説明

地滑り評価方法およびそのための補助具

【課題】地質の異なる地層からなる地盤における地滑りを正確に評価できる評価方法等を提供することを目的とする。
【解決手段】三軸圧縮装置5の三軸圧力室5Pの液中に供試体1を置き、該三軸圧縮装置のセル圧供給装置8で該供試体を三軸方向から加圧した圧密状況下において、圧縮装置20で軸方向から圧縮したときの該供試体の変形に至る軸方向と側方向の各主応σa,σrと各有効主応力σa’,σr’から評価をおこなう三軸圧縮装置を用いた土の三軸試験方法による地滑りの評価方法で、軸方向に排水のための溝2aが形成された剛体からなる柱状の載置台2の上面2Aに、前記供試体1の下面が当接する状態で、且つ、全体が軸方向に延びる柱状体になるように形成したものを、前記三軸圧力室内の所定位置に配置して、前記土の三軸試験方法をおこなう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、三軸圧縮装置を用いた地滑り(この明細書及び特許請求の範囲において地層の崩壊を含む広い概念で「地滑り」という文言を使用する)の評価方法およびそのための補助具に関する。
【背景技術】
【0002】
地滑りは、一般的に、上方から応力が作用している状態において雨期や台風等の雨量の多いときなどに発生しやすい。従って、建築物や土木施設(道路や鉄路等を含む:本明細書及び特許請求の範囲において「構造物」という)などを作る場合、そこの地盤がどの程度の応力が作用すると大量の雨等により地盤が地滑りを起こすのかを予め知っておくことは、地滑りを防止しあるいは被害を最小限に抑える上で、極めて重要になる。
【0003】
例えば、造成をして、その上方に構造物、例えば道路や鉄路を施工する場合、その造成した部分における地滑りの可能性を予め評価できれば、つまり、どの程度の応力が作用すると地滑りの危険性が生じるのかを予測できれば、その対策(地盤の改良等)をとることが可能となる。
【0004】
このため、従来より、地滑りの評価について種々研究がおこなわれている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平03−26963号公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、自然界でおこる地滑りを試験装置内等で再現して正確な評価をすることは極めて難しい。特に、対象となる地盤に異なる地質の境界面が存在するような場合、具体的には、例えば、上方が土砂あるいは粘性土からなる層でその下方に岩盤等の層が形成されているような場合、どの程度の応力が作用するとどの部分で地滑りが生じるのかを、予測するような「地滑りの評価方法」は未だ提供されていないのが現状である。
【0006】
しかしながら、異なる地質からなる層が積層されているような地盤は、多々あり、これらの地盤における地滑りの可能性を正確に評価できる方法等の提供が待たれているのが現況である。
【0007】
本発明は、このような現況に鑑みておこなわれたもので、地質の異なる層の境界面があるような地盤における地滑りをも正確に評価できる評価方法とその方法を実施するのに好適な補助具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本第1の発明にかかる地滑りの評価方法は、三軸圧縮装置の三軸圧力室(圧縮室)の液中に供試体を置き、該三軸圧縮装置のセル圧供給装置で該供試体を三軸方向から加圧した圧密状況下において、圧縮装置で軸方向(長手方向あるいは上下方向をいう)から圧縮したときの該供試体の変形に至る軸方向と側方向(供試体の外径方向をいう)の各主応力及び各有効主応力からその供試体の地滑りの評価をおこなう三軸圧縮装置を用いた土の三軸試験方法による地滑りの評価方法において、
排水のための溝又は穴が軸方向に形成された剛体からなる柱状の載置台の上面に、前記供試体の下面が当接する状態で、且つ、全体が軸方向に延びる柱状体になるように形成したものを、前記三軸圧力室内の所定位置に配置して、前記土の三軸試験方法をおこなうことを特徴とする。
【0009】
このように構成された本発明にかかる地滑りの評価方法によれば、前記圧縮装置で軸方向に供試体が圧縮される際に、前記供試体が、剛体からなる載置台上に載置されて、これらの間に土と岩盤との境界に類する状況が形成されるとともに、該載置台に溝又は穴が軸方向に形成されていることから、これらの溝又は穴を介して供試体から間隙水圧を形成する水が円滑に排水されて、前記圧縮に伴う適正な間隙水圧を得ることができるため、自然界における岩盤と土との境界を有する地盤における地滑りの状況を正確に再現でき、このため、地滑りの評価を正確におこなうことが可能となる。
【0010】
また、本第2の発明にかかる補助装置は、三軸圧縮装置の三軸圧力室の液中に供試体を置き、該三軸圧縮装置のセル圧供給装置で該供試体を三軸方向から加圧した圧密状況下において、圧縮装置で軸方向から供試体を圧縮したときの該供試体の変形に至る軸方向と側方向の各主応力及び各有効主応力からその供試体の地滑りの評価をおこなう三軸圧縮装置を用いた土の三軸試験方法による地滑りの評価方法に使用する補助具であって、
この補助具が、上方に前記供試体を載置し、該供試体と同じ横断面積を有するとともに軸方向に排水のための溝又は穴が形成された剛体からなる柱状の載置台であることを特徴とする。
【0011】
そして、前述のように構成された補助具を使用すれば、前記本第1の発明を実施することができる。
【0012】
前記第1の発明にかかる評価方法において、前記供試体の破壊が生じるまで前記圧縮装置で該供試体を軸方向に圧縮し、有効応力経路図表に、前記破壊が生じたときの値をプロットすることによって、このプロットした点と原点とを結ぶ斜線を描いて、地盤の境界面強度φ’を求めることによって、前記地滑りの評価がおこなわれると、一目瞭然に且つ簡単に、評価することが可能となる。
【0013】
前記第1の発明にかかる評価方法において、前記三軸方向の加圧力と前記軸方向の圧縮力を変化させて、前記図表に複数の前記プロットをして、これらのプロットした点に基づいて、前記図表に前記傾線を描いて、地盤の境界面強度φ’を求めるように構成されていると、より正確に傾線を描くことができる。
【0014】
前記第2の発明にかかる補助具において、前記補助具の底面に、前記溝に連通する溝が形成されていると、供試体から間隙水圧を形成する水がより円滑に排水され、正確な間隙水圧を測定することを可能とする。
【0015】
また、前記第2の発明にかかる補助具において、前記補助具の上面が傾斜面によって構成されていると、傾斜している岩盤上に土の層が形成されているような場合に、よりその状況に近い状態を三軸圧縮装置内で再現できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明にかかる地滑り評価方法およびそのための補助具によれば、地質の異なる層の境界があるような地盤における地滑りをも正確に評価できる評価方法を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
(実施形態1)
以下、本発明の1の実施形態にかかる地滑り評価方法と該評価方法に使用される補助具について、図面を参照しながら、具体的に説明する。
【0018】
図1は本発明の実施形態にかかる補助具を構成する載置台の構成を示す図で、(a)は全体斜視図、(b)はその底面図(下面図)である。図2は、図1に示す載置台(補助具)の上面に供試体を載置した状態を示す斜視図で、載置台の上面を透視図的に示している。また、図3は、土の三軸試験方法の一つである土の圧密非排水三軸試験方法を実施するための三軸圧縮装置の要部の概略の構成を示す一部断面した側面図である。
【0019】
図1(a),(b)に示すように、供試体1(図2,図3参照)を上方に載置する載置台2は、横断面(横断面積)が供試体1の横断面(横断面積)と一致するよう構成され、図1(a)に図示するように、その外側周面には、軸方向(上下方向)に延びる溝2aが複数形成されている。そして、該載置台2の底面2Bには、図1(b)に図示するように、中心を合流箇所とするように放射線状に溝2bが形成され、該溝2bの外径端は、前記溝2a(図1(a)参照)と接続され、この溝2aの上端から下方に向けて流れる水(液)は、該溝2bへ流れることが可能に構成されている。また、前記溝2aは、この実施形態の場合、真っ直ぐ軸方向を向いて形成されているが、軸方向に対して斜めになっていてもよく、あるいは溝2aに代えて、軸方向に延びる細径(例えば、直径が1mm〜3mm)の穴であってもよい。また、前記溝2aに代えて、載置台2内に、軸方向に貫通する細径の穴が形成されていてもよい。
また、前記載置台2の上面2Aは、軸方向(上下方向)に対して、交角をなすよう、つまり傾斜面で構成されている。
そして、この上面2Aには、選択的に、粗さの異なる布やすり(サンド・ペーパー)が、接着剤等で一体になるよう、取着されている。しかし、前記布やすりに代えて、他の表面粗さのある材質のもので構成してもよいし、上面2A自体の表面をやすり等で加工して粗くしてもよい。
また、この載置台2は、剛体で構成され、この実施形態では、アルミニューム製の柱状体のもので構成されている。しかし、この載置台2は、剛体であればよく、材質的には、前記アルミニューム製に限定されるものでなく、例えば、ステンレス製であっても、鋼製であっても、その他の材質のものであってもよい。
【0020】
そして、前記載置台2上には、図2に図示するように、地滑りの評価をおこなおうとする土からなる供試体1が載置されるが、この供試体1の底面(下面)1Bは、前記載置台2の上面2Aの傾斜面に対応した傾斜面で構成されている。そして、該供試体1の底面1Bは、布やすりが取着されている記載置台2の上面2Aに当接する。また、供試体1は飽和した土(この実施形態では、飽和した粘性土)が用いられている。前記粘性土に代えて、他の土であってもよい。
【0021】
そして、前述のように、載置台2上に載置された供試体1は、その外周面が、図4に図示するようなろ紙3で周囲が包装される。このろ紙3には、縦方向に延びる長穴状のスリット3aが適宜間隔で形成されている。このスリット3aは、供試体1が軸方向に圧縮された際に供試体1内部の水が排出され易いようにするためのものである。
【0022】
そして、前記外周面がろ紙3が包装された供試体1とその下方の載置台2は、該ろ紙3の外方からさらに、図5に図示するようなチューブ状のゴム4が外被される。
【0023】
そして、前述のように、ろ紙3とゴム4で外周面が覆われた供試体1と載置台2は、地滑りの評価をおこなう際には、図3に図示するように、三軸圧縮装置5の三軸圧力室(圧縮室)5P内に配設される。
つまり、この三軸圧縮装置5は、図3に図示するように、全体が円筒体からなるガラス製の圧力円筒5aを有し、この圧力円筒5aは、前記三軸圧力室5Pの外周壁を構成する。この圧力円筒5aの上端は、円板状の上盤5Aで密封され、下端は円盤状の底盤5Bで密封されることによって、内部に隔壁された前記三軸圧力室5Pが形成される。また、この底盤5Bの平面視中央部には、載置部5bが設けられ、この載置部5b上に、前記載置台2が、多孔板6を介して載置される。
また、前記上盤5Aの平面視中央部には、円形の貫通穴が形成され、この貫通穴には、丸棒状の載荷ピストン7の先端部が上下動可能に挿入され、該載荷ピストン7の先端は、所定厚さの円板状のキャップ8中央の当接穴8aに当接している。
【0024】
また、前記載荷ピストン7は、その上方に設けられた圧縮装置20によって、昇降動作(伸縮動作)して、前記供試体1に軸方向の応力(軸方向応力)を作用せしめることが可能に構成されている。また、該圧縮装置20と前記載荷ピストン7との間には、ロードセルを備えた荷重測定装置21が配置され、圧縮装置20から供試体1に作用する軸方向の応力(圧縮力)が測定できるように構成されている。
【0025】
そして、前記底盤5Bの載置部5bの平面視中央部には、上端が該載置部5bの表面に向けて開口し前記溝2bの前記合流箇所に連通する連通路5dが形成され、この連通路5dの下流側は途中で略直角に屈曲して、該底盤5Bの側周面5fを経て、間隙水圧測定装置8に連通している。
【0026】
また、前記底盤5Bの載置部5bの別の位置には、上端が該載置部5bの表面に向けて開口し前記三軸圧力室5Pに連通する連通路5eが形成され、この連通路5eの下流側は途中で略直角に屈曲して、該底盤5Bの側周面5fを経て、セル圧供給装置9に連通している。このセル圧供給装置9は、前記前記三軸圧力室5Pにセル圧を形成できるものであれば、特に限定されるものでなく、どのような構成のものであってよい。
【0027】
そして、前記載置部5b上に載置された、前記載置台2と供試体1の上端は、多孔板10を介して、前記キャップ8に当接し保持されている。なお、この実施形態では、前記キャップ8と多孔板10とは平面視において同じ断面を有している。
そして、前記載置台2と供試体1の側周面を密封しているゴム4の上端部は、前記キャップ8の側周面まで延び、この位置で、Oリング11,12により、外周方から強固に締め付けられた状態で挟着され、シールされる。同じく、ゴム4の下端部は、前記載置部5bの側周面まで延び、この位置で、Oリング13,14により、外周方から強固に締め付けられた状態で挟着され、シールされる。
このような状態において、前記載置台2と供試体1は、前記三軸圧力室5P内において、ゴム4とOリング11〜14により、密封された状態となっている。
【0028】
前述した如き構成を有する三軸圧縮装置5を用いて、地滑り評価のための土の圧密非排水三軸試験方法は、地盤工学会(社団法人地盤工学会:東京都文京区千石4丁目38番2号)で定められている基準に従って、以下のようにおこなわれる。即ち、その概略を説明すると、
前記三軸圧力室5P内に水(液:水以外の液であってもよい)を満した状態で、前記セル圧供給装置9が稼働して、該三軸圧力室5P内の圧力が高められ、前記供試体1に三軸方向から所定圧力(側方向応力)が作用して所望の圧密状況が形成される。
【0029】
かかる圧密状況下において、前記圧縮装置20を作動させて前記供試体1に軸方向の応力(軸方向応力)を加える。かかる軸方向の応力の加え方は、該供試体1の歪み速度が一定になるような状態でおこなわれる。この間、前記連通路5dの先端に配設されている間隙水圧測定装置8によって間隙水圧の値Utの変化のデータをとる。つまり、供試体1に、圧縮装置20により軸方向の応力が加えられると、供試体1内の水が前記ろ紙4を通過してゴム4との間に排出され、この水が前記連通路5dを介して、前記間隙水圧測定装置8に伝達されることによって、前記間隙水圧の値Utの変化のデータを得ることができる。
【0030】
また、前記軸方向の応力(主応力)の値σaの変化のデータを、前記荷重測定装置21で得る。
【0031】
さらに、前記セル圧供給装置9に設けられている測定装置によって、セル圧、つまり、三軸方向(側方向)の主応力の値σrの変化に関するデータを得る。
【0032】
そして、前記軸方向の主応力の値σaから前記間隙水圧の値Utを減算して軸方向の有効主応力σa’を得るとともに、前記三軸方向の主応力の値σrから前記間隙水圧の値Utを減算して三軸方向(側方向)の有効主応力σr’を得る。
【0033】
そして、前記軸方向の主応力の値σa、三軸方向の主応力の値σr、軸方向の有効主応力σa’、三軸方向の有効主応力σr’とを用いて、縦軸に(σa−σr)/2をとり、横軸に(σa’+σr’)/2をとって、これらの経時的変化を表す。
【0034】
そして、前記三軸方向の応力と軸方向の応力とを変化させて、前記経時的変化を表すと、図6、図7のような有効応力経路図となる。図6において、前記載置台2を用いない場合を黒丸印で、前記上面2Aの傾斜角度が60度の場合を白角印で、同傾斜面2Aの角度が45度の場合を白丸印で表している。また、図7は、前記上面2Aの傾斜角度が45度の場合において、斜面の粗さが異なる場合、つまり、布やすりを用いない場合を白丸印で表し、布やすりの粗さが320番(R320)の場合を白角印で、布やすりの粗さが40番(R40)の場合を白三角印で表している。
【0035】
そして、これらの図6,図7の有効応力経路図から、対象となる地盤の地滑りの評価をおこなうことができる。即ち、
いずれの場合にも、前記間隙水圧が最大を示したとき、例えば、図6において、白角印を見ると、横軸が約300(kN/m2)で縦軸が約140(kN/m2)の当たりで、大きく左側から右側に屈曲している。同様に、図6において、白角印を見ると、横軸が約100(kN/m2)で縦軸が約50(kN/m2)の当たりで、大きく右側に屈曲している。
この屈曲している点をプロットして、これらと原点を結ぶように傾線を描くと、図6(有効応力経路図)において、破線Kで示すような傾斜角φ’の傾線となり、この傾斜角φ’(図6の場合には、φ’=27.6度)が地滑りに対する強度、つまり、境界面強度となる。
【0036】
そして、図6からは、前記載置台2を使用した場合には、前記破線Kで示す境界面強度が得られるが、前記載置台2を使用しない場合、つまり土そのもので供試体を構成したものが崩壊する場合には、図6の実線Gで示すような傾斜角φ’(φ’=33.7度)の強度となる。このことから、岩盤上に土が堆積したような地盤では、その土そのものが崩壊する前に、岩盤との境界面で崩壊が生じ、その土そのものが崩壊する値より小さい前記値(φ’=27.6度)が地滑りに対する正確な評価となる。
【0037】
また、図7からは、前記上面2Aの表面の粗さは、前記値に殆ど影響を与えないことが判った。つまり、前記上面2Aの粗さが異なる場合にも、境界面強度は、φ’=27.6度の値を示している。
【0038】
さらに、図6と図7から、前記上面2Aの傾斜角は60度の場合も45度の場合も同じ値を示し、上面2Aの傾斜角そのものに前記値φ’は影響を受けないものと思われる。従って、上面2Aの傾斜角については、種々の傾斜角のものを使用することができるものと推測できる。
【0039】
前述のように、本発明にかかる地滑りの評価方法によれば、補助具としての載置台2を用いることで、岩盤上に土が堆積したような異なる地質の境界がある地盤においても、正確な地滑りの評価をおこなうことができる。
【0040】
また、前記実施形態では、有効応力経路図表を用いて、地滑りの評価をおこなっているが、「モールの円」を利用して、前記傾線を求めて解析して地滑りの評価をおこなうこともできるし、前記軸方向と側方向の各主応力及び各有効主応力を用いた計算により求めることによって地滑りの評価をすることもできる。
【0041】
なお、前記実施形態では、土の三軸試験方法について、土の圧密非排水三軸試験方法を例に挙げて説明したが、他の三軸試験方法についても、本発明を適用することができることは言うまでもない。
【0042】
本発明は、前述した実施形態に限定されるものでなく、当業者が自明の範囲において、適宜変更した形態で実施することができることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明にかかる地滑りの評価方法及び補助具(載置台)は、地質の異なる層の境界があるような地盤における地滑りの評価等に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の実施形態にかかる補助具を構成する載置台の構成を示す図で、(a)は全体斜視図、(b)は底面図(下面図)である。
【図2】図1に示す載置台(補助具)の上面に供試体を載置した状態を示す載置台の上面を透視図的に表した斜視図である。
【図3】土の三軸試験方法の一つである土の圧密非排水三軸試験方法を実施するための三軸圧縮装置の要部の概略の構成を示す一部断面した側面図である。
【図4】供試体及び載置台の外側周面を包装するろ紙を示す該ろ紙を拡げた状態の図である。
【図5】供試体及び載置台の外側周面を包装するろ紙の外方を覆う円筒状のゴムの外観形状を示す斜視図である。
【図6】本発明の実施形態にかかる地滑りの評価をおこなう有効応力経路図である。
【図7】同じ供試体について図6と別の条件での地滑りの評価をおこなう有効応力経路図である。
【符号の説明】
【0045】
1…供試体
2…載置台(補助具)
2A…載置台の上面
2a…載置台の溝
5…三軸圧縮装置
5P…三軸圧力室
8…セル圧供給装置
20…圧縮装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
三軸圧縮装置の三軸圧力室の液中に供試体を置き、該三軸圧縮装置のセル圧供給装置で該供試体を三軸方向から加圧した圧密状況下において、圧縮装置で軸方向から供試体を圧縮したときの該供試体の変形に至る軸方向と側方向の各主応力及び各有効主応力からその供試体の地滑りの評価をおこなう三軸圧縮装置を用いた土の三軸試験方法による地滑りの評価方法において、
排水のための溝又は穴が軸方向に形成された剛体からなる柱状の載置台の上面に、前記供試体の下面が当接する状態で、且つ、全体が軸方向に延びる柱状体になるように形成したものを、前記三軸圧力室内の所定位置に配置して、前記土の三軸試験方法をおこなうことを特徴とする地滑りの評価方法。
【請求項2】
前記供試体の破壊が生じるまで前記圧縮装置で該供試体を軸方向に圧縮し、有効応力経路図表に、前記破壊が生じたときの値をプロットすることによって、このプロットした点と原点とを結ぶ斜線を描いて、地盤の境界面強度φ’を求めることによって、前記地滑りの評価がおこなわれることを特徴とする請求項1記載の地滑り評価方法。
【請求項3】
前記三軸方向の加圧力と前記軸方向の圧縮力を変化させて、前記図表に複数の前記プロットをして、これらのプロットした点に基づいて、前記図表に前記傾線を描いて、地盤の境界面強度φ’を求めることを特徴とする請求項2記載の地滑り評価方法。
【請求項4】
三軸圧縮装置の三軸圧力室の液中に供試体を置き、該三軸圧縮装置のセル圧供給装置で該供試体を三軸方向から加圧した圧密状況下において、圧縮装置で軸方向から供試体を圧縮したときの該供試体の変形に至る軸方向と側方向の各主応力及び各有効主応力からその供試体の地滑りの評価をおこなう三軸圧縮装置を用いた土の三軸試験方法による地滑りの評価方法に使用する補助具であって、
この補助具が、上方に前記供試体を載置し、該供試体と同じ横断面積を有するとともに軸方向に排水のための溝又は穴が形成された剛体からなる柱状の載置台であることを特徴とする補助具。
【請求項5】
前記補助具の底面に、前記溝に連通する溝が形成されていることを特徴とする請求項4記載の補助具。
【請求項6】
前記補助具の上面が傾斜面によって構成されていることを特徴とする請求項4又は5記載の補助具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−53042(P2009−53042A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−220056(P2007−220056)
【出願日】平成19年8月27日(2007.8.27)
【出願人】(598154947)株式会社エイトコンサルタント (16)
【Fターム(参考)】