説明

地球温暖化防止の支援システム

【課題】地球温暖化ガスの排出量を削減することを目的とし、特に一般家庭からのゴミを処分する際のCO2排出量を削減させる地球温暖化防止の支援システムを提供する。
【解決手段】小売店10で購入した商品の持ち帰り用に配布された買物袋をゴミ収集袋として再利用する地球温暖化防止の支援システム30において、前記買物袋はバイオマス由来成分を配合した複合樹脂フィルム製のものであって、前記商品の清算処理に伴って配布する前記買物袋の配布情報を取得する処理端末11と、前記処理端末11に付属するとともに前記商品の購入者のユーザIDを読み取る読取端末12と、前記処理端末11で取得された前記特定情報に基づきバイオマスに由来する二酸化炭素の排出量に対応するポイントを前記ユーザIDに関連付けて蓄積する情報蓄積手段50とを、備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用済の製品を焼却処分すると大気中に放出される地球温暖化ガスを削減することを目的とし、特に、バイオマス由来成分の配合量の高い複合樹脂製品の利用を促進して地球温暖化防止を支援するシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
地球の温暖化の原因になる温室効果ガス(二酸化炭素やメタン等)の大気中への排出量を削減することを目的とし、批准国に具体的な削減量を義務付けた国際的な枠組みである京都議定書が2005年2月16日に発効された。
この京都議定書においては、温室効果ガスの削減目標を達成するために、国家間での排出量取引を認めている。
これに倣って国内においても、事業者が、自らの温室効果ガスの排出量を算定・報告し、これに基づき国から排出枠の付与を受け、排出量を削減して余った排出枠を商品(排出権)として事業者間で売買することを可能にする、国内排出量取引制度の整備が進められている(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
一方で、バイオマス(生物資源)を工業的に有効利用し、石油由来物質の使用を削減させる取り組みも盛んである(例えば、非特許文献2参照)。ここで、バイオマスとは、太陽エネルギーを利用して大気中の二酸化炭素を吸収し、光合成により成長する動物や植物のうち再生可能な有機性資源を指す。このためバイオマスからなる工業製品は、焼却処分して大気中に二酸化炭素を放出してもCO2濃度増加に寄与しないため、カーボンニュートラル(カーボンフリー、カーボンオフセット)であるといわれている。
【0004】
また、百貨店、スーパーマーケット、コンビニエンスストア等の小売店で商品を購入した場合、この商品の持ち帰り用に、ポリエチレンシートから作成され使い捨ての買物袋(通称;レジ袋)が、小売店から無料で配布されることが一般化している。
そして、この買物袋は、耐水性、耐薬品性、機械的強度に優れるために、使用後は、家庭から排出したゴミの収集袋として再利用されるケースが多い。
一方、環境保護の観点から、マイバック運動を促進したりレジ袋を有料化したりして、この使い捨てのポリエチレン製の買物袋の使用を差し控えようとする運動が高揚している。
【0005】
【特許文献1】環境省ホームページ「『自主参加型国内排出量取引制度』について」
【特許文献2】農林水産省ホームページ「『バイオマス・ニッポン総合戦略』について」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、整備が進められている国内排出量取引制度は、主に産業部門を対象とするものであって、その他の特に家庭部門における削減目標の達成には懐疑的である。この家庭部門における削減目標については、地方自治体や地域レベルでの取り組みがなされているが、目標を達成するのにかかる負担が、商品の生産、販売、消費、処分の流通ルートの特定部分に集中する施策が多いために成果があがっていない。
また石油由来製品からバイオマス由来製品への代替は、コストアップ要因に阻まれて進捗が遅れているのが実情である。さらに、バイオマス由来成分の配合比率の高い製品を使用(又は製造)する直接的なユーザメリットが希薄であるために、バイオマス由来の新製品を開発する積極性に欠ける問題がある。
またレジ袋の使用削減についても、利便性を求める消費者の意向に逆行する強制力を伴うために進捗が困難であるのが実情である。
【0007】
本発明は、前記した問題を解決することを課題とし、バイオマス由来製品の開発及び利用の積極性を喚起するとともに、併せてゴミとして廃棄される量を低減し、環境に放出される温暖化ガスを削減し地球温暖化防止を支援するシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために本発明は、地球温暖化防止の支援システムにおいて、含まれるバイオマス由来成分に関連付けした情報が複合樹脂製品に添付され、前記複合樹脂製品をユーザが取得すると前記含まれるバイオマス由来成分に対応させた排出権を前記複合樹脂製品から分離して流通させることを特徴とする。
【0009】
さらに本発明に係る地球温暖化防止の支援システムは、複合樹脂製品に含まれるバイオマス由来成分の相当量に換算した石油由来成分が燃焼して発生する二酸化炭素排出量を排出削減量とみなし、前記複合樹脂製品を識別する製品IDに前記排出削減量の情報を関連付けて蓄積する情報蓄積手段と、ユーザが取得した前記複合樹脂製品に付与されている前記製品ID及び前記ユーザを識別するユーザIDを読み取る読取端末と、前記読取端末に読み取られた前記製品IDに関連付けられている前記排出削減量の情報を、前記複合樹脂製品のメーカのメーカID及び前記ユーザIDのうち少なくとも一方に関連付けして前記情報蓄積手段に蓄積することを特徴とする。
【0010】
このように発明が構成されることにより、製品が全て石油由来成分から構成される場合と対比して、カーボンニュートラルであるバイオマス由来成分が代替使用された分の石油由来成分に起因する二酸化炭素排出量が削減されたことになる。この削減された二酸化炭素排出量を取引可能なCO2排出権として、メーカ、及びユーザのうちいずれかに帰属又は配分させれば、バイオマス由来製品の開発及び利用の積極性を喚起することになる。また、製品IDには、複合樹脂製品のトレーサビリティ情報等が付随していることになるので、通信ネットワーク上で閲覧可能とすることにより、ユーザのバイオマス複合製品の利用意欲をさらに喚起することになる。
ここで、排出削減量の情報が関連付けられるのは、メーカ及び/又はユーザに限定されるものでなく、その他、バイオマス原料の供給者、小売・卸売業者等にも関連付けしてもよい。またこの関連付けを一者に限定せずに複数者に分配する場合は、ポイント化されている排出削減量を、別途定められている比率により割り振ることができる。
【0011】
さらに本発明に係る地球温暖化防止の支援システムは、前記複合樹脂製品は、前記ユーザが購入した商品の持ち帰り用に配布される買物袋であることを特徴とする。
【0012】
このように発明が構成されることにより、無償提供され利用後に短期間のうちに大部分がゴミとして廃棄され、二酸化炭素の大きな排出源となっている買物袋において、バイオマス由来成分の配合率の高い製品を開発するためのインセンティブが働く。
【0013】
さらに本発明に係る地球温暖化防止の支援システムは、前記読取端末は、前記商品の清算処理を実行する際に、配布された前記買物袋の前記製品ID及び前記ユーザIDを読み取り、前記情報蓄積手段は、前記買物袋に関連付けられている前記排出削減量の情報をポイントに換算したものを前記ユーザIDに関連付けて蓄積することを特徴とする。
【0014】
このように発明が構成されることにより、前記買物袋が商品のユーザに配布されるのに伴って、この買物袋に付随するCO2排出権の全て又はその一部がユーザに移転することになる。これにより、小売店等で商品を購入したユーザは、買物袋の配布を受けるのと同時に、譲渡性のあるCO2排出権を得ることになる。
そして、このCO2排出権はポイント換算されたうえで、処理端末によりユーザID(例えば電子カード)と関連付けされて、情報蓄積手段に電子的に保存・蓄積されることになる。
さらに、この情報蓄積手段に蓄積されている情報が、通信ネットワークを介して公開されれば、ユーザは、任意のネットワーク端末から情報蓄積手段にアクセスし、自分が所持するCO2排出権の保有量を確認することができ、環境保全に貢献していることを実感できる。
【0015】
さらに本発明に係る地球温暖化防止の支援システムは、前記情報蓄積手段は、前記買物袋の配布が保留された場合、ボーナスポイントを加算した前記ポイントが前記ユーザIDに関連付けて蓄積され、ゴミ収集袋の用途にも利用できる大容量の買物袋が前記ユーザに配布された場合、見合うポイントを減算した前記ポイントが前記ユーザIDに関連付けて蓄積されることを特徴とする。
【0016】
このように発明が構成されることにより、小売店で購入した商品をマイバッグで持ち帰ることにインセンティブが働き、ゴミ収集袋として利用価値の少ない小容量の買物袋の利用を削減することができる。さらに、ユーザにとっては、家庭から排出するゴミを、容量の大きなゴミ収集袋にまとめて収容して出すことにインセンティブが働くことになる。これにより、ゴミ処理事業者にとって、ゴミ収集袋の回収コストを削減することができる。さらに、ゴミを大容量のゴミ収集袋にまとめて出すことにより、一般家庭において、ゴミ分別のインセンティブが働くことになり、ゴミ処分に要するコスト削減にも寄与し、広い意味で大気中に放出される地球温暖化ガスを削減することになる。
【0017】
さらに本発明は、地球温暖化防止の支援システムにおいて、前記ユーザがゴミ処分をする場合に請け負う負担を、前記ユーザIDに関連付けられ蓄積している前記ポイントから引き落とす決済手段を、備えることを特徴とする。
【0018】
このような手段から発明が構成されることにより、ゴミ処分に係るコストのうち一般家庭が負担する部分を、CO2排出権で賄うことができる。つまり、粗大ゴミ、家電製品等は、有料引取りが一般的であるところ、前記ユーザIDを用いて決済することができ、金銭的支出を抑えることができる。
【0019】
さらに本発明は、地球温暖化防止の支援システムにおいて、前記決済手段における引き落としに伴ってゴミ回収費用を負担したことを前記ゴミ収集袋に貼付して示す受領タグを交付する受領タグ交付手段を備えることを特徴とする。
【0020】
このような手段から発明が構成されることにより、家庭の一般ゴミ(可燃物ゴミ、生ゴミ、不燃物ごみ、リサイクルゴミ)の処分が有料化されている場合、回収時に支払済を証明する受領タグをCO2排出権で購入することができる。この受領タグは、視覚的に識別が可能なステッカーである場合や、電子的に読み取り可能なタグである場合がある。
【0021】
さらに本発明は、地球温暖化防止の支援システムにおいて、前記処理端末は、前記ユーザが商品を購入する際に、前記ユーザIDに関連付けられて蓄積されている前記ポイントを還元して前記清算処理を実行することを特徴とする。
【0022】
このような手段から発明が構成されることにより、ゴミ処分の負担をしても、なお余るポイントを次の商品購入の支払いにあてることができる。これにより、ユーザは、商品購入の支払いにあてるポイントを増やすために、よりいっそうゴミの減容化、再資源化、分別に協力し、温暖化ガス排出量の削減に向けたインセンティブが働くことになる。
【発明の効果】
【0023】
本発明により、バイオマス由来製品の開発及び利用の積極性を喚起するとともに、併せてゴミとして廃棄される量を低減し、大気中に放出される二酸化炭素を削減し地球温暖化防止を支援するシステムが提供される。また商品の生産、販売、消費、処分の特定部署にコストの負担を集中させることなく、また強制力を発揮させることなく、一般家庭からのゴミを処分するのに伴う二酸化炭素の排出量を削減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
<第1実施形態>
以下本発明の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図1に示されるように第1実施形態に係る地球温暖化防止の支援システム30A(以下、単にシステム30と記載する)は、通信ネットワーク80を介し、バイオマス原料の供給者端末31と、バイオマス由来成分を含む複合樹脂製品20(図2(a)参照)を製造するメーカの製品メーカ端末32と、小売や卸売等の中間業者端末33と、複合樹脂製品20を利用するユーザのユーザ端末34と、CO2排出権の分離移転機構10において製品ID及びユーザIDを処理する処理端末11とが、情報蓄積手段50に対し、情報データの閲覧、記録が可能なように構成される。
ここで通信ネットワーク80は、専用回線を利用するものでも、インターネットを利用するものであってもよい。
【0025】
図2(a)は、分離移転が可能なCO2排出権が付随するものとしてシステム30(図1参照)上で認定され情報蓄積手段50に登録されている収納ケース20A(複合樹脂製品20)である。
この収納ケース20Aは、三つの引出部25と、これらを出入自在に収容する容体部26とから構成されている。
そして、この引出部25は、図2(b)の製品リストに示されるように、所定の配合量からなるポリプロピレン及び木質繊維の材質から構成され、この属性情報に関連付けられた固有の製品ID(PPP-aaa-1)が記録されたRFID22aが貼付されている。
さらに、容体部26は、図2(b)の製品リストに示されるように、所定の配合量からなるポリプロピレン及びコシヒカリ米の材質から構成され、この属性情報に関連付けられた固有の製品ID(SSS-bbb-1)が記録されたRFID22bが貼付されている。
ここでRFID(Radio Frequency Identification)とは、電波による個体識別をすることができるものである。
【0026】
一般に、複合樹脂製品20(以下、単に「製品20」と記載する)に配合されるバイオマス由来成分としては、具体的に、リグノセルロース又はセルロースを主成分とする草木質系バイオマス(木材工業およびパルプ工業等の廃棄物である間伐材・建築解体材等、農業廃棄物である稲ワラ・さやガラ・籾ガラ等)、アミロース又はアミロペクチンを主成分とするデンプン質系バイオマス(米、小麦、とうもろこし、馬鈴薯、甘藷、タピオカ等)、甲殻類動物に由来するキチン(又はキトサン)質系バイオマス(蟹ガラ、蝦ガラ等)が挙げられる。
【0027】
製品ID22(図2(b)参照)、ユーザID(図2(d)参照)、メーカID(図2(b)参照)は、個体(製品、ユーザ、メーカ)を識別するために一つ一つ固有に割り振られた識別IDであって、一意の符号化データ(数字、アルファベット、記号の列)である。
メーカID(図2(b)参照)は、製品20を製造するメーカがシステム30の運営機関に申請し登録されることにより、当該メーカに付与されるものである。このメーカIDは、当該メーカに関連付けられ、パスワードと併用されることにより、通信ネットワーク80上における要求が間違えが無く当該メーカからのものであることを認証する。
なお、この認証(メーカ認証)は、パスワードを利用する場合に限定されるものではなく、一般的な、なりすまし防止方法を採用することができる。
またバイオマス原料の供給者(バイオマス原料供給者端末31)や小売や卸売等の中間業者(中間業者端末33)においても、メーカIDと同様の手続きにおいて識別IDを取得して登録を受けることができる。
【0028】
製品ID22(図2(b)参照)は、メーカがシステム30の運営機関に対して製品20に関する報告書(原材料、製造法、トレーサビリティ情報等)を添付して申請することにより交付されるものである。このメーカから製品ID22の申請をうけると、認定機関は、報告書の内容に誤りがないことを確認した上で、製品IDの符号化データが記録された電子媒体(RFID22b)や、印刷コード22c(図4参照;一次元コード、QRコード等)を交付する。
そして、これら電子媒体(RFID22b)を製品20の表面に貼付したり、印刷コード22cを印刷したりすることにより、当該製品20の属性情報と、申請時に提出した報告書の内容との関連付けがなされる。
また、製品ID22は、原料供給者や中間業者から発行され、製品20に設けられる場合もある。
【0029】
ユーザID(図2(d)参照)は、ユーザ本人がシステム30の運営機関(又はその出先機関)に申請し、ユーザIDの符号化データが記録された記録媒体(カード等;図5参照)が発行される。そして、この記録媒体を用いて手続きする者が、この記録媒体に記録されているユーザIDに関連付けられたユーザ本人として認証される。
【0030】
情報蓄積手段50は、図示略のインターフェイスを介して通信ネットワーク80に接続し、この通信ネットワーク80上の端末11,31,32,33,34から送信されるデータ情報を蓄積し、またこれらの要求に応じて蓄積しているデータ情報を開示するものである。
この情報蓄積手段50には、図2(b)の製品リストに示されるように、製品IDに関連付けされた製品20の属性情報が蓄積されている。この属性情報は、前記した通り、製品IDを申請する際に提出する報告書の内容に一致している。また、この報告書はシステム30の利用の認証を受けている製品メーカ端末32から通信ネットワーク80経由で送付することができる。
【0031】
また製品リスト上の「属性情報」は、事後的に、製品メーカ端末32から通信ネットワーク80を介して情報蓄積手段50にアクセスして、記載内容を変更することができる。なお、情報蓄積手段50へのアクセスは、メーカIDとパスワードの入力によるアクセス制限が設けられ、第三者によるなりすましができないようになっている。
【0032】
ところで、製品20を構成する素材についても、同様にシステム30上に登録され、製品IDが付与されている場合がある。この場合、製品リストの「属性情報」には、この製品20のトレーサビリティ情報についても、図2(c)に示されるように、構成ツリーのように階層化してユーザに開示することができる。
【0033】
製品リストの「CO2排出削減量」の項目は、PPP-aaa-1の製品IDについては、引出部25に含まれる木質繊維(バイオマス由来成分)の相当量に換算したポリプロピレン(石油由来成分)が燃焼して発生する二酸化炭素排出量(g)が入力される。この入力値は、引出部25に配合されているポリプロピレン及び木質繊維の配合量a,bから決まるが、メーカの公表値を入力したり、実験から求められる一般式等により自動入力したりしてもよい。
【0034】
製品リストの「CO2排出削減量」は、製品20(引出部25及び容体部26)に含まれる木質繊維(バイオマス由来成分)の相当量に換算したポリプロピレン(石油由来成分)が燃焼して発生する二酸化炭素排出量である。つまり、木質繊維は、燃焼しても、短・中期的には大気中のCO2濃度上昇に寄与しないカーボンニュートラルであるために、代替されたポリプロピレンに由来するCO2排出削減に貢献したことになるからである。
つまり、このCO2排出削減は、ユーザが製品20(引出部25及び容体部26)を購入するのと同時に達成され、製品20と分離して譲渡することが可能な「CO2排出権」とすることができる。
【0035】
この「CO2排出権」は、図2(b)の製品リスト右列に示されるように、製品20(引出部25及び容体部26)に付随していることの有無(分離移転したか否か)の情報がリアルタイムに開示されている。
ここで、この「CO2排出権」が、製品20(引出部25及び容体部26)から分離移転することができるのは、製品20が最終的にユーザの手に渡った時点以降であるとする。製品20がユーザに利用される前提を欠いた状態で、「CO2排出権」のみが独立に発生するのは、地球温暖化防止を目的とする発明の趣旨に反するからである。
【0036】
図2(d)はシステム30を利用するユーザの個人情報と、製品20から分離移転したCO2排出権の累積ポイントとを示すユーザリストである。
このシステム30のユーザになろうとする者は、システム30の運営機関に対してユーザ申請することにより、ユーザIDを発行してもらうことにより達成できる。このユーザ申請は、ユーザ端末34から通信ネットワーク80を介して、システム30の運営機関のウェブサイト上で行うこともできる。また、ユーザIDの発行は、数字、アルファベット、記号の列として通知される場合だけでなく、記録媒体(ポイントカード40;図5参照)として配布される場合もある。
【0037】
図2(d)のユーザリストの「累積排出権」は、製品20から「CO2排出権」が分離移転して、ユーザIDに関連付けして情報蓄積手段50に累積したポイントである。
ユーザは、ユーザ端末34のブラウザ機能により通信ネットワーク80を介して情報蓄積手段50にアクセスして、このユーザリストを閲覧することができる。なお、情報蓄積手段50へのアクセスは、ユーザIDとパスワードの入力によるアクセス制限が設けられ、第三者は情報を閲覧できないようになっている。
【0038】
図1に戻って説明を続ける。
排出権の分離移転機構10は、図示しないインターフェイスを介して通信ネットワーク80に接続し製品ID及びユーザIDに付随するデータの処理を指示する処理端末11と、これら識別IDを読み取る読取端末12と、が配置されている。この分離移転機構10は、システム30の利用の認証を受けた機関であって、製品20に付随するCO2排出権を分離して、この製品20のユーザに移転させるものである。
読取端末12(スキャナ)は、識別ID(製品ID、ユーザID)の記録媒体(RFID,印刷コード,カード)から符号化データを検出し電子的に認識するものである。また読取端末12は、そのようなスキャナ機能の他、識別IDを文字列としてキー入力する入力手段としての機能も含まれるとする。
【0039】
処理端末11は、読み取った製品IDに付随するCO2排出権を、読み取ったユーザIDに移転するように情報蓄積手段50に指令するものである。すなわち、図2(b)の製品リストの右欄の「有」を「無」にして、対応する排出権ポイントを、図2(c)のユーザリストの右欄の累積排出権に加算する。
なお、製品20から分離したCO2排出権の移転先は、例示されるユーザに限定されるものでなく、その生産・流通に関与するバイオマス原料供給者、製造メーカ、小売・卸売等の中間業者や、又はこれらのものに予め定められた所定の割合で配分されるようにしてもよい。
これにより、バイオマス由来成分が配合された複合樹脂製品20を開発、流通、利用させることにインセンティブが働くことになり、石油資源の消費を抑制することに繋がる。
【0040】
排出権の分離移転機構10としては、具体的には、ユーザが製品20を購入する販売店、不要になった製品20の廃棄処分場又は回収業者等が挙げられる。しかし、CO2排出権が分離独立して流通することができるのは、製品20が最終的にユーザの手に渡った時点以降であることを鑑みれば、これらのものに限定される理由はない。
廃棄処分場又は回収業者が排出権の分離移転機構10として認定を受ければ、ゴミ回収の効率化や、不法投棄の防止等に対してインセンティブが働き、広い意味で地球温暖化防止に貢献することになる。
【0041】
<第2実施形態>
次に、図3から図7を参照してシステム30の第2実施形態であるゴミ処分の支援システム30Bについて説明する。このゴミ処分の支援システム30Bは、通信ネットワーク80を介し、情報蓄積手段50と、排出権の分離移転機構10の機能を兼ね備える小売店10(10A,10B,10C)とが情報データを相互に伝送するように構成される。
さらに、情報蓄積手段50と決済手段60も同様に情報データを相互に伝送するように構成される。また小売店10は、経営的に関連性のあるグループに属するもの同士が提携しあう場合に限らず、それとは無関係な小売店も参加することができる。
【0042】
小売店10は、来店した者に取扱商品を販売する店舗であって、購入商品の清算処理を行う複数の処理端末11(レジスタ)が配置されている。そして、これら処理端末11は、インターフェイス13を介して通信ネットワーク80に接続し、情報蓄積手段50と蓄積される各種情報(データ)の交換を行うことができる。
【0043】
この処理端末11(レジスタ)は、付属する読取端末12によって、ポイントカード40(図5参照)のユーザIDを読み取ってユーザ(購入者)の識別を行うとともに、商品の清算処理を実行することができる。
さらに、処理端末11は、購入した商品の持ち帰り用に配布される買物袋20B(複合樹脂製品20)の製品ID22を取得することができる。つまり、種類や大きさや製造メーカ等の属性が多種多様である買物袋20Bのうち、どの属性(適宜図6(a)参照)のものが配布されたか、さらにどれだけの枚数ユーザに配布したかについての配布情報を取得する。
【0044】
具体的には、処理端末11を操作する者が、処理端末11のキーボード(図示せず)に割り当てたキーを指押して実行する。
また、買物袋20B(図4参照)にその属性に関連付けさせた印刷コード22cを印刷し、この印刷コード22cを読取端末12で読み取ることにより、買物袋20Bの製品ID22を取得させてもよい。この印刷コード22cの読み取りによるメリットは、買物袋20Bの属性が多様であるところ、その属性情報(図6(a)参照)がそのメーカにより情報蓄積手段50に一括して登録されていれば、小売店10がこの属性情報をインプットする必要がなくなることにある。これにより、採用する買物袋20Bの種類を新しいものに変更する場合であっても、小売店10にシステム運用上の負担が生じない。
【0045】
また、特定手段14を付属させて、商品の清算処理の結果から配布する買物袋20Bの配布情報を自動的に取得させてもよい。つまり、購入商品が確定すれば、配布される買物袋20Bの種類及びその枚数も特定されることになる。このような、特定手段14を設けることのメリットは、処理端末11の操作者の操作工数を減らすことができるとともに、操作者に依存することなく配布される買物袋20Bが決定されるため、客観的にCO2排出権(図6(a)参照)のポイント付与が行えることにある。これにより、単に、CO2排出権を得たいがために、操作者に対していたずらに買物袋20Bの配布を大量に要求し、制度・システムを悪用するユーザの行為が防止される。
【0046】
情報蓄積手段50は、図示しないインターフェイスを介して通信ネットワーク80に接続し、小売店10の処理端末11(レジスタ)が取得した買物袋20Bの配布情報に基づき対応する排出権ポイント(図6(a)参照)を、ユーザのユーザIDに関連付けて累積させるものである(図6(b)参照)。
【0047】
図6(b)はシステム30のユーザの個人情報とCO2排出権の蓄積ポイントを示すユーザリストである。まずシステム30のユーザになろうとする者は、排出権の分離移転機構10を兼ねる小売店10(10A,10B,10C)(図3参照)に申請することにより、ユーザIDが記録されているポイントカード40(図5参照)の発行を受ける。
このポイントカード40は、本発明が対象とするCO2排出権のポイントを扱うだけでなく、小売店10における通常のお買物ポイントカードと併用するものであってもよい。
なお、ポイントカード40に記録されるユーザIDは、図示されるバーコードに限定されるものではなく、2次元コード(例えばQRコード)、無線チップ(例えば、RFID)、磁気検出コードにより記録されるものであってもよい。またユーザIDの記録媒体は、図示されるカードに限定されず、例えば、携帯電話や、キーホルダ等に記録されるものであってもよい。
【0048】
このポイントカード40は、商品の清算処理の際、最初に処理端末11(レジスタ)の操作者に提示してユーザIDが読み取られる。それからこの操作者が、商品の清算処理を行い、この商品を収容するのに必要な買物袋20Bをユーザ(購入者)に配布する。
この買物袋20Bがユーザに配布されるのに伴って、この買物袋20BのCO2排出権も付随してユーザに移転することになる。このCO2排出権のうちバイオマス由来成分に由来するものは、前記したカーボンオフセットの考え方により、この買物袋20Bが焼却されたとしても消尽しないものである。
よって、ユーザは、図6(a)の配布情報に対応する買物袋20Bの配布を受けると同時に、バイオマス由来のCO2排出量をポイント換算し譲渡性のある排出権ポイントを入手することになる。そして、この入手した排出権ポイントは、図6(b)に示されるように、ユーザのユーザIDに関連付けられて通常ポイントYとして情報蓄積手段50に電子的に保存・蓄積される。
【0049】
一方で、ユーザは、買物袋20Bの配布を保留することもできる。この場合、留保期間中は、買物袋20Bに含まれる石油由来成分及び、買物袋20Bの製造段階で発生する排出権ポイントも入手することになる。そして、処理端末11が買物袋20Bの配布は保留された旨の配布情報を取得すると、図6(b)に示されるようにボーナスポイントXが、ユーザのユーザIDに関連付けられて情報蓄積手段50に電子的に保存・蓄積される。
【0050】
そしてこのボーナスポイントXは、まとめて清算することによって、容量の大きなゴミ収集袋20B(買物袋20B)の配布を受けることができることとする。そして、このボーナスポイントX及び通常ポイントYの総計が、該当するユーザIDの利用可能な累積ポイントになる。
またこの情報蓄積手段50に蓄積している累積ポイントは、ユーザが商品を購入する際に、この累積ポイントを還元する清算処理を処理端末11で実行できるようになっている。つまり、現金支払いを蓄積ポイントを使って割り引くことが出来る。
【0051】
買物袋20B(図4参照)は、小売店10から商品を収納して持ち帰った後は、ゴミ収集袋20として再利用されるものである。
買物袋20Bは、合成樹脂にバイオマス由来成分を配合して成形した複合樹脂フィルムを袋状に貼り合せて構成されるものである。
【0052】
図6(a)はシステム30において使用することが公認され、情報蓄積手段50に登録されている買物袋20Bの情報リストである。
この買物袋20Bに配合されるバイオマス由来成分としては、米に由来したデンプンであることが望ましく、食用に適さなくなった古米を使用することが発明の趣旨から相応しい。さらに、合成樹脂とデンプンとは、親和性が低いためにカルボン酸系の相溶化剤(系面活性剤)を配合することが望ましい。
合成樹脂としては、ポリオレフィン系の樹脂が好適で、なかでも高密度ポリエチレンが望ましい。
【0053】
そのような複合樹脂フィルムの製造方法は、例えば、次の通りである。まず、含水させた生米をポリエチレンのペレットとともに100〜200℃の設定温度で押出機により加熱混練する。すると、ポリエチレンは融解し、生米が糊状デンプンになる。そして、前記した相溶化剤の作用も加わって、分子レベルで微細に混ざり合って均質なデンプン−ポリエチレン複合樹脂が製造される。このデンプン−ポリエチレン複合樹脂を延伸加工してフィルムに成形すると、100%ポリエチレンのフィルムと対比して遜色のない機械的性質が得られる。
この複合樹脂に配合されるバイオマス由来成分(デンプン)は、その比率が高いほど排出権ポイントが高く設定されるので好ましいが、買物袋20Bとして所望される諸性質も勘案して総重量に対し20〜80重量%の範囲に含まれることが求められる。
【0054】
図3に戻って説明を続ける。
ブラウザ35は、例えばパーソナルコンピュータ、携帯電話、携帯ゲーム機等の通信ネットワーク80に接続可能なインターネット端末である。そして、ブラウザ35は、情報蓄積手段50にアクセスし、買物袋20Bの情報リスト(図6(a)参照)を閲覧したり、パスワード設定によりアクセス制限されたユーザリスト(図6(b)参照)のうち所定のユーザIDの累積ポイントを閲覧したりするものである。
これにより、システム30のユーザは、自分が所持するCO2排出権の保有量を確認することができ、環境保全に貢献していることを実感できるとともに、更なる貢献に対するインセンティブが働く。
【0055】
決済手段60は、図示しないインターフェイスを介して通信ネットワーク80に接続し、情報蓄積手段50にアクセスし、ゴミ処分で請け負う負担を、蓄積ポイントから引き落し清算するものである。
具体的には、粗大ゴミ、家電製品等は、有料引取りが一般的であるところ、回収員が、ユーザの家庭に訪問し、持参したモバイル型の決済手段60でポイントカード40(図5)のユーザIDを読み取って決済することができる。また、ユーザが処分場にゴミの持ち込みをして決済処理することもできる。これにより、ユーザにとっては、ゴミ処分の負担部分を、所有するCO2排出権で賄うことができ、金銭的支出を抑えることができる。
【0056】
受領タグ交付手段61は、決済手段60における引き落としに伴って受領タグ21(図4参照)を交付するものである。この場合、決済手段60及び受領タグ交付手段61は、小売店10の店舗内又は任意の施設の内部に配置される自動販売機のような実施形態をとることになる。
受領タグ21は、ゴミ収集袋20に貼付することで、ゴミ回収費用を負担したことを示すものであって、実施形態として、視覚的に識別が可能なステッカーや、電子的に読み取り可能なタグが採用され得る。
これにより、家庭の一般ゴミ(可燃物ゴミ、生ゴミ、不燃物ごみ、リサイクルゴミ)の処分が有料化されている場合、回収時に支払済を証明する受領タグ21をポイントで購入することができる。さらに、使用済みの買物袋20Bをゴミ収集袋20として再利用することにより、環境負荷の少ないゴミ処理が実現できる。
【0057】
図7に示すタイムチャートを参照して、システム30の手続きについて説明する。ここで、システム30を運用する機関(ゴミ処分機関)は、行政が運営する場合が一般的であるが、民間がその一部又は全部を運営する場合も考えられる。
まず、ゴミ処分機関は、システム30で採用する買物袋20B(ゴミ収集袋20B)を指定する(S11)。この指定は、買物袋20Bの製造メーカに、図6(a)に示される属性情報や、所望される特性(引張強度、引裂強度、風合い等)の試験結果の報告書を提出させ確認検査に合格したものに対して行う。
【0058】
小売店10は、この買物袋20Bを、適時(定期的に)、製造メーカ又はその販売店から調達する(S12)。一般に、買物袋20Bにおけるバイオマスの配合割合と所望される一般的諸性質とはトレードオフの関係にある場合が多いところ、小売店10は、買物袋20Bを市場原理に従い入手することができる。これにより、品質に優れた買物袋20Bの製造に新規参入を促すことになり新たな産業の創出が期待できる。また、買物袋20Bの製造メーカにとっても、ユーザが喜ぶ、バイオマスの配合割合が高くかつ諸特性の優れた買物袋20Bを開発するインセンティブが働くことになる。
ポイントカード40(図5)は、ゴミ処分機関の公認を受けた小売店10が、ユーザの申請により発行する(S13、S14,S15)。
【0059】
<商品の購入(S20)について>
商品を購入するユーザは、商品を処理端末11(レジスタ)に持参するとともに、ポイントカード40を提示する(S21)。すると、処理端末11の操作者は、このポイントカード40のユーザIDを読取端末12で取り込んでから(S22)、続けて商品の清算処理を行う(S23)。そして、操作者は、ユーザが商品を持ち帰るのに必要な買物袋20Bの大きさ及び枚数を特定し、その配布情報(製品ID及び配布枚数)を処理端末11に取得させる(S24)。但し、付属する特定手段14により、自動的に配布情報が取得される場合もある。
【0060】
すると、この配布情報(製品ID及び配布枚数)に対応する排出権ポイント(図6(a)参照)が、通常ポイントY(図6(b))として加算される(S25;No→S27)。
一方で、ユーザは、この買物袋20Bの配布を保留することもできる(S25;Yes)。この場合、さらにボーナスポイントXが加算される(S26)。これにより、小売店10にマイバッグを持ち込み購入した商品を持ち帰ることにインセンティブが働く。
【0061】
そして、ユーザは、次回の商品の購入において(S30)、蓄積ポイントの全部又は一部をポイント還元して清算処理において割引を受けることができる(S31)。これにより、ユーザとしては、後記するようにゴミ処分でポイントを消費しても、なお余るポイントを次の商品購入の支払いにあてることができることになる。これにより、ユーザは、商品購入の支払いにあてるポイントを増やすために、よりいっそう、マイバッグを持参して買物袋20Bの配布を控え、ゴミの減容化、再資源化、分別に協力し、ゴミの回収・処分のコスト削減に向けたインセンティブが働くことになる。
【0062】
一方、小売店10は、ユーザから還元されたポイントに応じて、CO2排出権を獲得することができる(S32)。つまりユーザが所持していたCO2排出権が小売店10に戻されることになる。このようにして集めたCO2排出権を、小売店10は、市場で取引可能な排出枠として利用することができる。具体的には、市場価格では割高な買物袋20Bの仕入れを低廉で行えるようにしたり、将来的に導入が検討されている環境税等の税金の支払いにあてたり、ゴミ処分機関におけるコスト削減分の還付を受けることが考えられる。
【0063】
<ゴミ収集袋の請求(S40)について>
ユーザは、ボーナスポイントX(図6(b))をためて、容量の大きなゴミ収集袋20を無料で提供してもらうことができる。つまり、ポイントカード40を提示して(S41)、小売店10の処理端末11(レジスタ)でユーザIDの読み取りを行い(S42)、ゴミ収集袋20の大きさに見合うポイントを累積ポイント(図6(b))から減算することにより(S44)、操作者から容量の大きな買物袋20Bの配布のみを受けることができる(S43)。これにより、ゴミ収集袋20として利用価値の少ない小容量の買物袋20Bの利用を削減することができる。
【0064】
<一般ゴミの処分(S50)について>
ユーザは、決済手段60が配置されている所まで移動し、ポイントカード40を提示して(S51)、この決済手段60にユーザIDを読み取らせることにより(S52)、受領タグ21の購入を累積ポイント(図6(b))で決済することができる(S53,S54)。
そして、この受領タグ21をゴミ収集袋20に貼付してゴミの集積所に持っていけば(S55)、ゴミ処理機関が回収してくれることになる(S56)。これにより、一般家庭ゴミを容量の大きなゴミ収集袋20にまとめて収容して出すことにインセンティブが働くことになるので、ゴミ処分機関における回収コストを削減することができる。さらに、ゴミを大容量のゴミ収集袋20にまとめて出すことにより、一般家庭において、ゴミ分別のインセンティブが働くことになり、さらにゴミ処分に要するコスト削減にも寄与する。
以上より、本システムを採用することにより、地球環境保全にかかるコストを、特定部分に負担を集中させることなく、商品の生産、販売、消費、処分にかかわる全ての部署に均等に負担させる制度設計が可能になる。
【0065】
本発明に係る地球温暖化防止の支援システムは、前記した実施形態に限定されることはない。つまり、複合樹脂製品に含まれるバイオマス由来成分に関連付けした情報がこの複合樹脂製品に添付されており、この複合樹脂製品をユーザが取得すると前記含まれるバイオマス由来成分に対応させた排出権が前記複合樹脂製品から分離して流通するものであれば該当する。
例えば、複合樹脂製品が自治体指定のゴミ収集袋であるとして、含まれるバイオマス由来成分に関する情報がこのゴミ収集袋に表示され、スーパーマーケット等の小売店で配布されるレジ袋にこのゴミ収集袋が採用されることで、このゴミ収集袋(レジ袋)に付随する排出権が分離し移転・蓄積が可能なポイントとして利用される場合も含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明に係る地球温暖化防止の支援システムの第1実施形態を示す全体構成図である。
【図2】(a)は本発明の第1実施形態において利用される複合樹脂製品(収納ケース)の実施例を示す斜視図であり、(b)は本実施形態において登録されている複合樹脂製品の情報リストであり、(c)は複合樹脂製品のトレーサビリティ情報を表す構成要素のツリー構造を示し、(d)は本実施形態におけるユーザの個人情報とその蓄積ポイントを示すユーザリストである。
【図3】本発明の第2実施形態に係るゴミ処分の支援システムを示す全体構成図である。
【図4】本発明の第2実施形態において利用される複合樹脂製品(買物袋、再利用されるゴミ収集袋)の実施例を示す斜視図である。
【図5】本発明に係る地球温暖化防止の支援システムのユーザの本人確認を行うユーザIDを埋め込んで発行されるポイントカードの実施形態を示す正面図である。
【図6】(a)は本発明の第2実施形態において使用することが公認され、通信ネットワーク上の情報蓄積手段に登録されている買物袋の情報リストであり、(b)は本実施形態において登録されているユーザの個人情報とその蓄積ポイントを示すユーザリストである。
【図7】本発明の第2実施形態に係る地球温暖化防止の支援システム(ゴミ処分の支援システム)の手続きを示すタイムチャートである。
【符号の説明】
【0067】
10 分離移転機構(小売店)
10A,10B,10C 小売店(分離移転機構)
11 処理端末
12 読取端末
20 複合樹脂製品(製品,収納ケース,買物袋,ゴミ収集袋)
20A 収納ケース(複合樹脂製品)
20B 買物袋,ゴミ収集袋(複合樹脂製品)
21 受領タグ
22,22a,22b,22c 製品ID
30,30A 地球温暖化防止の支援システム
30,30B ゴミ処分の支援システム(地球温暖化防止の支援システム)
31 バイオマス原料の供給者端末
32 製品メーカ端末
33 中間業者端末
34 ユーザ端末
35 ブラウザ
40 ポイントカード
50 情報蓄積手段
60 決済手段
61 受領タグ交付手段
80 通信ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
含まれるバイオマス由来成分に関連付けした情報が複合樹脂製品に添付され、
前記複合樹脂製品をユーザが取得すると前記含まれるバイオマス由来成分に対応させた排出権を前記複合樹脂製品から分離して流通させることを特徴とする地球温暖化防止の支援システム。
【請求項2】
請求項1に記載の地球温暖化防止の支援システムにおいて、
複合樹脂製品に含まれるバイオマス由来成分の相当量に換算した石油由来成分が燃焼して発生する二酸化炭素排出量を排出削減量とみなし、前記複合樹脂製品を識別する製品IDに前記排出削減量の情報を関連付けて蓄積する情報蓄積手段と、
ユーザが取得した前記複合樹脂製品に付与されている前記製品ID及び前記ユーザを識別するユーザIDを読み取る読取端末と、
前記読取端末に読み取られた前記製品IDに関連付けられている前記排出削減量の情報を、前記複合樹脂製品のメーカのメーカID及び前記ユーザIDのうち少なくとも一方に関連付けして前記情報蓄積手段に蓄積することを特徴とする地球温暖化防止の支援システム。
【請求項3】
請求項2に記載の地球温暖化防止の支援システムにおいて、
前記複合樹脂製品は、前記ユーザが購入した商品の持ち帰り用に配布される買物袋であることを特徴とする地球温暖化防止の支援システム。
【請求項4】
請求項3に記載の地球温暖化防止の支援システムにおいて、
前記読取端末は、前記商品の清算処理を実行する際に、配布された前記買物袋の前記製品ID及び前記ユーザIDを読み取り、
前記情報蓄積手段は、前記買物袋に関連付けられている前記排出削減量の情報をポイントに換算したものを前記ユーザIDに関連付けて蓄積することを特徴とする地球温暖化防止の支援システム。
【請求項5】
請求項4に記載の地球温暖化防止の支援システムにおいて、
前記情報蓄積手段は、
前記買物袋の配布が保留された場合、ボーナスポイントを加算した前記ポイントが前記ユーザIDに関連付けて蓄積され、
ゴミ収集袋の用途にも利用できる大容量の買物袋が前記ユーザに配布された場合、見合うポイントを減算した前記ポイントが前記ユーザIDに関連付けて蓄積されることを特徴とする地球温暖化防止の支援システム。
【請求項6】
請求項5に記載の地球温暖化防止の支援システムにおいて、
前記ユーザがゴミ処分をする場合に請け負う負担を、前記ユーザIDに関連付けられ蓄積している前記ポイントから引き落とす決済手段を、備えることを特徴とする地球温暖化防止の支援システム。
【請求項7】
請求項6に記載の地球温暖化防止の支援システムにおいて、
前記決済手段における引き落としに伴ってゴミ回収費用を負担したことを前記ゴミ収集袋に貼付して示す受領タグを交付する受領タグ交付手段を備えることを特徴とする地球温暖化防止の支援システム。
【請求項8】
請求項4から請求項7のいずれか1項に記載の地球温暖化防止の支援システムにおいて、
前記処理端末は、前記ユーザが商品を購入する際に、前記ユーザIDに関連付けられて蓄積されている前記ポイントを還元して前記清算処理を実行することを特徴とする地球温暖化防止の支援システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−197703(P2011−197703A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−318364(P2008−318364)
【出願日】平成20年12月15日(2008.12.15)
【特許番号】特許第4327236号(P4327236)
【特許公報発行日】平成21年9月9日(2009.9.9)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(504004647)アグリフューチャー・じょうえつ株式会社 (24)