説明

地図表示装置

【課題】移動先地点が表示部の画面の枠外に存在している場合に、移動元地点と移動先地点との位置関係を把握できる態様で地図を表示し、しかも、車両の走行中においては、移動元地点付近の地図を認識し易い状態で表示する。
【解決手段】地図表示装置10は、地図データに基づいて表示部16の画面に表示された地図において、移動元領域抽出部20により移動元領域を抽出し、移動先領域抽出部21により移動先領域を抽出し、移動先領域位置変更部22により移動元領域を表示部16の画面に表示した状態を維持しつつ表示部16の画面上における移動先領域の位置を変更し、縮尺変更部23により移動元領域と移動先領域との間における地図の縮尺を変更する。移動検出部24によって移動元地点の移動が検出された場合には、縮尺を変更した地図のうち移動元領域およびその周辺領域における地図の縮尺を拡大する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図データに基づいて画面に地図を表示する地図表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば自動車に搭載されるカーナビゲーションシステムに備えられる地図表示装置は、道路データや背景データなどを含む地図データに基づいて表示部の画面に地図を表示する(例えば、特許文献1,2参照)。
ところで、従来の地図表示装置では、移動先地点(例えば、車両の経路案内の目的地またはその周辺地点)が表示部の画面の枠外に存在している場合には、表示部に表示されている地図をスクロールすることで、当該移動先地点を表示部の画面の枠内に表示するようにしている。ところが、表示部に表示された地図をスクロールすると、移動元地点である車両の現在位置が表示部の画面の枠外に外れてしまい、移動元地点(車両の現在位置)と移動先地点との位置関係が把握できなくなる場合がある。また、この種の地図表示装置では、特に車両の走行中においては、移動元地点である車両の現在位置付近の地図を認識し易い状態で表示したいというニーズがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−256338号公報
【特許文献2】特開2009−36881号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明の目的は、移動先地点が表示部の画面の枠外に存在している場合に、移動元地点と移動先地点との位置関係を把握できる態様で地図を表示することができ、しかも、車両の走行中においては、移動元地点付近の地図を認識し易い状態で表示することができる地図表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の地図表示装置によれば、移動元地点検出手段は、地図表示装置を搭載した車両の現在位置を移動元地点として検出する。そして、地図データに基づいて表示部の画面に表示された地図において、移動元領域抽出手段は、移動元地点検出手段によって検出された移動元地点を含む領域を移動元領域として抽出し、移動先領域抽出手段は、移動先地点を含む領域を移動先領域として抽出する。移動先領域位置変更手段は、移動元領域抽出手段によって抽出された移動元領域を表示部の画面に表示した状態を維持しつつ、移動先領域抽出手段によって抽出された移動先領域の表示部の画面上における位置を変更する。縮尺変更手段は、移動元領域抽出手段によって抽出された移動元領域と、移動先領域位置変更手段によって表示部の画面における位置が変更された移動先領域との間における地図の縮尺を変更して表示部の画面に表示する。移動検出手段は、移動元地点検出手段によって検出された移動元地点が車両の走行に伴って移動したことを検出する。そして、縮尺変更手段は、移動検出手段によって移動元地点が移動したことが検出されていない場合には、縮尺を変更した地図を表示部の画面に表示した状態を維持し、移動検出手段によって移動元地点が移動したことが検出された場合には、縮尺を変更した地図のうち移動元領域およびその周辺領域における地図の縮尺を拡大して表示部の画面に表示する。
これにより、移動先地点が表示部の画面の枠外に存在している場合には、その移動先地点が表示部の画面の枠内に表示されるように当該移動先地点を含む移動先領域の表示位置を移動させることで、移動元地点を含む移動元領域の地図を保持したまま、移動先地点を含む移動先領域の地図を同一画面上に表示することができる。従って、移動元地点と移動先地点との位置関係を把握できる態様で地図を表示することができる。
また、移動元地点である車両の現在位置が移動した場合、つまり、車両の走行中においては、縮尺を変更した地図のうち移動元地点付近(移動元領域およびその周辺領域)における地図の縮尺が拡大して表示されるので、移動元地点付近の地図を認識し易い状態で表示することができる。
【0006】
請求項2の地図表示装置によれば、縮尺変更手段は、移動検出手段によって移動元地点が移動したことが検出された場合には、当該移動元地点を表示部の画面の中央側に移動させ、当該移動元地点を含む移動元領域およびその周辺領域における地図の縮尺を拡大して表示部の画面に表示する。
これにより、車両の走行中においては、移動元地点である車両の現在位置が表示部の画面の中央側に移動した上で、移動元地点付近の地図の縮尺が拡大して表示される。従って、移動元地点付近の地図を一層認識し易い状態で表示することができる。
【0007】
請求項3の地図表示装置によれば、縮尺変更手段は、車両の走行に伴って、移動元地点と移動先地点との間の距離が移動元領域と移動先領域との間における地図の縮尺を変更しなくとも表示部の画面の枠内に収まる距離となった場合には、移動検出手段によって移動元地点が移動したことが検出されたとしても、移動元領域およびその周辺領域における地図の縮尺を拡大しない。
これにより、車両の走行に伴って移動元地点と移動先地点との間の距離が表示部の画面の枠内に収まる距離となった場合には、移動元地点付近の地図の縮尺を拡大する処理が行われなくなる。これにより、地図の縮尺が必要以上に変更されてしまうことを回避することができ、一層認識し易い状態で地図を表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施形態に係るものであり、地図表示装置の構成を示すブロック図
【図2】制御装置による制御内容を示すフローチャート
【図3】デフォルメ表示処理の内容を示すフローチャート
【図4】移動先領域の位置を変更し地図の縮尺率を変更する前の状態における表示部の画面を示す図
【図5】移動先領域の位置を変更し地図の縮尺率を変更した後の状態における表示部の画面を示す図
【図6】制御装置による表示態様の一例を示す図(その1)
【図7】制御装置による表示態様の一例を示す図(その2)
【図8】制御装置による表示態様の一例を示す図(その3)
【図9】制御装置による表示態様の一例を示す図(その4)
【図10】制御装置による表示態様の一例を示す図(その5)
【図11】制御装置による表示態様の一例を示す図(その6)
【図12】制御装置による表示態様の一例を示す図(その7)
【図13】制御装置による表示態様の一例を示す図(その8)
【図14】制御装置による表示態様の一例を示す図(その9)
【図15】移動元領域およびその周辺領域の地図の縮尺を拡大する前の状態における表示部の画面を示す図
【図16】移動元領域およびその周辺領域の地図の縮尺を拡大した後の状態における表示部の画面を示す図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、例えば自動車に搭載されるカーナビゲーションシステムに備えられた地図表示装置10の構成を概略的に示す機能ブロック図である。
地図表示装置10は、制御装置11、位置検出部12(移動元地点検出手段に相当)、地図データ入力部13、操作スイッチ部14、外部メモリ15、表示部16、音声コントローラ17、リモコンセンサ18、通信部19などを備えている。制御装置11は、図示しないCPU、ROMおよびRAMを有するマイクロコンピュータを主体として構成されている。地図表示装置10は、制御装置11のCPUにおいて制御プログラムを実行することにより、移動元領域抽出部20、移動先領域抽出部21、移動先領域位置変更部22、縮尺変更部23、移動検出部24をソフトウェアによって仮想的に実現する。
位置検出部12は、方位センサ31、ジャイロセンサ32(ジャイロスコープ)、距離センサ33、GPS受信器34および車速センサ38などを有している。方位センサ31は、車両の方位を検出する。ジャイロセンサ32は、車両の回転角度を検出する。距離センサ33は、車両の走行距離を検出する。GPS受信器34は、GPS(Global Positioning System)により車両の現在位置を測位するために、図示しないGPS衛星から送信される電波を受信する。車速センサ38は、車両の速度を検出する。この位置検出部12は、地図表示装置10を搭載した車両の現在位置を移動元地点として検出する。
【0010】
地図データ入力部13は、地図データ記憶部35から地図データを取得する。地図データ記憶部35に記憶されている地図データは、複数のノードおよびノード同士をつなぐリンクにより形成された道路データ、背景データ、目印データ、マップマッチング用データ、目的地データ、交通情報を道路データに変換するためのテーブルデータなどの各種のデータを含んでいる。また、この地図データに含まれる道路データは、道路の種類(例えば、国道、高速道路、一般道路、細街路など)ごとに区別して記憶されている。この地図データには、地名、施設名、各地点や施設の所在地などの情報が含まれている。地図データ記憶部35に記憶されている地図データは、図示しないドライブ装置によって地図データ入力部13に読み取られる。地図データ記憶部35としては、例えばDVDやCDなどの大容量記憶媒体、メモリカードあるいはハードディスクドライブなどの記憶媒体が用いられる。
操作スイッチ部14は、表示部16の画面の近傍に設けられているメカニカルスイッチ、および、表示部16の画面に設けられているタッチパネルスイッチ(この場合、静電容量式のタッチパネルスイッチ)など各種のスイッチ群から構成されている。ユーザは、操作スイッチ部14の各スイッチを用いて、車両の経路案内の目的地、表示部16の画面や表示態様の切り替え(例えば、地図縮尺の変更、メニュー画面の選択、経路の探索、経路案内の開始、現在位置の修正、音量の調整など)を行う各種コマンドの入力を行う。これにより、地図表示装置10は、ユーザの指示に従って作動する。
【0011】
リモコンセンサ18は、リモコン36との間でコマンドなどの送受信を行う。リモコン36には、揺動操作および押し込み操作が可能な例えばレバー式の操作子(図示せず)や、複数の操作スイッチ(図示せず)が設けられている。リモコン36は、ユーザによる操作子や操作スイッチの操作に応じて、リモコンセンサ18を介して各種の指令信号を制御装置11に送信する。操作スイッチ部14およびリモコン36は、何れの操作によっても制御装置11へ同一の機能を実行させることができる。
外部メモリ15は、例えば着脱可能なフラッシュメモリカードやハードディスクドライブによって構成されている。なお、外部メモリ15は、例えば地図表示装置10の制御装置11に設けられているRAMやEEPROM、あるいは地図データ記憶部35などと共用してもよい。
【0012】
表示部16は、例えば液晶や有機ELなどのカラーディスプレイを有している。制御装置11は、地図データ入力部13から入力された地図データに基づいて、表示部16の画面に地図を表示する。制御装置11は、目的地までの経路案内を実行する場合には、表示部16の画面に経路案内用の画面(例えば図4参照)を表示する。この場合、制御装置11は、車両が案内経路に沿って走行可能とするために、車両の現在位置および進行方向を示す現在位置マーク(例えば図4に符号Nで示す)を道路に重ねて表示する。車両の現在位置の表示は、当該車両の走行に伴って表示部16の画面に表示された地図上を移動する。表示部16に表示された地図は、車両の現在位置に応じてスクロールされる。このとき、制御装置11は、車両の現在位置を道路上にあわせるマップマッチングを実施する。
音声コントローラ17は、車載スピーカ37に接続している。音声コントローラ17は、制御装置11からの音声出力信号に基づいて、音声出力信号を車載スピーカ37へ出力する。車載スピーカ37から出力される音声は、経路案内に関する音声、操作説明に関する音声、盗難防止機能の動作中であることを報知する音声、音声認識結果に応じたトークバック音声などである。通信部19は、有線または無線の通信回線(図示せず)を経由して例えば情報センター(図示せず)との間で各種情報の通信を行う。
【0013】
移動元領域抽出部20は、表示部16の画面に表示された地図(その周辺の領域を含む)において、移動検出部24によって検出された移動元地点(車両の現在位置)を含む領域を移動元領域として抽出する。移動先領域抽出部21は、表示部16の画面に表示された地図(その周辺の領域を含む)において、表示部16の画面の枠外に存在する移動先地点を含む領域を移動先領域として抽出する。移動先領域位置変更部22は、移動元領域抽出部20によって抽出された移動元領域を表示部16の画面に表示した状態を維持しつつ、移動先領域抽出部21によって抽出された移動先領域の表示部16の画面上における位置を変更する。縮尺変更部23は、移動元領域抽出部20によって抽出された移動元領域と、移動先領域位置変更部22によって表示部16の画面における位置が変更された移動先領域との間における地図の縮尺を変更して表示部16の画面に表示する。移動検出部24は、位置検出部12によって検出された移動元地点が地図表示装置10を搭載した車両の走行に伴って移動したこと、および、停止したことを検出する。地図表示装置10の制御装置11は、これら移動元領域抽出部20、移動先領域抽出部21、移動先領域位置変更部22、縮尺変更部23、移動検出部24によって、後述する制御を実行可能に構成されている。
【0014】
上記構成の地図表示装置10は、表示部16の画面に地図を表示するモードとして、この場合、通常モードとデフォルメモード(伸縮モード)とを選択的に実行可能に構成されている。通常モードは、縮尺を変更することなく地図を表示し、移動先地点G(例えば、図4に示す車両の経路案内の目的地Gまたはその周辺地点)が表示部16の画面の枠外に存在している場合には地図全体をスクロールすることで移動先地点Gを表示部16の画面の枠内に表示する従来の表示モードである。一方、デフォルメモードは、移動先地点Gが表示部16の画面の枠外に存在している場合に、移動元地点である車両の現在位置Nと移動先地点Gとの位置関係を同一画面で把握でき、しかも、車両の走行中においては、移動元地点N付近の地図を認識し易い状態で表示する表示モードである。次に、このような表示モードによって地図を表示する場合の制御内容ついて説明する。図2および図3は、地図表示装置10の制御装置11が実行する制御内容を示すフローチャートである。なお、この場合、操作スイッチ部14には切替スイッチ(図示せず)が設けられており、ユーザによる当該切替スイッチの操作に応じて表示モードの設定(選択)が行われるようになっている。
制御装置11は、図4に示すように、例えば目的地Gまでの経路案内時に表示部16の画面に経路案内用の地図を表示すると(ステップA1)、表示モードとしてデフォルメモードが設定されているか否かを判断する(ステップA2)。制御装置11は、デフォルメモードが設定されている場合には、デフォルメ表示処理を実行する(ステップA3)。
【0015】
図3は、デフォルメ表示処理の内容を示すフローチャートである。このデフォルメ表示処理では、制御装置11は、表示部16の画面に設けられているタッチパネルスイッチから接触信号(ユーザが表示部16の画面に触れたことを示す信号)が入力されたか否か、即ち、ユーザが表示部16の画面に指を接触させたか否かを判断する(ステップB1)。そして、制御装置11は、タッチパネルスイッチから接触信号が入力されたことを検知すると(ステップB1:YES)、表示部16の画面に表示された地図において、車両の現在位置Nを含む領域を移動元領域Asとして抽出するとともに(ステップB2)、表示部16の画面に表示された地図において、ユーザが指を接触させた地点Tを含む領域を移動先領域Agとして抽出する(ステップB3)。制御装置11が抽出した移動先領域Agのうち表示部16の画面の枠外に対応する部分には、図4に示すように目的地Gが含まれる。
なお、制御装置11が抽出する移動元領域Asおよび移動先領域Agの大きさや形状は、適宜変更可能であり、制御プログラムに予め設定しておいてもよいし、ユーザが操作スイッチ部14やリモコン36などを介して設定するようにしてもよい。
【0016】
次に、制御装置11は、表示部16の画面に設けられているタッチパネルスイッチから移動信号(ユーザが上記ステップB1において表示部16の画面に接触させた指をそのまま画面上を移動させたことを示す信号)が入力されたか否か、即ち、ユーザが画面に接触させた指をそのまま画面上を移動させたか否かを判断する(ステップB4)。
制御装置11は、タッチパネルスイッチから移動信号が入力されたことを検知すると(ステップB4:YES)、移動元領域Asを表示部16の画面に表示した状態を維持しつつ、入力された移動信号に基づいて、表示部16の画面上における移動先領域Agの表示位置を変更する(ステップB5)。
ここで、図4に示すように、移動先地点である目的地Gが表示部16の画面の枠外に存在している場合には、ユーザは、目的地Gあるいは当該目的地Gの周辺地点を確認するために、表示部16の画面(例えば図4に示す地点T)に接触させた指を当該画面の中央側に引き寄せるように移動させる。従って、制御装置11は、このようなユーザによる指の移動に応じて、移動先領域Agを表示部16の画面の中央側に引き込むように移動させ、図5に示すように、目的地Gおよび当該目的地Gの周辺地点を表示部16の画面の枠内に表示する。
【0017】
次に、制御装置11は、移動元領域Asと、表示部16の画面上における位置が変更された移動先領域Agとの間における地図の縮尺を変更して表示部16の画面に表示する(ステップB6)。そして、制御装置11は、移動元領域Asと移動先領域Agとの間の縮尺を変更した地図を表示部16の画面に表示した状態を、所定の条件に応じて保持し(ステップB7)、このデフォルメ表示処理を終了する。上記のステップB7における所定の条件としては、様々な条件を設定することができる。例えば、タッチパネルスイッチからの操作信号の入力が検知されなくなったこと、即ち、ユーザがタッチパネルスイッチから指を離したことを、所定の条件として設定することができる。また、タッチパネルスイッチから異なる操作信号が入力されたこと、即ち、ユーザが移動先領域Agを画面の中央側に引き寄せるために接触させた指とは異なる指をタッチパネルスイッチに接触させたことを、所定の条件として設定してもよい。
【0018】
上記のステップB6における表示態様としては様々な態様を採用することができる。以下、この表示態様の例を図6から図14を参照しながら説明する。なお、図6から図13に示す数値は地図の縮尺率(地図の歪み量)を示す。また、各図に示す縮尺率は一例に過ぎず、適宜変更可能である。
図6に示す表示態様では、制御装置11は、移動元領域Asと移動先領域Agとの間における地図を複数の区画に区分し、各区画の縮尺を、移動先領域Agから移動元領域Asに向けて段階的に小さく設定する。また、図7に示す表示態様では、制御装置11は、移動元領域Asと移動先領域Agとの間における地図の縮尺を、移動先領域Agから移動元領域Asに向けて連続的(リニア)に小さく設定する。これらの表示態様によれば、移動元領域Asおよびその周辺領域における地図が縮尺の小さい広域図として表示され、移動先領域Agおよびその周辺領域における地図が縮尺の大きい詳細図として表示されるので、特に目的地Gおよび当該目的地Gの周辺を示す移動先領域Ag内の地図を詳細に表示することができる。
【0019】
図8に示す表示態様では、制御装置11は、移動元領域Asと移動先領域Agとの間における地図を複数の区画に区分し、各区画の縮尺を、移動先領域Agから移動元領域Asに向けて段階的に大きく設定する。また、図9に示す表示態様では、制御装置11は、移動元領域Asと移動先領域Agとの間における地図の縮尺を、移動先領域Agから移動元領域Asに向けて連続的(リニア)に大きく設定する。これらの表示態様によれば、移動元領域Asおよびその周辺領域における地図が縮尺の大きい詳細図として表示され、移動先領域Agおよびその周辺領域における地図が縮尺の小さい広域図として表示されるので、特に車両の現在位置Nおよび当該現在位置Nの周辺を示す移動元領域As内の地図を詳細に表示することができる。
【0020】
図10に示す表示態様では、制御装置11は、移動元領域Asと移動先領域Agとの間における地図を複数の区画に区分し、各区画の縮尺を、移動先領域Agから画面の所定部分(この場合、中央部)にかけては段階的に小さく設定し、画面の所定部分(中央部)から移動元領域Asにかけては段階的に大きく設定する。また、図11に示す表示態様では、制御装置11は、移動元領域Asと移動先領域Agとの間における地図の縮尺を、移動先領域Agから画面の所定部分(この場合、中央部)にかけては連続的(リニア)に小さく設定し、画面の所定部分(中央部)から移動元領域Asにかけては連続的(リニア)に大きく設定する。これらの表示態様によれば、移動元領域Asおよびその周辺領域、並びに、移動先領域Agおよびその周辺領域における地図が縮尺の大きい詳細図として表示されるので、移動先領域Ag内の地図および移動元領域As内の地図の双方を詳細に表示することができる。
【0021】
図12に示す表示態様では、制御装置11は、移動元領域Asと移動先領域Agとの間における地図を複数の区画に区分し、各区画の縮尺を、移動先領域Agから画面の所定部分(この場合、中央部)にかけては段階的に大きく設定し、画面の所定部分(中央部)から移動元領域Asにかけては段階的に小さく設定する。また、図13に示す表示態様では、制御装置11は、移動元領域Asと移動先領域Agとの間における地図の縮尺を、移動先領域Agから画面の所定部分(この場合、中央部)にかけては連続的(リニア)に大きく設定し、画面の所定部分(中央部)から移動元領域Asにかけては連続的(リニア)に小さく設定する。これらの表示態様によれば、移動元領域Asと移動先領域Agとの間における地図を縮尺の大きい詳細図により詳細に表示することができ、例えば車両の現在位置Nから目的地Gまでの案内経路あるいは当該案内経路の周辺の情報を詳細に得ることができる。
【0022】
図14に示す表示態様では、制御装置11は、表示部16の画面に表示した移動元領域Asと移動先領域Agとの間の縮尺を変更した地図上に、複数のグリッド線gを重ねて表示する。制御装置11は、これらグリッド線gの間隔を、変更した地図の縮尺率に応じて設定する。このような表示態様によれば、表示部16の画面に表示された地図の各部分の縮尺率(各部分の歪み量)を容易に把握することができる。
【0023】
制御装置11は、上述のデフォルメ表示処理を終了すると、地図表示装置10が搭載された車両の走行に伴って移動元地点Nが移動したことが検出されたか否かを判断する(ステップA4)。制御装置11は、移動元地点Nの移動が検出されない場合、つまり、地図表示装置10を搭載した車両が停止している場合には(ステップA4:NO)、上述のデフォルメ表示処理により表示部16の画面に地図を表示した状態を維持する。一方、制御装置11は、移動元地点Nの移動が検出された場合、つまり、地図表示装置10を搭載した車両が移動した場合には(ステップA4:YES)、移動先地点Gの表示部16の画面における表示位置を記憶する(ステップA5)。そして、制御装置11は、移動元領域拡大処理を実行する(ステップA6)。
【0024】
この移動元領域拡大処理は、デフォルメ表示処理により移動元領域Asおよびその周辺領域における地図の縮尺が縮小されている場合(当該領域が広域図の縮尺で表示されている場合)に、当該領域における地図の縮尺を拡大する処理である。この移動元領域拡大処理では、制御装置11は、移動元地点Nを表示部16の画面の中央側に移動させる。この場合、制御装置11は、図15に示すように、表示部16の画面を複数の区画(この場合、4つの区画A〜D)に分割する。そして、制御装置11は、こられ複数の区画A〜Dのうち移動元地点Nを含む区画D(図15では右下の区画)において、その移動元地点Nを区画Dの中央部に移動させる。これにより、図16に示すように、移動元地点Nの表示位置が表示部16の画面全体において当該画面の中央側に移動する。なお、この移動元地点Nの移動に伴い当該移動元地点Nを含む移動元領域Asも表示部16の画面の中央側に移動する。また、移動元地点Nが表示部16の画面の中央側に移動することによって、当該移動元地点Nの移動前には表示部16の画面に表示されていなかった地点や領域(例えば、図16に示す河川、ガソリンスタンド、郵便局など)が表示されるようになる。
そして、制御装置11は、移動後の移動元地点Nを含む移動元領域Asおよびその周辺領域の地図の縮尺を拡大して、この移動元領域拡大処理を終了する。なお、この移動元領域拡大処理における地図の拡大量は、適宜変更可能であり、制御プログラムに予め設定しておいてもよいし、ユーザが操作スイッチ部14やリモコン36などを介して設定するようにしてもよい。
【0025】
移動元領域拡大処理を終了すると、制御装置11は、縮尺を拡大した移動元領域Asおよびその周辺領域と、上述のステップA5において記憶した移動先地点Gとの間における地図の縮尺を再度変更して表示部16の画面に表示する(ステップA7)。即ち、制御装置11は、移動元領域Asおよびその周辺領域における地図の縮尺を拡大したことに応じて、当該移動元領域Asおよびその周辺領域と移動先地点Gとの間(移動元領域Asおよびその周辺領域と移動先地点G以外の領域)における地図の縮尺を変更し直すようになっている。
【0026】
次に、制御装置11は、車両の走行に伴い、移動元地点Nと移動先地点Gとの間の距離が上述のデフォルメ表示処理(移動元領域Asと移動先領域Agとの間における地図の縮尺を変更する処理)を実行しなくとも表示部16の画面の枠内に収まる距離となったか否かを判断する(ステップA8)。制御装置11は、移動元地点Nと移動先地点Gとの間の距離がデフォルメ表示処理を実行しなくとも表示部16の画面の枠内に収まる距離となっていない場合には(ステップA8:NO)、移動元地点Nが停止したことが検出されたか否かを判断する(ステップA9)。制御装置11は、移動元地点Nの停止が検出されない場合、つまり、車両が移動している場合には(ステップA9:NO)、上述のステップA5〜A8の処理を繰り返す。一方、制御装置11は、移動元地点Nの停止が検出された場合、つまり、車両が停止した場合には(ステップA9:YES)、その時点における移動元地点Nと、その時点において記憶している移動先地点G(直近のステップA5において記憶した移動先地点G)との間における地図の縮尺を変更して表示部16の画面に表示する(ステップA10)。つまり、制御装置11は、その時点における移動元地点Nと移動先地点Gとに基づいて地図の縮尺を変更して表示(デフォルメ表示)する。そして、制御装置11は、ステップA4に移行する。
【0027】
なお、制御装置11は、表示モードとしてデフォルメモードが設定されていない場合には(ステップA2:NO)、この処理を終了し、通常モードにより表示部16の画面に地図を表示する。また、制御装置11は、車両の走行に伴い、移動元地点Nと移動先地点Gとの間の距離がデフォルメ表示処理を実行しなくとも表示部16の画面の枠内に収まる距離となった場合には(ステップA8:YES)、この処理を終了し、通常モードにより表示部16の画面に地図を表示する。即ち、制御装置11は、車両の走行に伴い、移動元地点Nと移動先地点Gとの間の距離がデフォルメ表示処理を実行しなくとも表示部16の画面の枠内に収まる距離となった場合には、移動検出部24によって移動元地点Nが移動したことが検出されたとしても、移動元領域Asおよびその周辺領域における地図の縮尺を拡大しない。また、特にステップとしては示さないが、制御装置11は、上述の処理の実行中において表示モードがデフォルメモードから通常モードに切り替えられた場合も、この処理を終了し、通常モードにより表示部16の画面に地図を表示する。
【0028】
以上に説明したように本実施形態によれば、移動先地点である目的地Gが表示部16の画面の枠外に存在している場合には、その目的地Gあるいは当該目的地Gの周辺が表示部16の画面の枠内に表示されるように当該目的地Gを含む移動先領域Agの表示位置を移動させることで、移動元地点である車両の現在位置Nを含む移動元領域Asの地図を保持したまま、移動先地点である目的地Gを含む移動先領域Agの地図を同一画面上に表示することができる。従って、車両の現在位置N(移動元地点)と目的地G(移動先地点)との位置関係を把握できる態様で地図を表示することができる。
また、移動元地点である車両の現在位置Nが移動した場合、つまり、車両の走行中においては、デフォルメ表示処理により縮尺を変更した地図のうち移動元地点N付近(移動元領域Asおよびその周辺領域)における地図の縮尺が拡大して表示されるので、移動元地点N付近の地図を認識し易い状態で表示することができる。
【0029】
また、車両の走行中においては、移動元地点である車両の現在位置Nが表示部16の画面の中央側に移動した上で、移動元地点N付近の地図の縮尺が拡大して表示される。従って、移動元地点N付近の地図を一層認識し易い状態で表示することができる。
また、車両の走行に伴って、移動元地点Nと移動先地点Gとの間の距離がデフォルメ表示処理を実行しなくとも表示部16の画面の枠内に収まる距離となった場合には、移動元領域Asおよびその周辺領域における地図の縮尺を拡大する処理が行われなくなる。これにより、地図の縮尺が必要以上に変更されてしまうことを回避することができ、一層認識し易い状態で地図を表示することができる。
【0030】
(その他の実施形態)
本発明は、上述した一実施形態にのみ限定されるものではなく、例えば次のように変形または拡張することができる。
制御装置11は、移動先地点Gが表示部16の画面の枠外に存在している場合には、移動元地点Nを含む移動元領域Asを表示部16の画面に表示した状態を維持しつつ、当該移動先地点Gが表示部16の画面の枠内に表示されるように移動先領域Agの表示部16の画面上における表示位置を自動的に変更するように構成してもよい。
制御装置11は、移動元領域Asと移動先領域Agとの間の縮尺を変更した地図を表示部16の画面に表示した状態を所定の条件に応じて保持するのではなく、例えばタッチパネルスイッチからの操作信号の入力が検知されなくなったことを条件として、元の表示態様に戻すセルフセンタリング機能を有するように構成してもよい。
【0031】
制御装置11は、タッチパネルスイッチから入力される信号に基づいて、ユーザが画面上で移動させる指の移動量や移動速度を特定し、特定した移動量および移動速度に応じて地図の縮尺を変更するようにしてもよい。この場合、制御装置11は、例えば、ユーザの指の移動量および移動速度が大きいほど、移動元領域Asと移動先領域Agとの間における地図の縮尺を小さく設定し、ユーザの指の移動量および移動速度が小さいほど、移動元領域Asと移動先領域Agとの間における地図の縮尺を大きく設定することができる。
移動先領域Agは、表示部16に表示された画面の中央部方向への移動(引き込み)のほか、表示部16に表示された画面上の縦方向、横方向、斜め方向を含む全方向への移動(引き込み)が可能である。
タッチパネルスイッチは、例えば抵抗膜を備えた感圧式のタッチパネルスイッチで構成してもよい。この場合、ユーザによるタッチパネルスイッチの操作圧力(押圧力)に応じて地図の縮尺を変更することが可能である。
【0032】
リモコン36の操作子の操作量や押し込み量に応じて地図の縮尺を変更するようにしてもよい。この場合、例えば、操作子の操作量や押し込み量が大きいほど地図の縮尺を小さく設定したり、操作子の操作量や押し込み量が小さいほど地図の縮尺を大きく設定することが可能である。
また、通常では従来の表示態様で地図を表示し、タッチパネルスイッチが所定の操作内容で操作された場合や、リモコン36の操作子が所定の操作内容で操作された場合に、自動的に上述の一実施形態に係る表示態様に切り替える構成としてもよい。なお、表示態様を切り替える条件となる所定の操作内容としては、例えば、ユーザが静電容量式のタッチパネルスイッチに所定時間以上接触した場合、ユーザが感圧式のタッチパネルスイッチに所定の押圧力で接触した場合、ユーザがリモコン36の操作子を所定の押圧力で押し込み操作した場合などを設定することができる。
本発明は、上述したカーナビゲーションシステムに備えられる地図表示装置10のみならず、例えば携帯電話、携帯端末、デスクトップ端末など、地図データに基づいて画面に地図を表示する地図表示装置全般に適用可能である。
【符号の説明】
【0033】
図面中、10は地図表示装置、12は位置検出部(移動元地点検出手段)、16は表示部、20は移動元領域抽出部(移動元領域抽出手段)、21は移動先領域抽出部(移動先領域抽出手段)、22は移動先領域位置変更部(移動先領域位置変更手段)、23は縮尺変更部(縮尺変更手段)、24は移動検出部(移動検出手段)を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図データに基づいて画面に地図を表示する表示部と、
車両の現在位置を移動元地点として検出する移動元地点検出手段と、
前記表示部の前記画面に表示された前記地図において、前記移動元地点検出手段によって検出された前記移動元地点を含む領域を移動元領域として抽出する移動元領域抽出手段と、
前記表示部の前記画面に表示された前記地図において、移動先地点を含む領域を移動先領域として抽出する移動先領域抽出手段と、
前記移動元領域抽出手段によって抽出された前記移動元領域を前記表示部の前記画面に表示した状態を維持しつつ、前記移動先領域抽出手段によって抽出された前記移動先領域の前記表示部の前記画面上における位置を変更する移動先領域位置変更手段と、
前記移動元領域抽出手段によって抽出された前記移動元領域と、前記移動先領域位置変更手段によって前記表示部の前記画面における位置が変更された前記移動先領域との間における前記地図の縮尺を変更して前記表示部の前記画面に表示する縮尺変更手段と、
前記移動元地点検出手段によって検出された前記移動元地点が前記車両の走行に伴って移動したことを検出する移動検出手段と、
を備え、
前記縮尺変更手段は、前記移動検出手段によって前記移動元地点が移動したことが検出されていない場合には、縮尺を変更した前記地図を前記表示部の画面に表示した状態を維持し、
前記移動検出手段によって前記移動元地点が移動したことが検出された場合には、縮尺を変更した前記地図のうち前記移動元領域およびその周辺領域における前記地図の縮尺を拡大して前記表示部の前記画面に表示することを特徴とする地図表示装置。
【請求項2】
前記縮尺変更手段は、前記移動検出手段によって前記移動元地点が移動したことが検出された場合には、当該移動元地点を前記表示部の前記画面の中央側に移動させ、当該移動元地点を含む前記移動元領域およびその周辺領域における前記地図の縮尺を拡大して前記表示部の前記画面に表示することを特徴とする請求項1記載の地図表示装置。
【請求項3】
前記縮尺変更手段は、前記車両の走行に伴って前記移動元地点と前記移動先地点との間の距離が前記移動元領域と前記移動先領域との間における前記地図の縮尺を変更しなくとも前記表示部の前記画面の枠内に収まる距離となった場合には、前記移動検出手段によって前記移動元地点が移動したことが検出されたとしても、前記移動元領域およびその周辺領域における前記地図の縮尺を拡大しないことを特徴とする請求項1または2に記載の地図表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−37757(P2012−37757A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−178552(P2010−178552)
【出願日】平成22年8月9日(2010.8.9)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】