説明

地盤のゆるみ検知方法、地盤のゆるみ検知システム

【課題】観測したAEに基づき、精度良く地盤内のゆるみの発生を検知する。
【解決手段】地盤内に少なくとも3箇所以上にAEを測定する測定装置110を埋設し、各測定装置110によりAEが観測された時間の差に基づき、AEの発生源の位置を特定し、測定装置110により観測されたAEと、特定した発生源位置とに基づき、発生源におけるAEを算出し、算出した発生源におけるAEの振幅が、予め設定された閾値を超える場合には、ゆるみが生じていると判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地盤内に生じるAEを観測することにより、地盤のゆるみの発生を検知するシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
トンネルなどを構築するために地盤を掘削すると、地盤内では応力の再配分等が生じ、新たな亀裂が発生したり、亀裂が進行したりして、地盤内の密着性の低下や開口が発生する(本願において、かかる現象を「ゆるみ」という)。このように地盤内において応力の再配分が生じると、地盤内に蓄えられていたひずみエネルギーが解放され、アコースティック・エミッション(Acoustic Emission:以下、AEという。)が発生する。従来より、このようなAEを観測することにより、地盤のゆるみの発生を検知することが行われている。
【0003】
このようなAEを利用した地盤のゆるみの検知方法として、例えば、非特許文献1には、AEの発生数、卓越AE周波数、及びm値といった指標値に基づいて、地盤のゆるみを評価する方法が記載されている。
【非特許文献1】青木 謙治ら、「岩石の破壊過程におけるAEパラメータの挙動に関する研究」、材料(Journal of the Society of Material Science,Japan)、日本材料学会、2006年6月3日、Vol.55(2006)、No.5、P477−482
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、m値を用いてゆるみの有無を判定する場合には、ゆるみが生じるとm値が低下する傾向が見られるため、このようにm値が低下した場合にゆるみが生じていると判定する。しかしながら、岩盤の種類によってはm値が低下しないものもあり、確実性が低い。また、卓越AE周波数を用いる場合には、AEセンサとして用いているセンサの特性はフラットではなく、この影響を受けてしまうため、確実性が低い。
【0005】
本発明は、上記の問題に鑑みなされたものであり、その目的は、観測したAEに基づき、精度良く地盤内のゆるみの発生を検知することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の地盤のゆるみ検知方法は、地盤内のゆるみを検知する方法であって、前記地盤内に同一直線上に位置しない少なくとも3箇所以上にアコースティック・エミッション(AE)センサを埋設するステップと、各AEセンサによりAEが観測された時点の時間差に基づき、前記AEの発生源の位置を特定するステップと、前記AEセンサにより観測されたAEと、前記特定した発生源の位置とに基づき、当該発生源におけるAEの振幅を算出するステップと、前記算出した前記発生源におけるAEの振幅が、予め設定された閾値を超える場合には、ゆるみが生じていると判定するステップと、を備えることを特徴とする。
【0007】
上記の方法において、予め、前記地盤の減衰特性を求めておき、前記AEの振幅を算出するステップでは、前記地盤の減衰特性にも基づいてAEの振幅を算出してもよい。
また、前記地盤から採取した試験体に加える圧縮応力を増大させながら、AEを観測し、前記圧縮応力の増大に対する前記AEの振幅の増加の割合が変化した際のAEの振幅を前記閾値として設定するステップを備えてもよい。
【0008】
また、前記地盤から採取した試験体に加える圧縮応力を増大させながら、AEを観測し、前記試験体が弾性限界に達した際に観測されたAEの振幅を前記閾値として設定するステップを備えてもよい。
【0009】
また、前記地盤はトンネルが掘削されるべき地盤であり、前記トンネルの周囲の地盤内のゆるみを検知してもよく、前記AEセンサを埋設するステップでは、前記AEセンサを、前記トンネルの一部を先行掘削し、前記先行掘削したトンネルの一部から地盤に孔を削孔し、前記削孔した孔内に配置することにより、地盤内に埋設してもよい。
【0010】
また、前記AEセンサを埋設するステップでは、前記AEセンサを、前記トンネルの近傍に先行トンネルを先行掘削し、前記先行掘削した先行トンネルの一部から地盤に孔を削孔し、前記削孔した孔内に配置することにより、地盤内に埋設してもよい、
【0011】
また、本発明の地盤のゆるみ検知システムは、地盤内のゆるみを検知するシステムであって、前記地盤内の同一直線上に位置しない少なくとも3箇所以上に埋設されたAEセンサと、各AEセンサによりAEが観測された時点の時間差に基づき、前記AEの発生源の位置を特定する位置同定手段と、前記AEセンサにより観測されたAEと、前記位置同定手段により特定された発生源の位置とに基づき、当該発生源におけるAEの振幅を算出する振幅算出手段と、前記振幅算出手段により算出された前記発生源におけるAEの振幅が、予め設定された閾値を超える場合には、ゆるみが生じていると判定するゆるみ判定手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
岩盤の種類によりAEの振幅値は異なるものの、弾性から非弾性に変化する(すなわち、ゆるみが発生する)際に、ひずみに対するAEの振幅値の増大する割合は、岩盤の種類によらず、大きくなるという共通する傾向がある。本発明では、このような傾向を利用し、AEの発生源における振幅に基づきゆるみの発生を求めているため、精度よくゆるみの発生を検出することができる。また、AEの到達時間の差に基づき、発生源位置を特定することができるため、ゆるみの発生箇所を求めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の地盤評価システムの一実施形態を図面を参照しながら詳細に説明する。以下の説明では、地中にトンネルを掘削することで生じるトンネルの周囲の地盤のゆるみを検知する場合を例として説明する。
図1は、本実施形態の地盤評価システムによるゆるみ検知の対象となるトンネル10を示す断面図である。検知の対象となるトンネル10は大断面のトンネルであり、このような大断面のトンネルは、その一部(本実施形態では上部11)を先行して掘削した後、残りの部分(本実施形態では下部12)を後行して掘削することにより構築する。本実施形態の地盤評価システムは、トンネル10の上部11を先行掘削した後、この先行掘削したトンネルの上部11を利用して測定装置を地面に埋め込んでおき、トンネルの下部12を掘削する際に、地盤に埋め込まれた測定装置によりAEを測定することで、図1における紙面に対応する断面におけるゆるみ発生及びその位置を検知するものである。
【0014】
図2は、本実施形態の地盤評価システム100の構成を示す図である。同図に示すように、本実施形態の地盤評価システム100は、トンネル10に対して略垂直な平面上に位置するように地盤1内に埋め込まれた3つ以上(本実施形態では4つ)の測定装置110と、測定装置110と無線又は有線により通信可能に接続されたゆるみ判定装置120とにより構成される。測定装置110は、後述するように、トンネル10の先行掘削を行う際に、側方に延びるように掘削孔20を延長しておき、この掘削孔20内において下方に向かって削孔されたボーリング孔21内に配置されている。
【0015】
図3は測定装置110の構成を示す図である。同図に示すように、測定装置110は、AEセンサ111と、プリアンプ112と、を備えて構成される。
【0016】
AEセンサ111は、常時、地盤1内に生じたAEを観測し、このAEに応じた測定信号を出力する。AEセンサ111より出力された測定信号は、プリアンプ112により増幅された後、ゆるみ判定装置120に入力される。
【0017】
図4は、ゆるみ判定装置120の構成を示す図である。同図に示すように、ゆるみ判定装置120は、メインアンプ113と、バンドパスフィルタ114と、AD変換部121と、AE検知部122と、位置同定部123と、発生源振幅算出部124と、ゆるみ判定部125と、出力部126とを備える。
【0018】
測定装置110から入力された測定信号は、メインアンプ113により増幅され、バンドパスフィルタ114によりフィルタリングされた後、AD変換部121に入力される。 AD変換部121はバンドパスフィルタ114から入力された測定信号をA/D変換する。AD変換部121によりA/D変換された測定信号は、AE検知部122に入力される。
【0019】
AE検知部122は、例えば、入力される測定信号の振幅が所定の値以上となった場合に、AEが発生したと判定する。ここで、図5に示すように、AEの発生源からAEセンサ111までの距離が異なるため、各測定装置110には時差を持ってAEが到達する。AE検知部122は、何れかの測定装置110においてAEが発生したことを検知すると、各測定装置110から入力され、A/D変換された測定信号を、最初にAEが検知された時点から、AE全体が含まれるような所定の時間分(所定のサンプル数)切り出して、AE信号とする。
【0020】
AE検知部に122より切り出されたAE信号は位置同定部123へ入力される。位置同定部123には、予め、各AEセンサの位置情報と、地盤1の弾性波速度が記録されている。かかる地盤1の弾性波速度は地盤1を構成する岩盤の種類により決定され、予め、実験などにより求められた値を用いることができる。
位置同定部123は、上記のように切り出されたAE信号に基づき、各AEセンサにAEが到達する時間の差を求め、この時間差と、各測定装置の位置情報と、地盤1中の弾性波速度とに基づいて、AEセンサ111が配置された平面上における発生源の位置を特定する。
【0021】
位置同定部123において算出された発生源の位置に関する情報は、発生源振幅算出部124に入力される。発生源振幅算出部124には、予め、ゆるみの検知の対象となる地盤1の振動距離減衰特性が記録されている。かかる振動距離減衰特性は、地盤1を構成する岩盤の種類に基づき決定されるものであり、予め、実験などにより求められた値を用いることができる。
発生源振幅算出部124は、位置同定部123から入力された発生源の位置に関する情報と、各AEセンサ111の位置情報とに基づき、発生源とAEセンサ111との距離を夫々求め、さらに、各AEセンサ111において測定されたAEの振幅値と、算出した発生源とAEセンサ111との距離と、地盤1内の振動距離減衰特性とに基づき、発生源位置における振幅値を算出する。この際、各測定装置110により測定されたAEに基づき算出した発生源位置における振幅値に誤差が生じることがあるが、このような場合には、平均値を算出すればよい。
【0022】
発生源振幅算出部124により算出された発生源位置における振幅値は、ゆるみ判定部125に入力される。ゆるみ判定部125には、予め、発生源位置における振幅値の閾値が設定されており、発生源振幅算出部124から入力された発生源位置における振幅値がこの閾値を超える場合には、ゆるみが生じていると判定する。このような閾値は、後述するように、地盤1から試験体を切り出し、この試験体を用いた圧縮実験により算出したものである。
【0023】
出力部126は、ゆるみ判定部125によりゆるみが生じたと判定された場合に、上記の位置同定部123により求められた発生源位置の情報を画面出力する。
なお、ゆるみ検知装置120としては、例えばコンピュータを用いることができ、各構成部121〜126は、コンピュータのCPUがメモリに記録されたプログラムを実行することにより実現される。
【0024】
以下、上記の地盤評価システム100により、地盤の評価を行う流れを図6を参照しながら説明する。なお、予め、地盤1を構成する岩盤の種類に関する情報に基づき、地盤1の弾性波の伝播速度及び振動距離減衰特性が求められ、弾性波の伝播速度は位置同定部123に、振動距離減衰特性は発生源振幅算出部124に記録されている。
【0025】
まず、STEP10において、トンネル上部11を先行掘削する。この際、図2を参照して説明したように、トンネル10に対して測定装置110を埋設する側の地盤を側方に延びるように掘削孔20を形成しておき、この部分から下方に向かってボーリング孔21を削孔する。そして、STEP12において、ボーリング孔21内に測定装置110を配置する。次に、STEP14において、上記配置した測定装置110の位置情報を、ゆるみ判定装置120の位置同定部123に記録する。
【0026】
また、STEP12と並行して、STEP14において、トンネル10の周囲の地盤から円柱状の試験体を削り出し、試験体にAEセンサを取り付けた状態で圧縮実験を行い、応力―ひずみ―AE振幅値の関係を求める。
【0027】
図7は、上記の圧縮実験により求められた試験体に生じる体積ひずみに対する作用する応力及びAE振幅値との関係の一例を示すグラフである。同図に示すように、試験体に生じる応力は、地盤の種類によらず、体積ひずみが所定の値εに達するまでは、体積ひずみに比例して増加する(すなわち、グラフにおいて直線となる)が、体積ひずみが所定の値εを超えると、体積ひずみに対する増加率が減少する(すなわち、グラフにおいて直線から下方に向かって湾曲する)。これに対して、AE振幅値は、体積ひずみが所定の値εに達するまでは、体積ひずみに比例するように増加する(すなわち、グラフにおいて直線となる)が、体積ひずみが所定の値εを超えると、体積ひずみに対する増加率が大きくなる(すなわち、グラフの傾きが大きくなる)。このように、地盤にゆるみが発生した際のAEの振幅値は岩盤の種類により異なるものの、岩盤の種類によらず、AE振幅値の体積ひずみに対する増加率は、ゆるみが発生すると変化する傾向がある。
【0028】
地盤が弾性限界に達すると、地盤内に亀裂などが生じ、ゆるみが生じることとなる。このため、予め、AE振幅値の増加の傾向が変化する(すなわち、弾性限界に達する)際のAE振幅値(閾値)を求めておくことで、発生源におけるAEの振幅値がこの閾値を超える場合には、地盤が弾性限界に達している、すなわち、ゆるみが生じていると判定することができる。
【0029】
そこで、STEP16において、上記の圧縮実験により得られたAE振幅値の傾向が変化する際のAE振幅値をゆるみ判定部125における閾値として設定する。
【0030】
次に、STEP18において、トンネル下部12の掘削(後行掘削)を開始する。後行掘削の開始とともに、測定装置110により地盤に生じる振動を測定する。後行掘削が進行すると、地盤においてゆるみが生じ、AEが発生する。
【0031】
STEP20において、ゆるみ判定装置120が、AE検知部122により何れかの測定装置110からの測定信号にAEが含まれることを検知すると、各測定装置110から送信される測定信号を、このAEが検知された時点から所定の時間長さ分切り出して、この切り出した信号をAE信号とする。
【0032】
次に、STEP22において、ゆるみ判定装置120が、位置同定部123により、上記のAE信号に基づき、各測定装置110にAEの到達時間の差を算出する。そして、STEP24において、ゆるみ判定装置120が位置同定部123により算出した到達時間差と、各測定装置の位置情報と、地盤1中の弾性波速度とに基づき、AEセンサ111が配置された平面上における発生源の位置を算出する。
【0033】
次に、STEP26において、ゆるみ判定装置120が、発生源振幅算出部124により、AE信号と、発生源及び各測定装置の位置情報と、地盤1の振動距離減衰特性とに基づいて、発生源位置におけるAEの振幅を算出する。
【0034】
次に、STEP28において、ゆるみ判定部125が発生源振幅算出部124により算出された発生源位置におけるAEの振幅と、試験体の圧縮実験により得られた閾値とを比較し、発生源位置におけるAEの振幅が閾値を超える場合(STEP28においてYES)には、STEP30において、地盤にゆるみが生じたと判定する。また、発生源位置におけるAEの振幅が閾値以下の場合(STEP28においてNO)には、STEP20に戻り、再びAEが観測されるまで待機する。
【0035】
STE30において地盤にゆるみが生じたと判定された場合には、STEP32において、出力部126により位置同定部123により算出された位置情報に基づき、例えば、図8に示すように、トンネルの断面図にゆるみの発生箇所を表示するなどの方法によりゆるみの発生箇所に関する情報を出力する。
【0036】
そして、作業員は出力部126に出力されたゆるみの発生箇所に関する情報を取得すると、必要に応じて掘削作業を停止する、又はゆるみが生じた箇所の補修を行う。この際、上記のようにゆるみの発生箇所が出力されることにより、例えば、トンネルの内周面にロックボルトを埋設して補修を行う場合には、ゆるみの発生箇所のトンネル表面からの深さを把握することができるため、その位置に応じた長さのロックボルトを採用し、確実な補強を行うことができる。
【0037】
以上説明したように、地盤にゆるみが発生した際のAEの振幅値は岩盤の種類により異なるものの、岩盤の種類によらず、AE振幅値の体積ひずみに対する増加率は、ゆるみが発生すると変化する傾向がある。本実施形態によれば、このような傾向を利用し、発生源における振幅値に基づき、地盤のゆるみの発生を求めており、岩盤の種類によらず、精度よく地盤のゆるみの発生を検出することができる。
【0038】
さらに、3つ以上のAEセンサ111により測定されたAEの到達時間の差に基づき、発生源位置を特定することができるため、地盤のゆるみの発生箇所を求めることができる。これにより、地盤のゆるみの発生箇所に応じた補修を迅速に行うことができる。
【0039】
また、実際の岩盤を用いた圧縮実験により、岩盤のAE振幅値とひずみの関係を求め、この関係に基づきゆるみが発生したと判定する発生源における振幅値の閾値を設定しているため、より精度よくゆるみの発生を検出することができる。また、岩盤の伝播波動減衰率を考慮することで、より精度よくゆるみの発生を検出することができる。
【0040】
なお、上記の実施形態では、同一平面上に同一直線上に位置しないように4つのAEセンサ111を配置することにより、地盤のゆるみの2次元的な位置を特定する場合について説明したが、これに限らず、2次元的な位置を特定する場合であれば、AEセンサを同一直線上に位置しないように3つ以上配置すればよい。なお、AEセンサを3つ配置する場合には、AEセンサを正三角形の頂点に相当する位置に配置すると、より精度良く測定を行える。
【0041】
さらに、地盤内に同一直線上に位置せず、かつ同一平面上に位置しないように4つ以上のAEセンサ111を配置することにより、ゆるみの発生源の位置を3次元的に特定することもできる。なお、AEセンサを4つ配置してゆるみの発生源位置を3次元的に特定する場合には、AEセンサを正四面体の頂点に相当する位置に配置すると、より精度良く測定を行える。
【0042】
また、本実施形態では、トンネルの先行掘削を行う際に、トンネル上部11の側方に向かって掘削孔20を形成し、この掘削孔20から下方に向かってボーリング孔21を削孔し、このボーリング孔21内に測定装置110を配置するものとしたが、これに限らず、図9に示すように、トンネル10に相当する位置の近傍に先行トンネル30を掘削し、この先行トンネル30からトンネル10に向かってボーリング孔31を削孔し、このボーリング孔31内に測定装置110を配置してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本実施形態の地盤評価システムによるゆるみ検知の対象となるトンネルを示す断面図である。
【図2】本実施形態の地盤評価システムの構成を示す図である。
【図3】測定装置の構成を示す図である。
【図4】ゆるみ判定装置の構成を示す図である。
【図5】AEセンサにおけるAEの到達時間の差を示す図である。
【図6】地盤評価システムにより、地盤の評価を行う流れを示すフローチャートである。
【図7】圧縮実験により求められた試験体に生じる体積ひずみに対する作用する応力及びAE振幅値との関係の一例を示すグラフである。
【図8】出力部による画面出力の一例を示す図である。
【図9】別の実施形態の測定装置の配置方法を説明するための図である。
【符号の説明】
【0044】
10、30 トンネル
20 掘削孔 21、31 ボーリング孔
100 ゆるみ検知システム 110 測定装置
111 AEセンサ 112 プリアンプ
113 メインアンプ 114 バンドパスフィルタ
120 ゆるみ判定装置 121 AD変換部
122 AE検知部 123 位置同定部
124 発生源振幅算出部 125 ゆるみ判定部
126 出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地盤内のゆるみを検知する方法であって、
前記地盤内に同一直線上に位置しない少なくとも3箇所以上にアコースティック・エミッション(AE)センサを埋設するステップと、
各AEセンサによりAEが観測された時点の時間差に基づき、前記AEの発生源の位置を特定するステップと、
前記AEセンサにより観測されたAEと、前記特定した発生源の位置とに基づき、当該発生源におけるAEの振幅を算出するステップと、
前記算出した前記発生源におけるAEの振幅が、予め設定された閾値を超える場合には、ゆるみが生じていると判定するステップと、を備えることを特徴とするゆるみ検知方法。
【請求項2】
請求項1記載のゆるみ検知方法であって、
予め、前記地盤の減衰特性を求めておき、
前記AEの振幅を算出するステップでは、前記地盤の減衰特性にも基づいてAEの振幅を算出することを特徴とするゆるみ検知方法。
【請求項3】
請求項1又は2記載のゆるみ検知方法であって、
前記地盤から採取した試験体に加える圧縮応力を増大させながら、AEを観測し、前記圧縮応力の増大に対する前記AEの振幅の増加の割合が変化した際のAEの振幅を前記閾値として設定するステップを備えることを特徴とするゆるみ検知方法。
【請求項4】
請求項1又は2記載のゆるみ検知方法であって、
前記地盤から採取した試験体に加える圧縮応力を増大させながら、AEを観測し、前記試験体が弾性限界に達した際に観測されたAEの振幅を前記閾値として設定するステップを備えることを特徴とするゆるみ検知方法。
【請求項5】
請求項1から4のうち何れか1項に記載のゆるみ検知方法であって、
前記地盤はトンネルが掘削されるべき地盤であり、前記トンネルの周囲の地盤内のゆるみを検知することを特徴とするゆるみ検知方法。
【請求項6】
請求項5記載のゆるみ検知方法であって、
前記AEセンサを埋設するステップでは、
前記AEセンサを、前記トンネルの一部を先行掘削し、前記先行掘削したトンネルの一部から地盤に孔を削孔し、前記削孔した孔内に配置することにより、地盤内に埋設することを特徴とするゆるみ検知方法。
【請求項7】
請求項5記載のゆるみ検知方法であって、
前記AEセンサを埋設するステップでは、
前記AEセンサを、前記トンネルの近傍に先行トンネルを先行掘削し、前記先行掘削した先行トンネルの一部から地盤に孔を削孔し、前記削孔した孔内に配置することにより、地盤内に埋設することを特徴とするゆるみ検知方法。
【請求項8】
地盤内のゆるみを検知するシステムであって、
前記地盤内の同一直線上に位置しない少なくとも3箇所以上に埋設されたAEセンサと、
各AEセンサによりAEが観測された時点の時間差に基づき、前記AEの発生源の位置を特定する位置同定手段と、
前記AEセンサにより観測されたAEと、前記位置同定手段により特定された発生源の位置とに基づき、当該発生源におけるAEの振幅を算出する振幅算出手段と、
前記振幅算出手段により算出された前記発生源におけるAEの振幅が、予め設定された閾値を超える場合には、ゆるみが生じていると判定するゆるみ判定手段と、を備えることを特徴とするゆるみ検知システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−122173(P2010−122173A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−298429(P2008−298429)
【出願日】平成20年11月21日(2008.11.21)
【出願人】(000000549)株式会社大林組 (1,758)
【Fターム(参考)】