説明

地図表示装置

【課題】 コリド用メモリの容量の制限があっても、地図表示機能をできるだけ制限しないようにする。
【解決手段】 本発明の地図表示装置は、現在地から目的地までの推奨経路を探索して表示する機能と、地図データの一部を切り出してコリド用メモリに取り込み、この取り込んだ地図データに基づいて地図表示を実行するコリド機能とを備えたものにおいて、前記地図データの一部を切り出す場合に、前記推奨経路が通過する領域に対応する地図データを切り出すように構成すると共に、現在地と目的地との間の距離に応じて、前記推奨経路が通過する領域の広さを拡大し、この拡大した領域に対応する地図データを切り出すように構成したものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現在地から目的地までの推奨経路を探索して表示する機能と、地図データの一部を切り出してコリド用メモリに取り込み、この取り込んだ地図データに基づいて地図表示を実行するコリド機能とを備えた地図表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、カーナビゲーション装置の1つの機能として、コリド機能が知られている(例えば特許文献1参照)。このコリド機能は、DVD等に格納されている地図データの一部(または全部)を切り出してRAM等の別媒体、即ち、コリド用メモリに取り込み、このコリド用メモリ上に取り込まれている地図データを用いて経路案内等のナビ機能を実行する機能のことである。
【特許文献1】特許2663003号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
一般的にコリド用メモリは容量が制限されているため、地図データの全部を格納することができない。このため、コリド用メモリの容量に応じて限られた一部分の地図データを切り出してコリド用メモリに格納し、これを用いてナビ機能を実行している。この場合、全部の地図データを使用する場合に比べて、使用できる地図データのデータ量が制限されるので、ナビ機能も制限されてしまう。このため、ナビ機能になるべく制限を加えないようにするために、地図データの切り出し方を工夫する必要がある。
【0004】
例えば特許文献1に記載された構成においては、ユーザーが設定した経路に沿って地図データを切り出すことによって、切り出す地図データ(コリド用メモリ)の容量を制限すると共に、ナビ機能(経路案内機能)になるべく制限を加えないようにしている。この地図データの切り出し方について、図15、図16を参照して説明する。図15は、ユーザーが設定した経路と、地図とを示す図である。そして、図16は、上記図15の地図の上に、地図データの最小単位(地図データを切り出す大きさの単位)を重ねて示すと共に、経路に沿って切り出す地図データの領域(斜線領域)も示している。
【0005】
しかし、上記したように、ユーザーが設定した経路に沿って地図データを切り出した場合、経路の再探索を実行すると、再探索前の経路とほとんど変わらない経路しか算出することができず、最適な経路を算出できないという欠点があった。具体的には、図16に示すように、地図データを切り出した場合、コリド機能中において経路の再探索を実行するときには、図17に示すように、経路以外に使用できる道路は、D−E−IとN−O−Rとだけである。したがって、再探索前の経路とほとんど変わらない経路しか算出できないことがわかる。また、地図表示を実行する場合も、コリド用メモリに切り出されていない地図(詳細地図)を表示できないことから(但し、広域地図は表示できる)、地図表示機能が制限されるという不具合があった。
【0006】
そこで、本発明の目的は、コリド用メモリの容量の制限があっても、地図表示機能をできるだけ制限しないようにすることができる地図表示装置を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の地図表示装置は、現在地から目的地までの推奨経路を探索して表示する機能と、地図データの一部を切り出してコリド用メモリに取り込み、この取り込んだ地図データに基づいて地図表示を実行するコリド機能とを備えたものにおいて、前記地図データの一部を切り出す場合に、前記推奨経路が通過する領域に対応する地図データを切り出すように構成すると共に、現在地と目的地との間の距離に応じて、前記推奨経路が通過する領域の広さを拡大し、この拡大した領域に対応する地図データを切り出すように構成されているところに特徴を有する。
【0008】
上記構成によれば、地図データの一部を切り出す場合に、推奨経路が通過する領域に対応する地図データを切り出すように構成すると共に、現在地と目的地との間の距離に応じて、推奨経路が通過する領域の広さを拡大し、この拡大した領域に対応する地図データを切り出すように構成したので、コリド用メモリの容量の制限があっても、地図表示機能をできるだけ制限しないようにすることができる。
【0009】
また、上記構成の場合、前記推奨経路のうちの、高速道路に相当する経路部分については、通過する領域の広さを拡大しないように構成することが好ましい。更に、前記推奨経路が通過する領域に対応する地図データを切り出すときに、前記領域を通過する経路の道路種類や道路形状に応じて切り出す地図データの種類やデータ量を調整するように構成することが良い構成である。
【0010】
更にまた、前記推奨経路が通過する領域に対応する地図データを切り出すときに、前記領域を通過する時間帯に応じて切り出す地図データの種類やデータ量を調整するように構成することがより一層好ましい。
【0011】
一方、本発明の他の地図表示装置は、現在地から目的地までの推奨経路を探索して表示する機能と、地図データの一部を切り出してコリド用メモリに取り込み、この取り込んだ地図データに基づいて地図表示を実行するコリド機能とを備えたものにおいて、前記地図データの一部を切り出す場合に、前記推奨経路が通過する領域に対応する地図データを切り出すように構成すると共に、前記推奨経路が通過する領域内において前記推奨経路が通過する地点に応じて、前記推奨経路が通過する領域の広さを拡大し、この拡大した領域に対応する地図データを切り出すように構成することが好ましい。
【0012】
この構成の場合、前記推奨経路が通過する領域に対応する地図データを切り出すときに、切り出す単位領域を矩形状領域とすると共に、前記単位領域の縦辺及び横辺をそれぞれ3分割以上に分割したときに、縦辺または横辺に位置する3個以上の分割領域のうちの半分以上の分割領域を前記推奨経路が通過する場合、それら分割領域に隣接する単位領域に対応する地図データをも切り出すように構成されていることが好ましい。
【0013】
また、上記構成の場合、前記推奨経路のうちの、高速道路に相当する経路部分については、通過する領域の広さを拡大しないように構成することが好ましい。更に、前記推奨経路が通過する領域に対応する地図データを切り出すときに、前記領域を通過する経路の道路種類や道路形状に応じて切り出す地図データの種類やデータ量を調整するように構成することがより一層好ましい。更にまた、前記領域を通過する時間帯に応じて切り出す地図データの種類やデータ量を調整するように構成しても良い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明をカーナビゲーション装置に適用した第1の実施例について、図1ないし図7を参照しながら説明する。本実施例のカーナビゲーション装置は、音楽CDやビデオDVD等を読み込んで、音楽やビデオを再生するオーディオ機能を有している。まず、図1は、本実施例のカーナビゲーション装置1の電気的構成を示すブロック図である。
【0015】
この図1に示すように、本実施例のカーナビゲーション装置1は、ナビ制御部2と、各種音楽リソース再生装置群3と、オーディオ制御部4と、操作部5と、表示部6と、設定記憶部7と、タイマ部8と、音声切替部9と、音出力部10とを備えて構成されている。上記ナビ制御部2は、通常のコンピュータとして構成されており、内部にはCPU、ROM、RAM、I/O及びこれらの構成を接続するバスライン(いずれも図示しない)が備わっている。ナビ制御部2のRAMによりコリド用メモリが構成されている。更に、ナビ制御部2の内部には、ナビゲーションのために必要なGPS受信機、地磁気センサ、ジャイロスコープ、距離センサなど(いずれも図示しない)が設けられている。
【0016】
また、各種音楽リソース再生装置群3は、CD再生装置11と、DVD再生装置12と、MD再生装置13とを備えている。CD再生装置11は、CDデッキやCDチェンジャーで構成されている。DVD再生装置12は、DVDデッキで構成されている。MD再生装置13は、MDデッキやMDチェンジャーで構成されている。上記各種音楽リソース再生装置群3は、地図データ入力器としての機能も備えており、CD−ROM、DVD−ROM等に格納されている地図データやマップマッチング用データや目印データや音声認識用辞書データ等の各種データを入力するための装置である。
【0017】
また、オーディオ制御部4は、通常のコンピュータとして構成されており、内部にはCPU、ROM、RAM、I/O及びこれらの構成を接続するバスライン(いずれも図示しない)が備わっている。このオーディオ制御部4は、各種音楽リソース再生装置群3を制御してオーディオ一般の制御を実行する機能を有している。
【0018】
操作部5は、表示部6の表示画面の上面に設けられたタッチスイッチ(タッチパネル)と、表示部6の周辺部に設けられたメカニカルなプッシュスイッチ(図示しない)と、リモコン(リモートコントロール端末)等とから構成されている。表示部6は、地図を表示するための例えばカラー液晶ディスプレイで構成されており、地図データ(道路データ、文字データ及び背景データ等)、自車位置マーク、誘導経路等の付加データ等を重ねて表示することが可能なように構成されている。上記表示部6には、オーディオの操作画面も表示されるように構成されている。
【0019】
タイマ部8は、時間を計時する機能を有している。設定記憶部7は、いわゆる不揮発性メモリで構成されており、電源がオフされたときにもオーディオの設定等のデータを保持する機能を有している。音声切替部9は、各種音楽リソース再生装置群3から出力される音や、ナビ制御部2から出力されるナビゲーション音声(案内音声)を音出力部10に出力するものである。音出力部10は、複数のスピーカ14で構成されており、音や音声を出力する。
【0020】
尚、ナビ制御部2は、現在位置(出発地)から目的地までの最適経路(誘導経路)を自動的に計算して設定する機能(経路探索機能)を備えており、この自動的に最適経路を設定する方法としては、例えばダイクストラ法等を使用している。また、目的地は、ユーザーが操作部5を操作して設定することが可能なように構成されている。更に、ナビ制御部2は、表示部6に表示されている地図上に上記目的地までの最適経路(誘導経路)を重ねて表示する機能や、現在位置を上記地図上に位置付けるマップマッチング処理を実行する機能等を備えている。
【0021】
更にまた、ナビ制御部2は、図示しない送受信機(例えばVICS通信装置や携帯電話機(専用の携帯電話端末や汎用の携帯電話機等))を介して外部の情報供給センタ(例えばVICSセンタや種々の情報センタ等)との間でデータを送受信することができるように構成されている。
【0022】
次に、上記構成のカーナビゲーション装置1の作用、特には、地図データ入力器である各種音楽リソース再生装置群3(に挿入されている地図DISC)から地図データの一部を切り出してコリド用メモリ(ナビ制御部2)に取り込む際の制御(コリド機能の制御)について、図2ないし図7を参照して説明する。尚、図2及び図3のフローチャートは、制御回路2の制御の中の上記したコリド機能の制御部分の内容を示している。
【0023】
まず、図2のステップS1において、地図DISCを各種音楽リソース再生装置群3から排出させるための操作スイッチが操作されたか否かを判断する。ここで、該操作スイッチが操作されたときには、ステップS1にて「YES」へ進み、ステップS2へ進み、経路案内中であるか否かを判断する。ここで、経路案内中であるときには、ステップS2にて「YES」へ進み、ステップS3へ進み、コリド機能を実行するか否かを判断する。
【0024】
この場合、例えばユーザーがコリド機能の実行を指定する操作キーを操作すると、コリド機能の実行が設定され、ステップS3にて「YES」へ進み、ステップS4へ進み、地図データ切り出し処理を実行する。一方、コリド機能を実行しない場合(コリド機能の実行を指定する操作キーを操作しない場合)、ステップS3にて「NO」へ進み、ステップS5へ進み、地図DISCを排出する処理を実行するように構成されている。尚、コリド機能を実行するか否かの設定は、上記したように操作キーで指定する代わりに、設定画面等で予め設定しておくように構成しても良い。
【0025】
また、上記ステップS2において、経路案内中でないときには、「NO」へ進み、ステップS5へ進み、地図DISCを排出する処理を実行するように構成されている。
次に、地図データ切り出し処理(ステップS4)について、図3のフローチャートと図4ないし図7に従って具体的に説明する。まず、本実施例においては、地図データの一部を切り出す場合に、推奨経路が通過する領域に対応する地図データを切り出す(図4参照)ように構成されていると共に、現在地と目的地との間の距離に応じて、推奨経路が通過する領域の広さを拡大し、この拡大した領域に対応する地図データを切り出すように構成されている。
【0026】
具体的には、図3のステップS10において、現在地から目的地までの距離が例えば150km以上であるか否かを判断し、ここで、目的地までの距離が150km以上であれば、「YES」へ進み、ステップS20へ進む。このステップS20では、図4に示すように、推奨経路15が通過する領域に対応する地図データを切り出す(即ち、該当メッシュのみ取得する)。上記図4において、小さな矩形の領域は、地図データの最小単位の領域(いわゆる詳細メッシュ)に対応している。尚、上記領域(メッシュまたはセルと呼んでも良い)に対応する地図データとしては、道路リンクデータ、ランドマークデータ交差点名称データ、道路形状データ、施設データ、道幅データ、道路属性データ、車線数データ等のデータが適宜含まれている。
【0027】
一方、上記ステップS10において、目的地までの距離が150km以上なければ、「NO」へ進み、ステップS30へ進み、現在地から目的地までの距離が例えば100km以上であるか否かを判断する。ここで、目的地までの距離が100km以上あれば、「YES」へ進み、ステップS40へ進む。このステップS40では、図5に示すように、推奨経路15が通過する領域に対応する地図データと、上記通過する領域を中心としてその両側の各1枚の領域(即ち、2枚の領域)に対応する地図データとを切り出す(即ち、該当メッシュと、それを中心にしてその両側の各1枚のメッシュを取得する)。この構成の場合、現在地と目的地との間の距離に応じて、推奨経路15が通過する領域の広さを拡大し、この拡大した領域に対応する地図データを切り出す構成となっている。
【0028】
次に、上記ステップS30において、目的地までの距離が100km以上なければ、「NO」へ進み、ステップS50へ進み、現在地から目的地までの距離が例えば50km以上であるか否かを判断する。ここで、目的地までの距離が50km以上であれば、「YES」へ進み、ステップS60へ進む。このステップS60では、図6に示すように、推奨経路15が通過する領域に対応する地図データと、上記通過する領域を中心としてその両側の各2枚の領域(即ち、4枚の領域)に対応する地図データとを切り出す(即ち、該当メッシュと、それを中心にしてその両側の各2枚のメッシュを取得する)。この場合も、現在地と目的地との間の距離に応じて、推奨経路15が通過する領域の広さを拡大し、この拡大した領域に対応する地図データを切り出す構成となっている。
【0029】
一方、上記ステップS50において、目的地までの距離が50km以上なければ、「NO」へ進み、ステップS70へ進み、ここでは、図7に示すように、推奨経路15が通過する領域に対応する地図データと、上記通過する領域を中心としてその両側の各3枚の領域(即ち、6枚の領域)に対応する地図データとを切り出す(即ち、該当メッシュと、それを中心にしてその両側の各3枚のメッシュを取得する)。この場合も、現在地と目的地との間の距離に応じて、推奨経路15が通過する領域の広さを拡大し、この拡大した領域に対応する地図データを切り出す構成となっている。
【0030】
このような構成の本実施例によれば、地図データの一部を切り出す場合に、推奨経路15が通過する領域に対応する地図データを切り出すように構成すると共に、現在地と目的地との間の距離に応じて、推奨経路15が通過する領域の広さを拡大し、この拡大した領域に対応する地図データを切り出すように構成したので、コリド用メモリの容量の制限があっても、地図表示機能をできるだけ制限しないようにすることができる。例えば、目的地までの距離が短い場合(50km未満)、図7に示すように、推奨経路15が通過する領域に対応する地図データと、上記通過する領域を中心としてその両側の各3枚の領域(即ち、6枚の領域)に対応する地図データとを切り出すので、経路を再探索したときに、最適な経路を探索し易くなる。
【0031】
そして、上記実施例によれば、目的地までの距離が長い場合(150km以上)、図4に示すように、推奨経路15が通過する領域に対応する地図データを切り出すので、経路に沿う目的地までの地図データをコリド用メモリに取得することができ、容量の制限があるコリド用メモリを有効に活用することができる。
【0032】
尚、現在地と目的地との間の距離に応じて、推奨経路15が通過する領域の広さを拡大し、この拡大した領域に対応する地図データを切り出す際に、距離の数値と拡大させる地図データの量との関係は、上記実施例(図3〜図7参照)に限られるものではなく、実際に搭載されるコリド用メモリの容量(制限値)に合わせて具体的数値を決めるように構成すれば良い。
【0033】
図8ないし図12は、本発明の第2の実施例を示すものである。尚、第1の実施例と同一構成には、同一符号を付している。この第2の実施例では、地図データの一部を切り出す場合に、推奨経路15が通過する領域に対応する地図データを切り出すように構成すると共に、推奨経路15が通過する領域内において推奨経路15が通過する地点に応じて、推奨経路15が通過する領域の広さを拡大し、この拡大した領域に対応する地図データを切り出すように構成した。
【0034】
具体的には、まず、推奨経路15が通過する領域内において、推奨経路15が通過する地点を判定するに当たっては、図9に示すように、地図データを切り出す単位領域を矩形状領域16とすると共に、この単位領域16の縦辺及び横辺をそれぞれ3分割し、縦辺または横辺に位置する3個の分割領域のうちの2個以上の分割領域を推奨経路15が通過するかどうかを判定するようにした。
【0035】
そして、図8のステップS110において、単位領域16の東側(図9中の右側)の縦辺に位置する3個の分割領域のうちの2個以上の分割領域を推奨経路15が通過しているか(即ち、メッシュの東側通過の分割領域が2箇所以上か)否かを判断する。ここで、図10(a)に示すように、3個の分割領域を推奨経路15が通過しているとすると、「YES」へ進み、ステップS120へ進み、上記3つの分割領域に隣接する単位領域に対応する地図データを切り出す(当該メッシュの東側を取得する)ように構成されている(図11参照)。図11において、現在地からA地点までの地図データの切り出しが、ステップS120の処理に相当する。尚、図10(b)に示すように、3個の分割領域のうちの2個の分割領域を推奨経路15が通過している場合も、同様にして、ステップS120の処理が実行される。
【0036】
続いて(ステップS110において「NO」の場合も)、ステップS130へ進み、単位領域16の西側(図9中の左側)の縦辺に位置する3個の分割領域のうちの2個以上の分割領域を推奨経路15が通過しているか(即ち、メッシュの西側通過の分割領域が2箇所以上か)否かを判断する。ここで、図12(a)に示すように、3個の分割領域を推奨経路15が通過しているとすると、「YES」へ進み、ステップS140へ進み、上記3つの分割領域に隣接する単位領域に対応する地図データを切り出す(当該メッシュの西側を取得する)ように構成されている(図11参照)。図11において、B地点からC地点までの地図データの切り出しと、D地点から目的地までの地図データの切り出しが、ステップS140の処理に相当する。尚、図12(b)に示すように、3個の分割領域のうちの2個の分割領域を推奨経路15が通過している場合も、同様にして、ステップS140の処理が実行される。
【0037】
そして、ステップS150へ進み、単位領域16の南側(図9中の下側)の横辺に位置する3個の分割領域のうちの2個以上の分割領域を推奨経路15が通過しているか(即ち、メッシュの南側通過の分割領域が2箇所以上か)否かを判断する。ここで、図13(a)に示すように、3個の分割領域を推奨経路15が通過しているとすると、「YES」へ進み、ステップS160へ進み、上記3つの分割領域に隣接する単位領域に対応する地図データを切り出す(当該メッシュの南側を取得する)ように構成されている(図11参照)。図11において、C地点からD地点までの地図データの切り出しが、ステップS160の処理に相当する。尚、図13(b)に示すように、3個の分割領域のうちの2個の分割領域を推奨経路15が通過している場合も、同様にして、ステップS160の処理が実行される。
【0038】
更に、ステップS170へ進み、単位領域16の北側(図9中の上側)の横辺に位置する3個の分割領域のうちの2個以上の分割領域を推奨経路15が通過しているか(即ち、メッシュの北側通過の分割領域が2箇所以上か)否かを判断する。ここで、図14(a)に示すように、3個の分割領域を推奨経路15が通過しているとすると、「YES」へ進み、ステップS180へ進み、上記3つの分割領域に隣接する単位領域に対応する地図データを切り出す(当該メッシュの北側を取得する)ように構成されている。
【0039】
尚、図14(b)に示すように、3個の分割領域のうちの2個の分割領域を推奨経路15が通過している場合も、同様にして、ステップS180の処理が実行される。
このような構成の第2の実施例においては、推奨経路15が通過する領域に対応する地図データを切り出すときに、切り出す単位領域16を矩形状領域とすると共に、単位領域16の縦辺及び横辺をそれぞれ3分割したときに、縦辺または横辺に位置する3個の分割領域のうちの半分以上の分割領域を推奨経路15が通過する場合、それら分割領域に隣接する単位領域に対応する地図データをも切り出すように構成した。この構成によれば、経路を再探索したときに、最適な経路を探索し易くなると共に、コリド用メモリを有効に活用することができる。
【0040】
また、第1または第2の実施例においては、推奨経路15が通過する領域に対応する地図データを切り出す場合、地図データのすべてを切り出して取得するように構成したが、これに代えて、領域を通過する推奨経路15の道路種類や道路形状に応じて切り出す地図データの種類やデータ量を調整するように構成しても良い。
【0041】
具体的には、領域を通過する推奨経路15の道路種類が高速道路である場合、周辺施設データについては、SA(サービスエリア)とPA(パーキングエリア)の情報のみを切り出して取得するように構成することが好ましい。というのは、高速道路を走行中は、その道路の周辺の施設等の情報は不要であり、SAとPAの情報だけで十分であると考えられるためである。
【0042】
また、領域を通過する推奨経路15の道路種類が高速道路でない場合、周辺施設データについては、SAとPAの情報を除いた(省略した)情報を切り出して取得するように構成することが好ましい。
【0043】
更に、領域を通過する推奨経路15の道路種類が高速道路である場合、道路形状点のデータ量を例えば1/5、国道の場合、道路形状点のデータ量を例えば1/3にして(データ量を間引いて)切り出して取得することが好ましい。というのは、高速道路や国道の場合、運転者が道を間違える可能性は極めて低く、道路の形状も大雑把な形状(情報)で良いと考えられるためである。
【0044】
更にまた、領域を通過する推奨経路15の道路種類が高速道路であって、しかも、高速道路のみがその領域(メッシュ)を通過している場合には、周辺道路の情報を取得しないように構成することが好ましい。というのは、高速道路を走行中は、その高速道路の周辺の道路の情報は不要であるためである。
【0045】
また、推奨経路15(即ち、案内経路)が直進のみの領域である場合、交差点名称の情報を取得しないように構成することが好ましい。というのは、推奨経路15が直進のみの領域では、経路案内するときに交差点名称の情報が不要であるためである。
【0046】
一方、領域を通過する時間帯に応じて、切り出す地図データの種類やデータ量を調整するように構成することがより一層好ましい。具体的には、推奨経路15に基づいて、領域を通過する時間帯を計算し、この計算した通過時間帯が例えば11:00〜14:00、17:00〜20:00の場合には、周辺施設データに飲食店を追加して切り出して取得することが好ましい。また、通過時間帯が、22:00〜6:00の場合には、周辺施設データとしては、コンビニとガソリンスタンド(GS)の情報のみを取得するように構成することが良い。
【0047】
更に、現在地から目的地までの距離が例えば50km以下である場合には、周辺施設データを取得しないように構成しても良い。というのは、目的地まで近いから、運転者は、どこに何があるかがわかっているためである。
【0048】
尚、上述した変形例は、一例であり、種々の状況(案内経路、道路の種類、道路形状、通過時間帯等)に応じて取得データの種類や取得データ量を適宜変更するように構成することが好ましい。
【0049】
また、第1の実施例または第2の実施例においては、目的地までの距離に応じて、または、推奨経路15が通過する地点に応じて、推奨経路15が通過する領域の広さを拡大するように構成したが、推奨経路15のうちの、高速道路に相当する経路部分については、通過する領域の広さを拡大しないように構成することが好ましい。このように構成すると、コリド用メモリをより一層有効に活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の第1の実施例を示すカーナビゲーション装置のブロック図
【図2】コリド機能のフローチャート
【図3】地図切り出し処理のフローチャート
【図4】推奨経路に沿って地図データを切り出す制御を説明する図
【図5】領域を拡大したときの図4相当図
【図6】領域を拡大したときの図4相当図
【図7】領域を拡大したときの図4相当図
【図8】本発明の第2の実施例を示す図3相当図
【図9】領域の分割を説明する図
【図10】推奨経路が東側の分割領域を通過する状態を説明する図
【図11】図4相当図
【図12】推奨経路が西側の分割領域を通過する状態を説明する図
【図13】推奨経路が南側の分割領域を通過する状態を説明する図
【図14】推奨経路が北側の分割領域を通過する状態を説明する図
【図15】従来構成を示すもので、経路を地図上に示す図
【図16】切り出された地図データとその周りの地図データとの関係を示す図
【図17】切り出された地図データを主として示す図
【符号の説明】
【0051】
図面中、1はカーナビゲーション装置、2はナビ制御部、3は各種音楽リソース再生装置群、4はオーディオ制御部、10は音出力部、11はCD再生装置、12はDVD再生装置、13はMD再生装置、15は推奨経路を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現在地から目的地までの推奨経路を探索して表示する機能と、地図データの一部を切り出してコリド用メモリに取り込み、この取り込んだ地図データに基づいて地図表示を実行するコリド機能とを備えた地図表示装置において、
前記地図データの一部を切り出す場合に、前記推奨経路が通過する領域に対応する地図データを切り出すように構成すると共に、
現在地と目的地との間の距離に応じて、前記推奨経路が通過する領域の広さを拡大し、この拡大した領域に対応する地図データを切り出すように構成されていることを特徴とする地図表示装置。
【請求項2】
前記推奨経路のうちの、高速道路に相当する経路部分については、通過する領域の広さを拡大しないように構成されていることを特徴とする請求項1記載の地図表示装置。
【請求項3】
前記推奨経路が通過する領域に対応する地図データを切り出すときに、前記領域を通過する経路の道路種類や道路形状に応じて切り出す地図データの種類やデータ量を調整するように構成されていることを特徴とする請求項1または2記載の地図表示装置。
【請求項4】
前記推奨経路が通過する領域に対応する地図データを切り出すときに、前記領域を通過する時間帯に応じて切り出す地図データの種類やデータ量を調整するように構成されていることを特徴とする請求項1または2記載の地図表示装置。
【請求項5】
現在地から目的地までの推奨経路を探索して表示する機能と、地図データの一部を切り出してコリド用メモリに取り込み、この取り込んだ地図データに基づいて地図表示を実行するコリド機能とを備えた地図表示装置において、
前記地図データの一部を切り出す場合に、前記推奨経路が通過する領域に対応する地図データを切り出すように構成すると共に、
前記推奨経路が通過する領域内において前記推奨経路が通過する地点に応じて、前記推奨経路が通過する領域の広さを拡大し、この拡大した領域に対応する地図データを切り出すように構成されていることを特徴とする地図表示装置。
【請求項6】
前記推奨経路が通過する領域に対応する地図データを切り出すときに、切り出す単位領域を矩形状領域とすると共に、
前記単位領域の縦辺及び横辺をそれぞれ3分割以上に分割したときに、縦辺または横辺に位置する3個以上の分割領域のうちの半分以上の分割領域を前記推奨経路が通過する場合、それら分割領域に隣接する単位領域に対応する地図データをも切り出すように構成されていることを特徴とする請求項5記載の地図表示装置。
【請求項7】
前記推奨経路のうちの、高速道路に相当する経路部分については、通過する領域の広さを拡大しないように構成されていることを特徴とする請求項5または6記載の地図表示装置。
【請求項8】
前記推奨経路が通過する領域に対応する地図データを切り出すときに、前記領域を通過する経路の道路種類や道路形状に応じて切り出す地図データの種類やデータ量を調整するように構成されていることを特徴とする請求項5または6記載の地図表示装置。
【請求項9】
前記推奨経路が通過する領域に対応する地図データを切り出すときに、前記領域を通過する時間帯に応じて切り出す地図データの種類やデータ量を調整するように構成されていることを特徴とする請求項5または6記載の地図表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2007−24953(P2007−24953A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−202969(P2005−202969)
【出願日】平成17年7月12日(2005.7.12)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】