説明

地山補強用パイプ連結構造

【課題】地山補強パイプを、溶接せずに、現場にて容易・迅速に連結でき、かつ、離脱しにくいパイプ連結構造を提供する。
【解決手段】地山補強パイプ1の端部の内周面に、係止用突起部20を突設し、パイプ1に挿入されるジョイント3には、L字状溝部33を形成して、このL字状溝部33に係止用突起部20を差込む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネルの断面の掘削に先立って、地山補強用の先受け工として切羽の上方に打設する際に使用される補強用パイプを順次連結する際の地山補強用パイプの連結構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トンネルの掘削に先立って打設されるパイプ(鋼管や有孔管等)を延設する際に、パイプの端面を突き合わせ溶接にて一体状に連結していた。
また、特許文献1記載のようにパイプの端部に雄ネジ部を形成し、雌ネジ部を有する継手部材で連結する連結構造があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−97272号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、溶接にて連結する作業は、溶接に必要な電力の確保や、溶接機の設置、2本の長く重いパイプを突き合わせる等の段取り作業に、多大な時間と労力を必要とする問題があった。また、溶接作業者の技術によって溶接強度等にばらつきが発生する問題があった。さらに、火災の虞れもあった。
また、ネジ継手による連結構造(例えば、上記特許文献1参照)は、パイプ端部にネジ部を形成するため、肉厚が薄くなり、強度に不安があった。また、パイプに螺着する際に、長いパイプや継手を何度も回転させる必要があった。
【0005】
そこで、本発明は、十分な強度をもって、容易かつ迅速にパイプを連結することができる地山補強用パイプ連結構造の提供を目的とする。さらに、激しい振動等の衝撃を受けてもパイプとジョイントが離脱しにくい連結構造を提供することを、他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、本発明に係る地山補強用パイプ連結構造は、地山補強用パイプの端部の内周面に、係止用突起部を突設し;上記パイプの端部に挿入される円筒状ジョイントの挿入部の外周面に於て、上記突起部が差込まれるL字状溝部が形成され、該溝部は、上記挿入部の最先端縁から長手方向に凹設された差込部と、該差込部の内端から周方向に延設された係止部とを、備え;さらに、上記突起部が上記L字状溝部の上記係止部から離脱するのを阻止する離脱防止手段を、具備している。
【0007】
また、上記離脱防止手段は、上記L字状溝部の上記係止部と上記差込部との交叉角部に形成された小係止突部と、上記係止用突起部が該小係止突部に係止して上記係止部から上記差込部へ戻ることを防ぐ上記係止用突起部の角部と、上記ジョイントの軸心方向中央付近の外周に突出状に設けられて連結状態の上記パイプの最先端内周角部を圧潰状としてかつ弾発的に圧接する爪部とから、構成されている。
また、上記離脱防止手段は、上記L字状溝部の上記係止部と上記差込部との交叉角部を切欠状とした誘導勾配部と、上記パイプの最先端縁に凹設された小スリットと、上記ジョイントの軸心方向中央付近の外周に突出状に設けられて上記係止用突起部が上記係止部の周方向奥部に差込まれた連結状態で上記小スリット内に位置する逆転防止用爪部とから、構成されている。
【0008】
また、上記円筒状ジョイントは、軸心方向中央の外周に外鍔部が一体に突設され、一対の上記挿入部が該外鍔部を間に挟んで形成されている。あるいは、上記円筒状ジョイントは、上記挿入部が軸心方向一方にのみ形成され、軸心方向の他方には、地山補強現場へ上記パイプを搬入する前に予めボルトにて連結する螺着連結用インサート部が、一体に形成されている。
また、上記係止用突起部は、上記パイプの上記内周面に圧接する弯曲当接面を有する涙型のナットから成り、上記パイプに貫設された孔に外面から挿通したボルトにて、固着されている。
【発明の効果】
【0009】
本発明の地山補強用パイプの連結構造によれば、2本(一対)のパイプをジョイントを介して容易に連結することができ、パイプ同士を溶接する必要がなくなる。つまり、溶接に必要な電力や設備を用意する必要はなく、パイプの連結作業を簡素化して作業時間を大幅に短縮することができる。また、溶接による火災の虞れもなくなる。また、端部の外周面にネジ部を形成しないので、パイプ及びジョイントの肉厚を十分に確保でき、又は、ねじ切り継手に比べて、パイプ肉厚を十分に薄くできる。パイプやジョイントを何度も回転させずに迅速に連結できる。さらに、激しい振動や衝撃を受けたとしてもパイプの連結が離脱せず、地上補強作業の能率向上に大きく貢献できる。また、削孔時や、注入材と地山との定着に支障を生じない利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】使用状況を説明する地山補強現場の断面側面図である。
【図2】パイプの要部説明図である。
【図3】実施の一形態のジョイントの正面図である。
【図4】要部断面図である。
【図5】パイプ端部の正面図である。
【図6】パイプの端部の断面図である。
【図7】平面図である。
【図8】ナットの正面図である。
【図9】図8のP−P断面図である。
【図10】図8のQ−Q断面図である。
【図11】作用説明図である。
【図12】作用説明図である。
【図13】要部拡大図である。
【図14】要部拡大断面図である。
【図15】他の実施の形態のパイプの正面図である。
【図16】パイプの断面側面図である。
【図17】ジョイントの正面図である。
【図18】作用説明図である。
【図19】作用説明用断面図である。
【図20】変形例を示す要部断面平面図である。
【図21】他の変形例を示す要部断面平面図である。
【図22】別の実施の形態を示す正面図である。
【図23】さらに他の実施の形態の正面図である。
【図24】さらに別の実施の形態を示す正面図である。
【図25】要部説明用斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図示の実施の形態に基づき本発明を詳説する。
図1は本発明の使用状況を示す地山補強現場Yの断面側面説明図であって、トンネル6を掘削していく際に、切羽から切羽前方までの地山7を補強(改良)するため注入材を矢印Z方向に注入している状態である。地山7に向かって掘削孔9を斜め上方や水平方向へ斜め下方等に掘削すると共に、掘削孔9内に円管状の地山補強用パイプ(注入用有孔管)1を挿入する。
パイプ1は、定尺の炭素鋼等から成る鋼管であって、ジョイント3によって、順次継ぎ足され(順次連結され)、長さを延長して、地山7に打ち込まれるものである。また、内部に、注入用パッカー8を設置している。
パッカー8と掘削孔9の孔底9aとの間に注入材を注入することで、地山7を改良(補強)している。つまり、図1は、いわゆる注入材の浸透注入工法の一例を示している。
なお、本発明は、図1に示したようなトンネル掘削時の切羽から切羽前方までの地山を改良する工法に限られず、図示省略するが、地山を改良(補強)する工事にも広く適用可能なものである。また、図1のように斜め上方向に限らず、水平方向や斜め上方向や垂直(上下)方向として地山7へ打ち込むことも自由である。
【0012】
図2に示すように、パイプ1は、例えば、貫孔19が所定範囲に設けられ、この所定範囲を越すと他端にまで、逆止弁付き孔18が設けられる。この逆止弁付き孔18は、パイプ1の内部から所定圧力以上が作用すれば開放し、逆に、地山側(外部)から圧力が掛ると閉じる弁体が設けられている。
図3〜図14に示した実施の一形態に於て、地山補強用パイプ1は、その端部10の内周面11に、係止用突起部20が突出状に設けられている。この係止用突起部20は、パイプ1の内周面11に圧接するナット21から成り、このナット21は、図8,図9,図10に示すように、パイプ1の内周面11と同等の曲率半径R21の弯曲当接面22を一面に(凸状に)有することによって、内周面11に密に接触し、しかも、図9に示すように、直交する断面に於ては、ストレート板片断面(一文字型断面)を示す。
なお、図8〜図10では、ナット21は同一肉厚寸法として、他面は凹状弯曲面23となるようにプレス加工にて製造される。また、ネジ孔24の軸心L24方向から見て、涙型であって、一つの直角の角部25を有する。パイプ1に貫設された孔2に、外面からボルト4を挿通して、ナット21のネジ孔24に螺着して、固定する。
【0013】
ジョイント3は、可鍛鋳鉄等から成り、パイプ1の端部10に挿入される挿入部31,31を軸心方向両側に備え、軸心方向中央の外周に外鍔部32を一体に有する。つまり、一対の挿入部31,31が外鍔部32を間に挟んだ形状に、(一体鋳造品にて)構成される。
そして、このジョイント3の挿入部31の外周面31Aに於て、前述の突起部20が差込まれるL字状溝部33が形成されている。この溝部33は、挿入部31の最先端縁34から長手方向(軸心方向)に凹設された差込部33Aと、この差込部33Aの内端から周方向に延設された係止部33Bとを、備えたL字状であり、しかも、浅い凹溝である。つまり、挿入部31の先端縁の肉厚から浅く溝部33を形削り盤やフライス盤等にて切削加工して、溝底薄肉壁35を残している。これによって、ジョイント3の挿入部31に於て、L字状溝部33の周辺の強度及び剛性を著しく増大でき、後述する突起部20を介してパイプ1から著大な引抜力や回転トルクや衝撃力が付与された際に、L字状溝部33の周辺の塑性変形乃至破断(亀裂)を防いでいる。
【0014】
さらに、(図11〜図14に示す如く、)突起部20がL字状溝部33の係止部33Bから、差込部33Aの側へ、離脱するのを阻止する離脱防止手段Gを、具備する。
この離脱防止手段Gは、L字状溝部33の一部に形成された小係止突部36と、前記角部25と、ジョイント3の軸心方向中央付近の外周に突出状に設けられた爪部37とから、構成される。小係止突部36は、具体的には、L字状溝部33の係止部33Bと差込部33Aとの交叉角部33Cに、ジョイント3の軸心方向中央部に向かって突出状として、溝内端縁に形成されている。さらに、図3に2点鎖線をもって示した同一幅寸法のL字状ベース溝部38を基本形状として説明すれば、交叉角部33Cを形成する係止部33Bの溝内端縁39から略不等辺三角形状に小係止突部36が突設され、この略不等辺三角形状の長寸傾斜辺を差込部33Aの方向に配設して、図12の矢印E方向に係止用突起部20が差込まれてゆく際に、この突起部20を図12の上方へ僅かに引き寄せつつ誘導する誘導傾斜辺36Aとする。
【0015】
また、上記略不等辺三角形状の短辺は、溝内端縁39と直交状として、図12の(実線にて示した)突起部20の角部25が矢印Eと反対の方向へ逆移動することを防止する“戻り”の作用をなすための逆転防止辺36Cを成している。言い換えると、係止用突起部20の角部25は、上記離脱防止手段Gの一部を構成しており、係止用突起部20が小係止突部36(の逆転防止辺36C)に係止して、L字状溝部33の係止部33Bから差込部33Aへ戻ることを防止する。図11と図12でも明らかなように、涙型の突起部20は、前述の角部25が小係止突部36の逆転防止辺36Cに対応して、抜止め(逆転防止)の機能を果たすが、さらに、接線状のストレート部40を、図8と図11,図12のように有することで、突起部21は安定姿勢で溝内端縁39に当接すると共に、ジョイント3とパイプ1とが引抜ける方向の大きな外力を受けた際に、その当接する面圧を低減し、かつ、均等化できるので、面圧潰等の塑性異常変形や破損を防止できる利点がある。
【0016】
そして、上記離脱防止手段Gの他の一部を構成する爪部37について説明すると、図11〜図14及び図3に示すように、ジョイント3の外鍔部32と、挿入部31の外周面とによって形成される隅部12に、図25(A)(B)のような角錐型の爪部37、又は、切断された円錐状の爪部37が、一体に成形される。特に、ジョイント外周面をラジアル方向から見て、三角形を呈するように、爪部37が設けられ、しかも、外嵌されたパイプ1が離脱する方向に回転する―――逆回転する―――のを阻止するように、(上記ラジアル方向から見て)戻り止め辺37Aが、外鍔32に略直交状に形成される。そして、図12、及び、図13と図14に示すように、連結状態のパイプ1の最先端内周角部13を、この爪部37が、局部的に圧潰状として、かつ、(パイプ1自身の弾性変形に伴う反発力にて)弾発的に圧接している。即ち、図11に示すように、パイプ1に対してジョイント3を挿入してゆけば、パイプ最先端内周角部13が爪部37に軽く当り、かつ、突起部20は、差込部33Aの奥方へ差込まれる。次に、図11からジョイント3を矢印F方向に回転(このときパイプ1はE方向に相対回転)させると、パイプ1の最先端が図14の矢印J方向に弾性的に変形(拡径変形)しつつ、塑性変形(圧潰)をも生じつつ、図12と図13の連結状態となり、図13に斜線領域Kをもって示す如く、圧潰傷を生じる。
【0017】
このように、図13と図14と図12に示した連結状態においては、パイプ1の先端は僅かな角度θをもって先端拡径状に弾性変形し、矢印Mにて示すように弾発的な縮径方向の力をもって、強力に爪部37に圧接して、矢印N方向の突っ張り力を生じ、この突っ張り力Nによって、図12の下半部に実線にて示す如く、突起部20の角部25は、小係止突部36の逆転防止辺36Cに対向して、当りを生じ、係止部33Bからの突起部20の離脱が阻止される。
【0018】
ジョイント3を硬度の高いダクタイル鋳鉄とすると共に、パイプ1を弾性変形し易い炭素鋼とすることで、上述したパイプ1の図13の斜線領域Kの形成、及び、図14に示した最先端内周角部13の圧潰と圧接等を生じ易くなり、矢印Nにて示す突っ張り力も十分に発生できる。これによって、軸心方向の遊びを殺すことができて、小係止突部36が突起部20の逆回転(図12の矢印Eの反対方向への回転)を、確実に阻止し、激しい引抜力や衝撃力が外部から付与されたとしても、ジョイント3とパイプ1との連結状態は、安定して維持できる。
なお、L字状溝部33に於て、図12の2点鎖線の突起部20が矢印E方向に侵入する途中にて、小係止突部36を乗り越えることを可能とするための逃げ部15が切欠形成されている。
【0019】
次に、図15〜図19は、本発明の他の実施の形態を示す。
離脱防止手段Gは、L字状溝部33の係止部33Bと差込部33Aとの交叉角度33Cを切欠状とした誘導勾配部41と、パイプ1の最先端縁16に凹設された小スリット17と、ジョイント3の軸心方向中央付近の外周に突出状に設けられて係止用突起部20が、図18(B)に示すように連結状態で小スリット17に位置する逆転防止用爪部37とから、構成される。
この実施の形態における爪部37は、既述した実施の形態における爪部37と同一符号をもって示してはいるが、その作用と機能については、少々相違している。即ち、既述した実施の形態(図11〜図14)では、パイプ1に矢印N方向の突っ張り力を与えることを主たる作用・機能としていたといえるのに対して、図15〜図19に示したこの実施の形態では、係止用突起部20が、図18(B)のように、係止部33Bの周方向奥部43に差込まれた連結状態下では、爪部37が小スリット17内に位置して、(矢印E´と逆方向への)逆転を防止する作用・機能を主とする。
小スリット17は爪部37が侵入して係止できる範囲で、小型として、パイプ1の最先端縁部16の拡径変形に対する強度と剛性を与えるのが好ましい。
【0020】
誘導勾配部41の傾斜角度βは、(図17に示すように)軸心直交面に対して、10°〜40°が望ましい。また、図18(A)に示すように、突起部20が勾配部41に接触するジョイント回転位置では、爪部37は小スリット17の近傍に存在するように、爪部37と突起部20とL字状溝部33の相対的周方向位置を予め設定しておく。そして、図18(A)と図19(A)から図18(B)と図19(B)に示すように、ジョイント3をF方向に回転させると、突起部20は勾配部41に摺接しつつ、矢印E´のように誘導されて、周方向奥部43へ到るが、この際、ΔHの小寸法だけ、軸心方向に深く挿入され、これに伴って、爪部37は同一の小寸法ΔHをもって小スリット17へ侵入する。
【0021】
ところで、上述の図3〜図14、及び、図15〜図19のいずれの実施の形態に於ても、L字状溝部33及び突起部20の個数は、各々、2個〜6個の内から選択自由であるが、原則的には、 180°対称に2個、あるいは、90°の中心角度をもって4個とするのが好ましい。
【0022】
次に、図20と図21は、図15〜図19に示した実施の形態の別々の変形例を、示す。図20に示す変形例では、ジョイント3側に形成された 180°対称位置の爪部37,37に対して、パイプ1には90°の中心角度で2個の小スリット17,17を配設して、一対の爪部37,37の内の一方のみが小スリット17に係止し、他方は(小スリット17の存在しない)パイプ1の内周面に圧接することで、前者の小スリット17への係止を深く確実としている。
また、図21に示した変形例では、 180°対称位置に2個の小スリット17,17を配設し、2個の爪部37,37は 180°から小角度αだけオフセットさせている。これによって、一方の爪部37は小スリット17内からスタートさせて、パイプ1の最先端内周角部13の潰れ(圧潰)を減少できる。
【0023】
次に、図22は、さらに他の実施の形態を示し、ジョイント3は、外鍔部32の(上方側の)一方にのみ、図3〜図20にて説明した、いずれかのL字状溝部33と爪部37を有する挿入部31を形成すると共に、外鍔部32の(下方側の)他方には、図1の地山補強現場Yへパイプ1を搬入する前に、工場やトンネル外に於て、予めボルト27にてラジアル方向から螺着連結する螺着連結用インサート部28が、一体に形成された構成である。工場やトンネル外にて、十分に強固に、かつ、確実に、パイプ1の一端にのみ、予め、ジョイント3をボルト27にて強固に連結しておくことができ、地山補強現場Y(図1参照)のような狭小な場所では、パイプ1に予め固着のジョイント3の内挿部31に対して、簡単かつ迅速に、次のパイプ1を接続できて、作業性を著しく改善・向上できる。なお、図22以外にも、従来公知の他の固着連結構造をもって、インサート部28とパイプ1とを、工場等にて予め連結するも、自由である(図示省略)。
【0024】
次に、図23に示す別の実施の形態では、図3〜図14に示した外鍔部32を省略しても良い場合もあることを示す。
また、図24に示すさらに別の実施の形態では、図15〜図21に示した各実施の形態の外鍔部32を省略しても自由であることを示す。
なお、図4,図6,図16に示したボルト4は丸頭を有するものであるが、これを、パイプ1の外周面から円錐状座ぐりを形成して、頭部がパイプ1の外周面から突出しない(又は僅かの突出寸法になる)皿ボルトを使用するも、好ましい。また、図25に於て、戻り止め辺37Aを、同図の左方向へ頂部が傾くように形成して、戻りの作用を強めるも好ましい。
【符号の説明】
【0025】
1 地山補強用パイプ
3 ジョイント
4 ボルト
10 端部
11 内周面
13 最先端内周角部
16 最先端縁
17 小スリット
20 係止用突起部
21 ナット
22 弯曲当接面
25 角部
27 ボルト
28 インサート部
31 挿入部
32 外鍔部
33 L字状溝部
33A 差込部
33B 係止部
33C 交叉角部
34 最先端縁
36 小係止突部
37 爪部
41 誘導勾配部
43 周方向奥部
Y 地山補強現場
G 離脱防止手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地山補強用パイプ(1)の端部(10)の内周面(11)に、係止用突起部(20)を突設し、
上記パイプ(1)の端部(10)に挿入される円筒状ジョイント(3)の挿入部(31)の外周面(31A)に於て、上記突起部(20)が差込まれるL字状溝部(33)が形成され、該溝部(33)は、上記挿入部(31)の最先端縁(34)から長手方向に凹設された差込部(33A)と、該差込部(33A)の内端から周方向に延設された係止部(33B)とを、備え、
さらに、上記突起部(20)が上記L字状溝部(33)の上記係止部(33B)から離脱するのを阻止する離脱防止手段(G)を、具備していることを特徴とする地山補強用パイプ連結構造。
【請求項2】
上記離脱防止手段(G)は、上記L字状溝部(33)の上記係止部(33B)と上記差込部(33A)との交叉角部(33C)に形成された小係止突部(36)と、上記係止用突起部(20)が該小係止突部(36)に係止して上記係止部(33B)から上記差込部(33A)へ戻ることを防ぐ上記係止用突起部(20)の角部(25)と、上記ジョイント(3)の軸心方向中央付近の外周に突出状に設けられて連結状態の上記パイプ(1)の最先端内周角部(13)を圧潰状としてかつ弾発的に圧接する爪部(37)とから、構成されている請求項1記載の地山補強用パイプ連結構造。
【請求項3】
上記離脱防止手段(G)は、上記L字状溝部(33)の上記係止部(33B)と上記差込部(33A)との交叉角部(33C)を切欠状とした誘導勾配部(41)と、上記パイプ(1)の最先端縁(16)に凹設された小スリット(17)と、上記ジョイント(3)の軸心方向中央付近の外周に突出状に設けられて上記係止用突起部(20)が上記係止部(33B)の周方向奥部(43)に差込まれた連結状態で上記小スリット(17)内に位置する逆転防止用爪部(37)とから、構成されている請求項1記載の地山補強用パイプ連結構造。
【請求項4】
上記円筒状ジョイント(3)は、軸心方向中央の外周に外鍔部(32)が一体に突設され、一対の上記挿入部(31)(31)が該外鍔部(32)を間に挟んで形成されている請求項1,2又は3記載の地山補強用パイプ連結構造。
【請求項5】
上記円筒状ジョイント(3)は、上記挿入部(31)が軸心方向一方にのみ形成され、軸心方向の他方には、地山補強現場(Y)へ上記パイプ(1)を搬入する前に予めボルト(27)にて連結する螺着連結用インサート部(28)が、一体に形成されている請求項1,2又は3記載の地山補強用パイプ連結構造。
【請求項6】
上記係止用突起部(20)は、上記パイプ(1)の上記内周面(11)に圧接する弯曲当接面(22)を有する涙型のナット(21)から成り、上記パイプ(1)に貫設された孔(2)に外面から挿通したボルト(4)にて、固着されている請求項1,2,3,4又は5記載の地山補強用パイプ連結構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2011−127310(P2011−127310A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−285451(P2009−285451)
【出願日】平成21年12月16日(2009.12.16)
【出願人】(000221638)東尾メック株式会社 (60)
【出願人】(000000549)株式会社大林組 (1,758)
【出願人】(000006655)新日本製鐵株式会社 (6,474)
【出願人】(594078607)株式会社ティーエムシー (4)
【Fターム(参考)】