説明

地物輪郭線作成装置

【課題】地物輪郭線の誤作成防止機能を備えた地物輪郭線作成技術を提供する。
【解決手段】メッシュ作成部113が、表示対象領域を一定間隔おきに格子状に区切ったメッシュを自動的に作成し、メッシュ情報データベース16内に格納する。DSMデータベース15に基づいて、選定された対象となるメッシュ内における任意地点の標高値とその周囲の地点との標高値から、標高値の変化量を算出得られた標高値変化量に基づいて、その値が閾値以上であるか否かを判定する。標高値変化量が閾値以上である場合にはこの領域が変化量が大きい領域であることを示す、第1の色調又は第1の輝度の少なくともいずれか一方で表示させる。メッシュ情報データベース16における、輪郭線作成可否フラグを“True”とし、輪郭線を作成することが可能であることを記憶させる。一方、変化量が小さい領域の第2の色調又は第2の輝度の少なくともいずれか一方で表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地物を上方から撮影した画像(以下、「空中写真画像」と称する。)または地図などにおいて、地物の輪郭線を作成する地物輪郭線作成装置に関し、特に輪郭線の誤作成を防止する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
空中写真画像などに基づいて地図を作製する際に、地物の輪郭線を精度良く画定することが重要である。
【0003】
例えば、固定資産税は、建物表示登記または建物表示変更登記または建物滅失登記等の登記に従って課税されることになるが、登記が無い場合においても、建造物の経年変化情報の取得が不可欠なものとなる。
【0004】
建造物の経年変化情報は、地物の輪郭線の地図データまたは空中写真画像を用いて取得することができる。地図データは、図形情報や属性情報を持ち、地図データファイルには米国ESRI社が提唱したシェープファイル等がある。
【0005】
また、建造物経年変化情報取得に関する公知技術文献として、下記特許文献1が挙げられる。下記特許文献1に記載の技術は、地物の輪郭線を記述する線画地図または空中写真画像と、後に同一地域を撮影した空中写真画像とを用いて、両者間の地物変化を検出する変化検出装置に関するものである。また、実際に地物の輪郭線を作成する方法に関する公知技術文献として、下記特許文献2が挙げられる。この技術は、空中写真画像から地物の輪郭形状を抽出する輪郭形状抽出装置に関するものであり、衛星画像などの新旧の空中写真画像を比べることにより画像領域を抽出するものである。
【0006】
【特許文献1】特開2002−206925号公報
【特許文献2】特開2005−173128号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献2に記載の技術は、新旧の空中写真画像を比べることにより輪郭線を抽出するものであるため検出結果の精度に問題がある。また、現実には、地物の輪郭線は人間により手動で作成されることも多くなり、実際の地物の輪郭とは異なる形状の線が作成されてしまうケースも多いという問題がある。
【0008】
本発明の目的は、地物の輪郭線を精度良く作成すること、輪郭線の誤作成を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の地物輪郭線作成システムは、空中写真画像または地図を表示する表示装置と、地物の輪郭線を入力する地物輪郭線入力装置とから構成され、地物輪郭線の地図データと、数値表層モデル(以下、DSM(Digital Surface Model)と記す。)データベースと、領域を格子状に区切ったメッシュの情報を格納するメッシュ情報データベースを備え、空中写真画像または地図を表示する空中写真画像・地図表示手段と、地物輪郭線を作成する地物輪郭線作成手段と、対象領域を一定間隔おきに格子状に区切ってメッシュを作成するメッシュ作成手段と、DSMデータベース内レコードに対応するメッシュを選定する対応メッシュ選定手段と、DSMデータから標高値の変化量を検出する標高値変化量検出手段と、メッシュ情報データベースにメッシュ情報を出力するメッシュ情報出力手段と、標高値の変化量に応じて色調や輝度を変更させて表示する標高値変化量別表示手段と、標高値の変化量の閾値を設定する標高値変化量閾値設定手段と、標高値の変化量が小さい箇所において輪郭線の作成を制御する地物輪郭線作成制御手段とを設けたものである。
【0010】
すなわち、本発明の一観点によれば、空中写真画像または地図を表示する表示装置と、地物の輪郭線を入力する地物輪郭線入力装置と、を有する地物輪郭線作成装置であって、地物輪郭線を前記入力装置により入力可能な地図データを格納する地図データ格納部と、任意地点の位置と、該任意地点の一意なIDと、該任意地点の標高値と、を含んで構成されるDSMデータベースと、領域を格子状に区切ったメッシュの位置と、任意の前記メッシュの一意なIDと、を格納するメッシュ情報データベースとを備え、地物の輪郭線の作成対象領域を格子状に区切ってメッシュを作成するメッシュ作成部と、前記DSMデータベース内のレコードに対応するメッシュを前記メッシュ情報データベースを参照して選定する対応メッシュ選定部と、前記DSMデータベースに基づいて、位置的に依存する標高値の変化量を検出する標高値変化量検出部と、標高値の変化量の違いを視覚的に認識可能に表示する標高値変化量別表示部と、実際の輪郭にするか否かを決まるため標高値の変化量に関する第1の閾値を設定する標高値変化量閾値設定部と、標高値の変化量が小さい箇所において輪郭線の作成を抑制する制御を行う地物輪郭線作成制御部と、を備えることを特徴とする地物輪郭線作成装置が提供される。
【0011】
前記地物輪郭線作成制御部は、標高値の変化量が小さい箇所において、輪郭線の作成を禁止する制御、又は、輪郭線の作成に関する注意を促すメッセージを表示する制御の少なくともいずれか一方を行うことが好ましい。
【0012】
前記地物輪郭線作成制御を行う前に、前記標高値変化量検出部において求めた標高値変化量が前記第1の閾値よりも小さく輪郭線候補とすることができる程度の標高値である第2の閾値に基づいて輪郭線候補を求め、該輪郭線候補を記憶部に記憶しておくようにしても良い。前記第1の閾値よりも小さい第2の閾値により輪郭線候補を広く自動的に取得し、記憶しておき、第2の閾値よりも大きい上記第1の閾値以上である領域に包含されるか否かで実際の輪郭線か否かの目安を得るようにすることができる。
【0013】
また、前記第1の閾値を調整する閾値調整部を有していても良い。第1の閾値を調整することにより、輪郭線であるか否かの判定を容易にすることができる閾値に調整して表示させることができる。
【0014】
地面との高低差が小さく、輪郭線作成対象地物ではない箇所において、色調や輝度を変更させて表示したり、輪郭線作成を不可能としたり、輪郭線作成時に警告メッセージを表示することで、輪郭線の誤作成を防止できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の地物輪郭線作成装置によれば、以下に示すような効果がある。
地面との高低差が小さく、輪郭線作成対象地物ではない箇所において、色調や輝度を変更して表示したり、輪郭線作成を不可能としたり、輪郭線作成時に警告メッセージを表示することで、地物輪郭線の誤作成を防止することができる。また、輪郭線を作成する範囲が限定されるため、作成効率を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の一実施の形態による地物輪郭線作成システムについて図面を参照しながら説明を行う。図1は、本実施の形態による地物輪郭線作成システムの一構成例を示す機能ブロック図である。図1に示すように、本実施の形態による地物輪郭線作成装置1は、地図データ14を格納するデータベースと、DSMデータベース15と、メッシュ情報データベース16と、を備えている。さらに、例えば、各種処理を行う処理装置11と、空中写真画像または地図を表示する表示装置12と、地物の輪郭線を入力するマウスなどの地物輪郭線入力装置13と、を有している。表示装置12、入力装置13は、別の端末に設け、この端末とシステムとを接続しておいても良い。
【0017】
処理装置11において、空中写真画像・地図表示部111では、空中写真画像の解像度や座標値及び地図の座標値等の属性値を計算し、表示装置12上に空中写真画像及び地図の重ね合わせ表示や隣接表示を可能とし、操作者は空中写真画像と地図の位置妥当性を目視確認することができる。
【0018】
操作者が、表示装置12上に表示された空中写真画像または地図を見ながら、地物輪郭線入力装置13から地物輪郭線の入力操作を行うと、地物輪郭線作成部112は、地図データ14に地物輪郭線データを挿入する。メッシュ作成部113では、空中写真画像または地図における地物輪郭線入力処理を行う対象領域を、例えば一定間隔おきに格子状に区切ったメッシュを作成する。対応メッシュ選定部114では、DSMデータベース15内に格納された任意地点の座標に対応するメッシュを、メッシュ情報データベース16から選定する。ここで、DSMデータベース15内に格納されているデータは、図2に示すように、任意地点の一意なID21と、任意地点の緯度22と、任意地点の経度23と、任意地点の標高値24と、から構成される。尚、DSMデータベース15内に格納されているデータは、レーダーなどにより取得されたデータであり、既存のものを利用することができる。
【0019】
一方、メッシュ情報データベース16内に格納されているデータは、図3に示すように、任意メッシュの一意なID31と、任意メッシュの北端緯度32と、任意メッシュの南端緯度33と、任意メッシュの西端経度34と、任意メッシュの東端経度35と、輪郭線の作成可否を表すフラグ36と、を有して構成される。任意メッシュの北端緯度32と、任意メッシュの南端緯度33と、任意メッシュの西端経度34と、任意メッシュの東端経度35と、により、あるメッシュ領域を画定することができ、これに対してID31を付与するとともに、輪郭線の作成可否のフラグが付される。
【0020】
標高値変化量検出部115では、DSMデータベース15より任意地点及びその周囲地点の標高値を取得し、標高値の変化量を検出する。
【0021】
メッシュ情報出力部116では、標高値変化量検出部115で検出された標高値の変化量の値を基に、メッシュ情報データベース16内において、例えば、変化量が小さい領域に該当するレコードに、小変化量領域であることを示すフラグを立てる。
【0022】
標高値変化量別表示部117では、標高値変化量検出部115で検出された値から、標高値の変化量に応じて色調や輝度を変更させて表示装置12に表示させる。これにより、操作者は、標高値の変化量分布を目視により確認することができる。
【0023】
標高値変化量閾値設定部(閾値調整部)118では、スライドバー等の使用により、操作者が閾値を自由に設定することができる。その設定値に応じて、標高値変化量別表示部117によって表示制御される色調や輝度を変化させることができるため、簡単に見え方を調整して見やすいようにすることが可能となる。尚、この閾値の設定方法としては、テキストボックスやプルダウンメニュー等によって設定する態様であってもよい。標高値の変化量が小さい箇所は、地物の輪郭線である可能性が低いと考えられるため、地物輪郭線作成制御部119は、変化量が小さい箇所において輪郭線作成を不可能とするなど、通常の処理とは異なる処理をユーザに強制するように制御を行うのが好ましい。そのように制御するとともに、或いは、不可能にする制御に代えて、操作者に輪郭線作成が妥当であるかを確認させるためのメッセージを表示する態様であってもよい。
【0024】
地物輪郭線作成制御部119は、標高値変化量閾値設定部118と連動しており、閾値を変更することにより、変化量が小さい箇所であるかどうかに関する判断基準を調整することができる。例えば、高い建物が集中する地域(いわゆる高度商業地域)などでは、地面と建物の最上階との高度差は大きいが、低層家屋が集中する地域(いわゆる住居専用地域)などでは、地面と建物の最上階との高度差は小さいため、輪郭線を精度良く作成するためには、閾値を変更することができるようにすることが好ましい。
【0025】
図4は、メッシュ情報出力及び標高値変化量別表示の処理手順を示すフローチャート図である。
【0026】
処理を開始すると、ステップS41において、メッシュ作成部113が、表示対象領域を一定間隔おきに格子状に区切ったメッシュを自動的に作成し、図3に示すメッシュの座標値等の情報をメッシュ情報データベース16内に格納する。ステップS42では、DSMデータベース15内に格納された全地点レコード(地点ID=1、2、3、…)について、ループ処理を開始する。ステップS43では、まず、ID=1の地点の座標に対応するメッシュレコードを図3に示すメッシュ情報データベース16から選定する。ここで、対象となるメッシュが選定される。ステップS44では、図2に示すDSMデータベースに基づいて、選定された対象となるメッシュ内における任意地点の標高値とその周囲の地点との標高値から、標高値の変化量を算出する。
【0027】
ステップS45では、ステップS44で得られた標高値変化量に基づいて、その値が閾値(高さの単位を有する。家屋と庭であれば、例えば50cm程度。)以上であるか否かを判定する。標高値変化量が閾値以上である場合には(YES)、ステップS46に進み、閾値未満である場合には(NO)、ステップS47に進む。
【0028】
ステップS46では、この領域が変化量が大きい領域であることを示すように、例えば、第1の色調又は第1の輝度の少なくともいずれか一方で表示させる。この場合には、図3のメッシュ情報データベースにおける、輪郭線作成可否フラグ36を“True”とし、輪郭線を作成することが可能であることを記憶させる。尚、輪郭線作成可否フラグ36のデフォルト値が“True”であれば、ここで、フラグを変更する必要はない。
【0029】
一方、ステップS47においては、メッシュ情報データベース16内のメッシュレコードに、変化量が小さい領域であることを表すフラグ(図3のフラグと同一のフラグ)を立てる(デフォルト値が“True”であれば、“False”に変更する)。
【0030】
ステップS48では、この領域に対して、変化量が小さい領域であることを示す上記第1とは異なる(識別可能な)第2の色調又は第2の輝度の少なくともいずれか一方で表示する。
【0031】
次いで、ステップS42に戻り、次の地点があれば(例えばID=2)、その地点に関して、ステップS43からの処理を継続する。最後に次の地点がなくなると、処理を終了する(ループ終了)。以上の処理により、メッシュ毎に、メッシュ内におけるある地点とその周辺の隣接する地点との標高差が大きいか否かを視覚的に認識可能な形態で表示させることができる。
【0032】
以上に説明したように、まず、システム起動後に、図4に示す処理を行う。図4の処理では、メッシュが作成され、DSMデータが読み込まれる。メッシュ及びDSMデータを基に、「変化量が大きい領域」または「変化量が小さい領域」を判定し、その結果が図3のメッシュ情報データベースに格納される。
【0033】
図4に示す処理が終了した後に、操作者が輪郭線を入力する。操作者の輪郭線入力に対して、システムは、その座標値及びメッシュ情報データベースから、「その地点における入力が妥当であるか否か」を判定する。
【0034】
図5Aは、輪郭線作成対象外である庭が隣接している家屋が写った空中写真画像の表示例を示す図である。符号Aで示す家屋511a及び家屋512aは、それぞれ庭511b及び庭512bと隣接する。本実施の形態による地物輪郭線作成装置の操作者は、家屋のみの輪郭線を作成する必要があるものとする。しかしながら、空中写真画像の鮮明度によっては、家屋511aと庭511b、家屋512aと庭512bの区別が付きにくい場合がある。高空から撮影した画像においては、家屋と庭との高低差は大きくないからである。
【0035】
図5Bは、図5Aで示した領域内における、DSMデータの分布例を示す図である。家屋輪郭線521a、庭輪郭線521b、家屋輪郭線522a及び庭輪郭線522bはそれぞれ図5Aで示した家屋511a、庭511b、家屋512a及び庭512bの輪郭線である。図5B内に分散している灰色の円及び黒色の円は、図2に示す標高データが存在する地点を示しており、地点523に示す灰色の円は、標高が低い地点を表し、地点524に示す黒色の円は標高が高い地点を表す。尚、図5Bでは、灰色と黒色の2種類の円で示しているが、3種類以上の識別可能な異なる円で高低を示しても良い(高・中・低など)。図5Cは、図5Bにおいて、標高値変化量が大きいメッシュ領域のみを灰色表示した例を示す図である。ここでは、メッシュの最小単位を、標高データの際近接の4点を囲む矩形と一致させるようにすることができる。その他の選択方法でも良い。符号533及び符号534で示す領域は、図4のステップS45において標高値変化量が閾値以上であり、ステップS46において、標高値に関して大変化量領域として色調又は輝度を変化させた領域を示している。装置の操作者は、灰色表示部分533・534に含まれるそれぞれの家屋と庭との輪郭線531a、輪郭線532aが家屋輪郭線であることを認識する。この場合、符号531b・532bで示される領域の点線は、灰色表示部分533・534に含まれていないため、標高差が小さく、庭531bまたは庭532bの境界線を輪郭線とわかるように表示することで、ユーザによる誤入力するのを防止することができる。さらに、仮に、操作者が誤って灰色表示部分以外に輪郭線を作成しようと試みても、地物輪郭線作成制御部119によって拒絶されるようにしても良い。或いは、操作者に対して、輪郭線の作成が妥当であるか否かを確認させるためのメッセージ表示を行うようにしても良い。メッセージ表示に対する応答を待った後であって、応答が妥当である旨の応答であった場合のみ、輪郭線を入力できるようにしても良い。メッセージ表示により、輪郭線の誤入力であるかもしれないことに関して注意を促すことができる。入力しようとしてもできない場合にも、同様の効果がある。
【0036】
加えて、輪郭線作成範囲が限定されるため、輪郭線作成に関する作業効率と作成精度とを向上させることができる。
【0037】
尚、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、適宜改変して実施することができる。例えば、輪郭線の作成が妥当であるか否かを確認させるためのメッセージ表示とともに、又はそれに代えて、警告音を鳴らすようにすることもできる。また、図1に示す装置において、地図データベースやDSMデータベース、メッシュ情報データベースは、装置の外部に設けられ、情報がサーバから無線又は有線により取得できるようにしても良い。
【0038】
また、図4の処理の後に、手動で輪郭線を引く処理に代えて、処理装置11により自動的に、図5B、図5Cの処理を行うようにして輪郭線を引くようにしても良い。すなわち、図5Bで、黒色の丸と灰色の丸との間に輪郭線があるとみなしこれを輪郭線候補として表示又は記憶しておき、この輪郭線候補のうち、図5Cに示すように標高値に関して大変化量領域に包含される輪郭線候補を、真の輪郭線として確定する方法もある。例えば、図4において、ステップS44において周辺地点との標高値変化量を検出し、検出した標高値変化量が上記の第1の閾値よりは小さいが明らかに標高差があると判定できる第2の閾値以上であることにより、その境界が輪郭線候補と言える程度の線を輪郭線候補として例えば記憶部に記憶しておき、次いで、ステップS45において、上記第2の閾値よりも大きい第1の閾値以上の標高差を有する領域に包含されるか否かに基づいて、真の輪郭線といえるかどうかを決めるようにしても良い。このようにすれば、輪郭線に関する精度の良い入力処理を自動的に行わせることも可能である。この場合には、処理の前後で輪郭線の修正を行うようにすることが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、地物の輪郭線入力装置として利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の一実施の形態例を示すシステム構成図である。
【図2】DSMデータベースに格納されているデータの構成図である。
【図3】メッシュ情報データベースに格納されているデータの構成図である。
【図4】メッシュ情報出力及び標高値変化量別表示の処理手順を示すフローチャートである。
【図5A】空中写真画像の表示例を示す図である。
【図5B】DSMデータの分布例を示す図である。
【図5C】標高値変化量が大きい箇所を灰色表示した例を示す図である。
【符号の説明】
【0041】
1…地物輪郭線作成システム、11…処理装置、111…空中写真画像・地図表示部、112…地物輪郭線作成部、113…メッシュ作成部、114…対応メッシュ選定部、115…標高値変化量検出部、116…メッシュ情報出力部、117…標高値変化量別表示部、118…標高値変化量閾値設定部、119…地物輪郭線作成制御部、12…表示装置、13…地物輪郭線入力装置、14…地図データ、15…DSMデータベース、16…メッシュ情報データベース、21…任意地点のID、22…任意地点の緯度、23…任意地点の経度、24…任意地点の標高値、31…任意メッシュのID、32…任意メッシュの北端緯度、33…任意メッシュの南端緯度、34…任意メッシュの西端経度、35…任意メッシュの東端経度、36…任意メッシュにおける輪郭線作成の可否を表すフラグ、511a…家屋1、511b…庭1、512a…家屋2、512b…庭2、521a…家屋輪郭線1、521b…庭輪郭線1、522a…家屋輪郭線2、522b…庭輪郭線2、523…標高データが存在し、その値が低い地点、524…標高データが存在し、その値が高い地点、531a…家屋輪郭線1、531b…庭輪郭線1、532a…家屋輪郭線2、532b…庭輪郭線2、533…標高値変化量が大きい領域1、534…標高値変化量が大きい領域2。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地物を上方から撮影した画像(以下、「空中写真画像」と称する。)または地図を表示する表示装置と、地物の輪郭線を入力する地物輪郭線入力装置と、を有する地物輪郭線作成装置であって、
地物輪郭線を前記入力装置により入力可能な地図データを格納する地図データ格納部と、
任意地点の位置と、該任意地点の一意なIDと、該任意地点の標高値と、を含んで構成される数値表層モデル(以下、DSM(Digital Surface Model)と記す。)データベースと、
領域を格子状に区切ったメッシュの位置と、任意の前記メッシュの一意なIDと、を格納するメッシュ情報データベースとを備え、
地物の輪郭線の作成対象領域を格子状に区切ってメッシュを作成するメッシュ作成部と、
前記DSMデータベース内のレコードに対応するメッシュを前記メッシュ情報データベースを参照して選定する対応メッシュ選定部と、
前記DSMデータベースに基づいて、位置的に依存する標高値の変化量を検出する標高値変化量検出部と、
標高値の変化量の違いを視覚的に認識可能に表示する標高値変化量別表示部と、
実際の輪郭にするか否かを決めるため標高値の変化量に関する第1の閾値を設定する標高値変化量閾値設定部と、
標高値の変化量が前記第1の閾値よりも小さい場合に、輪郭線の作成を抑制する制御を行う地物輪郭線作成制御部と
を備えることを特徴とする地物輪郭線作成装置。
【請求項2】
前記地物輪郭線作成制御部は、標高値の変化量が前記第1の閾値よりも小さい箇所において、輪郭線の作成を禁止する制御、又は、輪郭線の作成に関する注意を促すメッセージを表示する制御の少なくともいずれか一方を行うことを特徴とする請求項1に記載の地物輪郭線作成装置。
【請求項3】
前記地物輪郭線作成制御を行う前に、前記標高値変化量検出部において求めた標高値変化量が前記第1の閾値よりも小さく輪郭線候補とすることができる程度の標高値である第2の閾値に基づいて輪郭線候補を求め、該輪郭線候補を記憶部に記憶しておくことを特徴とする請求項1又は2に記載の地物輪郭線作成装置。
【請求項4】
前記第1の閾値を調整する閾値調整部を有することを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項に記載の地物輪郭線作成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【公開番号】特開2009−204994(P2009−204994A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−48549(P2008−48549)
【出願日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願人】(000233055)日立ソフトウエアエンジニアリング株式会社 (1,610)
【Fターム(参考)】