説明

地図表示装置

【課題】 画面上に車両の現在地に応じた地図を表示させる地図表示装置において、車両が走行する道幅に依存することなく常に道路状況を分かり易く表示できるようにする。
【解決手段】 ナビゲーションシステムにおいて、演算装置は視点変更処理において、自車両の現在地に対応する道幅情報を外部記憶装置から抽出し(S140)、この道幅情報に応じて地図表示範囲(視点高度等)を設定する(S150〜S190)。そして、自車両の現在地および地図表示範囲の設定に応じて、目標物情報を含む3次元地図を表示装置に表示させる(S230)。従って、自車両が走行する道路の道幅に応じて最適な地図表示範囲を設定することができるので、自車両が走行する道幅に依存することなく常に道路状況を分かり易く表示することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画面上に車両の現在地に応じた地図を表示させる地図表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、上記の地図表示装置としては、使用者が地図を理解し易くするために画面に地図を3次元表示する機能を有するものが知られている。そして、地図を3次元表示する際には、その視点高度を変更できるようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特許第3301420号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記地図表示装置においては、車両が市街地を走行するときなどには車両が走行する道路の両側にある建物(ランドマーク)の画像も表示させる機能を有するものもある。
【0004】
このような地図表示装置では、例えば、視点高度が低く設定されているときに、車両が非常に道幅の広い道を走行すると、画面上には道路が大部分を占めてしまい、かなり遠くの建物しか画面上に表示させることができないという問題点があった。
【0005】
一方、視点高度が高く設定されているときには、近くの建物も表示させることができるが、車両が狭い道を走行すると、画面上には多くの建物が表示されることになるため、画像を表示するための処理が増大するという問題点があった。特に、この場合において、建物に隠れた道路を表示させるために建物を半透明で表示させる場合には、表示させようとする画像の情報量がさらに増大してしまい、必要な情報の表示に遅延が発生してしまう虞があった。
【0006】
このため、上記地図表示装置において、最適な3次元地図を表示させるためには、車両が道幅の異なる道路を走行する度に、最適な視点高度を使用者に設定させる必要があるが、この作業が繁雑であるため、使用者は決まった視点高度のままで上記地図表示装置を使用する傾向がある。従って、車両が走行する道路の道幅によっては、道路状況を分かり易く表示できない虞があった。
【0007】
そこで、このような問題点を鑑み、画面上に車両の現在地に応じた地図を表示させる地図表示装置において、車両が走行する道幅に依存することなく常に道路状況を分かり易く表示できるようにすることを本発明の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的を達成するために成された請求項1に記載の地図表示装置においては、道幅情報抽出手段が、現在地検出手段により検出された自車両の現在地に対応する道幅情報を地図データ記録手段から抽出し、表示範囲設定手段が、道幅情報抽出手段により抽出された道幅情報に応じて地図表示範囲を設定する。そして、表示制御手段が、現在地検出手段により検出された自車両の現在地および表示範囲設定手段による地図表示範囲の設定に応じて、目標物情報を含む3次元地図を表示装置に表示させる。
【0009】
従って、このような地図表示装置によれば、自車両が走行する道路の道幅に応じて最適な地図表示範囲を設定することができるので、自車両が走行する道幅に依存することなく常に道路状況を分かり易く表示することができる。
【0010】
ところで、請求項1に記載の地図表示装置において、表示範囲設定手段は、請求項2に記載のように、自車両の現在地に対応する道路幅が広くなるにつれて、地図表示範囲を広く設定することが望ましい。
【0011】
このような地図表示装置によれば、道路幅が広い道路を自車両が走行している際には、地図表示範囲が広く設定されるので、表示画面が道路の画像で占められてしまうことを防止することができる。このため、道路状況をより分かり易く表示させることができる。
【0012】
また、請求項1または請求項2に記載の地図表示装置において、表示範囲設定手段は、例えば、表示する3次元地図の縮尺を変更することのみにより地図表示範囲を設定してもよいが、より好ましくは、請求項3に記載のように、表示範囲設定手段は、3次元地図を表示する際の視点高度および俯角を設定することにより地図表示範囲を設定することが望ましい。
【0013】
このような地図表示装置によれば、視点高度や俯角を変更することにより目標物を異なる態様で表示させることができるので、より目標物を分かり易く表示させることができる。
【0014】
さらに、請求項1〜請求項3に記載の地図表示装置においては、請求項4に記載のように、現在地検出手段により検出された自車両の現在地に対応する道路の両側に、目標物情報が存在するか否かを判定し、目標物情報が存在しない場合には道路情報抽出手段または表示範囲設定手段による作動を実行させないようにする禁止手段を備えていることが望ましい。
【0015】
即ち、自車両の現在地に対応する道路の両側に目標物情報が存在しない場合には、表示範囲の設定を行うことに意義がなくなるため、余計な処理を実行しないようにしているのである。
【0016】
従って、このような地図表示装置によれば、3次元地図を表示させる際の処理速度を向上することができる。
ところで、自車両の速度が速くなると、表示装置に表示された3次元地図の切り替え(スクロール)速度も速くなる。このため、より遠くの目標物を表示しなければ、運転者は3次元地図を視認してこれに対する対応をすることができない虞がある。
【0017】
そこで、請求項1〜請求項4の何れかに記載の地図表示装置においては、請求項5に記載のように、自車両の速度を検出する車速検出手段を備え、表示範囲設定手段は、前記車速検出手段により検出される自車両の速度が速くなるにつれて、地図表示範囲をより広く設定することが望ましい。
【0018】
このような地図表示装置によれば、自車両の速度が速くなると、より遠くの目標物を表示させることができるので、使用者は目標物を容易に視認することができる。よって、地図表示装置の利便性をより向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に本発明にかかる実施の形態を図面と共に説明する。
図1は本発明が適用されたナビゲーションシステム1(本発明でいう地図表示装置)を示すブロック図である。
【0020】
図1に示すナビゲーションシステム1は、乗用車やトラック等の車両に搭載される装置であって、演算装置11と、外部記憶装置13(本発明でいう地図データ記録手段)と、GPS受信装置14と、車速センサ15(本発明でいう車速検出手段)と、加速度センサ16(GPS受信装置14および車速センサ15とともに本発明でいう現在地検出手段)と、を備えている。また、ナビゲーションシステム1は、表示装置19と、操作スイッチ20と、音声出力装置21とを備えている。
【0021】
演算装置11は、CPU、ROM、RAM等を有する公知のマイクロコンピュータとして機能し、ROMに格納されたプログラムに基づいて公知のナビゲーション処理(目的地まで車両を誘導する処理等)を実行する。また、この演算装置11は、ROMに格納されたプログラムに基づいて、後述する視点変更処理も実行する。
【0022】
演算装置11のROMには、3次元地図を生成する際の複数の視点位置(本実施例においては「低」「中」「高」の3段階)と、この視点位置に対応する縮尺および視線方向等とが予め関連付けて記録されている。
【0023】
また、演算装置11のRAMには、何れの視点位置を用いて表示を行うかを記憶するための記憶領域(後述する視点変更処理にて使用)が予め設定されている。
外部記憶装置13は、例えば、HDD(ハードディスクドライブ)等からなり、この外部記憶装置13には、例えば、目標物(交差点、信号、建物(店舗、ランドマーク)等)の位置や形状の情報を表す目標物情報や、道路に関する情報を表す道路情報等を含む地図情報が記憶されている。
【0024】
具体的に、道路情報としては、図2(a)に示すように、属性(国道、県道、市道等)、道幅、中央分離帯幅、車線数等の情報が各道路に関連付けて記憶されている。
GPS受信装置14、車速センサ15、加速度センサ16は、主に自車両の現在地を測定するために用いられる。なお、自車両の現在地を測定する処理については、演算装置11がこれらのセンサを用いて行うが、この処理については公知技術であるため、ここでの説明は省略する。
【0025】
表示装置19は、演算装置11からの表示指令に基づいて、この指令に基づく画像を表示する。
また、操作スイッチ20は、例えば表示装置19の近傍に配置されており、自車両の乗員がこのナビゲーションシステム1に対して何らかの指令を入力する際に使用される。
【0026】
音声出力装置21は、演算装置11からの指令を受けると、この指令に応じた音声を生成し、図示しないスピーカから生成した音声を出力する。
ここで、演算装置11は、ナビゲーション処理の実行中において、表示装置19に3次元地図(立体地図)を表示させる機能を有する。即ち、演算装置11は、Zバッファ法、スキャンライン法、光線追跡法、レイトレーシング法、ラジオシティ法等の画像生成方法を利用して、外部記憶装置13に記憶された地図情報から表示状態の設定に応じた3次元地図を生成し、この生成した地図を表示装置19に表示させる。なお、本実施例の演算装置11においては、建物等の目標物の陰に隠れた道路を解りやすく表示するために、建物等の目標物を半透明で表示させる(図3(b)〜図3(d)参照)。
【0027】
このように、演算装置11が3次元地図を生成する際には、予め地図画像の表示状態(視点位置・縮尺・視線方向(俯角)等)を設定しておく必要がある。ここで、地図情報の表示状態の設定について図3を用いて説明する。図3は3次元地図を生成する際の視点位置とこの視点位置に応じた3次元地図の表示例を示す説明図である。
【0028】
図3(a)に示すように、3次元地図を生成する際の視点位置は、自車両の進行方向の後方側設定されており、自車両の位置を示すマーカ31からの距離が近いときには高度が低く、自車両の位置から遠ざかるにつれて急激に高度が高くなる曲線(2点鎖線にて表示)上に設定されている。
【0029】
また、その視点位置における視線方向はマーカ31が表示画面内に収まる方向に設定されており、またその縮尺は、マーカ31および地平線の位置が表示装置19のほぼ同じ位置になるよう設定されている。
【0030】
より具体的には、図3(b)〜図3(d)に示すような3次元地図が表示装置19に表示される。
即ち、図3(b)に示す3次元地図は、自車両が比較的道幅が広い道を走行しているときにおいて、視点高度が「高」(図3(a)に示すHの位置)に設定されている場合の表示例を示している。この表示例においては、道路の様子およびその両側に位置する建物の形状が、分かり易く表示されている。
【0031】
また、図3(c)に示す3次元地図は、図3(b)と同じ位置において、視点高度が「低」(図3(a)に示すLの位置)に設定されている場合の表示例を示している。この表示例においては、自車両が道幅の広い道路を走行しているため、表示画面の大部分が道路部分となっており、道路の様子は分かり易く表示されているが、道路の両側に位置する建物の形状については解り難いものとなっている。
【0032】
さらに、図3(d)に示す3次元地図は、自車両が比較的道幅が狭い道を走行しているときにおいて、視点高度が「低」に設定されている場合の表示例を示している。この表示例においては、視点高度が同じで道幅が広い場合の表示例(図3(c))と比較して、建物が表示される部分の面積が広いため、建物の形状が解り易いものとなっている。
【0033】
なお、自車両が比較的道幅が狭い道を走行しているときにおいて、視点高度が「高」に設定されていると、画面上に表示される建物等の目標物の数が非常に多くなるため、3次元地図を表示させるための処理に時間が掛かってしまう虞がある。
【0034】
このため、本実施例のナビゲーションシステム1では、自車両が走行している道路の道幅に応じて視点高度を切り替える(設定する)制御を行う。この制御について、図4を用いて説明する。図4は演算装置11のCPUが実行する視点変更処理を示すフローチャートである。
【0035】
なお、この視点変更処理において、S140、S310、S410の処理は本発明でいう道幅情報抽出手段に相当し、S140〜S190,S210〜S220の処理は本発明でいう表示範囲設定手段に相当する。また、S130の処理は本発明でいう禁止手段に相当し、S230の処理は本発明でいう表示制御手段に相当する。
【0036】
この視点変更処理は、例えば、ナビゲーション処理の一部の処理として、ナビゲーション処理の他の処理と並行して定期的に実行される処理であって、まず、S110にて、表示装置19に3次元地図を表示させているか否かを判定する。3次元地図を表示させていればS120に移行し、3次元地図を表示していなければこのまま視点変更処理を終了する。
【0037】
そして、S120では、GPS受信装置14や各種センサ15,16からの受信信号に基づいて、自車両の現在地を演算し、S130に移行する。
次いで、S130では、外部記憶装置13内に、現在地に該当する地域の市街図データがあるか否かを判定する。つまり、自車両が位置する道路の両側に建物のデータがあるか否かを判定する。市街図データがあればS140に移行し、市街図データがなければ視点変更処理を終了する。
【0038】
ここで、S110およびS130において、視点変更処理を終了する場合には、視点変更処理以外の他の処理において、2次元地図(平面地図)等の画像が生成され、この画像が表示装置19に表示されることになる。
【0039】
次に、S140では、現在地に応じた道幅データを外部記憶装置13から取得する。
次いで、S150に移行し、取得した道幅データに基づいて、道幅が20m以上であるか否かを判定する。道幅が20m以上であればS160に移行し、道幅が20m未満であればS170に移行する。
【0040】
S160では、視点高度を「高」に設定し、この設定を演算装置11のRAMに記憶させ、S220に移行する。
また、S170では、取得した道幅データに基づいて、道幅が10m以上であるか否かを判定する。道幅が10m以上であればS180に移行し、道幅が10m未満であればS190に移行する。
【0041】
S180では、視点高度を「中」(即ち、図3(a)に示すMの位置)に設定し、この設定を演算装置11のRAMに記憶させ、S200に移行する。
一方、S190では、視点高度を「低」に設定し、この設定を演算装置11のRAMに記憶させ、S200に移行する。
【0042】
次いで、S200では、車速センサ15から自車両の速度データを取得し、S210に移行する。
そして、S210では、取得した速度データに基づいて、自車両の速度が予め設定された基準速度(例えば、60km/h)以上であるか否かを判定する。自車両の速度が基準速度以上であればS220に移行し、自車両の速度が基準速度未満であればS230に移行する。
【0043】
次いで、S220では、演算装置11のRAMに記憶された視点高度の設定を、一段階「高」側に設定して演算装置11のRAMに再記憶し、S230に移行する。即ち、この処理では、演算装置11のRAMに記憶された視点高度の設定が、「低」であれば、視点高度を「中」に設定して記憶し直し、演算装置11のRAMに記憶された視点高度の設定が、「中」であれば、視点高度を「高」に設定して記憶し直す。
【0044】
そして、S230では、演算装置11のRAMに記憶された視点高度の設定に基づいて、3次元地図を生成し、この生成した3次元地図を表示装置19に表示させ、視点変更処理を終了する。
【0045】
ここで、S230にて生成される3次元地図においては、速度に応じた視点高度の変更(S200〜S220)を考慮しなければ、例えば、図3(b)および図3(d)に示すように、表示画像中における道路部分の割合がほぼ一定になるよう設定されている。つまり、建物等の目標物情報の視認性をよい状態にすると共に、目標物情報を表示する際における演算装置11の負荷が過度にかからないように設定されているのである。
【0046】
以上のように詳述したナビゲーションシステム1において、演算装置11は視点変更処理において、自車両の現在地に対応する道幅情報を外部記憶装置13から抽出し、この道幅情報に応じて地図表示範囲(視点高度等)を設定する。そして、自車両の現在地および地図表示範囲の設定に応じて、目標物情報を含む3次元地図を表示装置19に表示させる。
【0047】
従って、このようなナビゲーションシステム1によれば、自車両が走行する道路の道幅に応じて最適な地図表示範囲を設定することができるので、自車両が走行する道幅に依存することなく常に道路状況を分かり易く表示することができる。
【0048】
また、本実施例のナビゲーションシステム1において、演算装置11は、視点変更処理にて、自車両の現在地に対応する道路幅が広くなるにつれて、地図表示範囲を広く設定する。また、自車両の現在地に対応する道路幅が狭くなるにつれて、地図表示範囲を狭く設定する。
【0049】
従って、このようなナビゲーションシステム1によれば、道路幅が広い道路を自車両が走行している際には、地図表示範囲が広く設定されるので、表示画面が道路の画像で占められてしまうことを防止することができる。このため、道路状況をより分かり易く表示させることができる。
【0050】
また、本実施例のナビゲーションシステム1において、演算装置11は、視点変更処理において、3次元地図を表示する際の視点高度および俯角を設定することにより地図表示範囲を設定する。
【0051】
従って、このようなナビゲーションシステム1によれば、視点高度や俯角を変更することにより目標物を異なる態様で表示させることができるので、より目標物を分かり易く表示させることができる。
【0052】
さらに、本実施例のナビゲーションシステム1において、演算装置11は、視点変更処理にて、自車両の現在地に対応する道路の両側に、目標物情報(市街図データ)が存在するか否かを判定し、目標物情報が存在しない場合には道路情報抽出手段または視点変更処理による作動を実行させないようにする。
【0053】
従って、このようなナビゲーションシステム1によれば、目標物情報が存在しないときには、視点を変更する処理を実行しないようにすることができるので、3次元地図を表示させる際の処理速度を向上することができる。また、目標物情報が存在しない場合に地図表示範囲を変更する処理を行うと、かえって3次元地図が見難くなってしまう虞があるが、このようなナビゲーションシステム1によれば、このような事態を防止することができる。
【0054】
また、本実施例のナビゲーションシステム1においては、自車両の速度を検出する車速センサ15を備えている。そして、演算装置11は視点変更処理において、車速センサ15により検出される自車両の速度が速くなるにつれて、地図表示範囲をより広く設定する。
【0055】
このようなナビゲーションシステム1によれば、自車両の速度が速くなると、遠くの目標物を表示させることができるので、使用者は目標物を容易に視認することができる。よって、地図表示装置の利便性をより向上させることができる。
【0056】
なお、本発明の実施の形態は、上記の実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採りうる。
例えば、本実施例において、視点変更処理では、速度データを取得し、このデータに応じて視点高度を再設定する処理(S200〜S220)を実行したが、この処理については、省略してもよい。
【0057】
また、本実施例の視点変更処理においては、視点高度および俯角を設定することにより地図表示範囲を設定したが、例えば、表示する3次元地図の縮尺を変更することのみにより地図表示範囲を設定してもよい。
【0058】
さらに、本実施例の視点変更処理においては、自車両が位置する道路の道幅に応じて視点高度を変更するよう構成したが、この処理では道路の表示面積がなるべく一定割合になるように制御できればよいので、例えば、表示する画像をモニタリングし、道路の表示面積が一定割合になるように地図表示範囲を設定してもよいし、以下のような道幅に関するパラメータを用いた視点変更処理を実行してもよい。
【0059】
即ち、図5(a)に示す視点変更処理では、図4に示すS140,S150,S170の処理に換えて、S310〜S330の処理を行っている。このS310〜S330の処理では、道幅のデータを取得する換わりに道路の属性のデータを取得し、この属性を判断することにより視点高度を設定する。このようにするのは、市街図データが登録されている地域においては、市道よりも県道のほうが道幅が広く、県道よりも国道のほうが道幅が広いという傾向があるからであり、この属性に基づいて視点高度を設定すれば、良好に3次元地図を表示させることができるからである。
【0060】
つまり、図5(a)に示す視点変更処理では、S130にて、外部記憶装置13内に、現在地に該当する地域の市街図データがあると判定された場合には、S310に移行し、外部記憶装置13から道路の属性を取得する。
【0061】
そして、S320に移行し、取得した道路の属性が国道であるか否かを判定する。属性が国道であればS160に移行し、以後は既に述べた処理を実行する。また、属性が国道でなければS330に移行する。
【0062】
S330では、道路の属性が県道であるか否かを判定する。道路の属性が県道であればS180に移行し、以後は既に述べた処理を実行する。また、属性が県道でなければS190に移行し、以後は既に述べた処理を実行する。
【0063】
また、上記視点変更処理は、図5(b)に示すような処理にしてもよい。
即ち、予め演算装置11のROMまたは外部記憶装置13に、図2(b)に示すような視点決定テーブルを記憶させておいた上で、図4に示す視点変更処理のS150〜S190を、S410〜S430に置換した視点変更処理を実行すればよい。
【0064】
具体的には、S130にて、外部記憶装置13内に、現在地に該当する地域の市街図データがあると判定された場合には、S410に移行し、外部記憶装置13から道路情報(この場合は道幅のみ)を取得する。
【0065】
そして、S420に移行し、道路情報に対応する視点高度を視点決定テーブル(図2(b)参照)から検索し、この検索結果に応じて視点高度を設定し、この設定をRAMに記憶させる。
【0066】
次いで、S430に移行し、RAMに記憶された視点高度が「高」に設定されているか否かを判定する。視点高度が「高」に設定されていれば視点変更処理を終了し、視点高度が「高」以外に設定されていれば、S200に移行し、以後は既に述べた処理を実行する。
【0067】
また、予め演算装置11のROMまたは外部記憶装置13に、図2(c)に示すような視点決定テーブルを記憶させておいた上で、図5(b)に示す視点変更処理のS410の処理にて、道幅と道路の属性とを含む道路情報を取得し、S420にて、この道路情報に対応する視点高度を視点決定テーブル(図2(c)参照)から検索するようにしてもよい。
【0068】
上記のようにしても、上記実施例のナビゲーションシステム1と同様の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】ナビゲーションシステム1を示すブロック図である。
【図2】外部記憶装置に記憶された道路情報の一例を示す説明図(a)、および外部記憶装置に記憶された視点決定テーブルを示す説明図(b)(c)である。
【図3】3次元地図を生成する際の視点位置とこの視点位置に応じた3次元地図の表示例を示す説明図である。
【図4】実施例の視点変更処理を示すフローチャートである。
【図5】変形例の視点変更処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0070】
1…ナビゲーションシステム、11…演算装置、13…外部記憶装置、14…GPS受信装置、15…車速センサ、16…加速度センサ、19…表示装置、20…操作スイッチ、21…音声出力装置、31…マーカ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各道路における道幅を表す道幅情報、および該各道路の両側に位置する目標物を表す目標物情報、を含む地図データが記録された地図データ記録手段と、
自車両の現在地を検出する現在地検出手段と、
前記現在地検出手段により検出された自車両の現在地に対応する道幅情報を前記地図データ記録手段から抽出する道幅情報抽出手段と、
前記道幅情報抽出手段により抽出された道幅情報に応じて地図表示範囲を設定する表示範囲設定手段と、
前記現在地検出手段により検出された自車両の現在地および前記表示範囲設定手段による地図表示範囲の設定に応じて、前記目標物情報を含む3次元地図を表示装置に表示させる表示制御手段と、
を備えたことを特徴とする地図表示装置。
【請求項2】
前記表示範囲設定手段は、自車両の現在地に対応する道路幅が広くなるにつれて、地図表示範囲を広く設定することを特徴とする請求項1に記載の地図表示装置。
【請求項3】
前記表示範囲設定手段は、前記3次元地図を表示する際の視点高度および俯角を設定することにより地図表示範囲を設定することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の地図表示装置。
【請求項4】
前記現在地検出手段により検出された自車両の現在地に対応する道路の両側に、前記目標物情報が存在するか否かを判定し、該目標物情報が存在しない場合には前記道路情報抽出手段または前記表示範囲設定手段による作動を実行させないようにする禁止手段、を備えたことを特徴とする請求項1〜請求項3の何れかに記載の地図表示装置。
【請求項5】
自車両の速度を検出する車速検出手段を備え、
前記表示範囲設定手段は、前記車速検出手段により検出される自車両の速度が速くなるにつれて、地図表示範囲をより広く設定すること
を特徴とする請求項1〜請求項4の何れか記載の地図表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−57809(P2007−57809A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−242933(P2005−242933)
【出願日】平成17年8月24日(2005.8.24)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】