説明

地図表示装置および当該装置を搭載した車両用ナビゲーション装置

【課題】いずれの地域で使用する場合でも、当該地域で使用される文字によって文字表示が行われる地図表示装置、および当該装置を搭載した車両用ナビゲーション装置を提供すること。
【解決手段】ECU11は、エリア情報に対応する地域エリアがデフォルトの文字フォントデータを利用する地域エリアであると判断される場合、ROM10に記憶されたデフォルトの文字フォントデータを読み出し、当該データを利用して文字表示を行わせる。一方、エリア情報に対応する地域エリアがデフォルトの文字フォントデータを利用する地域エリアではないと判断される場合、当該エリア情報を含む地図データと対応する文字フォントデータを読み出してRAM9に記憶させ、当該データを利用して文字表示を行わせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地域エリアに対応する文字フォントを選択して文字表示を行う地図表示装置、および当該装置を搭載した車両用ナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザーが選択した文字フォントによって文字表示を行うカーナビゲーション装置が公知である。例えば、特許文献1の装置では、漢字モード、ローマ字モード、カタカナモードの3つの表示モードが用意され、ユーザーがいずれか一つのモードを選択すると、漢字、ローマ字、カタカナのうち、選択されたモードに対応する文字フォントによって文字表示が行われる。
【特許文献1】特開平9−16075号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来装置では、ユーザーが選択した表示モードに対応する文字フォントによって文字表示を行っている。しかしながら、従来装置は日本国内で使用されることを念頭に置いており、日本以外の地域(例えば中国や台湾等)で使用される場合については考慮されていないため、当該地域で使用される文字を表示させることはできない。これに対し、現状では各地域毎に、当該地域で使用される文字フォントを組み込んだ装置を作成しているが、設計面およびコスト面から好ましくない。
【0004】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、いずれの地域で使用する場合でも、当該地域で使用される文字によって文字表示が行われる地図表示装置、および当該装置を搭載した車両用ナビゲーション装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の地図表示装置では、表示装置と、所定の地域エリアをカバーする地図データを記憶する地図データ記憶手段と、地域エリアに応じた文字フォントによる文字を地図上に表示可能とするために、複数種類の文字フォントを記憶する文字フォント記憶手段と、地図データ記憶手段が記憶する地図データの地域エリアに対応する文字フォントを選択し、地図データに基づく地図及び選択した文字フォントによる文字を表示装置に表示させる表示制御手段とを備えることを特徴とする。
【0006】
このように、本発明の地図表示装置では、表示制御手段は、地図データ記憶手段が記憶する地図データの地域エリアに対応する文字フォントを文字フォント記憶手段から選択し、当該地図データに基づく地図及び選択した文字フォントによる文字を表示装置に表示させる。これにより、本地図表示装置は、いずれの地域で使用される場合でも、地図データ記憶手段が記憶する地図データの地域エリアに対応する文字フォント、言い換えれば、当該地図データの示す地域エリアで使用される文字の文字フォントによって文字表示が行われる。そのため、各地域エリア毎に、当該地域エリアで使用される文字フォントを組み込んだ装置を作成する必要がなく、同一仕様の装置を利用することができるため、設計面およびコスト面から好ましい。また、ユーザーは使用する文字フォントを選択する必要もなく、使い勝手が良い。
【0007】
請求項2に記載のように、表示制御手段は、初期的に、予め定められたデフォルト文字フォントを選択して、地図上に文字を表示させるように設定されており、地図データ記憶手段が記憶する地図データの地域エリアが、デフォルト文字フォントとは異なる専用文字フォントを使用すべき地域エリアである場合に、その専用文字フォントを選択して文字フォント記憶手段から読み出すことが望ましい。これにより、デフォルト文字フォントとは異なる専用文字フォントを使用すべき地域エリアである場合でも、その専用文字フォントを文字フォント記憶手段から読み出して文字表示を確実に行うことができる。
【0008】
請求項3に記載のように、地図データ記憶手段は、地図データがカバーする地域エリアを示すエリア情報も記憶しており、表示制御手段は、地図データ記憶手段のエリア情報を参照して、地図データがカバーする地域エリアを判別することが望ましい。地図データ記憶手段に記憶されたエリア情報を参照することにより、当該地図データがカバーする地域エリアを確実に判別することができる。
【0009】
請求項4に記載したように、地図データ記憶手段が記憶する地図データのエリアが、専用文字フォントを使用すべき地域エリアである場合、その専用文字フォントは、地図データ記憶手段に記憶され、文字フォント記憶手段は、デフォルト文字フォントを記憶するデフォルト文字フォント記憶手段と、地図データ記憶手段から、専用フォントを読み込んで記憶する専用文字フォント記憶手段とを備え、表示制御手段は、地図データの地域エリアに対応する文字フォントを、デフォルト文字フォント記憶手段及び専用文字フォント記憶手段のいずれかから選択するように構成することが好ましい。
【0010】
このように構成すれば、文字フォント記憶手段は、使用される可能性がある全ての文字フォントを予め記憶しておかなくとも、単に、デフォルト文字フォントを記憶したデフォルト文字フォント記憶手段と専用文字フォントが地図データ記憶手段からロードされる専用文字フォント記憶手段とを備えるだけで、いずれの地域における地図表示にも対応できる文字フォントを提供できる。つまり、特定のエリアの地図データが地図データ記憶手段に記憶される時点で、そのエリアにおける使用文字の文字フォントが、デフォルト文字フォントにて対応可能か否かを決定できる。デフォルト文字フォントにて対応できない場合には、必要となる専用文字フォントを地図データ記憶手段に地図データとともに記憶させ、専用文字フォント記憶手段にロードするようにすれば、文字フォント記憶手段は、地図表示に必要な文字フォントを確実に提供できるようになる。
【0011】
なお、さらに構成を簡略化するには、請求項5に記載したように、地図データ記憶手段が記憶する地図データのエリアが、専用文字フォントを使用すべき地域エリアである場合、地図データ記憶手段を文字フォント記憶手段の一部として、その専用文字フォントが、地図データ記憶手段に記憶され、文字フォント記憶手段は、さらに、デフォルト文字フォントを記憶するデフォルト文字フォント記憶手段を備え、表示制御手段は、地図データの地域エリアに対応する文字フォントを、地図データ記憶手段及びデフォルト文字フォント記憶手段のいずれかから選択するように構成しても良い。このように、地図データ記憶手段を文字フォント記憶手段の一部として使用することにより、文字フォント記憶手段が、専用文字フォントを記憶するための記憶手段を別に備える必要がなく、構成をさらに簡略化することができる。
【0012】
地図データ記憶手段が記憶する地図データのエリアが、専用文字フォントを使用すべき地域エリアである場合、請求項6に記載したように、表示制御手段は、表示すべき全文字の文字フォントとして、専用文字フォントを選択しても良いが、請求項7に記載したように、表示制御手段は、表示すべき文字の内、専用文字フォントでしか表示できない文字の文字フォントとして、専用文字フォントを選択し、デフォルト文字フォントでも表示可能な文字の文字フォントとして、デフォルト文字フォントを選択しても良い。例えば、文字として英字や数字を表示する場合には、デフォルト文字フォントでも表示することができるためである。
【0013】
請求項8に記載のように、請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の地図表示装置を車両に搭載し、当該車両の現在位置を検出する現在位置検出手段を備え、地図上に車両の現在位置を表示させる車両用ナビゲーション装置であって、地図データがカバーする地域エリアにおける、世界標準時刻との時差データを取得する取得手段と、世界標準時刻を検出する検出手段と、検出手段が検出した世界標準時刻、及び取得手段が取得した時差データに基づいて、地図データがカバーする地域エリアにおける時刻を算出して通知する時刻通知手段とを備えることが望ましい。これにより、本地図表示装置を搭載した車両用カーナビゲーション装置では、検出手段が検出した世界標準時刻と、取得手段が取得した地図データがカバーする地域エリアにおける、世界標準時刻との時差データとに基づいて、当該地図データがカバーする地域エリアにおける時刻を算出し通知することができる。
【0014】
請求項9に記載のように、請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の地図表示装置を車両に搭載し、当該車両の現在位置を検出する現在位置検出手段を備え、地図上に車両の現在位置を表示させる車両用ナビゲーション装置であって、現在位置検出手段によって検出された車両の現在位置が、地図データ記憶手段の地図データがカバーする地域エリアに属さない場合には、地図データ記憶手段の異常を報知する報知手段を備えることが望ましい。検出された車両の現在位置が、地図データ記憶手段の地図データがカバーする地域エリアに属していない場合、地図データ記憶手段に異常が発生したと判断できるためである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1は、本発明の一実施形態における地図表示装置の全体構成を示すブロック図である。本地図表示装置は、車両用ナビゲーション装置に組み込まれて動作する。
【0016】
図1に示すように、位置検出器1は、地磁気センサ1A、ジャイロスコープ1B、距離センサ1C、GPS受信機1Dから構成され、車両の現在位置および進行方向の検出を行う。
【0017】
地磁気センサ1Aは、例えばパーマロイ等の環状の強磁性体に、これを励磁するための励磁巻線と、方向検出用の直交する2つの検出巻線とが巻かれた構成を持つ。そして、励磁巻線に交流電圧を印加することによって2つの検出巻線に発生する電圧を計測し、これに基づいて車両の進行方向を絶対方位として検出する。
【0018】
ジャイロスコープ1Bは、例えば水晶振動子を備え、当該振動子を振動させた際に発生する、コリオリ力に基づく振動から、車両のヨー角速度(ヨーレート)を検出する。
【0019】
距離センサ1Cは、例えば車両に搭載された図示しない車輪や車軸の回転信号を発生するもので、この回転信号に基づいて、車両の移動距離を検出できる。
【0020】
GPS受信機1Dは、人工衛星である図示しないGPS衛星から送信される位置測定用のGPS信号を受信し、車両が現在走行している地点の緯度や経度、高度を検出する。
【0021】
位置検出器1は、前述した4つの機器の検出結果を相互に補間することによって精度の高い位置検出を行う。もちろん、要求される検出精度によっては、前述の4つの機器を全て備える必要はない。なお、車両の現在位置および進行方向の検出に関しては、ステアリングセンサ等、他のセンサによる検出信号に基づいて行うこととしてもよい。
【0022】
地図データ入力器2は、記憶メディアとして例えばハードディスクを有し、道路情報や住所情報、地図画像情報を含む所定の地域エリアにおける地図データを記憶する。前述の地図データは各地域エリア毎に用意されるとともに、当該地域エリアを示すエリア情報(例えば緯度・経度や、カントリーコード等)をそれぞれ含む。また、前述の地図データは、当該データが示す地域エリアの時刻と世界標準時刻との時差を示す時差データも含む。地図データを記憶する地図記憶メディアとして、CD−ROMやDVD−ROM、メモリカード等を用いても良い。
【0023】
図2に、地図の記憶メディアにおける格納データの一例を示す。図2は、地図格納地域エリアを中国とした場合の例を示している。従って、地図格納エリア情報は中国となっている。中国の地図における文字表示には、欧米などにおける地図の文字表示に用いられる文字フォントでは対応できず、専用の文字フォントである簡体字フォントが必要である。このため、専用文字フォントとして、簡体字フォントが、地図記憶メディアに記憶されている。さらに、地図記憶メディアには、時差データや地図データも記憶されている。
【0024】
操作スイッチ4は、複数のメカニカルなスイッチから構成され、車両用ナビゲーション装置に対して、各種ナビゲーション動作の開始や終了を指示する。各種ナビゲーション指示に関しては、操作キーを表示する表示パネルと、当該表示パネルに表示された操作キーを押したことを検出するタッチパネルを備えたタッチスイッチによって構成しても良い。リモコン5は、例えば各種機能スイッチを備えた多機能リモコンであり、リモコンセンサ6を介して、上述した操作スイッチ4とほぼ同様の操作を行うことができる。
【0025】
ディスプレイ7は、車載用の小型ディスプレイであり、地図画像表示および文字表示を含む各種ナビゲーション表示を行う。また、地図画像表示された地域エリアにおける時刻の表示も行う。前述の各種ナビゲーション表示および時刻表示に関しては、車載用のヘッドアップディスプレイ等を用いることとしても良い。
【0026】
時計IC8は、時間の経過に従ってカウントが行われるICであり、車両用ナビゲーション装置が使用される地域エリアの時刻を示す。ディスプレイ7に表示される時刻は、この時計IC8の示す時刻である。なお、時計IC8の示す時刻は変更可能に構成される。
【0027】
RAM9は、地図データ入力器2によって地図記憶メディアから読み出された専用文字フォントデータを記憶するものである。このRAM9は、図3に示すように、フォント格納エリア、記憶メモリエリア、作業エリアを備える。記憶メディアから読み出された専用文字フォントデータはフォント格納エリアに記憶される。記憶メモリエリアは、例えば、ユーザによって設定されたメモリ地点などの情報を記憶するものであり、作業エリアは、例えば、目的地までの経路計算結果を一時的に保存するために使用されるものである。なお、文字フォントデータは、RAM9以外の例えばメモリカード等の外部メモリに記憶することとしても良い。
【0028】
ROM10は、デフォルト文字フォントとして、例えば欧米などの地域エリアの地図表示に使用される文字フォントデータを記憶するものである。各地域エリアにおける使用文字フォントの一例を図4を用いて説明する。図4に示すように、US(アメリカ),EU(ヨーロッパ),AU(オーストラリア)のそれぞれの地域エリアの地図表示に用いられる文字フォントが、デフォルト文字フォントに指定され、ROM10に予め格納される。地域エリアがJP(日本)の場合には、デフォルト文字フォントではなく、日本語フォントが用いられる。同様に、地域エリアがCN(中国)の場合には簡体字フォント、TW(台湾)の場合には繁体字フォント、及びKR(韓国)の場合にはハングルフォントが用いられる。これらのデフォルト文字フォント以外の専用文字フォントは、上述したように、地図記憶メディアに記憶される。
【0029】
このようにすれば、使用される可能性がある全ての文字フォントをROM等に予め記憶しておかなくとも、いずれの地域エリアにおける地図の文字表示にも対応することができる。つまり、ある地域エリアの地図データが地図記憶メディアに記憶される時点で、その地域エリアにおける地図の表示に使用される文字のフォントが、デフォルト文字フォントにて対応可能か否かを判別できる。デフォルト文字フォントにて対応できない場合には、必要となる専用文字フォントを地図記憶メディアに地図データとともに記憶させ、RAM9にロードするようにすれば、いずれの地域エリアの地図表示を行う場合であっても、その地図表示に必要な文字フォントを確実に準備することが可能となる。
【0030】
なお、デフォルト文字フォント以外の専用文字フォントによって地図の文字表示などが行われる場合であっても、例えば車両用ナビゲーション装置を起動したときの初期画面に含まれる文字を表示する際には、デフォルト文字フォントが使用される。
【0031】
ECU11は、ナビゲーション用ECUであり、操作スイッチ4やリモコン5からの指示に従って、地図表示および文字表示を含む各種ナビゲーション動作を実行する。具体的には、ECU11は、位置検出器1が検出した車両の現在位置および進行方向に基づいて、地図データ入力器2に記憶された地図データを読み出し、車両の現在位置を示すマークを重畳した地図画像をディスプレイ7に表示させるとともに、スピーカ12から各種音声案内を行わせる。さらに、目的地が設定されると、当該目的地への移動経路を探索して地図画像上に重畳表示させる。
【0032】
さらに、ECU11は、ディスプレイ7に表示された地図画像上における各地点の名称を文字表示する際、当該地図画像の示す地域エリアに対応する文字フォントを利用して文字表示を行う。具体的には、ECU11は、本装置が起動されると、ディスプレイ7に地図画像として表示すべき地図データを含む地図記憶メディアからエリア情報を読み出す。このエリア情報から、当該エリア情報に対応する地域エリアがデフォルト文字フォントを使用する地域エリアであると判断される場合、ECU11は、ROM10に記憶されたデフォルト文字フォントデータを読み出す。そして、ディスプレイ7に表示された地図画像上における各地点の名称等の文字を、ROM10から読み出したデフォルトの文字フォントデータを利用して表示させる。一方、前述のエリア情報から、当該エリア情報に対応する地域エリアがデフォルト文字フォントを使用する地域エリアではないと判断される場合、ECU11は、地図記憶メディアから、専用文字フォントデータを読み出してRAM9に記憶させる。そして、RAM9に記憶された文字フォントデータを利用して、ディスプレイ7に表示された地図画像上における各地点の名称等の文字を表示させる。なお、地図画像上にいずれの文字を表示させるかは、地図等に表示すべき文字に対応した文字コードによって指定される。
【0033】
また、ECU11は、ディスプレイ7に表示された地図画像の示す地域エリアにおける時刻を算出し、ディスプレイ7に表示させる。具体的には、ECU11は、本装置の起動時において、ディスプレイ7に地図画像として表示すべき地図データを含む地図記憶メディアから時差データを読み出す。本装置の動作中において、ECU11は、GPS受信機1DがGPS信号を受信可能な場合には、当該信号に含まれる世界標準時刻に対し、時差データの示す時差を加算・減算して当該地域の時刻を算出し、時計IC8の示す時刻を常時補正する。その補正の際、図示しない時刻フラグを1にセットするとともに、ディスプレイ7に表示中の時刻、すなわち、時計IC8の示す時刻が正確である旨の内容をディスプレイ7に表示させる。車両がトンネルへ進入した場合等、GPS受信機1DがGPS信号を受信不可となった場合は、時刻フラグを0にリセットするとともに、ディスプレイ7に表示中の時刻、すなわち、時計IC8の示す時刻が不正確な可能性がある旨の内容をディスプレイ7に表示させる。
【0034】
また、ECU11は、位置検出器1が検出した車両の現在位置が、地図データ入力器2に記憶されている地図データの示す地域内にない場合には、スピーカ12から異常が発生したことを通知する。
【0035】
なお、前述したデフォルト文字フォントデータおよび各々の地域エリアに対応する専用文字フォントデータは、公知のUNICODEに従って設定される。このUNICODEは、世界の主要な言語の文字が文字コードとして体系化されており、いずれの地域エリアで本装置を利用した場合でも、文字表示を確実に行うことが可能であるためである。
【0036】
図5は、本実施形態の地図表示装置が、使用する文字フォントデータを決定する処理に関するフローチャートである。本フローチャートの処理は、本車両用ナビゲーション装置が起動するたびに実行される。
【0037】
ステップ201では、ECU11は、地図データ入力器2に地図記憶メディアが挿入されているか否かを判定する。地図データ入力器2に地図記憶メディアが挿入されていない場合は、ステップ202へ進み、地図データ入力器2に地図記憶メディアを挿入するよう促す表示画面をディスプレイ7に表示し、上述の判定を繰り返す。地図データ入力器2に地図記憶メディアが挿入されている場合は、ステップ203へ進む。
【0038】
ステップ203では、地図データ入力器2から、ディスプレイ7に地図画像として表示すべき地図画像情報を含む地図データを読み出す。ステップ204では、ステップ203で読み出した地図データがカバー地域エリアを示すエリア情報およびその地域エリアの時差データを読み出す。
【0039】
ステップ205では、ステップ204で読み出したエリア情報から、地図データがカバーする地域エリアが、デフォルト文字フォントを使用する地域エリアであるか否かを判定する。エリア情報を参照することで、当該地図データがカバーする地域エリアが、デフォルト文字フォントを使用する地域エリアであるか否かを確実に判定できる。デフォルト文字フォントを使用する地域エリアであると判定された場合は、ステップ206へ進み、ROM10に記憶されたデフォルト文字フォントデータを使用して文字表示を行うものと決定し、ステップ211へ進む。地図データがカバーする地域エリアがデフォルト文字フォントを使用する地域エリアではないと判定された場合は、ステップ207へ進む。
【0040】
ステップ207では、地図データ入力器2に挿入された地図記憶メディアから、ステップ203で読み出した地図データに対応する専用文字フォントデータの読み出しを開始する。ステップ208では、専用文字フォントデータの読み出しを完了したか否かを判定する。専用文字フォントデータの読み出しを完了した場合は、ステップ209へ進む。未だ完了していない場合は、専用文字フォントデータの読み出しを完了するまで、上述の判定を繰り返す。これにより、デフォルトの文字フォントとは異なる専用文字フォントを使用すべき地域エリアである場合でも、その専用文字フォントデータを地図記憶メディアから読み出して確実に文字表示を行うことができるのである。
【0041】
ステップ209では、読み出された専用文字フォントデータをRAM9に記憶させる。ステップ210では、RAM9に記憶された専用文字フォントデータを使用して文字表示を行うものと決定する。ステップ211では、ステップ206またはステップ210において使用すると決定された文字フォントデータ利用し、各種ナビゲーション動作を開始する。
【0042】
図6は、本実施形態の地図表示装置が、地図データの示す地域エリアにおける時刻を算出して通知する処理に関するフローチャートである。本フローチャートの処理は、本装置の動作中において所定時間毎に実行される。
【0043】
ステップ301では、ECU11は、GPS受信機1DがGPS信号を受信できたか否かを判定する。GPS信号を受信できた場合は、ステップ302へ進む。GPS信号が受信できなかった場合は、ステップ306へ進む。
【0044】
ステップ302では、時刻フラグを1にセットする。ステップ303では、GPS受信機1Dが受信したGPS信号に含まれる世界標準時刻に対して、図5のフローチャートのステップ204で読み出された時差データを加算・減算し、地図データの示す地域エリアにおける時刻の算出を行う。ステップ304では、時計IC8の示す時刻を、ステップ303で算出した時刻に補正する。ステップ305では、時計IC8の示す時刻をディスプレイ7に表示させると共に、表示中の時刻が正確である旨の内容をディスプレイ7に表示させて、処理を終了する。
【0045】
一方、ステップ306では、時刻フラグを0にリセットする。ステップ307では、時計IC8の示す時刻をディスプレイ7に表示させると共に、表示中の時刻が不正確である可能性がある旨の内容をディスプレイ7に表示させて、処理を終了する。これにより、本地図表示装置では、地図データがカバーする地域エリアにおける時刻を算出して確実に通知することができる。
【0046】
図7は、本実施形態の地図表示装置が、異常の発生を通知する処理に関するフローチャートである。本フローチャートの処理は、本装置の動作中において所定時間毎に実行される。
【0047】
ステップ401では、ECU11は、地図データ入力器2の地図記憶メディアに記憶されたエリア情報から、位置検出器1が検出した車両の現在位置が地図データの示す地域エリア外であるか否かを判定する。位置検出器1が検出した車両の現在位置が、地図記憶メディアに記憶された地図データがカバーする地域エリア外である場合は、ステップ402へ進み、異常が発生したことをスピーカ12から通知し、ナビゲーション動作を中止して処理を終了する。検出された車両の現在位置が、地図データがカバーする地域エリアに属していない場合、異なる地域エリア用の地図記憶メディアが地図データ入力器2にセットされた等の異常が発生したと判断できるためである。位置検出器1が検出した車両の現在位置が地図データがカバーする地域エリア内にある場合は、即座に処理を終了する。
【0048】
このように、本実施形態の地図表示装置では、ECU11は、エリア情報に対応する地域エリアがデフォルト文字フォントデータを使用する地域エリアであると判断される場合、ROM10に記憶されたデフォルトの文字フォントデータを読み出し、当該データによって文字表示を行わせる。一方、エリア情報に対応する地域エリアがデフォルト文字フォントデータを使用する地域エリアではないと判断される場合、ECU11は、当該エリア情報を含む地図データと対応する専用文字フォントデータを地図記憶メディアから読み出してRAM9に記憶させ、当該専用文字フォントデータによって文字表示を行わせる。これにより、本地図表示装置は、いずれの地域で使用される場合でも、地図データがカバーする地域エリアに対応する文字フォント、言い換えれば、当該地図データの示す地域エリアで使用される文字の文字フォントによって文字表示が行われる。そのため、各地域エリア毎に、当該地域エリアで使用される文字フォントを組み込んだ装置を作成する必要がなく、同一仕様の装置を利用することができるため、設計面およびコスト面から好ましい。また、ユーザーは使用する文字フォントを選択する必要もなく、使い勝手が良い。
【0049】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら制限されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々変形して実施することが可能である。
【0050】
例えば、上述した地図表示装置では、地図画像上における各地点の名称について、地図データがカバーする地域エリアに対応する文字フォントデータを利用して文字表示を行った。しかしながら、その文字フォントデータを用いた文字表示は、地図画像上における各地点の名称に限定されるものではなく、例えば、図8(a),(b)に示すように、目的地設定のための操作画面における文字表示などにも適用することができる。図8(a)は日本語フォントによって目的地設定のための操作画面の文字表示を行った場合の一例を示すものであり、図8(b)は簡体字フォントによって目的地設定のための操作画面の文字表示を行った場合の一例を示すものである。さらに、その他の操作コマンドの表示も、前述の文字フォントデータを利用して文字表示を行うこととしても良い。これにより、本装置はさらに使い勝手の良いものとなる。
【0051】
また、上述した地図表示装置は、車両用ナビゲーション装置に搭載されて動作するものであった。しかしながら、これに限定されるものではなく、例えば地図記憶メディアに記憶された地図データに基づいて地図を表示する地図表示機能を備えた携帯機器など、地図画像表示に加えて文字表示を行う装置であれば、本発明による地図表示装置を好適に利用できる。しかしながら、最も好適であるのは、車両用ナビゲーション装置に搭載されて動作した場合である。
【0052】
また、上述した実施形態による地図表示装置では、地図記憶メディアに専用文字フォントが記憶されている場合、一旦、RAM9のフォント格納エリアに専用文字フォントをロードして、RAM9から専用文字フォントを読み出すようにしていた。しかしながら、地図記憶メディアからのデータ読み込み速度に支障がない限り、RAM9からではなく、直接、地図記憶メディアから専用文字フォントを読み出すようにしても良い。これにより、RAM9にフォント格納エリアを設ける必要が無くなるので、構成を簡略化することができる。
【0053】
なお、地図記憶メディアが記憶する地図データのエリアが、専用文字フォントを使用すべき地域エリアである場合、地図などに表示すべき全文字の文字フォントとして、専用文字フォントを用いても良い。しかしながら、図8(a)、(b)に示すように、英数文字など、専用文字フォントでなくとも表示できる文字に関しては、デフォルト文字フォントを用いて、文字表示を行っても良い。ディスプレイ7の画面に表示すべき文字については文字コードによって指定されるため、その各文字ごとに、専用文字フォントを用いるか、デフォルト文字フォントを用いるかを切り替えることが可能である。
【0054】
また、ユーザが、デフォルト文字フォントを用いて文字表示を行うか、専用文字フォントを用いて文字表示を行うかを指定できるようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の一実施形態における地図表示装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】地図記憶メディアにおける格納データの一例を示す説明図である。
【図3】RAM9の記憶領域の構造を説明するための説明図である。
【図4】各地域エリアにおける使用文字フォントの一例を示すテーブルである。
【図5】本実施形態の地図表示装置が、使用する文字フォントデータを決定する処理に関するフローチャートである。
【図6】本実施形態の地図表示装置が、地図データの示す地域エリアにおける時刻を算出して通知する処理に関するフローチャートである。
【図7】本実施形態の地図表示装置が、異常の発生を通知する処理に関するフローチャートである。
【図8】(a)は日本語フォントによって目的地設定のための操作画面の文字表示を行った場合の一例を示すものであり、(b)は簡体字フォントによって目的地設定のための操作画面の文字表示を行った場合の一例を示すものである。
【符号の説明】
【0056】
1…位置検出器
1A…地磁気センサ
1B…ジャイロスコープ
1C…距離センサ
1D…GPS受信機
2…データ読出機器
3…地図データ入力器
4…操作スイッチ
5…リモコン
6…リモコンセンサ
7…ディスプレイ
8…時計IC
9…RAM
10…ROM
11…ECU
12…スピーカ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示装置と、
所定の地域エリアをカバーする地図データを記憶する地図データ記憶手段と、
前記地域エリアに応じた文字フォントによる文字を地図上に表示可能とするために、複数種類の文字フォントを記憶する文字フォント記憶手段と、
前記地図データ記憶手段が記憶する地図データの地域エリアに対応する文字フォントを選択し、前記地図データに基づく地図及び選択した文字フォントによる文字を前記表示装置に表示させる表示制御手段とを備えることを特徴とする地図表示装置。
【請求項2】
前記表示制御手段は、初期的に、予め定められたデフォルト文字フォントを選択して、前記地図上に文字を表示させるように設定されており、
前記地図データ記憶手段が記憶する地図データの地域エリアが、前記デフォルト文字フォントとは異なる専用文字フォントを使用すべき地域エリアである場合に、その専用文字フォントを選択して前記文字フォント記憶手段から読み出すことを特徴とする請求項1記載の地図表示装置。
【請求項3】
前記地図データ記憶手段は、前記地図データがカバーする地域エリアを示すエリア情報も記憶しており、
前記表示制御手段は、前記地図データ記憶手段のエリア情報を参照して、前記地図データがカバーする地域エリアを判別することを特徴とする請求項1または請求項2記載の地図表示装置。
【請求項4】
前記地図データ記憶手段が記憶する地図データのエリアが、前記専用文字フォントを使用すべき地域エリアである場合、その専用文字フォントは、前記地図データ記憶手段に記憶され、
前記文字フォント記憶手段は、前記デフォルト文字フォントを記憶するデフォルト文字フォント記憶手段と、前記地図データ記憶手段から、前記専用フォントを読み込んで記憶する専用文字フォント記憶手段とを備え、
前記表示制御手段は、地図データの地域エリアに対応する文字フォントを、前記デフォルト文字フォント記憶手段及び専用文字フォント記憶手段のいずれかから選択することを特徴とする請求項2に記載の地図表示装置。
【請求項5】
前記地図データ記憶手段が記憶する地図データのエリアが、前記専用文字フォントを使用すべき地域エリアである場合、前記地図データ記憶手段を前記文字フォント記憶手段の一部として、その専用文字フォントが、前記地図データ記憶手段に記憶され、
前記文字フォント記憶手段は、さらに、前記デフォルト文字フォントを記憶するデフォルト文字フォント記憶手段を備え、
前記表示制御手段は、地図データの地域エリアに対応する文字フォントを、前記地図データ記憶手段及びデフォルト文字フォント記憶手段のいずれかから選択することを特徴とする請求項2に記載の地図表示装置。
【請求項6】
前記地図データ記憶手段が記憶する地図データのエリアが、前記専用文字フォントを使用すべき地域エリアである場合、前記表示制御手段は、表示すべき全文字の文字フォントとして、前記専用文字フォントを選択することを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の地図表示装置。
【請求項7】
前記地図データ記憶手段が記憶する地図データのエリアが、前記専用文字フォントを使用すべき地域エリアである場合、前記表示制御手段は、表示すべき文字の内、専用文字フォントでしか表示できない文字の文字フォントとして、前記専用文字フォントを選択し、デフォルト文字フォントでも表示可能な文字の文字フォントとして、前記デフォルト文字フォントを選択することを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の地図表示装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の地図表示装置を車両に搭載し、当該車両の現在位置を検出する現在位置検出手段を備え、前記地図上に前記車両の現在位置を表示させる車両用ナビゲーション装置であって、
前記地図データがカバーする地域エリアにおける、世界標準時刻との時差データを取得する取得手段と、
前記世界標準時刻を検出する検出手段と、
前記検出手段が検出した世界標準時刻、及び前記取得手段が取得した時差データに基づいて、前記地図データがカバーする地域エリアにおける時刻を算出して通知する時刻通知手段とを備えることを特徴とする車両用ナビゲーション装置。
【請求項9】
請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の地図表示装置を車両に搭載し、当該車両の現在位置を検出する現在位置検出手段を備え、前記地図上に前記車両の現在位置を表示させる車両用ナビゲーション装置であって、
前記現在位置検出手段によって検出された車両の現在位置が、前記地図データ記憶手段の地図データがカバーする地域エリアに属さない場合には、前記地図データ記憶手段の異常を報知する報知手段を備えることを特徴とする車両用ナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−323359(P2006−323359A)
【公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−68056(P2006−68056)
【出願日】平成18年3月13日(2006.3.13)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】