説明

地図表示装置

【課題】地物に付随する情報を地図の縮尺を変更することなくサマライズして表示できる地図表示装置を提供する。
【解決手段】計算機と、モニタと、補助記憶装置と、補助記憶装置に保存した地図とを備えた地図表示装置において、地図情報ファイル1に登録されている地図と、この地図上に配置された座標情報を有する地物アイコンと、地物アイコンに関連付けられた座標情報を有しない関連情報とを、地図のスケールとは無関係に合成してモニタに表示可能である地図表示装置100を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、設備情報の効率的な視覚化方式を有する地図表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
地図に設備情報を付加して利用する従来の装置として、例えば特許文献1のような地図表示装置が提供されている。
この地図表示装置では、拡大した地図上に、電柱、低圧引き込み線のルート、長さ等をレイヤ表示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−250559号公報(段落0010、図6)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のような、従来技術においては、住所等で現場の位置を特定し、地図を最大限拡大しなければ、設備等を表示できず、一覧性に欠けて全体の概要が把握し難いという課題があった。
また、正確な場所の特定が困難な設備については、探し当てるのに時間がかかるという課題があった。
【0005】
この発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、地物に付随する情報を地図の縮尺を変更することなくサマライズして表示することで、必要の無い情報を与えることなく短時間に目的の地物とその関連設備にアクセスできる地図表示装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る地図表示装置は、
計算機と、モニタと、補助記憶装置と、補助記憶装置に保存した地図とを備えた地図表示装置において、
地図上の座標情報を有する地物アイコンと、
地物アイコンに関連付けられた座標情報を有しない関連情報とを、
地図のスケールとは無関係にモニタに表示可能なものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明に係る地図表示装置は、
地図上の座標情報を有する地物アイコンと、
地物アイコンに関連付けられた座標情報を有しない関連情報とを、
地図のスケールとは無関係にモニタに表示可能なものなので、
地物に関連する関連情報を必要に応じて簡単に画面表示できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の形態1に係る地図表示装置の機能構成図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る地図表示装置が使用する各テーブル構成を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る地図表示装置による、地物とその関連設備情報の表示の流れを示す図である。
【図4】本発明の実施の形態2に係る地図表示装置で使用するテーブルの構成を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態2に係る地図表示装置による、地物とその関連設備情報の表示の流れを示す図である。
【図6】本発明の実施の形態3に係る地図表示装置の機能構成図である。
【図7】本発明の実施の形態3に係る地図表示装置で使用する設備情報テーブルの構成を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態3に係る地図表示装置による、地物とその関連設備情報と、更にその関連設備に関連する地物の表示の流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
以下、この発明の実施の形態1を図1〜図3を用いて説明する。
図1は、地図表示装置100の機能構成図である。
図2は、地図表示装置100が、地物や設備の管理のために使用する各テーブルの構成を示す図である。
図3は、地図表示装置100による地物の表示と、関連設備情報の表示の流れを示す図である。
【0010】
地図表示装置100は、図示しない計算機と、モニタと補助記憶装置と補助記憶装置に保存した図1に示すファイル、テーブル、各種の機能によって構成される。
地図情報ファイル1には、ベクトルやビットマップなどの地図を表示するための情報が格納されている。
図2(a)は、地物情報テーブル2の構成を示す図である。
建物や電柱など地物と呼ばれる地図空間に存在するモノを管理するテーブルである。
地物は、地図上に擬似的なアイコンとして表示される。
地物情報テーブル2の項目としては、少なくとも、地物を一意に特定する「地物ID」、地図上の位置を表す「座標」、地物のカテゴリを表す「種別」、地物の製造元が割り当てた「型番」、地物の呼称を表す「名称」の項目を有する。
【0011】
図2(b)は、種別情報テーブル3のテーブル構成を示す図である。
地物情報テーブル2の「種別」に紐付く情報を管理するテーブルである。
種別情報テーブル3の項目としては少なくとも、「種別」、種別の「名称」、種別を描画する際のアイコンを判別するための「アイコンID」の項目を有する。
【0012】
図2(c)は、設備情報テーブル4のテーブル構成を示す図である。
設備情報テーブル4は、組織、或いは、構造物に付随する設備を管理するテーブルである。
少なくとも、設備を一意に決定する「設備ID」、設備が属する地物、或いは、設備を表す「親ID」、設備のカテゴリを表す「種別」、設備の製造元が割り当てた「型番」、設備の呼称を表す「名称」の項目を有する。
【0013】
図2(d)は、抽出条件テーブル5のテーブル構成を示す図である。
抽出条件テーブル5は、地物の種別ごとに付随する関連情報を検索し、或いは抽出するための情報を管理するテーブルである。
少なくとも、地物の「種別」、検索抽出条件の優先順位を表す「ORDER」、検索抽出条件を表す「SQL」、地図上に表示する名称と格納場所を表す「名称」の項目を有する。
【0014】
地図情報検索抽出機能11は、画面表示領域の地図情報を地図情報ファイル1から検索し、抽出する機能である。
地図描画機能12は、地図情報検索抽出機能11によって抽出した地図情報から地図を描画する機能である。
【0015】
地物情報検索抽出機能21は、画面表示領域の地物情報を地物情報テーブル2から検索し抽出する機能である。
地物描画機能22は、地物情報検索抽出機能21で抽出した地物情報に基づいて、種別情報テーブル3を利用して表示すべき地物のアイコンIDを検索抽出し、これらのアイコンIDからアイコン情報7に記録されたアイコンを取得して地図上に地物アイコンを描画する機能である。
【0016】
関連情報検索抽出機能41は、ユーザ操作が選択した地物の地物IDと同じ情報を、設備情報テーブル4の親ID項目に有する設備情報を検索抽出する機能である。
選択した地物の「種別」をキーに、抽出条件テーブル5から検索抽出に利用するSQL文を取得し、当該地物に関連する設備の種別を抽出し、更に、抽出した種別ごとの設備件数と、種別の名称、アイコンIDを抽出する機能である。
関連情報描画機能42は、関連情報検索抽出機能41で抽出した結果情報をもとに、GUI操作により選択した地物の周囲に関連情報を描画する機能である。
【0017】
地図表示機能13は、地図描画機能12、地物描画機能22、関連情報描画機能42で描画したイメージを順番に重ね合わせて表示する機能である。
【0018】
地物/設備選択検知機能6は、ユーザによるGUI操作により選択した地物アイコン、或いは設備アイコンが選択されたことを検知し、当該地物或いは設備のIDを取得する機能である。
アイコン情報7には、各アイコンIDに対応するアイコンを保存している。
【0019】
次に、地図表示装置100の動作について説明する。
まず、地図表示装置100の動作の概略を説明する。
(1) 初期表示により地図と地物を表示後、
(2) GUI操作で地物を選択し、
(3) 関連する設備情報(名称、件数、アイコン)を選択した地物の周囲に表示する。
【0020】
次に、それぞれの具体的動作について例をあげて詳述する。
(1) 先ず、初期画面表示では、地図情報検索抽出機能11により地図情報ファイル1から画面表示領域に表示すべき地図情報を取得する。
取得した地図情報を使用して、地図描画機能12により地図を描画する。
地物情報検索抽出機能21により地物情報テーブル2から地図表示領域の地物データを取得する。
取得した地物データを使用して、地物描画機能22により地物を地図上に描画する。
地物の描画は、種別情報テーブル3から地物の種別ごとにアイコンIDを取得し、アイコン情報7からアイコンデータを取得して画面表示する。
地図表示機能13により、地図描画機能12で描画した地図上に、地物描画機能22により描画した地物を重ね合わせて表示する。
【0021】
(2)GUI操作に対応する地物/設備選択検知機能6によって、地図上の特定の地物が選択されたことを検知する。
【0022】
(3)次に、関連情報検索抽出機能41が、設備情報テーブル4から、当該地物の地物IDと同じIDを「親ID」項目に持つ設備情報を、抽出条件に従って抽出する。
例えば、選択した地物の地物IDがT00001である場合、地物ID T00001の「種別」はPOLEなので、抽出条件の「種別」項目がPOLEのSQLを1つ実行する。
【0023】
その結果、設備情報テーブル4の「親ID」項目がT00001である設備の種別であるTRANSとMODULとWIREが重複を排除して抽出される。
次に、関連情報描画機能42によって、種別情報テーブル3からそれぞれの「種別」のアイコンIDを取得し、アイコン情報7からアイコンデータを取得し、地図上の選択された地物の周囲に、関連設備の種別を、それぞれのアイコンと件数を示して描画する。
なお、SQL条件の与え方によって種別項目だけでなく、例えば型番別に集計するようなカスタマイズも可能である。
図3に示すように、地図表示機能13によって、地図描画機能12で描画した地図と、地物描画機能22により描画した地物と、関連情報描画機能42で描いた設備の種別の一覧を重ね合わせて地図を表示する。
【0024】
本発明の実施の形態1に係る地図表示装置100によれば、画面に表示中の地図のスケールに関係なく、地図上の位置情報を有する地物に関連する関連情報を必要に応じて簡単に画面表示できる。
【0025】
実施の形態2.
以下、この発明の実施の形態2を図4、図5を用いて実施の形態1と異なる部分を中心に説明する。
図4(a)は、地図表示装置で使用する設備情報テーブル204の構成を示す図である。
図4(b)は、地図表示装置で使用する抽出条件テーブル205の構成を示す図である。
図5は、地図表示装置による、地物とその関連設備情報の表示の流れを示す図である。
【0026】
実施の形態1では、地図上の地物に関連付けられた情報を地図スケールに関係なく簡略化して表示することで、当該地図に含まれる地物とその関連情報の全容を把握可能とした。
本実施の形態では、関連付けられた情報の中から利用者にとって重要な情報を抽出して表示する構成を説明する。
【0027】
設備情報テーブル204の項目構成には、実施の形態1で示した、設備を一意に決定する「設備ID」、設備が属する地物或いは設備を表す「親ID」、設備のカテゴリを表す「種別」、設備の製造元が割り当てた「型番」、設備の呼称を表す「名称」の各項目に加えて、例えば、「次回メンテナンス日」などの保守日時に関わる項目を新たに付加している。
抽出条件テーブル205の項目構成については実施の形態1で示した項目と変わりないが、検索抽出条件を表す「SQL」の内容として、例えば、種別POLE(電柱を表す地物)に対して、メンテナンス日を超過したものを抽出する条件と、メンテナンス日まで1週間以内となったものを抽出する条件を設定する。
【0028】
次に、本実施の形態に係る地図表示装置の動作について説明する。
まず、動作の概略を説明する。
実施の形態1の場合と同様に、
(1) 初期表示により地図と地物を表示後、
(2) GUI操作で地物を選択し、
(3) 関連する設備情報(名称、件数、アイコン)を選択した地物の周囲に、付帯情報付きで表示する。
(1)と(2)については実施の形態1と同じなので説明を省略し、(3)についてのみ説明する。
【0029】
関連情報検索抽出機能41が、設備情報テーブル204から、当該地物の地物IDと同じIDを「親ID」項目に持つ設備情報を、抽出条件に従って抽出する。
例えば、選択した地物の地物IDがT00001である場合、地物ID=T00001の「種別」はPOLEなので、抽出条件の「種別」項目がPOLEのSQLを2つ実行する。
【0030】
その結果、設備情報テーブル204の「親ID」項目がT00001である設備の種別であるTRANSとWIREの内、「次回メンテナンス日」が既に超過又は接近している設備情報が抽出される。
次に、関連情報描画機能42によって、種別情報テーブル3からそれぞれの「種別」のアイコンIDを取得し、アイコン情報7からアイコンデータを取得し、地図上の選択された地物(POLE=電柱)の周囲に、抽出された関連設備の種別(変圧器と電線)のアイコンを件数を示して一覧表示する。
【0031】
本発明の実施の形態2に係る地図表示装置によれば、実施の形態1で述べた効果に加えて、関連設備毎に発生する個別事項についてユーザに注意喚起できる。
【0032】
実施の形態3.
以下、この発明の実施の形態3を、図6〜図8を用いて実施の形態1、2と異なる部分を中心に説明する。
図6は、地図表示装置300の機能構成図である。
図7は、地図表示装置300で使用する設備情報テーブル304の構成を示す図である。
図8は、地図表示装置300による、地物とその関連設備情報と、更にその関連設備に関連する地物の表示の流れを示す図である。
【0033】
本実施形態では、実施の形態1において地図上の特定の地物に関連付けて表示した関連設備を階層化する方法、及び、同一の関連設備を関連付けている他の地物を検索、抽出して地図上に表示する方法を説明する。
図6に示すように、地図表示装置300の構成は、ほぼ実施の形態1における構成と同様である。
実施の形態1と異なる部分は、下層表示要求機能8と、関連地物表示要求機能9を設けた2点である。
【0034】
下層表示要求機能8は、関連情報検索抽出機能341を起動して、抽出した関連設備に関する詳細な構成を地図上の地物の近隣に表示する。
また、関連地物表示要求機能9は、特定の地物の関連設備が、同時に他の地物の関連設備でもある場合に、当該他の地物を地図上に表示することを要求する機能である。
【0035】
図7において、上述のように設備情報304自体の項目には変更は無いが、例えば電線などは、始点と終点で接続する電柱(地物)が2つあるため、親IDが2つ存在する場合がある。
本、実施の形態では、このような場合に、他の親IDを有する地物を表示しようとするものである。
【0036】
次に、地図表示装置300の動作について説明する。
まず、地図表示装置300の動作の概略を説明する。
実施の形態1の場合と同様に、
(1) 初期表示により地図と地物を表示後、
(2) GUI操作で地物を選択し、
(3) 関連する設備情報(名称、件数、アイコン)を選択した地物の周囲に表示する。
本実施の形態では、更に、
(4) 特定の関連設備アイコンを選択し、
(5) 当該関連設備に関する下層の設備のアイコン群を表示し、
(6) それらのアイコン群から1つのアイコンを選択し、
(7) そのアイコンに対応する、関連設備の親IDとして登録されている他の地物を検索して地図上に表示する。
【0037】
次に、具体的動作について例をあげて説明する。
(1)〜(3)については、実施の形態1と同じなので省略する。
(4)〜(7)までの動作を説明する。
(4) GUI操作に対応する下層表示要求機能8が選択されたことを検知すると、
(5) 関連情報検索抽出機能341は、(3)で得ていた関連設備情報の中から、その種別に属する全ての関連設備を地図画面上に表示する。
例えば、図8(3)の状態で、電線アイコンがクリックされると、「親ID」がT00001であって、「種別」がWIREである、S00006、S00007、S00008という下層の設備ID名が電線アイコンと共に地図上に表示される。
(6) ここで、S00006の電線アイコンがクリックされると、
(7) 関連地物表示要求機能9が起動し、設備IDがS00006であって、親IDが異なる他の地物ID、T00010を設備情報テーブル304から抽出する。
当該地物IDを元に、地物情報検索抽出機能21と地物描画機能22によって、地物情報テーブル2から、電線S00006の他端が接続されている地物(電柱)が特定され、地図画面上に表示される。
【0038】
本発明の実施の形態3に係る地図表示装置300によれば、実施の形態1及び2で述べた効果に加えて、複数の地物に関連する関連設備が存在する場合も、当該関連設備に紐付いた全ての地物を容易に地図上に表示できる。
【0039】
なお、本発明は、その発明の範囲内において、各実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。
【符号の説明】
【0040】
100,300 地図表示装置、1 地図情報ファイル、
11 地図情報検索抽出機能、12 地図描画機能、13 地図表示機能、
2 地物情報テーブル、21 地物情報検索抽出機能、22 地物描画機能、
3 種別情報テーブル、4,204,304 設備情報テーブル、
41,341 関連情報検索抽出機能、42 関連情報描画機能、
5,205 抽出条件テーブル、6 地物/設備選択検知機能、7 アイコン情報、
8 下層表示要求機能、9 関連地物表示要求機能。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
計算機と、モニタと、補助記憶装置と、補助記憶装置に保存した地図とを備えた地図表示装置において、
前記地図上の座標情報を有する地物を表示する地物アイコンと、
前記地物アイコンに関連付けられた座標情報を有しない関連情報とを、
前記地図のスケールとは無関係に前記モニタに表示可能である地図表示装置。
【請求項2】
前記地図上に表示する前記関連情報は、条件設定によりカスタマイズ可能である請求項1に記載の地図表示装置。
【請求項3】
前記条件設定は、複数設定可能である請求項2に記載の地図表示装置。
【請求項4】
前記関連情報は、前記地物に関連する関連設備を表示する関連設備アイコンとそれぞれの前記関連設備アイコンに対応する前記関連設備の数量である請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の地図表示装置。
【請求項5】
前記関連設備アイコンは、階層化されている請求項4に記載の地図表示装置。
【請求項6】
複数の前記地物アイコンが、同一の関連情報と関連付けられている請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の地図表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−113949(P2013−113949A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−258514(P2011−258514)
【出願日】平成23年11月28日(2011.11.28)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】