説明

地図表示装置

【課題】遠方領域まで地図をスクロールさせる場合であっても、ユーザの操作負担が大きくならず、かつ地図情報の認識性の低下を抑制すること。
【解決手段】ユーザによって操作されるスクロールスイッチにより継続してスクロール指示がなされ、表示装置10に表示された地図のスクロール距離が所定の基準距離に達した場合、一段階広域の地図へと地図の縮尺が変更される。このため、地図の縮尺の変更前後で、同じ速度で地図をスクロールした場合であっても、地図縮尺の変更後は、地図縮尺の変更前に比較して、単位時間当たりの、実際の距離に換算した地図のスクロール距離を相対的に大きくできる。従って、ユーザは単にスクロールスイッチを継続して操作するだけで、遠方領域まで地図をスクロールする時間を短縮できる。さらに、地図の縮尺の変更前後で、地図のスクロール速度は同じであるため、地図上の文字や施設などの情報の認識性の低下を抑制できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザのスクロール指示操作によって、表示部に表示されている地図を所望の方向にスクロールさせることが可能な地図表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に記載されるように、ディスプレイに表示された地図をスクロールする装置が知られている。この特許文献1に記載された装置では、リモコンユニットに備えられたカーソルキーが押下されると、圧力検出部が、カーソルキーに加えられた押圧力を検出して圧力検出信号を出力する。移動量設定部は、この圧力検出信号に基づいて、表示画面の単位時間当たりのスクロール量をカーソルキー操作時の押圧力に比例するように設定する。ナビゲーション処理部は、この移動量設定部によって設定されたスクロール量に従って、地図をスクロールさせる。
【特許文献1】特開2001−166865号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述した従来の装置において、スクロールによって表示させたい地点を含む地図領域が、現在の表示地図領域から大きく離れている場合、ユーザは、相対的に強い力でカーソルキーを押下し続ける必要がある。このため、ユーザの操作負担が大きくなる。
【0004】
さらに、ユーザが相対的に強い力でカーソルキーを押下した場合、単位時間当たりのスクロール量、すなわち、地図のスクロール速度は速くなり、遠方への移動時間を短くすることが可能となるが、その一方で、地図のスクロール速度が速くなることに起因して、スクロール中の地図に含まれる文字や施設などの情報が認識しづらくなってしまう。このため、表示させたい地点や範囲を含む地図領域に、表示地図領域を上手く合わせ込むように操作することが困難になる。
【0005】
本発明は、上述した点に鑑みてなされたもので、遠方領域まで地図をスクロールさせる場合であっても、ユーザの操作負担が大きくならず、かつ地図情報の認識性の低下を抑制することが可能な地図表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の地図表示装置は、
表示部と、
表示部に表示される地図を所望の方向にスクロールさせる指示を行うスクロール指示手段と、
表示部に地図を表示させるとともに、スクロール指示手段によって指示された方向に地図をスクロールさせる地図表示手段とを備えた地図表示装置であって、
地図表示手段は、地図をスクロールさせた距離が、所定の基準距離に達したとき、より広域の地図が表示されるように地図の縮尺を変更し、この縮尺を変更した地図にてスクロールを継続することを特徴とする。
【0007】
上述した構成によれば、ユーザによって操作されるスクロール指示手段により継続してスクロール指示がなされ、表示部に表示された地図のスクロール距離が所定の基準距離に達した場合、広域の地図が表示されるように地図の縮尺が変更される。このため、地図の縮尺の変更前後で、例えば同じ速度で地図をスクロールした場合であっても、地図縮尺の変更後は、単位時間当たりの、実際の距離に換算した地図のスクロール距離を相対的に大きくすることができる。従って、ユーザのスクロール指示のための操作負担を増すことなく、遠方領域まで地図をスクロールする時間を短縮することができる。さらに、広域地図が表示されるように地図の縮尺を変更するので、単位時間当たりの、実際の距離に換算した地図のスクロール距離を大きくするために、見かけ上の地図のスクロール速度を極端に高めなくとも済む。従って、地図スクロール中において、ユーザによる地図情報の認識性の低下を抑制することができる。
【0008】
請求項2に記載したように、地図表示手段は、表示部に表示される地図の縮尺に係らず、見かけ上、一定の速度で地図をスクロールさせることが好ましい。これにより、地図スクロールによって地図の表示範囲が移動する速度(地図スクロール速度)が、表示される地図の縮尺に係らず見かけ上一定となる。従って、地図スクロール中において、ユーザにとってより見易い地図表示を行うことが可能となり、ユーザによる地図情報の認識性の低下をより一層抑制することができる。
【0009】
請求項3に記載したように、地図表示手段は、スクロール指示手段によるスクロール指示がなされている間に地図の縮尺を変更した場合、スクロール指示手段によるスクロール指示が終了したときに、当該地図の縮尺を、スクロール指示手段によるスクロール指示開始時点の地図の縮尺に戻すことが好ましい。表示地図の縮尺は、通常、各ユーザの趣向やニーズに合うように、ユーザの操作によって選択される。従って、請求項3に記載したように、スクロール指示が終了したとき元の表示地図の縮尺に戻すことにより、ユーザの趣向等に合致した縮尺で地図表示を継続して行うことができる。
【0010】
請求項4に記載したように、地図表示手段は、基準距離を複数設定し、地図をスクロールさせた距離に応じて、地図の縮尺の変更を複数回実行することが好ましい。このようにすると、スクロールによって表示させようとする領域が遠方になるほど、地図スクロール中に、より広域の地図へと地図の縮尺が変更される。このため、スクロールによって表示させようとする領域が遠方であっても、その領域までスクロールさせるのに要する時間が長くかかることを効果的に防止できる。
【0011】
請求項5に記載したように、基準距離は等間隔に複数設定され、地図表示手段は、地図をスクロールさせた距離が、等間隔に設定された基準距離に達する毎に、より広域の地図へと地図の縮尺を変更しても良い。このように、広域地図へと地図縮尺を変更する基準距離が等間隔に設定されると、詳細地図から広域地図に移行するほど、見かけ上、より短いスクロール距離で、さらに広域の地図へと地図の縮尺が変更される。このため、地図を遠方の領域までスクロールさせるときに、複数段階の地図縮尺の変更が、地図縮尺の変更を重ねるほど素早く行なわれるようになる。この結果、所望の遠方領域まで地図をスクロールさせるのに要する時間を短縮することができる。
【0012】
一方、請求項6に記載したように、基準距離は、表示部に表示可能な複数の縮尺の地図に対応してそれぞれ設定され、地図表示手段は、地図をスクロールさせた距離が、該当する縮尺の地図に対して設定された基準距離に達すると、広域の地図へと地図の縮尺を変更するようにしても良い。このように、各々の縮尺の地図に対応して基準距離をそれぞれ設定するようにすると、より広域の地図への縮尺の変更を行なうことが適切であると考えられる距離を、各縮尺の地図に対してきめ細かく設定することができる。
【0013】
請求項7に記載したように、地図表示手段が、広域地図へと段階的に地図の縮尺を変更する際に、その変更の上限となる縮尺を指示する上限縮尺指示手段をさらに備えるようにしても良い。この上限縮尺指示手段としては、例えば、予めユーザによって設定された上限縮尺を記憶するものであっても良いし、地図スクロール中に、それ以上の縮尺の変更を中止する、ユーザによって操作されるスイッチであっても良い。
【0014】
請求項8に記載したように、地図表示手段は、地図をスクロールさせた距離そのものではなく、スクロール指示手段によるスクロール指示がなされた継続時間に基づいて、地図をスクロールさせた距離が基準距離に達したか否かを間接的に判定することも可能である。スクロール指示がなされた継続時間と、地図をスクロールさせた距離との間には相関関係があるためである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態における地図表示装置に関して図面に基づいて説明する。なお、本実施形態では、地図表示装置が車両に適用され、地図の表示機能に加え、目的地への経路案内等の機能も備えた車両用ナビゲーション装置として具現化された例について説明する。
【0016】
図1は、本実施形態に係わる車両用ナビゲーション装置20の概略構成を示すブロック図である。同図に示すように、本実施形態の車両用ナビゲーション装置20は、位置検出器1、地図データ入力器6、操作スイッチ群7、外部メモリ9、表示装置10、音声コントローラ12、リモコンセンサ16、及びこれらに接続された制御回路としてのナビゲーションECU8を備えている。
【0017】
ナビゲーションECU8は通常のコンピュータとして構成されており、内部には周知のCPU、ROM、RAM、I/O及びこれらの構成を接続するバスラインが備えられている。ROMには、ナビゲーションECU8が実行するためのプログラムが書き込まれており、このプログラムに従ってCPU等が所定の演算処理を実行する。
【0018】
位置検出器1は、いずれも周知の地磁気センサ2、ジャイロスコープ3、走行距離を算出するための車速(距離)センサ4、及び衛星からの電波に基づいて車両の位置を検出するGPS(Global Positioning System)のためのGPS受信機5を有している。これらは、各々が性質の異なる誤差を持っているため、複数のセンサにより各々補完しながら使用するように構成されている。なお、各センサの精度によっては位置検出器1を上述した内の一部で構成しても良い。
【0019】
地図データ入力器6は、ノードデータ及びリンクデータからなる道路データ、地形等を示す背景データ、地名等を表示するための文字データなどからなる、地図を描画するために必要な地図データをナビゲーションECU8に入力する装置である。なお、上述した地図データは、予め設定された複数の縮尺の地図を表示できるように、各縮尺に対応した道路データ、背景データ、文字データの集合からなる。この地図データ入力器6は、地図データを記憶する記憶媒体を備え、その記憶媒体としては、記憶するデータ量からDVD−ROMやハードディスク等を用いるのが一般的であるが、その他の記憶媒体を用いてもよい。
【0020】
操作スイッチ群7は、後述する表示装置10の画面上に設けられたタッチパネルからなり、表示装置10における表示内容との組み合わせにより、各種入力操作に使用される。例えば、表示装置10には、後述する地図スクロール処理の実行を指示するスイッチとして、その画面中心位置の回りに例えば45度間隔で8個のスクロールスイッチが表示される。そして、それらのスクロールスイッチのいずれかに対応する位置をタッチ操作すると、そのタッチ操作がタッチパネルによって検出され、操作したスクロールスイッチに対応した方向に地図をスクロールさせることができる。その他にも、例えば、表示装置10には、表示された地図の縮尺を変更するためのアイコンも表示され、そのアイコンに対応する位置をタッチ操作することで表示地図の縮尺を変更することができる。また、表示装置10に表示された選択肢情報から所望の情報を選択したり、住所や電話番号等を入力したりすることで目的地を絞り込むための情報を入力することなどもできる。
【0021】
外部メモリ9は、例えばメモリカード等の読み書き可能な記憶媒体を有し、テキストデータや画像データ等の各種データの保存のために利用される。
【0022】
表示装置10は、例えば液晶ディスプレイによって構成され、表示装置10の画面には、ナビゲーションECU8の処理により、例えば、位置検出器1から入力された車両の現在位置に対応する自車位置マークと、地図データ入力器6より入力された地図データによって生成される車両周辺の道路地図が表示される。
【0023】
音声コントローラ12は、音声認識装置14と接続され、マイク15から入力された音声信号が音声認識装置14によって認識され、その音声信号に対応する操作信号をナビゲーションECU8へ出力する。また、音声コントローラ12は、ナビゲーションECU8によって指示された合成音声や喚起音をスピーカ13に出力する。
【0024】
リモコンセンサ16は、リモートコントロール端末(以下、リモコンと称する)17からの操作信号を無線にて受信する。このリモコン17も、上記した操作スイッチ群7と同様に、各種の入力に使用される。
【0025】
ここで、ナビゲーションECU8は、表示地図のスクロールを行うため、表示装置10の数画面分の地図データを記憶可能なVRAMを有している。そして、表示装置10に地図を表示する際には、地図データ入力器6から表示装置10の数画面分の地図データを読み出し、これをVRAMに一時的に記憶する。そして、この記憶した地図データの中から、表示装置10に表示させる地図データを抽出して、表示装置10に出力する。
【0026】
例えば、ナビゲーションECU8には、車両の現在位置を検出する位置検出器1が接続されており、車両が走行しているときは、この位置検出器1を用いて、車両の現在位置周辺の地図データを抽出して表示装置10に表示する。すなわち、現在地周辺の数画面分の地図データをVRAMに一時的に記憶し、車両が移動したときにも、車両の現在位置が常に表示装置10の画面中心などの一定の位置となるように、VRAMに記憶した地図データの中から現在位置を基準とした一画面分のデータを切り出して、表示装置10に送信する。
【0027】
また、表示装置10に地図が表示されているときに、タッチパネルへのタッチ操作やリモコン17の操作によってスクロール指示がなされた場合には、操作されたスクロールスイッチに対応する方向に所定の速度で表示地図がスクロールするように、VRAMから抽出する地図データの範囲をスクロール方向に徐々に移動させていく。
【0028】
次に、本実施形態の特徴的部分に係わる、表示地図のスクロール処理について、図2のフローチャートを用いて詳細に説明する。
【0029】
先ず、前提として、表示装置10には、地図が表示されているものとする(ステップS110)。このような状態で、ユーザが、表示装置10の表示画面においてタッチ操作を行ったりリモコン操作を行ったりして地図スクロールを指示すると、図2のフローチャートにおけるステップS120の判定結果が“Yes”となる。すると、ステップS130の処理に進んで、操作されたスクロールスイッチに対応する方向を、スクロール指示方向として、表示装置10に表示されている地図を所定の速度でスクロールさせる。なお、スクロールスイッチの操作がなされていないと判定された場合には、図2のフローチャートに示す処理を終了する。
【0030】
続くステップS140では、表示装置10の表示画面からユーザの指等が離れるなどして、スクロールスイッチの操作が終了したか否かを判定する。このステップS140において、スクロールスイッチの操作が終了したと判定されると、そのまま図2のフローチャートの処理を終了する。この場合、スクロールスイッチの操作が終了した時点で、地図スクロールが停止するため、表示装置10には、そのスクロール停止後の地図が表示される。一方、ユーザによるスクロールスイッチの操作が終了していないと判定された場合には、ステップS150の処理に進む。
【0031】
ステップS150では、スクロールスイッチの操作によって、地図をスクロールさせた結果、そのスクロール距離が所定の基準距離(例えば1000m)に達したか否かを判定する。この判定処理における判定結果が“Yes”となった場合、ステップS160の処理に進んで、表示装置10に表示している地図の縮尺を、一段階広域の地図となるように切替える。
【0032】
この場合、切替後(変更後)の縮尺の地図データが地図データ入力器6から読み出され、上述したVRAMに一時的に保存される。そのVRAMに記憶された地図データの中から、表示すべき範囲の地図データを切り出して、表示装置10に出力する。このとき、ユーザによるスクロール指示が継続しているので、VRAMにおける切り出し範囲がスクロール方向に沿って、徐々に移動する。
【0033】
なお、ステップS150の判定処理における判定結果が“No”となった場合には、ステップS130に戻り、表示地図の縮尺を変更することなく、地図スクロールを継続する。
【0034】
本実施形態では、上述した表示地図のスクロール処理により、ユーザによって操作されるスクロールスイッチにより継続してスクロール指示がなされ、表示装置10に表示された地図のスクロール距離が所定の基準距離に達した場合、一段階広域の地図が表示されるように地図の縮尺が変更される。このため、地図の縮尺の変更前後で、同じ速度で地図をスクロールした場合であっても、地図縮尺の変更後は、地図縮尺の変更前に比較して、単位時間当たりの、実際の距離に換算した地図のスクロール距離を相対的に大きくすることができる。従って、ユーザは単にスクロールスイッチを継続して操作するだけで、遠方領域まで地図をスクロールする場合の時間を短縮することができる。
【0035】
また、本実施形態では、表示装置10に表示される地図の縮尺が変更されても、表示地図は、縮尺の変更前と同じ所定速度でスクロールされる。すなわち、表示地図の縮尺に係らず、表示装置10に表示される地図は、見かけ上、一定の速度でスクロールされる。ここで、「見かけ上、一定の速度でのスクロール」とは、表示装置10の表示画面において、単位時間当たりに地図が移動する移動量が同じであることを意味する。従って、地図スクロール中において、地図のスクロール速度が速すぎて、文字や施設などの地図情報の読み取りが困難になるなどの、ユーザによる地図情報の認識性の低下を抑制することができる。
【0036】
なお、スクロール速度は、地図の縮尺の変更前後で、必ずしも一定でなくとも良い。例えば、単位時間当たりの、実際の距離に換算した地図のスクロール距離が相対的に大きくなる限り、表示地図の縮尺変更後のスクロール速度を、縮尺変更前のスクロール速度よりも僅かに遅くしても良い。逆に、表示地図上の文字等の情報が認識できる範囲で、僅かに早くしても良い。
【0037】
また、本実施形態では、ユーザによるスクロール操作が継続され、それによる地図のスクロール距離が基準距離に達するたびに、一段階広域の地図への地図縮尺の変更が繰り返し実行される(ステップS130〜ステップS160)。これにより、スクロールによって表示させようとする地図領域が遠方になるほど、地図スクロール中に、より広域の地図へと地図の縮尺が変更される。このため、スクロールによって表示させようとする地図領域が遠方であっても、その領域までスクロールさせるのに要する時間が長くかかることを効果的に防止できる。
【0038】
さらに、本実施形態では、ステップS150の判定処理に用いる基準距離として一定の距離(例えば1000m)を採用している。換言すれば、複数段階の地図縮尺の切り替えを実行するための基準距離が、等間隔に設定されている。このように、地図縮尺を変更する基準距離が等間隔に設定されると、図3に示すように、詳細地図から広域地図に移行するほど、見かけ上、より短いスクロール距離で、さらに広域の地図への地図縮尺の変更が実施されることになる。このため、地図を遠方領域までスクロールさせるときに、複数段階の地図縮尺の変更が、地図縮尺の変更を重ねるほど素早く行なわれるようになる。この結果、所望の遠方領域まで地図をスクロールさせるのに要する時間を短縮することができる。
【0039】
ただし、この表示地図の縮尺の変更は、必ずしも複数回実行する必要はなく、1回のみ行うようにしても良い。また、その場合、変更後の縮尺は、現状の表示地図の縮尺から1段階変化したものとするのではなく、変更後の広域地図として予め定めた縮尺としても良い。
【0040】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に何ら制限されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々変形して実施することができる。
【0041】
例えば、上述した実施形態では、複数段階の地図縮尺の切り替えを実行するための基準距離が等間隔に設定された。しかしながら、この基準距離は、例えば図4(a)に示すように、表示装置10に表示可能な複数の縮尺の地図に対応してそれぞれ設定されても良い。図4(a)に示す例では、1/5000の縮尺の地図に対しては、基準距離が500mに設定され、1/10000の縮尺の地図に対しては、基準距離が1000mに設定され、1/20000の縮尺の地図に対しては、基準距離が2000mに設定され、それよりも広域地図の縮尺に対しても、徐々に長くなるように基準距離が設定されている。
【0042】
このように、各々の縮尺の地図に対応して基準距離をそれぞれ設定すると、より広域の地図への縮尺の変更を行なうことが適切であると考えられる距離を、各縮尺の地図に対してきめ細かく設定することができる。特に、図4(a)に示すように、地図の縮尺の変化に逆比例するように、基準距離を設定すると、図4(b)に示すように、一段階広域の地図へ地図縮尺を切り替えるまでの、みかけ上のスクロール距離を同じにすることもできるようになる。
【0043】
また、上述した実施形態において、ユーザによるスクロールスイッチの操作がなされている間に地図の縮尺が変更された場合には、そのスクロールスイッチの操作が終了したときに、当該地図の縮尺を、スクロールスイッチの操作開始時点の地図の縮尺に戻すようにしても良い。表示地図の縮尺は、通常、各ユーザの趣向やニーズに合うように、ユーザの操作によって選択されている。従って、スクロール操作が終了したとき元の表示地図の縮尺に戻すことにより、ユーザの趣向等に合致した縮尺で地図表示を継続して行うことができる。
【0044】
さらに、ユーザによるスクロールスイッチの操作が継続して行われ、広域地図へと段階的に地図の縮尺を変更する際に、その変更の上限となる縮尺を指示可能に構成することも可能である。非常に広い範囲を表示する広域地図では、所望の地点や領域に関する地図情報が十分に得られない場合があるためである。
【0045】
具体的には、予めユーザによって縮尺変更の上限縮尺を設定させ、その設定縮尺を記憶しておき、表示地図のスクロール処理中に地図縮尺が変更されて上限縮尺に一致したら、それ以上の縮尺の変更を行なわないようにすれば良い。あるいは、表示装置10の表示画面に、地図スクロール中に、それ以上の縮尺の変更を中止するスイッチを表示し、タッチパネルによってそのスイッチが操作されたことを検出するようにしても良い。
【0046】
また、上述した実施形態では、表示地図のスクロール距離が基準距離に達したか否かを判定して、地図縮尺の切り替えをおこなったが、スクロールスイッチの操作時間が基準時間に達したか否かに基づいて地図縮尺の切り替えを行っても良い。これは、スクロールスイッチの操作時間と地図のスクロール距離との間には相関関係があるので、上記のようにしても、地図のスクロール距離が基準距離に達したかを間接的に判定できるためである。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本実施形態に係わる、車両用ナビゲーション装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】本実施形態に係わる、表示地図のスクロール処理を示すフローチャートである。
【図3】見かけ上のスクロール距離と、その見かけ上のスクロール距離に基づいて切り替えられる地図縮尺との関係を示すグラフである。
【図4】(a)は、変形例としての、基準距離の設定例を説明するための説明図であり、(b)はその変形例による、見かけ上のスクロール距離と、その見かけ上のスクロール距離に基づいて切り替えられる地図縮尺との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
【0048】
1…位置検出器
6…地図データ入力器
7…操作スイッチ群
8…ナビゲーションECU
9…外部メモリ
10…表示装置
20…車両用ナビゲーション装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部と、
前記表示部に表示される地図を所望の方向にスクロールさせる指示を行うスクロール指示手段と、
前記表示部に地図を表示させるとともに、前記スクロール指示手段によって指示された方向に前記地図をスクロールさせる地図表示手段とを備えた地図表示装置であって、
前記地図表示手段は、前記地図をスクロールさせた距離が、所定の基準距離に達したとき、より広域の地図が表示されるように前記地図の縮尺を変更して、この縮尺を変更した地図にてスクロールを継続することを特徴とする地図表示装置。
【請求項2】
前記地図表示手段は、前記表示部に表示される地図の縮尺に係らず、見かけ上、一定の速度で前記地図をスクロールさせることを特徴とする請求項1に記載の地図表示装置。
【請求項3】
前記地図表示手段は、前記スクロール指示手段によるスクロール指示がなされている間に前記地図の縮尺を変更した場合、前記スクロール指示手段によるスクロール指示が終了したときに、当該地図の縮尺を、前記スクロール指示手段によるスクロール指示開始時点の地図の縮尺に戻すことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の地図表示装置。
【請求項4】
前記地図表示手段は、前記基準距離を複数設定し、前記地図をスクロールさせた距離に応じて、前記地図の縮尺の変更を複数回実行することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の地図表示装置。
【請求項5】
前記基準距離は等間隔に複数設定され、前記地図表示手段は、前記地図をスクロールさせた距離が、等間隔に設定された基準距離に達する毎に、より広域の地図へと地図の縮尺を変更することを特徴とする請求項4に記載の地図表示装置。
【請求項6】
前記基準距離は、前記表示部に表示可能な複数の縮尺の地図に対応してそれぞれ設定され、前記地図表示手段は、前記地図をスクロールさせた距離が、該当する縮尺の地図に対して設定された基準距離に達すると、広域の地図へと地図の縮尺を変更することを特徴とする請求項4に記載の地図表示装置。
【請求項7】
前記地図表示手段が、広域地図へと段階的に地図の縮尺を変更する際に、その変更の上限となる縮尺を指示する上限縮尺指示手段をさらに備えることを特徴とする請求項4乃至請求項6のいずれかに記載の地図表示装置。
【請求項8】
前記地図表示手段は、前記スクロール指示手段によるスクロール指示がなされた継続時間に基づいて、前記地図をスクロールさせた距離が、前記基準距離に達したか否かを判定することを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の地図表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−42062(P2009−42062A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−207119(P2007−207119)
【出願日】平成19年8月8日(2007.8.8)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】