説明

地図表示装置、地図表示方法及びコンピュータプログラム

【課題】通常のスクロール機能と経路沿いスクロール機能とを容易に切り替えて実行させることを可能にした地図表示装置、地図表示方法及びコンピュータプログラムを提供する。
【解決手段】ユーザのスクロール操作を受け付けた場合に、ユーザのスクロール操作を所定時間内に所定回数受け付けたか否か判定し(S14)、ユーザのスクロール操作を所定時間内に所定回数受け付けたと判定した場合に、該ユーザの所定回数のスクロール操作を受け付ける間において地図画像の表示対象領域に案内経路が含まれているか否か判定し(S18)、ユーザの所定回数のスクロール操作を受け付ける間において地図画像の表示対象領域に案内経路が含まれていると判定された場合に、液晶ディスプレイ15に表示される地図画像のスクロールを、案内経路に沿ってスクロールする経路沿いスクロールに切り替えて実行する(S19)ように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図画像を表示する地図表示装置、地図表示方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車載用のナビゲーション装置、PDA(Personal Digital Assistant)や携帯電話機などの携帯情報機器、パーソナルコンピュータ等では、地図データとして一般道路及び高速道路等の道路や施設名称等を各種記憶デバイスに記憶するか、又はサーバ等からダウンロードすることにより、利用者に対して所望のエリアの地図画像を表示装置に対して表示することが可能となっている。また、上記ナビゲーション装置等では、所望する目的地を入力すると、出発地から目的地までの最適経路を探索する経路探索機能についても備えおり、探索結果に基づいて案内経路を設定する。そして、設定された案内経路に基づく案内を行うことによって、車両を目的地まで案内することが可能となっている。
【0003】
また、従来のナビゲーション装置等では、ユーザがナビゲーション装置等で設定された案内経路の形状や、案内経路周辺の施設情報を把握する為に、通常の地図画像のスクロール機能とは別に、特に案内経路に沿って地図画像をスクロールする所謂経路沿いスクロール機能を備えている。そして、経路沿いスクロール機能が実行されると、自動又はユーザのボタン操作に基づいて、案内経路に沿って表示装置に表示された地図画像がスクロールされる(例えば、特開2008−46059号公報参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−46059号公報(第6頁〜第8頁、図3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、上記特許文献1に記載の技術では、経路沿いスクロール機能を実行する為には、ユーザが操作部を用いて経路沿いスクロールを開始する為の特別なモード選択操作を行う必要であった。即ち、上記したように表示装置に表示された地図画像をスクロールする機能としては、通常のスクロール機能と経路沿いスクロール機能が有り、両スクロール機能を同時に実行可能とすると、各スクロール機能が混同してユーザの意図するスクロールを行うことができなくなる虞がある。そこで、従来では、ユーザが特殊な操作を実行した後のみに、経路沿いスクロール機能を実行可能なモードに切り替えるように構成している。
【0006】
しかしながら、上記特許文献1のように経路沿いスクロール機能を実行する為にユーザに特殊な操作を課すこととすると、ユーザのスムーズなスクロール操作を妨げる原因となっていた。
【0007】
本発明は前記従来における問題点を解消するためになされたものであり、ユーザに特殊な操作を課すことなく経路沿いスクロール機能を実行可能とし、ユーザのスムーズなスクロール操作を実現する一方で、通常のスクロール機能と経路沿いスクロール機能とをユーザに混同させることなく、容易に切り替えて実行させることを可能にした地図表示装置、地図表示方法及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するため本願の請求項1に係る地図表示装置(1)は、表示対象領域の地図画像を表示装置(15)に表示する地図表示手段(13)と、出発地から目的地へと至る案内経路を設定する案内経路設定手段(13)と、前記表示装置に表示される前記地図画像をスクロールさせる為のユーザのスクロール操作を受け付ける操作受付手段(13)と、前記操作受付手段により受け付けた前記ユーザのスクロール操作において指示されたスクロール方向へ、前記表示装置に表示される前記地図画像をスクロールするスクロール表示手段(13)と、前記操作受付手段により前記ユーザのスクロール操作を所定時間内に所定回数受け付けた場合に、該ユーザの所定回数のスクロール操作を受け付ける間において前記表示対象領域に前記案内経路が含まれているか否か判定する操作判定手段(13)と、前記操作判定手段により、前記ユーザの所定回数のスクロール操作を受け付ける間において前記表示対象領域に前記案内経路が含まれていると判定された場合に、前記表示装置に表示される前記地図画像のスクロールを、前記案内経路に沿ってスクロールする経路沿いスクロールに切り替えて実行する経路沿いスクロール実行手段(13)と、を有することを特徴とする。
【0009】
また、請求項2に係る地図表示装置(1)は、請求項1に記載の地図表示装置であって、前記経路沿いスクロール実行手段(13)によって前記経路沿いスクロールが実行されている状態で、前記操作受付手段(13)により前記ユーザのスクロール操作を受け付けた場合であって、該ユーザのスクロール操作において指示されたスクロール方向が、前記案内経路に直交する方向から所定角度範囲内に前記地図画像をスクロールさせる方向であった場合に、前記経路沿いスクロールを解除する経路沿いスクロール解除手段と(13)、を有することを特徴とする。
【0010】
また、請求項3に係る地図表示装置(1)は、請求項1又は請求項2に記載の地図表示装置であって、前記地図画像上において前記案内経路を形成するリンクの形状を特定する為の形状補完点(37)の座標を取得する座標取得手段(13)を有し、前記操作判定手段(13)は、前記表示対象領域に前記形状補完点の座標が含まれている場合に、前記表示対象領域に前記案内経路が含まれていると判定することを特徴とする。
【0011】
また、請求項4に係る地図表示装置(1)は、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の地図表示装置であって、前記表示装置(15)の表示領域に配置され、ユーザのタッチ操作を受け付けるタッチパネル(14)と、前記タッチパネルに前記ユーザがタッチした状態にある場合に、前記ユーザがタッチした地点の座標であるタッチ座標を取得する座標取得手段(13)と、を有し、前記操作受付手段(13)は、前記タッチパネルに対するタッチ操作に基づいて前記ユーザのスクロール操作を受け付けることを特徴とする。
【0012】
また、請求項5に係る地図表示方法は、表示対象領域の地図画像を表示装置(15)に表示する地図表示ステップと、出発地から目的地へと至る案内経路を設定する案内経路設定ステップと、前記表示装置に表示される前記地図画像をスクロールさせる為のユーザのスクロール操作を受け付ける操作受付ステップと、前記操作受付ステップにより受け付けた前記ユーザのスクロール操作において指示されたスクロール方向へ、前記表示装置に表示される前記地図画像をスクロールするスクロール表示ステップと、前記操作受付ステップにより前記ユーザのスクロール操作を所定時間内に所定回数受け付けた場合に、該ユーザの所定回数のスクロール操作を受け付ける間において前記表示対象領域に前記案内経路が含まれているか否か判定する操作判定ステップと、前記操作判定ステップにより、前記ユーザの所定回数のスクロール操作を受け付ける間において前記表示対象領域に前記案内経路が含まれていると判定された場合に、前記表示装置に表示される前記地図画像のスクロールを、前記案内経路に沿ってスクロールする経路沿いスクロールに切り替えて実行する経路沿いスクロール実行ステップと、を有することを特徴とする。
【0013】
更に、請求項6に係るコンピュータプログラムは、コンピュータに搭載され、表示対象領域の地図画像を表示装置(15)に表示する地図表示機能と、出発地から目的地へと至る案内経路を設定する案内経路設定機能と、前記表示装置に表示される前記地図画像をスクロールさせる為のユーザのスクロール操作を受け付ける操作受付機能と、前記操作受付機能により受け付けた前記ユーザのスクロール操作において指示されたスクロール方向へ、前記表示装置に表示される前記地図画像をスクロールするスクロール表示機能と、前記操作受付機能により前記ユーザのスクロール操作を所定時間内に所定回数受け付けた場合に、該ユーザの所定回数のスクロール操作を受け付ける間において前記表示対象領域に前記案内経路が含まれているか否か判定する操作判定機能と、前記操作判定機能により、前記ユーザの所定回数のスクロール操作を受け付ける間において前記表示対象領域に前記案内経路が含まれていると判定された場合に、前記表示装置に表示される前記地図画像のスクロールを、前記案内経路に沿ってスクロールする経路沿いスクロールに切り替えて実行する経路沿いスクロール実行機能と、をプロセッサに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
前記構成を有する請求項1に記載の地図表示装置によれば、ユーザに特殊な操作を課すことなく、スクロール操作に基づいて経路沿いスクロール機能を実行することを可能とし、通常のスクロール機能と経路沿いスクロール機能とを用いたユーザのスムーズなスクロール操作を実現する。一方で、通常のスクロール機能と経路沿いスクロール機能とをユーザに混同させることなく、容易に切り替えて実行させることを可能とする。
【0015】
また、請求項2に記載の地図表示装置によれば、ユーザに特殊な操作を課すことなく、スクロール操作に基づいて経路沿いスクロール機能を解除することを可能とする。その結果、通常のスクロール機能と経路沿いスクロール機能とを容易に切り替えて実行させることを可能とする。
【0016】
また、請求項3に記載の地図表示装置によれば、リンクの形状を特定する為の形状補完点の座標が、地図画像の表示対象領域に含まれている場合に、地図画像の表示対象領域に案内経路が含まれていると判定するので、案内経路が地図画像の表示対象領域に含まれているか否かを正確に判定することが可能となる。
【0017】
また、請求項4に記載の地図表示装置によれば、タッチパネルに対するタッチ操作に基づいてユーザのスクロール操作を受け付けるので、タッチパネルを用いた操作によって、通常のスクロール機能や経路沿いスクロール機能に基づく地図画像のスクロールをそれぞれ適切に行うことが可能となる。その結果、地図画像のスクロールに関する操作性を向上させることができる。
【0018】
また、請求項5に記載の地図表示方法によれば、ユーザに特殊な操作を課すことなく、スクロール操作に基づいて経路沿いスクロール機能を実行することを可能とし、通常のスクロール機能と経路沿いスクロール機能とを用いたユーザのスムーズなスクロール操作を実現する。一方で、通常のスクロール機能と経路沿いスクロール機能とをユーザに混同させることなく、容易に切り替えて実行させることを可能とする。
【0019】
更に、請求項6に記載のコンピュータプログラムによれば、ユーザに特殊な操作を課すことなく、スクロール操作に基づいて経路沿いスクロール機能を実行させることを可能とし、通常のスクロール機能と経路沿いスクロール機能とを用いたユーザのスムーズなスクロール操作を実現する。一方で、通常のスクロール機能と経路沿いスクロール機能とをユーザに混同させることなく、容易に切り替えて実行させることを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本実施形態に係るナビゲーション装置を示したブロック図である。
【図2】リンクの形状を特定するための形状補完点を示した図である。
【図3】車両の走行中において液晶ディスプレイに表示される走行案内画面の一例を示した図である。
【図4】液晶ディスプレイに表示される地図画像をドラッグ操作に基づいてスクロール表示する際の操作態様を示した図である。
【図5】液晶ディスプレイに表示される地図画像をフリック操作に基づいてスクロール表示する際の操作態様を示した図である。
【図6】本実施形態に係るタッチ座標取得処理プログラムのフローチャートである。
【図7】タッチ座標履歴キューの模式図を示した図である。
【図8】本実施形態に係る地図画像スクロール処理プログラムのフローチャートである。
【図9】本実施形態に係る経路沿いスクロール処理プログラムのフローチャートである。
【図10】経路沿いスクロール機能の実行中におけるスクロール操作の一例を示した図である。
【図11】経路沿いスクロール機能の実行中において液晶ディスプレイに表示されるけるスクロール案内画面を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係るタッチパネル式操作装置をナビゲーション装置に具体化した一実施形態に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。先ず、本実施形態に係るナビゲーション装置1の概略構成について図1を用いて説明する。図1は本実施形態に係るナビゲーション装置1を示したブロック図である。
【0022】
図1に示すように本実施形態に係るナビゲーション装置1は、ナビゲーション装置1が搭載された車両の現在位置を検出する現在位置検出部11と、各種のデータが記録されたデータ記録部12と、入力された情報に基づいて、各種の演算処理を行うナビゲーションECU13と、ユーザからの操作を受け付けるタッチパネル14と、ユーザに対して車両周辺の地図等を表示する液晶ディスプレイ15と、経路案内に関する音声ガイダンスを出力するスピーカ16と、記憶媒体であるDVDを読み取るDVDドライブ17と、プローブセンタやVICS(登録商標:Vehicle Information and Communication System)センタ等の情報センタとの間で通信を行う通信モジュール18と、から構成されている。
【0023】
以下に、ナビゲーション装置1を構成する各構成要素について順に説明する。
現在位置検出部11は、GPS21、車速センサ22、ステアリングセンサ23、ジャイロセンサ24等からなり、現在の車両の位置、方位、車両の走行速度、現在時刻等を検出することが可能となっている。ここで、特に車速センサ22は、車両の移動距離や車速を検出する為のセンサであり、車両の駆動輪の回転に応じてパルスを発生させ、パルス信号をナビゲーションECU13に出力する。そして、ナビゲーションECU13は発生するパルスを計数することにより駆動輪の回転速度や移動距離を算出する。尚、上記5種類のセンサをナビゲーション装置1が全て備える必要はなく、これらの内の1又は複数種類のセンサのみをナビゲーション装置1が備える構成としても良い。
【0024】
以下に、ナビゲーション装置1を構成する各構成要素について順に説明する。
現在位置検出部11は、GPS21、車速センサ22、ステアリングセンサ23、ジャイロセンサ24等からなり、現在の車両の位置、方位、車両の走行速度、現在時刻等を検出することが可能となっている。ここで、特に車速センサ22は、車両の移動距離や車速を検出する為のセンサであり、車両の駆動輪の回転に応じてパルスを発生させ、パルス信号をナビゲーションECU13に出力する。そして、ナビゲーションECU13は発生するパルスを計数することにより駆動輪の回転速度や移動距離を算出する。尚、上記5種類のセンサをナビゲーション装置1が全て備える必要はなく、これらの内の1又は複数種類のセンサのみをナビゲーション装置1が備える構成としても良い。
【0025】
また、データ記録部12は、外部記憶装置及び記録媒体としてのハードディスク(図示せず)と、ハードディスクに記録された地図情報DB31や所定のプログラム等を読み出すとともにハードディスクに所定のデータを書き込む為のドライバである記録ヘッド(図示せず)とを備えている。尚、データ記録部12をハードディスクの代わりにメモリーカードやCDやDVD等の光ディスクにより構成しても良い。
【0026】
ここで、地図情報DB31は、例えば、道路(リンク)に関するリンクデータ32、ノード点に関するノードデータ33、形状補完点データ34、施設等の地点に関する地点データ、地図を表示するための地図表示データ、各交差点に関する交差点データ、経路を探索するための探索データ、地点を検索するための検索データ等が記憶された記憶手段である。
【0027】
また、形状補完点データ34は、地図画像上においてリンクの形状を特定する為の形状補完点に関するデータである。ここで、図2に示すように地図情報に含まれるリンク35は、両端に位置するノード点36と、ノード点36の間に位置する複数の形状補完点37によって形状が特定される。そして、形状補完点データ34は、地図情報に含まれるリンク毎に形状補完点の座標を記憶する。
そして、ナビゲーションECU13は、後述のように地図情報DB31に記憶された形状補完点データ34に基づいて、液晶ディスプレイ15により表示対象となる地図画像の領域(以下、表示対象領域という)にナビゲーション装置1に設定された案内経路が含まれているか否かを判定する。
【0028】
一方、ナビゲーションECU(エレクトロニック・コントロール・ユニット)13は、ナビゲーション装置1の全体の制御を行う電子制御ユニットであり、演算装置及び制御装置としてのCPU41、並びにCPU41が各種の演算処理を行うにあたってワーキングメモリとして使用されるとともに、経路が探索されたときの経路データ等が記憶されるRAM42、制御用のプログラムのほか、後述のタッチ座標取得処理プログラム(図6参照)、地図画像スクロール処理プログラム(図8参照)、経路沿いスクロール処理プログラム(図9参照)等が記録されたROM43、ROM43から読み出したプログラムを記憶するフラッシュメモリ44等の内部記憶装置を備えている。尚、ナビゲーションECU13は、処理アルゴリズムとしての各種手段を構成する。例えば、地図表示手段は、表示対象領域の地図画像を液晶ディスプレイ15に表示する。案内経路設定手段は、出発地(例えば車両の現在位置)から目的地へと至る案内経路を設定する。操作受付手段は、液晶ディスプレイ15に表示される地図画像をスクロールさせる為のユーザのスクロール操作を受け付け、スクロール表示手段は、受け付けたユーザのスクロール操作において指示されたスクロール方向へ、液晶ディスプレイ15に表示される地図画像をスクロールする。操作判定手段は、ユーザのスクロール操作を所定時間内に所定回数受け付けた場合に、該ユーザの所定回数のスクロール操作を受け付ける間において地図画像の表示対象領域に案内経路が含まれているか否か判定する。経路沿いスクロール実行手段は、操作判定手段により、ユーザの所定回数のスクロール操作を受け付ける間において地図画像の表示対象領域に案内経路が含まれていると判定された場合に、液晶ディスプレイ15に表示される地図画像のスクロールを、案内経路に沿ってスクロールする経路沿いスクロールに切り替えて実行する。経路沿いスクロール解除手段は、経路沿いスクロール実行手段によって経路沿いスクロールが実行されている状態で、ユーザのスクロール操作を受け付けた場合であって、該ユーザのスクロール操作において指示されたスクロール方向が、案内経路に直交する方向から所定角度範囲内に地図画像をスクロールさせる方向であった場合に、経路沿いスクロールを解除する。座標取得手段は、地図画像上において案内経路を形成するリンクの形状を特定する為の形状補完点の座標を取得する。座標取得手段は、タッチパネル14にユーザがタッチした状態にある場合に、ユーザがタッチした地点の座標であるタッチ座標を取得する。
【0029】
タッチパネル14は、液晶ディスプレイ15の表示領域の前面に配置され、地図画像のスクロール表示を行う場合や表示領域に配置されたボタンを選択する場合等に操作される。また、スクロール表示には、受け付けたユーザのスクロール操作において指示されたスクロール方向へ地図画像を所定距離分スクロールする“通常のスクロール表示”と、地図画像を案内経路に沿ってスクロールさせる“経路沿いスクロール表示”がある。タッチパネル14は、上記各スクロール表示を行う際に、スクロール方向やスクロール距離を指定する際に操作される。
【0030】
そして、ナビゲーションECU13は、タッチパネル14の操作によりタッチパネル14から出力される検出信号に基づき、タッチパネル14にユーザがタッチしていない状態からタッチした状態へと移行する“タッチオン”や、タッチパネル14にユーザがタッチした状態からタッチしていない状態へと移行する“タッチオフ”を検出する。また、ユーザがタッチした地点の座標であるタッチ座標や、地図画像やボタン等の選択対象物の選択を行っている状態でタッチする位置を移動させる操作(即ちドラッグ操作やフリック操作)を受け付けた場合のタッチ座標の変位についても検出する。そして、ナビゲーションECU13は、検出したタッチ操作やタッチ座標等に対応する各種の動作を実行すべく制御を行う。
尚、ユーザの操作を受け付ける操作手段としては、タッチパネル14の代わりに操作ボタンやリモコンやマウスを用いても良い。
【0031】
また、液晶ディスプレイ15には、道路網を含む地図画像、POIアイコン、交通情報、操作案内、操作メニュー、キーの案内、現在位置から目的地までの案内経路、案内経路に沿った案内情報、ニュース、天気予報、時刻、メール、テレビ番組等が表示される。ここで、図3は車両の走行中において液晶ディスプレイ15に表示される走行案内画面50の一例を示した図である。
【0032】
図3に示すように液晶ディスプレイ15に表示される走行案内画面50には、車両の現在位置周辺の地図画像51と、地図上にマッチングされた車両の現在位置を示す自車位置マーク52と、地図画像の表示対象領域の中央位置を特定する中央カーソル53と、ナビゲーション装置1に現在設定されている案内経路54(案内経路が設定されている場合のみ表示)と、ナビゲーション装置1で所定機能を実行させる為に選択される為の各種ボタン55〜59とが表示される。そして、ユーザは走行案内画面50を参照することによって、現在の車両周辺の施設情報や道路形状(案内経路が設定されている場合には案内経路を含む)等を把握することが可能となる。また、詳細ボタン55をタッチオンして選択すると、地図の縮尺をより大きい縮尺に変更することが可能である。また、表示変更ボタン56をタッチオンして選択すると、地図画像51の表示態様(鳥瞰図、平面図、ノーズアップ、ノースアップ等)を変更することが可能である。また、目的地セットボタン57をタッチオンして選択すると、中央カーソル53の示す地点を目的地に設定することが可能である。また、地点登録ボタン58をタッチオンして選択すると、中央カーソル53の示す地点を登録地点としてナビゲーション装置1に登録することが可能である。また、広域ボタン59をタッチオンして選択すると、地図の縮尺をより小さい縮尺に変更することが可能である。
【0033】
また、走行案内画面50が表示されている場合に、ユーザが走行案内画面50に表示されているエリア外の施設や道路形状を把握することを希望する場合がある。その場合には、地図の縮尺をより小さな縮尺に変更することも可能であるが、地図画像をスクロール表示することも可能である。ここで、地図画像のスクロール表示を行わせる処理には、地図画像を選択して所定方向にドラッグする操作やフリックする操作を受け付けた場合に、受け付けたドラッグ操作やフリック操作に応じて地図画像をスクロールさせる処理がある。
例えば、ドラッグ操作による地図画像のスクロールを行う場合には、図4に示すようにユーザは地図画像51上でタッチオンして地図画像51を選択し、地図画像51を選択した状態でスクロールさせる方向(例えば、図4では下方向)に沿って指を移動させてドラッグする。例えば、図4に示すように地点X1でタッチオンし、地点X2までドラッグした場合には、地点X1から地点X2までの距離分だけ地図画像51が上方向へスクロール表示する。その結果、新たなエリアの地図を走行案内画面50に表示させることが可能となる。
また、フリック操作による地図画像のスクロールを行う場合には、図5に示すようにユーザは地図画像51上でタッチオンして地図画像51を選択し、地図画像51を選択した状態でスクロールさせる方向(例えば、図4では下方向)に沿って指を移動させつつ、タッチオフする。例えば、図5に示すように地点X3でタッチオンし、下方向にフリックした場合には、タッチオフする直前のタッチ座標の変位速度に基づく距離分だけ地図画像51が上方向へスクロール表示する。その結果、新たなエリアの地図を走行案内画面50に表示させることが可能となる。
【0034】
また、本実施形態に係るナビゲーション装置1では、上述したドラッグ操作やフリック操作に基づくユーザのスクロール操作を所定時間(例えば5秒)内に所定回数(例えば3回)受け付けた場合であって、且つ該ユーザの所定回数のスクロール操作を受け付ける間において地図画像の表示対象領域に案内経路が含まれている場合には、地図画像のスクロールを、地図画像を案内経路に沿ってスクロールする“経路沿いスクロール”に切り替えて実行する。尚、“経路沿いスクロール”の詳細については後述する。
【0035】
また、スピーカ16は、ナビゲーションECU13からの指示に基づいて案内経路に沿った走行を案内する音声ガイダンスや、交通情報の案内を出力する。また、施設検索を行った場合に検索された施設に関する情報を出力する際にも用いられる。
【0036】
また、DVDドライブ17は、DVDやCD等の記録媒体に記録されたデータを読み取り可能なドライブである。そして、読み取ったデータに基づいて音楽や映像の再生、地図情報DB31の更新等が行われる。尚、DVDドライブ17の代わりにHDDやメモリーカードリーダを備える構成としても良い。
【0037】
また、通信モジュール18は、交通情報センタ、例えば、VICSセンタやプローブセンタ等から送信された渋滞情報、規制情報、交通事故情報等の各情報から成る交通情報を受信する為の通信装置であり、例えば携帯電話機やDCMが該当する。
【0038】
続いて、前記構成を有するナビゲーション装置1においてナビゲーションECU13が実行するタッチ座標取得処理プログラムについて図6に基づき説明する。図6は本実施形態に係るタッチ座標取得処理プログラムのフローチャートである。ここで、タッチ座標取得処理プログラムは、車両のACCがオンされた後に所定間隔(例えば200ms毎)で繰り返し実行され、タッチパネル14にユーザがタッチした状態にある場合に、タッチした地点の座標であるタッチ座標を取得するプログラムである。尚、以下の図6、図8、図9にフローチャートで示されるプログラムは、ナビゲーション装置1が備えているRAM42やROM43に記憶されており、CPU41により実行される。
【0039】
先ず、タッチ座標取得処理プログラムではステップ(以下、Sと略記する)1において、CPU41はタッチパネル14から送信される検出信号に基づいて、ユーザがタッチパネル14をタッチした地点の座標であるタッチ座標を取得する。例えば、タッチパネル14が抵抗膜方式や静電容量方式である場合には、ユーザがタッチした地点の圧力や静電容量の変化に基づいて流れた電流の位置を検出することによって、タッチ座標を検出する。
【0040】
次に、S2においてCPU41は、前記S1の処理でタッチ座標を取得できたか否か判定する。尚、ユーザがタッチパネル14にタッチしている状態(特に抵抗膜方式では所定値以上の圧力でタッチしている場合)において、前記S1でタッチ座標が取得される。
【0041】
そして、前記S1の処理でタッチ座標を取得できたと判定された場合(S2:YES)には、S3へと移行する。それに対して、前記S1の処理でタッチ座標を取得できなかったと判定された場合(S2:NO)には、タッチ座標を記憶することなく当該タッチ座標取得処理プログラムを終了する。
【0042】
S3においてCPU41は、前記S1の処理で取得したタッチ座標を、RAM42に設けられたタッチ座標履歴キューに記憶する。尚、タッチ座標履歴キューには、直前の所定回数(例えば4回)分のタッチ座標のデータが記憶されるように構成されている。ここで、図7はタッチ座標履歴キューの模式図を示した図である。図7に示すように直前の4回分のタッチ座標のデータとして、古いデータから順にタッチ座標A、B、C、Dのデータがタッチ座標履歴キューに記憶されている状態において、新たにタッチ座標Eが取得された場合には、最も古いタイミングで取得されたタッチ座標Aのデータが削除され、タッチ座標Eのデータが新たにタッチ座標履歴キューに記憶されることとなる。また、タッチ座標履歴キューは、タッチオフが確定した場合や、タッチオンに基づいて新たな選択対象物が選択された場合には初期化される。その後、当該タッチ座標取得処理プログラムを終了する。
【0043】
そして、CPU41は、S3でタッチ座標履歴キューに記憶されたタッチ座標に基づいて、各種処理を実行する。例えば、液晶ディスプレイ15に表示された各種ボタン55〜59の選択処理、地図画像51のスクロール処理(図8、図9)等を行う。その後、当該タッチ座標取得処理プログラムを終了する。
【0044】
続いて、ナビゲーション装置1においてナビゲーションECU13が実行する地図画像スクロール処理プログラムについて図8に基づき説明する。図8は本実施形態に係る地図画像スクロール処理プログラムのフローチャートである。ここで、地図画像スクロール処理プログラムは、車両のACCがオンされた後に実行され、地図画像を含む走行案内画面50(図3)を液晶ディスプレイ15に表示するとともに、タッチパネル14の操作に基づいて、表示された地図画像をスクロールするプログラムである。
【0045】
先ず、地図画像スクロール処理プログラムではS11においてCPU41は、液晶ディスプレイ15に対して走行案内画面50(図3)を表示する。具体的に、前記S11においてCPU41は、現在位置検出部11により検出した車両の現在位置、方位とナビゲーション装置1で設定されている地図の縮尺とに基づいて、表示対象となる領域(以下、表示対象領域という)の地図データを地図情報DB31から読み出し、読み出した地図データに基づく地図画像51を液晶ディスプレイ15に対して描画する。また、車両の現在位置が変化した場合には、車両の位置の変化に伴って、描画される地図データの表示対象領域も変更される。尚、走行案内画面50には、前記したように車両の現在位置周辺の地図画像51に加えて、地図画像51に重畳して自車位置マーク52、中央カーソル53、案内経路54についても表示される。
【0046】
次に、S12においてCPU41は、タッチパネル14から送信される検出信号に基づいて、液晶ディスプレイ15に表示された地図画像51をスクロールさせる為のユーザのスクロール操作を受け付けたか否か判定する。ここで、スクロール操作には、前記したように地図画像51を選択した状態で行われるドラッグ操作やフリック操作がある。
【0047】
そして、前記S12においてCPU41は、先ず、タッチパネル14においてタッチ座標を検出したか否か、即ち、タッチパネル14にユーザがタッチしているか否か判定する。具合的には、前述した所定間隔で実行される座標取得処理プログラム(図6)において、前回実施されたプログラム中の処理で座標が取得でき、タッチ座標履歴キューにタッチ座標が記憶された(S3)場合には、タッチ座標を検出したと判定する。そして、CPU41は、タッチ座標を検出したと判定した場合には、更に、検出したタッチ座標の変位に基づいて、地図画像51を選択した状態でドラッグ操作やフリック操作が行われたか否かを判定する。そして、CPU41は、地図画像51を選択した状態でドラッグ操作やフリック操作が行われたと判定した場合に、液晶ディスプレイ15に表示された地図画像51をスクロールさせる為のユーザのスクロール操作を受け付けたと判定する。
【0048】
上記S12の判定処理で、液晶ディスプレイ15に表示された地図画像51をスクロールさせる為のユーザのスクロール操作を受け付けたと判定された場合(S12:YES)には、S13へと移行する。それに対して、液晶ディスプレイ15に表示された地図画像51をスクロールさせる為のユーザのスクロール操作を受け付けていないと判定された場合(S12:NO)には、地図画像のスクロールを行うことなく当該地図画像スクロール処理プログラムを終了する。
【0049】
S13においてCPU41は、受け付けたユーザのスクロール操作に基づいて、地図画像51をスクロールさせるスクロール方向とスクロール距離を特定する。
例えば、スクロール操作として地図画像51を選択した状態で行われるドラッグ操作を受け付けた場合には、“ドラッグ開始点のタッチ座標”に対する“ドラッグ終了点のタッチ座標”の方向がスクロール方向として特定される。また、“ドラッグ開始点のタッチ座標”から“ドラッグ終了点のタッチ座標”までの距離がスクロール距離として特定される。
一方、スクロール操作として地図画像51を選択した状態で行われるフリック操作を受け付けた場合には、“タッチオフを検出する直前の更に一つ前に検出されたタッチ座標”に対する“タッチオフを検出する直前に検出されたタッチ座標”の方向がスクロール方向として特定される。また、“タッチオフを検出する直前の更に一つ前に検出されたタッチ座標”と“タッチオフを検出する直前に検出されたタッチ座標”の変位量(即ち、タッチオフを検出する直前のタッチ座標の変位速度)に基づく距離がスクロール距離として特定される。
【0050】
その後、S14においてCPU41は、液晶ディスプレイ15に表示された地図画像51をスクロールさせる為のユーザのスクロール操作を、所定時間(例えば5秒)以内に所定回数(例えば3回)受け付けたか否か判定する。
【0051】
そして、液晶ディスプレイ15に表示された地図画像51をスクロールさせる為のユーザのスクロール操作を、所定時間以内に所定回数受け付けたと判定された場合(S14:YES)には、S16へと移行する。それに対して、液晶ディスプレイ15に表示された地図画像51をスクロールさせる為のユーザのスクロール操作を、所定時間以内に所定回数受け付けていないと判定された場合(S14:NO)には、S15へと移行する。
【0052】
S15においてCPU41は、受け付けたユーザのスクロール操作に基づく通常のスクロール処理を行う。具体的には、前記S13で特定されたスクロール方向へ、同じく前記S13で特定されたスクロール距離分、液晶ディスプレイ15に表示された地図画像51をスクロールする(図4、図5参照)。その結果、地図画像の表示対象領域が変更され、新たなエリアの地図画像を液晶ディスプレイ15に表示させることが可能となる。その後、当該地図画像スクロール処理プログラムを終了する。
【0053】
一方、S16においてCPU41は、ナビゲーション装置1において案内経路が設定されているか否か判定する。ここで、案内経路は、出発地(例えば自車の現在位置)からユーザに選択された目的地までの推奨経路であり、経路探索処理の結果に基づいて設定される。また、経路探索処理は、地図情報DB31に記憶されたリンクデータ32やノードデータ33、VICSセンタから取得した交通情報等を用いて、公知のダイクストラ法等により行われる。
【0054】
そして、ナビゲーション装置1において案内経路が設定されていると判定された場合(S16:YES)には、S17へと移行する。それに対して、ナビゲーション装置1において案内経路が設定されていないと判定された場合(S16:NO)には、S15へと移行する。そして、S15においてCPU41は、上述したように受け付けたユーザのスクロール操作に基づく通常のスクロール処理を行う。
【0055】
次に、S17においてCPU41は、ナビゲーション装置1に設定されている案内経路を形成するリンクの形状補完点の座標を取得する。尚、案内経路が複数のリンクで構成されている場合には、該当する全てのリンクの形状補完点の座標を取得する。ここで、形状補完点は図2に示したようにリンクの形状を特定する為の点であり、CPU41は地図情報DB31から該当する形状補完点データ34を読み出すことによって、案内経路を形成するリンクの形状補完点の座標を取得する。
【0056】
続いて、S18においてCPU41は、前記S17で取得した形状補完点の座標に基づいて、所定時間内に行われた所定回数のユーザのスクロール操作を受け付ける間において、液晶ディスプレイ15に対して現在表示対象となっている地図画像の表示対象領域に、案内経路が含まれているか否か判定する。具体的には、CPU41は、所定回数のスクロールが行われている間における地図画像の表示態様領域をそれぞれ特定する。次に、特定された各地図画像の表示態様領域の全てに、案内経路を形成するリンクの形状補完点の座標が少なくとも一以上含まれているか否か判定する。そして、CPU41は、特定された各地図画像の表示態様領域の全てに、表示態様領域に形状補完点の座標が少なくとも一以上含まれていると判定された場合に、所定時間内に行われた所定回数のユーザのスクロール操作を受け付ける間において、地図画像の表示対象領域に案内経路が含まれていると判定する。
【0057】
そして、所定時間内に行われた所定回数のユーザのスクロール操作を受け付ける間において、地図画像の表示対象領域に案内経路が含まれていると判定された場合(S18:YES)には、S19へと移行する。それに対して、所定時間内に行われた所定回数のユーザのスクロール操作を受け付ける間において、地図画像の表示対象領域に案内経路が含まれていない状態が有ると判定された場合(S18:NO)には、S15へと移行する。そして、S15においてCPU41は、上述したように受け付けたユーザのスクロール操作に基づく通常のスクロール処理を行う。
【0058】
S19においてCPU41は、液晶ディスプレイ15に表示された地図画像のスクロールを、経路沿いスクロールに切り替える。経路沿いスクロールに切り替えられると、経路沿いスクロールが解除されるまでの間、ユーザのスクロール操作に基づいて案内経路に沿って地図画像がスクロールされる。尚、詳細については後述する。
【0059】
次に、ナビゲーション装置1においてナビゲーションECU13が実行する経路沿いスクロール処理プログラムについて図9に基づき説明する。図9は本実施形態に係る経路沿いスクロール処理プログラムのフローチャートである。ここで、経路沿いスクロール処理プログラムは、前記S19において液晶ディスプレイ15に表示された地図画像のスクロールが、経路沿いスクロールに切り替えられた後に実行され、経路沿いスクロールが解除されるまでの間、ユーザのスクロール操作に基づいて案内経路に沿って地図画像をスクロールするプログラムである。
【0060】
先ず、経路沿いスクロール処理プログラムではS21においてCPU41は、タッチパネル14から送信される検出信号に基づいて、液晶ディスプレイ15に表示された地図画像51をスクロールさせる為のユーザのスクロール操作を受け付けたか否か判定する。ここで、スクロール操作には、前記したように地図画像51を選択した状態で行われるドラッグ操作やフリック操作がある。詳細については、前記S12と同様であるので説明は省略する。
【0061】
そして、液晶ディスプレイ15に表示された地図画像51をスクロールさせる為のユーザのスクロール操作を受け付けたと判定された場合(S21:YES)には、S22へと移行する。それに対して、液晶ディスプレイ15に表示された地図画像51をスクロールさせる為のユーザのスクロール操作を受け付けていないと判定された場合(S21:NO)には、地図画像のスクロールを行うことなく当該経路沿いスクロール処理プログラムを終了する。
【0062】
S22においてCPU41は、受け付けたユーザのスクロール操作に基づいて、地図画像51をスクロールさせるスクロール方向とスクロール距離を特定する。実行される処理内容は、基本的に前記S13と同様である。但し、経路沿いスクロールが実行されている状態では、後述のようにスクロール方向は、地図画像の表示対象領域に含まれる“案内経路の目的地側へ向かう方向”と、地図画像の表示対象領域に含まれる“案内経路の出発地側へ向かう方向”のいずれかに基本的に特定される。
【0063】
例えば、スクロール操作として地図画像51を選択した状態で行われるドラッグ操作を受け付けた場合には、“ドラッグ開始点のタッチ座標”から“ドラッグ終了点のタッチ座標”までの距離がスクロール距離として特定される。また、スクロール方向は、“ドラッグ開始点のタッチ座標”に対する“ドラッグ終了点のタッチ座標”の方向と地図画像の表示対象領域に含まれる案内経路の形状に基づいて決定される。具体的には、“ドラッグ開始点のタッチ座標”に対する“ドラッグ終了点のタッチ座標”の方向が、案内経路に直交する方向よりも所定角度α(例えば20度)以上目的地側へ向かう方向である場合には、スクロール方向は“案内経路の目的地側へ向かう方向”に特定される。それに対して、“ドラッグ開始点のタッチ座標”に対する“ドラッグ終了点のタッチ座標”の方向が、案内経路に直交する方向よりも所定角度α(例えば20度)以上出発地側へ向かう方向である場合には、スクロール方向は“案内経路の出発地側へ向かう方向”に特定される。また、“ドラッグ開始点のタッチ座標”に対する“ドラッグ終了点のタッチ座標”の方向が、案内経路に直交する方向から所定角度α(例えば20度)以内の場合には、通常のスクロール処理と同様に“ドラッグ開始点のタッチ座標”に対する“ドラッグ終了点のタッチ座標”の方向がスクロール方向として特定される。
【0064】
一方、スクロール操作として地図画像51を選択した状態で行われるフリック操作を受け付けた場合には、“タッチオフを検出する直前の更に一つ前に検出されたタッチ座標”と“タッチオフを検出する直前に検出されたタッチ座標”の変位量(即ち、タッチオフを検出する直前のタッチ座標の変位速度)に基づく距離がスクロール距離として特定される。また、スクロール方向は、“タッチオフを検出する直前の更に一つ前に検出されたタッチ座標”に対する“タッチオフを検出する直前に検出されたタッチ座標”の方向と地図画像の表示対象領域に含まれる案内経路の形状に基づいて決定される。具体的には、“タッチオフを検出する直前の更に一つ前に検出されたタッチ座標”に対する“タッチオフを検出する直前に検出されたタッチ座標”の方向が、案内経路に直交する方向よりも所定角度α(例えば20度)以上目的地側へ向かう方向である場合には、スクロール方向は“案内経路の目的地側へ向かう方向”に特定される。それに対して、“タッチオフを検出する直前の更に一つ前に検出されたタッチ座標”に対する“タッチオフを検出する直前に検出されたタッチ座標”の方向が、案内経路に直交する方向よりも所定角度α(例えば20度)以上出発地側へ向かう方向である場合には、スクロール方向は“案内経路の出発地側へ向かう方向”に特定される。尚、案内経路の形状は前記S17で取得した形状補完点の座標に基づいて特定する。また、“タッチオフを検出する直前の更に一つ前に検出されたタッチ座標”に対する“タッチオフを検出する直前に検出されたタッチ座標”の方向が、案内経路に直交する方向から所定角度α(例えば20度)以内の場合には、通常のスクロール処理と同様に“タッチオフを検出する直前の更に一つ前に検出されたタッチ座標”に対する“タッチオフを検出する直前に検出されたタッチ座標”の方向がスクロール方向として特定される。
【0065】
例えば、図10では、液晶ディスプレイ15に表示される地図画像の表示対象領域に案内経路61が含まれている場合について説明する。図10では、“ドラッグ開始点のタッチ座標”に対する“ドラッグ終了点のタッチ座標”の方向や“タッチオフを検出する直前の更に一つ前に検出されたタッチ座標”に対する“タッチオフを検出する直前に検出されたタッチ座標”の方向が、角度範囲(A)に含まれる場合(例えば矢印62方向)には、スクロール方向は“案内経路の目的地側へ向かう方向”に特定される。一方、“ドラッグ開始点のタッチ座標”に対する“ドラッグ終了点のタッチ座標”の方向や“タッチオフを検出する直前の更に一つ前に検出されたタッチ座標”に対する“タッチオフを検出する直前に検出されたタッチ座標”の方向が、角度範囲(B)に含まれる場合(例えば矢印63方向)には、スクロール方向は“案内経路の目的地側へ向かう方向”に特定される。尚、“ドラッグ開始点のタッチ座標”に対する“ドラッグ終了点のタッチ座標”の方向や“タッチオフを検出する直前の更に一つ前に検出されたタッチ座標”に対する“タッチオフを検出する直前に検出されたタッチ座標”の方向が、角度範囲(C)に含まれる場合(例えば矢印64方向)には、通常のスクロール処理と同様にスクロール方向は“ドラッグ開始点のタッチ座標”に対する“ドラッグ終了点のタッチ座標”の方向や“タッチオフを検出する直前の更に一つ前に検出されたタッチ座標”に対する“タッチオフを検出する直前に検出されたタッチ座標”の方向に特定される。尚、その場合には後述のように経路沿いスクロール機能は解除される。
【0066】
その後、S23においてCPU41は、受け付けたユーザのスクロール操作によって指示されたスクロール方向(以下、スクロール指示方向という)が、地図画像の表示対象領域に含まれる案内経路に直交する方向から所定角度α(たとえば20度)範囲内に地図画像をスクロールさせる方向であるか否か判定する。尚、スクロール指示方向は、スクロール操作として地図画像51を選択した状態で行われるドラッグ操作を受け付けた場合には、“ドラッグ開始点のタッチ座標”に対する“ドラッグ終了点のタッチ座標”の方向となり、スクロール操作として地図画像51を選択した状態で行われるフリック操作を受け付けた場合には、“タッチオフを検出する直前の更に一つ前に検出されたタッチ座標”に対する“タッチオフを検出する直前に検出されたタッチ座標”の方向となる。
【0067】
そして、スクロール指示方向が、地図画像の表示対象領域に含まれる案内経路に直交する方向から所定角度α範囲内に地図画像をスクロールさせる方向であると判定された場合(S23:YES)には、S25へと移行する。それに対して、スクロール指示方向が、地図画像の表示対象領域に含まれる案内経路に直交する方向から所定角度α範囲内に地図画像をスクロールさせる方向でないと判定された場合(S23:NO)には、S24へと移行する。
【0068】
S24においてCPU41は、液晶ディスプレイ15に表示された地図画像を案内経路に沿ってスクロールさせる経路沿いスクロール処理を行う。具体的には、前記S22で特定されたスクロール方向へ、同じく前記S22で特定されたスクロール距離分、液晶ディスプレイ15に表示された地図画像をスクロールする。その結果、地図画像の表示対象領域が案内経路に沿って変更され、案内経路周辺の新たなエリアの地図画像を液晶ディスプレイ15に表示させることが可能となる。その後、当該経路沿いスクロール処理プログラムを終了する。
【0069】
ここで、図11は前記S24において経路沿いスクロール処理が行われる際の液晶ディスプレイ15のスクロール案内画面70の一例を示した図である。
図11に示すようにスクロール案内画面70には、案内経路周辺の地図画像71と、ナビゲーション装置1に現在設定されている案内経路72と、地図画像の表示対象領域の中央位置を特定する中央カーソル73と、ナビゲーション装置1で所定機能を実行させる為に選択される為の各種ボタン74〜78とが表示される。そして、ユーザのスクロール操作を受け付けると、CPU41は液晶ディスプレイ15に表示される地図画像71を出発地方向又は目的地方向へと案内経路72に沿ってスクロールする。具体的には、案内経路が常に地図画像の表示対象領域の中央(中央カーソル73が表示される地点)に位置する状態で地図画像71をスクロールする。
ユーザは案内経路72に沿ってスクロールされる地図画像71を参照することにより、遠方の案内経路72の形状や案内経路72周辺の環境を把握することが可能となる。
【0070】
一方、S25においてCPU41は、経路沿いスクロールを解除する。そして、S26においてCPU41は、受け付けたユーザのスクロール操作に基づく通常のスクロール処理を行う。具体的には、前記S22で特定されたスクロール方向へ、同じく前記S22で特定されたスクロール距離分、液晶ディスプレイ15に表示された地図画像をスクロールする。その結果、地図画像の表示対象領域が案内経路から離間する方向に変更され、案内経路の周辺外の新たなエリアの地図画像を液晶ディスプレイ15に表示させることが可能となる。その後、当該経路沿いスクロール処理プログラムを終了する。
【0071】
以上詳細に説明した通り、本実施形態に係るナビゲーション装置1、ナビゲーション装置1による画像表示方法及びナビゲーション装置1で実行されるコンピュータプログラムでは、ユーザのスクロール操作を受け付けた場合に、ユーザのスクロール操作を所定時間内に所定回数受け付けたか否か判定し(S14)、ユーザのスクロール操作を所定時間内に所定回数受け付けたと判定した場合に、該ユーザの所定回数のスクロール操作を受け付ける間において地図画像の表示対象領域に案内経路が含まれているか否か判定し(S18)、ユーザの所定回数のスクロール操作を受け付ける間において地図画像の表示対象領域に案内経路が含まれていると判定された場合に、液晶ディスプレイ15に表示される地図画像のスクロールを、案内経路に沿ってスクロールする経路沿いスクロールに切り替えて実行する(S19)ので、ユーザに特殊な操作を課すことなく、スクロール操作に基づいて経路沿いスクロール機能を実行することを可能とし、通常のスクロール機能と経路沿いスクロール機能とを用いたユーザのスムーズなスクロール操作を実現する。一方で、通常のスクロール機能と経路沿いスクロール機能とをユーザに混同させることなく、容易に切り替えて実行させることを可能とする。
また、経路沿いスクロールが実行されている状態で、ユーザのスクロール操作を受け付けた場合であって、該ユーザのスクロール操作によって指示されたスクロール方向が、案内経路に直交する方向から所定角度範囲内に地図画像をスクロールさせる方向であった場合に、経路沿いスクロールを解除する(S25)ので、ユーザに特殊な操作を課すことなく、スクロール操作に基づいて経路沿いスクロール機能を解除することを可能とする。その結果、通常のスクロール機能と経路沿いスクロール機能とを容易に切り替えて実行させることを可能とする。
また、地図画像上において案内経路を形成するリンクの形状を特定する為の形状補完点の座標を取得し(S17)、形状補完点の座標が地図画像の表示対象領域に含まれている場合に、地図画像の表示対象領域に案内経路が含まれていると判定するので、案内経路が地図画像の表示対象領域に含まれているか否かを正確に判定することが可能となる。
また、タッチパネル14に対するタッチ操作に基づいてユーザのスクロール操作を受け付けるので、タッチパネル14を用いた操作によって、通常のスクロール機能や経路沿いスクロール機能に基づく地図画像のスクロールをそれぞれ適切に行うことが可能となる。その結果、地図画像のスクロールに関する操作性を向上させることができる。
【0072】
尚、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。
例えば、本実施形態ではユーザのスクロール操作を受け付ける操作手段としてタッチパネルを用いているが、他の操作手段を用いても良い。例えば、マウス、キーボード、ボタン、リモコン等を用いても良い。
【0073】
また、本実施形態ではタッチパネルを用いて行われるユーザのスクロール操作として、地図画像を選択した状態で行われるドラッグ操作やフリック操作を説明しているが、他の操作でも良い。例えば、ユーザにタッチされたタッチ座標が中心となるように地図画像をスクロールさせるワンタッチスクロール処理を行う場合には、タッチパネル14にユーザがタッチする操作がスクロール操作となる。また、ユーザがタッチパネル14の所定エリアを所定時間以上タッチした場合にタッチされたエリアに基づく方位と速度で地図画像を連続してスクロールさせる連続スクロール処理を行う場合には、タッチパネル14にユーザが所定時間以上タッチする操作がスクロール操作となる。また、経路沿いスクロールでは、液晶ディスプレイ15に表示されたスクロール開始ボタンを押下することによって地図画像の経路沿いスクロールを開始し、液晶ディスプレイ15に表示されたスクロール停止ボタンを押下することによって地図画像の経路沿いスクロールを停止するように構成しても良い。
【0074】
また、本発明はナビゲーション装置以外に、地図画像を表示する装置に対して適用することが可能である。例えば、携帯電話機等の携帯端末、パーソナルコンピュータ、携帯型音楽プレイヤ等に適用することも可能である。
【符号の説明】
【0075】
1 ナビゲーション装置
13 ナビゲーションECU
14 タッチパネル
15 液晶ディスプレイ
37 形状補完点
41 CPU
42 RAM
43 ROM
50 走行案内画面
51 地図画像
54 案内経路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示対象領域の地図画像を表示装置に表示する地図表示手段と、
出発地から目的地へと至る案内経路を設定する案内経路設定手段と、
前記表示装置に表示される前記地図画像をスクロールさせる為のユーザのスクロール操作を受け付ける操作受付手段と、
前記操作受付手段により受け付けた前記ユーザのスクロール操作において指示されたスクロール方向へ、前記表示装置に表示される前記地図画像をスクロールするスクロール表示手段と、
前記操作受付手段により前記ユーザのスクロール操作を所定時間内に所定回数受け付けた場合に、該ユーザの所定回数のスクロール操作を受け付ける間において前記表示対象領域に前記案内経路が含まれているか否か判定する操作判定手段と、
前記操作判定手段により、前記ユーザの所定回数のスクロール操作を受け付ける間において前記表示対象領域に前記案内経路が含まれていると判定された場合に、前記表示装置に表示される前記地図画像のスクロールを、前記案内経路に沿ってスクロールする経路沿いスクロールに切り替えて実行する経路沿いスクロール実行手段と、を有することを特徴とする地図表示装置。
【請求項2】
前記経路沿いスクロール実行手段によって前記経路沿いスクロールが実行されている状態で、前記操作受付手段により前記ユーザのスクロール操作を受け付けた場合であって、該ユーザのスクロール操作において指示されたスクロール方向が、前記案内経路に直交する方向から所定角度範囲内に前記地図画像をスクロールさせる方向であった場合に、前記経路沿いスクロールを解除する経路沿いスクロール解除手段と、を有することを特徴とする請求項1に記載の地図表示装置。
【請求項3】
前記地図画像上において前記案内経路を形成するリンクの形状を特定する為の形状補完点の座標を取得する座標取得手段を有し、
前記操作判定手段は、前記表示対象領域に前記形状補完点の座標が含まれている場合に、前記表示対象領域に前記案内経路が含まれていると判定することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の地図表示装置。
【請求項4】
前記表示装置の表示領域に配置され、ユーザのタッチ操作を受け付けるタッチパネルと、
前記タッチパネルに前記ユーザがタッチした状態にある場合に、前記ユーザがタッチした地点の座標であるタッチ座標を取得する座標取得手段と、を有し、
前記操作受付手段は、前記タッチパネルに対するタッチ操作に基づいて前記ユーザのスクロール操作を受け付けることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の地図表示装置。
【請求項5】
表示対象領域の地図画像を表示装置に表示する地図表示ステップと、
出発地から目的地へと至る案内経路を設定する案内経路設定ステップと、
前記表示装置に表示される前記地図画像をスクロールさせる為のユーザのスクロール操作を受け付ける操作受付ステップと、
前記操作受付ステップにより受け付けた前記ユーザのスクロール操作において指示されたスクロール方向へ、前記表示装置に表示される前記地図画像をスクロールするスクロール表示ステップと、
前記操作受付ステップにより前記ユーザのスクロール操作を所定時間内に所定回数受け付けた場合に、該ユーザの所定回数のスクロール操作を受け付ける間において前記表示対象領域に前記案内経路が含まれているか否か判定する操作判定ステップと、
前記操作判定ステップにより、前記ユーザの所定回数のスクロール操作を受け付ける間において前記表示対象領域に前記案内経路が含まれていると判定された場合に、前記表示装置に表示される前記地図画像のスクロールを、前記案内経路に沿ってスクロールする経路沿いスクロールに切り替えて実行する経路沿いスクロール実行ステップと、を有することを特徴とする地図表示方法。
【請求項6】
コンピュータに搭載され、
表示対象領域の地図画像を表示装置に表示する地図表示機能と、
出発地から目的地へと至る案内経路を設定する案内経路設定機能と、
前記表示装置に表示される前記地図画像をスクロールさせる為のユーザのスクロール操作を受け付ける操作受付機能と、
前記操作受付機能により受け付けた前記ユーザのスクロール操作において指示されたスクロール方向へ、前記表示装置に表示される前記地図画像をスクロールするスクロール表示機能と、
前記操作受付機能により前記ユーザのスクロール操作を所定時間内に所定回数受け付けた場合に、該ユーザの所定回数のスクロール操作を受け付ける間において前記表示対象領域に前記案内経路が含まれているか否か判定する操作判定機能と、
前記操作判定機能により、前記ユーザの所定回数のスクロール操作を受け付ける間において前記表示対象領域に前記案内経路が含まれていると判定された場合に、前記表示装置に表示される前記地図画像のスクロールを、前記案内経路に沿ってスクロールする経路沿いスクロールに切り替えて実行する経路沿いスクロール実行機能と、
をプロセッサに実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−159451(P2012−159451A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−20447(P2011−20447)
【出願日】平成23年2月2日(2011.2.2)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】