説明

地図表示装置

【課題】本発明の目的は、地下街と地上における位置関係が判り、地下街の特定位置に対する地上出入り口からの誘導を容易に行える地図表示装置を提供することにある。
【解決手段】地図表示装置は、地図表示制御部10と経路探索処理部20を有する本体装置1、入力装置2、及び表示装置3を備える。地図表示装置は地上地図と地下街図を表示装置3に表示する。地図表示制御部10は地下街図の座標補正により地上地図との位置合せを行い、表示装置3の別画面に地上地図表示画面と地下街図表示画面を表示する。地図表示制御部10は地上地図表示画面および地下街図表示画面の両表示画面の表示位置を連携表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は精確な地上地図と地下街図(地下街や高架下などの図面)を連携して表示する地図表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、地図表示装置は測位系に準拠した座標データなどで構成される地上を表す精確なベクトル地図を対象にして複数のマルチ画面を用いて表示できる。例えば、地図システムとしては一般的な機能として知られる、複数の縮尺レベルの地図を用いて、指定場所を詳細(大縮尺)な地理情報で表示する地図画面とその周辺の状況を見るための広域地図画面を表示する方法や、地図上の施設をシンボルや文字、施設ポリゴンで表し、施設形状をクリックすることにより施設図面や写真をウィンドウ表示する方法がある。
【0003】
一方、地下街図については、精確な測量に基づかない単なる図面として存在しているものが多く、施設図面と同様に別画面に単なる図面として表示している例が多い。地下街図が精確なCAD図として入手できた場合には、地上地図と地下街図を1画面上に選択的に重ね合せたり、2つの地図の混ぜ合わせ比率を変化させながら表示することが提案されている。前者は下記の特許文献1に記載されており、後者は特許文献2に記載されている。
【0004】
また、地下街における誘導は、地下街内には位置を表す目標となるものが少なく、地上出入口や改札口、店舗名などをもとに検索して該当位置を地下街図上に強調して表示するようにしている。キロポストは、高速道路や国道などの道路や鉄道などに設置され、事故などの際の目印として使われるが、地下街(図)には適用されていない。一般の利用者には各キロポスト位置が緯度、経度で提供されるわけではないので、インターチェンジなどの主要な位置を入手した上で各キロポスト位置を地図上に補間して手入力している。
【0005】
【特許文献1】特開2001−126054号公報
【特許文献2】特開2002−245473号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
地下街は位置を表す目標となるものが少なく、地上出入口や改札口、店舗名などだけでは分布密度が低く、場所の特定率は低くなるという問題点を有する。しかも、図面内の距離が不明であることと地上地図と位置合せが取れていないため、地下街図を表示しても最も近い地上出入り口までの距離(時間)などがわからず誘導しづらくなる。
【0007】
本発明の目的は、地下街と地上における位置関係が判り、地下街の特定位置に対する地上出入り口からの誘導を容易に行える地図表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的のために本発明は、地下街図の座標補正により地上地図との位置合せを行い、表示装置の別画面に地上地図表示画面と地下街図表示画面を表示して両表示画面の表示位置を連携表示するようにしたものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明は地上地図と地下街図の位置合せが可能になり、地上地図と地下街図の連動表示が可能になる。したがって、地下街と地上における位置関係が判り、地下街の特定位置に対する地上出入り口からの誘導を容易に行えるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
地図表示装置は、地図表示制御部と経路探索処理部を有する本体装置、入力装置、及び表示装置を備える。地図表示装置は地上地図と地下街図を表示装置に表示する。地図表示制御部は地下街図の座標補正により地上地図との位置合せを行い、表示装置の別画面に地上地図表示画面と地下街図表示画面を表示する。地図表示制御部は地上地図表示画面および地下街図表示画面の両表示画面の表示位置を連携表示する。
【実施例】
【0011】
以下に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。図1に本発明の地図表示装置の構成図を示す。
【0012】
図1において、地図表示装置は、本体装置1、入力装置2、及び表示装置3を備えている。本体装置1は、地上地図データ格納手段16と地下街図データ格納手段17を保持しており、それらのデータを処理して地図の表示制御を行う地図表示制御部10と、キロポストデータ26や地下街目標物27を用いて地下街内の目的地を特定し、地下街ネットワーク情報28や地上道路ネットワーク情報29を用いて地上の出発地から地下街内の目的地までの経路探索を行う経路探索処理部20を有している。
【0013】
地図表示制御部10は、地図表示操作手段11、表示地図決定手段12、地図データ読込み手段13、記憶手段14、地図描画手段15を有しており、経路探索処理部20は、キロポスト検索手段21、到達圏計算手段22、出発地(地上)目的地(地下街)設定手段23、経路(最短路)探索手段24、経路形状取得手段25を有している。
【0014】
入力装置2は、例えばキーボードやマウスなどで構成されている。地図表示装置の使用者は、この入力装置2を用いて地上地図や地下街・高架下などの図面に対する表示要求を入力することができ、これに応じて本体装置1が表示画面を作成する。表示装置3には、本体装置1で作成した表示画面が表示される。
【0015】
記憶手段14は、例えば半導体メモリで構成されている。この記憶手段14は、地上地図データ格納手段16と地下街図データ格納手段17から読み出した地図データなどを一時的に保持する。地上地図データ格納手段16と地下街図データ格納手段17は、何れも、例えばハードディスク装置などで構成されており、それぞれには地上地図や地下街・高架下などの図面データおよびそれらの地図データを管理するための地図管理データが格納されている。
【0016】
経路探索処理部20のキロポストデータ格納手段26と地下街目標物データ格納手段27、地上道路ネットワークデータ格納手段29と地下街ネットワークデータ格納手段28は、地上地図データ同様、例えばハードディスク装置などで構成されており、それぞれには目的地の地図を表示させるための位置を含む検索データおよび目的地までの経路を計算するためのネットワークデータが格納されている。
【0017】
なお、地図表示制御部10の他の構成要素である地図表示操作手段11、表示地図決定手段12、地図データ読込み手段13、地図描画手段15については後述する。同様に、経路探索処理部20の他の構成要素であるキロポスト検索手段21、到達圏計算手段22、出発地(地上)目的地(地下街)設定手段23、経路(最短路)探索手段24、経路形状取得手段25についても後述する。
【0018】
次に、本発明の地図表示装置における地図表示処理について説明する。
【0019】
まず、使用者が入力装置2から地上地図に対する地図表示要求を入力する。地図表示要求は地図表示操作手段11を入力装置2により操作して行う。例えば、表示装置3に表示されている地図画面のある点(任意位置)を入力装置2の1つであるマウスで指定した後、地図表示操作手段11として代表的な縮尺の名称が並んでいる地図切替ボタンや表示地図縮尺リストを選択したり、マウスのホイール操作により行う。
【0020】
入力された地図表示要求(表示中心位置、表示縮尺)は、表示地図決定手段12に通知される。表示地図決定手段12は、受取った地図表示要求条件から指定した位置を中心に指定した縮尺で地図表示を行うのに必要な範囲の地図データを決定する。その決定は、あらかじめ地図データ読込み手段13を通して記憶手段14に読込まれてある地上地図の地図管理データを検索してなされる。
【0021】
地図表示に必要な地図データが表示地図決定手段12で決定されると、地図データ読込み手段13がその決定された地図データを地上地図データ格納手段16から読込んで記憶手段14に一時的に記憶する。地図描画手段15は記憶手段14に格納された地図表示に必要な地図データを使用して表示装置3に表示するための地図を描画する。
【0022】
地図システムとして一般的な機能として知られるマルチ画面を用いて、前述の指定場所の詳細(大縮尺)な地理情報を表示する地図画面に加えてその周辺の状況を見るための広域地図画面を表示する場合、広域地図画面に対しても地図表示要求を行う。
【0023】
前述の処理の流れに従って、詳細地図画面上で指定した地点を中心に表示中の広域地図縮尺で該当地上地図を広域地図画面に表示する。広域地図画面上表示処理では、詳細地図画面の表示範囲を取得し、前述の処理に加え広域地図上に詳細地図画面の表示枠線を表示する。
【0024】
図2にマルチ画面を用いた従来の表示例を示す。広域地図画面31には、詳細地図画面32の表示範囲を示す枠線33が表示される。この地上地図には、地下街や高架下の名称文字34や概略形状35が登録されている。従来技術では、これら地下街の施設図面は精確な測量に基づかない単なる図面として存在しているものが多く、地上地図と地下街施設図面間の位置の対応ができないものになっている。
【0025】
従って、地下街施設の表示は名称文字34や概略形状35をマウスでクリックすることで該当施設を選択し、施設図表示メニューボタンを指定することにより該当地下街などの図面データを図3のようにウィンドウ36に表示する。その際、指定した位置にかかわらず、該当図面全体を表示するか、図面の中心を表示する図3のような表示方法が一般的である。
【0026】
本発明における地下街や高架下などの地下街施設図面は、後述する座標補正により位置合せを行い、地上地図同様に地図データの補正係数や存在範囲などの地下街図管理データが形状データとともに地下街図データ格納手段17に格納されている。これにより、地下街図も地上地図と同様扱える。
【0027】
図4に本発明におけるマルチ画面の表示例を示す。本発明は前述した地上地図表示処理に加え、あらかじめ記憶されている地下街の管理データを検索し、地図中に地下街や高架下などの施設図面が存在する場合にはその存在を示す図面枠37を地上図上に表示するとともに、候補地図表示メニュー39を選択可能としてクリックすることにより詳細表示画面32内に存在する地下街図名などをリスト表示する。地下街図を表示させたい場合は、地上地図上の地下街形状のある点をマウスなどで指定した後に候補地図表示リスト39にて該当地下街名を選択することにより行う。
【0028】
入力された地図表示要求は、表示地図決定手段12に通知される。表示地図決定手段12は、受取った地図表示要求条件(表示中心位置、表示縮尺、図面ID)から指定した図面IDの地下街図面を指定した位置を中心に指定した縮尺で表示するのに必要な範囲の地下街図データを決定する。
【0029】
表示地図決定手段12において表示に必要な地下街図データが決定されると、地図データ読込み手段13がその決定された地下街図データを地下街図データ格納手段17から読込んで記憶手段14に保持する。地図描画手段15は記憶手段14に登録された地図表示に必要な地下街図データを使用して表示装置3に表示するための地下街図を詳細地図画面32に描画する。
【0030】
広域地図画面31には、前述した地図表示制御部10の処理に従って、指定した点を中心に大縮尺地図を表示する。更に、詳細地図画面31に表示中の地下街表示範囲33を取得し、広域地図上に枠線33を表示する。詳細地図に地下街図を表示中の場合の候補地図メニューには、地上地図と表示画面内に存在する他の施設図面名称が表示される。図5において、広域地図画面31に表示されてある地下街図は地上地図と位置合せされてあるため、地図上でダブルクリックするなどの操作により指定した点の座標を取得し、両画面に表示中の地上地図、地下街の位置を合せて各画面中央に連携表示できる。
【0031】
次に、地上から地下街の指定位置まで誘導する経路を求め表示する経路探索処理部20の処理を説明する。
【0032】
まず、使用者が出発地(例えば地上)付近の地図を表示した状態で、入力装置2の1つであるマウスの右ボタンで地図上を指定することにより、出発地(地上)設定手段23として表示される出発地設定メニューを選択することにより出発地を指定する。出発地(地上)設定手段23は、指定した出発地位置に最も近い地上道路リンクと地上道路リンク上の位置を取得する。
【0033】
次に、目的地を設定するために目的地付近の地図を表示する。目的地が地下街の場合は、キロポスト検索手段21により、地下街通り名とキロポストNoを入力すると、キロポストデータ格納手段26から当該通り内の最も近い数値のキロポストデータを検索し、当該キロポスト位置の地下街図を切替え表示する。
【0034】
一方、キロポスト位置がわからず、地上との出入口や改札・広場などの目標物からの距離や歩行時間(≒距離=歩行速度×時間)がわかる場合は、到達圏計算手段22により目標物から指定距離離れた目的地範囲を計算する。まず、地下街目標物データ格納手段27を検索し、当該目標物位置の地下街図を切替え表示する。到達距離を入力し、地下街ネットワークデータ格納手段28を用いて到達圏計算を行うと、当該目標物から指定距離離れた場所を求めることができる。
【0035】
このようにして目的地付近の地図を表示した状態で、出発地同様、入力装置2の1つであるマウスの右ボタンで地下街図上を指定することにより、目的地(地下街)設定手段23として表示される目的地設定メニューを選択することにより目的地を指定する。目的地(地下街)設定手段23は、指定した目的地位置に最も近い地下街リンクとリンク上の位置を取得する。
【0036】
このように出発地(位置、リンク、ノード)、目的地(位置、リンク、ノード)を設定した上で、経路(最短路)探索手段24により、地上道路ネットワークデータ格納手段29や地下街道路ネットワークデータ格納手段28を用いて出発地から目的地までの誘導経路のリンクID列、距離を取得する。取得した誘導経路のリンクIDに対する経路形状を地上道路ネットワークデータ格納手段29、地下街ネットワークデータ格納手段28から経路形状取得手段25により検索する。地上道路ネットワークデータ格納手段29と地下街ネットワークデータ格納手段28は、地上/地下出入口ノードで相手ネットワークデータに対する接続情報を有しており、相互に経路探索可能となっている。
【0037】
取得した経路形状を記憶手段14に登録し地図表示制御部10の地図描画手段15に再描画を通知することにより、詳細地図画面および広域地図画面上に出発地から目的地までの経路形状が強調表示され、地下街目的地までの誘導を容易にすることができる。地下街ネットワークデータのリンク種別に、主要通り、裏通り、階段、エスカレータ、エレベータなどの区分を設定しておき、経路探索手段24にて経路選定条件にリンク種別による優先度を考慮すると主要通りやエスカレータ優先の誘導経路を検索することができる。また、目的地同様、経由地を考慮し設定することにより、有名な目標物を経由した経路を選択することができる。
【0038】
地下街図の位置合せについて図6を参照して説明する。地下街図に位置を付与するための地下街図位置指定画面46と基準となる位置を取得する地上地図の基準地図画面41の2つの画面から構成される。
【0039】
まず、地下街図データ格納手段17から地下街図名称を一覧表示し、位置指定を行う地下街図名を選択する。これにより、選択した地下街図の図面形状を地下街図位置指定画面46に表示する。同時に、基準地図画面41に地上地図を表示する。この際、地下街図データに地上地図の代表点座標(名称形状位置)を設定しておき、当該地点を中心に地図の切替えを行うことにより当該地下街図付近の地上地図を表示する。
【0040】
基準地図画面41や地下街図位置指定画面46における地図表示処理の流れは、図1における地図表示制御部10と同じであり、地図表示操作手段11を用いて表示中の地図を拡大/縮小やスクロールすることができる。但し、地下街図管理データの補正情報は元データのままである。
【0041】
次に、位置指定メニューを選択し、地下街図と地上地図の同じ地点(同定点)を4点(42〜45、47〜50)指定する。保存メニューを選択すると、これら同定点の情報を地下街図の位置合せデータに格納するとともに、地下街図の指定点47〜50に対する地上地図の同定点42〜45の座標で正規化して補正した補正情報を地下街図管理情報に設定する。
【0042】
図7に地下街ネットワークデータにおける指定通りのリンク長を設定(補正)するツール処理の流れを示し、図8に距離補正を行う際のツール画面の例を示す。
【0043】
ステップS10において、地下街図データ格納手段17から地下街図名称を一覧表示し、リンク長設定で行う地下街図名を選択する。ステップS11において、選択した地下街図の管理情報(補正情報を含む)および形状情報を読込み、地下街図を地下街リンク補正指定画面51に表示する。同様にステップS12において、選択した地下街ネットワークデータから地下街ノード形状(点)52、リンク形状(折線)53を読込み、地下街リンク補正指定画面51の地下街図上に重畳表示する。
【0044】
ステップS13に移り、地下街上の対象通り上のキロポスト位置を2点選び画面上で同定点54として指定するとともに、当該地点の通りID、キロポスト値を入力する。ステップS14に移行し、指定した同定点を出発地と目的地として経路検索を行い、地下街ノード情報やリンク情報をもとに同定点間の経路(ID列)を求める。ステップS14により求めた経路ID列をもとに、ステップS15により当該経路形状を検索し、地下街リンク補正指定画面51に強調表示する。
【0045】
ステップS16において、強調表示した経路形状が補正対象通り55か判別する。対象通りでない場合は、対象通り上に経由点を指定したり、あるいは検索リンク種別を主要通りに絞るなどの条件を指定することにより、指定通りが経路検索結果として選択されるようにする。
【0046】
ステップS16において経路検索された結果が対象通りと判定するとステップS17に移行して通りを構成する同定点間のリンク長の距離補正を行う。図9に、リンク長に対する距離補正方法の原理を示す。
【0047】
図9において、同定点KP0からKPnに至る通りがL01、L12、L2nの3本のリンクから形成されている場合、各々のリンクを形作る形状の長さを座標から計算しr01、r12、r2nとするとKP0からKPnまでの長さrはr=(r01+r12+r2n)となる。しかし、KP0からKPnまでの実際の距離Lは、同定点のキロポスト値の差L=(KPn−KP0)であるから、KP0からn1までのリンクL01の実際の長さはL01=(r01/r)×Lに補正される。
【0048】
指定した通りを構成する全リンクに対し、ステップS18で同様の補正を行い、当該リンク情報にリンク長として補正値を設定し、通りIDとともに保存する。また、通りに対して指定した同定点の情報(地下街ID、通りID、区間No、座標、リンク、KP値)や経由地の情報を保存する。ステップS19にて、指定した地下街内の通りについて同定処理を繰り返す。
【0049】
図10に補正された地下街リンク情報を用いて大量のKPデータを補間生成するツールの処理の流れを示し、図11に補間生成したKPデータを表示した例を示す。
【0050】
ステップS20において、地下街図データ17から地下街図名称を一覧表示し、キロポストを生成する地下街図名を選択する。ステップS21において、選択した地下街図の管理情報(補正情報を含む)および形状情報を読込み、地下街図を地下街リンク補正指定画面51に表示する。ステップS22に移り、キロポストを生成する地下街の当該地下街図およびネットワーク形状を、図7のステップS10〜S12と同様にして読込み、表示する。
【0051】
ステップS23において、当該地下街図内に存在する区間データ(図7において指定した通り内の同定点間のデータ)を読込み、経路検索のための出発地(通りID、区間No、座標、リンク、KP値)目的地、経由地を設定する。ステップS24により経路検索を行い、当該通り区間のリンクID列を求め、ステップS25により当該経路形状を検索し、地下街リンク補正指定画面51に強調表示する。
【0052】
ステップS26により、キロポスト区間に対し補間するキロポスト間隔(例えば50m毎)から区間内に存在するキロポスト数および区間開始直前のキロポスト値を算出し、キロポスト初期値に設定する。キロポスト数分、ステップS27、S28を繰り返し実行する。ステップS27では、キロポスト初期値にキロポスト間隔を足して補間するキロポスト補間値を算出する。図9において、区間開始点をKP0、終了点をKPn、補間キロポストをn1、補間キロポスト値をKP1とすると、開始点から補間点までの実際の距離L01=KP1−KP0となり、それに相当する地下街ネットワークのリンク形状における開始点から補間キロポストまでの距離r01は、r01=(L01/L)×rとなる。
【0053】
ステップS25にて強調表示した経路形状について、経路を構成する各線分の長さを計算し、区間開始点からの形状の距離(長さ)がr01となる線分上の点を計算し、座標値を取得する。取得した座標値を通りID、キロポスト値とともに検索用キロポストデータとして保存する。選択した地下街に区間データが存在する間、ステップS23〜S29までを繰り返シ実行する。
【0054】
図11に、このようにして補間生成したキロポスト56(例では50m=0.05KP毎)を表示した例を示す。本説明では、地下街リンクにおけるKPデータの生成方法について説明したが、高速道路や国道、鉄道など長距離路線における路線毎の大量の検索用KPデータを生成する方法にも適用できる。
【0055】
次に、地図表示制御部10にて地図を表示する処理について、図12に示すフローチャートを参照して説明する。
【0056】
使用者は、入力装置2を使用して地上地図を表示するための地図表示操作としてステップS30において表示中心位置を指定する。ステップS31に移り、指定位置が地下街範囲外(地上地図)の場合は、ステップS32において代表的な縮尺の地図名称が並んでいる地図切替ボタンや表示地図縮尺リストを選択したりすることにより地図切替操作を実行し、地図表示要求を行う。
【0057】
ステップS32からステップS33に移行して、入力された地図表示要求は、表示地図決定手段12に通知され、ステップS33において指定表示中心位置を中心に指定縮尺で地図表示を行うのに必要な範囲の地図データを決定する。その決定は、あらかじめ地図データ読込み手段13を通して記憶手段14に読込まれてある地上地図の地図管理データを検索してなされる。
【0058】
地図表示に必要な地図データが表示地図決定手段12(ステップS33)で決定されると、地図データ読込み手段13がステップS34にてその決定された地図データを地上地図データ格納手段16から読込んで、ステップS35にて地図管理情報形状データを記憶手段14へ登録する。
【0059】
記憶手段14に登録された地図表示に必要な地図データを使用して地図描画手段15がステップS36において表示装置3に詳細地図画面に表示するための地図を描画する。この際、背景として表示する地図に加えて検索シンボルや経路など強調表示する図形が記憶手段14に登録されている場合は、地図描画手段にて表示装置3の詳細地図画面に表示する。ステップS36にて詳細地図画面の表示を更新した後、広域地図画面の表示更新要求を行う。
【0060】
広域地図は、表示中の広域地図の縮尺で位置のみ変えて表示するため、上記詳細地図画面が指定位置を中心に切替メニューで選択した地図縮尺で表示するのに比べ、指定位置を中心に表示中の広域地図画面の縮尺で地図データを読込み、広域地図画面に表示する(ステップS37からS40)。加えて、広域地図画面の表示処理では、詳細地図の表示範囲を理解できるようにステップS41にて詳細地図画面の表示範囲を取得し、広域地図画面上に詳細地図画面の表示範囲枠線を表示する。
【0061】
ステップS31において、指定位置が地下街範囲内の場合は、ステップS42に移り候補地図メニューをクリックすると詳細表示画面内に存在する地下街の名称が一覧表示されるため、表示する地下街名を選択することにより地図表示要求を行う。ステップS43では、入力された地図表示要求は、表示地図決定手段12に通知される。
【0062】
本発明では、地下街図の補正を行って地上地図と座標が合うようになっているため、表示地図決定手段12は、ステップS43において受取った地図表示要求条件(表示中心位置、表示縮尺、図面ID)から指定した図面IDの地下街図面を指定した位置を中心に指定した縮尺で表示するのに必要な範囲の地下街図データを決定することができる。表示に必要な地下街図データが表示地図決定手段12としてステップS43で決定されると、地図データ読込み手段13としてステップS44でその決定された地下街図データを地下街図データ格納手段17から読込んで記憶手段14に登録する。
【0063】
記憶手段14に登録された地図表示に必要な地下街図データ(地下街図管理データ、補正係数、形状データ)を使用して、地図描画手段15が表示装置3に表示するための地下街図を詳細地図画面32に描画する。この際、背景として表示する地図に加えて、検索シンボルや経路など強調表示する図形が記憶手段14に登録されている場合は、地図描画手段にて表示装置3の詳細地図画面の地下街図上に重ねて表示する。
【0064】
ステップS46にて、詳細地図の表示を更新した後、広域地図画面に対し地上住宅地図の表示要求を行う。これにより、広域地図画面には指定した点を中心に住宅(大縮尺)地図を表示する。本発明では、地下街図の補正を行って地上地図と座標が合うようになっているため、詳細地図(地下街)画面の表示範囲を取得し、広域地図上に枠線を表示することができる。また、地図上でダブルクックするなどの操作により、指定した点の座標を取得して地図切替処理を行うと、地上地図と地下街図とも指定した点を中心に表示され、同一場所の地上地図と地下街図を連携して表示できる。
【0065】
次に、経路探索処理部20にて出発地を地上、目的地を地下街とする際の経路探索処理について、図13に示すフローチャートを参照して説明する。
【0066】
使用者は出発地付近の地図を表示する。ステップS60において、入力装置2の1つであるマウスの右ボタンで地図上を指定し、表示される出発地設定メニューを選択することにより出発地を指定する。ステップS61では、指定した出発地位置に最も近い地上道路リンクと道路リンク上の位置およびその両端の道路ノードを取得する。ステップS62に移り、道路リンク上の出発地位置からその両端ノードまでのリンク形状の長さを計算する。当該リンクデータから実際のリンク長を取得し、図9と同様、リンク形状距離を実際のリンク長距離で補正し、出発地リンク両端までの距離コストとして各ノードに設定し、出発地リンクに設定する。
【0067】
次に、目的地を設定するために目的地付近の地図を表示する。目的地が地下街の場合は、ステップS63においてキロポスト検索手段21により、地下街通り名とキロポストNoを入力し、キロポストデータ格納手段26から当該通り内の最も近い数値のキロポストデータを検索する。検索した地下街IDとキロポストの位置を地図切替え条件に設定し、ステップS65において地下街図を切替えると、図12のステップS42からS51により指定キロポスト付近の当該地下街図を表示する。
【0068】
ステップS65からステップS66に移行して、目的地近傍の地下街図を表示している状態で検索キロポスト付近の地下街図上をマウスの右ボタンで指定し、表示される目的地設定メニューを選択することにより目的地を指定する。ステップS67では、指定した目的地位置に最も近い地下街リンクとリンク上の位置およびその両端のノードを取得する。
【0069】
ステップ68では、地下街リンク上の目的地位置からその両端ノードまでのリンク長を計算する。当該リンクデータから実際のリンク長を取得し、出発地リンク同様、形状距離を実際のリンク長距離で補正し、目的地リンク両端ノードまでの距離コストとして各ノードに設定し、目的地リンクに設定する。
【0070】
地下出入口に接続ノードを作成し、出入口のノードの接続情報に相手ネットワークのノードIDを設定することにより、道路ネットワークと地下街ネットワークを接続し、地上では道路ネットワーク、地下街では本発明により補正されたリンク長をもつ地下街ネットワークを用いて、ステップS69において、ダイクストラ法により経路検索を行い、出発地から目的地までの最短経路(リンクID列)を取得する。
【0071】
ステップS70では、ステップS69にて取得した経路のID列に対し地上道路リンク、地下街リンク形状列を検索し、読込む。ステップS71において、地図上に描画するためにステップS70にて読込んだ経路形状、出発地、目的地位置にシンボルを作成して強調表示するために記憶装置14に登録する。途中、地上/地下出入口があれば、そこで相手ネットワークに接続し、地上から地下への誘導経路形状を記憶手段14に登録する。
【0072】
ステップS71からステップS72に移行して、地図表示制御部10の地図描画手段15に再描画を通知することにより、詳細地図画面および広域地図画面上に出発地から目的地までの経路形状が強調表示され、地下街目的地までの誘導を容易にすることができる。地下街図も地上地図と位置合せを行っているため、地下街経路結果も地上地図上に合せて表示される。
【0073】
図14に、地上から地下街への経路探索結果の一例を示す。図14(a)の広域地図画面31の出発地61から詳細地図画面32の最近傍KP65(10m毎)付近の目的地62までの経路検索を行うと、出発地から目的地までの経路(地上部63、地下部64)を表示する。図14(b)は、図14(a)の広域地図画面に表示中の地図を拡大し、目的地付近の地上地図を表示した例である。
【0074】
このように地上地図、地下街図が連携して表示し、目的地まで誘導する際に必要な地上/地下出入口や地下街上の位置、地上での相当位置、所要距離などが理解しやすくなる。
【0075】
本発明はこのように地下街図の座標補正により地上地図との位置合せを行い、表示装置の別画面に地上地図表示画面と地下街図表示画面を表示して両表示画面の表示位置を連携表示するようにしている。したがって、地上地図と地下街図の位置合せが可能になり、地上地図と地下街図の連動表示が可能になり、地下街と地上における位置関係が判り、地下街の特定位置に対する地上出入り口からの誘導を容易に行えるようになる。
【0076】
また、上述の実施例は、キロポストから容易に地下街図上の位置を特定でき、地上の指定位置から地下街図上の指定位置までの(最短)経路を表示、誘導でき、キロポストが設定されていない地下街においても、地下街ネットワークを用いれば、指定目標物(例えば地上出入口)からの距離または時間(平均歩行速度×時間=距離になる)を知ることで、地下街通路上のおおよその位置を算出・特定でき、当該地点までの経路を誘導・表示することができる。
【0077】
さらに、地下街内の店舗名(店舗位置)と地上出入口を指定すれば、店舗位置から近傍地下街リンクを取得することにより、地上出入口から指定店舗までの経路図とおよその距離や歩行時間が容易に算出でき、地下街内の店舗案内などに利用できる。
【0078】
なお、本発明では地下街を例にしたが、高架下図や大規模テーマパーク、競技場などの広大な施設、及び高層ビルや大規模モールなどの多階層のフロア図をもつ施設にも適用できることは勿論のことである。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の一実施例を示すブロック図である。
【図2】従来技術による地上地図表示の一例図である。
【図3】従来技術による地下街図のウィンドウ表示の一例図である。
【図4】本発明による地上地図表示の一例図である。
【図5】本発明による地下街図表示の一例図である。
【図6】本発明による地下街図の位置合せツール画面の説明図である。
【図7】本発明の動作を説明するためのフロー図である。
【図8】本発明による地下街図ネットワーク距離補正の説明図である。
【図9】本発明による地下街リンク情報の距離補正の原理説明図である。
【図10】本発明の動作を説明するためのフロー図である。
【図11】本発明による補間生成したキロポストデータの一例例である。
【図12】本発明の動作を説明するためのフロー図である。
【図13】本発明の動作を説明するためのフロー図である。
【図14】本発明による地上から地下街への経路情報を示す表示画面の一例図である。
【符号の説明】
【0080】
1 本体装置
2 入力装置
3 表示装置
10 地図表示制御部
11 地図表示操作手段
12 表示地図決定手段
13 地図データ読込み手段
14 記憶手段
15 地図描画手段
16 地上地図データ格納手段
17 地下街図データ格納手段
20 経路探索処理部
21 キロポスト検索手段
22 到達圏計算手段
23 出発地(地上)、目的地(地下街)設定手段
24 経路(最短路)探索手段
25 経路形状取得手段
26 キロポストデータ格納手段
27 地下街目標物データ格納手段
28 地下街ネットワークデータ格納手段
29 地上道路ネットワークデータ格納手段
31 広域地図画面
32 詳細地図画面
33 詳細地図画面表示範囲枠
34 地下街名称文字
35 地下街概略形状(地上地図背景)
36 図面(地下街)表示ウィンドウ
37 地下街図存在範囲枠
38 表示中心指定位置
39 候補地図表示メニュー
41 基準地図画面
42〜45 同定点(基準点)
46 地下街図位置指定画面
47〜50 同定点(地下街図)
51 地下街リンク補正指定画面
52 地下街ノード
53 地下街リンク
54 同定点(KP)
55 補正対象通り
56 補間生成したKP
61 出発地
62 目的地
63 経路(地上)
64 経路(地下)
65 最近傍KP

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図表示制御部と経路探索処理部を有する本体装置、入力装置、及び表示装置を備え、地上地図と地下街図を前記表示装置に表示する地図表示装置において、前記地図表示制御部は、前記地下街図の座標補正により前記地上地図との位置合せを行い、前記表示装置の別画面に前記地上地図表示画面と前記地下街図表示画面を表示して両表示画面の表示位置を連携表示するようにしたことを特徴とする地図表示装置。
【請求項2】
請求項1において、前記地図表示制御部は、前記地上地図データが格納されている地上地図データ格納手段と、前記地下街図データが格納されている地下街図データ格納手段と、前記入力装置で指定された前記地上地図あるいは前記地下街図の表示に必要な前記地上地図データあるいは前記地下街図データを決定する表示地図決定手段と、前記表示地図決定手段で決定された前記地上地図データあるいは前記地下街図データを前記地上地図データ格納手段あるいは前記地下街図データから読込む地図データ読込み手段と、前記地図データ読込み手段で読込んだ前記地上地図データあるいは前記地下街図データを記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された前記地上地図データと前記地下街図データを用いて前記表示装置に地図を表示する地図描画手段とを具備することを特徴とする地図表示装置。
【請求項3】
請求項1において、前記経路探索処理部は地上出発地から地下街目的地までの経路探索を行うものであって、前記地上地図の道路ネットワークデータと前記地下街図のネットワークデータを用い、地上から地下街図の指定位置まで誘導する経路を前記表示装置に地上地図画面と地下街図画面を表示することを特徴とする地図表示装置。
【請求項4】
請求項3において、前記経路探索処理部は特定路線における区間位置とキロポスト値を指定して路線距離を補正するとともに、特定路線区間内における特定距離毎のキロポスト値を生成することを特徴とする地図表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2007−148094(P2007−148094A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−343753(P2005−343753)
【出願日】平成17年11月29日(2005.11.29)
【出願人】(390023928)日立エンジニアリング株式会社 (134)
【Fターム(参考)】