説明

地図表示装置、地図表示方法及びプログラム

【課題】追従スクロールさせるために必要な地図画像の記憶処理時間の短縮化、及び、地図画像を記憶するメモリ容量の削減化を図ることができる地図表示装置、地図表示方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】CPU41は、タッチパネル18の押下された押下座標位置を中心とする液晶ディスプレイ15の表示画面の縦横2倍の領域の地図情報をナビ地図情報26から読み出す。そして、CPU41は、この読み出した地図情報に基づいて描画した地図画像をRAM42に記憶する。そして、CPU41は、タッチパネル18の押下された押下座標位置の移動に伴って、当該タッチ座標に対向する地点が追従して移動するように地図画像を追従スクロールさせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画面に地図を表示する地図表示装置、地図表示方法及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、画面に表示された地図をスクロール操作する技術に関し種々提案されている。
例えば、表示画面の表示領域より大きな領域の画像データを記憶する第1、第2の2つのVRAMを設け、所定領域の地図データを地図データ記憶手段から読み出して画像データを作成して該VRAMの一方に記憶させ、表示画面の表示領域に対応する該VRAMからの地図読み取り領域を設定し、マニュアル操作によるスクロール方向を検出し、該スクロール方向に応じて該地図読み取り領域を移動させることにより、表示画面に地図をスクロール表示させる。そして、スクロール方向に応じた新たな領域の地図データを地図データ記憶手段から読み出して画像データを作成して他方のVRAMに記憶させ、該地図読み取り領域が所定の領域に達したとき一方のVRAMから他方のVRAMへ地図読み取りVRAMを切り換えるようにした地図描画方法がある(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平3−10281号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記した特許文献1に記載された地図描画方法によれば、ユーザがどのようなスクロール操作を行うのか不明のため、画像の途切れが起こらないように表示画面の表示領域より大きな領域の画像データ(例えば、表示画面の3×3個の表示領域の画像データである。)を、常に第1、第2の2つのVRAMに記憶させる必要があり、画像データを記憶する処理時間の短縮化、及び、VRAMの必要メモリ容量の削減化が難しいという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、移動する範囲が特定可能なスクロール操作の場合は、必要な地図画像の記憶処理時間の短縮化、及び、地図画像を記憶するメモリ容量の削減化を図ることができる地図表示装置、地図表示方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため請求項1に係る地図表示装置は、地図情報を記憶する地図情報記憶手段と、前記地図情報記憶手段に記憶された地図情報に基づいて描画された地図画像を記憶する地図画像情報記憶手段と、前記地図画像情報記憶手段に記憶された地図画像の一部の範囲を表示する表示手段と、前記表示手段の表示画面上の押下された押下座標位置を検出する座標検出手段と、前記座標検出手段を介して表示画面が押下されたことを検出した場合には、押下が最初に検出された際の地図上の位置を中心とする表示画面の縦横2倍の領域の地図情報に基づいて描画された地図画像を前記地図画像情報記憶手段に記憶させるように制御する記憶制御手段と、前記地図画像情報記憶手段に記憶された地図画像に基づいて、前記座標検出手段によって検出された押下座標位置の移動に追従させて前記表示手段に表示された地図画像の表示範囲を移動させる追従スクロールを行うスクロール制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
また、請求項2に係る地図表示装置は、請求項1に記載の地図表示装置において、前記記憶制御手段は、前記座標検出手段を介して表示画面が押下されたことを検出した場合には、押下が最初に検出された際の地図上の位置を中心とする表示画面の縦横2倍の領域の地図情報に、当該領域の周縁部の外側所定距離の領域の地図情報を加えた地図情報に基づいて描画された地図画像を前記地図画像情報記憶手段に記憶させるように制御することを特徴とする。
【0008】
また、請求項3に係る地図表示装置は、請求項1又は請求項2に記載の地図表示装置において、前記スクロール制御手段は前記追従スクロールに加え、前記表示画面への押下が解除されたときの指の移動方向及び移動速度に基づいて前記表示手段に表示された地図画像の表示範囲をスクロールさせる慣性スクロールとのいずれかのスクロールを行うものであり、前記記憶制御手段は、前記地図画像が慣性スクロールされた場合には、前記指の移動方向に対応した領域の地図情報に基づいて描画された地図画像を前記地図画像情報記憶手段に記憶させるように制御することを特徴とする。
【0009】
また、請求項4に係る地図表示方法は、表示装置に地図画像情報記憶手段に記憶された地図画像の一部の範囲を表示する表示工程と、前記表示装置の表示画面上の押下された押下座標位置を検出する座標検出工程と、前記座標検出工程で表示画面が押下されたことを検出した場合には、押下が最初に検出された際の地図上の位置を中心とする表示画面の縦横2倍の領域の地図情報を地図情報記憶手段から読み出して、該地図情報に基づいて描画された地図画像を前記地図画像情報記憶手段に記憶させるように制御する記憶制御工程と、前記記憶制御工程で記憶された地図画像に基づいて、前記座標検出工程で検出された押下座標位置の移動に追従させて前記表示手段に表示された地図画像の表示範囲を移動させる追従スクロールを行うスクロール制御工程と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
更に、請求項5に係るプログラムは、コンピュータに、表示装置に地図画像情報記憶手段に記憶された地図画像の一部の範囲を表示する表示工程と、前記表示装置の表示画面上の押下された押下座標位置を検出する座標検出工程と、前記座標検出工程で表示画面が押下されたことを検出した場合には、押下が最初に検出された際の地図上の位置を中心とする表示画面の縦横2倍の領域の地図情報を地図情報記憶手段から読み出して、該地図情報に基づいて描画された地図画像を前記地図画像情報記憶手段に記憶させるように制御する記憶制御工程と、前記記憶制御工程で記憶された地図画像に基づいて、前記座標検出工程で検出された押下座標位置の移動に追従させて前記表示手段に表示された地図画像の表示範囲を移動させる追従スクロールを行うスクロール制御工程と、実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0011】
前記構成を有する請求項1に係る地図表示装置では、表示画面の押下座標位置の移動に追従させて表示された地図画像を追従スクロールさせる場合には、押下座標を表示画面外に移動することはできないため、押下が最初に検出された際の地図上の位置を中心とする表示画面の縦横2倍の領域の地図情報に基づいて描画された地図画像を地図画像情報記憶手段に一度、記憶すればよい。これにより、表示画面の押下位置の移動に追従させて地図画像を追従スクロールさせるために必要な地図画像の記憶処理時間の短縮化、及び、地図画像を記憶するメモリ容量の削減化を図ることができる。また、表示画面の縦横2倍の領域の地図情報に基づいて描画された地図画像を地図画像情報記憶手段に記憶することによって、表示画面上のいずれの位置が最初に押下されても、押下位置が表示画面の端縁部に達するまでの追従スクロールを確実に行うことができる。
【0012】
また、請求項2に係る地図表示装置では、押下が最初に検出された際の地図上の位置を中心とする表示画面の縦横2倍の領域の地図情報に、当該領域の周縁部の外側所定距離の領域の地図情報を加えた地図情報に基づいて描画された地図画像が地図画像情報記憶手段に記憶される。これにより、表示画面に表示された領域が、表示画面の縦横2倍の領域の周縁部になった場合においても、確実に地図画像を表示することができる。
【0013】
また、請求項3に係る地図表示装置では、表示画面への押下が解除されたときの指の移動方向及び移動速度に基づいて地図画像を慣性スクロールさせる場合には、指の移動方向に対応した領域の地図情報に基づいて描画された地図画像を地図画像情報記憶手段に記憶すればよい。これにより、地図画像を慣性スクロールさせるために必要な地図情報を記憶するメモリ容量の削減化を図ることができる。また、地図画像を慣性スクロールさせるために必要な地図情報の記憶処理時間の短縮化を図ると共に、慣性スクロールの表示を円滑に行うことができる。
【0014】
また、請求項4に係る地図表示方法では、表示画面の押下座標位置の移動に追従させて表示された地図画像を追従スクロールさせる場合には、押下座標を表示画面外に移動することはできないため、押下が最初に検出された際の地図上の位置を中心とする表示画面の縦横2倍の領域の地図情報に基づいて描画された地図画像を地図画像情報記憶手段に一度、記憶すればよい。これにより、表示画面の押下位置の移動に追従させて地図画像を追従スクロールさせるために必要な地図画像の記憶処理時間の短縮化、及び、地図画像を記憶するメモリ容量の削減化を図ることができる。また、表示画面の縦横2倍の領域の地図情報に基づいて描画された地図画像を地図画像情報記憶手段に記憶することによって、表示画面上のいずれの位置が最初に押下されても、押下位置が表示画面の端縁部に達するまでの追従スクロールを確実に行うことができる。
【0015】
更に、請求項5に係るプログラムでは、コンピュータは当該プログラムを読み込むことによって、表示画面の押下座標位置の移動に追従させて表示された地図画像を追従スクロールさせる場合には、押下座標を表示画面外に移動することはできないため、押下が最初に検出された際の地図上の位置を中心とする表示画面の縦横2倍の領域の地図情報に基づいて描画された地図画像を地図画像情報記憶手段に一度、記憶すればよい。これにより、コンピュータは、表示画面の押下位置の移動に追従させて地図画像を追従スクロールさせるために必要な地図画像の記憶処理時間の短縮化、及び、地図画像を記憶するメモリ容量の削減化を図ることができる。また、コンピュータは、表示画面の縦横2倍の領域の地図情報に基づいて描画された地図画像を地図画像情報記憶手段に記憶することによって、表示画面上のいずれの位置が最初に押下されても、押下位置が表示画面の端縁部に達するまでの追従スクロールを確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本実施例に係るナビゲーション装置を示したブロック図である。
【図2】表示画面上の指の押下座標位置に追従して地図画像をスクロールさせる「タッチスクロール処理」を示すフローチャートである。
【図3】図2の「慣性スクロール処理」のサブ処理を示すサブフローチャートである。
【図4】表示画面のタッチを開始した際の地図画像の一例を示す図である。
【図5】表示画面上で指を跳ねた際の隣接地図画像の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る地図表示装置、地図表示方法及びプログラムをナビゲーション装置について具体化した一実施例に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。
【実施例】
【0018】
[ナビゲーション装置の概略構成]
先ず、本実施例に係るナビゲーション装置の概略構成について図1に基づいて説明する。図1は本実施例に係るナビゲーション装置1を示したブロック図である。
図1に示すように、本実施例に係るナビゲーション装置1は、自車の現在位置等を検出する現在地検出処理部11と、各種のデータが記録されたデータ記録部12と、入力された情報に基づいて、各種の演算処理を行うナビゲーション制御部13と、操作者からの操作を受け付ける操作部14と、操作者に対して地図等の情報を表示する液晶ディスプレイ15と、経路案内等に関する音声ガイダンスを出力するスピーカ16と、不図示の道路交通情報センタや地図情報配信センタ等との間で携帯電話網等を介して通信を行う通信装置17と、液晶ディスプレイ15の表面に装着されたタッチパネル18とから構成されている。また、ナビゲーション制御部13には自車の走行速度を検出する車速センサ21が接続されている。
【0019】
以下に、ナビゲーション装置1を構成する各構成要素について説明すると、現在地検出処理部11は、GPS31、方位センサ32、距離センサ33等からなり、自車両の現在位置(以下、「自車位置」という。)、自車の向きを表す自車方位、走行距離等を検出することが可能となっている。
【0020】
また、データ記録部12は、外部記憶装置及び記録媒体としてのハードディスク(図示せず)と、ハードディスクに記憶された地図情報データベース(地図情報DB)25及び所定のプログラム等を読み出すとともにハードディスクに所定のデータを書き込む為のドライバ(図示せず)とを備えている。
【0021】
また、地図情報DB25には、ナビゲーション装置1の走行案内や経路探索に使用されるナビ地図情報26が格納されている。ここで、ナビ地図情報26には、経路案内及び地図表示に必要な各種情報から構成されており、例えば、各新設道路を特定するための新設道路情報、地図を表示するための地図表示データ、各交差点に関する交差点データ、ノード点に関するノードデータ、道路(リンク)に関するリンクデータ、経路を探索するための探索データ、施設の一種である店舗等のPOI(Point of Interest)に関する店舗データ、地点を検索するための検索データ等から構成されている。
【0022】
また、店舗データとしては、各地域のホテル、遊園地、宮殿、病院、ガソリンスタンド、駐車場、駅、空港、フェリー乗り場等のPOIに関する名称や住所、電話番号、地図上の座標位置(例えば、緯度と経度である。)、地図上に施設の位置を表示する施設アイコン等のデータがPOIを特定するIDとともに記憶されている。
また、地図情報DB25の内容は、不図示の地図情報配信センタから通信装置17を介して配信された更新情報をダウンロードすることによって更新される。
【0023】
また、図1に示すように、ナビゲーション装置1を構成するナビゲーション制御部13は、ナビゲーション装置1の全体の制御を行う演算装置及び制御装置としてのCPU41、並びにCPU41が各種の演算処理を行うに当たってワーキングメモリとして使用されるとともに、経路が探索されたときの経路データ等が記憶されるRAM42、制御用のプログラム等が記憶されたROM43、ROM43から読み出したプログラムを記憶するフラッシュメモリ44等の内部記憶装置や、時間を計測するタイマ45等を備えている。
【0024】
また、RAM42には、第1VRAM42A、第2VRAM42Bが設けられている。各VRAM42A、42Bの記憶容量は、後述のように液晶ディスプレイ15の表示画面の縦横2倍の領域の地図情報に基づいて描画された地図画像を記憶できるように設定されている。また、当該地図画像領域の周縁部の全周に渡って外側所定距離(例えば、表示画面の領域の縦横のそれぞれ約8%〜15%の距離である。)の領域の地図情報をマージンとして加えた地図情報を記憶することも可能である。
【0025】
また、ROM43には、後述の液晶ディスプレイ15の表示画面上の指の押下に追従して地図画像をスクロールさせる「タッチスクロール処理」(図2参照)等のプログラムが記憶されている。
更に、前記ナビゲーション制御部13には、操作部14、液晶ディスプレイ15、スピーカ16、通信装置17、タッチパネル18の各周辺装置(アクチュエータ)が電気的に接続されている。
【0026】
この操作部14は、走行開始時の現在地を修正し、案内開始地点としての出発地及び案内終了地点としての目的地を入力する際や施設に関する情報の検索を行う場合等に操作され、各種のキーや複数の操作スイッチから構成される。そして、ナビゲーション制御部13は、各スイッチの押下等により出力されるスイッチ信号に基づき、対応する各種の動作を実行すべく制御を行う。
【0027】
また、液晶ディスプレイ15には、現在走行中の地図情報、目的地周辺の地図情報(図4参照)、操作案内、操作メニュー、キーの案内、現在地から目的地までの推奨経路、推奨経路に沿った案内情報、交通情報、ニュース、天気予報、時刻、メール、テレビ番組等が表示される。
【0028】
また、スピーカ16は、ナビゲーション制御部13からの指示に基づいて、推奨経路に沿った走行を案内する音声ガイダンス等を出力する。ここで、案内される音声ガイダンスとしては、例えば、「200m先、○○交差点を右方向です。」等がある。
【0029】
また、通信装置17は、地図情報配信センタと通信を行う携帯電話網等による通信手段であり、地図情報配信センタとの間で最もバージョンの新しい更新地図情報等の送受信を行う。また、通信装置17は地図情報配信センタに加えて、道路交通情報センタ等から送信された渋滞情報やサービスエリアの混雑状況等の各情報から成る交通情報を受信する。
【0030】
また、タッチパネル18は、液晶ディスプレイ15の表面部に装着された透明なパネル状のタッチスイッチであり、液晶ディスプレイ15の画面に表示されたボタンや地図上を押下することによって各種指示コマンドの入力や、後述のように地図画像の追従スクロール等をすることが可能に構成されている。尚、タッチパネル18は、液晶ディスプレイ15の画面を直接押下する光センサ液晶方式等で構成してもよい。
【0031】
[タッチスクロール処理]
次に、上記のように構成されたナビゲーション装置1のCPU41が実行する処理であって、液晶ディスプレイ15の表示画面上の指の押下に追従して地図画像をスクロールさせる「タッチスクロール処理」について図2乃至図5に基づいて説明する。尚、図2にフローチャートで示されるプログラムは、CPU41により所定時間毎に(例えば、10ミリ秒毎である。)実行される。
【0032】
図2に示すように、先ず、ステップ(以下、Sと略記する)11において、CPU41は、タッチパネル18の押下が開始されたか否か、つまり、タッチパネル18が押下されたか否かを判定する判定処理を実行する。
そして、タッチパネル18の押下が開始されていない場合、つまり、タッチパネル18が押下されていない場合には(S11:NO)、CPU41は、当該処理を終了する。
【0033】
一方、タッチパネル18の押下が開始された場合には(S11:YES)、CPU41は、S12の処理に移行する。S12において、CPU41は、タッチパネル18の押下された押下座標位置(以下、「タッチ座標」という。)を中心とする液晶ディスプレイ15の表示画面の縦横2倍の領域の地図情報をナビ地図情報26から読み出す。
【0034】
そして、CPU41は、ナビ地図情報26から読み出した地図情報に基づいて描画した地図画像を第1VRAM42A又は第2VRAM42Bのうち、現在表示していない方に記憶する(以下、第1VRAM42Aとして記載する。)。続いて、CPU41は、第1VRAM42Aに切り換えて、液晶ディスプレイ15の表示画面をタッチ座標を中心とした地図画像に切り替えて表示する。
【0035】
ここで、液晶ディスプレイ15に表示されたタッチ座標を中心とする地図画像の一例について図4に基づいて説明する。
図4に示すように、ユーザが人差し指51で液晶ディスプレイ15の表示画面を押下した場合には、CPU41は、タッチ座標を中心に表示画面の左右方向の長さL1と上下方向の長さL2の縦横2倍の領域の地図情報をナビ地図情報26から読み出す。
【0036】
そして、CPU41は、ナビ地図情報26から読み出した地図情報に基づいて描画した地図画像60を、第1VRAM42Aに記憶する。続いて、CPU41は、液晶ディスプレイ15の表示画面をタッチ座標を中心とした地図画像60に切り替えて表示する。
【0037】
続いて、図2に示すように、S13において、CPU41は、タッチパネル18の押下が解除されたか否か、つまり、液晶ディスプレイ15の表示画面上への押下が解除されたか否かを判定する判定処理を実行する。
そして、液晶ディスプレイ15の表示画面上への押下が解除されていないと判定した場合、つまり、タッチパネル18の押下が継続されている場合には(S13:NO)、CPU41は、S14の処理に移行する。
【0038】
S14において、CPU41は、タッチ座標の移動に伴って、当該タッチ座標に対向する地点が追従して移動するように地図画像を追従スクロールさせる。その後、CPU41は、再度S13以降の処理を実行する。
尚、追従スクロール時には、最初に荒い画質で地図画像を描画して表示画面に表示した後、同じ描画範囲でもう一度、高精度な画質で地図画像を描画して表示画面に表示するようにしてもよい。これにより、高速かつ高精度な追従スクロールを行うことが可能となる。
【0039】
例えば、図4に示すように、人差し指51で液晶ディスプレイ15の表示画面を押下した状態で左方向へ移動させた場合には、CPU41は、人差し指67のタッチ座標の移動に伴って、地図画像60が当該タッチ座標に追従して移動するように、当該地図画像60を左方向へ追従スクロールさせる。このようにタッチ座標に追従して地図画像を追従スクロールする場合、タッチ位置を表示画面外に移動することはできないため、どのようにスクロールを行っても第1VRAM42Aに記憶している地図画像の領域(最初のタッチ座標を中心に表示画面の左右方向の長さL1と上下方向の長さL2の縦横2倍の領域)内におけるスクロールとなり、新たに地図画像を描画する必要がない。その後、CPU41は、再度S13以降の処理を実行する。
【0040】
一方、上記S13で液晶ディスプレイ15の表示画面上への押下が解除されたと判定した場合、つまり、タッチパネル18から指が離れたと判定した場合には(S13:YES)、CPU41は、S15の処理に移行する。
【0041】
S15において、CPU41は、表示画面の押下が解除されたときの指の移動方向及び移動速度に基づいて、地図画像のスクロール方向及び初速度を設定する。具体的には、CPU41は、タッチパネル18のタッチ座標を所定時間毎に(例えば、20ミリ秒毎である。)検出して、RAM42に過去数回分(例えば、過去10回分である。)を記憶している。そして、CPU41は、タッチパネル18の押下がなくなったときのタッチ座標と、押下がなくなる1つ前のタッチ座標とから、表示画面上での指の移動方向と移動速度を算出して、それぞれを地図画像のスクロール方向及びスクロール速度の初速度として設定し、RAM42に記憶する。
【0042】
続いて、S16において、CPU41は、初速度をRAM42から読み出し、この初速度が所定速度以上か否か、つまり、タッチパネル18を押下している指をスクロール方向へ所定速度以上で移動させたか否かを判定する判定処理を実行する。例えば、表示画面が800×600ドットの解像度の場合には、CPU41は、初速度が300ドット/秒以上か否かを判定する。
【0043】
そして、RAM42から読み出した初速度が所定速度未満であると判定した場合、つまり、タッチパネル18を押下している指が実質的に移動していないと判定した場合には(S16:NO)、CPU41は、S18の処理に移行する。S18において、CPU41は、地図画像のスクロールを停止後、当該処理を終了する。
【0044】
例えば、人差し指51がほぼ真上に上がって、タッチパネル18の押下が解除された場合には、表示画面上での指の移動速度は、所定速度未満となるため、地図画像61のスクロールが停止する。
【0045】
一方、RAM42から読み出した初速度が所定速度以上であると判定した場合には(S16:YES)、CPU41は、S17の処理に移行して、後述の「慣性スクロール処理」のサブ処理(図3参照)を実行後、S18の処理に移行する。S18において、CPU41は、地図画像のスクロールを停止後、当該処理を終了する。
【0046】
ここで、上記S17で、CPU41が実行する「慣性スクロール処理」のサブ処理について図3に基づいて説明する。
尚、追従スクロールから慣性スクロールへ変化する際に地図画像が途切れないためのマージンとして、図4に示すように、第1VRAM42Aに液晶ディスプレイ15の表示画面の縦横2倍の領域の地図画像60に加え、当該地図画像領域の周縁部の全周に渡って外側所定距離の領域の地図情報をマージンとして追加した地図画像61を記憶すると好適である。以下、第1VRAM42Aに描画されている地図画像は、このマージンを加えた地図画像61として説明する。
【0047】
図3に示すように、先ず、S111において、CPU41は、RAM42から地図画像のスクロール方向を読み出し、このスクロール方向へ現在表示している地図画像をスクロールさせた場合に、液晶ディスプレイ15の表示領域が、第1VRAM42Aに描画されている地図画像の端縁部に達した際の表示画面の表示領域を算出する。
【0048】
そして、CPU41は、この算出した表示画面の表示領域の周端縁部と、タッチ座標からスクロール方向側に引いた直線との交点を中心とした表示画面の縦横2倍の領域の地図情報に、マージンとして当該領域の周縁部の全周に渡って外側所定距離の領域の地図情報を加えた地図情報をナビ地図情報26から読み出す。続いて、CPU41は、ナビ地図情報26から読み出した地図情報に基づいて描画した地図画像を第1VRAM42A又は第2VRAM42Bのうち、現在表示していない方、つまり第2VRAM42Bに隣接地図画像として記憶する。
【0049】
ここで、図4に示す地図画像61上で人差し指51を右方向に跳ねた際の隣接地図画像の一例について図5に基づいて説明する。
図5に示すように、地図画像61上で人差し指51を右方向に跳ねた場合には、CPU41は、液晶ディスプレイ15の表示領域が、地図画像61内のタッチ座標を中心とした表示画面の縦横2倍の領域の右端縁部に達した際の表示画面の移動表示領域71を算出する。
【0050】
そして、CPU41は、この移動表示領域71とタッチ座標からスクロール方向、つまり、右方向に引いた直線との交点、つまり、移動表示領域71の右辺の中点を中心とした表示画面の左右方向の長さL1と上下方向の長さL2の縦横2倍の領域の地図情報に、マージンを加えた地図情報をナビ地図情報26から読み出す。続いて、CPU41は、ナビ地図情報26から読み出した地図情報に基づいて描画した地図画像を、第2VRAM42Bに隣接地図画像62として記憶する。
【0051】
続いて、図3に示すように、S112において、CPU41は、RAM42から地図画像のスクロール方向及び初速度を読み出し、この初速度をスクロール速度として、地図画像を当該スクロール方向へ予め定められた一定時間(例えば、100ミリ秒である。)の間だけ慣性スクロールさせる。
【0052】
そして、S113において、CPU41は、RAM42から初速度を読み出し、この初速度から所定速度(例えば、30ドット/秒である。)だけ減速して、再度、初速度としてRAM42に記憶する。つまり、CPU41は、地図画像のスクロール速度を減速する。
続いて、S114において、CPU41は、RAM42からスクロール速度を読み出し、停止速度になったか否かを判定する判定処理を実行する。具体的には、CPU41は、初速度が0ドット/秒以下になったか否かを判定する判定処理を実行する。
【0053】
そして、スクロール速度が停止速度になった場合には(S114:YES)、CPU41は、当該サブ処理を終了して、メインフローチャートに戻り、S18の処理に移行する。
一方、スクロール速度が停止速度になっていない場合には(S114:NO)、CPU41は、S115の処理に移行する。
【0054】
S115において、CPU41は、液晶ディスプレイ15の表示画面に表示されている地図の範囲が、第1VRAM42Aに記憶している地図画像の外側の領域に到達したか否か、つまり、表示画面の表示領域が、地図画像のマージンに到達したか否かを判定する判定処理を実行する。
そして、液晶ディスプレイ15の表示画面の表示領域が、地図画像のマージンに到達していない場合には(S115:NO)、CPU41は、再度S112以降の処理を実行する。
【0055】
一方、液晶ディスプレイ15の表示画面の表示領域が、地図画像のマージンに到達した場合には(S115:YES)、CPU41は、S116の処理に移行する。S116において、CPU41は、第2VRAM42Bに切り換えて、隣接地図画像の対応する描画範囲を表示した後、再度S111以降の処理を実行する。
【0056】
例えば、図5に示すように、液晶ディスプレイ15の表示画面が移動表示領域71よりも外側になった場合には、CPU41は、地図画像61から隣接地図画像62に切り換えて、隣接地図画像62の対応する移動表示領域71を表示した後、再度S111以降の処理を実行する。
【0057】
以上詳細に説明した通り、本実施例に係るナビゲーション装置1では、CPU41は、タッチ座標の移動に追従させて表示された地図画像を追従スクロールさせる場合には、押下が最初に検出された際の地図上の位置を中心とする表示画面の縦横2倍の領域の地図情報に基づいて描画した地図画像を第1VRAM42A又は第2VRAM42Bのうち、現在表示していない方に一度、記憶すればよい。
【0058】
これにより、追従スクロールさせるために必要な地図画像の記憶処理時間の短縮化、及び、地図画像を記憶する第1VRAM42A及び第2VRAM42Bのメモリ容量の削減化を図ることができる。また、第1VRAM42A又は第2VRAM42Bに記憶される地図画像は、表示画面の縦横2倍の領域の地図情報に基づいて描画された地図画像を含むため、表示画面上のいずれの位置が最初に押下されても、タッチ座標が表示画面の端縁部に達するまでの追従スクロールを確実に行うことができる。
【0059】
また、表示画面への押下が解除されたときの指の移動方向及び移動速度に基づいて地図画像を慣性スクロールさせる場合には、液晶ディスプレイ15の表示領域が、表示画面の縦横2倍の領域の端縁部に達した際の表示画面の描画範囲の周端縁部と、タッチ座標からスクロール方向側に引いた直線との交点を中心とした表示画面の縦横2倍の領域の地図情報に、当該領域の周縁部の全周に渡って外側所定距離の領域の地図情報をマージンとして加えた地図情報に基づいて描画した地図画像を第1VRAM42A又は第2VRAM42Bのうち、現在表示していない方に、隣接地図画像として記憶する。
【0060】
これにより、表示画面への押下が解除されたときの指の移動方向及び移動速度に基づいて地図画像を慣性スクロールさせる場合には、表示画面の描画範囲が地図画像のマージンに達した際に、隣接地図画像に切り換えて表示することによって、慣性スクロールの表示を円滑に行うことができる。
【0061】
尚、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。
【0062】
(A)例えば、上記S12において、CPU41は、タッチ座標を中心とする液晶ディスプレイ15の表示画面の縦横2倍の領域の地図情報に基づいて描画した地図画像を第1VRAM42A又は第2VRAM42Bのうち、現在表示していない方に記憶するようにしてもよい。これにより、追従スクロールさせるために必要な地図画像の記憶処理時間の更なる短縮化を図ることができる。
【0063】
(B)また例えば、RAM42にVRAMの記憶領域を3つ以上設けるようにしてもよい。これにより、地図画像を慣性スクロールさせる場合には、表示画面の表示領域が地図画像のマージンに達した際に、隣接地図画像に順次切り換えて表示することによって、慣性スクロールの表示を更に円滑に行うことができる。
【符号の説明】
【0064】
1 ナビゲーション装置
14 操作部
15 液晶ディスプレイ
18 タッチパネル
25 地図情報DB
41 CPU
42 RAM
42A 第1VRAM
42B 第2VRAM
43 ROM
51 人差し指
60、61 地図画像
62 隣接地図画像
71 移動表示領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図情報を記憶する地図情報記憶手段と、
前記地図情報記憶手段に記憶された地図情報に基づいて描画された地図画像を記憶する地図画像情報記憶手段と、
前記地図画像情報記憶手段に記憶された地図画像の一部の範囲を表示する表示手段と、
前記表示手段の表示画面上の押下された押下座標位置を検出する座標検出手段と、
前記座標検出手段を介して表示画面が押下されたことを検出した場合には、押下が最初に検出された際の地図上の位置を中心とする表示画面の縦横2倍の領域の地図情報に基づいて描画された地図画像を前記地図画像情報記憶手段に記憶させるように制御する記憶制御手段と、
前記地図画像情報記憶手段に記憶された地図画像に基づいて、前記座標検出手段によって検出された押下座標位置の移動に追従させて前記表示手段に表示された地図画像の表示範囲を移動させる追従スクロールを行うスクロール制御手段と、
を備えたことを特徴とする地図表示装置。
【請求項2】
前記記憶制御手段は、前記座標検出手段を介して表示画面が押下されたことを検出した場合には、押下が最初に検出された際の地図上の位置を中心とする表示画面の縦横2倍の領域の地図情報に、当該領域の周縁部の外側所定距離の領域の地図情報を加えた地図情報に基づいて描画された地図画像を前記地図画像情報記憶手段に記憶させるように制御することを特徴とする請求項1に記載の地図表示装置。
【請求項3】
前記スクロール制御手段は前記追従スクロールに加え、前記表示画面への押下が解除されたときの指の移動方向及び移動速度に基づいて前記表示手段に表示された地図画像の表示範囲をスクロールさせる慣性スクロールとのいずれかのスクロールを行うものであり、
前記記憶制御手段は、前記地図画像が慣性スクロールされた場合には、前記指の移動方向に対応した領域の地図情報に基づいて描画された地図画像を前記地図画像情報記憶手段に記憶させるように制御することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の地図表示装置。
【請求項4】
表示装置に地図画像情報記憶手段に記憶された地図画像の一部の範囲を表示する表示工程と、
前記表示装置の表示画面上の押下された押下座標位置を検出する座標検出工程と、
前記座標検出工程で表示画面が押下されたことを検出した場合には、押下が最初に検出された際の地図上の位置を中心とする表示画面の縦横2倍の領域の地図情報を地図情報記憶手段から読み出して、該地図情報に基づいて描画された地図画像を前記地図画像情報記憶手段に記憶させるように制御する記憶制御工程と、
前記記憶制御工程で記憶された地図画像に基づいて、前記座標検出工程で検出された押下座標位置の移動に追従させて前記表示手段に表示された地図画像の表示範囲を移動させる追従スクロールを行うスクロール制御工程と、
を備えたことを特徴とする地図表示方法。
【請求項5】
コンピュータに、
表示装置に地図画像情報記憶手段に記憶された地図画像の一部の範囲を表示する表示工程と、
前記表示装置の表示画面上の押下された押下座標位置を検出する座標検出工程と、
前記座標検出工程で表示画面が押下されたことを検出した場合には、押下が最初に検出された際の地図上の位置を中心とする表示画面の縦横2倍の領域の地図情報を地図情報記憶手段から読み出して、該地図情報に基づいて描画された地図画像を前記地図画像情報記憶手段に記憶させるように制御する記憶制御工程と、
前記記憶制御工程で記憶された地図画像に基づいて、前記座標検出工程で検出された押下座標位置の移動に追従させて前記表示手段に表示された地図画像の表示範囲を移動させる追従スクロールを行うスクロール制御工程と、
を実行させるためのプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2011−191577(P2011−191577A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−58630(P2010−58630)
【出願日】平成22年3月16日(2010.3.16)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】