地形起伏画像生成方法及び地形起伏画像生成装置
【課題】地形の標高を含む三次元地形データを基に、地形の比較的大きな起伏、尾根・谷等の比較的小さな凹凸、及び地形の傾斜度合などを判読し易い地形起伏画像を生成できる地形起伏画像生成方法及び地形起伏画像生成装置を提供する。
【解決手段】対象点の標高値Zに応じた色彩を付与して生成した標高段彩データC1と(S70,S80)、対象点の尾根谷度αに応じた色彩を付与して生成した尾根谷度段彩データC2(S90,S100)とを合成して第1合成データG1を取得する(S110)。対象点の傾斜度θを計算し、傾斜度θに応じた陰影Gθを取得する(S120〜140)。第1合成データG1に陰影Gθを乗算して第2合成データG2を生成する。上記各処理を全ての点(地点)に対して繰り返し行って段彩地形データGを生成する。
【解決手段】対象点の標高値Zに応じた色彩を付与して生成した標高段彩データC1と(S70,S80)、対象点の尾根谷度αに応じた色彩を付与して生成した尾根谷度段彩データC2(S90,S100)とを合成して第1合成データG1を取得する(S110)。対象点の傾斜度θを計算し、傾斜度θに応じた陰影Gθを取得する(S120〜140)。第1合成データG1に陰影Gθを乗算して第2合成データG2を生成する。上記各処理を全ての点(地点)に対して繰り返し行って段彩地形データGを生成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば数値標高モデルデータ(DEM:Digital Elevation Model)など標高を含む3次元地形データを基に、地形の比較的大きな起伏、尾根・谷などの比較的小さな凹凸(微地形)を判読し易く可視化された地形起伏画像を生成する地形起伏画像生成方法及び地形起伏画像生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、航空レーザ測量や人工衛星による地形測量技術の進歩により高密度な数値標高データが得られるようになってきた。数値標高データは任意の位置の座標を示し、各地点の座標はX、Y、Zの座標情報から構成される。特に水平面位置(X及びY)が正規間隔(メッシュ)のデータをメッシュデータと呼ぶ。
【0003】
従来より、地形の起伏を平面で表現してディスプレイや紙図に出力するための方法として、等高線図、段彩図、陰影図などが知られているが、いずれも地形表現に不得意な範疇がそれぞれあり、結果として正確な地形判読及び理解の妨げとなっていた。
【0004】
また、例えば段彩陰影図と等高線図とを組み合わせたもの、標高段彩と傾斜区分とを組み合わせたものも知られている。
特許文献1には、DEMデータを基に、傾斜度が大きいほど濃い赤色となるように最大傾斜度に応じた赤色の階調表示をするとともに、凹凸度を表す浮沈度に応じて赤色の明度を階調表示することで、尾根が白く谷底が黒く表現された傾斜赤色化立体画像を生成する視覚化処理システムが開示されている。また、この特許文献1には、地上開度に応じたグレースケールと地下開度に応じたグレースケールとの合成画像と、傾斜度に応じた赤色画像とを合成することで、赤色化立体画像を生成する構成も開示されている。
【0005】
また、特許文献2には、凹凸部を検出し、凹部に寒色系の色を付与した凹部の地形データと、凸部に暖色系の色を付与した凸部の地形データと、平坦部の地形データとを1つにまとめた陰影地形データを作成する。この陰影地形データに、同じ地形を表現する別のベース画像(例えば陰影画像、カラー段彩画像、等高線図画像、傾斜勾配画像など)を適当な混合比で混合して立体画像を作成する立体画像作成装置が開示されている。この立体画像では、尾根と谷が強調表示される。
【0006】
さらに特許文献3には、数値標高データから色相などに割り当てた高度段彩図(カラー標高図)と、傾斜が大きいほど濃い濃度を割り当てたグレースケール傾斜図とを透過合成してカラー標高傾斜図を作成するカラー標高傾斜図作成方法が開示されている。高度段彩図は標高に応じて青〜赤の色相が割り当てられていた。また、特許文献3には、カラー標高図とラプラシアン図との合成も開示されている。なお、カラー標高図における標高に応じた段彩には青(低標高)〜赤(高標高)の色彩範囲が設定され、ラプラシアン図における傾斜変化率に応じた段彩には青(凹部)〜赤(凸部)の色彩範囲が設定されていた。
【0007】
特許文献4では、標高データに基づいて、色相決定部が色相化標高データを生成し、輝度決定部が太陽光反射強度データを生成し、凹凸補正部が微細な凹凸情報の補正データを生成する。また、彩度決定部は、凹凸補正部の処理結果に基づいて彩度データを決定する。画像合成部は、色相化標高データ、太陽光反射強度データ、彩度データを合成し、対象となっている地表面の画像データを生成する地形図作成方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第2004/042675号パンフレット(特許第3670274号公報)(例えば明細書段落[0050][0051]、[0095]−[0108]等、図11、図19、図20等)
【特許文献2】特開2006−72857号公報(特許第4379264号公報)(例えば明細書段落[0014]−[0017]等、図1)
【特許文献3】特開2007−48185号公報(例えば明細書段落[0036][0042][0047][0055][0064])
【特許文献4】特開2008−242298号公報(例えば明細書段落[0014]−[0018][0027][0033]等、図1、図5等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、特許文献1における赤色化立体画像では、谷部に陰影が施されることになり、谷部が暗く判読し難いという問題があった。
また、特許文献2における立体画像では、尾根と谷を判読し易いが、例えばベース画像としてカラー段彩画像と混合した場合、段彩画像の色彩と凹凸部の色彩とが同系色であると、尾根や谷が判読し難くなるという問題があった。また、凹部と凸部と平坦部とが3階調で階調表現(3階調表現)されるだけなので、凹部や凸部の度合までは判読し難かった。また、細い凹部と大きな窪みとを区別した表現ができるように空間周波数の設定を変えて別々に凹部の地形データを生成する必要があった。
【0010】
さらに特許文献3では、カラー標高傾斜図では、標高と傾斜度を判読し易いものの、尾根や谷を判読し難かった。また、カラー標高図とラプラシアン図との合成図であれば、尾根や谷を判読し易いが、この合成図では傾斜度が判読し難いという問題があった。なお、カラー標高図における標高に応じた段彩と、ラプラシアン図における傾斜変化率に応じた段彩は、共に青(低標高、凹部)〜赤(高標高、凸部)の同系色の色彩範囲に設定されていたので、相対的に標高と凹凸度(尾根谷度)とを判別し難いという問題もある。
【0011】
また、特許文献4によると、凹凸の標高を大きく変化させる補正を行って凹凸の色彩を強調する方法なので、凹凸を表現した色彩が実際の標高と違った色彩で表示されてしまうという問題があった。
【0012】
本発明は、上記の課題に着目してなされたものであって、その目的は、地形の標高を含む三次元地形データを基に、地形の比較的大きな起伏、尾根・谷等の比較的小さな凹凸、及び地形の傾斜度合などを判読し易い地形起伏画像を生成できる地形起伏画像生成方法及び地形起伏画像生成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明では、標高を含む三次元地形データを基に地形起伏画像を生成する地形起伏画像生成方法であって、入力した前記三次元地形データに基づき画素となる各地点に当該地点の標高に応じた色彩を付与する段彩処理を行って標高段彩データを生成する標高段彩処理手順と、前記三次元地形データに基づいて前記各地点における地形の凹凸度を演算する凹凸度演算手順と、前記各地点に当該地点毎の前記凹凸度に応じた色彩を付与する段彩処理を行って凹凸度段彩データを生成する凹凸度段彩処理手順と、前記三次元地形データに基づいて前記各地点における傾斜度を演算する傾斜度演算手順と、前記各地点に当該地点毎の前記傾斜度に応じた陰影を付与する陰影処理を行って陰影データを生成する陰影生成手順と、前記標高段彩データと前記凹凸度段彩データと前記陰影データとを合成して段彩地形データを生成する合成処理手順と、前記段彩地形データに基づく地形起伏画像を出力する出力手順と、を備えたことを要旨とする。
【0014】
この発明によれば、標高に応じた段彩が施されるとともに、凹凸度に応じた段彩が施され、さらに傾斜度に応じた陰影が施される。よって、標高を含む三次元地形データを基に、地形の比較的大きな起伏、尾根・谷等の比較的小さな凹凸(微地形)、及び傾斜の度合などを判読し易い地形起伏画像を生成できる。
【0015】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の地形起伏画像生成方法において、地形起伏画像生成方法では、前記標高段彩処理手順では、前記標高の最小値と最大値との間に設定された第1の色彩範囲に従って標高に応じた色彩を付与して前記標高段彩データを生成し、前記凹凸度段彩処理手順では、前記凹凸度の最小値と最大値との間に設定された第2の色彩範囲に従って凹凸度に応じた色彩を付与して前記凹凸度段彩データを生成し、前記第1の色彩範囲と前記第2の色彩範囲は設定された色彩範囲が互いに異なるとともに、前記標高と前記凹凸度との各最小値に対応する色彩が互いに異なる寒色、最大値に対応する色彩が互いに異なる暖色に設定される。
【0016】
この発明によれば、標高に応じた段彩と、凹凸度に応じた段彩は、それぞれ最小値が互いに異なる寒色、最大値が互いに異なる暖色に設定された互いに色彩範囲の異なる第1の色彩範囲と第2の色彩範囲に従ってそれぞれ施される。よって、地形の比較的大きな起伏と比較的小さな凹凸(微地形)とを、施された色の違いから判別し易い。
【0017】
請求項3に記載の発明では、請求項1又は2に記載の地形起伏画像生成方法において、前記凹凸度演算手順では、前記三次元地形データにおける前記地点毎に、当該地点から複数の方向に地上角と地下角とをそれぞれ求め、前記地上角の平均である地上開度と、前記地下角の平均である地下開度とに基づき、前記凹凸度としての尾根谷度を演算する。
【0018】
この発明によれば、着目する地点(対象点)から複数の方向に地上角と地下角とをそれぞれ求め、地上角の平均である地上開度と、地下角の平均である地下開度とに基づき演算した尾根谷度という地形量パラメータを凹凸度として用いて、尾根谷度に応じた段彩が施される。よって、尾根や谷などの微地形が一層適切に判読し易くなる。
【0019】
請求項4に記載の発明では、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の地形起伏画像生成方法において、前記傾斜度演算手順では、前記三次元地形データに基づいて前記各地点におけるx方向傾斜度とy方向傾斜度とを演算し、当該x方向傾斜度とy方向傾斜度とを合成して前記傾斜度を演算する。
【0020】
この構成によれば、x方向傾斜度とy方向傾斜度とを合成して傾斜度を演算するので、傾斜面の向きによらず適切な傾斜度を取得できる。よって、傾斜度に応じた適切な陰影を付与できる。
【0021】
請求項5に記載の発明では、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の地形起伏画像生成方法において、前記合成処理手順では、前記三次元地形データにおける前記各地点に対応する三次元の空間座標点に、前記合成処理手順で取得した色情報を三成分の色座標で付加することにより、三次元の空間座標と三成分の色座標とを含む六次元以上の前記段彩地形データを生成し、前記出力手順では、前記段彩地形データの空間座標点を指定の視野方向にある出力面に写像した点を画素として当該画素に当該空間座標に対応する色座標を画素値として与えることで前記地形起伏画像を生成する。
【0022】
この構成によれば、段彩地形データの空間座標点を指定の視野方向の出力面に写像した点を画素とし、当該画素に対応する色座標を画素値として与えることで地形起伏画像が生成される。よって、指定の視野方向に応じて写像方向を変えるだけで、指定の視野方向に応じた地形起伏画像を比較的簡単に生成できる。例えばレンダリング処理を不要にできる。
【0023】
請求項6に記載の発明は、標高を含む三次元地形データを基に地形起伏画像を生成する地形起伏画像生成装置であって、入力した前記三次元地形データに基づき画素となる各地点に当該地点の標高に応じた色彩を付与する段彩処理を行って標高段彩データを生成する標高段彩処理手段と、前記三次元地形データに基づいて前記各地点における地形の凹凸度を演算する凹凸度演算手段と、前記各地点に当該地点毎の前記凹凸度に応じた色彩を付与する段彩処理を行って凹凸度段彩データを生成する凹凸度段彩処理手段と、前記三次元地形データに基づいて前記各地点における傾斜度を演算する傾斜度演算手段と、前記各地点に当該地点毎の前記傾斜度に応じた陰影を付与する陰影処理を行って陰影データを生成する陰影生成手段と、前記標高段彩データと前記凹凸度段彩データと前記陰影データとを合成して段彩地形データを生成する合成処理手段と、前記段彩地形データに基づく地形起伏画像を出力する出力手段と、を備えたことを要旨とする。この発明によれば、上記地形起伏画像生成方法に係る発明と同様の効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、標高を含む三次元地形データを基に、地形の比較的大きな起伏、尾根・谷等の比較的小さな凹凸、及び傾斜の度合などを判読し易い地形起伏画像を生成できる、という優れた効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】地図生成装置の機能構成を示すブロック図。
【図2】航空レーザ測量の方法を説明する模式図。
【図3】対象点における地上角と地下角とを説明するグラフ。
【図4】(a)地上開度ΦLの説明図、(b)は地下開度ΨLの説明図。
【図5】(a),(b)凸部と凹部における地上開度ΦLと地下開度ΨLを示す説明図。
【図6】尾根谷度αと地上開度ΦL及び地下開度ΨLとの関係を示すグラフ。
【図7】傾斜度θの算出に用いる対象点の周囲近傍8点の標高を示す模式図。
【図8】(a)標高色彩変換テーブルT1、(b)尾根谷度色彩変換テーブルT2の模式図。
【図9】地図生成装置の処理フロー図。
【図10】標高段彩画像C1を示す図。
【図11】尾根谷度段彩画像C2を示す図。
【図12】第1合成画像G1を示す図。
【図13】傾斜陰影画像Gθを示す図。
【図14】第2合成画像G2(段彩地形画像G)を示す図。
【図15】段彩地形画像GPを示す図。
【図16】平面図の地形起伏画像を示す図。
【図17】鳥瞰図の地形起伏画像を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1〜図17に基づいて説明する。
図1は、地形起伏画像生成装置の一例である地図生成装置の機能構成を示すブロック図である。図1に示す地図生成装置100は、地形起伏画像生成用プログラムがパーソナルコンピュータPCの本体10にインストールされて構築される。地図生成装置100は、通信インターフェイス(例えばUSBポート、LANポート等)や光ディスク読取装置などからなる入力部11と、キーボードやマウス等からなる入力操作部12とに接続されている。地図生成装置100には、入力部11を通じて三次元地形データ(デジタル標高モデルデータ)DEM(X,Y,Z)が入力される。地図生成装置100は、三次元地形データDEM(X,Y,Z)(DEM:Digital Elevation Model(数値標高モデル))を基に、標高Z及び尾根谷度に応じて段彩され、かつ傾斜度に応じて陰影を施した地形起伏画像データG(R,G,B)を生成する。地図生成装置100が生成した地形起伏画像データGに基づく地形起伏画像(立体地形図)は、本体10内の表示ドライバ13を介してモニタ14に表示されたり、本体10内の印刷ドライバ15を介してプリンタ16により用紙に印刷されたりする。
【0027】
三次元地形データDEM(X,Y,Z)は、例えば図2に示すような航空レーザ測量を利用して取得される。図2に示すように、レーザ測量器201を搭載した航空機202により地形測量対象エリアの上空を飛行しながらレーザを地上へ発信するレーザスキャンを行い、その反射パルスを計測して航空レーザ測量データを取得する。航空機202はGPS衛星203から受信するGPS信号に基づく現在の測量位置の緯度・経度と、そのときの反射レーザの計測値に基づく標高Zとを取得し、緯度・経度に標高が対応付けられた航空レーザ測量データを取得する。この航空レーザ測量データから必要に応じて建物や樹木、車両等の地形形状を表さない地物を分離処理し、さらにモデリングして発生させたTIN(三角形網:Triangle Irregular Network)等から、所定距離(例えば0.1m〜50mの範囲内の所定値)メッシュの交点の標高Zを読み取って、三次元地形データDEM(X,Y,Z)は生成される。もちろん、三次元地形データDEM(X,Y,Z)は、空中写真測量、衛星画像による測量、レーダによる測量等から取得することもできる。
【0028】
以下、図1に示す地図生成装置100の詳細を説明する。地図生成装置100は、制御部21、入力バッファ22、標高段彩処理手段の一例である第1段彩演算部23、尾根谷度演算手段の一例である尾根谷度演算部24、尾根谷度段彩処理手段の一例である第2段彩演算部25、傾斜度演算部26、陰影演算部27、合成処理部28、ポリゴン処理部29及び画像生成部30を備えている。
【0029】
制御部21は、地図生成装置100の全体制御を司り、各部22〜30に必要な指示を与える。入力バッファ22には、入力部11からの三次元地形データDEM(X,Y,Z)や、ユーザが入力操作部12の操作により設定した各種の設定値などが格納される。各部22〜28は、三次元地形データDEM(X,Y,Z)を構成する1つの座標点(X,Y,Z)毎に、標高Zに応じた色彩を付与する段彩処理(第1の段彩処理)、尾根谷度αに応じた色彩を付与する段彩処理(第2の段彩処理)、傾斜度(傾斜角)θに応じた陰影を付与する陰影処理を施す。そして、合成処理部28は、第1の段彩処理、第2の段彩処理及び陰影処理の各処理結果を必要に応じて重み付けをして合成することにより、三次元空間座標(X,Y,Z)と色値(R,G,B)との計6次元で表現される点(X,Y,Z,R,G,B)を生成する。さらに合成処理部28は、三次元地形データDEM(X,Y,Z)の全ての点に対応する6次元の点(X,Y,Z,R,G,B)を生成すると、その6次元の点の集まりで表現された6次元のメッシュデータからなる段彩地形データG(X,Y,Z,R,G,B)を生成する。
【0030】
第1段彩演算部23は、標高値Zを色彩に変換するための標高色彩変換テーブルT1(図8(a)参照)を作成するための第1変換テーブル作成部31を備え、第1変換テーブル作成部31が作成した標高色彩変換テーブルT1を参照して、各点の標高値Zに応じた色彩を取得する。この色彩を表す点のデータは標高段彩データC1(R,G,B)として合成処理部28に入力される。
【0031】
尾根谷度演算部24は、対象点(画素となる地点)の空間座標(X,Y,Z)から尾根谷度αを演算する。尾根谷度αの詳細な計算方法は後述する。
第2段彩演算部25は、尾根谷度αを色彩に変換するための尾根谷度色彩変換テーブルT2(図8(b)参照)を作成するための第2変換テーブル作成部32を備え、第2変換テーブル作成部32が作成した尾根谷度色彩変換テーブルT2を参照して、各点の標高値Zに応じた色彩を取得する。この色彩を表す点のデータは尾根谷度段彩データC2(R,G,B)として合成処理部28に入力される。
【0032】
傾斜度演算部26は、対象点の空間座標(X,Y,Z)から傾斜度θ(傾斜角)を演算する。傾斜度θの詳細な計算方法は後述する。
陰影演算部27は、傾斜度θを陰影(明暗)に変換するための傾斜度陰影変換テーブル(図示せず)又は傾斜度陰影変換用の計算式を用いて、傾斜度θに応じた陰影値を取得する。この陰影を表す点のデータは陰影データGθとして合成処理部28に入力される。
【0033】
合成処理部28は、標高段彩データC1(R,G,B)と尾根谷度段彩データC2(R,G,B)とを色合成して第1合成データG1を生成する色合成処理部33と、第1合成データG1と陰影データGθとを合成して第2合成データG2を生成する陰影合成処理部34とを備えている。色合成処理部33による色合成は、例えば重み付け合成(加重平均)により行われる。また、陰影合成処理部34は、第1合成データG1(R1,G1,B1)に、陰影データの陰影値Gθ(=0〜1.0)を乗算することにより、第2合成データG2(R2,G2,B2)=(R1・Gθ,G1・Gθ,B1・Gθ)を求める。
【0034】
第2合成データG2はバッファ35に蓄積され、三次元地形データDEM(X,Y,Z)の全点について処理を終えると、合成処理部28は、バッファ35に格納された第2合成データG2(R2,G2,B2)の点の集まりとして表現される段彩地形データG(X,Y,Z,R,G,B)をポリゴン処理部29へ出力する。
【0035】
ポリゴン処理部29は、段彩地形データG(X,Y,Z,R,G,B)中において水部ポリゴンデータPDに基づき特定される水部ポリゴン内の画素の色を青色に変更し、池、沼、河川、海等の水面が青色で彩色された段彩地形データGP(X,Y,Z,R,G,B)を画像生成部30へ出力する。ここで、水部ポリゴンデータPDとは、三次元地形データDEM(X,Y,Z)又はその他資料から作成され、作業者が水部であると認識した領域をポリゴン(多角形)として指定したデータである。
【0036】
画像生成部30は、段彩地形データGP(X,Y,Z,R,G,B)を、ユーザが指定した視方向から見た地形起伏画像データG(R,G,B)を生成する。例えば視方向が真上からであるときの地形起伏画像(平面図)や、斜め上方からであるときの地形起伏画像(鳥瞰図)を生成する。そして、地形起伏画像は、ユーザが選択した出力方法に応じて、モニタ14に表示されたり、プリンタ16により用紙に印刷されたりする。
【0037】
次に、図9に示す処理フローに従って地図生成装置100による地形起伏画像生成方法の詳細を説明する。以下の説明の中で、尾根谷度α、傾斜度θの具体的な演算方法についても説明する。
【0038】
本実施形態の処理フローは、テーブル生成処理と起伏画像生成処理とを含む。起伏画像生成処理は、大きく3つの処理に分かれる。つまり、起伏画像生成処理は、対象点の標高値Zに応じた色彩を求める第1段彩処理、対象点の尾根谷度αに応じた色彩を求める第2段彩処理、対象点における傾斜度θに応じた陰影を求める陰影処理とを含む。
【0039】
まず各変換テーブルT1,T2を作成するテーブル生成処理について説明する。
ステップS10では、三次元地形データDEM(X,Y,Z)の全点の標高Zを取得する。図8(a)に示す標高色彩変換テーブルT1の段彩設定から分かるように、低標高を緑(厳密には最小値が薄青緑色)、高標高を茶色(厳密には最大値が濃茶色)とすることを基本とする。
【0040】
ステップS20では、標高の最小値Zminと最大値Zmaxに基づき、標高色彩変換テーブルT1を作成する。緑(薄緑青)〜茶(濃茶)の色彩範囲で徐々に色が変わる複数の階調(本例では22階調)に色分けされた色彩テーブル(図8(a)の右側部分)が予め用意されている。標高の最小値Zmin〜最大値Zmaxの標高範囲を、色彩テーブルと階調数と同数の複数段階(例えば22段階)に分け、最小値Zmin〜最大値Zmaxの各標高に、緑〜茶の22階調の各色彩を割り当てる。よって、対象エリア(表示エリア)の標高範囲が異なっても、最低標高を緑色、最高標高を茶色とする段彩処理が可能である。このため、比較的大きな起伏は、緑〜茶の段彩によって判読し易くなる。この段彩は、一般的な地図帳の表現と似て把握し易く、見た目も自然な印象を与えながら正確な地形起伏を捉えることが可能となる。
【0041】
ステップS30では、対象点(着目点)に対する設定距離内の点のデータ(X,Y,Z)を取得する。
ステップS40では、対象点から設定距離内の点のデータ(X,Y,Z)を基に、尾根谷度αを計算する。ここで、図3〜図6を用いて、尾根谷度αの算出方法を説明する。尾根谷度αとは、地上開度と地下開度の平均角度より計算される凹凸の度合いを表す地形量である。
【0042】
図3は、地上開度を計算する際に求める地上角と、地下開度を計算する際に求める地下角とを説明するグラフである。
地上開度とは、各メッシュが周辺に比べて地上に突き出た度合いを表現する地形量パラメータである。地上開度は、着目する地点(対象点)から設定距離Lの範囲内で見える空の広さを表し、一般に周囲から突出している地点ほどその値が大きくなる。地上開度は、山頂や尾根で大きな値、窪地や谷底では小さい値を示し、突出した山頂や尾根が強調される。
【0043】
また、地下開度とは、各メッシュが周辺に比べて地下に突き出た度合いを表現する地形量パラメータである。地下開度は、地表面から地下を見渡すときに設定距離Lの範囲における地下の広さを表し、一般に地下にくい込んでいる地点ほどその値が大きくなる。地下開度は、窪地や谷底で大きな値、山頂や尾根では小さい値を示し、窪地や谷地が強調される。
【0044】
地上開度、地下開度を求めるときには、まず図3に示す地上角Φ1と地下角Φ2をそれぞれ演算する。図3に示すように、対象点から8方向に格子点の標高Zを探索し(但し図3では1つの探索方向のみ示す)、各探索方向において設定距離L内で対象点Pjと標高点とを結ぶ線分と、z軸(標高軸)において対象点Pjより高標高側に延びる軸部とのなす角度の最小値を、地上角Φ1として求める。この結果、8方向における8つの地上角Φ1が算出される。同様に、図3に示すように、対象点から8方向に格子点の標高Zを探索し、各探索方向において設定距離L内で対象点Pjと標高点とを結ぶ線分と、z軸(標高軸)の対象点Pjより低標高側に延びる軸部とのなす角度の最小値を、地下角Φ2として求める。この結果、8方向における8つの地下角Φ2が算出される。なお、本実施形態では、0.5m〜5.0m程度の地形メッシュデータの場合は、設定距離Lは一例として25mを標準とした。もちろん、設定距離Lは、メッシュサイズに応じてその数倍〜数10倍の値を設定することが望ましく、5m、10m、50m等の他の距離を設定してもよい。さらに設定距離Lはメッシュ数で設定してもよい。また、対象点からの探索方向は8方向に限らず、4方向又は16方向や32方向などさらに細分化してもよい。
【0045】
次に8方向の各地上角Φ1の平均を演算して図4(a)に示す地上開度ΦLを求める。また、8方向の各地下角Φ2の平均を演算して図4(b)に示す地下開度ΨLを求める。なお、図4(a)は谷や窪地等の凹部の地上開度ΦLを示した例、図4(b)は尾根等の凸部の地下開度ΨLを示した例である。実際は、図5(a),(b)に示すように、凹部と凸部のそれぞれに地上開度ΦLと地下開度ΨLが求められる。
【0046】
図5(a)に示す凸部と図5(b)に示す凹部に対して、地上開度ΦLで規定される円錐面(地上円錐面)と、地下開度ΨLで規定される円錐面(地下円錐面)ができる。図5(a),(b)において、対象点Pjを通る水平面から下側(正)へ地上円錐面までの角度(以下、「地上開角度」と称す)(=ΦL−90)と、水平面から地下円錐面までの角度(以下、「地下開角度」と称す)(=90−ΨL)を規定する。
【0047】
図6は、図5(a)のような凸部の例で、水平面から地上開角度(=−90+ΦL)と、水平面から地下円錐面までの地下開角度(=90−ΨL)とを示した。本実施形態では、地上開角度(=−90+ΦL)と、水平面から地下円錐面までの地下開角度(=90−ΨL)との平均(=((−90+ΦL)+(90−ΨL))/2)を、尾根谷度αとして定義する。この尾根谷度αによって、地上開度ΦLと地下開度ΨLの両方の地形量を加味した1つの指標で凹凸度を表現できる。よって、尾根谷度αは、地上開度ΦLと地下開度ΨLを用いて次式で与えられる。
尾根谷度α=(ΦL−ΨL)/2 …(1)
図5(a)に示す凸部では、相対的に地上開度ΦLが大きな値、地下開度ΨLが小さな値をとるので、尾根谷度αは正(α>0)となる。一方、図5(b)に示す凹部では、相対的に地上開度ΦLが小さな値、地下開度ΨLが大きな値をとるので、尾根谷度αは負(α<0)となる。こうして尾根谷度αは、最小値αmin(<0)〜最大値αmax(>0)の範囲の値として求められる。
【0048】
ステップS50では、尾根谷度の最小値αminと最大値αmaxに基づき、尾根谷度色彩変換テーブルT2を作成する。青色〜赤色の範囲で徐々に色が変わる複数階調(本例では22階調)に色分けされた色彩テーブル(図8(b)の変換テーブルT2中の右側部分)が予め用意されている。尾根谷度の最小値αmin〜最大値αmaxの尾根谷度範囲を、色彩テーブルと同数の複数段階(例えば22段階)に分け、最小値αmin〜最大値αmaxの各尾根谷度に、青〜赤の各色彩を割り当てる。よって、尾根谷度αに応じて、谷部(凹部)が青系、尾根部(凸部)が赤系になるように段彩される。この段彩により、比較的小さな凹凸部(微地形)でも判読し易くなる。こうして図8(a),(b)に示す各変換テーブルT1,T2の作成により、テーブル生成処理は終了する。
【0049】
図8(a)に示す各変換テーブルT1に設定された段彩のための第1の色彩範囲は「緑系〜茶系」であり、図8(b)に示す各変換テーブルT2に設定された段彩のための第2の色彩範囲は「青系〜赤系」である。第1の色彩範囲と第2の色彩範囲は、共に最小値側が「寒色」、最大値側が「暖色」である点で共通しているが、寒色の具体的な色彩(緑系と青系)と、暖色の具体的な色彩(茶と赤)とが互いに異なっている。
【0050】
本実施形態において、「寒色」とは、色成分の赤(R)・緑(G)・青(B)のうち緑・青のうち少なくとも一方の成分が赤の成分よりも大きな色彩を指す(G>RとB>Rのうち少なくとも一方が成立)。また、「暖色」とは、色成分の赤(R)・緑(G)・青(B)のうち赤の成分が緑・青の各成分よりも大きな色彩を指す(R>GかつR>B)。
【0051】
標高の低い領域に緑系の色彩が付与され、標高の高い領域に茶系の色彩が付与される。また、谷部が青系の色彩に付与され、尾根部が赤系の色彩に付与される。標高Zと尾根谷度αで段彩表示のため付与される色彩が異なるので、比較的大きな起伏と、尾根部・谷部などの比較的小さな凹凸(微地形)とを、段彩による色彩の違いから判別し易い。また、標高の低い平地などを緑系、標高の高い山岳の山頂などを茶系に彩色し、一般の地図帳等に使用される馴染みの色彩を使用している。谷部が青系、尾根部が赤系に設定された第2の色彩範囲と、標高用に設定された第1の色彩範囲とを異ならせることで、尾根や谷も判読し易くしている。なお、第1の色彩範囲と前記第2の色彩範囲における最小値側の色彩は、一方が緑系、他方が青系であればよく、例えば標高用と尾根谷度用で逆の色彩を採用してもよい。
【0052】
次に、三次元地形データDEM(X,Y,Z)の全対象点に、各変換テーブルT1,T2及び陰影テーブルを用いて求めた、標高Zに応じた緑〜茶の色彩、尾根谷度αに応じた青〜赤の色彩、傾斜度θに応じた黒〜白の陰影を合成して施し、段彩地形データG(X,Y,Z,R,G,B,Z)を生成する起伏画像生成処理(S60〜S170)について説明する。
【0053】
ステップS60では、対象点Pj(但しj=1,2,3,…n(nはDEMにおける表示エリアの全点数))を設定する。三次元地形データDEM(X,Y,Z)を構成する全ての点(画素とすべき点)を1点ずつ順番に対象点として設定する。以下の対象点の色生成処理(S70〜S150)では、対象点に対して第1段彩処理、第2段彩処理、陰影処理、及び合成処理を行って色情報(R,G,B)を付与する。
【0054】
まずステップS70では、対象点の標高値Zを取得する。ステップS80では、標高値Zに応じた色彩(標高段彩値)(Rz,Gz,Bz)を、標高色彩変換テーブルT1(図8(a))を参照して計算する。標高色彩変換テーブルT1(図8(a))の参照により複数階調(22階調)のうちどの階調に属するかを判断し、その属する階調範囲における標高及び色彩のそれぞれの下限値(第1境界値)Z1,(R1,G1,B1)とそれぞれの上限値(第2境界値)Z2,(R2,G2,B2)とを取得する。そして、標高に応じた色彩がスムーズになるように、以下の計算式に従ってRGB成分ごとに加重平均を算出することで、標高Zに応じた緑〜茶の色彩を示す標高段彩データC1(Rz,Gz,Bz)を計算する。
Rz=R2+(R1−R2)・(Z−Z2)/(Z1−Z2) …(2)
Gz=G2+(G1−G2)・(Z−Z2)/(Z1−Z2) …(3)
Bz=B2+(B1−B2)・(Z−Z2)/(Z1−Z2) …(4)
この標高段彩データC1(Rz,Gz,Bz)を空間座標(X,Y,Z)に付与した全点を画素としてカラー表示したものが、図10に示す標高段彩画像C1である。図10の標高段彩画像C1に示すように、この表示エリアでは標高Zに応じて薄青緑〜茶色に段彩され、段彩された色の違いから比較的大きな起伏の判読が可能である。
【0055】
ステップS90では、対象点の尾根谷度αを取得する。ステップS100では、尾根谷度αに応じた色彩(尾根谷度段彩値)(Rα,Gα,Bα)を、尾根谷度色彩変換テーブルT2(図8(b))を参照して計算する。尾根谷度色彩変換テーブルT2(図8(b))の参照により複数階調(22階調)のうちどの階調に属するかを判断し、その属する階調範囲における尾根谷度α及び色彩のそれぞれの下限値(第1境界値)α1,(R1,G1,B1)とそれぞれの上限値(第2境界値)α2,(R2,G2,B2)とを取得する。そして、尾根谷度αに応じた色彩がスムーズになるように、以下の計算式に従ってRGB成分ごとに加重平均を算出することで、尾根谷度αに応じた青〜赤の色彩を示す尾根谷度段彩データC2(Rα,Gα,Bα)を計算する。
Rα=R2+(R1−R2)・(α−α2)/(α1−α2) …(5)
Gα=G2+(G1−G2)・(α−α2)/(α1−α2) …(6)
Bα=B2+(B1−B2)・(α−α2)/(α1−α2) …(7)
この尾根谷度段彩データC2(Rα,Gα,Bα)を空間座標(X,Y,Z)に付与した全点を画素としてカラー表示したものが、図11に示す尾根谷度段彩画像C2である。図11の尾根谷度段彩画像C2に示すように、この表示エリアでは尾根谷度αに応じて青〜赤のうちの青緑〜黄色に段彩され、段彩された色の違いから尾根や谷などの比較的小さな凹凸の判読が可能である。
【0056】
ステップS110では、標高段彩データC1と尾根谷度段彩データC2との重み付け平均(加重平均)を計算し、第1合成データG1を生成する。第1合成データG1(Rzα,Gzα,Bzα)は、以下の計算式に従って算出される。
Rzα=(w1・Rz+w2・Rα)/(w1+w2) …(8)
Gzα=(w1・Gz+w2・Gα)/(w1+w2) …(9)
Bzα=(w1・Bz+w2・Bα)/(w1+w2) …(10)
ここで、w1は標高段彩の重み係数、w2は尾根谷度段彩の重み係数である。この第1合成データG1(Rzα,Gzα,Bzα)を空間座標(X,Y,Z)に付与した全点を画素としてカラー表示したものが、図12に示す第1合成画像G1である。この第1合成画像G1は、標高段彩の重み係数w1=0.5、尾根谷度段彩の重み係数w2=0.5の例を示している。各変換テーブルT1,T2に設定された色彩範囲(緑系〜茶系)(青系〜赤系)の組合せに応じて、標高Zによる段彩と尾根谷度αによる段彩とを識別できるように、適宜な重み係数w1,w2を設定することができる。
【0057】
この第1合成画像G1の表示エリアでは、標高Zに応じた緑〜茶の範囲の段彩と、尾根谷度αに応じた青〜赤の範囲の段彩とが色合成され、平地が薄緑、標高の高い部分が茶鼠でその中に茶色の尾根部が脈状に延び、標高の次に高い部分が黄茶でその中に濃黄色の尾根部が脈状に延び、さらに脈状に延びる谷部が青緑で表現されている。この第1合成画像G1では、段彩された色の違いから、比較的大きな起伏と比較的小さな凹凸の両方の判読が可能である。
【0058】
ステップS120では、対象点の近傍8点のデータ(X,Y,Z)を取得する。ステップS130では、対象点の近傍8点のデータ(X,Y,Z)を用いて傾斜度θを計算する。図7は、対象点の周囲近傍に位置する8点の標高値を示す。まず対象点の周囲近傍8点の標高値Z1〜Z8を用いて、x方向の傾斜度Sxとy方向の傾斜度Syとを次式により計算する。
Sx=((Z1+Z4+Z6)−(Z3+Z5+Z8))/6/Msize …(11)
Sy=((Z1+Z2+Z3)−(Z6+Z7+Z8))/6/Msize …(12)
ここで、Msizeはメッシュサイズ(1画素1辺のサイズ(長さ))である。次にx方向の傾斜度Sxとy方向の傾斜度Syとを用いて、次式により傾斜度(傾斜角)θを計算する。
傾斜度θ=arctan(√(Sx・Sx +Sy・Sy) …(13)
このように本実施形態では、x方向の傾斜度Sxとy方向の傾斜度Syとを合成して傾斜度θを計算している。この傾斜度θの使用によって、対象点Pjの周囲8方位の傾斜角のうち最大傾斜角を使用して陰影を付与する方法に比べ、周囲8方位の傾斜角が適度にスムージングされ、傾斜度θに応じた自然な陰影が付与される。もちろん、「(Z1+Z4+Z6)/3−(Z3+Z5+Z8)/3」のようなx方向両側の各3点の標高平均の差をメッシュサイズMsizeで除した値を傾斜度θに用いてもよい。なお、傾斜度θとして式 θ=√(Sx・Sx +Sy・Sy)を使用することもできる。
【0059】
ステップS140では、傾斜度θにより陰影Gθを計算する。最大傾斜度を「黒」、最小傾斜度を「白」とする予め用意された傾斜度陰影変換テーブル(グレースケールテーブル)を参照して、傾斜度θに応じた陰影Gθを求める。本例では、陰影Gθは、0〜1.0の範囲内の値として算出される。この陰影Gθを空間座標(X,Y,Z)に付与した全点を画素としてグレースケール表示したものが、図13に示す傾斜陰影画像Gθである。この傾斜陰影画像Gθの表示エリアでは、傾斜度θに応じた陰影が表現され、傾斜が大きい領域が濃色(低明度)、傾斜が小さい領域が淡色(高明度)のグレースケールで表現されている。例えば脈状に延びる尾根部や谷部、平地などは淡灰色(明灰色)で表現され、尾根と谷の間の斜面は傾斜に応じた濃さの濃灰色(暗灰色)で表現される。
【0060】
ステップS150では、第1合成データG1と陰影Gθとを乗算し、第2合成データG2を生成する。第2合成データG2(Rzαθ,Gzαθ,Bzαθ)は、以下の計算式に従って算出される。
Rzαθ=Rzα・Gθ …(14)
Gzαθ=Gzα・Gθ …(15)
Bzαθ=Bzα・Gθ …(16)
この第2合成データG2(Rzαθ,Gzαθ,Bzαθ)を空間座標(X,Y,Z)に付与した全点を画素としてカラー表示したものが、図14に示す第2合成画像G2である。この第2合成画像G2の表示エリアでは、標高Zに応じた緑〜茶の範囲の段彩と、尾根谷度αに応じた青〜赤の範囲の段彩と、傾斜度θに応じた陰影とが色合成され、平地が薄緑、標高の高い部分が焦茶でその中に明るい茶色で尾根部が脈状に延び、標高の次に高い部分の中に黄茶の尾根部が脈状に延び、さらに脈状に延びる谷部が青緑で表現されている。そして、尾根部の両側では傾斜度の大きな斜面が濃灰色の混色、傾斜度の小さな斜面が明灰色の混色で表現される。よって、この第2合成画像G2では、段彩された色の違いから、比較的大きな起伏と比較的小さな凹凸の両方の判読が可能であるうえ、陰影から傾斜の大きさも判読可能である。なお、第2合成データG2(Rzαθ,Gzαθ,Bzαθ)は、空間座標(X,Y,Z)と共に、空間座標と色値とを合わせた6次元のデータ(X,Y,Z,Rzαθ,Gzαθ,Bzαθ)として、バッファ35に格納される。
【0061】
こうして1つの対象点についてS70〜S150の処理を終え、対象点に2種類の段彩及び陰影が合成されて付与されると、ステップS160において、全点について処理を終了したか否かを判断する。全点の処理終了前であって処理すべき座標点が残っていれば、ステップS170において次の点の番号を1つ繰り上げて(j=j+1)、ステップS60において次の対象点Pjを設定する。以下、同様に、各対象点についてS70〜S150の処理を繰り返し、全ての座標点について処理を終えると、S160において全点の処理を終了したと判断される。このときバッファ35には、全点の第2合成データG2(X,Y,Z,Rzαθ,Gzαθ,Bzαθ)が格納される。
【0062】
ステップS180では、段彩地形データG(X,Y,Z,R,G,B)を生成する。すなわち、バッファ35に格納された第2合成データG2(X,Y,Z,Rzαθ,Gzαθ,Bzαθ)の全点分の集まりが段彩地形データG(X,Y,Z,R,G,B)として生成される。この段彩地形データG(X,Y,Z,R,G,B)は空間座標値と色値とを成分に含む6次元の数値データであり、各点は空間座標点であると共に画素として機能する。この段彩地形データG(X,Y,Z,R,G,B)の各点を画素としてカラー表現すると、段彩地形データGが第2合成データG2の集まりであることから、図14と同じ画像となる。
【0063】
ステップS190では、水部ポリゴンデータPD(別途X,Y座標列で表される閉じた多角形面)を取得し、段彩地形データG(X,Y,Z,R,G,B)において水部ポリゴンデータPDで規定されるポリゴン内の画素を色変更して段彩地形データGP(X,Y,Z,R,G,B)を生成する。このポリゴン処理はポリゴン処理部29が行う。このポリゴン処理の結果、池、沼、河川、海等の水面領域に設定された水部ポリゴン内に存在する全ての点(画素)の色値(R,G,B)が、例えば青色の値に変更される。この段彩地形データGP(X,Y,Z,R,G,B)の各点を画素としてカラー表現したものが、図15に示す段彩地形画像GPである。
【0064】
ステップS200では、段彩地形データGP(X,Y,Z,R,G,B)を基に、指定の方向視からの地形起伏画像データG(R,G,B)を生成する。この地形起伏画像データG(R,G,B)の生成は、画像生成部30が行う。例えば指定方向視が真上からである平面視の場合は、段彩地形データGP(X,Y,Z,R,G,B)をz方向から見たときの出力面(表示面)に指定エリア内の各点(画素)を写像し、出力面上の各写像点に対応する画素値(R,G,B)を与えることで、平面視の地形起伏画像データG(R,G,B)を生成する。この結果、生成された地形起伏画像データG(R,G,B)に基づき、図16に示す平面視(z方向視)の地形起伏画像が出力(表示又は印刷)される。また、指定方向視が斜め方向である場合は、段彩地形データGP(X,Y,Z,R,G,B)をz方向に対して斜めから見たときの出力面(表示面)に指定エリア内の各点(画素)を写像し、出力面上の各写像点(画素)に、対応する画素値(R,G,B)を与えることで、斜めから見た地形起伏画像データG(R,G,B)を生成する。この結果、生成された地形起伏画像データG(R,G,B)に基づき、図17に示す地形起伏画像(鳥瞰図)が出力(表示又は印刷)される。
【0065】
従来、三次元地形データDEM(X,Y,Z)を基に鳥瞰図を生成する場合、まず地形表面を生成してからレンダリング処理で地形表面に色彩を付与する方法がとられていたので、処理負担の高いレンダリング処理により表示速度が遅くなってしまう。これに対し本実施形態では、三次元座標(X,Y,Z)に色値(R,G,B)を付加して生成される段彩地形データGPには三次元情報が保たれているので、段彩地形データGPを出力面(表示面)へ写像する際の向き(視方向)を変えるだけで、鳥瞰図などの画像データを比較的高速に生成できる。この結果、鳥瞰図のような三次元の画像も比較的高速に表示できる。
【0066】
なお、図9において、S10,S20,S70,S80の処理が標高段彩処理手順に相当し、S30,S40の処理が凹凸度演算手順に相当し、さらにS50,S90,S100の処理が凹凸度段彩処理手順に相当する。また、S120,S130の処理が傾斜度演算手順に相当し、S140の処理が陰影生成手順に相当し、さらにS110,S150,S180の処理が合成処理手順に相当する。また、S200の処理が出力手順に相当する。
【0067】
以上詳述したようにこの実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1)標高段彩と尾根谷度段彩(凹凸度段彩)との合成により、標高段彩により比較的大きな起伏を判読し易くなり、尾根谷度段彩により尾根・谷などの比較的小さな凹凸(微地形)を判読し易くなる。
【0068】
(2)微地形を強調する陰影を傾斜度θから作成するので、斜めの入射光を想定して陰影を施した際に問題となる陰影の光入射方向依存性がないうえ、特許文献1のように凹凸度(浮沈度)に応じた陰影に起因し赤色立体地図において谷部が暗くなる問題も回避できる。尾根谷度段彩画像に傾斜度θによる陰影を重ね合せることで、明暗だけでは区別し難い尾根と谷を一層明確に判読できる。また、傾斜度θに応じて、緩傾斜部分の明度を高く、急傾斜部分の明度を低くすることで立体感を与えることができる。
【0069】
(3)標高段彩は、標高値Zに応じた第1色彩範囲「緑(最低標高Zmin)〜茶(最高標高Zmax)」を着色することで強調表現し、尾根谷度段彩は、尾根谷度αに応じた第2色彩範囲「青(最小値αmin)〜赤(最大値αmax)」を着色することで強調表現される。第1色彩範囲と第2色彩範囲が異なる色彩範囲(つまりパラメータ(標高Z、尾根谷度α)の最小値の色彩と最大値の色彩が互いに異なるよう)に設定するとともに、共にパラメータの最小値が互いに異なる寒色、最大値が互いに異なる暖色になるように設定した。よって、標高段彩と尾根谷度段彩を合成表示しても、比較的大きな起伏の判読とその中にある比較的小さな凹凸(微地形)の判読が一層し易い。
【0070】
(4)特許文献1における赤色化立体画像のように浮沈度に応じて赤色の明度で階調表示する方法であると、尾根などの凸部が膨張、谷などの凹部が収縮したイメージ(谷が細く感じる)、谷内が暗く見え難くなる。しかし、本実施形態によれば、尾根や谷などの凹凸が尾根谷度αに応じて青〜赤の色彩範囲の段彩で強調表示されるので、尾根などの凸部が膨張、谷などの凹部が収縮したイメージになることを回避できる。
【0071】
(5)段彩地形データGPは、3次元座標(X,Y,Z)の付加情報として色情報(R,G,B)を付加することにより生成され、三次元座標(X,Y,Z)を保持している。このため、空間的に三次元の段彩地形データGPを斜めから見ることでより、立体感の効いた地形起伏画像を作成できる。通常、三次元データから面(surface)を発生させてからレンダリング処理を行って地形起伏画像を表現することが一般的であり、表示速度が遅くなってしまう。しかし、本実施形態によれば、三次元地形データにおける着色された点を表示する処理で済むので、地形起伏画像を高速に生成できる。
【0072】
(6)従来の地形画像は単色や赤〜青の段彩が多いが、本実施形態は、緑〜茶色と一般的な地図帳の表現に近い馴染み易い色調で地形起伏画像を表現できる。また、大きな起伏は緑〜茶色の段彩、凹凸などの微地形は青〜赤の段彩で強調表現されるので、その合成色上に施された注記(赤、青、黒色)が背景に溶け込まず判読し易い効果も得られる。また、別途作成された水部ポリゴン(または水部属性)を使用して水部の色付けを行うことにより、さらに地図帳に近いより馴染み易い地形起伏画像を提供できる。
【0073】
(7)凹凸度演算手順(S30,S40)では、三次元地形データDEMにおける対象点毎に、対象点から複数の方向(例えば8方向)に地上角Φ1と地下角Φ2とをそれぞれ求め、地上角Φ1の平均である地上開度ΦLと、地下角Φ2の平均である地下開度ΨLとに基づき、式 α=(ΦL−ΨL)/2により、凹凸度の一例として尾根谷度αを計算する。尾根などの凸部を表現できる地上開度ΦLと、谷などの凹部を表現できる地下開度ΨLとから、凹凸度を表現できる1つの地形量パラメータとして尾根谷度αを求め、尾根谷度αに応じて変換テーブルT2から決まる色彩を施すので、微地形を適切に段彩表現できる。
【0074】
(8)傾斜度演算手順(S120,S130)では、対象点の周囲近傍8点の標高Zを用いて(11)式及び(12)式によりそれぞれ計算したx方向傾斜度Sxとy方向傾斜度Syとを(13)式により合成して傾斜度θを求める。よって、対象点から8方向の傾斜角が適度にスムージングされた傾斜度θを採用できる。この結果、適度にスムージングされた傾斜度θに応じた自然な陰影を付与できる。
【0075】
(9)標高段彩データC1と尾根谷度段彩データC2との重み付け平均(加重平均)を、(8)式〜(10)式により計算し、第1合成データG1を生成する。よって、係数w1,w2による重み付けを調整することにより、比較的大きな起伏と比較的小さな凹凸とを判読し易い条件で、段彩地形データGPを生成できる。
【0076】
前記実施形態は上記に限定されず、以下の態様に変更することもできる。
・変換テーブルT1,T2の色彩範囲は前記実施形態に限定されず、適宜な色彩範囲を設定することができる。例えば各変換テーブルT1,T2で使用する色彩範囲を入れ替えてもよい。さらに、変換テーブルT1,T2のうち少なくとも一方について、標高Z又は尾根谷度αの最小値側が暖色、最大値側が寒色となるような色彩範囲を設定してもよい。また、標高用と尾根谷度用で同一の変換テーブルを用いて、使用する色彩範囲を同じとしてもよい。
【0077】
・標高Zに応じた第1段彩処理、尾根谷度αに応じた第2段彩処理、傾斜度に応じた陰影処理及び合成処理を、対象点毎に全点終了まで繰り返す方法を採用したが、これに替えて、全点の処理を終えた後に次の処理へ進む方法も採用できる。
【0078】
・傾斜度を求める計算式は適宜変更してもよい。最大傾斜角を求める計算式を用いてもよい。
・尾根谷度αを求める計算式は適宜変更してもよい。また、探索方向は8方向に限らず、4方向や16方向、あるいは32方向等でもよい。
【0079】
・凹凸度は尾根谷度αに限定されない。凹凸度として、ラプラシアンを用いてもよい。さらに、曲線上のある点を通る全ての測地線(曲面上で2点間を結ぶ最短距離の曲線)の曲率の最大値と最小値の平均として定義される平均曲率を凹凸度として用いてもよい。
【0080】
・三次元地形データは、TIN(triangulated irregular network,不整三角形網)でもよい。さらには、オルソ画像、DTM(Digital Terrain Model:数値地形モデル)、DSM(Digital Surface Model:数値表層モデル)でもよい。
【0081】
・段彩地形データは6次元データに限定されない。他の情報を含めた7次元以上のデータであってもよい。また、三次元空間座標(X,Y,Z)を無くした三次元の段彩地形データGP(R,G,B)であってもよい。この場合、指定の視野方向毎に段彩地形データの生成処理を行うことになる。
【符号の説明】
【0082】
10…本体、11…入力部、12…入力操作部、13…表示ドライバ、14…モニタ、15…印刷ドライバ、16…プリンタ、21…制御部、22…入力バッファ、23…標高段彩処理手段の一例である第1段彩演算部、24…凹凸度演算手段の一例である尾根谷度演算部、25…凹凸度段彩処理手段の一例である第2段彩演算部、26…傾斜度演算手段の一例である傾斜度演算部、27…陰影生成手段の一例である陰影演算部、28…合成処理手段の一例である合成処理部、29…ポリゴン処理部、30…出力手段の一例である画像生成部、31…第1変換テーブル作成部、32…第2変換テーブル作成部、33…色合成処理部、34…陰影合成処理部、35…バッファ、100…地形起伏画像生成装置の一例である地図生成装置、PC…パーソナルコンピュータ、DEM(X,Y,Z)…三次元地形データ、Z…標高、Φ1…地上角、Φ2…地下角、ΦL…地上開度、ΨL…地下開度、α…凹凸度の一例である尾根谷度、Sx…x方向傾斜度、Sy…y方向傾斜度、θ…傾斜度、T1…高色彩変換テーブル、T2…尾根谷度色彩変換テーブル、Zmin…標高の最小値、Zmax…標高の最大値、αmin…尾根谷度の最小値、αmax…尾根谷度の最大値、Pj…対象点(着目の地点)C1…標高段彩データ、C2…凹凸度段彩データの一例である尾根谷度段彩データ、Gθ…陰影データ(陰影)、G1…第1合成データ、G2…第2合成データ、G(X,Y,Z,R,G,B)…段彩地形データ(水部ポリゴン色付与前)、GP(X,Y,Z,R,G,B)…段彩地形データ(水部ポリゴン色付与後)、G(R,G,B)…地形起伏画像データ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば数値標高モデルデータ(DEM:Digital Elevation Model)など標高を含む3次元地形データを基に、地形の比較的大きな起伏、尾根・谷などの比較的小さな凹凸(微地形)を判読し易く可視化された地形起伏画像を生成する地形起伏画像生成方法及び地形起伏画像生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、航空レーザ測量や人工衛星による地形測量技術の進歩により高密度な数値標高データが得られるようになってきた。数値標高データは任意の位置の座標を示し、各地点の座標はX、Y、Zの座標情報から構成される。特に水平面位置(X及びY)が正規間隔(メッシュ)のデータをメッシュデータと呼ぶ。
【0003】
従来より、地形の起伏を平面で表現してディスプレイや紙図に出力するための方法として、等高線図、段彩図、陰影図などが知られているが、いずれも地形表現に不得意な範疇がそれぞれあり、結果として正確な地形判読及び理解の妨げとなっていた。
【0004】
また、例えば段彩陰影図と等高線図とを組み合わせたもの、標高段彩と傾斜区分とを組み合わせたものも知られている。
特許文献1には、DEMデータを基に、傾斜度が大きいほど濃い赤色となるように最大傾斜度に応じた赤色の階調表示をするとともに、凹凸度を表す浮沈度に応じて赤色の明度を階調表示することで、尾根が白く谷底が黒く表現された傾斜赤色化立体画像を生成する視覚化処理システムが開示されている。また、この特許文献1には、地上開度に応じたグレースケールと地下開度に応じたグレースケールとの合成画像と、傾斜度に応じた赤色画像とを合成することで、赤色化立体画像を生成する構成も開示されている。
【0005】
また、特許文献2には、凹凸部を検出し、凹部に寒色系の色を付与した凹部の地形データと、凸部に暖色系の色を付与した凸部の地形データと、平坦部の地形データとを1つにまとめた陰影地形データを作成する。この陰影地形データに、同じ地形を表現する別のベース画像(例えば陰影画像、カラー段彩画像、等高線図画像、傾斜勾配画像など)を適当な混合比で混合して立体画像を作成する立体画像作成装置が開示されている。この立体画像では、尾根と谷が強調表示される。
【0006】
さらに特許文献3には、数値標高データから色相などに割り当てた高度段彩図(カラー標高図)と、傾斜が大きいほど濃い濃度を割り当てたグレースケール傾斜図とを透過合成してカラー標高傾斜図を作成するカラー標高傾斜図作成方法が開示されている。高度段彩図は標高に応じて青〜赤の色相が割り当てられていた。また、特許文献3には、カラー標高図とラプラシアン図との合成も開示されている。なお、カラー標高図における標高に応じた段彩には青(低標高)〜赤(高標高)の色彩範囲が設定され、ラプラシアン図における傾斜変化率に応じた段彩には青(凹部)〜赤(凸部)の色彩範囲が設定されていた。
【0007】
特許文献4では、標高データに基づいて、色相決定部が色相化標高データを生成し、輝度決定部が太陽光反射強度データを生成し、凹凸補正部が微細な凹凸情報の補正データを生成する。また、彩度決定部は、凹凸補正部の処理結果に基づいて彩度データを決定する。画像合成部は、色相化標高データ、太陽光反射強度データ、彩度データを合成し、対象となっている地表面の画像データを生成する地形図作成方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第2004/042675号パンフレット(特許第3670274号公報)(例えば明細書段落[0050][0051]、[0095]−[0108]等、図11、図19、図20等)
【特許文献2】特開2006−72857号公報(特許第4379264号公報)(例えば明細書段落[0014]−[0017]等、図1)
【特許文献3】特開2007−48185号公報(例えば明細書段落[0036][0042][0047][0055][0064])
【特許文献4】特開2008−242298号公報(例えば明細書段落[0014]−[0018][0027][0033]等、図1、図5等)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、特許文献1における赤色化立体画像では、谷部に陰影が施されることになり、谷部が暗く判読し難いという問題があった。
また、特許文献2における立体画像では、尾根と谷を判読し易いが、例えばベース画像としてカラー段彩画像と混合した場合、段彩画像の色彩と凹凸部の色彩とが同系色であると、尾根や谷が判読し難くなるという問題があった。また、凹部と凸部と平坦部とが3階調で階調表現(3階調表現)されるだけなので、凹部や凸部の度合までは判読し難かった。また、細い凹部と大きな窪みとを区別した表現ができるように空間周波数の設定を変えて別々に凹部の地形データを生成する必要があった。
【0010】
さらに特許文献3では、カラー標高傾斜図では、標高と傾斜度を判読し易いものの、尾根や谷を判読し難かった。また、カラー標高図とラプラシアン図との合成図であれば、尾根や谷を判読し易いが、この合成図では傾斜度が判読し難いという問題があった。なお、カラー標高図における標高に応じた段彩と、ラプラシアン図における傾斜変化率に応じた段彩は、共に青(低標高、凹部)〜赤(高標高、凸部)の同系色の色彩範囲に設定されていたので、相対的に標高と凹凸度(尾根谷度)とを判別し難いという問題もある。
【0011】
また、特許文献4によると、凹凸の標高を大きく変化させる補正を行って凹凸の色彩を強調する方法なので、凹凸を表現した色彩が実際の標高と違った色彩で表示されてしまうという問題があった。
【0012】
本発明は、上記の課題に着目してなされたものであって、その目的は、地形の標高を含む三次元地形データを基に、地形の比較的大きな起伏、尾根・谷等の比較的小さな凹凸、及び地形の傾斜度合などを判読し易い地形起伏画像を生成できる地形起伏画像生成方法及び地形起伏画像生成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明では、標高を含む三次元地形データを基に地形起伏画像を生成する地形起伏画像生成方法であって、入力した前記三次元地形データに基づき画素となる各地点に当該地点の標高に応じた色彩を付与する段彩処理を行って標高段彩データを生成する標高段彩処理手順と、前記三次元地形データに基づいて前記各地点における地形の凹凸度を演算する凹凸度演算手順と、前記各地点に当該地点毎の前記凹凸度に応じた色彩を付与する段彩処理を行って凹凸度段彩データを生成する凹凸度段彩処理手順と、前記三次元地形データに基づいて前記各地点における傾斜度を演算する傾斜度演算手順と、前記各地点に当該地点毎の前記傾斜度に応じた陰影を付与する陰影処理を行って陰影データを生成する陰影生成手順と、前記標高段彩データと前記凹凸度段彩データと前記陰影データとを合成して段彩地形データを生成する合成処理手順と、前記段彩地形データに基づく地形起伏画像を出力する出力手順と、を備えたことを要旨とする。
【0014】
この発明によれば、標高に応じた段彩が施されるとともに、凹凸度に応じた段彩が施され、さらに傾斜度に応じた陰影が施される。よって、標高を含む三次元地形データを基に、地形の比較的大きな起伏、尾根・谷等の比較的小さな凹凸(微地形)、及び傾斜の度合などを判読し易い地形起伏画像を生成できる。
【0015】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の地形起伏画像生成方法において、地形起伏画像生成方法では、前記標高段彩処理手順では、前記標高の最小値と最大値との間に設定された第1の色彩範囲に従って標高に応じた色彩を付与して前記標高段彩データを生成し、前記凹凸度段彩処理手順では、前記凹凸度の最小値と最大値との間に設定された第2の色彩範囲に従って凹凸度に応じた色彩を付与して前記凹凸度段彩データを生成し、前記第1の色彩範囲と前記第2の色彩範囲は設定された色彩範囲が互いに異なるとともに、前記標高と前記凹凸度との各最小値に対応する色彩が互いに異なる寒色、最大値に対応する色彩が互いに異なる暖色に設定される。
【0016】
この発明によれば、標高に応じた段彩と、凹凸度に応じた段彩は、それぞれ最小値が互いに異なる寒色、最大値が互いに異なる暖色に設定された互いに色彩範囲の異なる第1の色彩範囲と第2の色彩範囲に従ってそれぞれ施される。よって、地形の比較的大きな起伏と比較的小さな凹凸(微地形)とを、施された色の違いから判別し易い。
【0017】
請求項3に記載の発明では、請求項1又は2に記載の地形起伏画像生成方法において、前記凹凸度演算手順では、前記三次元地形データにおける前記地点毎に、当該地点から複数の方向に地上角と地下角とをそれぞれ求め、前記地上角の平均である地上開度と、前記地下角の平均である地下開度とに基づき、前記凹凸度としての尾根谷度を演算する。
【0018】
この発明によれば、着目する地点(対象点)から複数の方向に地上角と地下角とをそれぞれ求め、地上角の平均である地上開度と、地下角の平均である地下開度とに基づき演算した尾根谷度という地形量パラメータを凹凸度として用いて、尾根谷度に応じた段彩が施される。よって、尾根や谷などの微地形が一層適切に判読し易くなる。
【0019】
請求項4に記載の発明では、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の地形起伏画像生成方法において、前記傾斜度演算手順では、前記三次元地形データに基づいて前記各地点におけるx方向傾斜度とy方向傾斜度とを演算し、当該x方向傾斜度とy方向傾斜度とを合成して前記傾斜度を演算する。
【0020】
この構成によれば、x方向傾斜度とy方向傾斜度とを合成して傾斜度を演算するので、傾斜面の向きによらず適切な傾斜度を取得できる。よって、傾斜度に応じた適切な陰影を付与できる。
【0021】
請求項5に記載の発明では、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の地形起伏画像生成方法において、前記合成処理手順では、前記三次元地形データにおける前記各地点に対応する三次元の空間座標点に、前記合成処理手順で取得した色情報を三成分の色座標で付加することにより、三次元の空間座標と三成分の色座標とを含む六次元以上の前記段彩地形データを生成し、前記出力手順では、前記段彩地形データの空間座標点を指定の視野方向にある出力面に写像した点を画素として当該画素に当該空間座標に対応する色座標を画素値として与えることで前記地形起伏画像を生成する。
【0022】
この構成によれば、段彩地形データの空間座標点を指定の視野方向の出力面に写像した点を画素とし、当該画素に対応する色座標を画素値として与えることで地形起伏画像が生成される。よって、指定の視野方向に応じて写像方向を変えるだけで、指定の視野方向に応じた地形起伏画像を比較的簡単に生成できる。例えばレンダリング処理を不要にできる。
【0023】
請求項6に記載の発明は、標高を含む三次元地形データを基に地形起伏画像を生成する地形起伏画像生成装置であって、入力した前記三次元地形データに基づき画素となる各地点に当該地点の標高に応じた色彩を付与する段彩処理を行って標高段彩データを生成する標高段彩処理手段と、前記三次元地形データに基づいて前記各地点における地形の凹凸度を演算する凹凸度演算手段と、前記各地点に当該地点毎の前記凹凸度に応じた色彩を付与する段彩処理を行って凹凸度段彩データを生成する凹凸度段彩処理手段と、前記三次元地形データに基づいて前記各地点における傾斜度を演算する傾斜度演算手段と、前記各地点に当該地点毎の前記傾斜度に応じた陰影を付与する陰影処理を行って陰影データを生成する陰影生成手段と、前記標高段彩データと前記凹凸度段彩データと前記陰影データとを合成して段彩地形データを生成する合成処理手段と、前記段彩地形データに基づく地形起伏画像を出力する出力手段と、を備えたことを要旨とする。この発明によれば、上記地形起伏画像生成方法に係る発明と同様の効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、標高を含む三次元地形データを基に、地形の比較的大きな起伏、尾根・谷等の比較的小さな凹凸、及び傾斜の度合などを判読し易い地形起伏画像を生成できる、という優れた効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】地図生成装置の機能構成を示すブロック図。
【図2】航空レーザ測量の方法を説明する模式図。
【図3】対象点における地上角と地下角とを説明するグラフ。
【図4】(a)地上開度ΦLの説明図、(b)は地下開度ΨLの説明図。
【図5】(a),(b)凸部と凹部における地上開度ΦLと地下開度ΨLを示す説明図。
【図6】尾根谷度αと地上開度ΦL及び地下開度ΨLとの関係を示すグラフ。
【図7】傾斜度θの算出に用いる対象点の周囲近傍8点の標高を示す模式図。
【図8】(a)標高色彩変換テーブルT1、(b)尾根谷度色彩変換テーブルT2の模式図。
【図9】地図生成装置の処理フロー図。
【図10】標高段彩画像C1を示す図。
【図11】尾根谷度段彩画像C2を示す図。
【図12】第1合成画像G1を示す図。
【図13】傾斜陰影画像Gθを示す図。
【図14】第2合成画像G2(段彩地形画像G)を示す図。
【図15】段彩地形画像GPを示す図。
【図16】平面図の地形起伏画像を示す図。
【図17】鳥瞰図の地形起伏画像を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1〜図17に基づいて説明する。
図1は、地形起伏画像生成装置の一例である地図生成装置の機能構成を示すブロック図である。図1に示す地図生成装置100は、地形起伏画像生成用プログラムがパーソナルコンピュータPCの本体10にインストールされて構築される。地図生成装置100は、通信インターフェイス(例えばUSBポート、LANポート等)や光ディスク読取装置などからなる入力部11と、キーボードやマウス等からなる入力操作部12とに接続されている。地図生成装置100には、入力部11を通じて三次元地形データ(デジタル標高モデルデータ)DEM(X,Y,Z)が入力される。地図生成装置100は、三次元地形データDEM(X,Y,Z)(DEM:Digital Elevation Model(数値標高モデル))を基に、標高Z及び尾根谷度に応じて段彩され、かつ傾斜度に応じて陰影を施した地形起伏画像データG(R,G,B)を生成する。地図生成装置100が生成した地形起伏画像データGに基づく地形起伏画像(立体地形図)は、本体10内の表示ドライバ13を介してモニタ14に表示されたり、本体10内の印刷ドライバ15を介してプリンタ16により用紙に印刷されたりする。
【0027】
三次元地形データDEM(X,Y,Z)は、例えば図2に示すような航空レーザ測量を利用して取得される。図2に示すように、レーザ測量器201を搭載した航空機202により地形測量対象エリアの上空を飛行しながらレーザを地上へ発信するレーザスキャンを行い、その反射パルスを計測して航空レーザ測量データを取得する。航空機202はGPS衛星203から受信するGPS信号に基づく現在の測量位置の緯度・経度と、そのときの反射レーザの計測値に基づく標高Zとを取得し、緯度・経度に標高が対応付けられた航空レーザ測量データを取得する。この航空レーザ測量データから必要に応じて建物や樹木、車両等の地形形状を表さない地物を分離処理し、さらにモデリングして発生させたTIN(三角形網:Triangle Irregular Network)等から、所定距離(例えば0.1m〜50mの範囲内の所定値)メッシュの交点の標高Zを読み取って、三次元地形データDEM(X,Y,Z)は生成される。もちろん、三次元地形データDEM(X,Y,Z)は、空中写真測量、衛星画像による測量、レーダによる測量等から取得することもできる。
【0028】
以下、図1に示す地図生成装置100の詳細を説明する。地図生成装置100は、制御部21、入力バッファ22、標高段彩処理手段の一例である第1段彩演算部23、尾根谷度演算手段の一例である尾根谷度演算部24、尾根谷度段彩処理手段の一例である第2段彩演算部25、傾斜度演算部26、陰影演算部27、合成処理部28、ポリゴン処理部29及び画像生成部30を備えている。
【0029】
制御部21は、地図生成装置100の全体制御を司り、各部22〜30に必要な指示を与える。入力バッファ22には、入力部11からの三次元地形データDEM(X,Y,Z)や、ユーザが入力操作部12の操作により設定した各種の設定値などが格納される。各部22〜28は、三次元地形データDEM(X,Y,Z)を構成する1つの座標点(X,Y,Z)毎に、標高Zに応じた色彩を付与する段彩処理(第1の段彩処理)、尾根谷度αに応じた色彩を付与する段彩処理(第2の段彩処理)、傾斜度(傾斜角)θに応じた陰影を付与する陰影処理を施す。そして、合成処理部28は、第1の段彩処理、第2の段彩処理及び陰影処理の各処理結果を必要に応じて重み付けをして合成することにより、三次元空間座標(X,Y,Z)と色値(R,G,B)との計6次元で表現される点(X,Y,Z,R,G,B)を生成する。さらに合成処理部28は、三次元地形データDEM(X,Y,Z)の全ての点に対応する6次元の点(X,Y,Z,R,G,B)を生成すると、その6次元の点の集まりで表現された6次元のメッシュデータからなる段彩地形データG(X,Y,Z,R,G,B)を生成する。
【0030】
第1段彩演算部23は、標高値Zを色彩に変換するための標高色彩変換テーブルT1(図8(a)参照)を作成するための第1変換テーブル作成部31を備え、第1変換テーブル作成部31が作成した標高色彩変換テーブルT1を参照して、各点の標高値Zに応じた色彩を取得する。この色彩を表す点のデータは標高段彩データC1(R,G,B)として合成処理部28に入力される。
【0031】
尾根谷度演算部24は、対象点(画素となる地点)の空間座標(X,Y,Z)から尾根谷度αを演算する。尾根谷度αの詳細な計算方法は後述する。
第2段彩演算部25は、尾根谷度αを色彩に変換するための尾根谷度色彩変換テーブルT2(図8(b)参照)を作成するための第2変換テーブル作成部32を備え、第2変換テーブル作成部32が作成した尾根谷度色彩変換テーブルT2を参照して、各点の標高値Zに応じた色彩を取得する。この色彩を表す点のデータは尾根谷度段彩データC2(R,G,B)として合成処理部28に入力される。
【0032】
傾斜度演算部26は、対象点の空間座標(X,Y,Z)から傾斜度θ(傾斜角)を演算する。傾斜度θの詳細な計算方法は後述する。
陰影演算部27は、傾斜度θを陰影(明暗)に変換するための傾斜度陰影変換テーブル(図示せず)又は傾斜度陰影変換用の計算式を用いて、傾斜度θに応じた陰影値を取得する。この陰影を表す点のデータは陰影データGθとして合成処理部28に入力される。
【0033】
合成処理部28は、標高段彩データC1(R,G,B)と尾根谷度段彩データC2(R,G,B)とを色合成して第1合成データG1を生成する色合成処理部33と、第1合成データG1と陰影データGθとを合成して第2合成データG2を生成する陰影合成処理部34とを備えている。色合成処理部33による色合成は、例えば重み付け合成(加重平均)により行われる。また、陰影合成処理部34は、第1合成データG1(R1,G1,B1)に、陰影データの陰影値Gθ(=0〜1.0)を乗算することにより、第2合成データG2(R2,G2,B2)=(R1・Gθ,G1・Gθ,B1・Gθ)を求める。
【0034】
第2合成データG2はバッファ35に蓄積され、三次元地形データDEM(X,Y,Z)の全点について処理を終えると、合成処理部28は、バッファ35に格納された第2合成データG2(R2,G2,B2)の点の集まりとして表現される段彩地形データG(X,Y,Z,R,G,B)をポリゴン処理部29へ出力する。
【0035】
ポリゴン処理部29は、段彩地形データG(X,Y,Z,R,G,B)中において水部ポリゴンデータPDに基づき特定される水部ポリゴン内の画素の色を青色に変更し、池、沼、河川、海等の水面が青色で彩色された段彩地形データGP(X,Y,Z,R,G,B)を画像生成部30へ出力する。ここで、水部ポリゴンデータPDとは、三次元地形データDEM(X,Y,Z)又はその他資料から作成され、作業者が水部であると認識した領域をポリゴン(多角形)として指定したデータである。
【0036】
画像生成部30は、段彩地形データGP(X,Y,Z,R,G,B)を、ユーザが指定した視方向から見た地形起伏画像データG(R,G,B)を生成する。例えば視方向が真上からであるときの地形起伏画像(平面図)や、斜め上方からであるときの地形起伏画像(鳥瞰図)を生成する。そして、地形起伏画像は、ユーザが選択した出力方法に応じて、モニタ14に表示されたり、プリンタ16により用紙に印刷されたりする。
【0037】
次に、図9に示す処理フローに従って地図生成装置100による地形起伏画像生成方法の詳細を説明する。以下の説明の中で、尾根谷度α、傾斜度θの具体的な演算方法についても説明する。
【0038】
本実施形態の処理フローは、テーブル生成処理と起伏画像生成処理とを含む。起伏画像生成処理は、大きく3つの処理に分かれる。つまり、起伏画像生成処理は、対象点の標高値Zに応じた色彩を求める第1段彩処理、対象点の尾根谷度αに応じた色彩を求める第2段彩処理、対象点における傾斜度θに応じた陰影を求める陰影処理とを含む。
【0039】
まず各変換テーブルT1,T2を作成するテーブル生成処理について説明する。
ステップS10では、三次元地形データDEM(X,Y,Z)の全点の標高Zを取得する。図8(a)に示す標高色彩変換テーブルT1の段彩設定から分かるように、低標高を緑(厳密には最小値が薄青緑色)、高標高を茶色(厳密には最大値が濃茶色)とすることを基本とする。
【0040】
ステップS20では、標高の最小値Zminと最大値Zmaxに基づき、標高色彩変換テーブルT1を作成する。緑(薄緑青)〜茶(濃茶)の色彩範囲で徐々に色が変わる複数の階調(本例では22階調)に色分けされた色彩テーブル(図8(a)の右側部分)が予め用意されている。標高の最小値Zmin〜最大値Zmaxの標高範囲を、色彩テーブルと階調数と同数の複数段階(例えば22段階)に分け、最小値Zmin〜最大値Zmaxの各標高に、緑〜茶の22階調の各色彩を割り当てる。よって、対象エリア(表示エリア)の標高範囲が異なっても、最低標高を緑色、最高標高を茶色とする段彩処理が可能である。このため、比較的大きな起伏は、緑〜茶の段彩によって判読し易くなる。この段彩は、一般的な地図帳の表現と似て把握し易く、見た目も自然な印象を与えながら正確な地形起伏を捉えることが可能となる。
【0041】
ステップS30では、対象点(着目点)に対する設定距離内の点のデータ(X,Y,Z)を取得する。
ステップS40では、対象点から設定距離内の点のデータ(X,Y,Z)を基に、尾根谷度αを計算する。ここで、図3〜図6を用いて、尾根谷度αの算出方法を説明する。尾根谷度αとは、地上開度と地下開度の平均角度より計算される凹凸の度合いを表す地形量である。
【0042】
図3は、地上開度を計算する際に求める地上角と、地下開度を計算する際に求める地下角とを説明するグラフである。
地上開度とは、各メッシュが周辺に比べて地上に突き出た度合いを表現する地形量パラメータである。地上開度は、着目する地点(対象点)から設定距離Lの範囲内で見える空の広さを表し、一般に周囲から突出している地点ほどその値が大きくなる。地上開度は、山頂や尾根で大きな値、窪地や谷底では小さい値を示し、突出した山頂や尾根が強調される。
【0043】
また、地下開度とは、各メッシュが周辺に比べて地下に突き出た度合いを表現する地形量パラメータである。地下開度は、地表面から地下を見渡すときに設定距離Lの範囲における地下の広さを表し、一般に地下にくい込んでいる地点ほどその値が大きくなる。地下開度は、窪地や谷底で大きな値、山頂や尾根では小さい値を示し、窪地や谷地が強調される。
【0044】
地上開度、地下開度を求めるときには、まず図3に示す地上角Φ1と地下角Φ2をそれぞれ演算する。図3に示すように、対象点から8方向に格子点の標高Zを探索し(但し図3では1つの探索方向のみ示す)、各探索方向において設定距離L内で対象点Pjと標高点とを結ぶ線分と、z軸(標高軸)において対象点Pjより高標高側に延びる軸部とのなす角度の最小値を、地上角Φ1として求める。この結果、8方向における8つの地上角Φ1が算出される。同様に、図3に示すように、対象点から8方向に格子点の標高Zを探索し、各探索方向において設定距離L内で対象点Pjと標高点とを結ぶ線分と、z軸(標高軸)の対象点Pjより低標高側に延びる軸部とのなす角度の最小値を、地下角Φ2として求める。この結果、8方向における8つの地下角Φ2が算出される。なお、本実施形態では、0.5m〜5.0m程度の地形メッシュデータの場合は、設定距離Lは一例として25mを標準とした。もちろん、設定距離Lは、メッシュサイズに応じてその数倍〜数10倍の値を設定することが望ましく、5m、10m、50m等の他の距離を設定してもよい。さらに設定距離Lはメッシュ数で設定してもよい。また、対象点からの探索方向は8方向に限らず、4方向又は16方向や32方向などさらに細分化してもよい。
【0045】
次に8方向の各地上角Φ1の平均を演算して図4(a)に示す地上開度ΦLを求める。また、8方向の各地下角Φ2の平均を演算して図4(b)に示す地下開度ΨLを求める。なお、図4(a)は谷や窪地等の凹部の地上開度ΦLを示した例、図4(b)は尾根等の凸部の地下開度ΨLを示した例である。実際は、図5(a),(b)に示すように、凹部と凸部のそれぞれに地上開度ΦLと地下開度ΨLが求められる。
【0046】
図5(a)に示す凸部と図5(b)に示す凹部に対して、地上開度ΦLで規定される円錐面(地上円錐面)と、地下開度ΨLで規定される円錐面(地下円錐面)ができる。図5(a),(b)において、対象点Pjを通る水平面から下側(正)へ地上円錐面までの角度(以下、「地上開角度」と称す)(=ΦL−90)と、水平面から地下円錐面までの角度(以下、「地下開角度」と称す)(=90−ΨL)を規定する。
【0047】
図6は、図5(a)のような凸部の例で、水平面から地上開角度(=−90+ΦL)と、水平面から地下円錐面までの地下開角度(=90−ΨL)とを示した。本実施形態では、地上開角度(=−90+ΦL)と、水平面から地下円錐面までの地下開角度(=90−ΨL)との平均(=((−90+ΦL)+(90−ΨL))/2)を、尾根谷度αとして定義する。この尾根谷度αによって、地上開度ΦLと地下開度ΨLの両方の地形量を加味した1つの指標で凹凸度を表現できる。よって、尾根谷度αは、地上開度ΦLと地下開度ΨLを用いて次式で与えられる。
尾根谷度α=(ΦL−ΨL)/2 …(1)
図5(a)に示す凸部では、相対的に地上開度ΦLが大きな値、地下開度ΨLが小さな値をとるので、尾根谷度αは正(α>0)となる。一方、図5(b)に示す凹部では、相対的に地上開度ΦLが小さな値、地下開度ΨLが大きな値をとるので、尾根谷度αは負(α<0)となる。こうして尾根谷度αは、最小値αmin(<0)〜最大値αmax(>0)の範囲の値として求められる。
【0048】
ステップS50では、尾根谷度の最小値αminと最大値αmaxに基づき、尾根谷度色彩変換テーブルT2を作成する。青色〜赤色の範囲で徐々に色が変わる複数階調(本例では22階調)に色分けされた色彩テーブル(図8(b)の変換テーブルT2中の右側部分)が予め用意されている。尾根谷度の最小値αmin〜最大値αmaxの尾根谷度範囲を、色彩テーブルと同数の複数段階(例えば22段階)に分け、最小値αmin〜最大値αmaxの各尾根谷度に、青〜赤の各色彩を割り当てる。よって、尾根谷度αに応じて、谷部(凹部)が青系、尾根部(凸部)が赤系になるように段彩される。この段彩により、比較的小さな凹凸部(微地形)でも判読し易くなる。こうして図8(a),(b)に示す各変換テーブルT1,T2の作成により、テーブル生成処理は終了する。
【0049】
図8(a)に示す各変換テーブルT1に設定された段彩のための第1の色彩範囲は「緑系〜茶系」であり、図8(b)に示す各変換テーブルT2に設定された段彩のための第2の色彩範囲は「青系〜赤系」である。第1の色彩範囲と第2の色彩範囲は、共に最小値側が「寒色」、最大値側が「暖色」である点で共通しているが、寒色の具体的な色彩(緑系と青系)と、暖色の具体的な色彩(茶と赤)とが互いに異なっている。
【0050】
本実施形態において、「寒色」とは、色成分の赤(R)・緑(G)・青(B)のうち緑・青のうち少なくとも一方の成分が赤の成分よりも大きな色彩を指す(G>RとB>Rのうち少なくとも一方が成立)。また、「暖色」とは、色成分の赤(R)・緑(G)・青(B)のうち赤の成分が緑・青の各成分よりも大きな色彩を指す(R>GかつR>B)。
【0051】
標高の低い領域に緑系の色彩が付与され、標高の高い領域に茶系の色彩が付与される。また、谷部が青系の色彩に付与され、尾根部が赤系の色彩に付与される。標高Zと尾根谷度αで段彩表示のため付与される色彩が異なるので、比較的大きな起伏と、尾根部・谷部などの比較的小さな凹凸(微地形)とを、段彩による色彩の違いから判別し易い。また、標高の低い平地などを緑系、標高の高い山岳の山頂などを茶系に彩色し、一般の地図帳等に使用される馴染みの色彩を使用している。谷部が青系、尾根部が赤系に設定された第2の色彩範囲と、標高用に設定された第1の色彩範囲とを異ならせることで、尾根や谷も判読し易くしている。なお、第1の色彩範囲と前記第2の色彩範囲における最小値側の色彩は、一方が緑系、他方が青系であればよく、例えば標高用と尾根谷度用で逆の色彩を採用してもよい。
【0052】
次に、三次元地形データDEM(X,Y,Z)の全対象点に、各変換テーブルT1,T2及び陰影テーブルを用いて求めた、標高Zに応じた緑〜茶の色彩、尾根谷度αに応じた青〜赤の色彩、傾斜度θに応じた黒〜白の陰影を合成して施し、段彩地形データG(X,Y,Z,R,G,B,Z)を生成する起伏画像生成処理(S60〜S170)について説明する。
【0053】
ステップS60では、対象点Pj(但しj=1,2,3,…n(nはDEMにおける表示エリアの全点数))を設定する。三次元地形データDEM(X,Y,Z)を構成する全ての点(画素とすべき点)を1点ずつ順番に対象点として設定する。以下の対象点の色生成処理(S70〜S150)では、対象点に対して第1段彩処理、第2段彩処理、陰影処理、及び合成処理を行って色情報(R,G,B)を付与する。
【0054】
まずステップS70では、対象点の標高値Zを取得する。ステップS80では、標高値Zに応じた色彩(標高段彩値)(Rz,Gz,Bz)を、標高色彩変換テーブルT1(図8(a))を参照して計算する。標高色彩変換テーブルT1(図8(a))の参照により複数階調(22階調)のうちどの階調に属するかを判断し、その属する階調範囲における標高及び色彩のそれぞれの下限値(第1境界値)Z1,(R1,G1,B1)とそれぞれの上限値(第2境界値)Z2,(R2,G2,B2)とを取得する。そして、標高に応じた色彩がスムーズになるように、以下の計算式に従ってRGB成分ごとに加重平均を算出することで、標高Zに応じた緑〜茶の色彩を示す標高段彩データC1(Rz,Gz,Bz)を計算する。
Rz=R2+(R1−R2)・(Z−Z2)/(Z1−Z2) …(2)
Gz=G2+(G1−G2)・(Z−Z2)/(Z1−Z2) …(3)
Bz=B2+(B1−B2)・(Z−Z2)/(Z1−Z2) …(4)
この標高段彩データC1(Rz,Gz,Bz)を空間座標(X,Y,Z)に付与した全点を画素としてカラー表示したものが、図10に示す標高段彩画像C1である。図10の標高段彩画像C1に示すように、この表示エリアでは標高Zに応じて薄青緑〜茶色に段彩され、段彩された色の違いから比較的大きな起伏の判読が可能である。
【0055】
ステップS90では、対象点の尾根谷度αを取得する。ステップS100では、尾根谷度αに応じた色彩(尾根谷度段彩値)(Rα,Gα,Bα)を、尾根谷度色彩変換テーブルT2(図8(b))を参照して計算する。尾根谷度色彩変換テーブルT2(図8(b))の参照により複数階調(22階調)のうちどの階調に属するかを判断し、その属する階調範囲における尾根谷度α及び色彩のそれぞれの下限値(第1境界値)α1,(R1,G1,B1)とそれぞれの上限値(第2境界値)α2,(R2,G2,B2)とを取得する。そして、尾根谷度αに応じた色彩がスムーズになるように、以下の計算式に従ってRGB成分ごとに加重平均を算出することで、尾根谷度αに応じた青〜赤の色彩を示す尾根谷度段彩データC2(Rα,Gα,Bα)を計算する。
Rα=R2+(R1−R2)・(α−α2)/(α1−α2) …(5)
Gα=G2+(G1−G2)・(α−α2)/(α1−α2) …(6)
Bα=B2+(B1−B2)・(α−α2)/(α1−α2) …(7)
この尾根谷度段彩データC2(Rα,Gα,Bα)を空間座標(X,Y,Z)に付与した全点を画素としてカラー表示したものが、図11に示す尾根谷度段彩画像C2である。図11の尾根谷度段彩画像C2に示すように、この表示エリアでは尾根谷度αに応じて青〜赤のうちの青緑〜黄色に段彩され、段彩された色の違いから尾根や谷などの比較的小さな凹凸の判読が可能である。
【0056】
ステップS110では、標高段彩データC1と尾根谷度段彩データC2との重み付け平均(加重平均)を計算し、第1合成データG1を生成する。第1合成データG1(Rzα,Gzα,Bzα)は、以下の計算式に従って算出される。
Rzα=(w1・Rz+w2・Rα)/(w1+w2) …(8)
Gzα=(w1・Gz+w2・Gα)/(w1+w2) …(9)
Bzα=(w1・Bz+w2・Bα)/(w1+w2) …(10)
ここで、w1は標高段彩の重み係数、w2は尾根谷度段彩の重み係数である。この第1合成データG1(Rzα,Gzα,Bzα)を空間座標(X,Y,Z)に付与した全点を画素としてカラー表示したものが、図12に示す第1合成画像G1である。この第1合成画像G1は、標高段彩の重み係数w1=0.5、尾根谷度段彩の重み係数w2=0.5の例を示している。各変換テーブルT1,T2に設定された色彩範囲(緑系〜茶系)(青系〜赤系)の組合せに応じて、標高Zによる段彩と尾根谷度αによる段彩とを識別できるように、適宜な重み係数w1,w2を設定することができる。
【0057】
この第1合成画像G1の表示エリアでは、標高Zに応じた緑〜茶の範囲の段彩と、尾根谷度αに応じた青〜赤の範囲の段彩とが色合成され、平地が薄緑、標高の高い部分が茶鼠でその中に茶色の尾根部が脈状に延び、標高の次に高い部分が黄茶でその中に濃黄色の尾根部が脈状に延び、さらに脈状に延びる谷部が青緑で表現されている。この第1合成画像G1では、段彩された色の違いから、比較的大きな起伏と比較的小さな凹凸の両方の判読が可能である。
【0058】
ステップS120では、対象点の近傍8点のデータ(X,Y,Z)を取得する。ステップS130では、対象点の近傍8点のデータ(X,Y,Z)を用いて傾斜度θを計算する。図7は、対象点の周囲近傍に位置する8点の標高値を示す。まず対象点の周囲近傍8点の標高値Z1〜Z8を用いて、x方向の傾斜度Sxとy方向の傾斜度Syとを次式により計算する。
Sx=((Z1+Z4+Z6)−(Z3+Z5+Z8))/6/Msize …(11)
Sy=((Z1+Z2+Z3)−(Z6+Z7+Z8))/6/Msize …(12)
ここで、Msizeはメッシュサイズ(1画素1辺のサイズ(長さ))である。次にx方向の傾斜度Sxとy方向の傾斜度Syとを用いて、次式により傾斜度(傾斜角)θを計算する。
傾斜度θ=arctan(√(Sx・Sx +Sy・Sy) …(13)
このように本実施形態では、x方向の傾斜度Sxとy方向の傾斜度Syとを合成して傾斜度θを計算している。この傾斜度θの使用によって、対象点Pjの周囲8方位の傾斜角のうち最大傾斜角を使用して陰影を付与する方法に比べ、周囲8方位の傾斜角が適度にスムージングされ、傾斜度θに応じた自然な陰影が付与される。もちろん、「(Z1+Z4+Z6)/3−(Z3+Z5+Z8)/3」のようなx方向両側の各3点の標高平均の差をメッシュサイズMsizeで除した値を傾斜度θに用いてもよい。なお、傾斜度θとして式 θ=√(Sx・Sx +Sy・Sy)を使用することもできる。
【0059】
ステップS140では、傾斜度θにより陰影Gθを計算する。最大傾斜度を「黒」、最小傾斜度を「白」とする予め用意された傾斜度陰影変換テーブル(グレースケールテーブル)を参照して、傾斜度θに応じた陰影Gθを求める。本例では、陰影Gθは、0〜1.0の範囲内の値として算出される。この陰影Gθを空間座標(X,Y,Z)に付与した全点を画素としてグレースケール表示したものが、図13に示す傾斜陰影画像Gθである。この傾斜陰影画像Gθの表示エリアでは、傾斜度θに応じた陰影が表現され、傾斜が大きい領域が濃色(低明度)、傾斜が小さい領域が淡色(高明度)のグレースケールで表現されている。例えば脈状に延びる尾根部や谷部、平地などは淡灰色(明灰色)で表現され、尾根と谷の間の斜面は傾斜に応じた濃さの濃灰色(暗灰色)で表現される。
【0060】
ステップS150では、第1合成データG1と陰影Gθとを乗算し、第2合成データG2を生成する。第2合成データG2(Rzαθ,Gzαθ,Bzαθ)は、以下の計算式に従って算出される。
Rzαθ=Rzα・Gθ …(14)
Gzαθ=Gzα・Gθ …(15)
Bzαθ=Bzα・Gθ …(16)
この第2合成データG2(Rzαθ,Gzαθ,Bzαθ)を空間座標(X,Y,Z)に付与した全点を画素としてカラー表示したものが、図14に示す第2合成画像G2である。この第2合成画像G2の表示エリアでは、標高Zに応じた緑〜茶の範囲の段彩と、尾根谷度αに応じた青〜赤の範囲の段彩と、傾斜度θに応じた陰影とが色合成され、平地が薄緑、標高の高い部分が焦茶でその中に明るい茶色で尾根部が脈状に延び、標高の次に高い部分の中に黄茶の尾根部が脈状に延び、さらに脈状に延びる谷部が青緑で表現されている。そして、尾根部の両側では傾斜度の大きな斜面が濃灰色の混色、傾斜度の小さな斜面が明灰色の混色で表現される。よって、この第2合成画像G2では、段彩された色の違いから、比較的大きな起伏と比較的小さな凹凸の両方の判読が可能であるうえ、陰影から傾斜の大きさも判読可能である。なお、第2合成データG2(Rzαθ,Gzαθ,Bzαθ)は、空間座標(X,Y,Z)と共に、空間座標と色値とを合わせた6次元のデータ(X,Y,Z,Rzαθ,Gzαθ,Bzαθ)として、バッファ35に格納される。
【0061】
こうして1つの対象点についてS70〜S150の処理を終え、対象点に2種類の段彩及び陰影が合成されて付与されると、ステップS160において、全点について処理を終了したか否かを判断する。全点の処理終了前であって処理すべき座標点が残っていれば、ステップS170において次の点の番号を1つ繰り上げて(j=j+1)、ステップS60において次の対象点Pjを設定する。以下、同様に、各対象点についてS70〜S150の処理を繰り返し、全ての座標点について処理を終えると、S160において全点の処理を終了したと判断される。このときバッファ35には、全点の第2合成データG2(X,Y,Z,Rzαθ,Gzαθ,Bzαθ)が格納される。
【0062】
ステップS180では、段彩地形データG(X,Y,Z,R,G,B)を生成する。すなわち、バッファ35に格納された第2合成データG2(X,Y,Z,Rzαθ,Gzαθ,Bzαθ)の全点分の集まりが段彩地形データG(X,Y,Z,R,G,B)として生成される。この段彩地形データG(X,Y,Z,R,G,B)は空間座標値と色値とを成分に含む6次元の数値データであり、各点は空間座標点であると共に画素として機能する。この段彩地形データG(X,Y,Z,R,G,B)の各点を画素としてカラー表現すると、段彩地形データGが第2合成データG2の集まりであることから、図14と同じ画像となる。
【0063】
ステップS190では、水部ポリゴンデータPD(別途X,Y座標列で表される閉じた多角形面)を取得し、段彩地形データG(X,Y,Z,R,G,B)において水部ポリゴンデータPDで規定されるポリゴン内の画素を色変更して段彩地形データGP(X,Y,Z,R,G,B)を生成する。このポリゴン処理はポリゴン処理部29が行う。このポリゴン処理の結果、池、沼、河川、海等の水面領域に設定された水部ポリゴン内に存在する全ての点(画素)の色値(R,G,B)が、例えば青色の値に変更される。この段彩地形データGP(X,Y,Z,R,G,B)の各点を画素としてカラー表現したものが、図15に示す段彩地形画像GPである。
【0064】
ステップS200では、段彩地形データGP(X,Y,Z,R,G,B)を基に、指定の方向視からの地形起伏画像データG(R,G,B)を生成する。この地形起伏画像データG(R,G,B)の生成は、画像生成部30が行う。例えば指定方向視が真上からである平面視の場合は、段彩地形データGP(X,Y,Z,R,G,B)をz方向から見たときの出力面(表示面)に指定エリア内の各点(画素)を写像し、出力面上の各写像点に対応する画素値(R,G,B)を与えることで、平面視の地形起伏画像データG(R,G,B)を生成する。この結果、生成された地形起伏画像データG(R,G,B)に基づき、図16に示す平面視(z方向視)の地形起伏画像が出力(表示又は印刷)される。また、指定方向視が斜め方向である場合は、段彩地形データGP(X,Y,Z,R,G,B)をz方向に対して斜めから見たときの出力面(表示面)に指定エリア内の各点(画素)を写像し、出力面上の各写像点(画素)に、対応する画素値(R,G,B)を与えることで、斜めから見た地形起伏画像データG(R,G,B)を生成する。この結果、生成された地形起伏画像データG(R,G,B)に基づき、図17に示す地形起伏画像(鳥瞰図)が出力(表示又は印刷)される。
【0065】
従来、三次元地形データDEM(X,Y,Z)を基に鳥瞰図を生成する場合、まず地形表面を生成してからレンダリング処理で地形表面に色彩を付与する方法がとられていたので、処理負担の高いレンダリング処理により表示速度が遅くなってしまう。これに対し本実施形態では、三次元座標(X,Y,Z)に色値(R,G,B)を付加して生成される段彩地形データGPには三次元情報が保たれているので、段彩地形データGPを出力面(表示面)へ写像する際の向き(視方向)を変えるだけで、鳥瞰図などの画像データを比較的高速に生成できる。この結果、鳥瞰図のような三次元の画像も比較的高速に表示できる。
【0066】
なお、図9において、S10,S20,S70,S80の処理が標高段彩処理手順に相当し、S30,S40の処理が凹凸度演算手順に相当し、さらにS50,S90,S100の処理が凹凸度段彩処理手順に相当する。また、S120,S130の処理が傾斜度演算手順に相当し、S140の処理が陰影生成手順に相当し、さらにS110,S150,S180の処理が合成処理手順に相当する。また、S200の処理が出力手順に相当する。
【0067】
以上詳述したようにこの実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1)標高段彩と尾根谷度段彩(凹凸度段彩)との合成により、標高段彩により比較的大きな起伏を判読し易くなり、尾根谷度段彩により尾根・谷などの比較的小さな凹凸(微地形)を判読し易くなる。
【0068】
(2)微地形を強調する陰影を傾斜度θから作成するので、斜めの入射光を想定して陰影を施した際に問題となる陰影の光入射方向依存性がないうえ、特許文献1のように凹凸度(浮沈度)に応じた陰影に起因し赤色立体地図において谷部が暗くなる問題も回避できる。尾根谷度段彩画像に傾斜度θによる陰影を重ね合せることで、明暗だけでは区別し難い尾根と谷を一層明確に判読できる。また、傾斜度θに応じて、緩傾斜部分の明度を高く、急傾斜部分の明度を低くすることで立体感を与えることができる。
【0069】
(3)標高段彩は、標高値Zに応じた第1色彩範囲「緑(最低標高Zmin)〜茶(最高標高Zmax)」を着色することで強調表現し、尾根谷度段彩は、尾根谷度αに応じた第2色彩範囲「青(最小値αmin)〜赤(最大値αmax)」を着色することで強調表現される。第1色彩範囲と第2色彩範囲が異なる色彩範囲(つまりパラメータ(標高Z、尾根谷度α)の最小値の色彩と最大値の色彩が互いに異なるよう)に設定するとともに、共にパラメータの最小値が互いに異なる寒色、最大値が互いに異なる暖色になるように設定した。よって、標高段彩と尾根谷度段彩を合成表示しても、比較的大きな起伏の判読とその中にある比較的小さな凹凸(微地形)の判読が一層し易い。
【0070】
(4)特許文献1における赤色化立体画像のように浮沈度に応じて赤色の明度で階調表示する方法であると、尾根などの凸部が膨張、谷などの凹部が収縮したイメージ(谷が細く感じる)、谷内が暗く見え難くなる。しかし、本実施形態によれば、尾根や谷などの凹凸が尾根谷度αに応じて青〜赤の色彩範囲の段彩で強調表示されるので、尾根などの凸部が膨張、谷などの凹部が収縮したイメージになることを回避できる。
【0071】
(5)段彩地形データGPは、3次元座標(X,Y,Z)の付加情報として色情報(R,G,B)を付加することにより生成され、三次元座標(X,Y,Z)を保持している。このため、空間的に三次元の段彩地形データGPを斜めから見ることでより、立体感の効いた地形起伏画像を作成できる。通常、三次元データから面(surface)を発生させてからレンダリング処理を行って地形起伏画像を表現することが一般的であり、表示速度が遅くなってしまう。しかし、本実施形態によれば、三次元地形データにおける着色された点を表示する処理で済むので、地形起伏画像を高速に生成できる。
【0072】
(6)従来の地形画像は単色や赤〜青の段彩が多いが、本実施形態は、緑〜茶色と一般的な地図帳の表現に近い馴染み易い色調で地形起伏画像を表現できる。また、大きな起伏は緑〜茶色の段彩、凹凸などの微地形は青〜赤の段彩で強調表現されるので、その合成色上に施された注記(赤、青、黒色)が背景に溶け込まず判読し易い効果も得られる。また、別途作成された水部ポリゴン(または水部属性)を使用して水部の色付けを行うことにより、さらに地図帳に近いより馴染み易い地形起伏画像を提供できる。
【0073】
(7)凹凸度演算手順(S30,S40)では、三次元地形データDEMにおける対象点毎に、対象点から複数の方向(例えば8方向)に地上角Φ1と地下角Φ2とをそれぞれ求め、地上角Φ1の平均である地上開度ΦLと、地下角Φ2の平均である地下開度ΨLとに基づき、式 α=(ΦL−ΨL)/2により、凹凸度の一例として尾根谷度αを計算する。尾根などの凸部を表現できる地上開度ΦLと、谷などの凹部を表現できる地下開度ΨLとから、凹凸度を表現できる1つの地形量パラメータとして尾根谷度αを求め、尾根谷度αに応じて変換テーブルT2から決まる色彩を施すので、微地形を適切に段彩表現できる。
【0074】
(8)傾斜度演算手順(S120,S130)では、対象点の周囲近傍8点の標高Zを用いて(11)式及び(12)式によりそれぞれ計算したx方向傾斜度Sxとy方向傾斜度Syとを(13)式により合成して傾斜度θを求める。よって、対象点から8方向の傾斜角が適度にスムージングされた傾斜度θを採用できる。この結果、適度にスムージングされた傾斜度θに応じた自然な陰影を付与できる。
【0075】
(9)標高段彩データC1と尾根谷度段彩データC2との重み付け平均(加重平均)を、(8)式〜(10)式により計算し、第1合成データG1を生成する。よって、係数w1,w2による重み付けを調整することにより、比較的大きな起伏と比較的小さな凹凸とを判読し易い条件で、段彩地形データGPを生成できる。
【0076】
前記実施形態は上記に限定されず、以下の態様に変更することもできる。
・変換テーブルT1,T2の色彩範囲は前記実施形態に限定されず、適宜な色彩範囲を設定することができる。例えば各変換テーブルT1,T2で使用する色彩範囲を入れ替えてもよい。さらに、変換テーブルT1,T2のうち少なくとも一方について、標高Z又は尾根谷度αの最小値側が暖色、最大値側が寒色となるような色彩範囲を設定してもよい。また、標高用と尾根谷度用で同一の変換テーブルを用いて、使用する色彩範囲を同じとしてもよい。
【0077】
・標高Zに応じた第1段彩処理、尾根谷度αに応じた第2段彩処理、傾斜度に応じた陰影処理及び合成処理を、対象点毎に全点終了まで繰り返す方法を採用したが、これに替えて、全点の処理を終えた後に次の処理へ進む方法も採用できる。
【0078】
・傾斜度を求める計算式は適宜変更してもよい。最大傾斜角を求める計算式を用いてもよい。
・尾根谷度αを求める計算式は適宜変更してもよい。また、探索方向は8方向に限らず、4方向や16方向、あるいは32方向等でもよい。
【0079】
・凹凸度は尾根谷度αに限定されない。凹凸度として、ラプラシアンを用いてもよい。さらに、曲線上のある点を通る全ての測地線(曲面上で2点間を結ぶ最短距離の曲線)の曲率の最大値と最小値の平均として定義される平均曲率を凹凸度として用いてもよい。
【0080】
・三次元地形データは、TIN(triangulated irregular network,不整三角形網)でもよい。さらには、オルソ画像、DTM(Digital Terrain Model:数値地形モデル)、DSM(Digital Surface Model:数値表層モデル)でもよい。
【0081】
・段彩地形データは6次元データに限定されない。他の情報を含めた7次元以上のデータであってもよい。また、三次元空間座標(X,Y,Z)を無くした三次元の段彩地形データGP(R,G,B)であってもよい。この場合、指定の視野方向毎に段彩地形データの生成処理を行うことになる。
【符号の説明】
【0082】
10…本体、11…入力部、12…入力操作部、13…表示ドライバ、14…モニタ、15…印刷ドライバ、16…プリンタ、21…制御部、22…入力バッファ、23…標高段彩処理手段の一例である第1段彩演算部、24…凹凸度演算手段の一例である尾根谷度演算部、25…凹凸度段彩処理手段の一例である第2段彩演算部、26…傾斜度演算手段の一例である傾斜度演算部、27…陰影生成手段の一例である陰影演算部、28…合成処理手段の一例である合成処理部、29…ポリゴン処理部、30…出力手段の一例である画像生成部、31…第1変換テーブル作成部、32…第2変換テーブル作成部、33…色合成処理部、34…陰影合成処理部、35…バッファ、100…地形起伏画像生成装置の一例である地図生成装置、PC…パーソナルコンピュータ、DEM(X,Y,Z)…三次元地形データ、Z…標高、Φ1…地上角、Φ2…地下角、ΦL…地上開度、ΨL…地下開度、α…凹凸度の一例である尾根谷度、Sx…x方向傾斜度、Sy…y方向傾斜度、θ…傾斜度、T1…高色彩変換テーブル、T2…尾根谷度色彩変換テーブル、Zmin…標高の最小値、Zmax…標高の最大値、αmin…尾根谷度の最小値、αmax…尾根谷度の最大値、Pj…対象点(着目の地点)C1…標高段彩データ、C2…凹凸度段彩データの一例である尾根谷度段彩データ、Gθ…陰影データ(陰影)、G1…第1合成データ、G2…第2合成データ、G(X,Y,Z,R,G,B)…段彩地形データ(水部ポリゴン色付与前)、GP(X,Y,Z,R,G,B)…段彩地形データ(水部ポリゴン色付与後)、G(R,G,B)…地形起伏画像データ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
標高を含む三次元地形データを基に地形起伏画像を生成する地形起伏画像生成方法であって、
入力した前記三次元地形データに基づき画素となる各地点に当該地点の標高に応じた色彩を付与する段彩処理を行って標高段彩データを生成する標高段彩処理手順と、
前記三次元地形データに基づいて前記各地点における地形の凹凸度を演算する凹凸度演算手順と、
前記各地点に当該地点毎の前記凹凸度に応じた色彩を付与する段彩処理を行って凹凸度段彩データを生成する凹凸度段彩処理手順と、
前記三次元地形データに基づいて前記各地点における傾斜度を演算する傾斜度演算手順と、
前記各地点に当該地点毎の前記傾斜度に応じた陰影を付与する陰影処理を行って陰影データを生成する陰影生成手順と、
前記標高段彩データと前記凹凸度段彩データと前記陰影データとを合成して段彩地形データを生成する合成処理手順と、
前記段彩地形データに基づく地形起伏画像を出力する出力手順と、
を備えたことを特徴とする地形起伏画像生成方法。
【請求項2】
前記標高段彩処理手順では、前記標高の最小値と最大値との間に設定された第1の色彩範囲に従って標高に応じた色彩を付与して前記標高段彩データを生成し、
前記凹凸度段彩処理手順では、前記凹凸度の最小値と最大値との間に設定された第2の色彩範囲に従って凹凸度に応じた色彩を付与して前記凹凸度段彩データを生成し、
前記第1の色彩範囲と前記第2の色彩範囲は設定された色彩範囲が互いに異なるとともに、前記標高と前記凹凸度との各最小値に対応する色彩が互いに異なる寒色、最大値に対応する色彩が互いに異なる暖色に設定されることを特徴とする請求項1に記載の地形起伏画像生成方法。
【請求項3】
前記凹凸度演算手順では、前記三次元地形データにおける前記地点毎に、当該地点から複数の方向に地上角と地下角とをそれぞれ求め、前記地上角の平均である地上開度と、前記地下角の平均である地下開度とに基づき、前記凹凸度としての尾根谷度を演算することを特徴とする請求項1又は2に記載の地形起伏画像生成方法。
【請求項4】
前記傾斜度演算手順では、前記三次元地形データに基づいて前記各地点におけるx方向傾斜度とy方向傾斜度とを演算し、当該x方向傾斜度とy方向傾斜度とを合成して前記傾斜度を演算することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の地形起伏画像生成方法。
【請求項5】
前記合成処理手順では、前記三次元地形データにおける前記各地点に対応する三次元の空間座標点に、前記合成処理手順で取得した色情報を三成分の色座標で付加することにより、三次元の空間座標と三成分の色座標とを含む六次元以上の前記段彩地形データを生成し、
前記出力手順では、前記段彩地形データの空間座標点を指定の視野方向にある出力面に写像した点を画素として当該画素に当該空間座標に対応する色座標を画素値として与えることで前記地形起伏画像を生成することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の地形起伏画像生成方法。
【請求項6】
標高を含む三次元地形データを基に地形起伏画像を生成する地形起伏画像生成装置であって、
入力した前記三次元地形データに基づき画素となる各地点に当該地点の標高に応じた色彩を付与する段彩処理を行って標高段彩データを生成する標高段彩処理手段と、
前記三次元地形データに基づいて前記各地点における地形の凹凸度を演算する凹凸度演算手段と、
前記各地点に当該地点毎の前記凹凸度に応じた色彩を付与する段彩処理を行って凹凸度段彩データを生成する凹凸度段彩処理手段と、
前記三次元地形データに基づいて前記各地点における傾斜度を演算する傾斜度演算手段と、
前記各地点に当該地点毎の前記傾斜度に応じた陰影を付与する陰影処理を行って陰影データを生成する陰影生成手段と、
前記標高段彩データと前記凹凸度段彩データと前記陰影データとを合成して段彩地形データを生成する合成処理手段と、
前記段彩地形データに基づく地形起伏画像を出力する出力手段と、
を備えたことを特徴とする地形起伏画像生成装置。
【請求項1】
標高を含む三次元地形データを基に地形起伏画像を生成する地形起伏画像生成方法であって、
入力した前記三次元地形データに基づき画素となる各地点に当該地点の標高に応じた色彩を付与する段彩処理を行って標高段彩データを生成する標高段彩処理手順と、
前記三次元地形データに基づいて前記各地点における地形の凹凸度を演算する凹凸度演算手順と、
前記各地点に当該地点毎の前記凹凸度に応じた色彩を付与する段彩処理を行って凹凸度段彩データを生成する凹凸度段彩処理手順と、
前記三次元地形データに基づいて前記各地点における傾斜度を演算する傾斜度演算手順と、
前記各地点に当該地点毎の前記傾斜度に応じた陰影を付与する陰影処理を行って陰影データを生成する陰影生成手順と、
前記標高段彩データと前記凹凸度段彩データと前記陰影データとを合成して段彩地形データを生成する合成処理手順と、
前記段彩地形データに基づく地形起伏画像を出力する出力手順と、
を備えたことを特徴とする地形起伏画像生成方法。
【請求項2】
前記標高段彩処理手順では、前記標高の最小値と最大値との間に設定された第1の色彩範囲に従って標高に応じた色彩を付与して前記標高段彩データを生成し、
前記凹凸度段彩処理手順では、前記凹凸度の最小値と最大値との間に設定された第2の色彩範囲に従って凹凸度に応じた色彩を付与して前記凹凸度段彩データを生成し、
前記第1の色彩範囲と前記第2の色彩範囲は設定された色彩範囲が互いに異なるとともに、前記標高と前記凹凸度との各最小値に対応する色彩が互いに異なる寒色、最大値に対応する色彩が互いに異なる暖色に設定されることを特徴とする請求項1に記載の地形起伏画像生成方法。
【請求項3】
前記凹凸度演算手順では、前記三次元地形データにおける前記地点毎に、当該地点から複数の方向に地上角と地下角とをそれぞれ求め、前記地上角の平均である地上開度と、前記地下角の平均である地下開度とに基づき、前記凹凸度としての尾根谷度を演算することを特徴とする請求項1又は2に記載の地形起伏画像生成方法。
【請求項4】
前記傾斜度演算手順では、前記三次元地形データに基づいて前記各地点におけるx方向傾斜度とy方向傾斜度とを演算し、当該x方向傾斜度とy方向傾斜度とを合成して前記傾斜度を演算することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の地形起伏画像生成方法。
【請求項5】
前記合成処理手順では、前記三次元地形データにおける前記各地点に対応する三次元の空間座標点に、前記合成処理手順で取得した色情報を三成分の色座標で付加することにより、三次元の空間座標と三成分の色座標とを含む六次元以上の前記段彩地形データを生成し、
前記出力手順では、前記段彩地形データの空間座標点を指定の視野方向にある出力面に写像した点を画素として当該画素に当該空間座標に対応する色座標を画素値として与えることで前記地形起伏画像を生成することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の地形起伏画像生成方法。
【請求項6】
標高を含む三次元地形データを基に地形起伏画像を生成する地形起伏画像生成装置であって、
入力した前記三次元地形データに基づき画素となる各地点に当該地点の標高に応じた色彩を付与する段彩処理を行って標高段彩データを生成する標高段彩処理手段と、
前記三次元地形データに基づいて前記各地点における地形の凹凸度を演算する凹凸度演算手段と、
前記各地点に当該地点毎の前記凹凸度に応じた色彩を付与する段彩処理を行って凹凸度段彩データを生成する凹凸度段彩処理手段と、
前記三次元地形データに基づいて前記各地点における傾斜度を演算する傾斜度演算手段と、
前記各地点に当該地点毎の前記傾斜度に応じた陰影を付与する陰影処理を行って陰影データを生成する陰影生成手段と、
前記標高段彩データと前記凹凸度段彩データと前記陰影データとを合成して段彩地形データを生成する合成処理手段と、
前記段彩地形データに基づく地形起伏画像を出力する出力手段と、
を備えたことを特徴とする地形起伏画像生成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図9】
【図8】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図9】
【図8】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2012−3400(P2012−3400A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−136194(P2010−136194)
【出願日】平成22年6月15日(2010.6.15)
【出願人】(593026959)中日本航空株式会社 (8)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月15日(2010.6.15)
【出願人】(593026959)中日本航空株式会社 (8)
【Fターム(参考)】
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