説明

地図表示装置

【課題】地図表示装置に表示されている地上の地図に対応する地下街の地図があり、かつそれをユーザーに知らせることが有意義であるときにその旨を報知する。
【解決手段】地図表示部12に地上の地図が表示されているとき、入力部11から地図の変更(拡大、縮小、移動、回転)指示が入力されると、地図表示変更手段14aは、地図表示部12に表示されている地上の地図を変更する。変更された地上の地図の表示領域に存在する地下街の地図データが地図データ記憶部13に記録されており、かつ地上の地図の縮尺が所定値以上のとき、地下街地図報知手段14bは、地下街があることを示すアイコンを地図表示部12に表示させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地下街の地図の表示機能を備えた地図表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、カーナビゲーション装置、パーソナルコンピュータ、携帯端末装置等を用いた地図表示システムの利用が広まっている。このような地図表示システムでは、地図の表示や経路探索の機能にとどまらず、地図に店舗等の地物の情報を関連付けることにより、店舗の電話番号等を利用した存在位置の検索機能や、検索した店舗までの経路の表示を自動的に行う機能等が備えられつつある。
【0003】
また、このような地図表示システムとして、地下街の地図の表示機能を備えたシステムがある。例えば特許文献1には、入力部からのボタン操作などにより、地上の地図と地下街の地図とを切り替えて表示することが可能な地図表示装置が記載されている。
【0004】
しかし、特許文献1に記載された地図表示装置では、地上の地図から地下街の地図への切り替えの前提として、地上の地図に対応する地下街の地図が有ることをユーザーが知っていることが必要である。即ち、ある地点の現実空間に地下街が有ることに加えて、その地点の地下街の地図情報を地図表示装置が備えていることも知っている必要がある。
【0005】
そこで、表示中の地上の地図に対応する地下街の地図の存在をユーザーに報知することが考えられる。しかし、表示中の地上の地図に対応する地下街の存在を地上の地図の内容と無関係にユーザーに報知すると、ユーザーが地下街の地図を見たいと思っていない時にも地下街の地図の存在をユーザーに報知することになり、ユーザーにとって無意味な報知となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−126054号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、その目的は、地図表示装置に表示されている地上の地図に対応する地下街の地図があり、かつそれをユーザーに知らせることが有意義であるときにその旨を報知できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の地図表示装置は、地図表示部に表示されている地上の地図に対応する地下街の地図が存在するとき、所定の操作に応じて、前記地図表示部に地下街の地図を表示させる地下街地図表示手段と、前記地図表示部に表示されている地図の移動、回転、拡大、及び縮小が可能な地図変更手段と、前記地図変更手段により変更された地上の地図に対応する地下街の地図が存在し、かつ当該地上の地図の縮尺が所定の値以上であるとき、地下街の地図がある旨の報知を行う地下街地図報知手段とを有する地図表示装置である。
【0009】
[作用]
本発明によれば、地図表示部に表示する地図を変更したとき、表示されている地上の地図に対応する地下街の地図が存在し、かつ当該地上の地図の縮尺が所定の値以上であるとき、地下街の地図がある旨の報知を行う。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、地図表示装置に表示される地上の地図を変更したとき、変更された地図の地図に対応する地下街の地図があり、かつそれをユーザーに知らせることが有意義であるときにその旨を報知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の地図表示装置を適用するナビゲーションシステムの構成を示す図である。
【図2】本発明の実施形態の地図表示装置の機能ブロック図である。
【図3】本発明の実施形態の地図表示装置の動作を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施形態の地図表示装置により表示される地上の地図を示す図である。
【図5】本発明の実施形態の地図表示装置の地下街地図表示処理を示すフローチャートである。
【図6】本発明の実施形態の地図表示装置により表示される地下街の地図を示す図である。
【図7】本発明の実施形態の地図表示装置の2画面表示モードで表示される地図を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
〈システム構成〉
図1に本発明の地図表示装置を適用するナビゲーションシステムの構成を示す。
【0013】
このナビゲーションシステム1は、このシステム全体の制御、及び経路の探索等の各種処理を行う制御装置2と、電子地図データを記録したHDD(Hard Disk Drive:ハードディスク装置)3と、地図や経路の表示を行うディスプレイ4を備えている。
【0014】
また、このナビゲーションシステム1は、ディスプレイ4による可視表示に加えて音声による経路などの案内を行うためのスピーカ5、車両の現在位置情報をGPS(Global Positioning System)衛星から取得するためのGPSアンテナ6、車両の速度を検出するための車速センサ7、制御装置2の遠隔操作を行うためのリモートコントローラ8等を備えている。
【0015】
制御装置2は、CPU(Central Processing Unit)2a、ROM(Read Only Memory)2b、RAM(Random Access Memory)2c、周辺装置制御部2dを備えており、CPU2aは、ROM2bに格納されたプログラムにより経路探索などの各種処理を行う。また、CPU2aは、周辺装置制御部2dを介し、上述の各周辺装置の制御を行う。RAM2bは、CPU2aが行う各種処理のワークエリアとして用いられる。
【0016】
〈地図表示装置の機能ブロック図〉
図2に本発明の実施形態の地図表示装置の機能ブロック図を示す。この地図表示装置10は、入力部11、地図表示部12、地図データ記憶部13、及び制御部14を備えている。
【0017】
入力部11は、ユーザーがこの地図表示装置10に対して、各種指示を入力するための部分であり、図1のリモートコントローラ8に対応する。地図表示部12は、地図を表示する部分であり、図1のディスプレイ4に対応する。
【0018】
地図データ記憶部13は、地上地図データ、地下街地図データ、地物データなどを記録した部分であり、図1のHDD3に対応する。地上地図データは、地図表示部12に地上の地図(以下、地上地図)を表示するための縮尺毎のデータである。地下街地図データは、地図表示部12に地下街の地図(以下、地下街地図)を表示するための縮尺毎のデータである。地物データは、地図表示部12に表示される地図上に配置される地物の位置(緯度、経度)、名称、及びアイコンなどを示すデータである。
【0019】
制御部14は、地図表示変更手段14a、地下街地図報知手段14b、地下街地図表示手段14cを備えており、制御装置2に対応する。地図表示変更手段14aは、入力部11からの地図変更(拡大、縮小、回転、移動)操作に応じて、地図表示部12に表示させる地上地図を描画する手段である。地下街地図報知手段14bは、地図表示変更手段14aにより地図表示部12に表示されている地上地図に対応する地下街地図データがあり、かつその地上地図の縮尺が所定値以上である場合に、地下街地図があることを報知する手段である。地下街地図表示手段14cは、地図表示部12に地下街地図を表示させる手段である。
【0020】
〈地図表示装置の動作〉
図3は、地図表示装置10の動作を示すフローチャートである。この図のフローは、地図表示部12に地上地図が表示されている状態で、ユーザーが入力部11から地図の変更指示を入力したときに開始される。
【0021】
まず地図変更表示手段14aが、入力部12から入力された変更指示に応じて、地図データ記憶部13の地上地図データを読み出し、地上地図を描画して、地図表示部12に表示させる(ステップS1)。
【0022】
次に、制御部14は、地図表示部12に表示されている地上地図の表示領域に地下街があるか否かを判断する(ステップS2)。即ち、例えば地上地図におけるポインタの位置、即ち地上地図の中心の位置(緯度、経度)が地下街地図における地下街を含む矩形(図6を用いて後述する)内に存在するか否かを、地図データ記憶部13に記録されている地上地図データと地下街地図データを参照することで判断する。
【0023】
この判断の結果、地下街がない場合は(ステップS2:No)、この図のフローを終える。一方、地下街がある場合は(ステップS2:Yes)、地図表示部12に表示されている地上地図の縮尺が予め定められた縮尺(例.1/3500)以上か否かを判断する(ステップS3)。この判断の結果、縮尺が予め定められた縮尺以上の場合は(ステップS3:Yes)、地下街地図報知手段14aが、地図表示部12に表示されている地上地図の画面上に地下街地図があることを示すアイコンを表示させる(ステップS4)。
【0024】
図4Aは、ステップS1の実行により地図表示部12に表示される地上地図であり、図4BはステップS4の実行により地図表示部12に表示される地上地図である。これらの図に示すように、表示画面100の中心にはポインタ101が表示されている。また、図4Bでは、地下街地図があることを示すアイコン102が画面の右下端付近に表示されている。
【0025】
図3の説明に戻る。地下街地図があることを示すアイコン102が選択されたか否かを判断し(ステップS6)、選択された場合は(ステップS6:Yes)、地下街地図表示処理を行う(ステップS8)。地下街地図表示処理の詳細については後述する。アイコン102が選択されなかった場合は(ステップS6:No)、この図のフローを終える。
【0026】
ステップS3で、制御部14は、予め定められた縮尺以上ではないと判断した場合は(ステップS3:No)、航空図や地形図があることを示すアイコンを地図表示部12に表示させる(ステップS5)。次いで、航空図や地形図があることを示すアイコンが選択されたか否かを判断し(ステップS7)、選択された場合は(ステップS7:Yes)、航空図や地形図の表示処理を行う(ステップS9)。航空図や地形図があることを示すアイコンが選択されなかった場合は(ステップS7:No)、この図のフローを終える。
【0027】
〈地下街地図表示処理〉
図5は、図3の地下街地図表示処理(ステップS8)の詳細な内容を示すフローチャートである。
【0028】
まず、地図表示装置10の地下街地図表示モードが2画面表示モードに設定されているか否かを判断する(ステップS11)。ここで、2画面表示モードとは、地図表示部12に地上地図及び地下街地図を同時に表示するモードである。ユーザーが入力部11から2画面表示モードの設定を行うと、制御部14はその設定情報を保持しており、制御部14は2画面表示モードの設定情報の有無に基づいて、ステップS11の判断を行うことができる。
【0029】
2画面表示モードに設定されていない場合は(ステップS11:No)、地下街地図表示手段14cは、地図表示部12に表示中の地上地図(図4B)に代えて地下街地図を表示させる(ステップS12)。
【0030】
図6に地下街地図の概略を示す。表示画面200内に地下街地図201が表示されている。なお、この地下街地図201において、白抜きの部分は通路であり、格子状の部分は店舗などが存在する部分である。表示画面200の中心、右下端付近には、それぞれポインタ202、地上地図への切り替えのためのアイコン203が表示されている。アイコン203を選択すると、地図表示部12には図4Bに示す地上地図が表示される。なお、点線の矩形204は表示画面200には表示されないが、図3のステップS2の判断に用いた地下街地図における地下街を含む矩形である。
【0031】
ここで、図4Bの表示画面100に表示されている地上地図の縮尺及び方向と、図6に表示されている地下街地図の縮尺及び方向とは同じであり、それらの中心位置も同じである。換言すれば、それらの表示領域の緯度、経度が同じである。
【0032】
図5の説明に戻る。2画面表示モードに設定されている場合は(ステップS11:Yes)、地下街地図表示手段14cは、図7Aに示すような、地上地図の一部の上に地下街地図のサムネイルを重ねた地図を地図表図部12に表示させる(ステップS13)。図7Aでは、表示画面300には、地上地図301が表示されるとともに、その左上端部に地下街地図のサムネイル302が表示されている。
【0033】
図7Aに示す表示状態において、入力部11から切り替え指示が入力されると(ステップS14:Yes)、図7Bに示すような、図7Aの地上地図301と地下街地図のサムネイル302とを交換した地図を地図表図部12に表示させる(ステップS15)。図7Bでは、表示画面400には、地下街地図401が表示されるとともに、その左上端部に地上地図のサムネイル402が表示されている。
【0034】
切り替え指示が入力されない場合は(ステップS14:No)、この図のフローを終了させる。また、ステップS12或いはS15を実行したときもこの図のフローを終了させる。
【0035】
以上詳細に説明したように、本発明の実施形態の地図表示装置によれば、地図表示変更手段14aにより地図表示部12に表示されている地上地図の表示領域に対応する地下街地図があり、かつ、その地上地図の縮尺が所定値以上、例えば地上地図に目標物となる地物が図形及び/又は文字により表示されている大縮尺であるとき、地図表示部12に地下街の地図がある旨の報知を行う。
【0036】
即ち、地下街地図報知手段14bは、地図表示部12に表示されている地上の地図の表示領域に地下街の存在領域が含まれていることを第一の条件とし、その地上の地図に目標物となる地物が図形及び/又は文字により表示される大縮尺であることを第二の条件として地下街の地図がある旨の報知を行う。
【0037】
これにより、地図表示部12に小縮尺の地図、例えば東京都全域の地図が表示されている場合、その表示領域に地下街の存在領域が含まれていようとも地下街地図がある旨の報知を行うことはない。この様な小縮尺の地図表示の場合、ユーザーは東京都全域にわたる道路・鉄道網、地形図、航空図などを希望することが一般的であり、ほぼ点状にしか表示されない狭小な地下街の地図を欲することはあり得ないからである。
【0038】
また、地下街地図表示手段14cは、地下街地図報知手段14bにより地下街の地図がある旨の報知の後に所定の地下街表示指示の入力があったとき、地図表示部12に地下街の地図を表示させる。これにより、ユーザーが地下街の地図を必要としたときのみ行われる地下街の地図の報知を条件とし、ユーザーが所定の入力をしたときのみ地下街の地図が表示される。
【0039】
また、地下街地図報知手段14bにより表示されるアイコン102は地下街の地図を表示するために必要となる所定の地下街表示指示の入力を支援するので、ユーザーは地下街の地図が存在することを知ると同時に、その地下街の地図を表示するために必要な入力方法を同時に知ることができる。
【0040】
また、2画面表示モードに設定されていない場合、図4B及び図6に示すように、地図表示部12に表示される地上地図と地下街地図とを切り替えて表示するので、地図表示部12の表示領域が狭い場合であっても、地上地図と地下街地図の表示条件(表示範囲、表示方向及び表示縮尺)が同一であることから、一瞬にして両地図の関係を把握することができる。
【0041】
また、地下街地図表示手段14cは、2画面表示モードに設定されている場合、図7A、Bに示すように、地上地図と比較しつつ地下街地図を眺めることができ、地下街の規模や存在位置などの有様を一瞬にして把握することができる。
【0042】
なお、以上の実施形態の2画面表示モードでは、地上地図と地下街地図のサイズが異なるが、同一サイズの地上地図及び地下街地図を画面の上下或いは左右に並べて表示するように構成することもできる。この構成の場合、図7A、Bに示すような切り替えは行わない。
【0043】
また、以上の実施形態では、2画面表示モードに設定されていない場合、図4B及び図6に示すように、地図表示部12に切り替え表示される地上地図と地下街地図の表示画面の大きさは同じであるが、地上地図と地下街地図の表示画面を異なる大きさにしてもよい。

【0044】
また、以上の実施形態では、地下街地図報知手段14bは地図表示部12にアイコンを表示することで、地下街の存在を報知するが、音声により報知するように構成することもできる。
【0045】
また、以上の実施形態はナビゲーションシステムを用いて地図表示装置を構成しているが、サーバからネットワーク経由で携帯端末装置へ地図情報を配信する地図情報提供システムを用いて地図表示装置を構成することもできる。
【符号の説明】
【0046】
10…地図表示装置、12…地図表示部、14a…地図表示変更手段、14b…地下街地図報知手段、14c…地下街地図表示手段。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図表示部に表示されている地上の地図に対応する地下街の地図が存在するとき、所定の操作に応じて、前記地図表示部に地下街の地図を表示させる地下街地図表示手段と、
前記地図表示部に表示されている地図の移動、回転、拡大、及び縮小が可能な地図変更手段と、
前記地図変更手段により変更された地上の地図に対応する地下街の地図が存在し、かつ当該地上の地図の縮尺が所定の値以上であるとき、地下街の地図がある旨の報知を行う地下街地図報知手段と
を有する地図表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載された地図表示装置において、
前記地下街地図報知手段は、前記地図表示部に対して、地下街の地図がある旨の画像を表示させる地図表示装置。
【請求項3】
請求項2に記載された地図表示装置において、
前記画像は、前記所定の操作の実行を支援する機能を有する地図表示装置。
【請求項4】
請求項1に記載された地図表示装置において、
前記地上の地図と地下街の地図とは、表示領域及び表示方向が同一である地図表示装置。
【請求項5】
請求項1に記載された地図表示装置において、
前記地下街地図表示手段は、前記所定の操作に応じて、地上の地図に代えて地下街の地図を表示させる地図表示装置。
【請求項6】
請求項1に記載された地図表示装置において、
前記地下街地図表示手段は、前記所定の操作に応じて、地上の地図に加えて地下街の地図を表示させる地図表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−93652(P2012−93652A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−242732(P2010−242732)
【出願日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【出願人】(500578216)株式会社ゼンリンデータコム (231)
【Fターム(参考)】