説明

地形援助型航法システムの精度を高めるための方法およびシステム

航法プロセッサ(208)と、航法プロセッサに位置解を提供するように構成される慣性航法ユニット(206)と、デジタル標高地図(212)とを含む、航法システム(200)が説明される。説明される航法システムは、デジタル標高地図から地図データを受け取り、レーダの戻ってきたデータに基づいた位置解を航法プロセッサへ提供するように構成される、地形相関プロセッサ(210)を有する、レーダ高度計(50)も含む。航法システム内の地図品質プロセッサ(202)は、デジタル標高地図から地図データを受け取り、地図品質ファクタを航法プロセッサへ提供するように構成され、航法プロセッサは、地図品質ファクタに従って、地形相関プロセッサからの位置解に重み付けを行い(256)、その地形相関プロセッサの重み付けされた位置解と、慣性航法ユニットからの位置解とから、位置解を決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、航空ビークル(air vehicle)の航法に関し、より詳細には、地形援助型航法システム(terrain aided navigation system)の精度を高めるための方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
精密地形援助型航法(PTAN:precision terrain aided navigation)は、干渉型ドップラ・レーダの地面反射データをデジタル標高地図(DEM:digital elevation map)と相関させ、航法システムへ提供される位置の更新を行う。典型的な航法システムは、総合的な位置に関するソリューションを提供するために、少なくとも2つの航行データ源を含む。例えば、慣性航法システム(INS:inertial navigation system)からの位置データは、総合的な位置解を提供するために、PTANからの位置データと組み合わされ得る。PTANからのレーダ更新は、INSなどのような慣性センサ・システム内で生じるドリフト・エラーを取り去るために用いられる。
【0003】
PTANシステムの精度は、航空機が飛行している下の地形特徴のタイプにいくらか依存する。例えば、PTANは、水や平坦な砂漠などのような特徴のない地形の上では、非常に低い精度の更新を提供するが、その理由は、特徴のない地形をDEMに保存されたデータと相関させることが困難だからである。反対に、山間部の地形の上では、頻繁に変化する地形特徴をDEMデータと相関させることが可能なので、高いレベルの精度がPTANシステムによって提供される。都市部は、PTANシステムの精度に関して、山間部の地形と同様であり、特に、航空機が飛行経路に沿って移動する際の地形の標高変化の存在により、それらをDEMに保存されたデータとの容易に相関することを可能にする。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
一態様では、航法プロセッサ(navigation processor)と、慣性航法ユニット(inertial navigation unit)と、デジタル標高地図と、レーダ高度計(radar altimeter)と、地図品質プロセッサ(map quality processor)とを備える、地形援助型航法システムが提供される。慣性航法ユニットは、航法プロセッサへ位置解を提供するように構成され、そして、レーダ高度計は、デジタル標高地図から地図データを受け取り、レーダ・データに基づいた位置解を航法プロセッサへ提供するように構成される地形相関プロセッサ(terrain correlation processor)を備える。地図品質プロセッサは、デジタル標高地図から地図データを受け取り、地図品質ファクタ(map quality factor)を航法プロセッサへ提供するように構成される。航法プロセッサは、地図品質ファクタに基づいて、地形相関プロセッサからの位置解に重み付けを行い、重み付けされた地形相関プロセッサからの位置解と、慣性航法ユニットからの位置解とから、位置解を決定するように、構成される。
【0005】
別の態様では、ビークル(vehicle)をナビゲートするための方法が提供され、この方法は、慣性航法ユニットから位置解を受け取るステップと、レーダ高度計データをデジタル標高地図データと相関させる地形援助型航法システムから地形相関位置解(terrain correlated position solution)を受け取るステップとを含む。方法は更に、デジタル標高地図データに少なくとも部分的に基づいた地図品質ファクタに基づいて、地形相関位置解に重み付けを行うステップと、慣性航法ユニットからの位置解を、重み付けされた地形相関位置解と組み合わせて、航法位置解を得るステップとを含む。
【0006】
更に別の態様では、デジタル標高地図内に保存されたデータの品質を決定するようにプログラムされたプロセッサが提供される。このプロセッサは、慣性航法システムから機首方位(heading)と高度とを受け取り、デジタル標高地図から地図データを受け取り、地図データに少なくとも部分的に基づいた地図品質ファクタを計算するように構成される。
【0007】
また別の態様では、航法位置解を決定するようにプログラムされる航法プロセッサが提供される。この航法プロセッサは、慣性航法システムから位置を受け取り、地形相関レーダ高度計から位置を受け取り、かつ地図品質プロセッサから地図品質ファクタを受け取るように構成される。航法プロセッサは、地図品質ファクタに基づいて、地形相関レーダ高度計から受け取った位置に重み付けを行うようにプログラムされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1は、特徴が豊富な地形12の上を飛行する航空機10を示す。航空機10内のレーダ高度計(図示されず)は、地形12へ向けてビーム14を送信し、反射ビーム14を受信して処理する。地形12の多様に変化する特徴は、レーダ高度計によって提供された高度とデジタル標高地図(図示されず)とを容易に相関させることを可能にする。レーダ高度計によって提供された高度とデジタル標高地図との相関は、デジタル標高地図に関しての航空機10の位置を決定するための機構を提供する。
【0009】
図2は、特徴のない地形20の上を飛行する航空機10を示す。地形20に類似する特徴のない地形の例は、水域や平坦な平原や砂漠を含む。この場合も、航空機10内のレーダ高度計(図示されず)は、地形20へ向けてビーム22を送信し、反射ビーム22を受信して処理する。地形20の変化のない特徴は、レーダ高度計によって提供された高度とデジタル標高地図とを相関させることを困難にするが、それは、レーダ高度計が継続的に同じ高度データを提供するからである。一例として、湖の表面は、面積が10数km(数千エーカ)になるものもあるが、そのすべてが同じ高度を有する。加えて、最小識別距離(resolution)に応じて、デジタル標高地図は、湖の高度データを表す複数の地図エントリを含むことがある。そのような場合には、レーダ高度計により判断された高度は、その湖用の特定の地図エントリと相関させることができない。なぜなら、すべての高度が同じだからである。
【0010】
図3は、豊富な地形特徴30を有する地域の上を飛行しているが、それにも関わらずデジタル標高地図との貧弱な相関が得られるに過ぎない航空機10を示す。地形30が豊富な特徴を有しているにもかかわらず相関が貧弱なのは、高度が等しい2つの尾根32および34が原因であり、これにより、デジタル標高地図に基づいて、2つの尾根32および34の中間の位置解をもたらす。豊富な地形特徴30をもつにもかかわらず、レーダ高度計とデジタル標高地図との間の相関が貧弱であることを更に説明するため、レーダ高度計の動作について下記で簡単に説明する。レーダ高度計は、ダウン・トラック(down−track)のスウォース(swath)における航空機10の下方の最も高い物体までのクロス・トラックおよび垂直の距離(cross−track and vertical distance)を提供するが、ダウン・トラック・スウォースは、クロス・トラック方向ではアンテナ・パターンによって制限される。ビーム36および38は、クロス・トラック・パターン(cross−track pattern)の制限の一実施形態を示す。本明細書で使用される「ダウン・トラック(Down−track)」とは進行方向の向きを意味し、「クロス・トラック(Cross−track)」とは進行方向に垂直であることを意味する。スウォースのダウン・トラック幅は、航空機10の高度に伴い変化する。
【0011】
デジタル標高地図は、最小識別距離セル(resolution cell)を備え、その各々のセルは、そのセル内で最高の地形標高を表す、関連する標高を有する。位置の更新は、一般に最高標高のセルに関連するレーダ高度計の導出した標高と、地図標高データとの相関によって、導出される。正確な相関は、航空機が飛行経路を進行する際の、標高の変化と、一定のスウォースのダウン・トラックの最小識別距離サイズ(resolution size)内での、最高標高のセルのクロス・トラックの位置における変化とを必要とする。再び図3を参照すると、高度が等しい尾根32および34は、クロス・トラック・パターンの標高の変化を提供するものの、最高標高を有するセルのクロス・トラックの位置における変化を提供しない。
【0012】
図4は、地形相関プロセッサ(図5に示す)への位置出力52を有するレーダ高度計50のブロック図である。一実施形態では、レーダ高度計50は、航空ビークル、例えば、航空機10(図1〜図3に示す)に含まれる。レーダ高度計50は、3つのチャネル、即ち、位相アンビギティ・チャネル(phase ambiguity channel)60と、位相Aチャネル(phase A channel)62と、位相Bチャネル(phase B channel)64とを含む。位相アンビギティ・チャネル60は、アンテナ70と、受信器72と、デジタイザ74とを含む。位相Aチャネル62は、アンテナ80と、受信器82と、デジタイザ84とを含む。位相Bチャネル64は、アンテナ90と、送信/受信スイッチ92と、受信器94と、デジタイザ96とを含む。一実施形態では、受信器72、82、および84は、各々、低雑音増幅器、混合器、および中間周波(IF)増幅器(何れも図に示さず)を含む。チャネル64の送信/受信スイッチ92は、チャネル64が送信モードまたは受信モードの何れかで動作することを可能にする。
【0013】
レーダ高度計50は更に、デジタル信号プロセッサ(DSP)100と、送信器102と、RF発振器104と、クロック発生器106とを含む。送信器102は、電力増幅器110と、変調器112と、単側波帯(SSB)混合器114と、中間周波(IF)オフセット発生器116とを含む。RF発振器104は、受信器72、82、および94内の混合器と、SSB混合器114とに結合される。クロック発生器106は、デジタイザ74、84、および96と、IFオフセット発生器116とに結合される。
【0014】
レーダ高度計50は、本明細書で説明されるように生成されるレーダ信号を地面へ向けて送信する。具体的には、クロック発生器106は、ある周波数で動作して、クロック信号をIFオフセット発生器116へ供給する。IFオフセット発生器116は、送信されたレーダ信号のオフセット信号を生成する。一例として、クロック発生器106の周波数が120MHzである場合、IFオフセット発生器116は、クロック発生器106からのクロック信号を4で分割し、30MHzのクロック信号を出力する。SSB混合器114は、IFオフセット発生器116からの30MHzのクロック信号を、RF発振器104からのRF信号と混合して、RF信号の30MHzのオフセットを得る。SSB混合器114は、オフセット信号を変調器112へ出力する。例示的なRF発振器104は、約4.3GHzで動作し、変調器112は、レンジ・プロセッサ(range processor)120から送信コード・データを受け取り、SSB混合器114から受け取った信号をパルス変調および位相変調し、変調された信号を電力増幅器110へ出力する。電力増幅器110は、受け取った信号を増幅し、増幅された信号を送信/受信スイッチ92を介してアンテナ90へ出力する。アンテナ90は、変調された信号を地面へ向けて送信する。
【0015】
レーダ信号がチャネル64によって送信された後、地面から反射された信号が、アンテナ70、80、および90によって受信され、チャネル60、62、および64のそれぞれのコンポーネントによって処理される。更に、チャネル60、62、および64のそれぞれは、他のチャネルと同じ機能を実行する。従って、チャネル64によって実行される機能のみを説明する。
【0016】
アンテナ90によって受信された戻り信号は、送信/受信スイッチ92を介して受信器94へ渡される。受信器94内で、この戻り信号は、増幅され、IFオフセット信号へと混合され、再び増幅され、デジタイザ96へ出力される。デジタイザ96は、受信信号をデジタル化し、デジタル化信号をさらなる処理のためにDSP100へ出力する。クロック発生器106の周波数は、チャネル60、62、および64への入来アナログ信号が、デジタイザ74、84、および96によってそれぞれサンプリングされデジタル化されるレートを、決定する。
【0017】
チャネル60、62、および64のそれぞれ、およびレンジ・プロセッサ122を含むレンジ・チャネル(range channel)120に対して、DSP100は、レンジ・ゲート/相関器(range gate/correlator)130、132、134および136と、ワード統合(word integration)帯域通過フィルタ(BPF)140、142、144および146と、イメージ阻止混合器(image reject mixer)150、152、154および156と、ドップラ帯域通過フィルタ(BPF)160、162、164および166とを含む。レンジ・プロセッサ120は、高度を決定するために、ドップラBPF166から出力を受け取る。粗位相プロセッサ(coarse phase processor)170と、座標位置プロセッサ(coordinate location processor)172と、微細位相プロセッサ(fine phase processor)174とは、一括して位相プロセッサと呼ばれることもある。
【0018】
レーダ信号が地面に向けて送信されたとき、戻り信号は、送信信号と同じ周波数にドップラ・シフトを加えた(または減じた)周波数で戻って来る。レーダ高度計が、信号を、航空ビークル10の前方の地面に向けて送信している場合、戻り信号は、周波数が上がるようにドップラ・シフトされる。レーダ高度計が、信号を、航空ビークル10の後方の地面に向けて送信している場合、戻り信号は、周波数が下がるようにドップラ・シフトされる。
【0019】
ドップラ帯域通過フィルタ160、162、164および166を適切に調整することによって、地面の任意の地点が選択および制限されることができる。従って、1つの選択された地面のスウォースからの戻り信号だけが処理される。特定のスウォース内の最高点の水平位置が、戻り信号の位相比較を実行することによって、決定される。レーダによって照射されている最高点が航空ビークル10の直下である場合、戻り信号は、同時にアンテナ80および90へ戻って来る。代わって、最高点が航空ビークル10の一側にずれている場合、戻り信号は、第2のアンテナ(例えば、アンテナ80)によって受信される前に、一つのアンテナ(例えば、アンテナ90)によって受信されるが、これは、第2のアンテナ80から出て戻って来る経路のほうが長いからである。各アンテナにおける戻り信号の位相または到着時間が比較される。2つのアンテナ80と90との間の距離が大きいほど、測定は正確になる。しかし、アンテナ80と90との間の距離が増大すると、1または複数の位相アンビギティが生じることがある。典型的なアンテナ離隔距離(antenna separation)では、3または4の位相アンビギティが生じ得る。そのようなアンテナ離隔距離は、複数波長アンテナ離隔距離と呼ばれることもある。
【0020】
複数波長アンテナ離隔距離に関連する位相アンビギティの問題は、アンテナ80および90から離して配置される第3のアンテナ70を追加して、3つの位相比較の組合せがアンビギティを排除することによって、解決される。第3のアンテナ70は、アンビギティ・アンテナ(ambiguity antenna)と呼ばれる。アンビギティ・アンテナ70は、他の2つのアンテナ80および90の一方により近い位置に配置されるが、その際、アンビギティ・アンテナ70とこのアンビギティ・アンテナに近い方のアンテナとの間に位相アンビギティが存在しないようにする。アンビギティ・アンテナ70と、このアンビギティ・アンテナに近い方のアンテナとの間の小さなベースライン、即ち、距離分離のため、精度は失われる。従って、必要な精度を提供するために、大きく離して配置したアンテナ80および90が使用され、離間距離を少なくして配置された2つのアンテナは、位相アンビギティを排除するために使用される。
【0021】
レーダ高度計50は、地面上の特定の領域、即ち、「スウォース(swath)」内の最高点の位置を識別する目標位置ベクトル(target position vector)を出力し、また、ビークルの高度を識別する地上レベル(AGL:above ground level)高度データも出力する。目標位置ベクトルは地形相関プロセッサへ出力され、以下で更に説明される地形相関のために用いられる。
【0022】
図5はPTAN/IMU航法システム200のブロック図であり、このPTAN/IMU航法システム200は、地図品質プロセッサ202と、PTANシステム204と、慣性測定ユニット(IMU:inertial measurement unit)206(慣性航法ユニットまたは慣性航法システムと呼ばれることもある)と、航法プロセッサ208とを含む。PTANシステム204は、上述のようなレーダ高度計50と、地形相関プロセッサ210と、デジタル標高地図(DEM)212とを含む。DEM212は、地理的領域の様々な部分の標高に関するデータを含む。上述のように、レーダ高度計50は、目標位置ベクトルを地形相関プロセッサ210へ出力し、地形相関プロセッサ210は、航法プロセッサ208へ提供されるレーダ位置を決定するために、目標位置ベクトルを、特定の地理的領域に関連するDEM212からのデータと相関させる。IMU206は、IMU206内の慣性センサによって行われた測定に基づいて、航法プロセッサ208に位置を提供する。IMU206はまた、機首方向および高度を地図品質プロセッサ202へ提供する。
【0023】
航法プロセッサ208は、現在の航法位置解を用い、そして以前の航法位置解を拡張することによって、航空機10の前方の経路を概算する。地図品質プロセッサ202は、ランダム分布測定アルゴリズム(random distribution measurement algorithm)を含み、これは、地形相関プロセッサ210からのレーダ位置更新の影響に対して重み付けを行うために航法プロセッサ208によって用いられる地図品質ファクタ(例えば、レーダ位置更新品質)を提供する。レーダ位置および地図品質ファクタは組み合わせて用いられて、IMU206内で時々自然に生じる、IMU206からのIMU位置更新におけるドリフトに対処する。一実施形態では、ランダム分布測定アルゴリズムは、示された地図品質ファクタを決定する際に、IMU206からの機首方位および高度を用いる。
【0024】
一実施形態では、地図品質ファクタは、地図品質プロセッサ202によって、デジタル標高地図212に保存されている接近してくる地形特徴の分析を通して、計算される。一実施形態では、ランダム分布測定アルゴリズムは、地図品質ファクタを計算するために、予想される飛行経路に沿ってのデジタル標高地図212のデータに対して、標高とクロス・トラック位置との両方において、適用される。
【0025】
以下で更に説明されるように、デジタル標高地図212は、複数の地図セル(map cell)を含み、地形相関位置解に重み付けを行うステップは、クロス・トラック・スウォースをあちこちに振れる最高標高を有する地図セルの場所を決定するステップと、クロス・トラック・スウォースについての標高の変化する標高マッピングを提供するステップとを含む。クロス・トラック・スウォースの幅は、レーダ高度計の視野と現在高度とを用いて決定される。
【0026】
図6は、PTAN/IMU航法システム200を含むビークルをナビゲートするための方法を示すフローチャート250である。この方法は、慣性航法システム、例えば、IMU206から、位置解を受け取るステップ252を含む。レーダ高度計データとデジタル標高地図212のデータとを相関させる地形援助型航法システムから、地形相関位置解が受け取られる(254)。地形相関位置解は、デジタル標高地図212のデータに少なくとも部分的に基づいた地図品質ファクタに基づいて、重み付けられる(256)。慣性航法システムからの位置解が、重み付けされた地形相関位置解と組み合わされて、航法位置解が得られる(258)。
【0027】
図7は、地図品質処理で用いられるDEM212内の地図セル302を表すグリッド300である。現在位置「A」を含み、位置「B」を通過する予想経路に沿って延びる飛行経路304が、地図セル302に重ねられている。図4に示されたレーダ高度計50は、例えば、幅「W」の地形のクロス・トラック・スウォースを含む。地図(例えば、グリッド300)上のそれぞれの地図セル302は、そのセル内の最高地形標高を表す関連する標高を有する。レーダ位置更新は、プロセッサ100(図5に示す)からのレーダの導出した標高(高度)と、一般に最高標高データを有する個別の地図セル302との相関によって、導出される。上述のように、正確な相関は、航空機10が飛行経路304を進行する際の、標高の変化と、特定のスウォース・ダウン・トラック最小識別距離サイズ内での最高標高の地図セル302のクロス・トラック位置の変化とを必要とする。従って、共にランダムな方式での、クロス・トラックであちこちに振れる最高標高の地図セルの場所と、同時に、標高の変化する標高マッピングを提供することとは、非常に高品質のレーダ位置更新を提供する。従って、クロス・トラック位置と、飛行経路304に沿った標高との両方に、ランダム分布測定アルゴリズムを適用することにより、航空機10の前方の飛行経路304上の地図品質の高品質測定をもたらす。
【0028】
本発明を、様々な具体的な実施形態に関して説明したが、本発明が特許請求の範囲の精神および範囲内で変更されて実施され得ることは、当業者には理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】図1は、特徴が豊富な地形の上を飛行する航空機を示す。
【図2】図2は、特徴のない地形の上を飛行する航空機を示す。
【図3】図3は、地形特徴が豊富であるが、2つの尾根の中間の位置解を提供する2つの等しい尾根が原因で程度の低い位置更新をもたらすことになる地域の上を飛行する航空機を示す。
【図4】図4は、地形相関プロセッサへの位置出力を有するレーダ高度計のブロック図である。
【図5】図5は、地図品質プロセッサを含む航法システムのブロック図である。
【図6】図6は、ビークルをナビゲートするための方法のフローチャートである。
【図7】図7は、地図品質プロセッサにおいて用いられる地図セルの図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地形援助型航法システム(200)であって、
航法プロセッサ(208)と、
前記航法プロセッサへ位置解を提供するように構成される慣性航法ユニット(206)と、
デジタル標高地図(212)と、
前記デジタル標高地図から地図データを受け取り、レーダ・エコー・データに基づいた位置解を前記航法プロセッサへ提供するように構成される、地形相関プロセッサ(210)を備えるレーダ高度計(50)と、
前記デジタル標高地図から地図データを受け取り、地図品質ファクタを前記航法プロセッサへ提供するように構成される地図品質プロセッサ(202)とを備え、前記航法プロセッサが、前記地図品質ファクタに従って前記地形相関プロセッサからの前記位置解に重み付けを行う(256)ように構成され、前記航法プロセッサが、前記地形相関プロセッサの重み付けされた前記位置解と、前記慣性航法ユニットからの前記位置解とから、位置解を決定するように構成される、
地形援助型航法システム。
【請求項2】
請求項1に記載の航法システム(200)であって、前記地図品質プロセッサ(202)が、前記デジタル標高地図(212)における接近してくる地形特徴の分析により前記地図品質ファクタを計算するように構成される、航法システム。
【請求項3】
請求項2に記載の航法システム(200)であって、前記地図品質ファクタを計算するために、前記地図品質プロセッサ(202)は、ランダム分布測定アルゴリズムを、クロス・トラック位置と標高との両方において、予想飛行経路(304)に沿った前記デジタル標高地図(212)のデータに適用するように構成される、航法システム。
【請求項4】
請求項1に記載の航法システム(200)であって、前記デジタル標高地図(212)が複数の地図セル(302)を含み、前記地形相関プロセッサ(210)がランダムに、
クロス・トラック・スウォースにわたってあちこちで最高標高を有する前記地図セルの場所を決定し、
前記クロス・トラック・スウォースについての標高の変化する標高マッピングを提供する
ように構成される、
航法システム。
【請求項5】
請求項4に記載の航法システム(200)であって、前記クロス・トラック・スウォースの幅が、前記レーダ高度計(50)の固定視野と現在高度とによって決定される、航法システム。
【請求項6】
請求項1に記載の航法システム(200)であって、前記地図品質プロセッサ(202)が、飛行経路(304)を概算するために、現在の位置解と、以前の位置解を拡張したものとを用いるように構成される、航法システム。
【請求項7】
請求項1に記載の航法システム(200)であって、前記地図品質プロセッサ(202)が、前記慣性航法システム(206)から、機首方向と高度とを受け取るように構成される、航法システム。
【請求項8】
請求項7に記載の航法システム(200)であって、前記航法プロセッサ(208)が、前記慣性航法システム(206)から受け取った前記位置解における位置ドリフトを低減するために、前記レーダ高度計(50)からの重み付けされた前記位置解を用いるように構成される、航法システム。
【請求項9】
ビークルをナビゲートするための方法であって、
慣性航法ユニット(206)から位置解を受け取るステップ(252)と、
レーダ高度計(50)のデータと、デジタル標高地図(212)のデータとを相関させる地形援助型航法システム(204)から、地形相関位置解を受け取るステップ(254)と、
デジタル標高地図のデータに少なくとも部分的に基づいた地図品質ファクタに基づいて、前記地形相関位置解に重み付けを行うステップ(256)と、
前記慣性航法ユニットからの前記位置解と、重み付けされた前記地形相関位置解とを組み合わせて、航法位置解を得るステップ(258)と、
を備える方法。
【請求項10】
請求項9に記載の方法であって、前記デジタル標高地図(212)における接近してくる地形特徴の分析により前記地図品質ファクタを計算するステップを更に含む方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法であって、前記地図品質ファクタを計算する前記ステップが、ランダム分布測定アルゴリズムを、クロス・トラック位置と標高との両方において、予想飛行経路(304)に沿ったデジタル標高地図(212)のデータに適用するステップを含む、方法。
【請求項12】
請求項9に記載の方法であって、前記デジタル標高地図(212)が複数の地図セル(302)を含み、前記地形相関位置解に重み付けを行う前記ステップ(256)が、
クロス・トラック・スウォースをあちこちに振れる最高標高の前記地図セルの場所を決定するステップと、
前記クロス・トラック・スウォースについての標高が上下に変化する標高マッピングを提供するステップと
を含む、
方法。
【請求項13】
請求項12に記載の方法であって、前記レーダ高度計(50)の視野と現在高度とを用いて前記クロス・トラック・スウォースの幅を決定するステップを更に含む方法。
【請求項14】
請求項9に記載の方法であって、飛行経路(304)を概算するために、現在の航法位置解を用い、且つ以前の位置解を拡張するステップを更に含む方法。
【請求項15】
デジタル標高地図(212)内に保存されたデータの品質を決定するようにプログラムされたプロセッサ(202)であって、
慣性航法ユニット(206)から機首方位と高度とを受け取り(252)、
デジタル標高地図から地図データを受け取り(254)、かつ
前記地図データに少なくとも部分的に基づいた地図品質ファクタを計算する
ように構成されるプロセッサ。
【請求項16】
請求項15に記載のプロセッサ(202)であって、前記デジタル標高地図(212)における接近してくる地形特徴の分析により前記地図品質ファクタを計算するようにプログラムされるプロセッサ。
【請求項17】
請求項15に記載のプロセッサ(202)であって、ランダム分布測定アルゴリズムを、クロス・トラック位置と標高との両方において、予想飛行経路(304)に沿ったデジタル標高地図(212)のデータに適用することによって、前記地図品質ファクタを計算するようにプログラムされるプロセッサ。
【請求項18】
請求項15に記載のプロセッサ(202)であって、飛行経路(304)を概算するために、現在の位置解と、以前の位置解の拡張したものとを用いるようにプログラムされるプロセッサ。
【請求項19】
航法位置解を決定するようにプログラムされる航法プロセッサ(208)であって、
慣性航法ユニット(206)から位置を受け取り(252)、
地形相関レーダ高度計(50)から位置を受け取り、
地図品質プロセッサ(202)から地図品質ファクタを受け取るように構成され、前記航法プロセッサが、前記地図品質ファクタに基づいて、前記地形相関レーダ高度計から受け取った前記位置に重み付けを行うようにプログラムされる、
航法プロセッサ。
【請求項20】
請求項19に記載の航法プロセッサ(208)であって、飛行経路(304)を概算するために、現在の位置解と、過去の位置解の拡張したものとを用いるようにプログラムされる航法プロセッサ。
【請求項21】
請求項19に記載の航法プロセッサ(208)であって、前記慣性航法システム(206)から受け取った前記位置解における位置ドリフトを低減するために、前記地形相関レーダ高度計(50)から受け取った重み付けされた前記位置解を用いるように構成されるようにプログラムされる、航法プロセッサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2008−501953(P2008−501953A)
【公表日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−515546(P2007−515546)
【出願日】平成17年6月2日(2005.6.2)
【国際出願番号】PCT/US2005/019334
【国際公開番号】WO2005/121831
【国際公開日】平成17年12月22日(2005.12.22)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.INS
【出願人】(500575824)ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド (1,504)
【Fターム(参考)】