説明

地図表示装置

【課題】最前に表示されるアイコンまたは文字を短時間に切り替えることができる地図表示装置を提供する。
【解決手段】第1レイヤ41には、地図20を描画し、第2レイヤ42には、アイコン21a〜21dを描画する。第3レイヤ43には、何も描画せず、第4レイヤ44には、NEXTボタン22およびINFOボタン23を描画する。そして、第1〜第4レイヤ41〜44を下から上へ重ねた画像を表示モニタ16に表示する。NEXTボタン22が押圧されると、第3レイヤ43に、最前に表示するアイコン21aを描画する。そして、第1〜第4レイヤ41〜44を下から上へ重ねた画像を表示モニタ16に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アイコンまたは文字を地図に重ねて表示する地図表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ランドマークなどの施設を地図に重ねて表示する地図表示装置が従来技術として知られている(たとえば、特許文献1)。この地図表示装置では、複数のアイコンが重なって表示される場合、全体が表示される最前面のアイコンを順次切り替えて表示する。
【特許文献1】特開2001−317955号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1に記載されているような従来の地図表示装置では、最前面のアイコンを切り替える度に、すべてのアイコンを描画し直さなければならない。このため、短時間に最前に表示されるアイコンを切り替えることができないという問題点がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
(1)請求項1の発明の地図表示装置は、複数のアイコン、または複数の文字列を地図に重ねて表示モニタに表示する地図表示装置において、第1のレイヤに地図を描画する第1のレイヤ描画手段と、第2のレイヤに、複数のアイコン、または複数の文字列を描画する第2のレイヤ描画手段と、第3のレイヤに、複数のアイコンの中の1つのアイコン、または複数の文字列の中の1つの文字列を描画する第3のレイヤ描画手段と、第1のレイヤ描画手段により描画された第1のレイヤの上に第2のレイヤ描画手段により描画された第2のレイヤを重ね、かつ第2のレイヤ描画手段により描画された第2のレイヤの上に第3のレイヤ描画手段により描画された第3のレイヤを重ねた画像を表示モニタに表示する表示制御手段とを備えることを特徴とする。
(2)請求項2の発明は、請求項1に記載の地図表示装置において、複数のアイコンの中から1つのアイコン、または複数の文字列の中から1つの文字列を選択する選択手段を備え、第3のレイヤ描画手段は、第3のレイヤに、選択手段により選択されたアイコン、または文字列を描画することを特徴とする。
(3)請求項3の発明は、請求項2に記載の地図表示装置において、選択手段は、複数のアイコンの中から表示モニタにおける表示画面の中央に最も近いアイコンを最初に選択し、その後、表示画面の中央に近いアイコンから遠いアイコンへ選択するアイコンを順次変更することを特徴とする。
(4)請求項4の発明は、請求項3に記載の地図表示装置において、選択手段は、表示モニタの表示画面に表示されたボタンが押圧されると、選択するアイコンを変更することを特徴とする。
(5)請求項5の発明は、請求項3に記載の地図表示装置において、地図の縮尺を変更する縮尺変更手段を備え、選択手段は、縮尺変更手段により地図の縮尺が変更された後、複数のアイコンの中から表示モニタにおける表示画面の中央に最も近いアイコンを最初に選択することを特徴とする。
(6)請求項6の発明は、請求項3に記載の地図表示装置において、地図をスクロールするスクロール手段を備え、選択手段は、スクロール手段により地図がスクロールされた後、複数のアイコンの中から表示モニタにおける表示画面の中央に最も近いアイコンを最初に選択することを特徴とする。
(7)請求項7の発明は、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の地図表示装置において、アイコンは、気象情報を表示するアイコンまたは施設情報を表示するアイコンであることを特徴とする。
(8)請求項8の発明は、請求項7に記載の地図表示装置において、選択手段により選択されたアイコンに対応する気象の詳細情報または施設の詳細情報を表示モニタに表示することを指示する指示手段を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、複数のアイコンまたは複数の文字列を描画したレイヤの上に、それらのアイコンの中の1つのアイコン、またはそれらの文字列の中の1つの文字列を描画したレイヤを重ねることによって、アイコンまたは文字列を表示モニタに表示するようにした。これにより、最前に表示するアイコンまたは文字を短時間に切り替えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
−第1の実施の形態−
図1は、本発明の第1の実施の形態によるナビゲーション装置1を示す。このナビゲーション装置1は、衛星ラジオ放送による気象情報を受信し、その気象情報を地図に重ねて表示モニタ16に表示することができる。既知の衛星ラジオ放送として、たとえば、シリウスサテライトラジオなどがある。ナビゲーション装置1は、制御回路11、ROM12、RAM13、現在地検出装置14、画像メモリ15、表示モニタ16、スピーカ17、入力装置18、タッチパネル19、タッチパネルコントロール部110、衛星ラジオ受信部111、受信メモリ112およびディスクドライブ113を有している。ディスクドライブ113には、地図データが記憶されたDVD−ROM114が装填されている。
【0007】
制御回路11は、マイクロプロセッサ及びその周辺回路からなり、RAM13を作業エリアとしてROM12に格納された制御プログラムを実行して各種の制御を行う。制御回路11がDVD−ROM114に記憶された地図データに基づいて所定の経路探索処理を行うと、その処理結果が推奨経路として表示モニタ16に表示される。
【0008】
現在地検出装置14は車両の現在地を検出する装置である。現在地検出装置14は、振動ジャイロ14a、車速センサ14b、GPS(Global Positioning System)センサ14cなどからなる。振動ジャイロ14aは、車両の進行方向を検出する。車速センサ14bは、車速を検出する。GPSセンサ14cはGPS衛星からのGPS信号を検出する。ナビゲーション装置1は、この現在地検出装置14により検出された車両の現在地に基づいて、地図の表示範囲や経路探索開始点などを決定する。また、車両の現在地を地図上に自車位置マークとして表示する。
【0009】
画像メモリ15は、表示モニタ16に表示するための画像データを格納する。この画像データは道路地図描画用データや各種の図形データからなる。それらはDVD−ROM114に記憶された地図データなどに基づいて、適宜生成される。ナビゲーション装置1は、このようにして生成された画像データを用いることによって地図表示などを行うことができる。
【0010】
ディスクドライブ113は、DVD−ROM114から地図データを読み出す。地図データは、地図表示用データ、経路探索用データなどを含む。地図表示用データおよび経路探索用データには、地図データに格納されている道路のリンク情報およびノード情報が含まれている。地図表示用データは、広域から詳細まで7段階の縮尺の地図データを有する。ユーザの要求にしたがって、表示地図の縮尺を7段階に変更することができる。なお、DVD−ROM114以外の他の記録メディア、たとえばCD−ROMやハードディスクなどから地図データを読み出してもよい。
【0011】
表示モニタ16は、地図データなどの各種情報に基づいて、自車位置付近の地図などの各種情報を画面表示としてユーザに提供する。スピーカ17は、各種入力操作をユーザに指示したり、経路誘導したりするための音声を出力する。入力装置18は、ユーザが各種コマンドの設定などするための操作キーを有し、操作パネル上のボタンスイッチやパネル周囲のハードスイッチなどによって実現される。入力装置18を操作することによって、表示モニタ16に表示されている地図の縮尺を変更させたり、地図をスクロールさせたりすることができる。ユーザは、表示モニタ16の表示画面の指示やスピーカ17からの音声指示にしたがって、入力装置18を操作して目的地を設定する。また、入力装置18を操作することによって、衛星ラジオ放送を選局することができる。
【0012】
目的地がユーザにより設定されると、ナビゲーション装置1は現在地検出装置14により検出された現在地を出発地とし、目的地までの経路演算を所定のアルゴリズムに基づいて行う。このようにして求められた経路(以下、推奨経路という)は、表示形態、たとえば表示色などを変えることによって、他の道路と区別して画面表示される。これにより、ユーザは地図上の推奨経路を画面上で認識することができる。また、ナビゲーション装置1は、推奨経路にしたがって車両が走行できるように、ユーザに対して画面や音声などによる進行方向指示で経路誘導を行う。
【0013】
タッチパネル19は、表示モニタ15の表面に積層される透明のタッチスイッチである。表示モニタ16に表示される画像はタッチパネル19を通して表示される。表示モニタ16の表示画面を押圧するとタッチパネル19が押圧される。タッチパネル19は、タッチパネル19上の操作位置に応じた信号をタッチパネルコントロール部110に送出する。タッチパネルコントロール部110はその信号に基づいてタッチパネル19の押圧位置を算出する。ユーザが、表示モニタ16に表示された各種ボタンや表示メニューなどを指などで押圧すると、各種ボタンや表示メニューに定義された処理が実行される。
【0014】
衛星ラジオ受信部111は、図示しない衛星ラジオ局から人工衛星を介して放送される衛星ラジオ放送を受信し、制御回路11に出力する。受信された衛星ラジオ放送は、スピーカ17より出力される。また、受信された衛星ラジオ放送の気象情報は受信メモリ112に記憶される。
【0015】
衛星ラジオ放送の気象情報は、天気図の情報や、ハリケーンなどの嵐の情報、気象レーダによる雨量分布の情報、各観測地点における風向きや風力の情報などを有する。天気図の情報として、たとえば、高気圧あるいは低気圧の位置(緯度・経度)の情報、温暖前線あるいは寒冷前線の位置情報などが含まれる。嵐の情報には、ハリケーン、竜巻、あられ、メゾサイクロン、ひょう、雷雨などが発生している地域の観測位置や予想進路(移動方向)の情報などが含まれる。雨量分布の情報には、雨が降っている地域の観測位置とその位置における雨量の情報などが含まれる。
【0016】
受信メモリ112は、フラッシュメモリやハードディスクなどの書き換え可能な不揮発性記録媒体によって構成される。受信メモリ112は、衛星ラジオ受信部110によって受信された気象情報を記憶する。受信メモリ112に記憶された気象情報は、気象情報を示すアイコンとして地図上に表示される。
【0017】
次に、図2〜図4を参照して、重ねて表示されたアイコンの中から所望のアイコンを最前に表示させる操作について説明する。
【0018】
図2は、不図示のメニューから気象情報表示を選択すると表示される表示モニタ16の表示画面を説明するための図である。図2に示すように、表示画面には地図20が表示されており、地図20に重ねて気象情報を示すアイコン21a〜21d、NEXTボタン22およびINFOボタン23が表示されている。アイコン21a〜21dは、表示地点の気象情報を表示する。アイコン21aはあられを示し、アイコン21bはあられ見込みを示す。アイコン21c,21eは竜巻を示し、アイコン21dはメゾサイクロンを示す。NEXTボタン22は、表示されているアイコン21a〜21dの中から所定のアイコンを最前に表示させるためのボタンである。INFOボタン23は最前に表示されたアイコンに対応する地点の気象情報について詳細情報を表示させるためのボタンである。アイコン21aは、アイコン21b、アイコン21cおよびアイコン21dに重なって表示されている。このため、アイコン21aはよく見えない。
【0019】
図3は、アイコン21aを最前に表示させ、そのアイコン21aに対応する地点の気象情報について詳細情報を表示させる操作を説明するための図である。アイコン21aをよく見えるようにするため、アイコン21aを最前面に表示させる操作を行う。まず地図20をスクロールさせ、アイコン21aを表示画面の中央に移動させる。そして、図3(a)に示すように、NEXTボタン22を押圧する。その結果、図3(a)に示すように、表示画面の中央に最も近い位置のアイコン21aが最前に表示される。これにより、アイコン21がよく見えるようになり、ユーザはアイコン21aがあられを示すものであることを確認することができる。図3(b)に示すように、ユーザがさらにINFOボタン23を押圧すると、アイコン21aの表示地点における気象の詳細情報を表示した気象詳細情報画面30が表示される。気象詳細情報画面30には、気象情報の種別「Hail Positive」(あられ)、識別名称「KATSUMI」、移動速度「20km/h」、移動方向「NNW」(北北西)、および観測時間「20:00」が表示される。さらに、気象詳細情報画面30には、気象詳細情報画面30を閉じるためのCLOSEボタン31が表示される。
【0020】
NEXTボタン22を押圧してアイコン21aを最前に表示させた後、さらにNEXTボタン22を押圧すると、図4(a)に示すように、アイコン21aの次に表示画面の中央に近い位置に表示されているアイコン21bが最前に表示される。さらにNEXTボタン22を押圧すると、図4(b)に示すように、アイコン21bの次に表示画面の中央に近い位置に表示されているアイコン21cが最前に表示される。このように、ユーザはNEXTボタン22を繰り返し押圧することによって、最前に表示させるアイコンを表示画面の中央から外側へ移すことができる。これにより、ユーザは、表示されているアイコンの中から最前に表示させるアイコンを選択することができる。
【0021】
図5〜図7を参照して、表示されているアイコン21a〜21dの中から所定のアイコンを最前に表示する処理を説明する。制御回路11はRAM13に4つのレイヤを描画する作業領域を設け、図5に示す4つのレイヤ41〜44を描画する。第1レイヤ41には、地図20を描画し、第2レイヤ42には、アイコン21a〜21dを描画する。第3レイヤ43には、何も描画せず、第4レイヤ44には、NEXTボタン22およびINFOボタン23を描画する。そして、図6に示すように、第1レイヤ41、第2レイヤ42、第3レイヤ43および第4レイヤ44を下から上へ重ねた画像の画像データ50を作成し、画像メモリ15に格納する。これにより、図2に示す画像を表示モニタ16に表示することができる。
【0022】
NEXTボタン22が押圧されると、図7に示すように、第3レイヤ43に、最前に表示するアイコン21aを描画する。そして、第1レイヤ41、第2レイヤ42、第3レイヤ43および第4レイヤ44を下から上へ重ねた画像の画像データを作成し、画像メモリ15に格納する。これにより、図3(a)に示す、アイコン21aが最前に表示された画像を表示モニタ16に表示することができる。
【0023】
次に、図8のフローチャートを参照して、本発明の第1の実施の形態におけるアイコン表示処理について説明する。図8の処理は、NEXTボタンが押圧されるとスタートするプログラムであり、制御回路11により実行される。
【0024】
ステップS801では、所定範囲内に表示されているアイコンの中で表示画面の中央に最も近いアイコンを検出する。ここで所定範囲とは、表示画面の中央から所定距離内の範囲(たとえば、表示画面の中央から10cmの範囲)である。ステップS802では、検出したアイコンを第3レイヤに描画する。ステップS803では、第1レイヤ、第2レイヤ、第3レイヤおよび第4レイヤを重ねた画像を表示モニタ16に表示する。第1レイヤ、第2レイヤおよび第4レイヤには、NEXTボタンが押圧されたときに作成されていたものを使用する。
【0025】
ステップS804では、タッチパネルコントロール部110により算出されたタッチパネル19の押圧位置に基づいて、NEXTボタンが押圧されたか否かを判定する。NEXTボタンが押圧された場合はステップS804が肯定判定され、ステップS805へ進む。NEXTボタンが押圧されていない場合はステップS804が否定判定され、ステップS807へ進む。ステップS805では、所定範囲内に表示されているアイコンの中で表示画面の中央に、第3レイヤに描画されたアイコンの次に近いアイコンが存在するか否かを判定する。次に近いアイコンが存在する場合はステップS805が肯定判定され、ステップS806へ進む。次に近いアイコンが存在しない場合はステップS805が否定判定され、ステップS801に戻る。ステップS806では、第3レイヤに描画されていたアイコンを消去した後、所定範囲内に表示されているアイコンの中で、第3レイヤに描画されていたアイコンの次に表示画面の中央に近いアイコンを第3レイヤに描画する。そして、ステップS803に戻る。
【0026】
ステップS807では、タッチパネルコントロール部110により算出されたタッチパネル19の押圧位置に基づいて、INFOボタンが押圧されたか否かを判定する。INFOボタンが押圧された場合はステップS807が肯定判定され、ステップS808へ進む。INFOボタンが押圧されていない場合はステップS807が否定判定され、ステップS804に戻る。ステップS808では、第3レイヤに描画されたアイコンに対応する気象詳細情報画面を表示モニタ16に表示する。ステップS809では、タッチパネルコントロール部110により算出されたタッチパネル19の押圧位置に基づいて、CLOSEボタンが押圧されたか否かを判定する。CLOSEボタンが押圧された場合はステップS809が肯定判定され、アイコン表示処理を終了する。CLOSEボタンが押圧されない場合はステップS809を繰り返す。
【0027】
以上の本発明の第1の実施の形態によるナビゲーション装置1は次のような作用効果を奏する。
(1)複数のアイコン21a〜21dを描画したレイヤ42の上に、それらのアイコン21a〜21dの中の1つのアイコン21aを描画したレイヤ43を重ねることによって、アイコン21a〜21dを表示モニタ16に表示するようにした。これにより、レイヤ42において、最前にアイコン21aが表示されたようにアイコン21a〜21dを再描画する必要がないので、最前に表示されるアイコン21aを短時間に切り替えることができる。
【0028】
(2)表示モニタ16の表示画面の中央に最も近いアイコン21aを最前に表示するようにした。したがって、ユーザは、地図20をスクロールさせて、所望のアイコン21aを表示画面の中央に表示させることにより、複数のアイコン21a〜21dの中から最前に表示するアイコン21aを選択できる。
【0029】
(3)複数のアイコン21a〜21dの中から表示モニタ16における表示画面の中央に最も近いアイコン21aを最初に選択し、その後、表示画面の中央に近いアイコンから遠いアイコンへ選択するアイコンを順次変更するようにした。これにより、画面の中央から少し離れた他のアイコン21b,21cを選択する場合、地図20を再びスクロールする必要はないので便利である。
【0030】
(4)所望のアイコン21aを最前に表示することができるアイコン21a〜21dは、気象情報を表示するものである。これにより、他のアイコンに隠れて見えない気象情報を確実に認識することができる。
【0031】
(5)INFOボタン23が押圧されると、最前に表示されているアイコン21aに対応する気象の詳細情報30を表示するようにした。これにより、アイコン21aにより認識できる気象情報の他に、さらに詳しい気象情報を知ることができ、ナビゲーション装置1の利便性が向上する。
【0032】
−第2の実施形態−
本発明の第2の実施形態では、NEXTボタンが押圧された後、表示モニタ16に表示された地図の縮尺が変更されると、表示画面の中央に最も近いアイコンが最前に表示されるようにする。本発明の第2の実施形態によるナビゲーション装置の構成は、第1の実施形態によるナビゲーション装置1の構成と共通する。したがって、本発明の第2の実施形態によるナビゲーション装置1の構成についての説明は省略する。
【0033】
次に、図9のフローチャートを参照して、本発明の第2の実施の形態におけるアイコン表示処理について説明する。図9の処理は、NEXTボタンが押圧されるとスタートするプログラムであり、制御回路11により実行される。図8の処理と同じステップについては同じ符号を付し、図8の処理と異なる部分を主に説明する。
【0034】
ステップS803の次にステップS901に進む。ステップS901では、地図の縮尺が変更されたか否かを判定する。地図の縮尺が変更された場合はステップS901が肯定判定され、ステップS801に戻る。地図の縮尺が変更されていない場合はステップS901が否定判定され、ステップS804に進む。
【0035】
以上の本発明の第2の実施の形態によるナビゲーション装置は次のような作用効果を奏する。
NEXTボタン22を複数回押圧し、最前に表示するアイコンを切り替えているときに最前に表示したアイコンを覚えていても、地図の縮尺を変更すると今まで最前に表示したアイコンを忘れてしまう場合がある。これは、地図の表示が変更されたことに気を取られ、最前に表示したアイコンの記憶が消えてしまうからである。このような状態で、NEXTボタン22を押圧すると、予想していなかったアイコンが最前に表示され、所望のアイコンを最前に表示させるためにはどうすればよいかとユーザは混乱してしまう。しかし、本発明の第2の実施の形態では、地図の縮尺が変更された後、改めて表示画面の中央に最も近いアイコンから、NEXTボタン22が押圧されるごとに最前に表示させるアイコンが切り替わる。したがって、ユーザは上述のように混乱することはない。
【0036】
−第3の実施形態−
本発明の第3の実施形態では、NEXTボタンが押圧された後、表示モニタ16に表示された地図がスクロールされると、スクロールされた後の表示画面の中央に最も近いアイコンが最前に表示されるようにする。本発明の第3の実施形態によるナビゲーション装置の構成は、第1の実施形態によるナビゲーション装置1の構成と共通する。したがって、本発明の第3の実施形態によるナビゲーション装置1の構成についての説明は省略する。
【0037】
次に、図10のフローチャートを参照して、本発明の第3の実施の形態におけるアイコン表示処理について説明する。図10の処理は、NEXTボタンが押圧されるとスタートするプログラムであり、制御回路11により実行される。図8の処理と同じステップについては同じ符号を付し、図8の処理と異なる部分を主に説明する。
【0038】
ステップS803の次にステップS1001に進む。ステップS1001では、地図がスクロールされたか否かを判定する。地図がスクロールされた場合はステップS1001が肯定判定され、ステップS801に戻る。地図がスクロールされていない場合はステップS1001が否定判定され、ステップS804に進む。
【0039】
以上の本発明の第3の実施の形態によるナビゲーション装置は次のような作用効果を奏する。
表示モニタ16に表示された地図がスクロールされると、スクロールされた後の表示画面の中央に最も近いアイコンが最前に表示されるようにした。これにより、地図をスクロールさせた後、改めて1つのアイコンを最前に表示させる操作を行う必要がないので、便利である。
【0040】
以上の実施の形態を次のように変形することができる。
(1)最前に表示されるものを切り替えることができるアイコンは、気象情報を表示するアイコンに限定されない。たとえば、図11に示すように施設を表示するアイコンでもよい。ここで、アイコン61aはコンビニエンスストアを示し、アイコン61bはガソリンスタンドを示す。アイコン61cはハンバーガショップを示し、アイコン61dは銀行を示す。アイコン61eはカーショップを示す。
【0041】
図11(a)に示すように、表示画面の中央に表示されているアイコン61aは、他のアイコン61b〜61eと重なって表示されており、アイコン61aの視認性が悪い。このアイコン61aを最前に表示させる場合、図11(b)に示すように、ユーザは地図60に重ねて表示されているNEXTボタン62を押圧する。その結果、図11(b)に示すように、アイコン61aは最前に表示される。また、INFOボタンを押圧するとアイコン61aに対応する施設の詳細情報を表示した不図示の詳細情報画面が表示モニタ16に表示される。詳細情報画面には、施設の名称、施設の住所、施設の電話番号、施設の営業時間などの情報が表示される。
【0042】
この場合もNEXTボタン62が押圧されると、図12に示すように、第3レイヤ73に、最前に表示するアイコン61aを描画する。そして、第1レイヤ71、第2レイヤ72、第3レイヤ73および第4レイヤ74を下から上へ重ねた画像の画像データを作成し、画像メモリ15に格納する。これにより、図11(b)に示すアイコン61aが最前に表示された画像を表示モニタ16に表示することができる。
【0043】
この場合も、アイコン61aが最前に表示されるようにアイコンを全て描画し直す処理より、最前に表示するアイコン61aのみを描画する処理の方が短時間に完了するため、最前に表示されるアイコン61aを短時間に切り替えることができる。
【0044】
(2)最前に表示されるものを切り替えることができるものは、アイコン以外に文字列であってもよい。たとえば、施設の名称を吹き出し内の文字列で表示する場合について説明する。図13(a)に示すように、吹き出し81の文字列は吹き出し82によって視認できない。そこで、所定の操作によって、図13(b)に示すように吹き出し81の文字列を最前に表示するようにする。
【0045】
この場合、図14に示すように、吹き出しを描画した第3レイヤ93に重ねて、最前に表示する吹き出し81を描画した第4レイヤ94を表示する。ここで、第1レイヤ91には地図を描画し、第2レイヤ92には自車位置マークを描画する。第1レイヤ91、第2レイヤ92、第3レイヤ93および第4レイヤ94を下から上へ重ねた画像の画像データを生成し、画像メモリ15に格納する。これにより、図13(b)に示すような吹き出し81の文字列が最前に表示された表示画面を表示モニタ16に表示することができる。
【0046】
吹き出し81が最前に表示されるように吹き出しを全て描画し直す処理より、最前に表示する吹き出し81のみを描画する処理の方が短時間に完了するため、最前に表示される文字列を短時間に切り替えることができる。
【0047】
(3)NEXTボタン22を押圧するごとに、表示画面の中央に近いアイコンから遠いアイコンへ選択するアイコンを変更するようにした。しかし、NEXTボタン22を1回押圧すると、所定時間間隔で自動的に表示画面の中央に近いアイコンから遠いアイコンへ選択するアイコンが変更するようにしてもよい。NEXTボタン22を何度も押圧する必要がないので便利である。
【0048】
本発明は、地図表示装置であれば、ナビゲーション装置に限定されない。たとえば、本発明は、地図を表示するPDA(Personal Digital Assistants)、モバイルPC(Personal Computer)などの情報端末にも適用できる。
【0049】
実施形態と変形例の一つ、もしくは複数を組み合わせることも可能である。変形例同士をどのように組み合わせることも可能である。
【0050】
以上の説明はあくまで一例であり、発明は、上記の実施形態に何ら限定されるものではない。
【0051】
特許請求の範囲の要素と実施の形態との対応関係を説明する。
本発明の第1のレイヤ描画手段、第2のレイヤ描画手段、第3のレイヤ描画手段および表示制御手段は制御回路11に対応する。選択手段は制御回路11、タッチパネル19およびタッチパネルコントロール部110に対応し、縮尺変更手段、スクロール手段および指示手段は制御回路11および入力装置18に対応する。なお、以上の説明はあくまで一例であり、発明を解釈する上で、上記の実施形態の構成要素と本発明の構成要素との対応関係になんら限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の第1の実施の形態によるナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図2】不図示のメニューから気象情報表示を選択すると表示される表示モニタ16の表示画面を説明するための図である。
【図3】視認性の悪いアイコンを最前に表示させ、そのアイコンに対応する地点の気象情報について詳細情報を表示させる操作を説明するための図である。
【図4】NEXTボタンを押圧して所定のアイコンを最前に表示させた後、さらにNEXTボタン22を押圧したときに表示される表示モニタの表示画面を説明するための図である。
【図5】第1の実施の形態における表示画面の中央に最も近いアイコンを最前に表示する処理を行う前の4つのレイヤに描画された画像を説明するための図である。
【図6】4つのレイヤを重ねて表示することによりアイコンを表示した地図を表示する処理を説明するための図である。
【図7】第1の実施の形態における表示画面の中央に最も近いアイコンを最前に表示する処理を行ったときの4つのレイヤに描画された画像を説明するための図である。
【図8】本発明の第1の実施の形態におけるアイコン表示処理を説明するためのフローチャートである。
【図9】本発明の第2の実施の形態におけるアイコン表示処理を説明するためのフローチャートである。
【図10】本発明の第3の実施の形態におけるアイコン表示処理を説明するためのフローチャートである。
【図11】施設を表示する所定のアイコンを最前に表示させる操作を説明するための図である。
【図12】施設を表示する所定のアイコンを最前に表示させるときの4つのレイヤに描画された画像を説明するための図である。
【図13】所定の文字列を最前に表示させることについて説明するための図である。
【図14】所定の文字列を最前に表示させるときの4つのレイヤに描画された画像を説明するための図である。
【符号の説明】
【0053】
1 ナビゲーション装置
11 制御回路
16 表示モニタ
19 タッチパネル
20,60,80 地図
21a〜21e,61a〜61e アイコン
22,62 NEXTボタン
23,63 INFOボタン
30 気象詳細情報画面
31 CLOSEボタン
41〜44,71〜74,91〜94 レイヤ
81,82 吹き出し
110 タッチパネルコントロール部
111 衛星ラジオ受信部
112 受信メモリ
113 ディスクドライブ
114 DVD−ROM

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のアイコン、または複数の文字列を地図に重ねて表示モニタに表示する地図表示装置において、
第1のレイヤに前記地図を描画する第1のレイヤ描画手段と、
第2のレイヤに、前記複数のアイコン、または前記複数の文字列を描画する第2のレイヤ描画手段と、
第3のレイヤに、前記複数のアイコンの中の1つのアイコン、または前記複数の文字列の中の1つの文字列を描画する第3のレイヤ描画手段と、
前記第1のレイヤ描画手段により描画された第1のレイヤの上に前記第2のレイヤ描画手段により描画された第2のレイヤを重ね、かつ前記第2のレイヤ描画手段により描画された第2のレイヤの上に前記第3のレイヤ描画手段により描画された第3のレイヤを重ねた画像を前記表示モニタに表示する表示制御手段とを備えることを特徴とする地図表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の地図表示装置において、
前記複数のアイコンの中から1つのアイコン、または前記複数の文字列の中から1つの文字列を選択する選択手段を備え、
前記第3のレイヤ描画手段は、 第3のレイヤに、前記選択手段により選択されたアイコン、または文字列を描画することを特徴とする地図表示装置。
【請求項3】
請求項2に記載の地図表示装置において、
前記選択手段は、前記複数のアイコンの中から前記表示モニタにおける表示画面の中央に最も近いアイコンを最初に選択し、その後、前記表示画面の中央に近いアイコンから遠いアイコンへ選択するアイコンを順次変更することを特徴とする地図表示装置。
【請求項4】
請求項3に記載の地図表示装置において、
前記選択手段は、前記表示モニタの表示画面に表示されたボタンが押圧されると、選択するアイコンを変更することを特徴とする地図表示装置。
【請求項5】
請求項3に記載の地図表示装置において、
前記地図の縮尺を変更する縮尺変更手段を備え、
前記選択手段は、前記縮尺変更手段により前記地図の縮尺が変更された後、前記複数のアイコンの中から前記表示モニタにおける表示画面の中央に最も近いアイコンを最初に選択することを特徴とする地図表示装置。
【請求項6】
請求項3に記載の地図表示装置において、
前記地図をスクロールするスクロール手段を備え、
前記選択手段は、前記スクロール手段により前記地図がスクロールされた後、前記複数のアイコンの中から前記表示モニタにおける表示画面の中央に最も近いアイコンを最初に選択することを特徴とする地図表示装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の地図表示装置において、
前記アイコンは、気象情報を表示するアイコンまたは施設情報を表示するアイコンであることを特徴とする地図表示装置。
【請求項8】
請求項7に記載の地図表示装置において、
前記選択手段により選択されたアイコンに対応する気象の詳細情報または施設の詳細情報を前記表示モニタに表示することを指示する指示手段を備えることを特徴とする地図表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−251217(P2009−251217A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−98047(P2008−98047)
【出願日】平成20年4月4日(2008.4.4)
【出願人】(591132335)株式会社ザナヴィ・インフォマティクス (745)
【Fターム(参考)】