角度を入力するための入力手段を備え、
前記視野角度変更手段は、前記入力手段によって入力された視野角度の大きさに変更することを特徴とする請求項1又は2記載の地図表示装置。
【請求項4】
前記視野角度変更手段は、前記基準点の設定された道路の道路種別、道路幅の広さ、車線数、及び移動体の外部との通信を行う通信手段を介して取得する外部情報の少なくとも1つに応じて変更することを特徴とする請求項1又は2記載の地図表示装置。
【請求項5】
前記視野角度変更手段は、
前記道路種別が一般道路に該当する場合、前記道路種別が高速道路に該当する場合の視野角度よりも大きくなるように変更し、
前記道路種別が高速道路に該当する場合、前記道路種別が一般道路に該当する場合の視野角度よりも小さくなるように変更することを特徴とする請求項4記載の地図表示装置。
【請求項6】
前記視野角度変更手段は、
前記道路幅が広い程前記視野角度が大きくなるように変更し、
前記道路幅が狭い程前記視野角度が小さくなるように変更することを特徴とする請求項4記載の地図表示装置。
【請求項7】
前記視野角度変更手段は、
前記車線数が多い程前記視野角度が大きくなるように変更し、
前記車線数が少ない程前記視野角度が小さくなるように変更することを特徴とする請求項4記載の地図表示装置。
【請求項8】
前記表示制御手段は、前記道路地図上に表示すべき文字表示情報、及び前記道路地図上の施設の位置を示す目印表示情報の少なくとも1つの表示情報を画面に表示する場合、前記座標変換処理によって生成された三次元道路地図に重畳して表示することを特徴とする請求項1〜7の何れか1項に記載の地図表示装置。
【請求項9】
前記視野角度変更手段は、前記画面の縦方向又は/及び横方向の視野角度の大きさを変更することを特徴とする請求項1〜8の何れか1項に記載の地図表示装置。
【請求項10】
前記視野角度変更手段は、前記画面の縦方向に延びる前記基準点を通る基準線を中心として、前記基準線の左側又は/及び右側に位置する三次元道路地図の視野角度の大きさを変更することを特徴とする請求項9記載の地図表示装置。
【請求項11】
前記視野角度変更手段は、前記画面の縦方向又は/及び横方向に前記基準点の設定位置を変更する基準点位置変更手段を備えることを特徴とする請求項1〜10の何れか1項に記載の地図表示装置。
【請求項12】
前記表示対象範囲決定手段は、前記視野角度変更手段によって変更された視野角度に相当する三次元道路地図が前記画面に表示されるように、前記表示対象範囲を決定することを特徴とする請求項1〜11の何れか1項に記載の地図表示装置。
【請求項13】
道路地図上に設定された基準点に基づいて前記道路地図の表示対象範囲を決定し、この決定した表示対象範囲に含まれる道路地図について座標変換処理を施すことで生成される三次元道路地図を表示する地図表示方法であって、
前記基準点を基準として、前記三次元道路地図の視野角度の大きさを変更するステップを有することを特徴とする地図表示方法。
【請求項14】
道路地図上に設定された基準点に基づいて前記道路地図の表示対象範囲を決定し、この決定した表示対象範囲に含まれる道路地図について座標変換処理を施すことで生成される三次元道路地図を表示するプログラムであって、
前記基準点を基準として、前記三次元道路地図の視野角度の大きさを変更することを特徴とするプログラム。
【請求項15】
道路地図上に設定された基準点に基づいて前記道路地図の表示対象範囲を決定し、この決定した表示対象範囲に含まれる道路地図について座標変換処理を施すことで生成される三次元道路地図を表示するプログラムを内蔵した記憶媒体において、
前記基準点を基準として、前記三次元道路地図の視野角度の大きさを変更するプログラムを内蔵したことを特徴する記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−58093(P2007−58093A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−246246(P2005−246246)
【出願日】平成17年8月26日(2005.8.26)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【出願人】(000132471)株式会社セガ (811)
【Fターム(参考)】