地図表示装置
【課題】地図上の線形要素に追従したスクロールを行う場合に、線形要素に関連する関連情報を簡便、迅速かつ確実に把握することができ、ひいては、スクロールを行う際の利便性を向上させることができる「地図表示装置」を提供すること。
【解決手段】地図上の第1の特定の線形要素に追従したスクロールを行う場合に、線形要素抽出装置27によって第1の特定の線形要素を抽出し、関連情報取得装置28によって第1の特定の線形要素に関連する第1の関連情報を取得し、取得された第1の関連情報を関連情報表示処理装置29によって地図上における第1の特定の線形要素に対応する位置に重畳表示すること。
【解決手段】地図上の第1の特定の線形要素に追従したスクロールを行う場合に、線形要素抽出装置27によって第1の特定の線形要素を抽出し、関連情報取得装置28によって第1の特定の線形要素に関連する第1の関連情報を取得し、取得された第1の関連情報を関連情報表示処理装置29によって地図上における第1の特定の線形要素に対応する位置に重畳表示すること。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図表示装置に係り、特に、地図のスクロールに好適な地図表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ナビゲーション装置等の地図の表示機能を備えた地図表示装置においては、地図の表示領域をユーザ操作にしたがって例えば上下左右または斜め方向等の所定の方向に向かって移動させるスクロール(移動表示)が可能とされていた。
【0003】
この種の地図表示装置においては、これまでにも、例えば、特許文献1に示すように、スクロール先の方面名称(行政区画名等)を、該当するカーソルとともに表示する技術が提案されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−300944号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来は、道路をなぞるように地図を連続的にスクロールする場合すなわち道路に追従したスクロールを行う場合には、道路名称が地図データの固定された地点に設定されていることによって、ある程度スクロールを進めてしまうと道路名称が地図上に表示されなくなってしまっていた。
【0006】
また、特許文献1に記載の技術においては、複数のカーソルが指示する複数の方向にそれぞれ対応する方面名称を知ることはできるものの、その方面名称は、あくまでもカーソルが指示する方向にスクロールを行った場合のスクロール先の方面名称である。したがって、道路に追従したスクロールを行う場合には、複数のカーソルが指示する方面名称のいずれが、その道路に追従したスクロールを行う場合のスクロール先の方面名称であるかを判断することはできなかった。蓋し、現時点で地図上に表示されている追従すべき道路が延びる方向は、スクロール先すなわち現在表示されていない領域内においてもそのまま維持されるとは限らず、道路形状がスクロール先で大きく変化する可能性があるからである。
【0007】
ここで、地図の縮尺を大縮尺から小縮尺に切り替えて広域の地図を表示すれば、道路に追従したスクロールを行う場合における追従している道路の道路名称やスクロール先の方面名称を表示することは可能である。しかし、この場合には、縮尺の切り替えの手間を要することになるので、所望の道路名称や方面名称を迅速に把握することが困難となる。
【0008】
すなわち、従来は、道路等の地図上の線形要素に追従したスクロールを行う場合に、道路名称やスクロール先の方面名称等の線形要素に関連する関連情報を簡便、迅速かつ確実に把握することができないといった問題が生じていた。
【0009】
そこで、本発明は、このような問題点に鑑みなされたものであり、地図上の線形要素に追従したスクロールを行う場合に、線形要素に関連する関連情報を簡便、迅速かつ確実に把握することができ、ひいては、スクロールを行う際の利便性を向上させることができる地図表示装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述した目的を達成するため、本発明に係る地図表示装置は、地図データが記憶された地図データ記憶装置と、この地図データ記憶装置に記憶された前記地図データに基づいて、所定の領域を示す地図を表示部に表示する地図表示処理装置と、前記地図をスクロールするための操作が可能とされた操作装置と、この操作装置による前記操作に応じた前記地図のスクロールを行うように前記地図表示処理装置を制御する制御装置とを備えた地図表示装置であって、所定時間に亘る連続的な前記スクロールが行われた場合に、この連続的なスクロールの結果に基づいて、前記連続的なスクロールにおいて追従された地図上の第1の特定の線形要素を抽出可能とされた線形要素抽出装置と、この線形要素抽出装置によって前記第1の特定の線形要素が抽出された場合に、抽出された前記第1の特定の線形要素に関連する第1の関連情報を、前記地図データ記憶装置に記憶された前記地図データに基づいて取得する関連情報取得装置と、この関連情報取得装置によって前記第1の関連情報が取得された場合に、前記連続的なスクロールの後の前記地図上における前記第1の特定の線形要素に対応する位置に、前記第1の関連情報の重畳表示を開始する関連情報表示処理装置とを備え、前記関連情報表示処理装置は、前記重畳表示の開始の後は、前記連続的なスクロールの後の前記スクロールの結果に基づいて、前記第1の特定の線形要素に追従した前記スクロールの続行の有無を判定し、この判定において肯定的な判定結果が得られた場合に、前記重畳表示の開始に引き続き、前記連続的なスクロールの後の最新の前記スクロール後の前記地図上における前記第1の特定の線形要素に対応する位置に、前記第1の関連情報の重畳表示を継続的に行うことを特徴としている。
【0011】
そして、このような構成によれば、第1の特定の線形要素に追従したスクロールを行う場合に、関連情報取得装置によって取得された第1の特定の線形要素に関連する第1の関連情報を、関連情報表示処理装置によってスクロール中の地図上における第1の特定の線形要素に対応する位置に重畳表示することができるので、第1の関連情報を簡便、迅速かつ確実に把握することができ、ひいては、スクロールを行う際の利便性を向上させることができる。
【0012】
また、前記第1の関連情報を重畳表示すべき前記地図に含まれる前記第1の特定の線形要素が、これに追従したスクロールの進行方向側において当該地図の端部と交わる交点を抽出する第1の交点抽出装置を備え、前記関連情報表示処理装置は、前記第1の関連情報を、当該地図上における前記第1の交点抽出装置によって抽出された前記交点の近傍に重畳表示してもよい。
【0013】
そして、このような構成によれば、第1の特定の線形要素に沿ったスクロールを行う場合にユーザが最も目を配り易い地図上の位置に第1の関連情報を表示することができるので、第1の関連情報をさらに迅速に把握することができる。
【0014】
さらに、前記関連情報表示処理装置は、前記第1の特定の線形要素に追従した前記スクロールの進行にともなって、当該スクロールの進行前に表示されていた前記第1の関連情報に代わって新たに表示されるべき前記第1の関連情報を取得可能とされ、前記関連情報表示処理装置は、前記関連情報取得装置によって前記新たに表示されるべき第1の関連情報が取得された場合に、当該取得された第1の関連情報を、前記スクロールの進行前に表示されていた第1の関連情報に代わって新たに表示してもよい。
【0015】
そして、このような構成によれば、表示すべき第1の関連情報を第1の特定の線形要素に追従したスクロールの進行に応じて変更することができるので、第1の特定の線形要素に追従したスクロールの進行に適合した第1の関連情報を表示することができる。
【0016】
さらにまた、前記関連情報表示処理装置は、前記第1の関連情報を前記第1の特定の線形要素に重ならないように表示してもよい。
【0017】
そして、このような構成によれば、第1の特定の線形要素の視認性を確保することができる。
【0018】
また、前記線形要素抽出装置は、前記連続的なスクロールの結果に基づいて、互いに平行な複数の前記第1の特定の線形要素を抽出可能とされ、前記関連情報取得装置は、前記線形要素抽出装置によって前記複数の第1の特定の線形要素が抽出された場合に、抽出された前記複数の第1の特定の線形要素のそれぞれに関連する前記第1の関連情報を取得可能とされ、前記関連情報表示処理装置は、前記関連情報取得装置によって前記複数の第1の特定の線形要素のそれぞれに関連する前記第1の関連情報が取得された場合に、前記連続的なスクロールの後の前記地図上における前記複数の第1の特定の線形要素のそれぞれに対応する位置に、前記各第1の関連情報の重畳表示を開始し、その後は、前記連続的なスクロールの後の前記スクロールの結果に基づいて、前記複数の第1の特定の線形要素に追従した前記スクロールの続行の有無を判定し、この判定において前記複数の第1の特定の線形要素のうちの少なくとも1つの第1の特定の線形要素について肯定的な判定結果が得られた場合に、前記重畳表示の開始に引き続き、前記連続的なスクロールの後の最新の前記スクロール後の前記地図上における前記少なくとも1つの第1の特定の線形要素に対応する位置に、当該第1の特定の線形要素に関連する前記第1の関連情報の重畳表示を継続的に行ってもよい。
【0019】
そして、このような構成によれば、複数の第1の特定の線形要素に追従したスクロールが行われた場合に、関連情報取得装置によって取得された各第1の特定の線形要素のそれぞれに関連する第1の関連情報を表示することができるので、例えば、複数の第1の特定の線形要素としての新道と旧道のような互いに並走する複数の道路の違いを把握し易くなる。
【0020】
さらに、前記第1の関連情報は、前記第1の特定の線形要素に追従したスクロール先の第1の方面の名称を含んでもよい。
【0021】
そして、このような構成によれば、第1の特定の線形要素に追従したスクロールを行う場合に、第1の方面の名称を簡便、迅速かつ確実に把握することができる。
【0022】
さらにまた、前記操作装置は、前記スクロールの速度を指定する操作が可能とされ、前記制御装置は、当該操作によって指定された速度で前記スクロールを行うように前記地図表示処理装置を制御し、前記関連情報取得装置は、当該制御に基づく前記第1の特定の線形要素に追従したスクロールの速度が速いほど、現在表示されている前記地図に対してより遠方の前記第1の方面の名称を取得してもよい。
【0023】
そして、このような構成によれば、第1の特定の線形要素に追従したスクロールの速度が速いほど、より遠方の第1の方面の名称を表示することができるので、スクロールを速く進めて遠くの第1の方面の名称をいち早く知りたいというユーザの心理を反映した第1の方面の名称の表示を行うことができるので、利便性をさらに向上させることができる。
【0024】
また、前記地図表示処理装置が表示すべき前記地図の縮尺を設定する縮尺設定装置を備え、前記制御装置は、前記縮尺設定装置によって設定された前記縮尺の地図を表示するように前記地図表示処理装置を制御し、前記関連情報取得装置は、前記縮尺設定装置によって設定された前記縮尺が広域であるほど、現在表示されている前記地図に対してより遠方の前記第1の方面の名称を取得してもよい。
【0025】
そして、このような構成によれば、縮尺に応じた単位スクロール時間ごとの地図のスクロール量を考慮して、縮尺に適合した第1の方面の名称の表示を行うことができる。
【0026】
さらに、第1の特定の線形要素は、主要な道路、過去の通行軌跡、ナビゲーションの誘導経路、鉄道路線、航路、河川および海岸線の少なくとも1つを含んでもよい。
【0027】
そして、このような構成によれば、ユーザがスクロールの際に追従する可能性がある種々の線形データを第1の特定の線形要素にすることができる。
【0028】
さらにまた、前記第1の特定の線形要素は、少なくとも主要な道路を含み、当該主要な道路に関連する前記第1の関連情報は、路線名称、路線番号、前記第1の方面の名称としての当該主要な道路に追従したスクロール先の方面の名称、現在地から当該方面までの当該主要な道路上の距離、現在地から当該方面までの当該主要な道路上の走行区間の交通情報、車線数、道路幅員、道路勾配および燃費の少なくとも1つを含んでもよい。
【0029】
そして、このような構成によれば、主要な道路に追従したスクロールを行う場合に表示することが有効な種々の事項を第1の関連情報にすることができる。
【0030】
また、前記第1の特定の線形要素としての前記主要な道路に追従したスクロール先の方面の名称は、行政区画名および施設名の少なくとも一方を含んでもよい。
【0031】
そして、このような構成によれば、主要な道路に追従したスクロールを行う場合に表示することが有効な事項を第1の方面の名称にすることができる。
【0032】
さらに、前記主要な道路は、高速道路、有料道路、国道および県道を含んでもよい。
【0033】
そして、このような構成によれば、主要な道路として好適な道路を第1の特定の線形要素として抽出することができる。
【0034】
さらにまた、前記第1の特定の線形要素は、少なくともナビゲーションの誘導経路を含み、当該誘導経路に関連する前記第1の関連情報は、路線名称、路線番号、前記第1の方面の名称としての当該誘導経路に追従したスクロール先の方面の名称、現在地から当該方面までの当該誘導経路上の距離、現在地から当該方面までの当該誘導経路上の走行区間の交通情報、車線数、道路幅員、道路勾配および燃費の少なくとも1つを含んでもよい。
【0035】
そして、このような構成によれば、誘導経路に追従したスクロールを行う場合に表示することが有効な種々の事項を第1の関連情報にすることができる。
【0036】
また、前記第1の特定の線形要素としての前記誘導経路に追従したスクロール先の方面の名称は、行政区画名および施設名の少なくとも一方を含んでもよい。
【0037】
そして、このような構成によれば、誘導経路に追従したスクロールを行う場合に表示することが有効な事項を第1の方面の名称にすることができる。
【0038】
さらに、前記線形要素抽出装置は、地図上の複数の線形要素の中から、前記誘導経路を前記第1の特定の線形要素として優先的に抽出してもよい。
【0039】
そして、このような構成によれば、誘導経路が設定されている場合にスクロールの追従対象となる可能性が高い誘導経路を第1の線形要素として優先的に抽出することができるので、ユーザの意思を反映した第1の関連情報の表示を迅速に行うことができる。
【0040】
さらにまた、前記線形要素抽出装置は、前記第1の関連情報を重畳表示すべき前記地図に含まれる前記第1の特定の線形要素から分岐された線形要素であって、当該地図内に分岐点を有する第2の特定の線形要素を抽出可能とされ、前記関連情報取得装置は、前記線形要素抽出装置によって前記第2の特定の線形要素が抽出された場合に、抽出された前記第2の特定の線形要素に関連する第2の関連情報を、前記地図データ記憶装置に記憶された前記地図データに基づいて取得し、前記関連情報表示処理装置は、前記関連情報取得装置によって前記第2の関連情報が取得された場合に、取得された前記第2の関連情報を、前記第1の関連情報を重畳表示すべき前記地図上における前記第2の特定の線形要素に対応する位置に重畳表示してもよい。
【0041】
そして、このような構成によれば、第2の特定の線形要素が抽出された場合には、この第2の特定の線形要素に関連する第2の関連情報の表示を第1の関連情報の表示に並行して行うことができるので、追従すべき線形要素を変更する機会をユーザに与えることができる。
【0042】
また、前記第1の関連情報を重畳表示すべき前記地図に含まれる前記第2の特定の線形要素と、当該地図の端部との交点を抽出する第2の交点抽出装置を備え、前記関連情報表示処理装置は、前記第2の関連情報を、当該地図上における前記第2の交点抽出装置によって抽出された前記交点の近傍に重畳表示してもよい。
【0043】
そして、このような構成によれば、ユーザが第2の特定の線形要素に関連する情報であると認識し易い地図上の位置に第2の関連情報を表示することができるので、第2の関連情報も迅速に把握することができる。
【0044】
さらに、前記関連情報表示処理装置は、前記第2の関連情報を前記第2の特定の線形要素に重ならないように表示してもよい。
【0045】
そして、このような構成によれば、第2の特定の線形要素の視認性を確保することができる。
【0046】
さらにまた、前記第2の関連情報は、前記第2の特定の線形要素に追従したスクロール先の第2の方面の名称を含んでもよい。
【0047】
そして、このような構成によれば、第2の方面の名称を簡便、迅速かつ確実に把握することができる。
【0048】
また、前記地図表示処理装置が表示すべき前記地図の縮尺を設定する縮尺設定装置を備え、前記制御装置は、前記縮尺設定装置によって設定された前記縮尺の地図を表示するように前記地図表示処理装置を制御し、前記関連情報取得装置は、前記縮尺設定装置によって設定された前記縮尺が広域であるほど、現在表示されている前記地図に対してより遠方の前記第2の方面の名称を取得してもよい。
【0049】
そして、このような構成によれば、縮尺に応じた単位スクロール時間ごとの地図のスクロール量を考慮して、縮尺に適合した第2の方面の名称の表示を行うことができる。
【0050】
さらに、第2の特定の線形要素は、主要な道路、過去の通行軌跡、ナビゲーションの誘導経路、鉄道路線、航路、河川および海岸線の少なくとも1つを含んでもよい。
【0051】
そして、このような構成によれば、ユーザが第1の特定の線形要素からの変更後の追従対象として選択する可能性がある種々の線形データを第2の特定の線形要素にすることができる。
【0052】
さらにまた、前記第2の特定の線形要素は、少なくとも主要な道路を含み、当該主要な道路に対応する前記第2の関連情報は、路線名称、路線番号、前記第2の方面の名称としての当該主要な道路に追従したスクロール先の方面の名称、現在地から当該方面までの当該主要な道路上の距離、現在地から当該方面までの当該主要な道路上の走行区間の交通情報、車線数、道路幅員、道路勾配および燃費の少なくとも1つを含んでもよい。
【0053】
そして、このような構成によれば、表示することが有効な種々の事項を第2の関連情報にすることができる。
【0054】
また、前記第2の特定の線形要素としての前記主要な道路に追従したスクロール先の方面の名称は、行政区画名および施設名の少なくとも一方を含んでもよい。
【0055】
そして、このような構成によれば、表示することが有効な事項を第2の方面の名称にすることができる。
【0056】
さらに、前記関連情報表示処理装置は、前記第1の関連情報を、前記操作装置の操作によって選択可能な状態で表示し、前記制御装置は、前記第1の関連情報が選択された場合に、当該第1の関連情報に対応する前記第1の特定の線形要素に追従した自動的なスクロールを行うように前記地図表示処理装置を制御してもよい。
【0057】
そして、このような構成によれば、第1の関連情報の選択にともなって、第1の特定の線形要素に追従した自動的なスクロールを行うことができるので、ユーザの操作負担を軽減することができる。
【発明の効果】
【0058】
本発明によれば、地図上の線形要素に追従したスクロールを行う場合に、線形要素に関連する関連情報を簡便、迅速かつ確実に把握することができ、ひいては、スクロールを行う際の利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明に係る地図表示装置の第1実施形態を示す構成図
【図2】本発明に係る地図表示装置の第1実施形態を示すブロック図
【図3】本発明に係る地図表示装置の第1実施形態において、地図画面の遷移状態を示す模式図
【図4】本発明に係る地図表示装置の第1実施形態を示すフローチャート
【図5】本発明に係る地図表示装置の第2実施形態において、地図画面の遷移状態を示す模式図
【図6】本発明に係る地図表示装置の第3実施形態において、地図画面の表示状態を示す模式図
【図7】本発明に係る地図表示装置の第4実施形態において、地図画面の表示状態を示す第1の模式図
【図8】本発明に係る地図表示装置の第4実施形態において、地図画面の表示状態を示す第2の模式図
【図9】本発明に係る地図表示装置の第5実施形態において、地図画面の遷移状態を示す模式図
【図10】本発明に係る地図表示装置の変形例として、地図画面の表示状態を示す模式図
【発明を実施するための形態】
【0060】
(第1実施形態)
以下、本発明に係る地図表示装置の第1実施形態について、図1乃至図4を参照して説明する。
【0061】
図1は、本発明に係る地図表示装置の一例としての地図表示機能を備えた車載用のナビゲーション装置を示すものである。
【0062】
図1に示すように、本実施形態におけるナビゲーション装置1は、大別して、ナビゲーションメインユニット2と、このナビゲーションメインユニット2にそれぞれ接続されたGPSレシーバ3、自律航法センサ4、操作装置としての操作部5、表示部としてのディスプレイ6およびスピーカ7とによって構成されている。
【0063】
ここで、GPSレシーバ3は、図示しないGPS衛星から配信されるGPS情報(時刻や軌道に関する情報)を受信し、受信したGPS情報をナビゲーションメインユニット2側に出力するようになっている。
【0064】
また、自律航法センサ4は、自車の車速、加速度(角速度)および自車方位等を検出し、検出結果をナビゲーションメインユニット2側に出力するようになっている。この自律航法センサ4は、車速センサやジャイロセンサ等からなるものであってもよい。
【0065】
さらに、操作部5は、操作内容に応じた操作信号をナビゲーションメインユニット2に入力することによって、ナビゲーション装置1に対する種々の操作を行うことが可能とされている。この操作部5は、リモコンやディスプレイ6のタッチパネル等であってもよい。
【0066】
次に、ナビゲーションメインユニット2について詳述すると、図1に示すように、ナビゲーションメインユニット2は、システムバス8にそれぞれ接続されたナビCPU10、地図データ記憶装置としてのハードディスクドライブ(HDD)11、フラッシュメモリ12、RAM14、ユーザインターフェース(I/F)15、画像インターフェース(I/F)16および音声インターフェース(I/F)17を有している。
【0067】
ここで、ナビCPU10は、自車位置検出機能、地図表示機能、経路探索機能、経路誘導機能および検索機能等のナビゲーション装置1の各種の機能を実行するようになっている。
【0068】
また、ハードディスクドライブ11には、地図データが記憶されており、この地図データは、最も詳細な地図を示す最下位レベル(レベル0)から最も簡易な地図を示す最上位レベル(例えば、レベル2)に亘る複数のレベルごとに階層化された状態で管理されており、また、各レベルにおける地図データは、各レベルに応じた大きさのパーセル単位で管理されている。
【0069】
この地図データには、道路データ、背景データ、経路計算用のデータ(道路ネットワークデータ等)および施設等の検索用のデータ(POIデータ、住所情報等)が含まれている。
【0070】
これらのうち、道路データは、2つの交差点(ノード)間の道路区間を示す各道路区間ごとのリンクデータを有しており、各リンクデータには、リンクID、始端ノード座標、終端ノード座標、形状補間点座標、道路名称(路線番号を含む)、通行条件(制限速度等)、幅員情報、車線数情報、標高情報、勾配情報および燃費情報等が含まれている。リンクデータは、地図データの管理レベルが上位になるほど互いに隣接する道路区間同士の間で1つに統合されて扱われる。
【0071】
また、背景データは、ポリゴンデータ、ポリラインデータおよびテキストデータ等によって構成されており、この背景データは、市区町村等の行政区画、道路、鉄道、建物、公園、河川および海岸線等の形状、名称または記号等の表示に用いられるようになっている。なお、これらポリゴンデータ、ポリラインデータおよびテキストデータは、地図データ上における位置および範囲が予め設定(固定)されている。より具体的には、ポリゴンデータおよびポリラインデータは、その地図データ上における形状および大きさを特定するために、地図データ上の座標系(例えば、パーセル正規化座標系)における座標点群によって規定されている。この座標点群は、ポリゴンの外形またはポリラインを構成する単位線素(セグメント)の端部の座標であってもよい。さらに、ポリゴンデータおよびポリラインデータは、行政区画、鉄道、河川等の種別(いわゆる表示クラス)と対応付けられた状態で管理されている。さらにまた、テキストデータは、行政区画名、河川名、駅名、インターチェンジ名、ガソリンスタンド名および観光地名等のポリゴン名称あるいはポリライン名称としてポリゴンデータやポリラインデータと対応付けられた状態で管理されている。
【0072】
さらに、ハードディスクドライブ11には、ナビCPU10の実行プログラムが記憶されている。
【0073】
さらにまた、フラッシュメモリ12には、ナビゲーション装置1の起動とともにナビCPU10によってハードディスクドライブ11から読み出されたナビCPU10の実行プログラムが格納されるようになっており、この格納された実行プログラムがナビCPU10によって適宜実行されることによって、ナビゲーション装置1の各種の機能が適宜実行されるようになっている。
【0074】
また、RAM14は、ナビCPU10による処理結果等の各種のデータの一時的な保存等に用いられるようになっている。
【0075】
さらに、ユーザインターフェース15、画像インターフェース16および音声インターフェース17には、操作部5、ディスプレイ6およびスピーカ7がそれぞれ接続されている。
【0076】
次に、ナビCPU10について更に詳述すると、図2に示すように、ナビCPU10は、その機能ブロックの1つとしての自車位置算出部20を有しており、この自車位置算出部20には、GPSレシーバ3から出力されたGPS情報および自律航法センサ4から出力された検出結果が入力されるようになっている。そして、自車位置算出部20は、GPSレシーバ3側から入力されたGPS情報に基づいて、自車位置を絶対座標として算出(測位)する衛星航法を行うようになっている。また、自車位置算出部20は、自律航法センサ4側から入力された検出結果に基づいて、自車位置を前回の測位位置からの変化分である相対位置として算出する自律航法を行うようになっている。さらに、自車位置算出部20は、ハードディスクドライブ11に記憶されている地図データを用いることによって、衛星航法または自律航法によって検出された自車位置を地図データにおける該当する道路上の位置に補正するマップマッチング処理を行うようになっている。そして、自車位置算出部20は、マップマッチング処理が適正に行われた場合には、マップマッチング処理後の自車位置を最終的な算出結果とするようになっている。
【0077】
また、図2に示すように、ナビCPU10は、その機能ブロックの1つとしての目的地設定部21を有している。この目的地設定部21は、ナビゲーションの目的地を設定するための各種の操作画面をディスプレイ6に表示した上で、この表示された操作画面に対する操作部5を用いたユーザの入力操作に応じた目的地を設定するようになっている。
【0078】
さらに、図2に示すように、ナビCPU10は、その機能ブロックの1つとしての経路探索部22を有している。この経路探索部22は、ハードディスクドライブ11に記憶されている地図データに基づいて、自車位置算出部20によって算出された自車位置から目的地設定部21によって設定された目的地までの予め設定された経路探索条件に応じた最適経路を探索するようになっている。経路探索条件は、デフォルトで設定される場合もあるし、ユーザが操作部5を用いた入力操作によって設定する場合もある。そして、経路探索部22は、探索された最適経路を、ディスプレイ6への表示によって誘導経路の候補としてユーザに提示するようになっている。
【0079】
さらにまた、図2に示すように、ナビCPU10は、その機能ブロックの1つとしての経路誘導部23を有している。この経路誘導部23は、経路探索部22によって提示された最適経路を誘導経路に設定するための操作部5を用いた入力操作が行われると、この最適経路を誘導経路に設定するようになっている。誘導経路の設定は、誘導経路に関する情報、例えばリンクデータおよび目的地等をRAM14等に保存することによって行うようにしてもよい。そして、経路誘導部23は、誘導経路の設定の後に、設定された誘導経路にしたがった経路誘導を開始するようになっている。経路誘導は、交差点拡大図をディスプレイ6に表示することや、スピーカ7を介して交差点右左折案内用の音声を出力すること等によって行われるようになっている。
【0080】
そして、図2に示すように、ナビCPU10は、その機能ブロックの1つとして、地図表示処理装置としての地図描画部24を有している。この地図描画部24は、ハードディスクドライブ11に記憶された地図データに基づいて、所定の領域(地域)を示す地図を生成するようになっている。この地図は、例えば、表示位置、縮尺および画面サイズの各表示条件に応じたパーセルを特定し、特定されたパーセルに該当する地図データをハードディスクドライブ11からRAM14上に読み出し、読み出された地図データを座標変換(例えば、パーセル正規化座標系から画面座標系に座標変換)することによって、表示位置の周辺を示す地図として生成してもよい。そして、地図描画部24は、生成された地図をディスプレイ6に表示するようになっている。この地図には、前記所定の領域としての自車位置算出部20によって算出された自車位置の周辺の所定の領域を示す地図(以下、自車周辺地図と称する)も含まれる。自車位置周辺地図においては、前記表示位置は自車位置となる。
【0081】
また、地図描画部24は、前記地図として、その表示モードを当該地図をスクロール可能なスクロールモードに設定するための操作部5を用いた操作(以下、スクロールモード設定操作と称する)を許容する操作画面としての機能を持たせた地図を表示するようになっている。このスクロールモード設定操作は、例えば、スクロールの開始を指示する操作ボタンを選択する操作や、タッチパネル機能を有する地図画面を一定時間以上押し続ける操作等であってもよい。
【0082】
そして、地図描画部24は、スクロールモード設定操作によってスクロールモードが設定された地図として、当該地図をスクロールするための操作部5を用いた操作(以下、スクロール操作と称する)を許容する操作画面としての機能を持たせた地図を表示するようになっている。この地図は、スクロール操作が可能な方向を指示するカーソルの表示をともなった地図であってもよい。また、スクロール操作(スクロール)が可能な方向は、画面に対して上下、左右、右上、右下、左上および左下の合計8方向であってもよい。
【0083】
さらに、地図描画部24は、前記地図として、その縮尺を変更するための操作部5を用いた操作を許容する操作画面としての機能も持たせた地図を表示してもよい。
【0084】
また、図2に示すように、ナビCPU10は、その機能ブロックの1つとして、制御装置としての地図描画制御部25を有している。この地図描画制御部25は、操作部5によるスクロールモード設定操作にともなって、地図描画部24による地図の表示モードを、スクロールモードに設定するようになっている。
【0085】
その上で、地図描画制御部25は、スクロールモードに設定された地図に対する操作部5によるスクロール操作に応じた地図のスクロールを行うように地図描画部24を制御するようになっている。そして、この制御にしたがって、地図描画部24による地図のスクロールが行われるようになっている。なお、スクロールは、現在の表示位置に対応するパーセルに対してスクロール操作において指示された方向において隣接する隣接パーセルを特定し、特定された隣接パーセルを読み込んで地図表示する処理を、スクロール操作の進行にともなって繰り返すことによって行われるようになっている。
【0086】
さらに、図2に示すように、ナビCPU10は、その機能ブロックの1つとして、縮尺設定装置としての縮尺設定部26を有している。この縮尺設定部26は、デフォルトまたは操作部5を用いた縮尺の変更操作に応じた縮尺を設定するようになっている。そして、地図描画制御部25は、縮尺設定部26によって設定された縮尺の地図を表示するように地図描画部24を制御するようになっており、この制御にしたがって、地図描画部24による設定された縮尺の地図の表示が行われるようになっている。
【0087】
さらにまた、図2に示すように、ナビCPU10は、その機能ブロックの1つとして、線形要素抽出装置としての線形要素抽出部27を有している。この線形要素抽出部27は、地図描画部24によって所定時間(例えば、3秒間)に亘る連続的なスクロールが行われた場合に、この連続的なスクロールの結果に基づいて、連続的なスクロールにおいて追従した地図上の第1の特定の線形要素を抽出するようになっている。
【0088】
なお、本実施形態において、第1の特定の線形要素としては、地図の縮尺がある程度大きい(詳細である)ことを前提として、当該地図の表示の際に当該線形要素の一部のみが地図上に線状の画像として表示され、当該線形要素に追従したスクロールの進行にともなって、当該線形要素における表示される部位が追従方向側に逐次変化し得るようなある程度の長さを有する線形データを想定している。したがって、前記連続的なスクロールが行われた時点では、第1の特定の線形要素のうちの未表示の部位も存在する。しかるに、本実施形態において、線形要素抽出部27は、第1の特定の線形要素の抽出に際しては、第1の特定の線形要素をその未表示の部位も含めて全体的に抽出するようになっている。なお、線形要素抽出部27は、第1の特定の線形要素の条件として、これに追従したスクロールの進行方向側に未表示の部位が存在すること、換言すれば、前記連続的なスクロールの完了時点における地図の端部とスクロール方向側において交わることを条件とし、この条件を満足するような線形データを抽出してもよい。
【0089】
また、前記連続的なスクロールにおける「連続的」とみなす基準については、コンセプトに応じて好適な基準を定めることができる。例えば、途中に全くスクロールの停止時間がない場合だけでなく、途中に僅かなスクロールの停止時間(例えば、1秒未満)があった場合も「連続的」と扱ってよい。さらに、前記所定時間の開始時点は、スクロールの開始時点であってもよい。
【0090】
ここで、線形要素抽出部27は、例えば、前記所定時間の間にディスプレイ6にスクロール表示される地図データを単位変化分ごと(例えば、スクロール方向への所定距離変化分)ごとに逐次バッファリングし、バッファリングされた各地図データの中から、予め設定された所定の抽出方法にしたがって第1の特定の線形要素を抽出してもよい。なお、この抽出の際に最初にバッファリングされた地図データ以後の地図データは、最初にバッファリングされた地図データからの変化分を示す差分データであってもよい。
【0091】
より具体的には、線形要素抽出部27は、第1の特定の線形要素として主要な道路を抽出してもよい。この場合には、線形要素抽出部27は、例えば、前述した単位変化分ごとにバッファリングされた各地図データのいずれにも含まれるような同一の道路識別情報(例えば、路線番号や高速道路名)が対応付けられた各リンクを検索し、この検索によって検出された各リンクに対応する同一の道路識別情報に紐付けて主要な道路(リンク列)全体を、その未表示の部位を含めて全て抽出してもよい。
【0092】
なお、主要な道路としては、例えば、高速道路、有料道路、国道および県道を挙げることができる。
【0093】
また、線形要素抽出部27は、主要な道路以外の第1の特定の線形要素として、鉄道路線、河川、海岸線およびフェリーならびに航空機の航路等の線形の背景を抽出してもよい。この場合には、線形要素抽出部27は、例えば、前述した単位変化分ごとにバッファリングされた各地図データのいずれにも含まれるような同一の線形の背景が対応付けられた同一の座標点群に属する各座標点を検索し、この検索によって検出された各座標点に対応する同一の座標点群に紐付けて当該線形の背景(ポリラインデータ)全体を抽出してもよい。
【0094】
さらに、線形要素抽出部27は、第1の特定の線形要素として、過去の通行軌跡としての自車の過去の走行軌跡を抽出してもよい。この場合には、線形要素抽出部27は、例えば、前述した単位変化分ごとにバッファリングされた各地図データのいずれにも含まれるような同一の自車の過去の走行軌跡が対応付けられたリンクを検索し、この検索によって検出された各リンクに紐付けて当該走行軌跡(リンク列)全体を抽出してもよい。ただし、この場合には、ナビCPU10が、自律航法等によって算出された自車の走行軌跡を、ユーザ操作にともなってハードディスクドライブ11等に当該走行軌跡を構成する各リンクに対応付けて記録する機能(いわゆる、ルートバンキング機能)および記録された走行軌跡を地図表示の際にユーザ操作にともなってディスプレイ6に表示する機能を備えていることを要する。
【0095】
さらにまた、線形要素抽出部27は、第1の特定の線形要素として、誘導経路を抽出してもよい。この場合には、線形要素抽出部27は、例えば、前述した単位変化分ごとにバッファリングされた各地図データのいずれにも含まれるような誘導経路上の各リンクを検索し、この検索によって検出された各リンクに該当する誘導経路の設定結果に紐付けて誘導経路全体を抽出してもよい。なお、地図上に誘導経路を表示する機能は従来からナビゲーション装置に標準的に備わっており、このような誘導経路の設定および表示が行われている状態においては、ユーザが誘導経路に追従したスクロールを行う可能性は、他の線形データを追従対象とする場合に比べて高いと予想される。
【0096】
また、図2に示すように、ナビCPU10は、その機能ブロックの1つとして、関連情報取得装置としての関連情報取得部28を有している。この関連情報取得部28は、線形要素抽出部27によって第1の特定の線形要素が抽出された場合に、抽出された第1の特定の線形要素に関連する第1の関連情報を、ハードディスクドライブ11に記憶された地図データに基づいて取得するようになっている。
【0097】
この際に、関連情報取得部28は、線形要素抽出部27によって抽出された第1の特定の線形要素の種類に応じた所定の第1の関連情報を、予め設定された所定の取得方法にしたがって取得すればよい。
【0098】
例えば、関連情報取得部28は、線形要素抽出部27によって第1の特定の線形要素としての主要な道路が抽出された場合には、当該主要な道路に関連する第1の関連情報として、路線名称、路線番号、当該主要な道路に追従したスクロール先の方面(換言すれば、当該主要な道路に追従したスクロールを続行することによって今後表示されるべき未表示の地域または場所)の名称、現在地から当該方面までの当該主要な道路上の距離、現在地から当該方面までの当該主要な道路上の走行区間の交通情報、車線数、道路幅員、道路勾配および燃費等を取得してもよい。
【0099】
この場合に、路線名称、路線番号、車線数、道路幅員、道路勾配および燃費については、抽出された主要な道路に該当するリンクデータに含まれる情報として、抽出された主要な道路から直接取得することができる。これらの関連情報は、線形要素抽出部27によって抽出された主要な道路のうちの現在表示されている道路区間に該当するリンクデータに基づいて取得すればよい。
【0100】
さらに、方面の名称としては、線形要素抽出部27によって抽出された主要な道路に追従したスクロール先の行政区画名や施設名を挙げることができる。なお、施設名としては、駅名、インターチェンジ名、ガソリンスタンド名および観光地名等を挙げることができる。この方面の名称は、第1の特定の線形要素に追従したスクロール先の第1の方面の名称の一態様である。
【0101】
ここで、方面の名称は、リンクデータに含まれた情報とは異なるため、路線名称等とは異なる取得方法で取得すればよい。
【0102】
例えば、関連情報取得部28が、方面の名称としての行政区画名を取得する方法としては、例えば、次のような方法が考えられる。
【0103】
すなわち、まず、線形要素抽出部27によって抽出された主要な道路のうちの当該主要な道路の抽出時点において地図上に表示されている道路区間におけるスクロール方向側の端部に該当するリンクを、検索開始リンクとして特定する。
【0104】
次いで、行政区画の種別(表示クラス)に属するポリゴンデータに基づいて、前記検索開始リンクから、当該主要な道路に追従したスクロール方向を検索の進行方向として、当該主要な道路におけるスクロール先の道路区間すなわち今後スクロール表示されるべき未表示の道路区間をなぞるようにして、当該道路区間上に存在するような互いに隣接するポリゴンデータ同士の境界点を検索していく。この検索に際しては、当該スクロール先の道路区間を構成する各リンクを、前記検索開始リンク側から順次択一的に検索実行リンクに設定していき、設定された検索実行リンクごとに、当該境界点の検索を順次行わせていけばよい。このとき、当該境界点は、検索実行リンクに交わるようなポリゴンデータの外形を規定する単位線素(セグメント)として検出されてもよい。また、この検索においては、当該スクロール先の道路区間上に、前記互いに隣接するポリゴンデータが複数組存在してもよく、これにともなって、複数の境界点が順次検出されてもよい。さらに、このような境界点の検索は、当該主要な道路の終端に該当するリンクに至るまで行えばよい。
【0105】
次いで、このようにして検出された境界点(複数であってもよい)に対応する前記互いに隣接するポリゴンデータ(複数組であってもよい)のうち、前記検索において第1番目に検出された境界点に対して前記検索開始リンク側に位置するような1つのポリゴンデータを除外することによって、ポリゴンデータを絞り込む。なお、除外された1つのポリゴンデータは、線形要素抽出部27によって抽出された主要な道路における当該主要な道路の抽出時点において表示されている道路区間が属する行政区画に対応するポリゴンデータとみなすことができる。すなわち、このようなポリゴンデータに対応する行政区画は、現在表示されている地図が属する行政区画そのものであり、スクロール先の行政区画としては不適格であるためポリゴンデータを除外する。なお、絞り込まれたポリゴンデータは、複数存在してもよい。
【0106】
そして、このようにして絞り込まれたポリゴンデータに対応付けられたポリゴン名称(テキストデータ)を、行政区間名として取得する。
【0107】
ここで、絞り込まれたポリゴンデータが複数存在する場合、すなわち、線形要素抽出部27によって抽出された主要な道路が、これに追従したスクロール方向に向かうにしたがって複数組の行政区画同士の境界点を順次通過する場合には、絞り込まれた複数のポリゴンデータの中から所定の優先順位にしたがって1つのポリゴンデータを選択すればよい。そして、選択された1つのポリゴンデータに対応付けられた行政区画名を取得すればよい。例えば、現在表示されている地図に対してより遠方の(離れた)スクロール先の行政区画名を表示させたい場合には、前記検索によって検出された順番が遅い境界点に対応するポリゴンデータに対応付けられた行政区画名を取得すればよい。これについては更に具体的な実施例を後述する。
【0108】
また、関連情報取得部28が、方面の名称としての施設名を取得する方法としては、例えば、次のような方法が考えられる。
【0109】
すなわち、まず、線形要素抽出部27によって抽出された主要な道路のうちの当該主要な道路の抽出時点において地図上に表示されている道路区間におけるスクロール方向側の端部に該当するリンクを、検索開始リンクとして特定する。
【0110】
次いで、施設の分類に属するポリゴンデータに基づいて、前記検索開始リンクから、当該主要な道路に追従したスクロール方向を検索の進行方向として、当該主要な道路におけるスクロール先の道路区間をなぞるようにして、当該道路区間を構成する各リンクからリンク法線方向における所定距離以内に存在するようなポリゴンデータを検索していく。この検索に際しては、当該スクロール先の道路区間を構成する各リンクを、前記検索開始リンク側から順次択一的に検索実行リンクに設定していき、設定された検索実行リンクごとに、当該ポリゴンデータの検索を順次行わせていけばよい。この検索によって検出される順番が早いポリゴンデータほど、現在表示されている地図に対してより近い位置に存在する施設に対応するポリゴンデータとなる。
【0111】
そして、このようにして検出されたポリゴンデータに対応付けられたポリゴン名称(テキストデータ)を、施設名として取得する。なお、行政区間名の場合と同様であるが、例えば、現在表示されている地図に対してより遠方のスクロール先の施設名を表示させたい場合には、前記検索によって検出された順番が遅いポリゴンデータに対応する施設名を取得すればよい。
【0112】
これ以外の方面の名称の取得方法としては、線形要素抽出部27によって抽出された主要な道路におけるスクロール先の道路区間に属するノードに対応付けられた方面情報(交通看板)から、方面の名称を取得する方法が考えられる。
【0113】
さらに、前記現在地から前記方面までの前記主要な道路上の距離を取得するには、前記方面の名称が取得され、かつ、自車が線形要素抽出部27によって抽出された主要な道路上を走行していることが前提となる。このような前提で、当該距離については、自車位置から線形要素抽出部27によって抽出された主要な道路上の当該方面の名称に対応する地点までの当該主要な道路上の距離として取得することができる。
【0114】
例えば、方面が行政区画の場合には、当該距離は、自車位置から、行政区画名に対応するポリゴンデータにおける前記検索開始リンク側の境界点(すなわち、行政区画名に対応する地点)までの線形要素抽出部27によって抽出された主要な道路上の距離(地図データ上の距離)として取得することができる。また、方面が施設の場合には、当該距離は、自車位置から当該施設に対応するポリゴンデータを検出した前記検索実行リンクまでの線形要素抽出部27によって抽出された主要な道路上の距離(地図データ上の距離)として取得することができる。
【0115】
さらにまた、前記現在地から前記方面までの前記主要な道路上の走行区間の交通情報を取得するには、まず、前提として、ナビゲーション装置1が、ビーコン受信機やFM多重レシーバ等の交通情報の配信システム(例えば、VICS:Vehicle Information and Communication System)によって逐次配信される交通情報を受信する交通情報受信装置を備えるようにする。この交通情報受信装置は、ナビゲーションメインユニット2に接続された状態で、受信した交通情報をナビCPU10に入力するように構成すればよい。なお、配信システムによって配信される交通情報には、これに該当する道路区間のリンクIDが対応付けられている。また、このような交通情報を取得するには、さらに、前記方面の名称が取得され、かつ、自車が線形要素抽出部27によって抽出された主要な道路上を走行していることが前提となる。そして、このような前提で、関連情報取得部28は、交通情報受信装置によって受信された最新の交通情報の中から、線形要素抽出部27によって抽出された主要な道路上における自車位置と前記取得した方面の名称に対応する地点との間の道路区間を構成するリンクのリンクIDに対応付けられた交通情報を取得すればよい。
【0116】
この他にも、関連情報取得部28は、例えば、線形要素抽出部27によって第1の特定の線形要素としての誘導経路が抽出された場合には、当該誘導経路に関連する第1の関連情報として、前述した主要な道路に関連する第1の関連情報と同様の情報を取得すればよい。すなわち、この場合には、誘導経路における現在表示されている道路の路線名称、誘導経路における現在表示されている道路の路線番号、当該誘導経路に追従したスクロール先の方面の名称、現在地から当該方面までの当該誘導経路上の距離、現在地から当該方面までの当該誘導経路上の走行区間の交通情報および誘導経路における現在表示されている道路の車線数、道路幅員、道路勾配、燃費等を取得してもよい。これらの情報の取得方法としては、主要な道路に関連する第1の関連情報と同様の方法を用いればよい。
【0117】
また、図2に示すように、ナビCPU10は、関連情報表示処理装置としての関連情報描画部29を有している。この関連情報描画部29は、関連情報取得部28によって第1の関連情報が取得された場合に、前記連続的なスクロールの後の地図上における第1の特定の線形要素に対応する位置に、当該取得された第1の関連情報の重畳表示を開始するようになっている。なお、第1の関連情報の重畳表示が開始される時点の地図は、前記連続的なスクロールの完了時点の地図であってもよいし、あるいは、第1の関連情報の取得に要する所要時間(タイムラグ)を考慮して、前記連続的なスクロールの完了時点の地図よりも所定変化分だけ第1の特定の線形要素に追従したスクロールが進行した後の地図であってもよい。
【0118】
さらに、この重畳表示の開始の後は、関連情報取得部28は、前記連続的なスクロールの後のスクロールの結果に基づいて、第1の特定の線形要素に追従したスクロールの続行の有無の判定(以下、追従続行判定と称する)を行うようになっている。なお、追従続行判定は、前回の追従続行判定において肯定的な判定結果が得られたことを条件として、スクロールの進行にともなって繰り返し行われるようになっている。
【0119】
そして、関連情報取得部28は、追従続行判定において肯定的な判定結果が得られた場合には、前記重畳表示の開始に引き続き、前記連続的なスクロールの後の最新のスクロール後の地図上における第1の特定の線形要素に対応する位置に、第1の関連情報の重畳表示を継続的に行うようになっている。
【0120】
ここで、このような関連情報取得部28による第1の関連情報の継続的な重畳表示を実現するためのより具体的な方法としては、例えば、次のような方法が考えられる。
【0121】
すなわち、まず、前記連続的なスクロールに続けて後続のスクロールが行われる場合に、この後続のスクロールの結果のバッファリングを開始する。そして、前記後続のスクロールが前記連続的なスクロールの完了時点の地図に対して単位変化分(例えば、スクロール方向への所定距離変化分)行われた時点で、この単位変化分の後続のスクロール後の地図に、第1の特定の線形要素のうちの前記連続的なスクロールの完了時点の地図には含まれていなかった部位が新たに含まれるようになったか否かを判定する(第1回目の追従続行判定)。そして、この第1回目の追従続行判定において肯定的な判定結果が得られた場合に、前記単位変化分の後続のスクロール後の地図すなわち現時点で最新のスクロール後の地図における第1の特定の線形要素に対応する位置に、第1の関連情報の第1回目の継続的な重畳表示(すなわち、前記重畳表示の開始の直後の重畳表示)を行う。
【0122】
次いで、前記単位変化分の後続のスクロールに続けて、更に後続のスクロールが、前記単位変化分の後続のスクロール後の地図に対して単位変化分行われた時点で、この単位変化分の更に後続のスクロール後の地図に、第1の特定の線形要素のうちの前記単位変化分の後続のスクロール後の地図および前記連続的なスクロールの完了時点の地図には含まれていなかった部位が新たに含まれるようになったか否かを判定する(第2回目の追従続行判定)。そして、この第2回目の追従続行判定において肯定的な判定結果が得られた場合に、前記単位変化分の更に後続のスクロール後の地図すなわち現時点で最新のスクロール後の地図における第1の特定の線形要素に対応する位置に、第1の関連情報の第2回目の継続的な重畳表示を行う。
【0123】
これ以後は、第1回目、第2回目の継続的な重畳表示と同様な要領で、継続的な重畳表示を繰り返せばよい。
【0124】
なお、関連情報描画部29は、関連情報取得部28によって取得された第1の関連情報を、必要に応じて表現形式に変更を加えた上で表示してもよい。例えば、路線名称や路線番号については、そのままの表現形式「国道○○号線」で表示すればよいが、方面の名称については、「至」や「方面」等の語を付した状態で表示することが望ましい。例えば、方面の名称の一例として、行政区画名としての「○○(市)」が取得された場合には、この方面の名称は、「至○○」あるいは「○○方面」と表示することが望ましい。方面の名称として駅名や観光地名等の施設名を取得した場合も同様である。
【0125】
さらに、図2に示すようにナビCPU10は、その機能ブロックの1つとして、第1の交点抽出装置としての交点抽出部30を有している。この交点抽出部30は、第1の関連情報を重畳表示すべき地図(すなわち、重畳表示の開始または継続的な重畳表示を行うべき地図)に含まれる第1の特定の線形要素が、これに追従したスクロールの進行方向側において当該地図の端部と交わる交点を抽出するようになっている。この交点の抽出は、第1の特定の線形要素に追従したスクロールの進行にともなって継続的に行われるようになっている。
【0126】
そして、関連情報描画部29は、交点抽出部30によって当該交点が抽出された場合に、第1の関連情報を、これを重畳表示すべき地図上における当該交点の近傍に、第1の特定の線形要素に重ならない表示態様(例えば、大きさや傾き)で重畳表示するようになっている。なお、当該交点が抽出されない場合には、第1の関連情報の重畳表示を行わないようにすればよい。当該交点が抽出されない場合の例としては、スクロールの進行にともなって、地図内に、第1の特定の線形要素におけるスクロールの進行方向側の端部が含まれるようになった場合等が挙げられる。
【0127】
このような構成によれば、第1の特定の線形要素に追従したスクロールを行う場合に、関連情報取得部28によって取得された第1の特定の線形要素に関連する第1の関連情報を、関連情報描画部29によってスクロール中の地図上における第1の特定の線形要素に対応する位置すなわち前記交点の近傍に重畳表示することができるので、第1の関連情報を迅速かつ確実に把握することができる。このとき、地図の縮尺を小縮尺に切り替えることを要しないため、操作上のメリットも大きい。
【0128】
なお、本実施形態において、操作部5は、スクロールの速度を指定する操作が可能とされ、地図描画制御部25が、当該操作が行われたことを認識した上で、予め設定された当該操作の内容とスクロールの速度との対応関係を示すデータ等に基づいて、当該操作において指定された速度のスクロールを行うように地図描画部24を制御してもよい。ここで、スクロールの速度を指定する操作としては、公知の種々の技術を適用することができる。例えば、スクロールモードの地図画面において、画面中央に対するタッチパネルのタッチ操作を行うことによって通常のスクロールの速度を指定し、画面端近傍に対するタッチ操作を行うことによって高速のスクロールの速度を指定するようにしてもよい。また、同じ方向へのスクロール操作を継続させることによって、同方向へのスクロールの速度を高速にすることを指定するようにしてもよい。スクロールの速度は、例えば、単位時間あたりのスクロール操作にともなってハードディスクドライブ11から読み込むべき地図データのデータ量(パーセル数)として設定してもよい。
【0129】
そして、このような前提で、関連情報取得部28は、方面の名称を取得すべき時点(例えば、第1の特定の線形要素が抽出された時点)における第1の特定の線形要素に追従したスクロールの速度(前記地図描画制御部25の制御に基づいて設定された速度)が速いほど、現在表示されている地図に対してより遠方の方面の名称を取得してもよい。
【0130】
なお、現在表示されている地図に対してどの程度遠方の方面の名称を取得すべきかについては、例えば、予め、スクロールの速度と、方面の名称の取得に用いられるべき前記検索実行リンクの検出結果(前記境界点またはポリゴンデータ)についての検出順位との対応関係(対応表)をハードディスクドライブ11等に設定しておき、この対応関係に基づいて決定してもよい。この場合には、スクロールの速度が遅いほど、先頭側の検出順位を割り当て、スクロールの速度が速いほど、末尾側の検出順位を割り当てればよい。また、当該対応関係において各速度に対応する検出順位の項目は、例えば、全検出順位のうちの先頭側1/3、中央側1/3、末尾側1/3といった全検出順位に対する割合を示すものであってもよい。この場合には、方面の名称を取得すべき時点のスクロールの速度に対応する検出順位を前記対応関係から抽出し、抽出された検出順位に該当する検索実行リンクの検出結果に対応する方面の名称を取得すればよい。
【0131】
このように構成すれば、スクロールを速く進めて遠くの方面の名称をいち早く知りたいというユーザの心理を反映した方面の名称の表示を行うことができる。
【0132】
また、本実施形態において、関連情報取得部28は、縮尺設定部26によって設定されている縮尺が広域である(小さい)ほど、現在表示されている地図に対してより遠方の方面の名称を取得してもよい。なお、前述したスクロールの速度の場合と同様に、現在表示されている地図に対してどの程度遠方の方面の名称を取得すべきかについては、例えば、予め、縮尺と、方面の名称の取得に用いられるべき前記検索実行リンクの検出結果(前記境界点またはポリゴンデータ)についての検出順位との対応関係をハードディスクドライブ11等に設定しておき、この対応関係に基づいて決定してもよい。この場合には、縮尺が大きいほど、先頭側の検出順位を割り当て、縮尺が小さいほど、末尾側の検出順位を割り当てればよい。
【0133】
このように構成すれば、縮尺に応じた単位スクロール時間ごとの地図のスクロール量を考慮して、縮尺に適合した方面の名称の表示を行うことができる。
【0134】
次に、図3(a)〜(f)は、本実施形態の具体的な動作例として、第1の特定の線形要素としての道路に追従したスクロールを行う場合における地図画面の遷移状態を示したものである。各図中の矢印は、各図の地図画面が表示された時点(換言すれば、表示された直後)におけるスクロール操作にともなうスクロールの方向を示している。なお、本実施形態以外の後述する各実施形態においても、該当する図中に図3と同様の矢印が示されることがあるが、その矢印の意味は、特に言及する場合を除いて図3と同様である。
【0135】
図3の動作例においては、まず、図3(a)において、地図描画部24によってディスプレイ6に表示された自車周辺地図32に対して、ユーザが、操作部5を用いて自車位置マークが示す自車位置P1から画面右方向に延びる1本の道路R1に追従したスクロール操作を開始し、さらに、このスクロール操作を所定時間に亘って連続的に行ったとする。
【0136】
次いで、このような連続的なスクロール操作を受けて、地図描画部24が、地図描画制御部25の制御の下で図3(b)に示すようなスクロール後の地図画面33を表示する。このとき、線形要素抽出部27による道路R1の抽出、関連情報取得部28による道路R1の道路名称およびスクロール先の方面の名称の取得および交点抽出部30による道路R1と地図の右端部(スクロール方向側の端部)との交点P2の抽出が行われた上で、関連情報描画部29により、地図33の右端部と道路R1との交点P2の近傍に、第1の関連情報である「国道6号水戸街道/至松戸」の重畳表示が開始される。ここで、「国道6号水戸街道」は、路線番号を含んだ路線名称である。また、「至松戸」は、道路に沿ったスクロール先の方面の名称である。
【0137】
次いで、図3(b)の状態から、更に、道路R1に追従したスクロールを継続させると、図3(c)〜(f)に示すように、スクロール後の各地図34,35,36,37の端部と道路R1との交点P3,P4,P5,P6の近傍位置への「国道6号水戸街道/至松戸」の重畳表示が継続的に行われる。
【0138】
次に、本実施形態のさらに具体的な工程について図4を参照して説明する。なお、図4の初期状態においては、地図描画部24による自車周辺地図の表示が行われているものの、地図のスクロールは開始されていないものとする。
【0139】
そして、初期状態から、まず、図4のステップ1(ST1)において、線形要素抽出部27により、地図描画部24によるスクロール結果に基づいて、所定時間に亘る連続的な地図のスクロールが行われたか否かを判定する。そして、このステップ1(ST1)において肯定的な判定結果が得られた場合には、ステップ2(ST2)に進み、否定的な判定結果が得られた場合には、ステップ1(ST1)を繰り返す。
【0140】
次いで、ステップ2(ST2)において、線形要素抽出部27により、ステップ1(ST1)において検出された連続的なスクロールの結果に基づいて、前述した手法によって第1の特定の線形要素の抽出を行う。
【0141】
次いで、ステップ3(ST3)において、関連情報取得部28により、ステップ2(ST2)において第1の特定の線形要素が抽出されたか否かを判定する。そして、ステップ3(ST3)において肯定的な判定結果が得られた場合には、ステップ4(ST4)に進み、否定的な判定結果が得られた場合には、処理を終了する。処理を終了する場合には、ディスプレイ6には、第1の関連情報の重畳表示をともなわない通常のスクロール後の地図のみが表示されることになる。
【0142】
次いで、ステップ4(ST4)において、関連情報取得部28により、前述した手法によって第1の関連情報の取得を行う。
【0143】
次いで、ステップ5(ST5)において、関連情報描画部29により、ステップ4(ST4)において第1の関連情報が取得されたか否かを判定する。そして、このステップ5(ST5)において肯定的な判定結果が得られた場合には、ステップ6(ST6)に進み、否定的な判定結果が得られた場合には、処理を終了する。なお、否定的な判定結果が得られる場合の例としては、第1の関連情報として主要な道路に追従したスクロール先の行政区画名を取得しようとする場合に、当該道路における未表示の道路区間のすべてが、現在表示されている地図が属する行政区画と同じ行政区画に属する場合が挙げられる。
【0144】
次いで、ステップ6(ST6)において、交点抽出部30により、ステップ1(ST1)において検出された連続的なスクロール後の地図の端部と、ステップ2(ST2)において抽出された第1の特定の線形要素とのスクロールの進行方向側における交点の抽出を行う。なお、本実施形態においては、当該交点が抽出されたものとする。
【0145】
次いで、ステップ7(ST7)において、関連情報描画部29により、ステップ4(ST4)において取得された第1の関連情報を、ステップ1(ST1)において検出された連続的なスクロールの後の地図上におけるステップ6(ST6)において抽出された交点の近傍位置に重畳表示する。このようにして、連続的なスクロールの後の地図上への第1の関連情報の重畳表示を開始する。
【0146】
次いで、ステップ8(ST8)において、関連情報描画部29により、前述した手法によって現時点で最新のスクロール後の地図を対象とした追従続行判定を行う。そして、このステップ8(ST8)において肯定的な判定結果が得られた場合には、ステップ9(ST9)に進み、否定的な判定結果が得られた場合には、ステップ11(ST11)に進む。
【0147】
ここで、ステップ9(ST9)に進んだ場合には、このステップ9(ST9)において、交点抽出部30により、ステップ8(ST8)の判定に用いられた最新のスクロール後の地図の端部と、ステップ2(ST2)において抽出された第1の特定の線形要素とのスクロールの進行方向側における交点の抽出を行ってステップ10(ST10)に進む。なお、本実施形態においては、当該交点が抽出されたものとする。
【0148】
次いで、ステップ10(ST10)において、関連情報描画部29により、ステップ4(ST4)において取得された第1の関連情報を、ステップ8(ST8)の判定に用いられた最新のスクロール後の地図上におけるステップ9(ST9)において抽出された交点の近傍位置に重畳表示して、ステップ8(ST8)に戻る。このようにして、第1の関連情報の継続的な重畳表示を行う。
【0149】
一方、ステップ11(ST11)に進んだ場合には、このステップ11(ST11)において、関連情報描画部29により、第1の関連情報の重畳表示を中止して処理を終了する。
【0150】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について、第1実施形態との相違点に限定して、図5を参照して説明する。
【0151】
本実施形態においては、関連情報取得部28が、第1の特定の線形要素に追従したスクロールの進行にともなって、当該スクロールの進行前に表示されていた第1の関連情報に代わって新たに表示されるべき第1の関連情報を取得可能とされている。
【0152】
そして、関連情報取得部28によって新たに表示されるべき第1の関連情報が抽出された場合に、関連情報描画部29が、抽出された当該第1の関連情報を、前記スクロールの進行前に表示されていた第1の関連情報に代わって新たに表示するようになっている。
【0153】
すなわち、本実施形態においては、第1の特定の線形要素に追従したスクロールが進行することによって、今まで表示されていた地図上の第1の特定の線形要素に関連していた第1の関連情報と抵触するような新たな第1の関連情報がスクロール後の地図上の第1の特定の線形要素に関連するようになった場合に、新たな第1の関連情報を取得してこれを今までの第1の関連情報に代えて新たに表示するようになっている。
【0154】
本実施形態によれば、例えば、同じ路線番号の主要な道路であっても区間に応じて路線名称が変化するような道路(本実施形態においては同一とみなす道路)や、同じ主要な道路であっても区間に応じて車線数、道路幅員または道路勾配が変化するような道路に追従したスクロールを行う場合に、区間に応じて適切な第1の関連情報を取得して表示することができる。また、この他にも、誘導経路に追従したスクロールを行う場合に、誘導経路上の区間に応じて路線名称等が異なる場合も当然に想定されるが、このような場合にも、現在表示されている区間に応じた適切な第1の関連情報を表示することができる。
【0155】
より具体的には、例えば、図5(a)に示すように、路線番号が「国道6号」の道路R2に追従したスクロールが行われていて、この道路R2に関連する第1の関連情報として、主要な道路の路線名称である「国道6号江戸通り」が取得されて地図38上に重畳表示されているものとする。そして、図5(a)の状態から、さらに道路R2に追従したスクロールを進めることによって、スクロール後の地図に、道路R2の路線名称が「国道6号水戸街道」であるリンクが新たに含まれるようになったとする。この場合には、図5(b)に示すように、関連情報取得部28により、新たな正式名称「国道6号水戸街道」を取得した上で、関連情報描画部29により、取得された新たな路線名称を図5(a)において表示していたものに代わってスクロール後の地図39上に重畳表示する。
【0156】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について、第1実施形態との相違点に限定して、図6を参照して説明する。
【0157】
本実施形態においては、線形要素抽出部27が、前記連続的なスクロールが行われた場合に、第1実施形態と同様な手法によって、互いに平行な複数の第1の特定の線形要素を同一地図上から同時期に抽出可能とされている。すなわち、本実施形態においては、前記連続的なスクロールの結果に複数の第1の特定の線形要素が含まれている場合に、これら複数の第1の特定の線形要素をすべて抽出するようになっている。
【0158】
また、本実施形態において、関連情報取得部28は、線形要素抽出部27によって前記複数の第1の特定の線形要素が抽出された場合には、第1実施形態と同様な手法によって、抽出された前記複数の第1の特定の線形要素のそれぞれに関連する第1の関連情報を取得可能とされている。
【0159】
さらに、本実施形態において、関連情報描画部29は、関連情報取得部28によって前記複数の第1の特定の線形要素のそれぞれに関連する第1の関連情報が取得された場合に、前記連続的なスクロールの後の前記地図上における前記複数の第1の特定の線形要素のそれぞれに対応する位置への前記取得された各第1の関連情報の重畳表示を開始するようになっている。このとき、各第1の関連情報の重畳表示位置は、各第1の特定の線形要素が、これらに追従したスクロールの進行方向側において各第1の関連情報を重畳表示すべき地図の端部とそれぞれ交わる交点の近傍であってもよい。
【0160】
さらにまた、本実施形態において、関連情報描画部29は、当該重畳表示の開始の後は、前記連続的なスクロールの後のスクロールの結果に基づいて、前記複数の第1の特定の線形要素のそれぞれを対象とした前記追従続行判定を行うようになっている。なお、本実施形態においても、追従続行判定は、前回の追従続行判定において肯定的な判定結果が得られたことを条件として、スクロールの進行にともなって繰り返し行われるようになっている。したがって、前記複数の第1の特定の線形要素のうち、追従続行判定において否定的な判定結果が得られたものは、次回の追従続行判定の対象からは除外されることになる。
【0161】
そして、本実施形態においては、前記複数の第1の特定の線形要素のうちの少なくとも1つの第1の特定の線形要素について追従続行判定における肯定的な判定結果が得られた場合に、前記重畳表示の開始に引き続き、前記連続的なスクロールの後の最新のスクロール後の地図上における当該少なくとも1つの第1の特定の線形要素に対応する位置に、当該第1の特定の線形要素に関連する第1の関連情報を継続的に重畳表示するようになっている。
【0162】
この継続的な重畳表示のための具体的な手法としては、第1実施形態において説明した手法と同様の手法を用いればよい。
【0163】
このような構成によれば、例えば、複数の第1の特定の線形要素のとしての新道と旧道のような互いに並走する複数の道路の違いを把握し易くなる。
【0164】
図6は、このような新道と旧道との2つの道路が第1の特定の線形要素としてそれぞれ抽出された場合における地図画面の表示状態を示している。図6においては、前記連続的なスクロールの後の地図41上に、新道R3に対応する第1の関連情報として路線名称「国道119号宇都宮バイパス」が、旧道R4に対応する第1の関連情報として路線名称「国道119号線」が、それぞれ重畳表示されている。
【0165】
なお、このような図6の地図41に対する更なる道路R3,R4に追従したスクロール後の地図においても2つの道路R3,R4がともに含まれる場合、すなわち各道路R3,R4の並走関係が維持される場合には、当該スクロール後の地図においても、図6と同様に、各道路R3,R4の道路名称がともに表示されることになる。
【0166】
なお、第1実施形態に示したようなスクロールの速度や縮尺に応じた方面の名称の取得の変更等の変形例については、本実施形態においても適用することができる。
【0167】
また、第1実施形態に示したように、第1の特定の線形要素の対象としては、種々の種類の線形データ(すなわち線形要素)を挙げることができる。これらの線形データは、本実施形態のように複数の第1の特定の線形要素として同一の地図に対して複数抽出されてもよいが、抽出される数があまりにも多すぎると、ユーザが本来追従を意図しない線形データまでもが第1の特定の線形要素として数多く抽出されることになる。その場合には、却って必要な線形データについての第1の関連情報の視認性を損ねる虞がある。そこで、線形要素抽出部27に、第1の特定の線形要素として抽出すべき線形データの種類の優先順位を設定しておき、この優先順位にしたがって地図上の各種の線形データから第1の特定の線形要素を順次抽出し、抽出数が所定数(1以上の好適な数)に達した時点で第1の特定の線形要素の抽出を終了するようにしてもよい。この場合に、誘導経路が設定されて表示されている場合には、誘導経路を第1の特定の線形要素として優先的に抽出してもよい。
【0168】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について、第1実施形態との相違点に限定して、図7を参照して説明する。
【0169】
本実施形態においては、線形要素抽出部27が、第1の関連情報を重畳表示すべき地図に含まれる第1の特定の線形要素から分岐された線形要素であって、当該地図内に分岐点を有する第2の特定の線形要素を抽出可能とされている。第2の特定の線形要素は、当該地図内に同時に複数抽出されてもよい。その場合に、複数の第2の特定の線形要素は、互いに異なる分岐点において第1の特定の線形要素から分岐されたものであってもよいし、または、同一の分岐点において第1の特定の線形要素から分岐されたものであってもよい。また、第2の特定の線形要素としては、第1の特定の線形要素と同様に種々の態様の線形データを選択することができる。さらに、第2の特定の線形要素は、第1の特定の線形要素と同種の線形データ(例えば、主要な道路同士)であってもよいし、異種の線形データ(例えば、海岸線と河川)であってもよい。このような第2の特定の線形要素の抽出は、第1の特定の線形要素の抽出に用いたものと同様の地図データすなわちリンクデータやポリラインデータに基づいて行えばよい。この場合、第2の特定の線形要素の抽出は、第1の関連情報を重畳表示すべき地図上に、第1の特定の線形要素と分岐点を有するような地図の端部に至るリンク列やポリラインが存在するか否かに基づいて行えばよい。なお、第1の特定の線形要素および第2の特定の線形要素がともに道路である場合には、分岐点は、交差点であってもよいし、または、高速道路のジャンクションであっもてよい。
【0170】
また、本実施形態において、関連情報取得部28は、線形要素抽出部27によって第2の特定の線形要素が抽出された場合に、抽出された第2の特定の線形要素に関連する第2の関連情報を、ハードディスクドライブ11に記憶された地図データに基づいて取得するようになっている。
【0171】
さらに、本実施形態において、関連情報描画部29は、関連情報取得部28によって第2の関連情報が取得された場合に、取得された第2の関連情報を、第1の関連情報を重畳表示すべき地図上における第2の特定の線形要素に対応する位置に重畳表示するようになっている。
【0172】
このとき、関連情報描画部29は、第2の関連情報を、第1の関連情報を重畳表示すべき地図上における第2の特定の線形要素と当該地図の端部との交点の近傍に重畳表示してもよい。ただし、この場合には、交点抽出部30を第2の交点抽出装置として機能させて、第2の特定の線形要素と当該地図の端部との交点を予め抽出しておくことが前提となる。
【0173】
このような構成によれば、追従すべき線形要素を変更する機会をユーザに与えることができる。
【0174】
ここで、図7は、本実施形態の第1の具体的な動作例としての地図画面の表示状態を示したものである。
【0175】
図7においては、前記連続的なスクロールの後の地図42上に、第1の特定の線形要素としての道路R5と、第2の特定の線形要素としての道路R5から分岐された分岐路R6が含まれている。
【0176】
また、図7に示すように、道路R5と地図42の端部との交点の近傍には、道路R5に関連する第1の関連情報として、道路R5の路線名称および道路R5に追従したスクロール先の方面の名称からなる情報「国道6号江戸通り/至葛飾」が重畳表示されている。
【0177】
さらに、図7に示すように、分岐路R6と地図42の端部との交点の近傍には、分岐路R6に関連する第2の関連情報として、分岐路R6の路線名称および分岐路R6に追従したスクロール先の方面(第2の方面)の名称からなる情報「国道14号京葉道路/至船橋」が重畳表示されている。
【0178】
このような地図42を見たユーザは、分岐路R6に追従したスクロールに切り替えたい場合には、分岐路R6に沿ったスクロール操作を行えばよい。この場合には、関連情報描画部29によって道路R5を対象とした前記追従続行判定において否定的な判定結果が得られたことを契機として、この否定的な判定がなされた時点を線形要素抽出部27側において新たなスクロールの開始時点と擬制すればよい。そして、この擬制された開始時点からの所定時間に亘る連続的なスクロールの結果に基づいて、第1実施形態と同様に、分岐路R6を新たな第1の特定の線形要素として抽出するための処理を開始すればよい。そして、線形要素抽出部27によって分岐路R6が新たな第1の特定の線形要素として抽出された場合には、第1実施形態と同様に、関連情報取得部28による分岐路R6に関連する第1の関連情報の取得および関連情報描画部29による取得された当該第1の関連情報の継続的な重畳表示を行うことになる。ただし、この分岐路R6の第1の関連情報としては、基本的には、分岐路R6が第2の特定の線形要素として抽出されていた時点において第2の関連情報として表示されていたものをそのまま取得すればよい。
【0179】
次に、図8は、本実施形態の第2の具体的な動作例としての地図画面の表示状態を示したものである。
【0180】
図8においては、前記連続的なスクロールの後の地図51上に、第1の特定の線形要素としての高速道路R9と、第2の特定の線形要素としての高速道路R9から「いわきジャンクション(JCT)」において分岐された高速道路R10が含まれている。
【0181】
また、図8に示すように、高速道路R9と地図51の端部との交点の近傍には、高速道路R9に関連する第1の関連情報として、高速道路R9の路線名称および高速道路R9に追従したスクロール先の方面の名称からなる情報「常磐道/水戸方面」が重畳表示されている。
【0182】
さらに、図8に示すように、高速道路R10と地図51の端部との交点の近傍には、高速道路R10に関連する第2の関連情報として、高速道路R10の路線名称および高速道路R10に追従したスクロール先の方面(第2の方面)の名称からなる情報「磐越道/郡山方面」が重畳表示されている。
【0183】
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態について、第1実施形態との相違点に限定して、図9を参照して説明する。
【0184】
本実施形態においては、関連情報描画部29が、第1の関連情報を、操作部5の操作によって選択可能な状態で第1の関連情報を表示すべき地図上に重畳表示するようになっている。
【0185】
また、本実施形態において、地図描画制御部25は、当該地図上に重畳表示された第1の関連情報が操作部5の操作によって選択された場合に、当該第1の関連情報に対応する第1の特定の線形要素に追従した自動的なスクロールを行うように地図描画部24を制御するようになっている。
【0186】
そして、このような制御により、地図描画部24が、第1の特定の線形要素に追従した自動的なスクロールを行うようになっている。このようなスクロールには、公知のルートスクロール機能を用いてもよい。
【0187】
このような構成によれば、ユーザの操作負担を軽減することができる。
【0188】
例えば、図9(a)においては、第1の特定の線形要素としての道路R7に関連する第1の関連情報として、道路R7の路線名称および道路R7に追従したスクロール先の方面の名称からなる情報「国道49号線/至郡山」が、前記連続的なスクロールの後の地図45上に、操作ボタン46上に表記された状態で重畳表示されている。
【0189】
そして、図9(a)において、操作ボタン46が操作部5を用いて選択操作されると、図9(b)に示すように、道路R7に追従した自動的なスクロールが行われ、道路R7を含む自動的なスクロール後の地図47が表示されることになる。
【0190】
本実施形態における自動的なスクロールは、第2の特定の線形要素に対してもそのまま適用することができる。
【0191】
なお、本発明は前述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の特徴を損なわない限度において種々変更することができる。
【0192】
例えば、第1の特定の線形要素として山岳地帯の峠道に追従したスクロールを行う場合には、峠道に追従したスクロール先の方面の名称(第1の関連情報)として、山頂方面の名称(例えば、「富士山五合目方面」)またはふもと方面の名称(例えば、「富士山ふもと方面」)を重畳表示してもよい。
【0193】
また、鉄道路線を第1の特定の線形要素とする場合における第1の関連情報としては、路線名や方面の名称としての鉄道路線に追従したスクロール先の駅名等を挙げることができる。さらに、河川を第1の特定の線形要素とする場合における第1の関連情報としては、河川名や方面の名称としての河川に追従したスクロール先の行政区画名、海名または山名等を挙げることができる。さらにまた、海岸線を第1の特定の線形要素とする場合における第1の関連情報としては、海岸名(浜名、湾名を含む)や方面の名称としての海岸線に追従したスクロール先の海水浴場名、岬名、埠頭名または灯台名等を挙げることができる。これらの第1の関連情報のうち、第1の特定の線形要素の名称(路線名、河川名、海岸名)については、第1の特定の線形要素に対応するポリラインデータに対応付けられたテキストデータ(ポリライン名称)として地図データから取得すればよい。また、方面の名称(スクロール先の駅名等)については、第1実施形態において主要な道路(リンク列)を第1の特定の線形要素とした方面の名称の取得方法と同様の取得方法を、ポリラインデータ(鉄道路線、河川、海岸線)について実施すればよい。その場合には、前述した方面の名称の取得に用いるべき前記境界点や前記ポリゴンデータを検索するために、第1実施形態において説明した検索開始リンクおよび検索実行リンクに代えて、ポリラインを構成する単位線素(セグメント)を、検索開始セグメント、検索実行セグメントとして設定すればよい。
【0194】
さらに、第1の特定の線形要素として主要な道路に追従したスクロールを行う場合に、当該主要な道路に設置された道路構造物が地図中に含まれるようになった場合には、当該道路構造物の名称を第1の関連情報として重畳表示してもよい。例えば、図10においては、第1の特定の線形要素としての道路R8の追従したスクロール中にトンネル48に差し掛かった場合に、このトンネル48の名称「いわき水石トンネル」を第1の関連情報として地図49上に重畳表示している。なお、トンネル以外の道路構造物としては、橋を挙げることができる。
【0195】
さらにまた、本発明は、車載用のナビゲーション装置以外の移動体(例えば、携帯電話機)に適用することも可能である。
【符号の説明】
【0196】
1 ナビゲーション装置
5 操作部
24 地図描画部
25 地図描画制御部
27 線形要素抽出部
28 関連情報取得部
29 関連情報描画部
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図表示装置に係り、特に、地図のスクロールに好適な地図表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ナビゲーション装置等の地図の表示機能を備えた地図表示装置においては、地図の表示領域をユーザ操作にしたがって例えば上下左右または斜め方向等の所定の方向に向かって移動させるスクロール(移動表示)が可能とされていた。
【0003】
この種の地図表示装置においては、これまでにも、例えば、特許文献1に示すように、スクロール先の方面名称(行政区画名等)を、該当するカーソルとともに表示する技術が提案されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−300944号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来は、道路をなぞるように地図を連続的にスクロールする場合すなわち道路に追従したスクロールを行う場合には、道路名称が地図データの固定された地点に設定されていることによって、ある程度スクロールを進めてしまうと道路名称が地図上に表示されなくなってしまっていた。
【0006】
また、特許文献1に記載の技術においては、複数のカーソルが指示する複数の方向にそれぞれ対応する方面名称を知ることはできるものの、その方面名称は、あくまでもカーソルが指示する方向にスクロールを行った場合のスクロール先の方面名称である。したがって、道路に追従したスクロールを行う場合には、複数のカーソルが指示する方面名称のいずれが、その道路に追従したスクロールを行う場合のスクロール先の方面名称であるかを判断することはできなかった。蓋し、現時点で地図上に表示されている追従すべき道路が延びる方向は、スクロール先すなわち現在表示されていない領域内においてもそのまま維持されるとは限らず、道路形状がスクロール先で大きく変化する可能性があるからである。
【0007】
ここで、地図の縮尺を大縮尺から小縮尺に切り替えて広域の地図を表示すれば、道路に追従したスクロールを行う場合における追従している道路の道路名称やスクロール先の方面名称を表示することは可能である。しかし、この場合には、縮尺の切り替えの手間を要することになるので、所望の道路名称や方面名称を迅速に把握することが困難となる。
【0008】
すなわち、従来は、道路等の地図上の線形要素に追従したスクロールを行う場合に、道路名称やスクロール先の方面名称等の線形要素に関連する関連情報を簡便、迅速かつ確実に把握することができないといった問題が生じていた。
【0009】
そこで、本発明は、このような問題点に鑑みなされたものであり、地図上の線形要素に追従したスクロールを行う場合に、線形要素に関連する関連情報を簡便、迅速かつ確実に把握することができ、ひいては、スクロールを行う際の利便性を向上させることができる地図表示装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述した目的を達成するため、本発明に係る地図表示装置は、地図データが記憶された地図データ記憶装置と、この地図データ記憶装置に記憶された前記地図データに基づいて、所定の領域を示す地図を表示部に表示する地図表示処理装置と、前記地図をスクロールするための操作が可能とされた操作装置と、この操作装置による前記操作に応じた前記地図のスクロールを行うように前記地図表示処理装置を制御する制御装置とを備えた地図表示装置であって、所定時間に亘る連続的な前記スクロールが行われた場合に、この連続的なスクロールの結果に基づいて、前記連続的なスクロールにおいて追従された地図上の第1の特定の線形要素を抽出可能とされた線形要素抽出装置と、この線形要素抽出装置によって前記第1の特定の線形要素が抽出された場合に、抽出された前記第1の特定の線形要素に関連する第1の関連情報を、前記地図データ記憶装置に記憶された前記地図データに基づいて取得する関連情報取得装置と、この関連情報取得装置によって前記第1の関連情報が取得された場合に、前記連続的なスクロールの後の前記地図上における前記第1の特定の線形要素に対応する位置に、前記第1の関連情報の重畳表示を開始する関連情報表示処理装置とを備え、前記関連情報表示処理装置は、前記重畳表示の開始の後は、前記連続的なスクロールの後の前記スクロールの結果に基づいて、前記第1の特定の線形要素に追従した前記スクロールの続行の有無を判定し、この判定において肯定的な判定結果が得られた場合に、前記重畳表示の開始に引き続き、前記連続的なスクロールの後の最新の前記スクロール後の前記地図上における前記第1の特定の線形要素に対応する位置に、前記第1の関連情報の重畳表示を継続的に行うことを特徴としている。
【0011】
そして、このような構成によれば、第1の特定の線形要素に追従したスクロールを行う場合に、関連情報取得装置によって取得された第1の特定の線形要素に関連する第1の関連情報を、関連情報表示処理装置によってスクロール中の地図上における第1の特定の線形要素に対応する位置に重畳表示することができるので、第1の関連情報を簡便、迅速かつ確実に把握することができ、ひいては、スクロールを行う際の利便性を向上させることができる。
【0012】
また、前記第1の関連情報を重畳表示すべき前記地図に含まれる前記第1の特定の線形要素が、これに追従したスクロールの進行方向側において当該地図の端部と交わる交点を抽出する第1の交点抽出装置を備え、前記関連情報表示処理装置は、前記第1の関連情報を、当該地図上における前記第1の交点抽出装置によって抽出された前記交点の近傍に重畳表示してもよい。
【0013】
そして、このような構成によれば、第1の特定の線形要素に沿ったスクロールを行う場合にユーザが最も目を配り易い地図上の位置に第1の関連情報を表示することができるので、第1の関連情報をさらに迅速に把握することができる。
【0014】
さらに、前記関連情報表示処理装置は、前記第1の特定の線形要素に追従した前記スクロールの進行にともなって、当該スクロールの進行前に表示されていた前記第1の関連情報に代わって新たに表示されるべき前記第1の関連情報を取得可能とされ、前記関連情報表示処理装置は、前記関連情報取得装置によって前記新たに表示されるべき第1の関連情報が取得された場合に、当該取得された第1の関連情報を、前記スクロールの進行前に表示されていた第1の関連情報に代わって新たに表示してもよい。
【0015】
そして、このような構成によれば、表示すべき第1の関連情報を第1の特定の線形要素に追従したスクロールの進行に応じて変更することができるので、第1の特定の線形要素に追従したスクロールの進行に適合した第1の関連情報を表示することができる。
【0016】
さらにまた、前記関連情報表示処理装置は、前記第1の関連情報を前記第1の特定の線形要素に重ならないように表示してもよい。
【0017】
そして、このような構成によれば、第1の特定の線形要素の視認性を確保することができる。
【0018】
また、前記線形要素抽出装置は、前記連続的なスクロールの結果に基づいて、互いに平行な複数の前記第1の特定の線形要素を抽出可能とされ、前記関連情報取得装置は、前記線形要素抽出装置によって前記複数の第1の特定の線形要素が抽出された場合に、抽出された前記複数の第1の特定の線形要素のそれぞれに関連する前記第1の関連情報を取得可能とされ、前記関連情報表示処理装置は、前記関連情報取得装置によって前記複数の第1の特定の線形要素のそれぞれに関連する前記第1の関連情報が取得された場合に、前記連続的なスクロールの後の前記地図上における前記複数の第1の特定の線形要素のそれぞれに対応する位置に、前記各第1の関連情報の重畳表示を開始し、その後は、前記連続的なスクロールの後の前記スクロールの結果に基づいて、前記複数の第1の特定の線形要素に追従した前記スクロールの続行の有無を判定し、この判定において前記複数の第1の特定の線形要素のうちの少なくとも1つの第1の特定の線形要素について肯定的な判定結果が得られた場合に、前記重畳表示の開始に引き続き、前記連続的なスクロールの後の最新の前記スクロール後の前記地図上における前記少なくとも1つの第1の特定の線形要素に対応する位置に、当該第1の特定の線形要素に関連する前記第1の関連情報の重畳表示を継続的に行ってもよい。
【0019】
そして、このような構成によれば、複数の第1の特定の線形要素に追従したスクロールが行われた場合に、関連情報取得装置によって取得された各第1の特定の線形要素のそれぞれに関連する第1の関連情報を表示することができるので、例えば、複数の第1の特定の線形要素としての新道と旧道のような互いに並走する複数の道路の違いを把握し易くなる。
【0020】
さらに、前記第1の関連情報は、前記第1の特定の線形要素に追従したスクロール先の第1の方面の名称を含んでもよい。
【0021】
そして、このような構成によれば、第1の特定の線形要素に追従したスクロールを行う場合に、第1の方面の名称を簡便、迅速かつ確実に把握することができる。
【0022】
さらにまた、前記操作装置は、前記スクロールの速度を指定する操作が可能とされ、前記制御装置は、当該操作によって指定された速度で前記スクロールを行うように前記地図表示処理装置を制御し、前記関連情報取得装置は、当該制御に基づく前記第1の特定の線形要素に追従したスクロールの速度が速いほど、現在表示されている前記地図に対してより遠方の前記第1の方面の名称を取得してもよい。
【0023】
そして、このような構成によれば、第1の特定の線形要素に追従したスクロールの速度が速いほど、より遠方の第1の方面の名称を表示することができるので、スクロールを速く進めて遠くの第1の方面の名称をいち早く知りたいというユーザの心理を反映した第1の方面の名称の表示を行うことができるので、利便性をさらに向上させることができる。
【0024】
また、前記地図表示処理装置が表示すべき前記地図の縮尺を設定する縮尺設定装置を備え、前記制御装置は、前記縮尺設定装置によって設定された前記縮尺の地図を表示するように前記地図表示処理装置を制御し、前記関連情報取得装置は、前記縮尺設定装置によって設定された前記縮尺が広域であるほど、現在表示されている前記地図に対してより遠方の前記第1の方面の名称を取得してもよい。
【0025】
そして、このような構成によれば、縮尺に応じた単位スクロール時間ごとの地図のスクロール量を考慮して、縮尺に適合した第1の方面の名称の表示を行うことができる。
【0026】
さらに、第1の特定の線形要素は、主要な道路、過去の通行軌跡、ナビゲーションの誘導経路、鉄道路線、航路、河川および海岸線の少なくとも1つを含んでもよい。
【0027】
そして、このような構成によれば、ユーザがスクロールの際に追従する可能性がある種々の線形データを第1の特定の線形要素にすることができる。
【0028】
さらにまた、前記第1の特定の線形要素は、少なくとも主要な道路を含み、当該主要な道路に関連する前記第1の関連情報は、路線名称、路線番号、前記第1の方面の名称としての当該主要な道路に追従したスクロール先の方面の名称、現在地から当該方面までの当該主要な道路上の距離、現在地から当該方面までの当該主要な道路上の走行区間の交通情報、車線数、道路幅員、道路勾配および燃費の少なくとも1つを含んでもよい。
【0029】
そして、このような構成によれば、主要な道路に追従したスクロールを行う場合に表示することが有効な種々の事項を第1の関連情報にすることができる。
【0030】
また、前記第1の特定の線形要素としての前記主要な道路に追従したスクロール先の方面の名称は、行政区画名および施設名の少なくとも一方を含んでもよい。
【0031】
そして、このような構成によれば、主要な道路に追従したスクロールを行う場合に表示することが有効な事項を第1の方面の名称にすることができる。
【0032】
さらに、前記主要な道路は、高速道路、有料道路、国道および県道を含んでもよい。
【0033】
そして、このような構成によれば、主要な道路として好適な道路を第1の特定の線形要素として抽出することができる。
【0034】
さらにまた、前記第1の特定の線形要素は、少なくともナビゲーションの誘導経路を含み、当該誘導経路に関連する前記第1の関連情報は、路線名称、路線番号、前記第1の方面の名称としての当該誘導経路に追従したスクロール先の方面の名称、現在地から当該方面までの当該誘導経路上の距離、現在地から当該方面までの当該誘導経路上の走行区間の交通情報、車線数、道路幅員、道路勾配および燃費の少なくとも1つを含んでもよい。
【0035】
そして、このような構成によれば、誘導経路に追従したスクロールを行う場合に表示することが有効な種々の事項を第1の関連情報にすることができる。
【0036】
また、前記第1の特定の線形要素としての前記誘導経路に追従したスクロール先の方面の名称は、行政区画名および施設名の少なくとも一方を含んでもよい。
【0037】
そして、このような構成によれば、誘導経路に追従したスクロールを行う場合に表示することが有効な事項を第1の方面の名称にすることができる。
【0038】
さらに、前記線形要素抽出装置は、地図上の複数の線形要素の中から、前記誘導経路を前記第1の特定の線形要素として優先的に抽出してもよい。
【0039】
そして、このような構成によれば、誘導経路が設定されている場合にスクロールの追従対象となる可能性が高い誘導経路を第1の線形要素として優先的に抽出することができるので、ユーザの意思を反映した第1の関連情報の表示を迅速に行うことができる。
【0040】
さらにまた、前記線形要素抽出装置は、前記第1の関連情報を重畳表示すべき前記地図に含まれる前記第1の特定の線形要素から分岐された線形要素であって、当該地図内に分岐点を有する第2の特定の線形要素を抽出可能とされ、前記関連情報取得装置は、前記線形要素抽出装置によって前記第2の特定の線形要素が抽出された場合に、抽出された前記第2の特定の線形要素に関連する第2の関連情報を、前記地図データ記憶装置に記憶された前記地図データに基づいて取得し、前記関連情報表示処理装置は、前記関連情報取得装置によって前記第2の関連情報が取得された場合に、取得された前記第2の関連情報を、前記第1の関連情報を重畳表示すべき前記地図上における前記第2の特定の線形要素に対応する位置に重畳表示してもよい。
【0041】
そして、このような構成によれば、第2の特定の線形要素が抽出された場合には、この第2の特定の線形要素に関連する第2の関連情報の表示を第1の関連情報の表示に並行して行うことができるので、追従すべき線形要素を変更する機会をユーザに与えることができる。
【0042】
また、前記第1の関連情報を重畳表示すべき前記地図に含まれる前記第2の特定の線形要素と、当該地図の端部との交点を抽出する第2の交点抽出装置を備え、前記関連情報表示処理装置は、前記第2の関連情報を、当該地図上における前記第2の交点抽出装置によって抽出された前記交点の近傍に重畳表示してもよい。
【0043】
そして、このような構成によれば、ユーザが第2の特定の線形要素に関連する情報であると認識し易い地図上の位置に第2の関連情報を表示することができるので、第2の関連情報も迅速に把握することができる。
【0044】
さらに、前記関連情報表示処理装置は、前記第2の関連情報を前記第2の特定の線形要素に重ならないように表示してもよい。
【0045】
そして、このような構成によれば、第2の特定の線形要素の視認性を確保することができる。
【0046】
さらにまた、前記第2の関連情報は、前記第2の特定の線形要素に追従したスクロール先の第2の方面の名称を含んでもよい。
【0047】
そして、このような構成によれば、第2の方面の名称を簡便、迅速かつ確実に把握することができる。
【0048】
また、前記地図表示処理装置が表示すべき前記地図の縮尺を設定する縮尺設定装置を備え、前記制御装置は、前記縮尺設定装置によって設定された前記縮尺の地図を表示するように前記地図表示処理装置を制御し、前記関連情報取得装置は、前記縮尺設定装置によって設定された前記縮尺が広域であるほど、現在表示されている前記地図に対してより遠方の前記第2の方面の名称を取得してもよい。
【0049】
そして、このような構成によれば、縮尺に応じた単位スクロール時間ごとの地図のスクロール量を考慮して、縮尺に適合した第2の方面の名称の表示を行うことができる。
【0050】
さらに、第2の特定の線形要素は、主要な道路、過去の通行軌跡、ナビゲーションの誘導経路、鉄道路線、航路、河川および海岸線の少なくとも1つを含んでもよい。
【0051】
そして、このような構成によれば、ユーザが第1の特定の線形要素からの変更後の追従対象として選択する可能性がある種々の線形データを第2の特定の線形要素にすることができる。
【0052】
さらにまた、前記第2の特定の線形要素は、少なくとも主要な道路を含み、当該主要な道路に対応する前記第2の関連情報は、路線名称、路線番号、前記第2の方面の名称としての当該主要な道路に追従したスクロール先の方面の名称、現在地から当該方面までの当該主要な道路上の距離、現在地から当該方面までの当該主要な道路上の走行区間の交通情報、車線数、道路幅員、道路勾配および燃費の少なくとも1つを含んでもよい。
【0053】
そして、このような構成によれば、表示することが有効な種々の事項を第2の関連情報にすることができる。
【0054】
また、前記第2の特定の線形要素としての前記主要な道路に追従したスクロール先の方面の名称は、行政区画名および施設名の少なくとも一方を含んでもよい。
【0055】
そして、このような構成によれば、表示することが有効な事項を第2の方面の名称にすることができる。
【0056】
さらに、前記関連情報表示処理装置は、前記第1の関連情報を、前記操作装置の操作によって選択可能な状態で表示し、前記制御装置は、前記第1の関連情報が選択された場合に、当該第1の関連情報に対応する前記第1の特定の線形要素に追従した自動的なスクロールを行うように前記地図表示処理装置を制御してもよい。
【0057】
そして、このような構成によれば、第1の関連情報の選択にともなって、第1の特定の線形要素に追従した自動的なスクロールを行うことができるので、ユーザの操作負担を軽減することができる。
【発明の効果】
【0058】
本発明によれば、地図上の線形要素に追従したスクロールを行う場合に、線形要素に関連する関連情報を簡便、迅速かつ確実に把握することができ、ひいては、スクロールを行う際の利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明に係る地図表示装置の第1実施形態を示す構成図
【図2】本発明に係る地図表示装置の第1実施形態を示すブロック図
【図3】本発明に係る地図表示装置の第1実施形態において、地図画面の遷移状態を示す模式図
【図4】本発明に係る地図表示装置の第1実施形態を示すフローチャート
【図5】本発明に係る地図表示装置の第2実施形態において、地図画面の遷移状態を示す模式図
【図6】本発明に係る地図表示装置の第3実施形態において、地図画面の表示状態を示す模式図
【図7】本発明に係る地図表示装置の第4実施形態において、地図画面の表示状態を示す第1の模式図
【図8】本発明に係る地図表示装置の第4実施形態において、地図画面の表示状態を示す第2の模式図
【図9】本発明に係る地図表示装置の第5実施形態において、地図画面の遷移状態を示す模式図
【図10】本発明に係る地図表示装置の変形例として、地図画面の表示状態を示す模式図
【発明を実施するための形態】
【0060】
(第1実施形態)
以下、本発明に係る地図表示装置の第1実施形態について、図1乃至図4を参照して説明する。
【0061】
図1は、本発明に係る地図表示装置の一例としての地図表示機能を備えた車載用のナビゲーション装置を示すものである。
【0062】
図1に示すように、本実施形態におけるナビゲーション装置1は、大別して、ナビゲーションメインユニット2と、このナビゲーションメインユニット2にそれぞれ接続されたGPSレシーバ3、自律航法センサ4、操作装置としての操作部5、表示部としてのディスプレイ6およびスピーカ7とによって構成されている。
【0063】
ここで、GPSレシーバ3は、図示しないGPS衛星から配信されるGPS情報(時刻や軌道に関する情報)を受信し、受信したGPS情報をナビゲーションメインユニット2側に出力するようになっている。
【0064】
また、自律航法センサ4は、自車の車速、加速度(角速度)および自車方位等を検出し、検出結果をナビゲーションメインユニット2側に出力するようになっている。この自律航法センサ4は、車速センサやジャイロセンサ等からなるものであってもよい。
【0065】
さらに、操作部5は、操作内容に応じた操作信号をナビゲーションメインユニット2に入力することによって、ナビゲーション装置1に対する種々の操作を行うことが可能とされている。この操作部5は、リモコンやディスプレイ6のタッチパネル等であってもよい。
【0066】
次に、ナビゲーションメインユニット2について詳述すると、図1に示すように、ナビゲーションメインユニット2は、システムバス8にそれぞれ接続されたナビCPU10、地図データ記憶装置としてのハードディスクドライブ(HDD)11、フラッシュメモリ12、RAM14、ユーザインターフェース(I/F)15、画像インターフェース(I/F)16および音声インターフェース(I/F)17を有している。
【0067】
ここで、ナビCPU10は、自車位置検出機能、地図表示機能、経路探索機能、経路誘導機能および検索機能等のナビゲーション装置1の各種の機能を実行するようになっている。
【0068】
また、ハードディスクドライブ11には、地図データが記憶されており、この地図データは、最も詳細な地図を示す最下位レベル(レベル0)から最も簡易な地図を示す最上位レベル(例えば、レベル2)に亘る複数のレベルごとに階層化された状態で管理されており、また、各レベルにおける地図データは、各レベルに応じた大きさのパーセル単位で管理されている。
【0069】
この地図データには、道路データ、背景データ、経路計算用のデータ(道路ネットワークデータ等)および施設等の検索用のデータ(POIデータ、住所情報等)が含まれている。
【0070】
これらのうち、道路データは、2つの交差点(ノード)間の道路区間を示す各道路区間ごとのリンクデータを有しており、各リンクデータには、リンクID、始端ノード座標、終端ノード座標、形状補間点座標、道路名称(路線番号を含む)、通行条件(制限速度等)、幅員情報、車線数情報、標高情報、勾配情報および燃費情報等が含まれている。リンクデータは、地図データの管理レベルが上位になるほど互いに隣接する道路区間同士の間で1つに統合されて扱われる。
【0071】
また、背景データは、ポリゴンデータ、ポリラインデータおよびテキストデータ等によって構成されており、この背景データは、市区町村等の行政区画、道路、鉄道、建物、公園、河川および海岸線等の形状、名称または記号等の表示に用いられるようになっている。なお、これらポリゴンデータ、ポリラインデータおよびテキストデータは、地図データ上における位置および範囲が予め設定(固定)されている。より具体的には、ポリゴンデータおよびポリラインデータは、その地図データ上における形状および大きさを特定するために、地図データ上の座標系(例えば、パーセル正規化座標系)における座標点群によって規定されている。この座標点群は、ポリゴンの外形またはポリラインを構成する単位線素(セグメント)の端部の座標であってもよい。さらに、ポリゴンデータおよびポリラインデータは、行政区画、鉄道、河川等の種別(いわゆる表示クラス)と対応付けられた状態で管理されている。さらにまた、テキストデータは、行政区画名、河川名、駅名、インターチェンジ名、ガソリンスタンド名および観光地名等のポリゴン名称あるいはポリライン名称としてポリゴンデータやポリラインデータと対応付けられた状態で管理されている。
【0072】
さらに、ハードディスクドライブ11には、ナビCPU10の実行プログラムが記憶されている。
【0073】
さらにまた、フラッシュメモリ12には、ナビゲーション装置1の起動とともにナビCPU10によってハードディスクドライブ11から読み出されたナビCPU10の実行プログラムが格納されるようになっており、この格納された実行プログラムがナビCPU10によって適宜実行されることによって、ナビゲーション装置1の各種の機能が適宜実行されるようになっている。
【0074】
また、RAM14は、ナビCPU10による処理結果等の各種のデータの一時的な保存等に用いられるようになっている。
【0075】
さらに、ユーザインターフェース15、画像インターフェース16および音声インターフェース17には、操作部5、ディスプレイ6およびスピーカ7がそれぞれ接続されている。
【0076】
次に、ナビCPU10について更に詳述すると、図2に示すように、ナビCPU10は、その機能ブロックの1つとしての自車位置算出部20を有しており、この自車位置算出部20には、GPSレシーバ3から出力されたGPS情報および自律航法センサ4から出力された検出結果が入力されるようになっている。そして、自車位置算出部20は、GPSレシーバ3側から入力されたGPS情報に基づいて、自車位置を絶対座標として算出(測位)する衛星航法を行うようになっている。また、自車位置算出部20は、自律航法センサ4側から入力された検出結果に基づいて、自車位置を前回の測位位置からの変化分である相対位置として算出する自律航法を行うようになっている。さらに、自車位置算出部20は、ハードディスクドライブ11に記憶されている地図データを用いることによって、衛星航法または自律航法によって検出された自車位置を地図データにおける該当する道路上の位置に補正するマップマッチング処理を行うようになっている。そして、自車位置算出部20は、マップマッチング処理が適正に行われた場合には、マップマッチング処理後の自車位置を最終的な算出結果とするようになっている。
【0077】
また、図2に示すように、ナビCPU10は、その機能ブロックの1つとしての目的地設定部21を有している。この目的地設定部21は、ナビゲーションの目的地を設定するための各種の操作画面をディスプレイ6に表示した上で、この表示された操作画面に対する操作部5を用いたユーザの入力操作に応じた目的地を設定するようになっている。
【0078】
さらに、図2に示すように、ナビCPU10は、その機能ブロックの1つとしての経路探索部22を有している。この経路探索部22は、ハードディスクドライブ11に記憶されている地図データに基づいて、自車位置算出部20によって算出された自車位置から目的地設定部21によって設定された目的地までの予め設定された経路探索条件に応じた最適経路を探索するようになっている。経路探索条件は、デフォルトで設定される場合もあるし、ユーザが操作部5を用いた入力操作によって設定する場合もある。そして、経路探索部22は、探索された最適経路を、ディスプレイ6への表示によって誘導経路の候補としてユーザに提示するようになっている。
【0079】
さらにまた、図2に示すように、ナビCPU10は、その機能ブロックの1つとしての経路誘導部23を有している。この経路誘導部23は、経路探索部22によって提示された最適経路を誘導経路に設定するための操作部5を用いた入力操作が行われると、この最適経路を誘導経路に設定するようになっている。誘導経路の設定は、誘導経路に関する情報、例えばリンクデータおよび目的地等をRAM14等に保存することによって行うようにしてもよい。そして、経路誘導部23は、誘導経路の設定の後に、設定された誘導経路にしたがった経路誘導を開始するようになっている。経路誘導は、交差点拡大図をディスプレイ6に表示することや、スピーカ7を介して交差点右左折案内用の音声を出力すること等によって行われるようになっている。
【0080】
そして、図2に示すように、ナビCPU10は、その機能ブロックの1つとして、地図表示処理装置としての地図描画部24を有している。この地図描画部24は、ハードディスクドライブ11に記憶された地図データに基づいて、所定の領域(地域)を示す地図を生成するようになっている。この地図は、例えば、表示位置、縮尺および画面サイズの各表示条件に応じたパーセルを特定し、特定されたパーセルに該当する地図データをハードディスクドライブ11からRAM14上に読み出し、読み出された地図データを座標変換(例えば、パーセル正規化座標系から画面座標系に座標変換)することによって、表示位置の周辺を示す地図として生成してもよい。そして、地図描画部24は、生成された地図をディスプレイ6に表示するようになっている。この地図には、前記所定の領域としての自車位置算出部20によって算出された自車位置の周辺の所定の領域を示す地図(以下、自車周辺地図と称する)も含まれる。自車位置周辺地図においては、前記表示位置は自車位置となる。
【0081】
また、地図描画部24は、前記地図として、その表示モードを当該地図をスクロール可能なスクロールモードに設定するための操作部5を用いた操作(以下、スクロールモード設定操作と称する)を許容する操作画面としての機能を持たせた地図を表示するようになっている。このスクロールモード設定操作は、例えば、スクロールの開始を指示する操作ボタンを選択する操作や、タッチパネル機能を有する地図画面を一定時間以上押し続ける操作等であってもよい。
【0082】
そして、地図描画部24は、スクロールモード設定操作によってスクロールモードが設定された地図として、当該地図をスクロールするための操作部5を用いた操作(以下、スクロール操作と称する)を許容する操作画面としての機能を持たせた地図を表示するようになっている。この地図は、スクロール操作が可能な方向を指示するカーソルの表示をともなった地図であってもよい。また、スクロール操作(スクロール)が可能な方向は、画面に対して上下、左右、右上、右下、左上および左下の合計8方向であってもよい。
【0083】
さらに、地図描画部24は、前記地図として、その縮尺を変更するための操作部5を用いた操作を許容する操作画面としての機能も持たせた地図を表示してもよい。
【0084】
また、図2に示すように、ナビCPU10は、その機能ブロックの1つとして、制御装置としての地図描画制御部25を有している。この地図描画制御部25は、操作部5によるスクロールモード設定操作にともなって、地図描画部24による地図の表示モードを、スクロールモードに設定するようになっている。
【0085】
その上で、地図描画制御部25は、スクロールモードに設定された地図に対する操作部5によるスクロール操作に応じた地図のスクロールを行うように地図描画部24を制御するようになっている。そして、この制御にしたがって、地図描画部24による地図のスクロールが行われるようになっている。なお、スクロールは、現在の表示位置に対応するパーセルに対してスクロール操作において指示された方向において隣接する隣接パーセルを特定し、特定された隣接パーセルを読み込んで地図表示する処理を、スクロール操作の進行にともなって繰り返すことによって行われるようになっている。
【0086】
さらに、図2に示すように、ナビCPU10は、その機能ブロックの1つとして、縮尺設定装置としての縮尺設定部26を有している。この縮尺設定部26は、デフォルトまたは操作部5を用いた縮尺の変更操作に応じた縮尺を設定するようになっている。そして、地図描画制御部25は、縮尺設定部26によって設定された縮尺の地図を表示するように地図描画部24を制御するようになっており、この制御にしたがって、地図描画部24による設定された縮尺の地図の表示が行われるようになっている。
【0087】
さらにまた、図2に示すように、ナビCPU10は、その機能ブロックの1つとして、線形要素抽出装置としての線形要素抽出部27を有している。この線形要素抽出部27は、地図描画部24によって所定時間(例えば、3秒間)に亘る連続的なスクロールが行われた場合に、この連続的なスクロールの結果に基づいて、連続的なスクロールにおいて追従した地図上の第1の特定の線形要素を抽出するようになっている。
【0088】
なお、本実施形態において、第1の特定の線形要素としては、地図の縮尺がある程度大きい(詳細である)ことを前提として、当該地図の表示の際に当該線形要素の一部のみが地図上に線状の画像として表示され、当該線形要素に追従したスクロールの進行にともなって、当該線形要素における表示される部位が追従方向側に逐次変化し得るようなある程度の長さを有する線形データを想定している。したがって、前記連続的なスクロールが行われた時点では、第1の特定の線形要素のうちの未表示の部位も存在する。しかるに、本実施形態において、線形要素抽出部27は、第1の特定の線形要素の抽出に際しては、第1の特定の線形要素をその未表示の部位も含めて全体的に抽出するようになっている。なお、線形要素抽出部27は、第1の特定の線形要素の条件として、これに追従したスクロールの進行方向側に未表示の部位が存在すること、換言すれば、前記連続的なスクロールの完了時点における地図の端部とスクロール方向側において交わることを条件とし、この条件を満足するような線形データを抽出してもよい。
【0089】
また、前記連続的なスクロールにおける「連続的」とみなす基準については、コンセプトに応じて好適な基準を定めることができる。例えば、途中に全くスクロールの停止時間がない場合だけでなく、途中に僅かなスクロールの停止時間(例えば、1秒未満)があった場合も「連続的」と扱ってよい。さらに、前記所定時間の開始時点は、スクロールの開始時点であってもよい。
【0090】
ここで、線形要素抽出部27は、例えば、前記所定時間の間にディスプレイ6にスクロール表示される地図データを単位変化分ごと(例えば、スクロール方向への所定距離変化分)ごとに逐次バッファリングし、バッファリングされた各地図データの中から、予め設定された所定の抽出方法にしたがって第1の特定の線形要素を抽出してもよい。なお、この抽出の際に最初にバッファリングされた地図データ以後の地図データは、最初にバッファリングされた地図データからの変化分を示す差分データであってもよい。
【0091】
より具体的には、線形要素抽出部27は、第1の特定の線形要素として主要な道路を抽出してもよい。この場合には、線形要素抽出部27は、例えば、前述した単位変化分ごとにバッファリングされた各地図データのいずれにも含まれるような同一の道路識別情報(例えば、路線番号や高速道路名)が対応付けられた各リンクを検索し、この検索によって検出された各リンクに対応する同一の道路識別情報に紐付けて主要な道路(リンク列)全体を、その未表示の部位を含めて全て抽出してもよい。
【0092】
なお、主要な道路としては、例えば、高速道路、有料道路、国道および県道を挙げることができる。
【0093】
また、線形要素抽出部27は、主要な道路以外の第1の特定の線形要素として、鉄道路線、河川、海岸線およびフェリーならびに航空機の航路等の線形の背景を抽出してもよい。この場合には、線形要素抽出部27は、例えば、前述した単位変化分ごとにバッファリングされた各地図データのいずれにも含まれるような同一の線形の背景が対応付けられた同一の座標点群に属する各座標点を検索し、この検索によって検出された各座標点に対応する同一の座標点群に紐付けて当該線形の背景(ポリラインデータ)全体を抽出してもよい。
【0094】
さらに、線形要素抽出部27は、第1の特定の線形要素として、過去の通行軌跡としての自車の過去の走行軌跡を抽出してもよい。この場合には、線形要素抽出部27は、例えば、前述した単位変化分ごとにバッファリングされた各地図データのいずれにも含まれるような同一の自車の過去の走行軌跡が対応付けられたリンクを検索し、この検索によって検出された各リンクに紐付けて当該走行軌跡(リンク列)全体を抽出してもよい。ただし、この場合には、ナビCPU10が、自律航法等によって算出された自車の走行軌跡を、ユーザ操作にともなってハードディスクドライブ11等に当該走行軌跡を構成する各リンクに対応付けて記録する機能(いわゆる、ルートバンキング機能)および記録された走行軌跡を地図表示の際にユーザ操作にともなってディスプレイ6に表示する機能を備えていることを要する。
【0095】
さらにまた、線形要素抽出部27は、第1の特定の線形要素として、誘導経路を抽出してもよい。この場合には、線形要素抽出部27は、例えば、前述した単位変化分ごとにバッファリングされた各地図データのいずれにも含まれるような誘導経路上の各リンクを検索し、この検索によって検出された各リンクに該当する誘導経路の設定結果に紐付けて誘導経路全体を抽出してもよい。なお、地図上に誘導経路を表示する機能は従来からナビゲーション装置に標準的に備わっており、このような誘導経路の設定および表示が行われている状態においては、ユーザが誘導経路に追従したスクロールを行う可能性は、他の線形データを追従対象とする場合に比べて高いと予想される。
【0096】
また、図2に示すように、ナビCPU10は、その機能ブロックの1つとして、関連情報取得装置としての関連情報取得部28を有している。この関連情報取得部28は、線形要素抽出部27によって第1の特定の線形要素が抽出された場合に、抽出された第1の特定の線形要素に関連する第1の関連情報を、ハードディスクドライブ11に記憶された地図データに基づいて取得するようになっている。
【0097】
この際に、関連情報取得部28は、線形要素抽出部27によって抽出された第1の特定の線形要素の種類に応じた所定の第1の関連情報を、予め設定された所定の取得方法にしたがって取得すればよい。
【0098】
例えば、関連情報取得部28は、線形要素抽出部27によって第1の特定の線形要素としての主要な道路が抽出された場合には、当該主要な道路に関連する第1の関連情報として、路線名称、路線番号、当該主要な道路に追従したスクロール先の方面(換言すれば、当該主要な道路に追従したスクロールを続行することによって今後表示されるべき未表示の地域または場所)の名称、現在地から当該方面までの当該主要な道路上の距離、現在地から当該方面までの当該主要な道路上の走行区間の交通情報、車線数、道路幅員、道路勾配および燃費等を取得してもよい。
【0099】
この場合に、路線名称、路線番号、車線数、道路幅員、道路勾配および燃費については、抽出された主要な道路に該当するリンクデータに含まれる情報として、抽出された主要な道路から直接取得することができる。これらの関連情報は、線形要素抽出部27によって抽出された主要な道路のうちの現在表示されている道路区間に該当するリンクデータに基づいて取得すればよい。
【0100】
さらに、方面の名称としては、線形要素抽出部27によって抽出された主要な道路に追従したスクロール先の行政区画名や施設名を挙げることができる。なお、施設名としては、駅名、インターチェンジ名、ガソリンスタンド名および観光地名等を挙げることができる。この方面の名称は、第1の特定の線形要素に追従したスクロール先の第1の方面の名称の一態様である。
【0101】
ここで、方面の名称は、リンクデータに含まれた情報とは異なるため、路線名称等とは異なる取得方法で取得すればよい。
【0102】
例えば、関連情報取得部28が、方面の名称としての行政区画名を取得する方法としては、例えば、次のような方法が考えられる。
【0103】
すなわち、まず、線形要素抽出部27によって抽出された主要な道路のうちの当該主要な道路の抽出時点において地図上に表示されている道路区間におけるスクロール方向側の端部に該当するリンクを、検索開始リンクとして特定する。
【0104】
次いで、行政区画の種別(表示クラス)に属するポリゴンデータに基づいて、前記検索開始リンクから、当該主要な道路に追従したスクロール方向を検索の進行方向として、当該主要な道路におけるスクロール先の道路区間すなわち今後スクロール表示されるべき未表示の道路区間をなぞるようにして、当該道路区間上に存在するような互いに隣接するポリゴンデータ同士の境界点を検索していく。この検索に際しては、当該スクロール先の道路区間を構成する各リンクを、前記検索開始リンク側から順次択一的に検索実行リンクに設定していき、設定された検索実行リンクごとに、当該境界点の検索を順次行わせていけばよい。このとき、当該境界点は、検索実行リンクに交わるようなポリゴンデータの外形を規定する単位線素(セグメント)として検出されてもよい。また、この検索においては、当該スクロール先の道路区間上に、前記互いに隣接するポリゴンデータが複数組存在してもよく、これにともなって、複数の境界点が順次検出されてもよい。さらに、このような境界点の検索は、当該主要な道路の終端に該当するリンクに至るまで行えばよい。
【0105】
次いで、このようにして検出された境界点(複数であってもよい)に対応する前記互いに隣接するポリゴンデータ(複数組であってもよい)のうち、前記検索において第1番目に検出された境界点に対して前記検索開始リンク側に位置するような1つのポリゴンデータを除外することによって、ポリゴンデータを絞り込む。なお、除外された1つのポリゴンデータは、線形要素抽出部27によって抽出された主要な道路における当該主要な道路の抽出時点において表示されている道路区間が属する行政区画に対応するポリゴンデータとみなすことができる。すなわち、このようなポリゴンデータに対応する行政区画は、現在表示されている地図が属する行政区画そのものであり、スクロール先の行政区画としては不適格であるためポリゴンデータを除外する。なお、絞り込まれたポリゴンデータは、複数存在してもよい。
【0106】
そして、このようにして絞り込まれたポリゴンデータに対応付けられたポリゴン名称(テキストデータ)を、行政区間名として取得する。
【0107】
ここで、絞り込まれたポリゴンデータが複数存在する場合、すなわち、線形要素抽出部27によって抽出された主要な道路が、これに追従したスクロール方向に向かうにしたがって複数組の行政区画同士の境界点を順次通過する場合には、絞り込まれた複数のポリゴンデータの中から所定の優先順位にしたがって1つのポリゴンデータを選択すればよい。そして、選択された1つのポリゴンデータに対応付けられた行政区画名を取得すればよい。例えば、現在表示されている地図に対してより遠方の(離れた)スクロール先の行政区画名を表示させたい場合には、前記検索によって検出された順番が遅い境界点に対応するポリゴンデータに対応付けられた行政区画名を取得すればよい。これについては更に具体的な実施例を後述する。
【0108】
また、関連情報取得部28が、方面の名称としての施設名を取得する方法としては、例えば、次のような方法が考えられる。
【0109】
すなわち、まず、線形要素抽出部27によって抽出された主要な道路のうちの当該主要な道路の抽出時点において地図上に表示されている道路区間におけるスクロール方向側の端部に該当するリンクを、検索開始リンクとして特定する。
【0110】
次いで、施設の分類に属するポリゴンデータに基づいて、前記検索開始リンクから、当該主要な道路に追従したスクロール方向を検索の進行方向として、当該主要な道路におけるスクロール先の道路区間をなぞるようにして、当該道路区間を構成する各リンクからリンク法線方向における所定距離以内に存在するようなポリゴンデータを検索していく。この検索に際しては、当該スクロール先の道路区間を構成する各リンクを、前記検索開始リンク側から順次択一的に検索実行リンクに設定していき、設定された検索実行リンクごとに、当該ポリゴンデータの検索を順次行わせていけばよい。この検索によって検出される順番が早いポリゴンデータほど、現在表示されている地図に対してより近い位置に存在する施設に対応するポリゴンデータとなる。
【0111】
そして、このようにして検出されたポリゴンデータに対応付けられたポリゴン名称(テキストデータ)を、施設名として取得する。なお、行政区間名の場合と同様であるが、例えば、現在表示されている地図に対してより遠方のスクロール先の施設名を表示させたい場合には、前記検索によって検出された順番が遅いポリゴンデータに対応する施設名を取得すればよい。
【0112】
これ以外の方面の名称の取得方法としては、線形要素抽出部27によって抽出された主要な道路におけるスクロール先の道路区間に属するノードに対応付けられた方面情報(交通看板)から、方面の名称を取得する方法が考えられる。
【0113】
さらに、前記現在地から前記方面までの前記主要な道路上の距離を取得するには、前記方面の名称が取得され、かつ、自車が線形要素抽出部27によって抽出された主要な道路上を走行していることが前提となる。このような前提で、当該距離については、自車位置から線形要素抽出部27によって抽出された主要な道路上の当該方面の名称に対応する地点までの当該主要な道路上の距離として取得することができる。
【0114】
例えば、方面が行政区画の場合には、当該距離は、自車位置から、行政区画名に対応するポリゴンデータにおける前記検索開始リンク側の境界点(すなわち、行政区画名に対応する地点)までの線形要素抽出部27によって抽出された主要な道路上の距離(地図データ上の距離)として取得することができる。また、方面が施設の場合には、当該距離は、自車位置から当該施設に対応するポリゴンデータを検出した前記検索実行リンクまでの線形要素抽出部27によって抽出された主要な道路上の距離(地図データ上の距離)として取得することができる。
【0115】
さらにまた、前記現在地から前記方面までの前記主要な道路上の走行区間の交通情報を取得するには、まず、前提として、ナビゲーション装置1が、ビーコン受信機やFM多重レシーバ等の交通情報の配信システム(例えば、VICS:Vehicle Information and Communication System)によって逐次配信される交通情報を受信する交通情報受信装置を備えるようにする。この交通情報受信装置は、ナビゲーションメインユニット2に接続された状態で、受信した交通情報をナビCPU10に入力するように構成すればよい。なお、配信システムによって配信される交通情報には、これに該当する道路区間のリンクIDが対応付けられている。また、このような交通情報を取得するには、さらに、前記方面の名称が取得され、かつ、自車が線形要素抽出部27によって抽出された主要な道路上を走行していることが前提となる。そして、このような前提で、関連情報取得部28は、交通情報受信装置によって受信された最新の交通情報の中から、線形要素抽出部27によって抽出された主要な道路上における自車位置と前記取得した方面の名称に対応する地点との間の道路区間を構成するリンクのリンクIDに対応付けられた交通情報を取得すればよい。
【0116】
この他にも、関連情報取得部28は、例えば、線形要素抽出部27によって第1の特定の線形要素としての誘導経路が抽出された場合には、当該誘導経路に関連する第1の関連情報として、前述した主要な道路に関連する第1の関連情報と同様の情報を取得すればよい。すなわち、この場合には、誘導経路における現在表示されている道路の路線名称、誘導経路における現在表示されている道路の路線番号、当該誘導経路に追従したスクロール先の方面の名称、現在地から当該方面までの当該誘導経路上の距離、現在地から当該方面までの当該誘導経路上の走行区間の交通情報および誘導経路における現在表示されている道路の車線数、道路幅員、道路勾配、燃費等を取得してもよい。これらの情報の取得方法としては、主要な道路に関連する第1の関連情報と同様の方法を用いればよい。
【0117】
また、図2に示すように、ナビCPU10は、関連情報表示処理装置としての関連情報描画部29を有している。この関連情報描画部29は、関連情報取得部28によって第1の関連情報が取得された場合に、前記連続的なスクロールの後の地図上における第1の特定の線形要素に対応する位置に、当該取得された第1の関連情報の重畳表示を開始するようになっている。なお、第1の関連情報の重畳表示が開始される時点の地図は、前記連続的なスクロールの完了時点の地図であってもよいし、あるいは、第1の関連情報の取得に要する所要時間(タイムラグ)を考慮して、前記連続的なスクロールの完了時点の地図よりも所定変化分だけ第1の特定の線形要素に追従したスクロールが進行した後の地図であってもよい。
【0118】
さらに、この重畳表示の開始の後は、関連情報取得部28は、前記連続的なスクロールの後のスクロールの結果に基づいて、第1の特定の線形要素に追従したスクロールの続行の有無の判定(以下、追従続行判定と称する)を行うようになっている。なお、追従続行判定は、前回の追従続行判定において肯定的な判定結果が得られたことを条件として、スクロールの進行にともなって繰り返し行われるようになっている。
【0119】
そして、関連情報取得部28は、追従続行判定において肯定的な判定結果が得られた場合には、前記重畳表示の開始に引き続き、前記連続的なスクロールの後の最新のスクロール後の地図上における第1の特定の線形要素に対応する位置に、第1の関連情報の重畳表示を継続的に行うようになっている。
【0120】
ここで、このような関連情報取得部28による第1の関連情報の継続的な重畳表示を実現するためのより具体的な方法としては、例えば、次のような方法が考えられる。
【0121】
すなわち、まず、前記連続的なスクロールに続けて後続のスクロールが行われる場合に、この後続のスクロールの結果のバッファリングを開始する。そして、前記後続のスクロールが前記連続的なスクロールの完了時点の地図に対して単位変化分(例えば、スクロール方向への所定距離変化分)行われた時点で、この単位変化分の後続のスクロール後の地図に、第1の特定の線形要素のうちの前記連続的なスクロールの完了時点の地図には含まれていなかった部位が新たに含まれるようになったか否かを判定する(第1回目の追従続行判定)。そして、この第1回目の追従続行判定において肯定的な判定結果が得られた場合に、前記単位変化分の後続のスクロール後の地図すなわち現時点で最新のスクロール後の地図における第1の特定の線形要素に対応する位置に、第1の関連情報の第1回目の継続的な重畳表示(すなわち、前記重畳表示の開始の直後の重畳表示)を行う。
【0122】
次いで、前記単位変化分の後続のスクロールに続けて、更に後続のスクロールが、前記単位変化分の後続のスクロール後の地図に対して単位変化分行われた時点で、この単位変化分の更に後続のスクロール後の地図に、第1の特定の線形要素のうちの前記単位変化分の後続のスクロール後の地図および前記連続的なスクロールの完了時点の地図には含まれていなかった部位が新たに含まれるようになったか否かを判定する(第2回目の追従続行判定)。そして、この第2回目の追従続行判定において肯定的な判定結果が得られた場合に、前記単位変化分の更に後続のスクロール後の地図すなわち現時点で最新のスクロール後の地図における第1の特定の線形要素に対応する位置に、第1の関連情報の第2回目の継続的な重畳表示を行う。
【0123】
これ以後は、第1回目、第2回目の継続的な重畳表示と同様な要領で、継続的な重畳表示を繰り返せばよい。
【0124】
なお、関連情報描画部29は、関連情報取得部28によって取得された第1の関連情報を、必要に応じて表現形式に変更を加えた上で表示してもよい。例えば、路線名称や路線番号については、そのままの表現形式「国道○○号線」で表示すればよいが、方面の名称については、「至」や「方面」等の語を付した状態で表示することが望ましい。例えば、方面の名称の一例として、行政区画名としての「○○(市)」が取得された場合には、この方面の名称は、「至○○」あるいは「○○方面」と表示することが望ましい。方面の名称として駅名や観光地名等の施設名を取得した場合も同様である。
【0125】
さらに、図2に示すようにナビCPU10は、その機能ブロックの1つとして、第1の交点抽出装置としての交点抽出部30を有している。この交点抽出部30は、第1の関連情報を重畳表示すべき地図(すなわち、重畳表示の開始または継続的な重畳表示を行うべき地図)に含まれる第1の特定の線形要素が、これに追従したスクロールの進行方向側において当該地図の端部と交わる交点を抽出するようになっている。この交点の抽出は、第1の特定の線形要素に追従したスクロールの進行にともなって継続的に行われるようになっている。
【0126】
そして、関連情報描画部29は、交点抽出部30によって当該交点が抽出された場合に、第1の関連情報を、これを重畳表示すべき地図上における当該交点の近傍に、第1の特定の線形要素に重ならない表示態様(例えば、大きさや傾き)で重畳表示するようになっている。なお、当該交点が抽出されない場合には、第1の関連情報の重畳表示を行わないようにすればよい。当該交点が抽出されない場合の例としては、スクロールの進行にともなって、地図内に、第1の特定の線形要素におけるスクロールの進行方向側の端部が含まれるようになった場合等が挙げられる。
【0127】
このような構成によれば、第1の特定の線形要素に追従したスクロールを行う場合に、関連情報取得部28によって取得された第1の特定の線形要素に関連する第1の関連情報を、関連情報描画部29によってスクロール中の地図上における第1の特定の線形要素に対応する位置すなわち前記交点の近傍に重畳表示することができるので、第1の関連情報を迅速かつ確実に把握することができる。このとき、地図の縮尺を小縮尺に切り替えることを要しないため、操作上のメリットも大きい。
【0128】
なお、本実施形態において、操作部5は、スクロールの速度を指定する操作が可能とされ、地図描画制御部25が、当該操作が行われたことを認識した上で、予め設定された当該操作の内容とスクロールの速度との対応関係を示すデータ等に基づいて、当該操作において指定された速度のスクロールを行うように地図描画部24を制御してもよい。ここで、スクロールの速度を指定する操作としては、公知の種々の技術を適用することができる。例えば、スクロールモードの地図画面において、画面中央に対するタッチパネルのタッチ操作を行うことによって通常のスクロールの速度を指定し、画面端近傍に対するタッチ操作を行うことによって高速のスクロールの速度を指定するようにしてもよい。また、同じ方向へのスクロール操作を継続させることによって、同方向へのスクロールの速度を高速にすることを指定するようにしてもよい。スクロールの速度は、例えば、単位時間あたりのスクロール操作にともなってハードディスクドライブ11から読み込むべき地図データのデータ量(パーセル数)として設定してもよい。
【0129】
そして、このような前提で、関連情報取得部28は、方面の名称を取得すべき時点(例えば、第1の特定の線形要素が抽出された時点)における第1の特定の線形要素に追従したスクロールの速度(前記地図描画制御部25の制御に基づいて設定された速度)が速いほど、現在表示されている地図に対してより遠方の方面の名称を取得してもよい。
【0130】
なお、現在表示されている地図に対してどの程度遠方の方面の名称を取得すべきかについては、例えば、予め、スクロールの速度と、方面の名称の取得に用いられるべき前記検索実行リンクの検出結果(前記境界点またはポリゴンデータ)についての検出順位との対応関係(対応表)をハードディスクドライブ11等に設定しておき、この対応関係に基づいて決定してもよい。この場合には、スクロールの速度が遅いほど、先頭側の検出順位を割り当て、スクロールの速度が速いほど、末尾側の検出順位を割り当てればよい。また、当該対応関係において各速度に対応する検出順位の項目は、例えば、全検出順位のうちの先頭側1/3、中央側1/3、末尾側1/3といった全検出順位に対する割合を示すものであってもよい。この場合には、方面の名称を取得すべき時点のスクロールの速度に対応する検出順位を前記対応関係から抽出し、抽出された検出順位に該当する検索実行リンクの検出結果に対応する方面の名称を取得すればよい。
【0131】
このように構成すれば、スクロールを速く進めて遠くの方面の名称をいち早く知りたいというユーザの心理を反映した方面の名称の表示を行うことができる。
【0132】
また、本実施形態において、関連情報取得部28は、縮尺設定部26によって設定されている縮尺が広域である(小さい)ほど、現在表示されている地図に対してより遠方の方面の名称を取得してもよい。なお、前述したスクロールの速度の場合と同様に、現在表示されている地図に対してどの程度遠方の方面の名称を取得すべきかについては、例えば、予め、縮尺と、方面の名称の取得に用いられるべき前記検索実行リンクの検出結果(前記境界点またはポリゴンデータ)についての検出順位との対応関係をハードディスクドライブ11等に設定しておき、この対応関係に基づいて決定してもよい。この場合には、縮尺が大きいほど、先頭側の検出順位を割り当て、縮尺が小さいほど、末尾側の検出順位を割り当てればよい。
【0133】
このように構成すれば、縮尺に応じた単位スクロール時間ごとの地図のスクロール量を考慮して、縮尺に適合した方面の名称の表示を行うことができる。
【0134】
次に、図3(a)〜(f)は、本実施形態の具体的な動作例として、第1の特定の線形要素としての道路に追従したスクロールを行う場合における地図画面の遷移状態を示したものである。各図中の矢印は、各図の地図画面が表示された時点(換言すれば、表示された直後)におけるスクロール操作にともなうスクロールの方向を示している。なお、本実施形態以外の後述する各実施形態においても、該当する図中に図3と同様の矢印が示されることがあるが、その矢印の意味は、特に言及する場合を除いて図3と同様である。
【0135】
図3の動作例においては、まず、図3(a)において、地図描画部24によってディスプレイ6に表示された自車周辺地図32に対して、ユーザが、操作部5を用いて自車位置マークが示す自車位置P1から画面右方向に延びる1本の道路R1に追従したスクロール操作を開始し、さらに、このスクロール操作を所定時間に亘って連続的に行ったとする。
【0136】
次いで、このような連続的なスクロール操作を受けて、地図描画部24が、地図描画制御部25の制御の下で図3(b)に示すようなスクロール後の地図画面33を表示する。このとき、線形要素抽出部27による道路R1の抽出、関連情報取得部28による道路R1の道路名称およびスクロール先の方面の名称の取得および交点抽出部30による道路R1と地図の右端部(スクロール方向側の端部)との交点P2の抽出が行われた上で、関連情報描画部29により、地図33の右端部と道路R1との交点P2の近傍に、第1の関連情報である「国道6号水戸街道/至松戸」の重畳表示が開始される。ここで、「国道6号水戸街道」は、路線番号を含んだ路線名称である。また、「至松戸」は、道路に沿ったスクロール先の方面の名称である。
【0137】
次いで、図3(b)の状態から、更に、道路R1に追従したスクロールを継続させると、図3(c)〜(f)に示すように、スクロール後の各地図34,35,36,37の端部と道路R1との交点P3,P4,P5,P6の近傍位置への「国道6号水戸街道/至松戸」の重畳表示が継続的に行われる。
【0138】
次に、本実施形態のさらに具体的な工程について図4を参照して説明する。なお、図4の初期状態においては、地図描画部24による自車周辺地図の表示が行われているものの、地図のスクロールは開始されていないものとする。
【0139】
そして、初期状態から、まず、図4のステップ1(ST1)において、線形要素抽出部27により、地図描画部24によるスクロール結果に基づいて、所定時間に亘る連続的な地図のスクロールが行われたか否かを判定する。そして、このステップ1(ST1)において肯定的な判定結果が得られた場合には、ステップ2(ST2)に進み、否定的な判定結果が得られた場合には、ステップ1(ST1)を繰り返す。
【0140】
次いで、ステップ2(ST2)において、線形要素抽出部27により、ステップ1(ST1)において検出された連続的なスクロールの結果に基づいて、前述した手法によって第1の特定の線形要素の抽出を行う。
【0141】
次いで、ステップ3(ST3)において、関連情報取得部28により、ステップ2(ST2)において第1の特定の線形要素が抽出されたか否かを判定する。そして、ステップ3(ST3)において肯定的な判定結果が得られた場合には、ステップ4(ST4)に進み、否定的な判定結果が得られた場合には、処理を終了する。処理を終了する場合には、ディスプレイ6には、第1の関連情報の重畳表示をともなわない通常のスクロール後の地図のみが表示されることになる。
【0142】
次いで、ステップ4(ST4)において、関連情報取得部28により、前述した手法によって第1の関連情報の取得を行う。
【0143】
次いで、ステップ5(ST5)において、関連情報描画部29により、ステップ4(ST4)において第1の関連情報が取得されたか否かを判定する。そして、このステップ5(ST5)において肯定的な判定結果が得られた場合には、ステップ6(ST6)に進み、否定的な判定結果が得られた場合には、処理を終了する。なお、否定的な判定結果が得られる場合の例としては、第1の関連情報として主要な道路に追従したスクロール先の行政区画名を取得しようとする場合に、当該道路における未表示の道路区間のすべてが、現在表示されている地図が属する行政区画と同じ行政区画に属する場合が挙げられる。
【0144】
次いで、ステップ6(ST6)において、交点抽出部30により、ステップ1(ST1)において検出された連続的なスクロール後の地図の端部と、ステップ2(ST2)において抽出された第1の特定の線形要素とのスクロールの進行方向側における交点の抽出を行う。なお、本実施形態においては、当該交点が抽出されたものとする。
【0145】
次いで、ステップ7(ST7)において、関連情報描画部29により、ステップ4(ST4)において取得された第1の関連情報を、ステップ1(ST1)において検出された連続的なスクロールの後の地図上におけるステップ6(ST6)において抽出された交点の近傍位置に重畳表示する。このようにして、連続的なスクロールの後の地図上への第1の関連情報の重畳表示を開始する。
【0146】
次いで、ステップ8(ST8)において、関連情報描画部29により、前述した手法によって現時点で最新のスクロール後の地図を対象とした追従続行判定を行う。そして、このステップ8(ST8)において肯定的な判定結果が得られた場合には、ステップ9(ST9)に進み、否定的な判定結果が得られた場合には、ステップ11(ST11)に進む。
【0147】
ここで、ステップ9(ST9)に進んだ場合には、このステップ9(ST9)において、交点抽出部30により、ステップ8(ST8)の判定に用いられた最新のスクロール後の地図の端部と、ステップ2(ST2)において抽出された第1の特定の線形要素とのスクロールの進行方向側における交点の抽出を行ってステップ10(ST10)に進む。なお、本実施形態においては、当該交点が抽出されたものとする。
【0148】
次いで、ステップ10(ST10)において、関連情報描画部29により、ステップ4(ST4)において取得された第1の関連情報を、ステップ8(ST8)の判定に用いられた最新のスクロール後の地図上におけるステップ9(ST9)において抽出された交点の近傍位置に重畳表示して、ステップ8(ST8)に戻る。このようにして、第1の関連情報の継続的な重畳表示を行う。
【0149】
一方、ステップ11(ST11)に進んだ場合には、このステップ11(ST11)において、関連情報描画部29により、第1の関連情報の重畳表示を中止して処理を終了する。
【0150】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について、第1実施形態との相違点に限定して、図5を参照して説明する。
【0151】
本実施形態においては、関連情報取得部28が、第1の特定の線形要素に追従したスクロールの進行にともなって、当該スクロールの進行前に表示されていた第1の関連情報に代わって新たに表示されるべき第1の関連情報を取得可能とされている。
【0152】
そして、関連情報取得部28によって新たに表示されるべき第1の関連情報が抽出された場合に、関連情報描画部29が、抽出された当該第1の関連情報を、前記スクロールの進行前に表示されていた第1の関連情報に代わって新たに表示するようになっている。
【0153】
すなわち、本実施形態においては、第1の特定の線形要素に追従したスクロールが進行することによって、今まで表示されていた地図上の第1の特定の線形要素に関連していた第1の関連情報と抵触するような新たな第1の関連情報がスクロール後の地図上の第1の特定の線形要素に関連するようになった場合に、新たな第1の関連情報を取得してこれを今までの第1の関連情報に代えて新たに表示するようになっている。
【0154】
本実施形態によれば、例えば、同じ路線番号の主要な道路であっても区間に応じて路線名称が変化するような道路(本実施形態においては同一とみなす道路)や、同じ主要な道路であっても区間に応じて車線数、道路幅員または道路勾配が変化するような道路に追従したスクロールを行う場合に、区間に応じて適切な第1の関連情報を取得して表示することができる。また、この他にも、誘導経路に追従したスクロールを行う場合に、誘導経路上の区間に応じて路線名称等が異なる場合も当然に想定されるが、このような場合にも、現在表示されている区間に応じた適切な第1の関連情報を表示することができる。
【0155】
より具体的には、例えば、図5(a)に示すように、路線番号が「国道6号」の道路R2に追従したスクロールが行われていて、この道路R2に関連する第1の関連情報として、主要な道路の路線名称である「国道6号江戸通り」が取得されて地図38上に重畳表示されているものとする。そして、図5(a)の状態から、さらに道路R2に追従したスクロールを進めることによって、スクロール後の地図に、道路R2の路線名称が「国道6号水戸街道」であるリンクが新たに含まれるようになったとする。この場合には、図5(b)に示すように、関連情報取得部28により、新たな正式名称「国道6号水戸街道」を取得した上で、関連情報描画部29により、取得された新たな路線名称を図5(a)において表示していたものに代わってスクロール後の地図39上に重畳表示する。
【0156】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について、第1実施形態との相違点に限定して、図6を参照して説明する。
【0157】
本実施形態においては、線形要素抽出部27が、前記連続的なスクロールが行われた場合に、第1実施形態と同様な手法によって、互いに平行な複数の第1の特定の線形要素を同一地図上から同時期に抽出可能とされている。すなわち、本実施形態においては、前記連続的なスクロールの結果に複数の第1の特定の線形要素が含まれている場合に、これら複数の第1の特定の線形要素をすべて抽出するようになっている。
【0158】
また、本実施形態において、関連情報取得部28は、線形要素抽出部27によって前記複数の第1の特定の線形要素が抽出された場合には、第1実施形態と同様な手法によって、抽出された前記複数の第1の特定の線形要素のそれぞれに関連する第1の関連情報を取得可能とされている。
【0159】
さらに、本実施形態において、関連情報描画部29は、関連情報取得部28によって前記複数の第1の特定の線形要素のそれぞれに関連する第1の関連情報が取得された場合に、前記連続的なスクロールの後の前記地図上における前記複数の第1の特定の線形要素のそれぞれに対応する位置への前記取得された各第1の関連情報の重畳表示を開始するようになっている。このとき、各第1の関連情報の重畳表示位置は、各第1の特定の線形要素が、これらに追従したスクロールの進行方向側において各第1の関連情報を重畳表示すべき地図の端部とそれぞれ交わる交点の近傍であってもよい。
【0160】
さらにまた、本実施形態において、関連情報描画部29は、当該重畳表示の開始の後は、前記連続的なスクロールの後のスクロールの結果に基づいて、前記複数の第1の特定の線形要素のそれぞれを対象とした前記追従続行判定を行うようになっている。なお、本実施形態においても、追従続行判定は、前回の追従続行判定において肯定的な判定結果が得られたことを条件として、スクロールの進行にともなって繰り返し行われるようになっている。したがって、前記複数の第1の特定の線形要素のうち、追従続行判定において否定的な判定結果が得られたものは、次回の追従続行判定の対象からは除外されることになる。
【0161】
そして、本実施形態においては、前記複数の第1の特定の線形要素のうちの少なくとも1つの第1の特定の線形要素について追従続行判定における肯定的な判定結果が得られた場合に、前記重畳表示の開始に引き続き、前記連続的なスクロールの後の最新のスクロール後の地図上における当該少なくとも1つの第1の特定の線形要素に対応する位置に、当該第1の特定の線形要素に関連する第1の関連情報を継続的に重畳表示するようになっている。
【0162】
この継続的な重畳表示のための具体的な手法としては、第1実施形態において説明した手法と同様の手法を用いればよい。
【0163】
このような構成によれば、例えば、複数の第1の特定の線形要素のとしての新道と旧道のような互いに並走する複数の道路の違いを把握し易くなる。
【0164】
図6は、このような新道と旧道との2つの道路が第1の特定の線形要素としてそれぞれ抽出された場合における地図画面の表示状態を示している。図6においては、前記連続的なスクロールの後の地図41上に、新道R3に対応する第1の関連情報として路線名称「国道119号宇都宮バイパス」が、旧道R4に対応する第1の関連情報として路線名称「国道119号線」が、それぞれ重畳表示されている。
【0165】
なお、このような図6の地図41に対する更なる道路R3,R4に追従したスクロール後の地図においても2つの道路R3,R4がともに含まれる場合、すなわち各道路R3,R4の並走関係が維持される場合には、当該スクロール後の地図においても、図6と同様に、各道路R3,R4の道路名称がともに表示されることになる。
【0166】
なお、第1実施形態に示したようなスクロールの速度や縮尺に応じた方面の名称の取得の変更等の変形例については、本実施形態においても適用することができる。
【0167】
また、第1実施形態に示したように、第1の特定の線形要素の対象としては、種々の種類の線形データ(すなわち線形要素)を挙げることができる。これらの線形データは、本実施形態のように複数の第1の特定の線形要素として同一の地図に対して複数抽出されてもよいが、抽出される数があまりにも多すぎると、ユーザが本来追従を意図しない線形データまでもが第1の特定の線形要素として数多く抽出されることになる。その場合には、却って必要な線形データについての第1の関連情報の視認性を損ねる虞がある。そこで、線形要素抽出部27に、第1の特定の線形要素として抽出すべき線形データの種類の優先順位を設定しておき、この優先順位にしたがって地図上の各種の線形データから第1の特定の線形要素を順次抽出し、抽出数が所定数(1以上の好適な数)に達した時点で第1の特定の線形要素の抽出を終了するようにしてもよい。この場合に、誘導経路が設定されて表示されている場合には、誘導経路を第1の特定の線形要素として優先的に抽出してもよい。
【0168】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について、第1実施形態との相違点に限定して、図7を参照して説明する。
【0169】
本実施形態においては、線形要素抽出部27が、第1の関連情報を重畳表示すべき地図に含まれる第1の特定の線形要素から分岐された線形要素であって、当該地図内に分岐点を有する第2の特定の線形要素を抽出可能とされている。第2の特定の線形要素は、当該地図内に同時に複数抽出されてもよい。その場合に、複数の第2の特定の線形要素は、互いに異なる分岐点において第1の特定の線形要素から分岐されたものであってもよいし、または、同一の分岐点において第1の特定の線形要素から分岐されたものであってもよい。また、第2の特定の線形要素としては、第1の特定の線形要素と同様に種々の態様の線形データを選択することができる。さらに、第2の特定の線形要素は、第1の特定の線形要素と同種の線形データ(例えば、主要な道路同士)であってもよいし、異種の線形データ(例えば、海岸線と河川)であってもよい。このような第2の特定の線形要素の抽出は、第1の特定の線形要素の抽出に用いたものと同様の地図データすなわちリンクデータやポリラインデータに基づいて行えばよい。この場合、第2の特定の線形要素の抽出は、第1の関連情報を重畳表示すべき地図上に、第1の特定の線形要素と分岐点を有するような地図の端部に至るリンク列やポリラインが存在するか否かに基づいて行えばよい。なお、第1の特定の線形要素および第2の特定の線形要素がともに道路である場合には、分岐点は、交差点であってもよいし、または、高速道路のジャンクションであっもてよい。
【0170】
また、本実施形態において、関連情報取得部28は、線形要素抽出部27によって第2の特定の線形要素が抽出された場合に、抽出された第2の特定の線形要素に関連する第2の関連情報を、ハードディスクドライブ11に記憶された地図データに基づいて取得するようになっている。
【0171】
さらに、本実施形態において、関連情報描画部29は、関連情報取得部28によって第2の関連情報が取得された場合に、取得された第2の関連情報を、第1の関連情報を重畳表示すべき地図上における第2の特定の線形要素に対応する位置に重畳表示するようになっている。
【0172】
このとき、関連情報描画部29は、第2の関連情報を、第1の関連情報を重畳表示すべき地図上における第2の特定の線形要素と当該地図の端部との交点の近傍に重畳表示してもよい。ただし、この場合には、交点抽出部30を第2の交点抽出装置として機能させて、第2の特定の線形要素と当該地図の端部との交点を予め抽出しておくことが前提となる。
【0173】
このような構成によれば、追従すべき線形要素を変更する機会をユーザに与えることができる。
【0174】
ここで、図7は、本実施形態の第1の具体的な動作例としての地図画面の表示状態を示したものである。
【0175】
図7においては、前記連続的なスクロールの後の地図42上に、第1の特定の線形要素としての道路R5と、第2の特定の線形要素としての道路R5から分岐された分岐路R6が含まれている。
【0176】
また、図7に示すように、道路R5と地図42の端部との交点の近傍には、道路R5に関連する第1の関連情報として、道路R5の路線名称および道路R5に追従したスクロール先の方面の名称からなる情報「国道6号江戸通り/至葛飾」が重畳表示されている。
【0177】
さらに、図7に示すように、分岐路R6と地図42の端部との交点の近傍には、分岐路R6に関連する第2の関連情報として、分岐路R6の路線名称および分岐路R6に追従したスクロール先の方面(第2の方面)の名称からなる情報「国道14号京葉道路/至船橋」が重畳表示されている。
【0178】
このような地図42を見たユーザは、分岐路R6に追従したスクロールに切り替えたい場合には、分岐路R6に沿ったスクロール操作を行えばよい。この場合には、関連情報描画部29によって道路R5を対象とした前記追従続行判定において否定的な判定結果が得られたことを契機として、この否定的な判定がなされた時点を線形要素抽出部27側において新たなスクロールの開始時点と擬制すればよい。そして、この擬制された開始時点からの所定時間に亘る連続的なスクロールの結果に基づいて、第1実施形態と同様に、分岐路R6を新たな第1の特定の線形要素として抽出するための処理を開始すればよい。そして、線形要素抽出部27によって分岐路R6が新たな第1の特定の線形要素として抽出された場合には、第1実施形態と同様に、関連情報取得部28による分岐路R6に関連する第1の関連情報の取得および関連情報描画部29による取得された当該第1の関連情報の継続的な重畳表示を行うことになる。ただし、この分岐路R6の第1の関連情報としては、基本的には、分岐路R6が第2の特定の線形要素として抽出されていた時点において第2の関連情報として表示されていたものをそのまま取得すればよい。
【0179】
次に、図8は、本実施形態の第2の具体的な動作例としての地図画面の表示状態を示したものである。
【0180】
図8においては、前記連続的なスクロールの後の地図51上に、第1の特定の線形要素としての高速道路R9と、第2の特定の線形要素としての高速道路R9から「いわきジャンクション(JCT)」において分岐された高速道路R10が含まれている。
【0181】
また、図8に示すように、高速道路R9と地図51の端部との交点の近傍には、高速道路R9に関連する第1の関連情報として、高速道路R9の路線名称および高速道路R9に追従したスクロール先の方面の名称からなる情報「常磐道/水戸方面」が重畳表示されている。
【0182】
さらに、図8に示すように、高速道路R10と地図51の端部との交点の近傍には、高速道路R10に関連する第2の関連情報として、高速道路R10の路線名称および高速道路R10に追従したスクロール先の方面(第2の方面)の名称からなる情報「磐越道/郡山方面」が重畳表示されている。
【0183】
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態について、第1実施形態との相違点に限定して、図9を参照して説明する。
【0184】
本実施形態においては、関連情報描画部29が、第1の関連情報を、操作部5の操作によって選択可能な状態で第1の関連情報を表示すべき地図上に重畳表示するようになっている。
【0185】
また、本実施形態において、地図描画制御部25は、当該地図上に重畳表示された第1の関連情報が操作部5の操作によって選択された場合に、当該第1の関連情報に対応する第1の特定の線形要素に追従した自動的なスクロールを行うように地図描画部24を制御するようになっている。
【0186】
そして、このような制御により、地図描画部24が、第1の特定の線形要素に追従した自動的なスクロールを行うようになっている。このようなスクロールには、公知のルートスクロール機能を用いてもよい。
【0187】
このような構成によれば、ユーザの操作負担を軽減することができる。
【0188】
例えば、図9(a)においては、第1の特定の線形要素としての道路R7に関連する第1の関連情報として、道路R7の路線名称および道路R7に追従したスクロール先の方面の名称からなる情報「国道49号線/至郡山」が、前記連続的なスクロールの後の地図45上に、操作ボタン46上に表記された状態で重畳表示されている。
【0189】
そして、図9(a)において、操作ボタン46が操作部5を用いて選択操作されると、図9(b)に示すように、道路R7に追従した自動的なスクロールが行われ、道路R7を含む自動的なスクロール後の地図47が表示されることになる。
【0190】
本実施形態における自動的なスクロールは、第2の特定の線形要素に対してもそのまま適用することができる。
【0191】
なお、本発明は前述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の特徴を損なわない限度において種々変更することができる。
【0192】
例えば、第1の特定の線形要素として山岳地帯の峠道に追従したスクロールを行う場合には、峠道に追従したスクロール先の方面の名称(第1の関連情報)として、山頂方面の名称(例えば、「富士山五合目方面」)またはふもと方面の名称(例えば、「富士山ふもと方面」)を重畳表示してもよい。
【0193】
また、鉄道路線を第1の特定の線形要素とする場合における第1の関連情報としては、路線名や方面の名称としての鉄道路線に追従したスクロール先の駅名等を挙げることができる。さらに、河川を第1の特定の線形要素とする場合における第1の関連情報としては、河川名や方面の名称としての河川に追従したスクロール先の行政区画名、海名または山名等を挙げることができる。さらにまた、海岸線を第1の特定の線形要素とする場合における第1の関連情報としては、海岸名(浜名、湾名を含む)や方面の名称としての海岸線に追従したスクロール先の海水浴場名、岬名、埠頭名または灯台名等を挙げることができる。これらの第1の関連情報のうち、第1の特定の線形要素の名称(路線名、河川名、海岸名)については、第1の特定の線形要素に対応するポリラインデータに対応付けられたテキストデータ(ポリライン名称)として地図データから取得すればよい。また、方面の名称(スクロール先の駅名等)については、第1実施形態において主要な道路(リンク列)を第1の特定の線形要素とした方面の名称の取得方法と同様の取得方法を、ポリラインデータ(鉄道路線、河川、海岸線)について実施すればよい。その場合には、前述した方面の名称の取得に用いるべき前記境界点や前記ポリゴンデータを検索するために、第1実施形態において説明した検索開始リンクおよび検索実行リンクに代えて、ポリラインを構成する単位線素(セグメント)を、検索開始セグメント、検索実行セグメントとして設定すればよい。
【0194】
さらに、第1の特定の線形要素として主要な道路に追従したスクロールを行う場合に、当該主要な道路に設置された道路構造物が地図中に含まれるようになった場合には、当該道路構造物の名称を第1の関連情報として重畳表示してもよい。例えば、図10においては、第1の特定の線形要素としての道路R8の追従したスクロール中にトンネル48に差し掛かった場合に、このトンネル48の名称「いわき水石トンネル」を第1の関連情報として地図49上に重畳表示している。なお、トンネル以外の道路構造物としては、橋を挙げることができる。
【0195】
さらにまた、本発明は、車載用のナビゲーション装置以外の移動体(例えば、携帯電話機)に適用することも可能である。
【符号の説明】
【0196】
1 ナビゲーション装置
5 操作部
24 地図描画部
25 地図描画制御部
27 線形要素抽出部
28 関連情報取得部
29 関連情報描画部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図データが記憶された地図データ記憶装置と、
この地図データ記憶装置に記憶された前記地図データに基づいて、所定の領域を示す地図を表示部に表示する地図表示処理装置と、
前記地図をスクロールするための操作が可能とされた操作装置と、
この操作装置による前記操作に応じた前記地図のスクロールを行うように前記地図表示処理装置を制御する制御装置と
を備えた地図表示装置であって、
所定時間に亘る連続的な前記スクロールが行われた場合に、この連続的なスクロールの結果に基づいて、前記連続的なスクロールにおいて追従された地図上の第1の特定の線形要素を抽出可能とされた線形要素抽出装置と、
この線形要素抽出装置によって前記第1の特定の線形要素が抽出された場合に、抽出された前記第1の特定の線形要素に関連する第1の関連情報を、前記地図データ記憶装置に記憶された前記地図データに基づいて取得する関連情報取得装置と、
この関連情報取得装置によって前記第1の関連情報が取得された場合に、前記連続的なスクロールの後の前記地図上における前記第1の特定の線形要素に対応する位置に、前記第1の関連情報の重畳表示を開始する関連情報表示処理装置と
を備え、
前記関連情報表示処理装置は、前記重畳表示の開始の後は、前記連続的なスクロールの後の前記スクロールの結果に基づいて、前記第1の特定の線形要素に追従した前記スクロールの続行の有無を判定し、この判定において肯定的な判定結果が得られた場合に、前記重畳表示の開始に引き続き、前記連続的なスクロールの後の最新の前記スクロール後の前記地図上における前記第1の特定の線形要素に対応する位置に、前記第1の関連情報の重畳表示を継続的に行うこと
を特徴とする地図表示装置。
【請求項2】
前記第1の関連情報を重畳表示すべき前記地図に含まれる前記第1の特定の線形要素が、これに追従したスクロールの進行方向側において当該地図の端部と交わる交点を抽出する第1の交点抽出装置を備え、
前記関連情報表示処理装置は、前記第1の関連情報を、当該地図上における前記第1の交点抽出装置によって抽出された前記交点の近傍に重畳表示すること
を特徴とする請求項1に記載の地図表示装置。
【請求項3】
前記関連情報表示処理装置は、前記第1の特定の線形要素に追従した前記スクロールの進行にともなって、当該スクロールの進行前に表示されていた前記第1の関連情報に代わって新たに表示されるべき前記第1の関連情報を取得可能とされ、
前記関連情報表示処理装置は、前記関連情報取得装置によって前記新たに表示されるべき第1の関連情報が取得された場合に、当該取得された第1の関連情報を、前記スクロールの進行前に表示されていた第1の関連情報に代わって新たに表示すること
を特徴とする請求項1または請求項2に記載の地図表示装置。
【請求項4】
前記関連情報表示処理装置は、前記第1の関連情報を前記第1の特定の線形要素に重ならないように表示すること
を特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の地図表示装置。
【請求項5】
前記線形要素抽出装置は、前記連続的なスクロールの結果に基づいて、互いに平行な複数の前記第1の特定の線形要素を抽出可能とされ、
前記関連情報取得装置は、前記線形要素抽出装置によって前記複数の第1の特定の線形要素が抽出された場合に、抽出された前記複数の第1の特定の線形要素のそれぞれに関連する前記第1の関連情報を取得可能とされ、
前記関連情報表示処理装置は、前記関連情報取得装置によって前記複数の第1の特定の線形要素のそれぞれに関連する前記第1の関連情報が取得された場合に、前記連続的なスクロールの後の前記地図上における前記複数の第1の特定の線形要素のそれぞれに対応する位置に、前記各第1の関連情報の重畳表示を開始し、その後は、前記連続的なスクロールの後の前記スクロールの結果に基づいて、前記複数の第1の特定の線形要素に追従した前記スクロールの続行の有無を判定し、この判定において前記複数の第1の特定の線形要素のうちの少なくとも1つの第1の特定の線形要素について肯定的な判定結果が得られた場合に、前記重畳表示の開始に引き続き、前記連続的なスクロールの後の最新の前記スクロール後の前記地図上における前記少なくとも1つの第1の特定の線形要素に対応する位置に、当該第1の特定の線形要素に関連する前記第1の関連情報の重畳表示を継続的に行うこと
を特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の地図表示装置。
【請求項6】
前記第1の関連情報は、前記第1の特定の線形要素に追従したスクロール先の第1の方面の名称を含むこと
を特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の地図表示装置。
【請求項7】
前記操作装置は、前記スクロールの速度を指定する操作が可能とされ、
前記制御装置は、当該操作によって指定された速度で前記スクロールを行うように前記地図表示処理装置を制御し、
前記関連情報取得装置は、当該制御に基づく前記第1の特定の線形要素に追従したスクロールの速度が速いほど、現在表示されている前記地図に対してより遠方の前記第1の方面の名称を取得すること
を特徴とする請求項6に記載の地図表示装置。
【請求項8】
前記地図表示処理装置が表示すべき前記地図の縮尺を設定する縮尺設定装置を備え、
前記制御装置は、前記縮尺設定装置によって設定された前記縮尺の地図を表示するように前記地図表示処理装置を制御し、
前記関連情報取得装置は、前記縮尺設定装置によって設定された前記縮尺が広域であるほど、現在表示されている前記地図に対してより遠方の前記第1の方面の名称を取得すること
を特徴とする請求項6または請求項7に記載の地図表示装置。
【請求項9】
前記第1の特定の線形要素は、主要な道路、過去の通行軌跡、ナビゲーションの誘導経路、鉄道路線、航路、河川および海岸線の少なくとも1つを含むこと
を特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の地図表示装置。
【請求項10】
前記第1の特定の線形要素は、少なくとも主要な道路を含み、
当該主要な道路に関連する前記第1の関連情報は、路線名称、路線番号、前記第1の方面の名称としての当該主要な道路に追従したスクロール先の方面の名称、現在地から当該方面までの当該主要な道路上の距離、現在地から当該方面までの当該主要な道路上の走行区間の交通情報、車線数、道路幅員、道路勾配および燃費の少なくとも1つを含むこと
を特徴とする請求項6乃至請求項8のいずれか1項に記載の地図表示装置。
【請求項11】
前記第1の特定の線形要素としての前記主要な道路に追従したスクロール先の方面の名称は、行政区画名および施設名の少なくとも一方を含むこと
を特徴とする請求項10に記載の地図表示装置。
【請求項12】
前記主要な道路は、高速道路、有料道路、国道および県道を含むこと
を特徴とする請求項9乃至請求項11のいずれか1項に記載の地図表示装置。
【請求項13】
前記第1の特定の線形要素は、少なくともナビゲーションの誘導経路を含み、
当該誘導経路に関連する前記第1の関連情報は、路線名称、路線番号、前記第1の方面の名称としての当該誘導経路に追従したスクロール先の方面の名称、現在地から当該方面までの当該誘導経路上の距離、現在地から当該方面までの当該誘導経路上の走行区間の交通情報、車線数、道路幅員、道路勾配および燃費の少なくとも1つを含むこと
を特徴とする請求項6乃至請求項8のいずれか1項に記載の地図表示装置。
【請求項14】
前記第1の特定の線形要素としての前記誘導経路に追従したスクロール先の方面の名称は、行政区画名および施設名の少なくとも一方を含むこと
を特徴とする請求項13に記載の地図表示装置。
【請求項15】
前記線形要素抽出装置は、地図上の複数の線形要素の中から、前記誘導経路を前記第1の特定の線形要素として優先的に抽出すること
を特徴とする請求項9、請求項13または請求項14に記載の地図表示装置。
【請求項16】
前記線形要素抽出装置は、前記第1の関連情報を重畳表示すべき前記地図に含まれる前記第1の特定の線形要素から分岐された線形要素であって、当該地図内に分岐点を有する第2の特定の線形要素を抽出可能とされ、
前記関連情報取得装置は、前記線形要素抽出装置によって前記第2の特定の線形要素が抽出された場合に、抽出された前記第2の特定の線形要素に関連する第2の関連情報を、前記地図データ記憶装置に記憶された前記地図データに基づいて取得し、
前記関連情報表示処理装置は、前記関連情報取得装置によって前記第2の関連情報が取得された場合に、取得された前記第2の関連情報を、前記第1の関連情報を重畳表示すべき前記地図上における前記第2の特定の線形要素に対応する位置に重畳表示すること
を特徴とする請求項1乃至請求項15のいずれか1項に記載の地図表示装置。
【請求項17】
前記第1の関連情報を重畳表示すべき前記地図に含まれる前記第2の特定の線形要素と、当該地図の端部との交点を抽出する第2の交点抽出装置を備え、
前記関連情報表示処理装置は、前記第2の関連情報を、当該地図上における前記第2の交点抽出装置によって抽出された前記交点の近傍に重畳表示すること
を特徴とする請求項16に記載の地図表示装置。
【請求項18】
前記関連情報表示処理装置は、前記第2の関連情報を前記第2の特定の線形要素に重ならないように表示すること
を特徴とする請求項16または請求項17に記載の地図表示装置。
【請求項19】
前記第2の関連情報は、前記第2の特定の線形要素に追従したスクロール先の第2の方面の名称を含むこと
を特徴とする請求項16乃至請求項18のいずれか1項に記載の地図表示装置。
【請求項20】
前記地図表示処理装置が表示すべき前記地図の縮尺を設定する縮尺設定装置を備え、
前記制御装置は、前記縮尺設定装置によって設定された前記縮尺の地図を表示するように前記地図表示処理装置を制御し、
前記関連情報取得装置は、前記縮尺設定装置によって設定された前記縮尺が広域であるほど、現在表示されている前記地図に対してより遠方の前記第2の方面の名称を取得すること
を特徴とする請求項19に記載の地図表示装置。
【請求項21】
前記第2の特定の線形要素は、主要な道路、過去の通行軌跡、鉄道路線、航路、河川および海岸線の少なくとも1つを含むこと
を特徴とする請求項16乃至請求項20のいずれか1項に記載の地図表示装置。
【請求項22】
前記第2の特定の線形要素は、少なくとも主要な道路を含み、
当該主要な道路に対応する前記第2の関連情報は、路線名称、路線番号、前記第2の方面の名称としての当該主要な道路に追従したスクロール先の方面の名称、現在地から当該方面までの当該主要な道路上の距離、現在地から当該方面までの当該主要な道路上の走行区間の交通情報、車線数、道路幅員、道路勾配および燃費の少なくとも1つを含むこと
を特徴とする請求項19または請求項20に記載の地図表示装置。
【請求項23】
前記第2の特定の線形要素としての前記主要な道路に追従したスクロール先の方面の名称は、行政区画名および施設名の少なくとも一方を含むこと
を特徴とする請求項22に記載の地図表示装置。
【請求項24】
前記関連情報表示処理装置は、前記第1の関連情報を、前記操作装置の操作によって選択可能な状態で表示し、
前記制御装置は、前記第1の関連情報が選択された場合に、当該第1の関連情報に対応する前記第1の特定の線形要素に追従した自動的なスクロールを行うように前記地図表示処理装置を制御すること
を特徴とする請求項1乃至請求項23のいずれか1項に記載の地図表示装置。
【請求項1】
地図データが記憶された地図データ記憶装置と、
この地図データ記憶装置に記憶された前記地図データに基づいて、所定の領域を示す地図を表示部に表示する地図表示処理装置と、
前記地図をスクロールするための操作が可能とされた操作装置と、
この操作装置による前記操作に応じた前記地図のスクロールを行うように前記地図表示処理装置を制御する制御装置と
を備えた地図表示装置であって、
所定時間に亘る連続的な前記スクロールが行われた場合に、この連続的なスクロールの結果に基づいて、前記連続的なスクロールにおいて追従された地図上の第1の特定の線形要素を抽出可能とされた線形要素抽出装置と、
この線形要素抽出装置によって前記第1の特定の線形要素が抽出された場合に、抽出された前記第1の特定の線形要素に関連する第1の関連情報を、前記地図データ記憶装置に記憶された前記地図データに基づいて取得する関連情報取得装置と、
この関連情報取得装置によって前記第1の関連情報が取得された場合に、前記連続的なスクロールの後の前記地図上における前記第1の特定の線形要素に対応する位置に、前記第1の関連情報の重畳表示を開始する関連情報表示処理装置と
を備え、
前記関連情報表示処理装置は、前記重畳表示の開始の後は、前記連続的なスクロールの後の前記スクロールの結果に基づいて、前記第1の特定の線形要素に追従した前記スクロールの続行の有無を判定し、この判定において肯定的な判定結果が得られた場合に、前記重畳表示の開始に引き続き、前記連続的なスクロールの後の最新の前記スクロール後の前記地図上における前記第1の特定の線形要素に対応する位置に、前記第1の関連情報の重畳表示を継続的に行うこと
を特徴とする地図表示装置。
【請求項2】
前記第1の関連情報を重畳表示すべき前記地図に含まれる前記第1の特定の線形要素が、これに追従したスクロールの進行方向側において当該地図の端部と交わる交点を抽出する第1の交点抽出装置を備え、
前記関連情報表示処理装置は、前記第1の関連情報を、当該地図上における前記第1の交点抽出装置によって抽出された前記交点の近傍に重畳表示すること
を特徴とする請求項1に記載の地図表示装置。
【請求項3】
前記関連情報表示処理装置は、前記第1の特定の線形要素に追従した前記スクロールの進行にともなって、当該スクロールの進行前に表示されていた前記第1の関連情報に代わって新たに表示されるべき前記第1の関連情報を取得可能とされ、
前記関連情報表示処理装置は、前記関連情報取得装置によって前記新たに表示されるべき第1の関連情報が取得された場合に、当該取得された第1の関連情報を、前記スクロールの進行前に表示されていた第1の関連情報に代わって新たに表示すること
を特徴とする請求項1または請求項2に記載の地図表示装置。
【請求項4】
前記関連情報表示処理装置は、前記第1の関連情報を前記第1の特定の線形要素に重ならないように表示すること
を特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の地図表示装置。
【請求項5】
前記線形要素抽出装置は、前記連続的なスクロールの結果に基づいて、互いに平行な複数の前記第1の特定の線形要素を抽出可能とされ、
前記関連情報取得装置は、前記線形要素抽出装置によって前記複数の第1の特定の線形要素が抽出された場合に、抽出された前記複数の第1の特定の線形要素のそれぞれに関連する前記第1の関連情報を取得可能とされ、
前記関連情報表示処理装置は、前記関連情報取得装置によって前記複数の第1の特定の線形要素のそれぞれに関連する前記第1の関連情報が取得された場合に、前記連続的なスクロールの後の前記地図上における前記複数の第1の特定の線形要素のそれぞれに対応する位置に、前記各第1の関連情報の重畳表示を開始し、その後は、前記連続的なスクロールの後の前記スクロールの結果に基づいて、前記複数の第1の特定の線形要素に追従した前記スクロールの続行の有無を判定し、この判定において前記複数の第1の特定の線形要素のうちの少なくとも1つの第1の特定の線形要素について肯定的な判定結果が得られた場合に、前記重畳表示の開始に引き続き、前記連続的なスクロールの後の最新の前記スクロール後の前記地図上における前記少なくとも1つの第1の特定の線形要素に対応する位置に、当該第1の特定の線形要素に関連する前記第1の関連情報の重畳表示を継続的に行うこと
を特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の地図表示装置。
【請求項6】
前記第1の関連情報は、前記第1の特定の線形要素に追従したスクロール先の第1の方面の名称を含むこと
を特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の地図表示装置。
【請求項7】
前記操作装置は、前記スクロールの速度を指定する操作が可能とされ、
前記制御装置は、当該操作によって指定された速度で前記スクロールを行うように前記地図表示処理装置を制御し、
前記関連情報取得装置は、当該制御に基づく前記第1の特定の線形要素に追従したスクロールの速度が速いほど、現在表示されている前記地図に対してより遠方の前記第1の方面の名称を取得すること
を特徴とする請求項6に記載の地図表示装置。
【請求項8】
前記地図表示処理装置が表示すべき前記地図の縮尺を設定する縮尺設定装置を備え、
前記制御装置は、前記縮尺設定装置によって設定された前記縮尺の地図を表示するように前記地図表示処理装置を制御し、
前記関連情報取得装置は、前記縮尺設定装置によって設定された前記縮尺が広域であるほど、現在表示されている前記地図に対してより遠方の前記第1の方面の名称を取得すること
を特徴とする請求項6または請求項7に記載の地図表示装置。
【請求項9】
前記第1の特定の線形要素は、主要な道路、過去の通行軌跡、ナビゲーションの誘導経路、鉄道路線、航路、河川および海岸線の少なくとも1つを含むこと
を特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の地図表示装置。
【請求項10】
前記第1の特定の線形要素は、少なくとも主要な道路を含み、
当該主要な道路に関連する前記第1の関連情報は、路線名称、路線番号、前記第1の方面の名称としての当該主要な道路に追従したスクロール先の方面の名称、現在地から当該方面までの当該主要な道路上の距離、現在地から当該方面までの当該主要な道路上の走行区間の交通情報、車線数、道路幅員、道路勾配および燃費の少なくとも1つを含むこと
を特徴とする請求項6乃至請求項8のいずれか1項に記載の地図表示装置。
【請求項11】
前記第1の特定の線形要素としての前記主要な道路に追従したスクロール先の方面の名称は、行政区画名および施設名の少なくとも一方を含むこと
を特徴とする請求項10に記載の地図表示装置。
【請求項12】
前記主要な道路は、高速道路、有料道路、国道および県道を含むこと
を特徴とする請求項9乃至請求項11のいずれか1項に記載の地図表示装置。
【請求項13】
前記第1の特定の線形要素は、少なくともナビゲーションの誘導経路を含み、
当該誘導経路に関連する前記第1の関連情報は、路線名称、路線番号、前記第1の方面の名称としての当該誘導経路に追従したスクロール先の方面の名称、現在地から当該方面までの当該誘導経路上の距離、現在地から当該方面までの当該誘導経路上の走行区間の交通情報、車線数、道路幅員、道路勾配および燃費の少なくとも1つを含むこと
を特徴とする請求項6乃至請求項8のいずれか1項に記載の地図表示装置。
【請求項14】
前記第1の特定の線形要素としての前記誘導経路に追従したスクロール先の方面の名称は、行政区画名および施設名の少なくとも一方を含むこと
を特徴とする請求項13に記載の地図表示装置。
【請求項15】
前記線形要素抽出装置は、地図上の複数の線形要素の中から、前記誘導経路を前記第1の特定の線形要素として優先的に抽出すること
を特徴とする請求項9、請求項13または請求項14に記載の地図表示装置。
【請求項16】
前記線形要素抽出装置は、前記第1の関連情報を重畳表示すべき前記地図に含まれる前記第1の特定の線形要素から分岐された線形要素であって、当該地図内に分岐点を有する第2の特定の線形要素を抽出可能とされ、
前記関連情報取得装置は、前記線形要素抽出装置によって前記第2の特定の線形要素が抽出された場合に、抽出された前記第2の特定の線形要素に関連する第2の関連情報を、前記地図データ記憶装置に記憶された前記地図データに基づいて取得し、
前記関連情報表示処理装置は、前記関連情報取得装置によって前記第2の関連情報が取得された場合に、取得された前記第2の関連情報を、前記第1の関連情報を重畳表示すべき前記地図上における前記第2の特定の線形要素に対応する位置に重畳表示すること
を特徴とする請求項1乃至請求項15のいずれか1項に記載の地図表示装置。
【請求項17】
前記第1の関連情報を重畳表示すべき前記地図に含まれる前記第2の特定の線形要素と、当該地図の端部との交点を抽出する第2の交点抽出装置を備え、
前記関連情報表示処理装置は、前記第2の関連情報を、当該地図上における前記第2の交点抽出装置によって抽出された前記交点の近傍に重畳表示すること
を特徴とする請求項16に記載の地図表示装置。
【請求項18】
前記関連情報表示処理装置は、前記第2の関連情報を前記第2の特定の線形要素に重ならないように表示すること
を特徴とする請求項16または請求項17に記載の地図表示装置。
【請求項19】
前記第2の関連情報は、前記第2の特定の線形要素に追従したスクロール先の第2の方面の名称を含むこと
を特徴とする請求項16乃至請求項18のいずれか1項に記載の地図表示装置。
【請求項20】
前記地図表示処理装置が表示すべき前記地図の縮尺を設定する縮尺設定装置を備え、
前記制御装置は、前記縮尺設定装置によって設定された前記縮尺の地図を表示するように前記地図表示処理装置を制御し、
前記関連情報取得装置は、前記縮尺設定装置によって設定された前記縮尺が広域であるほど、現在表示されている前記地図に対してより遠方の前記第2の方面の名称を取得すること
を特徴とする請求項19に記載の地図表示装置。
【請求項21】
前記第2の特定の線形要素は、主要な道路、過去の通行軌跡、鉄道路線、航路、河川および海岸線の少なくとも1つを含むこと
を特徴とする請求項16乃至請求項20のいずれか1項に記載の地図表示装置。
【請求項22】
前記第2の特定の線形要素は、少なくとも主要な道路を含み、
当該主要な道路に対応する前記第2の関連情報は、路線名称、路線番号、前記第2の方面の名称としての当該主要な道路に追従したスクロール先の方面の名称、現在地から当該方面までの当該主要な道路上の距離、現在地から当該方面までの当該主要な道路上の走行区間の交通情報、車線数、道路幅員、道路勾配および燃費の少なくとも1つを含むこと
を特徴とする請求項19または請求項20に記載の地図表示装置。
【請求項23】
前記第2の特定の線形要素としての前記主要な道路に追従したスクロール先の方面の名称は、行政区画名および施設名の少なくとも一方を含むこと
を特徴とする請求項22に記載の地図表示装置。
【請求項24】
前記関連情報表示処理装置は、前記第1の関連情報を、前記操作装置の操作によって選択可能な状態で表示し、
前記制御装置は、前記第1の関連情報が選択された場合に、当該第1の関連情報に対応する前記第1の特定の線形要素に追従した自動的なスクロールを行うように前記地図表示処理装置を制御すること
を特徴とする請求項1乃至請求項23のいずれか1項に記載の地図表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2011−170166(P2011−170166A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−34678(P2010−34678)
【出願日】平成22年2月19日(2010.2.19)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月19日(2010.2.19)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000101732)アルパイン株式会社 (2,424)
【Fターム(参考)】
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