説明

地図表示装置

【課題】地図の縮尺を変えることなく、ユーザが、より広い範囲の地図を見ることができる地図表示装置を提供する。
【解決手段】自車位置21を中心とする地図画面20を表示する。この地図画面20において、ユーザがタッチパネル操作により周辺スクロールボタン22を選択すると、周辺スクロールを開始する。周辺スクロールでは、初めに自車位置21が画面の中心から左下隅に向かって移動するように地図をスクロールする。その後、自車位置21が地図の表示範囲の四隅にそれぞれ位置するように、地図のスクロール方向を右方向、上方向、左方向へと順次変化させて地図をスクロールする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載される地図表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両に搭載されると共に、当該車両の現在地を含む地域の地図を表示する表示装置を有する地図表示装置であって、ユーザの操作に基づいて、地図の縮尺を変更できるものが知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−163550号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の地図表示装置では、ユーザは、地図の縮尺を広げる操作を行うことにより、表示装置により地図が表示されている範囲の周辺の地域をも見られるようになるが、見易さ向上のため、細街路など、一般的に重要性が低いとされる要素が、ユーザにとっては見たい要素であっても、表示されなくなってしまうという問題が有る。
そこで、本発明は、地図の縮尺を変えることなく、ユーザが、より広い範囲の地図を見ることができる地図表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による地図表示装置は、車両に搭載され、地図情報を記憶する地図情報記憶手段と、地図情報記憶手段により記憶された地図情報に基づいて表示用の地図を生成する地図生成手段と、地図生成手段により生成された表示用の地図に基づいて地図を表示する地図表示手段と、地図表示手段により表示された地図上の一の地点を特定する地点特定手段と、を備え、地図表示手段は、所定の条件が成立すると、表示した地図の一部と重複し、且つ、地点特定手段により特定された一の地点を含む周辺地図を表示するものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、地図の縮尺を変えることなく、ユーザが、より広い範囲の地図を見ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の一実施形態によるナビゲーション装置の構成を示す図である。
【図2】地図画面の例を示す図である。
【図3】周辺スクロール中の地図画面の一例を示す図である。
【図4】周辺スクロール中の地図画面の他の一例を示す図である。
【図5】周辺スクロール中の地図画面の別の一例を示す図である。
【図6】周辺スクロール中の地図画面のさらに別の一例を示す図である。
【図7】周辺スクロールの処理手順を説明するためのフローチャートである。
【図8】地図の表示処理およびスクロール処理を説明するための図である。
【図9】周辺スクロール中の鳥瞰地図画面の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の一実施形態によるナビゲーション装置1の構成を図1に示す。このナビゲーション装置1は、車両(以下、自車両と称する)に搭載されており、地図データに基づいて地図画像を生成し、その地図画像に基づいて地図を表示することができる。ナビゲーション装置1は、制御回路11、ROM12、RAM13、現在地検出装置14、画像メモリ15、表示モニタ16、スピーカ17、入力装置18、タッチパネル19およびディスクドライブ111を有している。ディスクドライブ111には、地図データが記録されたDVD−ROM112が装填されている。
【0009】
制御回路11は、マイクロプロセッサや各種周辺回路からなる。この制御回路11は、RAM13を作業エリアとしてROM12に格納された制御プログラムを実行することにより、各種の処理や制御を行う。たとえば制御回路11は、DVD−ROM112に記憶された地図データに基づいて、現在地から目的地までの推奨経路を探索するための所定の経路探索処理を行うことができる。探索された推奨経路は、地図上に表示されてユーザに提示されると共に、自車両を目的地まで誘導するための経路誘導などに用いられる。
【0010】
現在地検出装置14は、自車位置すなわち自車両の現在地を検出するための装置である。この現在地検出装置14は、振動ジャイロ14a、車速センサ14b、GPS(Global Positioning System)センサ14cなどからなる。振動ジャイロ14aと車速センサ14bは、自車両の角速度と走行速度を所定時間ごとにそれぞれ検出する。自車両の運動状態を表すこれらの検出結果に基づいて、制御回路11において自車両の移動方向および移動量が算出される。一方、GPSセンサ14cは、GPS衛星から送信されるGPS信号を検出して制御部10へ出力する。GPS信号には、自車両の位置を求めるための情報として、そのGPS信号を送信したGPS衛星の位置と送信時刻に関する情報が含まれている。したがって、所定数以上のGPS衛星からGPS信号を受信することにより、これらの情報に基づいて、自車位置を制御回路11において算出することができる。このGPS信号に基づく自車位置の算出結果と、前述の振動ジャイロ14aおよび車速センサ14bの各検出結果に基づく移動方向および移動量の算出結果とにより、所定時間ごとに現在地が検出される。
【0011】
画像メモリ15は、表示モニタ16に各種の画像を表示させるための画像データを格納する。たとえば、地図を描画するための地図画像データなどが画像メモリ15に格納される。この画像データは、DVD−ROM112に記憶された地図データなどに基づいて、制御回路11が行う画像生成処理により適宜生成される。ナビゲーション装置1は、このようにして生成された画像データを用いることによって表示モニタ16に地図などを表示することができる。
【0012】
タッチパネル19は、表示モニタ16の表面に積層される透明のタッチスイッチである。表示モニタ16に表示される画像は、タッチパネル19を透過して表示される。表示モニタ16に表示された各種ボタン等をユーザが指などで押圧すると、タッチパネル19が押圧される。このときタッチパネル19は、押圧位置に応じた信号をタッチパネルコントロール部110に出力する。タッチパネルコントロール部110は、タッチパネル19から出力された信号に基づいてタッチパネル19の押圧位置を算出し、算出結果を制御回路11に出力する。この押圧位置の算出結果に基づいて、制御回路11は、押圧されたボタン等に対応する処理や制御を実行する。
【0013】
ディスクドライブ111は、装填されたDVD−ROM112から、表示モニタ16に地図を表示するための地図データを読み出す。地図データは、地図表示用データ、経路探索用データなどを含む。地図表示用データおよび経路探索用データには、道路のリンク情報およびノード情報が含まれている。地図表示用データは、広域から詳細まで複数の縮尺の地図データを有し、ユーザの要求にしたがって、表示地図の縮尺を変更することができる。なお、DVD−ROM112以外の他の記録メディア、たとえばCD−ROMやハードディスクなどから地図データを読み出してもよい。
【0014】
表示モニタ16は、車両の現在地周辺の地図やメニュー画面などの各種情報を表示する。スピーカ17は、ユーザに操作案内したり、経路誘導したりするための音声を出力する。入力装置18は、ユーザが各種コマンドの設定などするための操作キーを有し、操作パネル上のボタンスイッチなどによって実現される。
【0015】
ユーザは、表示モニタ16の画面の指示やスピーカ17からの音声指示にしたがって入力装置18やタッチパネル19を操作することにより、自車両の目的地を設定することができる。
【0016】
目的地がユーザによって設定されると、制御回路11は、現在地を経路探索の開始点に設定し、目的地を経路探索の終了点に設定する。そして、開始点から終了点までの経路演算を所定のアルゴリズムに基づいて行い、推奨経路を探索する。このようにして求められた推奨経路は、表示形態、たとえば表示色などを変えることによって、ほかの道路とは区別して表示モニタ16に表示される。これにより、ユーザは表示モニタ16に表示された地図上で推奨経路を認識することができる。また、ナビゲーション装置1は、探索された推奨経路にしたがって自車両を誘導するために、ユーザに対して画面や音声などによる進行指示を行う。
【0017】
次に、本実施形態による地図のスクロールについて説明する。ナビゲーション装置1は、ユーザが入力装置18やタッチパネル19を手動で操作して行う通常の地図スクロールに加えて、自車位置の周辺の様子を地図上でユーザに確認させるための地図スクロールを行うことができる。この地図スクロールでは、自車位置の周辺をぐるっと一周するように地図を自動的にスクロールする。以下では、この地図スクロールを「周辺スクロール」と称する。
【0018】
周辺スクロールを行う前に表示モニタ16において表示される地図画面の例を図2に示す。この地図画面20は、自車位置21を中心とする平面状の地図を表している。地図画面20には、周辺スクロールを開始するための操作ボタンである周辺スクロールボタン22が重ねて表示されている。図2に示すように、ユーザがタッチパネル19の操作により周辺スクロールボタン22を選択すると、ナビゲーション装置1において周辺スクロールが開始される。
【0019】
図3〜6は、周辺スクロール中の地図画面の例を示している。図2で説明したように周辺スクロールボタン22がユーザによって選択されると、初めに左下方向へ地図のスクロールが自動的に開始される。この地図スクロールにより、地図画面20における地図の表示範囲がスクロール方向とは反対の方向、すなわち右上方向へ連続的に変化し、自車位置21が画面の中心から左下隅に向かって移動する。
【0020】
図3に示すように自車位置21が画面の左下隅まで移動すると、地図のスクロール方向が右方向へと変化する。これにより、地図画面20における地図の表示範囲がスクロール方向とは反対の方向、すなわち左方向へ連続的に変化し、自車位置21が画面の左下隅から右下隅に向かって移動する。
【0021】
図4に示すように自車位置21が画面の右下隅まで移動すると、地図のスクロール方向が上方向へと変化する。これにより、地図画面20における地図の表示範囲がスクロール方向とは反対の方向、すなわち下方向へ連続的に変化し、自車位置21が画面の右下隅から右上隅に向かって移動する。
【0022】
図5に示すように自車位置21が画面の右上隅まで移動すると、地図のスクロール方向が左方向へと変化する。これにより、地図画面20における地図の表示範囲がスクロール方向とは反対の方向、すなわち右方向へ連続的に変化し、自車位置21が画面の右上隅から左上隅に向かって移動する。
【0023】
図6に示すように自車位置21が画面の左上隅まで移動すると、地図のスクロールが停止され、周辺スクロールが終了する。このようにして、ナビゲーション装置1において周辺スクロールが行われる。なお、周辺スクロールを終了した後、ナビゲーション装置1は図2の地図画面20へと戻り、周辺スクロールの開始前に行っていた処理や制御などを再開する。
【0024】
以上説明したように、ナビゲーション装置1は周辺スクロールにおいて、自車位置21が地図の表示範囲の四隅にそれぞれ位置するように地図をスクロールさせる。このとき、自車位置21を取り囲むような形状のループに沿って地図の表示範囲の中心が移動する。これにより、自車位置21を取り囲む線に沿って地図の表示範囲を連続的に変化させることができる。その結果、自車位置の周辺の様子を地図上でユーザに容易に確認させることができる。そのため、地図の縮尺を変えることなく、ユーザがより広い範囲の地図を見ることができる。
【0025】
なお、図3〜6に例示した周辺スクロール中の各地図画面は、いずれも、各々の地図の中心点から自車位置21への方向がそれぞれ異なっている。具体的には、図3〜6の各地図画面における地図の中心点から自車位置21への方向は、図3では左斜め下方向、図4では右斜め下方向、図5では右斜め上方向、図6では左斜め上であり、いずれも異なる方向である。ナビゲーション装置1は、周辺スクロールを行うことにより、これらの地図を含む複数の地図を続けて表示する。なお、周辺スクロール中には図3〜6のような地図画面の全てを必ずしも表示する必要はなく、いずれかを表示しなくてもよい。
【0026】
上記では自車位置21が地図の表示範囲の四隅にそれぞれ位置するように地図をスクロールさせる例を図3〜6により説明したが、必ずしもこのようにする必要はなく、自車位置21が当該四隅から少し離れた場所に位置するようにスクロールしてもよい。すなわち、自車位置21が地図表示範囲の四隅の各々から所定範囲内にそれぞれ位置するようにして、周辺スクロールを行うことができる。
【0027】
あるいは、周辺スクロール中に表示される地図において自車位置21が地図表示範囲の四隅から離れていてもよい。たとえば、自車位置21を中心とする所定半径の円周に沿って地図をスクロールさせてもよい。周辺スクロールでは、スクロール開始前に表示した地図の一部と重複し、且つ、地図上で注目したい地点として特定された一の地点を含む周辺地図を表示することが好ましい。
【0028】
上記の周辺スクロールの処理手順を図7のフローチャートにより説明する。このフローチャートは、ナビゲーション装置1において制御回路11により実行される。
【0029】
ステップS10において、制御回路11は、自車位置を検出する。ここでは前述のように、現在地検出装置14を用いて自車両の運動状態やGPS信号を検出し、その検出結果に基づいて自車位置を求めることにより、自車位置の検出を行う。
【0030】
ステップS20において、制御回路11は、地図画像を生成する。ここでは、ステップS10で検出した自車位置に基づいて、地図画像を生成する範囲を決定する。このときの地図画像の生成範囲としては、表示モニタ16における地図の表示範囲よりも広い範囲を設定する。そして、ディスクドライブ111を用いて、その範囲に対応する地図データをDVD−ROM112から読み出し、読み出した地図データに基づいて地図画像を生成する。生成された地図画像は、表示用の地図として画像メモリ15に記憶される。
【0031】
ステップS30において、制御回路11は、表示用の地図としてステップS20で生成した地図画像に基づいて、平面状の地図を表示モニタ16に表示する。ここでは、ステップS10で検出した自車位置が地図の中心となるような位置に地図の表示原点を設定し、画像メモリ15に記憶された地図画像のうち当該表示原点によって定められた範囲の部分を読み出す。こうして読み出した地図画像部分を画像信号に変換し、制御回路11から表示モニタ16へ出力することにより、図2のような地図画面20が表示モニタ16において表示される。なお、この地図画面20には、制御回路11の処理によって地図に重畳された周辺スクロールボタン22も合わせて表示されている。
【0032】
ステップS40において、制御回路11は、ステップS30で表示した地図画面20において、周辺スクロールボタン22がユーザによってタッチ操作されたか否かを判定する。周辺スクロールボタン22がタッチされた場合、制御回路11は次のステップS50へ進む。一方、周辺スクロールボタン22がタッチされなかった場合、制御回路11はステップS10へ戻り、上記のような処理を繰り返す。なお、この場合ステップS20では、既に生成された地図画像を用いて地図を表示できるのであれば、地図画像を再び生成する必要はない。すなわち、ステップS10で検出した自車位置に対して表示すべき地図の範囲が画像メモリ15に記憶されている地図画像内である場合、制御回路11はステップS20の処理を実行せずに、その地図画像を用いてステップS30で地図を表示する。一方、ステップS10で検出した自車位置に対して表示すべき地図の範囲が画像メモリ15に記憶されている地図画像から外れている場合、制御回路11はステップS20の処理を実行することにより地図画像を生成しなおす。
【0033】
ステップS50において、制御回路11は、ステップS30で表示した地図上の一の地点を基準地点として特定する。この基準地点は、周辺スクロールにおけるスクロールの範囲を規定するための地点である。ここでは、ステップS10で検出した自車位置を基準地点として特定する。
【0034】
ステップS60において、制御回路11は、地図のスクロール方向を設定する。ここでは最初に、左下方向を地図のスクロール方向として設定する。
【0035】
ステップS70において、制御回路11は、ステップS60で設定したスクロール方向にしたがって地図のスクロールを開始する。これにより、上記のように左下方向を地図のスクロール方向に設定した場合は、地図画面20における地図の表示範囲が右上方向へ連続的に変化し、自車位置21が画面の中心から左下隅に向かって移動する。なお、こうした地図のスクロールは、前述の表示原点の位置を変化させることで行うことができる。すなわち、表示原点の位置を徐々に変化させつつ、画像メモリ15に記憶された地図画像のうち当該表示原点に対応する範囲の部分を所定の周期ごとに読み出す。こうして読み出し範囲を変えながら読み出した地図画像の各部分をそれぞれ画像信号に変換し、制御回路11から表示モニタ16へ出力することにより、表示モニタ16において地図画面20がスクロールされる。
【0036】
ステップS80において、制御回路11は、ステップS50で特定した基準地点すなわち自車位置21が、画面の四隅のうちいずれかに到達したか否かを判定する。基準地点が画面の四隅のうちいずれかに到達したら、制御回路11は次のステップS90へ処理を進める。これにより、上記のように左下方向へ地図がスクロールされている場合は、自車位置21が画面の左下隅に到達するとステップS90の処理が実行される。なお前述のように、自車位置21が画面の四隅に到達したときではなく、四隅から少し離れた位置に到達したときにスクロール方向を変化させてもよい。この場合、ステップS80において制御回路11は、自車位置21が当該位置に到達したか否かを判定し、到達したと判定したらステップS90へ進む。
【0037】
ステップS90において、制御回路11は、地図のスクロールが一周したか否かを判定する。地図のスクロールが一周した場合、すなわち自車位置21が画面の四隅の全てに到達済みである場合に、制御回路11はステップS100へ進む。一方、地図のスクロールが一周していない場合、すなわち自車位置21が画面の四隅のうちいずれか少なくとも一つにまだ到達していない場合に、制御回路11はステップS60へ戻る。
【0038】
ステップS90からステップS60へ戻った場合、制御回路11はステップS60において、それまでに設定したのとは異なるスクロール方向を前述のような順番でそれぞれ設定する。すなわち、左下方向の次には右方向を、右方向の次には上方向を、上方向の次には左方向を、スクロール方向として順次設定する。こうして設定したスクロール方向にしたがってステップS70で地図をスクロールさせると共に、ステップS80の判定を行うことにより、自車位置21が画面の左下隅、右下隅、右上隅、左上隅へと順次到達するように地図がスクロールされる。このようにして地図のスクロールが一周することで、周辺スクロールが行われる。
【0039】
ステップS100において、制御回路11は、地図のスクロールを停止する。次のステップS110において、制御回路11は、周辺スクロールが行われる前の元の地図、すなわちステップS30で表示したのと同様の地図を表示モニタ16に表示する。これにより、図2のような地図画面20が表示モニタ16において再び表示される。ステップS110を実行したら、制御回路11は図7のフローチャートを終了する。
【0040】
ここで、ステップS30において行われる地図の表示処理と、ステップS70において行われる地図のスクロール処理とについて、図8を参照して以下に詳細に説明する。画像メモリ15には、たとえば図8(a)の符号81に示すような地図画像が記憶される。この地図画像81上に表示原点82が設定され、表示原点82を基準に所定の大きさの読み出し領域83が地図画像81上に設定される。ステップS30では、地図画像81のうち、こうして設定された読み出し領域83に対応する範囲の部分が画像メモリ15から読み出され、表示モニタ16において表示される。これにより、符号84に示すような地図画面の表示結果が得られる。また、ステップS70では、表示原点82の位置が移動することにより、地図のスクロールが行われる。
【0041】
制御回路11において行われる描画処理では、図8(b)に示すように、画像メモリ15内に、ステップS20において生成された上記のような地図画像81が記憶される。ステップS30では、画像メモリ15に記憶された地図画像81のうち、表示原点82の位置を基準に設定された読み出し領域83内の部分が制御回路11によって読み出され、表示モニタに出力されることにより、表示モニタ16において地図の表示が行われる。また、ステップS70では、表示原点82の位置を移動させて読み出し領域83を地図画像81上で動かすことで地図のスクロールを行い、表示モニタ16において表示される地図の範囲を変化させる。
【0042】
周辺スクロールでは、以上説明した処理を用いて、図2〜6に例示したような各地図画面が表示モニタ16に順次表示される。すなわち、図2の地図画面が表示された後、表示原点82を右上方向に移動させることで、地図画面が左下方向にスクロールされ、図2の状態から図3の状態へと変化する。その後、表示原点82を左方向に移動させることで地図画面が右方向にスクロールされて図3の状態から図4の状態へと変化し、表示原点82を下方向に移動させることで地図画面が上方向にスクロールされて図4の状態から図5の状態へと変化し、表示原点82を右方向に移動させることで地図画面が左方向にスクロールされて図5の状態から図6の状態へと変化する。周辺スクロールが終了したら、表示原点82を左上方向に移動させる。これにより地図画面が右下方向にスクロールされ、図6の状態から図2の状態へと戻る。
【0043】
以上説明した実施の形態によれば、次の作用効果を奏する。
【0044】
(1)ナビゲーション装置1は、制御回路11の処理により、DVD−ROM112に記録されている地図データに基づいて表示用の地図を生成し(ステップS20)、その表示用の地図に基づいて表示モニタ16に地図を表示する(ステップS30)。また、周辺スクロールボタン22がユーザによってタッチされたか否かを判定し(ステップS50)、タッチされた場合は、表示モニタ16に表示された地図上の一地点である自車位置を基準地点として特定して(ステップS50)、前述のような周辺スクロールを行う(ステップS60〜S80)。このようにしたので、地図の縮尺を変えることなく、ユーザが、より広い範囲の地図を見ることができる。
【0045】
(2)制御回路11は、周辺スクロールにおいて、基準地点である自車位置を取り囲む線に沿って地図の表示範囲を連続的に変化させるようにした。これにより、基準地点の周辺の地図をもれなく表示してユーザに確認させることができる。
【0046】
(3)また制御回路11は、周辺スクロールにおいて、基準地点である自車位置が地図の表示範囲の四隅のうちの一つから所定範囲内に位置する図3〜6に例示したような地図を表示するようにした。これにより、基準地点との位置関係が分かるように基準地点を常に地図上に示しつつ、基準地点の周辺のなるべく広い範囲について地図を表示してユーザに確認させることができる。
【0047】
(4)制御回路11は、ステップS20において、表示モニタ16における地図の表示範囲よりも広い範囲で表示用の地図を生成する。ステップS70では、こうして生成した表示用の地図のうち一部の範囲を読み出して地図を表示するときの読み出し範囲を変えることにより、地図のスクロールを行うようにした。これにより、地図をスクロールするときの処理負荷を軽減し、処理速度を向上させることができる。
【0048】
なお、以上説明した実施の形態は次のように変形してもよい。
【0049】
−変形例1−
上記実施の形態では、本発明による周辺スクロールを平面状の地図において適用した例を説明したが、これを鳥瞰地図において適用してもよい。この場合、平面状の地図と鳥瞰地図とでは地図の表示形態が異なるため、前述したようなスクロール方法とは異なる方法で鳥瞰地図をスクロールすることが好ましい。たとえば、鳥瞰地図の視点を固定した状態で、その視点からの視線方向を連続的に変化させながら一回転させることで、平面状の地図における周辺スクロールの場合と同様に、地図の縮尺を変えることなくユーザがより広い範囲の地図を見ることができるようにする。その結果、ユーザが注目したい地点の周辺の様子を地図上で簡単に確認させることができる。
【0050】
あるいは、鳥瞰地図の視点を固定せずに、視線方向の変化に応じて視点を移動させてもよい。たとえば、自車位置の上空に位置する点を中心とする円に沿って視点を移動させつつ、その視点からの視線方向を連続的に変化させることで、鳥瞰地図における周辺スクロールを実現することができる。
【0051】
上記のような周辺スクロール中の鳥瞰地図画面の例を図9に示す。たとえば、図9(a)に示すような鳥瞰地図が表示されているときに、ユーザから周辺スクロールの開始指示が行われたとする。するとナビゲーション装置1は、視線方向を右回りに連続的に変化させることで、鳥瞰地図における周辺スクロールを実行する。図9(b)は、このときの鳥瞰地図画面の一例を示している。視線方向が一周すると周辺スクロールを終了し、図9(a)のような地図画面に戻る。なお、図9(a)の地図画面の例では、自車位置から所定距離だけ後方に位置する地点を基準地点とし、この基準地点から所定の高さに位置する点を視点としている。周辺スクロールが開始されると、この視点を自車位置上空の点を中心にして移動させつつ、それに合わせて視線方向を動かすことにより、画面中の自車位置が変わらないように鳥瞰地図の範囲を変化させている。
【0052】
−変形例2−
上記実施の形態および変形例1では、平面状の地図または鳥瞰地図をスクロールさせることでユーザが注目したい地点の周辺を地図上で確認させるようにしたが、これに代えて、地図範囲が異なる複数の地図を切り替えて表示するようにしてもよい。たとえば、図3〜6に示すような各地図を続けて表示したり、視線方向が90°ずつ異なる鳥瞰地図を続けて表示したりすることで、地図の切り替え表示を行うことができる。なお、こうした地図の切り替え表示を行うときは、平面状の地図と鳥瞰地図のいずれに適用する場合にも、前述のような周辺スクロールと同様に、切り替え表示の開始前に表示された地図の一部と重複し、且つ、その地図上で注目したい地点として特定された一の地点を含む周辺地図を表示することが好ましい。さらに鳥瞰地図においては、切り替え表示の開始前に表示された地図とは基準地点(自車位置から所定距離後方に位置する地点)に対する視線方向が異なる鳥瞰地図を周辺地図として表示することが好ましい。このようにしても、ユーザが注目したい地点の周辺の様子を地図上で簡単に確認させることができる。
【0053】
−変形例3−
上記実施の形態および変形例1では、スクロールの範囲を規定するための基準地点を自車位置に基づいて特定する例を説明した。すなわち、平面状の地図において周辺スクロールを行う場合は、地図上の自車位置を基準地点とし、また鳥瞰地図において周辺スクロールを行う場合は、自車位置から所定距離後方に位置する地図上の地点を基準地点とした。しかし、これに代えて地図上の任意の地点を基準地点としてもよい。たとえば、ユーザが入力装置18やタッチパネル19を手動で操作することにより、平面状の地図または鳥瞰地図上の一地点を指定すると、ナビゲーション装置1はその操作を検出し、指定された地点を基準地点として特定する。こうして特定した基準地点を用いて、前述のような周辺スクロールを行うことができる。あるいは、変形例2で説明したように、地図範囲が異なる複数の地図を切り替えて表示してもよい。このようにすれば、自車位置以外でユーザが注目したい地点がある場合に、その地点の周辺の様子を地図上で簡単に確認させることができる。
【0054】
−変形例4−
上記実施の形態では、周辺スクロールボタン22がユーザによってタッチ操作されると周辺スクロールを開始する例を説明したが、これ以外の方法で周辺スクロールを開始してもよい。たとえば、ユーザが入力装置18を用いて所定の操作を行うと周辺スクロールを開始したり、所定の音声入力に応じて周辺スクロールを開始したりすることができる。さらに、手動操作による通常のスクロール操作が行われた後、自動的に、またはユーザにより所定の操作が行われたときに、周辺スクロールを開始するようにしてもよい。すなわち、ナビゲーション装置1において任意の開始条件を予め設定しておき、その開始条件が満たされたか否かを制御回路11によって判定し、満たされたと判定したときに周辺スクロールを開始することができる。この点は、前述の変形例1〜3においても同様である。
【0055】
なお、以上説明した実施の形態および各種の変形例では、ナビゲーション装置を例にして本発明の適用例を説明したが、本発明はこれに限定されない。車両に搭載される地図表示装置である限り、どのような装置においても本発明を適用可能である。あるいは、車両に搭載される地図表示装置以外において本発明を適用してもよい。たとえば、パーソナルコンピュータなどの情報処理装置で実施される電子地図にも適用することができる。
【0056】
実施形態と変形例の一つ、もしくは複数を組み合わせることも可能である。変形例同士をどのように組み合わせることも可能である。
【0057】
以上説明した実施の形態や各種の変形例はあくまで一例であり、発明の特徴が損なわれない限り、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0058】
1:ナビゲーション装置、11:制御回路、12:ROM、13:RAM、
14:現在地検出装置、15:画像メモリ、16:表示モニタ、17:スピーカ、
18:入力装置、19:タッチパネル、110:タッチパネルコントロール部、
111:ディスクドライブ、112:DVD−ROM

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載される地図表示装置であって、
地図情報を記憶する地図情報記憶手段と、
前記地図情報記憶手段により記憶された地図情報に基づいて表示用の地図を生成する地図生成手段と、
前記地図生成手段により生成された表示用の地図に基づいて地図を表示する地図表示手段と、
前記地図表示手段により表示された地図上の一の地点を特定する地点特定手段と、を備え、
前記地図表示手段は、所定の条件が成立すると、表示した地図の一部と重複し、且つ、前記地点特定手段により特定された一の地点を含む周辺地図を表示することを特徴とする地図表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の地図表示装置において、
前記地図表示手段は、前記地点特定手段により特定された一の地点を取り囲む線に沿って前記周辺地図の表示範囲を連続的に変化させることを特徴とする地図表示装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の地図表示装置において、
前記地図表示手段は、四角形の表示範囲を有し、前記地点特定手段により特定された一の地点が前記四角形の表示範囲の四隅のうちの一つから所定範囲内に位置する周辺地図を表示することを特徴とする地図表示装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の地図表示装置において、
前記地図生成手段は、前記地図表示手段による前記周辺地図の表示範囲よりも広い範囲で表示用の地図を生成し、
前記地図表示手段は、前記地図生成手段により生成された表示用の地図のうち一部の範囲を読み出して地図を表示し、その読み出し範囲を変えることにより周辺地図を表示することを特徴とする地図表示装置。
【請求項5】
請求項1に記載の地図表示装置において、
前記地図生成手段は、前記地図情報記憶手段により記憶された地図情報に基づいて表示用の鳥瞰地図を生成し、
前記地図表示手段は、前記地図生成手段により生成された表示用の鳥瞰地図に基づいて鳥瞰地図を表示し、前記条件が成立すると、表示した鳥瞰地図とは前記地点特定手段により特定された一の地点に対する視線方向が異なる鳥瞰地図を前記周辺地図として表示することを特徴とする地図表示装置。
【請求項6】
請求項5に記載の地図表示装置において、
前記地図表示手段は、前記地点特定手段により特定された一の地点から所定の高さに位置する点を前記周辺地図の視点とし、その視点からの視線方向を連続的に変化させることを特徴とする地図表示装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の地図表示装置において、
前記車両の位置を検出する位置検出手段をさらに備え、
前記地点特定手段は、前記位置検出手段により検出された前記車両の位置に基づいて、前記地図表示手段により表示された地図上の一の地点を特定することを特徴とする地図表示装置。
【請求項8】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の地図表示装置において、
前記地図表示手段により表示された地図上の一の地点を指定するユーザの操作を検出する操作検出手段をさらに備え、
前記地点特定手段は、前記操作検出手段により検出された前記ユーザの操作に基づいて、前記地図表示手段により表示された地図上の一の地点を特定することを特徴とする地図表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−191651(P2011−191651A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−59370(P2010−59370)
【出願日】平成22年3月16日(2010.3.16)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】