説明

地点案内地図の表示方法

【課題】 ネットワーク上で収集された対応した地点を案内するための地点案内地図の利便性を向上する。
【解決手段】 情報提供サーバ100はユーザから指定された検索条件に基づいて種々の情報を収集し、表示装置200に情報を提供する。表示装置200は、この情報に関する地点にアイコンを表示した地点案内地図を表示する。かかる態様での情報提供を行う際、見やすく、十分な情報量を提供した地図、即ちアイコンが過密となっていたり、アイコンの数が過少となっていたりしない地図を提供できるよう、情報提供サーバ100は、予め設定されたアイコンの表示密度、表示数などの表示条件に基づいて、検索された情報のうち表示対象となるものを選択する。こうすることで、ユーザの要望に適した見やすい地点案内地図を提供することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紹介情報が登録された地点に対応するアイコンを地図上に表した地点案内地図を表示する地図表示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
インターネットなどのネットワークを介して種々の店舗に関する情報、行楽地やランドマークに関する情報など、特定の「地点」と関連した多様な紹介情報が提供されている。これらの情報を有効活用するためには、紹介情報に対応する「地点」を表す地図が併せて提供されることが好ましい。このような地図は、紹介情報の提供者によって用意されている場合もあれば、用意されていない場合もある。
【0003】
地図が用意されていない場合でも、紹介情報に対応する地点を表す地図を提供可能にする技術として、例えば、特許文献1記載の技術が挙げられる。特許文献1には、ホームページ等で提供される記事から、場所に関連する用語を抽出し、これらの用語に基づいてその記事が関連する「地点」を特定し、その地点の地図を提供する技術が開示されている。ユーザが指定した検索条件に該当する地点を検索し、その位置を地図表示することも可能である。
【0004】
複数の地点をアイコン等で表示した地図(以下、「地点案内地図」と称する)では、これらの地点の表示/非表示を切換可能となっていることがある。この切換は、例えば、複数のレイヤの重ね合わせで地図を提供することにより実現可能である。それぞれの地点を表すアイコンを、店舗、行楽地などのカテゴリー別のレイヤ上に表し、レイヤ単位で表示/非表示を切り換えることによって、カテゴリー単位でアイコンの表示/非表示を切り換えることができる。
【0005】
【特許文献1】特開2000−339330号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来の地点案内地図では、複数の地点を表示する際の見易さという点で更に改善の余地があった。例えば、ユーザから指定された検索条件に該当する地点の検索結果を無条件に表示すると、アイコンが一部の地域に過密状態となることがあり、検索結果を有効に活用できなくなるおそれがあった。このような場合に、カテゴリー単位で表示/非表示を切り換えると、今度は、検索条件に該当した地点が多量に非表示とされてしまい、十分な情報を得られないこともあった。
【0007】
また、従来の地点案内地図には、そこから得られる情報が不十分であるという点でも改善の余地が残されていた。例えば、地点案内地図に表示されたアイコンからは、位置の他、上述のカテゴリーおよび店舗の種類程度の情報しか得られなかった。詳細な情報を得るためには、逐一、アイコンをクリック等して紹介情報を別途表示させる必要があった。
【0008】
インターネット上では、不特定多数の情報提供者が多種多様な情報を提供している。近年では、Webページを利用した情報の発信・交換を容易に実現可能とするBlog(ブログ)と呼ばれるサービスの普及に伴って、より多くの情報提供者が様々な品質の情報を提供している。この結果、検索条件に該当する「地点」の検索結果にも様々な品質の情報が含まれることになる。かかる環境下でこれらの情報を有効活用するためには、地点案内地図上に把握しやすい状態でアイコンが表示されることが望まれ、またアイコンを逐一、クリックするまでなく、提供されている情報の品質が概ね把握できることが望まれる。
【0009】
こうした課題は、Blogが利用されている環境では特に顕著であるが、Blogが利用されていない環境においても生じ得るものであり、更にはインターネットと関係なくスタンドアロンで地点案内地図を提供するシステムにおいても生じ得る。本発明は、これらの課題に鑑み、紹介情報に対応した地点を案内するための地点案内地図の利便性を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は所定の紹介情報が登録された地点に対応するアイコンを地図上に表した地点案内地図を表示する地図表示システムとして構成することができる。地点には、例えば、種々の店舗、行楽地、ランドマークなどが代表的であるが、これらの地物が存在しない場所であっても構わない。紹介情報とは、これらの「地点」に関する広告やこれらの地点で起きた出来事などを紹介する記事が挙げられる。
【0011】
本発明の地図表示システムは、予め設定された表示条件に従って地点案内地図を表示する。この表示条件には、地図の表示範囲、例えば、表示される地図の中心地点の座標および縮尺の指定などが含まれる。地図表示システムは、また、検索条件を入力し、この検索条件に該当する複数地点の位置情報および紹介情報を収集し、収集された位置情報等に基づいてアイコンを地図上に表すことで地点案内地図を表示する。この際、上述の表示条件を満足するように、地図表示システムは、アイコンの表示状態を制御する。アイコンの表示状態とは、アイコンの数、アイコンのサイズ、形状などを言う。
【0012】
こうすることにより、地点案内地図には、表示条件に応じた表示状態でアイコンが表示される。例えば、広域図では、アイコンを減らしたり、アイコンのサイズを小さくしたりして表示し、拡大図では、アイコンを増やしたり、サイズを大きくしたりして表示させることができる。この他、アイコンと位置情報との対応関係を変化させて表示状態を制御するようにしてもよい。例えば、広域図では複数のアイコンを1つの代表的なアイコンでまとめて表示し(以下、「合体アイコン」と呼ぶ)、拡大図では、個別のアイコンに分けて表示するという態様を採ることができる。このように、表示条件に応じてアイコンの表示状態を制御することにより、見やすい地点案内地図を提供することが可能となる。
【0013】
このような制御は、全ての表示条件に対して一律に施す必要はない。特定の表示条件についてのみ施すようにしてもよい。例えば、アイコンサイズの調整は、一定の縮尺以下となる広域図においてのみ行い、この一定値よりも大きい縮尺(拡大図)の場合には一定サイズでアイコンを表示するようにしてもよい。また、例えば、表示の縮尺が、第1の縮尺以下となる広域図において合体アイコンを用いる場合において、第2の縮尺(第2の縮尺<第1の縮尺)よりも表示の縮尺が小さくなると、合体アイコンを用いずに個別のアイコンを表示するようにしてもよい。かかる表示を行うことにより、第1の縮尺と第2の縮尺の間の縮尺で地図を表示する際には、合体アイコンにより見やすい地図を提示することができ、より縮尺の小さい広域図では、アイコンが高い密度で表示されることにより、ユーザに対して、紹介情報が多数提供されている領域を視覚的に知らせることができる。
【0014】
上述した表示条件には、地点案内地図上に複数のアイコンを表示する際に実現すべき表示密度を含めてもよい。こうすることにより、例えば、表示密度の上限値が設定されている場合には、アイコンが過密状態となるのを回避することができる。表示密度の下限値が設定されている場合には、ユーザが情報を選択する余地を確保できる程度のアイコンを表示することができる。
【0015】
アイコンの表示状態の制御は、アイコンの表示態様の制御の他、表示の対象となる地点の絞込みを行うことで制御するようにしてもよい。絞込みは、紹介情報を収集する段階、および地点案内地図を表示する段階の少なくとも一方で行うことができる。
【0016】
本発明の地図表示システムは、例えば、スタンドアロンで稼働するシステムとして構成することもできるし、通信回線で接続された地図表示装置と情報提供サーバとを備えるシステムとして構成することもできる。後者の場合、地図表示装置と情報提供サーバは、種々の態様で機能分担することができる。例えば、情報提供サーバが検索条件を読み込んで紹介情報等を検索し、検索結果を地図表示装置に提供し、地図表示装置は検索結果を受け取って地点案内地図を表示するという構成を採ることができる。
【0017】
このように地図表示装置と情報提供サーバで地図表示システムを構成する場合、表示対象となる地点の絞込みは、情報提供サーバで行うようにしてもよいし、地図表示装置で行うようにしてもよい。前者の場合には予め情報提供サーバが表示条件を保持しており、紹介情報等の検索時に地点の絞込みを行うことになる。この態様では、地点案内地図の表示に使用される位置情報のみを地図表示装置に送信すれば済むという点で、通信すべきデータ量を低減できる利点がある。
【0018】
後者の場合では、地図表示装置が表示条件を保持しておき、地点案内地図を表示する際に地点の絞込みを行うことになる。この態様では、表示条件と無関係に多様な位置情報を情報提供サーバから受け取ることができるため、ユーザが表示条件を変更した場合に、変更後の表示条件に対応した地点案内地図を速やかに提供できる利点がある。
【0019】
アイコンの表示密度の制御は、例えば、収集された複数の地点間の距離に基づいて行うことができる。地図の表示範囲および表示密度が指定されると、この条件を満たすためのアイコン同士の距離の範囲、即ち下限値および上限値を求めることができる。従って、収集された複数の地点間の距離がこの範囲から外れる時に、いずれか一方の地点を表示対象から除外すれば指定された表示密度を実現することができる。いずれを除外するかは、例えば、検索結果を何らかの条件でソートし、その優劣に従って決定する方法を採ることができる。
【0020】
別の方法として、除外すべき地点の数が最小となるように、除外対象を選択してもよい。まず、除外するか否かに関わらず全ての地点間の距離を算出し、表示密度を実現するために求められた距離範囲から外れる地点にそれぞれ1点ずつ加算する。このように評価した時に最高点となる地点は、上述の距離範囲から外れる頻度が最も高いことになるため、除外対象とする。このように地点を除外しながら、上述の評価を繰り返すことにより、除外すべき地点の数を抑えながら指定された表示密度を実現することが可能となる。
【0021】
表示条件には、表示対象となる地点数の下限値を含めてもよい。そして、絞込みの結果、表示対象となる地点数が下限値に満たない場合には、検索条件を緩和して再度、紹介情報の収集を行ってもよい。こうすることにより、情報選択の余地をユーザに与えることが可能となる。
【0022】
この態様を採る場合には、ユーザが、検索条件を段階的に指定可能とすることが好ましい。例えば、食事する場所を検索する場合には、和食/洋食などの料理の種別、予算、クレジットカードの使用有無などの項目で検索条件を指定するとともに、これらの条件に優先順位を設定しておくことで段階的に検索条件を緩和可能とする方法を採ることができる。
【0023】
表示条件には、表示対象となる地点数の上限値を含めてもよい。この場合、地図表示システムは、上限値を超えないよう絞込みを行う。指定された表示密度を満たす場合でも、例えば、全体にわたって同じような表示密度で多くのアイコンが表示された地図は必ずしも見やすいとは限らない。上記態様によれば、アイコン数の上限値を規制することによって、このような現象を回避でき、地点案内地図の見易さを向上することができる。
【0024】
上限値を超えないように表示対象から除外すべきアイコンは、種々の方法で選択することができる。例えば、検索結果を何らかの条件でソートし、その優劣に従って決定してもよい。表示密度が高い領域にあるアイコンを優先的に除外対象としてもよい。
【0025】
本発明では、情報提供サーバから、これらの地点の位置座標、紹介情報の所在を示す所在情報に加えて、位置座標または紹介情報の質を表す所定の付加情報を地図表示システムに提供するようにしてもよい。地図表示装置は、これらのデータを情報提供サーバから受信して地点案内地図を表示する。地図の表示に用いる地図データベースは、情報提供サーバその他のサーバから提供するようにしてもよいし、地図表示装置がローカルに参照可能としてもよい。
【0026】
アイコンを表示するためのアイコンデータは、情報提供サーバから提供されるようにしてもよいし、地図表示装置が予め管理しておくようにしてもよい。後者の態様では、複数種類の表示態様でアイコンを表示可能なデータとしてもよい。地図表示装置は、情報提供サーバから送られる付加情報に基づいて、アイコンの表示態様を決定し、アイコンを表示する。
【0027】
つまり、地図表示装置は、付加情報に基づいてアイコンの表示態様を変更する。こうすることにより、ユーザは地点案内地図のアイコンを見ることにより、付加情報の内容、即ち位置座標または紹介情報の質を推測することが可能となる。この結果、地点案内地図上に、多様な情報に対応した「地点」が表示された場合であっても、ユーザは、自分の望む情報を選択しやすくなる。
【0028】
また、上述の態様では、アイコンの表示態様を紹介情報の提供者が決定するのではなく、地図表示装置側で制御する。こうすることによって、アイコンの各表示態様が表す意味内容は、紹介情報の提供者に依らず統一されるため、ユーザは地点案内地図に表示されたアイコンの意味内容を容易に把握できるようになる。
【0029】
付加情報は、例えば、位置座標の精度とすることができる。紹介情報が提供されている地点の位置情報には、情報提供者自身が高い精度で付したもの、情報提供者によって付されているものの精度が十分に確保されていないもの、紹介情報に含まれる用語等に基づいて別途推定されたものなど、種々の精度の情報が含まれ得る。位置情報の精度が極端に低い場合には、地図上に表示されたアイコンを目標にしても、目的地に到達できないおそれがあることを考えると、地図上に表示されたアイコンの位置情報の精度は地点案内地図を有効活用するために重要な情報である。本態様によれば、位置情報の精度によって表示態様を変更するため、ユーザは、位置情報の信憑性を比較的容易に把握可能となる利点がある。
【0030】
位置座標の精度は、種々の方法で認定可能である。例えば、情報提供者によって提供されたものを高精度、推定されたものを低精度としてもよい。推定されたものについては、市町村単位で場所が確定されたもの、丁目単位で場所が確定されたものなどにレベルを分けて、位置情報の精度を設定するようにしてもよい。また、情報提供者によって提供されたものについては、提供された位置情報と、別途、紹介情報から推定された位置情報とを比較して、その一致/不一致によって位置情報の精度を設定するようにしてもよい。
【0031】
位置精度に応じた表示態様も、種々の設定が可能である。例えば、位置精度に応じて、アイコンの色やパターンを変更するようにしてもよい。また、位置精度に応じて、アイコンのサイズを変更するようにしてもよい。
【0032】
別の態様として、付加情報としては、紹介情報が過去に参照された参照回数または参照頻度を用いることができる。参照頻度とは、例えば、一定期間内に参照された回数、一日当たりの参照回数の平均値などによって定義することができる。これらの情報を付加情報とすることにより、紹介情報の利用状況をアイコンの表示態様で表現することができ、ユーザが、地点案内地図から情報を選択する際の目安となる。この場合の表示態様も、位置精度で説明したのと同様の態様を用いることができる。
【0033】
更に別の態様として、付加情報は、紹介情報を有効活用し得る期間を表す期間情報とし、地図表示装置は期間情報と現在時刻との関係に基づいて表示態様を変更するようにしてもよい。例えば、過去に起きた出来事に関する記事が紹介情報として提供されている場合には、その出来事が起きた時期を表す情報、または出来事が起きてからの経過時間が期間情報となる。この場合には、経過時間に応じてアイコンの表示態様を変えることができるため、ユーザが新しい情報を選択する際の目安を与えることができる。
【0034】
別の例として、店舗などで特定のサービスタイムに行われるサービスが紹介情報として提供されている場合には、サービスタイムの開始時刻および終了時刻が期間情報となる。表示態様は、例えば、サービスタイムが始まるまでの待ち時間の長さ、サービスタイムの残り時間、サービスタイムを過ぎてしまったか否かなどで変えることができる。こうすることで、ユーザにサービスタイム中のサービスを効率的に利用するための目安を与えることができる。
【0035】
本発明は地図表示装置に対して地点案内地図の表示に要求されるデータを供給する情報提供サーバとして構成してもよい。情報提供サーバは、地点の位置座標、紹介情報の所在を示す所在情報を対応づけて予め管理する。地図表示装置から表示の対象となる地点の指定を受け付けると、その地点に対応する情報を抽出し、上述の付加情報とともに地図表示装置に送信する。地図表示装置からは、特定の地点を直接指定するようにしてもよいし、検索条件を指定することで複数の地点を間接的に指定するようにしてもよい。検索条件が指定された場合には、情報提供サーバは検索条件に該当する地点を検索して、位置情報等を提供することになる。
【0036】
付加情報は、位置座標等と併せて予め管理しておくものとしてもよいし、地図表示装置に送信する際に生成するものとしてもよい。例えば、紹介情報の参照回数などを付加情報として用いる場合には、地図表示装置への送信時に生成することが、最新の情報を提供できる点で好ましい。
【0037】
本発明は、上述した種々の特徴を必ずしも全て備えている必要はなく、一部を省略したり適宜組み合わせたりして構成することができる。本発明は、上述した地図表示システム、地図表示装置、情報提供サーバとして構成する他、コンピュータによって地点案内地図を表示する表示方法として構成することもできる。また、かかる地図表示を実現するためのコンピュータプログラムとして構成したり、このコンピュータプログラムの少なくとも一部を記録した記録媒体として構成したりすることもできる。この場合、記録媒体としては、フレキシブルディスクやCD−ROM、光磁気ディスク、ICカード、ROMカートリッジ、パンチカード、バーコードなどの符号が印刷された印刷物、コンピュータの内部記憶装置(RAMやROMなどのメモリ)および外部記憶装置等、コンピュータが読取り可能な種々の媒体を利用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
本発明の実施例について以下の順序で説明する。
A.システム構成:
B.表示例:
C.位置RSS生成処理:
D.地図表示制御:
E.検索処理:
F.変形例:
【0039】
A.システム構成:
図1は実施例としての情報提供システムの構成を示す説明図である。情報提供システムは、情報提供サーバ100(以下、単に「サーバ」と呼ぶこともある)と、表示装置200とをインターネットINTで接続して構成される。インターネットINTに代えて、イントラネットなどの限定的なネットワークを用いることも可能である。
【0040】
インターネットINT上には、多数のWebサーバSVが接続されており、種々の情報を提供している。ユーザが表示装置200で検索条件等を指定すると、情報提供サーバ100は、これらのWebサーバSVを検索し、その結果を表示装置200に提供する。情報提供サーバ100は、この他、予め設定されたジャンルに従って、WebサーバSVで提供される情報を収集し、一覧などのWebページ(以下、「ポータルページ」と呼ぶ)機能も奏する。本実施例では、Webページを利用した情報の発信・交換を容易に実現可能とするBlog(ブログ)と呼ばれるサービスを利用して提供される記事を提供対象とする例を示す。もっとも、本実施例は、ブログで提供される記事に限らず、種々の情報を提供対象とすることが可能である。
【0041】
情報提供サーバ100は、記事見出しの一覧などの形式の他、記事に関連した地点をアイコンで地図上に表した形式の表示、即ち地点案内地図の表示を行うこともできる。いずれの出力においても、表示された記事の見出し、アイコンなどには、各種WebサーバSVで提供される記事自体へのリンクが設定されている。
【0042】
上述の機能を提供するための情報提供サーバ100の機能ブロックを併せて示した。本実施例では、これらの機能ブロックは、これらの機能を実現するためのCGI(Common Gateway Interface )などで構成されたコンピュータプログラムを情報提供サーバ100にインストールすることによってソフトウェア的に実現される。図中の機能ブロックの少なくとも一部は、ASICなどの回路によって、ハードウェア的に構成することも可能である。
【0043】
通信部102は、インターネットINTを介した情報授受を制御する機能を奏する。情報収集部110は、ユーザが使用する表示装置200から指定された検索条件に適合する記事を、WebサーバSVから検索する。絞込制御部112は、多数の検索結果が得られた場合に、表示装置200に提供する出力結果を絞り込む。この絞込みは、予め設定された表示条件114に従って行う。表示条件114の内容は、後述するが、例えば、検索結果を表示する際の地点案内地図の縮尺、地図上のアイコンの表示密度、表示数などが含まれる。
【0044】
地図データベース120は、二次元の電子地図データである。本実施例では、地図データベース120は、情報提供サーバ100内に備えるものとしたが、情報提供サーバ100とネットワークで接続された他のサーバなどに備えるものとしてもよい。
【0045】
Webページ生成部130は、表示装置200に情報を提示するためのWebページを生成する。Webページは、先に説明した通り、記事等の一覧表形式や、地点案内地図などの形式で生成される。地点案内地図を表示する際には、Webページ生成部130は、地図データベース120を用いる。
【0046】
WebサーバSVが提供するブログは、それぞれの内容の要約や記事の更新状況などをRSS(RDF Site Summary)と呼ばれる情報によって提供している。本実施例では、情報提供サーバ100は、各記事に、その記事が関連する地点の位置座標を付したRSS(以下、「位置RSS」と称する)を生成し、表示装置200に提供する。位置RSS管理部150は、各WebサーバSVから位置情報が付されていないRSSを収集し、これに位置情報を付加して、位置RSSを生成し、管理する。位置情報設定部140は、位置RSSを生成する過程で、位置情報が付されていないRSSから各記事が位置を特定可能なキーワードを抜き出し、地図データベース120を参照しながら、位置座標を設定する。
【0047】
表示装置200は、情報提供サーバ100に検索条件等を指定したり、情報提供サーバ100から提供される情報を表示したりする装置である。本実施例では、汎用のパーソナルコンピュータに、これらの機能を実現するためのコンピュータプログラムをインストールすることで構成した。
【0048】
図中に表示装置200に備えられる機能ブロックを併せて例示した。本実施例では、上述の通り、各機能ブロックは、ソフトウェア的に構成されるが、ハードウェア的に構成することも可能である。
【0049】
通信部210は、インターネットINTを介した情報の授受を制御する。ブラウザ220は、情報提供サーバ100との情報授受を行うためのユーザインタフェース画面を提供する。インタフェース画面には、例えば、検索条件の指定画面や、地図その他の形式での情報提示画面が含まれる。
【0050】
図中には、本実施例において、ブラウザ220に特に組み込まれている機能のみを示した。これらの機能ブロックは、汎用のブラウザにプラグインとして付加するようにしてもよいし、これらの機能ブロックを備えたブラウザを情報提供サーバ100に対応した専用ブラウザとして提供するようにしてもよい。
【0051】
地図表示制御部224は、地点案内地図の形式で情報を提示する機能を奏する。RSSリーダ222は、情報提供サーバ100から提供される位置RSSを読込み、その内容を解析して、地図表示制御部224に提供する。地図表示制御部224は、位置RSSに含まれる位置座標に従って、地図上にアイコンを表示させることができる。アイコンは、カテゴリーごとにレイヤに分けて表示してもよいし、単一のレイヤに表示させてもよい。いずれの場合であっても、本実施例では、各レイヤにアイコンを描画する時点で、後述する処理を介在させることで、アイコンごとに表示態様を個別に制御する。
【0052】
本実施例では、情報提供サーバ100からアイコンを表示するためのデータを受信するのではなく、表示装置200が内部にアイコンを表示するためのアイコンデータ226を備えるものとした。地図表示制御部224は、情報提供サーバ100から提供された情報に基づき、アイコンデータ226を参照して、アイコンの表示態様を設定し、アイコンを地図上に表示する。
【0053】
ここで示したのは、情報提供システムの一例に過ぎない。図1中に示した各機能ブロックは、必ずしも情報提供サーバ100または表示装置200に全て備えられている必要はなく、分散処理によって複数のサーバ等の連携で実現するようにしてもよい。
【0054】
B.表示例:
図2は情報提供システムの表示例を示す説明図である。ここでは、画面W1〜W3の3通りを例示した。画面W1は、情報提供システムが収集した記事見出しを、一覧表、ジャンル別、ランキングなどの形式で提示するポータルページの例である。画面W1は、情報提供サーバ100がHTMLなどの言語で生成し、表示装置200のブラウザ220がその内容を解析して表現するものである。画面W1中には、「RSS」ボタンが表示してある。「RSS」ボタンは、画面W1の概要や更新状況を表す位置RSSを取得するために使用される。また、ユーザが表示装置200にRSSを登録しておくと、以後、表示装置200が自動的にRSSを参照可能となり、特別な操作を行うことなく最新のRSSの内容を参照することが可能となる。RSSの登録方法は、ブラウザ220の機能によって相違しており、例えば、RSSをクリックした上で登録メニューを選択するようにしてもよいし、ブラウザ220の所定領域内にRSSボタンをドラッグ&ドロップするようにしてもよい。
【0055】
画面W2は、ポータルページで提供される各記事に関連する地点を、地図上にアイコンで表した画面、即ち地点案内地図の表示画面である。図中のハッチングを付した丸印が、このアイコンを表している。ユーザから地図表示を指定された時に、ブラウザ220が位置RSSを読込み、そこに含まれている位置座標を用いて表示する。位置RSSに含まれる位置座標の精度はまちまちである。本実施例では、位置座標だけでなく、位置精度に関する情報も含めて位置RSSを提供するようにすることで、位置精度に応じてアイコンの色を変えるものとした。図中では、ハッチングの種類を変えることで色の相違を表現してある。
【0056】
画面W3は、画面W1で提示される記事見出し、または画面W2で提示される位置に対してリンクされた記事内容を表している。記事内容自体は、情報提供サーバ100が直接、提供する必要はなく、各種Webサーバから提供することができる。画面W1に表示される記事見出し、画面W2に表示されるアイコンには、それぞれ画面W3を表示するためのURL(Uniform Resource Indicator)へのリンクが設定されている。従って、ユーザは、画面W1で記事見出しをクリックしたり、画面W2でアイコンをクリックしたりすることによって、画面W3に移行することが可能である。情報提供システムは、これらの画面の他、情報の検索を行うための検索画面を表示することもできる。
【0057】
C.位置RSS生成処理:
図3は位置RSS生成処理のフローチャートである。情報提供サーバ100が実行する処理である。この処理を開始すると、情報提供サーバ100は、位置RSSの生成対象を特定する(ステップS10)。本実施例では、予め情報提供サーバ100に登録されているRSS、およびユーザが指定した検索条件によって検索された記事またはブログに付されたRSSを生成対象とする。
【0058】
次に、情報提供サーバ100は、インターネット上に存在する各種Webサーバから、これらのRSSを読込み(ステップS11)、RSS中に位置座標が含まれているか否かを判断する(ステップS12)。位置情報を含むRSSが提供されている場合には、その位置座標を取得し、位置RSSを生成する(ステップS13)。また、Webサーバで情報を提供している情報提供者自身が付した位置情報は、情報提供サーバ100で推定した位置情報に比較して十分精度が高いものと判断し、位置座標の推定精度(以下、「位置精度」と称する)を「高」に設定して位置RSSに含める。
【0059】
一方、読み込んだRSSに位置座標が含まれていない場合には(ステップS12)、RSSの中から場所に関連するキーワードを抽出し(ステップS14)、このキーワードに基づいて位置座標を推定する(ステップS15)。キーワードとしては、地名、住所、建造物その他の地物などの固有名詞などを用いることができる。情報提供サーバ100は、こうして推定された位置座標に対して位置精度を設定する。例えば、市町村などの比較的広い行政界で位置が特定された場合には、位置精度「低」、建造物名称など限定的に位置が特定された場合には、位置精度「中」などと設定することができる。
【0060】
本実施例では、ステップS15の推定結果に基づく位置精度は、ステップS13で位置座標が取得できた場合に比較して、精度が低くなるような設定としたが、かかる関係に限定されるものではなく位置精度は、種々の設定が可能である。また、位置精度は、「高」「中」「低」などの段階で表すものに限られず、例えば、地点が存在する可能性のある領域の面積、この面積を円で表す場合の半径、またはこれらの逆数などで表現してもよい。
【0061】
情報提供サーバ100は、上述の処理によって位置座標および位置精度を取得すると、これらの情報に基づいて位置RSSを生成し、位置RSS管理部150に格納、管理する(ステップS16)。この位置RSSは、図2で示した画面W1のRSSボタンなどを通じて、ユーザの表示装置200に配信される。情報提供サーバ100は、以上の処理を、生成対象として特定された全RSSについて実行し、位置RSS生成処理を完了する。
【0062】
D.地図表示制御:
図4は地図表示制御のフローチャートである。図2の画面W2を表示するために、表示装置200のブラウザ220が実行する処理である。処理を開始すると、表示装置200は、情報提供サーバ100から提供される地図データおよびRSSを読み込む(ステップS20)。RSSは、地図上に表示すべきアイコンの位置および表示態様の決定に用いられる。表示装置200は、このRSSから、位置座標、位置精度および期間情報を抽出する(ステップS21)。
【0063】
期間情報とは、RSSが関連する記事の有効期間や発行時期を表す情報である。例えば、店舗のサービスタイムを表す記事では、サービスタイムの開始時刻、終了時刻が有効期間を表すことになる。また、ニュースなどの記事では、記事の発行時期や事件の発生時期を、期間情報として用いることができる。
【0064】
表示装置200は、上述の抽出された情報に基づいてアイコンの表示態様を決定し(ステップS22)、地図およびアイコンを表示する8ステップS23)。本実施例では、位置精度「高」「中」「低」の段階に応じて、アイコンの色を変化させるものとした。図中では、ハッチングの種類によって色の相違を表している。
【0065】
また、期間情報に基づいて色の彩度を変化させるものとした。現在時刻が有効期間に至る前である場合、図中に示すように、有効期間までの時間が短くなるほど彩度が高くなるよう、彩度を変化させ、有効期間を経過した後は、アイコンを非表示とするものとした。例えば、サービスタイムに関する記事については、サービスタイムに至るまでの待ち時間が短くなるにつれて、アイコンの彩度が向上することになる。サービスタイム中は、最高の彩度で表示される。そして、サービスタイムが終了した後は、アイコンは非表示になる。図中の設定は、一例に過ぎず、有効期間経過後は、その経過期間が長くなるにつれて彩度を低下させるようにしてもよい。
【0066】
図5は第1の地図表示例を示す説明図である。ユーザが街での出来事を広汎に指定して表示させた場合を例示した。表示が行われる「現在時刻」は、3月18日の午後1時であるものとする。図中中央の星印が現在位置を表している。
【0067】
地図上には情報提供サーバ100が収集した記事に関連する地点に、丸印のアイコンが表示される。図4で説明した通り、アイコンの表示色(図中ではハッチングの種類)は、位置精度に応じて異なる。例えば、「○○シンポジウム」「++喫茶」は情報提供者によって位置情報が与えられている例を示している。これらの例では、アイコンは位置精度「高」に対応する色で表示される。図中のNEWSの場合には、「**交差点付近」という比較的広範囲な状態で位置が推定されているに過ぎない。従って、この地点に対するアイコンは、位置精度「低」に対応する色で表示される。
【0068】
アイコンは、また各記事の有効期間に応じて表示態様が変化する。例えば、現在時刻(午後1時)は、図中の「++喫茶」の記事におけるサービスタイム(11時〜14時)中であるため、このアイコンは最高の彩度で表示される。ただし、図示の制約上、図5においては、彩度の変化は表現されてはいない。一方、現在時刻は、「¥¥電気」の特価タイム(午前11時まで)を経過してしまっている。従って、「¥¥電気」のアイコンは、図中に破線で示す通り、非表示とされている。
【0069】
図5では、有効期間を経過した時点で、直ちに非表示とする例を示した。アイコンの表示はかかる態様に限定されるものではなく、例えば、有効期間を経過した後の経過時間に応じて彩度を変化させるようにしてもよい。
【0070】
図6は第2の地図表示例を示す説明図である。図6では、街で起きた事件に関する表示を行わせる場合を例示した。図6では、期間情報に基づく表示態様が図5の例とは相違する。図5は現在時刻から有効期間までの待ち時間に応じて表示態様を変化させたのに対し、図6では、過去の事件が表示対象となるため、事件発生時から現在時刻までの経過時間に応じて表示態様を変化させるものとした。
【0071】
上方の図に、経過時間と表示期間との対応関係の設定例を示した。この例では、経過時間が長くなる程、非線形的に彩度が低下する。変形例では、表示期間、即ちアイコンの表示対象となる事件の発生時点を特定する期間をユーザが指定可能とした。彩度は、図中の設定に従って連続的に変化させ得るが、ここでは図示の都合上、指定された表示期間内のうち経過時間がt1〜t3の3通りについて彩度の相違をハッチングの種別によって示した。
【0072】
上述の通り、図6では、ハッチングの種類は、位置精度を表すのではなく、経過期間を表している。これは図示の制約に基づくものに過ぎず、位置精度に応じてアイコンの表示色を変える点については図5の例と同じである。つまり、図6においても、アイコンは、位置精度に応じて色が変わるとともに、経過期間に応じてその彩度が変化する。
【0073】
下側の図には、上述の表示態様に従った地図表示例を示した。星印はユーザが向かおうとしている目的地を表している。現在位置であっても構わない。それぞれのアイコンは、情報提供サーバ100が収集した記事に基づき、それぞれの事件発生箇所を表している。図中の領域Aでは、比較的近い時期に交通事故が3回起きていることが分かる。この地図表示を2005年3月18日に行っているものとすると、2005年2月14日、3月15日に発生した交通事故は経過時間が短いため高彩度でアイコンが表示される。2004年12月24日に発生した交通事故については経過時間が中程度であるため中間の彩度でアイコンが表示される。
【0074】
図4〜6で説明した表示制御により、本実施例の表示装置200は、情報提供サーバ100から受信したRSSに含まれる位置座標、位置精度および期間情報を利用してアイコンの表示態様を変化させることができる。ユーザは、このようにして表示された画面を見ることにより、それぞれの記事がどの地点に関連するものかを知るだけでなく、その位置精度その他の付加的な情報を容易に把握することができる。位置精度、期間情報などは、それぞれのアイコンを表示させて記事の詳細内容を表示させれば知ることが可能ではあるが、本実施例の表示によれば、逐一詳細内容を表示させるまでなく一覧するだけで把握しやすいという利点がある。
【0075】
アイコンの表示には、本実施例の態様に限らず、種々の表示態様を用いることができる。例えば、位置精度等に応じて、アイコンの形状、大きさを変化させるようにしてもよい。また、付加情報として、記事が過去に参照された参照回数または参照頻度を用いてもよい。これらの情報を付加情報とすることにより、記事の利用状況をアイコンの表示態様で表現することができ、ユーザが情報を有効活用する目安とすることができる。
【0076】
E.検索処理:
本実施例の情報提供システムは、ユーザが指定した検索条件に該当する記事をインターネットINT上から検索し、その結果をユーザに提供する機能も有している。検索結果は、図2で説明した通りポータルページ(画面W1)として提示することもできるし、地図表示(画面W2)として提示することもできる。以下では、地図表示を行う場合の処理例を示す。
【0077】
図7は検索処理のフローチャートである。ユーザが表示装置200を用いて、情報提供サーバ100に、検索条件および表示条件を指定すると、情報提供サーバ100は、これらの条件を受信し(ステップS30)、検索処理を実行する。検索条件を複数の項目にわたって指定する場合には、項目間での優先度も併せて指定する。本実施例では、表示条件として、地図の縮尺、アイコンの表示密度、および表示数に関する条件を指定する。
【0078】
これらの表示条件を指定することなく、検索結果を地図上にアイコンで示すと、次に示す通り、非常に見にくい地図となるおそれがある。例えば、検索の結果、得られた情報が一地域に固まっている場合、アイコンが過密となるおそれがある。アイコンが見やすくなるように表示密度を下げれば、地図を過剰に拡大する必要が生じ、現在位置などの把握がしづらくなるおそれがある。一方、検索条件が非常に厳しく、十分な量の情報が得られない場合には、地図中にほとんどアイコンが表示されなくなるおそれがある。
【0079】
表示条件は、上述の弊害を緩和するための設定値である。縮尺は、地理を把握しやすい地図を提供するための設定値となる。アイコンの表示密度は、アイコンが過密となるのを回避するための密度の上限値である。アイコンの表示数は、検索条件が厳しく、情報量が過少となるのを回避するための表示数の下限値である。情報が過多とならないための表示数の上限値としてもよい。
【0080】
検索条件および表示条件を受信すると、情報提供サーバ100は、検索条件に該当する記事を種々のWebサーバから検索し、検索条件への適合度、アクセス数の多い順などの評価に基づき、検索結果をソートする(ステップS31)。情報提供サーバ100は、これらの各記事について、RSS内に含まれる位置情報を利用したり、図3で示した方法で位置情報を推定したりして、記事が関連する地点を特定する。
【0081】
次に、情報提供サーバ100は、ユーザから指定された縮尺において、指定された表示密度を実現するために、検索された各地点間が最小限確保すべき距離Rminを算出する(ステップS32)。表示密度とは単位面積当たりのアイコンの数を表すから、表示密度の逆数は、あるアイコンを中心として、他のアイコンが排除されるべき円形領域の面積を表す。最小距離Rminは、この円形領域の半径として求めることができる。
【0082】
情報提供サーバ100は、ステップS31でソートされた順に一つずつ地点を選択し、その地点から最小距離Rmin内にある他の地点に関する記事を除外する(ステップS33)。例えば、図に示す通り、ある3つの記事に関連する地点P0〜P2が求められたとし、この中で地点P0の優先度が最も高いとする。そして、地点P0−P1の距離は最小距離Rminよりも小さく、地点P0−P2の距離はRminよりも大きいとする。このような場合、情報提供サーバ100は、地点P0から最小距離Rmin内にある地点P1を、表示対象から除外するのである。こうすることにより、地点P0の周辺には、他の地点のアイコンが表示されなくなるため、指定された表示密度の条件を満足することができる。
【0083】
以上の処理で地点を削除した結果、指定された表示数に満たなくなった場合には(ステップS34)、情報提供サーバ100は、検索条件を緩和し(ステップS35)、再度ステップS31以降の処理を行う。検索条件の緩和は、ユーザから指定された検索条件のうち優先度の低いものを除外することによって行う。こうして表示密度の条件を満たす範囲で、指定された表示数の地点が得られると(ステップS34)、情報提供サーバは表示装置200に向けて検索結果を出力する(ステップS36)。
【0084】
図8は検索処理例を示す説明図である。上方の図には、表示条件を示した。この例では、3km四方の正方形領域Vを地図表示させるよう縮尺が設定されているとする。また、表示数は5個に設定され、表示密度はこの領域内に16個に相当する値が設定されているとする。図中に黒点で示す通り、これは、正方形領域Vにまんべんなく16個の地点が分布した状態に相当する。従って、最小距離Rminは、方眼状に分布した各地点間の距離として求められる。
【0085】
図の中央には、地図Mの表示例を示し、左側と下側には検索条件C1,C2およびその検索結果R1、R2を示した。検索条件C1は、「1.グルメ、2.和食、3.予算3000円、4.駐車場有り、5.クレジットカード使用可能」という5つの項目にわたって、この優先度で指定されている。検索条件C1に対し、A〜E店が検索結果R1として得られたものとする。それぞれの店の位置は、地図M中に示した。地図M中には、後の検索で得られるF〜I店も示してあるが、この段階では、A〜E店の5店のみが得られている。
【0086】
地図中には、各店を中心として半径Rminの円を破線で示した。検索結果R1において最も優先度が高いA店については、半径Rminの領域内にC店が存在する。従って、指定された表示密度を満足するため、C店は表示対象から除外される(図7のステップS33参照)。
【0087】
C店を除外すると、検索結果は4店となり、指定された表示数である5店に満たなくなる。従って、情報提供サーバ100は検索条件を緩和して次の検索を実行する。この例では、最も優先度の低い「5.カード可」という条件を外した検索条件C2に基づいて検索を行う。これにより、検索結果R2に示す通り、A〜I店が得られたとする。地図M中にこれらの位置を示した。
【0088】
A店を中心に最小距離Rminの領域には、既に除外されたC店の他、G店も存在することが分かる。従って、G店も表示対象からは除外される。同様の判定を他の店についても行うと、E店から半径Rmin内に存在するH店が表示対象から除外される。以上の結果、表示密度の条件からはC,G,H店を除く6店が表示対象として残存することになる。
【0089】
この例では、表示数が5個と指定されている。この条件を表示数の下限値として用いる場合には、情報提供サーバ100は、C,G,H店を除く6店舗を全て含む検索結果を表示装置200に出力すればよい。5個を表示数の上/下限値双方として用いる場合には、情報提供サーバ100は、検索結果R2のうち、最も優先度の低いI店を除外した5店の結果を表示装置200に出力する。
【0090】
以上で説明した検索処理によれば、図8に例示するように、ユーザが設定した縮尺、表示密度に基づき、アイコンが過密となることを回避しながら地図を表示することができる。また、表示数を満たすように、検索条件を緩和して再検索を行うことにより、ユーザに対して十分選択余地のある情報を提供することができる。
【0091】
以上で説明した本実施例の情報提供システムによれば、図4〜6で示した表示制御により、多種多様な位置付の情報を、位置精度などの付加情報も含めて把握しやすい地図を表示することができる。また、図7、8で示した検索処理により、見やすい地図の形で、過不足のない十分な情報をユーザに提供することができる。従って、本実施例の情報提供システムによれば、ユーザは、インターネットINT上で供給される種々の情報の有効活用を図ることができる。
【0092】
F.変形例:
(1) 図9は第1変形例としての検索処理のフローチャートである。表示条件を満足するよう、検索結果を選択する処理について示した。先に図7で示した処理のステップS31〜S35に相当する処理である。実施例(図7)では、検索結果のうち優先度の高い地点を残すようにして地点の選択を行ったのに対し、変形例では、表示密度を満足するために除外すべき地点の数を抑制するよう選択を行う例を示す。
【0093】
変形例の処理では、情報提供サーバ100は、検索条件に該当する記事を検索する(ステップS31A)。図の右側に検索結果RA1、RA2および地図Mを例示した。上記検索により、検索結果RA1に示すようにA〜I店が得られたものとする。
【0094】
次に情報提供サーバ100は、得られた各地点間の距離を算出し、それぞれの地点から距離Rmin内に存在する他の地点数を求める。そして、この地点数をポイントとして、各地点をソートする(ステップS32A)。例えば、A店については、地図Mに示すように、距離Rmin内にC店、G店が存在するため、ポイントは2となる。このポイントに従って、A〜I店をソートすると、検索結果RA1が得られる。
【0095】
情報提供サーバ100は、この結果に基づき、最もポイント数が高い地点に関する記事を除外する(ステップS33A)。検索結果RA1に対しては、A店が除外されることになる。A店が除外されると、これに伴って各地点のポイントが変化する。例えば、C店やG店は、A店がなくなることによって、1ポイントから0ポイントにポイントが減少することになる。この結果を表したのが検索結果RA2である。情報提供サーバ100は、この結果に基づき、E店、H店を表示対象から除外する。
【0096】
以上の処理によって、表示密度に関する条件が満たされるようになった時点で残った店が指定された表示数に不足する場合(ステップS34A)は、実施例と同様、検索条件を緩和して(ステップS35)、再度、検索以降の処理を実行する。
【0097】
変形例の処理によれば、アイコンの過密度が最も高い地域から優先的に表示対象が除外されることとなる。従って、アイコンがよりまんべんなく分布した見やすい地図を提供することが可能となる。
【0098】
(2) 図10は第2変形例としての検索処理のフローチャートである。左側に表示装置200の処理を示し、右側に情報提供サーバ100の処理を示した。実施例(図7)では、表示条件を満たすように情報提供サーバ100で表示対象の絞込みを行った。これに対し、第2変形例では、表示装置200で、表示対象の絞込みを行う。
【0099】
第2変形例の処理では、表示装置200はユーザからの検索条件を入力し(ステップS40)、情報提供サーバ100に送信する。情報提供サーバ100は、検索条件を受信して(ステップS50)、これに該当する記事を検索する(ステップS51)。そして、検索結果を表示装置200に出力する(ステップS52)。この時点で、表示条件に基づく検索結果の絞込みは行わない。
【0100】
表示装置200は、検索結果を受信し(ステップS41)、表示対象の絞込みを行う(ステップS42)。絞込みの方法は、実施例(図7)または第1変形例(図9)で示した方法を適用可能である。表示装置200は、こうして選択された地点を表すアイコンと共に地図を表示する(ステップS43)。
【0101】
ユーザが表示条件の変更を指示した場合には(ステップS44)、新たな表示条件を入力し(ステップS45)、これに適合するよう、表示対象の絞込み(ステップS42)、および地図表示を再度、実行する(ステップS43)。例えば、ユーザが表示密度を高めた場合には、当初の画面で表示対象から除外されていた地点を表示対象に加えた地図が提供される。第2変形例によれば、全検索結果を情報提供サーバ100から受信し、表示装置200で情報の選択を行うため、ユーザが表示条件を変更した場合でも、再検索するまでなく速やかに新たな地図を提示することができる利点がある。
【0102】
(3) 図11は変形例としての地図表示制御のフローチャートである。第1および第2変形例では、表示対象となる地点を絞り込むことによって、設定されたアイコンの密度を実現する方法を例示した。この変形例では、地図を表示する際に、アイコンの表示態様を制御することで設定されたアイコンの密度を実現する例を示す。
【0103】
変形例の地図表示制御が開始されると、表示装置200は、地図データおよび検索結果を読込(ステップS60)、表示対象とすべき地点間の距離Distを算出する(ステップS61)。そして、この距離Distが所定の閾値Thrよりも小さくなる地点がある場合(ステップS62)、これらの地点を包含するアイコン(以下、「合体アイコン」と呼ぶ)を生成する(ステップS63)。合体アイコンには、そこに包含される各地点のリンクのうち、いずれか一つが対応づけられる。閾値Thrは、合体アイコン生成の判断基準となる距離であり、先に図7のステップS32で説明したRminと同様、ユーザから指定された縮尺において、指定された表示密度を実現するために、検索された各地点間が最小限確保すべき距離として任意に設定することができる。
【0104】
図の右側に処理例を示した。地図中に、表示対象としてA地点〜F地点が存在しているものとする。図中の破線は、各地点を中心とする半径Thrの円を表している。この図によれば、地点AC間、AG間、およびEH間の距離DistはThrより小さくなっており、合体アイコンの生成対象であることが分かる。その他の地点間の距離DistはThr以上であり、合体アイコンの生成対象ではない。
【0105】
表示装置200は、上述の判断結果に基づき、地点ACGを包含する合体アイコン、および地点EHを包含する合体アイコンを生成する。図中に、ハッチングを付した楕円形状で、これらの合体アイコンを示した。合体アイコンの位置および形状は任意に設定可能である。例えば、ACGを包含する合体アイコンについて、ACGの3つの地点の重心を合体アイコンの中心としてもよいし、ACGのいずれか一つを代表地点として合体アイコンの中心に設定してもよい。形状は、各地点を包含する楕円形状に限らず、円形、矩形など任意に設定可能である。合体アイコンを立体的な表示とし、そこに包含される地点数に応じてその高さを変化させるようにしてもよい。
【0106】
表示装置200は、合体アイコンを生成した後、再度、各地点間の距離Distを算出する(ステップS61)。この算出時には、合体アイコンの中心位置を距離Distの算出基準として用いる。例えば、ACGを包含する合体アイコンの中心と、B,D,F地点等との距離が改めて算出されることになる。この結果、距離Distが閾値Thrよりも小さくなる地点が見いだされた場合には、再度、合体アイコンの生成処理を実行する(ステップS63)。表示装置200は、以上の処理を、全ての距離Distが閾値Thr以上となるまで繰り返し実行する(ステップS62)。もっとも、ステップS62の判断を省略し、ステップS63の処理を1回のみ実行するようにしてもよい。
【0107】
表示装置200は、合体アイコンの生成が完了すると、地図表示を行う(ステップS64)。図中に地図表示例を示した。MAP1は合体アイコンを用いた例である。MAP2は合体アイコンを用いることなく表示を行った例である。図示の便宜上、アイコン数を抑制してあるものの、MAP2の例では、アイコンが比較的密に表示され、把握しづらくなるのに対し、MAP1では合体アイコンを用いることにより、見やすい地図を提供することができる。この地図は、各地点ごとの個別のアイコンが表示されていないという意味で、表示上は各地点の情報が間引かれているかのように見えるが、実際に表示装置200から削除されている訳ではない。従って、縮尺を大きくし、拡大図を表示させれば、ステップS63において「距離Dist<Thr」となる地点が減少し、各地点が個別のアイコンで表示されるようになる。この結果、ユーザは各地点の記事等を閲覧することが可能となる。
【0108】
上述の実施例、変形例で説明した種々の特徴は、適宜、組み合わせて適用してもよい。例えば、変形例で示した検索結果の絞り込み(図9,10)を行った上で、図11に示した合体アイコンを適用するようにしてもよい。また、合体アイコンの適用は、全ての縮尺で一律に行うのではなく、特定の縮尺でのみ行うようにしてもよい。例えば、第1の縮尺よりも小さい縮尺となる広域図のみで合体アイコンを適用し、第1の縮尺よりも大きい縮尺となる拡大図では合体アイコンを適用しないようにしてもよい。この場合において、更に、第2の縮尺(第2の縮尺<第1の縮尺)よりも小さい縮尺となる広域図においても合体アイコンを適用しないようにしてもよい。このように個別のアイコンを高い密度で表示することにより、多くの情報が提供されている地域を、ユーザに視覚的に知らせることが可能となる。こうした制御は、広域図において、合体アイコンを用いたとしても見やすい表示を実現できない状態、または合体アイコンを用いると、ほとんどのアイコンが数個の合体アイコンに包含されてしまい、どの程度の情報が提供されているのかを把握できない状態において特に有用である。
【0109】
実施例および変形例において、アイコンの表示サイズや形状を、縮尺に応じて個別に制御するようにしてもよい。アイコンの密度は、単位領域内に表示されるアイコンの数で定義することもできるが、単位領域内に示すアイコンの面積で定義することもできる。上述の実施例および変形例では、いずれの定義を用いることも可能である。後者の定義を用いる場合には、更に、アイコンの表示サイズを変更することによって、設定されたアイコン密度を実現するという制御方法を用いることも可能となる。つまり、拡大図ではアイコンのサイズを大きくし、広域図ではアイコンが密となる領域において、設定された密度が実現されるよう、アイコンの表示サイズを小さくするのである。
【0110】
アイコンの表示サイズや形状は、密度に関わらず、縮尺に応じて変動させるようにしてもよい。こうすることにより、比較的簡単な制御処理で、見やすい地図を提供することが可能となる。
【0111】
以上、本発明の種々の実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の構成を採ることができることはいうまでもない。例えば、実施例では、Blogが利用されている環境での情報提供を例示したが、本実施例では、Blogが利用されていない環境下でも適用可能である。また、実施例および変形例で示した検索処理は、スタンドアロンで地点案内地図を提供するシステムにおいても適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1】実施例としての情報提供システムの構成を示す説明図である。
【図2】情報提供システムの表示例を示す説明図である。
【図3】位置RSS生成処理のフローチャートである。
【図4】地図表示制御のフローチャートである。
【図5】第1の地図表示例を示す説明図である。
【図6】第2の地図表示例を示す説明図である。
【図7】検索処理のフローチャートである。
【図8】検索処理例を示す説明図である。
【図9】第1変形例としての検索処理のフローチャートである。
【図10】第2変形例としての検索処理のフローチャートである。
【図11】変形例としての地図表示制御のフローチャートである。
【符号の説明】
【0113】
100…情報提供サーバ
102…通信部
110…情報収集部
112…絞込制御部
114…表示条件
120…地図データベース
140…位置情報設定部
150…位置RSS管理部
200…表示装置
210…通信部
220…ブラウザ
224…地図表示制御部
226…アイコンデータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の紹介情報が登録された地点に対応するアイコンを地図上に表した地点案内地図を表示する地図表示システムであって、
前記地図の表示範囲を含む表示条件を読み込む表示条件入力部と、
前記表示の対象となる地点を検索するための検索条件を入力する検索条件入力部と、
前記検索条件に該当する複数地点の位置情報および前記紹介情報を収集する紹介情報収集部と、
前記収集された紹介情報に基づいて、前記アイコンを地図上に表した前記地点案内地図を表示する地図表示部と、
前記紹介情報収集部および地図表示部の少なくとも一方を制御して、前記表示条件に応じて前記アイコンの表示状態の少なくとも一方を制御するアイコン表示制御部とを備える地図表示システム。
【請求項2】
請求項1記載の地図表示システムであって、
前記表示条件には、前記地点案内地図上に複数のアイコンを表示する際に実現すべき表示密度が含まれる地図表示システム。
【請求項3】
請求項1または2記載の地図表示システムであって、
前記アイコン表示制御部は、前記各アイコンの表示態様を制御することで前記表示状態を制御する地図表示システム。
【請求項4】
請求項1または2記載の地図表示システムであって、
前記アイコン表示制御部は、前記表示条件を満足するよう前記表示の対象となる地点の絞込みを行うことで前記アイコンの表示状態を制御する地図表示システム。
【請求項5】
請求項4記載の地図表示システムであって、
通信回線で接続された地図表示装置と情報提供サーバとを有し、
前記情報提供サーバが前記絞込みを行う地図表示システム。
【請求項6】
請求項4記載の地図表示システムであって、
通信回線で接続された地図表示装置と情報提供サーバとを有し、
前記地図表示装置が前記絞込みを行う地図表示システム。
【請求項7】
請求項4〜6いずれか記載の地図表示システムであって、
前記アイコン表示制御部は、前記収集された複数の地点間の距離が、前記表示範囲および表示密度に基づいて定まる所定範囲となるよう前記絞込みを行う地図表示システム。
【請求項8】
請求項1〜7いずれか記載の地図表示システムであって、
前記表示条件は、前記表示対象となる地点数の下限値を含んでおり、
前記絞込部は、前記表示対象となる地点数が前記下限値に満たない場合には、前記検索条件を緩和して前記紹介情報収集部に再度、前記紹介情報の収集を行わせる地図表示システム。
【請求項9】
請求項1〜8いずれか記載の地図表示システムであって、
前記表示条件は、前記表示対象となる地点数の上限値を含んでおり、
前記絞込部は、前記上限値を超えないよう前記絞込みを行う地図表示システム。
【請求項10】
コンピュータによって、所定の紹介情報が登録された地点に対応するアイコンを地図上に表した地点案内地図を表示する地図表示方法であって、
前記コンピュータが実行する工程として、
前記地図の表示範囲を含む表示条件を読み込む表示条件入力工程と、
前記表示の対象となる地点を検索するための検索条件を入力する検索条件入力工程と、
前記検索条件に該当する複数地点の位置情報および前記紹介情報を収集する紹介情報収集工程と、
前記収集された紹介情報に基づいて、前記アイコンを地図上に表した前記地点案内地図を表示する地図表示工程とを備え、
前記紹介情報収集工程および地図表示工程の少なくとも一方は、前記表示条件に応じて前記アイコンの表示状態を制御する工程を備える地図表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−11161(P2007−11161A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−194510(P2005−194510)
【出願日】平成17年7月4日(2005.7.4)
【出願人】(500578216)株式会社ゼンリンデータコム (231)
【Fターム(参考)】