地域再資源化特性を考慮した製品設計支援方法、および製品設計支援システム
【課題】グローバルに展開する商品が使用済となった場合に、各国・各地域毎に異なる再資源化方法により処理される場合を想定し、製品の設計情報を用いて、異なる処理方法において発生する再資源化コスト・環境負荷を定量化し、設計改良を支援する。
【解決手段】製品情報と地域別再資源化特性の情報を入力情報として、地域別の再資源化方法を判定し、さらに地域別の再資源化コスト・環境負荷の原単位情報を用いることで、製品設計情報から、地域別の再資源化コスト・環境負荷を定量化する方法およびシステムを提供する。
【解決手段】製品情報と地域別再資源化特性の情報を入力情報として、地域別の再資源化方法を判定し、さらに地域別の再資源化コスト・環境負荷の原単位情報を用いることで、製品設計情報から、地域別の再資源化コスト・環境負荷を定量化する方法およびシステムを提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グローバルに展開する商品を設計する段階で,その設計情報から,展開する地域毎に異なる使用済みとなった製品の再資源化方法に見合った再資源化コスト,再資源化環境負荷を定量的に評価し,設計改善やビジネス戦略の検討を支援する方法およびそのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
製品が使用済となった場合に、その製品を再資源化処理するのに発生する費用や環境負荷を定量化する技術としては、特許文献1に示される技術などがある。しかしこの技術は、製品が使用済みとなった場合に行われる処理を、ある特定の1つの処理方法によって行われることを前提として、再資源化時にその処理方法をとった場合に発生する費用や環境負荷の定量化を行っている。
【0003】
また国・地域別のコストなどのデータを用意することで、生産拠点別の評価を実現する技術としては、特許文献2に示される技術などがある。しかしこの技術は、固定された再資源化特性に基づいて製品の全ライフサイクルの環境負荷やコストを評価している。
【0004】
【特許文献1】特許第3500817号公報
【特許文献2】特開2005−165469号公報
【特許文献3】特開平6−251024号公報
【非特許文献1】Yuzo Hiroshige, 他:「Development of Disassemblability Evaluation Method」:8th International Conference on Production Engineering(ICPE) 1997/08/18
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし近年になり、日本国内における各種リサイクル法,欧州WEEE指令(Waste Electrical and Electronic Equipment:使用済電気機器の回収リサイクル義務化),米国カリフォルニア州電子廃棄物リサイクル法(SB20/50)[Senate Bill 20/50]複数の州における製品のリサイクルに関する規制、韓国リサイクル法、中国廃電子機器リサイクル法など、世界各国・各地域において製品が使用済みとなった場合に、製造事業者・輸入事業者に商品の回収・再資源化を義務付ける規制が成立し、商品の製造・販売をグローバルに展開する企業は、回収・再資源化もグローバルに行う必要が生じている。ここで、各国・各地域において、規制の考え方や処理技術、また再資源化に関わる費用などが異なるため、各国・各地域において行われる再資源化処理には大きな違いがある。したがって、製品の再資源化時に発生する費用や環境負荷も各国・各地域において異なることになる。
そこで本発明の目的は、各国・各地域で行われる再資源化方法をパラメータの一つとして捉え、製品が各国・各地域で行われる再資源化方法により再資源化された場合に発生する費用や環境負荷を算出するための方法およびシステムを示すことである。
【0006】
また本発明の別の目的は、算出される地域別再資源化コスト、再資源化環境負荷情報と、各国・各地域に対する製品出荷戦略情報に基づき、出荷戦略を考慮した製品販売期間における再資源化総コスト、再資源化総環境負荷を算出する方法およびシステムを示すことである。
【0007】
さらに本特許の別の目的は、同じ地域内でも異なる複数のリサイクル方法の中から、再資源化コストや再資源化環境負荷の面でトータルに優れた再資源化方法を判定することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明は、製品構成情報、地域別再資源化特性情報、共通・地域別再資源化コスト・環境負荷原単位情報を備え、再資源化方法判定ロジック、再資源化コスト・環境負荷算出方法により、製品が使用済みとなった時点での地域別再資源化特性を考慮した再資源化コスト・環境負荷を定量的に評価する方法を示すものである。
【0009】
また本発明は、製品構成情報、地域別再資源化特性情報、共通・地域別再資源化コスト・環境負荷原単位情報を備え、再資源化方法判定ロジック、再資源化コスト・環境負荷算出方法により、製品が使用済みとなった時点での地域別再資源化特性を考慮した再資源化コスト・環境負荷を定量的に評価するシステムを示すものである。
さらに本発明は、再資源化コスト・環境負荷の定量的な数値に加え、地域別製品出荷戦略情報を加味することで、製品の出荷期間における再資源化総コスト、再資源化総環境負荷を定量化する方法を示すものである。
【0010】
また本発明は、再資源化コスト・環境負荷の定量的な数値に加え、地域別製品出荷戦略情報を加味することで、製品の出荷期間における再資源化総コスト、再資源化総環境負荷を定量化するシステムを示すものである。
【0011】
さらに本発明は、同じ地域における複数の再資源化方法から、再資源化コストと再資源化環境負荷の面でトータルに優れた再資源化方法を抽出する方法を示すものである。
【0012】
また本発明は、同じ地域における複数の再資源化方法から、再資源化コストと再資源化環境負荷の面でトータルに優れた再資源化方法を抽出するシステムを示すものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、グローバルに販売を展開する商品において、当該商品がグローバルに広がる各地域で使用済となった場合に、その地域の再資源化特性により再資源化した場合の再資源化コスト・環境負荷を定量的に製品設計情報から評価することができる。これにより、グローバルに展開する商品のライフサイクルコスト・環境負荷を設計時点で把握することが可能となり、商品のライフサイクルコスト・環境負荷低減に向けた設計支援を行うことができる。
【0014】
また商品の地域別出荷戦略の情報を加味することで、その商品のグローバルでの市場における再資源化コスト・環境負荷のトータルを商品設計時点で把握することができる。これにより、グローバルに展開する商品のライフサイクルコスト・環境負荷を把握し、企業としての対策の検討、商品戦略の見直しなどに活用することができる。
【0015】
さらに特定の地域における複数の再資源化方法の中から、再資源化コストと再資源化環境負荷の面でトータルに優れた再資源化方法を抽出することで、特定の地域における再資源化業者の選定に活用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を実現する方法を図1から図14を用いて示す。
【実施例1】
【0017】
図1は本実施例のフローの一例を示している。図2に示す本発明のシステム構成のデータ管理部205に存在する製品情報データベース205aから、製品情報を読み取り、メモリ部201に格納する(ステップ101)。本発明を実現するシステムの全体構成の一例を図2に示す。本発明のシステムはメモリ部201、計算部202、入力インターフェース203、出力インターフェース204、データ管理部205からなる。この構成は通常のパーソナルコンピュータで実現可能なもので特殊なものではなく、例えばデータ管理部205がメモリ部201の内部に構成されることも考えられるが、本発明の実現に影響を与えるものではない。計算部202は再資源化方法判定部202a、再資源化コスト算出部202b、再資源化環境負荷算出部202cで構成される。データ管理部205は製品情報データベース205a、地域別再資源化特性データベース205b、再資源化コスト原単位データベース205c、再資源化環境負荷原単位データベース205dで構成される。これらは必ずしも独立して存在する必要はなく、例えば再資源化コスト原単位データベース205c、再資源化環境負荷原単位データベース205dが単一のデータベースとして構成されても本発明の実現に影響を与えるものではない。入力インターフェース203は例えばキーボード、マウスなどの通常の入力装置で実現可能であり、また出力インターフェース204もモニタ、プリンタなどの通常の出力装置で実現が可能である。
【0018】
製品情報データベース205aは、図3(a)に例を示す製品を構成する部組品、部品(以降、これらをまとめて部品と呼ぶ)の親子関係、員数、その単位などを管理する部品構成情報、図3(b)に例を示す部品の種類、材質や重量、含有する化学物質やその量などの属性を示す部品属性情報などがある。
【0019】
ステップ101に続いて、データ管理部205に存在する地域別再資源化特性データベース205bから、地域別再資源化特性情報を読み取り、メモリ部201に格納する。さらに、実施例1では、地域または国の指定を、例えば入力インターフェース203から入力する(ステップ102)。
【0020】
一般的な再資源化処理のフローの例を図4に示す。最初に回収された製品から、一部のユニット(複数の部品で構成される一定の機能を持つ部位)や部品をその原形を留めたまま取り外す解体処理を行う(ステップ401)。次に解体されたユニットに対しては、さらにユニットや部品を取り外す再解体処理が行なわれる場合もある(ステップ402)。この再解体処理はさらに繰り返し行なわれることもある。そして、解体されたユニットや部品に対しては、それらを再使用するために、例えば洗浄や検査といった再生処理が行なわれる場合(ステップ403)、適正な処理を実現するために、例えば回路基板からの貴金属回収やモータなどの通常では破砕や粉砕が困難なユニットに対する特殊な破砕・粉砕・選別処理など専用処理が行なわれる場合(ステップ404)がある。またこれらの対象にならない解体されたユニットや部品、そして製品やユニットからの解体の対象にならなかった部位(ステップ405)に対しては、一般にそれらを細かく砕く破砕や粉砕と呼ばれる処理(ステップ406)を経て、材料毎に分別する選別処理が行なわれる場合(ステップ407)が多い。ここで破砕や粉砕処理に対しては、破砕機や粉砕機と言われる装置が用いられ、選別処理としては、鉄が磁石に引き寄せられる性質を利用した磁力選別(鉄が回収可能)、導体が磁石の傍を移動する場合に発生する電流(渦電流)の原理を活用する渦電流選別(一般に導体である金属と導体でないプラスチックの選別が可能)、重液(比重を2.0や3.0などに調整した液体)や水(比重1.0)を用いて対象物の比重の差を利用して選別する比重選別{例えば渦電流選別で回収した非鉄金属同士や、渦電流選別で回収されなかった残り(多くの場合プラスチックの混合物)からのプラスチック同士の選別が可能}などが行なわれる場合が多い。これらの処理は多くの処理業者からの情報として提供されている技術である。さらに磁力選別や渦電流選別、比重選別などで選別された金属類に対しては多くの場合に精錬処理が行なわれ(ステップ408)、再び金属材料として利用できるようになる。また選別されたプラスチックは再生処理(ステップ409)が行なわれて材料として再利用される場合や、結果として焼却(ステップ410)などにより熱源として利用される場合がある。またこれらの工程で回収できなかった材料等(一般にはダストなどと呼ばれる)については、焼却によって処分されるものや最終処分場に埋立処分される場合が一般的である(ステップ411)。
【0021】
ただし、これらの再資源化方法は、例えば欧州、日本、東南アジアといった地域や国、そして同じ地域や国においても、再資源化を行う業者によって異なることが多い。例えば相対的に人件費が高いとされる欧州では人手による作業が求められる解体は少ない傾向にあり、また埋立費(最終処分費)が高い日本ではダストの最小化を目指した処理(結果としてある程度人手による解体処理が行なわれる)が、相対的に人件費の安い地域では有価物の回収率向上を目的に手解体が積極的に行われる傾向が強い。
【0022】
従来、製品のリサイクル性を評価する技術においては、地域や国、そして業者によって異なる再資源化方法を考慮していなかった。そこで、本発明においては、これらの地域や国、業者によって異なる再資源化方法を地域別再資源化特性情報データベース205bに保存する。地域別再資源化特性情報データベース205bの例を図5、図6に示す。図5は、図4で示した再資源化方法の中で、「解体(ステップ401)」の対象となる部位を地域や国毎、さらには製品や部品の種別、材料、含有する化学物質などの情報を基に記録した例である。この例では、「欧州」では、「電動工具」からは「工具」や「工具止」を、製品・ユニットは問わず「100g以上(モータの行の「最低質量」欄がこれを示している)」の「モータ(「モータ」の行の「製品・ユニット」の欄が空欄であることで「モータ」は製品・ユニットを問わず解体することを示している)」を、また製品・ユニットは問わず「5g以上」の「水銀」を含有している部品を解体することが、また「日本」では「電動工具」からは「工具」を、製品・ユニットを問わず「基板組」や「モータ」を、そして一定以上のサイズのプラスチック(PPやABS)を、さらには製品・ユニットから解体した「基板組」から「25g以上」の質量の「アルミ製(Al)部品」を解体することを意味している。ここで図5の例では地域・国、製品、部品種別、材料、化学物質を1つのデータベースとして記録しているが、これらは必ずしも1つのデータベースとして記録する必要はなく、またこれらすべてを網羅する必要もない。またこの例では、製品・ユニットを問わず解体する「モータ」の「製品・ユニット」欄を空欄とすることで「製品を問わず」を表現しているが、対象となる製品ごとに、対象製品・ユニットと対象部品分類を記録しても同様のことができる。これは他の項目についても同様である。またこの例において「日本」における「基板組」は、まず解体対象の「部品分類」として抽出された後、さらに解体を行う「製品・ユニット」として記録され、「基板組」を構成する「材料コード」の「Al」が解体の対象として記録されている。これが図4における再解体(ステップ402)が抽出されるデータとなる。この例は基板組に置かれた材料:Al(放熱目的などに使われるアルミ製の放熱板をイメージしたデータ)は、基板組からさらに解体されることを記録した例である。
また図6は、図4で示した再資源化方法の中で「解体」によって生成されたユニット、部品、および非解体部の処理方法、およびそれらの処理によって生成した回収品を対象品とする処理方法を、地域または国別にデータベースとした例を示している。この例では、「欧州」では解体した「モータ」は「破砕・選別」処理を経て「鉄」の「95%」、「銅」の「90%」が回収される、さらにその「鉄」、「銅」はそれぞれの「精錬」処理を経て、「90%」、「96%」の収率で再生が行なわれることが記録されている。「日本」では「基板組」は「銅精錬」処理により、その中に含まれる「金」の「97%」、「銅」の「94%」が再生されること、「プラスチック」も「再生」処理により「80%」が再資源化されることなどが記録されている。ここで図6にある「末端」フラグはその処理を行うことにより、再資源化処理が完了することを示しており、逆にこの「末端」フラグがない処理については、その処理における回収物がさらに次の処理に回されることを示している。例えば「欧州」における「モータ」の「破砕・選別」では「鉄」や「銅」が回収されるが、ここでは処理が終わらず(この行の情報には末端フラグがない)、さらに「鉄精錬」や「銅精錬」の処理が行なわれて「鉄」、「銅」として回収され、この処理には「末端」フラグがあるので、そこで再資源化処理が終了することが判定できる。また図6においては、各地域・国において「対象品」を特定しない「処理」が指定されている。例えばこの例では「欧州」「日本」いずれにおいても「破砕・選別」が設定されている(各地域・国の最下行のデータ)。これは、後述する処理方法の抽出において、対象となる処理が抽出されなかった部位に対する処理方法をあらかじめ設定するためのデータである。また図6の例では欧州、日本といった地域・国をベースに再資源化方法を記録した例を示しているが、これを例えば業者別に記録することで、業者ごとの再資源化方法を同様に記録することが可能となる。
【0023】
次にステップ101、ステップ102で読み取った製品情報ならびに地域別再資源化特性情報を用いて、計算部202に存在する再資源化方法判定部202aにより、再資源化方法の判定を行う(ステップ103)。
【0024】
ステップ103の具体的方法を、図7を用いて説明する。ステップ101で読み取った製品情報のそれぞれの部品について、その属性(例えば部品分類、材料コード、化学物質コードなど)と、ステップ102で図5から読み取った地域別解体対象部品情報のうち、指定された地域または国に対応する各情報レコードの部品分類、材料コード、化学物質コードの項目に格納されたデータとを比較する。そして、1つでも一致する属性データがある情報レコードがある場合に、その情報レコードに対応する図3(b)の部品を解体の候補とする(ステップ701)。そして、その解体候補の部品の材料コード、または化学物質コードが一致する属性データである場合には、図5の該当情報レコードに記録された最低質量を満たすかを判定して、解体対象部品と判定する(ステップ702)。以上の処理を繰り返して、「解体」対象であるユニットや部品を、製品を構成する部品全体から抽出する(ステップ702〜704)。
【0025】
例えば図3(a)(b)の例においては、指定された地域または国が「欧州」の場合では、最上位の親部品A「電動工具」は、図5の製品・ユニット「電動工具」に対応し、その製品・ユニット「電動工具」の情報レコードの部品分類「工具」と図3(b)の部品A2の部品分類「工具」が一致して解体部位と判定する。続いて、図5の製品・ユニットが空欄(製品・ユニットを問わない)、部品分類「モータ」の情報レコードと、図3(b)の部品A4の部品分類「モータ」が一致していて、更にその部品分類「モータ」の情報レコードの最低質量50に対して、図3(b)の部品A4の情報レコードの重量が60gとなっていて、50g以上であるので、部品A4を解体部位と判定する。続いて、図5の製品・ユニットが空欄(製品・ユニットを問わない)、部品分類も空欄(部品分類を問わない)、化学物質コード「Hg」の情報レコードと、図3(b)の部品A12の情報レコードとは、化学物質コード「Hg」が一致していて、更に図5の化学物質コード「Hg」の情報レコードの最低質量が5であるのに対して、図3(b)の部品A12の情報レコードの「Hg」の重量が部品重量200gの30%、すなわち60gであり、これが図5の情報レコードの最低重量5gを上回っていることから、部品「A12」を解体部位と判定する。続いて、部品「A12」が解体部位として判定されたことにより、その部品を含むユニットである部品A1「基板組」が解体対象として抽出される。ここで部品「A12」はユニット「A1」から再解体がされるものとして判断される。
また、同じ製品情報図3(a)(b)に対して、ステップ102において指定された地域または国が「日本」の場合では、まず同様に最上位の親部品A「電動工具」は、図5の製品・ユニット「電動工具」に対応し、その製品・ユニット「電動工具」の情報レコードの部品分類「工具」と図3(b)の部品A2の部品分類「工具」が一致して解体部位と判定する。続いて、図5の製品・ユニットが空欄(製品・ユニットを問わない)、部品分類「基板組」の情報レコードと、部品分類「モータ」の情報レコードとにそれぞれ対応して、図3(b)の部品A1の部品分類「基板組」と、部品A4の部品分類「モータ」が一致して、部品A1、A4を解体部位と判定する。続いて、図5の製品・ユニットが空欄(製品・ユニットを問わない)、部品分類も空欄(部品分類を問わない)、材料コードが「ABS」、最低質量は50の情報レコードと、図3(b)の部品A3、部品分類「ケース」、材料コード「ABS」、重量100gの情報レコードとは、属性の材料コード「ABS」が一致して、部品重量100gは最低質量50g以上であるので、部品A3を解体部位と判定する。続いて、図5の製品・ユニットが「基板組」、部品分類は空欄(部品分類を問わない)、材料コードが「Al」、最低質量は25の情報レコードと、図3(b)の部品A11、部品分類「放熱板」、材料コード「Al」、重量30gの情報レコードとの対応では、属性の材料コード「Al」が一致して、更に部品重量30gは最低質量25g以上であるため、部品A11を解体部位と判定する。
次に上記ステップで抽出した解体したユニットや部品、さらに解体対象とならなかった部位について、その処理方法を抽出する方法を、指定された地域または国が「欧州」の場合を例に説明する。まず上記ステップにおいて、図3に例を示した構成の製品Aにおいては製品「A」から解体対象とならなかった少なくとも部品「A3」で構成される部位、また再解体が行なわれたユニット「A1」において、再解体の対象とならなかった少なくとも部品「A11」「A13」「A14」で構成される部位が「非解体部」として抽出される(ステップ705、図4ではステップ405)。次にステップ701〜704で抽出された解体部位、ステップ705で抽出された非解体部それぞれについて、その処理方法を抽出する(ステップ706〜709)。
前記全ての解体部位、および非解体部は、それぞれ1つずつ選択されて、図6の指定された地域・国に対応する情報レコードの「対象品」と照合される(ステップ706)。もし、一致した対象品のデータが有る場合には、一致した対象品が記録された情報レコードより、処理の欄に記載された処理方法を当該解体部位、または非解体部位の処理方法として読み出す(抽出する)(ステップ707)。
例えば、図5「地域別解体対象部品情報」および図6「地域別再資源化特性情報」の例において、解体されると判定された部品「モータ」A4と、図6の対象品の欄のデータが「モータ」と一致する情報レコードを検索する。その情報レコードの処理の欄のデータは、「破砕・選別」処理と抽出され、その処理による回収品は、鉄95%、銅90%が回収されることが読み出される。ここで、この破砕・選別処理によって回収される鉄、銅には「末端」フラグがない(図6参照)。そこで、さらにこの「鉄」や「銅」に対する処理の検索を行ない「鉄精錬」「銅精錬」処理が行なわれ、それぞれ鉄90%、銅96%が回収されることが読み出される。このようなステップを、前記したステップ701〜704およびステップ705で抽出した解体対象部位、非解体部全てについて行う(ステップ706〜709)。
さらにこの方法で処理方法が抽出されなかった部位については、図6に例を示す地域別再資源化特性情報に示されるように、対象品の欄を空欄とする情報レコードを設けて、対象品目を特定しない処理方法を記録する。図6の例では「破砕・選別」処理が記載されており、その処理における回収物も特定される。この例では、それぞれの回収物には「末端フラグ」がないため、さらに鉄精錬、銅精錬、アルミ精錬などの処理を行うことをステップ706〜709と同様の方法により実施し、全体の処理方法、回収物を特定することが可能となる(ステップ710)。
【0026】
次にステップ103により判定された再資源化方法に該当する再資源化コスト、および/または再資源化環境負荷をデータ管理部205に含まれる再資源化コスト原単位データベース205c、再資源化環境負荷原単位データベース205dから読み込み、メモリ部201に格納する(ステップ104)。
【0027】
再資源化コスト原単位データベース205cは図8(a)に例を示すとおり、地域や国別に、処理方法、対象、原単位(コスト)、原単位単位(原単位の単位)、発生単位(原単位が発生する単位)などを記録したものである。また再資源化環境負荷原単位データベース205dは図8(b)に例を示すとおり、地域や国別に、処理方法、対象、環境負荷項目、原単位(環境負荷)、原単位単位(原単位の単位)、発生単位(原単位が発生する単位)などを記録したものである。
【0028】
ステップ104においては、ステップ103で抽出されたプロセスに関する情報のみを抽出すれば十分であるが、再資源化コスト原単位データベース205c、再資源化環境負荷原単位データベース205dに含まれるすべての原単位を読み込み、メモリ部201に格納しても問題はない。この場合ステップ104は必ずしもステップ103の後に行う必要はなく、ステップ101からステップ105の間のいずれかのタイミングで行えばよい。このように本発明は必ずしもこの順番に実施しなくても良いステップがほとんどであり、ステップの順序は、多くの場合、本発明に大きな影響を与えるものではない。
【0029】
最後に計算部202に含まれる再資源化コスト算出部202b、および/または再資源化環境負荷算出部202cが、ステップ103で判定した再資源化方法と、ステップ104で読み込んだ再資源化コスト原単位、および/または再資源化環境負荷原単位を用いて、再資源化コスト、および/または再資源化環境負荷を算出する(ステップ105)。
【0030】
例えば再資源化コストは
(数1)
再資源化処理毎コスト原単位 × 再資源化処理量
再資源化コスト=Σ( ―――――――――――――――――――――― )
コスト原単位発生単位
により算出が可能であり、また再資源化環境負荷は、環境負荷項目毎に
(数2)
再資源化処理毎環境負荷原単位 × 再資源化処理量
再資源化環境負荷=Σ( ――――――――――――――――――――――― )
環境負荷原単位発生単位
により算出が可能である。図5および図8の事例を用いてより具体的に説明する。
【0031】
図7のステップ702で抽出した解体工程については、図8で原単位が「s(ここではsecond、秒をイメージした記録)」毎に「1.3(ここではユーロ[EUR]をイメージした記録)」であり、各ユニットや部品の解体時間の情報を基に解体コストを算出することができる。なお、各ユニットや部品の解体時間の算出方法については、特許文献3「物品の作業および処理の容易性評価方法および評価装置」、および非特許文献1などに記載される方法で実現が可能であり、本発明においてその詳細には触れない。
【0032】
また、図7のステップ707で抽出した解体以降の処理工程については、例えば「破砕・選別」工程は1kgあたり10(ここではユーロ[EUR]をイメージ)のコストが掛かることが記録されている。ここで、原単位が負の値となる場合とは、各処理による処理コストよりも、処理により得られた回収品を売却する利益の方が大きい場合を示す。
【0033】
また図3(b)には、対象となる製品を構成する各部品の重量が記録されている。ステップ707で抽出した各処理の対象部品(複数の部品で構成されるユニットを含む)の重量の合計は、この各部品の重量を合計することで算出可能である。例えば、算出した各処理の対象重量と図8(a)に示した処理単価(原単位/発生単位)を上記数式に適用することで、各処理の処理コストを求めることが可能である。処理環境負荷についても同様の方法で算出が可能である。なお図8(b)では再資源化環境負荷の環境負荷項目として「電力」のみを例に示しているが、この他に「水」「資源」といった項目、さらに「資源」を細分化した「鉄資源」「銅資源」「金資源」といった項目、また「電力」といった項目から、その影響を算出する「二酸化炭素排出量」「土壌汚染量」といった項目でも評価が可能である。
【0034】
なお、本実施例では地域別再資源化特性情報データベース205bとして、製品を再資源化する場合のみの情報を格納したデータベースを用いて説明したが、このデータベースを例えば地域別ライフサイクル特性情報データベースとして、現在の地域別再資源化特性情報データベース205bの情報に加えて、例えば製品製造時のプロセス情報(例えば組立時間xx分など)、製品販売時(含む運搬)のプロセス情報(例えば10tトラックでの運搬500km、2tトラックでの運搬10kmなど)、製品使用時のプロセス情報(例えば水使用量100l/回、消費電力50w、使用時間2h/日など)、商品が使用済みとなった場合の回収プロセス情報(例えば10tトラックでの運搬500km、2tトラックでの運搬10kmなど)をあわせて管理し、さらに再資源化コスト原単位データベース205c、再資源化環境負荷原単位データベース205dも各々製品のライフサイクルに関わるコストや環境負荷の原単位を管理する製品ライフサイクルコスト原単位データベース、製品ライフサイクル環境負荷原単位データベースとすることで、上記に示した方法と同様の方法で、製品の設計情報を用いて製品のライフサイクルで発生するコスト・環境負荷の算出も可能となる。
【0035】
この方法によれば、製品情報を用いて、地域毎に異なる再資源化特性を踏まえた再資源化方法を判定し、その方法に基づき再資源化コストや再資源化環境負荷を算出することが可能となる。その結果、製品の設計段階で、その製品を出荷する地域の特性に見合った再資源化コストや環境負荷を定量的に評価することが可能となり、コストや環境負荷の発生要因の分析により、コストや環境負荷をより小さくするための設計改良の支援が可能である。
【実施例2】
【0036】
次に別の実施例を図9、図10、図11を用いて説明する。図9は本実施例のフローの一例を、図10に本実施例のシステム構成の一例を示している。本フローにおいてステップ101、ステップ102、ステップ103、ステップ104、ステップ105は先の実施例と同じである。ステップ101とステップ102の間にデータ管理部205に含まれる出荷戦略情報データベース205eから、製品出荷戦略情報読み取りを行い、メモリ部201に記憶する(ステップ901)。なおこのステップは必ずしもステップ101とステップ102の間にある必要はなく、ステップ101と入れ替わっても問題はない。このようにステップの順序の多くは、本発明に大きな影響を与えるものではない。
【0037】
ここで、製品出荷戦略情報データベース205eは図11にその一例を示すとおり、製品形名またはノートパソコンといった種別、出荷先(国または地域)、出荷量(台数)などの情報を管理する。これらのデータはあらかじめデータ管理部205に保管しておく。データ管理部205への登録方法は一般的な情報システムへのデータの登録方法であり、特殊なものではない。
【0038】
ステップ901で抽出した製品出荷戦略情報に存在する出荷先の国・地域毎にステップ102からステップ105を繰り返し、当該製品に関する各国・地域毎の再資源化コスト・環境負荷を算出する(ステップ902、ステップ903)。
【0039】
次に計算部202に存在する地域別再資源化コスト・環境負荷重み付け部202dにより、算出した各国・地域毎の再資源化コスト・環境負荷と製品出荷戦略情報を用いて、地域別再資源化コスト・環境負荷重み付けを
(数3)
総再資源化コスト=Σ(国・地域別再資源化コスト × 当該地域製品出荷戦略(台数))
(数4)
総再資源化環境負荷=Σ(国・地域別再資源化環境負荷 × 当該地域製品出荷戦略(台数))
により行う(ステップ904)。
【0040】
この方法によれば、各製品または製品種別毎に異なる製品出荷戦略(国・地域別の出荷台数)による重み付けにより、製品または製品種別ごとの再資源化コスト・環境負荷の総量を算出することができ、その結果、より出荷台数の多い国で再資源化コストや環境負荷が小さくなるように設計改良を行う指針を提供することができる。
【実施例3】
【0041】
次に別の実施例を図12、図13、図14を用いて説明する。図12は本実施例のフローの一例を、図13に本実施例のシステム構成の一例を示している。本フローにおいてステップ101、ステップ102、ステップ103、ステップ104、ステップ105は実施例1と同じである。ステップ101とステップ102の間にデータ管理部205に含まれるCSR(Corporate Social Responsibility)戦略情報データベース205fから、企業のCSR戦略情報読み取りを行い、メモリ部201に記憶する(ステップ1201)。なおこのステップは必ずしもステップ101とステップ102の間にある必要はなく、ステップ101と入れ替わっても問題はない。このようにステップの順序の多くは、本発明に大きな影響を与えるものではない。ここで、CSR戦略情報データベース205fは図14にその一例を示すとおり、地域や国毎のコスト(製造コストや再資源化コストなど複数の項目があることを想定した例を示す)や環境負荷(再資源化率や、CO2排出量、資源枯渇量など複数の項目があることを想定した例を示す)それぞれの重み付けを管理する。ここで、例えばコストや資源枯渇量などのように、数値が小さい方がより良い評価項目と、例えば再資源化率のように数値が大きい方が良い評価項目では重み付けの正負を変える。これにより以下に示す(数5)(数6)を用いた方式により、最適な方法を抽出できるようになる。これらのデータはあらかじめデータ管理部205に保管しておくが、その登録方法は一般的な情報システムへのデータの登録方法であり、特殊なものではない。
【0042】
ステップ1201で抽出したCSR戦略情報に存在する出荷先の国・地域毎にステップ102からステップ105を繰り返し、当該製品に関する各国・地域毎の再資源化コスト・環境負荷を算出する(ステップ902、ステップ903)。
【0043】
次に計算部202に存在する最適再資源化方法判定部202eにより、算出した国・地域毎の複数のコスト項目、環境負荷項目をCSR戦略情報を用いて重み付けし(ステップ1202)、最適な再資源化方法を抽出する(ステップ1203)。CSR戦略情報による重み付けの方法としては、例えば
(数5)
コスト・環境負荷重み付け結果 = Σ
比較再資源化方法製造コスト情報
( ――――――――――――――――― × 製造コスト重み係数、
基準再資源化方法製造コスト情報
比較再資源化方法再資源化コスト情報
――――――――――――――――――― × 再資源化コスト重み係数、
基準再資源化方法再資源化コスト情報
比較再資源化方法再資源化率情報
――――――――――――――――― × 再資源化率重み係数、
基準再資源化方法再資源化率情報
比較再資源化方法CO2排出量情報
―――――――――――――――――― × CO2排出量重み係数、
基準再資源化方法CO2排出量情報
比較再資源化方法資源枯渇量情報
――――――――――――――――― × 資源枯渇量重み係数)
基準再資源化方法資源枯渇量情報
に示す方法が考えられる。ここで、基準とする再資源化方法については、例えば最初に算出された再資源化方法のコスト・環境負荷の算出結果とするなど、いずれの方法を用いても結果に違いは生じない。また基準とする再資源化方法についても、他の再資源化方法と同様に「比較」対象としても扱う(この場合、全ての割り算部分の値は1になる)。またこの例では図14に示した5つの項目での重み付け例を示しているが、重み付け対象が増減しても、同様の考え方で対応が可能である。
例えばこの方法で行った重み付けの結果
【0044】
(数6)
最適再資源化方法 = Min(再資源化方法別コスト×環境負荷重み付け結果)
となる再資源化方法が最適な方法として抽出される。
【0045】
なお、図12、図13、図14では地域・国毎の再資源化方法を例に最適な再資源化方法を抽出する方法を説明したが、図5、図6、図8、そして図14について、地域・国毎の情報の管理に変えて、同一地域または同一国内の複数の再資源化方法、すなわち再資源化業者毎の情報を同様に管理することで、同一地域または同一国内の再資源化方法、再資源化業者から、最適な再資源化方法、業者を抽出することが可能である。
【0046】
この方法によれば、コストや環境負荷に対する企業戦略としての重み付け(CSR戦略)に基づき、最適な再資源化方法または再資源化業者を選定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の実施フローの一例を示す図である。
【図2】本発明の実施フローの一例において、それを実現するためのシステム構成の一例を示す図である。
【図3】本発明の実施フローの一例において、製品情報データベースの一例を示す図である。
【図4】本発明の対象とする再資源化フローの一般的な事例を示す図である。
【図5】本発明の実施フローの一例において、地域別再資源化特性情報データベースに格納される地域別解体対象部品情報の一例を示す図である。
【図6】本発明の実施フローの一例において、地域別再資源化特性情報データベースの一例を示す図である。
【図7】本発明の実施フローの一例において、再資源化判定方法の一例を示す図である。
【図8】本発明の実施フローの一例において、再資源化コスト原単位データベース、再資源化環境負荷原単位データベースの一例を示す図である。
【図9】本発明の別の実施フローの一例を示す図である。
【図10】本発明の別の実施フローの一例において、それを実現するためのシステム構成の一例を示す図である。
【図11】本発明の別の実施フローの一例において、製品出荷戦略情報データベースの一例を示す図である。
【図12】本発明の第三の実施フローの一例を示す図である。
【図13】本発明の第三の実施フローの一例において、それを実現するためのシステム構成の一例を示す図である。
【図14】本発明の第三の実施フローの一例において、CSR戦略情報データベースの一例を示す図である。
【符号の説明】
【0048】
101…製品情報読み取りステップ、 102…地域別再資源化特性読み取りステップ、
103…再資源化方法判定ステップ、 104…再資源化コスト、環境負荷原単位読み取りステップ、 105…再資源化コスト、環境負荷算出ステップ、 201…メモリ部、
202…計算部、 202a…再資源化方法判定部、 202b…再資源化コスト算出部、
202c…再資源化環境負荷算出部、 202d…地域別コスト・環境負荷重み付け部、
202e…最適再資源化方法判定部、203…入力インターフェース、 204…出力インターフェース、 205…データ管理部、 205a…製品情報データベース、 205b…地域別再資源化特性データベース、
205c…再資源化コスト原単位データベース、 205d…再資源化環境負荷原単位データベース、 205e…製品出荷戦略データベース、 205f…CSR戦略情報データベース、
701…部品属性(分類、材質コード、化学物質コード)比較ステップ、 702…解体判定ステップ、 705…解体部品/解体対象外部品抽出ステップ、 706…解体対象外部品プロセス抽出ステップ、
708…次プロセス判定ステップ、 709…全プロセス判定ステップ、
901…製品出荷戦略情報読み取りステップ、 904…地域別再資源化コスト、環境負荷重み付けステップ、
1201…CSR戦略情報読み取りステップ、 1202…コスト・環境負荷重み付けステップ、 1203…最適再資源化方法抽出ステップ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、グローバルに展開する商品を設計する段階で,その設計情報から,展開する地域毎に異なる使用済みとなった製品の再資源化方法に見合った再資源化コスト,再資源化環境負荷を定量的に評価し,設計改善やビジネス戦略の検討を支援する方法およびそのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
製品が使用済となった場合に、その製品を再資源化処理するのに発生する費用や環境負荷を定量化する技術としては、特許文献1に示される技術などがある。しかしこの技術は、製品が使用済みとなった場合に行われる処理を、ある特定の1つの処理方法によって行われることを前提として、再資源化時にその処理方法をとった場合に発生する費用や環境負荷の定量化を行っている。
【0003】
また国・地域別のコストなどのデータを用意することで、生産拠点別の評価を実現する技術としては、特許文献2に示される技術などがある。しかしこの技術は、固定された再資源化特性に基づいて製品の全ライフサイクルの環境負荷やコストを評価している。
【0004】
【特許文献1】特許第3500817号公報
【特許文献2】特開2005−165469号公報
【特許文献3】特開平6−251024号公報
【非特許文献1】Yuzo Hiroshige, 他:「Development of Disassemblability Evaluation Method」:8th International Conference on Production Engineering(ICPE) 1997/08/18
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし近年になり、日本国内における各種リサイクル法,欧州WEEE指令(Waste Electrical and Electronic Equipment:使用済電気機器の回収リサイクル義務化),米国カリフォルニア州電子廃棄物リサイクル法(SB20/50)[Senate Bill 20/50]複数の州における製品のリサイクルに関する規制、韓国リサイクル法、中国廃電子機器リサイクル法など、世界各国・各地域において製品が使用済みとなった場合に、製造事業者・輸入事業者に商品の回収・再資源化を義務付ける規制が成立し、商品の製造・販売をグローバルに展開する企業は、回収・再資源化もグローバルに行う必要が生じている。ここで、各国・各地域において、規制の考え方や処理技術、また再資源化に関わる費用などが異なるため、各国・各地域において行われる再資源化処理には大きな違いがある。したがって、製品の再資源化時に発生する費用や環境負荷も各国・各地域において異なることになる。
そこで本発明の目的は、各国・各地域で行われる再資源化方法をパラメータの一つとして捉え、製品が各国・各地域で行われる再資源化方法により再資源化された場合に発生する費用や環境負荷を算出するための方法およびシステムを示すことである。
【0006】
また本発明の別の目的は、算出される地域別再資源化コスト、再資源化環境負荷情報と、各国・各地域に対する製品出荷戦略情報に基づき、出荷戦略を考慮した製品販売期間における再資源化総コスト、再資源化総環境負荷を算出する方法およびシステムを示すことである。
【0007】
さらに本特許の別の目的は、同じ地域内でも異なる複数のリサイクル方法の中から、再資源化コストや再資源化環境負荷の面でトータルに優れた再資源化方法を判定することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明は、製品構成情報、地域別再資源化特性情報、共通・地域別再資源化コスト・環境負荷原単位情報を備え、再資源化方法判定ロジック、再資源化コスト・環境負荷算出方法により、製品が使用済みとなった時点での地域別再資源化特性を考慮した再資源化コスト・環境負荷を定量的に評価する方法を示すものである。
【0009】
また本発明は、製品構成情報、地域別再資源化特性情報、共通・地域別再資源化コスト・環境負荷原単位情報を備え、再資源化方法判定ロジック、再資源化コスト・環境負荷算出方法により、製品が使用済みとなった時点での地域別再資源化特性を考慮した再資源化コスト・環境負荷を定量的に評価するシステムを示すものである。
さらに本発明は、再資源化コスト・環境負荷の定量的な数値に加え、地域別製品出荷戦略情報を加味することで、製品の出荷期間における再資源化総コスト、再資源化総環境負荷を定量化する方法を示すものである。
【0010】
また本発明は、再資源化コスト・環境負荷の定量的な数値に加え、地域別製品出荷戦略情報を加味することで、製品の出荷期間における再資源化総コスト、再資源化総環境負荷を定量化するシステムを示すものである。
【0011】
さらに本発明は、同じ地域における複数の再資源化方法から、再資源化コストと再資源化環境負荷の面でトータルに優れた再資源化方法を抽出する方法を示すものである。
【0012】
また本発明は、同じ地域における複数の再資源化方法から、再資源化コストと再資源化環境負荷の面でトータルに優れた再資源化方法を抽出するシステムを示すものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、グローバルに販売を展開する商品において、当該商品がグローバルに広がる各地域で使用済となった場合に、その地域の再資源化特性により再資源化した場合の再資源化コスト・環境負荷を定量的に製品設計情報から評価することができる。これにより、グローバルに展開する商品のライフサイクルコスト・環境負荷を設計時点で把握することが可能となり、商品のライフサイクルコスト・環境負荷低減に向けた設計支援を行うことができる。
【0014】
また商品の地域別出荷戦略の情報を加味することで、その商品のグローバルでの市場における再資源化コスト・環境負荷のトータルを商品設計時点で把握することができる。これにより、グローバルに展開する商品のライフサイクルコスト・環境負荷を把握し、企業としての対策の検討、商品戦略の見直しなどに活用することができる。
【0015】
さらに特定の地域における複数の再資源化方法の中から、再資源化コストと再資源化環境負荷の面でトータルに優れた再資源化方法を抽出することで、特定の地域における再資源化業者の選定に活用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を実現する方法を図1から図14を用いて示す。
【実施例1】
【0017】
図1は本実施例のフローの一例を示している。図2に示す本発明のシステム構成のデータ管理部205に存在する製品情報データベース205aから、製品情報を読み取り、メモリ部201に格納する(ステップ101)。本発明を実現するシステムの全体構成の一例を図2に示す。本発明のシステムはメモリ部201、計算部202、入力インターフェース203、出力インターフェース204、データ管理部205からなる。この構成は通常のパーソナルコンピュータで実現可能なもので特殊なものではなく、例えばデータ管理部205がメモリ部201の内部に構成されることも考えられるが、本発明の実現に影響を与えるものではない。計算部202は再資源化方法判定部202a、再資源化コスト算出部202b、再資源化環境負荷算出部202cで構成される。データ管理部205は製品情報データベース205a、地域別再資源化特性データベース205b、再資源化コスト原単位データベース205c、再資源化環境負荷原単位データベース205dで構成される。これらは必ずしも独立して存在する必要はなく、例えば再資源化コスト原単位データベース205c、再資源化環境負荷原単位データベース205dが単一のデータベースとして構成されても本発明の実現に影響を与えるものではない。入力インターフェース203は例えばキーボード、マウスなどの通常の入力装置で実現可能であり、また出力インターフェース204もモニタ、プリンタなどの通常の出力装置で実現が可能である。
【0018】
製品情報データベース205aは、図3(a)に例を示す製品を構成する部組品、部品(以降、これらをまとめて部品と呼ぶ)の親子関係、員数、その単位などを管理する部品構成情報、図3(b)に例を示す部品の種類、材質や重量、含有する化学物質やその量などの属性を示す部品属性情報などがある。
【0019】
ステップ101に続いて、データ管理部205に存在する地域別再資源化特性データベース205bから、地域別再資源化特性情報を読み取り、メモリ部201に格納する。さらに、実施例1では、地域または国の指定を、例えば入力インターフェース203から入力する(ステップ102)。
【0020】
一般的な再資源化処理のフローの例を図4に示す。最初に回収された製品から、一部のユニット(複数の部品で構成される一定の機能を持つ部位)や部品をその原形を留めたまま取り外す解体処理を行う(ステップ401)。次に解体されたユニットに対しては、さらにユニットや部品を取り外す再解体処理が行なわれる場合もある(ステップ402)。この再解体処理はさらに繰り返し行なわれることもある。そして、解体されたユニットや部品に対しては、それらを再使用するために、例えば洗浄や検査といった再生処理が行なわれる場合(ステップ403)、適正な処理を実現するために、例えば回路基板からの貴金属回収やモータなどの通常では破砕や粉砕が困難なユニットに対する特殊な破砕・粉砕・選別処理など専用処理が行なわれる場合(ステップ404)がある。またこれらの対象にならない解体されたユニットや部品、そして製品やユニットからの解体の対象にならなかった部位(ステップ405)に対しては、一般にそれらを細かく砕く破砕や粉砕と呼ばれる処理(ステップ406)を経て、材料毎に分別する選別処理が行なわれる場合(ステップ407)が多い。ここで破砕や粉砕処理に対しては、破砕機や粉砕機と言われる装置が用いられ、選別処理としては、鉄が磁石に引き寄せられる性質を利用した磁力選別(鉄が回収可能)、導体が磁石の傍を移動する場合に発生する電流(渦電流)の原理を活用する渦電流選別(一般に導体である金属と導体でないプラスチックの選別が可能)、重液(比重を2.0や3.0などに調整した液体)や水(比重1.0)を用いて対象物の比重の差を利用して選別する比重選別{例えば渦電流選別で回収した非鉄金属同士や、渦電流選別で回収されなかった残り(多くの場合プラスチックの混合物)からのプラスチック同士の選別が可能}などが行なわれる場合が多い。これらの処理は多くの処理業者からの情報として提供されている技術である。さらに磁力選別や渦電流選別、比重選別などで選別された金属類に対しては多くの場合に精錬処理が行なわれ(ステップ408)、再び金属材料として利用できるようになる。また選別されたプラスチックは再生処理(ステップ409)が行なわれて材料として再利用される場合や、結果として焼却(ステップ410)などにより熱源として利用される場合がある。またこれらの工程で回収できなかった材料等(一般にはダストなどと呼ばれる)については、焼却によって処分されるものや最終処分場に埋立処分される場合が一般的である(ステップ411)。
【0021】
ただし、これらの再資源化方法は、例えば欧州、日本、東南アジアといった地域や国、そして同じ地域や国においても、再資源化を行う業者によって異なることが多い。例えば相対的に人件費が高いとされる欧州では人手による作業が求められる解体は少ない傾向にあり、また埋立費(最終処分費)が高い日本ではダストの最小化を目指した処理(結果としてある程度人手による解体処理が行なわれる)が、相対的に人件費の安い地域では有価物の回収率向上を目的に手解体が積極的に行われる傾向が強い。
【0022】
従来、製品のリサイクル性を評価する技術においては、地域や国、そして業者によって異なる再資源化方法を考慮していなかった。そこで、本発明においては、これらの地域や国、業者によって異なる再資源化方法を地域別再資源化特性情報データベース205bに保存する。地域別再資源化特性情報データベース205bの例を図5、図6に示す。図5は、図4で示した再資源化方法の中で、「解体(ステップ401)」の対象となる部位を地域や国毎、さらには製品や部品の種別、材料、含有する化学物質などの情報を基に記録した例である。この例では、「欧州」では、「電動工具」からは「工具」や「工具止」を、製品・ユニットは問わず「100g以上(モータの行の「最低質量」欄がこれを示している)」の「モータ(「モータ」の行の「製品・ユニット」の欄が空欄であることで「モータ」は製品・ユニットを問わず解体することを示している)」を、また製品・ユニットは問わず「5g以上」の「水銀」を含有している部品を解体することが、また「日本」では「電動工具」からは「工具」を、製品・ユニットを問わず「基板組」や「モータ」を、そして一定以上のサイズのプラスチック(PPやABS)を、さらには製品・ユニットから解体した「基板組」から「25g以上」の質量の「アルミ製(Al)部品」を解体することを意味している。ここで図5の例では地域・国、製品、部品種別、材料、化学物質を1つのデータベースとして記録しているが、これらは必ずしも1つのデータベースとして記録する必要はなく、またこれらすべてを網羅する必要もない。またこの例では、製品・ユニットを問わず解体する「モータ」の「製品・ユニット」欄を空欄とすることで「製品を問わず」を表現しているが、対象となる製品ごとに、対象製品・ユニットと対象部品分類を記録しても同様のことができる。これは他の項目についても同様である。またこの例において「日本」における「基板組」は、まず解体対象の「部品分類」として抽出された後、さらに解体を行う「製品・ユニット」として記録され、「基板組」を構成する「材料コード」の「Al」が解体の対象として記録されている。これが図4における再解体(ステップ402)が抽出されるデータとなる。この例は基板組に置かれた材料:Al(放熱目的などに使われるアルミ製の放熱板をイメージしたデータ)は、基板組からさらに解体されることを記録した例である。
また図6は、図4で示した再資源化方法の中で「解体」によって生成されたユニット、部品、および非解体部の処理方法、およびそれらの処理によって生成した回収品を対象品とする処理方法を、地域または国別にデータベースとした例を示している。この例では、「欧州」では解体した「モータ」は「破砕・選別」処理を経て「鉄」の「95%」、「銅」の「90%」が回収される、さらにその「鉄」、「銅」はそれぞれの「精錬」処理を経て、「90%」、「96%」の収率で再生が行なわれることが記録されている。「日本」では「基板組」は「銅精錬」処理により、その中に含まれる「金」の「97%」、「銅」の「94%」が再生されること、「プラスチック」も「再生」処理により「80%」が再資源化されることなどが記録されている。ここで図6にある「末端」フラグはその処理を行うことにより、再資源化処理が完了することを示しており、逆にこの「末端」フラグがない処理については、その処理における回収物がさらに次の処理に回されることを示している。例えば「欧州」における「モータ」の「破砕・選別」では「鉄」や「銅」が回収されるが、ここでは処理が終わらず(この行の情報には末端フラグがない)、さらに「鉄精錬」や「銅精錬」の処理が行なわれて「鉄」、「銅」として回収され、この処理には「末端」フラグがあるので、そこで再資源化処理が終了することが判定できる。また図6においては、各地域・国において「対象品」を特定しない「処理」が指定されている。例えばこの例では「欧州」「日本」いずれにおいても「破砕・選別」が設定されている(各地域・国の最下行のデータ)。これは、後述する処理方法の抽出において、対象となる処理が抽出されなかった部位に対する処理方法をあらかじめ設定するためのデータである。また図6の例では欧州、日本といった地域・国をベースに再資源化方法を記録した例を示しているが、これを例えば業者別に記録することで、業者ごとの再資源化方法を同様に記録することが可能となる。
【0023】
次にステップ101、ステップ102で読み取った製品情報ならびに地域別再資源化特性情報を用いて、計算部202に存在する再資源化方法判定部202aにより、再資源化方法の判定を行う(ステップ103)。
【0024】
ステップ103の具体的方法を、図7を用いて説明する。ステップ101で読み取った製品情報のそれぞれの部品について、その属性(例えば部品分類、材料コード、化学物質コードなど)と、ステップ102で図5から読み取った地域別解体対象部品情報のうち、指定された地域または国に対応する各情報レコードの部品分類、材料コード、化学物質コードの項目に格納されたデータとを比較する。そして、1つでも一致する属性データがある情報レコードがある場合に、その情報レコードに対応する図3(b)の部品を解体の候補とする(ステップ701)。そして、その解体候補の部品の材料コード、または化学物質コードが一致する属性データである場合には、図5の該当情報レコードに記録された最低質量を満たすかを判定して、解体対象部品と判定する(ステップ702)。以上の処理を繰り返して、「解体」対象であるユニットや部品を、製品を構成する部品全体から抽出する(ステップ702〜704)。
【0025】
例えば図3(a)(b)の例においては、指定された地域または国が「欧州」の場合では、最上位の親部品A「電動工具」は、図5の製品・ユニット「電動工具」に対応し、その製品・ユニット「電動工具」の情報レコードの部品分類「工具」と図3(b)の部品A2の部品分類「工具」が一致して解体部位と判定する。続いて、図5の製品・ユニットが空欄(製品・ユニットを問わない)、部品分類「モータ」の情報レコードと、図3(b)の部品A4の部品分類「モータ」が一致していて、更にその部品分類「モータ」の情報レコードの最低質量50に対して、図3(b)の部品A4の情報レコードの重量が60gとなっていて、50g以上であるので、部品A4を解体部位と判定する。続いて、図5の製品・ユニットが空欄(製品・ユニットを問わない)、部品分類も空欄(部品分類を問わない)、化学物質コード「Hg」の情報レコードと、図3(b)の部品A12の情報レコードとは、化学物質コード「Hg」が一致していて、更に図5の化学物質コード「Hg」の情報レコードの最低質量が5であるのに対して、図3(b)の部品A12の情報レコードの「Hg」の重量が部品重量200gの30%、すなわち60gであり、これが図5の情報レコードの最低重量5gを上回っていることから、部品「A12」を解体部位と判定する。続いて、部品「A12」が解体部位として判定されたことにより、その部品を含むユニットである部品A1「基板組」が解体対象として抽出される。ここで部品「A12」はユニット「A1」から再解体がされるものとして判断される。
また、同じ製品情報図3(a)(b)に対して、ステップ102において指定された地域または国が「日本」の場合では、まず同様に最上位の親部品A「電動工具」は、図5の製品・ユニット「電動工具」に対応し、その製品・ユニット「電動工具」の情報レコードの部品分類「工具」と図3(b)の部品A2の部品分類「工具」が一致して解体部位と判定する。続いて、図5の製品・ユニットが空欄(製品・ユニットを問わない)、部品分類「基板組」の情報レコードと、部品分類「モータ」の情報レコードとにそれぞれ対応して、図3(b)の部品A1の部品分類「基板組」と、部品A4の部品分類「モータ」が一致して、部品A1、A4を解体部位と判定する。続いて、図5の製品・ユニットが空欄(製品・ユニットを問わない)、部品分類も空欄(部品分類を問わない)、材料コードが「ABS」、最低質量は50の情報レコードと、図3(b)の部品A3、部品分類「ケース」、材料コード「ABS」、重量100gの情報レコードとは、属性の材料コード「ABS」が一致して、部品重量100gは最低質量50g以上であるので、部品A3を解体部位と判定する。続いて、図5の製品・ユニットが「基板組」、部品分類は空欄(部品分類を問わない)、材料コードが「Al」、最低質量は25の情報レコードと、図3(b)の部品A11、部品分類「放熱板」、材料コード「Al」、重量30gの情報レコードとの対応では、属性の材料コード「Al」が一致して、更に部品重量30gは最低質量25g以上であるため、部品A11を解体部位と判定する。
次に上記ステップで抽出した解体したユニットや部品、さらに解体対象とならなかった部位について、その処理方法を抽出する方法を、指定された地域または国が「欧州」の場合を例に説明する。まず上記ステップにおいて、図3に例を示した構成の製品Aにおいては製品「A」から解体対象とならなかった少なくとも部品「A3」で構成される部位、また再解体が行なわれたユニット「A1」において、再解体の対象とならなかった少なくとも部品「A11」「A13」「A14」で構成される部位が「非解体部」として抽出される(ステップ705、図4ではステップ405)。次にステップ701〜704で抽出された解体部位、ステップ705で抽出された非解体部それぞれについて、その処理方法を抽出する(ステップ706〜709)。
前記全ての解体部位、および非解体部は、それぞれ1つずつ選択されて、図6の指定された地域・国に対応する情報レコードの「対象品」と照合される(ステップ706)。もし、一致した対象品のデータが有る場合には、一致した対象品が記録された情報レコードより、処理の欄に記載された処理方法を当該解体部位、または非解体部位の処理方法として読み出す(抽出する)(ステップ707)。
例えば、図5「地域別解体対象部品情報」および図6「地域別再資源化特性情報」の例において、解体されると判定された部品「モータ」A4と、図6の対象品の欄のデータが「モータ」と一致する情報レコードを検索する。その情報レコードの処理の欄のデータは、「破砕・選別」処理と抽出され、その処理による回収品は、鉄95%、銅90%が回収されることが読み出される。ここで、この破砕・選別処理によって回収される鉄、銅には「末端」フラグがない(図6参照)。そこで、さらにこの「鉄」や「銅」に対する処理の検索を行ない「鉄精錬」「銅精錬」処理が行なわれ、それぞれ鉄90%、銅96%が回収されることが読み出される。このようなステップを、前記したステップ701〜704およびステップ705で抽出した解体対象部位、非解体部全てについて行う(ステップ706〜709)。
さらにこの方法で処理方法が抽出されなかった部位については、図6に例を示す地域別再資源化特性情報に示されるように、対象品の欄を空欄とする情報レコードを設けて、対象品目を特定しない処理方法を記録する。図6の例では「破砕・選別」処理が記載されており、その処理における回収物も特定される。この例では、それぞれの回収物には「末端フラグ」がないため、さらに鉄精錬、銅精錬、アルミ精錬などの処理を行うことをステップ706〜709と同様の方法により実施し、全体の処理方法、回収物を特定することが可能となる(ステップ710)。
【0026】
次にステップ103により判定された再資源化方法に該当する再資源化コスト、および/または再資源化環境負荷をデータ管理部205に含まれる再資源化コスト原単位データベース205c、再資源化環境負荷原単位データベース205dから読み込み、メモリ部201に格納する(ステップ104)。
【0027】
再資源化コスト原単位データベース205cは図8(a)に例を示すとおり、地域や国別に、処理方法、対象、原単位(コスト)、原単位単位(原単位の単位)、発生単位(原単位が発生する単位)などを記録したものである。また再資源化環境負荷原単位データベース205dは図8(b)に例を示すとおり、地域や国別に、処理方法、対象、環境負荷項目、原単位(環境負荷)、原単位単位(原単位の単位)、発生単位(原単位が発生する単位)などを記録したものである。
【0028】
ステップ104においては、ステップ103で抽出されたプロセスに関する情報のみを抽出すれば十分であるが、再資源化コスト原単位データベース205c、再資源化環境負荷原単位データベース205dに含まれるすべての原単位を読み込み、メモリ部201に格納しても問題はない。この場合ステップ104は必ずしもステップ103の後に行う必要はなく、ステップ101からステップ105の間のいずれかのタイミングで行えばよい。このように本発明は必ずしもこの順番に実施しなくても良いステップがほとんどであり、ステップの順序は、多くの場合、本発明に大きな影響を与えるものではない。
【0029】
最後に計算部202に含まれる再資源化コスト算出部202b、および/または再資源化環境負荷算出部202cが、ステップ103で判定した再資源化方法と、ステップ104で読み込んだ再資源化コスト原単位、および/または再資源化環境負荷原単位を用いて、再資源化コスト、および/または再資源化環境負荷を算出する(ステップ105)。
【0030】
例えば再資源化コストは
(数1)
再資源化処理毎コスト原単位 × 再資源化処理量
再資源化コスト=Σ( ―――――――――――――――――――――― )
コスト原単位発生単位
により算出が可能であり、また再資源化環境負荷は、環境負荷項目毎に
(数2)
再資源化処理毎環境負荷原単位 × 再資源化処理量
再資源化環境負荷=Σ( ――――――――――――――――――――――― )
環境負荷原単位発生単位
により算出が可能である。図5および図8の事例を用いてより具体的に説明する。
【0031】
図7のステップ702で抽出した解体工程については、図8で原単位が「s(ここではsecond、秒をイメージした記録)」毎に「1.3(ここではユーロ[EUR]をイメージした記録)」であり、各ユニットや部品の解体時間の情報を基に解体コストを算出することができる。なお、各ユニットや部品の解体時間の算出方法については、特許文献3「物品の作業および処理の容易性評価方法および評価装置」、および非特許文献1などに記載される方法で実現が可能であり、本発明においてその詳細には触れない。
【0032】
また、図7のステップ707で抽出した解体以降の処理工程については、例えば「破砕・選別」工程は1kgあたり10(ここではユーロ[EUR]をイメージ)のコストが掛かることが記録されている。ここで、原単位が負の値となる場合とは、各処理による処理コストよりも、処理により得られた回収品を売却する利益の方が大きい場合を示す。
【0033】
また図3(b)には、対象となる製品を構成する各部品の重量が記録されている。ステップ707で抽出した各処理の対象部品(複数の部品で構成されるユニットを含む)の重量の合計は、この各部品の重量を合計することで算出可能である。例えば、算出した各処理の対象重量と図8(a)に示した処理単価(原単位/発生単位)を上記数式に適用することで、各処理の処理コストを求めることが可能である。処理環境負荷についても同様の方法で算出が可能である。なお図8(b)では再資源化環境負荷の環境負荷項目として「電力」のみを例に示しているが、この他に「水」「資源」といった項目、さらに「資源」を細分化した「鉄資源」「銅資源」「金資源」といった項目、また「電力」といった項目から、その影響を算出する「二酸化炭素排出量」「土壌汚染量」といった項目でも評価が可能である。
【0034】
なお、本実施例では地域別再資源化特性情報データベース205bとして、製品を再資源化する場合のみの情報を格納したデータベースを用いて説明したが、このデータベースを例えば地域別ライフサイクル特性情報データベースとして、現在の地域別再資源化特性情報データベース205bの情報に加えて、例えば製品製造時のプロセス情報(例えば組立時間xx分など)、製品販売時(含む運搬)のプロセス情報(例えば10tトラックでの運搬500km、2tトラックでの運搬10kmなど)、製品使用時のプロセス情報(例えば水使用量100l/回、消費電力50w、使用時間2h/日など)、商品が使用済みとなった場合の回収プロセス情報(例えば10tトラックでの運搬500km、2tトラックでの運搬10kmなど)をあわせて管理し、さらに再資源化コスト原単位データベース205c、再資源化環境負荷原単位データベース205dも各々製品のライフサイクルに関わるコストや環境負荷の原単位を管理する製品ライフサイクルコスト原単位データベース、製品ライフサイクル環境負荷原単位データベースとすることで、上記に示した方法と同様の方法で、製品の設計情報を用いて製品のライフサイクルで発生するコスト・環境負荷の算出も可能となる。
【0035】
この方法によれば、製品情報を用いて、地域毎に異なる再資源化特性を踏まえた再資源化方法を判定し、その方法に基づき再資源化コストや再資源化環境負荷を算出することが可能となる。その結果、製品の設計段階で、その製品を出荷する地域の特性に見合った再資源化コストや環境負荷を定量的に評価することが可能となり、コストや環境負荷の発生要因の分析により、コストや環境負荷をより小さくするための設計改良の支援が可能である。
【実施例2】
【0036】
次に別の実施例を図9、図10、図11を用いて説明する。図9は本実施例のフローの一例を、図10に本実施例のシステム構成の一例を示している。本フローにおいてステップ101、ステップ102、ステップ103、ステップ104、ステップ105は先の実施例と同じである。ステップ101とステップ102の間にデータ管理部205に含まれる出荷戦略情報データベース205eから、製品出荷戦略情報読み取りを行い、メモリ部201に記憶する(ステップ901)。なおこのステップは必ずしもステップ101とステップ102の間にある必要はなく、ステップ101と入れ替わっても問題はない。このようにステップの順序の多くは、本発明に大きな影響を与えるものではない。
【0037】
ここで、製品出荷戦略情報データベース205eは図11にその一例を示すとおり、製品形名またはノートパソコンといった種別、出荷先(国または地域)、出荷量(台数)などの情報を管理する。これらのデータはあらかじめデータ管理部205に保管しておく。データ管理部205への登録方法は一般的な情報システムへのデータの登録方法であり、特殊なものではない。
【0038】
ステップ901で抽出した製品出荷戦略情報に存在する出荷先の国・地域毎にステップ102からステップ105を繰り返し、当該製品に関する各国・地域毎の再資源化コスト・環境負荷を算出する(ステップ902、ステップ903)。
【0039】
次に計算部202に存在する地域別再資源化コスト・環境負荷重み付け部202dにより、算出した各国・地域毎の再資源化コスト・環境負荷と製品出荷戦略情報を用いて、地域別再資源化コスト・環境負荷重み付けを
(数3)
総再資源化コスト=Σ(国・地域別再資源化コスト × 当該地域製品出荷戦略(台数))
(数4)
総再資源化環境負荷=Σ(国・地域別再資源化環境負荷 × 当該地域製品出荷戦略(台数))
により行う(ステップ904)。
【0040】
この方法によれば、各製品または製品種別毎に異なる製品出荷戦略(国・地域別の出荷台数)による重み付けにより、製品または製品種別ごとの再資源化コスト・環境負荷の総量を算出することができ、その結果、より出荷台数の多い国で再資源化コストや環境負荷が小さくなるように設計改良を行う指針を提供することができる。
【実施例3】
【0041】
次に別の実施例を図12、図13、図14を用いて説明する。図12は本実施例のフローの一例を、図13に本実施例のシステム構成の一例を示している。本フローにおいてステップ101、ステップ102、ステップ103、ステップ104、ステップ105は実施例1と同じである。ステップ101とステップ102の間にデータ管理部205に含まれるCSR(Corporate Social Responsibility)戦略情報データベース205fから、企業のCSR戦略情報読み取りを行い、メモリ部201に記憶する(ステップ1201)。なおこのステップは必ずしもステップ101とステップ102の間にある必要はなく、ステップ101と入れ替わっても問題はない。このようにステップの順序の多くは、本発明に大きな影響を与えるものではない。ここで、CSR戦略情報データベース205fは図14にその一例を示すとおり、地域や国毎のコスト(製造コストや再資源化コストなど複数の項目があることを想定した例を示す)や環境負荷(再資源化率や、CO2排出量、資源枯渇量など複数の項目があることを想定した例を示す)それぞれの重み付けを管理する。ここで、例えばコストや資源枯渇量などのように、数値が小さい方がより良い評価項目と、例えば再資源化率のように数値が大きい方が良い評価項目では重み付けの正負を変える。これにより以下に示す(数5)(数6)を用いた方式により、最適な方法を抽出できるようになる。これらのデータはあらかじめデータ管理部205に保管しておくが、その登録方法は一般的な情報システムへのデータの登録方法であり、特殊なものではない。
【0042】
ステップ1201で抽出したCSR戦略情報に存在する出荷先の国・地域毎にステップ102からステップ105を繰り返し、当該製品に関する各国・地域毎の再資源化コスト・環境負荷を算出する(ステップ902、ステップ903)。
【0043】
次に計算部202に存在する最適再資源化方法判定部202eにより、算出した国・地域毎の複数のコスト項目、環境負荷項目をCSR戦略情報を用いて重み付けし(ステップ1202)、最適な再資源化方法を抽出する(ステップ1203)。CSR戦略情報による重み付けの方法としては、例えば
(数5)
コスト・環境負荷重み付け結果 = Σ
比較再資源化方法製造コスト情報
( ――――――――――――――――― × 製造コスト重み係数、
基準再資源化方法製造コスト情報
比較再資源化方法再資源化コスト情報
――――――――――――――――――― × 再資源化コスト重み係数、
基準再資源化方法再資源化コスト情報
比較再資源化方法再資源化率情報
――――――――――――――――― × 再資源化率重み係数、
基準再資源化方法再資源化率情報
比較再資源化方法CO2排出量情報
―――――――――――――――――― × CO2排出量重み係数、
基準再資源化方法CO2排出量情報
比較再資源化方法資源枯渇量情報
――――――――――――――――― × 資源枯渇量重み係数)
基準再資源化方法資源枯渇量情報
に示す方法が考えられる。ここで、基準とする再資源化方法については、例えば最初に算出された再資源化方法のコスト・環境負荷の算出結果とするなど、いずれの方法を用いても結果に違いは生じない。また基準とする再資源化方法についても、他の再資源化方法と同様に「比較」対象としても扱う(この場合、全ての割り算部分の値は1になる)。またこの例では図14に示した5つの項目での重み付け例を示しているが、重み付け対象が増減しても、同様の考え方で対応が可能である。
例えばこの方法で行った重み付けの結果
【0044】
(数6)
最適再資源化方法 = Min(再資源化方法別コスト×環境負荷重み付け結果)
となる再資源化方法が最適な方法として抽出される。
【0045】
なお、図12、図13、図14では地域・国毎の再資源化方法を例に最適な再資源化方法を抽出する方法を説明したが、図5、図6、図8、そして図14について、地域・国毎の情報の管理に変えて、同一地域または同一国内の複数の再資源化方法、すなわち再資源化業者毎の情報を同様に管理することで、同一地域または同一国内の再資源化方法、再資源化業者から、最適な再資源化方法、業者を抽出することが可能である。
【0046】
この方法によれば、コストや環境負荷に対する企業戦略としての重み付け(CSR戦略)に基づき、最適な再資源化方法または再資源化業者を選定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の実施フローの一例を示す図である。
【図2】本発明の実施フローの一例において、それを実現するためのシステム構成の一例を示す図である。
【図3】本発明の実施フローの一例において、製品情報データベースの一例を示す図である。
【図4】本発明の対象とする再資源化フローの一般的な事例を示す図である。
【図5】本発明の実施フローの一例において、地域別再資源化特性情報データベースに格納される地域別解体対象部品情報の一例を示す図である。
【図6】本発明の実施フローの一例において、地域別再資源化特性情報データベースの一例を示す図である。
【図7】本発明の実施フローの一例において、再資源化判定方法の一例を示す図である。
【図8】本発明の実施フローの一例において、再資源化コスト原単位データベース、再資源化環境負荷原単位データベースの一例を示す図である。
【図9】本発明の別の実施フローの一例を示す図である。
【図10】本発明の別の実施フローの一例において、それを実現するためのシステム構成の一例を示す図である。
【図11】本発明の別の実施フローの一例において、製品出荷戦略情報データベースの一例を示す図である。
【図12】本発明の第三の実施フローの一例を示す図である。
【図13】本発明の第三の実施フローの一例において、それを実現するためのシステム構成の一例を示す図である。
【図14】本発明の第三の実施フローの一例において、CSR戦略情報データベースの一例を示す図である。
【符号の説明】
【0048】
101…製品情報読み取りステップ、 102…地域別再資源化特性読み取りステップ、
103…再資源化方法判定ステップ、 104…再資源化コスト、環境負荷原単位読み取りステップ、 105…再資源化コスト、環境負荷算出ステップ、 201…メモリ部、
202…計算部、 202a…再資源化方法判定部、 202b…再資源化コスト算出部、
202c…再資源化環境負荷算出部、 202d…地域別コスト・環境負荷重み付け部、
202e…最適再資源化方法判定部、203…入力インターフェース、 204…出力インターフェース、 205…データ管理部、 205a…製品情報データベース、 205b…地域別再資源化特性データベース、
205c…再資源化コスト原単位データベース、 205d…再資源化環境負荷原単位データベース、 205e…製品出荷戦略データベース、 205f…CSR戦略情報データベース、
701…部品属性(分類、材質コード、化学物質コード)比較ステップ、 702…解体判定ステップ、 705…解体部品/解体対象外部品抽出ステップ、 706…解体対象外部品プロセス抽出ステップ、
708…次プロセス判定ステップ、 709…全プロセス判定ステップ、
901…製品出荷戦略情報読み取りステップ、 904…地域別再資源化コスト、環境負荷重み付けステップ、
1201…CSR戦略情報読み取りステップ、 1202…コスト・環境負荷重み付けステップ、 1203…最適再資源化方法抽出ステップ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品を構成する部品の親子関係、員数、その単位の項目を少なくとも構成要素とする部品構成情報と、
部品の識別情報に対応して、部品分類、重量、並びに材料および/または含有化学物質の属性情報を少なくとも構成要素とする部品属性情報と、
地域または国毎に分類して、解体製品、解体部品分類、並びに材料および/または含有化学物質の属性情報を少なくとも構成要素とする地域別解体対象部品情報と、
地域または国毎に分類して、対象品、処理方法、回収品を少なくとも構成要素とする地域別再資源化特性情報と、
地域または国毎に分類して、処理方法、対象品、並びにコスト原単位および/または環境負荷原単位を少なくとも構成要素とする再資源化コスト・環境負荷原単位情報とをデータベースに備え、
評価対象の製品の部品構成情報、部品属性情報、および入力I/Fより指定入力された評価対象地域または国を検索キーとして、前記地域別解体対象部品情報および前記地域別再資源化特性情報を検索して、前記評価対象の製品を再資源化するために必要とする全処理方法を確定し、
前記確定された処理方法と、前記再資源化コスト・環境負荷原単位情報とにより、前記製品が使用済みとなった時点での地域別再資源化特性を考慮した再資源化コストおよび/または環境負荷を定量的に評価することを特徴とする製品設計支援方法。
【請求項2】
前記データベースに格納された前記地域別解体対象部品情報において、
前記解体製品が特定されない前記解体部品分類に記録された部品は、該当する地域または国において、使用済みとなった製品の再資源化処理においては、解体対象製品に係わらず必ず解体されることを表すことを特徴とする請求項1に記載の製品設計支援方法。
【請求項3】
前記データベースに格納された前記地域別解体対象部品情報において、
前記解体製品、および前記解体部品分類が特定されない前記含有化学物質および最低質量の属性情報に記録された前記地域別解体対象部品情報は、前記最低質量以上の前記含有化学物質を含む全ての製品、または部品は、該当する地域または国において、必ず解体されることを表すことを特徴とする請求項1に記載の製品設計支援方法。
【請求項4】
前記データベースに格納された前記地域別解体対象部品情報において、
前記解体製品、および前記解体部品分類が特定されない前記材料および最低質量の属性情報に記録された前記地域別解体対象部品情報は、前記最低質量以上の前記材料を含む全ての製品、または部品は、該当する地域または国において、必ず解体されることを表すことを特徴とする請求項1に記載の製品設計支援方法。
【請求項5】
前記評価対象の製品の部品構成情報、部品属性情報、および評価対象地域または国を検索キーとして、前記地域別解体対象部品情報および前記地域別再資源化特性情報を検索して、前記評価対象の製品を再資源化するために必要とする全処理方法を確定する処理は、
前記部品属性情報の前記部品分類、前記材料、または前記含有化学物質の少なくとも1つの属性情報が、前記指定入力された評価対象地域または国に分類された前記地域別解体対象部品情報の構成要素である前記解体部品分類、前記材料、または前記含有化学物質の少なくとも1つのデータと一致した場合に、前記部品属性情報の対応する部品は解体すると判定をして、
前記解体すると判定された部品を、前記地域別再資源化特性情報の前記指定入力された評価対象地域または国に分類された構成要素の対象品に一致するものを検索して、一致した対象品に対応する処理方法を前記部品の処理方法と確定し、
前記一致した対象品に対応する回収品が最終回収品でない場合には、その回収品と一致する対象品をさらに前記地域別再資源化特性情報から検索して、さらに一致した対象品に対応する処理方法を前記回収品の処理方法と確定する処理を繰り返し、
および、前記評価対象の製品を構成する全ての部品に対して上記処理を繰り返すことにより行われることを特徴とする請求項1に記載の製品設計支援方法。
【請求項6】
前記確定された処理方法と、前記再資源化コスト・環境負荷原単位情報とにより、前記製品が使用済みとなった時点での地域別再資源化特性を考慮した再資源化コスト・環境負荷を定量的に評価する処理は、
前記指定入力された評価対象地域または国に分類された前記再資源化コスト・環境負荷原単位情報を検索して、前記確定した各処理方法、または処理方法および対象品を検索キーとして該当する前記コスト原単位、および前記環境負荷原単位を読み出し、次式によって、
(数1)
再資源化処理毎コスト原単位 × 再資源化処理量
再資源化コスト=Σ( ―――――――――――――――――――――― )
コスト原単位発生単位
(数2)
再資源化処理毎環境負荷原単位 × 再資源化処理量
再資源化環境負荷=Σ( ――――――――――――――――――――――― )
環境負荷原単位発生単位
前記再資源化コスト・環境負荷を算出することにより行われることを特徴とする請求項1に記載の製品設計支援方法。
【請求項7】
前記データベースに更に、製品形名、出荷先、および出荷台数を少なくとも構成要素とする出荷戦略情報を備え、
各製品毎に、前記出荷戦略情報の出荷先が表す地域または国の出荷台数を重み付け値として、前記地域または国毎の再資源化コスト・環境負荷を算出して、さらに各製品毎に再資源化コスト・環境負荷の総量を算出することを特徴とする請求項1に記載の製品設計支援方法。
【請求項8】
前記データベースに更に、地域または国毎に分類して、複数に分類したコスト項目、および複数に分類した環境負荷項目の各項目毎に重み係数を定義したCSR戦略情報を備え、
前記CSR戦略情報に記憶された各地域または国毎に、
前記評価対象の製品を再資源化するために必要とする全処理方法を確定し、
前記確定された処理方法と、前記再資源化コスト・環境負荷原単位情報とにより、前記製品が使用済みとなった時点での地域別再資源化特性を考慮した再資源化コスト・環境負荷を、前記複数に分類したコスト評価項目、および複数に分類した環境負荷評価項目の各項目毎に算出し、
第1の地域または国における再資源化方法に基づき算出された前記各コスト評価項目、および環境負荷評価項目の算出結果を基準として、第2の地域または国における再資源化方法に基づき算出された前記各コスト評価項目、および環境負荷評価項目の算出結果を比較する次式を算出し、
(数5)
コスト・環境負荷重み付け結果 = Σ
比較対象の再資源化方法コスト評価項目情報
( ―――――――――――――――――――― × コスト評価項目の重み係数、
基準の再資源化方法コスト評価項目情報
比較対象の再資源化方法環境負荷評価項目情報
――――――――――――――――――――― ×環境負荷評価項目の重み係数 )
基準の再資源化方法環境負荷評価項目情報
比較結果を最小とする比較対象の再資源化方法を最適な再資源化方法として判定することを特徴とする請求項1に記載の製品設計支援方法。
【請求項9】
前記解体製品、解体部品分類、材料、含有化学物質、最低質量を少なくとも構成要素とする解体対象部品情報と、
前記対象品、処理方法、回収品を少なくとも構成要素とする再資源化特性情報と、
前記処理方法、対象品、コスト原単位、環境負荷原単位を少なくとも構成要素とする再資源化コスト・環境負荷原単位情報とを、地域または国毎に分類するのに替えて、再資源化業者毎に分類してデータベースに備え、
評価対象の製品の部品構成情報、部品属性情報、および入力I/Fより指定入力された評価対象再資源化業者を検索キーとして、前記解体対象部品情報および前記再資源化特性情報を検索して、前記評価対象の製品を再資源化するために必要とする全処理方法を確定し、
前記確定された処理方法と、前記再資源化コスト・環境負荷原単位情報とにより、前記製品が使用済みとなった時点での再資源化特性を考慮した再資源化コスト・環境負荷を定量的に評価することを特徴とする請求項1に記載の製品設計支援方法。
【請求項10】
製品を構成する部品の親子関係、員数、その単位の項目を少なくとも構成要素とする部品構成情報と、
部品の識別情報に対応して、部品分類、重量、並びに材料および/または含有化学物質の属性情報を少なくとも構成要素とする部品属性情報と、
地域または国毎に分類して、解体製品、解体部品分類、並びに材料および/または含有化学物質を少なくとも構成要素とする地域別解体対象部品情報と、
地域または国毎に分類して、対象品、処理方法、回収品を少なくとも構成要素とする地域別再資源化特性情報と、および
地域または国毎に分類して、処理方法、対象品、コスト原単位、環境負荷原単位を少なくとも構成要素とする再資源化コスト・環境負荷原単位情報とをデータベースに備えて管理するデータ管理部と、
各情報を読み出して各処理時に記憶するメモリ部と、
評価対象地域または国の指定入力を受け付ける入力インターフェースと、
評価対象の製品の部品構成情報、部品属性情報、および前記入力インターフェースより指定入力された評価対象地域または国を検索キーとして、前記地域別解体対象部品情報および前記地域別再資源化特性情報を検索して、前記評価対象の製品を再資源化するために必要とする全処理方法を確定する再資源化方法判定部と、
前記確定された処理方法と、前記再資源化コスト・環境負荷原単位情報とにより、前記製品が使用済みとなった時点での地域別再資源化特性を考慮した再資源化コストを定量的に算出する再資源化コスト算出部と、
前記確定された処理方法と、前記再資源化コスト・環境負荷原単位情報とにより、前記製品が使用済みとなった時点での地域別再資源化特性を考慮した再資源化環境負荷を定量的に算出する再資源化環境負荷算出部とを有することを特徴とする製品設計支援システム。
【請求項1】
製品を構成する部品の親子関係、員数、その単位の項目を少なくとも構成要素とする部品構成情報と、
部品の識別情報に対応して、部品分類、重量、並びに材料および/または含有化学物質の属性情報を少なくとも構成要素とする部品属性情報と、
地域または国毎に分類して、解体製品、解体部品分類、並びに材料および/または含有化学物質の属性情報を少なくとも構成要素とする地域別解体対象部品情報と、
地域または国毎に分類して、対象品、処理方法、回収品を少なくとも構成要素とする地域別再資源化特性情報と、
地域または国毎に分類して、処理方法、対象品、並びにコスト原単位および/または環境負荷原単位を少なくとも構成要素とする再資源化コスト・環境負荷原単位情報とをデータベースに備え、
評価対象の製品の部品構成情報、部品属性情報、および入力I/Fより指定入力された評価対象地域または国を検索キーとして、前記地域別解体対象部品情報および前記地域別再資源化特性情報を検索して、前記評価対象の製品を再資源化するために必要とする全処理方法を確定し、
前記確定された処理方法と、前記再資源化コスト・環境負荷原単位情報とにより、前記製品が使用済みとなった時点での地域別再資源化特性を考慮した再資源化コストおよび/または環境負荷を定量的に評価することを特徴とする製品設計支援方法。
【請求項2】
前記データベースに格納された前記地域別解体対象部品情報において、
前記解体製品が特定されない前記解体部品分類に記録された部品は、該当する地域または国において、使用済みとなった製品の再資源化処理においては、解体対象製品に係わらず必ず解体されることを表すことを特徴とする請求項1に記載の製品設計支援方法。
【請求項3】
前記データベースに格納された前記地域別解体対象部品情報において、
前記解体製品、および前記解体部品分類が特定されない前記含有化学物質および最低質量の属性情報に記録された前記地域別解体対象部品情報は、前記最低質量以上の前記含有化学物質を含む全ての製品、または部品は、該当する地域または国において、必ず解体されることを表すことを特徴とする請求項1に記載の製品設計支援方法。
【請求項4】
前記データベースに格納された前記地域別解体対象部品情報において、
前記解体製品、および前記解体部品分類が特定されない前記材料および最低質量の属性情報に記録された前記地域別解体対象部品情報は、前記最低質量以上の前記材料を含む全ての製品、または部品は、該当する地域または国において、必ず解体されることを表すことを特徴とする請求項1に記載の製品設計支援方法。
【請求項5】
前記評価対象の製品の部品構成情報、部品属性情報、および評価対象地域または国を検索キーとして、前記地域別解体対象部品情報および前記地域別再資源化特性情報を検索して、前記評価対象の製品を再資源化するために必要とする全処理方法を確定する処理は、
前記部品属性情報の前記部品分類、前記材料、または前記含有化学物質の少なくとも1つの属性情報が、前記指定入力された評価対象地域または国に分類された前記地域別解体対象部品情報の構成要素である前記解体部品分類、前記材料、または前記含有化学物質の少なくとも1つのデータと一致した場合に、前記部品属性情報の対応する部品は解体すると判定をして、
前記解体すると判定された部品を、前記地域別再資源化特性情報の前記指定入力された評価対象地域または国に分類された構成要素の対象品に一致するものを検索して、一致した対象品に対応する処理方法を前記部品の処理方法と確定し、
前記一致した対象品に対応する回収品が最終回収品でない場合には、その回収品と一致する対象品をさらに前記地域別再資源化特性情報から検索して、さらに一致した対象品に対応する処理方法を前記回収品の処理方法と確定する処理を繰り返し、
および、前記評価対象の製品を構成する全ての部品に対して上記処理を繰り返すことにより行われることを特徴とする請求項1に記載の製品設計支援方法。
【請求項6】
前記確定された処理方法と、前記再資源化コスト・環境負荷原単位情報とにより、前記製品が使用済みとなった時点での地域別再資源化特性を考慮した再資源化コスト・環境負荷を定量的に評価する処理は、
前記指定入力された評価対象地域または国に分類された前記再資源化コスト・環境負荷原単位情報を検索して、前記確定した各処理方法、または処理方法および対象品を検索キーとして該当する前記コスト原単位、および前記環境負荷原単位を読み出し、次式によって、
(数1)
再資源化処理毎コスト原単位 × 再資源化処理量
再資源化コスト=Σ( ―――――――――――――――――――――― )
コスト原単位発生単位
(数2)
再資源化処理毎環境負荷原単位 × 再資源化処理量
再資源化環境負荷=Σ( ――――――――――――――――――――――― )
環境負荷原単位発生単位
前記再資源化コスト・環境負荷を算出することにより行われることを特徴とする請求項1に記載の製品設計支援方法。
【請求項7】
前記データベースに更に、製品形名、出荷先、および出荷台数を少なくとも構成要素とする出荷戦略情報を備え、
各製品毎に、前記出荷戦略情報の出荷先が表す地域または国の出荷台数を重み付け値として、前記地域または国毎の再資源化コスト・環境負荷を算出して、さらに各製品毎に再資源化コスト・環境負荷の総量を算出することを特徴とする請求項1に記載の製品設計支援方法。
【請求項8】
前記データベースに更に、地域または国毎に分類して、複数に分類したコスト項目、および複数に分類した環境負荷項目の各項目毎に重み係数を定義したCSR戦略情報を備え、
前記CSR戦略情報に記憶された各地域または国毎に、
前記評価対象の製品を再資源化するために必要とする全処理方法を確定し、
前記確定された処理方法と、前記再資源化コスト・環境負荷原単位情報とにより、前記製品が使用済みとなった時点での地域別再資源化特性を考慮した再資源化コスト・環境負荷を、前記複数に分類したコスト評価項目、および複数に分類した環境負荷評価項目の各項目毎に算出し、
第1の地域または国における再資源化方法に基づき算出された前記各コスト評価項目、および環境負荷評価項目の算出結果を基準として、第2の地域または国における再資源化方法に基づき算出された前記各コスト評価項目、および環境負荷評価項目の算出結果を比較する次式を算出し、
(数5)
コスト・環境負荷重み付け結果 = Σ
比較対象の再資源化方法コスト評価項目情報
( ―――――――――――――――――――― × コスト評価項目の重み係数、
基準の再資源化方法コスト評価項目情報
比較対象の再資源化方法環境負荷評価項目情報
――――――――――――――――――――― ×環境負荷評価項目の重み係数 )
基準の再資源化方法環境負荷評価項目情報
比較結果を最小とする比較対象の再資源化方法を最適な再資源化方法として判定することを特徴とする請求項1に記載の製品設計支援方法。
【請求項9】
前記解体製品、解体部品分類、材料、含有化学物質、最低質量を少なくとも構成要素とする解体対象部品情報と、
前記対象品、処理方法、回収品を少なくとも構成要素とする再資源化特性情報と、
前記処理方法、対象品、コスト原単位、環境負荷原単位を少なくとも構成要素とする再資源化コスト・環境負荷原単位情報とを、地域または国毎に分類するのに替えて、再資源化業者毎に分類してデータベースに備え、
評価対象の製品の部品構成情報、部品属性情報、および入力I/Fより指定入力された評価対象再資源化業者を検索キーとして、前記解体対象部品情報および前記再資源化特性情報を検索して、前記評価対象の製品を再資源化するために必要とする全処理方法を確定し、
前記確定された処理方法と、前記再資源化コスト・環境負荷原単位情報とにより、前記製品が使用済みとなった時点での再資源化特性を考慮した再資源化コスト・環境負荷を定量的に評価することを特徴とする請求項1に記載の製品設計支援方法。
【請求項10】
製品を構成する部品の親子関係、員数、その単位の項目を少なくとも構成要素とする部品構成情報と、
部品の識別情報に対応して、部品分類、重量、並びに材料および/または含有化学物質の属性情報を少なくとも構成要素とする部品属性情報と、
地域または国毎に分類して、解体製品、解体部品分類、並びに材料および/または含有化学物質を少なくとも構成要素とする地域別解体対象部品情報と、
地域または国毎に分類して、対象品、処理方法、回収品を少なくとも構成要素とする地域別再資源化特性情報と、および
地域または国毎に分類して、処理方法、対象品、コスト原単位、環境負荷原単位を少なくとも構成要素とする再資源化コスト・環境負荷原単位情報とをデータベースに備えて管理するデータ管理部と、
各情報を読み出して各処理時に記憶するメモリ部と、
評価対象地域または国の指定入力を受け付ける入力インターフェースと、
評価対象の製品の部品構成情報、部品属性情報、および前記入力インターフェースより指定入力された評価対象地域または国を検索キーとして、前記地域別解体対象部品情報および前記地域別再資源化特性情報を検索して、前記評価対象の製品を再資源化するために必要とする全処理方法を確定する再資源化方法判定部と、
前記確定された処理方法と、前記再資源化コスト・環境負荷原単位情報とにより、前記製品が使用済みとなった時点での地域別再資源化特性を考慮した再資源化コストを定量的に算出する再資源化コスト算出部と、
前記確定された処理方法と、前記再資源化コスト・環境負荷原単位情報とにより、前記製品が使用済みとなった時点での地域別再資源化特性を考慮した再資源化環境負荷を定量的に算出する再資源化環境負荷算出部とを有することを特徴とする製品設計支援システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
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【図10】
【図11】
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【図13】
【図14】
【公開番号】特開2007−242001(P2007−242001A)
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−27489(P2007−27489)
【出願日】平成19年2月7日(2007.2.7)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年2月7日(2007.2.7)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
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