説明

地図表示装置および地図スクロール方法

【課題】スクロール処理の負荷を効果的に軽減できる地図表示装置、地図スクロール方法を提供する。
【解決手段】地図表示装置10は表示部18を備え、現在位置や所望の地点を含む地図画像を表示部18に表示する。地図データ記憶部12に記憶される地図データは、所定のエリアの道路、地形、建物、POIに関するデータをデータ種別に応じて蓄積した単位地図データからなり、地図表示装置10は、描画処理アプリケーション111を搭載した制御部11と、描画時間計測部14とを備え、描画処理アプリケーション111が単位地図データを表示する際、時間計測部14は描画時間を計測し、描画処理アプリケーション111が地図画像をスクロール処理する際、描画時間が所定の閾値を超える場合、単位地図データの特定データ種別のデータを所定の割合だけ間引き処理し、間引きされた地図データを描画処理して表示部18に表示された地図画像をスクロールする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載用のナビゲーション装置のような地図表示装置および地図スクロール方法に関するものであり、特に、スクロール処理における制御手段の負荷を軽減するために、地図表示処理時の描画負荷を描画時間として算出し、該描画負荷が所定の負荷を超える場合には、地図データに含まれる建物画像のデータや興味対象場所を示すアイコン画像のデータなど、地図観察において重要でないデータを間引いて処理することにより、スクロールの処理負荷を軽減するようにした地図表示装置および地図スクロール方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
地図データや道路データを用いて、所望の出発地から目的地までの経路を探索して利用者を案内するナビゲーション装置、ナビゲーションシステムが知られており、このようなナビゲーション装置、ナビゲーションシステムとしては自動車に搭載して運転者に経路を案内するカーナビゲーション装置、携帯電話をナビゲーション端末として利用して経路探索サーバに経路探索要求を送り、その結果を受信して経路案内を受ける通信型のナビゲーションシステムなどが実用化されている。
【0003】
ナビゲーションシステムにおいては、車両や歩行者の現在位置を含む所定の範囲の地図データに基づいて地図画像が現在位置を中心として表示され、該地図画像上に案内経路や現在位置マークが重ね合わせて表示される。表示される地図画像には、更に、著名なランドマークである建物、官公庁、学校、病院、銀行、郵便局などを示す建物画像またはアイコン画像、あるいは、ガソリンスタンドやコンビニエンスストアなどの様々な興味対象場所(POI)を示すアイコン画像も含まれる。
【0004】
地図データは一般的にはベクトル地図データが用いられ、所定の緯度・経度範囲で区分されたメッシュ状の単位地図データから構成されている。このような地図データは、CD−ROMなどの記憶手段に蓄積されており、表示に必要な単位地図データが記憶手段から読み出され、表示部に表示される。通信型のナビゲーションシステムにおいてはサーバから地図データをダウンロードする構成を採る。
【0005】
ベクトル地図データには、道路ベクトルや地形データの他に、著名なランドマークである建物、官公庁、学校、病院、銀行、郵便局などを示す建物の位置情報や建物画像またはアイコン画像、あるいは、ガソリンスタンドやコンビニエンスストアなどの様々な興味対象場所(POI)の位置情報やアイコン画像が含まれる。
【0006】
ナビゲーション装置において、車両や歩行者は案内された経路上を移動するものであるから、表示部に表示される地図画像も現在位置の変化に伴ってスクロールされる。一般的に表示部は液晶表示ユニットなどで構成され、表示される画像はビデオRAM(VRAM)にビットマップ展開される。スクロール処理は、現在位置の移動方向、移動量と地図データに基づいてVRAMに展開されたビットマップデータを順次シフト処理することによって行われる。
【0007】
例えば、下記の特許文献1(特開平9−81084号公報)には、表示画像のスクロール表示などによる表示データの大量更新に起因するVRAM更新時間の長時間化、また、表示画面自体がメモリ性を有するような表示装置の場合に生じる表示画像自体の更新時間の長時間化という課題を解消した表示装置が開示されている。
【0008】
この特許文献1に開示された表示装置は、表示画像のスクロールモード時には、画素を粗くしたデータを伝送し、かつ、このデータにより画像表示手段の表示画面の一部の領域を用いて、画像のスクロール表示をするようにしたことにより、データ伝送時間と画像表示制御の時間を短縮し、ユーザが必要な画像情報検索までの時間を短くし、快適なユーザ・インターフェースを提供するとともに、画像情報のスクロールの最中には表示装置の全画面の表示データよりも少ない表示画像の伝送、および表示信号処理を行うことにより、システム全体としても、低消費電力の表示装置を提供するようにしたものである。
【特許文献1】特開平9−81084号公報(図3、段落[0031])
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、車載用のナビゲーション装置など、描画性能が高くない(処理能力が高くない)画像処理アプリケーションソフトを搭載した地図表示装置において、地図画像をスクロールする場合、対象になる地図データが都市部など、比較的データ量の多い場所の地図を表示した状態でスクロール処理が発生すると、スクロール速度が低下し、表示された地図画像の動きが遅くなるという問題が生じる。
【0010】
スクロール速度を低下させないために、上記特許文献1に開示された地図表示装置のように単純に地図データの間引きを行うと、郊外や田舎などのデータ量の少ない場所の地図画像において見栄えが悪くなる。これは、データの間引きによって、表示部に表示される画像がまばらになるためである。
【0011】
地図画像として必要な道路や地形のデータの量が少なくても、ランドマークである建物、官公庁、学校、病院、銀行、郵便局などを示す建物やガソリンスタンドやコンビニエンスストアなどの様々な興味対象場所(POI)が多い地図データの場合、描画処理の負荷が重くなる場合がある。逆に、地図画像として必要な道路や地形のデータの量が多くても、ランドマークである建物、官公庁、学校、病院、銀行、郵便局などを示す建物やガソリンスタンドやコンビニエンスストアなどの様々な興味対象場所(POI)が少ない地図データの場合、描画処理の負荷は軽くなる場合もある。
【0012】
表示する地図データのデータ量に応じて間引きを行うこともできるが、しかしながら、上記のように地図データのデータ量だけでは、画像処理アプリケーションが描画負荷の重い描画をするデータであるか、比較的負荷の軽い描画をするデータであるかの判断をすることができないという問題点があった。
【0013】
本願の発明者は上記の問題点を解消すべく種々検討を重ねた結果、地図画像のスクロール処理における制御手段の負荷を軽減するために、地図表示処理時の描画負荷を算出し、描画負荷が所定の負荷を超える場合には、地図データに含まれる建物画像のデータや興味対象場所を示すアイコン画像のデータなど、地図観察において重要でないデータを間引いて処理するようになせば、上記の問題点を解消し得ることに想到して本発明を完成するに至ったものである。
【0014】
すなわち、本発明は上記の問題点を解消することを課題とし、表示手段に地図画像を表示するとともに、現在位置を前記地図画像上に表示する地図表示装置において、スクロール処理の負荷を効果的に軽減できる地図表示装置、地図スクロール方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記課題を解決するために、本願の請求項1にかかる発明は、
地図データを記憶した地図データ記憶部と表示部とを備え、現在位置もしくは所望の地点を含む地図データを前記地図データ記憶部から読み出して前記表示部に地図画像を表示する地図表示装置において、
前記地図データ記憶部に記憶される地図データは、所定のエリアの道路、地形、建物、POIに関するデータをデータ種別に応じて蓄積した単位地図データからなり、前記地図表示装置は、描画処理アプリケーションを搭載した制御部と、描画時間計測部とを備え、
前記描画処理アプリケーションが前記単位地図データを表示する際、前記描画時間計測部は描画時間を計測し、描画処理アプリケーションが地図画像をスクロール処理する際、前記描画時間が所定の閾値を超える場合、前記単位地図データの特定データ種別のデータを所定の割合だけ間引き処理し、前記間引きされた地図データを描画処理して前記表示部に表示された地図画像をスクロールすることを特徴とする。
【0016】
本願の請求項2にかかる発明は、請求項1にかかる地図表示装置において、前記間引きするデータは、前記単位地図データに含まれる建物あるいはPOIのデータであることを特徴とする。
【0017】
また、本願の請求項3にかかる発明は、
地図データを記憶した地図データ記憶部と表示部とを備え、現在位置もしくは所望の地点を含む地図データを前記地図データ記憶部から読み出して前記表示部に地図画像を表示する地図表示装置における地図スクロール方法において、
前記地図データ記憶部に記憶される地図データは、所定のエリアの道路、地形、建物、POIに関するデータをデータ種別に応じて蓄積した単位地図データからなり、前記地図表示装置は、描画処理アプリケーションを搭載した制御部と、描画時間計測部とを備え、
前記描画処理アプリケーションが前記単位地図データを表示する際、前記描画時間計測部が描画時間を計測するステップと、描画処理アプリケーションが地図画像をスクロール処理する際、前記描画時間が所定の閾値を超える場合、前記単位地図データの特定データ種別のデータを所定の割合だけ間引き処理するデータ間引きステップと、前記間引きされた地図データを描画処理して前記表示部に表示された地図画像をスクロールするステップとを有することを特徴とする。
【0018】
本願の請求項4にかかる発明は、請求項3にかかる地図スクロール方法において、前記データ間引きステップにおいて間引きするデータは、前記単位地図データに含まれる建物あるいはPOIのデータであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
請求項1にかかる発明においては、地図データ記憶部に記憶される地図データは、所定のエリアの道路、地形、建物、POIに関するデータをデータ種別に応じて蓄積した単位地図データからなり、地図表示装置は、描画処理アプリケーションを搭載した制御部と、描画時間計測部とを備え、前記描画処理アプリケーションが前記単位地図データを表示する際、前記描画時間計測部は描画時間を計測し、描画処理アプリケーションが地図画像をスクロール処理する際、前記描画時間が所定の閾値を超える場合、前記単位地図データの特定データ種別のデータを所定の割合だけ間引き処理し、前記間引きされた地図データを描画処理して前記表示部に表示された地図画像をスクロールする。
【0020】
このような構成によれば、地図画像を描画した時の描画時間が所定の閾値を超える場合には、スクロール時の描画処理の負荷が大きいので、スクロール時に地図データの特定のデータ種別、すなわち、建物やPOIの画像データを所定の割合いで間引きして描画処理することにより、描画処理の負荷を下げることができ、地図画像を不自然にすることなくスクロールすることができるようになる。
【0021】
請求項2にかかる発明においては、請求項1にかかる地図表示装置において、前記間引きするデータは、前記単位地図データに含まれる建物あるいはPOIのデータである。このような構成によれば、スクロール時に地図データの特定のデータ種別、すなわち、建物やPOIの画像データを所定の割合いで間引きして描画処理することにより、描画処理の負荷を下げることができ、地図画像を不自然にすることなくスクロールすることができるようになる。
【0022】
また、請求項3、請求項4にかかる発明においては、それぞれ請求項1、請求項2にかかる地図表示装置を実現するための地図スクロール方法を提供することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の具体例を実施例及び図面を用いて詳細に説明する。但し、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための地図表示装置を例示するものであって、本発明をこの実施例の地図表示装置に特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態の地図表示装置にも等しく適用し得るものである。
【実施例】
【0024】
図1は、本発明の実施例にかかる地図表示装置10の構成を示すブロック図である。この地図表示装置10は、制御部11、地図データ記憶部12、操作部13、描画時間計測部14、現在位置検出部15、時計部16、VRAM17、表示部18などを備えて構成されている。なお、この地図表示装置10は、例えば、車載用のナビゲーション装置であり経路探索機能を有している。
【0025】
制御部11は、図示してはいないがRAM、ROM、プロセッサを有するマイクロプロセッサであり、ROMに格納された制御プログラムにより各部の動作を制御する。現在位置検出部15はGPS受信機や自立航法手段を備えており、地図表示装置10の現在位置を検出する。GPS受信機は一定の周期で複数のGPS衛星からの信号を受信して現在位置を測位する。自立航法手段は車両に設けられた加速度センサや舵角センサなどの各種のセンサ出力を取得して現在位置を算出して推測航法を行うためのものである。
【0026】
表示部18は液晶表示ユニットなどから構成される表示ユニットであり、地図画像や推奨経路を表示する。操作部13は、操作ボタンやタッチパネルなどにより構成され、地図表示装置10の各種機能を操作したり、所要の数値や文字を入力したりするものである。操作部13から所望の出発地、目的地を設定してナビゲーションの要求があると、制御部11に搭載されたナビゲーションアプリケーションが起動され地図データ記憶部12を参照して2地点間を最短で結ぶ推奨経路を探索する。
【0027】
ナビゲーションアプリケーションが探索した推奨経路は、地図画像とともに表示部18に表示される。地図画像は、現在位置検出部15で算出した現在位置を中心とした所定範囲の地図データに基づいて表示部18に表示され、現在位置を示す現在位置マークが地図画像上に表示される。地図画像の表示に際しては、地図データ記憶部12から読み出された所定の範囲の地図データに基づいて、VRAM17にビットマップ形式で地図画像が展開される。VRAMを用いた描画処理は制御部11に搭載された描画処理アプリケーション111により実行される。
【0028】
また、この地図表示装置10はナビゲーションの要求に伴う地図画像表示の他、操作部13により入力した所望の地点に基づいて、当該所望地点を含む所定範囲の地図画像を地図データ記憶部12から読み出して表示部18に表示することもできる。
【0029】
ナビゲーション時の地図表示においては、地図表示装置10すなわち車両の現在位置が表示画面の中心になるように地図画像が表示されるため、車両が案内された経路上を進行するに従って地図画像のスクロール処理が行われる。また、表示部18に所望地点の地図を表示した場合においても利用者が表示された地図画像に続く画像を表示したい場合には、操作部13を操作(スクロールボタン操作など)して地図画像をスクロールさせることがある。
【0030】
地図画像のスクロール処理は、地図データ記憶部12から読み出した地図データをVRAM17上で表示画面に合わせてドット位置をずらせてビットマップ展開して再描画する。この処理は制御部11に搭載された描画処理アプリケーション111により実行される。通常、描画処理の負荷が大きいと、地図画像のスクロール処理速度が低下するため、一般的には、上記特許文献1に開示さているように地図データを所定の間隔で間引いて描画処理される。
【0031】
地図データを単純に間引いて地図画像を表示した場合、前述のように、地図データのデータ量だけでは、画像処理アプリケーションが描画負荷の重い描画をするデータであるか、比較的負荷の軽い描画をするデータであるかの判断をすることができない。一律にデータの間引きを行うと、郊外や田舎などのデータ量の少ない場所の地図画像において見栄えが悪くなる。これは、データの間引きによって、表示部に表示される画像がまばらになるためである。
【0032】
本発明にかかる地図表示装置10においては、地図データには、地図画像として必要な道路や地形のデータの他、ランドマークである建物、官公庁、学校、病院、銀行、郵便局などを示す建物やガソリンスタンドやコンビニエンスストアなどの様々な興味対象場所(POI)の名称、位置データとそのアイコン画像や建物画像などが含まれていることに着目し、地図画像として必要な道路や地形のデータを間引くことなく、他のデータを間引くようにして描画処理の負荷を小さくするように構成したものである。
【0033】
すなわち、描画処理の負荷が大きい地図データを表示する場合には、地図データのデータ種別に基づき、地図画像として必要な道路や地形のデータを間引くことなく、ランドマークである建物、官公庁、学校、病院、銀行、郵便局などを示す建物やガソリンスタンドやコンビニエンスストアなどの様々な興味対象場所(POI)の名称、位置データとそのアイコン画像や建物画像などデータを間引く。
【0034】
この間引きを行うか否かは描画処理が大きい地図データを描画するか否かによって決定する。このため、本実施例の地図表示装置10は描画時間計測部14を備え、時計部16を用いて、最初に地図画像を表示部18に表示する際に、描画に要した時間を計測する。描画時間計測部14が計測した描画時間が所定の閾値を超える場合には、スクロール時の描画処理の負荷が大きいものと判断して描画処理アプリケーション111は、地図データから特定のデータ種別のデータを間引き処理する。
【0035】
地図データ記憶部12に蓄積された地図データは、所定の緯度・経度範囲で区分された単位地図データから構成されている。すなわち、地図データは所定の緯度、経度単位で地図エリアが分けられ、メッシュ状の単位地図のデータで構成されている。地図表示装置10が移動して新たに地図データが必要になる場合には、地図データ記憶部12から必要な単位地図のデータが読み出される。
【0036】
図2は、地図データ記憶部12に蓄積されたメッシュ状の単位地図のデータ構成の一例を示す図である。図2に示すように単位地図のデータには、単位地図のメッシュ番号と地図範囲(緯度範囲、経度範囲、縮尺)が記録され、データ種別として道路ノード、道路リンク、地形、の他に、建物、POI、アイコン画像、建物画像の各種別のデータが記憶されている。
【0037】
道路ノードはエリア内の道路の交差点、屈曲点などに設定したノードであり、各ノードのノード番号とその位置(緯度・経度)を示すデータ列で表されている。道路リンクは道路ノード間を結ぶ道路のリンクを示し、リンク番号とリンクの長さ(距離)と方向を示すベクトルデータ列とリンクコスト(距離または所要時間)で表されている。地形データは河川や丘陵、山などの地形を表示するためのデータであり、要素ID、緯度、経度、形状データ列で表されている。これらは表示部に地図画像として表示する際に必須のデータであり、このデータを間引きしてしまうと、表示された地図画像がまばらになり、不自然な表示になってしまう場合がある。
【0038】
一方、図2に示すように地図データのデータ種別として、建物やPOIがあり、これらのデータは建物やPOIのID、種別、位置(緯度・経度)、形状データ列であらわされている。また、これらを地図画像として表示するためのアイコン画像のデータが蓄積されている。これらの画像は地図画像として必ずしも表示する必要がない画像であり、間引きしても地図画像が不自然になることはない。特に、特定の建物やPOIを地図上で確認する目的でない場合には地図画像に表示されなくても何ら支障を生じない。
【0039】
従って、地図画像を表示する際に、描画時間計測部14で計測した描画時間が所定の閾値を超える場合には、スクロール時に地図データの特定のデータ種別、すなわち、建物やPOIの画像データを所定の割合いで間引きして描画処理すれば、描画処理の負荷を下げることができ、地図画像を不自然にすることなく描画することができる。
【0040】
特定の建物やPOIを地図画像上で確認するような場合には、当然に特定の建物やPOIが指定されるから、このような場合には指定された建物やPOIのデータを間引きの対象から除外すればよい。
【0041】
地図表示装置10において、出発地や目的地が設定され、ナビゲーションアプリケーションが起動された場合、ナビゲーションアプリケーションは、出発地から目的地までの最適経路を探索して地図画像とともに表示部18に表示する。この経路探索は地図データ記憶部12を参照して設定された出発地点の道路ノードから出発して道路リンクを目的地まで辿り、その経路のリンクコストを累積し、累積コストが最小になる経路を推奨経路として案内するものである。
【0042】
図3は、以上説明した本発明の実施例にかかる地図表示装置10における動作手順を示すフローチャートである。地図表示装置10はステップS101の処理において、ユーザ操作が行われると、ステップS102の処理において、現在位置表示か地図検索表示かを判別する。現在位置表示か地図検索表示の何れでもなければ、ユーザ操作等に対応した処理を行い、ステップS101の処理に戻る。
【0043】
ステップS102の判別処理において、現在位置表示か地図検索表示かである場合、ステップS103の処理において、描画処理アプリケーション111は地図データ記憶部12から所要の単位地図データを読み出してVRAM17に画像データを展開し、表示部18に地図画像を表示する。この間、描画時間計測部14は時計部16を用いて描画時間を計測する。
【0044】
そして、ステップS104の処理で描画時間Tの計測が完了したか否か(描画が完了したか否か)を判定する。時間計測が完了していなければステップS104の判定処理を繰り返し、完了していればステップS105の判定処理に進む。ステップS105の判定処理では、ユーザ操作(スクロール操作)または現在位置の移動に伴うスクロール処理が必要か否かを判定する。
【0045】
ステップS105の判定処理においてスクロールと判定されると、ステップS105の処理に進み、スクロールでないと判定されるとステップS105の判定処理を繰り返す。スクロールと判定された場合には、ステップS106の処理においてステップS103における地図画像描画時の描画時間Tが所定の閾値を超えていたか否かが判定される。
【0046】
描画時間Tが所定の閾値を超えていたと判定された場合、描画処理アプリケーション111はステップS109の処理において、表示中の地図データから特定のデータ種別のデータ、例えば、建物やPOIのデータや建物画像やアイコン画像のデータを所定の割合で間引きする。次いでステップS107の処理において間引きした地図データを用いてスクロール量に応じてVRAM17にビットマップ展開し、表示部18にスクロールした地図画像を表示する。スクロールされた地図画像には間引きされた建物やPOIの画像は表示されず、スクロール処理(描画処理)の負荷はその分だけ小さくなる。
【0047】
一方、描画時間Tが所定の閾値を超えていないと判定された場合、描画処理アプリケーション111はステップS107の処理において、表示中の地図データをそのまま用いてスクロール量に応じてVRAM17にビットマップ展開し、表示部18にスクロールした地図画像を表示する。
【0048】
スクロール処理が終わると、ステップS108の判定処理で新たな単位地図データが必要か否かを判定する。新たな単位地図データが必要でないと判定されると、ステップS105の判定処理(スクロールされたか否かの判定処理)に戻る。
【0049】
ステップS108の判定処理において、新たな単位地図データが必要と判定されると、ステップS103の処理に戻り、描画処理アプリケーション111は地図データ記憶部12から所要の単位地図データを読み出してVRAM17に画像データを展開し、表示部18に地図画像を表示する。この間、描画時間計測部14は時計部16を用いて描画時間を計測する。
【0050】
以上説明したように本発明の実施例にかかる地図表示装置、地図のスクロール方法によれば、描画時間が所定の閾値を超える場合には、スクロール時に地図データの特定のデータ種別、すなわち、建物やPOIの画像データを所定の割合いで間引きして描画処理するので、描画処理の負荷を下げることができ、地図画像を不自然にすることなく描画することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の実施例にかかる地図表示装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】地図表示装置に蓄積される地図データのデータ構成を説明するための図である。
【図3】本発明の実施例にかかる地図表示装置の地図表示手順を示す図である。
【符号の説明】
【0052】
10・・・・地図表示装置
11・・・・制御部
12・・・・地図データ記憶部
13・・・・操作部
14・・・・描画時間計測部
15・・・・現在位置検出部
16・・・・時計部
17・・・・VRAM
18・・・・表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図データを記憶した地図データ記憶部と表示部とを備え、現在位置もしくは所望の地点を含む地図データを前記地図データ記憶部から読み出して前記表示部に地図画像を表示する地図表示装置において、
前記地図データ記憶部に記憶される地図データは、所定のエリアの道路、地形、建物、POIに関するデータをデータ種別に応じて蓄積した単位地図データからなり、前記地図表示装置は、描画処理アプリケーションを搭載した制御部と、描画時間計測部とを備え、
前記描画処理アプリケーションが前記単位地図データを表示する際、前記描画時間計測部は描画時間を計測し、描画処理アプリケーションが地図画像をスクロール処理する際、前記描画時間が所定の閾値を超える場合、前記単位地図データの特定データ種別のデータを所定の割合だけ間引き処理し、前記間引きされた地図データを描画処理して前記表示部に表示された地図画像をスクロールすることを特徴とする地図表示装置。
【請求項2】
前記間引きするデータは、前記単位地図データに含まれる建物あるいはPOIのデータであることを特徴とする請求項1に記載の地図表示装置。
【請求項3】
地図データを記憶した地図データ記憶部と表示部とを備え、現在位置もしくは所望の地点を含む地図データを前記地図データ記憶部から読み出して前記表示部に地図画像を表示する地図表示装置における地図スクロール方法において、
前記地図データ記憶部に記憶される地図データは、所定のエリアの道路、地形、建物、POIに関するデータをデータ種別に応じて蓄積した単位地図データからなり、前記地図表示装置は、描画処理アプリケーションを搭載した制御部と、描画時間計測部とを備え、
前記描画処理アプリケーションが前記単位地図データを表示する際、前記描画時間計測部が描画時間を計測するステップと、描画処理アプリケーションが地図画像をスクロール処理する際、前記描画時間が所定の閾値を超える場合、前記単位地図データの特定データ種別のデータを所定の割合だけ間引き処理するデータ間引きステップと、前記間引きされた地図データを描画処理して前記表示部に表示された地図画像をスクロールするステップとを有することを特徴とする地図スクロール方法。
【請求項4】
前記データ間引きステップにおいて間引きするデータは、前記単位地図データに含まれる建物あるいはPOIのデータであることを特徴とする請求項3に記載の地図スクロール方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−152207(P2008−152207A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−342840(P2006−342840)
【出願日】平成18年12月20日(2006.12.20)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)三洋電機コンシューマエレクトロニクス株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】