説明

地図表示装置

【課題】地図上で道路が交差している部分において、立体交差であるか互いに合流可能な道路交差であるかをわかりやすく表示することができる「地図表示装置」とする。
【解決手段】取り込んだ道路データにより道路属性に対応した色と幅で道路形状を描画し、描画した道路が相互に交差する道路交差部分を全て検出する。検出した道路交差部分を順に選択ぢ、選択した道路交差が相互に合流できる道路であるときにおいて、交差する道路の表示色が異なるときには、道路交差部分において一方の道路の色を他方の道路に所定長さかぶせる処理を行うか、或いは一方の道路の色を他方の道路の色に所定長さの間でなじませる処理を行う。交差する道路が同じ色の時には交差部分を同色の濃い色で描画し、各道路に所定長さ濃い色をかぶせる処理を行うか、或いは所定長さの間でなじませる処理を行う。更にその交差部分を強調表示しても良い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はナビゲーション装置等において地図を表示する地図表示装置に関し、特に地図上で交差する道路について、例えば高架道路で交差することにより合流できない道路交差であるか、互いに合流できる道路交差であるかを容易に識別可能とした地図表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば車両等に搭載する一般のナビゲーション装置においては、地図を描画するための地図データ及び施設等を検索するための施設情報データを記録したDVD−ROM、ハードディスク等の地図・情報データ記憶媒体と、この地図・情報データ記憶媒体のデータを取り込むデータ取込装置と、取り込んだ地図を描画する地図描画装置と、地図等を表示するモニタ等によって地図を表示可能としている。
【0003】
一方、このナビゲーション装置においては、GPS受信機及び走行距離センサやジャイロ等を用いた自律航法装置を用い、車両の現在位置及び進行方向の方位を検出する車両位置検出装置を有し、検出した車両の現在位置に基づき、或いは利用者の指示した位置に基づき、その位置を含む地図データを地図・情報データ記憶媒体から取り込み、この地図データによって前記のような地図表示装置によってその位置の周囲の地図画像をモニタの画面に描画すると共に、車両位置マークや指示位置マークをモニタ画面の中央或いは特定の位置に表示し、車両位置の移動や指示位置の移動に応じて地図画像を移動させたり、地図画像を画面に固定し車両位置マークや指示位置マークを移動させることができるようにしている。
【0004】
DVD−ROM、或いはハードディスク等の地図・情報データ記憶媒体に記憶されている地図データは、各種の縮尺レベルに応じて適当な大きさの経度幅及び緯度幅に区切られており、その地図データは道路リスト及びノードテーブル等からなる道路レイヤ、地図画面上に道路、建築物、施設、公園及び河川等を表示するための主としてポリゴンデータからなる背景レイヤ、市町村名などの行政区画名、道路名、交差点名及び施設の名前等の、文字や地図記号等を表示するための文字レイヤなどから構成される。
【0005】
前記道路リスト及びノードテーブルは、ある単位領域(パーセルやメッシュ)毎にまとめられている。ノードテーブルに含まれるノードは地点の情報であり、地点の位置および高速ジャンクション・一般交差点などの地点の種別を示した情報で構成される。道路リストに含まれる道路リンクは道路の情報であり、道路の始点・終点の位置、道路の長さや幅等の属性で構成される。一般的に道路リンクの始点および終点はノードとして表現されており、属性には、高速道路、国道、一般道路などの道路の種別や幅員などが含まれる。
【0006】
ナビゲーション装置等で用いる地図表示装置は、前述の地図データを利用して地図を広域から狭域まで種々の縮尺によって表示することができるものであるが、地図データベースやナビゲーション装置の性質上、広域(縮尺大)を表示した場合は詳細な情報を表示できず、道路は道路リンクデータによって線で表される。また、狭域(縮尺小)を表示した場合は狭い範囲において詳細な情報が表示でき、道路はリンクデータによる線の上に、道路ポリゴンデータによって道路属性等に応じ、予め定めておいた幅、及び色で表示することができる。
【0007】
なお、出発地から目的地までの走行経路に含まれるべき幹線道路に対して、出発地から合流可能な地点を特定し、この特定された合流可能な地点をユーザへ報知し、報知された合流可能な地点の内、ユーザが選択した地点から幹線道路に進入する経路を含む、出発地から目的地までの走行経路を設定し、それにより、出発地付近の幹線道路に複数の合流可能な地点が存在する場合でも、利用者は自らの趣向に基づいて選定した合流地点から幹線道路へ進入する経路を含む走行経路を設定することができるようにした技術は、特許文献1に開示されている。
【0008】
また、道路形状を簡略化した要約地図の表示において、行き止まりの道路をわかりやすく表示する技術は特許文献2に開示され、また、立体交差地点の水平座標と、各道路に対して設定された高さに関連した各階層とに基づいて、立体交差地点での各道路の上下関係を識別可能に表示する技術は特許文献3に開示され、また、地図画像の縮小倍率の設定値が所定値以下である場合に、地図画像の表示範囲内において、優先順位の高い道路を抽出し、この道路を擬似的に立体表示する処理を行う技術は特許文献4に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2003−302241号公報
【特許文献2】特開2005−274908号公報
【特許文献3】特開2009−85734号公報
【特許文献4】特開2002−297029号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ナビゲーション装置において、上記のようにして表示される道路地図を用いて車両を運転している際に、例えば図5(a)に示すような道路配置からなる地図を表示して走行しているとき、所定以下の縮尺である詳細地図においては、ここに表示している道路は多くの場合、各道路についてその道路属性に対応した道路ポリゴンデータにより、例えば国道はオレンジ色、一般道は灰色等の所定の色と、所定の幅で表示している。
【0011】
図5(a)に示す例において、道路R2を走行している車両が新設されたバイパス道路である道路R1を通りたいと思う場合において、モニタに表示された同図のような道路地図を見ると、一見道路交差部分C1において通常の十字路のように交差している、合流可能な道路のように見えることが多い。
【0012】
特に車両の運転者は車両の前方に注意を向けているので、本来は図5(d)に示すような高架橋Bによって立体交差し、この部分では互いに交差通行できず、また、本来は同図(c)のようにこの道路交差部分は道路R1が道路R2の上方に位置する立体交差であることを示す道路の縁取り線Eが描かれているものの、このような描画では同図(a)のようなモニタの道路画面においてはわかりにくい。
【0013】
そのため、車両がこの道路交差部分近くに走行して初めて同図(d)に示すような状況を見ることにより、合流できない立体交差であることに気がつくこととなる。なお、上記のような立体交差であることを表示する際に、前記のような道路の縁取りで示す以外に、上方に存在する道路の方に橋マークを付与することもあるが、その場合も注視しないと見ることができない場合が多い。
【0014】
一方、道路の交差において、前記のような立体交差以外に図5(a)の道路R1と道路R3とが道路交差部分C2で通常の十字路形式で交差することにより、互いに合流できるときには、例えば図5(b)に道路交差部分C2を拡大して示すように、道路R1が道路R3に重ねて描画し、特にこの道路交差部分C2に同図(c)のような縁取りを描画しないことにより、通常の十字路としての合流可能な道路交差であること示している。このような表示は、道路の描画に際して予め決められた描画順序により、道路R3を描画した後に道路R1を描くことにより形成している。
【0015】
上記のような各種の道路交差において、立体道路交差と実際に互いに合流できる道路交差の違いが、特に図5(a)のような広い範囲を表示する道路表示ではわかりにくくなっていることが、立体交差であるにもかかわらず、通行可能な交差であると誤解が生じるということができる。このような問題は、前記のようなナビゲーション装置における地図表示以外にも、各種携帯機器の地図表示や、パソコンにおける地図表示等においても同様の問題を生じる。
【0016】
したがって本発明は、地図上で道路が交差している部分において、立体交差で互いに合流できない道路交差であるか、互いに合流可能な道路交差であるかをわかりやすく表示することができる地図表示装置を提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明に係る地図表示装置は、前記課題を解決するため、取り込んだ道路データにより、道路属性に対応した色と幅で道路形状を描画する道路形状描画処理手段と、前記道路形状描画処理手段で描画した道路が相互に交差する道路交差部分を検出する道路交差検出手段と、前記道路交差検出手段で検出した道路交差が、相互に合流できる道路であるか否かを判別する道路交差合流可否判別手段と、前記道路交差検出手段で検出した道路の表示色が同じ色であるか否かを判別する道路交差色検出手段と、前記合流可否判別手段で道路交差が合流できる道路交差であると判別し、前記道路交差色検出手段で交差する道路の色が同じ色ではないと判別したとき、当該道路交差部分において一方の道路の色を他方の道路に所定長さかぶせる描画処理を行う合流部分道路色かぶせ描画手段とを備えたことを特徴とする。
【0018】
本発明に係る他の地図表示装置は、取り込んだ道路データにより、道路属性に対応した色と幅で道路形状を描画する道路形状描画処理手段と、前記道路形状描画処理手段で描画した道路が相互に交差する道路交差部分を検出する道路交差検出手段と、前記道路交差検出手段で検出した道路交差が、相互に合流できる道路であるか否かを判別する道路交差合流可否判別手段と、前記道路交差検出手段で検出した道路の表示色がが同じ色であるか否かを判別する道路交差色検出手段と、前記道路交差合流可否判別手段で道路交差が合流できる道路交差であると判別し、前記道路交差色検出手段で交差する道路の色が同じ色ではないと判別したとき、当該道路交差部分において一方の道路の色を他方の道路に所定長さの間でなじませる描画処理を行う合流部分道路色なじませ描画手段とを備えたことを特徴とする。
【0019】
本発明に係る他の地図表示装置は、取り込んだ道路データにより、道路属性に対応した色と幅で道路形状を描画する道路形状描画処理手段と、前記道路形状描画処理手段で描画した道路が相互に交差する道路交差部分を検出する道路交差検出手段と、前記道路交差検出手段で検出した道路交差が、相互に合流できる道路であるか否かを判別する道路交差合流可否判別手段と、前記道路交差検出手段で検出した道路の表示色がが同じ色であるか否かを判別する道路交差色検出手段と、前記合流可否判別手段で道路交差が合流できる道路交差であると判別し、前記道路交差色検出手段で交差する道路の色が同じ色であると判別したとき、当該道路交差部分において道路の色より濃く表示し、当該濃く表示した色を交差部分から各道路に所定長さかぶせる描画処理を行う合流部分道路色かぶせ描画手段とを備えたことを特徴とする。
【0020】
本発明に係る他の地図表示装置は、取り込んだ道路データにより、道路属性に対応した色と幅で道路形状を描画する道路形状描画処理手段と、前記道路形状描画処理手段で描画した道路が相互に交差する道路交差部分を検出する道路交差検出手段と、前記道路交差検出手段で検出した道路交差が、相互に合流できる道路であるか否かを判別する道路交差合流可否判別手段と、前記道路交差検出手段で検出した道路の表示色がが同じ色であるか否かを判別する道路交差色検出手段と、前記道路交差合流可否判別手段で道路交差が合流できる道路交差であると判別し、前記道路交差色検出手段で交差する道路の色が同じ色であると判別したとき、当該道路交差部分において道路の色より濃く表示し、当該濃く表示した色を交差部分から各道路に所定長さの間で道路の色になじませる描画処理を行う合流部分道路色なじませ描画手段を備えたことを特徴とする。
【0021】
本発明に係る他の地図表示装置は、前記地図表示装置において、前記道路交差合流可否判別手段で道路交差が合流できる道路交差であると判別したとき、当該道路交差部分から各道路に対して所定長さ縁取りを表示する道路交差強調表示手段を備えたことを特徴とする。
【0022】
本発明に係る他の地図表示装置は、前記地図表示装置において、前記道路交差合流可否可否判別手段で道路交差が合流できない道路交差であると判別したとき、当該道路交差部分において上方に位置する道路を連続して表示すると共に当該道路の前記交差部分に縁取り、または橋マークを表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明は上記のように構成したので、地図上で道路が交差している部分において、立体交差で互いに合流することのできない道路交差であるか、互いに合流可能な道路交差であるかをわかりやすく表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施例の機能ブロック図である。
【図2】同実施例の作動フロー図である。
【図3】同実施例の表示例を示す図である。
【図4】同実施例の他の表示例を示す図である。
【図5】従来例の表示例である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0025】
本発明の実施例を図面に沿って説明する。図1は本発明の実施例の機能ブロック図であり、本発明を各種の態様で実施することができるようにした例を示している。同図においてデータベース1は、例えばナビゲーション装置においてDVD−ROM、或いはハードディスク、更には各種地図データセンターから地図データを通信によって取り込んで使用する機器における地図データセンター内のデータベース等がこれに対応している。
【0026】
道路データ取込部2はこのような各種のデータベース1から所望の範囲の地図を取り込むものであり、前記のようなDVD−ROMやハードディスク等においてはそれらのデータ読み込み部であり、地図データを通信によって取り込むときには所定の範囲を指示して通信を行いデータを受信する部分に対応する。
【0027】
この道路データ取込部2で取り込んだ所定範囲の道路データは、主として道路形状描画処理部3においてモニタ等の表示部分に表示する道路形状を描画する処理を行い、更に道路交差描画処理部11の処理に用いられる。図1に示す例においては、道路形状描画処理部3に地図画面における道路の描画のため、前記道路データ取込部2で取り込んだ道路データにおける各ノードを結合するリンクのデータを用いて、各道路が高速道路、国道、一般道路、細街路等の道路属性を読み込む。
【0028】
また、道路形状描画処理部3における道路表示色設定部5においては、前記道路属性データ読込部4で読み込んだ道路の属性データに基づき、その道路を表示するときの色を設定している。更に表示道路幅設定部6においては、道路属性データ読込部4で読み込んだ道路属性データに基づき、その道路を表示するときの道路幅を設定する。
【0029】
道路着色平面描画部7においては、前記のように道路表示色設定部5で設定された道路の色のデータにより、また表示道路幅設定部6で設定した道路幅のデータにより、現在モニタ等に表示する地図の縮尺に対応した表示道路幅で描画を行う。このような道路を着色して所定の幅で表示する機能は、ポリゴンデータに基づく表示処理として行うことができるが、ここでは以降に説明する道路交差描画処理部11での道路表示処理に関連する機能として取り出して説明している。
【0030】
道路交差描画処理部11は本発明の主要な機能部であり、道路地図表示中で道路が交差している部分について、特にその道路交差部分が相互に通行可能な合流可能道路であることを明瞭に表示することにより、逆にその道路交差部分が立体交差等により合流可能な道路ではないことを明示する機能を行う。
【0031】
道路交差検出部12においては、前記道路データ取込部2で取り込んだ道路データに基づき、所定範囲内の道路地図上で道路が交差している部分を検出する。描画処理用道路交差選択部13においては、道路交差検出部12で検出した所定範囲の道路地図上での道路交差部分について、後述する道路交差描画部21で描画を行う道路交差を順に選択する。
【0032】
選択道路交差合流可否判別部14においては、描画処理用道路交差選択部12で順に選択する道路交差部分について、道路データ取込部2で取り込んだデータに基づき、選択した道路交差が合流可能か否かを判別し、その判別結果を道路交差描画部21に出力する。交差道路表示色検出部15では、描画処理用道路交差選択部13で選択した道路について、道路形状描画処理部3における道路表示色設定部5で設定した互いに交差する道路の表示色を取り込んで検出し、道路交差描画部21に出力する。更に交差道路表示幅検出部16では、描画処理用道路交差選択部13で選択した道路について、道路形状描画処理部3における表示道路幅設定部6で設定した道路幅を読み込んで検出し、道路交差描画部21に出力する。
【0033】
道理交差描画部21では描画処理用道路交差選択部13で順に選択する道路交差について、その道路交差部分の描画を行うものであり、その道路交差が合流可能な道路交差であるときには合流可能交差描画部22で描画を行い、立体交差等によりその部分では合流不能な交差であるときには、合流不能交差描画部23で描画を行うようにしている。合流可能交差描画部22では、選択道路交差合流可否判別部14で、描画処理用道路交差選択部13で選択した道路交差について、その道路交差は互いにその交差部分で合流できる交差であると判別したときにここで処理を行う。
【0034】
その中の交差部分道路色かぶせ描画部24では、合流可能交差描画の一態様として、交差部分の道路の色を、片側の道路から他側の道路にかぶせて表示する。その状態は図1(a)に簡略表示しており、例えばオレンジ色で比較的広い道路R1と、灰色で比較的狭い道路R3とが道路地図上で交差している部分について、広い道路R1から狭い道路R3に対して、所定の長さだけかぶせて表示を行った例を示している。
【0035】
その結果、この道路交差部分では通常では生じることがない、一つの道路から他の道路に対し、あたかも食い込んでいるように表示される。利用者が予めこのような道路交差部分の表示は互いに合流できる交差であることを知っておくことにより、モニタ等の表示画面に道路地図が存在するとき、その道路交差部分を一見するだけで、その道路交差部分が互いに合流可能な道路であることを知ることができる。
【0036】
ここで一方の道路から他の道路に対してかぶせ処理を行う際、広い道路側から狭い道路側にかぶせて表示する例を示したが、それ以外に狭い道路側から広い道路側にかぶせて表示することも可能である。この時、いずれの道路が広いかは、交差道路表示幅検出部16で前記のようにして検出した道路幅のデータによって判別することができる。
【0037】
なお、交差する道路の色が互いに同じ色である時には、道路が交差する四角形の道路交差部分の色を、交差する道路の色の濃度を高めた、即ち互いに同色が重なることにより濃くなった状態に表示し、その四角形の道路交差部分から各道路に対して四方に所定長さその濃い色をかぶせて表示させる処理を行う。
【0038】
図1の例においては合流可能交差描画部に更に交差部分道路色なじませ描画部25を備えることができる例を示している。但し合流可能交差描画部22においては、予め選択したいずれかの描画部を備えることにより実施することができる。交差部分道路色なじませ描画部25においては、一方の道路から他の道路の色に次第になじませる処理、即ちグラデーション処理を行う。
【0039】
それにより例えば図1(b)に簡略して示すように、また後述する図3(b)に示すように、比較的広い道路R1から比較的狭い道路R3に対して、所定の長さの範囲で次第に色をなじませる処理がなされる。この場合も道路の狭い側から道路の広い側になじませる処理を行うことも可能である。また、交差する道路が同じ色の時には、交差部分では濃い色とし、その部分から各道路になじませる描画処理を行うことができるのは、前記交差部分道路色かぶせ描画部24の描画の態様と同様である。
【0040】
図1に示す例においては合流可能交差描画部22に道路交差強調表示部26を備えた例を示しており、この道路交差強調表示部26においては、前記交差部分道路色かぶせ描画部24、或いは交差部分道路色なじませ描画部25で処理を行ったとき、そのデータを入力し、例えば図1(c)に簡略して示すように、前記のような描画を行った部分が更に一見してわかるように、略L字形の所定の長さの目立つ縁取りF1〜F4を施す等の、合流可能な道路交差部分を強調して表示を行う。
【0041】
合流不能交差描画部23においては、従来から行われている、例えば立体交差部分で上側となっている道路に前記従来例として示している図5(c)に示すような縁取りの線を施すか、或いは図1(d)に示すように、橋マークHを施す。この表示は直接本発明とは関係しないが、本発明において道路交差部分が合流できるか否かをわかりやすく表示するときには、従来から知られている技術をできる限り用いて、このような合流不能交差描画を行うと、より効果的である。
【0042】
図1に示すような機能ブロックからなる本発明の実施例においては、例えば図2に示すような作動フローにより実施することができる。図2に示す道路交差表示処理の例においては最初ノードデータや、道路リンクのデータにより道路形状を描画する(ステップS1)。この描画処理はモニタ等に表示する道路地図の数倍の範囲の道路データをデータベースから取り込み、その範囲全体の道路の形状を例えば線画の状態で描画する。
【0043】
次いで道路属性により道路の色と幅を決定して平面描画を行う(ステップS2)。この作動は、図1の道路形状描画処理部3において、道路属性データ読込部4で読み込んだ道路属性データにより、道路表示色設定部5がその道路を表示する色を設定し、表示道路幅設定部6が道路を表示するときの幅を設定し、それにより道路着色平面描画部7が各道路について所定の色と幅で表示することにより行う。この処理は実質的に道路のポリゴンデータによる平面画像形成の作動となる。
【0044】
その後道路の交差部分を全て検出する(ステップS3)。ここでは前記のように所定範囲取り込んだ道路データについて、全ての道路の交差部分を検出することとなり、この作動は図1の道路交差描画処理部11における道路交差検出部12で行う。次いで検出した交差部分を順に選択する(ステップS4)。この作動は図1の描画処理用道路交差選択部13で行っている。
【0045】
次いで道路交差部分は合流不能交差か否かを判別する。この作動は選択道路交差合流可否判別部14において、描画処理用道路交差選択部13で選択した道路交差部分について、その交差が相互に合流できるか否かを判別する。この判別はノードデータ及び道路リンクのデータにより、立体交差しているか否かを検出することにより行うことができる。ステップS5において、道路交差部分は合流不能な交差ではない、即ち互いに合流可能な道路交差であると判別したときには、交差道路の色は同じか否かを判別する(ステップS6)。この作動は図1の交差道路表示色検出部15において、描画処理用道路交差選択部13で選択した道路交差について、交差する道路の色に関するデータを前記のように検出することにより行う。
【0046】
ステップS6において交差道路の色は同じではない、即ち異なった色であると判別したときにはステップS7に進んで、図示の例では幅の広い道路から狭い道路に対して交差部分の色をかぶせる描画処理、または色をなじませる描画処理を行う。この処理の状態は前記U1 (a)及び(b)に例示したが、これを図3(a)及び(b)にも示している。即ち、図3(a)には前記図5に示した従来例の道路地図と同様の地図を示しており、比較的広い道路R1に対して、比較的狭い道路R2とR3が交差部分C1と交差部分C2で交差している。これらの交差部分の内、交差部分C1は立体交差のため合流することができず、交差部分C2は合流可能な交差となっている。
【0047】
図3(a)に示す例において、合流可能な交差部分C2においては、前記図1(a)に示した例と同様に、比較的広い道路R1側から比較的狭い道路R3側に所定の長さL1だけ、道路R1の色がオレンジ色の時にはそのオレンジ色を、道路R3が灰色のときその灰色に対してオレンジ色をかぶせて描画したことにより、その部分では道路R3の灰色が見えなくなるようにかぶせ描画処理を行う。それにより、図3(a)において、道路R3において、交差部分C2から所定長さL1だけかぶせ描画処理を行ったかぶせ処理部分K1及びK2画鋲がされる。なお、このようなかぶせ処理は広い道路から狭い道路側にかぶせ描画処理を行う以外に、狭い道路から広い道路側にかぶせ処理を行っても良いことは前記のとおりである。
【0048】
図3(b)には図2ステップS7において、交差部分の色をなじませる処理を行った例を示しており、図示の例では交差部分C2において、前記図1(b)の例のように、広い道路R1から狭い道路R3側に所定長さL2の間、互いの色をなじませる、なじませ処理を行った例を示している。したがって、広い道路R1がオレンジ色で狭い道路が灰色の時、交差部分C2において広い道路の色であるオレンジを所定長さL2の間で、徐々に狭い道路の色である灰色になじませ、なじませ描画部N1及びN2を形成している。このなじませ描画処理においても、狭い道路の色を広い道路の色になじませるように処理を行っても良いことは、前記かぶせ描画処理の場合と同様である。
【0049】
図2のステップS6において交差道路の色は同じであると判別したときには、ステップS9において、交差部分の濃度を濃く表示し、周囲の道路部分に対しても所定の長さだけ濃く表示するか、または色をなじませる処理を行う。この処理においては例えば図4(a)に示すように、道路R1と道路R3が道路属性が同じのため、例えば緑色等の同一の道路色となっているとき、両道路の交差部分は同一の色が重なることにより濃い色になったように表示し、それにより両道路が緑色の時にはその交差部分は濃い緑色に表示する。更に、その交差部分から両道路に対して四方にその色を所定長さL3延長し、その濃い色を両道路に対してかぶせ描画処理を行う。したがってこの部分に濃い緑色の十字形が描画されることとなる。
【0050】
図4(a)には同じ色の道路が交差する部分において、その部分が合流可能な交差であるとき、交差部分の色をその道路色を濃くした色で描画し、その色を両道路に対して所定長さL3だけかぶせ描画処理を行った例を示したが、そのかぶせ描画処理を行う部分について、前記図3(b)に示すようななじませ描画処理を行うこともできる。その場合は前記のように両道路が緑色の時、交差部分に描画される濃い緑色を、両道路に対して所定長さL3の間に次第に両道路の緑色になじませる描画処理を行うこととなる。
【0051】
一方、前記ステップS5において、例えば立体交差等によりその道路交差部分は合流不能な道路であると判別したとき、図2の例においては交差道路の色は同じであるか否かを判別し(ステップS10)、交差道路が同じ色ではない、即ち交差道路が異なる色であると判別したときには、その交差部分では上方の道路を連続表示する(ステップS11)。
【0052】
それに対してステップS10において交差道路の色が同じであると判別したときには、交差部分における高架側の道路に縁取りを表示するか、または図4(b)の交差部分C1のような橋マークHを表示する(ステップS12)。この作動は図1の合流不能交差描画部23で行っており、図1においては(d)に例示している。但し、前記の例ではステップS11において交差部分では上方の道路を連続表示するのみの処理を行った例を示したが、この処理を行った後、更にステップS12と同様の、高架側の道路に縁取りや橋マークを付与しても良い。
【0053】
なお、前記の例においてはステップS7で幅の広い道路から狭い道路に対して交差部分の色をかぶせる描画処理を行うか、または色をなじませる描画処理のみを行った例を示したが、それ以外に例えば図4(a)の道路交差部分C2に示すように、その交差部分に対して略L字形の縁取りF1〜F4を四隅に施す強調表示を行っても良い。この処理は図1の道路交差強調表示部26において行い、図1では(c)に例示している。またこのような縁取りは図4(a)に示すかぶせ描画処理を行った交差部分以外に、図3(b)に示すようななじませ描画処理を行った部分に対しても同様にして適用できる。、
【符号の説明】
【0054】
1 データベース
2 道路データ取込部
3 道路形状描画処理部
4 道路属性データ読込部
5 道路表示色設定部
6 表示道路幅設定部
7 道路着色平面描画部
11 道路交差描画処理部
12 道路交差検出部
13 描画処理用道路交差選択部
14 選択道路交差合流可否判別部
15 交差道路表示色検出部
16 交差道路表示幅検出部
21 道路交差描画部
22 合流可能交差描画部
23 合流不能道路交差描画部
24 交差部分道路色かぶせ描画部
25 交差部分道路色なじませ描画部
26 道路交差強調表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
取り込んだ道路データにより、道路属性に対応した色と幅で道路形状を描画する道路形状描画処理手段と、
前記道路形状描画処理手段で描画した道路が相互に交差する道路交差部分を検出する道路交差検出手段と、
前記道路交差検出手段で検出した道路交差が、相互に合流できる道路であるか否かを判別する道路交差合流可否判別手段と、
前記道路交差検出手段で検出した道路の表示色が同じ色であるか否かを判別する道路交差色検出手段と、
前記合流可否判別手段で道路交差が合流できる道路交差であると判別し、前記道路交差色検出手段で交差する道路の色が同じ色ではないと判別したとき、当該道路交差部分において一方の道路の色を他方の道路に所定長さかぶせる描画処理を行う合流部分道路色かぶせ描画手段とを備えたことを特徴とする地図表示装置。
【請求項2】
取り込んだ道路データにより、道路属性に対応した色と幅で道路形状を描画する道路形状描画処理手段と、
前記道路形状描画処理手段で描画した道路が相互に交差する道路交差部分を検出する道路交差検出手段と、
前記道路交差検出手段で検出した道路交差が、相互に合流できる道路であるか否かを判別する道路交差合流可否判別手段と、
前記道路交差検出手段で検出した道路の表示色がが同じ色であるか否かを判別する道路交差色検出手段と、
前記道路交差合流可否判別手段で道路交差が合流できる道路交差であると判別し、前記道路交差色検出手段で交差する道路の色が同じ色ではないと判別したとき、当該道路交差部分において一方の道路の色を他方の道路の色に所定長さの間でなじませる描画処理を行う合流部分道路色なじませ描画手段とを備えたことを特徴とする地図表示装置。
【請求項3】
取り込んだ道路データにより、道路属性に対応した色と幅で道路形状を描画する道路形状描画処理手段と、
前記道路形状描画処理手段で描画した道路が相互に交差する道路交差部分を検出する道路交差検出手段と、
前記道路交差検出手段で検出した道路交差が、相互に合流できる道路であるか否かを判別する道路交差合流可否判別手段と、
前記道路交差検出手段で検出した道路の表示色がが同じ色であるか否かを判別する道路交差色検出手段と、
前記合流可否判別手段で道路交差が合流できる道路交差であると判別し、前記道路交差色検出手段で交差する道路の色が同じ色であると判別したとき、当該道路交差部分において道路の色より濃く表示し、当該濃く表示した色を交差部分から各道路に所定長さかぶせる描画処理を行う合流部分道路色かぶせ描画手段とを備えたことを特徴とする地図表示装置。
【請求項4】
取り込んだ道路データにより、道路属性に対応した色と幅で道路形状を描画する道路形状描画処理手段と、
前記道路形状描画処理手段で描画した道路が相互に交差する道路交差部分を検出する道路交差検出手段と、
前記道路交差検出手段で検出した道路交差が、相互に合流できる道路であるか否かを判別する道路交差合流可否判別手段と、
前記道路交差検出手段で検出した道路の表示色がが同じ色であるか否かを判別する道路交差色検出手段と、
前記道路交差合流可否判別手段で道路交差が合流できる道路交差であると判別し、前記道路交差色検出手段で交差する道路の色が同じ色であると判別したとき、当該道路交差部分において道路の色より濃く表示し、当該濃く表示した色を交差部分から各道路に所定長さの間で道路の色になじませる描画処理を行う合流部分道路色なじませ描画手段を備えたことを特徴とする地図表示装置。
【請求項5】
前記道路交差合流可否判別手段で道路交差が合流できる道路交差であると判別したとき、当該道路交差部分から各道路に対して所定長さ縁取りを表示する道路交差強調表示手段を備えたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の地図表示装置。
【請求項6】
前記道路交差合流可否可否判別手段で道路交差が合流できない道路交差であると判別したとき、当該道路交差部分において上方に位置する道路を連続して表示すると共に当該道路の前記交差部分に縁取り、または橋マークを表示することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の地図描画装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−158610(P2011−158610A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−18865(P2010−18865)
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】