説明

地図配信システムおよびそれに用いるセンタ装置

【課題】地図情報のフォーマットを変更することなく、情報量を少なくして配信可能な地図配信システム及びそれに用いるセンタ装置を提供する。
【解決手段】現在位置を測位する測位部24と、測位した現在位置から地図要求を生成する地図要求生成部268と、生成された地図要求をセンタ装置10に送信し、センタ装置10より要求した地図を受信する通信部21と、受信した地図を表示する表示部23とを備えた端末装置20と、端末装置20から受信した地図要求にあった地図を地図データベース11から抽出する地図抽出部138と、抽出された地図から不要な部分を削除する地図削除部142と、不要な部分が削除された地図を地図のフォーマットに沿って再構成する地図再構成部143と、再構成された地図を端末装置に送信する通信部12とを備えたセンタ装置10からなり、必要な情報のみの送受信が可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図情報を配信する地図配信システムおよびそれに用いるセンタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、地図は、道路や施設の新設、変更、その他の事情で日時とともに変更される。そのため、地図を参照する、例えば、ナビゲーション装置のような端末装置には、常に新しい地図情報を配信しておくことが必要である。また、地図は広域かつ詳細になればその容量が非常に大きくなるため、一度に全ての地図情報を、自己の端末装置の記憶装置に記憶、保持しておくことは困難であることも多く、このような場合には、必要なときに必要な分の地図情報を入手する必要がある。
【0003】
ところで、地図情報はテキスト情報に比べて容量が大きく、通信時間としても多くの時間を要するため、多くの通信料金を必要とする。また、地図を参照するナビゲーション装置のような端末装置でも、その記憶部を大きく圧迫するという問題がある。
【0004】
そのため、従来、出発地から目的地までの地図情報をデフォルメ化し、その上で更に領域分割し、経路を正規化されたパターンで図形化し、案内地図を自動的に作成する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
この技術によれば、多少曲がった道も真直ぐな道に書き改められ、真直ぐな道はそれが非常に長い場合には途中がカットされ、それでいて出発地から見て目的地の位置、方向が実際のものと余り大きく異ならない地図が描かれ、情報量を非常に少なくすることができる。
【特許文献1】特開平10−307533号公報(第3−6頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載された技術では、地図をデフォルメ化し、その上で領域を分割し、正規化されたパターンで描いているため、最終的に出来上がった地図が実際のものと必ずしも同じでなく、車載用のナビゲーション装置としては使用できないものである。
【0007】
また、地図情報を圧縮して地図としては実際のものと変わらないようにした技術も知られているが、この場合には、圧縮によって地図情報のフォーマットが変更になるため、それを参照するためには、参照する側の端末装置にその地図情報を解凍する別の地図参照ソフトを必要とし、そのため地図を送信する側と参照する側とでそれぞれの異なる地図参照ソフトを開発し、装備しなければならないという問題があった。また、フォーマットが変更されれば、その都度、参照する側の端末装置において、それを参照するためのソフトウェアを交換する必要があるという問題があった。
【0008】
本発明は、このような従来の問題に鑑みてなされたものであり、地図情報のフォーマットを変更することなく、情報量を少なくして配信可能な地図配信システム及びそれに用いるセンタ装置並びに端末装置を提供するものことを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の地図配信システムは、地図要求を生成し送信する端末装置と、前記端末装置か
らの地図要求を受信し、前記地図要求にあった地図を前記端末装置に配信するセンタ装置とで構成され、前記端末装置は、前記端末装置の現在位置を測位する測位手段と、前記測位した現在位置に基づいて地図要求を生成する地図要求生成手段と、前記生成された地図要求を前記センタ装置に送信する送信手段と、前記地図要求に対応した地図を前記センタ装置より受信する受信手段と、前記受信した地図を表示する表示手段とを備え、前記センタ装置は、前記端末装置からの地図要求を受信する受信手段と、前記受信した地図要求に基づいて地図データベースより地図を抽出する地図抽出手段と、前記抽出された地図から不要な部分を削除する不要地図削除手段と、前記不要な部分が削除された地図を地図のフォーマットに沿って再構成する地図再構成手段と、前記再構成された地図を前記端末装置に送信する送信手段とを備えた構成を有する。
【0010】
この構成により、端末装置より地図要求をセンタ装置に送信することにより、センタ装置において、不要な地図情報は削除され、再構成されて送信されてくるため、地図情報のフォーマットを変更することなく、情報量を少なくして配信可能なものとすることができる。
【0011】
また、本発明の地図配信システムは、前記不要地図削除手段が、前記端末装置より受信した地図要求に基づいて前記端末装置の現在位置より予め定めた所定距離離れた位置の地図構成要素を削除すべき不要な部分と判断する判断手段を備えた構成を有する。
【0012】
この構成により、端末装置の現在位置より予め定めた所定距離離れた位置の要素が削除されて地図情報が送信されてくるため、不要な情報の受信を少なくすることができる。
また、本発明の地図配信システムは、前記端末装置が、目的地を入力する目的地入力手段と、前記入力した目的地までの経路を取得する経路取得手段とを備えると共に、前記地図要求生成手段が、前記取得された経路と前記端末装置の現在位置とに基づいて地図要求を生成し、前記センタ装置の前記不要地図削除手段が、前記端末装置からの前記取得された経路より所定距離離れた位置の前記地図構成要素地図要素構成単位を削除すべき不要な部分と判断する判断手段を備えた構成を有する。
【0013】
この構成により、端末装置において目的地を入力し、それをセンタ装置に地図要求として送信することにより、目的地までの経路から予め定めた所定距離以内の地図のみを端末装置に送信してくることになり、この場合も、不要な情報の受信を極力少なくすることができる。
【0014】
また、本発明の地図配信システムは、前記地図再構成手段が、前記削除された地図構成要素の内容に応じて、残存する地図構成要素の配列を整え、前記地図構成要素のデータの構成や配列を示す数値を変更する手段を備えた構成を有する。
【0015】
この構成により、地図のフォーマットが正確に再構成され、端末装置においても正確に受信可能になる。
また、本発明の地図配信システムは、前記地図要求に前記端末装置の表示部における表示サイズが含まれており、前記不要地図削除手段が、前記要求された表示部の表示サイズに対応する地図領域から所定距離離れた位置の前記地図構成要素地図要素構成単位を削除する構成を有する。
【0016】
この構成により、端末装置の表示部が大きい、小さいに応じ、それぞれのサイズにあった地図として配信されることになり、不要な情報の配信を少なくすることができる。
また、本発明の地図配信システムは、前記地図要求に前記端末装置が不要とする情報が含まれており、前記不要地図削除手段が、前記不要とする情報に基づいて不要な部分の前記地図構成要素地図要素構成単位を削除する構成を有する。
【0017】
この構成により、端末装置において不要な情報を列挙し、その情報の配信を阻止することができ、不要な情報の配信を少なくすることができる。
【0018】
また、本発明の地図配信システムは、前記地図要求に前記端末装置の種別が含まれており、前記地図削除手段が、前記端末装置の種別に基づいて不要な部分の前記地図構成要素地図要素構成単位を削除する構成を有する。
この構成により、端末装置の種別に応じた適正な地図情報を入手することができ、不要な情報の配信を少なくすることができる。
【0019】
また、本発明のセンタ装置は、端末装置からの地図要求を受信する受信手段と、前記受信した地図要求に基づいて、前記受信した地図要求に応じた地図を、地図データベースから抽出する地図抽出手段と、前記抽出された地図から不要な部分を削除する不要地図削除手段と、前記不要な部分が削除された地図を地図のフォーマットに沿って再構成する地図再構成手段と、前記再構成された地図を前記端末装置に送信する送信手段とを備えた構成を有する。
【0020】
この構成により、端末装置からの地図要求に応じて、不要な地図を削除し、必要な地図のみ正確に端末装置に配信することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の地図配信システムは、地図要求を生成し送信する端末装置と、前記端末装置からの地図要求を受信し、前記地図要求にあった地図を前記端末装置に配信するセンタ装置とで構成され、前記端末装置は、前記端末装置の現在位置を測位する測位手段と、前記測位した現在位置に基づいて地図要求を生成する地図要求生成手段と、前記生成された地図要求を前記センタ装置に送信する送信手段と、前記地図要求に対応した地図を前記センタ装置より受信する受信手段と、前記受信した地図を表示する表示手段とを備え、前記センタ装置は、前記端末装置からの地図要求を受信する受信手段と、前記受信した地図要求に基づいて地図データベースより地図を抽出する地図抽出手段と、前記抽出された地図から不要な部分を削除する不要地図削除手段と、前記不要な部分が削除された地図を地図のフォーマットに沿って再構成する地図再構成手段と、前記再構成された地図を前記端末装置に送信する送信手段とを備えたものであり、端末装置よりセンタ装置に地図要求を送信することにより、センタ装置において、不要な地図が削除され、再構成されて送信されてくるため、地図情報としてはフォーマットを変更することなく、情報量の少ないものとして配信され、端末装置において、正確に受信され表示されるという効果を奏する。
【0022】
また、本発明のセンタ装置は、端末装置からの地図要求を受信する受信手段と、前記受信した地図要求に基づいて地図データベースより前記受信した地図要求にあった地図を抽出する地図抽出手段と、前記抽出された地図から不要な部分を削除する不要地図削除手段と、前記不要な部分が削除された地図を地図のフォーマットに沿って再構成する地図再構成手段と、前記再構成された地図を前記端末装置に送信する送信手段とを備えることにより、端末装置から送信された地図要求に対して、不要な地図を削除し、再構成して端末装置に送信できるので、地図情報としてはフォーマットを変更することなく、情報量の少ないものとして配信され、端末装置において、正確に受信され表示されるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の地図配信システムについて、図面を用いて詳細に説明する。
【0024】
(実施の形態)
図1は、本発明の一実施の形態における地図配信システムの概略構成を示すブロック図である。
【0025】
本発明の一実施の形態における地図配信システムは、図1に示すように、地図データベース11と無線通信部12と制御部13とアンテナ14とを備えたセンタ装置10と、無線通信部21と操作部22と表示部23と測位部24と音声出力部25と制御部26とアンテナ27、28とスピーカ29とを備えた端末装置20とで構成されている。
【0026】
センタ装置10は、その詳細を図2に示すように、端末装置20からの地図要求をアンテナ14を介して受信し、復号化する無線通信部12と、復号化された地図要求から地図要求データを取り出す地図要求受信処理部131と、地図要求受信処理部131で取り出された地図要求データを記憶する地図要求記憶部132と、地図要求記憶部132から端末装置20の現在位置、すなわち、端末位置を抽出する端末位置抽出処理部133と、地図要求記憶部132から端末装置20の経路、すなわち、端末経路を抽出する端末経路抽出処理部134とを備えている。
【0027】
さらに、端末位置に該当する図葉データを地図データベース11から検索し取り出す端末位置図葉抽出処理部135と、端末経路抽出処理部134で取り出された端末経路を記憶する端末経路記憶部136と、端末位置図葉抽出処理部135で取り出された図葉データを記憶する図葉記憶部137とを備えている。
【0028】
さらに、図葉記憶部137から図葉データを構成する図葉要素を先頭から逐次取り出す図葉要素抽出部138と、端末経路記憶部136から経路区間を先頭から逐次全て取り出す端末経路区間抽出部139と、図葉要素抽出部138で取り出した図葉要素と端末経路区間抽出部139で取り出した端末経路区間との距離をそれぞれ計算する距離計算部140とを備えている。
【0029】
さらに、全ての経路区間から一定距離以上遠い位置にある図葉要素を判断してその要素の削除を指示する図葉要素削除判断部141と、図葉要素削除判断部141の削除指示に基づいて図葉要素を削除する図葉要素削除部142と、削除した残りの図葉データを図葉フォーマットに従う形に再構成する図葉再構成部143と、図葉再構成部143で再構成された図葉データを図葉記憶部137に送信する図葉書き込み部144と、端末装置20に対してアンテナ14を介して図葉を送信する図葉送信処理部145とを備えている。
【0030】
本実施の形態では、上記のように、端末装置20から送信される地図要求には、端末装置20の現在位置(緯度、経度)と端末装置20の端末経路とが含まれており、端末経路とは、道路の区間の集まりを言う。
【0031】
次に、端末装置20を構成する制御部26についてその詳細構成を示す図3を用いて説明する。
【0032】
図3において、端末装置20を構成する制御部26は、アンテナ28を介してGPSなどで構成される測位部24で測位された端末装置20の現在位置(緯度、経度)を記憶する現在位置記憶部261と、測位された現在位置の移動距離を計算する移動距離計算部262と、現在位置が予め定められた一定距離移動したことが移動距離計算部262によって確認されたとき、先に記憶した現在位置を前回位置として記憶する前回位置記憶部263と、現在位置が予め定められた一定距離移動したことが移動距離計算部262によって確認されたとき、地図要求指示を出力する地図要求指示判断部264とを備えている。
【0033】
さらに、キーボードや音声入力よって操作される操作部22を用いて目的地(緯度、経
度など)が入力されたとき、それを受信し処理する目的地入力処理部265と、現在位置記憶部261に記憶された現在位置と目的地入力処理部265によって得られた目的地とをもとに、アンテナ27を介して無線通信部21から外部機関の経路探索サービスなどを利用して、現在位置から目的地までの経路を取得する経路取得部266と、経路取得部266によって取得された経路を記憶する経路記憶部267とを備えている。
【0034】
さらに、地図要求指示判断部264から地図要求の指示があったとき、現在位置記憶部261に記憶された現在位置と経路記憶部267に記憶された経路とに基づいて地図要求を生成する地図要求生成部268と、地図要求生成部268で生成された地図要求を一時記憶する地図要求記憶部269と、地図要求記憶部269に記憶された地図要求を送信処理し、無線通信部21を介してセンタ装置10に送信する地図要求送信処理部271とを備えている。
【0035】
地図要求送信処理部271は、さらに、地図要求に応答してセンタ装置10から図葉が送信され、それが無線通信部21を介して受信されたとき、その図葉を受信処理するように、図葉受信処理部270に対し図葉受信指示を出力する。
【0036】
端末装置20を構成する制御部26は、さらに、図葉受信処理部270を介してセンタ装置10より図葉を受信したとき、その図葉を記憶する図葉記憶部272と、経路記憶部267から得られた経路と図葉記憶部272から得られた図葉から次の交差点を抽出する次交差点抽出部273と、次交差点抽出部273で抽出された次の交差点情報を受け取り、次の交差点情報の音声データ、例えば、「○○交差点」などという次の交差点の名称に関する音声データを抽出する交差点音声抽出部274とを備えている。
【0037】
さらに、現在位置記憶部261に記憶された現在位置から次交差点抽出部273で得られる次の交差点までの距離を計算する次交差点距離計算部275と、例えば、「この先の交差点」、「次の交差点」といった定型の音声フレーズデータを記憶する音声フレーズ記憶部276と、次の交差点までの距離が予め定められた一定距離以下になったとき、音声フレーズ記憶部276から得られる、例えば「次の交差点」といった定型フレーズデータと、交差点音声抽出部274から得られる、例えば、「○○交差点」などという音声データとを合わせて音声案内を発声する音声案内発声部277とを備えている。
【0038】
さらに、操作部22からの入力や各部の情報を表示部23にそれぞれ出力し、表示処理する画面表示処理部278を備えている。
【0039】
ことろで、センタ装置10の地図データベース11には、例えば、日本全国というように広範囲の詳細な地図データが格納されているが、それらは、全体として容量が非常に大きいため、図葉という単位に分割して取り扱えるように格納されている。
【0040】
すなわち、図葉は、図4に示すように、情報としては荒いが広域なものと、それよりも情報としては詳細でより狭い範囲の子図葉と、更にそれを詳細にしたより狭い範囲の孫図葉というように、各階層を以って何段階かの図葉に分けて格納されている。例えば、図4において、図葉Aを親図葉とすると、図葉A1、A2、A3、A4は親図葉Aの子図葉、図葉A41、A42、A43、A44は子図葉A4の更に子図葉、すなわち、親図葉Aの孫図葉である。図4では、子図葉A4に対してのみ、孫図葉A41、A42、A43、A44を示しているが、実際には、図5に示すように、全ての子図葉A1、A2、A3に対して、同様に孫図葉A11、A12、A13、A14、A21、A22、A23、A24、A31、A32、A33、A34などを有している。そして、図示していないが、孫図葉に対しても、それぞれ子図葉、孫図葉というように、更に小さな階層まで展開され、格納されている。
【0041】
また、このようにして示された親図葉、子図葉、孫図葉などは、全て、それぞれにおいて処理可能なデータ量で構成されている。また、各図葉のデータフォーマットは、図6に示すように、最初のデータ領域に図葉の長さZの値が記憶され、その後に引続いて図葉の各要素が1から最後まで配置される構成となっている。
【0042】
更に詳しく言えば、図7に示すように、各図葉要素、例えば、図葉要素Pについて言えば、その要素Pの最初のデータ領域にその要素Pの種別が記憶され、引続いて次のデータ領域には次の要素P+1の先頭位置の値L(P+1)が記憶され、その次のデータ領域には要素Pの実データが記憶されるといった構成を有している。
そして、各要素の実データの1つである道路区間要素のデータフォーマットは、図8に示すような構成になっている。すなわち、例えば、道路区間要素Rに対しては、最初のデータ領域に道路区間要素Rを示すデータが記憶され、次に道路区間要素Rの長さの値Lが記憶され、その後に、その道路の始点の緯度、経度、終点の緯度、経度、道路の種別、交通規制の種別、道路の名称の長さ(n)、道路の名称データ1、2、・・nと順に記憶されている。すなわち、図葉は、要素の集合体であり、各要素は道路区間を示す要素や、その要素の長さや、緯度や経度といった単位から構成されており、本発明では、この単位を要素構成単位と言い、要素と要素構成単位をまとめて地図構成要素と表現する。
【0043】
次に、このように構成された本実施の形態における地図配信システムについて、その動作を説明する。
【0044】
図9は、本発明の一実施の形態における地図配信システムにおいて使用するセンタ装置10の動作を示すフローチャートである。
【0045】
端末装置20から無線通信部12を通して地図要求を受信すると(S401)、地図要求受信処理部131がそれを受信し、地図要求記憶部132に記憶する。地図要求が地図要求記憶部132に記憶されると、端末位置抽出処理部133が地図要求の中から端末装置20の現在位置における緯度、経度を抽出、記憶し(S402)、抽出された端末装置20の緯度、経度をもとに、端末位置図葉抽出処理部135が端末装置20の緯度、経度に対応する図葉を地図データベース11より抽出する(S403)。そして、その図葉を図葉記憶部137に記憶する。
【0046】
地図要求の中に目的地までの経路が本実施の形態のように含まれていれば、端末経路抽出処理部134が目的地までの端末経路を地図要求の中から抽出し、端末経路記憶部136に記憶する(S404)。そして、端末位置図葉抽出処理部135で抽出され、図葉記憶部137に記憶された図葉の先頭要素を図葉要素抽出部138によってその後比較対象とする図葉要素として設定し(S405)、端末経路記憶部136に記憶された端末経路から同じく端末経路の先頭を端末経路区間抽出部139でその後比較対象とする経路区間として設定する(S406)。
【0047】
比較対象とする図葉要素、経路区間がそれぞれ設定されると、これらの間の距離が予め定めた所定距離(M)以下であるかどうかが距離計算部140によって判断される(S407)。判断の結果、図葉要素と経路区間の距離が予め定めた所定距離(M)以下である場合(S407のY)には、その図葉要素が図葉の最後であるかどうかが判断され(S408)、ここで、その図葉要素が図葉の最後であると判断された場合(S408のY)には、その図葉を図葉送信処理部145で処理し、無線通信部12を通して端末装置20に送信する(S409)。
【0048】
比較対象とする図葉要素と経路区間との間の距離が予め定めた所定距離(M)以下でな
い場合(S407のN)、すなわち、所定距離(M)よりも離れている場合には、経路区間が端末経路の最後かどうかを判断し(S410)、経路区間が端末経路の最後でないと判断した場合(S410のN)には、次の経路区間を次の比較対象とする経路区間と設定し(S413)、再び、要素と経路区間との距離が予め定めた所定の距離(M)以下であるかどうかが判断される(S407)。
【0049】
S410で経路区間が端末経路の最後であると判断した場合(S410のY)には、比較対象とする図葉要素が図葉要素削除部142でその図葉から削除され(S411)、残りの図葉要素が図葉再構成部143で所定の図葉フォーマットに再構成され(S412)、その後、比較対象となる図葉要素が図葉の最後かどうかが判断されることになる(S408)。
【0050】
図葉比較対象となる図葉要素が図葉の最後でない場合(S408のN)には、次の図葉要素を次に比較対象となる図葉要素と設定し(S414)、端末経路の先頭を経路区間とする手順(S406)に戻る。そして、以降、同様に、図葉要素と経路区間との距離が予め定めた所定距離(M)以下かどうかを判断する(S407)。
【0051】
このように、比較対象となる図葉要素と経路区間との距離が予め定めた所定距離(M)以下であると判断されたり(S407のY)、図葉フォーマットが再構成されたり(S412)すると、その段階で、比較対象となる図葉要素が図葉の最後かどうかが判断され(S408)、最後であれば(S408のY)その図葉を端末装置20に送信する。
【0052】
この実施の形態では、図葉のフォーマットの再構成は、比較対象となる要素が削除された場合、その削除された要素をなくし、その後の要素を順次繰り上げ、図葉の長さZ、要素の長さLなどのデータの構成や配置を示す数値ををそれぞれ削除された要素変更して更新することによって再構成している。
【0053】
図6〜図8を用いて説明すると、例えば図6において、要素2が削除された場合、要素3以下の要素を順次繰り上げ、図葉の長さZを要素2を除いた残りの長さの長さに修正することによって図葉のフォーマットを再構成している。また、図7において、要素Pを削除した場合、要素Pに関連する情報(この場合、要素Pの種別、要素Pの実データなど)を全て削除し、要素P+1以降の全ての情報の地図構成要素単位をそれぞれ繰り上げ、図葉の長さZを要素Pに関連する情報全て(この場合、要素Pの種別、要素Pの実データなど)の全て分だけ少ない値に修正する、あるいは全ての分だけデータ領域を移動して書き改めることによって図葉のフォーマットを再構成している。要素を構成する要素構成単位についても同様に、同じように、図8において、例えば、要素構成単位である道路名称を削除する場合は、道路名称長さ(n)〜道路名称データnのデータを削除し、データ1〜nが削除された場合、要素構成単位である要素の長さの値Lをその分だけ少ない値に修正し、それに関連して、図7におけるその図葉の長さZや各要素の先頭位置などを)を同じようにその分少ない値に修正することによって図葉のフォーマットを再構成している。
【0054】
次に、図葉のフォーマットの再構成について、更に、詳細に説明する。
【0055】
図10は、上記した図葉要素を削除して再構成する場合の詳しい動作を示すフローチャートである。
【0056】
図9のS411に示す動作によって削除すべき図葉要素が決定されると、その決定された削除対象要素を以降比較対象となる図葉要素と設定する(S501)。そして、比較対象となる図葉要素の先頭アドレスを削除すべき図葉要素の先頭アドレスに設定する(S502)。次に、削除すべき図葉要素の先頭のアドレスを転送先アドレスとし(S503)
、比較対象となる図葉要素の次の図葉要素の先頭アドレスを削除すべき図葉要素の終了点の値とする(S504)。次に、削除すべき図葉要素の終了点のデータ領域を転送元とし(S505)、転送元の相対的アドレスが図葉の長さZを越えていないかどうかを判断し(S506)、超えていなければ(S506のY)、転送元のデータを転送先のデータ領域に転送し(S507)、転送元に転送元の次のアドレスを設定し直し(S508)、転送先に転送先の次のアドレスを設定する(S509)。そして、再び転送元が図葉の長さを越えているかどうか判断し(S506)、この動作を転送元が図葉の長さを超えるまで繰返す。転送元の相対的アドレスが図葉の長さを超えた場合(S506のN)には、その時点で、図葉要素の削除動作を終了する。なお、ここで、図葉書き込み部144は、転送元のデータ領域の値を転送先のデータ領域の値に入れかえて書き込むときに使用される。
【0057】
ところで、このようにして図葉要素を単純に削除すると、図葉のフォーマットに沿わなくなり、図葉を図葉フォーマットに従って処理する端末装置20において解釈できなくなることがある。そこで、本実施の形態では、更に、それを図葉のフォーマットに従うように再構成するようにしている。
【0058】
図11は、このように図葉のフォーマットに沿わなくなるのを防止するための動作を示すフローチャートである。
【0059】
図葉のフォーマットに沿わなくなるのを防止するためは、先ず、先に決定した削除すべき図葉要素の終了点の値から削除すべき図葉要素の開始点の値を差し引いて、その値を削除すべき図葉要素の長さとする(S601)。そして、図葉の長さからこの削除すべき図葉要素の長さを差し引いてそれを図葉の長さと設定し直し(S602)、削除すべき図葉要素の終了点の値を新たな要素位置と設定する(S603)。要素位置が決定されれば、その要素位置が図葉の長さより小さいかどうかを判断する(S604)。判断の結果、要素位置の値が図葉の長さより小さければ(S604のY)、要素位置の次の要素位置の値から削除要素の長さを差し引いて、それを次の要素の位置の値としてデータ領域に設定する(S605)。そして、新たになった次の要素位置を図葉要素の位置と設定し(S606)、再び要素位置が図葉の長さより小さいかどうかを判断する(S604)。そして、要素位置の値が図葉の長さより大きくなるまで、同じ動作を繰り返し、要素位置が図葉の長さより大きくなれば(S604のN)、図葉フォーマットを再構成する一連の動作を終了する。
【0060】
すなわち、図葉書き込み部144を使用して、図葉の長さの値は、削除された図葉要素の長さの分だけ減じた値に書き改められ、図葉要素のデータ領域の値は、その位置が順次シフトして書き改められる。
【0061】
以上のような手順で地図のファーマットに沿って不要な地図が削除されるのであるが、地図の削除の内容、すなわち要素の削除の内容は、上記の実施の形態以外に以下のような多種多様の場合が考えられる。以下に、それぞれの場合の再構成の内容も併せて説明する。
【0062】
なお、以下の説明では、説明の簡略化のため地図要素構成単位をX、Y1、Y2、Z、A、A1、A2、Bなどの記号で表わしてある。
(1)元の地図要素構成単位の配列:XAYB
Xのデータ:次に現れるYのデータの長さ
削除すべき地図要素構成単位の内容:Yを削除する
変更後の地図要素構成単位の配列:XAB
変更すべき地図要素構成単位単位のデータ:Xデータを“0”とする
元の配列ではXの値はYの長さが設定されていたが、Yが削除されることによりYのデ
ータがなくなるので、Xを“0”に設定することになる。
(2)元の地図要素構成単位の配列:XAY1BY2
Xのデータ:次に現れるYまでの長さ
削除すべき要素の地図要素構成単位内容:Y1を削除する
変更後の地図要素構成単位の配列:XABY2
変更すべき地図要素構成単位のデータ:XにBの長さを加算する
元の配列ではXの値は、Y1までの長さ、すなわちAの長さが設定されているが、Y1を削除することにより、削除後の配列ではXの値は、Y2までの長さ、すなわちA+Bの長さを設定することになる。
(3)元の地図要素構成単位の配列:X1AYBX2
X1のデータ:次のXまでの間にYがあるかどうかを示す値
削除すべき地図要素構成単位の内容:Yを削除する
変更後の地図要素構成単位の配列:X1ABX2
変更すべき地図要素構成単位のデータ:X1のデータを“0”に変更する。
【0063】
元の配列では、X2までの間にYが存在するので“1”と言う値が設定されているが、削除後の配列では、次のXであるX2までの間にYが存在しないので、X1の値を“0”と変更することになる。
(4)元の地図要素構成単位の配列:X・・・AY1Y2Y3B
Xのデータ:AからBまでの間のYの数
削除すべき地図要素構成単位の内容:Y1を削除する
変更後の地図要素構成単位の配列:X・・・AY2Y3B
変更すべき地図要素構成単位のデータ:Xのデータを2に変更する
元の配列ではAからBの間にYがY1、Y2、Y3の3個あるので,Xのデータの値は“3”であったが、削除後の配列ではY2とY3の2個になるので“2”と変更することになる。
(5)元の地図要素構成単位の配列:ZX1X2X3・・・AY1Y2Y3
Xのデータ:添字が同じYまでのAからの長さ
Zのデータ:X(あるいはY)の数
削除すべき地図要素構成単位の内容:Y2を削除する
変更後の地図要素構成単位の配列:ZX1X3・・・AY1Y3
変更すべき地図要素構成単位のデータ:Zのデータを1減らす
元の配列ではX2のデータはAからY2までの長さであったが、Y2を削除することによりX2のデータが“0”になるのでX2も削除し、したがってX(またはY)の数が1個減るのでZのデータも1減らすことになる。
(6)元の地図要素構成単位の配列:AY1Y2Y3B
削除すべき地図要素構成単位の内容:Y2を削除する
変更後の地図要素構成単位の配列:AY1Y3B
変更すべき地図要素構成単位のデータ:データの変更無し
この例のように、YがAからBの間に繰り返すだけの場合は、データの長さに影響を与えないY2だけの削除は、データの配列をずらせる変更だけになる。
(7)元の地図要素構成単位の配列(Bを正順にたどることによってYの順序を判別し、Aを逆順にたどることによってYの順番を戻る配列):
Z・・・A1Y2B3・・・A3Y4B5・・・A2Y3B4
Bのデータ:添字が同じYまでのZからの長さ(B3はZからY3までの長さ)
Aのデータ:添字が同じYまでのZからの長さ(B3はZからY3までの長さ)
削除すべき地図要素構成単位の内容:Y3を削除する
変更後の地図要素構成単位の配列:Z・・・A1Y2B4・・・A2Y4B5
変更すべき地図要素構成単位のデータ:データの変更は無し
Y3が削除されるので,ZからY3までの長さを示すA3およびB3も削除する。Y2
およびY4のZからの長さに変更はないので,A2およびB4のデータを変えずにデータ配列を変更するだけになる。
【0064】
すなわち、このように、地図要素構成単位の削除の内容は多種多様に行われるが、上記したように、地図要素構成単位のデータまたは地図要素構成単位の配列を、削除の内容に応じて変更(地図要素構成単位のデータの値の増減、地図要素構成単位のデータの配列の変更)させることにより、図葉のフォーマットを変更することなく地図を再構成することができる。
【0065】
このように、本実施の形態によれば、不要な図葉要素を削除し、その上で、更に図葉のフォーマットを再構成しているので、端末装置20では、センタ装置10から送信された図葉を受信できなかったり、処理できなかったりすることがなく、常に正確に受信し処理することができる。
【0066】
次に、本発明の一実施の形態における地図配信システムに使用する端末装置20の動作について、図12に示すフローチャートを用いて説明する。
【0067】
端末装置20において、まず、操作部22を用いて目的地を入力する(S701)。測位部24は、電源が投入されるとアンテナ28を介して現在位置を測位し、その測定結果から現在位置の緯度、経度を取得し(S702)、現在位置記憶部261に記憶する。
【0068】
そして、現在位置の移動距離が移動距離計算部262で計算され、その計算結果から端末装置20が予め定めた一定距離移動したことが確認されると、地図要求指示判断部264が地図要求を出力するように地図要求生成部268に指示し、前回測位した現在位置を前回位置記憶部263に記憶する。
【0069】
また、操作部22を用いて入力された目的地は、目的地入力処理部265に転送され、入力された目的地と測位部24で測位した現在位置をもとに、経路取得部266では、これらの情報を無線通信部21を介して外部機関に送り、外部機関の経路探索サービスを利用して現在位置から目的地までの経路を取得する。
【0070】
そして、取得された経路は、一旦、経路記憶部267に記憶され、経路記憶部267より都度、端末経路を得る状態になる(S703)。一方、最初の交差点情報は、次交差点抽出部273のレジスタに次の交差点情報として設定される(S704)。
【0071】
ここで、現在位置は測位部24で再度測位され、端末装置20の緯度、経度を更新する(S705)。更新された端末装置20の緯度、経度と端末経路とをもとに、これらを含む地図要求のデータが地図要求生成部268で生成される(S706)。
【0072】
S706で生成された地図要求は、一旦、地図要求記憶部269に記憶され、地図要求送信処理部271、無線通信部21を介してセンタ装置10に送信される(S707)。
【0073】
無線通信部21を介して地図要求を送信した後は、センタ装置10から送られる図葉の受信待ち状態になる(S708)。
【0074】
無線通信部21を介して図葉データが受信されると(S708のY)、受信された図葉データが図葉受信処理部270を介して図葉記憶部272に記憶される。そして、受信された図葉データは、画像表示処理部278を介して表示部23で記憶して表示される(S709)。
【0075】
一方、図葉データが受信されると(S708のY)、受信された図葉データをもとに、次交差点抽出部273に設定されたで次の交差点情報が読み抽出され、次交差点距離計算部275で次の交差点までの距離が計算される。
【0076】
そして、次の交差点までの距離が予め定めた所定距離(K)以下になった際(S710のY)には、次の交差点の音声案内をする(S711)。音声案内は、音声フレーズ記憶部276に記憶された音声フレーズと交差点音声抽出部274より抽出された交差点の音声データとで行われる。
【0077】
すなわち、「次の交差点は」というような音声フレーズは、音声フレーズ記憶部276に記憶された音声フレーズから適宜読み出され、交差点の名称は、受信された図葉データから交差点音声抽出部274によって適宜抽出される。そして、これらを合わせて、例えば、「次の交差点は、○○交差点です」や、「次の交差点○○を左です。」など、音声案内する。
【0078】
次の交差点が音声案内されると(S711)、次の交差点が最後の交差点か否かを確認し(S712)、最後の交差点と判断した場合(S712のY)は一連の処理を終了し、最後の交差点でない場合は(S712のN)、次の次の交差点を次交差点抽出部のレジスタに設定し(S713)、その後、再び、現在位置を測位して新端末の緯度、経度として設定する。(S714)。
【0079】
S710において現在位置から次の交差点までの距離が所定距離(K)を越えている場合(S710のN)にも、そのままS714で現在位置を測位し、新端末の緯度、経度として設定する。
【0080】
S714において現在位置が測位された後は、新端末の緯度、経度と端末の緯度、経度との距離、すなわち端末装置20の移動距離が計算され(S715)、その移動距離が予め定めた所定距離(R、但し、R<K)以下の場合は(S715のY)、現在位置を測位し、新端末の緯度、経度として再度設定する(S714)。
【0081】
S715において、端末装置20の移動距離が所定距離Rより大きい場合(S715のN)は、新端末の緯度、経度を端末の緯度、経度として現在位置記憶部261のレジスタに設定して(S716)、地図要求の手順に戻る(S706)。
【0082】
すなわち、本実施の形態では、S710で現在位置と交差点の距離が所定距離N以下と近くなった時に、次の交差点の音声案内をし、その後S715で端末装置20の移動距離を計算して所定距離Rより大きな移動があって始めてS706で地図要求をしている。
【0083】
このような構成とすることにより、渋滞などにより車両が進まない場合はに何度も地図を要求したり、何度も交差点案内をしたりすることがなく、搭乗者に不快感を与えることがない。
【0084】
ところで、本実施の形態では、地図要求生成部268で生成される地図要求に、現在位置情報と端末経路情報を含ませたが、それ以外に、地図要求データの概略図を図13に示すように、経路探索要求情報、表示画面情報、端末装置種別情報、あるいは端末装置20が不要とする情報を列挙したような不要項目情報、さらには、図要を削除する際の現在位置または端末経路と図葉との間の現在位置図葉間距離情報または端末経路図葉間距離情報や、次の交差点までの次交差点距離情報など、また各種音声案内をさせるための情報を要求する音声案内情報など、任意の情報を含ませることができる。
【0085】
たとえば、センタ装置10より配信される図葉の中には、地図情報に加え、施設、建物、その他、ナビゲーション装置に必要なあらゆる情報が含まれており、また、これらを音声案内するための情報も含まれている。したがって、センタ装置10から図葉を受信すれば、それに基づいて地図を表示できるだけでなく、その地図の中の施設、公園、その他あらゆるものを表示することができ、また、これらを音声案内することできる。
【0086】
しかしながら、目的地が、例えば遊園地であって、途中でコンビになどの店に立ち寄って買い物をしたい場合などは、これらセンタ装置10から送信される情報の全てを端末装置20で表示、案内する必要はなく、このような場合は、地図要求の中で、ガソリンスタンドや会社施設、レストランなど不要な情報を列挙して不要項目情報として含ませることができる。また、音声案内を不要とするなら、音声案内を、高速道路情報の表示が不要なら高速道路を不要項目情報として地図要求に列挙すればよい。
【0087】
不要項目情報が端末装置20から地図要求に含ませて送信されれば、センタ装置10において自動的にこれらの不要項目の情報に基づいて、不要な情報を削除して端末装置20に配信することができる。このようにすれば、不要な情報は初めから削除した形で入手することができ、配信にも余計な時間と費用がかからないという利点を有する。
【0088】
また、端末装置20の表示部23における表示サイズのような表示画面情報を地図要求に含め、その表示サイズにあった地図情報を入手するように構成することができる。すなわち、この場合には、センタ装置10において、端末装置20の表示部23にあった表示サイズの地図情報を生成し、それを端末装置20に送信するようにする。このようにすれば、端末装置20において自己の表示部23にあった地図情報を入手でき、表示できない余分な情報を入手するために余計な時間、料金などを必要としないという効果を奏する。
【0089】
この場合、地図要求に含ませるデータとして、例えば、端末装置20の表示画面の範囲を表わす四隅の緯度、軽度や、表示画面中心の緯度、経度および表示画面の南北間距離、東西間距離などを送ることができる。
【0090】
さらにまた、本実施の形態では、端末装置20の種別に関わらず、同じレベルで地図情報を配信するようにしているが、予め端末装置20の種別が分かっている場合や、端末装置20から事前にその種別を、図13に示すように地図要求として送信する場合、その種別に応じた情報のみセンタ装置10から配信するようにできる。
【0091】
例えば、端末装置20の種別として、次のような6種類のものがあったとする。
【0092】
1)地図描画可能、音声案内可能、検索動作可能
2)地図描画可能、音声案内可能、検索動作不可
3)地図描画可能、音声案内不可、検索動作可能
4)地図描画不可、音声案内可能、検索動作可能
5)地図描画不可、音声案内不可、検索動作可能
6)地図描画不可、音声案内可能、検索動作不可
この場合、これらの情報をそれぞれの端末装置20において、地図要求と共に自動的にセンタ装置10に送信するようにする。そして、これらの情報がセンタ装置10に送信されれば、センタ装置10においては、これらの情報をもとに配信しても無駄な情報を識別し、無駄な情報を配信しないようにする。
【0093】
すなわち、2)の種別の端末装置20であれば、検索動作に必要な情報は不要であるので、検索に必要な情報を削除して配信しないようにし、3)の種別の端末装置20であれば、音声案内のための情報が不要であるので、音声案内のための情報を削除して配信しな
いようにするといった具合に、それぞれの端末装置20の種別に応じて不要な情報を削除し、必要な情報のみ配信するようにする。このようにすれば、不要な情報の配信のために、多くの時間、料金を浪費することを極力少なくすることができる。
【0094】
この場合、「音声案内不可」の代わりに「スピーカなし」というデータを用いたり、「地図描画不可」の代わりに「表示画面なし」というデータを用いたり、種々のデータを用いることができる。
【0095】
また、その他、地図要求に含ませるデータとしては、現在位置情報や端末経路情報などは、それぞれの緯度、経度や距離を用いることができるが、本発明は特にこれらに限ることはない。
【0096】
なお、本実施の形態では、端末装置20において経路取得部266が無線通信部21を介して外部の経路探索サービスなどを利用して経路探索を行なったが、本発明はこれに限ることなく、端末装置20からセンタ装置10への地図要求に、図13に示すように経路探索要求情報として経路探索を含ませ、センタ装置10で経路探索をさせてその結果を取得するようにすることも可能であるし、また、端末装置20自体に経路探索機能を持たせて自ら経路探索することも可能である。
【0097】
このように、本実施の形態によれば、端末装置20より地図要求があれば、それに応じて地図要求のあった地図を図葉という形で端末装置20に送信し、端末装置20において送信された図葉を用いて地図を表示することができ、センタ装置では、端末装置の緯度、経度や、端末経路をもとに、それらより予め定めた所定距離以上離れた図葉の要素を自動的に削除し、更に、それを図葉のフォーマットに再構成するようにしており、端末装置20に特別なソフトウエアを組み込むことなく、センタ装置より送信された図葉を正確に受信でき、表示することができる。
【0098】
なお、本実施の形態では、無線通信部21を用いて無線でセンタ装置10と通信できるようにしているが、有線やCD−ROM、DVD−ROMなどを用いて配信するようにしても良い。また、地図データの構成は、図葉領域に分かれていなくても良い。例えば、緯度、経度順に並んだ道路や交差点といったフォーマットであっても良い。なた、図葉は、親子関係が必ずしも領域の4分割である必要はなく、8分割や不等分割であってもよい。
【0099】
また、図葉を再構成する場合、その対象としてデータサイズを採用しているが、これらはデータの部分同士の距離であってもよい。また、データサイズではなく、削除した情報があることを示す情報を付加し、それによって区別するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0100】
本発明は、端末装置よりセンタ装置に地図要求を送信することにより、センタ装置において、不要な地図が削除され、再構成されて送信されてくるものであり、地図情報としてのフォーマットを変更することなく、情報量の少ないものとして配信され、端末装置において、正確に受信され表示されるという効果を有する。したがって、本発明は、地図を通信で更新するカーナビ装置や、地図を利用する情報携帯端末装置などに広く利用でき、また、移動体でなくても地図を更新する目的や、地図を常時保持しない形態の端末装置に広く応用することができ、有用である。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】本発明の一実施の形態における地図配信システムの概略構成を示すブロック図
【図2】同システムに使用するセンタ装置の構成を示すブロック図
【図3】同システムで使用する端末装置の構成を示すブロック図
【図4】同システムに使用する図葉と地図領域との関係を示す図
【図5】同システムに使用する図葉の親子関係を示す図
【図6】同システムに使用する図葉のフォーマットを示す図
【図7】同システムに使用する図葉のフォーマットを詳細に示す図
【図8】同システムに使用する図葉の要素の一例のフォーマットを示す図
【図9】同システムに使用するセンタ装置の動作を示す第1のフローチャート
【図10】同システムに使用するセンタ装置の動作を示す第2のフローチャート
【図11】同システムに使用するセンタ装置の動作を示す第3のフローチャート
【図12】同システムに使用する端末装置の動作を示すフローチャート
【図13】同システムに使用する地図要求の一例のデータ構成を示す図
【符号の説明】
【0102】
10 センタ装置
11 地図データベース
12、21 無線通信部
13、26 制御部
14、27、28 アンテナ
20 端末装置
22 操作部
23 表示部
24 測位部
25 音声出力部
29 スピーカ
131 地図要求受信処理部
132 地図要求記憶部
133 端末位置抽出処理部
134 端末経路抽出処理部
135 端末位置図葉抽出処理部
136 端末経路記憶部
137 図葉記憶部
138 図葉要素抽出部
139 端末経路区間抽出部
140 距離計算部
141 図葉要素削除判断部
142 図葉要素削除部
143 図葉再構成部
144 図葉書き込み部
145 図葉送信処理部
261 現在位置記憶部
262 移動距離計算部
263 前回位置記憶部
264 地図要求指示判断部
265 目的地入力処理部
266 経路取得部
267 経路記憶部
268 地図要求生成部
269 地図要求記憶部
270 図葉受信処理部
271 地図要求送信処理部
272 図葉記憶部
273 次交差点抽出部
274 交差点音声抽出部
275 次交差点距離計算部
276 音声フレーズ記憶部
277 音声案内発生部
278 画像表示処理部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
地図要求を生成し送信する端末装置と、前記端末装置からの地図要求を受信し、前記地図要求にあった地図を前記端末装置に配信するセンタ装置とで構成され、前記端末装置は、前記端末装置の現在位置を測位する測位手段と、前記測位した現在位置に基づいて地図要求を生成する地図要求生成手段と、前記生成された地図要求を前記センタ装置に送信する送信手段と、前記地図要求に対応した地図を前記センタ装置より受信する受信手段と、前記受信した地図を表示する表示手段とを備え、前記センタ装置は、前記端末装置からの地図要求を受信する受信手段と、前記受信した地図要求に基づいて地図データベースより地図を抽出する地図抽出手段と、前記抽出された地図から不要な部分を削除する不要地図削除手段と、前記不要な部分が削除された地図を地図のフォーマットに沿って再構成する地図再構成手段と、前記再構成された地図を前記端末装置に送信する送信手段とを備えたことを特徴とする地図配信システム。
【請求項2】
前記不要地図削除手段が、前記端末装置より受信した地図要求に基づいて、前記端末装置の現在位置より予め定めた所定距離離れた位置の地図構成要素を削除すべき不要な部分と判断する判断手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の地図配信システム。
【請求項3】
前記端末装置が、目的地を入力する目的地入力手段と、前記入力した目的地までの経路を取得する経路取得手段とを備えると共に、前記地図要求生成手段が、前記取得された経路と前記端末装置の現在位置とに基づいて地図要求を生成し、前記センタ装置の前記不要地図削除手段が、前記端末装置からの前記取得された経路より所定距離離れた位置の前記地図構成要素を削除すべき不要な部分と判断する判断手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の地図配信システム。
【請求項4】
前記地図再構成手段が、前記削除された地図構成要素の内容に応じて、残存する地図構成要素の配列を整え、前記残存する地図構成要素のデータの構成や配列を示す数値を変更する手段を備えたことを特徴とする請求項1記載の地図配信システム。
【請求項5】
前記地図要求に前記端末装置の表示部における表示サイズが含まれており、前記地図削除手段が、前記要求された表示部の表示サイズに対応する地図領域から所定距離離れた位置の前記地図構成要素を削除することを特徴とする請求項1記載の地図配信システム。
【請求項6】
前記地図要求に前記端末装置が不要とする情報が含まれており、前記地図削除手段が、前記不要とする情報に基づいて不要な部分の前記地図構成要素を削除することを特徴とする請求項1記載の地図配信システム。
【請求項7】
前記地図要求に前記端末装置の種別が含まれており、前記地図削除手段が、前記端末装置の種別に基づいて不要な部分の前記地図構成要素を削除することを特徴とする請求項1記載の地図配信システム。
【請求項8】
端末装置からの地図要求を受信する受信手段と、前記受信した地図要求に基づいて、前記受信した地図要求に応じた地図を、地図データベースから抽出する地図抽出手段と、前記抽出された地図から不要な部分を削除する地図削除手段と、前記不要な部分が削除された地図を地図のフォーマットに沿って再構成する地図再構成手段と、前記再構成された地図を前記端末装置に送信する送信手段とを備えたセンタ装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−23440(P2006−23440A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−200303(P2004−200303)
【出願日】平成16年7月7日(2004.7.7)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】